説明

コンテナ

【課題】コンテナ内の仕切体の視認性を確保しながら、コンテナ内に図書が収容されている状態でも仕切体の配置位置を容易に変更することが可能なコンテナを提供すること。
【解決手段】平面視矩形状の底板6aと、底板6aの左右端部から上方に向けて延設されている第1側壁6bと、底板6aの前後端部から上方に向けて延設されている第2側壁6cと、から構成され、第1側壁6bと第2側壁6cとで囲まれた内部が図書4を収容するための上方に向けて開口する収容空間21に形成されているコンテナ6であって、収容空間21には、収容空間21を仕切る仕切体24が前後方向を向いて着脱自在に配置されており、仕切体24は、収容空間21で立設する仕切板部24bと、仕切板部24bから延設され、少なくとも一方の第2側壁6cの上端部に左右方向に移動可能に係合する延設部24cと、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面視矩形状の底板と、底板の左右端部から上方に向けて延設されている第1側壁と、底板の前後端部から上方に向けて延設されている第2側壁と、から構成され、第1側壁と第2側壁とで囲まれた内部が図書を収容するための上方に向けて開口する収容空間に形成されているコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンテナは、内部に複数の書籍(図書)を1列に積層して収納可能なように形成された箱状のケース本体(コンテナ)を有しており、ケース本体内に仕切部材(仕切体)を配置することでケース本体内に収納される書籍を仕切っている。このようなケース本体には、ケース本体の底壁の上部がケース本体の長手方向を向いて上方に開口する凹陥部に形成されているとともに、仕切部材は凹陥部内に配置される方形のベース板部と、ケース本体内の書籍を仕切るためにベース板部の一端から上方に向かって立設された仕切板部と、から構成されており、仕切部材を、凹陥部の長手方向に沿って形成された凹凸条と、ベース板部に形成された凹凸部と、を互いに係脱可能に係合させることで、ケース本体内で移動しないよう任意の位置で固定しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3295377号公報(第3頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のケース本体(コンテナ)にあっては、収納する書籍(図書)を各ジャンルや著者毎に仕切部材(仕切体)によって仕切るが、積層した図書の底壁からの高さが仕切部材の高さより高いと、コンテナの外面視から仕切部材がケース本体の外面視から視認できなくなるため、利用者の目的とする書籍がどのジャンルに属して収納されているか不明になってしまい、ケース本体内から利用者の目的とする書籍を見つけ出すことが困難となることがある。また、ケース本体内の仕切部材による書籍の仕切位置を変更するには、一旦ケース本体内から書籍を取り出した後に仕切部材を上方に持ち上げることで、凹凸条と凹凸部との係合を解除せねばならないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、コンテナ内の仕切体の視認性を確保しながら、コンテナ内に図書が収容されている状態でも仕切体の配置位置を容易に変更することが可能なコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のコンテナは、
平面視矩形状の底板と、該底板の左右端部から上方に向けて延設されている第1側壁と、前記底板の前後端部から上方に向けて延設されている第2側壁と、から構成され、前記第1側壁と前記第2側壁とで囲まれた内部が図書を収容するための上方に向けて開口する収容空間に形成されているコンテナであって、
前記収容空間には、該収容空間を仕切る仕切体が前後方向を向いて着脱自在に配置されており、該仕切体は、前記収容空間で立設する仕切板部と、該仕切板部から延設され、少なくとも一方の前記第2側壁の上端部に左右方向に移動可能に係合する延設部と、を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、利用者は、第2側壁に係合する延設部をコンテナの外面視から視認することができるので、図書の大きさに関係なく利用者の目的とする図書が仕切体で左右に仕切られた収容空間のどちらに収容されているか把握し、探し出すことができる。また、仕切体は、延設部が第2側壁に係合することで、収容空間で立設する仕切板部が左右方向に倒れ難く支持することができるとともに、延設部を第2側壁の上端部に沿って左右方向に移動させることで、収容空間に収容されている図書を取り出すことなく仕切板部を左右方向に移動させ、収容空間に収容される図書の増減に応じて、仕切体によって図書を仕切る位置を適宜変更することができる。
【0007】
本発明のコンテナは、
前記延設部は、前記第2側壁の上面と外側面とを囲繞することを特徴としている。
この特徴によれば、延設部が第2側壁の外側面に当接することで仕切体の前後方向への揺動が規制され、仕切体の垂直を保つことで仕切体の視認性を向上させることができる。
【0008】
本発明のコンテナは、
前記底板には、左右方向を向く溝部が形成されており、前記仕切体は、前記溝部内を左右方向に摺動するベース板部を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、ベース板部を溝部に沿って摺動させることで、収容空間に収容される図書の増減に応じて、ベース板部をより安定した状態で左右方向に移動させることができる。
【0009】
本発明のコンテナは、
前記コンテナは、前記図書を前記延設部が係合する側の前記第2側壁に背表紙を向けた状態で収容可能であり、前記底板の上面は、前記延設部が当接した側の前記第2側壁から他側の前記第2側壁に向けて上り傾斜に形成されていことを特徴としている。
この特徴によれば、コンテナ内に収容された図書の底部が上り傾斜に摺接することで、背表紙が第2側壁に当接するため、各図書の背表紙が第2側壁に沿って面一に配置され、利用者が図書の背表紙に書かれているタイトル等を容易に判別することができる。
【0010】
本発明のコンテナは、
前記延設部が係合する側の前記第2側壁の外側面には、左右方向に所定間隔毎に目盛が付設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、利用者は、目盛と延設部との位置関係から収容空間に収容されている図書の収容量を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1におけるコンテナを備えた自動書庫及びステーションを示す平面図である。
【図2】ステーションを示す斜視図である。
【図3】ステーションを示す横断平面図である。
【図4】コンテナを示す平面図である。
【図5】コンテナを示す正面図である。
【図6】コンテナを示す縦断側面図である。
【図7】(a)は、ディバイダの平面図であり、(b)は、ディバイダの側面図である。
【図8】ディバイダの正面図である。
【図9】ディスプレイに表示されるコンテナ内に収容された図書の配置位置を示す図である。
【図10】実施例2におけるコンテナを示す平面図である。
【図11】コンテナを示す正面図である。
【図12】コンテナを示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るコンテナを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1に係るコンテナにつき、図1から図9を参照して説明する。以下、図3及び図4の紙面下側をコンテナの正面側(前方側)とし、図5の紙面手前側をコンテナの正面側(前方側)とし、図6の紙面左側をコンテナの正面側(前方側)として説明する。
【0014】
図1の符号1は、本発明の適用されたコンテナを備える図書保管管理システムである。この図書保管管理システム1は、図1に示すように、例えば、図書館にて書棚が利用者に公開されている利用者室2と、書棚が利用者に公開されていない閉架書庫3と、の間に亘って設置されており、閉架書庫3に収容されている図書4(図2参照)を利用者の要求に応じて利用者室2まで搬送するシステムである。
【0015】
閉架書庫3には、図書4を収容するための複数(本実施例では8基)の書棚5が配置されている。図1及び図5に示すように、これら書棚5には、複数の図書4が立てた状態で収容された複数のコンテナ6が収容されている。尚、本発明における図書保管管理システム1は、コンテナ6毎に図書4を文学、スポーツ、評論等のジャンル毎に収容する固定ロケーション方式を採用している。
【0016】
コンテナ6に収容されている図書4の背表紙4aには、特に図示しないが、各図書4毎に固有の識別情報が記憶されているRFIDタグが貼り付けられている。そして、このRFIDタグの識別情報を、後述するタグリーダ16と貸出用タグリーダ20とによって読み取り可能となっている。この識別情報とは、例えば、各図書4のタイトル、著者、出版社、ページ数等である。
【0017】
また、本実施例でのRFIDタグは、内蔵したICチップを非接触方式(無線方式)にて、タグリーダ16と貸出用タグリーダ20とで読み取らせる公知のパッシブ型のRFIDタグである。
【0018】
図1に示すように、図書保管管理システム1は、閉架書庫3にて書棚5から図書4が収容されたコンテナ6を取り出すための複数基(本実施例では4基)のスタッカークレーン8と、スタッカークレーン8によって書棚5から取り出されたコンテナ6を受け取るコンベア9と、を備えている。尚、これらスタッカークレーン8は、後述するステーション11にて設定された指令に基づき、各書棚5におけるコンテナ6の収容位置まで前後並びに上下方向に自動走行して、コンテナ6の出し入れを行うようになっている。
【0019】
また、利用者室2には、閉架書庫3からコンテナ6を搬送可能であって、利用者が目的の図書4の貸し出し若しくは返却を行うことができるステーション11が設けられている。図3に示すように、ステーション11には、コンベア9上のコンテナ6から利用者に図書4を取り出し、または収容させる受け渡し口12が形成されている。
【0020】
この受け渡し口12内に書棚5側から連続したコンベア9が延設されている(図1参照)。このコンベア9には、駆動ローラが並設されており、このコンベア9によって、コンテナ6は、その左右方向をコンベア9の搬送方向に向けた状態で受け渡し口12内の中央まで水平に搬送されるようになっている。
【0021】
図3に示すように、ステーション11の受け渡し口12内の中央には、コンベア9に連続して設けられたターンテーブル13が配設されている。ステーション11に搬送されたコンテナ6は、このターンテーブル13上に載置されるようになっている。尚、ターンテーブル13にも、駆動ローラが設けられており、ターンテーブル13上からコンベア9にコンテナ6を移動させることもできる。
【0022】
ステーション11の利用者は、ステーション11の外面に設けられているコンテナ回転ボタン11aを押圧操作することで、ターンテーブル13を回転させてコンテナ6を水平回転させることができる。そのためコンテナ6は、その正面側及び背面側のいずれの側も利用者側に向けることができる。
【0023】
図3に示すように、ステーション11の受け渡し口12には、左右方向に受け渡し口12を開閉自在なスライド扉14が取り付けられており、このスライド扉14を開放することによって、利用者は、受け渡し口12に搬送されてきたコンテナ6から図書4を取り出せるようになっている。
【0024】
また、ステーション11の受け渡し口12内の右部には、コンベア9の正面側と背面側の両側に、コンテナ6内に収容されている図書4のRFIDタグから識別情報を読み取るためのタグリーダ16が、前後一対となって設けられている。尚、これらタグリーダ16は、移動不能に固定配置されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、ステーション11の正面側には、利用者がコンテナ6から取り出した図書4を載置するための天板17が設けられている。この天板17の左部には、ステーション11を使用する利用者に対して、図書4の貸し出し及び返却作業の指示を行うための表示装置18が設けられている。
【0026】
この表示装置18は、利用者が直接指等を接触させて操作可能なタッチパネル19を備える。更に、天板17には、図書4の背表紙4aに貼り付けられているRFIDタグから識別情報を読み取るための貸出用タグリーダ20が埋設されている。
【0027】
尚、ステーション11には、特に図示しないが、これら表示装置18とタッチパネル19と貸出用タグリーダ20とタグリーダ16とコンベア9とスタッカークレーン8とに接続されている制御コンピュータが内蔵されている。
【0028】
次に、図書4が収容されるコンテナ6について説明する。図4〜図6に示すように、このコンテナ6は、ポリプロピレン等の樹脂材によって構成されている。コンテナ6は、底板6aと、底板6aの左右端部から上方に向かって延設されている第1側壁6bと、底板6aの前後端部から上方に向かって延設されている第2側壁6cと、によって構成されており、上方に向かって開口する略箱体に形成されている。
【0029】
また、第1側壁6bは、第2側壁6cよりも上下方向に長くなるように形成されている。これら第1側壁6bと第2側壁6cとによって囲まれたコンテナ6の内部は、複数の図書4を収容するための収容空間21となっている。
【0030】
図6に示すように、底板6aは、底板6aの前後に設けられている第2側壁6cから、コンテナ6の前後方向の中央に向かって上方に角度θの傾斜をなす傾斜面6dに形成されている。図4に示すように、底板6aの前後方向の中央は、底板6aの左右にそれぞれ設けられている第1側壁6b間で平面視で長方形状の水平面6eに形成されており、前後の傾斜面6dは、水平面6eの前後端縁に連設されている。
【0031】
また、第2側壁6cの上端部の外側端縁部は、第2側壁6cの外側面の一部がコンテナ6の内側に向けて凹設された切欠6fに形成されており、第2側壁6cの内側面6gは、下端部から上方に向けてコンテナ6の前後方向の外側方に向けて傾斜面6dと同一傾斜角である角度θの傾斜をなして形成されている。そのため第2側壁6cの内側面6gと底板6aの傾斜面6dとのなす角が直角になり、図書4の角部を保持することができる。
【0032】
更に、切欠6fの下方である第2側壁6cの外側面には、第2側壁6cの左端部から右端部にかけて所定間隔毎に目盛23が付設されている。これら目盛23の下部には、左端部側から右端部にかけてアルファベットがAから順番に印字されている。
【0033】
尚、本実施例では、これら傾斜面6dと内側面6gの角度θは、約5度に形成されているが、コンテナ6内に収容されている図書4が収容空間21から脱落する角度でなければ角度θは特に限定されない。
【0034】
更に、コンテナ6内には、前後の第2側壁6c間で底板6aの左右方向の略中央から上方に向かって隔壁6hが立設されており、この隔壁6hによって収容空間21は、左右に仕切られる。
【0035】
更に、第1側壁6bの前後方向の略中央部には、コンテナ6の上方及びの内側に向かって開口するスリット6iが形成されている。それぞれのスリット6iは、両第1側壁6b間で左右に対向して前後方向に複数条(本実施例では5条)設けられている。
【0036】
これら5組の左右方向に対向する2対のスリット6i間には、隔壁6hを跨いで収容空間21を正面側と背面側とに仕切る2枚の磁性板22を上方から挿通可能となっている。
【0037】
尚、これら2枚の磁性板22は、スチール材や鉄材等の金属製材料、すなわち磁性部材によって構成されている。尚、この磁性板22に、フェライトシート等の磁性シートを貼り付けるようにしてもよく、フェライトシートが貼り付けられていれば、磁性板22にRFIDタグが接触している状態であっても、RFIDタグの識別情報をタグリーダ16によって読み取ることができる。
【0038】
更に尚、磁性板22の下端部には、左右方向を向く複数の図示しない嵌合片が下方に向かって延設されている。これら嵌合片は、磁性板22の左右端部をスリット6iに挿通される際に、水平面9に左右方向を向いて複数条設けられた長孔6kに嵌合可能となっている。そのため2枚の磁性板22は、左右端部をスリット6iに上方から挿通させながら嵌合片を長孔6kに嵌合させることで固定させることができる。
【0039】
これら磁性板22によって、コンテナ6の正面側と背面側とに分割された収容空間21にて、コンテナ6に収容される図書4は、背表紙4aをコンテナ6の前後方向の外側に向けた状態で、図書4の厚み方向である左右方向に並べられた状態で収容されるようになっている。
【0040】
また、図4〜図6に示すように、収容空間21の正面側と背面側とには、収容空間21に収容されている複数の図書4が横倒しとならないように、第1側壁6bまたは隔壁6hとともに左右方向から複数の図書4を挟持し、複数の図書4を著者毎等で仕切るための本発明における仕切体としてのディバイダ24が前後方向を向いて着脱自在に配置されている。以下、収容空間21の正面側と背面側に配置されているディバイダ24は同一構成につき、主に収容空間21の正面側に配置されているディバイダ24について説明する。
【0041】
ディバイダ24は、図4〜図8に示すように、傾斜面6dに底面が当接する平面視略長方形状の板状に形成されたベース板部24aと、ベース板部24aの左端部から立設された板状の仕切板部24bと、仕切板部24bの前端上部に設けられ、第2側壁6cの上端部である切欠6fに係合する延設部24cと、から構成されている。
【0042】
仕切板部24bの前端部は、ベース板部24aに対して垂直をなすように形成されている。これらベース板部24aと仕切板部24bと延設部24cとは、一枚のスチール材等の金属材によって構成された板体の折曲げ加工により形成されており、ベース板部24aの前後幅寸法は、傾斜面6dの前後幅寸法と略同寸に形成されている。
【0043】
延設部24cは、仕切板部24bの前端部より左方に延設された側片24dと、側片24dの前端部から正面側に向けて延設された突片24eと、突片24eの前端部から下方に向けて延設された係止片24fと、から構成されている。このうち突片24eは、側片24dの前端部から正面側に向かって上方に角度θの傾斜をなしており、係止片24fは、突片24eの前端部から鉛直方向に対して正面側に向かって角度θの傾斜をなしている。
【0044】
前述のように構成されたディバイダ24は、収容空間21に上方から収容配置されることで、第2側壁6cの上端部に延設部24cを上方から係合するようになっている。具体的には、ディバイダ24が収容空間21に上方から収容配置されることで、延設部24cを構成する突片24eと係止片24fとは、第2側壁6cの上面と第2側壁6cの外側面である切欠6fの凹設箇所とを囲繞し、突片24eと係止片24fとは、使用者がコンテナ6の外面視から視認可能となる。
【0045】
このため、係止片24fと仕切板部24bの前端部とは、第2側壁6cの上端部の前後方向に配置されるので、コンテナ6の搬送時等にディバイダ24に前後方向の揺動が発生しても、第2側壁6cに係止片24fと仕切板部24bの前端部との一方が当接することで、ディバイダ24の前後方向への揺動を規制することができる。
【0046】
また、ディバイダ24は、収容空間21に収容配置されることで、ベース板部24aが底面で傾斜面6dと面接触するようになっており、このベース板部24aと傾斜面6dとの面接触によってディバイダ24の左右方向への横倒れが防止されている。加えて、図4の収容空間21の背面側に示すように、ディバイダ24の左右方向への横倒れは、ベース板部24a上に図書4を載置することによってより強力に防止される。
【0047】
延設部24cは、前述したように第2側壁6cの上端部に係合することで、第2側壁6cの上端部に沿って左右方向に移動可能となっている。このため、延設部24cを左右方向に移動させることで、仕切板部24bとベース板部24aとを延設部24cの左右方向の移動に追従させ、仕切板部24bの収容空間21での配置位置を、適宜左右方向に変更可能となっている。
【0048】
特に、図4の収容空間21の背面側に示すように、ベース板部24aに図書4が載置されている場合であっても、延設部24cを左右方向に移動させることでベース板部24aを傾斜面6dと図書4との間から引き抜きが可能であるので、ディバイダ24の配置位置を変更する際に図書4を収容空間21から一旦取り出す等の動作が必要ない。
【0049】
また、本実施例では、前述したように、金属材のディバイダ24を用いているが、図書4の背表紙4aにRFIDタグが貼り付けられているため、ディバイダ24とRFIDタグとが当接しなようになっている。そして、タグリーダ16から発せられる電磁波は、金属材のディバイダ24によって妨げられることがなく、タグリーダ16は、図書4の背表紙4aに貼り付けられたRFIDタグの識別情報を読み取ることができるようになっている。
【0050】
尚、本実施例では、前述したように、タグリーダ16によってコンテナ6内に収容されている図書4のRFIDタグから識別情報を順次読み取ることによって、ステーション11は、利用者の目的とする図書4がコンテナ6の収容空間21にいずれの収容位置に配置されているかを推定できるようになっている。
【0051】
具体的には、先ず、利用者はタッチパネル19を操作することで、目的とする図書4のタイトルや著者等の識別情報を入力し、目的とする図書4が収容されているコンテナ6を搬送するように操作指示を行う。
【0052】
ステーション11は、この搬送指示に基づいてスタッカークレーン8とコンベア9とに対して、利用者の目的とする図書4が収容されているコンテナ6を、閉架書庫3の書棚5からステーション11内の受け渡し口12の中央まで搬送させる制御を行う。
【0053】
そして、コンテナ6がステーション11内の受け渡し口12の中央に向けて搬送される際に、コンベア9の正面側と背面側とに設けられたタグリーダ16によってコンテナ6の収容空間21の正面側と背面側とに収容されている図書4のRFIDタグの識別情報を順次読み取るようになっている。
【0054】
図9に示すように、順次読み取った識別情報に基づいて、ステーション11は、表示装置18に識別情報としての図書4のタイトルを表示させる。具体的には、コンベア9の正面側に設けられたタグリーダ16によって読み取った図書4の識別情報は、コンテナ6の収容空間21のカウンター側(正面側)に収容されている図書4のタイトルとして表示装置18に表示させる。同様に、コンベア9の背面側に設けられたタグリーダ16によって読み取った図書4の識別情報は、コンテナ6の収容空間21の奥側(背面側)に収容されている図書4のタイトルとして表示装置18に表示させる。
【0055】
このとき、ステーション11は、タグリーダ16によって読み取った識別情報である各図書4のページ数から図書4の厚みを計算し、各図書4のタイトルをページ数から計算した図書4の厚みに比例する左右幅寸法を有する枠体内に表示させ、収容空間21の図書4の収容状態を再現する。
【0056】
更に、ステーション11は、コンベア9の正面側と背面側とのタグリーダ16によって読み取られた識別情報を、利用者が目的とする図書4の識別情報と照合し、表示装置18に表示されている図書4のタイトルの中から利用者が目的とする図書4のタイトルを点灯表示させる。尚、表示装置18に表示される図書4のタイトルの下方には、第2側壁6cに付設された目盛とアルファベットとが表示されており、使用者は、点灯している図書4のタイトルと目盛の下方に表示されているアルファベットとの位置関係を認識することで、目的とする図書4を収容空間から容易に見つけ出すことができる。
【0057】
このように表示装置18にコンテナ6の収容空間21内に収容されている図書4のタイトルを、タグリーダ16によって読み取った順に表示させることで、利用者はコンテナ6の収容空間21内における目的とする図書4の収容位置を把握することができるようになっている。
【0058】
尚、図8に示すように、利用者が目的とする図書4が、コンテナ6の収容空間21の背面側に収容されている場合には、利用者がコンテナ回転ボタン11aを押圧操作することでターンテーブル13を回転させて、コンテナ6の向きを回転変更させることで、目的とする図書4を容易にコンテナ6から取り出すことができる。
【0059】
そして、コンテナ6の収容空間21から取り出した図書4は、貸出用タグリーダ20によってRFIDタグから識別情報を読み取らせることによって貸出処理を行うことができる。
【0060】
そして、利用者の図書4の貸し出しが終了した後、利用者が再びタッチパネル19を操作することで、ステーション11内から閉架書庫3の書棚5にコンテナ6を返却する操作指示を行う。ステーション11は、この操作指示に基づいてスタッカークレーン8とコンベア9とに対して、コンテナ6を書棚5に返却させる制御を行う。
【0061】
更に、コンベア9の正面側と背面側とに設けられたタグリーダ16によって、閉架書庫3に向けて搬送されるコンテナ6の正面側と背面側との収容空間21内に収容されている図書4のRFIDタグから再び識別情報を読み取る。このようにすることで、ステーション11から閉架書庫3に向けて搬送されるコンテナ6の収容空間21に収容されている図書4から読み取った識別情報と、閉架書庫3の書棚5からステーション11に向けて搬送されるコンテナ6の収容空間21に収容されている図書4から読み取った識別情報とを比較し、利用者に貸し出しが行われた図書4以外にコンテナ6から持ち出された図書4の有無を管理することができる。
【0062】
尚、本実施例では、収容空間21を2枚の磁性板22によって正面側と背面側とに分割し、図書4を背表紙4aがコンテナ6の前後方向の外側を向く状態で、図書4の厚み方向である左右方向に並べられた状態で収容したが、収容空間21は磁性板22で正面側と背面側とに分割せずともよく、また、図書4は、収容空間21で平積みにして収容してもよい。
【0063】
以上、実施例1におけるコンテナ6にあっては、収容空間21には、収容空間21を仕切るディバイダ24が前後方向を向いて着脱自在に配置されており、ディバイダ24は、収容空間21で立設する仕切板部24bと、仕切板部24bから延設され、少なくとも一方の第2側壁6cの上端部に左右方向に移動可能に係合する延設部24cと、を有しているので、利用者は、第2側壁6cに係合する延設部24cをコンテナ6の外面視から視認することができるので、図書4の大きさに関係なく利用者の目的とする図書4がディバイダ24で左右に仕切られた収容空間21のどちらに収容されているか把握し、探し出すことができる。また、ディバイダ24は、延設部24cが第2側壁6cに係合することで、収容空間21で立設する仕切板部24bが左右方向に倒れ難く支持することができるとともに、延設部24cを第2側壁6cの上端部に沿って左右方向に移動させることで、収容空間21に収容されている図書4を取り出すことなく仕切板部24bを左右方向に移動させ、収容空間21に収容される図書4の増減に応じて、ディバイダ24によって図書4を仕切る位置を適宜変更することができる。
【0064】
また、延設部24cは、第2側壁6cの上面と外側面とを囲繞することで、延設部24cが第2側壁6cの外側面に当接することでディバイダ24の前後方向への揺動が規制され、ディバイダ24の垂直を保つことでディバイダ24の視認性を向上させることができる。
【0065】
また、コンテナ6は、図書4を延設部24cが係合する側の第2側壁6cに背表紙4aを向けた状態で収容可能であり、底板6aの上面は、延設部24cが当接した側の第2側壁から他側の第2側壁6cに向けて傾斜面6dに形成されているので、コンテナ6内に収容された図書4の底部が傾斜面6dに摺接することで、背表紙4aが第2側壁6cに当接するため、各図書4の背表紙4aが第2側壁6cに沿って面一に配置され、利用者が図書4の背表紙4aに書かれているタイトル等を容易に判別することができる。
【実施例2】
【0066】
次に、実施例2に係るコンテナにつき、図10から図12を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。以下、図10における紙面下側をコンテナの正面側(前方側)とし、図11における紙面手前側をコンテナの正面側(前方側)とし、図12における紙面左側をコンテナの正面側(前方側)として説明する。
【0067】
図10及び図12に示すように、実施例2におけるコンテナ6の正面側と背面側とに形成された傾斜面6dには、上方に開口する溝部6jが形成されている。これら溝部6jは、収容空間の左右幅寸法と略同寸となるように、傾斜面6dの左右方向略全長に亘って形成されている。また、ディバイダ24のベース板部24a’は、前後方向を向いた状態で溝部6j内に挿入配置可能な前後幅寸法に形成されている。
【0068】
図11に示すように、第2側壁6cの外側面には、第2側壁6cの左端部から右端部にかけて所定間隔毎に目盛23が付設されている。これら目盛23の下部には、左端部側から右端部にかけて数字が0から順番に印字されている。これらの数字は、コンテナ6の左右側端部である両第1側壁6bの内側面間の距離を示している。
【0069】
このようにコンテナ6とディバイダ24とを構成することによって、ディバイダ24は、延設部24cを左右方向に移動させることで、ベース板部24a’を溝部6jに沿って左右方向に摺動させることができる。特に、図12に示すように、本実施例における溝部6jの深さ寸法はベース板部24a’の厚み寸法よりも長寸に形成されているため、ベース板部24a’は溝部6j内を図書4の底部に当接せずに摺動可能となっており、ベース板部24a’で図書4の荷重による摩擦力を受けずともディバイダ24の配置位置を変更可能となっている。
【0070】
尚、図11に示すように、延設部24cは、コンテナ6の外側面視から視認可能となっているとともに、目盛23の上方に配置されるようになっている。このため、使用者は、各目盛23の近傍に配置された延設部24cを視認することで、第1側壁6bまたは隔壁6hとディバイダ24との間に配置されている図書4の収容量を厚みとして認識することができる。
【0071】
以上、実施例2におけるコンテナ6にあっては、底板6aには、左右方向を向く溝部6jが形成されており、ディバイダ24は、溝部6j内を左右方向に摺動するベース板部24a’を有しているので、ベース板部24a’を溝部6jに沿って摺動させることで、収容空間21に収容される図書4の増減に応じて、ベース板部24a’をより安定した状態で左右方向に移動させることができる。
【0072】
また、延設部24cが係合する側の第2側壁6cの外側面には、左右方向に所定間隔毎に目盛23が付設されているので、利用者は、目盛23と延設部24cとの位置関係から収容空間21に収容されている図書4の収容量を認識することができる。
【0073】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0074】
例えば、前記実施例では、ベース板部24aの左端部から仕切板部24bを立設させたが、仕切板部24bをベース板部24aの左右方向略中央部から立設させることで、傾斜面6dに対し左右バランスよくディバイダ24の横倒れを防止するようにしてもよい。
【0075】
尚、前記実施例では、ディバイダ24を一枚のスチール材等の金属材によって構成された板体の折曲げ加工により形成したが、ディバイダ24を樹脂材の射出成形によって形成してもよい。ディバイダ24を樹脂材で形成すれば、ディバイダ24に図書のRFIDタグが当接してしまう状態であっても、タグリーダ16は、RFIDタグの識別情報を読み取ることができる。更に尚、ディバイダ24を金属材によって形成しても、その表面にフェライトシート等を貼り付けることで、ディバイダ24に図書のRFIDタグが当接してしまう状態であっても、タグリーダ16は、RFIDタグの識別情報を読み取ることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 図書保管管理システム
2 利用者室
3 閉架書庫
4 図書
4a 背表紙
6 コンテナ
6a 底板
6b 第1側壁
6c 第2側壁
6d 傾斜面
6j 溝部
21 収容空間
23 目盛
24 ディバイダ(仕切体)
24a,24a’ ベース板部
24b 仕切板部
24c 延設部
24d 側片
24e 突片
24f 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状の底板と、該底板の左右端部から上方に向けて延設されている第1側壁と、前記底板の前後端部から上方に向けて延設されている第2側壁と、から構成され、前記第1側壁と前記第2側壁とで囲まれた内部が図書を収容するための上方に向けて開口する収容空間に形成されているコンテナであって、
前記収容空間には、該収容空間を仕切る仕切体が前後方向を向いて着脱自在に配置されており、該仕切体は、前記収容空間で立設する仕切板部と、該仕切板部から延設され、少なくとも一方の前記第2側壁の上端部に左右方向に移動可能に係合する延設部と、を有していることを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記延設部は、前記第2側壁の上面と外側面とを囲繞することを特徴とする請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記底板には、左右方向を向く溝部が形成されており、前記仕切体は、前記溝部内を左右方向に摺動するベース板部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記コンテナは、前記図書を前記延設部が係合する側の前記第2側壁に背表紙を向けた状態で収容可能であり、前記底板の上面は、前記延設部が当接した側の前記第2側壁から他側の前記第2側壁に向けて上り傾斜に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のコンテナ。
【請求項5】
前記延設部が係合する側の前記第2側壁の外側面には、左右方向に所定間隔毎に目盛が付設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−6123(P2011−6123A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153283(P2009−153283)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】