説明

コンクリート製品等の制震継手構造と目地開き対策施工法

【課題】暗渠などの構築されたブロックラインの連結継目に地震や走行車輌の振動等で生じる変位・変形によるひずみ応力を吸収・減少させ目開き等の拡大を防ぎ遊隙間隔の伸縮復元性を持つ制震継手構造を提供することである。
【解決手段】ブロック連結継目に与えられた遊隙間隔を跨いで取り付けられる連結結合材は、応力吸収機能を有する応力吸収材である。該応力吸収材の保護と連結強度と剛性を、さらには可撓性を有するプレート連結材を用い、また敷設時の施工精度の確保、沈下時の反力台となる帯状受台用プレートをブロック下端部に持ち、さらに応力吸収材の格納と応力吸収用反力壁を持つボックスを用いてブロック相互を連結結合することで地震動等で生じる応力を遊隙間隔の範囲で吸収・減少させ、同時に当初設定された遊隙間隔を復元・維持することを特徴とする制震継手構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート2次製品を用いて地中等に連続して構築される暗渠、開渠、水路などの構築用コンクリート製品(以下「ブロック」とよぶ。)の縦断方向のブロックライン構築に際し、ブロック各連結部に有効遊隙間隔と強度・剛性あるいは可撓性と復元性を与え、これらを併せ持つ制震継手構造と施工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロックラインの構築に際し、実施されている耐震継手構造の代表的なものは(1)集中耐震化方法(仮称)、(2)全ライン耐震化方法(仮称)に大別される。
(1)の集中耐震化方法は、2個のブロックと折り畳まれたゴム弾性材(以下「ジョイント材」とよぶ。)を用い工場または敷設現場で組み立ててなる1個の可撓ブロック(仮称)を構築するブロックラインの前後に設置、連結結合される。可撓ブロックはジョイント材を2個のブロックの相対向する連結面に設けられた切欠部に埋設されたインサートへ締着ボルトを螺合してなる構造体である。この状態では、工場から敷設現場までの搬送中および吊り上げ時の中折れなどによる変形を防ぐため連結金具で結合またはPC鋼棒を用いて剛結される。敷設終了後にこれらの連結金具やPC鋼棒が取り外される。
【0003】
可撓ブロックを用いて敷設する(1)の集中耐震化方法のブロックラインは、可撓ブロックを等間隔あるいは不等間隔の距離を持つように分割配置し、その始発点と中継点または終点に可撓ブロックをそれぞれ敷設し、その後各地点のブロック間にブロックを複数敷設して形成される。敷設された各ブロックは、連結部をPC鋼棒で剛結されてブロックラインははり構造体となる。該はり構造体となるブロックラインには地震動で生じる地盤変化によるひずみ応力がブロックラインの両端または一方の可撓ブロックに流れ、弾性ゴムの折り畳み構成されたジョイント材の変形によって応力が吸収されることを前提とされるため、ブロックラインには変位や変形が発生させないという考え方の耐震工法である。(特許文献1)
【0004】
(2)全ライン耐震化方法(仮称)の特徴は、ブロックラインを構成する各ブロックの連結部ごとに可撓性を与えることによりブロックライン全体で地震動によるひずみ応力を吸収・減少させようとする工法である。その概要は、ブロック連結部の四角形状枠部あるいは円形状枠部の雄型突起物に、一部を表出させ一部が埋設された抜け出し防止および変形追随構造を持つインサートゴム輪を装着した雌型切込欠部に挿入・嵌合させ、ひずみによる応力の吸収・減少を目的とする受け挿し継手構造である該受け挿し継手構造と併用し各ブロック連結部を跨いで円形孔1孔、横長孔1孔を持つ鋼製のフラットプレートを、ブロック側面に埋設されたインサートに、締着ボルトで螺合し、連結部を補強する構造を特徴とする。(特許文献2および非特許文献1、2参照))
【0005】
あるいは、別の形態の全ライン耐震化法に前記の受け挿し継手構造とを併用する工法に各ブロックの縦断方向に穿設された連結孔に両端部が螺子切り加工が施されたPC鋼棒を挿通し、両端螺子切り部にばねワッシャーを装着、ナットを螺合し各接合部にばねワッシャーによる弾性ばね力とたわみを与え、引き抜き防止を図る耐震工法もある。(非特許文献3参照)
【0006】
前記、集中耐震化方法や全ライン耐震化方法のいずれにおいても地震動による地盤変形によるひずみ応力を吸収・減少させる上では有効である。しかし、ブロック連結部の伸縮や可撓ブロックのジョイント材の集中吸収で生じる目開き部に周辺地盤の土砂が流入し充填されてしまうことや地震動が収まり周辺地盤が原形に復元しても目開き部に充填された土砂は永久に搬出されることなく、一旦生じた目開きによるブロック連結部の変形は復元することはない。時間とともに目開きが拡大する恐れもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−316985号公報
【特許文献2】特開2006−22553号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】日本ボックスカルバート製品協会編「PCボックスカルバート協会規格」(平成13年6月発行)頁19
【非特許文献2】耐震性スーパージョイントボックスカルバート製品協会編「SJ−BOXスーパーボックスカルバート」 国土交通省NETISホームページ
【非特許文献3】可撓ボックスカルバート協会編「ISボックスカルバート資料」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、前記の(1)集中耐震方法は変形吸収性を持つ可撓ブロックを適宜に配置し可撓ブロック間はPC鋼棒を用いて剛結されるはり構造体となる。従って連結強度は優れていても連結部に可撓性を持つことで得られるひずみによる応力吸収・応力減少効果は期待できない。また可撓ブロック敷設位置の決定とブロックスパン距離の設定の判断は、特に耐震性を求められるブロックラインの構築に当っては難しい課題である。特に支点となる可撓ブロックの敷設位置は力学上変位しない事を前提条件に断面力の計算がなされていることから、一層の配慮が必要とされる。例えば可撓ブロックの敷設地盤が不安定である場合には支点変位0が前提条件であることから杭地業等の補強が必要となる。さらに地震動によるひずみはブロックライン上に敷設されたブロックの前後一方もしくは双方のいずれかに伝達・吸収させようとすることから、弾性ゴム材が折り畳まれ構成されたジョイント材はそのひずみの多くを吸収するため大きく伸張される。伸張が縦断方向では引き抜けに、剪断的沈下では上下方向あるいは不同沈下に、曲げ沈下では回転変位による扇状、末広がり状の現象となって単独にあるいは複合した状態で目開きが発生する。目開きが発生すると可撓ブロックやブロックラインの目開き部には周辺地盤の変化によって土砂が流入し充填され、たとえ地盤が元の状態に復元しても一旦発生した目開きが復元することは不可能である。
可撓ブロックと可撓ブロックとのライン間の各ブロックは、PC鋼棒で特に緊張拘束されるため、可撓性が失われブロック毎の連結継目による作用応力の吸収・分散が全く期待できず可撓性ブロックに集中することになる。そのため可撓ブロックの連結継目の目開き幅が大きくなる。一旦、流入・充填した土砂は自然に排出されることは不可能である。従ってブロックライン上で発生した変位変形の復元は期待できず、ブロックラインの機能が著しく低下する。
【0010】
可撓ブロックの加工・組み立てが工場製作あるいは敷設現場での作業条件からみると、弾性ゴム材からなるジョイント部材とブロックとの関係では、ブロック連結端部に多数埋設されたインサートの位置とジョイント部材に穿設された締着ボルトの挿通孔の位置の精度はこれら部材の材質や製作精度の基本的な相違により、工場製作であれ、現場作業であれ、組み立て加工に要する時間や工数などから高コストの要因となっている。特に現場作業による場合にはさらに制約が厳しく精度の維持は難しい。また、可撓ブロックのジョイント材の組み立て精度が不安定になるとジョイント材の可撓方向すなわち変形が不規則となり、ひずみの効果的吸収が難しくなる。
【0011】
可撓ブロックの耐震構造的特徴はジョイント材の伸張特性のみであり、圧縮・自律復元性は期待できない構造である。またひずみによる圧接変形は考慮されていない。過去の中規模地震(宮城県沖地震)での経験によると水路の端部が分水枡の中に突出したり、連結部が圧壊したりくの字に突きあがる等の現象が生じたが、これは収縮と圧接によるものである。
【0012】
次に、ブロック接合部毎に可撓性を付与する全ライン耐震化方法は、地震動による地盤のひずみ応力をブロックライン全体で、あるいは一部区間に限定させなだらかな円弧状沈下すなわち曲げ沈下様態になることでひずみ応力を分散・吸収させる柔構造体による工法である。このような考え方について文献を引用する。
「地中構造物の長手方向の地震時挙動においては、軸線に沿った地盤の相対変位が構造物を押し引きしたり、曲げたりするため、構造物の中心軸に沿って地盤変位を連ねた分布が必要となる。地層地盤が均一、整形で基盤に入力される地震動も同じであれば地盤の変位はどこでも同じとなり、地中構造物は全体的に変位するだけで応力は全く生じない。しかし実際の地盤では、地層の変化や地盤定数の変化等によって地盤の揺れ方(変位の大きさと位相)が異なるために相対変化が生じる。」−以下省略とする−
(出典:財団法人土木学学会編「土木構造物の耐震設計入門(平成21年4月刊)」第2章「地中構造物の耐震設計法頁182」より引用)と記述されている。従って地層構造、地形、地質条件の変化する箇所や不安定な地盤では不等沈下・剪断沈下などを考慮した杭地業、地盤改良を施した基礎構造によるブロックラインの構築が必要となる。
【0013】
全ライン耐震化方法のひとつである受け挿し継手構造では連結部に設けられる遊隙間隔は構造上、引き抜け幅を確保するため極めて小さくなる。連結部に生じる引き抜け作用にはゴム輪継手材の弾性力で抵抗できても押し付け作用には遊隙間隔が小さくあるいは無に等しいため、雄型突起部先端が雌型奥壁面に当接加圧され破損・圧壊しやすくなる。また、連結部に生じる不等沈下・剪断沈下などによる応力を連結部の雄型部・雌型部位のコンクリート強度のみで抵抗することは難しい。特に地中構造物では構造的にもこれを確認することは困難である。また引き抜けで生じる目開き防止も難しく変位・変形の復元は不可能であるとされる。
【0014】
本発明の課題は、従来の集中耐震化方法や全ライン耐震化方法、その他の耐震継手構造においても過載荷重や地震動および車輌の振動等によって生じる不等沈下・剪断沈下や曲げ沈下を防ぎ、これらの過度な荷重が作用する時にも発揮させる上で有効である。しかし必要にして十分な連結継目の伸縮・回転変位などの変形に対する追随性と復元性および強度・剛性を同時に得ることは難しいとされていた。また十分な精度を持つ連結部を現場の敷設作業で得ることは難しいとされているが、本発明はコンクリート2次製品とゴム製品および金属製品を用い、さらに現場作業の精度の粗さをボックスと応力吸収材、および3ないし4枚で構成されるプレート連結材や帯状受台用プレートによって連結継目に一定幅の遊隙間隔を設けることで地盤の変位・変形によるひずみによる応力を連結継目で吸収・減少させ、施工精度を工場製品の精度にまで高め、信頼性の高い制震継手構造と敷設方法を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
まず第1に、既設ブロックと新設ブロックを一定幅の遊隙間隔を保ち連結する際の両ブロックの連結面に、連結継目側及び連結面側に開口を有する複数の凹部が形成され、該凹部内には連結継目側及び連結面側に開口を有し内部に応力吸収体を備えたボックスが埋設されるとともに、該ボックスの連結継目側に両ブロックを連結するプレート連結材が前記ボックス開口部を覆い塞ぐように取り付けられることを特徴とする制震継手構造である。
【0016】
前記応力吸収体は、中央に挿通孔を有する皿ばね体にメインボルトケース(以下「ケース」とよぶ。)にメインボルトを挿通して一端をナットで固定し、該メインボルトカバー頭部側と該ナット側をそれぞれ両端面部が球面形状を有する半カプセル状のボルトカバーで保護したものであり、該メインボルトカバー頭部側および該ナット側と前記ボルトカバー内の内空天頂面との間には空隙が設けられており、前記ボックス内に前記応力吸収体を前記ボルトカバーの軸線方向が連結継目と垂直になるように、かつそれぞれの前記ボルトカバーの端面と該端面に近接する前記ボックスの内壁との間を当接するようにに収納したことを特徴とする制震継手構造である。
【0017】
第3に、前記空隙の空隙長の総和は、前記既設ブロックと前記新設ブロック連結時の一定幅の遊隙間隔と同じかあるいは短いことを特徴とする制震継手構造である。
【0018】
第4に、前記プレート連結材は、弾性プレートやその上に重なる台座プレートとさらにその上に重なるフラットプレートからなり、該台座プレートの両端部には該フラットプレートを位置決めするストッパーを備え、前記各号プレートには円形孔と前記プレート連結材の長手方向に横長の横長孔とが、各プレートの長辺と平行になる線上に一組穿設されており、前記弾性プレートと前記台座プレートの円形孔には前記フラットプレートの横長孔が組み合わさるように配設され、一の締着ボルトが前記フラットプレートの円形孔から前記台座プレートと前記弾性プレートの各横長孔に挿通され、他の締着ボルトが前記フラットプレートの横長孔から前記台座プレートと前記弾性プレートの各円形孔に挿通され、前記既設ブロックと前記新設ブロックに形成されたインサートに螺合されることを特徴とする制震継手構造である。
【0019】
第5に、前記既設ブロックと前記新設ブロックとが一定幅の遊隙間隔を保ち連結する際の両ブロックの連結面に、前記新設ブロックの連結面側の後方端面に向かって、前記既設ブロック連結面側の前方端面の底壁部から複数枚の帯状受台用プレートが突出されており、該帯状受台プレートはあらかじめブロック成型時に連結面側の前方端面の底壁部に外側に向け取り付けられており、前記新設ブロックの連結面側の後方端面を該帯状受台プレートの上に架設することを特徴とする制震継手構造である。
【0020】
本発明による課題解決手段による作用は次の通りである。ブロック双方の連結継目に2mm〜30mm範囲の遊隙間隔を設け、双方の連結面および両側壁端面の2方向に開口面を持つボックスを埋設する。例えばボックスカルバート(以下「ブロック」とよぶ。)であれば隅角部を基本にブロックの大小、地盤、荷重の条件によって天版や底版および側壁中間部に増設される。ボックスの材質は鋼製で、形状は共通であるが、寸法は応力吸収材の規格・性能に基づき決定される。ボックス埋設に際し鉄筋によるアンカー補強は原則行わない。ブロック製作段階で埋設されるのはボックスの他に該ボックスに近接しインサートが複数埋設されている。埋設されるインサート個数はボックスの開口面の大きさや連結継目に作用する応力の大きさを考慮し決定される。
【0021】
応力吸収材の構成・構造は皿ばね体の挿通孔に同径程度のメインボルト挿通ケース(以下「ケース」とよぶ。)を挿通し、該挿通ケースの両端面に中央にメインボルトと同径の挿通孔を持つ円形状座板を当接させる。該ケースと同径の挿通孔を中央に有する形状・大きさのそれぞれ異なる2枚とボルトと同径程度の挿通孔を持つ座板で構成された鋼製組みプレート材(以下「組みプレート」とよぶ。)で皿ばねを両側から挟み、一番外側の座板からメインボルトを挿通し、該メインボルトを加圧軸に組みプレートを介し、ばね力とたわみを皿ばね体に与え、ナットを螺合しばね構造体となる。該ばね構造体の中心となるケースの長さは、皿ばね力とたわみを与えた後の長さ、すなわち設定たわみ量を得るための長さでありかつ設定たわみ量以上の負荷を防止するストッパーとなる長さでもある。さたに皿ばね体に設定たわみ量以上の応力を作用させないためと連結継目の遊隙間隔を維持するための安全装置として該ばね構造体の周辺に中心のケースの長さと同じあるいは0.5mm〜1.0mm程度長く加工された鋼製パイプを複数配し、組みプレート3枚の真中の正方形状のプレートと対向する組みプレート3枚の真中の正方形状のプレートの間に前記鋼製パイプを取り付けボルトにナットを螺合し固定される。さらに組みプレート面上に突出したメインボルト頭部とナット部をばね構造体のたわみを吸収する空間を持つ端面部が球面状を有する半球カプセル状のボルトカバー(以下「ボルトカバー」とよぶ。)を被せ、該ボルトカバーに穿設された複数の挿通孔に締着ボルトを挿通し組みプレートに取り付けられる。さらにばね構造体と該ばね構造体の周辺に配されたパイプとパイプ取り付け用締着ボルトを防水性弾性カバーで覆い密閉される。
【0022】
また、応力吸収材の性能となる弾性力(ばね力)とたわみ量は、用いられる皿ばねの規格と組み合わせ、例えば並列重ねや直列組合せあるいは並列重ねといった組み合せ方法と枚数によって決定される。皿ばねは組合せ方法や枚数によって得られる応力吸収材の弾性力(ばね力)は1個当り最小値で500kg程度、最大値で50,000kg〜60,000kgである。例えばブロックの隅角部にそれぞれ1個取り付けると、2,000kg〜200,000kg〜340,000kgの大きな弾性力(ばね力)を得ることができる。また、たわみ量は1mm〜20mmの範囲で得ることができる。応力吸収材の規格・性能はブロックの大小、構造、応力およびブロックライン周辺の地盤の条件等、変位・変形量の算出によって断面力が決定される。
【0023】
ブロック双方の連結継目に設けられる遊隙間隔2mm〜30mmの作用は、地震や走行車輌等による振動でブロックラインの連結継目に生じる縦断方向への伸縮あるいは沈下・隆起などによる変位・変形に追動することで、作用応力を吸収・減少を図るため必要となる緩衝帯となる。また圧縮による圧壊を防ぐためにも有効である。この遊隙を維持するため応力吸収材の中核となるばね構造体を構成するメインボルト頭およびナット部とメインボルトカバー内の内空天頂面との間に設けられた空隙長は連結継目の遊隙間隔と等しいもしくは1mm〜10mm短くすることが必要である。また応力吸収材がブロック連結継目を跨いでボックスに挿し渡し嵌め入れられた後のガタツキを無くするためボックス底版・奥壁面に弾性ゴムマット(以下「ゴムマット」とよぶ。)を敷き、応力吸収材が定められた遊隙間隔を以って格納されたかを確認後にボックス頂版にマットを挿し込み、隙間がでないようにする。なお、当初はボックスと応力吸収材との間には敷設の作業性を維持するために遊隙間隔が必修として設けられる。
【0024】
応力吸収材を構成するばね構造体に、以上のような負荷防止機能と別途に長期間性能を維持させるための防水カバーが取付け保護されている。応力吸収材の主目的は弾性力(ばね力)とたわみで得られる伸縮による復元機能であって、曲げ応力・剪断応力に見合う強度はほとんど持ち合わせていない。なお、連結継目の遊隙間隔が応力吸収材の有する各遊隙間隔の総和より大きくする目的は、ヘッドカバー先端の回転とばね力とたわみならびに遊隙間隔の範囲での回転変位に対する追随する性能を与えるためである。これ等の機能を利用し、さらに地盤の復元に同調した復元性をプレート連結材を用い得ることができる。応力吸収材とプレート連結材、さらに帯状受台用プレートとが一体的に機能するため連結継目に作用する応力に十分抵抗できる強度・剛性とこれ等と相反する可撓性を持つ制震継手構造となる。また、プレート連結材のもうひとつの役割として、ボックスと応力吸収材格納部に土砂・水などの流入を防ぐ保護カバーとしての役割も有する。
【0025】
ブロック双方の連結継目側に複数埋設固定されたボックスの左右縦辺に近接し、垂直となる線上に4個〜16個埋設されたインサートに、双方のブロック連結部を跨いで両連結継目側ボックス開口面を蓋状に覆い、締着ボルトで取り付けられる3〜4枚のプレートから成るプレート連結材の構成は次の通りである。3枚のプレートの場合、1枚目は弾性ゴムシールによるフラットなプレートで、ボックスの開口面を直接覆うため開口面より少し大きめのプレートとなる。該弾性プレートの上に重なるプレートは、鋼製で両端にストッパーを持つ台座プレートとその間に嵌合されるフラットプレートである。台座プレートには一方のストッパーに近接してプレート短辺に平行して上下2個の円形孔が穿設されている。また相対向するもう一方のストッパーに近接して、長辺と平行に横長の孔である横長孔がこれも上下2個穿設されている。つまり合計4孔が穿設されている。弾性プレートも台座プレートと同様の配置となる。これに対してフラットプレートの孔の配置は、弾性プレート、台座プレートの上下2個の円形孔にはフラットプレートの上下2個の横長孔が組み合わされるように、また弾性プレート、台座プレートの上下2個の横長孔にはフラットプレートの上下2個の円形孔がそれぞれ重ね合わされる。重ね合わされ、組み合わされた3枚のプレートの4孔に締着ボルトによって4個のインサートに螺合される。
【0026】
さらに締着孔を同様な方法で各プレートに6孔あるいは8孔以上増設してより強度・剛性を増したプレート連結材とすることも可能である。尚、弾性プレート、台座プレートおよびフラットプレートの組み合わせ例として、弾性プレートを2枚重ねその上に台座プレートとフラットプレートが組み合わすことも可能である。また締着孔が増えるのに伴ない、それぞれのプレートの長さが長く、幅も幅広になる。材厚も当然大きくなる。インサートや締着ボルトの仕様・規格も同様に条件に適応することができる。
【0027】
またその他の作用として、予期せぬ地震動でブロックラインのあるスパンに不等沈下・剪断沈下、あるいは曲げ沈下が発生すると、連結継目には縦断方向に引き抜け作用が、反対に圧縮・圧接あるいは回転変位などの応力が作用する。このような時にプレート連結材は台座プレートの左右の位置決めストッパー間に嵌合されるフラットプレートは長さ方向で2mm〜20mm短く加工されているため、その範囲で伸縮し追随し、回転変位などによる変位・変形にはフラットプレートの端面が台座プレートに左右いずれかのストッパーにスライド・当接され、プレート連結材に穿設された円形孔を挿通しインサートに螺合された締着ボルトを介しインサートとアンカー筋に伝え、吸収・減少させあるいは隣接するブロックへ減少された応力を伝達させることができる。また、回転変位を伴なう沈下・隆起には円形孔と締着ボルトに設けられた2mm程度の遊隙間隔が可撓性を与え、応力を吸収させ、上下2本の締着ボルトの抵抗で回転変位の強い拘束作用で変位を微量に留めることができる。
【0028】
ブロックラインで生じるひずみによる応力を吸収・減少させることで応力減少効果を持つ制震継手構造の基本的特徴は、インサートおよびアンカー筋を除き継手構造を構成する各部材に遊隙間隔が備わった柔構造という点である。例えば、各部材の遊隙間隔は円形孔と締着ボルトでは2mm前後の精度で製作される。各プレートの横長孔の横長幅と台座プレートとフラットプレートとの遊隙間隔、連結継目の幅、応力吸収材のばね力とたわみ量、ボックスと連結継目の関係など、それぞれ独立したものではなく相互に関連し機能する構造で、耐震化の重要な機構となるものである。これらの遊隙間隔は引き抜け、押し付け、回転変位などに絶対に変位・変形が生じないように強く拘束させないために設けられている。強く拘束すると、はり構造体となり局部的な応力が集中しやすくなる。また長いブロックスパンではブロック本体や連結部の圧壊作用として働きブロックラインに障害が起こりやすくなる。
【0029】
ブロックラインの構築に際し、本発明の制震継手構造を有効に機能させるためには、設置ラインにおいて連結結合精度を高める必要がある。例えば応力吸収材とボックスの取り合い、プレート連結材の3者間の状態を正しく確保し維持する必要がある。それを担保するのが既設ブロックの連結面側の前方端面底壁部から突出されている幅30mm〜150mm、長さ50mm〜150mmの2枚もしくは複数枚の帯状受台用プレートである。既設ブロックはブロックラインにならい、高さと通りが整えられ確定された状態にある。従って連結される新設ブロックの連結面側の後方端面底壁部を帯状受台用プレートに仮置きした時点で、新設ブロックの高さと通りの調整確認を行うことができる。また連結作業における新設ブロックの上下のずれ等の変位が生じないため、応力吸収材とプレート連結材の仮セッティングに手間取ることなく素早く正確に行うことが可能である。さらに設置後に地震動による連結継目の剪断沈下、曲げ沈下などによる変位・変形に対し有効な反力台となる。反力台として安定性能を得るため、板ばね材を単体あるいは複数重ねた帯状受台用プレートで得ることができる。従って、応力吸収材、プレート連結材、帯状受台用プレート、ボックスの4者による高性能な制震性能を得ることができる。また、帯状受台用プレートの作用に連結継目の適正な遊隙間隔とボックスの所定位置に応力吸収材を収めるため、新設ブロックを既設ブロック側に押し込める際のガイドレールとなる。さらにブロックの縦断方向に穿設された複数個の連結孔に加圧用ガイド鋼棒(図示されていない。)を挿通、加圧し応力吸収材の両端面部が半球面状先端を有するボルトカバー先端がボックスの奥壁面に当接する上で、帯状受台プレートは非常に有効である。また連結継目外周に圧縮、復元性の高い定型ゴムシール材(開示されていない。)をあらかじめ工場で取付け、敷設時にしっかりと圧着させるためにも連結結合時に加圧が必要となる。なお、止水用目地処理はブロック内側に目地充填溝をブロック製作時に設け、敷設時に最適な目地材を充填、注入することなど、従来幅広く行われてきた方法を利用することもできる。なお、小型ブロックなどの連結結合作業においては上記以外の方法、例えば従来から行われているチェーンブロック等による方法も可能である。また連結継目の遊隙間隔の維持、確認は応力吸収材の縦断方向左右に取り付けられている端面が球面状先端を有するボルトカバーの先端がボックス縦断方向の奥壁面に軽く当接したことを確認する事と、さらにはプレート連結材が何ら問題なく取り付けられていることの二重の確認を実行することで施工管理を合理的に行うことができる。
【0030】
プレート連結材を取り付けるに際し、ブロック側壁面に直に接する弾性プレートを接着材を用い一体化を図ることは止水のみならず、変位・変形に一体的となって追随し復元時に剥離する恐れが小さい。また弾性プレートの長さ、幅、厚さはブロックの形状・大小を考慮し決定することができる。尚、弾性プレートを接着材を用い接着し連結・結合することで応力吸収材とボックスの保護性が高まり一定の強度を得ることが期待できる。
【発明の効果】
【0031】
連結部に可撓性を与えることで得られる効果について前出引用文献を参考にする。「トンネルの縦断方向の解析の結果、発生断面力や許容値を上回るような場合は可撓継手を設けて変形を吸収させることが効果的である。沈埋トンネルは陸上で製作した沈埋函を水中で結合して建設されるが沈埋函相互や立坑との取り合い部は図(省略)に表示されるような可撓継手による柔に結合されることが多い。(中略)さらに図(省略)は沈埋函相互を剛結した場合と可撓継手で結合した場合の断面力の比較である。このトンネルの場合では軸力、曲げモーメントともに最大値で1/4に低減されている。断面力の低減を狙った可撓構造は、開削トンネルやシールドトンネル(前掲の可撓セグメント)でも用いられている。」出典:財団法人土木学学会編「土木構造物の耐震設計入門(平成21年4月刊)」第2章「地中構造物の耐震設計法頁192」より引用)
さらに「地中構造物などの相対変位吸収装置(継手など)等のフェイルセーフ的機能を有する構造細目を積極的に採用すべきである。」(「前出文献頁219」より引用)と記述されている。
【0032】
本発明は上記のような大規模な地中構造物を対象としたものではないが、ブロックを用いた暗渠・開渠などの施設の構築に際してのものである。連結部に適度な遊隙間隔を与え、応力吸収材とプレート連結材さらには帯状受台用プレートとを用いて連結・結合することで、強度・剛性を与えこれと相反する可撓性をも付与し、さらには地盤の変形に追従できる復元性を同時に得ようとするものである。
【0033】
また本発明と組み合わせて連結部全体、例えば連結継目を中心に左右30cm〜100cm程度の範囲を弾性シートで包み巻き、固定することにより接合継目の目開きに伴なう土砂・水の流入や充填を防止する効果が期待できる。(開示されていない。)
【0034】
あるいは本発明の制震継手構造を用い、住宅建築の構築に際し基礎〜土台〜柱の3者を本発明が構成する応力吸収材、プレート連結材を用い連結結合することによって耐震性に優れた住宅を提供できる。このように住宅建築への応用も可能である。(開示されていない。)
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1−(1)】は制震震継手構造装置の設置場所の一例を示す斜視図である。
【図1−(2)】は連結継目に設けられた遊隙間隔を跨いで応力吸収材が挿し渡し嵌合した状態を示す要部正面図である。
【図2】応力吸収材が挿し渡し嵌合されるボックスが相対面した状態を示す模式斜視図である。
【図3−(1)】は応力吸収材がブロック双方のボックスに挿し渡し嵌め入れられた直後を示す要部正面図である。
【図3−(2)】は応力吸収材の左右のボルトカバーの球面状先端部がボックスの左右奥壁面に当接し、連結プレート材で覆い塞ぐ前の状態を示す要部正面図である。
【図4】応力吸収材の構造部一部詳細と一部外観の状態を示す正面図である。
【図5】応力吸収材と共に制震継手構造を構成する連結プレート材の弾性プレート1枚時の状態を示す分解斜視図である。
【図6−(1)】は応力吸収材を構成する皿ばねが単体である場合の要部正面図である。
【図6−(2)】は応力吸収材を構成する皿ばねが並列2枚(n=2)である場合の要部正面図である。
【図6−(3)】は応力吸収材を構成する皿ばねが直列2枚(m)である場合の要部正面図である。
【図6−(4)】は応力吸収材を構成する皿ばねが直列4枚である場合の要部正面図である。
【図6−(5)】は応力吸収材を構成する皿ばねが並列重ね及び直列組み合わせ(n×m=2×4)である場合の要部正面図である。
【図7】応力吸収材の構造中核部の状態を示す要部分解斜視図である。
【図8】応力吸収材の要部分解斜視図とボックスとの相互関係の状態を示すものである。
【図9−(1)】は蛇腹式タイプの応力吸収材の状態を示す要部正面図である。
【図9−(2)】は角型式タイプの応力吸収材の状態を示す要部正面図である。
【図10−(1)】は応力吸収材を連結プレート材が覆い塞いだ状態を示す要部正面図である。
【図10−(2)】は図10−(1)のA‐A’線矢視線の状態を示す断面詳細図である。
【図10−(3)−A】は図10−(1)中のイ部の状態を示す断面詳細図である。
【図10−(3)−B】は定型ゴムシール材の状態を示す要部断面図である。
【図11】プレート連結材の各プレート組み合わせと穿設された円形孔、横長孔の基本配置の一例とその関連作用を示すための符号付平面図である。
【図12−(1)】は台座プレートの平面図である。
【図12−(2)】は図12−(1)のA‐A’線矢視断面図である。
【図12−(3)】は図12−(1)の台座プレートのストッパー間に嵌合されるフラットプレートの平面図である。
【図12−(4)】は図12−(3)のB‐B’線矢視断面図である。
【図12−(5)】は図12−(4)のゴムプレートの平面図である。
【図12−(6)】は図12−(5)のC‐C’線矢視断面図である。
【図13−(1)】は弾性プレート1枚、台座プレート1枚、フラットプレート1枚の合計3枚の組み合わせ時の平面図である。
【図13−(2)】は図13−(1)のA‐A’線矢視断面図である。
【図13−(3)】は図13−(1)のB‐B’線矢視断面図である。
【図14−(1)】は弾性プレート2枚と台座プレート1枚、フラットプレート1枚の合計4枚の組み合わせ時の平面図である。
【図14−(2)】は図14−(1)のC‐C’線矢視断面図である。
【図14−(3)】は図14−(1)のD‐D’線矢視断面図である。
【図15】帯状受台用プレートを複数持つブロックの連結前の状態を示す要部斜視図である。
【図16−(1)】は新設ブロックの連結を待つ帯状受台用プレートを持つ既設ブロックの帯状受台用プレート上に設置された状態を示す要部正面図である。
【図16−(2)】は図16−(1)の次工程を示すもので、新設ブロックが既設ブロックの帯状受台用プレート上に設置された状態を示す要部正面図である。
【図16−(3)】は図16−(2)の工程がさらに進行し、新設ブロックが既設ブロック側に押し付けられ連結・結合が終了した状態を示す要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の請求項1の実施形態について図1〜図5に基づき説明する。図1−(1)に示した実施例は敷設中のボックスカルバート(以下「ブロック」とよぶ。)の斜視図である。既設ブロック1Aと新設ブロック1B双方の連結面側開口面31と双方の連結継目側開口面32にプレート連結材11を取り付けるために必要となるプレート連結材嵌着溝部28の中にボックス2A、2Bが隅角部にそれぞれ埋設されている。埋設されたボックス2A、2Bの縦辺に近接垂直線上の上下に2個のインサート3が複数埋設されている。既設ブロック1Aと新設ブロック1Bの連結面30の外縁部には変形時に追随し復元性能の高い定型ゴムシール材25(開示されていない。)が工場で埋設されてくる。既設ブロック1Aの連結面側30の内側縁端部には止水用目地充填溝69がブロック製作時に加工される。既設ブロック1Aと新設ブロック1Bの連結継目4に設けられたたわみ吸収のためのスペースとなる遊隙間隔5が2mm〜30mmの範囲で敷設中に確保される。双方のボックス2A、2Bの連結継目側開口面32から応力吸収材6が挿し渡し嵌め入れられる。尚、ブロックの連結面側30から応力吸収材6の挿し渡し嵌め入れられる方向および位置は、実施例では外側の隅角部となっているが現場の作業条件、ブロックの形状や大小、あるいは荷重、地盤条件などから応力吸収材6の設置個数や設置位置が内側隅角部となる場合がある。またインサート3の数も同様種々の対応バリエーションで増やすことも可能である。また、既設ブロック1Aの連結面側の前方端面底壁部62から帯状受台用プレート61が複数突出されている。
【0037】
図1−(2)は図1−(1)で示した既設ブロック1Aと新設ブロック1Bが所定の位置に納まり、双方の連結継目4に設けられた遊隙間隔5を跨いでボックス2A、2Bに挿し渡し嵌め入れられた応力吸収材6をプレート連結材11で蓋し覆う前の状態を示す要部正面図である。尚、プレート連結材11の取り付け用インサート3の螺子孔が見える。さらに既設ブロック1A連結面側の前方端面底壁部62から突出した帯状受台用プレート61の上に新設ブロック1Bの連結面側の後方端面底壁部63が架設されている。このため連結結合時の上下調整がスムーズに行うことができる。また敷設後の地震動による上下のズレ作用にプレート連結材11、応力吸収材6と連動し変位・変形を防止することができる。また帯状受台用プレートにばね材を1枚もしくは複数枚重ねた構造にすることによって、有効なばね力を得ることになり復元性能が更に向上する。
【0038】
図2に示した実施例は既設ブロック1Aと新設ブロック1Bの双方の連結面側開口面31と双方の連結継目側開口面32の2方向に開口面を持つボックス2A、2Bの埋設前の部材の一例としての斜視図である。ボックス2A、2Bの縦断方向奥壁面19は応力吸収材6の左右端部の半カプセル状のボルトカバー22a、23bの半球面状先端23a、23bが当接し、応力吸収材6の性能となる弾性力(ばね力)とたわみ性能を得るための重要な反力壁になる。また回転角を持つ変位変形作用時の回転軸点受となる。従ってボックス2A、2Bには引き抜け作用がほとんど発生しないため、原則的にはアンカー筋などによる補強は行わない。
【0039】
図3−(1)に示す実施例はブロック双方の連結継目4に設けられた遊隙間隔5を跨いで応力吸収材(蛇腹式)6がボックス2A、2Bに挿し渡し嵌合され所定位置に移動、連結結合前の状態を示す要部正面図である。応力吸収材(蛇腹式)6の左右すなわち縦断方向に突出され、それぞれ両端部が半カプセル状のボルトカバー22a、22aの半球面状先端23a、23bとボックス2A、2Bの縦断方向の奥壁面19a、19bとの間にはこの時点では一定の空隙が保たれている。図3−(2)に示す実施例は図3−(1)より既設ブロック1Aに新設ブロック1Bが移動し連結・結合すなわち、ボックス2A、2Bに応力吸収材(蛇腹式)6が所定位置に納まり、プレート連結材11が取り付けられる直前の状態を示す要部正面図である。この状態、すなわち応力吸収材(蛇腹式)6の両端部が球面形状を有する半カプセル状のボルトカバー22a、22bの半球面状先端23a、23bとボックス2A、2Bの縦断方向の奥壁面19a、19bとの間の空隙は0を示し、一方連結継目4に設けられた遊隙間隔5は一定幅が確保されている。この遊隙間隔5は、地震や走行車輌等による振動でブロックラインの連結継目に生じる縦断方向への伸縮あるいは沈下・隆起などによる変位・変形で生じるひずみ応力を応力吸収材(蛇腹式)6の有するばね力とたわみで吸収・減少させるうえで必要不可欠な要素となる。従来は連結継目はできるだけ0に近い隙間で連結結合させることが一般的であった。すなわち、ブロック製作寸法誤差、施工時の施工誤差等を調整するためにどうしても一定幅の空隙を避けることができず、意図して設けられた空隙ではなかった。連結継目4に設けられた遊隙間隔5の遊隙長さはブロックの大小・予想変位・変形量等と応力吸収材(蛇腹式)6のばね力・たわみ機能や更にはプレート連結材11の縦断方向への伸縮スライド量、回転変位量等の機能との相関により決定される。敷設、連結結合時における遊隙間隔の管理は、ボックス2A、2Bの規格寸法、ブロック端面からの埋設深さ等の調整、さらには応力吸収材(蛇腹式)6とボックス2A、2Bの縦断方向の奥壁面19a、19bとの当接すなわち遊隙間隔ゼロの目視確認ができる。さらにはプレート連結材11の取り付けが適正におこなうことができるかどうかの確認が可能である。
【0040】
図4−(1)は応力吸収材(蛇腹式)6の実施例である。蛇腹式のカバータイプ24で保護された皿ばねを用いた直列9枚によるばね構造体18の組み立て詳細の1/2を示すもので、残り1/2は要部正面図である。皿ばね15の中央挿通孔にメインボルトケース71が挿通し組みプレート82の円形座板Z2上のメインボルト29の頭部端面34と半カプセル状のボルトカバー22bで覆われ保護されている。該半カプセル状のボルトカバー22b内の内空天頂面33aとの遊隙長さの総和は、連結継目4に設けられている遊隙間隔5の長さより短くなるように設定される。(ナット側は開示されていない。)応力吸収材6が既設ブロック1Aと新設ブロック1Bの連結継目4を跨いで挿し渡し嵌め入れられた連結結合直前の状態を示すもので、ボックス2Aと応力吸収材との間にはガタツキ防止のためのゴムマット60が挿入されている。また接合継目4に設けられる遊隙間隔5が保たれている。さらに応力吸収材6の左右の半カプセル状のボルトカバー22a、22b、半球面状先端23とボックス2A、2Bの奥壁面19との間にはまだ遊隙間隔5が保たれている。
【0041】
組みプレートの構成は、皿ばね体に直接に接するの略円形状プレートX2であり、該略円形状プレートX2に半カプセル状のボルトカバー22bの取り付け用ボルト45の雌螺子が穿設され、該雌螺子にメインボルトカバー取付ボルト45が螺合され半カプセル状のボルトカバー22bが取り付けられる。略円形状プレートX2の上に重ね合わされるプレートは正方形状プレートY2は3枚で構成される組みプレート82の中で一番大きく、ブロック1A、1Bからの変位・変形作用で生じる応力を半球面状先端23を介し3枚で構成された組みプレート82がばね構造体18と一体となり吸収・減少させることができる。
【0042】
ばね構造体18を支え安全性を高めるのが、ばね構造体18のばね体保護パイプ41である。該ばね体保護パイプ41が複数、ばね体保護パイプガイドボルト42が正方形状プレートY1から挿通され、反対側の正方形状プレートY2にナットを螺合し取り付けられる。連結継目4の遊隙間隔5を一定範囲内で維持・確保するため、すなわちばね構造体18に設定されたたわみ量以上のたわみを負荷させないためにボルトカバーの内空天頂面33a、33bをメインボルト頭部端面34とメインボルトナット側端面35との間に設けられた空隙長36、37と共に作動する同じ長さの遊隙長さをばね構造体18のばね体保護パイプ41の端面と組みプレート82のY1、Y2の内空面との間に設けられるものである。また、ばね構造体18および該ばね構造体18のばね体保護パイプ41を水や土砂などの流入・充填を防ぐための角型カバー27を正方形状プレートY1、Y2に設けられた角型カバー取付枠44に接着剤などで取り付けられる。
【0043】
図5に示す実施例は、プレート連結材11の要部分解斜視図である。既設ブロック1Aと新設ブロック1Bの遊隙間隔5を持つ連結継目4を跨いで挿し渡し嵌め入れられている応力吸収材6は(図示していない。)を格納した複数の凹部すなわち埋設されたボックス2A、2Bの空間スペースを示すと共に、プレート連結材11を嵌着させるための溝部28には複数のインサート3につなっがったアンカー筋(一部のみ図示。)40が双方のブロック本体1A、1Bに埋設固定されている。双方のブロック側壁端面に埋設固定されたボックス2A、2Bの2箇所の連結面側開口面31と、連結継目側開口面32が示されている。連結継目側開口面32を蓋状にを覆い塞ぐための弾性プレート7(1枚だけを開示。)とストッパー10a、10bを持つ台座プレート8と台座プレート8のストッパー10a、10bの間に嵌合されるフラットプレート9と、該3枚のプレートを締着、固定する締着ボルト14がインサート3に螺合されるまでの状態を示している。(ワッシャーは開示されていない。)各々のプレート(3枚が開示されている。)弾性プレート7、台座プレート8,フラットプレート9にはそれぞれ円形孔12、横長孔13の締着孔が穿設されている。弾性プレート7と台座プレート8の円形孔12にはフラットプレート9の横長孔13が、弾性プレート7と台座プレート8の横長孔13にはフラットプレート9の円形孔12がそれぞれ重ね合わされる状態を示している。なお、弾性プレート7が2枚重ね使用する場合(1枚しか開示されていない。)の穿設孔の組み合わせは、台座プレート8の穿設孔と同じになる。弾性プレート7を複数枚用いるのは、ボックス2A、2Bや応力吸収材6の外観寸法が大きい場合に、弾性プレート7で連結継目側開口面32をさらに密着度を増し止水性能を高めるためであり遊隙間隔5を与えられた連結継目4の変形追随性を確保するためである。
【0044】
本発明の請求項2の実施形態について図6〜図9に基づき説明する。図6−(1)から図6−(5)は本発明を構成する応力吸収材6を構成する皿ばね15の組み合わせ形態の実施一例である。該皿ばね15の規格・仕様はJIS B 2706:2001「皿ばね」重荷重用皿ばね(H)規格に原則準拠する。ブロックの連結継目に求められる変位・変形許容等の要求性能から必要とするばね力とたわみ量の決定はブロックの大小、重量、部材厚、ブロックの構築条件、地質、地層等で変化する地震動の影響を考慮し算定されるものである。これらの結果に基づき外径呼び規格、組み合わせ方法、組み立て方法、さらには取り付け枚数等が決定される。
【0045】
図6−(1)は皿ばね15単体の要部正面図である。図6−(2)は皿ばね15の並列2枚重ねの場合の要部正面図である。図6−(3)は皿ばね15の直列2枚重ねの場合の要部正面図である。図6−(4)は皿ばね15の直列4枚重ねの場合の要部正面図である。図6−(5)は皿ばね15の並列および直列組み合わせの場合の要部正面図である。以上の組み合わせ方法や組み合わせ枚数によるものを1セットとを皿ばね体17と呼ぶ。このセットされた皿ばね体17を2個もしくは3個並べ構成された皿ばね体17を複数持つ高性能の応力吸収材6を製作することも可能である。
【0046】
図7は角型カバー27と半カプセル状のボルトカバー22a、22bの装着前の応力吸収材6の中核となるばね構造体18の実施形態を示す要部分解斜視図である。ばね構造体18は皿ばね15に接する略円形状プレートX1と正方形状プレートY1と円形状座板Z1のそれぞれの形状、大きさの異なる3枚のプレートが組み合わされて1対となる組みプレート82で両側から支えている。該組みプレート82を構成する正方形状プレートY1、Y2間に取り付けられるばね体保護パイプ41の長さはばね力を与えられた、すなわちたわみ後の皿ばね体17の長さと同じか0.5mmから1.0mm程度長めに加工される。
【0047】
図8は図7の応力吸収材6の組み立て工程の途中を示す要部分解斜視図の状態からさらに工程が進みメインボルト29の頭部端面34およびナット端面35と半カプセル状のボルトカバー22A、22Bが取り付け覆われた状態を示す分解斜視図である。また敷設時の応力吸収材6とボックス2A、2Bの縦断方向の奥壁面19a、19bに応力吸収材6の左右の半カプセル状のボルトカバー22a、22bの半球面状先端23a、23bが当接し、またボックス2A、2Bのブロック連結継目4に設けられた遊隙間隔5が確保されるようにボックス2A、2Bのそれぞれの形状および細部、寸法が決められる。さらに応力吸収材6とボックス2A、2Bの各辺が当接する全ての個所、例えば55a・55b面、56a・56b面、57a・57b面、58a・58b面、59a・59b面にはゴムマット60が敷設時に挿し入れられ、ガタツキ防止とひずみを吸収する上で、さらには応力吸収材6の性能を正常に発揮させるためにも極めて重要なポイントになる。図9−(1)の蛇腹式のカバー24は皿ばね15の規格差が大きい場合、例えば呼び径100mm以上で5枚以上重ね組み合わされる場合などに適している。図9−(2)の角型カバー27は呼び径の小さい規格を用いばね構造体18に用いられる。
【0048】
本発明の請求項3の実施形態について図10に基づき説明する。図10−(1)は既
設ブロック1Aと新設ブロック1Bの遊隙間隔5を持つ連結継目4を跨いで応力吸収材6がボックス2A、2B挿し渡し嵌め入れられ、上下2ヶ所をプレート連結材11でボックス2A、2Bの開口部が覆い塞がれた状態を示す要部正面図である。図10−(2)はA‐A’矢視線の断面詳細図である。応力吸収材6のばね構造体18の防水カバーは蛇腹式のカバー24であり、ばね構造体18は皿ばね15を9枚直列組み合わせた応力吸収材6である。遊隙間隔5の遊隙長さはメインボルト頭部端面34と半カプセル状のボルトカバー22bの内空天頂面33bとの遊隙長36ならびにメインボルトナット側端面35と半カプセル状のボルトカバー22aの内空天頂面33aとの遊隙長37との総和より大きくなることが必須条件となる。連結継目4の許容される伸縮たわみは前記遊隙長36、37の総和の範囲内のばね力とたわみを想定したものである。しかしながら想定外のひずみ応力が負荷された場合は応力吸収材6の持つばね力とたわみの限界性能の範囲で吸収させるための連結継目4の遊隙間隔5を大きくする必要がある。さらに沈下や隆起に生じる回転変位にボックス2A、2Bの縦断方向の奥壁面19a、19bに応力吸収材6の左右に取り付けられた半カプセル状のボルトカバー22a、22bの半球面状先端23a、23bが当接回転軸点となり変位・変形に追動する際に遊隙間隔5がなければ連結面の破損を防ぐことができない。従って連結継目4に設ける遊隙間隔5は制震性能を発揮する上で重要な要素となる。また、遊隙間隔5を超える大きな負荷が応力吸収材6に作用しても保護するセイフティー装置が備えられている。すなわち皿ばね体17の周辺に複数配置されたばね体保護パイプ41と半カプセル状のボルトカバー22a、22b等である。またプレート連結材11を構成する台座プレート8の両端に設けられたストッパー10a、10bとインサート3と該インサート3に接合されたアンカー筋40、これらによって過荷重を伝達・分散することで影響を減少させることができる。尚、該アンカー筋40はブロック本体の主鉄筋に接合される。
【0049】
図10−(3)−Aは図10−(1)に示した円形イ部の断面詳細の様態である。連結継目4に設けられる遊隙間隔5における伸縮時に追従する伸縮充填材は、伸張・圧縮に対する追従性能を有する略チューリップ形状を特徴とする合成ゴム系の定型ゴムシール材25と、該定型ゴムシール材25の中心に弾性性能が高い弾性心材65が挿入・充填されている。該弾性心材65の挿入・充填により圧縮・伸張性が高まることによって伸張時の土砂・水の流入・充填を防ぐことができる。図10−(3)−Bに示す実施例は、弾性心材65を中心コアに持つ定型ゴムシール材25の要部断面図である。該定型ゴムシール材25はあらかじめ工場にてブロック端面にセットされる。この方法による効果は過去において確認済みである。内側の連結継目4と遊隙間隔5の止水処理は従来から広く使用されている方法であり、例えば水膨張性ゴム材67とポリウレタン系の目地材70の充填による効果は確認、評価されている。
【0050】
本発明の請求項5の実施形態について図11〜図14に基づき説明する。図11の実施例は台座プレート8、フラットプレート9さらに弾性プレート7が1枚ないし2枚組み合わされた形態における円形孔12と横長孔13の配置と組み合わせによって一対となるプレート連結材11の機能平面図である。弾性プレート7と台座プレート8の長さLは同一もしくは弾性プレート7が大きめとなり(同一長さで開示されている。)、常に台座プレート8の下に重ねられる。円形孔12、横長孔13の穿設配置、口径は台座プレート8と常に同じように重ねられる。
【0051】
遊隙間隔5を与えられた幅を持つ連結継目4を跨いで取り付けられる弾性プレート7を台座プレート8を少し大きめにし、壁面に接着剤を用い圧着固定し止水効果を高めることができる。また弾性プレート7を2枚重ねて用いる場合は、2枚目の弾性プレート7と接着一体化を図ることでさらに止水性能を高めることが可能である。円形孔12と横長孔13との重ね合わせは、弾性プレート7と台座プレート8においては円形孔12と円形孔12であり、横長孔13と横長孔13であっても良いが、台座プレート8とフラットプレート9においては円形孔12と横長孔13の重ね合わせが原則基本となる。これ等の目的については以下の通りである。
【0052】
台座プレート8の長さLはブロックの大小や重量、荷重、地盤支持力等で異なってくるが、最小長さで200mm以上、最大で500mmを想定したものである。幅hは100mm以上が望ましい。ストッパー10a、10b間の長さL1は、台座プレート7Aの長さLよりストッパー厚さ×2を差し引いた長さとし、フラットプレート8Aの嵌合長さL2はスットパー10a、10b間の長さL1より5mmから25mm程度短く製作されなければならない。すなわち必要とする遊びであり、敷設時のブロックの寸法誤差の調整幅である。さらには遊隙間隔5を与えた連結継目4のひずみ応力を吸収するのに必要な伸縮許容幅でもある。最大締着ボルト14の中心間距離L3は、既設ブロック1Aのインサート3と新設ブロック1Bのインサート3とに弾性プレート7と台座プレート8を仮セットしたときの最大距離であり、締着ボルト14の中心間距離L4は所定位置、すなわちインサート同士の中心間距離で、弾性プレート7と台座プレート8の円形孔12a、12bとフラットプレート9の円形孔12a、12bとの中心間距離である。締着ボルト14a、14bの最短中心間距離L5に挟まった距離で、この距離は地震動等の変位変形によるブロックライン上の或る位置で双方のブロック連結端面が当接、圧壊することを防止するための限界縮み距離である。L6はプレート連結材11の最大伸張可能距離である。すなわち最大締着ボルト中心間距離L3から締着ボルト中心間距離L5を差し引いた距離である。L7は締着ボルト中心間距離L4から締着ボルト最短距離L5を差し引いた距離で、プレート連結材11の最大縮小距離である。L8は横長孔13の最大距離でありL9は台座プレート8のストッパー10a、10b間に嵌合されるフラットプレート9の長さL2を差し引いた距離で、この距離の範囲で連結継目4が伸縮するが決して双方ブロックの連結面同士が当接することなく、一定の遊隙長さを維持するために必要とする長さに設定される。この伸縮性能が連結部の可撓性となり、作用応力の吸収、分散作用となるのである。
【0053】
フラットプレート9と台座プレート8のストッパー10a、10bとの作用関係は次の通りである。尚、弾性プレート7の連結強度は無視するが、接着剤を用いることで、それなりの強度効果を期待できる。例えば地震動の影響等によって生じる連結継目4の目開き、目縮みに対して、目開き作用の場合にはストッパー10a、10bにフラットプレート9がスライドし、フラットプレート9の小口端部側の全部または一部が回転変位角度をもって当接し、スライドと回転作用が強く拘束される。目縮み作用の場合にはフラットプレート9が台座プレート8のストッパー10aすなわち既設ブロック1A側にスライドし、フラットプレート9の小口端部側の全部または一部が回転変位角度をもって当接し、スライドと回転作用が強く拘束される。不等沈下、曲げ沈下などにおいて起きる回転変位を伴なう変位・変形作用となり目開き、目縮み現象が付随し表れるのである。剪断沈下、ねじれ沈下作用に対しては幅広のプレートと片側2本、両側で4本以上の締着ボルト14は2mm以上のクリアランスが設けられ、さらに台座プレート8とフラットプレート9には適切は遊隙間隔を持っているため、地盤の変位・変形に抵抗することなく従動することで応力を減少させることが可能である。尚、ストッパー10a、10bによって生じる作用応力は台座プレート8に穿設された複数の円形孔12と円形孔12に挿通しインサート3に螺合される締着ボルト14を介し、インサート3やインサートに3に接続されたアンカー筋40に接続されたブロック本体の構造用鉄筋に伝え、支えることによって連結部に作用する応力を吸収・減少させることができる。
【0054】
さらに連結強度を持たない応力吸収材6が有するばね力とたわみ特性とプレート連結材11が持つ強度、剛性、可撓性とが共に連動することによって、確実にひずみ応力を吸収・減少させると同時に強い復元力が作用し、連結部の変位・変形を最小限に留め、ブロックラインを維持保全することができる。
【0055】
連結継目4に設定された遊隙間隔5の最大伸長距離ならびに最小収縮距離を変位・変形時に安定的に維持するために、応力吸収材6に与えられる最大たわみ量ならびにプレート連結材11を構成する台座プレート8の両ストッパー10a、10bの間の長さL1の間に嵌合されるフラットプレートL2との間に設けられた遊隙長L9および円形孔12、横長孔13と締着ボルト14とに設けられたクリアランスとの総遊隙長は、連結継目4に設定された許容伸縮量を越えることのないよう応力吸収材6およびプレート連結材11の伸縮空隙長を持つよう構成部材の細部寸法規格の決定による製作加工精度を確保し併せて施工精度の維持を図る上で重要である。
【0056】
図12−(1)はプレート連結材11を構成する台座プレート8の平面図である。台座プレート8の円形孔12に平行して横長孔13も上下に2孔穿設されている。円形孔12、横長孔13の数は要求性能に基づき上下3孔又は4孔に横長孔も円形孔に平行に同数穿設される。
図12−(2)はプレート連結材11を構成するフラットプレート9の平面図である。フラットプレート9の横長孔13上に台座プレート8Aの円形孔12が、フラットプレート9Aの円形孔12上に台座プレート8の横長孔13が配置されている。図12−(3)はプレート連結材11を構成するゴムプレート7の平面図である。ゴムプレート7は、常に台座プレート8の下すなわち双方のブロックの連結継目4を跨いで壁面に設けられた浅い長方形状のプレート連結用嵌着溝部28に応力吸収材6の保護のために使用されるもので、材質、硬度等はプレート連結材11との係わりによって決定される。円形孔12、横長孔13の穿設個数、位置は台座プレート8と同一に製作加工される。
【0057】
図12−(1)、(2)、(3)に基づき説明する。図12−(1)は、弾性プレート7と台座プレート8とフラットプレート9の3枚が予め工場または現場で組み合わされて一組のプレート連結材11となった平面図である。弾性プレート7と台座プレート8に穿設された円形孔12は実線で、横長孔13は点線で示されている。台座プレート8のストッパー10a、10bの間に嵌合されたフラットプレート9に穿設された横長孔13と円形孔12が実線で示されている。弾性プレート7と台座プレート8の円形孔12とフラットプレート9の横長孔13が、あるいは弾性プレート7と台座プレート8の横長孔13とフラットプレート9の円形孔12とのそれぞれの組み合わせの関連を示したものである。これらの組み合わせの状態は、既設ブロック1Aと新設ブロック1Bのそれぞれのインサート3a、3bの間隔が所定位置に納まった状態を示したものである。図13−(2)は、(1)で示したプレート連結材11の平面図A‐A’線断面図であり、弾性プレート7、台座プレート8とフラットプレート9と穿設された締着孔の状態を示すものである。図13−(3)は、(1)で示したプレート連結材11の平面図B‐B’線断面図であり、フラットプレート9の厚さtとストッパー10a、10bの高さの相対性と各締着孔の組み合わせ状態を示したものである。
【0058】
図13−(1)は、弾性プレート7が2枚、台座プレート8、フラットプレート9との計4枚が予め工場または現場で組み合わされて一組のプレート連結材6となった平面図である。弾性プレート7が2枚と台座プレート8に穿設された円形孔12は実線で、横長孔は点線で示されている。弾性プレート7ともう一枚の弾性プレート7、台座プレート8の円形孔12にフラットプレート9の横長孔13が、あるいは弾性プレート7ともう一枚の弾性プレート7、台座プレート8の横長孔13にフラットプレート9の円形孔12のそれぞれの関連を示したものである。図14−(2)は(1)で示したプレート連結材11の平面図A‐A’線断面図である。弾性プレート7ともう一枚の弾性プレート7、台座プレート8、フラットプレート9に穿設された締着孔の状態を示したものである。図14−(3)は(1)で示したプレート連結材11の平面図D‐D’線断面図である。フラットプレート9の厚さtとストッパー10a、10bの高さの相対性と各締着孔の組み合わせ状態を示したものである。
【0059】
本発明の請求項5の実施形態について図15、図16に基づき説明する。図15に示した斜視図はボックスカルバート(以下「ブロック」とよぶ。)の実施例で、既設ブロック1A連結面側の前方端面底壁部62から突出した帯状受台用プレート61はそれぞれアンカー鉄筋(開示されていない。)が溶接されている。該アンカー鉄筋の径、長さやブロック本体の主鉄筋との継手方法や本数または帯状受台用プレート61の形状・厚さ、突き出し長さあるいは重ね枚数はブロックの大小、重量、形状、荷重等によって決定される。また帯状受台用プレート61の取り付け位置や枚数は1枚以上に限定されたものではなく、複数枚重ね合わせる等の条件によって決定されるものである。
【0060】
図16−(1)に示した実施例では、敷き均されたモルタルの上に敷設された既設ブロック1A連結面側の前方端面底壁部62から帯状受台用プレート61が突出した状態を示し、次工程を待つ要部正面図である。図16−(2)に示した実施例では、既設ブロック1Aから突出した帯状受台用プレート61上に新設ブロック1Bの連結面側の後方端面底壁部63が架設されて、僅かに押し込まれ移動直前の状態である。尚、この状態で応力吸収材6(図示されていない。)が挿し渡し嵌合される。こ図16−(3)に示した実施例では、新設ブロック1Bと既設ブロック1Aの側壁部に穿設された連結孔80に押し込み加圧用鋼棒85を挿通し、既設ブロック1Aの側壁中央に穿設された加圧用鋼棒中継ボックス81で座金とナットを螺合・固定し、新設ブロック1Bの側壁部両側よりジャッキで加圧し、新設ブロック1Bが既設ブロック1A側に押し込まれ、遊隙間隔5すなわち応力吸収材6の半カプセル状のボルトカバー22a、22bの半球面状先端23a、23bがボックス2A、2Bの縦断方向の奥壁面19a、19bに当接したことで確認することができる。(開示されていない。)連結結合作業終了後には加圧用鋼棒85は引き抜かれた後
の要部正面図である。尚、加圧用鋼棒85に替えてPC鋼棒を用い加圧・緊結グラウトすることで、PC鋼棒による連結結合強度とたわみ性能を得ることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 ブロック
1A 既設ブロック
1B 新設ブロック
2 ボックス
2A 既設ブロックのボックス。
2B 新設ブロックのボックス。
3 インサート
4 連結継目
5 遊隙間隔
6 応力吸収材
7 弾性プレート
8 台座プレート
9 フラットプレート
10a、10b ストッパー
11 プレート連結材
12 円形孔
13 横長孔
14 締着ボルト
15 皿ばね(単体)
16 皿ばねの挿通孔
17 皿ばね体
18 ばね構造体
19a、19b ボックスの奥壁面
22a、22b 半カプセル状のボルトカバー
23a 既設ブロックの半球面状先端
23b 新設ブロックの半球面状先端
24 蛇腹式のカバー
25 定型ゴムシール
26 ボックス止水材
27 角型カバー
28 プレート連結材用嵌着溝部
29 メインボルト
30 連結面側
31 連結面側開口面
32 連結継目側開口面
33a、33b ボルトカバーの内空天頂面
34 メインボルト頭部端面
35 メインボルトナット側端面
36 メインボルト頭部端面34と半カプセル状のボルトカバー22
bの内空天頂面33bとの遊隙長
37 メインボルトナット側端面35と半カプセル状のボルトカバー
22bと内空天頂面33aとの遊隙長
38 メインボルトナット
40 インサート用アンカー筋
41 ばね体保護パイプ
42 ばね体保護パイプガイドボルト
43 ガイドボルト用ナット
44 角型カバー取付用枠
45 メインボルトカバー取付ボルト
46 蛇腹式カバー取付ボルト
60 ゴムマット
61 帯状受台用プレート
62 既設ブロック連結面側の前方端面底壁部
63 新設ブロック連結面側の後方端面底壁部
65 弾性心材
67 水膨張ゴム
69 目地充填溝
70 目地材
71 メインボルトケース
80 連結孔
81 加圧用鋼棒中継ボックス
82 組みプレート
85 加圧用鋼棒
X1、X2 略円形状プレート
Y1、Y2 正方形状プレート
Z1、Z2 円形状座板
L 台座プレートと弾性プレートの縦長さ
L1 台座プレートのストッパー間距離
L2 フラットプレート及びゴムプレートの縦長さ
L3 最大締着ボルト間距離
L4 締着ボルト中心間距離
L5 最短ボルト中心間距離
L6 プレート連結材11の最大伸張可能距離幅
L7 プレート連結材11の最大縮小距離
L8 横長孔の最大長さ
L9 台座プレートとフラットプレートとの遊隙間隔
t 台座プレートとフラットプレートの厚さ
t1 ゴムプレートの厚さ
d 円形孔の直径
r 横長孔の半径
h 台座プレートとゴムプレートの幅
h1 フラットプレートの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設ブロックと新設ブロックを一定幅の遊隙間隔を保ち連結する際の両ブロックの連結面に、連結継目側及び連結面側に開口を有する複数の凹部が形成され、該凹部内には連結継目側及び連結面側に開口を有し内部に応力吸収体を備えたボックスが埋設されるとともに、該ボックスの連結継目側に両ブロックを連結するプレート連結材が前記ボックス開口部を覆い塞ぐように取り付けられることを特徴とする制震継手構造。
【請求項2】
前記応力吸収体は、中央に挿通孔を有する皿ばね体にメインボルトケースを挿通し、該メインボルトカバーにメインボルトを挿通して一端をナットで固定し、該メインボルトカバー頭部側と該ナット側をそれぞれ両端面部が球面形状を有する半カプセル状のボルトカバーで保護したものであり、該メインボルトカバー頭部側および該ナット側と前記ボルトカバー内の内空天頂面との間には空隙が設けられており、前記ボックス内に前記応力吸収体を前記ボルトカバーの軸線方向が連結継目と垂直になるように、かつ、それぞれの前記ボルトカバーの端面と該端面に近接する前記ボックスの内壁との間を当接するようにに収納したことを特徴とする請求項1に記載の制震継手構造。
【請求項3】
前記空隙の空隙長の総和は、前記既設ブロックと前記新設ブロック連結時の一定幅の遊隙間隔と同じかあるいは短いことを特徴とする請求項1に記載の制震継手構造。
【請求項4】
前記プレート連結材は、弾性プレートやその上に重なる台座プレートとさらにその上に重なるフラットプレートからなり、該台座プレートの両端部には該フラットプレートを位置決めするストッパーを備え、前記各号プレートには円形孔と前記プレート連結材の長手方向に横長の横長孔とが、各プレートの長辺と平行になる線上に一組穿設されており、前記弾性プレートと前記台座プレートの円形孔には前記フラットプレートの横長孔が組み合わさるように配設され、一の締着ボルトが前記フラットプレートの円形孔から前記台座プレートと前記弾性プレートの各横長孔に挿通され、他の締着ボルトが前記フラットプレートの横長孔から前記台座プレートと前記弾性プレートの各円形孔に挿通され、前記既設ブロックと前記新設ブロックに形成されたインサートに螺合されることを特徴とする請求項1に記載の制震継手構造。
【請求項5】
前記既設ブロックと前記新設ブロックとが一定幅の遊隙間隔を保ち連結する際の両ブロックの連結面に、前記新設ブロックの連結継目側の後方端面に向かって、前記既設ブロック連結面側の前方端面の底壁部から複数枚の帯状受台用プレートが突出されており、該帯状受台用プレートはあらかじめブロック成型時に連結面側の前方端面の底壁部に外側に向け取り付けられており、前記新設ブロックの連結面側の後方端面を該帯状受台用プレートの上に架設することを特徴とする請求項1に記載の制震継手構造。

【図1−(1)】
image rotate

【図1−(2)】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3−(1)】
image rotate

【図3−(2)】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−(1)】
image rotate

【図6−(2)】
image rotate

【図6−(3)】
image rotate

【図6−(4)】
image rotate

【図6−(5)】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9−(1)】
image rotate

【図9−(2)】
image rotate

【図10−(1)】
image rotate

【図10−(2)】
image rotate

【図10−(3)−A】
image rotate

【図10−(3)−B】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12−(1)】
image rotate

【図12−(2)】
image rotate

【図12−(3)】
image rotate

【図12−(4)】
image rotate

【図12−(5)】
image rotate

【図12−(6)】
image rotate

【図13−(1)】
image rotate

【図13−(2)】
image rotate

【図13−(3)】
image rotate

【図14−(1)】
image rotate

【図14−(2)】
image rotate

【図14−(3)】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16−(1)】
image rotate

【図16−(2)】
image rotate

【図16−(3)】
image rotate


【公開番号】特開2013−36201(P2013−36201A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171976(P2011−171976)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(504243121)
【Fターム(参考)】