説明

コンタクトレンズ薬物送達デバイス

本発明は概して、1つ以上の活性剤を、それを必要とするヒトまたは動物の患者の眼に対して投与するためのデバイスおよび方法、ならびにより詳細には、その眼に対して制御された方式で活性剤を放出する、角膜に適用するためのデバイスに関する。本発明は特に、薬物溶出性コンタクトレンズであって:少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料を含み、該コンタクトレンズが、少なくとも120時間にわたって該少なくとも1つの薬物の実質的にゼロ次の放出を提供し、ここで該少なくとも1つの薬物が1時間あたり少なくとも0.01マイクログラムの速度で放出される、薬物溶出性コンタクトレンズに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、「Contact Lens Drug Delivery Device」という発明の名称の、2008年12月11日に出願された米国仮特許出願第61/121,806号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は概して、1つ以上の活性剤を、それを必要とするヒトまたは動物の患者の眼に対して投与するためのデバイスおよび方法、ならびにより詳細には、その眼に対して制御された方式で活性剤を放出する、角膜に適用するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
局所点眼液、または点眼剤は現在のところ、眼の薬物送達の最もよく用いられる方法である。点眼剤は全ての眼科薬のうち約90%を占めるが、極めて非効率的である。点眼剤は、パルス送達によって投与され、これは一時的な過剰投与と、その後有効な治療濃度が比較的短期間であること、次に不十分な濃度または過小用量の状態が長時間続くということで特徴付けられる。さらに、各々の小滴は、反射性流液およびまばたきによって希釈および洗い流され、その結果点眼剤のうちわずか1〜7%しか眼に吸収されない。残りは患者の頬に流れるか、または鼻涙系を通じて流れ落ちる。
【0004】
眼科用軟膏(粘性の半固体製剤である)は、液体の点眼剤の代わりに最もよく用いられ得る。その粘性が大きいために、軟膏は、角膜と長時間接触して、溶液よりも薬物吸収の機会が大きくなる可能性がある。しかし、軟膏の粘性の特性は、患者の視覚をゆがめ、かつぼやけさせる。硝子体、結膜下腔およびテノン嚢下腔への注射もまた、いくつかの医薬品では薬物送達の代替法である。しかし、関連する不快感、感染のリスクおよび眼の注射に関して患者の関心が薄いために、注射による薬物送達は通常、水溶性が乏しいかまたは局所的方法によって十分に送達できない薬物については留保される。眼に対する医薬品の利用可能性を増大し、眼に対する医薬品の曝露時間を増大し、かつ局所点眼として効果的にかつ効率的に適用できない眼剤を眼にさらに効果的に送達する必要性が依然として存在する。
【0005】
コンタクトレンズを通して眼へ医薬品を送達するという概念は、早くも1960年代には導入された。従来のソフトコンタクトレンズからの医薬品の取り込みおよび放出する方法は探索されているが、制御された徐放性の放出方式で眼に薬物を送達し得るコンタクトレンズデバイスを提供する必要が依然として存在する。さらに、デザインが比較的簡易であり、複雑でかつ高価な製造過程を必要とせず、患者の視覚をそれほど損なうことも妨げることもなく、眼科医および外科医の診療方式を実質的に変更する必要がないコンタクトレンズ薬物送達デバイスを提供することが所望される。使用の際、薬物送達デバイスについては、患者を偶然見ても実質的に目立たないことも所望される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
制御された薬物送達のための改良されたデバイスおよび方法が提供される。本発明の主題は、ある場合には、相互に関係のある製品、特定の問題に対する代替の解決、ならびに/または1つ以上の物品および/もしくは方法の複数の異なる用途を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一局面では、薬物溶出性コンタクトレンズが提供される。このコンタクトレンズは、少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料を含み、ここでこのコンタクトレンズは、少なくとも120時間にわたってこの少なくとも1つの薬物の実質的にゼロ次の放出を提供し、ここでこの少なくとも1つの薬物は、1時間あたり少なくとも0.01マイクログラムの速度で放出される。
【0008】
別の局面では、薬物溶出性コンタクトレンズが提供される。このコンタクトレンズは、このコンタクトレンズの装着者の視線が経路を通過する光学経路を備える。このコンタクトレンズはさらに、眼の近位のコンタクトレンズによる放出のための少なくとも1つの薬物を含む実質的に連続の薬物担持ゾーンを備え、このゾーンは、この光学経路を取り囲むがこの光学経路中には存在しておらず、ここでこの薬物担持ゾーンは、レンズ材料によって封入されている。
【0009】
さらに別の局面では、薬物溶出性コンタクトレンズが提供される。この薬物溶出性コンタクトレンズは、少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料を含み、該薬物放出材料が、眼の近位に該材料から該薬物を放出するように構築および配置されており、ここで該薬物が少なくとも約2mgの量で該コンタクトレンズ中に存在する。
【0010】
さらに別の局面では、薬物溶出性コンタクトレンズが提供される。この薬物溶出性コンタクトレンズは、少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料を含み、該薬物放出材料が、眼の近位に該コンタクトレンズから該薬物を、少なくとも120時間の期間にわたって、1時間あたり少なくとも1マイクログラムの速度で放出するように構築および配置されている。
【0011】
さらに別の局面では、薬物溶出性コンタクトレンズが提供される。この薬物溶出性コンタクトレンズは、少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料を含み、該薬物放出材料が、眼の近位に該コンタクトレンズから該薬物を、少なくとも120時間の期間にわたって、制御された速度で放出するように構築および配置されており、その結果該レンズは、120時間目に、該少なくとも1つの薬物を1時間あたり少なくとも0.05マイクログラムの速度で放出する。
【0012】
さらに別の局面では、薬物溶出性コンタクトレンズが提供される。この薬物溶出性コンタクトレンズは、少なくとも1つの薬物を含んでいる薬物放出材料を含む。この薬物溶出性コンタクトレンズはさらに、薬物放出材料を封入しているヒドロゲルレンズ材料を含み、ここでこのコンタクトレンズは、患者の眼に対して少なくとも1つの薬物の制御放出を提供する。
【0013】
さらに別の局面では、薬物溶出性コンタクトレンズが提供される。この薬物溶出性コンタクトレンズは、このコンタクトレンズの光軸を囲む単一薬物放出材料を含み、この薬物放出材料は、少なくとも1つの薬物が分散されているポリマーを含んでいる。このコンタクトレンズはさらに、薬物放出材料を封入しているヒドロゲルレンズ材料を含み、ここでこのコンタクトレンズは、患者の眼の上に配置された場合、この患者の眼に対して少なくとも1つの薬物の制御放出を提供する。
【0014】
さらに別の局面では、薬物溶出性コンタクトレンズが提供される。この薬物溶出性コンタクトレンズは、薬物含有ポリマーフィルムを封入しているヒドロゲルレンズ材料を含み、ここでこのコンタクトレンズは、少なくとも168時間にわたって少なくとも1つの薬物の実質的にゼロ次の放出を提供する。
【0015】
さらに別の局面では、薬物溶出性コンタクトレンズが提供される。この薬物溶出性コンタクトレンズは、薬物含有ポリマーフィルムを封入しているヒドロゲルレンズ材料を含み、ここでこのコンタクトレンズは、少なくとも168時間にわたって少なくとも1つの薬物の治療上有効な量での放出を提供する。
【0016】
さらに別の局面では、パッケージングされた医療用デバイスが提供される。このパッケージングされた医療用デバイスは、上述の薬物溶出性コンタクトレンズのうち少なくとも1つと、パッケージング容器であって(i)この少なくとも1つの薬物溶出性コンタクトレンズ、および(ii)この少なくとも1つの薬物溶出性コンタクトレンズの薬物含有ポリマーフィルム中のこの少なくとも1つの薬物と同じ薬物である薬物の飽和溶液を含むパッケージング容器と、を備える。
【0017】
さらに別の局面では、パッケージングされた医療用デバイスが提供される。パッケージングされた医療用デバイスは、上述の薬物溶出性コンタクトレンズのうち少なくとも1つであって、凍結乾燥されているか、またはそうでなければ部分的にもしくは完全に脱水状態である、コンタクトレンズを含む。このパッケージングされた医療用デバイスはさらに、この少なくとも1つの薬物溶出性コンタクトレンズを含むパッケージング容器を備え、このパッケージング容器は、密閉されており、かつこの少なくとも1つの薬物溶出性コンタクトレンズをその凍結乾燥状態で維持し得る。
【0018】
さらに別の局面では、患者の眼に対して薬物を投与するための方法が提供される。この方法は、患者の眼の角膜上に上述の任意の薬物溶出性コンタクトレンズを適用する工程を包含する。この方法はさらに、この患者の眼に対してこのコンタクトレンズから少なくとも1つの薬物が、治療上有効な量でまたは予防上有効な量で放出されることを可能にする工程を包含する。
【0019】
さらに別の局面では、患者の眼に対して薬物を投与するための方法が提供される。この方法は、患者の眼の角膜中に、(i)少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料と(ii)該薬物放出材料を封入しているヒドロゲルレンズ材料とを含むデバイスを移植する工程を包含する。この方法はさらに、患者の眼に対して移植されたデバイスからこの少なくとも1つの薬物が、治療上有効な量でまたは予防上有効な量で、制御可能に放出されることを可能にする工程を包含する。
【0020】
さらに別の局面では、患者の眼に対して薬物を投与するための方法が提供される。この方法は、患者の眼の強膜中に、(i)少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料と(ii)この薬物放出材料を封入しているヒドロゲルレンズ材料とを含むデバイスを外科的に縫合する工程を包含する。この方法はさらに、患者の眼に対して移植されたデバイスからこの少なくとも1つの薬物が、治療上有効な量でまたは予防上有効な量で、制御可能に放出されることを可能にする工程を包含する。
【0021】
さらに別の局面では、患者における眼の感染の予防または処置のための方法が提供される。この方法は、患者の眼の角膜上に上述の任意の薬物溶出性コンタクトレンズを適用する工程であって、ここで少なくとも1つの薬物が抗感染症剤を含む工程を包含する。この方法はさらに、患者の眼に対してこのコンタクトレンズから少なくとも1つの抗感染症剤を、治療上有効な量でまたは予防上有効な量で少なくとも24時間放出する工程を包含する。
【0022】
さらに別の局面では、コンタクトレンズ薬物送達デバイスを作製する方法が提供される。この方法は、ポリマー−薬物フィルムを形成する工程を包含する。この方法はさらに、ヒドロゲルレンズ材料内にポリマー−薬物フィルムをレンズの形状で封入する工程を包含する。
【0023】
さらに別の局面では、本明細書に記載されるような制御された薬物送達のための構造が提供される。
【0024】
さらに別の局面では、薬物溶出性コンタクトレンズが提供される。このコンタクトレンズは、非ポリマー性賦形剤材料と組み合された少なくとも1つの薬物を含む薬物含有フィルムを含む。このコンタクトレンズはさらに、薬物含有フィルムを封入しているレンズ材料を含み、ここでこのコンタクトレンズは、患者の眼に対して少なくとも1つの薬物の制御放出を提供する。
【0025】
さらに別の局面では、強膜レンズが提供される。この強膜レンズは、硬質レンズ部分と、少なくとも1つの薬物を含んでいる薬物放出材料を含む薬物放出デポ部分とを備える。この強膜レンズはさらに、この薬物放出材料を封入しているヒドロゲルレンズ材料を備え、ここでこの薬物放出デポ部分は、この強膜レンズが装着された場合、この硬質レンズと患者の角膜との間にこのデポ部分が位置するようにこの硬質レンズに固定されている。
【0026】
さらに別の局面では、眼で使用するために構築されかつ配置されたデバイスが提供される。このデバイスは、少なくとも1つの薬物を含んでおり、120時間目に、このデバイスは1時間あたり少なくとも0.05マイクログラムの速度で少なくとも1つの薬物を放出するよう制御された速度で少なくとも120時間の期間にわたって眼の近位のデバイスからこの薬物を放出するように構築されかつ配置された薬物放出材料を備えている。
【0027】
本発明の他の利点および新たな特徴は、本発明の種々の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から、添付の図面と組み合わせて考慮した場合、明らかになるであろう。本明細書および参照によって援用される文書が矛盾および/または不一致の開示を含む場合、本明細書が優先するものとする。
【0028】
本発明の非限定的な実施形態は、一例として添付の図面(略図であって、一定の縮尺で描く意図ではない)を参照して記載されている。この図では、図示された各々の同一のまたはほぼ同一の構成要素が通常、単数で示される。明瞭にするために、あらゆる構成要素をあらゆる図で表示しているわけではなく、示すのは本発明の各々の実施形態のあらゆる構成要素でもなく、図面は必ずしも、当業者が本発明を理解することを可能にする必要もない。1日とは24時間に相当することが理解されるべきである。複数の日が示される場合、日数は、日数に24時間を掛けることによって時間に変換できることも理解すべきである。図面では以下のとおりである:
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、5mmの透明な光学的開口部を有するシプロフロキサシンを含んでいるPLGAフィルムを封入するpHEMAであるpHEMAヒドロゲルから構成されるプロトタイプの薬物送達デバイスの写真である。
【図2A】図2aは、リング形の薬物放出材料を有するプロトタイプの薬物送達デバイスの略図である。図2bは、アーチ形または三日月形の薬物放出材料を有するプロトタイプの薬物送達デバイスの略図である。
【図2B】図2aは、リング形の薬物放出材料を有するプロトタイプの薬物送達デバイスの略図である。図2bは、アーチ形または三日月形の薬物放出材料を有するプロトタイプの薬物送達デバイスの略図である。
【図3A】図3aは、遊離のフルオレセイン粉末、フルオレセイン−PLGAフィルムおよびフルオレセイン−PLGAフィルム(pHEMAで封入された)からの30日にわたる累積的放出を示すグラフである。データは、平均値と標準偏差である。図3bは、遊離のフルオレセイン粉末、フルオレセイン−PLGAフィルムおよびフルオレセイン−PLGAフィルム(pHEMAで封入された)からの100日にわたる累積的放出を示すグラフである。データは、平均値と標準偏差である。
【図3B】図3aは、遊離のフルオレセイン粉末、フルオレセイン−PLGAフィルムおよびフルオレセイン−PLGAフィルム(pHEMAで封入された)からの30日にわたる累積的放出を示すグラフである。データは、平均値と標準偏差である。図3bは、遊離のフルオレセイン粉末、フルオレセイン−PLGAフィルムおよびフルオレセイン−PLGAフィルム(pHEMAで封入された)からの100日にわたる累積的放出を示すグラフである。データは、平均値と標準偏差である。
【図4】図4は、pHEMAで封入されたフルオレセインの累積的放出を示すグラフであり、PLGAなし(「PLGAなしのフルオレセイン」)か、または種々の割合のフルオレセイン対PLGAである。デバイスあたりのフルオレセインの質量は、群の間で一定である。データは、平均値と標準偏差である。
【図5】図5は、pHEMAで封入した低分子量(18kDa)および高分子量(118kDa)のPLGAフィルムからのフルオレセインの累積的放出を示すグラフである。データは、平均値と標準偏差である。
【図6】図6は、pHEMAで封入した高分子量(118kDa)のPLGA65:35フィルム(1:1のPLGA:シプロフロキサシン比を有する)からのシプロフロキサシン放出を示すグラフである。データは、平均値と標準偏差である。
【0030】
本発明の他の局面、実施形態および特徴は、添付の図面と組み合わせて考慮した場合、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。添付の図面は、略図であり、かつ一定の縮尺で描くことを意図したものではない。明瞭にするために、あらゆる構成要素をあらゆる図で表示しているわけではなく、示すのは本発明の各々の実施形態のあらゆる構成要素でもなく、図面は必ずしも、当業者が本発明を理解することを可能にする必要もない。参照により本明細書に引用した全ての特許出願および特許の内容全体を参照することによって、本明細書に引用したものとする。矛盾する場合、定義を含め本明細書が優先する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
改良された薬物送達デバイスが、眼の領域に薬物または他の活性剤を投与するために開発されている。一局面では、このデバイスは、患者の角膜に適用され得る薬物溶出性コンタクトレンズである。一実施形態では、このコンタクトレンズデバイスは、少なくとも1つの薬物を含んでいる薬物放出材料と、この薬物放出材料を封入しているヒドロゲルレンズ材料とを含む。この構造は有利には、薬物の制御放出を提供し得、これは、長期間にわたって、実質的にゼロ次の放出速度であることが発見されている。いくつかの実施形態では、この構造によって、有益にもコンタクトレンズは高濃度の薬物を負荷可能であり、薬物の時期尚早であるか、または未制御の漏出が本質的に回避され得る。一実施形態では、薬物放出材料を囲んでいるレンズ材料は、実質的に均一な組成を有する。特定の実施形態では、このデバイスは、コンタクトレンズの光軸を囲む単一の薬物放出材料を有する。このコンタクトレンズデバイスは、有利には、長期間にわたって治療上または予防上有効な量の薬物の徐放性放出を提供し得る。一実施形態では、コンタクトレンズからの薬物の制御放出は実質的に、この薬物の治療上または予防上有効な量が放出される期間にわたってゼロ次である。
【0032】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、少なくとも1つの活性剤(例えば、薬物)を含んでいる薬物放出材料と、この少なくとも1つの活性剤を含んでいる薬物放出材料を封入しているヒドロゲルレンズ材料とを含む。このデバイスは一般には、所定の眼科使用または非眼科使用に適切である任意の構成または幾何形状で提供され得る。
【0033】
一局面では、このデバイスは、コンタクトレンズの形状である。すなわち、このデバイスは、薬物溶出性コンタクトレンズであってもよい。一実施形態では、コンタクトレンズは、患者によって装着された場合、このコンタクトレンズが、少なくとも部分的に眼瞼下に分散された薬物放出材料とともに結膜と接触するように構造化され、かつ寸法決定される。他の実施形態では、このコンタクトレンズは、これらの解剖学的目印の一方または両方を回避するように設計され得る。レンズデバイスは、度付きであってもまたは平面であってもよい。
【0034】
特定の実施形態では、コンタクトレンズデバイスは、薬物の放出にわたって方向の制御を付与する構造的特徴を設けられてもよい。例えば、コンタクトレンズデバイスは、種々の厚みおよび透過性またはその任意の組み合わせの、微小穿孔の、選択された領域を備えてもよく、これが、例えば、拡散質量輸送にのみ依拠しなければならないのではなく、拡散距離を減らすこと、またはこのデバイスの部分を通じたバルク液体流量を可能にすることによって薬物の質量輸送を容易にし得る。
【0035】
このコンタクトレンズデバイスは、2種類以上の薬物を同時に送達し得る。一実施形態では、このコンタクトレンズデバイスは、第二の薬物(これは、薬物放出材料中に組み込まれてもよい)、ヒドロゲルレンズ材料、またはその両方を含む。コンタクトレンズは、第三の薬物、第四の薬物、またはより多くの薬物を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0036】
一実施形態では、コンタクトレンズデバイスは、単一の薬物放出材料を有する。特定の実施形態では、コンタクトレンズデバイス中の薬物放出材料の領域は、コンタクトレンズデバイスが光軸にそって可視になる場合、ヒドロゲルレンズ材料の領域のうち1%より多く、5%より多く、10%より多く、20%より多く、50%より多く、または75%より多くと同延である。
【0037】
いくつかの実施形態では、薬物放出材料は、少なくとも活性剤(例えば、薬物)が混合される放出剤を含む。この混合物は、均一な混合物であっても、または不均一な混合物であってもよい。一実施形態では、この薬物は、放出剤中で不溶性で、かつ分散される。別の実施形態では、この薬物および放出剤は、固溶体の形態である。例えば、固溶体は、溶媒系、例えば、共溶媒(この放出剤および薬物は両方とも可溶化されている)を用いることによって作製され得る。下にさらに詳細に考察されるとおり、いくつかの実施形態では、この放出剤は、ポリマーおよび/または非ポリマー性賦形剤を含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、この薬物放出材料は、フィルムとして構成されてもよい。本明細書において用いる場合、「フィルム」という用語は、50nm〜500μmの厚みを有する、材料の薄い、好ましくは、可塑性のモノリシックシートを意味する。一実施形態では、このフィルムは、約1μm〜500μmである。一実施形態では、このフィルムは、約10μm〜約100μmの厚みを有する。マイクロ粒子のコレクションを含んでいる層は、フィルムではなく;しかし、薬物放出材料は、マイクロ粒子および/またはナノ粒子などの粒子のコレクションを含んでもよい。
【0039】
一般には、本明細書に記載のデバイスの薬物放出材料は、種々の形状およびサイズに構築され得る。特定の実施形態では、薬物放出材料は、環状もしくはリング状、または半円形、三日月形、またはアーチ形である。一実施形態では、薬物放出材料は、コンタクトレンズの光軸の周りに開口部を備える。一実施形態では、この薬物放出材料は、多層構造を有してもよい。一例では、薬物放出材料は、片側または両側の上に、例えば、薬物を含まないかまたは薬物放出材料よりも含む薬物が少ないかもしくは多いポリマーによるコーティングを備えてもよい。この薬物放出材料は、単一のフィルムを含んでも、または2つ以上のフィルムのスタックを含んでもよい。
【0040】
特定の実施形態では、ヒドロゲル3の中に封入された薬物放出材料4は、図2aに示されるようなリングの形状である。この実施形態の薬物放出材料は、中央の開口部を備える。通常、この開口部は、患者の眼の光軸に対応する。薬物放出材料はまた、多数の他の適切な幾何形状および構成で形成され得る。別の実施形態では、薬物放出材料5は、図2bに示されるような、アーチ形であっても、または三日月形であってもよい。本実施形態の封入ヒドロゲル6は、患者の上の眼瞼および/または下の眼瞼の下に、ならびに患者の結膜上に少なくとも部分的に、薬物放出材料5を隠すのに十分な大きさの直径を有するよう製造され得る。限定するものではないが、美容、酸素透過性および患者の視覚の障害物を含めて薬物放出材料の所望の大きさおよび形状を決定する場合、種々の要因が考慮され得る。
【0041】
薬物放出材料における薬物に対する放出剤の質量比は、例えば、特定の薬物および処置、薬物放出材料の選択されたポリマーおよび/または非ポリマー賦形剤、薬物放出の所望の速度、および/または治療有効性に必要な投薬量に依存して広範に変化し得る。他の要因もまた、薬物放出材料中の薬物に対する放出剤の質量比の選択に影響し得る。一実施形態では、この比は、約1000:1〜約1:1000であってもよい。一例では、この放出剤:薬物の比は、極めて強力な治療化合物については少なくとも1000:1であってもよい。いくつかの実施形態では、薬物放出材料中の薬物に対する放出剤の質量比は、約2:1〜約1:2、約10:1〜約1:10、または約100:1〜約1:100である。
【0042】
いくつかの実施形態では、薬物放出材料は、実質的に連続した薬物担持ゾーンを形成する。いくつかの場合には、実質的に連続した薬物担持ゾーンは、コンタクトレンズの光学経路を囲むが、光学経路中に存在することはない。一実施形態では、この薬物放出材料の組成は、実質的に均一である。別の実施形態では、薬物放出材料の第一のゾーンは、薬物放出材料の第二のゾーンとは異なる組成を有する。例えば、薬物放出材料は、薬物放出材料中の高量または低量の薬物負荷の別個の薬物担持ゾーン(すなわち、領域)を有し得る。一実施形態では、薬物負荷の勾配があってもよい。いくつかの実施形態では、薬物放出材料の第一の薬物担持ゾーンは第一の薬物を含んでもよく、薬物放出材料の第二の薬物担持ゾーンは第二の薬物を含んでもよく、この第二の薬物は、第一の薬物とは異なる。
【0043】
いくつかの場合には、薬物放出材料は、複数の層を備えてもよく、ここで各々の層は、種々の比の放出剤:薬物を含む。いくつかの実施形態では、この層の少なくとも1つは、本質的に1つ以上の薬物からなってもよい。いくつかの場合には、少なくとも1つの層は、本質的に1つ以上のポリマーからなってもよい。層は、2つ以上のポリマーの混合物を含んでもよく、第一の層は、第二の層とは異なるポリマーを含んでもよい。一実施形態では、層は、例えば、虹彩の色の外観を変化するために着色されてもよい。
【0044】
このデバイスを用いて、本質的に任意の活性剤(例えば、薬物)、例としては、例えば、低分子薬物、タンパク質、核酸、ポリサッカライドおよび生物製剤を送達し得る。薬物は、治療便益を提供し得る任意の剤であってもよい。ある実施形態では、この薬物は、眼の疾患および障害を処置するために有効な公知の薬物、または薬物の組み合わせである。限定はするものではなく、例示的な実施形態では、薬物は、抗感染症剤(例えば、抗生剤または抗真菌剤)、麻酔剤、抗−VEGF剤、抗炎症剤、生物剤(例えば、RNA)、眼圧降下剤(すなわち、緑内障薬)、またはそれらの組み合わせである。薬物の非限定的な実施例は、下に示す。
【0045】
薬物の放出特徴は、特定の適用における薬物のデザイン選択に影響し得る。例えば、シプロフロキサシンの代替品として、より高い力価の抗生物質を用いてもよい。このような強力な代替品の非限定的な例としては、オフロキサシン、ガチフロキサシン、およびレボフロキサシンが挙げられる。これらの代替的なフルオロキナロン類はまた、シプロフロキサシンよりも水溶性が大きい。マレイン酸チモロールは、別の極めて強力な薬物であって、これは限定するものではないが、塩酸ドゾラミドおよびラタノプラストを含めていくつかの代替品がある。マレイン酸チモロールと比較して、塩酸ドルゾラミドは水溶性が高いが、ラタノプロストは水溶性が低い。従って、いずれの理論によっても拘束されることは望まないが、薬物およびそれらの代替品の水溶性は、現在開示されている薬物送達デバイスにどの薬物が組み込まれるかを決定する役割を果たし得る。
【0046】
薬物放出材料におけるポリマーは本質的に、任意の生体適合性ポリマー、コポリマー、ターポリマー、またはポリマー混合物である。一局面では、薬物放出材料のポリマーは、生分解性である。一実施形態では、ポリマーの分解産物は、眼の領域における健康上のリスクとなってはならない。
【0047】
薬物放出材料中のポリマーの生分解性は通常、その分解が薬物の所望の放出を促進し得る場合を除いて第一には考慮されない。一般には、生分解性および非生分解性のポリマーの両方が、本明細書に記載されるデバイスで望ましく機能する薬物ポリマーフィルムを作製するために用いられ得る。
【0048】
一実施形態では、薬物放出材料のポリマーは、生分解性である。例えば、薬物放出材料のポリマーは、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(「PLGA」)、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトンをはじめとするポリエステル類、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アミノエステル)、ポリ無水物、ポリオルガノホスファゼン、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。当業者に公知の他の生分解性ポリマーはまた、所望の機械的特性およびポリマー−薬物の相互作用に基づいて適用および選択され得る。
【0049】
別の実施形態では、薬物放出材料のポリマーは、非分解性である。例えば、薬物放出材料のポリマーは、エチルセルロース、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(ウレタン),シリコーン樹脂、ナイロン、ポリアクリル酸アンモニウム、アクリルアミドコポリマー、アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アクリレート/アクリル酸アンモニウムコポリマー、アクリレート/アルキルアクリレートコポリマー、アクリレート/カルバメートコポリマー、アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、アクリル酸アンモニウムコポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー、酢酸ビニル/アクリレートコポリマー、アミノメチルプロパノール/アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、またはその任意の組み合わせであってもよい。当業者に公知の他の非分解性ポリマーはまた、所望の力学的特性およびポリマー−薬物相互作用に基づいて適用および選択され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、薬物放出材料は、ヒドロゲルを含んでもよい。ヒドロゲルの例としては、限定するものではないが、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)、シリコーン、アガロース、アルギン酸塩、キトサンおよびヒアルロン酸が挙げられる。当業者に公知の他のヒドロゲルはまた、所望の力学的特性およびヒドロゲル−薬物相互作用に基づいて適用および選択されてもよい。薬物放出材料は、いくつかの場合には、あるpH範囲内でゲルを形成し得る。別の実施形態では、薬物放出材料は、臨界温度で液体とゲルとの間を遷移し得る。
【0051】
代替的実施形態では、薬物放出材料のポリマーは、非ポリマー性賦形剤で置換され得る。例えば、薬物放出材料は糖であってもよい。一実施形態では、薬物放出材料は、スクラルファートであってもよい。賦形剤の他の例は下に示す。
【0052】
一般には、薬物放出材料を封入するために用いられるレンズ材料は、眼の医療用途または眼以外の医療用途に適切な任意の生体適合性材料であり得る。一実施形態では、レンズ材料は、ソフトコンタクトレンズの分野で公知のヒドロゲルである。例えば、種々の実施形態では、レンズ材料は、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)、シリコーン、または複合材料(ヒドロゲル中に分散したシリコーンを含む)を含んでもよい。一実施形態では、ヒドロゲルは、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)またはそのコポリマーを含む。別の実施形態では、ヒドロゲルは、シリコーンヒドロゲルを含む。さらに別の実施形態では、ヒドロゲルは、ヒアルロン酸を含む。ヒドロゲルは、当該分野で公知の方法および/または材料(眼の組織での使用に適切である)を用いて架橋され得る。一実施形態では、架橋剤は、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)である。
【0053】
代替的実施形態では、レンズ材料は、非ヒドロゲル材料である。この非ヒドロゲル材料は、コンタクトレンズとしてのその使用を可能にする、適切な酸素、水、および薬物の透過性特性を有し得る。いくつかの実施形態では、レンズ材料は、ハードコンタクトレンズ(すなわち、剛性のガス透過性レンズ)の分野で公知の材料である。ハードコンタクトレンズは、穿孔があってもなくてもよい。
【0054】
薬物放出材料を封入するために用いられるレンズ材料は、薬物の所望の投与期間にわたって、例えば、必要な処置または予防の期間にわたって、患者がそのコンタクトレンズを安全に装着できるのに十分な酸素透過性を有する任意の材料であってもよい。用いられるヒドロゲル材料の酸素透過性(すなわち、Dk値)に依存して、コンタクトレンズデバイスは、連続装用され得る。レンズ材料は、いくつかの実施形態では、5より大きい、10より大きい、15より大きい、20より大きい、30より大きい、60より大きい、90より大きい、100より大きいまたはそれ以上のDk値を有してもよい。一実施形態では、酸素透過性は、このコンタクトレンズデバイスが毎日の眼の装着に適切であるような透過性である。例えば、ヒドロゲル材料は、少なくとも5.25というDk値を有してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、レンズ材料は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%の水含有量である。いくつかの場合には、水含量は、40%〜60%である。
【0056】
いくつかの実施形態では、デバイスは、1〜2400時間装着され得る。特定の実施形態では、レンズ材料は、少なくとも24時間、少なくとも72時間、少なくとも120時間、少なくとも240時間、少なくとも336時間、少なくとも480時間、または少なくとも720時間にわたってコンタクトレンズデバイスが患者に連続装用可能であるのに十分な酸素透過性である。
【0057】
1日は24時間に相当することが理解されるべきである。複数の日が示される場合、この日は、日数に24時間を掛けて時間に変換され得ることも理解されるべきである。
【0058】
いくつかの実施形態では、コンタクトレンズデバイスはまた、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、またはそれより長く装着され得る。いくつかの場合には、デバイスは、1日あたり少なくとも2回、1日あたり少なくとも1回、1週あたり少なくとも1回、または1月あたり少なくとも1回取り外され得る。このデバイスは、同様に他の頻度でも取り外されてもよい。デバイスの除去後、同じコンタクトレンズデバイスを再挿入してもよいし(例えば、洗浄および/または消毒した後)、または新しいコンタクトレンズデバイスを挿入してもよい。
【0059】
一実施形態では、レンズ材料は、そのコンタクトレンズデバイスの光軸に対して少なくとも一部で、光学的に透明である。
【0060】
一実施形態では、レンズ材料はまた、放出のための薬物を含んでもよい。これは、薬物放出材料を封入する前にレンズ材料前駆体中に混合されてもよいし、または封入プロセス後にレンズ材料中に負荷されてもよい。レンズ材料中の薬物は、薬物放出材料中に提供される薬物(単数または複数)と同じであってもまたは異なってもよい。一実施形態では、ヒドロゲルレンズ材料中に位置されたこの薬物は、眼へのレンズデバイスの適用の際に実質的に直ちに放出されてもよく、それによってこの薬物放出材料中の薬物がフィルムから、レンズを通じて拡散する時間が得られ、それによって、例えば、初回用量および継続した徐放性の放出、または維持用量が得られる。
【0061】
薬物放出材料およびレンズ材料は、薬物放出材料からの薬物の放出速度を制御し得るが、この薬物放出材料は、特定の実施形態で、特に徐放性放出のために、律速制御を提供し得る。レンズ材料および薬物放出材料のポリマーの両方を封入することを調節して、例えば、本明細書に記載のように、このデバイスから少なくとも1つの薬物の所望の放出を得てもよい。一実施形態では、このコンタクトレンズからの少なくとも1つの薬物の制御放出は、実質的にゼロ次である。特定の実施形態では、このコンタクトレンズは、少なくとも16時間、少なくとも24時間、少なくとも72時間、少なくとも168時間、少なくとも336時間、少なくとも720時間、少なくとも1440時間、少なくとも2160時間、少なくとも2400時間、少なくとも2880時間、少なくとも3600時間、少なくとも4800時間、少なくとも7200時間、少なくとも9600時間、またはより長い時間にわたって少なくとも1つの薬物の実質的にゼロ次の放出を提供する。他の実施形態では、このコンタクトレンズは、少なくとも168時間、少なくとも336時間、少なくとも720時間、少なくとも1440時間、少なくとも2160時間、少なくとも2400時間、少なくとも2880時間、少なくとも3600時間、少なくとも4800時間、少なくとも7200時間、少なくとも9600時間、またはより長い時間にわたって、少なくとも1つの薬物の治療上有効な量での放出を提供する。
【0062】
本明細書において用いる場合、デバイスが薬物を放出する期間とは、そのデバイスが、被験体に、または被験体中の環境を模倣する環境に薬物を放出している期間を指す。非限定的な例では、24時間にわたるデバイスによる薬物の放出は、連続して24時間、または間歇的に全部で24時間コンタクトレンズを被験体が装着することによって(例えば、24日間にわたって1日あたり1時間コンタクトレンズを装着することによって)達成され得る。従って、被験体が、コンタクトレンズを間歇的に装着する場合、その期間とは、その被験体がコンタクトレンズを装着している時間を指す。その期間はまた、コンタクトレンズが薬物が放出される環境にある場合、被験体によってコンタクトレンズが装着されていない任意の時間を包含し得る。例えば、被験体は、ある日にある期間、コンタクトレンズを装着し、その日の残りの時間の間、貯蔵溶液中にコンタクトレンズを保存してもよい。コンタクトレンズが被験体によって装着されない時間の間(例えば、コンタクトレンズが貯蔵溶液中に保存されているとき)、コンタクトレンズが薬物を放出するならば、そのコンタクトレンズが被験体によって装着されない時間は、その薬物が放出される総時間を計算する場合に含まれる。しかし、被験体によって装着されていないときのコンタクトレンズによる薬物放出の速度が、コンタクトレンズが被験体によって装着されるときの薬物放出の速度と異なるならば、デバイスが被験体によって装着されないときのデバイスによって薬物が放出される期間は、そのデバイスが被験体に装着されるときのデバイスによる薬物放出の速度に基づいて等しい時間に対して数学的に変換されるべきである。当業者は、当該分野で公知の方法を用いて、被験体の外側の環境へのデバイスによる薬物放出の速度を容易に測定できるであろう。さらに、デバイスが被験体の外側の環境に薬物を放出する期間、およびそのデバイスによって薬物が放出される速度を考慮すれば、当業者は、被験体の外側の環境においてそのデバイスが薬物を放出する期間を、被験体におけるデバイスによる薬物放出の速度に関して表現される等価な期間に容易に変換できるであろう。次いで、これらの期間を、追加して、薬物が特定の速度で放出される総期間を決定する。非限定的な例であるが、デバイスが、被験体中の場合は、2時間にわたって1時間あたり1マイクログラムの速度で薬物を放出し、被験体中でない場合は、10時間にわたって1時間あたり0.1マイクログラムの速度で薬物を放出するならば、そのデバイスによって薬物が放出される期間は、3時間である(すなわち、1時間あたり1マイクログラム放出の2時間に、1時間あたり等価な1マイクログラムの1時間を加える)。
【0063】
被験体中でない場合、デバイスは、少なくとも1つの薬物を放出することを本質的に妨げられ得る。被験体中でない場合、デバイスは、そのデバイスが被験体中にある場合よりも緩徐に少なくとも1つの薬物を放出し得る。被験体中にない場合、デバイスは、そのデバイスが被験体内にある場合よりも速く、少なくとも1つの薬物を放出し得る。当業者は、このような条件を特定することが日常的な実験を通じて可能である。例えば、少なくとも1つの薬物を含んでいるデバイスは、本質的に乾燥環境で保持されてもよいし、または少なくとも1つの薬物で飽和された溶液中で保持されて、少なくとも1つの薬物が放出されることを本質的に妨げてもよい。
【0064】
コンタクトレンズデバイスからの薬物の放出は、薬物放出材料におけるポリマーの組成によって部分的には制御され得る。例えば、薬物の放出速度の増大または減少は、ポリマーを変更することによって達成され得る。ポリマーがコポリマーである場合、このような変更は、コポリマー中のモノマーの比を変更する工程を包含し得る。例示的な実施形態では、薬物放出材料中のポリマーはPLGAである。グリコリドに対するラクチドの比を増大することは一般に、薬物放出材料から薬物の放出を遅らせる。例示するために、グリコリドを含まないポリ乳酸によって、この実施形態の最も遅い放出系が提供され得るが、ラクチドを含まないポリグリコール酸は、本実施形態の最速の放出系を提供し得る。
【0065】
さらに、または代替的に、コンタクトレンズデバイスからの薬物の放出は、部分的には、この薬物放出材料における薬物に対するポリマーの比の選択によって制御され得る。恒量のポリマーを維持しながら、薬物放出材料中の薬物の量を減少して、その結果1:2、1:4、1:8、1:16;1:32;1:64;1:128;1:256;1:512;または任意の他の所望の比のポリマー対薬物比を有する薬物放出材料を得てもよい。薬物の所望の放出を得るためにより高い比のポリマーが必要である場合、薬物の力価を調節してもよい。一般には、薬物の力価を増大すれば、薬物放出材料に組み込まれなければならない薬物本体荷重の量が減る。さらに、薬物の力価を増大すればデバイス内の薬物放出材料のフットプリントが減る場合があり、それによって可塑性、酸素透過性または美容術が向上し得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、少なくとも0.1マイクログラムの薬物、少なくとも1マイクログラムの薬物、少なくとも10マイクログラムの薬物、少なくとも50マイクログラムの薬物、少なくとも100マイクログラムの薬物、少なくとも500マイクログラムの薬物、少なくとも1mgの薬物、少なくとも5mgの薬物、少なくとも10mgの薬物、少なくとも20mgの薬物、少なくとも50mgの薬物、少なくとも100mgの薬物、またはそれ以上の薬物を含んでもよい。
【0067】
このデバイスからの薬物放出の速度は、フィルム中のポリマー濃度を変化させることによって変更され得る。一局面では、この濃度は、本明細書に記載のような溶媒キャスティング手順を変更することによって調節され得る。デバイスからの薬物放出の速度はまた、異なる組成の複数のポリマー−薬物層をキャスティングすることによって変更され得る。1つのこのような実施形態では、下層は、薬物:ポリマー比を下げてキャスティングされてもよく、中層は、薬物:ポリマー比を上げてキャスティングされてもよく、上層は、薬物:ポリマー比を下げてキャスティングされてもよい。このような実施形態では、このフィルムは、放出期間を長くするために、薬物放出のための低い表面透過性を維持しながら、高い総量の薬物を含む。別の実施形態では、溶解度が異なる種々のポリマーを用いてもよく、その結果、各々の引き続く層のキャスティングは、先行する層(単数または複数)に有意な影響を有さない。1つの特定の実施形態では、異なるポリマーを用いて、異なる層を調製してもよい。別の実施形態では、層の相対的な厚みは、薬物放出の速度を変化するために変更されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、コンタクトレンズからの薬物放出の速度は、1時間あたり少なくとも0.001マイクログラム、1時間あたり少なくとも0.005マイクログラム、1時間あたり少なくとも0.01マイクログラム、1時間あたり少なくとも0.05マイクログラム、1時間あたり少なくとも0.1マイクログラム、1時間あたり少なくとも0.5マイクログラム、1時間あたり少なくとも1マイクログラム、1時間あたり少なくとも5マイクログラム、1時間あたり少なくとも10マイクログラム、1時間あたり少なくとも20マイクログラム、1時間あたり少なくとも50マイクログラム、1時間あたり少なくとも100マイクログラム、1時間あたり少なくとも500マイクログラム、1時間あたり少なくとも1mg、1時間あたり少なくとも5mg、またはそれ以上である。コンタクトレンズは、1時間未満で薬物を放出する場合でさえ、任意のこれらの速度で薬物を放出し得ることが理解されるべきである。非限定的な例では、コンタクトレンズは、1時間あたり放出される薬物の単位に関して測定した速度で薬物を放出する場合でも、1時間未満の間被験体によって装着されてもよい。
【0069】
本明細書において前述したように、薬物放出材料は、複数の層に構築されてもよいし、またはコーティングを含んでもよい。薬物放出材料上のコーティングは、最初の薬物放出を遅らせるようにあつらえてもよい。この効果は、最初の薬物放出材料の頂部の上に1つ以上の層のポリマー溶液を連続して加えることによって達成され得る。一実施形態では、多層化フィルムは、連続的な蒸発を用いて作製され得る。多層化フィルムは、中層において1:2の比の薬物対ポリマーで、ならびに外側の層上の1:128、1:256、および1:512という比の薬物対ポリマーで作製され得る。一実施形態では、純粋なPLGAからなる上層および下層と、1:2の比の薬物対ポリマーの中層とを有する三層化薬物放出材料が作製され得る。別の実施形態では、種々の厚みのポリマー性層をさらに追加して、所望の薬物の放出を達成してもよい。いくつかの実施形態では、この層は、非ポリマー性材料から形成されてもよい。
【0070】
一実施形態では、ヒドロゲルは、デバイスからの薬物の放出に影響するように変更されてもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは少なくとも部分的に、デバイスからの薬物の放出を調節する。一局面では、ヒドロゲルは、デバイスから薬物の放出を変更するようにさらに疎水性にされてもよい。このヒドロゲル材料は、わずかな割合の疎水性アクリレート、例えば、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、イソオクチルアクリレート、およびラウリルアクリレートで共重合化され得る。あるいは、薬物に対して特異的または非特異的な親和性を有するモノマーを、ヒドロゲル中に共重合化して、このデバイスからの薬物の放出を遅くしてもよい。チモロールのような陽イオン性官能基を有する薬物の放出は、ヒドロゲル中の酸性基の存在によって緩徐にされ得る。一実施形態では、酸性モノマー、例えば(限定するものではないが)アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、ビニル酢酸、イタコン酸、またはマレイン酸がヒドロゲル中に共重合されてもよい。
【0071】
別の実施形態では、多機能性架橋、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレートを用いて、ヒドロゲル材料内により強固な結合を作製して、薬物放出を長くする。放出が遅すぎる場合、より多くの親水性モノマーをヒドロゲル内に共重合化してもよい。これらの材料としては、親水性、中性のアクリレート、例えば、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート)またはビニルピロリドン、およびイオン性モノマー、例えば、アクリル酸またはベタイン含有双性イオンメタクリレートを挙げることができる。
【0072】
コンタクトレンズデバイスは必要に応じて、患者の眼に接触するコンタクトレンズの表面から、そのコンタクトレンズの反対側の表面からよりも大きい速度で少なくとも1つの薬物の放出を提供し得る。このような指向性の薬物放出の機能性は、デバイス構造および/または組成物中に設計され得る。例えば、(i)レンズ材料は、コンタクトレンズの角膜に接触する側で薬物放出材料に隣接する微小穿孔を含んでもよいし、(ii)コンタクトレンズの角膜に接触する側で薬物放出材料に隣接するレンズ材料は、コンタクトレンズの反対側で薬物放出材料に隣接するレンズ材料よりも薄くてもよいし、(iii)コンタクトレンズの角膜に接触する側で薬物放出材料に隣接するレンズ材料は、コンタクトレンズの反対側で薬物放出材料に隣接するレンズ材料よりも大きい水透過性であってもよいし、(iv)薬物放出材料は、眼に対して薬物を放出するように偏向されてもよいし、または(v)(i)〜(iv)の任意の組み合わせであってもよい。
【0073】
1つの例示的な実施形態では、薬物放出材料のポリマーは、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)を含み、かつレンズ材料は、ポリヒドロキシエチルメタクリレートを含む。別の実施形態では、レンズ材料は、光軸にそって光学的に透明であり、かつ薬物放出材料は、コンタクトレンズの光軸に対して開口部を備える。
【0074】
別の局面では、デバイスは、患者での使用の前に製造デバイスの輸送および貯蔵のために適切な形態のキットで提供されるか、またはパッケージングされる。例えば、1つ以上のコンタクトレンズ薬物送達デバイスは、パッケージングされた医療用デバイスとして提供され得る。例えば、コンタクトレンズは、適切な条件(例えば、特定されるとおり湿潤または乾燥型で維持される、無菌条件)でコンタクトレンズデバイスを維持できる、当該分野で公知の本質的に任意の適切なパッケージング材料、容器または他の装置中で保管されてもよい。一実施形態では、パッケージングされた医療用デバイスは、本明細書に記載される1つ以上の薬物溶出性コンタクトレンズと、パッケージング容器とを備える。一実施形態では、パッケージング容器は、コンタクトレンズと、薬物溶出性コンタクトレンズの薬物含有ポリマーフィルム中の薬物と同じ薬物の溶液(飽和または飽和されていない)とを含む。一実施形態では、このパッケージング容器は、水溶液、例えば、生理食塩水溶液を含む。別の実施形態では、このパッケージング容器は、乾燥された凍結乾燥状態で薬物溶出性コンタクトレンズを維持できる。さらに別の実施形態では、このパッケージング容器は、ある程度の湿度またはさらに本質的に100%の湿度で密閉されることさえあり、かつ部分的に乾燥状態で薬物溶出性コンタクトレンズを維持して、貯蔵の間にレンズデバイスからの薬物の溶出を最小化することが可能であり、これには眼への適用の前に必要な浸漬前時間を減らして、設計された速度を達成するために有益であり得る。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズデバイスは、容器中にパッケージングされてもよく、障壁によって溶液から隔てられてもよく、それによって障壁は、使用前に溶液がレンズに接触することを可能にするために破壊されてもよい。
【0075】
別の局面では、コンタクトレンズ薬物送達デバイスを作製するための方法が提供される。一実施形態では、この方法は、薬物放出材料を形成する工程、次いで薬物放出材料をレンズ材料内にレンズの形状で封入する工程を包含する。
【0076】
デバイスの薬物放出材料は、生体適合性複合体を形成するための当該分野で公知の方法によって調製され得る。一実施形態では、薬物放出材料は、溶媒キャスティングによって調製される。別の実施形態では、薬物放出材料は、スピンコーティング方法、または当該分野で公知の他の方法によって調製され得る。例えば、薬物放出材料は、本質的に乾燥したレンズ材料上に、薬物放出材料および溶媒の混合物をスピンコーティングすることによって調製され得る。別の実施形態では、薬物放出材料は、噴霧乾燥技術を用いて調製されてもよい。いくつかの場合には、薬物放出材料は、蒸着を用いて調製され得る。
【0077】
さらに別の実施形態では、薬物放出材料は、固体薬物および/または放出剤の混合物を鋳型中に圧縮することによって調製され得る。この鋳型は、レンズ形状であってもなくてもよい。別の実施形態では、薬物放出材料は、この薬物放出材料が曲線形状(例えば、コンタクトレンズを模倣している)に適合するように、溶媒キャスティングすることによって形成され、引き続き鋳型中に圧縮されてもよい。いくつかの場合には、曲線形状(例えば、コンタクトレンズを模倣している)を有する薬物放出材料は、曲線の鋳型中に、薬物、放出剤、および適切な溶媒を含んでいる混合物を配置すること、ならびに溶媒の蒸発の間に鋳型を回転することによって形成され得る。さらに別の実施形態では、薬物のマイクロ粒子および/またはナノ粒子を一緒に融合して、薬物放出材料を形成してもよい。
【0078】
複数の層を含む薬物放出材料は、例えば、異なる溶媒を用いることによって、溶媒キャスティングを用いて形成され得る。いくつかの実施形態では、複数の方法を用いて、複数の層を形成してもよい。例えば、第一の層は第一の方法を用いて形成してもよく、第二の層は、この第一の方法とは異なる第二の方法を用いて形成してもよい。
【0079】
薬物放出材料が、溶媒キャスティングまたは溶解された薬物の代わりに懸濁された薬物粉末を用いることによって作製される実施形態では、薬物放出材料は一般には、少なくとも1μmの厚みである。スピンコーティングを用いて、レンズ材料の基板の頂部に直接薬物放出材料を作製する実施形態では、薬物がポリマー溶液に溶解されているスピンコーティング溶液で、少なくとも50〜100nmという大きさのフィルム厚が達成され得る。
【0080】
一実施形態では、薬物放出材料は、溶媒キャスティング方法によって作製される。1つの特定の実施形態では、薬物放出材料を形成する工程は、以下の工程を包含し得る(i)溶媒中に少なくとも1つのポリマーを溶解して、ポリマー溶液を形成する工程;(ii)少なくとも1つの薬物とポリマー溶液とを合わせ、例えば、混合することによって、薬物ポリマー溶液または薬物ポリマー懸濁物を形成する工程;ならびに(iii)薬物−ポリマー溶液または薬物−ポリマー懸濁物を乾燥して、溶媒を蒸発させ、それによって薬物放出材料を形成する工程。必要に応じて、キャスティング薬物放出材料をさらに凍結乾燥して、薬物放出材料が封入される前に、その薬物放出材料から残りの溶媒を除去してもよい。
【0081】
種々の溶媒を、溶媒キャスティングプロセス中で用いて、薬物放出材料を首尾よく製造してもよく、ここで選択される溶媒中のポリマー溶解度は重大な検討事項である。溶媒キャスティングプロセスで用いられ得る適切な溶媒の代表的な例としては、エタノール、メタノール、イソプロパノール、塩化メチレン、酢酸エチル、アセトンまたはそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、共溶媒系を、薬物放出材料の作製に用いる。薬物とポリマーとの両方を溶解する共溶媒系を設計してもよく、これは、薬物放出材料におけるポリマーを通じて薬物のより均一な分布(例えば、分子レベルでの分布)を生じ得る。当該分野で公知の画像化技術(SEM、TEM、光学画像、共焦点顕微鏡など)を用いて、薬物放出材料を通じた薬物の均一な分布を確認してもよい。一実施形態では、PLGAを、以下の溶媒対のうちの1つの50:50比からなる溶媒中に溶解する:酢酸エチルおよび塩化メチレン;酢酸エチルおよびクロロホルム;ならびに塩化メチレンおよびクロロホルム。別の実施形態では、PLLAは、以下の溶媒対のうちの1つに溶解されてもよい:メチルクロライドおよびクロロホルム、メチルクロライドおよびヘキサフルオロ−2−プロポアノール(HFIP);ならびにクロロホルムおよびHFIP。共溶媒にかかわらず、本明細書に記載の同じ溶媒キャスティング技術を用いて、薬物放出材料を製造してもよい。
【0082】
別の実施形態では、薬物放出材料は、レンズ形状であってもよい、鋳型中へ、薬物および/またはポリマーの混合粉末を圧縮する工程を包含するプロセスによって作製される。圧縮は、熱の追加の有無のどちらで行ってもよい。この調製は必要に応じて、成形に引き続き研削加工工程を包含し得る。
【0083】
封入の工程は、一実施形態では、(i)レンズ材料またはそれに対するポリマー性前駆体を含む、液体の形態で封入材料を提供する工程と;(ii)レンズ材料を凝固する工程、または薬物放出材料の周囲に配置されたポリマー性前駆体を重合化する工程、それによって薬物放出材料を封入する工程を包含し得る。封入には、必要に応じて熱および/または圧力の補助によって、重合、蒸発などによって、薬物放出材料の周囲に連続マトリックスを形成する工程を必要とする。いくつかの実施形態では、レンズ材料を凝固するかまたはポリマー性前駆体を重合化する工程は、コンタクトレンズの形状/寸法に対応する鋳型中で行われ得る。
【0084】
一実施形態では、コンタクトレンズは、以下のように構築され得る。レンズ材料は、所望の曲線形状(例えば、適切な基部曲線)に研削加工されてもよい。薬物放出材料は、例えば、このレンズ材料の凹側と事前形成された薬物放出材料とを接触させることによって、および/または上記のような方法を用いてレンズ材料の凹領域内に薬物放出材料を形成することによって、このレンズ材料の凹側に配置され得る。次いで、この薬物放出材料は、レンズ材料によって覆われて薬物放出材料を封入してもよい。次いで、レンズ材料−薬物放出材料−レンズ材料という構造を、前面および後面上で研削加工してコンタクトレンズを形成してもよい。
【0085】
別の実施形態では、コンタクトレンズは、曲線構造を有する第一のレンズ材料層を提供すること、レンズ材料の凸面上に薬物放出材料を配置すること、ならびにこの薬物放出材料および第一のレンズ材料層上に第二のレンズ材料層を連結することによって構築され得、それによって、第一のレンズ材料層と第二のレンズ材料層を有し、この第一のレンズ材料層と第二のレンズ材料層との間に薬物放出材料が配置されるコンタクトレンズが形成される。いくつかの実施形態では、このコンタクトレンズの光彩部分はマイカを含む。
【0086】
液体型のレンズ材料は、デバイスを製造するのにおける使用の前に前処置され得る。例えば、液体レンズ材料のpHは、中性、酸性または塩基性に調節され得る。別の実施例では、液体レンズ材料を、プレ重合化して部分的に重合化した材料を形成してもよい。さらに別の実施例では、液体レンズ材料の塩分および/または浸透圧が調節され得る。液体レンズ材料が光を用いて重合化される実施形態では、光開始剤の濃度および/または硬化に用いられる光源の強度は、重合化時間を増減するように調節され得る。液体レンズ材料の重合化はまた、本質的に無酸素環境で行われ得る。
【0087】
いくつかの場合には、薬物放出材料およびレンズ材料は接着してもよい。これらの材料の間の接着は、種々の方法によって改善され得る。例えば、薬物放出材料表面の少なくとも一部は、でこぼこに(すなわち、粗く)作製されてもよい。でこぼこ部分は、鋳型(この鋳型の表面の少なくとも一部がでこぼこである)中に薬物放出材料を形成することによって導入され得る。薬物放出材料の表面の一部をまた、機械的摩耗に供してもよい。別の実施形態では、圧入(例えば、穴またはチャネル)をこの薬物放出材料中に形成してもよい。一実施形態では、薬物放出材料および/またはレンズ材料を、この薬物放出材料とレンズ材料との間の接着を増大するように化学的に修飾してもよい。例えば、薬物放出材料および/またはレンズ材料を、プラズマ処理、官能基との共有結合的修飾などに供して、その材料の親水性を増大してもよい。別の実施形態では、ポリマーを、薬物放出材料および/またはレンズ材料に対して吸着させて、この薬物放出材料とレンズ材料との間の接着を増大してもよい。
【0088】
いくつかの場合には、薬物放出材料とレンズ材料との間の接着は低減されてもよい。例えば、薬物放出材料とレンズ材料との間の潤滑性を増大して、この2つの材料の間の動きを容易にすることが所望される場合がある。いくつかの実施形態では、薬物放出材料および/またはレンズ材料の疎水性は、例えば、一方もしくは両方の材料に対して疎水性ポリマーを吸着すること、または一方もしくは両方の材料を共有結合的に修飾することによって増大される。
【0089】
角膜に適用した場合、コンタクトレンズは選択された方向で維持することが所望され得る。例えば、これは、例えば、薬物放出材料が眼の上で選択された方向で維持されることを可能にすることによって、美容術を容易にするか、または薬物が投与される方向もしくは眼の領域を向上し得る。一実施形態では、コンタクトレンズデバイスは、封入プロセスの間に、プリズムのバラストまたは傾斜した薄いゾーンをデバイス中に組み込むことによって回転しないよう固定されることができる。
【0090】
典型例では、レンズ材料内の薬物放出材料の位置は、封入プロセスの間固定される。薬物放出材料は、このデバイスのレンズ材料内の種々の横の位置(例えば、光軸に対する位置)に、および深さ位置(例えば、角膜に対する位置)に配置されてもよい。しかし、一般には、薬物−ポリマーは、その薬物放出材料が実質的に光学的に透明ではないこれらの実施形態では、光軸の外側に位置する。もし、他方で、薬物放出材料が実質的に光学的に透明であるならば、これは、レンズ材料内の任意の位置に位置してもよい。
【0091】
一実施形態では、コンタクトレンズデバイスは、単一の薬物放出材料を有する。単一の薬物放出材料は、種々の異なる形状を有し得る。一実施形態では、この単一薬物放出材料は、光軸と実質的に同軸である開口部を有するリング形状である。別の実施形態では、単一薬物ポリマーフィルムは円弧の形状を有する。この円弧の形状は、アーチ、三日月、または環の一部であってもよい。この薬物放出材料の形状は、所望の形状の鋳型を用いることによって、または本質的に任意の大きい形状の鋳型を用いることによって、一時的なフィルムを作製し、次いでこの一時的なフィルムを最終の所望の形状に切断することによって形成され得る。正確な切断は、例えば、当該分野で公知の機械的カッティング装置を用いること、または当該分野で公知のレーザー切断装置を用いることによって行ってもよい。
【0092】
一実施形態では、薬物放出材料は、複数の穿孔を有する。例えば、穿孔は微小穿孔であってもよい。この微小穿孔は、薬物放出材料の一部にくまなく位置してもよく、または薬物放出材料の全体にわたって位置してもよい。いかなる理論によっても拘束されることは望まないが、この微小穿孔は、薬物放出を増大し、角膜への薬物放出材料を通じた酸素輸送のための経路を提供するように機能し得る。酸素輸送は、いくつかの実施形態では、コンタクトレンズ薬物送達デバイスが患者による長期装着に適切であるのに十分に高くすることができる。
【0093】
代替的実施形態では、レンズデバイスは、2つ以上のポリマー薬物フィルムを含んでもよい。2つ以上のフィルムは、本質的に任意の形状であり、かつレンズ材料内でお互いに対して任意の位置であってもよい。
【0094】
この薬物放出材料が開口部を有する場合、これは、必要に応じて、この開口部が患者の光軸と対応するように、レンズ材料内に位置してもよい。一実施形態では、薬物放出材料は、レンズ材料内に位置し、デバイスは、そのコンタクトレンズデバイスが装着された場合、薬物放出材料が患者の眼瞼の一方または両方で隠されるような大きさにされる。
【0095】
任意の実施形態では、コンタクトレンズデバイスは、例えば、(i)着色粒子をレンズ材料および/または薬物放出材料に組み込むこと、(ii)レンズ材料および/薬物ポリマーフィルムを、従来の美容用コンタクトレンズと類似の着色フィルムでコーティングすること、または(iii)(i)と(ii)との組み合わせによって着色型で提供され得る。
【0096】
このデバイスは、角膜もしくは強膜に向かう、または角膜もしくは強膜から離れる薬物の放出を促進する方式で製造され得る。一実施形態では、このデバイスは、薬物放出材料の片側上の封入ヒドロゲルレンズ材料の部分が、その薬物放出材料の他の側上の封入ヒドロゲルレンズ材料の部分に対して薄いように作製され得る。別の実施形態では、このヒドロゲルレンズ材料の特定部分は、このデバイスからの薬物の一方向性の放出を促進するようにさらに疎水性または親水性に作成され得る。あるいは、封入ヒドロゲルレンズ材料の特定部分は、そのデバイスからの薬物の一方向性の放出を促進するために、よりガス溶解性またはガス透過性に作成されてもよい。さらに別の実施形態では、封入ヒドロゲルレンズ材料の部分は、このデバイスからの薬物の一方向性の放出を促進するために穿孔されてもよい。典型例ではこの穿孔は微小穿孔である。好ましくは、この微小穿孔は、患者の快適性、全体的な美容、またはそのデバイスの構造的統合性を損なわないサイズである。ヒドロゲル中の穿孔は、例えば、Stewarts of Americaまたは他の製造業者から入手可能である、例えば、「固定手動器具」を用いて作製されてもよい。このツールを用いれば、1平方インチあたり最大1000個までの穿孔を作製し得る。
【0097】
別の局面では、1つ以上の薬物を、それを必要とする患者の眼に対して投与するための方法が提供される。一実施形態では、この方法は、本明細書に記載の薬物溶出性コンタクトレンズデバイスの1つを患者の角膜に適用する工程と;次いで、この患者の眼に対してこのコンタクトレンズから薬物が、治療上有効な量でまたは予防上有効な量で制御可能に放出されることを可能にする工程と;を包含する。一実施形態では、このコンタクトレンズからの薬物の制御放出は実質的にゼロ次である。1つの特定の実施形態では、このコンタクトレンズは、このレンズが患者によって装着される場合、このコンタクトレンズが角膜および結膜上に位置し、かつ上下の眼瞼の少なくとも部分的に下に位置するような大きさにされる。一実施形態では、このレンズ材料は、薬物放出の所望の期間、例えば、最大720時間にわたって連続して患者がこのコンタクトレンズを装着可能であるのに十分に酸素透過性である。
【0098】
種々の実施形態では、薬物溶出性コンタクトレンズデバイスは、少なくとも72時間、少なくとも168時間、少なくとも336時間、少なくとも720時間、少なくとも1440時間、少なくとも2160時間、少なくとも2400時間、少なくとも2880時間、少なくとも3600時間、少なくとも4800時間、少なくとも7200時間、少なくとも9600時間、またはそれ以上にわたってこの薬物の実質的にゼロ次の放出を提供し得る。他の実施形態では、このデバイスは、最大4000時間まで、または最大9000時間までこの薬物の実質的にゼロ次の放出を提供し得る。
【0099】
1つの特定の実施形態および用途では、コンタクトレンズデバイスは、眼帯コンタクトレンズとして機能する。特定の実施形態では、この眼帯コンタクトレンズは、ヒドロゲルレンズ材料内に封入される薬物放出材料を含み、この薬物放出材料は、ポリマー中に分散した薬物を含んでおり、ここでこのコンタクトレンズは、患者の眼に装着された場合、24〜720時間にわたって患者に対して有効量の薬物の制御放出を提供する。種々の実施形態では、この薬物は、抗生剤、抗真菌剤、麻酔剤、非ステロイド性抗炎症(NSAID)剤、抗ヒスタミンもしくは他の抗アレルギー剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。このポリマーは生分解性であってもよい。一実施形態では、眼帯コンタクトレンズは、少なくとも240時間にわたって患者に対して有効量の薬物の制御放出を提供する。
【0100】
1つの特定の適用では、患者における眼の感染の予防および/または処置のためのデバイスおよび方法が提供される。一実施形態では、この方法は、患者の角膜に対して本明細書に記載のコンタクトレンズデバイスの1つを適用する工程であって、ここでこの薬物放出材料が、少なくとも1つの抗感染症剤を含む工程、次いで、この患者の眼に対してこのコンタクトレンズから抗感染症剤を有効量で最大720時間にわたって放出する工程(または放出を可能にする工程)を包含する。薬物放出期間の代表的な例としては、少なくとも72時間、少なくとも168時間、少なくとも240時間、少なくとも336時間、少なくとも504時間、またはそれ以上が挙げられる。一実施形態では、コンタクトレンズからの抗感染症剤の放出は、実質的にゼロ次である。別の実施形態では、コンタクトレンズは、第二の薬物、例えば、抗感染症剤と同時投与のための局所麻酔剤を含む。一実施形態では、コンタクトレンズは、眼の手術周辺期に適用される。別の実施形態では、コンタクトレンズは、眼の外傷後に眼に適用される。一実施形態では、この適用されたコンタクトレンズは、少なくとも部分的には患者の眼瞼下に配置される。いくつかの場合には、コンタクトレンズ内の薬物放出材料は、患者の眼瞼の下に配置される。
【0101】
別の局面では、本明細書に記載の制御放出デバイスは、患者の角膜に移植される。さらに別の実施形態では、本明細書に記載のデバイスは、患者の眼の強膜に縫合され得る。さらに別の実施形態では、このデバイスは、眼内レンズを含んでもよい。通常、ただし常にではないが、このデバイスのこの実施形態は、光学部分および支持部分を含む。眼内レンズは、光学レンズであっても、支持レンズであっても、または光学および支持レンズの両方であってもよい。さらに別の実施形態では、本明細書に記載のデバイスは、緑内障管を含んでもよい。例えば、このデバイスは、緑内障排液デバイスであってもよい。緑内障排液デバイスの例としては、管、シャント、フィルターまたはAhmedTMバルブが挙げられる。さらに別の実施形態では、このデバイスは、カプセル張力リング、接眼コンフォーマー、涙点プラグ、強膜バックル、縫合、角質実質層内象眼(例えば、Intacs(登録商標))または眼表面治療デバイス(例えば、ProKera(登録商標))であってもよい。本明細書において上記されるとおり、この薬物送達デバイスの構造は、これらおよび他の実施形態と適合するように変更されてもよい。
【0102】
さらに別の局面では、本発明に記載の薬物送達デバイスは、ヒトまたは動物の眼以外の体の領域での使用に適合され得る。一般には、このデバイスは、薬物の制御放出から有益性を得る身体の任意の部分で用いられ得る。このデバイスは、局所の制御された薬物放出が所望される種々の組織構造に、または種々の小胞もしくは腔に挿入、縫合または配置されてもよい。
【0103】
デバイスは、制御放出のための1つ以上の抗感染症剤を含んでもよい。適切な抗感染症剤の非限定的な例としては、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、ガルトフロキサシン、バンコマイシン、トブラマイシンまたはそれらの組み合わせが挙げられる。他の公知の抗感染症剤がコンタクトレンズデバイスに組み込まれて、それから放出されてもよい。さらに他の実施形態では、コンタクトレンズは、抗感染症剤との同時投与のため、第二の薬物、例えば、ステロイド(例えば、コルチコステロイド)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID類)、局所麻酔剤、または他の薬物を含んでもよい。一実施形態では、抗感染症およびステロイドの組み合わせを含むコンタクトレンズ薬物送達デバイスが提供される。このデバイスは、例えば、角膜手術の処置後のために角膜に抗感染症剤およびステロイドの両方を投与するために用いられ得る。この局所麻酔剤は、アミノアミド、アミノエステルまたはそれらの組み合わせであってもよい。異なるアミノアミドの組み合わせ、または異なるアミノエステルの組み合わせが想定される。可能なアミノアミドの代表的な例としては、リドカイン、プリロカイン、メピバカイン、およびロピバカインが挙げられる。可能なアミノエステルの代表的な例としては、ベンゾカイン、プロカイン、プロパラカインおよびテトラカインが挙げられる。
【0104】
いくつかの実施形態では、可塑剤をこのデバイスに組み込んで、このデバイスの薬物放出特徴を変更してもよい。本明細書において用いる場合、可塑剤は、ポリマーの機械的可塑性を増大するためにそのポリマー(例えば、薬物放出材料のポリマー)と混合され得る当該分野で公知の任意の材料である。可塑剤はまた、薬物放出材料のポリマーへの薬物の組み込みおよび放出の速度に影響し得る。当該分野で公知の任意の生体適合性可塑剤が用いられてもよい。可塑剤の例としては、プルロニック/ポロキサマー非イオン性界面活性剤群および脂質の化合物が挙げられる。用いられ得る特定の可塑剤としては、Span20、Tween20、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施例では、ソルビタンモノラウレートおよびプロピレングリコールを、下円蓋(inferior fornex)における使用を意図するPLGA−チモロールフィルム中で用いてもよい。1つの非限定的な実施形態では、デバイスの薬物放出材料は、重量として、30%の薬物、50%のポリマー、および20%の可塑剤を含む。他の実施形態では、より多くの可塑剤または少ない可塑剤を用いてもよい。他の成分が、レンズデバイス中に、レンズ材料中か、もしくは薬物放出材料中のいずれか、またはその両方の中に、このデバイスに対して1つ以上の有用な特性を付与するために少量で含まれてもよい。
【0105】
本明細書に開示される組成物および方法は、種々の疾患および/または病態を処置するために用いられ得る、例えば:眼の感染(限定するものではないが、皮膚、眼瞼、結膜および/または涙液排出系の感染を含む)、眼窩蜂巣炎、涙腺炎、麦粒腫、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、角膜浸潤、潰瘍、眼内炎、全眼球炎、ウイルス性角膜炎、真菌性の角膜炎眼部帯状疱疹、ウイルス性結膜炎、ウイルス性網膜炎、ぶどう膜炎、斜視、網膜の壊死、強膜炎、ムコール菌症、涙管炎、アカントアメーバ角膜炎、トキソプラズマ症、ジアルジア症、リーシュマニア症、マラリア、蠕虫感染、緑内障など。他の疾患および/または病態が同様に処置され得ることが理解されるべきである。
【0106】
本明細書において記載されるとおり、デバイスは、活性剤を放出するために構成され得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、活性剤を負荷されてもよい。活性剤は、低分子、有機化合物、無機化合物、タンパク質、核酸および/または炭水化物から選択されてもよい。いくつかの場合には、活性剤は、薬剤(例えば、薬物)であってもよい。特定の場合には、この薬剤は、眼を処置するために用いられ得る。適切な薬物としては、限定するものではないが、成長因子;血管形成剤;抗炎症剤;抗感染症剤、例えば、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および原虫の感染を阻害する剤;抗悪性腫瘍剤;麻酔剤;抗癌組成物;自律神経剤;ステロイド(例えば、コルチコステロイド);非ステロイド性抗炎症剤(NSAID類);抗ヒスタミン薬;肥満細胞安定化剤;免疫抑制剤;有糸分裂阻害剤;または他の薬物が挙げられる。いくつかの実施形態では、活性剤は、湿潤剤、界面活性剤、眼の鎮痛薬、電解質、緩衝液または防腐剤であってもよい。いくつかの場合には、活性剤は、コンタクトレンズデバイスを装着しているときに被験体の快適性を改善し得る。活性剤が特定の効能に限定される必要はないことが理解されるべきである。
【0107】
このデバイスは、制御放出のための1つ以上の抗菌剤を含んでもよい。適切な抗菌剤の非限定的な例としては、バシトラシン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、モキシフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン、レボフロキサシン、スルファセタミド、ポリミキシンB、バンコマイシン、トブラマイシン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。他の抗菌剤は、デバイスに組み込まれても、それから放出されてもよい。
【0108】
抗ウイルス剤としては、限定するものではないが、トリフルリジン、ビダラビン、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、フォスカーネット、ガンシクロビル、フォルミビルセンおよびシドフォビルが挙げられる。
【0109】
抗真菌剤としては限定するものではないが、アンフォテリシンB、ナタマイシン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾールおよびミコナゾールが挙げられる。
【0110】
抗原虫剤としては限定するものではないが、ポリミキシンB、ネオマイシン、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、プロパミジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン、イトラコナゾールが挙げられる。
【0111】
麻酔剤としては限定するものではないが、アミノアミド、アミノエステル、またはその混合物が挙げられる。異なるアミノアミド類の組み合わせまたは異なるアミノエステル類の組み合わせが想定される。可能性のあるアミノアミドの代表的な例としては、リドカイン、プリロカイン、メピバカイン、およびロピバカインが挙げられる。可能なアミノエステルの代表的な例としては、ベンゾカイン、プロカイン、プロパラカインおよびテトラカインが挙げられる。
【0112】
自律神経剤としては限定するものではないが、アセチルコリン、カルバコール、ピロカルピン、フィゾスチグミン、エコチオフェート、アトロピン、スコポラミン、ホモトラピン、シクロペントレート、トロピカミド、ジピベフリン、エピネフリン、フェニレフリン、アプラクロニジン、ブリモニジン、コカイン、ヒドロキシアンフェタミン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、ダピプラゾール、ベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール、メチプラノロールおよびチモロールが挙げられる。
【0113】
抗炎症剤としては、限定するものではないが、任意の公知の非ステロイド性抗炎症剤、および任意の公知のステロイド性抗炎症剤が挙げられる。非限定的な例としては、グルココルチコイド(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、フルオロメトロン、ロテプレドノール、メドリゾンおよびリメキソロン)およびNSAIDS(例えば、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ケトロラック、ブロモフェナクおよびネパフェナク)が挙げられる。
【0114】
抗ヒスタミン剤としては限定するものではないが、フェニラミン、アンタゾリン、ナファゾリン、エメダスチン、レボカルバスチンおよびクロモリンが挙げられる。
【0115】
肥満細胞安定化剤としては、限定するものではないが、ロドキサミド、ペミロラスト、ネドクロミル、オロパタジン、ケトチフェン、アゼラスチンおよびエピナスチンが挙げられる。
【0116】
抗菌剤としては、抗生物質(例えば、抗細菌性)、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗原生動物剤が挙げられる。
【0117】
抗悪性腫瘍剤としては、限定するものではないが、眼のおよびその付属器の腫瘍を処置するために適切な剤、例としては、種々が当該分野で周知の化学療法剤が挙げられる。
【0118】
いくつかの実施形態では、デバイスは、活性剤を含んでいる溶液にデバイスを浸漬することによって活性剤で負荷され得る。一般には、活性剤の負荷は、浸漬溶液中の活性剤の濃度を増大すること、および/またはデバイスと浸漬溶液との間の接触時間を増大することによって増大され得る。活性剤はまた、デバイスの表面上に吸着されてもよい。活性剤とデバイスとの会合は、非共有結合的相互作用から生じてもよい。あるいは、活性剤は、共有結合を形成するために放出剤および/またはレンズ材料と反応してもよい。当業者に公知のとおり、共有結合は、特定の条件(すなわち、生理学的条件)下で、結合が破壊し得、それによって活性剤を放出するように選択され得る。活性剤と放出剤および/またはレンズ材料との比に依存して、使用される特定の放出剤および/またはレンズ材料の性質、ならびに活性剤と放出剤および/またはレンズ材料との間の会合の種類、活性剤の放出の速度は制御され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、ウイルスおよび/または細胞は、このデバイスを用いて送達され得る。デバイスは、ウイルスおよび/または細胞が徐放性の方式で放出され得るように構成されてもよい。ある場合には、ウイルスを遺伝子送達のために用いてもよい。遺伝子送達は、例えば、非増殖性細胞を増殖性細胞に形質転換するために(すなわち、眼の組織の再生のために)有益であり得る。細胞は、いくつかの場合には、活性剤工場として用いられ得る。例えば、細胞(すなわち、幹細胞)は、治療価値を有する成長因子または他の因子を分泌し得る。このような細胞を眼の近位に置くことによって、これらの細胞は、治療剤を連続的に生成して、送達し得る。
【0120】
本明細書に記載の薬物放出材料および/またはレンズ材料は、「薬学的組成物」または「薬学的に許容され得る」組成物中で用いられてもよく、この組成物は、1つ以上の薬学的に許容され得るキャリア、添加物および/または希釈物とともに処方された、本明細書に記載の薬物放出材料および/またはレンズ材料のうちの1つ以上と会合した活性剤の治療上有効な量を含む。本明細書に記載の薬学的組成物は、眼の状態を含む疾患または体の状態を診断、予防、処置または管理するために有用であり得る。いくつかの場合には、組成物は、ヒドロゲル中に封入され、かつ眼の近位に置かれた、薬物放出材料を含む。
【0121】
「薬学的に許容され得る」という句は、本明細書において、合理的な利益/リスクの比と釣りあって、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触して用いるのに適切な妥当な医学的判断の範囲内である、構造、材料、組成物および/または剤形を指すために使用される。
【0122】
「薬学的に許容され得るキャリア」とは、本明細書において用いる場合、薬学的に許容され得る材料、組成物または添加剤、例えば、液体、ゲルまたは固体の充填材、希釈剤、賦形剤、または溶媒封入材料であって、本発明の化合物を、例えば、デバイスからまたは器官もしくは身体の一部から、別の器官または身体の部分へ運搬または輸送することに関与するものを意味する。各々のキャリアは、処方物の他の成分と適合し、かつ患者に対して有害でないという意味で「許容され得る」必要がある。薬学的に許容され得るキャリアとして機能し得る材料のいくつかの例としては以下が挙げられる:糖、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;トラガカント粉末;麦芽;ゼラチン;滑石;賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐剤ワックス;油類、例えば、ピーナツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油;グリコール、例えば、プロピレングリコール;ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝化剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェン・フリー水;等張生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝化溶液;ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリ無水物;ならびに薬学的処方物中で使用される他の非毒性の適合性物質。
【0123】
薬学的に許容され得る抗酸化剤の例としては以下が挙げられる:水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール、など;ならびに金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など。
【0124】
単一の剤形を作製するためのポリマーまたは他のキャリア材料と組み合され得る活性剤の量は、処置されている宿主および投与の特定の方式に依存して変化する。単一の剤形を作製するためのポリマーまたは他のキャリア材料と組み合され得る活性剤の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量である。一般には、この量は、活性成分の約1%〜約99%、約5%〜約70%、または約10%〜約30%におよぶ。これらの範囲の外側の範囲が同様に用いられてもよいことが理解されるべきである。
【0125】
封入に適切な本明細書に記載の薬物材料は、本明細書に記載のポリマーまたは非ポリマー賦形剤の事前に決定された量を各々が含んでおり、かつ必要に応じて有効成分を含んでいる、溶液、分散液または懸濁液として(水溶液または非水性の液体中で)、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンとして(例えば、水中油型または油中水型の液体エマルジョン)、またはエリキシルもしくはシロップとして、またはトローチとして(不活性基剤、例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアを用いて)、処方されてもよい。
【0126】
本明細書に記載される薬学的組成物で使用され得る適切な水性および非水性のキャリアの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、および注射用有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散の場合には必要な粒子の大きさの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0127】
液体剤形は、当該分野で通常用いられる不活性希釈物、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(詳細には、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含んでもよい。
【0128】
懸濁液は、活性剤に加えて、懸濁剤を、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、マイクロクリスタリンセルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの組み合わせとして含んでもよい。
【0129】
本明細書に記載のこれらの組成物およびデバイスはまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、潤滑剤および分散剤などのアジュバントを含んでもよい。デバイスに対する微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノールなどの包含によって容易にされ得る。等張性剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含むことも所望され得る。
【0130】
本明細書に記載のデバイスでの使用に適切な送達系としては、時限性放出、遅延放出、徐放性放出、または制御放出の送達系が挙げられる。多くの種類の放出送達系が、利用可能であり、当業者に公知である。特定の例としては限定するものではないが、浸食系(組成物がマトリックス内の形態で含まれる)、または拡散系(活性成分が放出速度を制御する)が挙げられる。組成物は、例えば、粒子(例えば、マイクロ粒子、マイクロスフェア、ナノ粒子)、ヒドロゲル、ポリマー性リザーバーまたはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、この系は、例えば、処方物または粒子の拡散または浸食/分解速度の制御を通じて、活性剤の持続放出または制御放出が生じることを可能にし得る。本明細書に記載のデバイスはまた、シリンジ、カテーテル、チューブおよび移植可能なデバイスなどの送達デバイスと組み合され(例えば、含まれ)てもよい。
【0131】
本明細書に記載のデバイスは、薬剤としてヒトおよび動物に投与される場合、そのままで、または薬学的に許容され得るキャリアと組み合わされて薬物放出材料のうち例えば、約0.1%〜約99.5%、約0.5%〜約90%などを含む薬学的組成物として与えられてもよい。
【0132】
本明細書に記載の剤は、例えば、任意の潜在的な有害な副作用を回避または最小化しながら、最大量で投薬され得る。この剤は、有効量で、単独で、または他の化合物と組み合わせて投与され得る。例えば、癌を処置する場合、組成物は、癌を処置するために用いられ得る化合物のカクテルを含んでもよい。
【0133】
「治療上有効な量」という句は本明細書において用いる場合、任意の医学的処置に適用可能な合理的な利益/リスクの比で被験体においていくつかの所望の治療効果を生じるために有効である材料または組成物の量を意味する。従って、治療上有効な量は、例えば、疾患または身体状態に関連する疾患進行を予防、最小化または逆戻りし得る。疾患進行は、当業者に明らかな臨床的観察、実験室および画像化の研究によってモニターされ得る。治療上有効な量とは、単回投与で有効な量、または多重投与の治療の一部として有効な量、例えば、2回以上の用量で投与される量、または慢性的に投与される量である。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の薬物放出の有効量は、体重あたり約1ng/kg〜体重あたり約10mg/kgであってもよく、投与の頻度は、必要に応じて、1日あたり1回から1カ月に1回までにおよぶ場合がある。しかし、他の投薬量および頻度もまた、本発明はこの点に関して限定されないので用いられてもよい。被験体は、本明細書に記載されるデバイスを、本明細書に記載される1つ以上の疾患または身体状態を処置するのに有効な量で投与され得る。
【0135】
有効量は、要因;例えば、処置されている病態の重篤度;個々の患者パラメーター、例としては、年齢、体調、身長および体重;併用療法;処置の頻度;または投与方式に依存する。これらの要因は、当業者に周知であり、かつ日常的な実験だけで取り組むことができる。いくつかの場合には、最大用量、すなわち、妥当な医学的判定による最高安全用量を用いる。
【0136】
選択された投薬レベルはまた、種々の要因、例としては、使用される特定の本発明の構造の活性、投与経路、投与時間、使用されている材料または活性剤の排出または代謝の速度、処置の期間、使用される特定の材料と組み合わせて用いられる他の薬物、化合物および/または材料、処置されている患者の年齢、性別、体重、病態、全身の健康および以前の病歴、などの医療分野で周知の要因に依存し得る。
【0137】
当該分野の通常の技術を有する医師または獣医師は、必要な薬学的組成物の有効量を容易に決定および処方し得る。例えば、医師または獣医師は、薬学的組成物中で使用される本明細書に記載の剤の用量を、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルで開始し、次いで所望の効果が達成されるまでその投薬量を徐々に増大し得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイスまたは薬学的組成物は、被験体に慢性的に適用される。慢性処置としては、長期間にわたる任意の形態の反復投与、例えば、1カ月以上、1カ月〜1年、1年以上、またはそれ以上にわたる反復投与が挙げられる。多くの実施形態では、慢性処置は、被験体の寿命にわたって繰り返しデバイスまたは薬学的組成物を投与する工程を包含する。例えば、慢性処置は、定期的な投与、例えば、1週あたり1回以上、または1カ月あたり1回以上を包含し得る。
【0139】
本明細書に記載のデバイスについては単独で投与可能であるが、上記されるような薬学的組成物として投与されてもよい。疾患または身体状態を診断、予防、処置または管理するために有用な任意の上述の組成物を、キット(必要に応じて組成物の使用のための説明書を含む)中にパッケージングしてもよい。すなわち、このキットは、任意の疾患または身体状態における関与のための組成物の使用の説明を備えてもよい。このキットはさらに、本明細書に考察されるような組成物の使用の説明を包含し得る。任意の適切な技術によって組成物を投与するための説明も提供され得る。
【0140】
本明細書に記載されるキットはまた、1つ以上の容器を備えてもよく、この容器は、本明細書に記載されるようなデバイスおよび/または活性剤などの成分を含んでもよい。このキットはまた、このデバイスを調製および/または投与するための説明を備えてもよい。このキットはまた、1つ以上の溶媒、界面活性剤、防腐剤および/または希釈剤(例えば、標準生理食塩水(0.9%NaCl)、または5%デキストロース)を含む他の容器、ならびにこのような処置の必要な患者に対してデバイスを調製および/または投与するための容器を備えてもよい。
【0141】
このキットの組成物は、任意の適切な形態として、例えば、本質的に乾燥型または少なくとも部分的に水和型で提供されてもよい。本質的に乾燥である場合、この組成物は、適切な溶液の添加によって水和されてもよく、この溶液もまた提供されてもよい。組成物の少なくとも部分的に水和した形態が用いられる実施形態では、液体型は濃縮型であっても即時使用型であってもよい。このキットは、実施形態の1セットでは、1つ以上の容器、例えば、バイアル、チューブ、シリンジなどを含んでもよく、その各々の容器は、この方法で用いられる1つ以上の構成要素を含んでいる。例えば、容器の1つはデバイスを含んでもよい。さらに、キットは、他の成分、例えば投与の前にデバイスと混合されるべき溶液のための容器を備えてもよい。
【0142】
本明細書において用いる場合、「被験体」または「患者」とは、任意の哺乳動物(例えば、ヒト)、例えば、疾患または身体状態の影響を受けやすい場合もある哺乳動物を指す。被験体または患者の例としては、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコまたはげっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、またはモルモットが挙げられる。一般には、デバイスは、ヒトでの使用向けである。被験体とは、特定の疾患もしくは身体状態を有すると診断されたか、またはそうでなければ、ある疾患もしくは身体状態を有することが公知の被験体であり得る。いくつかの実施形態では、被験体は、ある疾患または身体状態と診断されるか、または発症するリスクがあることが公知であり得る。
【実施例】
【0143】
種々の実施形態がさらに、以下の実施例に例示されおり、この実施例は、決してその範囲を限定する強制であると解釈されるべきではない。それどころか、本明細書の説明を読んだ後、本発明の趣旨および添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者にはそれ自体が示唆され得る、その種々の他の実施形態、修飾および等価物が行われなければならない場合もあることが明らかに理解される。
【0144】
以下の実施例で用いられる材料は、種々の供給業者から入手した。ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)は、Lakeshore Biomaterials(Birmingham,AL)から入手した。PLGAは、118kDa(65:35;65%の乳酸および35%グリコール酸)および18kDa(50:50)の分子量のサンプルを含んだ。CiproTMI.V.(シプロフロキサシン0.2%の即時使用インフュージョン溶液を5%デキストロース注射液中に含む)は、Bayer Pharmaceutical Corporation(West Haven,CT)から購入した。Irgacure 3959は、Ciba Specialty Chemicals Corporation(Tarrytown,NY)から入手した。中程度の等級のアクリル酸樹脂は、London Resin Company (Reading,Berkshire,England)から入手した。シプロフロキサシン粉末、フルオレセイン、HEMAおよび全ての他の試薬は、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。
【0145】
臨床的な眼科関連Staphylococcus aureus株は、Massachusetts Eye and Ear Infirmary(MEEI)Clinical Laboratoryから入手して、ヒトの角膜、眼瞼および小管の感染から回収した;全ての細菌単離体の最小阻害濃度は、National Committee for Clinical Laboratory Standards(NCCLS)によって推奨される標準的方法によって決定した。MEEI−IB01は、シプロフロキサシン−耐性の角膜炎株(最小阻害濃度[MIC]>2μg/ml)である。MEEI−IB03、MEEI−IB012、およびMEEI−IB013は、シプロフロキサシン感受性(MIC<1μg/ml)株である。
【0146】
(実施例1)
薬物放出材料の製造
薬物放出材料を作製するために、PLGAを15mLの酢酸エチル中に溶解した。フルオレセインを、溶液に添加して、混合し、PLGA溶液の内側に懸濁液を形成した。フィルムを、118kDa(「高」)および18kDa(「低」)分子量のPLGAポリマーおよび種々の比のPLGA対フルオレセインで作成した(表1)。懸濁液を、Teflonのウェルに注いだ。酢酸エチルをドラフト中で一晩、空気の層流による蒸発で取り除き、次いで48時間凍結乾燥した。この特定の局面では、14mmの外径および5mmの中央開口部を有するリングを、フルオレセイン−PLGAフィルムに打ち抜いた。
【0147】
フルオレセイン含有PLGAフィルム同じ質量のフルオレセインおよび異なる質量のPLGA、種々の比のラクチド対グリコチド、ならびに高分子量および低分子量のPLGAポリマーで作製した。
【0148】
(表1 レンズのプロトタイプの組成)
【0149】
【表1】

シプロフロキサシンフィルムはまた、PGLA65:35(118kDaの分子量)および1:1比の医薬品対PLGA(20mgのシプロフロキサシンおよび20mgのPLGA)を用いて、上記のとおり、溶媒キャスティングによって作製した。
【0150】
(実施例2)
pHEMAによる薬物放出材料の封入
実施例1の各々の薬物放出材料は、以下のとおり、紫外(UV)重合化プロセスを用いてpHEMAで封入した。11.6mLのモノマーHEMAおよび44μLの架橋剤エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を8.6mLの脱イオン水に溶解した。100μLの0.1g/mL Irgacure 2959光開始剤が含有されるジメチルスルホキシドを次に添加して、得られた溶液を窒素下で40分間脱気した。その溶液の160μLを100μm深さの円柱ゴム鋳型(直径16mm)に移して、ガラススライドで覆い、窒素充填プラスチックバッグに移した。次いで溶液を、305nmのUVランプで60分間重合化して、複合コンタクトレンズの底部pHEMA部分を形成した。
【0151】
薬物放出材料を、乾燥pHEMAゲル上に手技的に押圧して、特注の円柱ゴム鋳型(450μmの深さ×16mmの直径)に入れた。次いで、ゴム鋳型を、HEMAモノマー光開始剤溶液で充填して、UV重合化した。得られたコンタクトレンズは、pHEMAで封入された薄い薬物放出材料から構成された。この特定のコンタクトレンズは、全体で450μmの厚みおよび16mmの外径を有した。
【0152】
比較の目的のために、PLGAなしの結晶性フルオレセインをまた、pHEMA中に封入した。20mgのフルオレセインを15mLの酢酸エチル中に懸濁し、中央の5mmのゴム栓を有する円柱ゴム鋳型(100μm厚の事前形成したpHEMA脱水ゲルの頂部上でクランプしていた)中に注いだ。酢酸エチルを、ドラフト中で一晩蒸発させて、プロトタイプのレンズ中で調製された薬物−PLGAフィルムと同じフットプリントを占めたフルオレセイン結晶の薄層を残した。次いで、このフルオレセインを、上記のようにpHEMAで封入して、凍結乾燥した。
【0153】
図1は、実施例1および2に記載の方法によって作製したコンタクトレンズデバイスの写真である。このコンタクトレンズデバイスは、pHEMA2で封入したシプロフロキサシン薬物放出材料1からなる。
【0154】
(実施例3)
薬物放出研究
薬物放出を研究するために、実施例2のように作製したコンタクトレンズを、15mLのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)(pH=7.4)を含む50mLの遠心分離管の中に入れた。この遠心分離管を37℃のインキュベーター中に連続振盪しながら入れた。PBSをサンプリングして、所定の間隔で完全に置き換えた。PBS培地中に放出されたフルオレセインの量は、UV/VIS分光光度計(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を用いて490nmの波長で測定した。各々の速度論的な時点で放出されたフルオレセインの濃度および質量は、公知のフルオレセイン濃度で作成した検量線に基づいて算出した(R>0.99)。4つの個々のコンタクトレンズを各々の処方物について試験した。
【0155】
薬物送達デバイスの非存在下におけるフルオレセインの放出は、25mgの遊離のフルオレセイン粉末を15mLのPBS中に懸濁することによって試験した。その管を遠心分離し、上清を薬物送達デバイスと同じ所定の間隔でアッセイした。
【0156】
媒体中に放出されるシプロフロキサシンの量は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量した(110シリーズ,Agilent Technologies,Palo Alto,CA)。AtlantisTMdC18分析カラム(4.6×250mm;粒子サイズ5μm)を、10mMのリン酸緩衝液(pH2.1)およびアセトニトリルから構成される移動相混合物で用いた。リン酸緩衝液に対するアセトニトリルの比は、8分にわたって20%から70%に増大し、次いで次の2分にわたって20%に戻った。流速は1mL/分に設定した。サンプルを0.45μmのシリンジフィルターを通して濾過し、20μLのサンプルを事前に平衡化したカラムに注入した。シプロフロキサシン濃度は、275nmでUV検出器セットを用い、測定したピーク領域と、各々のHPLC施行用に新しく調製した一連のシプロフロキサシン標準品(Cipro−IV溶液から調製)について測定した領域とを関連付けて、決定した。
【0157】
封入されていないフルオレセイン−PLGAフィルム(PLGA 65:35,高[118kDa]分子量)は、10日間にわたって直線状の速度を有する薬物放出を示し、フィルム中に65%のフルオレセインを放出し、その後は、放出が少なかった。pHEMAによるフルオレセイン−PLGAフィルムの封入は、有意に遅くかつ長い放出速度をもたらし、これは実質的にゼロ次の速度で4週を超える放出をもたらし、一方でフィルム中に総フルオレセインの10%を放出する(図3a)。両方のデバイスからの放出は、遊離のフルオレセイン粉末の溶解速度よりも有意に遅かった。薬物がPLGAフィルムなしでpHEMAを用いて封入された場合、放出プロフィールは、PLGAフィルム中の薬物からの放出プロフィールよりも遅いが、pHEMAで封入されたPLGAフィルムにおける薬物からの放出プロフィールよりも速かった。薬物がpHEMAで封入されたPLGA中に含まれる場合に観察されるよりもフルオレセイン放出における変動の程度は大きかった。従って、PLGAフィルムおよびpHEMAの両方とも、プロトタイプのコンタクトレンズからのフルオレセインの放出を制御するのに寄与する要因であると考えられる。
【0158】
pHEMA−封入PLGAフィルムは、少なくとも100日間にわたって放出を続け(図3b)、この時点で、封入されたフルオレセインのうち33%が放出された。この放出は、60日間にわたって同じ実質的にゼロ次の速度を示し続け、次に、高くなり、しかし、実質的にゼロ次の放出速度のままであった。放出の100日後、pHEMAで封入されたPLGAフィルムは、黄色を保持し、これは、かなりのフルオレセインがこのプロトタイプのレンズの中に保持されたままであることを示している。
【0159】
薬物に対するPLGAの種々の比によって、pHEMAで封入されたPLGAフィルムからのフルオレセインの放出の速度は変化したが、4週にわたって実質的にゼロ次の速度を維持していた(図4)。フルオレセインに対するPLGAの割合を増大すること(フルオレセインの質量は一定に維持)は、PLGAの分子量を増大することと同じように、フルオレセインの放出を遅くした(図5)。両方の改変ともほぼゼロ次の放出速度を維持した。
【0160】
抗菌のプロトタイプのコンタクトレンズは、pHEMA中にシプロフロキサシン−PLGA 65:35(高[118kDa]分子量)フィルムを封入することによって製造した。これらのプロトタイプはまた、最初の24時間に薬物放出の小さい最初のバーストを示し、続いて、4週間にわたる実質的にゼロ次の速度を示した(図6)。最初のバーストの後、各々のプロトタイプのコンタクトレンズは、1日あたり134μgというシプロフロキサシンの平均質量を放出した。1カ月の経過にまたがって、このレンズは最初に含んでいたシプロフロキサシンの23%を放出した。
【0161】
(実施例4)
シプロフロキサシン−PLGAフィルムの抗菌活性
シプロフロキサシン含有PBSサンプルを、シプロフロキサシン感受性のS.aureusおよびシプロフロキサシン耐性のS.aureusの3つの臨床試験単離体に対する抗菌有効性について試験した。耐性株は、細菌殺傷が抗生物質に起因し、未知の阻害性物質に起因しないことを保証するための陽性コントロールとして機能した。すべての細菌は、抗生物質なしのブレインハートインフュージョン(BHI)−スクロース−PBS中で増殖させた。細菌なしの放出培地を陰性コントロールとして用いた。
【0162】
細菌は最初に、5つの大きいコロニーから増殖させ、2時間、3mLの抗生物質なしの10%のBHI−0.2%スクロース中で増殖させた。対数期の(活発に増殖している)細菌の懸濁液を、0.09mLのシプロフロキサシン放出培地に対して0.01mLの細菌懸濁物を添加することによって1:10希釈した。サンプルを37℃で20時間インキュベートして、その後に連続希釈を、非選択性のBHI寒天上に、抗生物質なしで37℃で48時間プレートして、回収すべきコロニーをゆっくり増殖させた。増殖したコロニーを再培養して、50μg/mlのシプロフロキサシンの有無において、BHI寒天上でシプロフロキサシン感受性について評価した。各々のサンプルは3回反復して試験した。
【0163】
プロトタイプのコンタクトレンズから溶出したシプロフロキサシンは、CiproTMI.V.と同じHPLCプロフィールを有した。コンタクトレンズから放出されたシプロフロキサシンの抗菌有効性を試験し(表2)、これが曝された多数の処理工程(紫外光、温度およびpH変化、ならびに他の材料との相互作用)によって、および溶液中で37℃で長期存在することによって障害を受けないことを確認した。放出培地は、放出の28日目に4つのシプロフロキサシン含有レンズ(図5と同じサンプル)から収集して、抗生物質なしのBHIスクロースPBSにおいて増殖したStaphylococcus aureusの臨床単離体に対して試験した。さらに、サンプルを、放出の2日および14日に1つのレンズから採取した。すべての場合に、サンプルは、薬物の放出の約16時間に相当した。
【0164】
10個未満の細胞の細菌接種によって、コンタクトレンズ放出培地によるシプロフロキサシン感受性のS.aureusの3つの株全て(MEEI−IB003、MEEI−IB012、およびMEEI−IB013)が完全に阻害された。10個以上の細胞の細菌接種を用いる場合、やはりシプロフロキサシン感受性のS.aureusが放出の2日目、15日目および28日目に完全に阻害された(表2)。表2のデータは、言及された時点に先行して16時間にわたって放出された薬物を反映し、単一のサンプルの3回反復の平均値である。28日目に、4つの別のサンプルの3回反復分を平均する。より高い細菌接種では、増殖した細菌単離体は稀であって、にもかかわらず、シプロフロキサシンの耐性の発達に起因して極めて増殖は低いカウント(未処理のコントロールにおける数十億に比較して30以下)であった。
【0165】
(表2 4つの別のプロトタイプのコンタクトレンズから溶出したシプロフロキサシンに暴露後のStaphylococcus aureusのシプロフロキサシン耐性株およびシプロフロキサシン感受性株の増殖)
【0166】
【表2】

本明細書に引用される刊行物、およびそれらが言及する材料は、特に参照によって援用される。本明細書に記載の方法およびデバイスの改変および変動は、前述の詳細な説明から当業者に明らかである。このような改変および変動は、添付の特許請求の範囲内におさまるものと意図する。
【0167】
本発明のいくつかの実施形態が記載されており、かつ本明細書に例示されているが、当業者は、本明細書に記載される機能を実施ならびに/または結果および/もしくは1つ以上の利点を得るための種々の他の方法および/または構造を容易に想定し、かつこのような変動および/または改変の各々は本発明の範囲内であるとみなされる。さらに一般的には、当業者は、本明細書に記載の全てのパラメーター、寸法、材料および構成が、例示であることを意味すること、ならびに正確なパラメーター、寸法、材料および/または構成は、本発明の教示が用いられる特定の1つのまたは複数の適用に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、日常的実験のみを用いて、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識または確認し得る。従って、前述の実施形態は、例示としてのみ示されること、および添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、本発明は、特に記載されかつ特許請求される以外に行われ得ることが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載される各々の個々の特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法に関する。さらに、2つ以上のこのような特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組み合わせは、このような特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法が互いに矛盾しない場合、本発明の範囲内に包含される。
【0168】
不定冠詞「1つの、ある(「a」および「an」)は、本明細書においておよび特許請求の範囲で用いる場合、明確に反対であることが示されていない限り、「少なくとも1つ」を意味することが理解されるべきである。本明細書においておよび特許請求の範囲において用いる場合、「および/または」という句は、そのように接続された構成要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、いくつかの場合には接続して存在し、他の場合には接続せずに存在する構成要素を意味することが理解されるべきである。他の構成要素は、明確に反対であることが示されていない限り、特に特定された構成要素に関係しようと無関係であろうと、必要に応じて、「および/または」の節によって特に特定される構成要素以外に存在してもよい。従って、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」という言及は、非限定的用語、例えば「含んでいる」と組み合わせて用いられる場合、一実施形態では、BなしのA(必要に応じてB以外の構成要素を含む)を指す場合があるし;別の実施形態では、AなしのB(必要に応じてA以外の構成要素を含む)を指す場合があるし;さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(必要に応じて他の構成要素を含む)を指す場合がある;などである。
【0169】
本明細書において、および特許請求の範囲において用いる場合、「または」とは、上記の「および/または」と同じ意味を有することが理解されるべきである。例えば、リスト中の条項を分離する場合、「または」または「および/または」は、包含的である、すなわち、少なくとも1つの包含と解釈されるであろうが、また構成要素の数またはリストのうちの2つ以上、および必要に応じて追加の挙げられていない条項を含む。「〜のうちの1つだけ」または「〜のうちの正確に1つ」または特許請求の範囲で用いる場合には「〜からなる」などの明確に反対であることを示す用語のみが、構成要素の数またはリストのうちの正確に1つの構成要素を含むことを指す。一般には、「または」という用語は、本明細書において用いる場合、「いずれか」、「〜のうちの1つ」、「〜のうちの1つだけ」、または「〜のうちの正確に1つ」などの排他性の用語が先行する場合、排他的な代替物(すなわち、一方または他方だが両方ではない)を示すと解釈されるにすぎない。「本質的に〜からなる」とは「特許請求の範囲で用いられる場合、特許法の分野で用いられるその通常の意味を有するものとする。
【0170】
本明細書において、明細書中、および特許請求の範囲で用いる場合、「少なくとも1つの」という句は、1つ以上の構成要素のリストを参照して、構成要素のリストにおける任意の1つ以上の構成要素から選択された少なくとも1つの構成要素を意味し、ただし、構成要素のリスト内に特異的に挙げられる各々のかつあらゆる構成要素のうちの少なくとも1つを含んでおり、構成要素のリストにおける構成要素の任意の組み合わせを排除する必要はないことが理解されるべきである。この定義によってまた、構成要素は必要に応じて、特に特定される構成要素に関係しようと無関係であろうと、構成要素(「少なくとも1つの」という句が言及する)のリスト内で特に特定される構成要素以外に存在し得ることが可能になる。従って、非限定的な例としては、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、等価であるが、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」または等価であるが「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて例としては2つ以上のAを指してもよく、ここでBは存在しない(必要に応じて、B以外の構成要素を含む);別の実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて例としては2つ以上のBを指してもよく、ここでAは存在しない(必要に応じて、A以外の構成要素を含む);なお別の実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて例としては2つ以上のAおよび少なくとも1つ、必要に応じて例としては2つ以上のB(必要に応じて、他の構成要素を含む)を指してもよい;などである。
【0171】
特許請求の範囲では、上記の明細書と同じく、全ての移行句、例えば、「含む、含んでいる、包含する」、「含む、含んでいる、包含する、挙げられる」、「担持する」、「有する」、「含む、含んでいる、包含する」、「含む、含んでいる、包含する」、「保持する」などは、非限定的である、すなわち、包含するが限定するものではないことを意味すると理解されるべきである。「〜からなる」および「本質的に〜からなる」という唯一の移行句は、米国特許庁特許審査手順マニュアル(United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures)、条文2111.03に示されるとおり、それぞれ閉鎖または半閉鎖式の移行句である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物溶出性コンタクトレンズであって:
少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料を含み、該コンタクトレンズが、少なくとも120時間にわたって該少なくとも1つの薬物の実質的にゼロ次の放出を提供し、ここで該少なくとも1つの薬物が1時間あたり少なくとも0.01マイクログラムの速度で放出される、薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項2】
前記薬物放出材料がポリマーを含む、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項3】
前記薬物放出材料が、非ポリマー性賦形剤を含む、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項4】
前記薬物放出材料が、多層構造を含む、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項5】
前記ポリマーが生分解性である、請求項2に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項6】
前記ポリマーが非分解性である、請求項2に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項7】
前記コンタクトレンズは、被験体によって装着された場合、前記薬物放出材料が結膜を覆って位置するように寸法決定される、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項8】
前記コンタクトレンズは、被験体によって装着された場合、前記薬物放出材料が前記患者の少なくとも1つの眼瞼の下に少なくとも部分的には位置するように構築されかつ寸法決定される、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項9】
前記コンタクトレンズがレンズ材料を含む、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項10】
前記レンズ材料がヒドロゲルである、請求項9に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項11】
前記レンズ材料が、薬物放出材料を封入する、請求項9に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項12】
光軸を横切る前記レンズ材料が、光学的に透明である、請求項9に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項13】
前記光軸を横切る前記薬物放出材料が、光学的に透明である、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項14】
前記レンズ材料は、前記患者が少なくとも24時間連続して前記コンタクトレンズを装着可能であるように十分に酸素透過性である、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項15】
前記レンズ材料の前記酸素透過性Dkが4より大きい、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項16】
前記レンズ材料の前記酸素透過性Dkが100より大きい、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項17】
前記コンタクトレンズが、前記少なくとも1つの薬物の少なくとも1mgを含む、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項18】
前記コンタクトレンズが、前記少なくとも1つの薬物の少なくとも10mgを含む、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項19】
前記コンタクトレンズが、前記少なくとも1つの薬物の少なくとも100mgを含む、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項20】
前記少なくとも1つの薬物が、第一の薬物および第二の薬物を含む、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項21】
前記第一の薬物が、前記第二の薬物とは異なる速度で放出される、請求項20に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項22】
前記少なくとも1つの薬物が抗感染症剤を含む、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項23】
前記少なくとも1つの薬物が、抗VEGF剤を含む、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項24】
前記少なくとも1つの薬物が、抗炎症剤を含む、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項25】
前記少なくとも1つの薬物が、眼圧降下剤を含む、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項26】
前記少なくとも1つの薬物が、少なくとも720時間にわたって放出される、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項27】
前記少なくとも1つの薬物が、少なくとも2400時間にわたって放出される、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項28】
前記少なくとも1つの薬物が、少なくとも720時間にわたって放出される、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項29】
前記少なくとも1つの薬物が、1時間あたり少なくとも0.1マイクログラムの速度で放出される、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項30】
前記少なくとも1つの薬物が、1時間あたり少なくとも1マイクログラムの速度で放出される、請求項1に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項31】
薬物溶出性コンタクトレンズであって:
該コンタクトレンズの装着者の視線が通過する光学経路と;
眼の近位で該コンタクトレンズによる放出のための少なくとも1つの薬物を含む実質的に連続の薬物担持ゾーンであって、該ゾーンは、該光学経路の周囲であるが該光学経路中には存在しておらず、ここで該薬物担持ゾーンは、レンズ材料によって封入されている、薬物担持ゾーンと、
を備える、薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項32】
前記コンタクトレンズが、少なくとも120時間にわたって少なくとも1つの薬物の実質的にゼロ次の放出を提供する、請求項31に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項33】
前記少なくとも1つの薬物が1時間あたり少なくとも0.005マイクログラムの速度で放出される、請求項31に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項34】
薬物溶出性コンタクトレンズであって:
少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料を含み、該薬物放出材料が、眼の近位に該材料から該薬物を放出するように構築および配置されており、
ここで該薬物が少なくとも約2mgの量で該コンタクトレンズ中に存在する、薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項35】
前記薬物放出材料が、眼の近位に該薬物の少なくとも約2mgを放出するように構築および配置されている、請求項34に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項36】
前記薬物放出材料が、ポリマーを含む、請求項34に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項37】
前記コンタクトレンズが、前記少なくとも1つの薬物の実質的にゼロ次の放出を提供する、請求項34に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項38】
薬物溶出性コンタクトレンズであって:
少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料を含み、該薬物放出材料が、眼の近位に該コンタクトレンズから該薬物を、少なくとも120時間の期間にわたって、1時間あたり少なくとも1マイクログラムの速度で放出するように構築および配置されている、薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項39】
前記薬物放出材料が、ポリマーを含む、請求項38に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項40】
前記コンタクトレンズが、前記少なくとも1つの薬物の実質的にゼロ次の放出を提供する、請求項38に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項41】
薬物溶出性コンタクトレンズであって:
少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料を含み、該薬物放出材料が、眼の近位に該コンタクトレンズから該薬物を、少なくとも120時間の期間にわたって、制御された速度で放出するように構築および配置されており、その結果該レンズは、120時間目に、該少なくとも1つの薬物を1時間あたり少なくとも0.05マイクログラムの速度で放出する、薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項42】
前記コンタクトレンズが、前記少なくとも1つの薬物の実質的にゼロ次の放出を提供する、請求項41に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項43】
前記薬物放出材料がポリマーを含む、請求項41に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項44】
薬物溶出性コンタクトレンズであって:
少なくとも1つの薬物を含んでいる薬物放出材料と
該薬物放出材料を封入しているヒドロゲルレンズ材料とを含み、ここで該コンタクトレンズは、患者の眼に対して少なくとも1つの薬物の制御放出を提供する、
薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項45】
前記薬物放出材料がポリマーを含む、請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記コンタクトレンズ由来の少なくとも1つの薬物の制御放出が実質的にゼロ次である、請求項44に記載のデバイス。
【請求項47】
前記コンタクトレンズは、患者に装着された場合、結膜上に薬物放出材料が位置するように寸法決定される、請求項44に記載のデバイス。
【請求項48】
前記コンタクトレンズは、患者に装着された場合、前記薬物放出材料が少なくとも部分的に患者の眼瞼の一方または両方の下に位置するように構築されかつ寸法決定される、請求項47に記載のデバイス。
【請求項49】
薬物溶出性コンタクトレンズであって:
該コンタクトレンズの光軸の周囲の単一薬物放出材料であって、少なくとも1つの薬物が分散されているポリマーを含む薬物放出材料と;
該薬物放出材料を封入しているヒドロゲルレンズ材料と、
を含み、
ここで該コンタクトレンズは、患者の眼の上に配置された場合、該患者の眼に対して該少なくとも1つの薬物の制御放出を提供する、薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項50】
前記光軸を横切る前記レンズ材料および/または薬物放出材料が光学的に透明である、請求項49に記載のデバイス。
【請求項51】
前記薬物放出材料が、前記コンタクトレンズの光軸に対する開口部を備える、請求項49に記載のデバイス。
【請求項52】
前記レンズ材料は、前記患者が少なくとも24時間連続して前記コンタクトレンズを装着可能であるように十分に酸素透過性である、請求項49に記載のデバイス。
【請求項53】
前記レンズ材料は、前記患者が少なくとも240時間連続して前記コンタクトレンズを装着可能であるように十分に酸素透過性である、請求項49に記載のデバイス。
【請求項54】
前記レンズ材料の前記酸素透過性Dkが4より大きい、請求項49に記載のデバイス。
【請求項55】
前記薬物放出材料の前記ポリマーが生分解性である、請求項49に記載のデバイス。
【請求項56】
前記薬物放出材料の前記ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリラクチド;ポリ(オルトエステル)、ポリ(アミノエステル)、ポリ無水物、ポリオルガノホスファゼン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項49に記載のデバイス。
【請求項57】
前記薬物放出材料の前記ポリマーが非分解性である、請求項49に記載のデバイス。
【請求項58】
前記薬物放出材料の前記ポリマーが、エチルセルロース、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(ウレタン)、シリコーン樹脂、ナイロン、ポリアクリル酸アンモニウム、アクリルアミドコポリマー、アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アクリレート/アクリル酸アンモニウムコポリマー、アクリレート/アルキルアクリレートコポリマー、アクリレート/カルバメートコポリマー、アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、アクリル酸アンモニウムコポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー、酢酸ビニル/アクリレートコポリマー、アミノメチルプロパノール/アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項49に記載のデバイス。
【請求項59】
前記レンズ材料が、ポリヒドロキシエチルメタクリレートヒドロゲル、シリコーン、またはヒドロゲル中に分散したシリコーンを含む複合体を含む、請求項49に記載のデバイス。
【請求項60】
前記薬物ポリマー中の薬物に対するポリマーの質量比が約2:1〜約1:2である、請求項49に記載のデバイス。
【請求項61】
前記コンタクトレンズが、該コンタクトレンズの凸面からよりも該コンタクトレンズの凹面から前記少なくとも1つの薬物を多く放出する、請求項49に記載のデバイス。
【請求項62】
(i)前記レンズ材料が、角膜に接触するためにコンタクトレンズの凸側上で前記薬物放出材料に隣接する微小穿孔を備えているか、(ii)角膜に接触するために該コンタクトレンズの該凸側で該薬物放出材料に隣接するレンズ材料が、該コンタクトレンズの反対側で該薬物放出材料に隣接する該レンズ材料よりも薄いか、(iii)該角膜に接触するための該コンタクトレンズの該凸側で該薬物放出材料に隣接する該レンズ材料が、該コンタクトレンズの反対側で該薬物放出材料に隣接する該レンズ材料よりも水透過性が強いか、(iv)該薬物放出材料が、該眼に向かって薬物を放出するように偏向されているか、または(v)(i)〜(iv)のいずれかの組み合わせである、請求項61に記載のデバイス。
【請求項63】
前記薬物放出材料がリング形状である、請求項49に記載のデバイス。
【請求項64】
前記薬物放出材料が、環状、半環状、円弧形状、三日月形状またはアーチ形状である、請求項49に記載のデバイス。
【請求項65】
前記少なくとも1つの薬物が、抗生剤、抗真菌剤、麻酔剤、抗VEGF剤、抗炎症剤、眼圧降下剤、またはそれらの組み合わせを含む、請求項49のデバイス。
【請求項66】
薬物溶出性コンタクトレンズであって、
薬物含有ポリマーフィルムを封入するヒドロゲルレンズ材料を含み、
ここで、該コンタクトレンズは、少なくとも168時間にわたって少なくとも1つの薬物の実質的にゼロ次の放出を提供する、薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項67】
薬物溶出性コンタクトレンズであって:
薬物含有ポリマーフィルムを封入するヒドロゲルレンズを含み、
ここで、該コンタクトレンズが、少なくとも168時間にわたって少なくとも1つの薬物を治療上有効な量で放出する、薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項68】
前記放出が、実質的にゼロ次である、請求項67に記載のコンタクトレンズ。
【請求項69】
パッケージングされた医療用デバイスであって:
請求項1〜68のいずれかの薬物溶出性コンタクトレンズの少なくとも1つと;
パッケージング容器であって(i)該少なくとも1つの薬物溶出性コンタクトレンズ、および(ii)該少なくとも1つの薬物溶出性コンタクトレンズの薬物含有ポリマーフィルム中の該少なくとも1つの薬物と同じ薬物である薬物の飽和溶液を含むパッケージング容器と;
を備える、パッケージングされた医療用デバイス。
【請求項70】
前記薬物含有ポリマーフィルムのポリマーが非生分解性である、請求項69に記載のパッケージングされた医療用デバイス。
【請求項71】
パッケージングされた医療用デバイスであって:
請求項1〜68のいずれかの薬物溶出性コンタクトレンズの少なくとも1つであって、凍結乾燥されているか、またはそうでなければ部分的にもしくは完全に脱水状態である、コンタクトレンズと;
パッケージング容器であって、該少なくとも1つの薬物溶出性コンタクトレンズを含み、該パッケージング容器が、密閉されており、かつ該少なくとも1つの薬物溶出性コンタクトレンズをその凍結乾燥状態で維持し得る、パッケージング容器と;
を備える、パッケージングされた医療用デバイス。
【請求項72】
前記薬物含有ポリマーフィルムのポリマーが生分解性である、請求項71に記載のパッケージングされた医療用デバイス。
【請求項73】
患者の眼に対して薬物を投与するための方法であって:
該患者の眼の角膜上に請求項1〜68のいずれかに記載の薬物溶出性コンタクトレンズを適用する工程と;
該患者の眼に対して該コンタクトレンズから少なくとも1つの薬物が、治療上有効な量でまたは予防上有効な量で放出されることを可能にする工程と;
を包含する、方法。
【請求項74】
前記コンタクトレンズが、結膜上に適用される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
患者の眼に対して薬物を投与するための方法であって:
該患者の眼の角膜中に、(i)少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料および(ii)該薬物放出材料を封入しているヒドロゲルレンズ材料とを含むデバイスを移植する工程と;
該患者の眼に対して該移植されたデバイスから該少なくとも1つの薬物が、治療上有効な量でまたは予防上有効な量で、制御可能に放出されることを可能にする工程と;
を包含する、方法。
【請求項76】
前記薬物放出材料がポリマーを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
患者の眼に対して薬物を投与するための方法であって:
該患者の眼の強膜中に、(i)少なくとも1つの薬物を含む薬物放出材料および(ii)該薬物放出材料を封入しているヒドロゲルレンズ材料とを含むデバイスを外科的に縫合する工程と;
該患者の眼に対して該移植されたデバイスから該少なくとも1つの薬物が、治療上有効な量でまたは予防上有効な量で、制御可能に放出されることを可能にする工程と;
を包含する、方法。
【請求項78】
前記薬物放出材料がポリマーを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
患者における眼の感染の予防または処置のための方法であって:
該患者の眼の角膜上に請求項1〜68のいずれかに記載の薬物溶出性コンタクトレンズを適用する工程であって、ここで前記少なくとも1つの薬物が抗感染症剤を含む工程と;
該患者の眼に対して該コンタクトレンズから少なくとも1つの該抗感染症剤を、治療上有効な量でまたは予防上有効な量で少なくとも24時間放出する工程と;
を包含する、方法。
【請求項80】
前記コンタクトレンズが、眼の周術期にまたは眼に対する外傷後に適用される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
コンタクトレンズ薬物送達デバイスを作製する方法であって:
ポリマー−薬物フィルムを形成する工程と;
ヒドロゲルレンズ材料内に該ポリマー−薬物フィルムをレンズの形状で封入する工程と、を包含する方法。
【請求項82】
前記ポリマー−薬物フィルムが、溶媒キャスティング法によって調製される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記ポリマー−薬物フィルムが、封入工程の前に凍結乾燥される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
請求項82に記載の方法であって、前記ポリマー−薬物フィルムを形成する工程が:
溶媒中に少なくとも1つのポリマーを溶解して、ポリマー溶液を形成する工程と;
該ポリマー溶液に前記少なくとも1つの薬物を混合して薬物−ポリマー溶液または薬物−ポリマー懸濁物を形成する工程と;
該薬物−ポリマー溶液または薬物−ポリマー懸濁物を乾燥して、該溶媒を蒸発させ、それによって該ポリマー−薬物フィルムを形成する工程と
を包含する、方法。
【請求項85】
請求項81に記載の方法であって、ヒドロゲルレンズ材料内に前記ポリマー−薬物フィルムを封入する工程が:
該レンズ材料またはそれに対するポリマー性前駆体を含む液体の形態で封入材料を提供する工程と;
該レンズ材料を凝固するか、または該ポリマー−薬物フィルムの周囲の該ポリマー性前駆体を重合化して、それによって該ポリマー−薬物フィルムを封入する工程と;
を包含する、方法。
【請求項86】
前記レンズ材料を凝固するか、または前記ポリマー性前駆体を重合化する工程が、前記コンタクトレンズの形状に相当する鋳型内で行われる、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
本明細書に記載されるような制御された薬物送達のための構造。
【請求項88】
薬物溶出性コンタクトレンズであって:
非ポリマー性賦形剤材料と組み合された少なくとも1つの薬物を含む薬物含有フィルムと;
該薬物含有フィルムを封入しているレンズ材料とを含み、
ここで、該コンタクトレンズが、患者の眼に対して該少なくとも1つの薬物の制御放出を提供する、薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項89】
前記レンズ材料がヒドロゲルである、請求項88に記載の薬物溶出性コンタクトレンズ。
【請求項90】
強膜レンズであって:
硬質レンズ部分と、
少なくとも1つの薬物を含んでいる薬物放出材料を含む薬物放出デポ部分と;
該薬物放出材料を封入しているヒドロゲルレンズ材料と
を備え、ここで該薬物放出デポ部分は、該デポ部分が、該強膜レンズが装着された場合、該硬質レンズと患者の角膜との間に位置するように該硬質レンズに固定される、強膜レンズ。
【請求項91】
前記薬物放出材料がポリマーを含む、請求項90に記載の強膜レンズ。
【請求項92】
眼における使用のために構築されかつ配置されたデバイスであって:
少なくとも1つの薬物を含んでおり、かつ制御された速度で少なくとも120時間の期間にわたって眼の近位に該デバイスから該薬物を放出するように、構築されかつ配置された薬物放出材料を含んでおり、その結果120時間目に、該デバイスは1時間あたり少なくとも0.05マイクログラムの速度で該少なくとも1つの薬物を放出する、デバイス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−511395(P2012−511395A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540705(P2011−540705)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/006507
【国際公開番号】WO2010/068281
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【出願人】(511035465)チルドレンズ メディカル センター コーポレーション (2)
【出願人】(511140770)マサチューセッツ アイ アンド イヤー インファーマリー (1)
【Fターム(参考)】