説明

コンテナ積載用セミトレーラ

【課題】標準コンテナと長寸コンテナとのいずれをも積載し得るコンテナ積載用セミトレーラにおける構造の簡略化および軽量化を図ることにある。
【解決手段】標準コンテナ10と長寸コンテナ11とのいずれをも積載可能なコンテナ積載用セミトレーラにおいて、コンテナ10,11の後端部を締結する後側締結具28を備えた後側締結フレーム25をトレーラ本体12の後端部に設けるとともに、コンテナ10,11の前端部を締結する前側締結具46を備えたボルスタ40aをトレーラ本体12の前端部に着脱自在に取り付ける。トレーラ本体12の前端部には、ボルスタ40aが着脱自在に取り付けられる第1取付部41aと第2取付部42aとが設けられている。このボルスタ40aの前方迫り出し長さMは、後側締結フレーム25の後方迫り出し長さMと均等となっており、両方のコンテナ10,11の長さの差の2分の1に相当する長さに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標準コンテナと長寸コンテナとのいずれをも積載可能な兼用タイプのコンテナ積載用セミトレーラに関する。
【背景技術】
【0002】
牽引車であるトラクタと被牽引車であるトレーラとを有する連結車両には、牽引車と被牽引車とに荷台が設けられたフルトレーラと、荷台が被牽引車のみに設けられたセミトレーラとがある。セミトレーラには駆動車輪が設けられておらず、追従走行する走行車輪が後端部に配置されており、セミトレーラはその前端部に設けられたキングピンとトラクタのカプラとを連結することによりトラクタに牽引されて走行する。
【0003】
セミトレーラに積載されるコンテナは、長さ寸法20フィートの小型コンテナと長さ寸法40フィートの大型コンテナとが主流となっており、これらのコンテナはそれぞれの長手方向が走行方向となるようにしてセミトレーラに積載される。セミトレーラには小型コンテナ専用タイプと、大型コンテナ専用タイプと、両方のコンテナいずれをも積載し得る兼用タイプとがあり、セミトレーラに設けられた締結具によりそれぞれのコンテナの4隅が固定される。
【0004】
これら標準コンテナに加えて、近年では、トレーラによる荷物の輸送効率を向上させるために、長さ寸法45フィートの長寸コンテナが用いられるようになっている。例えば、特許文献1には、45フィートの長寸コンテナを運搬するために、40フィートの標準コンテナを積載し得るトレーラ本体の前端部に前側締結フレームを進退移動自在に設けるとともに、トレーラ本体の後端部に後側締結フレームを進退移動自在に設けるようにしたセミトレーラが記載されている。このセミトレーラにおいては、標準コンテナが積載される際には前側締結フレームおよび後側締結フレームがトレーラ本体内に収納され、長寸コンテナが積載される際には前側締結フレームおよび後側締結フレームがトレーラ本体から迫り出されることになる。
【0005】
前側締結フレームと後側締結フレームとの迫り出し長さは、それぞれ両方のコンテナの長さの差の2分の1に相当しており、標準コンテナと長寸コンテナとのいずれをも、それぞれの長手方向中心をトレーラ本体の荷台中心に設定した状態で積載し得るようになっている。これにより、標準コンテナよりも最大積載重量が大きい長寸コンテナをトレーラ本体に積載しても、セミトレーラの各走行車軸に加わる軸重やトラクタのカプラに加わる所謂第5輪荷重が過大となることが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−96329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前側締結フレームおよび後側締結フレームは、トレーラ本体の縦梁材にそれぞれ摺動自在に装着される一対の摺動ロッドと、それぞれの摺動ロッドの先端に取り付けられた横棒材とを有しており、横棒材の両端部にコンテナを固定するための締結具が設けられている。それぞれの締結フレームは、摺動ロッドがトレーラ本体の縦梁材に対して車両前後方向に摺動されることにより、40フィートの標準コンテナを締結する後退位置と、長寸コンテナを締結する迫り出し位置とに進退移動されることになる。このようにトレーラ本体に締結フレームを進退移動自在に設ける場合には、トレーラ本体の縦梁材に対して摺動ロッドを摺動させるようにしているためセミトレーラの構造が複雑となり、セミトレーラの車体重量が大きくなる。
【0008】
本発明の目的は、標準コンテナと長寸コンテナとのいずれをも積載し得るコンテナ積載用セミトレーラにおける構造の簡略化および軽量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンテナ積載用セミトレーラは、走行車輪が設けられたトレーラ本体を有し、標準コンテナと当該標準コンテナよりも長い長寸コンテナとのいずれをもトラクタに牽引されて運搬するコンテナ積載用セミトレーラであって、それぞれの前記コンテナの後端部を締結する後側締結具を備え、前記標準コンテナを締結する後退位置と、両方の前記コンテナの長さの差の2分の1に相当する後方迫り出し長さを前記トレーラ本体の後端から突出させて前記長寸コンテナを締結する迫り出し位置との間を進退移動自在に前記トレーラ本体の後端部に設けられる後側締結フレームと、前記トレーラ本体の前端部に左右一対設けられ、前記トレーラ本体の左右方向外側に開口する側方開口部が形成された第1取付部と、前記後方迫り出し長さと均等な前方迫り出し長さだけ前記第1取付部よりも前方側に位置させて前記トレーラ本体の前端部に左右一対設けられ、前記トレーラ本体の左右方向外側に開口する側方開口部が形成された第2取付部と、それぞれの前記コンテナの前端部を締結する前側締結具を備え、前記標準コンテナを積載する際にそれぞれの前記第1取付部の側方開口部に着脱自在に取り付けられ前記標準コンテナを締結し、前記長寸コンテナを積載する際にそれぞれの前記第2取付部の側方開口部に着脱自在に取り付けられ前記長寸コンテナを締結する左右一対のボルスタとを有し、前記標準コンテナと前記長寸コンテナとのいずれもがそれぞれの長手方向中心を同一位置に設定した状態で積載されるように、前記トレーラ本体の後端部に前記後側締結フレームを進退移動自在に設けるとともに、前記トレーラ本体の前端部に前記ボルスタを着脱自在に設けることを特徴とする。
【0010】
本発明のコンテナ積載用セミトレーラは、それぞれの前記取付部に上方側に開口する上方開口部が形成されるとともに、前記ボルスタが前記側方開口部に組み付けられた状態で前記上方開口部に連通する固定孔が前記ボルスタに形成され、前記上方開口部と前記固定孔とに組み付けられ前記ボルスタを前記取付部に固定するとともに前記コンテナが突き当てられる固定部材を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トレーラ本体の前端部に設けられた第1取付部または第2取付部にボルスタを着脱自在に取り付けることにより、コンテナの前端部を締結する位置を可変としたので、後側締結フレームと同様の構造をした前側締結フレームをトレーラ本体の前端部に設けるようにした場合に比べて、トレーラの構造が簡略化されるとともにトレーラの軽量化を図ることができる。また、長寸コンテナが積載されるときに、標準コンテナと長寸コンテナの長さの差の2分の1に相当する距離だけ、ボルスタと後側締結フレームとを前後方向に均等に迫り出すようにしたので、長寸コンテナの長手方向中心を標準コンテナの長手方向中心と同一位置となるように設定することができる。これにより、長寸コンテナに最大積載重量の荷物を搭載しても、トラクタに加わる第5輪荷重とトレーラの各走行車軸に加わる軸重とのいずれもが上限値を超えることなく、長寸コンテナをトレーラに積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態であるコンテナ積載用セミトレーラの側面図である。
【図2】図1に示すコンテナ積載用セミトレーラの平面図である。
【図3】40フィートの標準コンテナを下面側から見た斜視図である。
【図4】トレーラ本体の後端部を示す一部切り欠き拡大図である。
【図5】ボルスタが第1取付部に取り付けられた状態を拡大して示す斜視図である。
【図6】図5の分解斜視図である。
【図7】(A)は標準コンテナを積載したときにトレーラに作用する軸重を示す概略図であり、(B)は長寸コンテナを積載したときに作用するトレーラに軸重を示す概略図であり、(C)と(D)はそれぞれ比較例としてのコンテナ積載用セミトレーラに長寸コンテナを積載したときにトレーラに作用する軸重を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。このコンテナ積載用セミトレーラは、長さ寸法40フィートの標準コンテナ10と長さ寸法45フィートの長寸コンテナ11とのいずれをも積載可能な兼用タイプとなっており、トラクタに牽引されてコンテナ10,11を運搬する。これらのコンテナ10,11が積載されるトレーラ本体12は、図1および図2に示すように、走行方向(車両前後方向)に延びる左右一対の2本の縦梁材13と、この縦梁材13を相互に連結し横方向(車両左右方向)に延びる複数の横梁材14とを有しており、縦梁材13の前端部は上方に迫り上がるグースネック部13aを形成している。
【0014】
トレーラ本体12の前端部には牽引車であるトラクタと連結するためのキングピン15が備えられ、トラクタの後端部に設けられたカプラ(図示省略)とトレーラのキングピン15とが連結されて、トレーラはトラクタに牽引される。トレーラには駆動車輪が設けられておらず、それぞれ左右両側に走行車輪16が設けられた3本の走行車軸17がトレーラ本体12の後端部に設けられており、トレーラはトラクタに牽引されて走行車輪16により追従走行する。トレーラがトラクタと連結されていないときにトレーラ本体12の前端部を支持するために、トレーラ本体12には上下方向に進退移動自在にランディングギヤつまり支持脚18が設けられている。
【0015】
このトレーラ本体12には、標準コンテナ10の長さL1よりも長い荷台長さLに形成された荷台19が設けられており、図1に二点鎖線で示すように、トレーラ本体12の前端部から後端にかけて荷台19上に標準コンテナ10が積載される。標準コンテナ10は、その後端をトレーラ本体12の後端に寄せて配置され、標準コンテナ10の長手方向中心C1がトレーラ本体12の荷台中心Cに対して後方側にずれた状態で荷台19上に積載されるようになっている。
【0016】
図3は40フィートの標準コンテナを下面側から見た斜視図であり、この標準コンテナ10と長寸コンテナ11とは略同様の形状をしている。コンテナ10,11はそれぞれ直方体形状をしており、その長手方向がトレーラの走行方向となるようにしてトレーラ本体12の荷台19上に積載される。図3に示すように、コンテナ10,11の前端部の下面にはトンネル凹部21が形成されており、それぞれのコンテナ10,11はトレーラ本体12のグースネック部13aがトンネル凹部21に入り込んだ状態で積載される。また、コンテナ10,11の前端下側の角部には前方に開口する前側係合孔22が形成されており、コンテナ10,11の後端下側の角部には下方に開口する後側係合孔23が形成されている。
【0017】
トレーラ本体12の後端部には後側締結フレーム25が設けられており、この後側締結フレーム25は、図1に示すように、長さL1の標準コンテナ10を締結する後退位置と、長さL2の長寸コンテナ11を締結する迫り出し位置との間を車両前後方向に進退移動自在となっている。後側締結フレーム25が後退位置と迫り出し位置との間を移動する距離、つまり後側締結フレーム25の後方迫り出し長さMは、標準コンテナ10の長さL1と長寸コンテナ11の長さL2の差の2分の1に相当する長さに設定されている。
【0018】
図4はトレーラ本体の後端部を示す一部切り欠き拡大図である。図4に示すように、後側締結フレーム25は、縦梁材13に摺動自在に装着される相互に平行となった2本の摺動ロッド26と、それぞれの摺動ロッド26の先端に取り付けられた後側横棒材27とを有している。後側横棒材27の左右の両端部には、それぞれのコンテナ10,11の後側係合孔23に係合する所謂ツイストロックとしての後側締結具28が上方に突出して設けられている。この後側締結具28をコンテナ10,11の後側係合孔23に挿入した状態で、後側締結具28の先端に設けられた係合頭部28aを後側係合孔23内で回動させることにより、コンテナ10,11の後端部が締結される。
【0019】
2本の摺動ロッド26には後側締結フレーム25をトレーラ本体12に固定するための貫通孔30a,30bが形成されており、それぞれの貫通孔30a,30bを貫通する固定ピン31a,31bが対をなして縦梁材13に設けられている。これら固定ピン31a,31bがそれぞれ貫通孔30a,30bを貫通することにより後側締結フレーム25が後退位置に固定され、固定ピン31aが貫通孔30bを貫通することにより後側締結フレーム25が迫り出し位置に固定される。
【0020】
4つの固定ピン31a,31bは、左右の縦梁材13の後端部の内側面に取り付けられた受け筒32に摺動自在に挿入されており、後側締結フレーム25を固定する固定位置と、受け筒32から突出し固定解除する解放位置との間で進退移動自在である。一対の固定ピン31aを駆動するため、トレーラ本体12にピンにより回動自在に取り付けられた回動部材としての回動レバー33の両端には、それぞれ固定ピン31aがロッドを介して連結されている。同様に、一対の固定ピン31bを駆動するため、トレーラ本体12にピンにより回動自在に取り付けられた回動部材としての回動レバー34の両端には、それぞれ固定ピン31bがロッドを介して連結されている。
【0021】
回動レバー33の中央部から横方向に突出した連結片33aはロッドにより回動レバー34の一端部に連結されており、両方の回動レバー33,34が連動して回動するようになっている。したがって、両方の回動レバー33,34が回動操作されると、それぞれの固定ピン31a,31bが共に固定位置と解放位置に駆動される。また、回動レバー33の一端部には、トレーラ本体12の横方向に往復動自在に装着された操作具35がロッドを介して連結されており、操作具35を操作することにより回動レバー33,34を介して固定ピン31a,31bが同時に操作される。これにより、後側締結フレーム25の固定および固定解除操作を容易に行えるようになっている。
【0022】
一方、トレーラ本体12の前端部には前側締結部材としての左右一対の2つのボルスタ40a,40bが取り付けられており、ボルスタ40a,40bが着脱自在に取り付けられる第1取付部41a,41bと第2取付部42a,42bとがトレーラ本体12の縦梁材13の前端部にそれぞれ左右一対ずつ設けられている。図1に示すように、第1取付部41a,41bよりもトレーラ本体12の前方側に位置させて第2取付部42a,42bが設けられており、ボルスタ40a,40bは、第1取付部41a,41bに取り付けられると長さL1の標準コンテナ10を締結する後退位置となり、第2取付部42a,42bに取り付けられると長さL2の長寸コンテナ11を締結する迫り出し位置となる。第1取付部41a,41bと第2取付部42a,42bとの間の距離、つまりボルスタ40a,40bの前方迫り出し長さMは、後方迫り出し長さMと均等となっており、標準コンテナ10の長さL1と長寸コンテナ11の長さL2の差の2分の1に相当する長さに設定されている。
【0023】
図5はボルスタが第1取付部に取り付けられた状態を拡大して示す斜視図であり、図6は図5の分解斜視図である。図6に示すように、トレーラ本体12の左側に設けられる第1取付部41aには、トレーラ本体12の左右方向外側に開口する側方開口部43と、上方側に開口する上方開口部44とが形成されており、上方開口部44が側方開口部43に連通している。
【0024】
この第1取付部41aに着脱自在に取り付けられるボルスタ40aはトレーラ本体12の左右方向に延びており、その左右方向内側の端部には第1取付部41aの側方開口部43に挿入される挿入部45が設けられている。ボルスタ40aは、挿入部45を側方開口部43に挿入することにより、第1取付部41aの側方開口部43に着脱自在に取り付けられる。また、ボルスタ40aの左右方向外側の端部には、それぞれのコンテナ10,11の前側係合孔22に係合する所謂ロッキングピンとしての前側締結具46が前後方向に進退移動自在に設けられている。この前側締結具46が前方に移動された状態でコンテナ10,11が荷台19上に積載され、前側締結具46を前側係合孔22内に突出させることにより、コンテナ10,11の前端部が締結される。
【0025】
ボルスタ40aの挿入部45には上方側に開口する固定孔47が形成されており、挿入部45が側方開口部43に挿入された状態では、固定孔47と上方開口部44とが連通され、固定孔47が上方開口部44を介して上方側に開口される。上方開口部44と固定孔47とには固定部材48が着脱自在に取り付けられ、固定部材48を上方開口部44と固定孔47とに組み付けることによりボルスタ40aが第1取付部41aに固定される。この固定部材48の後方側の端面には突き当て面48aが形成されており、コンテナ10,11が荷台19上に積載された状態で、それぞれのコンテナ10,11の前端面が固定部材48の突き当て面48aに突き当てられる。
【0026】
トレーラ本体12の左側に設けられる第2取付部42aにボルスタ40aを取り付ける構造や、トレーラ本体12の右側に設けられる第1取付部41bおよび第2取付部42bにボルスタ40bを取り付ける構造は、上述した第1取付部41aにボルスタ40aを取り付ける構造と同様となっており、同じようにしてボルスタ40a,40bが第1取付部41a,41bの側方開口部43または第2取付部42a,42bの側方開口部に着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0027】
図7(A)は標準コンテナを積載したときにトレーラに作用する軸重を示す概略図であり、図7(B)は長寸コンテナを積載したときにトレーラに作用する軸重を示す概略図であり、図7(C)と図7(D)はそれぞれ比較例としてのコンテナ積載用セミトレーラに長寸コンテナを積載したときにトレーラに作用する軸重を示す概略図である。
【0028】
このトレーラにおいては、トレーラ本体12の荷台19上に標準コンテナ10が積載される場合に、キングピン15の位置でトラクタに加わる第5輪荷重とトレーラの各走行車軸17に加わる軸重とが法律で規定された所定の上限値(許容荷重)以下となるように、走行車軸17の軸数、車軸間距離およびトレーラ本体12の荷台中心C等が設定されている。図7(A)に示すように、標準コンテナ10をトレーラに積載する際には、後側締結フレーム25を後退位置に移動してトレーラ本体12内に収納するとともに、ボルスタ40a,40bを第1取付部41a,41bに取り付けるようにしている。このトレーラ本体12の荷台長さLは標準コンテナ10の長さL1よりも長く形成されており、標準コンテナ10の長手方向中心C1がトレーラ本体12の荷台中心Cよりも後方側にずれた状態で標準コンテナ10がトレーラに積載される。
【0029】
図7(B)に示すように、長寸コンテナ11をトレーラに積載する際には、後側締結フレーム25を迫り出し位置に移動してトレーラ本体12から後方へ迫り出すとともに、ボルスタ40a,40bを第2取付部42a,42bに取り付けるようにしている。後側締結フレーム25の後方迫り出し長さMとボルスタ40a,40bの前方迫り出し長さMとは均等であり、それぞれ標準コンテナ10の長さL1と長寸コンテナ11の長さL2の差の2分の1に設定されている。このようにトレーラ本体12の前後方向に均等な距離だけボルスタ40a,40bと後側締結フレーム25とを迫り出した状態のもとで長寸コンテナ11をトレーラに積載すると、長寸コンテナ11の長手方向中心C2の位置が図7(A)に示す標準コンテナ10の長手方向中心C1の位置と一致するようになっている。これにより、トラクタに加わる第5輪荷重と各走行車軸17に加わる軸重とを上限値以下に設定することができる。
【0030】
一方、図7(C)はトレーラ本体50の後端部に後側締結フレーム51が設けられたトレーラを比較例として示している。このトレーラにおいては、長寸コンテナ11を積載する際に後側締結フレーム51を後方に迫り出すようにしており、後側締結フレーム51の後方迫り出し長さHは、長寸コンテナ11の長さL2と標準コンテナ10の長さL1の差(H=L2−L1)に設定されている。したがって、図7(C)に示すトレーラに長寸コンテナ11を積載すると、長寸コンテナ11の長手方向中心C2は、標準コンテナ10をトレーラに積載した場合における標準コンテナ10の長手方向中心C1からH/2だけ後方側にずれることになる。つまり、長寸コンテナ11の重心位置がトレーラ本体12の後方側に偏り、各走行車軸17に加わる軸重が上限値を超過してしまうことになる。そのため、長寸コンテナ11に搭載される荷物の積載重量を最大積載重量よりも小さくする必要があり、荷物の運搬効率を高めることができない。なお、トレーラに設けられる走行車軸17の軸数を増加させることにより、各走行車軸17に加わる軸重が上限値を超過することを防止することも可能であるが、その場合には、標準コンテナ10を運搬する際に不要な軸数となってしまい運搬効率が悪化することになる。
【0031】
また、図7(D)はトレーラ本体52の前端部に左右一対のボルスタ53aが着脱自在に取り付けられたトレーラを比較例として示している。このトレーラにおいては、長寸コンテナ11を積載する際にボルスタ53aを前方に迫り出して取り付けるようにしており、その前方迫り出し長さHは、長寸コンテナ11の長さL2と標準コンテナ10の長さL1の差(H=L2−L1)に設定されている。したがって、図7(D)に示すトレーラに長寸コンテナ11を積載すると、長寸コンテナ11の長手方向中心C2は、標準コンテナ10を積載した場合における標準コンテナ10の長手方向中心C1からH/2だけ前方側へずれることになる。つまり、長寸コンテナ11の重心位置がトレーラ本体12の前方側に偏り、キングピン15を介してトラクタに加わる第5輪荷重が上限値を超過してしまうことになる。そのため、長寸コンテナ11に搭載される荷物の積載重量を最大搭載重量よりも小さくする必要があり、荷物の運搬効率を高めることができない。
【0032】
これに対して、上述のように、本実施形態のトレーラにおいては、長寸コンテナ11が積載されるときに、標準コンテナ10と長寸コンテナ11の長さの差の2分の1に相当する距離だけ、ボルスタ40a,40bと後側締結フレーム25とを前後方向に均等に迫り出すようにしたので、長寸コンテナ11の長手方向中心C2を標準コンテナ10の長手方向中心C1と同一位置となるように設定することができる。これにより、長寸コンテナ11に最大積載重量の荷物を搭載しても、トラクタに加わる第5輪荷重とトレーラの各走行車軸17に加わる軸重とのいずれもが上限値を超えることなく、長寸コンテナ11をトレーラに積載することができる。
【0033】
したがって、走行車軸17の軸数を4軸に増加させた長寸コンテナ専用のトレーラを用いることなく、主として標準コンテナ10を積載するように走行車軸17の軸数を3軸としたトレーラを用いて、最大積載重量の荷物を搭載した長寸コンテナ11を運搬することができる。これにより、長寸コンテナ11に十分な荷物を搭載することができ、トレーラによる運搬効率を高めることができる。
【0034】
このように、本実施形態のトレーラにおいては、トレーラ本体12の前端部に設けられた第1取付部41a,41bまたは第2取付部42a,42bにボルスタ40a,40bを着脱自在に取り付けることで、コンテナ10,11の前端部を締結する位置を前後方向に可変としている。これにより、後側締結フレーム25と同様の構造をした前側締結フレームをトレーラ本体12の前端部に設けるようにした場合に比べて、トレーラ本体12の前端部に摺動機構を設ける必要がなくなるため、トレーラの構造が簡略化されるとともにトレーラの軽量化を図ることができる。
【0035】
また、左右の2つのボルスタ40a,40bをそれぞれ左右一対の取付部41a,41b,42a,42bに着脱自在に取り付けるようにしたので、それぞれのボルスタ40a,40bを軽量化することができ、ボルスタ40a,40bを取付部41a,41b,42a,42bに着脱する作業を容易に行うことが可能となる。
【0036】
さらに、本実施形態のトレーラにおいては、トレーラ本体12の後端部に後側締結フレーム25を進退移動自在に設けることで、コンテナ10,11の後端部を締結する位置を前後方向に可変としている。これにより、40フィートの標準コンテナ10を積載した場合にトレーラ本体12の後端が標準コンテナ10よりも後方に突出することが防止されるため、いずれのコンテナ10,11を積載した場合でも、荷物を積み降ろし作業する施設に設けられたプラットフォームにコンテナ10,11の後端を接近させて停車させることができる。したがって、フォークリフト等をプラットフォームからコンテナ10,11内に直接進入させることが可能となり、コンテナ10,11内への荷物の積み下ろし作業が容易となる。
【0037】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、標準コンテナ10と長寸コンテナ11とのいずれでも積載できる兼用タイプとしたが、さらに20フィートの小型コンテナを積載できるようにしても良い。また、トレーラに設けられる走行車軸17の数は図示した3軸に限られず、2軸または4軸の走行車軸を有するトレーラに対しても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 標準コンテナ
11 長寸コンテナ
12 トレーラ本体
16 走行車輪
25 後側締結フレーム
28 後側締結具
40a,40b ボルスタ
41a,41b 第1取付部
42a,42b 第2取付部
43 側方開口部
44 上方開口部
46 前側締結具
47 固定孔
48 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車輪が設けられたトレーラ本体を有し、標準コンテナと当該標準コンテナよりも長い長寸コンテナとのいずれをもトラクタに牽引されて運搬するコンテナ積載用セミトレーラであって、
それぞれの前記コンテナの後端部を締結する後側締結具を備え、前記標準コンテナを締結する後退位置と、両方の前記コンテナの長さの差の2分の1に相当する後方迫り出し長さを前記トレーラ本体の後端から突出させて前記長寸コンテナを締結する迫り出し位置との間を進退移動自在に前記トレーラ本体の後端部に設けられる後側締結フレームと、
前記トレーラ本体の前端部に左右一対設けられ、前記トレーラ本体の左右方向外側に開口する側方開口部が形成された第1取付部と、
前記後方迫り出し長さと均等な前方迫り出し長さだけ前記第1取付部よりも前方側に位置させて前記トレーラ本体の前端部に左右一対設けられ、前記トレーラ本体の左右方向外側に開口する側方開口部が形成された第2取付部と、
それぞれの前記コンテナの前端部を締結する前側締結具を備え、前記標準コンテナを積載する際にそれぞれの前記第1取付部の側方開口部に着脱自在に取り付けられ前記標準コンテナを締結し、前記長寸コンテナを積載する際にそれぞれの前記第2取付部の側方開口部に着脱自在に取り付けられ前記長寸コンテナを締結する左右一対のボルスタとを有し、
前記標準コンテナと前記長寸コンテナとのいずれもがそれぞれの長手方向中心を同一位置に設定した状態で積載されるように、前記トレーラ本体の後端部に前記後側締結フレームを進退移動自在に設けるとともに、前記トレーラ本体の前端部に前記ボルスタを着脱自在に設けることを特徴とするコンテナ積載用セミトレーラ。
【請求項2】
請求項1記載のコンテナ積載用セミトレーラにおいて、それぞれの前記取付部に上方側に開口する上方開口部が形成されるとともに、前記ボルスタが前記側方開口部に組み付けられた状態で前記上方開口部に連通する固定孔が前記ボルスタに形成され、前記上方開口部と前記固定孔とに組み付けられ前記ボルスタを前記取付部に固定するとともに前記コンテナが突き当てられる固定部材を有していることを特徴とするコンテナ積載用セミトレーラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate