説明

コンテナ内の移動間仕切り固定スイング構造

【課題】移動間仕切りを短時間で容易に移動させることができるとともに、該移動間仕切りを開いて前後の室間を障害なくスムーズに移動することができるコンテナ内の移動間仕切り固定スイング構造を提供すること。
【解決手段】左右の側壁内面にラッシングレール2を前後方向に取り付けて成るコンテナ内を前後方向に移動可能な移動間仕切り3の左右を前記ラッシングレール2に固定するとともに、該移動間仕切り3をスイングさせてこれを開閉可能とする移動間仕切り3の固定スイング構造として、前記移動間仕切り3の左右両端部をヒンジ4を介して前記ラッシングレール2の係合孔2aに係脱可能に取り付けるとともに、該移動間仕切り3を前記ヒンジ4を中心として回動させて開閉するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば冷凍車のコンテナ内に前後方向に移動可能に設けられた移動間仕切りの固定スイング構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば冷凍車に搭載されるコンテナの内部は、前後に移動可能な移動間仕切りによって温度の異なる前後2つの室に区画されるが、移動間仕切りは、コンテナの左右の側壁内面に取り付けられた前後方向に長いラッシングレールの任意の位置に例えば図14〜図16に示すような構造によって取り付けられていた(特許文献1参照)。
【0003】
図14は移動間仕切りの固定構造の従来例を示すコンテナ内部の部分斜視図、図15は移動間仕切りの固定部の正面図、図16は図15のC−C線断面図である。
【0004】
図14に示すように、矩形ボックス状のコンテナ101の左右の側壁の相対向する上下には前後方向に長いラッシングレール102が互いに平行に取り付けられている(一方の側壁に取り付けられたラッシングレール102は図示されていない)。ここで、各ラッシングレール102には複数の矩形状の係合孔102aが前後方向に適当な間隔で形成されている。
【0005】
而して、コンテナ101の内部は、前後に移動可能な移動間仕切り103によって前後の2室S1,S2に区画されるが、この移動間仕切り103は、矩形枠状の支持枠120を介して左右のラッシングレール102に取り付けられていた。
【0006】
即ち、図14に示すように、支持枠120の左右端部の上下を係止駒121によって上下のラッシングレール102の係合孔102aに係合させることによって(図14には一部のみ図示)、支持枠120を図16に示すように左右のラッシングレール102の任意に位置に固定する。次に、支持枠120に接するように移動間仕切り103の左右2枚の間仕切りドア103A,103B(図15及び図16には一方の間仕切りドア103Aのみ図示)をセットし、各移動間仕切りドア103A,103Bの端部の上下と左右の各2本のラッシングレール102とを、図15及び図16に示すように、フレキシブルヒンジ130で連結することによって、各移動間仕切りドア103A,103Bをラッシングレール102に固定していた。そして、このようにラッシングレール102に固定された間仕切りドア103A,103Bは、フレキシブルヒンジ130を中心として回動させることによって観音扉式に開閉することができる。
【特許文献1】実用新案登録第3063217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図14〜図16に示した従来の固定構造では、移動間仕切り103(間仕切りドア103A,103B)とラッシングレール102とをフレキシブルヒンジ130によって固定する構成が採用されているため、移動間仕切り103を垂直に保つためには支持枠120が不可欠であり、移動間仕切り103をその固定位置を変更して移動させるには多大な手間と時間を要するという問題があった。
【0008】
又、間仕切りドア103A,103Bを開けて室間S1,S2間を移動する際に支持枠120が邪魔となり、台車等を容易に移動させることができないばかりか、支持枠120との干渉のために各間仕切りドア103A,103Bを一方向(前又は後方向)にしか開くことができないために使い勝手が悪いという問題もあった。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、移動間仕切りを短時間で容易に移動させることができるとともに、該移動間仕切りを開いて前後の室間を台車等が障害なくスムーズに移動することができるコンテナ内の移動間仕切り固定スイング構造を提供することにある。
【0010】
又、本発明の他の目的とする処は、移動間仕切りを前後何れの方向にも開くことができる使い勝手の良いコンテナ内の移動間仕切り固定スイング構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、左右の側壁内面にラッシングレールを前後方向に取り付けて成るコンテナ内を前後方向に移動可能な移動間仕切りの左右を前記ラッシングレールに固定するとともに、該移動間仕切りをスイングさせてこれを開閉可能とする移動間仕切りの固定スイング構造として、前記移動間仕切りの左右両端部をヒンジを介して前記ラッシングレールの係合孔に係脱可能に取り付けるとともに、該移動間仕切りを前記ヒンジを中心として回動させて開閉するよう構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ヒンジの一方のリーフを、前記ラッシングレールの係合孔に対して係脱可能な連結金具に結着するとともに、他方のリーフを前記移動間仕切りに固定された固定金具に挿脱可能に固定したことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記ラッシングレール上での前記ヒンジと前記移動間仕切りとの位置関係において、ラッシングレールの表面からヒンジの軸までの距離をH、ヒンジの軸から移動間仕切りのコンテナ側壁側の端面で該ヒンジの軸より遠い側の端面の角までの距離をW、ラッシングレールの表面から移動間仕切りのコンテナ側壁側の端面までの距離をL、ヒンジの軸よりラッシングレールの面に平行にヒンジリーフが延びた距離をDとした場合、HとWとLとDとの関係を、
H>W且つH<L
又は、
H>W且つH>L且つD>(H−L)
に設定したことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記ラッシングレール上での前記ヒンジと前記移動間仕切りとの位置関係において、ラッシングレールの表面からヒンジの軸までの距離をH、ヒンジの軸から移動間仕切りのコンテナ側壁側の端面で該ヒンジの軸より遠い側の端面の角までの距離をW、ラッシングレールの表面から該移動間仕切りのコンテナ側壁側の端面までの距離をL、ヒンジの軸より該ラッシングレールの面に平行にヒンジリーフが延びた距離をDとした場合、HとWとLとDとの関係を、
H<W
又は、
H>W且つH>L
或は、
H>W且つH>L且つD<(H−L)
に設定したことを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1〜3又は1,2,4の何れかに記載の発明において、前記移動間仕切りを観音開き式の左右2枚の間仕切りドアで構成するとともに、各間仕切りドアの周縁に撓曲可能なシール部材を取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、移動間仕切りの左右両端部をヒンジを介してラッシングレールの係合孔に係脱可能に取り付ける構成を採用したため、移動間仕切りを垂直に保つための支持枠が不要となり、移動間仕切りを短時間で容易に移動させることができるとともに、該移動間仕切りを開いて前後の室間を障害なく台車等がスムーズに移動することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、ヒンジの一方のリーフを、ラッシングレールの係合孔に対して係脱可能な連結金具に結着するとともに、他方のリーフを移動間仕切りに固定された固定金具に挿脱可能に固定したため、移動間仕切りの移動に際しては、先ず、移動間仕切りを、これに固定された固定金具をヒンジのリーフから抜くことによってヒンジから取り外し、その後、ヒンジだけをラッシングレールから取り外して該ラッシングレールの別の係合孔に連結金具を介して係合し、このヒンジのリーフを移動間仕切りに固定された固定金具に差し込んで固定すれば、移動間仕切りが容易にラッシングレールの別の位置に固定されるため、移動間仕切りの移動を短時間で容易に行うことができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、HとWとLとDとの関係を、H>W且つH<L、又はH>W且つH>L且つD>(H−L)としたため、各移動間仕切りドアを前後何れの方向にも開けることができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、HとWとLとDとの関係を、H<W、又はH>W且つH>L、或はH>W且つH>L且つD<(H−L)としたため、各移動間仕切りドアを前後何れかの一方向のみに開けることができる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、観音開き式の左右2枚の間仕切りドアの周縁に撓曲可能なシール部材を取り付けたため、各間仕切りドアの隙間からの空気の移動を遮断することができ、前室及び後室に高い密閉性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
<実施の形態1>
図1は本発明に係る移動間仕切りの固定スイング構造を示すコンテナ内部の部分斜視図、図2は移動間仕切りの正面図、図3は図2のA−A線断面図、図4(a)は図2のB−B線拡大断面図、図4(b)は図4(a)の矢視X線方向の図、図5は図4において間仕切りドアを後方へ開放した状態を示す図、図6は固定金具の正面図、図7は同固定金具の破断平面図である。
【0023】
図1に示すように、矩形ボックス状のコンテナ1の左右の側壁の相対向する上下には前後方向に長いラッシングレール2が互いに平行に取り付けられている(一方の側壁に取り付けられたラッシングレール2は図示されていない)。ここで、各ラッシングレール2には複数の矩形状の係合孔2aが前後方向に適当な間隔で形成されている。
【0024】
而して、コンテナ1の内部は、前後に移動可能な矩形板状の移動間仕切り3によって前後の2室S1,S2に区画されるが、この移動間仕切り3は、本発明に係る固定スイング構造によってその左右両端部が金属製のヒンジ4を介してラッシングレール2に固定されるとともに、ヒンジ4によって開閉可能に支持される。
【0025】
ところで、移動間仕切り3は、図2及び図3に示すように、観音開き式の左右2枚の間仕切りドア3A,3Bで構成されており、各間仕切りドア3A,3Bの周縁にはシール部材としてのスポンジ状のパッキン5が取り付けられている、そして、各間仕切りドア3A,3Bのラッシングレール2に対向する側の側端部の上下はヒンジ4を介してラッシングレール2の係合孔2aに係脱可能に取り付けられるとともに、ヒンジ4を中心として回動して開閉される。
【0026】
図2及び図3に示すように、移動間仕切り3が閉じられている場合には、左右の間仕切りドア3A,3Bの相対向する内側の側端部同士はパッキン5を介して互いに当接しており、この閉じ状態は、一方の間仕切りドア3Aの上下に取り付けられたロックブラケット6に他方の間仕切りドア3Bに支持されたロックバー7をスライドさせて差し込むことによってロックされる。尚、各間仕切りドア3A,3Bには、これらの間仕切りドア3A,3Bを開閉するために使用される複数の把手8が取り付けられている。又、図2に示すように、移動間仕切り3A,3Bの上下についても同様に、それぞれの上端部とコンテナ1内部の天井、下端部と床面とはパッキン5を介して当接している。
【0027】
ここで、本発明に係る固定スイング構造の詳細を図4〜図7に基づいて説明する。尚、図4〜図7は一方の間仕切りドア3Aの固定スイング構造のみを示すが、他方の間仕切りドア3Bの固定スイング構造も同様であるため、これについて図示及び説明は省略する。
【0028】
前記ヒンジ4は、軸9を中心として回動可能に連結された2つの板状リーフ4a,4bで構成されており、一方の短いリーフ4aは連結金具10に溶接等によって結着されている。ここで、連結金具10は、前記ラッシングレール2の係合孔2aに対して係脱可能であって、ラッシングレール2の隣接する2つの係合孔2aに嵌合する2つの突起部10aを備えている。尚、連結金具10の構成の詳細は特開2001−106255号公報に開示されている。
【0029】
他方、間仕切りドア3Aの表面には正面視矩形状の固定金具11が取り付けられており、この固定金具11の上下方向中央部には凸部11aが形成されている。そして、この凸部11aの内部には、プレート12によって差込部11bが横方向に貫設されている(図7参照)。
【0030】
又、固定金具11の凸部11aの外面には、平面視U字状のブラケット13が取り付けられており、このブラケット13には差込ピン14が摺動可能に挿通支持されている。
【0031】
而して、後述のように固定金具11の前記差込部11bには、ヒンジ4の他方の長いリーフ4bが差し込まれるが、このリーフ4bと固定金具11には、前記差込ピン14が挿通するための円孔4c,11c(図7参照)がそれぞれ形成されている。そして、差込ピン14の前記ブラケット13内に臨む中間部分にはワッシャ15が結着されており、差込ピン14は、ブラケット13内の前記ワッシャ15との間に縮装されたスプリング16によって奥側(図7の上方)に付勢されている。
【0032】
而して、図7に示すように、ヒンジ4に結着された連結金具10の2つの突起部10aをラッシングレール2の隣接する2つの係合孔2aに差し込んで係止することによってヒンジ4をラッングレール2に固定し、その後、各間仕切りドア3A,3Bに固定された固定金具11の差込部11bにヒンジ4の長い方のリーフ4bを横方向から差し込み、該リーフ4bに形成された円孔4cを固定金具11に形成された円孔11cに合わせ、これらの円孔4c,11cに差込ピン14を差し込めば、各間仕切りドア3A,3Bがヒンジ4を介して固定される。又、図4(a)に示すように閉じられた間仕切りドア3A(3B)を軸9を中心として後方(図4(a)の矢印方向)に略90°回動させれば、各間仕切りドア3A,3Bを図5に示すように後方へのみ開くことができる。
【0033】
このとき、ラッシングレール2上でのヒンジ4の軸9と間仕切りドア3Aとの位置関係において、ラッシングレール2の表面からヒンジ4の軸9までの距離をH、ヒンジ4の軸9から間仕切りドア3Aのコンテナ側壁側の端面で該ヒンジ4の軸9より遠い側の端面の角までの距離をW、ラッシングレール2の表面からから間仕切りドア3Aのコンテナ側壁側の端面までの距離をLとすれば、HとWとLとの間に、
H<W
又は、
H>W且つH>L
なる大小関係が成立することが、一方向のみに間仕切りドア3A(3B)を開くことができる要件となる。
【0034】
なぜならば、H<Wであれば、間仕切りドア3Aを前方(図4(a)の左方向)に回動させると、該間仕切りドア3Aのコンテナ側壁側の端面でヒンジ4の軸9より遠い側の端面の角が、略90°前方に開く前にラッシングレール2に衝突し、それ以上回動しなくなるからである。即ち、WがHより小さいことは、ヒンジ4の軸9を中心に間仕切りドア3Aが略90°前方に、ラッシングレール2に干渉することなく回動できることを意味している。
【0035】
又、H>Lであれば、間仕切りドア3Aを前方(図4(a)の左方向)に回動させると、間仕切りドア3Aのコンテナ側壁側の端面でヒンジ4の軸9より近い側の端面の角が、略90°前向に開く前にヒンジ4のリーフ4aに衝突し、それ以上回動しなくなるからである。即ち、HがLより長いことは、ヒンジ4の軸9を中心に間仕切りドア3Aが略90°前方に、ヒンジ4のリーフ4aに干渉することなく回動できることを意味している。又、左右のヒンジ4の取り付けを逆にして室S2側に取り付けることにより、間仕切りドア3A(3B)の開く方向を変えることができる。尚、間仕切りドア3Aとラッシングレール2或はコンテナ1の天井、側壁、床面との隙間の形状に合わせてパッキン5の形状が決定される。図4(b)に示すよう、ラッシングレール2の部分に対するパッキン5の形状は、ラッシングレール2の断面形状に合わせて加工されている。
【0036】
而して、移動間仕切り3をコンテナ1内で前後方向に移動させる場合には、先ず、間仕切りドア3A,3Bに取り付けられた固定金具11に設けられた差込ピン14をスプリング16の付勢力に抗して手前側(図4の右方)に引き、該差込ピン14をヒンジ4のリーフ4bと固定金具11にそれぞれ形成された円孔4c,11cから抜く。すると、ヒンジ4のリーフ4bと固定金具11との固定が解除されるため、固定金具11をヒンジ4のリーフ4bから抜くことによって間仕切りドア3A,3Bをラッシングレール2から取り外すことができる。
【0037】
上述のように間仕切りドア3A,3Bをラッシングレール2から取り外すと、ラッシングレール2にはヒンジ4だけが残るため、連結金具10のラッシングレール2の係合孔2aとの係合を解除してヒンジ4をラッシングレール2から取り外し、この取り外したヒンジ4をラッシングレール2の別の係合孔2aに連結金具10を介して係合して取り付ける。そして、このヒンジ4のリーフ4bを移動間仕切り3に固定された固定金具11に差し込んで差込ピン14によって固定すれば、各間仕切りドア3A,3Bが容易にラッシングレール2の別の位置に固定されるため、移動間仕切り3(間仕切りドア3A,3B)の移動を短時間で容易に行うことができる。
【0038】
以上のように、本実施の形態によれば、間仕切りドア3A,3Bの左右両端部をヒンジ4を介してラッシングレール2の係合孔2aに係脱可能に取り付ける構成を採用したため、移動間仕切り3を垂直に保つための支持枠が不要となり、移動間仕切り3を短時間で容易に移動させることができるとともに、該移動間仕切り3を開いてコンテナ1内の前後の室S1,S2間を障害なく台車等がスムーズに移動することができる。
【0039】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を図8〜図10に基づいて説明する。
【0040】
図8は移動間仕切りの閉じ状態を示すヒンジ部分の平断面図、図9は移動間仕切りを後方へ開いた状態を示すヒンジ部分の平断面図、図10は移動間仕切りを前方へ開いた状態を示すヒンジ部分の平断面図であり、これらの図においては図4及び図5に示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての説明は省略する。
【0041】
本実施の形態は、移動間仕切り3の観音開き式の各間仕切りドア3A,3Bのヒンジ4側の側端縁にシール部材としての撓曲可能な2枚の弾性フラップ17を取り付けたことを特徴としており、他の構成は前記実施の形態1のそれと同じである。
【0042】
尚、シール部材としては、前記実施の形態1で用いたスポンジ状のパッキン5よりもゴム等の弾性体を用いた弾性フラップ17の方がより変形し易く、過酷な条件でも高いシール効果と耐久性を発揮することができる。
【0043】
而して、本実施の形態によれば、図8に示すように間仕切りドア3A(3B)が閉じられている場合には、各間仕切りドア3A(3B)とコンテナ1の内側壁との間の隙間は弾性フラップ17によって確実にシールされる。そして、各間仕切りドア3A(3B)をヒンジ4の軸9を中心として後方へ回動させて図9に示すように後方へ開くことができるとともに、各間仕切りドア3A(3B)をヒンジ4の軸9を中心として前方へ回動させて図10に示すように前方へも開くことができる。特に、間仕切りドア3A(3B)を図10に示すように後方に開いたときには、弾性フラップ17がコンテナ1の内側壁に当接しても、該弾性フラップ17が弾性変形するために間仕切りドア3A(3B)を後方へ開くことが可能となる。
【0044】
このとき、ラッシングレール2上でのヒンジ4と間仕切りドア3Aとの位置関係において、ラッシングレール2の表面からヒンジ4の軸9までの距離をH、ヒンジ4の軸9から間仕切りドア3Aのコンテナ側壁側の端面でヒンジ4の軸9より遠い側の端面の角までの距離をW、ラッシングレール2の表面から間仕切りドア3Aのコンテナ側壁側の端面までの距離をL、ヒンジ4の軸9よりラッシングレール2の面に平行にヒンジリーフ4aが伸びた距離Dとすれば、HとWとLとDとの間に、
H>W且つH<L
又は、
H>W且つH>L且つD>(H−L)
なる大小関係が成立することが、間仕切りドア3A(3B)をヒンジ4の軸9を中心に前後方向に略90°、即ち、スイングさせることができる要件となる。
【0045】
上記要件の範囲内であれば、シール部材は弾性フラップ17であっても、パッキン5であっても、その変形程度に合わせて間仕切りドア3A(3B)とコンテナ側壁或はラッシングレール2の表面との隙間を設定すれば良い。又、シール部材の形状は、隙間の形状に合わせて加工される。
【0046】
従って、本実施の形態によれば、各間仕切りドア3A,3Bを前後何れの方向にも開けることができる他、前記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0047】
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3を図11〜図13に基づいて説明する。
【0048】
図11は移動間仕切りの閉じ状態を示すヒンジ部分の平断面図、図12は移動間仕切りを後方へ開いた状態を示すヒンジ部分の平断面図、図13は移動間仕切りを前方へ開いた状態を示すヒンジ部分の平断面図であり、これらの図においては図8〜図10に示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての説明は省略する。
【0049】
本実施の形態は、ヒンジ4の一方のリーフ4aをL字状に折曲して連結金具10に溶接等によって結着したことを特徴としており、他の構成は前記実施の形態2のそれと同じである。
【0050】
而して、本実施の形態においても、前記実施の形態2と同様に、図11に示すように間仕切りドア3A(3B)が閉じられている場合には、各間仕切りドア3A(3B)とコンテナ1の内側壁との間の隙間は弾性フラップ17によって確実にシールされる。そして、各間仕切りドア3A(3B)をヒンジ4の軸9を中心として後方へ回動させて図12に示すように後方へ開くことができるとともに、各間仕切りドア3A(3B)をヒンジ4の軸9を中心として前方へ回動させて図13に示すように前方へも開くことができる。特に、間仕切りドア3A(3B)を図13に示すように後方に開いたときには、間仕切りドア3A(3B)の側端部がヒンジ4のL字状のリーフ4aの凹部4dに収容されるとともに、弾性フラップ17が弾性変形するために間仕切りドア3A(3B)を後方へ開くことが可能となる。
【0051】
このとき、ラッシングレール2上でのヒンジ4と間仕切りドア3Aとの位置関係において、ラッシングレール2の表面からヒンジ4の軸9までの距離をH、ヒンジ4の軸9から間仕切りドア3Aのコンテナ側壁側の端面でヒンジ4の軸9より遠い側の端面の角までの距離をW、ラッシングレール2の表面から間仕切りドア3Aのコンテナ側壁側の端面までの距離をL、ヒンジ4の軸9よりラッシングレール2の面に平行にヒンジリーフ4aが伸びた距離Dとすれば、HとWとLとDとの間に、
H>W且つH>L且つD>(H−L)
なる大小関係が成立することが、間仕切りドア3A(3B)をヒンジ4の軸9を中心に前後方向に略90°、即ち、スイングさせることができる要件となる。
【0052】
一方、
H>W且つH>L且つD<(H−L)
なる大小関係が成立することが、間仕切りドア3A(3B)を一方向のみに開くことができる要件となる。
【0053】
ここで、H>Lであれば、間仕切りドア3Aを前方(図4(a)の左方向)に回動させると、間仕切りドア3Aのコンテナ側壁側の端面でヒンジ4の軸9より近い側の端面の角が、略90°前向に開く前にヒンジ4のリーフ4aに衝突し、それ以上回動しなくなるため、間仕切りドア3Aのコンテナ側壁側の端面でヒンジ4の軸9より近い側の端面の角が、略90°前向に開く前にヒンジ4のリーフ4aに衝突しないように、逃げとして、ラッシングレール2の面に平行にヒンジリーフ4aを距離Dだけ延ばしたものである。即ち、HがLより長いとき、DをD>(H−L)として間仕切りドア3Aの逃げを設ければ、ヒンジ1の軸9を中心に間仕切りドア3Aが略90°前方に、ヒンジ4のリーフ4aに干渉することなく回動できることを表している。
【0054】
又、Dを設けない場合には、間仕切りドア3Aは一方向(図4(a)では右方向)しか開くことはできないため、左右のヒンジ4の取り付けを逆にして室S2側に取り付けることにより、間仕切りドア3Aの開く方向を変えることができる。尚、この要件の範囲内であれば、シール部材は弾性フラップ17であっても、パッキン5であっても、その変形程度に合わせて間仕切りドア3A(3B)とコンテナ側壁或はラッシングレール2の表面との隙間を設定すれば良い。又、シール部材の形状は、隙間の形状に合わせて加工される。
【0055】
従って、本実施の形態においても、前記実施の形態2と同様に各間仕切りドア3A,3Bを前後何れの方向にも開けることができる他、前記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態1に係る移動間仕切りの固定スイング構造を示すコンテナ内部の部分斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る移動間仕切りの正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】(a)は図2のB−B線拡大断面図、(b)は(a)の矢視X線方向の図である。
【図5】図4において間仕切りドアを後方へ開放した状態を示す図である。
【図6】固定金具の正面図である。
【図7】固定金具の破断平面図図である。
【図8】本発明の実施の形態2における移動間仕切りの閉じ状態を示すヒンジ部分の平断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2における移動間仕切りを後方へ開いた状態を示すヒンジ部分の平断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2における移動間仕切りを前方へ開いた状態を示すヒンジ部分の平断面図である。
【図11】本発明の実施の形態3における移動間仕切りの閉じ状態を示すヒンジ部分の平断面図である。
【図12】本発明の実施の形態3における移動間仕切りを後方へ開いた状態を示すヒンジ部分の平断面図である。
【図13】本発明の実施の形態3における移動間仕切りを前方へ開いた状態を示すヒンジ部分の平断面図である。
【図14】移動間仕切りの固定構造の従来例を示すコンテナ内部の部分斜視図である。
【図15】移動間仕切りの固定構造の従来例を示す固定部の正断面図である。
【図16】図15のC−C線断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 コンテナ
2 ラッシングレール
2a 係合孔
3 移動間仕切り
3A,3B 間仕切りドア
4 ヒンジ
4a,4b リーフ
4c 円孔
4d 凹部
5 パッキン
6 ロックブラケット
7 ロックバー
8 把手
9 軸
10 連結金具
10a 突起部
11 固定金具
11a 凸部
11b 差込部
11c 円孔
12 プレート
13 ブラケット
14 差込ピン
15 ワッシャ
16 スプリング
S1,S2 室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側壁内面にラッシングレールを前後方向に取り付けて成るコンテナ内を前後方向に移動可能な移動間仕切りの左右を前記ラッシングレールに固定するとともに、該移動間仕切りをスイングさせてこれを開閉可能とする移動間仕切りの固定スイング構造として、前記移動間仕切りの左右両端部をヒンジを介して前記ラッシングレールの係合孔に係脱可能に取り付けるとともに、該移動間仕切りを前記ヒンジを中心として回動させて開閉するよう構成したことを特徴とするコンテナ内の移動間仕切り固定スイング構造。
【請求項2】
前記ヒンジの一方のリーフを、前記ラッシングレールの係合孔に対して係脱可能な連結金具に結着するとともに、他方のリーフを前記移動間仕切りに固定された固定金具に挿脱可能に固定したことを特徴とする請求項1記載のコンテナ内の移動間仕切り固定スイング構造。
【請求項3】
前記ラッシングレール上での前記ヒンジと前記移動間仕切りとの位置関係において、ラッシングレールの表面からヒンジの軸までの距離をH、ヒンジの軸から移動間仕切りのコンテナ側壁側の端面で該ヒンジの軸より遠い側の端面の角までの距離をW、ラッシングレールの表面から移動間仕切りのコンテナ側壁側の端面までの距離をL、ヒンジの軸よりラッシングレールの面に平行にヒンジリーフが延びた距離をDとした場合、HとWとLとDとの関係を、
H>W且つH<L
又は、
H>W且つH>L且つD>(H−L)
に設定したことを特徴とする請求項1又は2記載のコンテナ内の移動間仕切り固定スイング構造。
【請求項4】
前記ラッシングレール上での前記ヒンジと前記移動間仕切りとの位置関係において、ラッシングレールの表面からヒンジの軸までの距離をH、ヒンジの軸から移動間仕切りのコンテナ側壁側の端面で該ヒンジの軸より遠い側の端面の角までの距離をW、ラッシングレールの表面から該移動間仕切りのコンテナ側壁側の端面までの距離をL、ヒンジの軸より該ラッシングレールの面に平行にヒンジリーフが延びた距離をDとした場合、HとWとLとDとの関係を、
H<W
又は、
H>W且つH>L
或は、
H>W且つH>L且つD<(H−L)
に設定したことを特徴とする請求項1又は2記載のコンテナ内の移動間仕切り固定スイング構造。
【請求項5】
前記移動間仕切りを観音開き式の左右2枚の間仕切りドアで構成するとともに、各間仕切りドアの周縁に撓曲可能なシール部材を取り付けたことを特徴とする請求項1〜3又は1,2,4の何れかに記載のコンテナ内の移動間仕切り固定スイング構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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