説明

コンテンツ再生装置、およびコンテンツ再生装置の動作方法

【課題】テレビアプリのような起動とほぼ同時に音声付コンテンツを再生するアプリを利用する場合に、そのコンテンツ再生前に音声出力ボリューム値を調整する機能を備えるコンテンツ再生装置を提供する。
【解決手段】コンテンツ再生装置は、起動命令受付部201と、受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により音声付コンテンツを再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを実行する再生アプリ実行部202と、レジューム処理に利用可能な音声出力ボリューム値を少なくとも保持する不揮発性の記憶部203と、再生アプリ実行前に記憶部203に保持されている音声出力ボリューム値を変更可能なボリューム値変更部204と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生にともなう音声出力を好適に行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ受像機や音楽プレーヤなどの音声出力をともなうコンテンツの再生装置が提供されている。そして、このような再生装置でコンテンツを再生した場合、その音声出力ボリューム値は、前回のコンテンツ再生終了時点の値がそのまま利用されたたり、あるいはデフォルト値やユーザ設定値などが利用されたりして決定される。しかし例えば屋内と屋外、あるいは家の周囲が工事中であるなどコンテンツ再生時の各種条件によって最適な音声出力ボリューム値は異なっている。
【0003】
そこで特許文献1には、マイクで再生開始時と再生中における周囲の騒音量を更新取得し、そこから騒音レベルの変化を判断することで、再生装置の周囲の騒音レベルに応じた音声出力ボリューム値でのコンテンツ再生を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−097087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術を含む上記従来技術ではコンテンツ再生開始直後には最適な音声ボリューム値での再生が為されず、コンテンツが再生された後に、適宜ユーザが音量調節をする必要がある、という課題があった。そのため、例えば静かな館内で突然大音量でのコンテンツ再生が為されてしまい迷惑をかけてしまったり、あるいは逆に騒音の中で再生開始時の音声が聞き取れずに再生が続けられたりする、といった問題が発生することがあった。
【0006】
また、音声ボリューム値のみならず、例えば音声の出力先や、音声多重コンテンツにおける再生音声などでも同様の課題がある。すなわち、屋外でコンテンツ再生開始直後には屋内用の音声出力先である外部スピーカが選択されている状態で、コンテンツが再生された後に、適宜ユーザがその音声出力先を選択する必要がある、という課題があった。
【0007】
あるいは、音声多重コンテンツに関して例えば今回は日本語での再生を希望していても、前回再生時には英語で再生をしていたため、コンテンツ再生後に適宜ユーザがその再生音声を選択する必要がある、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、本発明は、テレビアプリのような起動とほぼ同時に音声付コンテンツを再生するアプリを利用する場合に、そのコンテンツ再生前に音声出力ボリューム値を調整する機能を備えるコンテンツ再生装置を提供する。具体的には、起動命令受付部と、受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により音声付コンテンツを再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを実行する再生アプリ実行部と、前記レジューム処理に利用可能な音声出力ボリューム値を少なくとも保持する不揮発性の記憶部と、再生アプリ実行前に前記記憶部に保持されている音声出力ボリューム値を変更可能なボリューム値変更部と、を有するコンテンツ再生装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、同様に起動とほぼ同時に音声付コンテンツを再生するアプリを利用する場合に、そのコンテンツ再生前に音声出力先を選択する機能を備えるコンテンツ再生装置を提供する。具体的には、起動命令受付部と、受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により音声付コンテンツを再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを実行する再生アプリ実行部と、前記レジューム処理のために少なくとも音声出力先の識別情報を保持する不揮発性の記憶部と、再生アプリ実行前に前記記憶部に保持されている音声出力先の識別情報を変更可能な出力先変更部と、を有するコンテンツ再生装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、同様に起動とほぼ同時に多重音声付コンテンツを再生するアプリを利用する場合に、そのコンテンツ再生前に再生音声を選択する機能を備えるコンテンツ再生装置を提供する。具体的には、起動命令受付部と、受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により多重音声付コンテンツを少なくとも1種類の音声付コンテンツとして再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを実行する再生アプリ実行部と、前記レジューム処理のために少なくとも多重音声のうち再生すべき音声の識別情報を保持する不揮発性の記憶部と、再生アプリ実行前に前記記憶部に保持されている前記音声の識別情報を変更可能な多重音声変更部と、を有するコンテンツ再生装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
以上のような構成をとる本発明によって、テレビアプリのような起動とほぼ同時に音声付コンテンツを再生するアプリを利用する場合であっても、そのコンテンツ再生前に音声出力ボリューム値を調整することができる。したがって、例えば静かな館内で突然大音量でのコンテンツ再生が為されてしまい迷惑をかけてしまったり、あるいは逆に騒音の中で再生開始時の音声が聞き取れずに再生が続けられたりする、といった問題の発生を防ぐことができる。
【0012】
また、起動とほぼ同時に音声付コンテンツを再生するアプリを利用する場合であっても、そのコンテンツ再生前に音声出力先を選択することができる。あるいは、起動とほぼ同時に多重音声付コンテンツを再生するアプリを利用する場合に、そのコンテンツ再生前に再生音声を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1のコンテンツ再生装置におけるコンテンツ再生の一例を説明するための概念図
【図2】実施例1のコンテンツ再生装置における機能ブロックの一例を表す図
【図3】実施例1のコンテンツ再生装置におけるハードウェア構成の一例を表す図
【図4】実施例1のコンテンツ再生装置における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図5】実施例2のコンテンツ再生装置における機能ブロックの一例を表す図
【図6】実施例2のコンテンツ再生装置におけるハードウェア構成の一例を表す図
【図7】実施例2のコンテンツ再生装置における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図8】実施例3のコンテンツ再生装置における機能ブロックの一例を表す図
【図9】実施例3のコンテンツ再生装置におけるハードウェア構成の一例を表す図
【図10】実施例3のコンテンツ再生装置における処理の流れの一例を表すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。なお、実施例1は、主に請求項1、4について説明する。また、実施例2は、主に請求項2、5について説明する。また、実施例3は、主に請求項3、6について説明する。
【0015】
≪実施例1≫
<概要>
図1は、本実施例のコンテンツ再生装置におけるコンテンツ再生の一例を説明するための概念図である。この図1(a)にあるように、例えばユーザが外出先にてテレビ番組を視聴するため、携帯型のテレビ装置(コンテンツ再生装置)の画面をタッチし装置を起動した。すると本実施例のテレビ装置は、図1(b)に示すように、テレビ番組を画面に表示し音声を出力する前に、音量調節用のGUI画面を表示する。そして、図1(c)に示すように、ユーザがそのGUI画面を操作して音量調整を確定させると、本実施例のテレビ装置はテレビ番組の表示(コンテンツの再生)を実行する、と言う具合である。
【0016】
このように、本実施例のコンテンツ再生装置ではコンテンツの再生前に音声出力ボリューム値を調整することができる。したがって、例えば静かな館内で突然大音量でのコンテンツ再生が為されてしまい迷惑をかけてしまうなどの問題の発生を防ぐことができる。
【0017】
<機能的構成>
図2は、本実施例のコンテンツ再生装置における機能ブロックの一例を表す図である。なお、以下に記載する本装置の機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザ・インターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本装置の機能ブロックは専用ハードウェアによって実現されてもよい。
【0018】
また、この発明は装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0019】
そして、この図2にあるように、本実施例の「コンテンツ再生装置」(0200)は、「起動命令受付部」(0201)と、「再生アプリ実行部」(0202)と、「記憶部」(0203)と、「ボリューム値変更部」(0204)と、を有する。
【0020】
「起動命令受付部」(0201)は、後述する再生アプリを起動するための起動命令を受付けるための機能を有し、例えば各種入力デバイスやGUIやCUIなどのユーザ・インターフェースプログラムを含む起動命令受付プログラムなどによって実現することができる。具体的に、例えばコンテンツ再生装置が複数のアプリを起動する機能を有するものであれば、そのアプリの選択操作入力を受付ける入力デバイスやGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)などの機構が挙げられる。また、コンテンツ再生装置が電源の投入と共に再生アプリを自動的に起動する構成であれば、その電源投入が起動命令の受付となる。
【0021】
さらに具体的には、「アプリの起動」とは、後述する再生アプリが、実行のために演算装置の処理スレッドに登録されることをいう。すなわち当該アプリの演算装置の処理スレッドへの登録後に入力される、例えばコンテンツ再生命令などの各種操作命令の受付は「アプリの起動命令の受付」には含まれない。
【0022】
「再生アプリ実行部」(0202)は、再生アプリを実行する機能を有し、CPUなどの演算装置や再生アプリ実行プログラムなどで実現することができる。また「再生アプリ」とは、受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により音声付コンテンツを再生するように構成されたアプリケーションをいう。そして、この再生アプリの特徴点は、起動命令による実行開始にともなって音声付コンテンツの再生を行う点である。すなわち、この再生アプリは起動命令を受付けてアプリケーションが実行開始された後、音声付コンテンツの再生をアプリのGUIに設けられるなどした別途再生ボタンなどのクリックによって実行するのでは無い点を特徴とする。
【0023】
つまり、再生アプリは通常の動画ファイルや音声ファイルの再生用アプリケーションではなく、例えばテレビやラジオの受信及び出力表示アプリケーションなどが挙げられる。
【0024】
また、「レジューム処理」とは、前回終了時の処理状態を引き継いで行う処理をいい、具体的には、例えば前回終了時点での音声ボリューム値や音声出力先、また多重音声コンテンツであれば再生言語などを識別する情報を保持しておき、次回再生時のその識別情報を参照してその状態での音声出力処理を行うことが挙げられる。
【0025】
「記憶部」(0203)は、不揮発性の記憶装置であって、かつ前記レジューム処理に利用可能な音声出力ボリューム値を少なくとも保持する機能を有し、例えばフラッシュメモリやHDD(ハードディスクドライブ)などの各種記憶装置で実現できる。具体的には、例えば前回の音声付コンテンツの再生における音量ボリューム値が「25」であれば、その値が再生終了時に不揮発性のフラッシュメモリに記憶される。そして、次回再生アプリが起動にともない音声付コンテンツが再生される際には、この記憶部の音声ボリューム値が参照される、という具合である。
【0026】
「ボリューム値変更部」(0204)は、再生アプリ実行前に前記記憶部に保持されている音声出力ボリューム値を変更可能な機能を有し、例えばCPUなどの演算装置やボリューム値変更プログラムなどによって実現できる。そして、このボリューム値変更部では、起動命令によって再生アプリが起動されると、その起動によるレジューム処理での音声付コンテンツ再生処理の実行前に、音量ボリューム値が変更可能な構成であることを特徴とする。
【0027】
すなわち前述の図1に示すように、携帯型テレビ装置の電源投入(起動)によってテレビ番組を画面に表示し音声を出力する前に、音量調節用のGUI画面をディスプレイ上に表示する。そしてそのGUI画面への操作入力に応じて、不揮発性の記憶装置に記憶されているレジューム処理用の音声ボリューム値を、例えば25から15に変更する、という具合である。
【0028】
このようにボリューム値変更部は、不揮発性の記憶装置である前記記憶部の音声ボリューム値を変更することを特徴とする。すなわち、可変抵抗器などを用いて音声信号の電圧を変更することで音声ボリュームを変更する機構などは、このボリューム値変更部には含まれない。
【0029】
そして、以上の構成を備えることによって、再生アプリの起動によって、そのままレジューム処理によって前回ボリューム値で音声付コンテンツが再生されるコンテンツ再生装置であっても、その再生前に音声ボリューム値を変更することができる。したがって、例えば静かな館内で突然大音量でのコンテンツ再生が為されてしまい迷惑をかけてしまったり、あるいは逆に騒音の中で再生開始時の音声が聞き取れずに再生が続けられたりする、といった問題の発生を防ぐことができる。
【0030】
<ハードウェア構成>
図3は、上記機能的な各構成要件をハードウェアとして実現した際の、コンテンツ再生装置における構成の一例を表す概略図である。この図を利用して音声付コンテンツのレジューム再生処理におけるそれぞれのハードウェア構成部の働きについて説明する。
【0031】
この図にあるように、コンテンツ再生装置は、「CPU(中央演算装置)」(0301)と、「主メモリ」(0302)と、を備えている。また、このCPUが主メモリに読み込まれた所定のプログラムを実行することで、再生アプリ実行部及びボリューム値変更部の機能や、その他の各種演算処理を実行することができる。また、コンテンツ再生装置は、さらに記憶部である「フラッシュメモリ」(0303)と、起動命令受付部である「操作パネル」(0304)も有している。そしてそれらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。また、「主メモリ」にはプログラムが読み出され、「CPU」は読み出された当該プログラムを参照し、プログラムで示される手順に従い各種演算処理を実行する。また、この「主メモリ」や「フラッシュメモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」の演算処理においては、そのアドレスを特定し格納されているデータにアクセスすることで、データを用いた演算処理を行うことが可能になっている。
【0032】
ここで、「操作パネル」の電源投入ボタンが操作されコンテンツ再生装置の起動命令が受付けられると、「CPU」は「フラッシュメモリ」に保持されている各プログラムを「主メモリ」に読み出す。そして再生アプリ実行プログラムを解釈し、それにしたがって「フラッシュメモリ」に保持されている再生アプリを「主メモリ」に読み出し、「CPU」の処理スレッドに登録する。つづいて、「CPU」はボリューム値変更プログラムを解釈し、それにしたがって、スレッドに登録された再生アプリの実行前にボリューム値変更のためのGUI画面をディスプレイに表示し、操作入力の受付待ち状態となる。そして、「操作パネル」への操作入力によって、GUI画面に新たなボリューム値が入力され、確定ボタンなどが操作されると、入力されたボリューム値を「フラッシュメモリ」の所定のボリューム値書込アドレスに上書書込み処理を実行する。そして、その音声ボリューム値を参照し、その音量ボリューム値での音声付コンテンツの再生処理を実行する。
【0033】
また、そのGUI画面にて、例えば「ボリューム変更なし再生」などのボタンが操作されると、そのまま「フラッシュメモリ」に保持されている前回終了時の音量ボリューム値、例えば「25」を参照し、その音量ボリューム値での音声付コンテンツの再生処理を実行する、という具合である。
【0034】
<処理の流れ>
図4は、本実施例のコンテンツ再生装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。この図にあるように、まず、音声付コンテンツの再生終了に伴い、レジューム処理に利用可能な音声出力ボリューム値を不揮発性の記憶部に記録する(ステップS0401)。その後、起動命令を受付ける(ステップS0402)と、受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により音声付コンテンツを再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを、例えばCPUなどのスレッドに登録するなどして起動する(ステップS0403)。つづいて、その起動した再生アプリの実行前に音声出力ボリューム値を変更可能なボリューム値変更用のGUIを表示するなどして音声ボリューム値の入力受付待ちとなる。そして、音声ボリューム値が入力される(ステップS0404)と、不揮発性の記憶部に記録されている音量ボリューム値を更新し(ステップS0405)、その更新した音量ボリューム値での音声付コンテンツの再生を再生アプリに実行させる(ステップS0406)。
【0035】
<効果の簡単な説明>
以上のように本実施例のコンテンツ再生装置によって、再生アプリの起動によって、そのままレジューム処理によって音声付コンテンツが再生されるコンテンツ再生装置であっても、その再生前に音声ボリューム値を変更することができる。したがって、例えば静かな館内で突然大音量でのコンテンツ再生が為されてしまい迷惑をかけてしまったり、あるいは逆に騒音の中で再生開始時の音声が聞き取れずに再生が続けられたりする、といった問題の発生を防ぐことができる。
【0036】
≪実施例2≫
<概要>
本実施例は、上記実施例1と同様に音声付コンテンツの再生装置に関するもので以下のような特徴点を有する。すなわち、前回の音声付コンテンツの再生をイヤホン出力で終了させていた場合に、今回のコンテンツ再生開始の前に音声の出力先の選択画面を表示する。そして、例えばユーザがイヤホン出力ではなく内蔵スピーカ出力を選択したら、本実施例のコンテンツ再生装置は、イヤホンからのレジューム出力ではなく、内蔵スピーカからの音声出力によるコンテンツ再生を実行する、という具合である。
【0037】
このように、本実施例のコンテンツ再生装置ではコンテンツの再生前に音声の出力先を適宜選択することができる。したがって、予期しない出力先から音声が出力しているために音声出力がなされていないといった勘違いが起こるなどの事態を防ぐことができる。
【0038】
<機能的構成>
図5は、本実施例のコンテンツ再生装置における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「コンテンツ再生装置」(0500)は、「起動命令受付部」(0501)と、「再生アプリ実行部」(0502)と、「記憶部」(0503)と、「出力先変更部」(0504)と、を有する。なお、「起動命令受付部」および「再生アプリ実行部」については、上記実施例1の同名の構成要件と基本的には同じであるのでその説明は省略する。
【0039】
「記憶部」(0503)は、不揮発性の記憶装置であって、かつ前記レジューム処理のために少なくとも音声出力先の識別情報を保持する機能を有し、例えばフラッシュメモリやHDD(ハードディスクドライブ)などの各種記憶装置で実現できる。具体的には、例えば前回の音声付コンテンツの再生における出力先がイヤホンジャックであれば、その識別情報が再生終了時に不揮発性のフラッシュメモリに記憶される。そして、次回再生アプリが起動にともない音声付コンテンツが再生される際には、この記憶部の音声出力先が参照される、という具合である。
【0040】
「出力先変更部」(0504)は、再生アプリ実行前に前記記憶部に保持されている音声出力先の識別情報を変更可能な機能を有し、例えばCPUなどの演算装置や出力先変更プログラムなどによって実現できる。そして、この出力先変更部では、実施例1のボリューム値変更部と同様に、起動命令によって再生アプリが起動されると、その起動によるレジューム処理での音声付コンテンツ再生処理の実行前に、その再生音声の出力先を変更可能な構成であることを特徴とする。
【0041】
すなわちコンテンツ再生装置の電源投入などによってコンテンツを再生しその音声を出力する前に、音声出力先の変更用のGUI画面をディスプレイ上に表示する。そしてそのGUI画面への操作入力に応じて、不揮発性の記憶装置に記憶されているレジューム処理用の音声出力先を、例えばイヤホンジャックから内蔵スピーカに変更する、という具合である。
【0042】
そして、以上の構成を備えることによって、再生アプリの起動によって、そのままレジューム処理によって前回の出力先のままで音声付コンテンツが再生されるコンテンツ再生装置であっても、その再生前に音声の出力先を変更することができる。したがって、例えば予期しない出力先から音声が出力しているために音声出力がなされていないといった勘違いが起こるなどの事態を防ぐことができる。
【0043】
<ハードウェア構成>
図6は、上記機能的な各構成要件をハードウェアとして実現した際の、コンテンツ再生装置における構成の一例を表す概略図である。この図を利用して音声付コンテンツのレジューム再生処理におけるそれぞれのハードウェア構成部の働きについて説明する。
【0044】
この図にあるように、コンテンツ再生装置は、「CPU」(0601)と、「主メモリ」(0602)と、を備えている。また、このCPUが主メモリに読み込まれた所定のプログラムを実行することで、再生アプリ実行部及び出力先変更部の機能や、その他の各種演算処理を実行することができる。また、コンテンツ再生装置は、さらに記憶部である「フラッシュメモリ」(0603)と、起動命令受付部である「操作パネル」(0604)も有している。そしてそれらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0045】
ここで、「操作パネル」の電源投入ボタンが操作されコンテンツ再生装置の起動命令が受付けられると、「CPU」は「フラッシュメモリ」に保持されている各プログラムを「主メモリ」に読み出す。そして再生アプリ実行プログラムを解釈し、それにしたがって「フラッシュメモリ」に保持されている再生アプリを「主メモリ」に読み出し、「CPU」の処理スレッドに登録する。つづいて、「CPU」は出力先変更プログラムを解釈し、それにしたがって、スレッドに登録された再生アプリの実行前に出力先変更のためのGUI画面をディスプレイに表示し、操作入力の受付待ち状態となる。そして、「操作パネル」への操作入力によって、GUI画面で別の音声出力先が入力され、確定ボタンなどが操作されると、入力された音声出力先の識別情報を「フラッシュメモリ」の出力先識別情報書込アドレスに上書書込み処理を実行する。そして、その出力先の識別情報を参照し、その出力先へのコンテンツの音声出力処理を実行する。
【0046】
また、そのGUI画面にて、例えば「出力先変更なし再生」などのボタンが操作されると、そのまま「フラッシュメモリ」に保持されている前回終了時の音声出力先、例えばイヤホンジャックに対してコンテンツ音声の出力処理を実行する、という具合である。
【0047】
<処理の流れ>
図7は、本実施例のコンテンツ再生装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。この図にあるように、まず、音声付コンテンツの再生終了に伴い、レジューム処理に利用可能な音声出力先を示す識別情報を不揮発性の記憶部に記録する(ステップS0701)。その後、起動命令を受付ける(ステップS0702)と、受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により音声付コンテンツを再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを、例えばCPUなどのスレッドに登録するなどして起動する(ステップS0703)。つづいて、その起動した再生アプリの実行前に音声出力先を変更するためのGUI画面を表示するなどして音声出力先の入力受付待ちとなる。そして、音声出力先が入力される(ステップS0704)と、不揮発性の記憶部に記録されている音声出力先の識別情報を更新し(ステップS0705)、その更新した音声出力先へコンテンツの音声出力が為されるよう制御し、再生アプリを実行する(ステップS0706)。
【0048】
<効果の簡単な説明>
以上のように本実施例のコンテンツ再生装置によって、再生アプリの起動によって、そのままレジューム処理によって音声付コンテンツが再生されるコンテンツ再生装置であっても、その再生前に音声出力先を変更することができる。したがって、例えば予期しない出力先から音声が出力しているために音声出力がなされていないといった勘違いが起こるなどの事態を防ぐことができる。
【0049】
≪実施例3≫
<概要>
本実施例は、音声付コンテンツの中でも特に多重音声付コンテンツの再生装置に関するもので以下のような特徴点を有する。すなわち、多重音声付コンテンツの再生を前回英語で行っていた場合に、今回の多重音声付コンテンツ再生開始の前に、その多重音声の中から再生する言語の選択画面を表示する。そして、例えばユーザが日本語を選択したら、本実施例のコンテンツ再生装置は、前回終了時の英語によるレジューム出力ではなく、日本語音声出力によるコンテンツ再生を実行する、という具合である。
【0050】
このように、本実施例のコンテンツ再生装置では多重音声付コンテンツの再生前に再生音声を適宜選択することができる。したがって、例えば前回視聴時のユーザと別のユーザが視聴する場合でも、自分に適した再生音声でのコンテンツを視聴することができる。
【0051】
<機能的構成>
図8は、本実施例のコンテンツ再生装置における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「コンテンツ再生装置」(0800)は、「起動命令受付部」(0801)と、「再生アプリ実行部」(0802)と、「記憶部」(0803)と、「出力先変更部」(0804)と、を有する。なお、「起動命令受付部」については、上記実施例1の同名の構成要件と基本的には同じであるのでその説明は省略する。
【0052】
「再生アプリ実行部」(0802)は、受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により多重音声付コンテンツを少なくとも1種類の音声付コンテンツとして再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを実行する機能を有する。なお、この再生アプリ実行部は、実行する再生アプリが、レジューム処理により多重音声付コンテンツを少なくとも1種類の音声付コンテンツとして再生するように構成されたアプリケーションであること以外は上記実施例の同名の構成と基本的に同じである。
【0053】
「記憶部」(0803)は、不揮発性の記憶装置であって、かつ前記レジューム処理のために少なくとも多重音声のうち再生すべき音声の識別情報を保持する機能を有し、例えばフラッシュメモリやHDD(ハードディスクドライブ)などの各種記憶装置で実現できる。具体的には、例えば前回の音声付コンテンツの再生における再生音声が英語であれば、その識別情報が再生終了時に不揮発性のフラッシュメモリに記憶される。そして、次回再生アプリの起動にともない多重音声付コンテンツが再生される際には、この記憶部の再生音声の識別情報が参照される、という具合である。
【0054】
「多重音声変更部」(0804)は、再生アプリ実行前に前記記憶部に保持されている音声の識別情報を変更可能な機能を有し、例えばCPUなどの演算装置や多重音声変更プログラムなどによって実現できる。そして、この多重音声変更部では、上記実施例のボリューム値変更部や出力先変更部と同様に、起動命令によって再生アプリが起動されると、その起動によるレジューム処理での多重音声付コンテンツ再生処理の実行前に、その再生音声を変更可能な構成であることを特徴とする。
【0055】
すなわちコンテンツ再生装置の電源投入などによってコンテンツを再生しその音声を出力する前に、再生音声の変更用のGUI画面をディスプレイ上に表示する。そしてそのGUI画面への操作入力に応じて、不揮発性の記憶装置に記憶されているレジューム処理用の音声の識別情報を、例えば英語から日本語に変更する、という具合である。
【0056】
そして、以上の構成を備えることによって、再生アプリの起動によって、そのままレジューム処理によって前回の再生音声のままで多重音声付コンテンツが再生されるコンテンツ再生装置であっても、その再生前に再生音声を変更することができる。したがって、例えば前回視聴時のユーザと別のユーザが視聴する場合でも、自分に適した再生音声でのコンテンツを視聴することができる。
【0057】
<ハードウェア構成>
図9は、上記機能的な各構成要件をハードウェアとして実現した際の、コンテンツ再生装置における構成の一例を表す概略図である。この図を利用して音声付コンテンツのレジューム再生処理におけるそれぞれのハードウェア構成部の働きについて説明する。
【0058】
この図にあるように、コンテンツ再生装置は、「CPU」(0901)と、「主メモリ」(0902)と、を備えている。また、このCPUが主メモリに読み込まれた所定のプログラムを実行することで、再生アプリ実行部及び多重音声変更部の機能や、その他の各種演算処理を実行することができる。また、コンテンツ再生装置は、さらに記憶部である「フラッシュメモリ」(0903)と、起動命令受付部である「操作パネル」(0904)も有している。そしてそれらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0059】
ここで、「操作パネル」の電源投入ボタンが操作されコンテンツ再生装置の起動命令が受付けられると、「CPU」は「フラッシュメモリ」に保持されている各プログラムを「主メモリ」に読み出す。そして再生アプリ実行プログラムを解釈し、それにしたがって「フラッシュメモリ」に保持されている再生アプリを「主メモリ」に読み出し、「CPU」の処理スレッドに登録する。つづいて、「CPU」は多重音声変更プログラムを解釈し、それにしたがって、スレッドに登録された再生アプリの実行前に再生音声変更のためのGUI画面をディスプレイに表示し、操作入力の受付待ち状態となる。そして、「操作パネル」への操作入力によって、GUI画面で別の再生音声が指定され、確定ボタンなどが操作されると、入力された再生音声の識別情報を「フラッシュメモリ」の再生音声識別情報書込アドレスに上書書込み処理を実行する。そして、その再生音声の識別情報を参照し、当該音声でコンテンツが再生されるよう再生アプリを実行する。
【0060】
また、そのGUI画面にて、例えば「再生音声変更なし再生」などのボタンが操作されると、そのまま「フラッシュメモリ」に保持されている前回終了時の再生音声、例えば英語でコンテンツが再生されるよう再生アプリを実行する、という具合である。
【0061】
<処理の流れ>
図10は、本実施例のコンテンツ再生装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。この図にあるように、まず、多重音声付コンテンツの再生終了に伴い、レジューム処理に利用可能な再生音声を示す識別情報を不揮発性の記憶部に記録する(ステップS1001)。その後、起動命令を受付ける(ステップS1002)と、受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により多重音声付コンテンツを再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを、例えばCPUなどのスレッドに登録するなどして起動する(ステップS1003)。つづいて、その起動した再生アプリの実行前に再生音声を変更するためのGUI画面を表示するなどして再生音声の入力受付待ちとなる。そして、再生音声が入力される(ステップS1004)と、不揮発性の記憶部に記録されている再生音声の識別情報を更新し(ステップS1005)、その更新した再生音声でのコンテンツの再生がなされるよう再生アプリを実行する(ステップS1006)。
【0062】
<効果の簡単な説明>
以上のように本実施例のコンテンツ再生装置によって、多重音声付コンテンツの再生前に再生音声を適宜選択することができる。したがって、例えば前回視聴時のユーザと別のユーザが視聴する場合でも、自分に適した再生音声でのコンテンツを視聴することができる。
【符号の説明】
【0063】
0200 コンテンツ再生装置
0201 起動命令受付部
0202 再生アプリ実行部
0203 記憶部
0204 ボリューム値変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動命令受付部と、
受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により音声付コンテンツを再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを実行する再生アプリ実行部と、
前記レジューム処理に利用可能な音声出力ボリューム値を少なくとも保持する不揮発性の記憶部と、
再生アプリ実行前に前記記憶部に保持されている音声出力ボリューム値を変更可能なボリューム値変更部と、
を有するコンテンツ再生装置。
【請求項2】
起動命令受付部と、
受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により音声付コンテンツを再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを実行する再生アプリ実行部と、
前記レジューム処理のために少なくとも音声出力先の識別情報を保持する不揮発性の記憶部と、
再生アプリ実行前に前記記憶部に保持されている音声出力先の識別情報を変更可能な出力先変更部と、
を有するコンテンツ再生装置。
【請求項3】
起動命令受付部と、
受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により多重音声付コンテンツを少なくとも1種類の音声付コンテンツとして再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを実行する再生アプリ実行部と、
前記レジューム処理のために少なくとも多重音声のうち再生すべき音声の識別情報を保持する不揮発性の記憶部と、
再生アプリ実行前に前記記憶部に保持されている前記音声の識別情報を変更可能な多重音声変更部と、
を有するコンテンツ再生装置。
【請求項4】
起動命令受付ステップと、
受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により音声付コンテンツを再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを実行する再生アプリ実行ステップと、
前記レジューム処理に利用可能な音声出力ボリューム値を少なくとも保持するために不揮発性の記憶部に記録する記録ステップと、
再生アプリ実行前に前記記憶部に保持されている音声出力ボリューム値を変更可能なボリューム値変更ステップと、
を計算機にて実行するコンテンツ再生装置の動作方法。
【請求項5】
起動命令受付ステップと、
受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により音声付コンテンツを再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを実行する再生アプリ実行ステップと、
前記レジューム処理のために少なくとも音声出力先の識別情報を保持するために不揮発性の記憶部に記録する記録ステップと、
再生アプリ実行前に前記記憶部に保持されている音声出力先の識別情報を変更可能な出力先変更ステップと、
を計算機に実行させるコンテンツ再生装置の動作方法。
【請求項6】
起動命令受付ステップと、
受付けた起動命令による実行開始にともないレジューム処理により多重音声付コンテンツを少なくとも1種類の音声付コンテンツとして再生するように構成されたアプリケーションである再生アプリを実行する再生アプリ実行ステップと、
前記レジューム処理のために少なくとも多重音声のうち再生すべき音声の識別情報を保持するために不揮発性の記憶部に記録する記録ステップと、
再生アプリ実行前に前記記憶部に保持されている前記音声の識別情報を変更可能な多重音声変更ステップと、
を計算機に実行させるコンテンツ再生装置の動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−147113(P2012−147113A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2235(P2011−2235)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】