説明

コンクリート舗装

【課題】耐摩耗性などの耐久性に優れて寿命が極めて長いコンクリート舗装を提供する。
【解決手段】セメント、BET比表面積が3〜20m2/gの微粉末、細骨材、水、減水剤及び直径0.02〜0.2mmで長さ1〜30mmのモノフィラメントタイプのアラミド繊維を含む配合物の硬化体からなるコンクリート舗装。
配合物はブレーン比表面積3500〜10000cm2/gの無機粉末や粗骨材を含むことが好ましい。さらに、配合物は平均粒度が1mm以下の繊維状粒子又は薄片状粒子を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路や幹線道路などの自動車交通を主とした道路や空港等に使用されるコンクリート舗装に関し、特に、耐摩耗性などの耐久性に優れて寿命が極めて長いコンクリート舗装に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート舗装は高速道路から、生活道路まで、また道路以外では空港、港湾、工場敷地などの重荷重用の舗装からガレージ、通路などの軽荷重用の舗装まで、広い範囲で用いられている。高速道路や幹線道路などの自動車交通を主とした道路にコンクリート舗装を用いた場合、アスファルト舗装に較べて、路面にわだち掘れが生じにくい(例えば、特許文献1)、路面が明るいので夜間に長距離を運転するような場合でも運転者の疲労が少ない、などの利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−107445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリート舗装の耐久性は、該舗装内の温度差により発生する応力と通行車両の輪荷重により発生する応力の合計による応力での疲労耐力で評価・設計されている。従来のコンクリート舗装では、大凡200万回で疲労耐力の低減が起こり、やがてひび割れなどが発生して寿命が来るといわれている。ひび割れなどが発生して寿命が来た場合は、新たにコンクリート舗装を構築する必要があるが、この場合、旧コンクリート舗装を除去する必要があり、非常に手間がかかっていた。また、この際生じる旧コンクリート舗装の処分方法も問題であった。そのため、寿命の極めて長いコンクリート舗装が望まれていた。
また、コンクリート舗装はアスファルト舗装に較べて耐摩耗性に優れるものではあるが、それでもタイヤによる擦り減り作用を受けて徐々に摩耗していく。この場合、許容擦り減り量に達した段階で、アスファルトなどによるオーバーレイで補修を行う必要があり、非常に手間がかかっていた。そのため、より耐摩耗性に優れるコンクリート舗装が望まれていた。
【0005】
そこで、本発明においては、耐摩耗性などの耐久性に優れて寿命が極めて長いコンクリート舗装を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、特定の材料を組み合わせた配合物の硬化体を舗装として用いることで、上記目的を達成することができるとの知見を得、本発明に到達した。
すなわち、本発明のコンクリート舗装は、セメント、BET比表面積が3〜25m2/gの微粉末、細骨材、水、減水剤及び直径0.02〜0.2mmで長さ1〜30mmのモノフィラメントタイプのアラミド繊維を含む配合物の硬化体からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコンクリート舗装は、曲げ強度が10〜35N/mm2と極めて高いものであり、載荷重が最大でも5N/mm2以下である従来の舗装用途に、本発明のコンクリート舗装を適用した場合、疲労による耐久性の低下は問題にはならない。従って、本発明のコンクリート舗装は、極めて寿命が長いものである。また、本発明のコンクリート舗装は、耐摩耗性に極めて優れるものであり、オーバーレイでの補修などの維持管理の手間も軽減できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のコンクリート舗装は、セメント、BET比表面積が3〜25m2/gの微粉末、細骨材、水、減水剤及び直径0.02〜0.2mmで長さ1〜30mmのモノフィラメントタイプのアラミド繊維を含む配合物の硬化体からなるものである。
【0009】
セメントの種類としては、特に限定されないが、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメントを使用することができる。
本発明においては、配合物の硬化体の早期強度を向上させようとする場合には、早強ポルトランドセメントを使用することが好ましく、配合物の流動性を向上させようとする場合には、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
【0010】
BET比表面積が3〜25m2/gの微粉末としては、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降シリカ、石灰石粉末等が挙げられる。一般に、シリカフュームやシリカダストは、そのBET比表面積が5〜25m2/gであり、粉砕等をする必要がないので、本発明の微粉末として好適である。また、被粉砕性や流動性等の観点から、石灰石粉末も本発明の微粉末として好適である。
上記微粉末のBET比表面積は、3〜25m2/g、好ましくは7〜15m2/gである。該値が3m2/g未満では、硬化体の強度が低下するうえ、耐磨耗性等も低下する。一方、該値が25m2/gを越えるものは、入手が困難であるうえ、単位水量が増大し、硬化体の強度、耐磨耗性等が低下することがある。
上記微粉末の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部である。配合量が5質量部未満では、硬化体の強度が低下するうえ、耐磨耗性も低下する。一方、配合量が50質量部を越えると、単位水量が増大し、硬化体の強度、耐磨耗性等が低下することがある。
【0011】
細骨材としては、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂等又はこれらの混合物が挙げられる。 本発明においては、細骨材としては、配合物の流動性や硬化体の強度、耐磨耗性等から、最大粒径が2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下のものを用いることが好ましい。また、流動性や作業性等から、細骨材中の0.15mm未満の粒子の割合が5.0質量%以下であることが好ましい。
細骨材の配合量は、配合物の流動性や施工性、硬化体の強度、耐磨耗性性の観点、さらには、自己収縮や乾燥収縮の低減、水和発熱量の低減等の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは50〜250質量部、より好ましくは80〜180質量部である。
【0012】
水としては、水道水等を使用することができる。
本発明において、水/セメント比は、配合物の流動性や施工性、硬化体の強度、緻密性や、耐磨耗性等から、10〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
【0013】
減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤または高性能AE減水剤を使用することができる。なかでも、ポリカルボン酸系の高性能減水剤または高性能AE減水剤を使用することが好ましい。減水剤を配合することによって、配合物の流動性や施工性、硬化体の強度や耐磨耗性等が向上する。
減水剤の配合量は、配合物の流動性や分離抵抗性、硬化体の強度や耐磨耗性、コスト等の面から、セメント100質量部に対して固形分換算で0.1〜4.0質量部が好ましく、0.1〜2.0質量部がより好ましく、0.1〜1.0質量部が特に好ましい。
【0014】
本発明で使用するアラミド繊維は、直径0.02〜0.2mm(好ましくは0.03〜0.2mm、より好ましくは0.04〜0.2mm)、長さ1〜30mm(好ましくは3〜20mm、より好ましくは5〜16mm)のモノフィラメントタイプの繊維である。アラミド繊維の直径が0.02mm未満では、配合物の流動性や作業性が低下するうえ、硬化体の強度や耐磨耗性も低下する。一方、直径が0.2mmを越えるアラミド繊維をモノフィラメントタイプの繊維として入手することは困難である。また、直径が0.2mmを越える収束型のアラミド繊維を使用した場合では、同一配合量での本数が少なくなるので、耐磨耗性、曲げ強度や破壊エネルギーが低下することがある。アラミド繊維の長さが1mm未満では、入手が困難であるうえ、耐磨耗性、曲げ強度や破壊エネルギーが低下することがある。一方、長さが30mmを越えると、配合物の流動性や作業性が極端に低下するうえ、硬化体の強度や耐磨耗性等も低下する。
アラミド繊維の配合量は、配合物の体積の0.5〜3.0%が好ましく、より好ましくは0.8〜2.0%である。配合量が配合物の体積の0.5%未満では、耐磨耗性、曲げ強度や破壊エネルギー、特に破壊エネルギーが低下することがある。一方、配合量が3.0%を越えると、配合物の流動性や作業性が極端に低下するうえ、コストも高くなる。
【0015】
本発明においては、配合物の流動性や作業性、硬化体の強度、耐磨耗性等から、アラミド繊維は含水率が50質量%以下のものを使用するのが好ましく、10〜30質量%のものを使用するのがより好ましい。アラミド繊維の含水率が50質量%を越えると、強度発現性が低下することがあり、また、硬化体の緻密性や、耐磨耗性等が低下することがある。
なお、本発明において、アラミド繊維の含水率は、105℃で24時間加熱した際の質量減少量から算出される値である。
【0016】
本発明においては、配合物は、ブレーン比表面積が3500〜10000cm2/gの無機粉末を含有することができる。該無機粉末を含有することにより、配合物の流動性や硬化体の強度発現性、緻密性や、耐磨耗性等を高めることができる。
無機粉末としては、スラグ、石灰石粉末、長石類、ムライト類、アルミナ粉末、石英粉末、フライアッシュ、火山灰、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。なかでも、スラグ、フライアッシュ、石灰石粉末、石英粉末は、コストの点や硬化体の品質安定性の点で好ましく用いられる。
無機粉末のブレーン比表面積は3500〜10000cm2/gが好ましく、4000〜9000cm2/gがより好ましく、5000〜9000cm2/gが特に好ましい。無機粉末のブレーン比表面積が3500cm2/g未満では、硬化体の強度、緻密性や、耐磨耗性等が低下するため好ましくない。一方、該値が10000cm2/gを越えると、流動性が低下したり、硬化体の強度、緻密性や、耐磨耗性等が低下することがある。さらに、この場合、コストも増大する。
無機粉末の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは55質量部以下、より好ましくは10〜50質量部である。配合量が55質量部を越えると、流動性が低下したり、硬化体の強度、緻密性や、耐磨耗性等が低下することがある。
【0017】
本発明においては、配合物は、粗骨材を含有することができる。粗骨材としては、粒径範囲が2.5〜40mmの砂利、砕石、及びこれらの混合物等が挙げられる。前記の配合物(粗骨材を含まない配合物)の硬化体と粗骨材とでは、耐摩耗性などの性状はほぼ同等であるので、コンクリート舗装のコストの点からは、配合物に、粗骨材を含ませることが好ましい。粗骨材の配合量は、混練時の作業性やコンクリート舗装の強度等から、配合物の体積の60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。
【0018】
本発明においては、配合物は、平均粒度が1mm以下の繊維状粒子又は薄片状粒子を含有することができる。ここで、粒子の粒度とは、その最大寸法の大きさ(特に、繊維状粒子ではその長さ)である。該繊維状粒子又は薄片状粒子を含有することにより、硬化後の靱性を高めることができる。
繊維状粒子としては、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト等が、薄片状粒子としては、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。
繊維状粒子又は薄片状粒子の配合量は、配合物の流動性や施工性、硬化体の靱性等から、セメント100質量部に対して35質量部以下が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。
なお、繊維状粒子においては、硬化体の靱性を高める観点から、長さ/直径の比で表される針状度が3以上のものを用いるのが好ましい。
【0019】
本発明において、配合物の混練方法は、特に限定するものではなく、
例えば、粗骨材を使用しない場合、
(1)水、減水剤以外の材料を予め混合しておき(プレミックス)、該プレミックス、水、減水剤をミキサに投入し、混練する。
(2)水以外の材料を予め混合しておき(プレミックス、ただし減水剤は粉末タイプのものを使用する)、該プレミックス、水をミキサに投入し、混練する。
(3)水、減水剤、細骨材以外の材料を予め混合しておき(プレミックス)、該プレミックス、水、減水剤、細骨材をミキサに投入し、混練する。
(4)水、細骨材以外の材料を予め混合しておき(プレミックス、ただし減水剤は粉末タイプのものを使用する)、該プレミックス、水、細骨材をミキサに投入し、混練する。
(5)各材料を、それぞれ個別にミキサに投入し、混練する。
粗骨材を使用する場合、
(1)水、減水剤、粗骨材以外の材料を予め混合しておき(プレミックス)、該プレミックス、水、減水剤、粗骨材をミキサに投入し、混練する。
(2)水、粗骨材以外の材料を予め混合しておき(プレミックス、ただし減水剤は粉末タイプのものを使用する)、該プレミックス、水、粗骨材をミキサに投入し、混練する。
(3)水、減水剤、細骨材、粗骨材以外の材料を予め混合しておき(プレミックス)、該プレミックス、水、減水剤、細骨材、粗骨材をミキサに投入し、混練する。
(4)水、細骨材、粗骨材以外の材料を予め混合しておき(プレミックス、ただし減水剤は粉末タイプのものを使用する)、該プレミックス、水、細骨材、粗骨材をミキサに投入し、混練する。
(5)各材料を、それぞれ個別にミキサに投入し、混練する。等の方法が挙げられる。
【0020】
混練に用いるミキサは、通常のコンクリートの混練に用いられるどのタイプのものでもよく、例えば、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等が用いられる。
【0021】
本発明において、コンクリート舗装の構築方法は、特に限定するものではなく、
(1)前記配合物をコンクリート工場から施工現場まで運搬し、打設し、締固めて施工現場に敷設しても良いし(現場打ち)、
(2)コンクリート製品工場において、前記配合物からコンクリート舗装版を製造し、該コンクリート舗装版を施工現場に設置しても良い。
【0022】
前記(1)の現場打ちにおいては、コンクリート工場から施工現場までの配合物の運搬は、ダンプトラック、アジテータトラックのいずれを用いて行っても良い。また、配合物の敷設には、タンピングランマー、プレートコンパクター、バイブロコンパクター、フイニッシャー等を用いて、該配合物を締固めて施工現場に敷設する。敷設後、コンクリート舗装表面を養生シートで覆い、養生すれば、本発明のコンクリート舗装が得られる。
【0023】
(2)のコンクリート舗装版の製造においては、所定の型枠に配合物を投入し、必要に応じて振動成形を行えば良い。養生方法も特に限定されるものではなく、常温養生や蒸気養生等を行なえばよいが、養生時間の短縮を考慮した場合、下記に示す一次養生・二次養生を行うことが好ましい。
一次養生としては、配合物を型枠に充填した状態で、5〜40℃で所定時間(例えば、3〜48時間程度)静置する方法が挙げられる。一次養生終了後、脱型し、二次養生する。二次養生としては、60〜95℃で3〜48時間蒸気養生する方法が挙げられる。
【0024】
本発明のコンクリート舗装は、曲げ強度が10〜35N/mm2と極めて高いものである。従来の舗装用途においては、載荷重は最大でも5N/mm2以下であるので、本発明のコンクリート舗装を従来の舗装用途に適用した場合、疲労による耐久性の低下は問題にはならない。また、本発明のコンクリート舗装は、耐摩耗性にも極めて優れるものである。
【実施例】
【0025】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。
1.使用材料
以下に示す材料を使用した。
(a)セメント:低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
(b)微粉末:シリカフューム(BET比表面積11m2/g)
(c)無機粉末:石英粉末(ブレーン比表面積7000cm2/g)
(d)細骨材:珪砂(粒径0.15〜0.6mm)
(e)減水剤:ポリカルボン酸系高性能減水剤
(f)水:水道水
(g)アラミド繊維:直径:0.045mm、長さ:6mmのモノフィラメント繊維(含水率15質量%)
(h)粗骨材:砕石1505
(i)ポリビニルアルコール繊維:直径:0.3mm、長さ:15mm
(j)鋼繊維:直径:0.2mm、長さ:15mm
【0026】
2.配合物の製造と評価1
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、細骨材120質量部、水22質量部、高性能減水剤0.4質量部(固形分換算)及びアラミド繊維(配合物の体積の1%)を二軸練りミキサに投入し、混練した。該配合物のフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行なわないで測定した。その結果、フロー値は200mmであった。
前記配合物を、100×100×15cmの型枠にプレートコンパクター(MVC-110H;三笠(株)製)で敷設した。敷設後、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生して、100×100×10cmのコンクリート舗装版を作製した。
上記舗装版を切断して、10×10×40cmの供試体を3本作製し、「JIS A 1106(コンクリートの曲げ強度試験方法)」に準じて、曲げ強度を測定した。その結果、曲げ強度は27N/mm2であった。
また、上記曲げ強度試験において、荷重がひび割れ発生荷重に達してから、1/3に低下するまでの間の荷重−荷重点変位の積分値を供試体断面積で除した値として、破壊エネルギー算出した。なお、荷重点変位としては、曲げ試験機のクロスヘッド変位量を用いた。
該硬化体の破壊エネルギー(3本の平均値)は41kJ/m2であった。
また、上記舗装版をコア抜き・切断して、φ50×100mmの供試体を3本作製し、圧縮強度を測定した。その結果、圧縮強度は179N/mm2であった。
また、上記舗装版をコア抜き・切断して、φ50×100mmの供試体を3本作製し、「地盤工学会基準JGS 0231(土の透水試験法)」に準じて、変水位透水試験方法により透水係数を測定した。その結果、水の浸透が全く認められず、浸透深さはゼロであった。
また、上記舗装版を切断して、10×10×40cmの供試体を3本作製し、凍結融解試験を、「JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)付属書2(コンクリートの凍結融解試験)」に準じて測定した。その結果、耐久性指数は99.8であった。
また、別途、「ASTM C779」に記載されている寸法の供試体を作製(20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生)し、「ASTM C779」に準じて耐摩耗性を評価した。その結果、60分経過後のすりへり深さは0.70mmであった。
また、別途、「ASTM C418」に記載されている寸法の供試体を作製(20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生)し、「ASTM C418」に準じて耐摩耗性を評価した。その結果、すりへり体積は0.013cm3/cm3であった。
【0027】
3.配合物の製造と評価2
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、石英粉末30質量部、細骨材120質量部、水22質量部、高性能減水剤0.4質量部(固形分換算)及びアラミド繊維(配合物の体積の1%)を二軸練りミキサに投入し、混練した。
配合物のフロー値、硬化体の圧縮強度、曲げ強度、破壊エネルギー、水の浸透深さ、耐久性指数、すりへり深さ及びすりへり体積を、上記2.と同様に測定した。
その結果、フロー値は212mm、圧縮強度は192N/mm2、曲げ強度は28N/mm2、破壊エネルギーは42kJ/m2、水の浸透深さはゼロ、耐久性指数は99.9、すりへり深さは0.69mm、すりへり体積は0.012cm3/cm3であった。
【0028】
4.配合物の製造と評価3
上記3.で調製した配合物と粗骨材の体積比が7:3となるように、各材料を二軸練りミキサに投入し、混練した。該配合物のスランプ値を、「JIS A 1101(コンクリートのスランプ試験方法)」に準じて測定した。その結果、スランプは4cmであった。
前記配合物を、100×100×15cmの型枠にプレートコンパクター(MVC-110H;三笠(株)製)で敷設した。敷設後、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生して、100×100×10cmのコンクリート舗装版を作製した。
上記舗装版を切断して、10×10×40cmの供試体を3本作製し、「JIS A 1106(コンクリートの曲げ強度試験方法)」に準じて、曲げ強度を測定した。その結果、曲げ強度は13N/mm2であった。
また、上記曲げ強度試験において、荷重がひび割れ発生荷重に達してから、1/3に低下するまでの間の荷重−荷重点変位の積分値を供試体断面積で除した値として、破壊エネルギー算出した。なお、荷重点変位としては、曲げ試験機のクロスヘッド変位量を用いた。
該硬化体の破壊エネルギー(3本の平均値)は40kJ/m2であった。
また、上記舗装版をコア抜き・切断して、φ100×100mmの供試体を3本作製し、圧縮強度を測定した。その結果、圧縮強度は180N/mm2であった。
また、上記舗装版をコア抜き・切断して、φ100×100mmの供試体を3本作製し、「地盤工学会基準JGS 0231(土の透水試験法)」に準じて、変水位透水試験方法により透水係数を測定した。その結果、水の浸透が全く認められず、浸透深さはゼロであった。
また、上記舗装版を切断して、10×10×40cmの供試体を3本作製し、凍結融解試験を、「JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)付属書2(コンクリートの凍結融解試験)」に準じて測定した。その結果、耐久性指数は99.8であった。
また、別途、「ASTM C779」に記載されている寸法の供試体を作製(20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生)し、「ASTM C779」に準じて耐摩耗性を評価した。その結果、60分経過後のすりへり深さは0.60mmであった。
また、別途、「ASTM C418」に記載されている寸法の供試体を作製(20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生)し、「ASTM C418」に準じて耐摩耗性を評価した。その結果、すりへり体積は0.009cm3/cm3であった。
【0029】
5.配合物の製造と評価4
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、石英粉末30質量部、細骨材120質量部、水22質量部及び高性能減水剤0.4質量部(固形分換算)を二軸練りミキサに投入し、混練した。
配合物のフロー値、硬化体の圧縮強度、曲げ強度及びすりへり深さを、上記2.と同様に測定した。
その結果、フロー値は270mm、圧縮強度は220N/mm2、曲げ強度は15N/mm2、すりへり深さは1.27mmであった。
【0030】
6.配合物の製造と評価5
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、石英粉末30質量部、細骨材120質量部、水22質量部、高性能減水剤0.4質量部(固形分換算)及びポリビニルアルコール繊維(配合物の体積の3%)を二軸練りミキサに投入し、混練した。
配合物のフロー値、硬化体の圧縮強度、曲げ強度、すりへり深さ及びすりへり体積を、上記2.と同様に測定した。
その結果、フロー値は260mm、圧縮強度は165N/mm2、曲げ強度は20N/mm2、すりへり深さは1.03mm、すりへり体積は0.023cm3/cm3であった。
【0031】
7.配合物の製造と評価6
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、石英粉末30質量部、細骨材120質量部、水22質量部、高性能減水剤0.4質量部(固形分換算)及び鋼繊維(配合物の体積の2%)を二軸練りミキサに投入し、混練した。
配合物のフロー値、硬化体の圧縮強度、曲げ強度、破壊エネルギー、すりへり深さ及びすりへり体積を、上記2.と同様に測定した。
その結果、フロー値は270mm、圧縮強度は200N/mm2、曲げ強度は44N/mm2、破壊エネルギーは43kJ/m2、すりへり深さは0.62mm、すりへり体積は0.011cm3/cm3であった。
【0032】
8.普通コンクリートの耐磨耗性の評価
普通コンクリートの配合物(単位セメント(普通ポルトランドセメント使用)量327kg/m3、単位水量180kg/m3、細骨材率48%、空気量4.5%の条件)の硬化体を使用して、すりへり深さ及びすりへり体積を、上記2.と同様に測定した(なお、養生は20℃の水中養生を行なった。該普通コンクリートの圧縮強度は35N/mm2であった)。
その結果、すりへり深さは1.74mm、すりへり体積は0.105cm3/cm3であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、BET比表面積が3〜25m2/gの微粉末、細骨材、水、減水剤及び直径0.02〜0.2mmで長さ1〜30mmのモノフィラメントタイプのアラミド繊維を含む配合物の硬化体からなることを特徴とするコンクリート舗装。
【請求項2】
配合物が、ブレーン比表面積3500〜10000cm2/gの無機粉末を含む請求項1記載のコンクリート舗装。
【請求項3】
配合物が、粗骨材を含む請求項1又は2に記載のコンクリート舗装。

【公開番号】特開2011−43008(P2011−43008A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192860(P2009−192860)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】