説明

コンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法及び装置

【課題】 コンクリートの連続供給による打設作業を実施できるようにする。
【解決手段】 鋼製屋根3の上方にて直径方向に延びる仮設梁4の両端部に設けた走行台車を、側壁コンクリート2上に全周に亘り設けた仮設レール7に載置する。仮設梁4には、コンクリート圧送用分岐配管8を支持させ、その外側端部に先端ホース11を接続する。コンクリートポンプ12から鋼製屋根3の中央部まで導いたコンクリート圧送用配管13の下流側端部に、ベアリングジョイントとT継手を介して仮設梁4に支持した各コンクリート圧送用分岐配管8の内側端部を接続する。仮設梁4を旋回させながら、その両端部に配された先端ホース11より鋼製屋根3の周方向にコンクリート16の打設を行わせ、その後、各コンクリート圧送用分岐配管8を順次短くして、コンクリート16の打設位置を順次旋回中心側へ移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明はLNGタンク等のコンクリート製タンクを建設する場合に用いるコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LNGタンク等の低温液化ガスを貯蔵するためのコンクリート製タンクを建設する場合において、コンクリート屋根を構築する際の工法の一つとして、先ず、底版コンクリートと側壁コンクリートとからなるコンクリート製タンク本体を構築し、次に、上記タンク本体の上記底版コンクリート上でドーム状の鋼製の屋根を組み立て、次いで、この鋼製屋根を、上記側壁コンクリートの頂部と対応する位置までエアーレイジングさせた後、該側壁コンクリートの頂部に対応させた配置でエアーサポートした状態の上記鋼製屋根の上側に、全面に亘りコンクリートを所定の厚みとなるよう打設することにより、コンクリート製のタンク屋根を構築するようにする手法が従来提案されている。
【0003】
又、上記鋼製屋根がその上側に打設するコンクリートの重量によって座屈する虞を未然に防止するために、上記鋼製屋根の上側へのコンクリートの打設作業を、半径方向の最外周部から順に中心部側へ、周方向の全周に亘り同心円状に順次コンクリートを打設することで実施するようにすることも従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−248774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記したコンクリート製タンク本体の側壁コンクリートの頂部位置まで鋼製屋根をエアーレイジングした後、エアーサポート状態の鋼製屋根の上側へコンクリートを打設する工法は、コンクリート製のタンク屋根の構築に有効であるが、建設するコンクリート製タンクが直径数十メートルと大型のものである場合や、地上からの高さが高いコンクリート製タンクの場合は、上記側壁コンクリートの頂部と対応する位置に配した鋼製屋根の周方向に打設位置を順次変更し、更に、径方向にも打設位置を変更してコンクリートの打設を行うために、コンクリートを1m程度のバケットに詰めた状態で、タワークレーンで吊り上げて打設作業対象位置まで搬送する必要があり、そのため、コンクリートの供給が断続的となってしまう。又、上記タワークレーンの能力次第で打設の分割数が決まってしまうため、このタワークレーンの能力が上記コンクリート製タンク屋根のコンクリート打設作業の工期に影響を与えてしまうというのが実状である。
【0006】
すなわち、コンクリートは水和反応により硬化が進行するため、先のコンクリートの打設後一定時間内、たとえば、打設後45分〜1時間経過するまでに次のコンクリートを打ち継がないと、表面にレイタンスが生じてしまい、このレイタンスが生じてしまった場合は、次の打設作業を実施する前にレイタンスの除去作業が必要とされる。
【0007】
又、先に打設したコンクリートが硬化して締まってしまうと、次に打設するコンクリートとの間にコールドジョイントが生じてしまう。
【0008】
したがって、上記レイタンスやコールドジョイントの発生を避けるために、コンクリートの打設作業は継続的に実施することが望まれるが、上記したように、上記タワークレーンを用いたコンクリートの鋼製屋根上における打設現場への搬送は、断続的にしか行うことができない。
【0009】
更に、タワークレーンは、風の強い日には使用できなくなることがあり、このことによっても工期に影響が生じる虞がある。
【0010】
なお、上記鋼製屋根の上側にコンクリートを打設するために該鋼製屋根をエアーサポートしている期間中は、上記コンクリート製タンク本体の内側に作業者が入って該コンクリート製タンク本体の内面に鋼製のライナを取り付ける作業を行うことができないため、上記鋼製屋根の上側へのコンクリート打設作業に要する期間は、コンクリート製タンク全体の建設に要する工期にも大きく影響する。
【0011】
そこで、本発明は、コンクリート製タンク本体の側壁コンクリートの頂部と対応する位置に配した鋼製屋根の上側へコンクリートを打設してコンクリート製のタンク屋根を構築する際に、上記鋼製屋根上へのコンクリートの連続供給を可能にして、コンクリート打設作業を継続して実施でき、よって、上記鋼製屋根上へのコンクリート打設作業に要する工期の短縮化を図ることができるようにするためのコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法及び装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、底版コンクリートと側壁コンクリートからなるコンクリート製タンク本体における上記側壁コンクリートの頂部と対応する位置に鋼製屋根を配置し、該鋼製屋根上へコンクリートを打設してコンクリート製タンク屋根を構築するコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法において、上記コンクリート製タンク本体の中心線上より半径方向に延びる複数本の腕部を備えてなる仮設梁を、上記鋼製屋根の上方に、コンクリート製タンク本体の中心線を中心として旋回可能に支持させて、該仮設梁の各腕部にコンクリート圧送用配管より分岐させたコンクリート圧送用分岐配管を沿わせて支持させ、上記各腕部に沿わされるコンクリート圧送用分岐配管の外端より上記鋼製屋根の上側へコンクリートを吐出させ、次に、上記仮設梁を旋回させて、上記鋼製屋根の外周部の上側に周方向にコンクリートの打設を行い、次いで、上記各コンクリート圧送用分岐配管からのコンクリートの吐出位置を順次旋回中心側へ変更して、上記鋼製屋根の上側へ外周側から中心部へ向けて順次同心円状にコンクリートの打設を行うようにするコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法とする。
【0013】
又、上記構成において、仮設梁の各腕部の外側端部を、走行台車を介して側壁コンクリートの上端面に周方向に亘り設けた仮設レール上を走行させるようにして、該仮設梁を、鋼製屋根の上方に支持させると共に、該鋼製屋根の上方で旋回させるようにする。
【0014】
更に、上記各構成において、仮設梁の各腕部に保持させる各コンクリート圧送用分岐配管を、鋼製屋根の外周部から旋回中心側へコンクリート打設を行うときに対応する長さに短くして、上記各コンクリート圧送用配管におけるコンクリートの吐出位置を順次内側へ変更するようにする。
【0015】
又、請求項4に対応して、底版コンクリートと側壁コンクリートからなるコンクリート製タンク本体における上記側壁コンクリートの頂部と対応する位置に鋼製屋根を配置して、該鋼製屋根の上面にコンクリートを打設してコンクリート製タンク屋根を構築するコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設装置において、上記コンクリート製タンク本体の中心線上より半径方向に延びる複数本の腕部を備えてなる仮設梁を、上記鋼製屋根の上方に配置して、該仮設梁の各腕部の外側端部を、側壁コンクリートの上端面に周方向に沿い移動できるように載置し、上記鋼製屋根の中央部上方位置までコンクリートを圧送するためのコンクリート圧送用配管の下流側端部に、上記コンクリート製タンク本体の中心線上に配したベアリングジョイントと分岐管を介して上記仮設梁の各腕部に保持させた各コンクリート圧送用分岐配管の内側端部を接続し、且つ該各コンクリート圧送用分岐配管の外側端部に先端ホースを接続してなる構成を有するコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設装置とする。
【0016】
更に、上記構成において、仮設梁の各腕部の外側端部に設けた走行台車を、側壁コンクリートの上端面に周方向に設けた仮設レール上に自走できるよう載置した構成とする。
【0017】
更に又、上記各構成において、仮設梁の各腕部に保持させる各コンクリート圧送用分岐配管を、複数の所要長さの配管部材を継手を介し取り外し可能に連結してなる構成の配管とし、且つ該各コンクリート圧送用分岐配管の外側端部に、上記継手と同様の継手を介して先端ホースを接続するようにした構成とする。
【0018】
同様に、上記各構成において、仮設梁の各腕部に保持させる各コンクリート圧送用分岐配管を、長手方向所要間隔個所に先端ホースを取り付けた三方切換弁を介装してなる構成とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)底版コンクリートと側壁コンクリートからなるコンクリート製タンク本体における上記側壁コンクリートの頂部と対応する位置に鋼製屋根を配置し、該鋼製屋根上へコンクリートを打設してコンクリート製タンク屋根を構築するコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法において、上記コンクリート製タンク本体の中心線上より半径方向に延びる複数本の腕部を備えてなる仮設梁を、上記鋼製屋根の上方に、コンクリート製タンク本体の中心線を中心として旋回可能に支持させて、該仮設梁の各腕部にコンクリート圧送用配管より分岐させたコンクリート圧送用分岐配管を沿わせて支持させ、上記各腕部に沿わされるコンクリート圧送用分岐配管の外端より上記鋼製屋根の上側へコンクリートを吐出させ、次に、上記仮設梁を旋回させて、上記鋼製屋根の外周部の上側に周方向にコンクリートの打設を行い、次いで、上記各コンクリート圧送用分岐配管からのコンクリートの吐出位置を順次旋回中心側へ変更して、上記鋼製屋根の上側へ外周側から中心部へ向けて順次同心円状にコンクリートの打設を行うようにするコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法及び装置としてあるので、鋼製屋根の上側へのコンクリートの供給を、コンクリート圧送用配管とコンクリート圧送用分岐配管を経て連続的に行うことができる。しかも、該鋼製屋根上にコンクリートを外周側から中心部へ向けて順次同心円状に打設する場合の打設位置の周方向及び半径方向の移動に追従した個所に、コンクリートの連続供給を行うことができるため、コンクリートの打ち継ぎを短時間で行うことが可能になる。よって、レイタンスやコールドジョイントの発生を未然に防止した状態で、鋼製屋根上へのコンクリートの打設作業を継続的に実施することが可能になる。
(2)更に、上記鋼製屋根の周方向に対するコンクリートの打設作業は、上記仮設梁の複数の腕部に保持させた各コンクリート圧送用分岐配管にそれぞれ接続してある先端ホースより周方向の複数個所で同時に実施できるため、上記鋼製屋根上の周方向の全周に亘る領域に対してコンクリートの打設作業を行うために要する上記仮設梁の周方向の旋回角度を小さく抑えることができる。
(3)上記鋼製屋根の上側へのコンクリートの供給は、コンクリート圧送用配管とコンクリート圧送用分岐配管を経た圧送で行うようにしてあるため、風の強い日でも打設作業を行うことができる。これにより、従来のタワークレーンを使用して鋼製屋根上へコンクリートの供給を行っていた場合に比して、工期の短縮化を図ることが可能になる。
(4)仮設梁の各腕部の外側端部を、走行台車を介して側壁コンクリートの上端面に周方向に亘り設けた仮設レール上を走行させるようにして、該仮設梁を、鋼製屋根の上方に支持させると共に、該鋼製屋根の上方で旋回させるようにする構成とすることにより、上記鋼製屋根上の周方向に延びる領域に対するコンクリートの打設作業を容易なものとするができて、打ち継ぎに要する時間の短縮化を図ることができる。
(5)仮設梁の各腕部に保持させる各コンクリート圧送用分岐配管を、鋼製屋根の外周部から旋回中心側へコンクリート打設を行うときに対応する長さに短くして、上記各コンクリート圧送用配管におけるコンクリートの吐出位置を順次内側へ変更するようにする構成とすることにより、鋼製屋根上に外周側から中央部へ向けて順次同心円状にコンクリートを打設する際、コンクリートの打設位置を径方向に容易に移動させることができる。
(6)仮設梁の各腕部に保持させる各コンクリート圧送用分岐配管を、長手方向所要間隔個所に先端ホースを取り付けた三方切換弁を介装してなる構成とした構成とすることにより、鋼製屋根上に外周側から中央部へ向けて順次同心円状にコンクリートを打設する際、コンクリートの打設位置の径方向への移動を、上記三方切換弁の操作による容易なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1乃至図5は本発明のコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法及び装置の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
【0022】
すなわち、底版コンクリート(図示せず)と側壁コンクリート2とからなる円筒状のコンクリート製タンク本体1を備え、且つ鋼製屋根3を、上記側壁コンクリート2の頂部と対応する位置までエアーレイジングさせた後、エアーサポートする等の手法により、該鋼製屋根3を上記側壁コンクリート2の頂部と対応する位置に配置してなる構成において、構築すべきコンクリート製タンク屋根23よりも上方となる位置に、上記コンクリート製タンク本体1の中心線上より半径方向に延びる複数本の腕部5を備えてなる構造の仮設梁4、たとえば、コンクリート製タンク本体1の中心線上より180度対向して半径方向に延びる2本の腕部5の内側端部同士を該タンク本体1の中心線上で一体に連結することで、上記コンクリート製タンク本体1の直径に沿って延びる構造としてなる仮設梁4を配置し、該仮設梁4の各腕部5の外側端部の下方に設けた走行台車6を、上記側壁コンクリート2の頂部に周方向の全周に亘り設置した仮設レール7に走行可能に載置する。これにより、上記走行台車6の上記仮設レール7上での走行により、上記仮設梁4が上記鋼製屋根3の上方位置でコンクリート製タンク本体1の中心位置を中心として旋回(回転)できるようにする。
【0023】
上記仮設梁4の各腕部5には、長手方向に、すなわち、上記鋼製屋根3の径方向に沿って延びるコンクリート圧送用分岐配管8をそれぞれ保持させると共に、該各コンクリート圧送用分岐配管8の先端部となる外側端部には、先端ホース11をそれぞれ接続する。
【0024】
更に、上記コンクリート製タンク本体1の外部の地上に配したコンクリートポンプ12に上流側端部を接続したコンクリート圧送用配管13を、上記側壁コンクリート2の外側と上記鋼製屋根3の上方を通してコンクリート製タンク本体1の中心線上となる該鋼製屋根3の頂部まで仮設する。該コンクリート圧送用配管13の下流側端部には、水平方向に回転可能なベアリングジョイント14を介して分岐管としてのT継手15の中央部を接続し、且つ該T継手15の両端部に、上記各腕部5に保持させたコンクリート圧送用分岐配管8の基端部となる内側端部をそれぞれ接続する。これにより、上記コンクリートポンプ12の運転によりコンクリート圧送用配管13を通して圧送されるコンクリート(生コン)16を、上記コンクリート製タンク本体1の中心線上、すなわち、上記仮設梁4の旋回中心に位置する上記鋼製屋根3の頂部に配した上記ベアリングジョイント14とT継手15を経て上記仮設梁4の各腕部5にそれぞれ保持させてあるコンクリート圧送用分岐配管8へ分配して供給し、該各コンクリート圧送用分岐配管8へ分配供給されたコンクリート16を、該各コンクリート圧送用分岐配管8の外側端部に接続してある先端ホース11を通して上記鋼製屋根3の上側に吐出させて打設することができるようにしてあり、更に、この状態で上記仮設梁4を旋回させることで、上記コンクリート16を吐出させる先端ホース11の位置を、上記鋼製屋根3の周方向へ移動させることができるようにしてある。
【0025】
詳述すると、上記仮設レール7は、図3及び図4(イ)(ロ)に示す如く、側壁コンクリート2の上端面に、該側壁コンクリート2の周方向に断続的に配置した仮設枕木17を介在させた状態で載置してあり、更に、上記側壁コンクリート2の上端面に予め突設してある仮設アンカーボルト18を、上記仮設枕木17に設けた図示しない上下方向の貫通孔に貫通させると共に、該仮設枕木17より突出する上記仮設アンカーボルト18の上端部に、押え部材19を介して上記仮設レール7を固定するようにしてある。これにより、上記仮設枕木17上に配置した仮設レール7を、上記押え部材19と仮設アンカーボルト18を介して側壁コンクリート2の上端面に固定できるようにしてある。又、鋼製屋根3の上側へのコンクリート打設作業の終了後は、上記仮設梁4を撤去した後、上記仮設アンカーボルト18より押え部材19を取り外して上記仮設レール7の固定を解除することで、該仮設レール7を撤去できるようにしてある。更に、上記のようにして仮設レール7を撤去した後は、上記仮設アンカーボルト18より仮設枕木17を取り外した後、該仮設アンカーボルト18を、上記側壁コンクリート2の上端面の位置で切除することで、該側壁コンクリート2の上端面を平滑な面とすることができるようにしてある。
【0026】
上記仮設梁4は、各腕部5が上記ドーム形状の鋼製屋根3の上側に構築すべきドーム形状のコンクリート製タンク屋根23の上面の半径方向の湾曲、又は、上記鋼製屋根3のドーム形状の半径方向の湾曲に沿う湾曲形状となるようにすることで、全体でアーチ形状をなすようにしてある。又、上記仮設梁4は、トラス構造とすることで、上記アーチ形状を保持するための強度を備えた状態で自重の軽量化を図ることができるようにしてある。
【0027】
更に、上記仮設梁4は、図5に示す如く、上記コンクリート製タンク本体1の中心線上に位置する長手方向の中間部を、上記ベアリングジョイント14の周りに該ベアリングジョイント14と同軸に配置して上記鋼製屋根3の頂部に仮設したターンテーブル20の上側に載置して取り付けた構成としてある。これにより、上記仮設梁4の荷重の一部を上記ターンテーブル20を介して上記鋼製屋根3の頂部に伝えて支持させると共に、該仮設梁4を旋回させるときに、仮設梁4の旋回中心を、上記コンクリート製タンク本体1の中心線上に確実に保持させることができるようにしてある。
【0028】
上記側壁コンクリート2の外側を通して該側壁コンクリート2の頂部まで導いた上記コンクリート圧送用配管13は、図4(イ)(ロ)に示すように、上記仮設レール7を支持するために側壁コンクリート2の上端面に載置してある仮設枕木17のうち、周方向所要位置で隣接する2つの仮設枕木17同士の間を通すことで、上記仮設レール7の下方を通して上記鋼製屋根3の上側へ導くことができるようにしてある。これにより、上記コンクリート圧送用配管13が、上記仮設レール7上における走行台車6の走行によって旋回する上記仮設梁4と干渉しないようにしてある。
【0029】
更に、上記鋼製屋根3の上側を通して該鋼製屋根3の頂部まで導くコンクリート圧送用配管13は、図4(イ)に示すように、鋼製屋根3の上方にて、図4(イ)に二点鎖線で示す如きコンクリート製タンク屋根23を構築するために該鋼製屋根3の上側に打設すべきコンクリート16の厚みよりも上方となる位置を通るように配置すると共に、長手方向の所要間隔個所を、上記鋼製屋根3の上側にコンクリート製タンク屋根23を構築するために配筋してある鉄筋22より立設した仮設サポート21により支持させるようにしてある。これにより、上記鋼製屋根3の上側へのコンクリート16の打設後に、上記コンクリート圧送用配管13を撤去した後、上記仮設サポート21の打設したコンクリート16の表面より突出する部分を切除することで、表面の円滑なコンクリート製タンク屋根23を構築できるようにしてある。
【0030】
上記仮設梁4の各腕部5に保持させる各コンクリート圧送用分岐配管8は、複数本の所要の長さ寸法の配管部材、たとえば、7本の所要長さの配管部材9を、継手10を介して分離可能に連結した構成としてあり、且つ各配管部材9が、上記仮設梁4の各腕部5の対応する個所に、個別の取付部材24を介して取外し可能に取り付けてある。更に、上記各コンクリート圧送用分岐配管8の最も外側端部寄りに位置する配管部材9の外側端部と、先端ホース11の基端部とを、上記配管部材同士を連結する継手10と同様の継手10を介し連結した構成とする。これにより、上記仮設梁4の各腕部5にそれぞれ保持させてある各コンクリート圧送用分岐配管8を構成している各配管部材9を、最も外側端部に位置するものから順に継手10部分で分離して取り外すことができるようにしてあると共に、該取り外された配管部材9の内側で新たに最も外側に位置することとなる配管部材9の外側端部に、上記先端ホース11を順次繋ぎ替えることができるようにしてある。よって、上記のようにして、上記各先端ホース11を、各コンクリート圧送用分岐配管8における最も外側に位置する配管部材9の外側端部から、順次内側に隣接する配管部材9の外側端部へ繋ぎ替えることで、上記コンクリート16を吐出させる先端ホース11の位置を、上記鋼製屋根3の外周部から中心部へ向けて順次移動させることができるようにしてある。なお、上記各配管部材9の長さ寸法は、先端ホース11の先端部を鋼製屋根3の上側に沿わせて径方向に移動させるときの移動範囲以下となるように設定してあるものとする。
【0031】
上記仮設梁4の両端部の下側に設ける各走行台車6は、車輪6aを駆動するための回転駆動装置として、たとえば、図示しない駆動モータを具備してなる構成として、上記仮設レール7上に載置した車輪6aを上記図示しない駆動モータにより駆動させることで、仮設レール7上を自走できるようにしてある。なお、図示してないが、上記各走行台車6の図示しない駆動モータに給電するための設備としては、たとえば、該各走行台車6にバッテリーを搭載した構成としたり、コンクリート製タンク本体1の外部に設けた給電設備に接続した電気配線を、上記コンクリート圧送用配管13に沿わせて側壁コンクリート2の外側と鋼製屋根3の上方を通して該鋼製屋根3の頂部まで導き、上記ターンテーブル20に同軸心となるよう付設したロータリーコネクタやスリップリングを介して上記仮設梁4の各腕部5に保持させた前記配線に接続し、この各腕部5に保持させた電気配線を該各腕部5の外側端部まで導いて上記各走行台車6の図示しない駆動モータへ接続させた構成とすればよい。かかる構成とすることにより、上記走行台車6の自走により上記仮設梁4を同方向に無制限に旋回させることができるようにしてある。
【0032】
25は、コンクリートポンプ12にコンクリート16を供給するためのミキサー車(アジテータトラック)である。
【0033】
以上の構成としてあるコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設装置を使用する場合は、先ず、仮設梁4の各腕部5に保持させたコンクリート圧送用分岐配管8のすべての配管部材9を繋いだ状態とし、該各コンクリート圧送用分岐配管8の最も外側に位置する配管部材9の外側端部に先端ホース11をそれぞれ接続した状態にて、上記ミキサー車25よりコンクリートポンプ12へ供給されるコンクリート16を、該コンクリートポンプ12の運転によりコンクリート圧送用配管13を通して圧送すると、側壁コンクリート2の外側から鋼製屋根3の上方に配されている該コンクリート圧送用配管13を通して鋼製屋根3の頂部までコンクリート16が導かれた後、該コンクリート16が、ベアリングジョイント14とT継手15を介して上記仮設梁4の各腕部5に保持されている各コンクリート圧送用分岐配管8に分配供給される。
【0034】
その後、上記各コンクリート圧送用分岐配管8に分配供給されたコンクリート16は、該各コンクリート圧送用分岐配管8の最も外側に位置する配管部材の外側端部にそれぞれ接続してある各先端ホース11より吐出されるようになる。よって、図示しない作業者が上記2本の各先端ホース11の先端部をそれぞれ操作することで、上記鋼製屋根3の外周部における上記各先端ホース11の先端側の操作範囲内の領域に対してコンクリート16の打設を行わせるようにする。
【0035】
上記のようにして上記鋼製屋根3の外周部における上記各先端ホース11の先端側の操作範囲内の領域に対するコンクリート16の打設が開始された後は、上記各走行台車6に装備してある図示しない駆動モータの運転により該各走行台車6を仮設レール7上にて所要方向、たとえば、反時計周り方向へ所要の速度で連続的又は断続的に走行させて、上記仮設梁4を反時計回り方向へ徐々に旋回させると、上記仮設梁4の各腕部5に支持した各コンクリート圧送用分岐配管8の外側端部に接続してある各先端ホース11の位置も反時計回り方向へ徐々に移動させられるようになるため、上記鋼製屋根3の外周部にて、上記各先端ホース11より吐出されるコンクリート16の打設が実施された領域が、打設開始個所より反時計回り方向へ徐々に拡大されるようになる。
【0036】
次に、上記と同様に仮設梁4の各腕部5に支持した各コンクリート圧送用分岐配管8の外側端部に接続した各先端ホース11より吐出されるコンクリート16を、鋼板屋根3の外周部へ打設しながら、上記仮設梁4を各走行台車6の走行によって周方向へ180度旋回させると、上記各先端ホース11より吐出したコンクリート16によって上記鋼製屋根3の外周部にそれぞれ円弧状に形成したコンクリート16の打設領域同士が、周方向に繋がるため、該鋼製屋根3の外周部に、周方向の全周に亘るコンクリート16の打設作業が完了する。
【0037】
上記のようにして上記鋼製屋根3の外周部におけるコンクリート16の打設作業が終了した後は、上記コンクリートポンプ12の運転と、走行台車6による仮設梁4の旋回を一旦停止させ、この状態で、上記仮設梁4の各腕部5に保持させてあるコンクリート圧送用分岐配管8にて最も外側に位置する配管部材9を、継手10の部分で切り離して取り外した後、新たに最も外側に位置することとなる配管部材9の外側端部に、上記切り離した配管部材9より回収した先端ホース11を繋ぎ替える。
【0038】
その後、上記コンクリートポンプ12の運転を再開すると、上記各先端ホース11が、上記取り外した配管部材9の分だけ鋼製屋根3の中心寄りに位置するようになっていることから、該各先端ホース11より吐出するコンクリート16により、上記鋼製屋根3の外周部のコンクリート16の打設が完了している環状の領域の内側に隣接する領域に対し、コンクリート16の打設作業が開始されるようになる。
【0039】
よって、この状態で上記走行台車6の仮設レール7上での走行による仮設梁4の反時計回り方向への旋回を再開させ、その後、該仮設梁4を周方向への旋回角度が180度に達すると、上記鋼製屋根3の外周部のコンクリート16の打設が完了している環状の領域の内側に隣接する領域に対して、周方向の全周に亘るコンクリートの打設作業が完了する。
【0040】
次いで、上記したと同様に、仮設梁4の各腕部5に保持してある各コンクリート圧送用分岐配管8の最も外側に位置する各配管部材9の取り外し、及び、この配管部材9の取り外しに伴って新たに最も外側に位置することとなる配管部材9への各先端ホース11の繋ぎ替えを行う作業と、この繋ぎ替えにより鋼製屋根3の中心寄りに位置するようになる先端ホース11からのコンクリート16の打設を、仮設梁4を周方向へ180度旋回させながら行う作業とを繰り返すことで、上記鋼製屋根3上にて既にコンクリート16が打設されている環状の領域の内側に沿う同心状の領域に、順次コンクリート16の打設作業が行われるようになる。
【0041】
しかる後、上記仮設梁4の各腕部5に保持させてある各コンクリート圧送用分岐配管8の最も内側に位置する配管部材9の外側端部に各先端ホース11を繋ぎ替えた状態で、上記鋼製屋根3の頂部となる中央部にコンクリート16の打設を行うことで、上記鋼製屋根3の上側の全面に亘り所用厚みのコンクリート16を打設して作業を終了する。よって、その後は、上記鋼製屋根3の上側に打設したコンクリート16を養生して硬化させることで、コンクリート製タンク屋根23が構築されるようになる。
【0042】
上記のようにしてコンクリート製タンク屋根23が構築された後は、上記ターンテーブル20及び仮設レール7上より仮設梁4を撤去すると共に、コンクリート圧送用配管13を撤去し、更に、上記構築したコンクリート製タンク屋根23の表面より突出する上記ターンテーブル20の脚部、上記コンクリート圧送用配管13の仮設サポート21を切除することで、上記コンクリート製タンク屋根23の表面を平滑なドーム形状とする。更に、上記側壁コンクリート2の上端面に、仮設レール7と仮設枕木17を撤去した後に残る仮設アンカーボルト18の上記側壁コンクリート2の上端面より突出する部分を切除することで、該側壁コンクリート2の上端面を平滑にすると、従来のコンクリート製タンクと同様の形状を有するコンクリート製タンクが構築されるようになる。
【0043】
このように、本発明のコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法及び装置によれば、鋼製屋根3の上側へのコンクリート16の供給を、コンクリートポンプ12の運転により連続的に行うことができる。しかも、該鋼製屋根3上にコンクリート16を外周側から中心部へ向けて順次同心円状に打設するために、コンクリート16の打設位置を周方向へ移動させ、更に、周方向の全周に亘る領域へのコンクリート16の打設が終了すると、コンクリート16の打設位置を中心寄りに所要寸法移動させてから、再びコンクリートの16の打設位置を周方向に移動させるようにするという打設位置の周方向及び半径方向の移動に追従した個所に、コンクリート16の連続供給を行うことができるため、コンクリート16の打ち継ぎを短時間で行うことが可能になり、よって、レイタンスやコールドジョイントの発生を未然に防止した状態で、コンクリート16の打設作業を継続的に実施することが可能になる。
【0044】
更に、上記鋼製屋根3の周方向に対するコンクリート16の打設作業は、上記仮設梁4の2つの腕部5にそれぞれ保持させた各コンクリート圧送用分岐配管8に各々接続してある先端ホース11より周方向に180度対向する2個所から同時に実施できるため、上記仮設梁4を周方向に180度旋回させることで、上記鋼製屋根3上にて周方向の全周に亘る領域に対してコンクリート16の打設作業を実施でき、このことによってもコンクリート16の打ち継ぎ、特に、鋼製屋根3上における外周側から中心部へ向けて順次同心円状にコンクリートを打設する際における内外方向のコンクリート16の打ち継ぎを短時間で実施することが可能になる。
【0045】
又、上記鋼製屋根3の上側へのコンクリート16の供給は、コンクリートポンプ12による圧送で行うようにしてあるため、タワークレーンのように風の影響を受けることはない。又、コンクリート16の圧送自体は視界に左右されることがないため、夜間でも上記鋼製屋根3上へのコンクリート16の打設作業を継続して行うことが可能になる。したがって、従来のタワークレーンを使用してコンクリートの打設個所への供給を行っていた場合に比して、工期の短縮化を図ることが可能になる。
【0046】
又、上記鋼製屋根3の上側にコンクリート16を打設するために要する工期の短縮化を図ることで、該鋼製屋根3をエアーサポートする期間を短縮できることから、コンクリート製タンク本体1の内側に作業者が入って行う作業を早期に開始することが可能になり、よって、コンクリート製タンク全体の建設に要する工期の短縮化を図る効果が期待できる。
【0047】
次に、図6及び図7は本発明の実施の他の形態を示すもので、図1乃至図5に示したと同様の構成において、仮設梁4の各腕部5に保持させた該各腕部5の長手方向に延びる各コンクリート圧送用分岐配管8を、所要の長さ寸法の複数の配管部材9を継手10を介して取り外し可能に連結した構成とすると共に、該各コンクリート圧送用分岐配管8における最も外側の配管部材9の外側端部に、上記継手10と同様の継手を介して先端ホース11の基端部を接続してなる構成に代えて、上記所要の長さ寸法の配管部材9を、三方切換弁26を介装させて連結してコンクリート圧送用分岐配管8Aを構成し、更に、上記コンクリート圧送用分岐配管8Aにおける最も外側に位置する配管部材9の外側端部と、上記各三方切換弁26に、それぞれ先端ホース11を接続した構成としたものである。これにより、上記コンクリート圧送用分岐配管8Aの長手方向に配管部材9を挟んで所要間隔で配列されている上記各三方切換弁26を、すべて隣接する配管部材9同士を連通させるように切り換えることで、上記コンクリート圧送用分岐配管8Aの基端側となる内側端部より供給されるコンクリート16を、該コンクリート圧送用分岐配管8Aの全長に亘り流通させて最も外側に位置する配管部材9の外側端部に接続した先端ホース11より吐出させることができるようにしてある。一方、上記コンクリート圧送用分岐配管8Aの長手方向に所要間隔で配列されている三方切換弁26のうち、いずれかの三方切換弁26を、該三方切換弁26の内側に隣接する配管部材9と該三方切換弁26に接続してある先端ホース11とを連通させるように切り換えることで、上記コンクリート圧送用分岐配管8Aの内側端部より供給されるコンクリート16を、上記切り換え操作した三方切換弁26に接続してある先端ホース11より吐出させることができるようにしてある。
【0048】
なお、上記各コンクリート圧送用分岐配管8Aの最も外側に位置する配管部材9の外側端部、及び、該各コンクリート圧送用分岐配管8Aの長手方向に所要間隔で配列されている各三方切換弁26にそれぞれ接続してある各先端ホース11は、コンクリート16の吐出に使用しないときには、上記仮設梁4の各腕部5より垂れ下がらないように、図7に示すように折り畳んだ状態で、索状物やバンド等の図示しない拘束具を用いて上記各腕部5に保持させておくことができるようにしてあるものとする。その他の構成は図1乃至図5に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0049】
以上の構成としてある本実施の形態のコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設装置を使用する場合は、先ず、上記各コンクリート圧送用分岐配管8Aにおける各配管部材9同士の間に介装してある各三方切換弁26を、すべて隣接する配管部材9同士を連通させるように切り換えた状態とすると共に、各コンクリート圧送用分岐配管8Aの最も外側に位置する配管部材9の外側端部に接続してある先端ホース11のみ拘束を解いた状態としておく。この状態にて、図1乃至図5に示したものと同様に、コンクリートポンプ12を運転してコンクリート圧送用配管13を通してコンクリート16を圧送させると、該圧送されるコンクリート16は、ベアリングジョイント14とT継手15を介して上記仮設梁4の各腕部5に保持されている各コンクリート圧送用分岐配管8Aに分配して供給され、該コンクリート圧送用分岐配管8Aを通して該コンクリート圧送用分岐配管8Aの最も外側に位置する配管部材9の外側端部に取り付けてある先端ホース11まで導かれた後、該先端ホース11を通して上記鋼製屋根3の外周部に吐出されるようになる。よって、上記先端ホース11からのコンクリート16の吐出を実施しながら、図1乃至図5の実施の形態と同様に、走行台車6の仮設レール7上での走行により上記仮設梁4を180度旋回させることで、上記鋼製屋根3の外周部に周方向の全周に亘るコンクリート16の打設作業を行うことができる。
【0050】
その後、図7に二点鎖線で示す如く、上記仮設梁4の各腕部5に保持されている各コンクリート圧送用分岐配管8Aにて、最も外側に位置する配管部材9と、その内側に隣接する配管部材9との間に介装してある最も外側に位置する三方切換弁26に接続してある先端ホース11の拘束を解いた後、該三方切換弁26を、その内側に位置する配管部材9と先端ホース11が連通するように切換操作すると、上記各コンクリート圧送用分岐配管8Aを通して内側より導かれるコンクリート16は、上記切り換えられた三方切換弁26を介して該三方切換弁26に接続されている先端ホース11へ導かれて、該先端ホース11より鋼製屋根3の上側へ吐出されるようになるため、鋼製屋根3上におけるコンクリート16の打設位置が、内側に移動させられるようになる。
【0051】
したがって、その後、上記最も外側に位置する三方切換弁26に接続してある先端ホース11からのコンクリート16の吐出させながら、上記仮設梁を180度旋回させることで、上記鋼製屋根3の外周部のコンクリート16の打設が完了している環状の領域の内側に隣接する領域に対してコンクリート16の打設作業が実施される。
【0052】
よって、その後は、順次内側に隣接する位置の三方切換弁26を、その内側に位置する配管部材9と、該三方切換弁26に接続されている先端ホース11が連通するように切り換えることで、鋼製屋根3上にて先端ホース11よりコンクリート16の打設を行う領域を外周側より中心側へ順次変更しながら、仮設梁4の180度の旋回による周方向の打設を行うことで、上記鋼製屋根3の上側全面に打設作業を実施することで、コンクリート製タンク屋根23を構築できる。なお、上記のようにしてコンクリート16を吐出させる先端ホース11を、順次内側に位置する三方切換弁26に接続された先端ホース11に切り換えるときには、コンクリート16の吐出に使用しなくなる外周側の先端ホース11は折り畳んで図示しない拘束具によって上記仮設梁4の各腕部5に保持させておくようにすればよい。
【0053】
以上により、本実施の形態によっても、図1乃至図5の実施の形態と同様の効果を得ることができる。更に、コンクリート16の打設位置を鋼製屋根3の外周側より中央部寄りに変更する場合は、三方切換弁26を操作するのみでよいため、より容易に打設作業を行うことができて、打ち継ぎに要する時間の更なる短縮化を図ることが可能になる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、仮設梁4は、周方向180度対向する2本の腕部5からなるコンクリート製タンク本体1の直径方向に延びる構造のものとして示したが、該コンクリート製タンク本体1の中心線上より径方向に延びる3本の腕部5を周方向120度間隔で備えてなる構成としたり、4本の腕部5を周方向90度間隔で備えてなる構成としたり、更には5本以上の腕部5を備えてなる構成としてもよい。このように、腕部5の本数を増やして、該各腕部5にコンクリート圧送用分岐配管8,8Aを保持させるようにすれば、鋼製屋根3の周方向の全周に亘りコンクリート16を打設するのに必要な仮設梁3の旋回角度を少なくすることができて、所定時間内の打ち継ぎを行う場合に仮設梁3に要求される旋回速度を低減させることができるため、走行台車6に要求される走行速度に関する性能を低く抑えることが可能になる。したがって、コンクリート製タンクが大型の場合であって、側壁コンクリート2の上端面に設置する仮設レール7の長さが長くなる場合であっても、走行台車6の走行速度を低く抑えるのに有利な構成とすることができる。
【0055】
仮設梁4をアーチ形状としてあることに起因して該仮設梁4の両端部に外周側へ広がる方向に大きな力が作用する場合は、側壁コンクリート2の上端面の外周縁部に、上記仮設梁4の両端部の下方に設けてある走行台車6が仮設レール7上を走行するときの移動軌跡の外周を取り囲むように配した仮設レールを設けると共に、上記走行台車6の外側端部に該仮設レールの内側に沿って走行するための車輪を設けて、上記走行台車6に作用する外向きの力を、その外周に配してある仮設レールを介して上記側壁コンクリートに支持させるようにしてもよい。
【0056】
上記においては、側壁コンクリート2の外側を通して導いた該側壁コンクリート2の頂部まで導いたコンクリート圧送用配管13を、側壁コンクリート2の上端面に仮設レール7を設置するために設ける仮設枕木17の隣接するもの同士の間を通すことで、該コンクリート圧送用配管13を旋回する仮設梁4と干渉しないように鋼製屋根3の上方へ導くようにしてあるが、コンクリート圧送用配管13の径寸法に比して上記仮設レール7の高さ寸法が十分に大きければ、仮設レール7の所要個所に孔を穿設して、この孔を通すことで、上記側壁コンクリート2の外側より鋼製屋根3の上側へコンクリート圧送用配管13を配置させるようにしてもよい。
【0057】
仮設梁4の各腕部5に保持させるコンクリート圧送用分岐配管8,8Aを構築するために長手方向に連結する配管部材9の本数は、打設を行うべき鋼製屋根3のサイズや、単位時間当たりに必要とされるコンクリート16の打設面積等に応じて適宜増減してもよい。
【0058】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法及び装置の実施の一形態を示す概略平面図である。
【図2】図1の装置の一部切断概略側面図である。
【図3】図1のA−A方向矢視拡大図である。
【図4】(イ)は図1のB−B方向矢視拡大図、(ロ)は(イ)のC−C方向矢視図である。
【図5】図1の装置における仮設梁の中央部を拡大して示す側面図である
【図6】本発明の実施の他の形態を示す一部切断概略側面図である。
【図7】図6の装置における仮設梁の片方の端部を拡大して示す側面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 コンクリート製タンク本体
2 側壁コンクリート
3 鋼製屋根
4 仮設梁
5 腕部
6 走行台車
8,8A コンクリート圧送用分岐配管
9 配管部材
10 継手
11 先端ホース
12 コンクリートポンプ
13 コンクリート圧送用配管
14 ベアリングジョイント
15 T継手(分岐管)
16 コンクリート
23 コンクリート製タンク屋根
26 三方切換弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底版コンクリートと側壁コンクリートからなるコンクリート製タンク本体における上記側壁コンクリートの頂部と対応する位置に鋼製屋根を配置し、該鋼製屋根上へコンクリートを打設してコンクリート製タンク屋根を構築するコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法において、上記コンクリート製タンク本体の中心線上より半径方向に延びる複数本の腕部を備えてなる仮設梁を、上記鋼製屋根の上方に、コンクリート製タンク本体の中心線を中心として旋回可能に支持させて、該仮設梁の各腕部にコンクリート圧送用配管より分岐させたコンクリート圧送用分岐配管を沿わせて支持させ、上記各腕部に沿わされるコンクリート圧送用分岐配管の外端より上記鋼製屋根の上側へコンクリートを吐出させ、次に、上記仮設梁を旋回させて、上記鋼製屋根の外周部の上側に周方向にコンクリートの打設を行い、次いで、上記各コンクリート圧送用分岐配管からのコンクリートの吐出位置を順次旋回中心側へ変更して、上記鋼製屋根の上側へ外周側から中心部へ向けて順次同心円状にコンクリートの打設を行うようにすることを特徴とするコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法。
【請求項2】
仮設梁の各腕部の外側端部を、走行台車を介して側壁コンクリートの上端面に周方向に亘り設けた仮設レール上を走行させるようにして、該仮設梁を、鋼製屋根の上方に支持させると共に、該鋼製屋根の上方で旋回させるようにする請求項1記載のコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法。
【請求項3】
仮設梁の各腕部に保持させる各コンクリート圧送用分岐配管を、鋼製屋根の外周部から旋回中心側へコンクリート打設を行うときに対応する長さに短くして、上記各コンクリート圧送用配管におけるコンクリートの吐出位置を順次内側へ変更するようにする請求項1又は2記載のコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設方法。
【請求項4】
底版コンクリートと側壁コンクリートからなるコンクリート製タンク本体における上記側壁コンクリートの頂部と対応する位置に鋼製屋根を配置して、該鋼製屋根の上面にコンクリートを打設してコンクリート製タンク屋根を構築するコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設装置において、上記コンクリート製タンク本体の中心線上より半径方向に延びる複数本の腕部を備えてなる仮設梁を、上記鋼製屋根の上方に配置して、該仮設梁の各腕部の外側端部を、側壁コンクリートの上端面に周方向に沿い移動できるように載置し、上記鋼製屋根の中央部上方位置までコンクリートを圧送するためのコンクリート圧送用配管の下流側端部に、上記コンクリート製タンク本体の中心線上に配したベアリングジョイントと分岐管を介して上記仮設梁の各腕部に保持させた各コンクリート圧送用分岐配管の内側端部を接続し、且つ該各コンクリート圧送用分岐配管の外側端部に先端ホースを接続してなる構成を有することを特徴とするコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設装置。
【請求項5】
仮設梁の各腕部の外側端部に設けた走行台車を、側壁コンクリートの上端面に周方向に設けた仮設レール上に自走できるよう載置した請求項4記載のコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設装置。
【請求項6】
仮設梁の各腕部に保持させる各コンクリート圧送用分岐配管を、複数の所要長さの配管部材を継手を介し取り外し可能に連結してなる構成の配管とし、且つ該各コンクリート圧送用分岐配管の外側端部に、上記継手と同様の継手を介して先端ホースを接続するようにした請求項4又は5記載のコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設装置。
【請求項7】
仮設梁の各腕部に保持させる各コンクリート圧送用分岐配管を、長手方向所要間隔個所に先端ホースを取り付けた三方切換弁を介装してなる構成とした請求項4又は5記載のコンクリート製タンク屋根のコンクリート打設装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−249918(P2009−249918A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99268(P2008−99268)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】