コンテナ
【課題】
コンテナにおいて、作業員による各種作業の作業効率が悪化することを防止する。
【解決手段】
コンテナC本体を支持可能な保持装置Hにより、コンテナCを設置させた際に、コンテナCを低所位置と、低所位置よりもコンテナ高さ方向に高い高所位置とに切替可能とした。コンテナCを低所位置とした場合は、コンテナ上面が低くなり、コンテナ上での作業が容易に行えると共に、コンテナCを高所位置とした場合はコンテナ下面が高くなり、コンテナ下部に配置された吐出口からの給水等が容易となる。
コンテナにおいて、作業員による各種作業の作業効率が悪化することを防止する。
【解決手段】
コンテナC本体を支持可能な保持装置Hにより、コンテナCを設置させた際に、コンテナCを低所位置と、低所位置よりもコンテナ高さ方向に高い高所位置とに切替可能とした。コンテナCを低所位置とした場合は、コンテナ上面が低くなり、コンテナ上での作業が容易に行えると共に、コンテナCを高所位置とした場合はコンテナ下面が高くなり、コンテナ下部に配置された吐出口からの給水等が容易となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体上に搭載可能であり、内部に搬送物を貯留可能なコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内部に水や石油のような液体や、食品や化学薬品のような粉流体、土砂やごみ等の固体等の搬送物を貯留可能なコンテナが知られている。前記コンテナは、積込装置を有する搬送車両の車体上に搭載することができるので、コンテナを所定の現場へ容易に移動させることができる。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
前記コンテナとしては、例えば、災害現場等での給水作業に使用されるタンクコンテナがある。前記タンクコンテナは内部に飲用水を貯留可能なタンクを有している。前記タンクコンテナの使用時には、まず、保管庫等に保管されたタンクコンテナのタンク上面に設けた開口を覆うマンホールを開く。その後、前記開口からタンク内部に飲用水を入れ、飲用水をタンク内に貯留する。そして、飲用水を貯留したタンクコンテナを搬送車両上に搭載し、所定の現場(例えば、給水作業を行う給水現場)へタンクコンテナを移動させる。給水現場に到着後、搬送車両は別の現場へ他のタンクコンテナを搬送するために、車体上のタンクコンテナを地上に降ろす。接地状態のタンクコンテナは飲用水を吐出口より放出し、給水作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3788868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、タンクコンテナの吐出口は、タンク内の飲用水を可能限残量を少なく給水できるようにタンクの底面近くに配置されるので、タンクコンテナの接地時に、タンクが高さ方向において低い場合は、吐出口の位置が地面と近接してしまい、給水作業が困難となる場合がある。
そこで、タンクコンテナ接地時において吐出口の位置を高くするために、タンクコンテナの下部が支持部材を介して接地し、前記支持部材の高さだけタンクコンテナのタンクの位置を高くすることが考えられる。しかし、支持部材によりタンクの位置を高くすると、地面からタンク上面のマンホールの高さがさらに高くなるので、タンク内への給水作業に手間がかかる。
そこで、本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、コンテナ内への投入作業及び、コンテナ外への放出作業を容易としたコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明のコンテナは、搬送物を内部に貯留可能なコンテナ本体と、前記コンテナ本体を支持可能な保持装置とからなり、接地時に、前記保持装置がコンテナ本体を低所位置と、低所位置に比べてコンテナ高さ方向において高い高所位置とに支持可能とすることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、コンテナ本体を低所位置と、低所位置に比べてコンテナ高さ方向において高い高所位置とに支持可能としたので、作業者がコンテナ上部で作業する場合はコンテナ本体を低所位置とすることで、容易に作業を行うことができるとともに、作業者がコンテナ下部で作業を行う際は、コンテナ本体を高所位置とすることで作業を容易に行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0008】
また、前記保持装置は、脚部を有しており、前記脚部は、一端側がコンテナ本体に取付けられている基部側脚部と、前記基部側脚部の他端側に基部側脚部に対して揺動可能に設けられている先部側脚部とからなり、先部側脚部の揺動時に接地する接地部を、基部側脚部及び先部側脚部に設けているのが好ましい。
【0009】
この場合、先部側脚部の屈折時に接地する接地部を、基部側脚部及び先部側脚部に設けているので、コンテナ等を保管する保管場所が雨でぬかるんでいたとしても、先部側脚部を屈折させて接地させると、接地部の設置面積が広いので、保持装置が地面に埋まりコンテナが傾くことを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンテナ本体を低所位置と、低所位置に比べてコンテナ高さ方向に高い高所位置とで支持可能としたので、作業に応じてコンテナ本体の高さを変更でき、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のコンテナの実施の一形態を示し、タンクコンテナを低所位置で接地させた状態における右側面図である。
【図2】図1のタンクコンテナの正面図である。
【図3】図1のタンクコンテナの背面図である。
【図4】タンクコンテナを高所状態で接地させた状態における右側面図である。
【図5】(a)は、突出位置としたタンクコンテナの前側脚部の右側面図であり、(b)は、突出位置としたタンクコンテナの前側脚部の正面図である。
【図6】(a)は、格納位置としたタンクコンテナの前側脚部の右側面図であり、(b)は、格納位置としたタンクコンテナの前側脚部の正面図である。
【図7】(a)は、伸長位置としたタンクコンテナの後側脚部の右側面図であり、(b)は、伸長位置としたタンクコンテナの後側脚部の正面図である。
【図8】(a)は、収縮位置としたタンクコンテナの後側脚部の右側面図であり、(b)は、収縮位置としたタンクコンテナの後側脚部の正面図である。
【図9】図1のタンクコンテナを搬送車両上に搭載した状態における右側面図である。
【図10】搬送車両上と地上との間で、接地時に低所位置となるタンクコンテナを積み降ろしする動作を説明する図である。
【図11】搬送車両上と地上との間で、接地時に高所位置となるタンクコンテナを積み降ろしする動作を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のコンテナの実施の一形態を示し、タンクコンテナを低所位置で接地させた状態における右側面図である。図2は、図1のタンクコンテナの正面図である。図3は、図1のタンクコンテナの背面図である。図4は、タンクコンテナを高所状態で接地させた状態における右側面図である。図5は、(a)は、突出位置としたタンクコンテナの前側脚部の右側面図であり、(b)は、突出位置としたタンクコンテナの前側脚部の正面図である。図6は、(a)は、格納位置としたタンクコンテナの前側脚部の右側面図であり、(b)は、格納位置としたタンクコンテナの前側脚部の正面図である。図7は、(a)は、伸長位置としたタンクコンテナの後側脚部の右側面図であり、(b)は、伸長位置としたタンクコンテナの後側脚部の正面図である。図8は、(a)は、収縮位置としたタンクコンテナの後側脚部の右側面図であり、(b)は、収縮位置としたタンクコンテナの後側脚部の正面図である。図9は、図1のタンクコンテナを搬送車両上に搭載した状態における右側面図である。図10は、搬送車両上と地上との間で、接地時に低所位置となるタンクコンテナを積み降ろしする動作を説明する図である。図11は、搬送車両上と地上との間で、接地時に高所位置となるタンクコンテナを積み降ろしする動作を説明する図である。
【0013】
なお、本発明においては、図1において、紙面下側(後述するリフトバー8が設けられる側)を前側、紙面上側(後述する13dが設けられる側)を後側、図2において紙面左側を左側、紙面右側を右側と定義する。
【0014】
本発明のコンテナCは、図1、4に示すように、タンクTを有するコンテナ本体1と、コンテナ本体1の前部及び後部にそれぞれ設けられた保持装置Hとを備えている。
コンテナ本体1は、図1に示すように、右側面視においてL型形状のコンテナフレーム2と、タンクTとを有している。前記コンテナフレーム2は、図1,2に示すように、左右一対の縦桁3、3と、前記縦桁3、3の前部に固定した左右方向に延びる連結フレーム4と、連結フレーム4の中央上面に立設した立設フレーム5と、前記立設フレーム5の中央部と前記連結フレーム4の各端部とを連結固定する補強フレーム6、6とからなる。前記立設フレーム5の上部端側面には、コンテナ前方に向けて突出した左右一対のプレート7、7が固定されている。前記プレート7、7のコンテナ前方側端部には、後述する搬送車両100に搭載され、コンテナCを積降する積込装置102の先端に設けたフック105と係合可能なリフトバー8が溶接により固定される。
【0015】
前記左右一対の縦桁3,3の上面には、断面が略楕円形状のタンクTが溶接により固定される。前記タンクTの前面は、前記立設フレーム5の後面に溶接にて固定される。タンクTの上面前部には、上方に向けて開口9が設けられている。その開口9は、マンホール10により開閉可能とされている。
【0016】
前記マンホール10の左側には、図2、3に示すように、断面L字状の床板11がタンクTの上面に溶接されている。タンクTの左側側面には、梯子12が設けられており、前記梯子12を登ることで、作業員が前記床板11上へ移動し、マンホール10の開閉を行うことができる。
【0017】
タンクTの後面下部中央には、図1,3に示すように、タンク後方に向けて延びる吐出配管13が設けられている。吐出配管13はタンク後面下部に配置されるので、タンクT内に貯留した飲用水(搬送物)を吸い出すためのポンプ等を設けることなくタンク内の飲用水を吐出することができる。前記吐出配管13は、車両後方に延びる直管部13aと、左右方向に延びる分岐部13bと、直管部13aと分岐部13bとの間に設けた集中開閉弁13cと、分岐部13bの左右方向に等間隔で配置された複数の吐出口13dとで構成されている。各吐出口13dはそれぞれ蛇口13eを有しているので、前記集中開閉弁13cを開放した状態で蛇口13eをひねると、タンク内の飲用水が吐出口13dより放出され、給水できる。
【0018】
本発明の保持装置Hは、図1乃至4に示すように、前記コンテナ本体1の前部側に左右一対で設けられた前側脚部HFと、コンテナ本体1の後部側に左右一対で設けられた後側脚部HRとからなる。なお、左右の前側脚部HF、左右の後側脚部HRはそれぞれ同一の構成のため、以下右側の前側脚部HF、後側脚部HRについて説明する。
【0019】
前側脚部HFは、図1、4に示すように、基部側脚部14と、前記基部側脚部14に取付けた先部側脚部15とにより折畳可能に構成されている。詳細に説明すると、図5,6に示すように、基部側脚部14の上端が連結フレーム4の右側端部下面に溶接により固定されている。基部側脚部14は、後面及び下面が開放されたチャンネル材で形成されている。基部側脚部14の後面には、後述するストッパ16が設けられている。基部側脚部14の下部外側側面には、孔17が形成されている。前記孔17にはピン18が差込可能に設けられており、前記ピン18は図示しないバネにより、孔17に差し込まれる方向に付勢される。基部側脚部14の下端には、基部接地部材19が設けられる。
【0020】
基部側脚部14の中央部には、ピン20を介して先部側脚部15が基部側脚部14に対して揺動可能に設けられている。前記先部側脚部15は中空で断面が矩形の角材であり、基部側脚部14内に配置できる寸法としている。これにより、前側脚部HFは、図5に示す先部側脚部15が基部側脚部14の下方に突出した突出位置と、図6に示す先部側脚部15がピン20を中心に後方へ揺動した格納位置とに切り替えることができる。先部側脚部15の外側側面には、先部側脚部15が基部側脚部14の下方に突出するときにピン18が挿通可能となる孔21が設けられる。これにより、図5に示すように、先部側脚部15を基部側脚部14の下方に突出させた後ピン18を孔17,21に差し込むことで、先部側脚部15が基部側脚部14に固定され、前側脚部HFが突出位置で保持される。また、前側脚部HFが格納位置にあるときは、図6に示すように、前記ストッパ16と先部側脚部15の後面、ピン18と先部側脚部15の前面とがそれぞれ当接することで、先部側脚部15が後方へ揺動した状態を保つことができ、前側脚部HFが格納位置で保持される。先部側脚部15の下面には、前側脚部HFが突出位置にあるときに地面と接触する第一先部接地部材22が設けられる。先部側脚部15の前面には、前側脚部HFが格納位置にあるときに地面と接触可能な第二先部接地部材23が設けられる。
【0021】
後側脚部HRは、図1,4に示すように、縦桁3,3の後端部に設けた後部フレーム24の左右両端部に設けられており、後述する筒状部材25と摺動部材27とにより伸縮可能に構成されている。
後側脚部HRについて詳細に説明すると、図7、8に示すように、前記後部フレーム24に、断面矩形の筒状部材25が溶接により固定される。前記筒状部材25は、上面及び下面が開放されている。また、前記筒状部材25の側面中央部には、孔26が設けられている。筒状部材25の内部には断面矩形の摺動部材27が筒状部材25に対して上下方向に摺動可能に挿入されている。摺動部材27の上面には、筒状部材の断面より広い蓋部材28が溶接固定されており、前記蓋部材28の上面には取っ手29が取り付けられている。摺動部材27の下端にはブラケット30が固定されており、前記ブラケット30には、ローラ31が回動可能に取付けられている。
【0022】
前記摺動部材27の側面には、摺動部材27を摺動させた際に筒状部材25の孔26と一致する上部孔32(図8参照)及び下部孔33(図7参照)が設けられている。上部孔32の位置は、前記蓋部材28の下面が筒状部材25の上面に当接した際に、前記孔26と一致するように形成されている(図7参照)。上部孔32と孔26とを一致させた状態でピン34を差し込むと、図7に示すように、後側脚部HRはローラ31と筒状部材25の下面が離れた伸長位置となる。また、下部孔33と孔26とを一致させた状態でピン34を差し込むと、図8に示すように、後側脚部HRはローラ31と筒状部材25の下面とが近接した収縮位置となる。これにより、後側脚部HRは伸長位置と収縮位置との間で伸縮可能に構成されている。
【0023】
図9に示すように、本発明のコンテナCは、搬送車両100の車体101上に搭載された積込装置102により、車体101上と地上との間で積降される。積込装置102は、車体に対して回動可能に軸支されたリフトアーム103と、前記リフトアーム103の先部に回動可能に取付けられた側面視L字状のフックアーム104と、前記フックアーム104の先端に設けられたフック105と、リフトアームを回動させる駆動シリンダ(図示せず)と、フックアームを回動させるフックシリンダ(図示せず)により構成されている。前記フック105はコンテナCの前面に設けたリフトバー8に係合可能である。また搬送車両100の後端には、車両前方に向けて屈折可能なジャッキ106が設けられている。前記ジャッキ106は、車両走行時は車両前方に屈折させた収納位置に保持され、コンテナCの積込時は下方に向けて突出した張出位置に保持される。車両後端面には、接触検知装置107が設けられており、前記接触検知装置107の接触部108が他の部材と接触すると、積込装置102の動作を停止する。
【0024】
〔搬送車両100の車体101上から地上に低所位置のコンテナCを降ろす作業〕
次に、本発明のコンテナCが搬送車両によって積み降ろしされる動作について、図1、9、10を使用して説明する。
【0025】
搬送車両100の車体101上から地上に低所位置のコンテナCを降ろす場合は、まず、コンテナCが搬送車両100上に搭載されている状態(図9及び図10(a)参照)から、収納位置にあるジャッキ106を収納位置から張出位置へ移動させる。このとき、前側脚部HFは、先部側脚部15を後方へ揺動させた格納位置(図6参照)に、後側脚部HRは、ブラケット30と筒状部材25の下面が近接した収縮位置(図8参照)に位置されている。これは、搬送車両100上にコンテナCを搭載時に前側脚部HFが搬送車両100と接触し破損することを防止すると共に、後側脚部HRが搬送車両走行中に道路上の障害物と接触し破損することを防ぐためである。この状態から、フックアーム104をフックシリンダにより車両後方へ向けて回動させる。この動作により、コンテナCは車両後方へ車体に対して平行に移動する。
【0026】
ついで、リフトアーム103を駆動シリンダにより車両後方へ向けて回動させ(図10(b)参照)、コンテナCを後傾させながら車両後方へ移動させる。この動作により、コンテナCの後部が下方へ回動し、ローラ31が接地する。
【0027】
リフトアーム103が車両後方への回動を継続し、図10(c)に示す位置まで回動すると、フックアーム104は下向きとなって、コンテナCは搬送車両100の後方の地上に降ろされる。このとき、前側脚部HFは格納位置に保持されているため、前側脚部HFは、図6(a)に示すように、基部側脚部14の基部接地部材19と先部側脚部15の第二先部接地部材23とにより地面に接触している。このため、前側脚部HFが地面と接する接地面積が広いので、コンテナCの自重が分散され、地面がぬかるんでいた場合であっても、前側脚部HFが地面に埋まることを防止できる。
【0028】
ついで、フックアーム104先端のフック105をリフトバー8より外せば、コンテナCは搬送車両100より完全に分離される。分離後は張出位置にあるジャッキ106を屈折させて収納位置とし、コンテナCの降ろし作業を終了する。
【0029】
上記のように、搬送車両100上のコンテナCを、前側脚部HF及び後側脚部HRがそれぞれ格納位置、収縮位置とした低所位置で地面に置くことができる。そのため、給水作業の終了後のコンテナCを低所位置で地上の保管スペースに置くことで、地面からコンテナC上面のマンホール10までの高さが低くなるため、次回の給水作業時にマンホール10を開放してからタンクT内へ飲用水等の搬送物を投入する作業を効率よく行うことができる。
なお、地上から搬送車両100上に低所位置のコンテナCを積み込む作業は、前記コンテナCを降ろす作業を逆に行うのみであるため、省略する。
【0030】
〔搬送車両100の車体101上から地上に高所位置のコンテナCを降ろす作業〕
搬送車両100の車体101上から地上に高所位置のコンテナCを降ろす場合は、まず、コンテナCが搬送車両100上に搭載されている状態(図9及び図11(a)参照)から、収納位置にあるジャッキ106を収納位置から張出位置へ移動させる。このとき、前側脚部HFは、先部側脚部15を後方へ揺動させた格納位置(図6参照)に、後側脚部HRは、ブラケット30と筒状部材25の下面が近接した収縮位置(図8参照)に位置されている。
【0031】
その後、後側脚部HRを収縮位置から伸長位置へ変更する。具体的に説明すると、作業員が図8に示す収縮位置にある後側脚部HRの取っ手29を持ち、ピン34を抜く。これにより、ピン34と筒状部材25の孔26及び摺動部材27の下部孔33との嵌合が解除されるので、筒状部材25に対して摺動部材27が高さ方向に摺動可能となる。この状態で摺動部材27を筒状部材25に対して下方へ摺動させ、上部孔32と孔26とを一致させる(図7参照)。このとき、上部孔32の位置は、前記蓋部材28の下面が前記筒状部材25の上面に当接した際に、前記孔26と一致するので、ピン34を抜いた後、筒状部材25を自重により降下させるのみで上部孔32と孔26との位置を容易に一致させることができる。その後、ピン34を上部孔32及び孔26に嵌め込む。これにより、後側脚部HRを図8に示す収縮位置から図7に示す伸長位置へ変更・保持させることができる。その後、フックアーム104をフックシリンダにより車両後方へ向けて回動させる。この動作により、コンテナCは車両後方へ車体に対して平行に移動する。
【0032】
ついで、リフトアーム103を駆動シリンダにより車両後方へ向けて回動させる(図11(b)参照)。コンテナCを後傾させながら車両後方へ移動させる。この動作により、コンテナCの後部が下方へ回動する。
【0033】
リフトアーム103が車両後方への回動を継続し、図11(c)に示すように、前側脚部HFがリアバンパよりも車両後方に位置するまで回動すると、リフトアーム103の回動を停止させる。その後、前側脚部HFの先部側脚部15を格納位置から突出位置へ変更する。具体的に説明すると、作業員が図6に示す格納位置にある前側脚部HFのピン18をバネの付勢力に抗して引っ張り、ピン18と先部側脚部15の前面との当接を解除する。そして、先部側脚部15を前方へ揺動させ、ピン18を基部側脚部14の孔17と先部側脚部15の孔21とに嵌め込み、前側脚部HFを突出位置に保持する(図6参照)。
【0034】
その後、リフトアーム103による車両後方への回動を再開させ、図11(d)に示す位置まで回動すると、フックアーム104は下向きとなって、コンテナCは搬送車両100の後方の地上に降ろされる。ついで、フックアーム104先端のフック105をリフトバー8より外せば、コンテナCは搬送車両100より完全に分離される。分離後は突出位置にあるジャッキ106を屈折させて収納位置とし、コンテナCの降ろし作業を終了する。
【0035】
上記のように、搬送車両100上のコンテナCを、前側脚部HFの先部側脚部15が突出位置、後側脚部HRが伸長位置とした高所位置で地面に置くことができる。そのため、コンテナCを地面に置いて給水作業を行う際に、吐出口の位置が地面と近接し、ポリタンクPの開口部を吐出口に近づけることができず、給水作業が困難となることを防ぐことができる。さらに、コンテナCを高所位置で地面に置くことができるので、蛇口13eの高さが高くなるため、蛇口13eを操作して行う給水作業が容易となる。
コンテナC後部の吐出口13dが高所に配置することができるので、給水時に、ポリタンクPの開口部を吐出口13dに近づけることができ、給水作業を効率よく行うことができる。
【0036】
〔地上に置かれた高所位置のコンテナCを搬送車両100の車体101上に積み込む作業〕
地上に置かれた高所位置のコンテナCを搬送車両100の車体101上に積み込む場合は、まず、リフトアーム103をフックアーム104と共に後方回動させ、図11(d)に示す位置まで回動させる。その後、ジャッキ106を収納位置から張出位置へ移動させた後、搬送車両100を後進させ、フック105をリフトバー8に係合させる。
【0037】
次にフックアーム104を図11(c)の位置まで車両前方に向けて回動させる。このとき、コンテナ前部が上昇するので、コンテナの前側脚部HFは地面より浮いた状態にある。この状態で、前側脚部HFの先部側脚部15を突出位置から格納位置へ変更する。具体的に説明すると、作業員が図5に示す突出位置にある前側脚部HFのピン18をバネの付勢力に抗して外方に引っ張ることで基部側脚部14の孔17,先部側脚部15の孔21から抜き取り、ピン18と先部側脚部15の孔21との嵌合を解除する。そして、手動で先部側脚部15を格納位置まで後方に向けて揺動させる。先部側脚部15を揺動させた後、ピン18から手を離すことで、ピン18を基部側脚部14の孔17に差し込む。これにより、ピン18と先部側脚部15の前面とが接触するので、先部側脚部15が後方へ揺動させた状態を保つことができ、前側脚部HFが格納位置に保持される(図6参照)。
【0038】
なお、仮に図11(c)の位置で前側脚部HFを格納位置へ切り替えず、突出位置のままリフトアーム103を前方へ回動させると、第二先部接地部材23が接触検知装置107の接触部108に接触する。これにより積込装置102の動作が停止されるので、コンテナフレーム2から突出した突出位置にある前側脚部HFが車体101と接触して破損することを防止できる。また、第二先部接地部材23の前面(接地する面)が、接触部108と接触するので、搬送車両100の車体上にコンテナCを搭載する際にコンテナが上下移動しても、第二先部接地部材23と接触部108とが確実に接触することができる。
【0039】
その後リフトアーム103、フックアーム104の順番に前方に向けて回動させ、図11(a)に示すように、搬送車両100の車体101上にコンテナCを搭載する。次に、後側脚部HRを伸長位置から収縮位置へ変更する。具体的に説明すると、作業員が図7に示す伸長位置にある後側脚部HRの取っ手29を持ち、ピン34を抜く。これにより、ピン34と筒状部材25の孔26及び摺動部材27の上部孔32との嵌合が解除されるので、筒状部材25に対して摺動部材27が高さ方向に摺動可能となる。この状態で摺動部材27を筒状部材25に対して上方へ摺動させ、下部孔33と孔26とを一致させた状態で、ピン34を下部孔33及び孔26に嵌め込む。これにより後側脚部HRを伸長位置から収縮位置へ変更・保持させることができる。この後、ジャッキ106を突出位置から収納位置へ移動させる。これにより、搬送車両100はコンテナCを搬送することができる。
【0040】
上記のように、地面に置かれたコンテナCを搬送車両100上に搭載できるので、給水作業終了後に、コンテナCを給水現場から容易に搬送できる。
また、コンテナCを搬送車両100上に積み込む途中で、前側脚部HFを突出位置から格納位置へ移動させるので、前側脚部HFが搬送車両100の車体101と干渉して破損することが無い。さらに、コンテナCを搬送車両100上に積み込んだ後、後側脚部HRを伸長位置から収縮位置へ移動させるので、搬送車両100走行時に路上の障害物等に接触して破損することが無い。
【0041】
また、前側脚部HF及び後側脚部HRの位置を変える作業は、コンテナ積み降ろし動作中の、コンテナCが積込装置102によって吊り上げられた状態で行っている。そのため、前側脚部HF及び後側脚部HRは接地しておらず、前側脚部HF及び後側脚部HRにコンテナCの重量が作用せずに位置を切り替える事ができる。したがって、前側脚部HF及び後側脚部HRの切替操作を手動にて行うことが可能である。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、コンテナCは、飲用水を搬送するタンクコンテナとしたが、粒状の食料品や粉状の化学薬品等の粉流体を搬送するコンテナとしてもよい。その際、タンク内を加圧するためのコンプレッサーや、コンプレッサーを駆動する動力源をコンテナに搭載することも可能である。
【0043】
また、前側脚部HF及び後側脚部HRは手動にて操作可能としたが、シリンダ等の駆動装置を使用して前側脚部HF及び後側脚部HRの位置を切り替えるようにしても良い。なお、この場合においても、前側脚部HF及び後側脚部HRの位置の切替は、コンテナを地面から浮かした状態で行うようにすれば、前側脚部HF及び後側脚部HRにコンテナの自重が作用せずに位置を切り替える事ができるので、シリンダ等の駆動装置を小型とすることができる。
【0044】
また、前側脚部HFは基部側脚部14と、基部側脚部14に対して屈折可能な先部側脚部15とにより折畳可能とし、後側脚部HRは筒状部材25と、筒状部材25に対して摺動可能な摺動部材27とにより伸縮可能としているが、前側脚部HFを伸縮可能とし、後側脚部HRを折畳可能としても良い。さらに、前側脚部HF、後側脚部HRの両方共を、折畳可能な構造もしくは伸縮可能な構造のいずれか一方としても良い。
【符号の説明】
【0045】
C コンテナ
T タンク
H 保持装置
HF 前側脚部
HR 後側脚部
100 搬送車両
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体上に搭載可能であり、内部に搬送物を貯留可能なコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内部に水や石油のような液体や、食品や化学薬品のような粉流体、土砂やごみ等の固体等の搬送物を貯留可能なコンテナが知られている。前記コンテナは、積込装置を有する搬送車両の車体上に搭載することができるので、コンテナを所定の現場へ容易に移動させることができる。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
前記コンテナとしては、例えば、災害現場等での給水作業に使用されるタンクコンテナがある。前記タンクコンテナは内部に飲用水を貯留可能なタンクを有している。前記タンクコンテナの使用時には、まず、保管庫等に保管されたタンクコンテナのタンク上面に設けた開口を覆うマンホールを開く。その後、前記開口からタンク内部に飲用水を入れ、飲用水をタンク内に貯留する。そして、飲用水を貯留したタンクコンテナを搬送車両上に搭載し、所定の現場(例えば、給水作業を行う給水現場)へタンクコンテナを移動させる。給水現場に到着後、搬送車両は別の現場へ他のタンクコンテナを搬送するために、車体上のタンクコンテナを地上に降ろす。接地状態のタンクコンテナは飲用水を吐出口より放出し、給水作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3788868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、タンクコンテナの吐出口は、タンク内の飲用水を可能限残量を少なく給水できるようにタンクの底面近くに配置されるので、タンクコンテナの接地時に、タンクが高さ方向において低い場合は、吐出口の位置が地面と近接してしまい、給水作業が困難となる場合がある。
そこで、タンクコンテナ接地時において吐出口の位置を高くするために、タンクコンテナの下部が支持部材を介して接地し、前記支持部材の高さだけタンクコンテナのタンクの位置を高くすることが考えられる。しかし、支持部材によりタンクの位置を高くすると、地面からタンク上面のマンホールの高さがさらに高くなるので、タンク内への給水作業に手間がかかる。
そこで、本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、コンテナ内への投入作業及び、コンテナ外への放出作業を容易としたコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明のコンテナは、搬送物を内部に貯留可能なコンテナ本体と、前記コンテナ本体を支持可能な保持装置とからなり、接地時に、前記保持装置がコンテナ本体を低所位置と、低所位置に比べてコンテナ高さ方向において高い高所位置とに支持可能とすることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、コンテナ本体を低所位置と、低所位置に比べてコンテナ高さ方向において高い高所位置とに支持可能としたので、作業者がコンテナ上部で作業する場合はコンテナ本体を低所位置とすることで、容易に作業を行うことができるとともに、作業者がコンテナ下部で作業を行う際は、コンテナ本体を高所位置とすることで作業を容易に行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0008】
また、前記保持装置は、脚部を有しており、前記脚部は、一端側がコンテナ本体に取付けられている基部側脚部と、前記基部側脚部の他端側に基部側脚部に対して揺動可能に設けられている先部側脚部とからなり、先部側脚部の揺動時に接地する接地部を、基部側脚部及び先部側脚部に設けているのが好ましい。
【0009】
この場合、先部側脚部の屈折時に接地する接地部を、基部側脚部及び先部側脚部に設けているので、コンテナ等を保管する保管場所が雨でぬかるんでいたとしても、先部側脚部を屈折させて接地させると、接地部の設置面積が広いので、保持装置が地面に埋まりコンテナが傾くことを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンテナ本体を低所位置と、低所位置に比べてコンテナ高さ方向に高い高所位置とで支持可能としたので、作業に応じてコンテナ本体の高さを変更でき、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のコンテナの実施の一形態を示し、タンクコンテナを低所位置で接地させた状態における右側面図である。
【図2】図1のタンクコンテナの正面図である。
【図3】図1のタンクコンテナの背面図である。
【図4】タンクコンテナを高所状態で接地させた状態における右側面図である。
【図5】(a)は、突出位置としたタンクコンテナの前側脚部の右側面図であり、(b)は、突出位置としたタンクコンテナの前側脚部の正面図である。
【図6】(a)は、格納位置としたタンクコンテナの前側脚部の右側面図であり、(b)は、格納位置としたタンクコンテナの前側脚部の正面図である。
【図7】(a)は、伸長位置としたタンクコンテナの後側脚部の右側面図であり、(b)は、伸長位置としたタンクコンテナの後側脚部の正面図である。
【図8】(a)は、収縮位置としたタンクコンテナの後側脚部の右側面図であり、(b)は、収縮位置としたタンクコンテナの後側脚部の正面図である。
【図9】図1のタンクコンテナを搬送車両上に搭載した状態における右側面図である。
【図10】搬送車両上と地上との間で、接地時に低所位置となるタンクコンテナを積み降ろしする動作を説明する図である。
【図11】搬送車両上と地上との間で、接地時に高所位置となるタンクコンテナを積み降ろしする動作を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のコンテナの実施の一形態を示し、タンクコンテナを低所位置で接地させた状態における右側面図である。図2は、図1のタンクコンテナの正面図である。図3は、図1のタンクコンテナの背面図である。図4は、タンクコンテナを高所状態で接地させた状態における右側面図である。図5は、(a)は、突出位置としたタンクコンテナの前側脚部の右側面図であり、(b)は、突出位置としたタンクコンテナの前側脚部の正面図である。図6は、(a)は、格納位置としたタンクコンテナの前側脚部の右側面図であり、(b)は、格納位置としたタンクコンテナの前側脚部の正面図である。図7は、(a)は、伸長位置としたタンクコンテナの後側脚部の右側面図であり、(b)は、伸長位置としたタンクコンテナの後側脚部の正面図である。図8は、(a)は、収縮位置としたタンクコンテナの後側脚部の右側面図であり、(b)は、収縮位置としたタンクコンテナの後側脚部の正面図である。図9は、図1のタンクコンテナを搬送車両上に搭載した状態における右側面図である。図10は、搬送車両上と地上との間で、接地時に低所位置となるタンクコンテナを積み降ろしする動作を説明する図である。図11は、搬送車両上と地上との間で、接地時に高所位置となるタンクコンテナを積み降ろしする動作を説明する図である。
【0013】
なお、本発明においては、図1において、紙面下側(後述するリフトバー8が設けられる側)を前側、紙面上側(後述する13dが設けられる側)を後側、図2において紙面左側を左側、紙面右側を右側と定義する。
【0014】
本発明のコンテナCは、図1、4に示すように、タンクTを有するコンテナ本体1と、コンテナ本体1の前部及び後部にそれぞれ設けられた保持装置Hとを備えている。
コンテナ本体1は、図1に示すように、右側面視においてL型形状のコンテナフレーム2と、タンクTとを有している。前記コンテナフレーム2は、図1,2に示すように、左右一対の縦桁3、3と、前記縦桁3、3の前部に固定した左右方向に延びる連結フレーム4と、連結フレーム4の中央上面に立設した立設フレーム5と、前記立設フレーム5の中央部と前記連結フレーム4の各端部とを連結固定する補強フレーム6、6とからなる。前記立設フレーム5の上部端側面には、コンテナ前方に向けて突出した左右一対のプレート7、7が固定されている。前記プレート7、7のコンテナ前方側端部には、後述する搬送車両100に搭載され、コンテナCを積降する積込装置102の先端に設けたフック105と係合可能なリフトバー8が溶接により固定される。
【0015】
前記左右一対の縦桁3,3の上面には、断面が略楕円形状のタンクTが溶接により固定される。前記タンクTの前面は、前記立設フレーム5の後面に溶接にて固定される。タンクTの上面前部には、上方に向けて開口9が設けられている。その開口9は、マンホール10により開閉可能とされている。
【0016】
前記マンホール10の左側には、図2、3に示すように、断面L字状の床板11がタンクTの上面に溶接されている。タンクTの左側側面には、梯子12が設けられており、前記梯子12を登ることで、作業員が前記床板11上へ移動し、マンホール10の開閉を行うことができる。
【0017】
タンクTの後面下部中央には、図1,3に示すように、タンク後方に向けて延びる吐出配管13が設けられている。吐出配管13はタンク後面下部に配置されるので、タンクT内に貯留した飲用水(搬送物)を吸い出すためのポンプ等を設けることなくタンク内の飲用水を吐出することができる。前記吐出配管13は、車両後方に延びる直管部13aと、左右方向に延びる分岐部13bと、直管部13aと分岐部13bとの間に設けた集中開閉弁13cと、分岐部13bの左右方向に等間隔で配置された複数の吐出口13dとで構成されている。各吐出口13dはそれぞれ蛇口13eを有しているので、前記集中開閉弁13cを開放した状態で蛇口13eをひねると、タンク内の飲用水が吐出口13dより放出され、給水できる。
【0018】
本発明の保持装置Hは、図1乃至4に示すように、前記コンテナ本体1の前部側に左右一対で設けられた前側脚部HFと、コンテナ本体1の後部側に左右一対で設けられた後側脚部HRとからなる。なお、左右の前側脚部HF、左右の後側脚部HRはそれぞれ同一の構成のため、以下右側の前側脚部HF、後側脚部HRについて説明する。
【0019】
前側脚部HFは、図1、4に示すように、基部側脚部14と、前記基部側脚部14に取付けた先部側脚部15とにより折畳可能に構成されている。詳細に説明すると、図5,6に示すように、基部側脚部14の上端が連結フレーム4の右側端部下面に溶接により固定されている。基部側脚部14は、後面及び下面が開放されたチャンネル材で形成されている。基部側脚部14の後面には、後述するストッパ16が設けられている。基部側脚部14の下部外側側面には、孔17が形成されている。前記孔17にはピン18が差込可能に設けられており、前記ピン18は図示しないバネにより、孔17に差し込まれる方向に付勢される。基部側脚部14の下端には、基部接地部材19が設けられる。
【0020】
基部側脚部14の中央部には、ピン20を介して先部側脚部15が基部側脚部14に対して揺動可能に設けられている。前記先部側脚部15は中空で断面が矩形の角材であり、基部側脚部14内に配置できる寸法としている。これにより、前側脚部HFは、図5に示す先部側脚部15が基部側脚部14の下方に突出した突出位置と、図6に示す先部側脚部15がピン20を中心に後方へ揺動した格納位置とに切り替えることができる。先部側脚部15の外側側面には、先部側脚部15が基部側脚部14の下方に突出するときにピン18が挿通可能となる孔21が設けられる。これにより、図5に示すように、先部側脚部15を基部側脚部14の下方に突出させた後ピン18を孔17,21に差し込むことで、先部側脚部15が基部側脚部14に固定され、前側脚部HFが突出位置で保持される。また、前側脚部HFが格納位置にあるときは、図6に示すように、前記ストッパ16と先部側脚部15の後面、ピン18と先部側脚部15の前面とがそれぞれ当接することで、先部側脚部15が後方へ揺動した状態を保つことができ、前側脚部HFが格納位置で保持される。先部側脚部15の下面には、前側脚部HFが突出位置にあるときに地面と接触する第一先部接地部材22が設けられる。先部側脚部15の前面には、前側脚部HFが格納位置にあるときに地面と接触可能な第二先部接地部材23が設けられる。
【0021】
後側脚部HRは、図1,4に示すように、縦桁3,3の後端部に設けた後部フレーム24の左右両端部に設けられており、後述する筒状部材25と摺動部材27とにより伸縮可能に構成されている。
後側脚部HRについて詳細に説明すると、図7、8に示すように、前記後部フレーム24に、断面矩形の筒状部材25が溶接により固定される。前記筒状部材25は、上面及び下面が開放されている。また、前記筒状部材25の側面中央部には、孔26が設けられている。筒状部材25の内部には断面矩形の摺動部材27が筒状部材25に対して上下方向に摺動可能に挿入されている。摺動部材27の上面には、筒状部材の断面より広い蓋部材28が溶接固定されており、前記蓋部材28の上面には取っ手29が取り付けられている。摺動部材27の下端にはブラケット30が固定されており、前記ブラケット30には、ローラ31が回動可能に取付けられている。
【0022】
前記摺動部材27の側面には、摺動部材27を摺動させた際に筒状部材25の孔26と一致する上部孔32(図8参照)及び下部孔33(図7参照)が設けられている。上部孔32の位置は、前記蓋部材28の下面が筒状部材25の上面に当接した際に、前記孔26と一致するように形成されている(図7参照)。上部孔32と孔26とを一致させた状態でピン34を差し込むと、図7に示すように、後側脚部HRはローラ31と筒状部材25の下面が離れた伸長位置となる。また、下部孔33と孔26とを一致させた状態でピン34を差し込むと、図8に示すように、後側脚部HRはローラ31と筒状部材25の下面とが近接した収縮位置となる。これにより、後側脚部HRは伸長位置と収縮位置との間で伸縮可能に構成されている。
【0023】
図9に示すように、本発明のコンテナCは、搬送車両100の車体101上に搭載された積込装置102により、車体101上と地上との間で積降される。積込装置102は、車体に対して回動可能に軸支されたリフトアーム103と、前記リフトアーム103の先部に回動可能に取付けられた側面視L字状のフックアーム104と、前記フックアーム104の先端に設けられたフック105と、リフトアームを回動させる駆動シリンダ(図示せず)と、フックアームを回動させるフックシリンダ(図示せず)により構成されている。前記フック105はコンテナCの前面に設けたリフトバー8に係合可能である。また搬送車両100の後端には、車両前方に向けて屈折可能なジャッキ106が設けられている。前記ジャッキ106は、車両走行時は車両前方に屈折させた収納位置に保持され、コンテナCの積込時は下方に向けて突出した張出位置に保持される。車両後端面には、接触検知装置107が設けられており、前記接触検知装置107の接触部108が他の部材と接触すると、積込装置102の動作を停止する。
【0024】
〔搬送車両100の車体101上から地上に低所位置のコンテナCを降ろす作業〕
次に、本発明のコンテナCが搬送車両によって積み降ろしされる動作について、図1、9、10を使用して説明する。
【0025】
搬送車両100の車体101上から地上に低所位置のコンテナCを降ろす場合は、まず、コンテナCが搬送車両100上に搭載されている状態(図9及び図10(a)参照)から、収納位置にあるジャッキ106を収納位置から張出位置へ移動させる。このとき、前側脚部HFは、先部側脚部15を後方へ揺動させた格納位置(図6参照)に、後側脚部HRは、ブラケット30と筒状部材25の下面が近接した収縮位置(図8参照)に位置されている。これは、搬送車両100上にコンテナCを搭載時に前側脚部HFが搬送車両100と接触し破損することを防止すると共に、後側脚部HRが搬送車両走行中に道路上の障害物と接触し破損することを防ぐためである。この状態から、フックアーム104をフックシリンダにより車両後方へ向けて回動させる。この動作により、コンテナCは車両後方へ車体に対して平行に移動する。
【0026】
ついで、リフトアーム103を駆動シリンダにより車両後方へ向けて回動させ(図10(b)参照)、コンテナCを後傾させながら車両後方へ移動させる。この動作により、コンテナCの後部が下方へ回動し、ローラ31が接地する。
【0027】
リフトアーム103が車両後方への回動を継続し、図10(c)に示す位置まで回動すると、フックアーム104は下向きとなって、コンテナCは搬送車両100の後方の地上に降ろされる。このとき、前側脚部HFは格納位置に保持されているため、前側脚部HFは、図6(a)に示すように、基部側脚部14の基部接地部材19と先部側脚部15の第二先部接地部材23とにより地面に接触している。このため、前側脚部HFが地面と接する接地面積が広いので、コンテナCの自重が分散され、地面がぬかるんでいた場合であっても、前側脚部HFが地面に埋まることを防止できる。
【0028】
ついで、フックアーム104先端のフック105をリフトバー8より外せば、コンテナCは搬送車両100より完全に分離される。分離後は張出位置にあるジャッキ106を屈折させて収納位置とし、コンテナCの降ろし作業を終了する。
【0029】
上記のように、搬送車両100上のコンテナCを、前側脚部HF及び後側脚部HRがそれぞれ格納位置、収縮位置とした低所位置で地面に置くことができる。そのため、給水作業の終了後のコンテナCを低所位置で地上の保管スペースに置くことで、地面からコンテナC上面のマンホール10までの高さが低くなるため、次回の給水作業時にマンホール10を開放してからタンクT内へ飲用水等の搬送物を投入する作業を効率よく行うことができる。
なお、地上から搬送車両100上に低所位置のコンテナCを積み込む作業は、前記コンテナCを降ろす作業を逆に行うのみであるため、省略する。
【0030】
〔搬送車両100の車体101上から地上に高所位置のコンテナCを降ろす作業〕
搬送車両100の車体101上から地上に高所位置のコンテナCを降ろす場合は、まず、コンテナCが搬送車両100上に搭載されている状態(図9及び図11(a)参照)から、収納位置にあるジャッキ106を収納位置から張出位置へ移動させる。このとき、前側脚部HFは、先部側脚部15を後方へ揺動させた格納位置(図6参照)に、後側脚部HRは、ブラケット30と筒状部材25の下面が近接した収縮位置(図8参照)に位置されている。
【0031】
その後、後側脚部HRを収縮位置から伸長位置へ変更する。具体的に説明すると、作業員が図8に示す収縮位置にある後側脚部HRの取っ手29を持ち、ピン34を抜く。これにより、ピン34と筒状部材25の孔26及び摺動部材27の下部孔33との嵌合が解除されるので、筒状部材25に対して摺動部材27が高さ方向に摺動可能となる。この状態で摺動部材27を筒状部材25に対して下方へ摺動させ、上部孔32と孔26とを一致させる(図7参照)。このとき、上部孔32の位置は、前記蓋部材28の下面が前記筒状部材25の上面に当接した際に、前記孔26と一致するので、ピン34を抜いた後、筒状部材25を自重により降下させるのみで上部孔32と孔26との位置を容易に一致させることができる。その後、ピン34を上部孔32及び孔26に嵌め込む。これにより、後側脚部HRを図8に示す収縮位置から図7に示す伸長位置へ変更・保持させることができる。その後、フックアーム104をフックシリンダにより車両後方へ向けて回動させる。この動作により、コンテナCは車両後方へ車体に対して平行に移動する。
【0032】
ついで、リフトアーム103を駆動シリンダにより車両後方へ向けて回動させる(図11(b)参照)。コンテナCを後傾させながら車両後方へ移動させる。この動作により、コンテナCの後部が下方へ回動する。
【0033】
リフトアーム103が車両後方への回動を継続し、図11(c)に示すように、前側脚部HFがリアバンパよりも車両後方に位置するまで回動すると、リフトアーム103の回動を停止させる。その後、前側脚部HFの先部側脚部15を格納位置から突出位置へ変更する。具体的に説明すると、作業員が図6に示す格納位置にある前側脚部HFのピン18をバネの付勢力に抗して引っ張り、ピン18と先部側脚部15の前面との当接を解除する。そして、先部側脚部15を前方へ揺動させ、ピン18を基部側脚部14の孔17と先部側脚部15の孔21とに嵌め込み、前側脚部HFを突出位置に保持する(図6参照)。
【0034】
その後、リフトアーム103による車両後方への回動を再開させ、図11(d)に示す位置まで回動すると、フックアーム104は下向きとなって、コンテナCは搬送車両100の後方の地上に降ろされる。ついで、フックアーム104先端のフック105をリフトバー8より外せば、コンテナCは搬送車両100より完全に分離される。分離後は突出位置にあるジャッキ106を屈折させて収納位置とし、コンテナCの降ろし作業を終了する。
【0035】
上記のように、搬送車両100上のコンテナCを、前側脚部HFの先部側脚部15が突出位置、後側脚部HRが伸長位置とした高所位置で地面に置くことができる。そのため、コンテナCを地面に置いて給水作業を行う際に、吐出口の位置が地面と近接し、ポリタンクPの開口部を吐出口に近づけることができず、給水作業が困難となることを防ぐことができる。さらに、コンテナCを高所位置で地面に置くことができるので、蛇口13eの高さが高くなるため、蛇口13eを操作して行う給水作業が容易となる。
コンテナC後部の吐出口13dが高所に配置することができるので、給水時に、ポリタンクPの開口部を吐出口13dに近づけることができ、給水作業を効率よく行うことができる。
【0036】
〔地上に置かれた高所位置のコンテナCを搬送車両100の車体101上に積み込む作業〕
地上に置かれた高所位置のコンテナCを搬送車両100の車体101上に積み込む場合は、まず、リフトアーム103をフックアーム104と共に後方回動させ、図11(d)に示す位置まで回動させる。その後、ジャッキ106を収納位置から張出位置へ移動させた後、搬送車両100を後進させ、フック105をリフトバー8に係合させる。
【0037】
次にフックアーム104を図11(c)の位置まで車両前方に向けて回動させる。このとき、コンテナ前部が上昇するので、コンテナの前側脚部HFは地面より浮いた状態にある。この状態で、前側脚部HFの先部側脚部15を突出位置から格納位置へ変更する。具体的に説明すると、作業員が図5に示す突出位置にある前側脚部HFのピン18をバネの付勢力に抗して外方に引っ張ることで基部側脚部14の孔17,先部側脚部15の孔21から抜き取り、ピン18と先部側脚部15の孔21との嵌合を解除する。そして、手動で先部側脚部15を格納位置まで後方に向けて揺動させる。先部側脚部15を揺動させた後、ピン18から手を離すことで、ピン18を基部側脚部14の孔17に差し込む。これにより、ピン18と先部側脚部15の前面とが接触するので、先部側脚部15が後方へ揺動させた状態を保つことができ、前側脚部HFが格納位置に保持される(図6参照)。
【0038】
なお、仮に図11(c)の位置で前側脚部HFを格納位置へ切り替えず、突出位置のままリフトアーム103を前方へ回動させると、第二先部接地部材23が接触検知装置107の接触部108に接触する。これにより積込装置102の動作が停止されるので、コンテナフレーム2から突出した突出位置にある前側脚部HFが車体101と接触して破損することを防止できる。また、第二先部接地部材23の前面(接地する面)が、接触部108と接触するので、搬送車両100の車体上にコンテナCを搭載する際にコンテナが上下移動しても、第二先部接地部材23と接触部108とが確実に接触することができる。
【0039】
その後リフトアーム103、フックアーム104の順番に前方に向けて回動させ、図11(a)に示すように、搬送車両100の車体101上にコンテナCを搭載する。次に、後側脚部HRを伸長位置から収縮位置へ変更する。具体的に説明すると、作業員が図7に示す伸長位置にある後側脚部HRの取っ手29を持ち、ピン34を抜く。これにより、ピン34と筒状部材25の孔26及び摺動部材27の上部孔32との嵌合が解除されるので、筒状部材25に対して摺動部材27が高さ方向に摺動可能となる。この状態で摺動部材27を筒状部材25に対して上方へ摺動させ、下部孔33と孔26とを一致させた状態で、ピン34を下部孔33及び孔26に嵌め込む。これにより後側脚部HRを伸長位置から収縮位置へ変更・保持させることができる。この後、ジャッキ106を突出位置から収納位置へ移動させる。これにより、搬送車両100はコンテナCを搬送することができる。
【0040】
上記のように、地面に置かれたコンテナCを搬送車両100上に搭載できるので、給水作業終了後に、コンテナCを給水現場から容易に搬送できる。
また、コンテナCを搬送車両100上に積み込む途中で、前側脚部HFを突出位置から格納位置へ移動させるので、前側脚部HFが搬送車両100の車体101と干渉して破損することが無い。さらに、コンテナCを搬送車両100上に積み込んだ後、後側脚部HRを伸長位置から収縮位置へ移動させるので、搬送車両100走行時に路上の障害物等に接触して破損することが無い。
【0041】
また、前側脚部HF及び後側脚部HRの位置を変える作業は、コンテナ積み降ろし動作中の、コンテナCが積込装置102によって吊り上げられた状態で行っている。そのため、前側脚部HF及び後側脚部HRは接地しておらず、前側脚部HF及び後側脚部HRにコンテナCの重量が作用せずに位置を切り替える事ができる。したがって、前側脚部HF及び後側脚部HRの切替操作を手動にて行うことが可能である。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、コンテナCは、飲用水を搬送するタンクコンテナとしたが、粒状の食料品や粉状の化学薬品等の粉流体を搬送するコンテナとしてもよい。その際、タンク内を加圧するためのコンプレッサーや、コンプレッサーを駆動する動力源をコンテナに搭載することも可能である。
【0043】
また、前側脚部HF及び後側脚部HRは手動にて操作可能としたが、シリンダ等の駆動装置を使用して前側脚部HF及び後側脚部HRの位置を切り替えるようにしても良い。なお、この場合においても、前側脚部HF及び後側脚部HRの位置の切替は、コンテナを地面から浮かした状態で行うようにすれば、前側脚部HF及び後側脚部HRにコンテナの自重が作用せずに位置を切り替える事ができるので、シリンダ等の駆動装置を小型とすることができる。
【0044】
また、前側脚部HFは基部側脚部14と、基部側脚部14に対して屈折可能な先部側脚部15とにより折畳可能とし、後側脚部HRは筒状部材25と、筒状部材25に対して摺動可能な摺動部材27とにより伸縮可能としているが、前側脚部HFを伸縮可能とし、後側脚部HRを折畳可能としても良い。さらに、前側脚部HF、後側脚部HRの両方共を、折畳可能な構造もしくは伸縮可能な構造のいずれか一方としても良い。
【符号の説明】
【0045】
C コンテナ
T タンク
H 保持装置
HF 前側脚部
HR 後側脚部
100 搬送車両
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を内部に貯留可能なコンテナ本体と、
前記コンテナ本体を支持可能な保持装置とからなり、
接地時に、前記保持装置はコンテナ本体を低所位置と、低所位置に比べてコンテナ高さ方向において高い高所位置とに支持可能とすることを特徴とするコンテナ
【請求項2】
前記保持装置は、脚部を有しており、
前記脚部は、一端側がコンテナ本体に取付けられている基部側脚部と、前記基部側脚部の他端側に基部側脚部に対して揺動可能に設けられている先部側脚部とからなり、
先部側脚部の揺動時に接地する接地部を、基部側脚部及び先部側脚部に設けている請求項1に記載のコンテナ。
【請求項1】
搬送物を内部に貯留可能なコンテナ本体と、
前記コンテナ本体を支持可能な保持装置とからなり、
接地時に、前記保持装置はコンテナ本体を低所位置と、低所位置に比べてコンテナ高さ方向において高い高所位置とに支持可能とすることを特徴とするコンテナ
【請求項2】
前記保持装置は、脚部を有しており、
前記脚部は、一端側がコンテナ本体に取付けられている基部側脚部と、前記基部側脚部の他端側に基部側脚部に対して揺動可能に設けられている先部側脚部とからなり、
先部側脚部の揺動時に接地する接地部を、基部側脚部及び先部側脚部に設けている請求項1に記載のコンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−235921(P2011−235921A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107989(P2010−107989)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】
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