説明

コンタクトおよび電気コネクタ

【課題】製造コストが安いコンタクトを提供すること。
【解決手段】コンタクト1は、プレス加工による打ち抜き面1dを有して所定方向(接続部材60の挿入方向X1の反対方向X2)に延びる第1片部3と第2片部4を備える。接続部材60が、両片部3,4間に挿入方向X1に沿って無挿入力で挿入される。第1片部3は、打ち抜き面1dと、打ち抜き面1dに設けられた凸状の接点部11と、打ち抜き面1dに設けられた金メッキ層14とを含む。打ち抜き面1dの金メッキ層14は、接点部11のみに設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンタクトおよび前記コンタクトを備えた電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
通例、コネクタに用いられるコンタクトの表面には、メッキが施されている。例えば、耐食性の付与のためや半田の濡れ上がり抑制のためにニッケルメッキが施されたり、電気抵抗を減少させるために金メッキが施されたりしている。
例えば、コンタクトの表面処理では、ニッケルメッキを行った後、部分的に金メッキする際に、金メッキを施さない部分(ニッケルメッキを残す部分)をマスキングテープや治具で覆う方法が一般的である。
【0003】
一方、特許文献1では、多数のコンタクトを横並びに一体形成した長尺の導電板を長手方向に搬送するときに、導電板の表裏両面に対して斜め方向から、メッキ液に不溶な絶縁性インクをインクジェットにより噴射し、コンタクトの表裏両面および側面に、マスキング効果を有する樹脂層を形成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−347039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、その図1に示されているように、フォーク状コンタクトの一対の片部において、長手方向の中央部から基端部までの領域に、絶縁性インクによる樹脂層を形成している。したがって、一対の片部の長手方向の中央部から先端部までの領域の全体に、金メッキが施されている。このように片部の略半分の領域に、高価な金メッキが施されているため、コンタクトの製造コストが高くなり、ひいては電気コネクタの製造コストが高くなる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、製造コストが安いコンタクトおよび電気コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、プレス加工による打ち抜き面(1d;21d;41d)を有して所定方向(X2)に延びる片部(3;23;43)を備え、前記打ち抜き面は、凸状の接点部(11;31;51)と、金メッキ層(14;34;54)と、を含み、前記打ち抜き面の金メッキ層は、前記接点部のみに設けられているコンタクト(1;21;41)を提供する。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2のように、前記片部の全面に、金とは異種の金属の異種金属メッキ層(15;35;55)が設けられ、前記金メッキ層は、前記異種金属メッキ層の表面に設けられていてもよい。
【0009】
請求項3のように、前記片部としての第1片部(3;23;43)と、前記第1片部に平行に延びる第2片部(4;24;44)と、を備え、前記所定方向に関して、前記第1片部の接点部の位置が、前記第2片部の一部の位置と重なっていてもよい。
請求項4のように、前記第1片部の凸状の接点部は、前記第2片部側に向けて突出していてもよい。
【0010】
請求項5のように、前記片部は、前記打ち抜き面とは交差する板面(1a,1b)を含み、前記板面に、前記打ち抜き面の金メッキ層としての第1の金メッキ層(141)に連なる第2金メッキ層(142)が設けられていてもよい。
請求項6の発明は、請求項1から5の何れか1項に記載のコンタクト(1;21;41)と、前記コンタクトを保持した絶縁性のハウジング(102;202;302)とを備える電気コネクタ(100;200;300)を提供する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、片部の打ち抜き面に設けられた金メッキ層が、凸状の接点部のみに配置されているので、金の量を低減して、製造コストを安くすることができる。
請求項2の発明によれば、金メッキ層を設けない領域の下地メッキ層が、所要の機能を果たすことができる。例えば、下地メッキ層として、例えば半田濡れを抑制することのできるニッケルメッキ層を設けることにより、半田上がりを効果的に防止することが可能となる。
【0012】
請求項3の発明のように、前記片部として、一対の片部が設けられ、前記摺動方向に関して、少なくとも一方の片部の接点部の位置が、他方の片部の一部の位置と重なっている場合には、金メッキを施す前に、例えば特許文献1のインクジェットを用いたマスキング方法を用いて所要部をマスキングすることにより、必要最小限の領域(上記一方の片部の打ち抜き面においては、接点部のみ)に、金メッキを施すことが可能となる。
【0013】
その場合、前記一方の片部の凸状の接点部は、他方の片部側に向けて突出していてもよいし(請求項4)、また、他方の片部とは反対側に向けて突出していてもよい。
請求項5の発明によれば、打ち抜き面とは交差する、片部の板面に、打ち抜き面の第1の金メッキ層に連なる第2金メッキ層が設けられているので、前記板面における第2金メッキ層の存在を目視等で確認することで、視認しづらい第1金メッキ層の有無を認識することができる。したがって、簡便な検査が可能となる。第2メッキ層は、その存在を視認できれば少量で十分であるので、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0014】
請求項6の発明によれば、安価な電気コネクタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態のコンタクトを含む電気コネクタの断面図である。
【図2】図1のコンタクトの概略斜視図である。
【図3】図1のコンタクトの第1片部の要部の拡大斜視図である。
【図4】図1のコンタクトの第1片部の要部の概略断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態のコンタクトを含む電気コネクタの断面図であり、(a)はカバーが開放された状態を示し、(b)はカバーが閉じられた状態を示している。
【図6】図5のコンタクトの概略斜視図である。
【図7】図5のコンタクトの第1片部の要部の拡大斜視図である。
【図8】図5のコンタクトの第1片部の要部の概略断面図である。
【図9】本発明のさらに別の実施形態のコンタクトを含む電気コネクタの断面図である。
【図10】図9のコンタクトの概略斜視図である。
【図11】図9のコンタクトの第1片部の拡大斜視図である。
【図12】図9のコンタクトの第1片部の概略断面図である。
【図13】本発明のさらに別の実施形態のコンタクトの第1片部の要部の概略斜視図である。
【図14】(a)は本発明のさらに別の実施形態のコンタクトの第1片部の要部の概略斜視図であり、(b)は接点部および接続部材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態のコンタクトを備えた電気コネクタの断面図であり、図2はコンタクトの概略斜視図である。図1に示すように、電気コネクタ100は、接続部材を挿入するための挿入凹部101を形成した絶縁性合成樹脂からなるハウジング102と、ハウジング102により保持された金属製のコンタクト1と、ハウジング102の挿入凹部101内に挿入方向X1に沿って差し込まれる挿入凸部103を有する絶縁性合成樹脂からなるスライダ104とを備えている。コンタクト1は、半田付け等により基板Kに固定される。
【0017】
図2を参照して、コンタクト1は、板材をプレスにより打ち抜く工程を経て形成された、いわゆる打ち抜きコンタクトである。コンタクト1は、挿入方向X1に沿って無挿入力で挿入される例えばFPC等の板状の接続部材60に接続されるフォーク状のコンタクトである。
コンタクト1は、一対の板面1a,1bと、これら板面1a,1bに交差し、両板面1a,1b間を全周において接続する打ち抜き面1cとを備えている。コンタクト1は、略矩形をなす主体部2と、主体部2の一端から挿入方向X1の反対方向X2(所定方向)に略平行に延びる第1片部3および第2片部4と、主体部2の他端に設けられた略L字形形状をなすリード部5とを備えている。
【0018】
図1および図2に示すように、第1片部3は、主体部2に連結された基端部6と、自由端である先端部7とを備えており、弾性片部として機能する。第1片部3の基端部6は、圧入突起6aを有しており、ハウジング102の固定孔105に圧入されている。第1片部3の基端部6を除く部分は、ハウジング102の第1板部106に形成されて挿入凹部101に臨む第1収容溝107に収容され、保持されている。
【0019】
第2片部4は、主体部2に連結された基端部8と、先端部9とを備えており、固定片部として機能する。第2片部4は、ハウジング102の第2板部108に形成されて挿入凹部101に臨む第2収容溝109に収容され、保持されている。
第1片部3は、その先端部7において、第2片部4側に向けて反対方向X2(所定方向)とは交差する交差方向Y1に突出する山形部10を設けている。第1片部3の山形部10は挿入凹部101に進出している。図2に示すように、山形部10は、打ち抜き面1cのうち、第1片部3の打ち抜き面1dに形成されている。山形部10は、山形部の頂部を構成する凸状の接点部11と、接点部11の両側に配置された一対の斜面部12,13と備えている。
【0020】
第2片部4は第1片部3よりも若干短くされている。反対方向X2(所定方向)に関して、第1片部3の接点部11の位置は、第2片部4の一部(先端部9)の位置と重なっている。換言すると、接点部11と第2片部4の一部(先端部9)とは、交差方向Y1に対向している。
図3を参照して、第1片部3の打ち抜き面1dには、金メッキ層14(図3において、ハッチングを施された部分に相当)が被覆されている。第1片部3の打ち抜き面1dに設けられた金メッキ層14は、凸状の接点部11のみ配置されている。
【0021】
図2に示すように、接続部材60の一面に設けられた導電部61が、第1片部3の接点部11に接続される。導電部61には、金メッキが施されている。接続部材60が、無挿入力で(すなわち、接続部材60が接点部11に摺接することなく)、両片部3,4間に挿入された後、スライダ104が、接続部材60と第2片部4との間に、挿入されることにより、接続部材60の導電部61を接点部11に加圧できるようになっている。弾性片部としての第1片部3の弾性反発力が、接点部11を介して接続部材60の導電部61に及ぼされ、接点部11と導電部61との間に、所定の接触圧力が確保される。
【0022】
図4に示すように、コンタクト1の全体にニッケルメッキ層15が設けられ、金メッキ層14が設けられる領域においてのニッケルメッキ層15は、下地メッキ層として機能している。金メッキ層14が設けられない領域では、ニッケルメッキ層15が露出している。
本実施形態によれば、第1片部3の打ち抜き面1dに設けられた金メッキ層14が、打ち抜き面1dに設けられた凸状の接点部11のみに配置されているので、金の量を低減して、製造コストを安くすることができる。
【0023】
また、金メッキ層14を設けない領域では、半田濡れを抑制することのできるニッケルメッキ層15が露出しているので、例えば、リード部5における半田上がりを効果的に防止することができる。
また、第1片部3および第2片部4が設けられ、反対方向X2(所定方向)に関して、第1片部11の接点部11の位置が、第2片部4の一部(先端部9)の位置と重なっているが、金メッキを施す前に、例えば特許文献1のインクジェットを用いたマスキング方法を用いて所要部(金メッキ不要の部分)をマスキングすることにより、必要最小限の領域(第1片部3の打ち抜き面1dにおいて、接点部11のみ)に、金メッキ層14を設けることが可能となる。
【0024】
本実施形態のように、第1片部3の接点部11が第2片部4側に向けて突出している場合には、マスキングが困難になる傾向にあるが、金メッキを施す前に、例えば特許文献1のインクジェットを用いたマスキング方法を用いて所要部(金メッキ不要の部分)をマスキングすることにより、位置精度良くマスキングを施すことが可能となる。
図5(a)および(b)は本発明の別の実施形態のコンタクトを備えた電気コネクタの断面図であり、図6はコンタクトの概略斜視図である。図5(a)および(b)に示すように、電気コネクタ200は、接続部材60が挿入方向X1に沿って挿入される挿入凹部201を区画する絶縁性合成樹脂からなるハウジング202と、ハウジング202によって保持され、挿入凹部201内に配置されたコンタクト21と、ハウジング202の第2板部203の前半部に設けられた開口部204を、回動により開閉することのできる絶縁性合成樹脂からなるカバー205とを備えている。
【0025】
図6を参照して、コンタクト21は、板材をプレスにより打ち抜く工程を経て形成された、いわゆる打ち抜きコンタクトである。コンタクト21は、挿入方向X1に沿って無挿入力で挿入される例えばFPC等の板状の接続部材60に接続されるフォーク状のコンタクトである。
コンタクト21は、一対の板面21a,21bと、これら板面21a,21bに交差し、両板面21a,21b間を全周において接続する打ち抜き面21cとを備えている。コンタクト21は、略矩形をなす主体部22と、主体部22の一端から挿入方向X1の反対方向X2(所定方向)に略平行に延びる第1片部23および第2片部24と、主体部22の他端に設けられた略L字形形状をなすリード部25とを備えている。
【0026】
図5(a),(b)および図6に示すように、主体部22は、圧入突起22aを有しており、ハウジング202の固定孔206に圧入固定される。第1片部23は、ハウジング202の第1板部207に形成されて挿入凹部201に臨む収容溝208に収容され、保持されている。第1片部23は、主体部22に連結された基端部26と、自由端である先端部27とを備えており、弾性片部として機能する。第2片部24は、主体部22に連結された基端部28と、先端部29とを備えており、ハウジング202に固定される固定片部として機能する。
【0027】
図1の実施形態では、第1片部3が第2片部4よりも長くされていたが、本実施の形態では、第2片部24が第1片部23よりも長くされている。
第1片部23は、その先端部27において、第2片部24側に向けて反対方向X2(所定方向)とは交差する交差方向Y1に突出する山形部30を設けている。図6に示すように、第1片部3の山形部30は、打ち抜き面21cのうち、第1片部23の打ち抜き面21dに形成されている。山形部30は、山形部30の頂部を構成する凸状の接点部31と、接点部31の両側に配置された一対の斜面部32,33と備えている。
【0028】
第2片部24は第1片部23よりも若干長くされている。反対方向X2(所定方向)に関して、第1片部23の接点部31の位置は、第2片部24の一部(先端部9)の位置と重なっている。換言すると、接点部31と第2片部24の一部(先端部9)とは、交差方向Y1に対向している。
第2片部24は、山形部30に対向する凹部36を形成している。図5(a),(b)に示すように、凹部36は、カバー205に設けられた回動支軸209を受けて、回動支軸209回りにカバー205を回動可能に支持する回動支持部として機能する。
【0029】
図7を参照して、第1片部23の打ち抜き面21dには、金メッキ層34(図7において、ハッチングを施された部分に相当)が被覆されている。第1片部23の打ち抜き面21dに設けられた金メッキ層34は、凸状の接点部31のみに配置されている。
図6に示すように、接続部材60の一面に設けられた導電部61が、第1片部23の接点部31に接続される。図5(a)に示すように、カバー205が開放された状態で、接続部材60が、無挿入力で(すなわち、接続部材60が接点部31に摺接することなく)、両片部23,24間に挿入された後、図5(b)に示すように、カバー205を閉じることにより、カバー205の加圧部210によって、接続部材60の導電部61を接点部31に加圧できるようになっている。弾性片部としての第1片部23の弾性反発力が、接点部31を介して接続部材60の導電部61に及ぼされ、接点部31と導電部61との間に、所定の接触圧力が確保される。
【0030】
図8に示すように、コンタクト1の全体にニッケルメッキ層35が設けられ、金メッキ層34が設けられる領域においてのニッケルメッキ層35は、下地メッキ層として機能している。金メッキ層34が設けられない領域では、ニッケルメッキ層35が露出している。
本実施の形態においても、図1の実施形態と同じ作用効果を奏することができる。すなわち、第1片部23の打ち抜き面21dに設けられた金メッキ層34が、打ち抜き面21dに設けられた凸状の接点部31のみに配置されているので、金の量を低減して、製造コストを安くすることができる。
【0031】
また、金メッキ層34を設けない領域では、半田濡れを抑制することのできるニッケルメッキ層35が露出しているので、例えば、リード部25における半田上がりを効果的に防止することができる。
また、第1片部23および第2片部24が設けられ、反対方向X2(所定方向)に関して、第1片部23の接点部31の位置が、第2片部24の一部(先端部9)の位置と重なっているが、金メッキを施す前に、例えば特許文献1のインクジェットを用いたマスキング方法を用いて所要部(金メッキ不要の部分)をマスキングすることにより、必要最小限の領域(第1片部23の打ち抜き面21dにおいて、接点部31のみ)に、金メッキ層34を設けることが可能となる。
【0032】
本実施形態のように、第1片部23の接点部31が第2片部24側に向けて突出している場合には、マスキングが困難になる傾向にあるが、金メッキを施す前に、例えば特許文献1のインクジェットを用いたマスキング方法を用いて所要部(金メッキ不要の部分)をマスキングすることにより、位置精度良くマスキングを施すことが可能となる。
次いで、図9は本発明の別の実施形態のコンタクトを備えた電気コネクタの概略断面図であり、図10はコンタクトの概略斜視図である。図9に示すように、接続部材60が挿入方向X1に沿って挿入される挿入凹部301を区画する絶縁性合成樹脂からなるハウジング302と、ハウジング302によって保持され、挿入凹部301内に配置されたコンタクト41と、ハウジング302の第2板部303の前半部に設けられた開口部304を、回動により開閉することのできる絶縁性合成樹脂からなるカバー305とを備えている。
【0033】
図10を参照して、コンタクト41は、板材をプレスにより打ち抜く工程を経て形成された、いわゆる打ち抜きコンタクトである。コンタクト41は、挿入方向X1に沿って無挿入力で挿入される例えばFPC等の板状の接続部材60に接続されるフォーク状のコンタクトである。
コンタクト41は、一対の板面41a,41bと、これら板面41a,41bに交差し、両板面41b,41b間を全周において接続する打ち抜き面41cとを備えている。コンタクト41は、略鉤形をなす主体部42と、主体部42の一端から挿入方向X1の反対方向X2(所定方向)に略平行に延びる第1片部43および第2片部44と、第1片部43の先端部47に設けられたリード部45とを備えている。
【0034】
図9および図10に示すように、主体部42は、圧入突起42aを有しており、ハウジング302の固定孔306に圧入固定される。第1片部43は、ハウジング302の第1板部307に形成されて挿入凹部301に臨む収容溝308に収容され、保持されている。第1片部43は、主体部42に連結された基端部46と、前記の先端部47とを備えている。第1片部43の先端部47のリード部45に設けられた係止突起45aが、ハウジング302の第1板部307の端部に係止している。これにより、第1片部43は固定片部として機能する。第2片部44は、主体部42に連結された基端部48と、自由端としての先端部49とを備えており、弾性片部として機能する。
【0035】
図1の実施形態では、接点部11が、第1片部3の先端部9に設けられていたが、本実施形態では、接点部51が、第1片部43の長手方向の中間部(図9の例では略中央部)に設けられている。
第1片部43は、その長手方向(反対方向X2に相当)の中間部において、第2片部44側に向けて反対方向X2(所定方向)とは交差する交差方向Y1に突出する山形部50を設けている。図10に示すように、第1片部43の山形部50は、打ち抜き面41cのうち、第1片部43の打ち抜き面41dに形成されている。山形部50は、山形部50の頂部を構成する凸状の接点部51と、接点部51の両側に配置された一対の斜面部52,53と備えている。
【0036】
第2片部44は第1片部43よりも短くされている。反対方向X2(所定方向)に関して、第1片部43の接点部51の位置は、第2片部44の一部の位置と重なっている。換言すると、接点部51と第2片部44の一部とは、交差方向Y1に対向している。
第2片部44の先端部49は、第1片部43の斜面部52に概ね対向する凹部56を形成している。凹部56は、第1片部43側に向けて突出する一対の突起57,58の間に形成されている。図9に示すように、凹部56は、カバー305に設けられた回動支軸309を受けて、回動支軸309回りにカバー305を回動可能に支持する回動支持部として機能する。
【0037】
図11を参照して、第1片部43の打ち抜き面41dには、金メッキ層54(図11において、ハッチングを施された部分に相当)が被覆されている。第1片部43の打ち抜き面41dに設けられた金メッキ層54は、凸状の接点部51のみ配置されている。
図10に示すように、接続部材60の一面に設けられた導電部61が、第1片部43の接点部51に接続される。図示していないが、カバー305が開放された状態で、接続部材60が、無挿入力で(すなわち、接続部材60が接点部51に摺接することなく)、両片部43,44間に挿入された後、図10に示すように、カバー305を閉じることにより、カバー305の加圧部310によって、接続部材60の導電部61を接点部51に加圧できるようになっている。弾性片部としての第2片部44の弾性反発力が、接続部材60の導電部61を介して接点部51に及ぼされ、接点部51と導電部61との間に、所定の接触圧力が確保される。
【0038】
図12に示すように、コンタクト1の全体にニッケルメッキ層55が設けられ、金メッキ層54が設けられる領域においてのニッケルメッキ層55は、下地メッキ層として機能している。金メッキ層54が設けられない領域では、ニッケルメッキ層55が露出している。
本実施の形態においても、図1の実施形態と同じ作用効果を奏することができる。すなわち、第1片部43の打ち抜き面41dに設けられた金メッキ層54が、打ち抜き面41dに設けられた凸状の接点部51のみに配置されているので、金の量を低減して、製造コストを安くすることができる。
【0039】
また、金メッキ層54を設けない領域では、半田濡れを抑制することのできるニッケルメッキ層55が露出しているので、例えば、リード部45における半田上がりを効果的に防止することができる。
また、第1片部43および第2片部44が設けられ、反対方向X2(所定方向)に関して、第1片部43の接点部51の位置が、第2片部44の一部(中間部)の位置と重なっているが、金メッキを施す前に、例えば特許文献1のインクジェットを用いたマスキング方法を用いて所要部(金メッキ不要の部分)をマスキングすることにより、必要最小限の領域(第1片部43の打ち抜き面41dにおいて、接点部51のみ)に、金メッキ層54を設けることが可能となる。
【0040】
本実施形態のように、第1片部43の接点部51が第2片部44側に向けて突出している場合には、マスキングが困難になる傾向にあるが、金メッキを施す前に、例えば特許文献1のインクジェットを用いたマスキング方法を用いて所要部(金メッキ不要の部分)をマスキングすることにより、位置精度良くマスキングを施すことが可能となる。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば図1の実施の形態の変更例として、図13に示すように、第1片部3の打ち抜き面1dとは交差する、第1片部3の交差面としての一対の板面1a,1bの少なくとも一方(図13の例では、板面1a)に、打ち抜き面1dの金メッキ層としての第1の金メッキ層141に連なる第2金メッキ層142が設けられていれば好ましい。
【0041】
この場合、下記の利点がある。すなわち、交差面としての板面1aまたは1bにおける第2金メッキ層142の存在を目視等で確認することで、視認しづらい打ち抜き面1dの第1金メッキ層141の有無を認識することができる。したがって、簡便な検査が可能となる。第2メッキ層142は、その存在を視認できれば少量で十分であるので、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0042】
また、図示していないが、図6の実施形態において、交差面としての一対の板面21a,21bの少なくとも一方に、第2金メッキ層を設けるようにしてもよく、図10の実施形態において、交差面としての一対の板面41a,41bの少なくとも一方に、第2メッキ層を設けるようにしてもよい。
また、図3の実施形態の変更例として、図14(a)に示すように、接点部12を構成する頂部に被覆される金メッキ層14が、接点部11の一部(例えば打ち抜き方向である板厚方向Z1の中央部16)に形成されていてもよい。通例、図14(b)に示すように、コンタクト1の接点部11において板厚方向の両側縁には、面取り部17が形成れており、その面取り部17は相手方の接続部材60と接触しない。そこで、接点部11においては、その面取り部17を除く中央部16(相手方の接続部材60と実際に接触する部分)のみに限定して、金メッキを施すことにより、さらなるコストダウンを達成する趣旨である。
【0043】
図示していないが、図7の実施形態において、接点部31の一部(例えば打ち抜き方向である板厚方向の中央部)に金メッキ層34を設けるようにしてもよく、図11の実施形態において、接点部51の一部に金メッキ層54を設けるようにしてもよい。その他、本発明は、請求項記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0044】
1 コンタクト
1a,1b 板面(交差面)
1d 片部の打ち抜き面
2 主体部
3 第1片部
4 第2片部
11 接点部
14 金メッキ層
15 ニッケルメッキ層(異種金属メッキ層)
21 コンタクト
21a,21b 板面(交差面)
21d 片部の打ち抜き面
22 主体部
23 第1片部
24 第2片部
31 接点部
34 金メッキ層
35 ニッケルメッキ層(異種金属メッキ層)
41 コンタクト
41a,41b 板面(交差面)
41d (片部の)打ち抜き面
42 主体部
43 第1片部
44 第2片部
51 接点部
54 金メッキ層
55 ニッケルメッキ層(異種金属メッキ層)
60 接続部材
61 導電部
141 第1金メッキ層
142 第2金メッキ層
100 電気コネクタ
102 ハウジング
200 電気コネクタ
202 ハウジング
300 電気コネクタ
302 ハウジング
X1 挿入方向
X2 反対方向(所定方向)
Y1 交差方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス加工による打ち抜き面を有して所定方向に延びる片部を備え、
前記打ち抜き面は、凸状の接点部と、金メッキ層と、を含み、
前記打ち抜き面の金メッキ層は、前記接点部のみに設けられているコンタクト。
【請求項2】
請求項1において、前記片部の全面に、金とは異種の金属の異種金属メッキ層が設けられ、前記金メッキ層は、前記異種金属メッキ層の表面に設けられているコンタクト。
【請求項3】
請求項1または2において、前記片部としての第1片部と、前記第1片部に平行に延びる第2片部と、を備え、前記所定方向に関して、前記第1片部の接点部の位置が、前記第2片部の一部の位置と重なっているコンタクト。
【請求項4】
請求項3において、前記第1片部の凸状の接点部は、前記第2片部側に向けて突出しているコンタクト。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項において、前記片部は、前記打ち抜き面とは交差する板面を含み、前記板面に、前記打ち抜き面の金メッキ層としての第1の金メッキ層に連なる第2金メッキ層が設けられているコンタクト。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載のコンタクトと、前記コンタクトを保持した絶縁性のハウジングとを備える電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−80623(P2013−80623A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220022(P2011−220022)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)