説明

コンテンツ再生装置及び再生制御情報サーバ

【課題】コンテンツ再生装置が、コンテンツ又はライセンスサーバのドメイン名からIPv6又はIPv4のいずれのDNSサーバにアクセスしてそのIPアドレスを得るのかを、サービサーがコントロールでき、コンテンツ再生装置側でもIPアドレスを得る処理時間を短縮できる。
【解決手段】再生制御情報サーバ7は、VODサーバ9a等についてドメイン名からIPアドレスを得るために、IPv4DNSサーバ11若しくはIPv6DNSサーバ10のいずれにアクセスするのかを示すIPv4/IPv6選択情報を、再生制御情報ファイルに含んでコンテンツ再生装置(端末装置1)に提供する。コンテンツ再生装置は、受信した再生制御情報ファイルからIPv4/IPv6選択情報を読み取ってDNSサーバを決定し、決定したDNSサーバにアクセスしてIPアドレスを取得してそのIPアドレスにアクセスすることで、VODサーバ9a等にアクセスする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VOD(Video On Demand)でコンテンツを受信して再生するためのコンテンツ再生装置、及びそのコンテンツ再生装置でコンテンツを再生するための再生制御情報ファイルを提供する再生制御情報サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送受信装置等のコンテンツ再生装置においては、ネットワークに接続することにより、VODでコンテンツを受信して視聴させるサービスを含め、様々なサービスを受けることができるようになってきている(例えば非特許文献1−6を参照)。
【0003】
サービスが多岐となり、且つ提供するサービサーも多数となりつつある中で、どのようにユーザとサービサー(サービス事業者)とが契約されているかによって、ネットワークへの接続形態がIPv4(Internet Protocol version 4)によるものなのか、IPv6(Internet Protocol version 6)によるものなのか、IPv4,IPv6両方が利用可能なのか、ユーザが把握することが困難となる。
【0004】
実際、サービサーの中には、IPv6のみのCDN(Contents Delivery Network)にてサービスを提供しているサービサーや、IPv4のみのオープンネットワークにてサービスを提供しているサービサー、IPv4のCDNとIPv6のCDNの双方にてサービスを提供しているサービサーが存在し得る。さらに、今後、IPv6でのサービスを提供するように移行することも想定できる。
【0005】
ドメインを引く際のDNS(Domain Name System)サーバが両方利用可能な場合には、IPv4から引くべきか、IPv6から引くべきかは、受信側の装置に依存する。ドメインを引くとは、DNSサーバにアクセスしてドメインネーム(ドメイン名)からそのドメイン名が示すIP(Internet Protocol)アドレスを検索して得ることを意味する。
【0006】
非特許文献3には、IPv6で引いた後にさらにIPv4で引くことが開示されており、また、その逆の引き方をすることも考えられる。図8は、このような従来のVODシステムにおける端末装置でのコンテンツ受信・再生処理に用いられるドメインの引き方を説明するためのフロー図である。
【0007】
まず、端末装置は、接続対象サーバのドメイン名を読み出す(ステップS31)。次に、端末装置はIPv6DNSサーバに問合せを行い(ステップS32)、IPv6アドレスの取得に成功したか否かを判定する(ステップS33)。成功した場合、端末装置は、取得したIPv6アドレスで接続対象サーバに接続して(ステップS34)、各種情報を取得する(ステップS37)。一方、失敗した場合、端末装置は、IPv4DNSサーバに問合せを行い(ステップS35)、取得したIPv4アドレスで接続対象サーバに接続して(ステップS36)、各種情報を取得する(ステップS37)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「IPTV規定 VOD仕様(IPTVFJ STD−0002 1.0版)」、有限責任中間法人 IPTV フォーラム(IPTV Forum Japan)、2008年12月8日
【非特許文献2】「IPTV規定 IP放送仕様(IPTVFJ STD−0004 1.1版)」、有限責任中間法人 IPTV フォーラム(IPTV Forum Japan)、2008年12月8日
【非特許文献3】「IPTV規定 CDNスコープ サービスアプローチ仕様(IPTVFJ STD−0006 1.1版)」、有限責任中間法人 IPTV フォーラム(IPTV Forum Japan)、2008年12月8日
【非特許文献4】「IPTV規定 放送連携 サービスアプローチ仕様(IPTVFJ STD−0008 1.0版)」、有限責任中間法人 IPTV フォーラム(IPTV Forum Japan)、2008年12月8日
【非特許文献5】「IPTV規定 インターネットスコープ サービスアプローチ仕様(IPTVFJ STD−0007 1.0版)」、有限責任中間法人 IPTV フォーラム(IPTV Forum Japan)、2008年12月8日
【非特許文献6】「IPTV規定 地上デジタルテレビジョン放送 IP再送信運用規定(IPTVFJ STD−0005 1.0版)」、有限責任中間法人 IPTV フォーラム(IPTV Forum Japan)、2008年12月8日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、IPv6で引いた後にさらにIPv4で引く(又はその逆で引く)と、時間的遅延が発生し、遅延による煩わしさがある。より具体的に説明すると、VOD配信されたコンテンツの再生では、例えば、ポータルサーバに接続することと、再生制御情報ファイルを取得することと、ライセンスを取得することと、VODコンテンツそのものを取得することを、各種類のサーバに対して行う。この際、ドメインがIPv4/IPv6の両方で引けるようなネットワークでは、1つの種類のサーバにアクセスするために、最高で2回のドメイン引きを行わなければならず、この例のように4つの種類のサーバにアクセスする場合で全種類のサーバがIPv6に対応していなければ最高で8回のドメイン引きが必要となる。このように従来の方法では時間的遅延が発生する。
【0010】
さらに、IPv6で引いた後にさらにIPv4で引く(又はその逆で引く)と、ドメインの引き先(IPv4/IPv6)及びサービス提供サーバを、サービサーがコントロールできないという課題もある。
【0011】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンテンツ再生装置が、コンテンツサーバやライセンスサーバといったサービス提供サーバにアクセスするために、そのサービス提供サーバのドメイン名からIPv6又はIPv4のいずれのDNSサーバにアクセスしてそのサービス提供サーバのIPアドレスを得るのかを、サービサーがコントロール可能にし、且つ、コンテンツ再生装置側でもドメイン名からIPアドレスを得るための処理時間を短縮することを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、コンテンツを格納したコンテンツサーバと、該コンテンツの再生を制御する再生制御情報ファイルを格納した再生制御情報サーバとに接続されるコンテンツ再生装置であって、前記再生制御情報ファイルは、前記コンテンツサーバからコンテンツをビデオオンデマンドで受信する際に、前記コンテンツサーバについてドメイン名からIPアドレスを得るために、IPv4のDNSサーバにアクセスするのか、IPv6のDNSサーバにアクセスするのかを示すIPv4/IPv6選択情報を含み、当該コンテンツ再生装置は、前記再生制御情報ファイルを前記再生制御情報サーバから受信して、前記再生制御情報ファイルから前記IPv4/IPv6選択情報を読み取り、読み取った前記IPv4/IPv6選択情報からアクセスするDNSサーバを決定し、決定したDNSサーバから前記コンテンツサーバのIPアドレスを取得して、該IPアドレスにアクセスすることで、前記コンテンツサーバにアクセスし、コンテンツを受信することを特徴としたものである。
【0013】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、当該コンテンツ再生装置は、前記コンテンツのライセンスを発行するライセンスサーバに接続され、前記再生制御情報ファイルは、前記ライセンスサーバからライセンスを取得する際に、前記ライセンスサーバについてドメイン名からIPアドレスを得るために、IPv4のDNSサーバにアクセスするのか、IPv6のDNSサーバにアクセスするのかを示すライセンス用IPv4/IPv6選択情報を含み、当該コンテンツ再生装置は、前記再生制御情報ファイルを前記再生制御情報サーバから受信して、前記再生制御情報ファイルから前記ライセンス用IPv4/IPv6選択情報を読み取り、読み取った前記ライセンス用IPv4/IPv6選択情報からアクセスするDNSサーバを決定し、決定したDNSサーバから前記ライセンスサーバのIPアドレスを取得して、該IPアドレスにアクセスすることで、前記ライセンスサーバにアクセスし、ライセンスを取得することを特徴としたものである。
【0014】
第3の技術手段は、コンテンツを格納したコンテンツサーバと、該コンテンツの再生を制御する再生制御情報ファイルを格納した再生制御情報サーバと、前記コンテンツのライセンスを発行するライセンスサーバとに接続されるコンテンツ再生装置であって、前記再生制御情報ファイルは、前記ライセンスサーバからライセンスを取得する際に、前記ライセンスサーバについてドメイン名からIPアドレスを得るために、IPv4のDNSサーバにアクセスするのか、IPv6のDNSサーバにアクセスするのかを示すライセンス用IPv4/IPv6選択情報を含み、当該コンテンツ再生装置は、前記再生制御情報ファイルを前記再生制御情報サーバから受信して、前記再生制御情報ファイルから前記ライセンス用IPv4/IPv6選択情報を読み取り、読み取った前記ライセンス用IPv4/IPv6選択情報からアクセスするDNSサーバを決定し、決定したDNSサーバから前記ライセンスサーバのIPアドレスを取得して、該IPアドレスにアクセスすることで、前記ライセンスサーバにアクセスし、ライセンスを取得することを特徴としたものである。
【0015】
第4の技術手段は、コンテンツサーバに格納されたコンテンツをコンテンツ再生装置にてビデオオンデマンドで再生するための再生制御情報ファイルを格納し、且つ該コンテンツ再生装置に接続される再生制御情報サーバであって、前記再生制御情報ファイルは、前記コンテンツの格納先である前記コンテンツサーバのIPアドレスを取得する際に、IPv4のDNSサーバにアクセスするのか、IPv6のDNSサーバにアクセスするのかを示すIPv4/IPv6選択情報を含むことを特徴としたものである。
【0016】
第5の技術手段は、第4の技術手段において、前記再生制御情報ファイルは、前記コンテンツのライセンスを発行するライセンスサーバのIPアドレスを取得する際に、IPv4のDNSサーバにアクセスするのか、IPv6のDNSサーバにアクセスするのかを示すライセンス用IPv4/IPv6選択情報を含むことを特徴としたものである。
【0017】
第6の技術手段は、コンテンツサーバに格納されたコンテンツをコンテンツ再生装置にてビデオオンデマンドで再生するための再生制御情報ファイルを格納し、且つ該コンテンツ再生装置に接続される再生制御情報サーバであって、前記再生制御情報ファイルは、前記コンテンツのライセンスを発行するライセンスサーバのIPアドレスを取得する際に、IPv4のDNSサーバにアクセスするのか、IPv6のDNSサーバにアクセスするのかを示すライセンス用IPv4/IPv6選択情報を含むことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コンテンツ再生装置が、コンテンツサーバやライセンスサーバといったサービス提供サーバにアクセスするために、そのサービス提供サーバのドメイン名からIPv6又はIPv4のいずれのDNSサーバにアクセスしてそのサービス提供サーバのIPアドレスを得るのかを、サービサーがコントロールでき、且つ、コンテンツ再生装置側でもドメイン名からIPアドレスを得るための処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテンツ再生装置を含むVODシステムの一構成例を示す概略図である。
【図2】図1のVODシステムにおけるコンテンツ再生装置の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図1のVODシステムの他の構成例を示す図である。
【図4】図1のVODシステムにおいて再生制御情報サーバに格納されコンテンツ再生装置に送信される再生制御情報ファイルの一例を示す図である。
【図5】図4に続く図である。
【図6】図1のVODシステムにおけるコンテンツ再生装置でのコンテンツ受信・再生処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図7】図6に続くフロー図である。
【図8】従来のVODシステムにおける端末装置でのコンテンツ受信・再生処理に用いられるドメインの引き方を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るコンテンツ再生装置は、コンテンツをVODで配信するコンテンツサーバと接続して、IPネットワークを介してVODでコンテンツを受信することが可能な装置である。このコンテンツサーバには、配信されるコンテンツが格納されている。また、このコンテンツ再生装置は、コンテンツサーバに格納されたコンテンツの再生を制御する再生制御情報ファイルを格納した再生制御情報サーバに接続される。コンテンツ再生装置は、この再生制御情報ファイルに基づきコンテンツの再生を実行する。このコンテンツ再生装置は、テレビ装置、ラジオ装置、さらには、テレビ装置やモニタ装置に接続可能なチューナ機器、STB(Set Top Box)、録画機器などに組み込むなどして、構成することができる。
【0021】
以下、本発明に係るコンテンツ再生装置として、モニタ装置(表示装置)が接続されたチューナ機器を採用した例を挙げて説明するが、VODコンテンツの受信機能を表示装置側にもたせてテレビ装置とするなど、他の機器を採用した場合も同様に以下の説明が適用できる。また、再生制御情報サーバや後述する他のサーバの構成については特に説明しないが、一般的なサーバコンピュータなどで構成すればよい。このサーバコンピュータでは、サーバプログラムや各種設定情報を格納しておき、CPU(Central Processing Unit)等の主制御部が作業領域にそれらを読み出しながら処理を行って、通信インタフェースを介してデータの送受を行う。勿論、種類の異なるサーバに組み込まれるサーバプログラムは、種類毎(つまり提供するデータや提供方法毎)に異なるものとなる。また、複数種類のサーバを物理的に同じ装置として構成することも可能である。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ再生装置を含むVODシステムの一構成例を示す概略図である。図1で例示するVODシステム(以下、本システムという)は、チューナ機器(以下、端末装置という)1と、端末装置1に有線又は無線で接続された表示装置3及びスピーカ4と、端末装置1に接続されたIPネットワーク5と、そのIPネットワーク5に接続されたサーバ群とを備える。ここで、端末装置1は、リモコン2によってユーザ操作可能となっている。
【0023】
IPネットワーク5に接続されたサーバ群には、ポータルサーバ6、再生制御情報サーバ7、DRM(Digital Rights Management)サーバ8a,8b、VODサーバ9a,9b、IPv6DNSサーバ10、及びIPv4DNSサーバ11などが含まれている。なお、これらのサーバ群は、サービス事業者毎やPF(Platform)事業者毎に設けられていてもよい。PF事業者とは、CDN上のIP放送配信環境をサービス事業者に提供するサービスを行う事業者を指す。
【0024】
IPv6DNSサーバ10及びIPv4DNSサーバ11は、DRMサーバ8a,8bやVODサーバ9a,9bにアクセスするためのドメインを引くために設けられている。勿論、これらのサーバ10,11は、ポータルサーバ6や再生制御情報サーバ7にアクセスするためのドメインを引くためにも用いてよい。
【0025】
ポータルサーバ6は、端末装置1からポータル画面の表示要求を受信し、BML(Broadcast Markup Language)形式やHTML(Hypertext Markup Language)形式などでポータル画面を提供するためのサーバである。このときの通信プロトコルは、HTTP(S)/TCP(Transmission Control Protocol)/IPを採用すればよい。ここで、HTTP(S)は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)或いはHTTPにSSL(Secure Sockets Layer)によるデータの暗号化機能を付加したHTTPS(HTTP Security)を指す。
【0026】
このポータル画面は、VODサーバ9a,9bで提供するコンテンツをユーザに選択させるためのナビゲーション画面(コンテンツ選択画面)であり、例えば、コンテンツ毎に、タイトルや代表的な静止画像やプレビュー映像等を選択可能に表示するものであればよい。
【0027】
ポータルサーバ6では、コンテンツ選択画面における各コンテンツの選択領域に、再生制御情報サーバ7におけるそのコンテンツに対応する再生制御情報ファイルが格納された格納領域を示すURL(Uniform Resource Locators)等のURI(Uniform Resource Identifier)を対応させておく。ポータルサーバ6では、端末装置1からのコンテンツの選択に応じてそれに対応したURIを返信する。また、コンテンツ選択画面に含まれる下層の画面用のリンクが選択された場合には、ポータルサーバ6は下層のコンテンツ選択画面用のBML又はHTML形式のデータを送信する。
【0028】
再生制御情報サーバ7は、IPv6又はIPv4のIPアドレスでアクセス可能なサーバであり、端末装置1からの再生制御情報ファイル取得要求により、内部に格納された再生制御情報ファイルをその端末装置1にユニキャスト配信する。このときの通信プロトコルには、HTTP(S)/TCP/IPを採用すればよい。
【0029】
再生制御情報ファイルは、対象となるコンテンツの再生に必要な情報ファイル(メタファイル)であり、例えば、ERI(Entry Resource Information),LLI(License Link Information),NCI(Networkcontent Control Information)のXML(Extensible Markup Language)文書で構成されている。ERIとは、コンテンツタイトル、提供元、尺長、チャプタ位置などのコンテンツ固有の情報であり、コンテンツ起動文書とも呼ばれる。LLIとは、コンテンツのライセンス及び権利保護に関わる情報であり、コンテンツのライセンス情報にアクセスするための情報である。NCIとは、ストリーミングサービスの利用に関わる(再生可能な倍速値など)情報である。また、再生制御情報ファイルには、その他、ユーザ固有のコンテンツ再生(レジュームポイントなど)に関わる情報であるUPI(User Play Information)を含ませてもよい。
【0030】
再生制御情報ファイルを取得した端末装置1は、その再生制御情報ファイルを解析し、その結果、再生対象のコンテンツについての再生制御の一環としてライセンスの取得が必要である場合に、HTTP(S)/TCP/IPに従って、DRMサーバ8a又はDRMサーバ8bにアクセスしてライセンスの取得要求を行う。DRMサーバ8a,8bへのアクセスのためのドメインの引き方については、本発明の主たる特徴に関するものであり、後述する。
【0031】
DRMサーバ8aは、IPv6のIPアドレスでアクセス可能なライセンスサーバの一例であり、VODサーバ9aに格納されたコンテンツの著作権を保護するためにそのコンテンツのライセンスを発行するサーバである。DRMサーバ8bは、IPv4のIPアドレスでアクセス可能なライセンスサーバの一例であり、VODサーバ9bに格納されたコンテンツの著作権を保護するためにそのコンテンツのライセンスを発行するサーバである。
【0032】
DRMサーバ8a,8bは、HTTP(S)/TCP/IPに従って、端末装置1からのライセンス取得要求により、IPネットワーク5にライセンスの情報をユニキャストアドレスで配信する。なお、IPv6用のDRMサーバ8aで、IPv4用のVODサーバ9bに格納されたコンテンツのライセンスを発行してもよく、IPv4用のDRMサーバ8bで、IPv6用のVODサーバ9aに格納されたコンテンツのライセンスを発行してもよい。
【0033】
また、再生制御情報ファイルを取得後、必要に応じてライセンスを取得した端末装置1は、RTSP(Real Time Streaming Protocol)/TCP/IPに従って、再生制御情報ファイルの解析結果が示す内容の再生制御をVODサーバ9a又はVODサーバ9bにアクセスしながら実行し、対象となるコンテンツの読み出しを開始する。コンテンツの再生開始だけでなく、再生終了、早送り、巻き戻しなどの再生制御についても、通信プロトコルとしてRTSP/TCP/IPを用いる。VODサーバ9a,9bへのアクセスのためのドメインの引き方については、本発明の主たる特徴に関するものであり、後述する。
【0034】
VODサーバ9aは、IPv6のIPアドレスでアクセス可能なVODサーバであり、内部に格納されたコンテンツを、上述の再生制御に基づき端末装置1にVODでユニキャスト配信するためのサーバである。VODサーバ9bは、IPv4のIPアドレスでアクセス可能なVODサーバであり、内部に格納されたコンテンツを、上述の再生制御に基づき端末装置1にVODでユニキャスト配信するためのサーバである。なお、VODサーバ9aとVODサーバ9bとの双方に、同じタイトルのコンテンツを格納しておいてもよい。
【0035】
VODサーバ9a,9bでのコンテンツのデータ自体の配信には、RTP(Real-time Transfer Protocol)が使用され、トランスポート層としてはUDP(User Datagram Protocol)が用いられる。UDPが使用不可の状態のときはTCPを用いるとよい。コンテンツは、例えば、MPEG−2やH.264で圧縮符号化されており、いずれの場合でもMPEG−2 TS(Transport Stream)形式のパケット、好ましくは端末装置1側のバッファオーバーフローを防ぐためにタイムスタンプ付きTS(TTS)形式のパケットで配信すればよい。
【0036】
次に、図2を参照しながら、端末装置1の構成例を説明する。図2は、図1のVODシステムにおけるコンテンツ再生装置(端末装置)の一構成例を示すブロック図である。
【0037】
図2で例示する端末装置1は、全体を制御する制御部の一例として、端末装置1の全体の制御を実行するCPU31と、任意のアドレスを指定して読み書きすることが可能な半導体メモリであって、CPU31の作業領域となって不揮発性メモリ34に格納された制御プログラムを読み出したり、処理中のデータを一時的に格納したりするRAM30と、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の書き換え可能な不揮発性メモリ34とを備える。また、不揮発性メモリ34は、上記制御プログラム(端末装置1の全体の制御を行うためのプログラム)の他に、ECG/EPGなどを表示するためのキャラクタ(文字やシンボルやオブジェクト等)や通信用の設定情報等の各種情報が格納される。なお、制御プログラムは別途設けたROM(Read Only Memory)に格納してもよい。
【0038】
リモコン2には、例えば、端末装置1の電源のON/OFFを操作する電源ボタンや、端末装置1の各種設定を行うメニュー画面を表示する操作を行うためのメニュー画面表示ボタン、メニュー画面表示時やコンテンツ選択画面表示時などにカーソル位置を左右上下方向へ移動させる操作や決定操作を行うための移動・決定ボタン等が設けられている。リモコン2は、設けられたボタンのユーザによる押下を検知して、そのボタンに対応する操作信号を生成し、端末装置1のリモコン受光部33へその操作信号を送信する。
【0039】
端末装置1は、その操作信号を受信するリモコン受光部33を備える。CPU31は、その操作信号をリモコン受光部33から受け取り、端末装置1の現在の動作状態に応じた動作を実行するよう端末装置1内の各部を制御する。また、リモコン2の代わりに、図示しない本体の操作部でユーザ操作を受け付けてもよい。
【0040】
また、端末装置1は、IPネットワーク5を介してVOD配信されたコンテンツを受信可能とするため、ネットワークインタフェース(ネットワークI/F)21、通信制御部32、選局部29、及びIP放送チューナ部22を備える。
【0041】
ネットワークI/F21は、LAN(Local Area Network)に接続され、IPネットワーク5を介した外部のサーバ群との通信を行う。IPネットワーク5への接続はLANを経由してネットワークI/F21が行うものとして説明しているが、ネットワークI/F21を例えばメディアコンバータなどと直接接続することで、LANを構築しなくとも接続できる。
【0042】
選局部29は、ポータルサーバ6からBML形式などで受信しコンテンツ選択画面が表示された状態で、そのコンテンツ選択画面に表示されたコンテンツ群の中から再生を望むコンテンツをユーザがリモコン2等で選択したときに、そのコンテンツを指定する情報をネットワークI/F21を介してポータルサーバ6に送信する。つまり、選局部29では、コンテンツの選択を実行する。なお、BML形式などでのコンテンツ選択画面の表示自体は、上述した制御プログラムの一つとしてブラウザを不揮発性メモリ34に格納するなどしておけばよい。
【0043】
通信制御部32は、ネットワークI/F21を介して、IPネットワーク5に接続された外部のサーバ群と、通信プロトコルに従って通信する制御を行う。この制御の一つとして、通信制御部32は、VODサーバ9a,9bとのコンテンツの再生制御(再生の開始や終了等の制御)も行う。VOD配信されたコンテンツのUDPパケットも、通信制御部32での制御に基づきネットワークI/F21がVODサーバ9a/9bからLANを介して受信する。
【0044】
IP放送チューナ部22は、VOD配信型のIP放送(つまりVOD配信されたコンテンツ)を受信するためのチューナであり、ネットワークI/F21を介してUDPパケットで受信したコンテンツをTSパケットに変換する。また、端末装置1は、IP放送チューナ部22で所望のコンテンツを受信させるが、再生のために、次のようなVODプレーヤ(図示せず)を上述した制御プログラムの一つとして不揮発性メモリ34に格納しておく。VODプレーヤは、VOD配信型IP放送のコンテンツの受信制御並びにコンテンツ再生制御を、通信制御部32やIP放送チューナ部22に対して行うAVプレーヤのプログラムである。
【0045】
さらに、端末装置1は、IP放送チューナ部22の出力であるTSパケットをビデオデータとオーディオデータとに分離する分離部(DMUX)23を備える。また、DMUX23は、VOD配信ストリームに含まれるか別途配信されているVOD配信型IP放送のSI情報(番組データ)を、IP放送チューナ部22の出力であるTSパケットから分離する処理も行う。
【0046】
ビデオ信号の出力のために、端末装置1は、DMUX23で分離されたVOD配信コンテンツのビデオデータをデコードするビデオデコード部24と、不揮発性メモリ34に予め格納されたキャラクタを用いてECG(Electronic Content Guide)/EPG(Electronic Program Guide)や設定メニューなどのOSD(On Screen Display)用の信号(OSD画像信号)を生成するOSD処理部26と、このOSD画像信号をビデオデコード部24から出力されたビデオ信号に重畳する合成部と、合成部で合成された信号を出力用のビデオ信号に変換するビデオ出力変換部25とを備える。
【0047】
オーディオ信号の出力のために、端末装置1は、DMUX23で分離されたオーディオデータをデコードするオーディオデコード部27と、オーディオデコード部27から出力されたオーディオ信号を出力用のオーディオ信号に変換するオーディオ出力変換部28とを備える。
【0048】
さらに、端末装置1には、上述のように、映像表示用の表示装置3と音声出力用のスピーカ4とが接続されている。表示装置3は、ビデオ出力変換部25から出力されたビデオ信号(映像信号)に基づき映像を表示する。スピーカ4は、オーディオ出力変換部28から出力されたオーディオ信号に基づき音声を出力する。
【0049】
このような構成により、端末装置1では、VOD配信されたコンテンツを受信し、受信したものを再生することが可能となっている。
【0050】
図1のVODシステムは、実際にはさらに多くのサーバ群が接続されることがあり、この一例について図3を参照して簡単に説明する。図3は、図1のVODシステムの他の構成例を示す図である。図3で示すVODシステムは、図1の端末装置1にVOD機能サーバ群が接続されてなる。この端末装置1にも図1と同様に表示装置3及びスピーカ4に接続されているものとする。
【0051】
このVODサーバ群は、図1のポータルサーバ6、図1の再生制御情報サーバ7、図1のDRMサーバ8a,8bのいずれか一方に相当するDRMサーバ8、図1のVODサーバ9a,9bのいずれか一方に相当するVODサーバ9、顧客・契約管理サーバ12、課金・決済サーバ13、ダウンロードコンテンツサーバ14、及びECG(Electric Content Guide)メタデータサーバ15を備える。その他、CDN構成情報サーバ、PF構成情報サーバ、ロゴサーバなどがこのシステムに含まれ、IP放送も提供するためにはIP放送サービス送出サーバなど提供する他のサービスに応じたサーバもこのシステムに付加しておいてもよい。
【0052】
顧客・契約管理サーバ12は、ユーザ情報、端末装置1の端末ID、サービスの契約情報などを関連付けて格納したサーバであり、ポータルサーバ6では端末装置1からアクセスされてきたときに端末IDに基づき契約情報を抽出し、契約情報に応じたポータル画面データを端末装置1に返す。また、顧客・契約管理サーバ12は、必要に応じて課金・決済サーバ13にアクセスして、課金・決済処理を行わせる。また、顧客・契約管理サーバ12は、DRMサーバ8がライセンスを発行する際に、その情報を受け取って、管理すると共に、必要に応じて課金・決済サーバ13にアクセスして、課金・決済処理を行わせる。
【0053】
ダウンロードコンテンツサーバ14は、VODコンテンツではなくダウンロードコンテンツを端末装置1に提供するサーバである。ECGメタデータサーバ15は、端末装置1からのメタデータ送信要求を受信したとき、ダウンロードコンテンツサーバ14で提供するダウンロードコンテンツを選択するためのECG画面を生成するためのECGメタデータを送信する。
【0054】
以下、図1や図3で説明したようなVODシステムに適用できる、本発明の主たる特徴について説明する。図4は、図1のVODシステムにおいて再生制御情報サーバに格納され端末装置に送信される再生制御情報ファイルの一例を示す図で、図5は、図4に続く図である。
【0055】
再生制御情報サーバ7は、上述のように、コンテンツサーバ(VODサーバ9a又はVODサーバ9b)に格納されたコンテンツを端末装置1にてVODで再生するための再生制御情報ファイルを格納している。この再生制御情報ファイルは、基本的に再生対象のコンテンツと1対1に対応して端末装置1に提供されるものであり、本発明の主たる特徴の一つは、この再生制御情報ファイルの記述にある。
【0056】
この再生制御情報ファイルは、コンテンツの格納先であるコンテンツサーバ(VODサーバ9a又はVODサーバ9b)のIPアドレスを端末装置1が取得する際に、IPv4DNSサーバ11にアクセスするのか、IPv6DNSサーバ10にアクセスするのかを示すIPv4/IPv6選択情報を含む。端末装置1によるIPアドレスの取得は、VODサーバからコンテンツをVODで受信(取得)する際に、VODサーバについてドメイン名からIPアドレスを得るために(すなわちドメインを引くために)行われる。
【0057】
なお、端末装置1は、再生制御情報ファイルに基づきドメインの引き先のDNSサーバをIPv4/IPv6選択情報から得さえすれば、ドメインが引けて再生対象となるコンテンツが格納されたVODサーバにアクセスできるため、当初は、VODサーバ9a、VODサーバ9bのいずれのドメイン名が記述されているかを知る必要はない。
【0058】
この再生制御情報ファイルは、例えば図4及び図5で示す記述41〜47のようなエンティティ形式のマルチパート化されたXML文書である。無論、他の形式で記述されていてもよい。また、図4及び図5では、最初にコンテンツリスト(リソースリスト)に関する記述41がある例を示しているが、この部分は読まなくても制御可能である。
【0059】
ERIに関する記述42,43としては、例えば、XMLのバージョンの記述、日付や時間の記述、コンテンツの符号化方式の記述、コンテンツのタイトルの記述、コンテンツの概要の記述、コンテンツのチャプタの番号や位置の記述などと共に、コンテンツのパス(提供先のVODサーバ9a又はVODサーバ9bのURI)の記述51を含む。
【0060】
また、LLIに関する記述44,45としては、DRMサーバ8a,8bのURIの記述を含む。さらに、NCIに関する記述46,47としては、コンテンツの再生時の制御の記述を含む。この再生時の制御の記述としては、例えば倍速再生の有無、倍速再生が可能な場合その倍速値などの情報を含む。
【0061】
図4におけるERIの記述42,43の例では、VODサーバのドメイン名の記述51だけでなく、<dns_protocol>IPv4</dns_protocol>として例示したように、IPv4/IPv6選択情報の記述52を含んでおく。
【0062】
端末装置1は、このような記述を含む再生制御情報ファイルを再生制御情報サーバ7から受信して、再生制御情報ファイルからIPv4/IPv6選択情報の記述52を読み取り(解釈して抽出し)、読み取ったIPv4/IPv6選択情報の記述52からアクセスするDNSサーバを決定する。そして、端末装置1は、決定したDNSサーバからVODサーバのIPアドレスを取得して、そのIPアドレスにアクセスすることで、VODサーバにアクセスし、コンテンツを受信する。
【0063】
記述42,43の例では、記述51として、コンテンツの取得先としてのVODサーバ9bのURIが記述され、記述52として、ドメインの引き先としての「IPv4」、すなわちIPv4DNSサーバ11でドメインを引くことが記述されている。従って、端末装置1では、IPv4DNSサーバ11にアクセスして、記述51が示すURIにアクセスして、VODサーバ9bから再生対象のコンテンツを受信する。
【0064】
このように、記述52に関し、記述51のドメイン名がIPv4DNSサーバ11で解決可能な情報である場合には、IPアドレスとして端末装置1がIPv4アドレスを取得するような記述(つまりIPv4を示す記述)を行っておけばよい。一方で、記述51のドメイン名がIPv6DNSサーバ10で解決可能な情報であれば、IPアドレスとして端末装置1がIPv6アドレスを取得するような記述(つまりIPv6を示す記述)を行っておけばよい。
【0065】
このように、再生制御情報ファイル中にVODサーバへのアクセス用にドメインを引くためのDNSサーバの引き先がIPv4なのかIPv6なのかを記述しておき、端末装置1に渡す再生制御情報ファイルをIPv4用とIPv6用とで切り替え、VOD再生時、端末装置1がその再生制御情報ファイルを取得するようにしておくことで、必要の無い方のDNSサーバにアクセスするのを防ぐことができる。従って、IPv6で引いてDNSサーバの有無又はドメインの有無を確かめたのちIPv4でさらに引くなどの時間遅延や煩わしさをユーザが回避でき、加えてドメインを引いた後のサービス提供サーバをサービサーがコントロール可能となる。
【0066】
すなわち、本発明によれば、端末装置1が、VODでコンテンツを配信するコンテンツサーバ(VODサーバ9a/9b)にアクセスするために、そのドメイン名からIPv6又はIPv4のいずれのDNSサーバにアクセスしてIPアドレスを得るのかを、サービサーがコントロールでき、且つ、端末装置1側でもドメイン名からIPアドレスを得るための処理時間を短縮することができ、さらにVODサーバ9a,9bのいずれからコンテンツを取得させるかもサービサーがコントロールできる。
【0067】
従って、IPv6DNSサーバ10とIPv4DNSサーバ11との負荷分散の度合いや、VODサーバ9a,9bの負荷分散の度合いも、時期(サービスのIPv6対応への移行時期など)に応じてサービサーがコントロールでき、各サーバを効率良く使うことができる。例えば、VODシステムにおいて、VODサーバ及びDNSサーバがIPv4用のみ存在する状態から、IPv6用のVODサーバ及びDNSサーバを追加した場合、IPv6DNSサーバを用いてドメインからIPv6用のVODサーバのサーバアドレスが引けてしまうので、従来のIPv6で引いてからIPv4で引く手法では、結局IPv6用のVODサーバに負荷が集中してしまい、既存のIPv4用のVODサーバへ負荷分散することができない。これに対して、本発明では、分散をサービサーがコントロールできるため、このような負荷集中が生じることはない。また、本発明では、IPv4とIPv6とでVODサーバ(のコンテンツ)のドメイン名を分ける必要もない。
【0068】
また、上述した再生制御情報ファイルは、コンテンツのライセンスを発行するライセンスサーバ(DRMサーバ8a又はDRMサーバ8b)のIPアドレスを端末装置1が取得する際に、IPv4DNSサーバ11にアクセスするのか、IPv6DNSサーバ10にアクセスするのかを示すライセンス用IPv4/IPv6選択情報を含む。端末装置1によるIPアドレスの取得は、DRMサーバから再生対象のコンテンツのライセンスを受信(取得)する際に、DRMサーバについてドメイン名からIPアドレスを得るために(すなわちドメインを引くために)行われる。
【0069】
なお、端末装置1は、再生制御情報ファイルに基づきドメインの引き先のDNSサーバをライセンス用IPv4/IPv6選択情報から得さえすれば、ドメインが引けて再生対象となるコンテンツのライセンスが格納されたDRMサーバにアクセスできるため、当初は、DRMサーバ8a、DRMサーバ8bのいずれのドメイン名が記述されているかを知る必要はない。
【0070】
図5におけるLLIの記述44,45の例では、DRMサーバのドメイン名の記述53だけでなく、<drm_dns_protocol>IPv6</drm_dns_protocol>として例示したように、IPv4/IPv6選択情報の記述54を含んでおく。
【0071】
端末装置1は、このような記述を含む再生制御情報ファイルを再生制御情報サーバ7から受信して、再生制御情報ファイルからライセンス用IPv4/IPv6選択情報の記述54を読み取り(解釈して抽出し)、読み取ったライセンス用IPv4/IPv6選択情報の記述54からアクセスするDNSサーバを決定する。そして、端末装置1は、決定したDNSサーバからDRMサーバのIPアドレスを取得して、そのIPアドレスにアクセスすることで、DRMサーバにアクセスし、コンテンツのライセンスを受信(取得)する。
【0072】
記述44,45の例では、記述53として、コンテンツのライセンスの取得先としてのDRMサーバ8aのURIが記述され、記述54として、ドメインの引き先としての「IPv6」、すなわちIPv6DNSサーバ10でドメインを引くことが記述されている。従って、端末装置1では、IPv6DNSサーバ10にアクセスして、記述53が示すURIにアクセスして、DRMサーバ8aから再生対象のコンテンツのライセンスを受信する。
【0073】
このように、記述54に関し、記述53のドメイン名がIPv4DNSサーバ11で解決可能な情報である場合には、IPアドレスとして端末装置1がIPv4アドレスを取得するような記述(つまりIPv4を示す記述)を行っておけばよい。一方で、記述53のドメイン名がIPv6DNSサーバ10で解決可能な情報であれば、IPアドレスとして端末装置1がIPv6アドレスを取得するような記述(つまりIPv6を示す記述)を行っておけばよい。
【0074】
このように、再生制御情報ファイル中にDRMサーバへのアクセス用にドメインを引くためのDNSサーバの引き先がIPv4なのかIPv6なのかを記述しておき、端末装置1に渡す再生制御情報ファイルをIPv4用とIPv6用とで切り替え、VOD再生に必要なライセンス取得時、端末装置1がその再生制御情報ファイルを取得するようにしておくことで、必要の無い方のDNSサーバにアクセスするのを防ぐことができる。従って、IPv6で引いてDNSサーバの有無又はドメインの有無を確かめたのちIPv4でさらに引くなどの時間遅延や煩わしさをユーザが回避でき、加えてドメインを引いた後のサービス提供サーバをサービサーがコントロール可能となる。
【0075】
すなわち、本発明によれば、端末装置1が、DRMサーバ(DRMサーバ8a/8b)にアクセスするために、そのドメイン名からIPv6又はIPv4のいずれのDNSサーバにアクセスしてIPアドレスを得るのかを、サービサーがコントロールでき、且つ、端末装置1側でもドメイン名からIPアドレスを得るための処理時間を短縮することができ、さらにDRMサーバ8a,8bのいずれからコンテンツのライセンスを取得させるかもサービサーがコントロールできる。
【0076】
従って、IPv6DNSサーバ10とIPv4DNSサーバ11との負荷分散の度合いや、DRMサーバ8a,8bの負荷分散の度合いも、時期(サービスのIPv6対応への移行時期など)に応じてサービサーがコントロールでき、各サーバを効率良く使うことができる。例えば、VODシステムにおいて、DRMサーバ及びDNSサーバがIPv4用のみ存在する状態から、IPv6用のDRMサーバ及びDNSサーバを追加した場合、IPv6DNSサーバを用いてドメインからIPv6用のDRMサーバのサーバアドレスが引けてしまうので、従来のIPv6で引いてからIPv4で引く手法では、結局IPv6用のDRMサーバに負荷が集中してしまい、既存のIPv4用のDRMサーバへ負荷分散することができない。これに対して、本発明では、分散をサービサーがコントロールできるため、このような負荷集中が生じることはない。また、本発明では、IPv4とIPv6とでDRMサーバ(のライセンス)のドメイン名を分ける必要もない。
【0077】
次に、上述のような構成のVODシステムにおけるコンテンツ受信・再生処理の一例について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、図1のVODシステムにおける端末装置でのコンテンツ受信・再生処理の一例を説明するためのフロー図で、図7は、図6に続くフロー図である。以下、端末装置1においてなされる処理は主にCPU31の制御により実行される。
【0078】
まず、端末装置1は、ポータルサーバに接続し(ステップS1)、コンテンツリストを取得して表示装置3に表示する(ステップS2)。次に端末装置1は、リモコン2等でのユーザ操作により再生指示が有ったか否かを判定する(ステップS3)。再生指示があった時点で、端末装置1は再生制御情報サーバ7に接続し(ステップS4)、再生指示されたコンテンツの再生制御情報ファイルを取得する(ステップS5)。
【0079】
端末装置1は、この再生制御情報ファイルを解析し、DRMサーバ8a又はDRMサーバ8bのドメイン名とライセンス用IPv4/IPv6選択情報とを読み出す(ステップS6)。解析は、この再生制御情報ファイルを受け取ったVODプレーヤが、取得した再生制御情報ファイルをRAM30に一時的に格納した状態のまま実行するか、或いは不揮発性メモリ34に格納した後にRAM30に読み出して実行する。再生制御情報ファイルが上述のごとくXML文書で記述されている場合には、VODプレーヤはXML文書の解析を可能としておけばよい。なお、解析の結果、LLIに関する記述44,45からライセンスの有無を確認し、無しの場合にはステップS6におけるライセンス用IPv4/IPv6選択情報の読み出しと後述のステップS7〜S12の処理とは実行しない。ライセンス有りの場合にのみ、記述53からDRMサーバのURIを取得して記述54からライセンス用IPv4/IPv6選択情報も取得すればよい。
【0080】
次に、端末装置1は、ライセンス用IPv4/IPv6選択情報が示すDNSサーバが、IPv4であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0081】
IPv4である場合(ステップS7でYESの場合)、端末装置1は、IPv4DNSサーバ11にアクセスしてドメイン名に基づきDRMサーバ8bのIPv4アドレスを取得する(ステップS8)。そして、端末装置1は、取得したIPv4アドレスでDRMサーバ8bに接続して、ライセンスの取得要求を行う(ステップS9)。
【0082】
一方、IPv6である場合(ステップS7でNOの場合)、端末装置1は、IPv6DNSサーバ10にアクセスしてドメイン名に基づきDRMサーバ8aのIPv6アドレスを取得する(ステップS10)。そして、端末装置1は、取得したIPv6アドレスでDRMサーバ8aに接続して、ライセンスの取得要求を行う(ステップS11)。
【0083】
ステップS9/S11の後、端末装置1は、接続したDRMサーバ8b/8aから再生指示されたコンテンツのライセンスを取得する(ステップS12)。
【0084】
ステップS12に続き、端末装置1は、再生制御情報ファイルの解析結果から、VODサーバのドメイン名とIPv4/IPv6選択情報とを読み出す(ステップS13)。なお、解析は、ステップS6の処理と同時に行っておけばよい。なお、上記解析結果では、再生制御情報ファイルの記述に含まれるERIの記述43からAVリソース(コンテンツ)のパス(記述51)とIPv4/IPv6選択情報(記述52)とが得られている。
【0085】
次に、端末装置1は、IPv4/IPv6選択情報が示すDNSサーバが、IPv4であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0086】
IPv4である場合(ステップS14でYESの場合)、端末装置1は、IPv4DNSサーバ11にアクセスしてドメイン名に基づきVODサーバ9bのIPv4アドレスを取得する(ステップS15)。そして、端末装置1は、取得したIPv4アドレスでVODサーバ9bに接続し、コンテンツの取得要求を行う(ステップS16)。この取得要求にはライセンスを得たことを示す情報も付加しておく。
【0087】
一方、IPv6である場合(ステップS14でNOの場合)、端末装置1は、IPv6DNSサーバ11にアクセスしてドメイン名に基づきVODサーバ9aのIPv6アドレスを取得する(ステップS17)。そして、端末装置1は、取得したIPv6アドレスでVODサーバ9aに接続し、コンテンツの取得要求を行う(ステップS18)。この取得要求にはライセンスを得たことを示す情報も付加しておく。
【0088】
ステップS16/S18の後、端末装置1は、VODサーバ9a/9bから、再生指示されたコンテンツを取得し(ステップS19)、取得したライセンスに基づき取得したコンテンツを暗号復号し、AV復号し、再生を行う(ステップS20)。また、ステップS6又はS13での解析時に、NCIに関する記述46,47から再生時の制御の情報を取得しておき、この情報に従って倍速再生なども行うことができる。
【0089】
以上、VODサーバ及びライセンスサーバ(DRMサーバ)の双方について、再生制御情報ファイルに記述された選択情報に基づきドメインを引くように説明したが、再生制御情報ファイルにはいずれか一方の種類のサーバ(VODサーバ又はライセンスサーバ)についての選択情報のみ記述しておいてもよい。その場合、記述されてある方のみで処理時間の短縮が可能であるが、十分に効果は得られる。
【符号の説明】
【0090】
1…端末装置、2…リモコン、3…表示装置、4…スピーカ、5…IPネットワーク、6…ポータルサーバ、7…再生制御情報サーバ、8,8a,8b…DRMサーバ、9,9a,9b…VODサーバ、10…IPv6DNSサーバ、11…IPv4DNSサーバ、12…顧客・契約管理サーバ、13…課金・決済サーバ、14…ダウンロードコンテンツサーバ、15…ECGメタデータサーバ、21…ネットワークI/F、22…IP放送チューナ部、23…DMUX、24…ビデオデコード部、25…ビデオ出力変換部、26…OSD処理部、27…オーディオデコード部、28…オーディオ出力変換部、29…選局部、30…RAM、31…CPU、32…通信制御部、33…リモコン受光部、34…不揮発性メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを格納したコンテンツサーバと、該コンテンツの再生を制御する再生制御情報ファイルを格納した再生制御情報サーバとに接続されるコンテンツ再生装置であって、
前記再生制御情報ファイルは、前記コンテンツサーバからコンテンツをビデオオンデマンドで受信する際に、前記コンテンツサーバについてドメイン名からIPアドレスを得るために、IPv4のDNSサーバにアクセスするのか、IPv6のDNSサーバにアクセスするのかを示すIPv4/IPv6選択情報を含み、
当該コンテンツ再生装置は、前記再生制御情報ファイルを前記再生制御情報サーバから受信して、前記再生制御情報ファイルから前記IPv4/IPv6選択情報を読み取り、読み取った前記IPv4/IPv6選択情報からアクセスするDNSサーバを決定し、決定したDNSサーバから前記コンテンツサーバのIPアドレスを取得して、該IPアドレスにアクセスすることで、前記コンテンツサーバにアクセスし、コンテンツを受信することを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ再生装置において、
当該コンテンツ再生装置は、前記コンテンツのライセンスを発行するライセンスサーバに接続され、
前記再生制御情報ファイルは、前記ライセンスサーバからライセンスを取得する際に、前記ライセンスサーバについてドメイン名からIPアドレスを得るために、IPv4のDNSサーバにアクセスするのか、IPv6のDNSサーバにアクセスするのかを示すライセンス用IPv4/IPv6選択情報を含み、
当該コンテンツ再生装置は、前記再生制御情報ファイルを前記再生制御情報サーバから受信して、前記再生制御情報ファイルから前記ライセンス用IPv4/IPv6選択情報を読み取り、読み取った前記ライセンス用IPv4/IPv6選択情報からアクセスするDNSサーバを決定し、決定したDNSサーバから前記ライセンスサーバのIPアドレスを取得して、該IPアドレスにアクセスすることで、前記ライセンスサーバにアクセスし、ライセンスを取得することを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項3】
コンテンツを格納したコンテンツサーバと、該コンテンツの再生を制御する再生制御情報ファイルを格納した再生制御情報サーバと、前記コンテンツのライセンスを発行するライセンスサーバとに接続されるコンテンツ再生装置であって、
前記再生制御情報ファイルは、前記ライセンスサーバからライセンスを取得する際に、前記ライセンスサーバについてドメイン名からIPアドレスを得るために、IPv4のDNSサーバにアクセスするのか、IPv6のDNSサーバにアクセスするのかを示すライセンス用IPv4/IPv6選択情報を含み、
当該コンテンツ再生装置は、前記再生制御情報ファイルを前記再生制御情報サーバから受信して、前記再生制御情報ファイルから前記ライセンス用IPv4/IPv6選択情報を読み取り、読み取った前記ライセンス用IPv4/IPv6選択情報からアクセスするDNSサーバを決定し、決定したDNSサーバから前記ライセンスサーバのIPアドレスを取得して、該IPアドレスにアクセスすることで、前記ライセンスサーバにアクセスし、ライセンスを取得することを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項4】
コンテンツサーバに格納されたコンテンツをコンテンツ再生装置にてビデオオンデマンドで再生するための再生制御情報ファイルを格納し、且つ該コンテンツ再生装置に接続される再生制御情報サーバであって、
前記再生制御情報ファイルは、前記コンテンツの格納先である前記コンテンツサーバのIPアドレスを取得する際に、IPv4のDNSサーバにアクセスするのか、IPv6のDNSサーバにアクセスするのかを示すIPv4/IPv6選択情報を含むことを特徴とする再生制御情報サーバ。
【請求項5】
請求項4に記載の再生制御情報サーバにおいて、
前記再生制御情報ファイルは、前記コンテンツのライセンスを発行するライセンスサーバのIPアドレスを取得する際に、IPv4のDNSサーバにアクセスするのか、IPv6のDNSサーバにアクセスするのかを示すライセンス用IPv4/IPv6選択情報を含むことを特徴とする再生制御情報サーバ。
【請求項6】
コンテンツサーバに格納されたコンテンツをコンテンツ再生装置にてビデオオンデマンドで再生するための再生制御情報ファイルを格納し、且つ該コンテンツ再生装置に接続される再生制御情報サーバであって、
前記再生制御情報ファイルは、前記コンテンツのライセンスを発行するライセンスサーバのIPアドレスを取得する際に、IPv4のDNSサーバにアクセスするのか、IPv6のDNSサーバにアクセスするのかを示すライセンス用IPv4/IPv6選択情報を含むことを特徴とする再生制御情報サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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