説明

コンセント

【課題】端子部材による接触子を保持するための保持力を容易に確保することができ、且つ端子部材の曲げ加工をし易くすることのできるコンセントを提供する。
【解決手段】互いに径寸法が異なる丸棒状の接触子を備えた2種類のプラグの何れかが接続されるコンセントであって、一方のプラグの接触子に接触導通する第1の接触子受け50A,60A、及び他方のプラグの接触子に接触導通する第2の接触子受け50B,60Bが一体に設けられた端子部材5,6と、各接触子受け50A,50B,60A,60Bの外周に当接するとともに各接触子受け50A,50B,60A,60Bを挟む向きに付勢する補助ばね52,63とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、栓刃や導電ピン等の接触子が接触導通する接触子受けを備えたコンセントが知られており、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。この特許文献1に記載の従来例では、各々に接地極を含む平板状の栓刃が挿入される3個の接触子(栓刃)挿入口から成るコンセント口(3極のコンセント口)が器体の前面に設けられている。また、同じく器体の前面には、栓刃や導電ピン等の接触子が挿入される1対の接触子挿入口から成るコンセント口(所謂ユニバーサル型のコンセント口)が設けられている。
【0003】
3極のコンセント口の各接触子挿入口は、平板状の栓刃に対応させて矩形状に形成され、接地極の栓刃が挿入される接触子挿入口の両側に残り(電圧極)の接触子挿入口が逆ハ字形に配置してある。この各接触子挿入口と対向する形で、器体の内部には、ばね性を有する金属板を加工することによって形成され、互いに対向配置される1対の栓刃用刃受ばねを備えた刃受部がそれぞれ設けられている。
【0004】
また、ユニバーサル型のコンセント口の各接触子挿入口は、平板状の栓刃や円柱状の導電ピン等の種々の接触子に対応可能な形状、即ち、栓刃が挿入される矩形状の孔と導電ピンが挿入される半円形状の孔とを一体に連通させた形状に形成してある。この各接触子挿入口と対向する形で、器体の内部には、ばね性を有する金属板を加工することによって形成され、互いに対向配置される1対の導電ピン用刃受ばねと両刃受ばねに対して略直角に突設された栓刃用刃受ばねとを有する刃受部がそれぞれ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−339973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載の従来例は、ユニバーサル型のコンセント口を有するコンセントの一例であるが、負荷の定格電流の違いに応じて互いに径寸法の異なる丸棒状の接触子を備えた2種類のプラグの何れか接続されるコンセントが知られている。このコンセントは、図7(a)に示すように、ばね性を有する金属板を加工して成り、互いに対向して配置される1対のばね片101と、各ばね片の端部(図7(a)における下端部)を連結する連結片102とを一体に形成した端子部材100を備える。端子部材100には、各ばね片101には、2種類のプラグの接触子の径寸法にそれぞれ対応した曲率半径を有する2つの曲面が連続して設けられている。そして、各ばね片101に設けられた2種類の曲面部分で、一方のプラグの接触子に接触導通する第1の接触子受け100Aと、他方のプラグの接触子に接触導通する第2の接触子受け100Bとが構成される。この端子部材100は、プラグの3極の接触子が挿入される3つの挿入孔(図示せず)にそれぞれ対向する形で器体(図示せず)内部に配置される。このため、このコンセントでは、径寸法の大きい接触子を有するプラグと、径寸法の小さい接触子を有するプラグとを何れも接続できるようになっている。
【0007】
ここで、上記コンセントでは、径寸法の異なる2種類の接触子を保持する必要があることから、その保持力を維持するには、各ばね片101の厚み寸法、即ち、端子部材100の厚み寸法を大きくしなければならない。しかしながら、端子部材100の厚み寸法を大きくすると、端子部材100の剛性が増すことから端子部材100の曲げ加工がし難くなる。図7(b)に示すように、各接触子受け100A,100Bの曲面部分の間には、それぞれ内側に突出する屈曲部分100Cが形成されるが、各接触子受け100A,100Bの間隔が狭いと曲げ加工がし難いことから、屈曲部分100Cが小さくなる。このため、特に径が小さい接触子受け100Bに挿入された接触子を屈曲部分100Cで受けることができず、接触子が接触子受け100A側にずれてしまい、各ばね片101との電気的な接触が不安定になる虞があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、端子部材による接触子を保持するための保持力を容易に確保することができ、且つ端子部材の曲げ加工をし易くすることのできるコンセントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンセントは、互いに径寸法が異なる丸棒状の接触子を備えた2種類のプラグの何れかが接続されるコンセントであって、一方の前記プラグの前記接触子に接触導通する第1の接触子受け、及び他方の前記プラグの前記接触子に接触導通する第2の接触子受けが一体に設けられた端子部材と、前記各接触子受けの外周に当接するとともに前記各接触子受けを挟む向きに付勢する補助ばねとを備えたことを特徴とする。
【0010】
このコンセントにおいて、前記各接触子受けには、前記接触子が挿入される開口側の部位であって前記補助ばねよりも開口に近い位置に前記接触子を案内するように外向きに傾斜するテーパが設けられることが好ましい。
【0011】
このコンセントにおいて、前記補助ばねは、棒状のばね材を前記端子部材の各接触子受けの外周に沿ってU字状に曲げ形成されており、その両端部が互いに近付く向きに折り曲げられることが好ましい。
【0012】
このコンセントにおいて、前記端子部材には、その外周に前記補助ばねが載置される支持部が設けられることが好ましい。
【0013】
このコンセントにおいて、前記第1の接触子受けと前記第2の接触子受けとは、1枚の金属板材を曲げ加工して形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、各接触子受けの外周を補助ばねで付勢することで、端子部材の厚み寸法を大きくすることなく容易に保持力を確保することができる。したがって、端子部材の曲げ加工をし易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るコンセントの実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】(a)〜(c)は、同上の電圧極の端子部材及び端子板を示す図である。
【図3】(a)〜(d)は、同上の接地極の端子部材を示す図である。
【図4】同上のカバーを省略し且つ一部破断した斜視図である。
【図5】同上の完成品を示す図で、(a)は正面図で、(b)は側面図である。
【図6】同上を取付枠及び化粧プレートに取り付けた状態を示す正面図である。
【図7】従来のコンセントの端子部材を示す図で、(a)は斜視図で、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るコンセントの実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、図1における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向と定めるものとする。本実施形態は、図1に示すように、上面が開口した直方体状の下ボディ2及び下面が開口した直方体状のカバー3、並びに後述する上ボディ4を結合して成る筐体1と、筐体1に各々収納される1対の電圧極の端子部材5及び接地極の端子部材6とを備える。
【0017】
下ボディ2は、例えばユリア樹脂等の熱硬化性樹脂から成り、図1に示すように、その内部にはT字状の隔壁20が形成されている。下ボディ2の内部には、この隔壁20に隔てられることによって前側の2つ、及び後側の1つの計3つの収納室21が形成されている。前側の2つの収納室21には、電圧極の端子部材5がかしめ固定された電圧極の端子板7がそれぞれ収納される。また、後側の収納室には、接地極の端子部材6がかしめ固定された接地極の端子板8が収納される。各収納室21の下面には、図4に示すように、電線(図示せず)を下ボディ2内部に導入するための1対の円形状の電線挿入孔21Aがそれぞれ設けられている。下ボディ2の左右両側面には、それぞれ後述する上ボディ4の係合凹部44Aに嵌め合わされる1対の係合突部22(図示では右側面のみ)が外側に突出する形で一体に形成されている。
【0018】
カバー3は、例えばユリア樹脂等の熱硬化性樹脂から成り、図1に示すように、その上面にプラグ(図示せず)の接触子(図示せず)が挿入される3つの挿入孔30,31が設けられている。各挿入孔30,31は、互いに径寸法の異なる丸棒状の接触子を備えた2種類のプラグ(図示せず)の接触子(図示せず)の何れもが挿入できるように、2種類のプラグの接触子の径寸法の和よりも大きい寸法で楕円形状に設けられている。3つの挿入孔30,31のうち前側の2つの挿入孔30には、プラグの電圧極の1対の接触子が挿入され、残りの後側の挿入孔31には、プラグの接地極の接触子が挿入される。
【0019】
なお、2種類のプラグの接触子のうち、定格電流の大きい方のプラグでは、電圧極の接触子の径寸法が直径8.6mmで、接地極の接触子の径寸法が直径7.06mmである。定格電流の小さい方のプラグでは、電圧極の接触子の径寸法が直径7.1mmで、接地極の接触子の径寸法が直径5.08mmである。また、定格電流の小さい方のプラグでは、各接触子の間隔が定格電流の大きい方のプラグと比較して小さくなっている。勿論、2種類のプラグの接触子の径寸法は、上記の値に限定されるものではない。
【0020】
下ボディ2とカバー3との間には、後述する扉体9をカバー3との間で挟持して保持する上ボディ4が設けられている。上ボディ4は、例えばユリア樹脂等の熱硬化性樹脂から成り、図1に示すように下面が開口した直方体状に形成されている。上ボディ4の電圧極の挿入孔30及び接地極の挿入孔31と対向する位置には、電圧極の端子部材5及び接地極の端子部材6を各挿入孔30,31を介して外部に臨ませる3つの窓孔40が設けられている。各窓孔40は、各挿入孔30,31と同じ形状且つ同じ寸法で設けられている。
【0021】
上ボディ4上面の前側の1対の窓孔40に挟まれた部位には、案内溝41が前後方向に沿って設けられている。この案内溝41に後述する扉体9の突条93を嵌め込むことで、扉体9が前後方向にスライド自在に配設される。また、上ボディ4上面の後側の窓孔40を挟んだ左右両側には、後述する復帰ばね94の後端部が嵌め込まれる半円形状の凹部42Aを有する1対の保持壁42が上向きに突出するように設けられている。この各保持壁42の凹部42Aにそれぞれ復帰ばね94の後端部を嵌め込むことで、復帰ばね94を上ボディ4に保持させることができる。
【0022】
上ボディ4の前後両側面には、それぞれ1対の係止片43(図示では前面のみ)が設けられている。このため、各係止片43を取付枠(図示せず)に引っ掛けることで、本実施形態を取付枠に取り付けることができる。また、上ボディ4の左右両側面には、それぞれ下向きに突出する矩形状の係合片44(図示では右側のみ)が一体に形成されている。各係合片44には、それぞれ1対の矩形状の係合孔44Aが設けられており、これら係合孔44Aに下ボディ2の係合突部22を嵌め合わせることで、上ボディ4と下ボディ2とが互いに結合される。なお、本実施形態の完成品の状態を図5(a),(b)に示す。また、化粧プレート10を前面に装着した取付枠に本実施形態を取り付けた状態を図6に示す。同図では、本実施形態と共にスイッチ11を取付枠に取り付けている。
【0023】
電圧極の端子部材5は、図2(a)〜(c)に示すように、ばね性を有する金属材料(例えば、黄銅)から成り、互いに対向する形で配設される弧状に湾曲した1対のばね片50と、各ばね片50の下端部を連結する連結片51とを一体に形成して構成される。端子部材5には、各ばね片50で挟持することにより一方のプラグの電圧極の接触子に接触導通する第1の接触子受け50Aと、各ばね片50で挟持することにより他方のプラグの電圧極の接触子に接触導通する第2の接触子受け50Bとが一体に設けられている。ここで、第1の接触子受け50Aは、定格電流が大きい方のプラグの電圧極の接触子が挿入可能な寸法で設けられ、第2の接触子受け50Bは、定格電流が小さい方のプラグの電圧極の接触子が挿入可能な寸法で設けられている。また、連結片51には、後述する電圧極の端子板7を取り付けるための正方形状の取付孔51Aが設けられている。
【0024】
端子部材5には、各接触子受け50A,50Bの外周に当接するとともに各接触子受け50A,50Bを挟む向きに付勢する補助ばね52が設けられている。補助ばね52は、例えばステンレス等の金属材料から成る棒状のばね材を各接触子受け50A,50Bの外周に沿ってU字状に曲げ形成されて構成される。なお、本実施形態では、補助ばね52の径寸法は1.2mmである。このように補助ばね52を端子部材5に設けることで、何れかのプラグの電圧極の接触子が挿入された際に、補助ばね52の付勢力によって電圧極の接触子を対応する接触子受け50A,50Bに確実に接触させることができる。即ち、補助ばね52によって電圧極の接触子を保持するための保持力を確保することができる。
【0025】
各ばね片50における各接触子受け50A,50Bの間には、図2(b),(c)に示すように、それぞれ内向きに突出する突部50Cが設けられている。これら突部50Cによって各ばね片50の間隔を狭めることで、一方の接触子受け50Bに挿入された電圧極の接極子が突部50Cに引っ掛かり、他方の接触子受け50Aに移動する、即ち、接触子が抜けるのを防いでいる。
【0026】
各ばね片50の左右方向における両端には、図2(c)に示すように、それぞれ外向きに突出する支持部50Dが一体に形成されている。これら支持部50Dの上面に補助ばね52を載置することで、補助ばね52が端子部材5から下側に脱落するのを防止することができる。更に、図4に示すように、補助ばね52は各支持部50Dと上ボディ4の上面との間で挟持されるので、より効果的に補助ばね52の脱落を防止することができる。
【0027】
また、各ばね片50の上端部には、図2(a),(c)に示すように、補助ばね52が当接するよりも上側に、接触子を案内するように外向きに傾斜するテーパ50Eがそれぞれ設けられている。このため、接触子を各接触子受け50A,50Bに挿入する際に、接触子の先端部が各テーパ50Eに沿って摺動することで各接触子受け50A,50B内に案内されるので、接触子を各接触子受け50A,50Bに容易に挿入することができる。更に、各テーパ50Eが補助ばね52の上方の少なくとも一部を覆うことから、補助ばね52が端子部材5から上側に抜けるのを防止する効果も奏することができる。このため、本実施形態を組み立てる際に、補助ばね52が端子部材5から抜ける心配が無いので、組立作業を容易に行うことができる。
【0028】
接地極の端子部材6は、図3(a)〜(d)に示すように、ばね性を有する金属材料(例えば、黄銅)から成り、互いに対向する形で配設される弧状に湾曲した1対のばね片60と、各ばね片60の下端部を連結する連結片61とを一体に形成して構成される。端子部材6には、各ばね片60で挟持することにより一方のプラグの接地極の接触子に接触導通する第1の接触子受け60Aと、各ばね片60で挟持することにより他方のプラグの接地極の接触子に接触導通する第2の接触子受け60Bとが一体に設けられている。ここで、第1の接触子受け60Aは、定格電流が大きい方のプラグの接地極の接触子が挿入可能な寸法で設けられ、第2の接触子受け60Bは、定格電流が小さい方のプラグの接地極の接触子が挿入可能な寸法で設けられている。
【0029】
連結片61は、図3(a)に示すように、端子部材5の連結片51よりも前向きに突出する寸法で形成されており、その前側の左右両端部からはそれぞれ外向きに突出するL字状の取付片62が一体に設けられている。これら各取付片62には、それぞれ後述する接地極の端子板8を取り付けるための正方形状の取付孔62Aが設けられている。
【0030】
端子部材6には、端子部材5と同様に、各接触子受け60A,60Bの外周に当接するとともに各接触子受け60A,60Bを挟む向きに付勢する補助ばね63が設けられている。補助ばね63は、補助ばね52と同様に、例えばステンレス等の金属材料から成る棒状のばね材を各接触子受け60A,60Bの外周に沿ってU字状に曲げ形成されて構成される。なお、本実施形態では、補助ばね63の径寸法は1.2mmである。このように補助ばね63を端子部材6に設けることで、何れかのプラグの接地極の接触子が挿入された際に、補助ばね63の付勢力によって接地極の接触子を対応する接触子受け60A,60Bに確実に接触させることができる。即ち、補助ばね63によって接地極の接触子を保持するための保持力を確保することができる。
【0031】
各ばね片60における各接触子受け60A,60Bの間は、図3(b)に示すように、それぞれ内向きに突出するように湾曲した突部60Cとなっている。これら突部60Cによって各ばね片60の間隔を狭めることで、一方の接触子受け60Bに挿入された電圧極の接極子が突部60Cに引っ掛かり、他方の接触子受け60Aに移動する、即ち、接触子が抜けるのを防いでいる。
【0032】
各ばね片60の左右方向における両端には、図3(c)に示すように、それぞれ外向きに突出する支持部60Dが一体に形成されている。これら支持部60Dの上面に補助ばね63を載置することで、補助ばね63が端子部材6から下側に脱落するのを防止することができる。更に、図示しないが、補助ばね63は各支持部60Dと上ボディ4の上面との間で挟持されるので、より効果的に補助ばね63の脱落を防止することができる。
【0033】
また、各ばね片60の上端部には、図3(a),(d)に示すように、補助ばね63が当接する部位よりも上側に、接触子を案内するように外向きに傾斜するテーパ60Eがそれぞれ設けられている。このため、接触子を各接触子受け60A,60Bに挿入する際に、接触子の先端部が各テーパ60Eに沿って摺動することで各接触子受け60A,60B内に案内されるので、接触子を各接触子受け60A,60Bに容易に挿入することができる。更に、各テーパ60Eが補助ばね63の上方の少なくとも一部を覆うことから、補助ばね63が端子部材6から上側に抜けるのを防止する効果も奏することができる。このため、本実施形態を組み立てる際に、補助ばね63が端子部材6から抜ける心配が無いので、組立作業を容易に行うことができる。
【0034】
電圧極の端子板7は、図2(a),(c)に示すように、導電性材料から成り、一定の間隔を空けて並設した帯板状の1対の基片70,71と、各基片70,71の中央同士を連結する連結片72とを備える。基片70の前側の左右両端部からは、下向きに突出する接触片70Aがそれぞれ延設され、基片71の後側の左右両端部からは、下向きに突出する延設片71Aがそれぞれ延設されている。また、連結片72の中央部には、正方形状のかしめ孔72Aが設けられている。このかしめ孔72Aと端子部材5の取付孔51Aとを重ね、各々にかしめ鋲5Aを挿入してかしめることで、端子部材5と端子板7とを互いに結合させることができる。
【0035】
接地極の端子板8は、図1に示すように、導電性材料から成り、一定の間隔を空けて並設した帯板状の1対の基片80,81と、各基片80,81の左右方向における一端部同士を連結する連結片82とを備える。基片80の後側の左右方向における一端部からは、下向きに突出する接触片80Aが延設され、基片81の前側の左右方向における一端部からは、下向きに突出する延設片81Aが延設されている。また、連結片82の中央部には、正方形状のかしめ孔(図示せず)が設けられている。このかしめ孔と端子部材6の取付孔62Aとを重ね、各々にかしめ鋲(図示せず)を挿入してかしめることで、端子部材6と端子板8とを互いに結合させることができる。
【0036】
各端子板7の連結片72を挟んだ左右両側にはそれぞれ切り欠き73が設けられており、また、各端子板8の連結片82の左右方向における隣にはそれぞれ切り欠き83が設けられている。これら切り欠き73,83には、弾性を有する金属板をC字状に折り曲げて成る鎖錠ばね23が挿入されることで配設される。鎖錠ばね23は、下ボディ2の電線挿入孔21Aから収納室21に導入された電線の抜け止めを行うものであって、電線が挿入される空間を挟んで接触片70A,80Aと対向する中央片23Aを備える。また、鎖錠ばね23は、中央片23Aの下端から斜め上方に向けて傾斜する鎖錠片23Bを備える。鎖錠片23Bは、電線挿入孔21Aから挿入された電線にその先端部が当接することで、電線の抜け止めを行う。また、鎖錠片23Bによって電線が抜け止めされる際に、鎖錠片23Bの復帰力により電線が接触片70A,80Aに弾性的に接触することで、電線と接触片70A,80Aとを接触導通させることができる。
【0037】
下ボディ2の各収納室21には、図1に示すように、鎖錠ばね23による電線の抜け止めを解除するための解除レバー24がそれぞれ1対ずつ設けられている。解除レバー24は、例えば合成樹脂成形品から成り、矩形平板状の操作部24Aと、操作部24Aの左右両端から前後方向に沿って延設される1対の脚部24Bとを備える。各収納室21の外部に面している壁部には、図1に示すように、操作部24Aを外部に露出する形で解除レバー24を支持する1対の支持台25がそれぞれ設けられている。そして、各解除レバー24は、1対の脚部24B間に接触片70A,80Aと鎖錠ばね23とが配置されるようにして各収納室21に収納される。また、各収納室21内には、半円弧状の摺動面を有した軸受け台(図示せず)がそれぞれ設けられており、解除レバー24の各脚部24Bの端部が軸受け台に載置されることにより、当該端部を支点として解除レバーが回動自在となっている。
【0038】
而して、端子部材5,6に接続された電線を取り外すには、解除レバー24の操作部24Aを指で押し上げるように操作すればよい。このように操作することで、解除レバー24が回動し、脚部24Bが鎖錠片23Bを下方へ押圧することにより、電線に当接している鎖錠片23Bを電線から離す向きに変位させ、電線を取り外すことができる。
【0039】
扉体9は、図1に示すように、電圧極に対応する各挿入孔30と対向する形で配設される1対の翼片90,91と、翼片90,91の中間に位置して各翼片90,91を連結する中間部92とから成る。翼片90,91の上面には、それぞれ接触子の挿入方向に対して傾斜する傾斜面90A,91Aが形成されており、これら傾斜面90A,91Aが接触子の押圧力を受けることで扉体9が後向きにスライドするようになっている。扉体9の中間部92の下面には、下向きに突出する突条93が一体に形成されている。この突条93を上ボディ4の案内溝41に嵌め込むことで、扉体9が案内溝41Aに沿って前後方向にスライド自在となる。
【0040】
扉体9の翼片90,91の後面には、図示しないが復帰ばね94の前端部が圧入される取付用突部がそれぞれ設けられている。これら取付用突部に復帰ばね94の前端部を圧入するとともに、後端部を上ボディ4の各保持壁42の凹部42Aに嵌め込むことで、扉体9は上ボディ4の前側の2つの窓孔40を閉塞する位置に移動するように付勢される。したがって、本実施形態にプラグを接続していない状態では、電圧極の接極子が挿入される前側の2つの挿入孔30及び窓孔40が扉体9で閉塞されるので、筐体1内部の充電部に触れることによる感電を防止することができる。
【0041】
上述のように、本実施形態では、各接触子受け50A,50B,60A,60Bの外周をそれぞれ補助ばね52,63で付勢することで、端子部材5,6(ばね片50,60)の厚み寸法を大きくすることなく容易に保持力を確保することができる。例えば、従来の補助ばねを使用しない端子部材では、保持力を確保するためにばね片の厚み寸法を0.7mmにしなければならない。一方、本実施形態の補助ばね52,63を使用した端子部材5,6では、補助ばね52,63で容易に保持力を確保することができるため、ばね片50,60の厚み寸法を0.5mmと小さくすることができる。したがって、ばね片50,60の厚み寸法が小さいことから、ばね片50,60の曲げ加工をし易く、結果として端子部材5,6を所望の形状に容易に形成することができる。
【0042】
また、本実施形態では、補助ばね52,63が一方の接触子受け50A,60A又は50B,60Bの外周のみに当接しているのではなく、両方の接触子受け50A,50B,60A,60Bの外周に当接している。このため、一方の接触子受け50A,60A又は50B,60Bの外周のみに当接している場合と比較して、補助ばね52,63の形状等を適宜変更することで各接触子受け50A,50B,60A,60Bの保持力を容易に調整することができる。
【0043】
なお、本実施形態において、各端子部材5,6において、第1の接触子受け50A,60Aと第2の接触子受け50B,60Bとは、1枚の金属板材を曲げ加工して形成されることが望ましい。この場合、1枚の金属板材を曲げ加工するだけでよいことから、切削加工や複数部品を組み合わせる場合と比較して製造コストを低く抑えることができる。
【0044】
また、本実施形態において、補助ばね52,63の両端部を互いに近付く向きに折り曲げてもよい。この場合、各ばね片50,60の外周がほぼ隙間なく補助ばね52,63によって覆われるので、各接触子受け50A,50B,60A,60Bから接触子が外れるのを防止することができる。また、本実施形態では、1対の電圧極の端子部材5及び接地極の端子部材6の計3つの端子部材5,6に対して補助ばね52,63を設けているが、少なくとも何れか1つの端子部材5,6に補助ばね52,63を設けるだけでもよい。
【符号の説明】
【0045】
5,6 端子部材
50A,60A 第1の接触子受け
50B,60B 第2の接触子受け
52,63 補助ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに径寸法が異なる丸棒状の接触子を備えた2種類のプラグの何れかが接続されるコンセントであって、一方の前記プラグの前記接触子に接触導通する第1の接触子受け、及び他方の前記プラグの前記接触子に接触導通する第2の接触子受けが一体に設けられた端子部材と、前記各接触子受けの外周に当接するとともに前記各接触子受けを挟む向きに付勢する補助ばねとを備えたことを特徴とするコンセント。
【請求項2】
前記各接触子受けには、前記接触子が挿入される開口側の部位であって前記補助ばねよりも開口に近い位置に前記接触子を案内するように外向きに傾斜するテーパが設けられたことを特徴とする請求項1記載のコンセント。
【請求項3】
前記補助ばねは、棒状のばね材を前記端子部材の各接触子受けの外周に沿ってU字状に曲げ形成されており、その両端部が互いに近付く向きに折り曲げられたことを特徴とする請求項1又は2記載のコンセント。
【請求項4】
前記端子部材には、その外周に前記補助ばねが載置される支持部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のコンセント。
【請求項5】
前記第1の接触子受けと前記第2の接触子受けとは、1枚の金属板材を曲げ加工して形成されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のコンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−74160(P2012−74160A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216206(P2010−216206)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】