説明

コンテンツ再生システム、再生装置及び半導体メディア

【課題】複数の半導体メディアにコンテンツを小分けして記憶する場合、小分けされたコンテンツの改竄、差し替えに加え、小分けされたコンテンツの前後関係をも検証できるシステムを提供する。
【解決手段】メモリカード3には、セグメントファイル36に加え、セグメントファイル36の参照ハッシュ値を含むセグメント情報33と、次に再生されるセグメントファイル36の参照ハッシュ値である次参照ハッシュ値を含む次セグメント情報34を有するシリーズ情報32が記憶される。再生装置2は、挿入されたメモリカード3からシリーズ情報32を読み取り時系列順に保持した後、今回のセグメントファイルのハッシュ値と、シリーズ情報32に含まれる参照ハッシュ値、及び、前回のシリーズ情報32に含まれる次参照ハッシュ値をそれぞれ照合し、照合に成功すると、今回のセグメントファイル36を再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体メディアに小分けされて収録されたコンテンツを再生するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
SDカード(登録商標)、microSDカード(登録商標)等に代表され、データを記憶するためのフラッシュメモリが実装された半導体メディアに、音楽、動画、電子文書、電子書籍等のコンテンツを記録する場合、複数巻にわたる全集物の電子書籍、複数ボリュームにわたるアーティスト全曲集の音楽、長期間にわたる連続した監視カメラ撮影動画、長大なログデータを含む電子文書等のコンテンツにおいては、コンテンツの容量が一枚の半導体メディアの容量よりも大きくなってしまい、一枚の半導体メディアに全のコンテンツを記録できず、複数の半導体メディアに小分けして一つのコンテンツを収録することが必要になる。
【0003】
複数の半導体メディアに小分けして一つのコンテンツを収録する場合、例えば、一つのコンテンツを収録した複数の半導体メディアの一つが不正に差し替えられると、間違った順番でコンテンツが再生される、コンテンツの一部が作者の意図に反し改変される等の恐れがあるため、半導体メディアの巻数を半導体メディア上やコンテンツのオープニングに表示するなどの対策が施されていた。また、半導体メディアの巻数を半導体メディア上に表示する場合、半導体メディアが容易に複製されない様にホログラムシールを貼付するケースもある。
【0004】
小分けしたコンテンツを記憶する半導体メディアがリレコーダブルの場合、半導体メディアにプリレコードされたコンテンツの一部改竄や差し替えが可能であり、このような行為を防止したい場合、コンテンツを再生する再生機器側に改竄検知機能を用意する必要があった。例えば、コンテンツを格納するファイルにチェックコードを記録しておき、再生時にコンテンツデータとそのチェックコードを比較する等の方法は既知であり、コンテンツ改竄防止等の目的の為、しばしば使用される手法である。
【0005】
コンテンツの一部改竄を防止するために利用できる半導体メディアとして、例えば、特許文献1のように、ICカード用ICチップなどのセキュアチップとフラッシュメモリを内蔵した半導体メディアも発案され、このような半導体メディアでは、セキュアチップ上に実装される不揮発性メモリ(EEPROMの場合が多い)とフラッシュメモリの両方にデータを記録することが可能である。
【0006】
セキュアチップが実装された半導体メディアを用いれば、特許文献2で開示されている発明のように、フラッシュメモリに記憶したデータのハッシュ値をセキュアチップの不揮発性メモリに保存しておき、該半導体メディア内でフラッシュメモリに記憶したデータの整合性をチェックすることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005―322109号公報
【特許文献2】特開2004―199138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した従来技術では、半導体メディア単体で、フラッシュメモリに記憶されたデータの改竄を検知できるが、複数の半導体メディアにコンテンツを小分けして記憶する場合、小分けされたコンテンツを再生する際、小分けされたコンテンツの前後関係を検証することはできなかった。
【0009】
そこで、本発明は、複数の半導体メディアにコンテンツを小分けして記憶する場合、小分けされたコンテンツの改竄を検知できると共に、小分けされたコンテンツの前後関係をも検証できるシステム及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決する第1の発明は、小分けされたコンテンツの改竄を検知できると共に、小分けされたコンテンツの前後関係をも検証できるように、小分けされたコンテンツが記憶される半導体メディアのメモリには、コンテンツを複数に分割して得られる一つのセグメントファイルに加え、前記セグメントファイルの検証に用いる情報として、前記セグメントファイルの参照ハッシュ値を含むセグメント情報と、次に再生される前記セグメントファイルの参照ハッシュ値である次参照ハッシュ値を含む次セグメント情報とを有するシリーズ情報が記憶される。
【0011】
また、前記半導体メディアに記憶された前記シリーズ情報を用いて、小分けされたコンテンツの改竄を検知できると共に、小分けされたコンテンツの前後関係をも検証できるように、再生装置は、挿入された前記半導体メディアのメモリから前記シリーズ情報を読み取り、読み取った前記シリーズ情報を時系列順に保持した後、該半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルの検証として、該セグメントファイルのハッシュ値と、該半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記セグメント情報に含まれる前記参照ハッシュ値、及び、一つ前に挿入された前記半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記次セグメント情報に含まれる前記次参照ハッシュ値をそれぞれ照合し、照合に成功すると、挿入された前記半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルを再生する検証手段を備える。
【0012】
更に、第2の発明は、第1の発明に記載のコンテンツ再生システムにおいて、前記セグメントファイルの再生順序を検証できるように、前記半導体メディアのメモリに記憶される前記シリーズ情報の前記セグメント情報に前記セグメントファイルの巻数を示す巻数情報を、前記次セグメント情報に次に再生される前記セグメントファイルの巻数を示す次巻数情報を含ませ、前記再生装置の前記検証手段は、挿入された前記半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルの検証として、該半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記セグメント情報に含まれる前記巻数情報と、一つ前に挿入された前記半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記次セグメント情報に含まれる前記次巻数情報を照合することを特徴とする。
【0013】
更に、第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載のコンテンツ再生システムにおいて、前記シリーズ情報のセキュリティを高めるために、前記半導体メディアにセキュアチップを実装し、前記セキュアチップの不揮発性メモリに前記シリーズ情報を記憶したことを特徴とする。
【0014】
更に、第4の発明は、第1の発明に記載のコンテンツ再生システムを構成する再生装置で、コンテンツを複数に分割して得られる一つのセグメントファイルと、前記セグメントファイルの参照ハッシュ値を含むセグメント情報と、次に再生される前記セグメントファイルの参照ハッシュ値である次参照ハッシュ値を含む次セグメント情報をメモリに記憶した半導体メディアから前記シリーズ情報を読み取り、読み取った前記シリーズ情報を時系列順に保持した後、該半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルの検証として、該セグメントファイルのハッシュ値と、該半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記セグメント情報に含まれる前記参照ハッシュ値、及び、一つ前に挿入された前記半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記次セグメント情報に含まれる前記次参照ハッシュ値をそれぞれ照合し、照合に成功すると、挿入された前記半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルを再生する検証手段を備えることを特徴とする。
【0015】
更に、第5の発明は、第2の発明に記載のコンテンツ再生システムを構成する再生装置で、前記半導体メディアのメモリに記憶される前記シリーズ情報の前記セグメント情報には前記セグメントファイルの巻数を示す巻数情報が、前記次セグメント情報に次に再生される前記セグメントファイルの巻数を示す次巻数情報が含まれ、前記再生装置の前記検証手段は、挿入された前記半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルの検証として、該半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記セグメント情報に含まれる前記巻数情報と、一つ前に挿入された前記半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記次セグメント情報に含まれる前記次巻数情報を照合することを特徴とする。
【0016】
更に、第6の発明は、第1の発明に記載のコンテンツ再生システムを構成する半導体メディアであって、該半導体メディアのメモリには、コンテンツを複数に分割して得られる一つのセグメントファイルに加え、前記セグメントファイルの検証に用いる情報として、前記セグメントファイルのハッシュ値である参照ハッシュ値を含むセグメント情報と、次に再生される前記セグメントファイルのハッシュ値である次参照ハッシュ値を含む次セグメント情報を有するシリーズ情報がメモリに記憶されていることを特徴とする。
【0017】
更に、第7の発明は、第6の発明に記載の半導体メディアにおいて、前記半導体メディアのメモリに記憶される前記シリーズ情報の前記セグメント情報には、前記セグメントファイルの巻数を示す巻数情報が、前記シリーズ情報の前記次セグメント情報には、次に再生される前記セグメントファイルの巻数を示す次巻数情報が含まれていることを特徴とする。
【0018】
更に、第8の発明は、第6の発明又は第7の発明に記載の半導体メディアにおいて、前記半導体メディアにはセキュアチップが実装され、前記セキュアチップの不揮発性メモリに前記シリーズ情報が記憶されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上述した発明によれば、挿入された前記半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルの検証として、該半導体メディアのメモリに記憶されたセグメントファイルのハッシュ値と、該半導体メディアから読み取ったシリーズ情報のセグメント情報に含まれる参照ハッシュ値を照合することで、該半導体メディアに記憶されたセグメントファイルが改竄されていないことを検証できる。
【0020】
また、挿入された前記半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルの検証として、該半導体メディアのメモリに記憶されたセグメントファイルのハッシュ値と、一つ前に挿入された半導体メディアから読み取ったシリーズ情報の次セグメント情報に含まれる次参照ハッシュ値を照合することで、該セグメントファイルの内容が、一つ前に挿入された半導体メディアで指定された内容であることを検証できる。
【0021】
更に、半導体メディアのメモリに記憶されるシリーズ情報のセグメント情報にセグメントファイルの巻数を示す巻数情報を、次セグメント情報に次に再生されるセグメントファイルの巻数を示す次巻数情報を含ませ、挿入された半導体メディアのメモリに記憶されたセグメントファイルの検証として、該半導体メディアから読み取ったシリーズ情報のセグメント情報に含まれる巻数情報と、一つ前に挿入された半導体メディアから読み取ったシリーズ情報の次セグメント情報に含まれる次巻数情報を照合することで、挿入された半導体メディアのメモリに記憶されたセグメントファイルの巻数が、一つ前に挿入された半導体メディアで指定された巻数であることを検証できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係るコンテンツ再生システムを説明する図。
【図2】半導体メディアであるメモリカードを説明する図。
【図3】セキュアチップのEEPROMに記憶されるシリーズ情報を説明する図。
【図4】再生装置を説明する図。
【図5】再生装置の動作を示したフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここから,本発明の実施形態について,本発明の技術分野に係わる当業者が,発明の内容を理解し,発明を実施できる程度に説明する。なお、これから説明する実施形態は本発明の一実施形態にしか過ぎず、本発明は,これから説明する実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能である。
【0024】
図1は、本実施形態に係るコンテンツ再生システム1を説明する図である。本実施形態に係るコンテンツ再生システム1は、複数の半導体メディア(図1では、メモリカード3)に分けて収録されたコンテンツを再生するためのシステムで、コンテンツを複数に分割して得られた一つのセグメントファイルがプリレコードされる複数のメモリカード3と、メモリカード3に記憶されているセグメントファイルを再生する再生装置2とから構成される。
【0025】
図1では半導体メディアをメモリカード3としているが、コンテンツを有する大容量のメモリが実装されたメディアを半導体メディアとして利用でき、このようなメディアとしては、SDカード(登録商標)、microSDカード(登録商標)又はUSBメモリなどを利用できる。また、再生装置2は、ディスプレイ、ビデオ/オーディオコーデック(Codec)などを有するコンピュータ機器を利用でき、このようなコンピュータ機器としては、パーソナルコンピュータ、携帯電話又はスマートフォンを利用できる。
【0026】
図2は、半導体メディアであるメモリカード3を説明する図である。本実施形態のメモリカード3には、セグメントファイル36が記憶されるメモリとなるフラッシュメモリ35、ICカード用ICチップと同様の機能を持つセキュアチップ30、再生装置2と電気的に接合するための端子39、端子39と接続しているインターフェース回路38、メモリカード3を制御するコントローラ37が実装される。
【0027】
メモリカード3に実装されるセキュアチップ30は、ICカード用ICチップと同様の機能をもつICチップで、CPU、RAM、ROM、外部とデータ通信するためのI/Oに加え、シリーズ情報が記憶される不揮発性メモリとなるEEPROM31を有している。
【0028】
メモリカード3に実装されたコントローラ37は、フラッシュメモリ35及びセキュアチップ30と通信するためのインターフェースを有し、セキュアチップ30のEEPROM31に記憶されたシリーズ情報32の読み取り要求を再生装置2から受けると、セキュアチップ30に対してシリーズ情報32の読み出しを要求し、セキュアチップ30から受け渡されたシリーズ情報32を再生装置2に対して送信する。また、メモリカード3に実装されたコントローラ37は、再生装置2からセグメントファイル36の送信要求を受けると、再生装置2から読み出し要求を受けたセグメントファイル36をフラッシュメモリ35から読み出して、該セグメントファイル36を再生装置2に対して送信する。
【0029】
図3は、セキュアチップ30のEEPROM31に記憶されるシリーズ情報32を説明する図である。セキュアチップ30のシリーズ情報32は、メモリカード3にセグメントファイル36を記憶する際に生成されて、セキュアチップ30のEEPROM31に記憶される。
【0030】
図3(a)に図示したように、本実施形態のシリーズ情報32は、複数のメモリカード3に分割されて収録されるコンテンツの属性を示す属性情報32aに加え、メモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されているセグメントファイル36の参照ハッシュ値を含むセグメント情報33と、次に再生されるセグメントファイル36の参照ハッシュ値である次参照ハッシュ値を含む次セグメント情報34を有している。
【0031】
図3(b)はシリーズ情報32に含まれる属性情報32aを説明する図で、図3(b)に図示したように、本実施形態の属性情報32aには、複数のメモリカード3に分けて収録されるコンテンツを特定するためのコンテンツIDに加え、該コンテンツの総巻数を示す総巻数情報が含まれる。なお、コンテンツの総巻数を示す総巻数情報は、コンテンツが分割された数になる。
【0032】
図3(c)はシリーズ情報32に含まれるセグメント情報33の構成を説明する図で、図3(c)に図示したように、本実施形態のセグメント情報33には、メモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されているセグメントファイル36の基になったコンテンツのコンテンツID、メモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されているセグメントファイル36の巻数を示す巻数情報、メモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されているセグメントファイル36のハッシュ値である参照ハッシュ値が含まれる。なお、セグメントファイル36のハッシュ値は、セグメントファイル36の全てから算出してもよく、また、セグメントファイル36の一部から算出してもよい。
【0033】
図3(d)はシリーズ情報32に含まれる次セグメント情報34の構成を説明する図で、図3(d)に図示したように、本実施形態の次セグメント情報34には、巻数が一つ後のメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されているコンテンツID、巻数が一つ後のメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されているセグメントファイル36の巻数を示す次巻数情報、巻数が一つ後のメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されているセグメントファイル36の参照ハッシュ値である次参照ハッシュ値が含まれる。
【0034】
次に、再生装置2について説明する。再生装置2は、メモリカード3に記憶されているセグメントファイル36を再生する装置で、CPU,RAM、ROM、ディスプレイ、ビデオ/オーディオコーデックなどが実装されたコンピュータ機器で実現される。
【0035】
図4は、再生装置2を説明する図である。再生装置2には、再生装置2のCPUを動作させるためのコンピュータプログラムにより実現される機能として、メモリカード3とデータ通信するためのメディアインターフェース22と、メモリカード3に記憶されたセグメントファイル36を再生する再生手段20と、挿入されたメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されたセグメントファイル36を検証する検証手段21を備え、再生装置2のRAMには、挿入されたメモリカード3から読み出したシリーズ情報32を時系列順に格納するための格納領域が設けられる。
【0036】
図5は、再生装置2の動作を示したフロー図である。再生装置2にメモリカード3が挿入されると、まず、再生装置2の検証手段21が作動し、再生装置2の検証手段21は、挿入されたメモリカード3に対してシリーズ情報32の読み出しを要求することで、該メモリカード3に実装されたセキュアチップ30のEEPROM31に記憶されたシリーズ情報32を取得し、該メモリカード3から取得したシリーズ情報32をRAMに設けられた格納領域に格納する(S1)。
【0037】
メモリカード3から取得したシリーズ情報32をRAMに設けられた格納領域にコピーすると、挿入されたメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されたセグメントファイル36を検証するために、再生装置2の検証手段21は、まず、挿入されたメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されたセグメントファイル36のハッシュ値を算出する(S2)。
【0038】
再生装置2の検証手段21は、挿入されたメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されたセグメントファイル36のハッシュ値を算出すると、挿入されたメモリカード3に記憶されたセグメントファイル36の検証として、RAMの格納領域に格納したシリーズ情報32のセグメント情報33に含まれる参照ハッシュ値と、セグメントファイル36のハッシュ値を照合する(S3)。
【0039】
RAMの格納領域に格納したシリーズ情報32のセグメント情報33に含まれる参照ハッシュ値と、セグメントファイル36のハッシュ値が一致しない場合、挿入されたメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されたセグメントファイル36の内容は改竄されている、又は、誤ったメモリカード3が挿入されていると判定できるため、挿入されたメモリカード3に記憶されたセグメントファイル36を再生することなく、再生装置2の検証手段21はエラーを表示して(S8)、この手順を終了する。
【0040】
RAMの格納領域に格納したシリーズ情報32のセグメント情報33に含まれる参照ハッシュ値と、セグメントファイル36のハッシュ値が一致する場合、挿入されたメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されたセグメントファイル36の内容は改竄されておらず、正しいメモリカード3が挿入されたと判定できるため、再生装置2の検証手段21は処理を続行し、RAMの格納領域にコピーしたシリーズ情報32のセグメント情報33を参照し、該セグメント情報33の巻数情報が「1」であるか確認する(S4)。
【0041】
セグメント情報33の巻数情報が「1」であれば、挿入されたメモリカード3は再生順序が最初のメモリカード3であると判定できるため、セグメントファイル36の前後関係を検証することなく、再生装置2の検証手段21は再生手段20を作動させ、挿入されたメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されているセグメントファイル36を再生して(S7)、この手順を終了する。
【0042】
セグメント情報33の巻数情報が「1」でなければ、挿入されたメモリカード3は再生順序が最初のメモリカード3でないと判定できるため、再生装置2の検証手段21は、挿入されたメモリカード3に記憶されたセグメントファイル36の検証として、再生装置2に挿入されたメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されたセグメントファイル36の再生順序を確認する(S5)。
【0043】
セグメントファイル36の再生順序を確認する際、再生装置2の検証手段21は、今回、RAMの格納領域にコピーしたシリーズ情報32のセグメント情報33に含まれる巻数情報と、一つ前にRAMの格納領域にコピーしたシリーズ情報32の次セグメント情報34に含まれる次巻数情報を照合する。
【0044】
今回の巻数情報と前回の次巻数情報が一致しない場合、再生装置2に挿入されたメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されたセグメントファイル36は差し替えられている可能性があるため、挿入されたメモリカード3に記憶されたセグメントファイル36を再生することなく、再生装置2の検証手段21はエラーを表示して(S8)、この手順を終了する。
【0045】
今回の巻数情報と前回の次巻数情報が一致する場合、挿入されたメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されているセグメントファイル36の内容が、一つ前に再生装置2に挿入されたメモリカード3で指定された内容であるか確認するために、一つ前にRAMの格納領域にコピーしたシリーズ情報32の次セグメント情報34に含まれる次参照ハッシュ値と、セグメントファイル36のハッシュ値を照合することで、メモリカード3の前後関係を検証する(S6)。
【0046】
ハッシュ値が一致しない場合、再生装置2に挿入されたメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されているセグメントファイル36の内容は、一つ前に再生装置2に挿入されたメモリカード3で指定された内容でないと判定できるため、挿入されたメモリカード3のフラッシュメモリ35に記憶されたセグメントファイル36を再生することなく、再生装置2の検証手段21はエラーを表示して(S8)、この手順を終了する。
【0047】
また、 ハッシュ値が一致する場合、再生装置2の検証手段21は、再生装置2の再生手段20を作動させ、該セグメントファイル36を再生する(S7)。
【符号の説明】
【0048】
1 コンテンツ再生手段
2 再生装置
20 再生手段
21 検証手段
22 メディアインターフェース
3 メモリカード
30 セキュアチップ
31 セキュアチップのEEPROM
32 シリーズ情報
33 セグメント情報
34 次セグメント情報
35 フラッシュメモリ
36 セグメントファイル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを複数に分割して得られる一つのセグメントファイルに加え、前記セグメントファイルの検証に用いる情報として、前記セグメントファイルのハッシュ値である参照ハッシュ値を含むセグメント情報と、次に再生される前記セグメントファイルのハッシュ値である次参照ハッシュ値を含む次セグメント情報とを有するシリーズ情報がメモリに記憶される半導体メディアと、
挿入された前記半導体メディアのメモリから前記シリーズ情報を読み取り、読み取った前記シリーズ情報を時系列順に保持した後、該半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルの検証として、該セグメントファイルのハッシュ値と、該半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記セグメント情報に含まれる前記参照ハッシュ値、及び、一つ前に挿入された前記半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記次セグメント情報に含まれる前記次参照ハッシュ値をそれぞれ照合し、照合に成功すると、挿入された前記半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルを再生する検証手段を備えた再生装置と、
から少なくとも構成されたことを特徴とするコンテンツ再生システム。
【請求項2】
前記半導体メディアのメモリに記憶される前記シリーズ情報の前記セグメント情報に前記セグメントファイルの巻数を示す巻数情報を、前記次セグメント情報に次に再生される前記セグメントファイルの巻数を示す次巻数情報を含ませ、
前記再生装置の前記検証手段は、挿入された前記半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルの検証として、該半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記セグメント情報に含まれる前記巻数情報と、一つ前に挿入された前記半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記次セグメント情報に含まれる前記次巻数情報を照合することを特徴とする、請求項1に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項3】
前記半導体メディアにはセキュアチップが実装され、前記セキュアチップの不揮発性メモリに前記シリーズ情報が記憶されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項4】
コンテンツを複数に分割して得られる一つのセグメントファイルに加え、前記セグメントファイルの検証に用いる情報として、前記セグメントファイルのハッシュ値である参照ハッシュ値を含むセグメント情報と、次に再生される前記セグメントファイルのハッシュ値である次参照ハッシュ値を含む次セグメント情報とを有するシリーズ情報をメモリに記憶した半導体メディアから前記シリーズ情報を読み取り、読み取った前記シリーズ情報を時系列順に保持した後、該半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルの検証として、該セグメントファイルのハッシュ値と、該半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記セグメント情報に含まれる前記参照ハッシュ値、及び、一つ前に挿入された前記半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記次セグメント情報に含まれる前記次参照ハッシュ値をそれぞれ照合し、照合に成功すると、挿入された前記半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルを再生する検証手段を備えたことを特徴とする再生装置。
【請求項5】
前記半導体メディアのメモリに記憶される前記シリーズ情報の前記セグメント情報には前記セグメントファイルの巻数を示す巻数情報が、前記次セグメント情報に次に再生される前記セグメントファイルの巻数を示す次巻数情報が含まれ、前記再生装置の前記検証手段は、挿入された前記半導体メディアのメモリに記憶された前記セグメントファイルの検証として、該半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記セグメント情報に含まれる前記巻数情報と、一つ前に挿入された前記半導体メディアから読み取った前記シリーズ情報の前記次セグメント情報に含まれる前記次巻数情報を照合することを特徴とする、請求項4に記載の再生装置。
【請求項6】
コンテンツを複数に分割して得られる一つのセグメントファイルに加え、前記セグメントファイルの検証に用いる情報として、前記セグメントファイルのハッシュ値である参照ハッシュ値を含むセグメント情報と、次に再生される前記セグメントファイルのハッシュ値である次参照ハッシュ値を含む次セグメント情報とを有するシリーズ情報がメモリに記憶されていることを特徴とする半導体メディア。
【請求項7】
前記半導体メディアのメモリに記憶される前記シリーズ情報の前記セグメント情報には、前記セグメントファイルの巻数を示す巻数情報が、前記次セグメント情報には、次に再生される前記セグメントファイルの巻数を示す次巻数情報が含まれていることを特徴とする、請求項6に記載の半導体メディア。
【請求項8】
前記半導体メディアにはセキュアチップが実装され、前記セキュアチップの不揮発性メモリに前記シリーズ情報が記憶されていることを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の半導体メディア。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−252551(P2012−252551A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124990(P2011−124990)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】