説明

コンテンツ推薦装置およびコンテンツ推薦方法

【課題】推薦内容の変化に富んだコンテンツ推薦を実現する。
【解決手段】実施の1形態のコンテンツ推薦装置102は、ユーザによるコンテンツの利用に関する情報として複数種類の利用関連情報を保持する利用関連情報保持部126と、複数種類の利用関連情報にしたがってユーザに推薦すべき複数種類の推薦コンテンツを決定する推薦コンテンツ決定部142と、特定の地域に居住するユーザから推薦コンテンツの提示が要求された際、複数種類の推薦コンテンツのうち一つの種類の推薦コンテンツを選択し、その地域におけるコンテンツの販売を担当する地域担当者により定められた推薦コンテンツの種類を切り替えるための期間の経過後は別の種類の推薦コンテンツを順次選択する選択部148とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理技術に関し、特に、ユーザに対してゲーム等のコンテンツを推薦するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでのコンテンツ推薦では、ユーザの行動情報や嗜好情報にもとづく協調フィルタリングの手法が採用されることがあった。例えば、ユーザに関する属性等を示すプロファイルをもとに複数のユーザをクラスタリングすることにより、行動や嗜好が類似するユーザのグループ(クラスタ)を設定する。そして、推薦相手となるユーザに対して、そのユーザが属するクラスタにおいて人気のコンテンツをお薦めのコンテンツとして提示することが行われることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ユーザの行動情報や嗜好情報にもとづいてユーザへの推薦内容を決定する場合、ユーザの行動や嗜好に変化が生じなければ推薦内容にも変化が生じにくい。したがって、日々の推薦内容に変化が乏しく、ユーザに対して目新しい情報を提示しにくいことがあると本発明者は考えた。
【0004】
本発明は、本発明者の上記課題認識に基づきなされたものであり、その主たる目的は、
推薦内容の変化に富んだコンテンツ推薦を実現するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のコンテンツ推薦装置は、ユーザによるコンテンツの利用に関する情報として複数種類の利用関連情報を保持する利用関連情報保持部と、複数種類の利用関連情報のそれぞれにしたがってユーザに推薦すべきコンテンツを推薦コンテンツとして決定し、複数種類の利用関連情報に対応する複数種類の推薦コンテンツを決定する推薦コンテンツ決定部と、特定の地域におけるコンテンツの販売を担当する地域担当者が定めた規則であって、推薦コンテンツの種類を切り替えるための期間を定めた切替規則を保持する切替規則保持部と、特定の地域に居住するユーザの端末から推薦コンテンツの提示が要求された際、複数種類の推薦コンテンツのうち一つの種類の推薦コンテンツを選択し、切替規則が定める期間の経過後は別の種類の推薦コンテンツを順次選択する選択部と、選択部により選択された推薦コンテンツを示す情報をユーザの端末へ提供する推薦情報提供部と、を備える。
【0006】
本発明の別の態様は、コンテンツ推薦方法である。この方法は、コンピュータにより実行される方法であって、ユーザによるコンテンツの利用に関する情報として複数種類の利用関連情報のそれぞれにしたがってユーザに推薦すべきコンテンツを推薦コンテンツとして決定し、複数種類の利用関連情報に対応する複数種類の推薦コンテンツを決定するステップと、特定の地域に居住するユーザの端末から推薦コンテンツの提示が要求された際、複数種類の推薦コンテンツのうち一つの種類の推薦コンテンツを選択し、特定の地域におけるコンテンツの販売を担当する地域担当者により定められた推薦コンテンツの種類を切り替えるための期間の経過後は別の種類の推薦コンテンツを順次選択するステップと、選択するステップにおいて選択された推薦コンテンツを示す情報をユーザの端末へ提供するステップと、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、推薦内容の変化に富んだコンテンツ推薦を実現しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態の推薦情報提供システムの構成を示す図である。
【図2】図1のコンテンツ再生装置の外観構成を示す図である。
【図3】図2のゲーム機の内部回路構成を示す図である。
【図4】図1のコンテンツ推薦装置の内部回路構成を示す図である。
【図5】図1のコンテンツ推薦装置においてユーザに推薦するコンテンツを決定する処理の概要を示す図である。
【図6】図1のコンテンツ推薦装置においてユーザに推薦するコンテンツを決定する処理の概要を示す図である。
【図7】図1のコンテンツ推薦装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】短期BFマトリクスの例を示す図である。
【図9】次元削減された短期BFマトリクスの例を示す図である。
【図10】次元削減された短期BFマトリクスの例を示す図である。
【図11】メニュー画面における推薦情報の表示例を示す図である。
【図12】オンラインストアにおけるコンテンツ詳細画面の表示例を示す図である。
【図13】コンテンツ推薦装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】クラスタセットへの重み付けの設定例を示す図である。
【図15】第2の実施の形態の推薦情報提供システムの構成を示す図である。
【図16】図15のコンテンツ推薦装置の機能構成を示すブロック図である。
【図17】推薦情報保持部に格納されるデータの構成例を示す図である。
【図18】地域レイアウト情報を模式的に示す図である。
【図19】推薦タイトルの選択規則の一例を示す図である。
【図20】コンテンツ推薦装置における推薦情報の設定過程を示す模式図である。
【図21】コンテンツ推薦装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態を説明する前に、まず概要を説明する。
現在、様々なオンラインサイトでは、サイトにアクセスしたユーザに対して推薦コンテンツの提示がなされる。推薦コンテンツを提示することによりユーザの購買意欲を刺激するためには、ユーザによる利用満足度が高いことが見込まれるコンテンツを選択して推薦する必要があり、言い換えれば推薦コンテンツの精度を高める必要がある。また、日々表示される推薦コンテンツの内容に変化が乏しい場合、ユーザとって目新しい情報を提供できず、ユーザの購買意欲を刺激することは難しい。したがって、推薦内容の変化に富んだ情報提示が行われることが望ましい。
【0011】
以下では、第1の実施の形態として、協調フィルタリングのためのユーザのクラスタリングについてその有効性を加味した上で推薦コンテンツを決定することにより、推薦コンテンツの精度を高める技術を提案する。また、第2の実施の形態として、複数種類の指標にもとづいて決定した複数種類の推薦コンテンツについて、ユーザに提示する推薦コンテンツの種類をビジネスルールに応じて切り替えることにより、多種多様な推薦コンテンツをユーザに提示する技術を提案する。
【0012】
実施の形態における「コンテンツ」は、主に、1つのゲームタイトルを示す。すなわち特に断らない限り、コンテンツとゲームタイトルとを同じ意味で使用している。なお、本明細書で提案する技術の適用範囲はゲームに限らず、音楽コンテンツや、映像コンテンツ、各種アイテム・グッズ等、ユーザへの販売対象となる種々のコンテンツの推薦に適用可能であることはもちろんである。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態(以下、「第1実施形態」とも呼ぶ。)の推薦情報提供システムの構成を示す。推薦情報提供システム10は、コンテンツ再生装置14で総称される第1のコンテンツ再生装置14a、第2のコンテンツ再生装置14b、第3のコンテンツ再生装置14c・・・と、コンテンツ推薦装置12と、オンラインストアサーバ16とを備える。図1の各装置は、LAN・WAN・インターネット等、公知の通信手段を含む通信網18を介して接続される。
【0014】
コンテンツ再生装置14は、電子コンテンツを再生する情報処理装置であり、例えば、ユーザにより操作される据置型ゲーム機でもよく、携帯型ゲーム機でもよく、一般的なPCであってもよい。コンテンツ推薦装置12は、ユーザに対する推薦コンテンツの情報をコンテンツ再生装置14へ提供するサーバコンピュータである。オンラインストアサーバ16は、インターネット上でコンテンツの販売サイトを開設するサーバコンピュータであり、その販売サイトの画面データ(例えばウェブページのデータ)をコンテンツ推薦装置12へ提供する。
【0015】
図2は、図1のコンテンツ再生装置14の外観構成を示す。ここでは、コンテンツ再生装置14の一例として据置型のゲーム機200を示している。ゲーム機200は、コントローラ202と、テレビジョンモニタ204とに接続される。ゲーム機200は、各種のゲームの実行、電子メールの作成や編集、Webページの閲覧、映画や音楽の再生等の機能を有する。コントローラ202は、無線によってゲーム機200に接続される。テレビジョンモニタ204は、ゲーム機200と接続され、ゲーム内容やWebページ、映画等を表示すると共に音を出力する。
【0016】
[ゲーム機の概要]
ゲーム機200は、直径12cmの光ディスクに対応したディスク挿入口206やUSB接続端子208等を備えている。ディスク挿入口206はBD(ブルーレイディスク、Blu−ray Disk(商標または登録商標))やDVD−ROM、CD−ROM等の光ディスクが装填可能に構成されている。タッチセンサ210はディスクを取り出すためのセンサであり、タッチセンサ212は電源のオン/オフを行うためのセンサである。また、図示は省略するが、当該ゲーム機200の背面側には、電源スイッチ、音響映像出力端子、光ディジタル出力端子、AC電源入力端子、LANポート、HDMI端子等が設けられている。この他、IEEE1394端子を有し、IEEE1394で通信できるようにしても良い。
【0017】
ゲーム機200はマルチメディアスロットも備える。マルチメディアスロットケース214は蓋部材となっており、図示は省略するが、当該マルチメディアスロットケース214を開口するとマルチメディアスロットが露出する構造となっている。
【0018】
ゲーム機200は、ゲームや電子メール、Webブラウザ用のアプリケーションプログラムと、コントローラ202を介したユーザからの指示とに応じて、ゲームの実行や電子メールの作成、編集、受信、Webページの閲覧等のための各種処理を実行する。アプリケーションプログラムは、CD−ROM、DVD−ROM、BD等の光ディスクやハードディスクドライブ、半導体メモリ等の各種記録媒体から読み出したもの、もしくはLAN、CATV回線等の各種伝送媒体を介してダウンロードしたものの何れでも良い。
【0019】
さらに、ゲーム機200は、アプリケーションプログラムに基づくゲームの実行や電子メールの作成、編集、受信、Webページの閲覧等を実行するだけでなく、例えばCDに記録されたオーディオデータやDVD、BDに記録された映画等のビデオおよびオーディオデータを再生(デコード)可能である。またゲーム機200は、その他の各種アプリケーションプログラムに基づいて動作することも可能である。なお、DVDやBDの再生を行うためのドライバプログラムは、例えばゲーム機200に内蔵されているハードディスクドライブ334に記録されている。
【0020】
[コントローラ概要]
コントローラ202は、図示しないバッテリによって駆動され、ゲーム等を進行させる操作入力を行うための複数のボタンやキーを有して構成される。ユーザがコントローラ202のボタンやキーを操作すると、その操作入力が無線または有線によりゲーム機200に送信される。
【0021】
コントローラ202は、方向キー216、アナログスティック218と、4種の操作ボタン220が設けられている。方向キー216、アナログスティック218、操作ボタン220は、筐体上面222に設けられた入力部である。4種のボタン224、226、228、230には、それぞれを区別するために、異なる色で異なる図形が記されている。すなわち、○ボタン224には赤色の丸、×ボタン226には青色のバツ、□ボタン228には紫色の四角形、△ボタン230には緑色の三角形が記されている。図示は省略するが、コントローラ202筐体背面232には複数のLEDが設けられている。
【0022】
ユーザは左手で左側把持部234bを把持し、右手で右側把持部234aを把持して、コントローラ202を操作する。方向キー216、アナログスティック218、操作ボタン220はユーザが左側把持部234b、右側把持部234aを把持した状態で操作可能なように、筐体上面222上に設けられる。
【0023】
筐体上面222には、LED付きボタン236も設けられる。LED付きボタン236は、例えばゲーム機200にメニュー画面を表示させるためのボタンとして利用される。また、LEDの発光状態によりユーザへのメールの着信の知らせや、コントローラ202のバッテリの充電状態などを示す機能をもつ。例えば充電中は赤色、充電が終了すると緑色に点灯し、充電残存量が残り少ないときには赤色を点滅させるようにLEDを点灯させる。
【0024】
方向キー216には、例えばゲームのゲームキャラクタを画面上で上下左右等に移動させたり、電子メール作成画面上で文字入力カーソルを上下左右方向に移動させたり、Webページ閲覧中にページスクロールをしたり、画面上のカーソルを上下左右方向に移動させたりする際にユーザが操作する「上」、「下」、「左」、「右」方向指示キーが設けられている。なお、「上」、「下」、「左」、「右」方向指示キーは、上下左右の方向指示のみならず、斜め方向の方向指示にも用いられる。例えば「上」方向指示キーと「右」方向指示キーとを同時に押圧操作することで、ユーザは、右斜め上方向の方向指示をゲーム機200に与えることができる。他の方向指示キーにおいても同様であり、例えば「下」方向指示キーおよび「左」方向指示キーを同時に押圧操作することで、ユーザは、左斜め下方向の方向指示をゲーム機200に与えることができる。
【0025】
操作ボタン220は、アプリケーションプログラムによりそれぞれ異なる機能が割り付けられる。例えば、△ボタン230は、メニューの表示を指定する機能が割り付けられており、×ボタン226は、選択した項目の取り消し等を指定する機能が、○ボタン224は、選択した項目の決定等を指定する機能が、□ボタン228は、例えば目次等の表示/非表示を指定する機能が割り付けられている。
【0026】
アナログスティック218は操作軸の回転支点を中心にして任意の方向に傾倒操作が可能な回転操作子と、当該回転操作子の操作に応じた可変のアナログ値を出力する可変アナログ値出力手段とを備えている。回転操作子は、弾性部材により中立位置に復帰するように取り付けられた操作軸の先端側に取り付けられている。回転操作子は、ユーザにより傾倒操作がなされていない時には起立した状態(傾きのない状態)でそのポジションを保持(基準ポジション)する。可変アナログ値出力手段は、可変抵抗素子等を備えている。可変抵抗素子は回転操作子の操作に応じてその抵抗値が変化する。コントローラ202は、アナログスティック218の回転操作子が傾倒操作された時、基準ポジションに対する傾き量とその傾き方向に応じたXY座標上の座標値を検出し、その座標値を操作出力信号としてゲーム機200へ送る。
【0027】
またコントローラ202は、セレクトボタン240、スタートボタン238等を備えている。スタートボタン238は、ゲーム開始や電子メール画面の表示開始、映画や音楽の再生開始、一時停止などをユーザが指示するためのボタンである。セレクトボタン240は、テレビジョンモニタ204上に表示されたメニュー表示の選択等をユーザが指示するためのボタンである。
【0028】
コントローラ202は、左右の把持部234a、234b内に、振動発生機構をも備えている。振動発生機構は、例えばモータの回転軸に対して偏心した状態の重りを備え、その重りを当該モータにて回転させることによって、コントローラ202を振動させる。この振動発生機構は、ゲーム機200からの指示に応じて動作する。コントローラ202は、当該振動発生機構を動作させることにより、ユーザの手に振動を伝える。
【0029】
[ゲーム機の内部構成]
次に、ゲーム機200の内部回路構成について図3を用いて説明する。ゲーム機200は、メインCPU300とGPU(グラフィックプロセッサユニット)302と、入出力プロセッサ304と、光ディスク再生部306と、メインメモリ308と、マスクロム310と、サウンドプロセッサ312とを基本構成として備える。メインCPU300は、ゲームや電子メール、Webブラウザ用のアプリケーション等の各種プログラムに基づいて、信号処理や内部構成要素を制御する。GPU302は、画像処理を行う。入出力プロセッサ304は、外部と装置内部との間のインターフェイス処理や下位互換性を保つための処理を実行する。光ディスク再生部306は、アプリケーションプログラムやマルチメディアデータが記録されているBDやDVD、CD等の光ディスクを再生する。メインメモリ308は、メインCPU300のワークエリアや光ディスクから読み出されたデータを一時的に格納するバッファとして機能する。マスクロム310は、主にメインCPU300や入出力プロセッサ304が実行するオペレーティングシステムプログラムを格納している。サウンドプロセッサ312は、音声信号を処理する。
【0030】
また、このゲーム機200は、CD/DVD/BDプロセッサ314と、光ディスク再生ドライバ316と、メカコントローラ318と、ハードディスクドライブ334、カード型コネクタ(例えばPCカードスロット)320も有している。CD/DVD/BDプロセッサ314は、光ディスク再生部306によりCD/DVD/BDから読み出されてRFアンプ328で増幅されたディスク再生信号に対して、例えば誤り訂正処理(例えばCIRC(Cross Interleave Reed-Solomon Coding)処理)や伸張復号化処理等を施すことにより、それらCD/DVD/BDに記録されたデータを再生(復元)する。光ディスク再生ドライバ316及びメカコントローラ318は、光ディスク再生部306のスピンドルモータの回転制御、光ピックアップのフォーカス/トラッキング制御、ディスクトレイのローディング制御等を行う。
【0031】
また、ハードディスクドライブ334は例えば光ディスク再生部306で読み出されたアプリケーションプログラムやゲームのセーブデータを記憶、あるいは入出力プロセッサ304を介して取得した写真、動画、音楽等のデータ等を記憶する。カード型コネクタ320は、例えば通信カードや外付けハードディスクのドライブ等の接続ポートである。
【0032】
これらの各部は、主にバスライン322、324等を介してそれぞれ相互に接続されている。なお、メインCPU300とGPU302は、専用バスで接続されている。また、メインCPU300と入出力プロセッサ304はSBUSにより接続されている。入出力プロセッサ304とCD/DVD/BDプロセッサ314、マスクロム310、サウンドプロセッサ312、カード型コネクタ320、ハードディスクドライブ334はSSBUSにより接続されている。
【0033】
メインCPU300は、マスクロム310に記憶されているメインCPU用のオペレーティングシステムプログラムを実行することにより、当該ゲーム機200の全動作を制御する。また、メインCPU300は、CD、DVD、BD等の光ディスクから読み出されてメインメモリ308にロードする。また、通信ネットワークを介してダウンロードされた各種アプリケーションプログラム等を実行し、ゲームや電子メールの作成編集、Webページの閲覧等の動作を制御する。
【0034】
入出力プロセッサ304は、マスクロム310に記憶されている入出力プロセッサ用のオペレーティングシステムプログラムを実行することにより、ユーザの操作に応じたコントローラ202からの信号やゲームの設定、電子メールの内容やアドレス、WebサイトのURL等を記憶するメモリカード326からのデータ等の入出力を制御する。その他、入出力プロセッサ304は、USB接続端子208やイーサネット(例えばネットワークカード)330、図示しないIEEE1394端子やPCカードスロット等におけるデータの入出力も制御する。また、図示しないPCカードスロットを介してメモリカード326に対しデータの入出力を行う。コントローラ202やメモリカードからの情報はマルチメディアスロットや無線送受信ポートを含むインタフェース332を介してやりとりする。
【0035】
GPU302は、座標変換等の処理をするジオメトリトランスファエンジンの機能と、レンダリングプロセッサの機能とを有し、メインCPU300からの描画指示に従って描画し、描画された画像を図示しないフレームバッファに格納する。すなわち例えば、光ディスクに記録されている各種アプリケーションプログラムがゲームのように所謂3次元(3D)グラフィックを利用するものである場合、当該GPU302は、ジオメトリ演算処理により、3次元オブジェクトを構成するためのポリゴンの座標等を計算する。さらに、レンダリング処理により、この3次元オブジェクトを仮想的なカメラで撮影することにより得られる画像を生成するための計算、すなわち透視変換(3次元オブジェクトを構成する各ポリゴンの頂点を仮想的なカメラスクリーン上に投影した場合における座標値の計算など)を計算する。最終的に得られた画像データをフレームバッファ上へ書き込む。そして、GPU302は、この作成した画像に対応するビデオ信号を出力する。
【0036】
サウンドプロセッサ312は、ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)復号機能、オーディオ信号再生機能、信号変調機能等を備えている。ADPCM復号機能とは、当該サウンドプロセッサ312に内蔵或いは外付けされた図示しないサウンドバッファに記憶されている波形データを読み出すことで、効果音等のオーディオ信号を再生して出力する機能である。信号変調機能とは、上記サウンドバッファに記憶されている波形データから、楽音や効果音等のオーディオ信号を発生する、所謂サンプリング音源としても動作する。
【0037】
以上のような構成を有するゲーム機200は、例えば電源が投入されると、マスクロム310からメインCPU300用及び入出力プロセッサ304用のオペレーティングシステムプログラムが読み出される。メインCPU300と入出力プロセッサ304は、それぞれ対応したオペレーティングシステムプログラムを実行する。これにより、メインCPU300は、ゲーム機200の各部を統括的に制御する。また、入出力プロセッサ304は、コントローラ202やメモリカード326等との間の信号の入出力を制御する。また、メインCPU300は、オペレーティングシステムプログラムを実行すると、まず動作確認等の初期化処理をする。つづいて光ディスク再生部306を制御して光ディスクに記録されているゲーム等のアプリケーションプログラムを読み出し、メインメモリ308にロードした後、そのゲームアプリケーションプログラムを実行する。このゲームアプリケーションプログラムの実行により、メインCPU300は、入出力プロセッサ304を介してコントローラ202から受け付けたユーザの指示に応じて、GPU302やサウンドプロセッサ312を制御し、画像の表示や効果音、楽音の発生を制御する。
【0038】
例えば光ディスクに記録された映画等を再生する場合、メインCPU300は、入出力プロセッサ304を介してコントローラ202から受け付けたユーザからの指示(コマンド)にしたがってGPU302やサウンドプロセッサ312を制御し、光ディスクから再生された映画の映像の表示や効果音や音楽等の発生を制御する。
【0039】
外部装置へのデータの送信が必要な場合、メインCPU300は、入出力プロセッサ304およびイーサネット(例えばネットワークカード)330を介して通信網18へデータを送出する。また、メインCPU300は、外部装置から送信されたデータをイーサネット330および入出力プロセッサ304を介して受け付けて、適宜データ処理を実行する。
【0040】
図4は、図1のコンテンツ推薦装置12の内部回路構成を示す。なお上述したように、コンテンツ再生装置14はPCであってもよく、その場合はコンテンツ再生装置14の内部回路構成も同様になる。コンテンツ推薦装置12は、メインCPU600とグラフィックプロセッサユニット(GPU)602と、入力部604と、出力部605と、ドライブ614と、メインメモリ608と、ロム610とを基本構成として備える。メインCPU600は、ゲームや電子メール、Webブラウザ用のアプリケーション等の各種プログラムに基づいて、信号処理や内部構成要素を制御する。GPU602は、画像処理を行う。
【0041】
これらの各部は、主にバスライン622等を介してそれぞれ相互に接続されている。バスライン622には、さらに、入出力インタフェースが接続されている。入出力インタフェースには、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部634、ディスプレイやスピーカなどよりなる出力部605、キーボードやマウス、マイクロホンなどよりなる入力部604、USB、IEEE1394等のインタフェースや、有線LAN、無線LANのネットワークインタフェースなどよりなる通信部630、磁気ディスク、光ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体626を駆動するドライブ614が接続される。
【0042】
メインCPU600は、ハードディスク等に記録されているオペレーティングシステムプログラムを実行することにより、装置全体の動作を制御する。また、メインCPU600は、CD、DVD、BD等の光ディスクから読み出されてメインメモリ608にロードする。通信ネットワークを介してダウンロードされた、各種アプリケーションプログラム等を実行し、ゲームや電子メールの作成編集、Webページの閲覧等の動作を制御する。
【0043】
またメインCPU600は、入出力インタフェース632を介して得られるユーザの操作に応じた入力部604からの信号や、リムーバブル記録媒体626等からのデータの入出力、その他、通信部630におけるデータの入出力やドライブ614を制御する。
【0044】
GPU602は、座標変換等を処理するジオメトリトランスファエンジンの機能と、レンダリングプロセッサの機能とを有し、メインCPU600からの描画指示に従って描画を行い、描画された画像を図示しないフレームバッファに格納する。すなわち例えば、光ディスクに記録されている各種アプリケーションプログラムがゲームのように所謂3次元(3D)グラフィックを利用するものである場合、当該GPU602は、ジオメトリ演算処理により、3次元オブジェクトを構成するためのポリゴンの座標等を計算等する。さらに、レンダリング処理により、この3次元オブジェクトを仮想的なカメラで撮影することにより得られる画像を生成するための計算、すなわち透視変換(3次元オブジェクトを構成する各ポリゴンの頂点を仮想的なカメラスクリーン上に投影した場合における座標値の計算など)を行う。最終的に得られた画像データをフレームバッファ上へ書き込む。そして、GPU602は、この作成した画像に対応するビデオ信号を出力する。
【0045】
以上のような構成を有するPCは、例えば電源が投入されると、記憶部634の一部である不揮発メモリからBIOSを読み込んで初期化を実行し、続いてオペレーティングシステムプログラムが読み出され、メインCPU600はオペレーティングシステムプログラムを実行する。これにより、メインCPU600は、PCの各部を統括的に制御する。
【0046】
図5は、図1のコンテンツ推薦装置12においてユーザに推薦するコンテンツを決定する処理の概要を示す。同図では、推薦情報を提供すべきユーザ(以下、「推薦先ユーザ」とも呼ぶ。)に対する推薦コンテンツの決定過程を、1つの入力データに着目して説明する。この例での入力データは、コンテンツ再生装置14において各コンテンツが起動された回数を示す情報(以下、単に「起動回数」と呼ぶ。)である。
【0047】
まずクラスタリング処理として、複数のユーザと複数のコンテンツとを縦横の軸としたマトリクス表であり、各セルにユーザのコンテンツ起動回数が設定されたBF(Boot Frequency)マトリクスを設定する。そして、複数のユーザのそれぞれを4個のクラスタのいずれかにクラスタリングして、4個のクラスタを含む第1のクラスタセットを生成する。同様に、各ユーザを8個のクラスタのいずれかにクラスタリングして、8個のクラスタを含む第2のクラスタセットを生成し、また、各ユーザを16個のクラスタのいずれかにクラスタリングして、16個のクラスタを含む第3のクラスタセットを生成する。すなわち、内包するクラスタ数が異なる複数種類のクラスタセットを生成する。
【0048】
次に人気コンテンツ決定処理として、第1〜第3のクラスタセットのそれぞれについて、推薦先ユーザが所属するクラスタ(以下、「ユーザクラスタ」とも呼ぶ。)内での人気順位を決定する。そして、推薦コンテンツ決定処理として、第1〜第3のクラスタセット内のユーザクラスタでの人気順位を、各クラスタセットにおけるクラスタリングが有効なものほど大きな重み(W1〜W3)をつけて集計し、最終的に推薦先ユーザに対するコンテンツの推薦順位を決定する。
【0049】
図6は、図1のコンテンツ推薦装置12においてユーザに推薦するコンテンツを決定する処理の概要を示す。同図では、第1実施形態での推薦コンテンツの決定過程を示しており、複数種類の入力データのそれぞれに対して、図5のクラスタ決定処理、人気コンテンツ決定処理、推薦コンテンツ決定処理を実行する。なお第1実施形態での入力データは、3種類の入力データと、2種類の集計期間の組み合わせである合計6種類である。3種類の入力データは、(1)上記の起動回数と、(2)コンテンツ再生装置14において各コンテンツが再生された期間を示す情報(以下、単に「再生期間」と呼ぶ。)と、(3)コンテンツ再生装置14において一回以上再生されたコンテンツ、言い換えれば一度でも利用されたことのあるコンテンツを示す情報(以下、単に「再生済タイトル」と呼ぶ。)である。また集計期間は、(1)短期、例えば3ヶ月間と、(2)長期、例えば1年間である。
【0050】
図7は、図1のコンテンツ推薦装置12の機能構成を示すブロック図である。コンテンツ推薦装置12は、各種データを格納するための記憶領域として、利用状況保持部20と、推薦情報保持部22と、コンテンツ情報保持部24とを備える。さらに、各種データ処理を実行するための機能ブロックとして、利用状況取得部26と、クラスタリング部28と、人気コンテンツ決定部30と、有効性判定部32と、推薦コンテンツ決定部34と、要求受付部36と、推薦情報提供部38とを備える。
【0051】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリ、HDDをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ブロック図においては、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。例えば、図7の各機能ブロックはプログラムモジュールとして図4のリムーバブル記録媒体626に格納されて、記憶部634へインストールされてよい。また、図7のデータ処理に関する各機能ブロックは、メインメモリ608へ適宜ロードされて、メインCPU600やGPU602により実行されてもよい。
【0052】
利用状況保持部20は、複数のユーザのそれぞれによるコンテンツの利用状況を示す情報を保持する。利用状況保持部20は、複数のユーザのそれぞれに対応づけて、各コンテンツの利用状況、具体的には図6で示した短期および長期の起動回数、短期および長期の再生期間、短期および長期の再生済タイトルの6種類のデータを保持する。なお、ユーザによるコンテンツの利用状況は、コンテンツ再生装置14におけるコンテンツの利用状況と同義であり、以下のユーザに関する処理は、コンテンツ再生装置14に関する処理と置き換えても成立する。
【0053】
推薦情報保持部22は、推薦コンテンツ決定部34により決定されたユーザに推薦すべきコンテンツに関する情報を保持する。推薦情報保持部22は、複数のユーザそれぞれのIDに対応づけて各ユーザへ推薦すべきコンテンツのIDを保持する。推薦情報保持部22は、各ユーザへの推薦順位が上位のコンテンツのIDを保持してもよい。
【0054】
コンテンツ情報保持部24は、複数のコンテンツのそれぞれに関する各種情報を保持する。第1実施形態では、各コンテンツのIDと対応づけてそのタイトル(ゲームタイトル)名と、プロバイダ名と、サムネイル画像のデータとを少なくとも保持する。
【0055】
利用状況取得部26は、ユーザによるコンテンツの利用状況を示す情報をコンテンツ再生装置14から定期的に収集して利用状況保持部20に格納する。例えば、コンテンツ再生装置14には自装置でのコンテンツの利用状況を定期的にコンテンツ推薦装置12へレポートするアプリケーションがインストールされてもよい。そのアプリケーションは定期的に起動され、コンテンツ再生装置14において、短期および長期の起動回数、短期および長期の再生期間、短期および長期の再生済タイトルを、イーサネット330を介して利用状況取得部26へ送信してもよい。利用状況取得部26は、通信部630を介して、コンテンツ再生装置14から送信された6種類の利用状況データを取得してもよい。
【0056】
クラスタリング部28は、図5のクラスタリング処理を実行し、まず利用状況保持部20に保持された上記6種類の利用状況データを参照して、それぞれの利用状況データに対応するマトリクス表を生成する。具体的には、複数のユーザと複数のコンテンツとを縦横の軸として、各セルに短期起動回数が設定された短期BFマトリクスと、各セルに長期起動回数が設定された長期BFマトリクスとを生成する。また、各セルに短期再生期間が設定された短期PT(Play Time)マトリクスと、各セルに長期再生期間が設定された長期PTマトリクスとを生成する。また、各セルに短期再生済タイトルが設定された短期UT(User Title)マトリクスと、各セルに長期再生済タイトルが設定された長期UTマトリクスを生成する。
【0057】
図8は、短期BFマトリクスの例を示す。縦軸にはユーザ1からユーザUが配置され、横軸にはゲームタイトル1からゲームタイトルTが配置される。例えば、ユーザ数は数万から数十万のオーダとなり、ゲームタイトル数は数千のオーダとなりうる。同図の各セルには短期起動回数が設定されており、例えば、直近3ヶ月間にユーザ1はゲームタイトル1を5回起動し、ゲームタイトル2を10回起動したことを示している。なお、短期UTマトリクスと長期UTマトリクスの各セルには、コンテンツが一度でも再生済であれば「1」が設定され、未再生であれば「0」が設定されてもよい。
【0058】
ここで、複数のゲームタイトルのそれぞれは、各ゲームタイトルに関する属性にもとづいて第1のクラスタセットに対応する4個のクラスタのいずれかに予め分類されている。また、第2のクラスタセットに対応する8個のクラスタのいずれかに予め分類されている。さらにまた、第3のクラスタセットに対応する16個のクラスタのいずれかに予め分類されている。例えば、ゲームの内容が類似するゲームタイトル、ジャンルが類似するゲームタイトル、発売日が類似するゲームタイトル等の基準により予め分類されてもよい。
【0059】
クラスタリング部28は、各利用状況に対応するマトリクスを参照して、PLSAにもとづく次元削減を実行することにより、ユーザのクラスタリングを実行する。図9は、次元削減された短期BFマトリクスの例として、図8の横軸であったゲームタイトル1〜Tが4個の潜在次元に圧縮された例を示している。図9の各セルにはユーザの潜在次元の確率が設定されており、クラスタリング部28は、各ユーザを潜在次元の確率が最大のクラスタへ分類する。クラスタ数が8もしくは16の場合も同様である。
【0060】
クラスタリング部28におけるクラスタリング処理を詳細に示す。ここでは、1種類のマトリクス(例えば短期BFマトリクス)に対する処理を示している。なお、複数のユーザのそれぞれをu、i=1・・・Uとし、複数のゲームタイトルのそれぞれをt、j=1・・・Tとする。また、潜在変数(クラスタセットにおけるクラスタ数)をz、k=1・・・Zとする。
【0061】
クラスタリング部28は、マトリクスのデータにPLSAを適用することにより、p(u|z)、p(t|z)、p(z)を算出する。p(u|z)は各潜在変数に対する各ユーザの条件付き出現確率、p(t|z)は各潜在変数に対する各ゲームタイトルの条件付き出現確率、p(z)は各潜在変数の出現確率を示す。
ユーザuの所属するクラスタcでは、そのユーザuに対してp(u)が一定であるため、
=argmax p(z,u)=argmax p(z|u
=argmax p(u|z)p(z)が成立する。
クラスタリング部28は、上記を満たすzを、ユーザuの所属するクラスタcとして決定する。なお、図9は、p(z|u)を図示したものである。
【0062】
人気コンテンツ決定部30は、図5の人気コンテンツ決定処理を実行する。人気コンテンツ決定部30は、第1〜第3のクラスタセットにおける各クラスタについて、所属するユーザによる短期再生済タイトルを利用状況保持部20から取得する。そして、各ユーザの短期再生済タイトルの集計値(例えば、直近3ヶ月間に各ゲームタイトルを一回以上再生したコンテンツ再生装置14の合計数)にもとづいて各コンテンツの人気の度合いを決定する。具体的には、短期再生済タイトルの集計値が大きいコンテンツほど高い人気順位を付与する。そして、各コンテンツに対して、その人気順位に応じて予め定められたポイント(例えば1位は100ポイント、2位は90ポイント、3位は80ポイント・・・等、以下「タイトルポイント」とも呼ぶ。)を付与する。
【0063】
変形例として、人気コンテンツ決定部30は、短期再生済タイトルの集計値そのものを人気の度合いを示すタイトルポイントとして各コンテンツへ付与してもよい。また、短期起動回数に代えて長期起動回数の集計値や、短期起動回数と長期起動回数の集計値の平均に応じて各コンテンツの人気の度合いを決定してもよい。また、人気コンテンツ決定部30は、クラスタ内の全ユーザに占める再生済ユーザ数の比率(以下、「再生者率」とも呼ぶ。)を算出してもよい。そして、相対的に再生者率が高いコンテンツには相対的に再生者率が低いコンテンツよりも大きなタイトルポイントを付与してもよい。また再生者率が高いコンテンツほど大きなタイトルポイントを付与してもよい。
【0064】
有効性判定部32は、第1〜第3のクラスタセットのそれぞれについて、コンテンツとクラスタとの相関性を評価し、その相関が高いものほど有効なクラスタリングであると判定し、クラスタリングの有効性に応じた重みを各クラスタセットへ設定する。言い換えれば、コンテンツが決まればクラスタが決まるという関係(例えば依存性や因果性)が強いものほど有効なクラスタリングであると判定し、また、クラスタリングの有効性が高いクラスタセットほど大きな重みを設定する。これは、コンテンツとクラスタとの相関が高いクラスタリングが行われた場合、行動や嗜好が類似するユーザが同一のクラスタへ分類されやすい(すなわちクラスタリングの精度が高い)という本発明者の知見にもとづいている。
【0065】
有効性判定部32における有効性判定処理を詳細に示す。第1実施形態の有効性判定部32は、クラスタ(Z)とゲームタイトル(T)間の相関を示す指標として、各タイトルに対するクラスタの条件付きエントロピーH(Z,T)またはH(Z|T)を算出する。エントロピーが高いほど相関は低くなるため、有効性判定部32は、エントロピーH(Z,T)またはH(Z|T)が低いほど有効なクラスタリングであると判定し、クラスタセットへの重み付けを大きく設定する。クラスタセットへの重み付けの値は予め定められていてよく、大きい順に例えば50・25・10・5・2・1であってもよい。
【0066】
上述したユーザのクラスタリングのためのPLSAにもとづく次元削減では、ユーザと潜在変数の関係が算出されるとともに、ゲームタイトルと潜在変数の関係も算出される。図10は、次元削減された短期BFマトリクスの例として、縦軸がゲームタイトル1〜T、横軸が4個の潜在次元に圧縮された例を示している。図10の各セルにはゲームタイトルの出現確率が設定されている。すなわち、元のマトリクスのデータにPLSAを適用することにより、p(z,t)、p(z|t)、p(t)も算出される。図10は、p(z|t)を図示したものである。
【0067】
図10のZ1およびZ2のように特定の一部のゲームタイトルの出現確率が他と比べて高いほど、言い換えればゲームタイトルの出現確率の偏りが大きく、その分散が大きいほど、エントロピーは小さくなる。一方で、図10のZ3およびZ4のようにゲームタイトルの出現確率が比較的均一である場合、言い換えればゲームタイトルの出現確率の偏りが小さく、その分散が小さいほど、エントロピーは大きくなる。したがって、有効性判定部32は、Z1やZ2のようにゲームタイトルの出現確率の偏りが大きいクラスタを数多く含むクラスタセットほど、そのエントロピーH(Z,T)またはH(Z|T)を低く算出する。
【0068】
具体的には、H(Z,T)=Σk,j(p(z,t)logp(z,t))と算出してもよい。
また、H(Z|T)=Σ(p(t)H(Z|t))
=−Σ(p(t)Σ(p(z|t)logp(z|t))と算出してもよい。
エントロピーの最大値をHmaxとすると、各クラスタセットのエントロピーを正規化するために、(Hmax−H(Z,T))/Hmaxもしくは(Hmax−H(Z|T))/Hmaxが大きいほど、有効なクラスタリングであると判定してもよい。
【0069】
推薦コンテンツ決定部34は、図5の推薦コンテンツ決定処理を実行し、複数のユーザのそれぞれに対するコンテンツの推薦順位を決定する。具体的には、図6で示す18種類のクラスタセットのそれぞれで、ある特定のユーザが所属するクラスタ(以下、「ユーザクラスタ」とも呼ぶ。)を識別する。そして、各ユーザクラスタのタイトルポイントを、各クラスタセットの有効性にもとづく重みを加味して集計し、集計されたタイトルポイントが大きいコンテンツほど高い推薦順位を付与する。既述したように、有効性が高いクラスタセットにおけるタイトルポイントほど大きな重みを付与して集計する。推薦コンテンツ決定部34は、ユーザごとに推薦コンテンツ決定処理を実行し、推薦順位が上位のコンテンツを示す情報(ID等)を各ユーザに対応づけて推薦情報保持部22へ格納する。
【0070】
例えば、推薦コンテンツ決定部34は、人気コンテンツ決定部30により決定された各ユーザクラスタにおけるタイトルポイントに、有効性判定部32により決定された各クラスタセットの重みを乗じた結果をゲームタイトルごとに集計してもよい。また、タイトルポイントの集計結果が上位のコンテンツであり、コンテンツ再生装置14に対して推薦コンテンツとして一時に提示するコンテンツ数だけ、その識別情報を推薦情報保持部22へ格納してもよい。第1実施形態では、推薦順位が10位内のコンテンツの情報を、その順位とともに推薦情報保持部22へ格納することとする。
【0071】
要求受付部36は、通信部630を介して、推薦情報の取得を要求するデータ(以下、「推薦情報要求」とも呼ぶ。)をコンテンツ再生装置14から受け付ける。推薦情報要求では、コンテンツ再生装置14のユーザIDと、コンテンツ再生装置14に表示される画面IDとが指定される。画面IDには、後述するメニュー画面のIDや、オンラインストアでのコンテンツ詳細画面のIDが含まれる。
【0072】
推薦情報提供部38は、推薦情報要求で指定されたユーザIDに対応する推薦コンテンツのIDを推薦情報保持部22から取得する。そして、推薦情報要求で指定された画面IDで必要なコンテンツの情報を、推薦コンテンツのIDをキーとしてコンテンツ情報保持部24から取得する。例えば、メニュー画面が指定された場合は、推薦コンテンツのサムネイル画像のデータを取得し、オンラインストアでのコンテンツ詳細画面が指定された場合は、さらにコンテンツのタイトル名やプロバイダ名を取得する。推薦情報提供部38は、コンテンツ情報保持部24から取得したコンテンツの情報を推薦情報として、通信部630を介してコンテンツ再生装置14へ提供する。
【0073】
なお推薦情報提供部38は、予め定められた数の推薦コンテンツを含む推薦情報をコンテンツ再生装置14へ提供してもよい。また、コンテンツ再生装置14の表示画面のレイアウト(表示可能なコンテンツ数)に応じた数の推薦コンテンツを含む推薦情報をコンテンツ再生装置14へ提供してもよい。第1実施形態では、推薦順位が1〜5位のコンテンツに関する推薦情報と、推薦順位が6〜10位のコンテンツに関する推薦情報とを適宜切り替えてコンテンツ再生装置14へ提供することとする。これにより、変化のある推薦情報をコンテンツ再生装置14へ提供しやすくなる。
【0074】
推薦情報提供部38によりコンテンツ再生装置14へ提供された推薦情報は、コンテンツ再生装置14のGPU302等を介してテレビジョンモニタ204へ表示される。以下、コンテンツ再生装置14側での推薦情報の表示例を説明する。
【0075】
図11は、メニュー画面における推薦情報の表示例を示す。このメニュー画面350は、コンテンツ再生装置14の基本画面として、その起動時やコンテンツ再生の終了時等に表示される。メニュー画面350では、大カテゴリを選択するためのアイコンが水平に配置され、例えばゲームを選択するためのゲームアイコン352や、インターネットに接続するためのインターネットアイコン354等が含まれる。また、小カテゴリを選択するためのアイコンが垂直に配置される。ここで、ゲームアイコン352の小カテゴリにはインストール済のゲームを選択するアイコンとともに、オンラインストアへアクセスするためのストアアイコン356が表示される。ストアアイコン356が選択されると、推薦コンテンツ表示領域358に、オンラインストアのトップページを表示させるためのストア入口アイコン360とともに、コンテンツ推薦装置12からコンテンツ再生装置14へ提供された推薦コンテンツのサムネイル362が表示される。
【0076】
図12は、オンラインストアにおけるコンテンツ詳細画面の表示例を示す。このコンテンツ詳細画面370は、オンラインストアにおいて特定のコンテンツの詳細表示が要求された場合や、図11の推薦コンテンツ表示領域358において特定のサムネイル362が選択された場合に表示される。選択コンテンツ表示領域372は、コンテンツのタイトルや詳細情報、価格、サムネイル画像、購入のためのボタン等が表示される領域であり、その表示データはオンラインストアサーバ16により提供される。推薦コンテンツ表示領域374には、コンテンツ推薦装置12から提供された推薦情報が表示される。同図では、5つの個別コンテンツ表示領域376のそれぞれに、推薦コンテンツのサムネイル画像やタイトル、プロバイダ名等が表示される。
【0077】
以上の構成による動作を以下説明する。
図13は、コンテンツ推薦装置12の動作を示すフローチャートである。本明細書のフローチャートにおいては、各部の処理手順を、ステップを意味するS(Stepの頭文字)と数字との組み合わせによって表示する。また、Sと数字との組み合わせによって表示した処理で何らかの判断処理が実行され、その判断結果が肯定的であった場合は、Y(Yesの頭文字)を付加して、例えば、(S10のY)と表示し、逆にその判断結果が否定的であった場合は、N(Noの頭文字)を付加して、(S10のN)と表示する。
【0078】
コンテンツ再生装置14からコンテンツの利用状況が通知されると(S10のY)、利用状況取得部26は利用状況保持部20に保持された利用状況データを逐次更新する(S12)。その通知がなければ(S10のN)、S12はスキップされる。推薦情報の更新タイミングになると(S14のY)、クラスタリング部28は、6種の利用状況データのそれぞれにもとづいてユーザのクラスタリングを実行し、各利用状況データに対応する第1〜第3のクラスタセットを生成する(S16)。この更新タイミングは、所定日時へ到達したことでもよく、前回の更新から所定期間が経過したことでもよい。
【0079】
有効性判定部32は、クラスタセットごとにクラスタリングの有効性を判定し、各クラスタセットに対して重みを付与する(S18)。人気コンテンツ決定部30は、各クラスタセットの各クラスタにおいてコンテンツの人気順位を決定する(S20)。推薦コンテンツ決定部34は、推薦相手のユーザが所属するユーザクラスタを各クラスタセットで特定し、各ユーザクラスタでのコンテンツの人気順位を、各クラスタセットの重みを加味して集計する。そして、各ユーザへのコンテンツの推薦順位を決定して推薦情報保持部22へ格納する(S22)。推薦情報の更新タイミングでなければ(S14のN)、S16〜S22はスキップされる。
【0080】
要求受付部36がコンテンツ再生装置14から推薦情報要求を受け付けると(S24のY)、推薦情報提供部38は、推薦情報保持部22およびコンテンツ情報保持部24を参照して、コンテンツ再生装置14のユーザに対する推薦コンテンツを示す推薦情報を設定する(S26)。推薦情報提供部38は、推薦情報のデータをコンテンツ再生装置14へ送信することにより、ユーザへの推薦コンテンツをコンテンツ再生装置14側で表示させる(S28)。推薦情報要求を受け付けなければ(S24のN)、S26およびS28をスキップする。
【0081】
第1実施形態のコンテンツ推薦装置12によれば、推薦相手のユーザが所属するユーザクラスタにおける各コンテンツの人気度合いを、クラスタリングの有効性を加味して評価して最終的な推薦コンテンツを決定する。これにより、クラスタリングが有効なものか否かに応じて推薦コンテンツの内容やその提示可否を調整可能になり、推薦コンテンツの精度を高めることができる。なお、第1実施形態では複数種類のクラスタセットを設定することとしたが、1つのクラスタセットのみを設定する場合でも、クラスタリングの有効性を評価することは有用である。例えば、クラスタリングの有効性が高い場合は、ユーザクラスタの人気度合いにもとづいて推薦コンテンツを決定し、クラスタリングの有効性が低い場合は、他の手段(販売促進対象のゲームタイトルを静的に設定する等)により推薦コンテンツを決定してもよい。
【0082】
またコンテンツ推薦装置12によれば、コンテンツ利用に関する複数種類の入力データをもとにクラスタリングを実施し、それぞれの入力データに応じて複数種類のクラスタセットを生成する。そして、各クラスタセットの有効性に応じた重みを動的に付与して、ユーザクラスタでのコンテンツの人気度合いを集計し、推薦コンテンツを決定する。これにより、有効性が高いクラスタリング結果のユーザクラスタほど、そのユーザクラスタにおける人気度合いが最終的な推薦コンテンツに反映されることになる。このように、複数態様のクラスタリングを実行して、結果として有効であったクラスタリングを推薦コンテンツに重く反映させることで、有効なクラスタリングの態様を予め画一的に決定することは困難であっても推薦コンテンツの精度を高めることができる。
【0083】
またコンテンツ推薦装置12によれば、各クラスタでのコンテンツの人気度合い(すなわちタイトルポイント)が、コンテンツ再生装置14において再生済のコンテンツ(すなわち再生済タイトル)にもとづいて決定される。コンテンツの起動回数や再生期間はコンテンツの内容やジャンルにより傾向が異なるため、複数種類のコンテンツを公平に評価することは難しい場合がある。これに対して、再生済タイトルで評価することにより、複数種類のコンテンツを公平に評価して各々の人気度合いを決定しやすくなる。
【0084】
なお、クラスタリングの入力データや、その集計期間、クラスタセットが内包するクラスタ数は適宜見直され、また、新たな種類の入力データや、集計期間、クラスタセットが適宜追加されてもよい。このように、運用者による効果の評価に応じて、推薦コンテンツを決定するための仕組みを柔軟に変更可能な推薦情報提供システム100が実現される。例えば、クラスタリングの入力データとして、コンテンツに対するユーザの評価度合いや、コンテンツの進行状況(例えばゲームにおける達成率等)が追加されてもよい。
【0085】
以上、本発明を第1の実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を示す。
【0086】
第1の変形例を説明する。上記第1実施形態では、有効性判定部32が、クラスタリングの有効性を判定して、クラスタセットの重みを動的に決定した。変形例では、クラスタセットの重みは、推薦情報提供システム100の運用者により予め静的に定められてもよい。例えば、クラスタセットの属性を考慮した重みが定められていてもよい。
【0087】
図14は、クラスタセットへの重み付けの設定例を示す。同図の重みIDは、図6のW1〜W18に対応する。図14の例では、集計期間が同じ場合には内包するクラスタ数が少ないクラスタセットほど大きな重み付け値が付与される。これにより、おおまかなユーザ分類におけるコンテンツの人気度合いに重点を置きつつ、詳細なユーザ分類におけるコンテンツの人気度合いも加味することができる。おおまかなユーザ分類で人気のコンテンツは、嗜好がおおまかに類似する多数のユーザが支持するコンテンツである。その一方、詳細なユーザ分類において人気のコンテンツは、嗜好が細分化された比較的少数のユーザが支持するコンテンツである。そのため、おおまかなユーザ分類で人気のコンテンツを重く評価する方が、結果として推薦コンテンツの精度が高まるという本発明者の知見にもとづいている。
【0088】
また図14の例では、クラスタ数が同じ場合には長期よりも短期のクラスタセットへ大きな重み付けが付与される。直近で人気のコンテンツの方がユーザの購買意欲をより刺激し、また、推薦コンテンツの内容も比較的変動しやすいという本発明者の知見にもとづいている。なお、クラスタセットの重みは、コンテンツ推薦装置12による推薦情報提供の効果を判断した運用者が適宜見直すこともできる。
【0089】
第2の変形例を説明する。上記第1実施形態では、有効性判定部32は、各タイトルに対するクラスタのエントロピーH(Z,T)もしくはH(Z|T)を用いてクラスタZとタイトルTの相関度合いを判定した。変形例では、エントロピーに代えて相互情報量I(Z;T)を用いてクラスタZとタイトルTの相関度合いを判定してもよい。
具体的には、有効性判定部32は、以下の数1で示すように相互情報量I(Z;T)を求めてもよい。また、相互情報量が大きいほどZとTの強い相互依存性を示すため、相互情報量が大きいほど有効なクラスタリングであると判定してもよい。
【数1】

なお、相互情報量を正規化するために、有効性判定部32は、相互情報量I(Z;T)をエントロピーH(Z)で割った値を算出し、その値が大きいほど有効なクラスタリングであると判定してもよい。
【0090】
第3の変形例を説明する。有効性判定部32は、相関度I(Z;T)/H(Z,T)、すなわちエントロピーに対する相互情報量の比率を用いてクラスタZとタイトルTの相関度合いを判定してもよい。また、上記相関度が大きいほど有効なクラスタリングであると判定してもよい。
【0091】
第4の変形例を説明する。上記第1実施形態では、人気コンテンツ決定部30が、コンテンツ再生装置14における再生済タイトル数をクラスタごとに集計して、各クラスタにおける各コンテンツの人気順位を決定した。そして、その人気順位に応じたタイトルポイントを各コンテンツに付与することとした。人気順位の決定に関する変形例として、各クラスタにおける各タイトルの相関度合い、例えば、出現確率p(ti|z)に応じて各タイトルの人気順位を決定してもよい。具体的には、あるクラスタとの相関が高いタイトルほど、例えば、あるクラスタにおいて出現確率が高いタイトルほど、そのクラスタで高い人気順位を付与してもよい。
【0092】
また、特定のクラスタに集中しているタイトルの人気順位を上げるために、各クラスタにおける各タイトルの出現確率p(ti|z)を、特定のタイトルについてのクラスタセットでのエントロピーH(Z|t)により重み付けしてもよい。例えば、あるクラスタにおいてp(t|z)×(Hmax−H(Z|t))が大きいタイトルほど、クラスタでの出現確率が高い一方でクラスタセットでのエントロピーは低いため、そのクラスタで高い人気順位を付与してもよい。
【0093】
また、タイトルポイントの付与に関する変形例として、上記の出現確率や、その出現確率をクラスタセットでのエントロピーで重み付けした値そのものをタイトルポイントとして各コンテンツに付与してもよい。
【0094】
第5の変形例を説明する。上記第1実施形態では特に言及していないが、推薦コンテンツ決定部34は、各クラスタのタイトルポイントを集計することによりユーザへの推薦コンテンツを一旦決定した後、ユーザに関する属性情報や、ユーザによるコンテンツの利用状況、ビジネスルール等にしたがって、推薦コンテンツの内容をさらに調整してもよい。例えば、利用状況保持部20を参照して、推薦先ユーザのコンテンツ再生装置14において再生済のコンテンツはそのユーザへの推薦コンテンツから除外してもよい。また、コンテンツに対して設定された年齢制限を参照して、ユーザの年齢に応じて推薦すべきでないコンテンツはそのユーザの推薦コンテンツから除外してもよい。また、販売促進の対象コンテンツは、そのタイトルポイントによらず、推薦コンテンツに含めてもよい。
【0095】
第6の変形例を説明する。上記第1実施形態では特に言及していないが、クラスタリング部28によるクラスタリング処理は、推薦情報の更新とは非同期に(より低頻度で)行われてもよい。例えば、推薦情報の更新が日々行われる場合でも、クラスタリング処理は数日や1週間程度の間隔をおいて実行されてもよい。これにより、コンテンツ推薦装置12の処理負荷を軽減できる。また、一旦決定されたクラスタリングセットをある程度の期間継続使用することで比較的安定した推薦内容を得ることができる。また、クラスタリング処理の非実行日には、クラスタリング処理(例えば図13のS16およびS18)をスキップしてもよい。この場合、前回のクラスタリング処理において決定したクラスタセットと、最新の利用状況を用いて各クラスタでの各コンテンツの人気順位を更新し、ユーザへの推薦コンテンツを更新してもよい。これにより、コンテンツ推薦装置12の処理負荷を軽減しつつ、ユーザに対する推薦情報の更新も実現できる。
【0096】
第7の変形例を説明する。上記第1実施形態では特に言及していないが、コンテンツ推薦装置12のクラスタリング部28は、各ユーザのコンテンツ利用における習慣を示す情報(以下、「UAV(User Activity Vector)」とも呼ぶ。)にもとづいてユーザをクラスタリングしてもよい。本変形例でのUAVは、第1実施形態における起動回数・再生期間・再生済タイトルと同列のデータであり、所定周期で繰り返される所定期間(例えば、所定の時間帯や曜日)におけるコンテンツの利用頻度を示すものであるとする。
【0097】
例えば、曜日別に集計されたUAVとして、曜日ごとにコンテンツ再生装置14においていずれかのコンテンツを再生した合計回数や合計時間が集計されて利用状況保持部20に保持されてもよい。クラスタリング部28は、UAVが示す各ユーザの曜日別の利用頻度(例えば7次元のベクトル値)にもとづいて、k−means法等の公知のアルゴリズムにしたがってユーザをクラスタリングしてもよい。本変形例は、ユーザをクラスタリングする新たな指標を提案するものであり、クラスタリング後の処理(例えば、図13のS18以降)は上記第1実施形態と同様である。
【0098】
また時間帯別に集計されたUAVとして、24時間を8等分した3時間ごとに、コンテンツ再生装置14におけるコンテンツ再生の合計回数や合計期間が集計されて利用状況保持部20に保持されてもよい。クラスタリング部28は、UAVが示す各ユーザの時間帯別の利用頻度(例えば8次元のベクトル値)にもとづいてユーザをクラスタリングしてもよい。
【0099】
また曜日および時間帯別に集計されたUAVとして、曜日(7通り)と時間帯(ここでは8通りとする)の組み合わせである56種類の期間ごとに、コンテンツ再生装置14におけるコンテンツ再生の合計回数や合計期間が集計されて利用状況保持部20に保持されてもよい。クラスタリング部28は、UAVが示す56次元のベクトルにもとづいてユーザをクラスタリングしてもよい。なお、56次元のベクトルは一般的に疎な値になると考えられるため、K−means法等によるクラスタリングの前にPLSAによる次元削減が行われることが望ましい。
【0100】
この変形例によれば、ユーザのコンテンツ利用に関する習慣を加味して推薦情報を決定できる。例えば、推薦先ユーザへの推薦情報として、習慣が類似する他ユーザの間で人気のコンテンツを提示できる。なおUAVは、コンテンツの内容を捨象して、種々のジャンルに亘って何らかのコンテンツを利用したという行動が記録されたものでもよく、コンテンツのジャンル(スポーツやRPG等)ごとに記録されたものでもよい。
【0101】
第8の変形例を説明する。コンテンツ推薦装置12は、コンテンツ推薦装置12による推薦情報を管理すべき管理者の端末から、推薦コンテンツの決定に対して調整を施すための調整データを受け付ける調整情報受付部をさらに備えてもよい。第1実施形態の推薦コンテンツ決定部34は、クラスタセットの有効性に応じて付与すべき定められた重みを、管理者から受け付けられた調整データにしたがって更新する。この調整データは、例えば、各クラスタセットに付与すべき重みの分散を大きくするものでもよく、小さくするものでもよく、管理者の判断により設定される。
【0102】
また第1の変形例の推薦コンテンツ決定部34は、クラスタセットが内包するクラスタ数にもとづく重みと、利用状況の集計期間にもとづく重みのそれぞれを、管理者から受け付けられた調整データにしたがって更新する。この調整データは、例えば、各クラスタセットに付与すべき重みの分散を大きくするものでもよく、小さくするものでもよい。また、重みの付与基準を逆転させるものでもよい。例えば、クラスタセットが内包するクラスタ数が多いほど大きな重みを付与するよう変更を指示するものでもよく、集計期間が長いほど大きな重みを付与するよう変更を指示するものでもよい。また、第1実施形態および第1の変形例の推薦コンテンツ決定部34は、調整データが重みそのものを指定する場合、予め定められた重みに代えて、調整データが示す重みを優先して使用してもよい。
【0103】
この変形例によれば、各ユーザクラスタに対して付与すべき、予め定められた重みや、クラスタリングの有効性にもとづく計算により自動決定された重みを、管理者が適宜補正できる。これにより、コンテンツの販売に対する管理者の戦略を反映したコンテンツ推薦を実現できる。
【0104】
(第2の実施の形態)
図15は、第2の実施の形態(以下、「第2実施形態」とも呼ぶ。)の推薦情報提供システムの構成を示す。第2実施形態の推薦情報提供システム100は、第1実施形態の推薦情報提供システム10に対応する構成であり、地域担当者端末104をさらに備える。以下、第1実施形態にて既述の内容は適宜省略する。
【0105】
コンテンツ推薦装置102は、第1実施形態のコンテンツ推薦装置12に対応し、コンテンツの推薦情報の表示用データ(以下、単に「推薦表示画面」とも呼ぶ。)をコンテンツ再生装置14へ提供する。そのハードウェア構成は図4に示したとおりである。
【0106】
地域担当者端末104は、日本・北米・欧州等の各地域でコンテンツの販売を担当している地域担当者がそれぞれ操作するPC端末であり、そのハードウェア構成も図4に示したとおりである。地域担当者端末104は、地域担当者が定めた情報であり、各地域におけるコンテンツ推薦の態様を定めた情報(以下、「地域設定情報」とも呼ぶ)をコンテンツ推薦装置102へ送信する。この地域設定情報には、以下の3種類の情報が含まれる。
【0107】
(1)地域販促情報:
特定の地域における販売促進対象のコンテンツ(以下、「販促対象タイトル」とも呼ぶ。)を示す情報である。なお、販促対象タイトルには、複数種類の推薦コンテンツの中からユーザへの提示対象としてどの種類が選択されるかに関わらず、常にユーザに推薦すべき(推薦画面に含めるべき)コンテンツを示す「常時推薦タイトル」が含まれる。
(2)地域レイアウト情報:
特定の地域における推薦表示画面のレイアウトを示す情報である。具体的には、推薦表示画面での推薦コンテンツの配置態様を定める。
(3)地域切替規則:
特定の地域においてユーザに提供する推薦情報の種類と、その種類を切り替える条件となる切替間隔、言い換えれば特定の種類の推薦情報を提供する継続期間を定めた情報である。
【0108】
なお、図15では地域担当者端末104を1つ描いているが、推薦情報提供システム100は、複数の地域担当者に対応する複数の地域担当者端末104を備えてもよいことはもちろんである。
【0109】
図16は、図15のコンテンツ推薦装置102の機能構成を示すブロック図である。コンテンツ推薦装置102は、各種データを格納するための記憶領域として、切替規則保持部110と、販促情報保持部112と、レイアウト保持部114と、タイトル属性保持部116と、推薦履歴保持部118と、再生済タイトル保持部120と、地域別人気保持部122と、クラスタ別人気保持部124と、利用関連情報保持部126と、マトリクス保持部128と、推薦情報保持部130と、コンテンツ情報保持部132と、ユーザ情報保持部144とを備える。さらに、各種データ処理の実行のための機能ブロックとして、地域設定取得部134と、ログ取得部136と、ログ解析部138と、クラスタ分析部140と、有効性判定部141と、推薦コンテンツ決定部142と、要求受付部146と、選択部148と、表示態様決定部150と、推薦情報提供部152とを備える。
【0110】
図16の各機能ブロックは、プログラムモジュールとして図4のリムーバブル記録媒体626に格納されて、記憶部634へインストールされてよい。また、図16のデータ処理に関する各機能ブロックは、メインメモリ608へ適宜ロードされて、メインCPU600やGPU602により実行されてもよい。
【0111】
ユーザ情報保持部144は、複数のユーザのそれぞれに関する属性情報を保持する。第2実施形態では、少なくとも各ユーザのIDと、各ユーザの居住地域のIDとの対応関係を保持する。
【0112】
推薦情報保持部130は、ユーザに推薦すべきコンテンツに関する情報であり、推薦コンテンツ決定部142により決定された推薦コンテンツの情報を保持する。図17は、推薦情報保持部130に格納されるデータの構成例を示す。推薦情報保持部130は、各ユーザのIDに対応づけて、複数種類の指標にもとづいて決定された複数種類の推薦タイトルを保持する。第2実施形態では8種類の推薦タイトルを保持することとする。それぞれの推薦タイトルには、特定の指標にもとづいて推薦コンテンツとして決定された複数のコンテンツ(ゲームタイトル、ゲームアプリケーション)のIDが、各々の推薦順位順に整列された状態で格納される。
【0113】
図16に戻り、切替規則保持部110は、地域切替規則を保持する。例えば、日本の地域切替規則には、第1〜第8指標推薦タイトルを1日で順次切り替えることが定められてもよい。その一方で北米の地域切替規則には、第1〜第5指標推薦タイトルを2日で順次切り替えることが定められてもよい。また、第2指標推薦タイトル→第8指標推薦タイトル→5指標推薦タイトル・・・のように、推薦タイトルの切替順序がさらに定められてもよい。販促情報保持部112は、地域販促情報を保持する。例えば、1つ以上の販促対象タイトルのIDを保持してもよい。
【0114】
レイアウト保持部114は、地域レイアウト情報を保持する。例えば、図11の推薦コンテンツ表示領域358におけるサムネイル362の配置態様や、図12の推薦コンテンツ表示領域374における個別コンテンツ表示領域376の配置態様を保持する。図18は、地域レイアウト情報を模式的に示す。同図では、推薦コンテンツ表示領域358の表示態様として、ストア入口アイコン360を除く5つのサムネイル画像設定領域のうち、1つを常時推薦タイトルの設定領域とし、残りの4つを地域切替規則により動的に切り替えられる推薦タイトルの設定領域として定めている。
【0115】
図16に戻り、タイトル属性保持部116は、複数のコンテンツそれぞれに関する属性情報を保持する。具体的には、各ゲームタイトルについて、そのジャンルや、関連する他のタイトル(「関連シリーズ」とも呼ぶ。)、関連するアイテム(「関連アイテム」とも呼ぶ。)を示す情報を保持する。例えば、ゲームタイトル「○○野球8」の関連シリーズとして、同シリーズの「○○野球7」や「○○ゴルフ」のIDが保持されてもよい。また関連アイテムとして、「○○野球8」のBGMを収録したCDや、キャラクタグッズのIDが保持されてもよい。
【0116】
推薦履歴保持部118は、各コンテンツ再生装置14(すなわち各ユーザ)に対して過去に推薦済のコンテンツを示す情報を保持する。再生済タイトル保持部120は、コンテンツ再生装置14で既に再生済であり、言い換えれば既に利用されたコンテンツを示す情報(第1実施形態での再生済タイトル)を保持する。
【0117】
地域別人気保持部122は、日本・北米・欧州等の各地域における各コンテンツの人気状況を示す情報(以下、「地域人気タイトル」とも呼ぶ。)を保持する。第2実施形態では地域人気タイトルとして以下の3種類の情報を保持する。
【0118】
(1)再生ユーザ数を基準とする地域人気タイトル:
各ゲームタイトルを再生したユーザの数を地域ごとに集計し、そのユーザ数が多いコンテンツほど高い人気順位を付与した、各ゲームタイトルの人気順位を示す情報である。
(2)進行度合いを基準とする地域人気タイトル:
各ユーザによるゲーム遊技の進行度合いを地域ごとに集計し、その進行度合いが高い(例えばゲームのクリア回数が多い)ゲームタイトルほど高い人気順位を付与した、各ゲームタイトルの人気順位を示す情報である。
(3)評価度合いを基準とする地域人気タイトル:
各ユーザによる各ゲームタイトルへの評価を地域ごとに集計し、その評価が高いゲームタイトルほど高い人気順位を付与した、各ゲームタイトルの人気順位を示す情報である。
【0119】
クラスタ別人気保持部124は、行動や嗜好が類似するユーザのグループであるクラスタについて、各クラスタにおける各コンテンツの人気度合いを示す情報(以下、「クラスタ人気タイトル」とも呼ぶ。)を保持する。具体的には、第1実施形態での人気コンテンツ決定部30の処理結果、言い換えれば、図6で示したクラスタ内人気順位を保持する。
【0120】
なお、再生済タイトル保持部120、地域別人気保持部122、およびクラスタ別人気保持部124は、ユーザによるコンテンツの利用に関する情報を保持する機能ブロックとして、包括的に利用関連情報保持部126と位置づけられる。
【0121】
マトリクス保持部128は、クラスタリングの元データとなる各種マトリクスのデータを保持する。具体的には、第1実施形態の短期BFマトリクス、長期BFマトリクス、短期PTマトリクス、長期PTマトリクス、短期UTマトリクス、長期UTマトリクスを保持する。コンテンツ情報保持部132は、第1実施形態のコンテンツ情報保持部24に対応し、複数のコンテンツのそれぞれに関する各種情報を保持する。
【0122】
地域設定取得部134は、各地域の地域担当者が定めた地域設定情報を地域担当者端末104から取得する。そして、地域設定情報のうち地域切替規則を切替規則保持部110へ格納し、地域販促情報を販促情報保持部112へ格納し、地域レイアウト情報をレイアウト保持部114へ格納する。
【0123】
ログ取得部136は、遊技状況ログと、進行状況ログと、評価状況ログとを、各地域に居住するユーザのコンテンツ再生装置14から取得する。また、購買実績ログをコンテンツ再生装置14やオンラインストアサーバ16から取得し、推薦実績ログをコンテンツ推薦装置102の所定の記憶領域から取得する。遊技状況ログには、各ユーザがゲームタイトルを遊技(再生)した回数と、遊技(再生)した期間が記録される。進行状況ログには、各ユーザによるゲームの進行度合い(例えば、クリアすべき複数ステージのうちクリアしたステージの割合等)が記録される。評価状況ログには、各ユーザによる各ゲームタイトルへの評価の度合い(高低)が記録される。購買実績ログには、ユーザが購入した、言い換えればコンテンツ再生装置14にインストールされたゲームタイトルが記録される。推薦実績ログには、各ユーザに対して推薦したゲームタイトルが記録される。
【0124】
ログ解析部138は、各種ログ情報を解析して、その解析結果により各種データベースを更新する。具体的には、遊技状況ログおよび購買実績ログを参照して、各ユーザにおける再生済タイトルを再生済タイトル保持部120へ格納するとともに、上記の各種マトリクスのデータを設定してマトリクス保持部128へ格納する。また推薦実績ログを参照して、各ユーザへ推薦したゲームタイトルを推薦履歴保持部118へ格納することにより、推薦履歴保持部118の推薦履歴を更新する。
【0125】
またログ解析部138は、遊技状況ログを参照して各地域における各ゲームタイトルの再生数を集計することにより地域人気タイトル(再生数基準)を設定し、地域別人気保持部122へ格納する。また進行状況ログを参照して各地域における各ゲームタイトルの進行状況を集計することにより地域人気タイトル(進行度合い基準)を設定し、地域別人気保持部122へ格納する。例えば、平均的な進行度合いが大きなゲームタイトルほど高い人気順位としてもよい。また評価状況ログを参照して各地域における各ゲームタイトルの評価状況を集計することにより地域人気タイトル(評価度合い基準)を設定し、地域別人気保持部122へ格納する。
【0126】
クラスタ分析部140は、第1実施形態のクラスタリング部28および人気コンテンツ決定部30に対応し、マトリクス保持部128に格納されたマトリクスデータにもとづき複数種のクラスタセットを生成する。そして、各クラスタセットの各クラスタにおけるタイトルポイントを設定し、各クラスタにおける各コンテンツの人気の度合いを示す情報(第1実施形態でのクラスタ内人気順位)をクラスタ人気タイトルとしてクラスタ別人気保持部124へ格納する。
【0127】
有効性判定部141は、第1実施形態の有効性判定部32に対応し、クラスタ分析部140によるクラスタリングの有効性を判定し、その有効性の高低に応じた重み付け値を各クラスタセットへ付与する。
【0128】
推薦コンテンツ決定部142は、ユーザ情報保持部144、販促情報保持部112、タイトル属性保持部116、推薦履歴保持部118、再生済タイトル保持部120、地域別人気保持部122、クラスタ別人気保持部124それぞれの格納データを参照し、8種類の推薦タイトル(第1〜第8指標推薦タイトル)を設定して推薦情報保持部130へ格納する。推薦タイトルの設定方法は図20に関連して後述する。
【0129】
選択部148は、推薦履歴保持部118の地域切替規則が更新された際、その地域切替規則を参照して推薦タイトルの選択規則を設定し保持する。図19は、推薦タイトルの選択規則の一例を示す。同図は、日本の地域切替規則が第1〜第8指標推薦タイトルについて1日経過毎の切替を指定した場合の選択規則を示している。また、北米の地域切替規則が第1〜第8指標推薦タイトルについて2日経過毎の切替を指定し、欧州の地域切替規則が第1〜第3指標推薦タイトル、第5〜第8指標推薦タイトルについて1日経過毎の切替を指定した場合の選択規則を示している。
【0130】
図16に戻り、要求受付部146は、第1実施形態の要求受付部36と同様に、通信部630を介して、推薦情報要求をコンテンツ再生装置14から受け付ける。第2実施形態の推薦情報要求も、ユーザIDと画面IDとを含む。
【0131】
選択部148は、ユーザ情報保持部144を参照して、推薦情報要求のユーザIDにしたがってユーザの地域IDを特定し、選択規則においてその地域IDに対応するレコードを参照して、ユーザに提供すべき推薦タイトルの種類を特定する。言い換えれば、コンテンツ再生装置14からの推薦情報要求に対して、第1〜第8指標推薦タイトルのいずれかを選択する。そして、特定した種類の推薦タイトルであり、推薦情報要求のユーザIDに対応する推薦タイトルを推薦情報保持部130から取得して表示態様決定部150へ通知する。
【0132】
表示態様決定部150は、販促情報保持部112およびレイアウト保持部114を参照して、ユーザIDにより特定される地域ID(すなわちユーザが居住する地域)に対応する地域販促情報および地域レイアウト情報を特定する。そして、地域販促情報および地域レイアウト情報にしたがって、ユーザに提示する推薦情報の表示態様を決定する。具体的には、推薦画面における常時推薦タイトル領域には、販促情報保持部112の地域販促情報で指定された常時推薦タイトルを設定する。その一方で動的推薦タイトル領域には、選択部148より受け付けた推薦タイトルを設定する。そして、推薦画面に設定すべき各タイトルの関連データ(サムネイル画像等)をコンテンツ情報保持部132から取得して推薦画面のデータに設定する。
【0133】
推薦情報提供部152は、表示態様決定部150により設定された推薦画面のデータを推薦情報として要求元のコンテンツ再生装置14へ提供する。この推薦画面のデータは、例えば、図11の推薦コンテンツ表示領域358の表示用データや、図12の推薦コンテンツ表示領域374の表示用データである。推薦情報提供部152は、ユーザへ提示した推薦コンテンツを示す情報を推薦実績ログとして所定の記憶領域へ逐次格納する。
【0134】
図20は、コンテンツ推薦装置102における推薦情報の設定過程を示す模式図である。ここでは、ある1人のユーザ(以下、「推薦対象ユーザ」とも呼ぶ。)に対する推薦情報の設定過程を説明する。
【0135】
推薦コンテンツ決定部142は、販促情報保持部112を参照して、推薦対象ユーザが居住する地域の販促対象タイトルを特定する。そしてその販促対象タイトルから、再生済タイトル保持部120に保持されたユーザの再生済タイトルを除外する。さらに、推薦履歴保持部118に保持されたユーザへの推薦済タイトルも除外する。推薦情報提供部152は、残存したゲームタイトルを第1指標推薦タイトルとして決定する。なお、販促対象タイトルが地域担当者により未指定である場合、もしくは、その指定数が所定数以下である場合、推薦コンテンツ決定部142は、地域人気タイトル(再生ユーザ数基準、進行度合い基準、評価度合い基準)を適宜組み合わせて販促対象タイトルに代替する。
【0136】
また推薦コンテンツ決定部142は、地域別人気保持部122を参照して、推薦対象ユーザが居住する地域の地域人気タイトルを特定する。そして、地域人気タイトル(再生ユーザ数)からユーザの再生済タイトルを除外した結果を第2指標推薦タイトルとして決定する。同様に、地域人気タイトル(進行度合い)と地域人気タイトル(評価度合い)のそれぞれからユーザの再生済タイトルを除外した結果を、それぞれ第3指標推薦タイトル、第4指標推薦タイトルとして決定する。
【0137】
また推薦コンテンツ決定部142は、クラスタ別人気保持部124に保持されたクラスタ人気タイトルから、第1実施形態の推薦コンテンツ決定部34と同様の方法で推薦タイトルを決定する。具体的には、有効性判定部141により決定された各クラスタセットの有効性を加味して複数のユーザクラスタにおけるタイトルポイントを集計することにより、行動や嗜好が類似するユーザ間で人気のゲームタイトルを特定する。推薦コンテンツ決定部142は、類似ユーザ間で人気のゲームタイトルから、ユーザの再生済タイトルおよび推薦済タイトルを除外する。そして残存したゲームタイトルのうち、上位(例えばタイトルポイントの集計値が1位〜5位)のゲームタイトルを第5指標推薦タイトルとして決定し、中位(例えばタイトルポイントの集計値が6位〜10位)のゲームタイトルを第6指標推薦タイトルとして決定する。
【0138】
また推薦コンテンツ決定部142は、タイトル属性保持部116を参照して、ユーザの再生済タイトルの関連シリーズおよび関連アイテムを特定する。そして、関連シリーズから、ユーザの再生済タイトルおよび推薦済タイトルを除外した結果と、関連アイテムから、ユーザへの推薦済タイトルを除外した結果とをあわせて第7指標推薦タイトルとして決定する。
【0139】
また推薦コンテンツ決定部142は、ユーザの再生済タイトルと同ジャンルのタイトルをタイトル属性保持部116から検索し、同ジャンルのタイトルから、ユーザの再生済タイトルおよび推薦済タイトルを除外した結果を第8指標推薦タイトルとして決定する。その際、ユーザの再生済コンテンツにおけるジャンルの比率に応じて、各ジャンルから推薦コンテンツを選択してもよい。言い換えれば、ユーザの再生済コンテンツにおける比率が高いジャンルほど、そのジャンルから多くの推薦コンテンツを選択してもよい。
【0140】
選択部148は、ユーザの居住地域の地域切替規則により設定した選択規則を参照して、第1〜第8指標推薦タイトルのいずれかを選択する。表示態様決定部150は、ユーザの居住地域の地域レイアウト情報にしたがって、常時推薦タイトルおよび選択部148により選択された推薦タイトルを適宜配置した推薦情報の表示画面データを設定する。例えば、常時推薦タイトルが指定されている場合、予め地域担当者により定められた推薦画面の領域へ、そのサムネイル画像等を設定する。
【0141】
以上の構成による動作を以下説明する。
図21は、コンテンツ推薦装置102の動作を示すフローチャートである。地域担当者端末104から地域設定情報を受け付けると(S100のY)、地域設定取得部134は切替規則保持部110に保持された地域切替規則、販促情報保持部112に保持された地域販促情報、レイアウト保持部114に保持された地域レイアウト情報を更新する(S102)。選択部148は、地域切替規則の更新内容にしたがって推薦タイトルの選択規則を更新する(S104)。地域設定情報を受け付けなければ(S100のN)、S102およびS104はスキップされる。
【0142】
ログ取得部136は、コンテンツ再生装置14およびオンラインストアサーバ16等、外部から各種ログを定期的に取得する。各種ログが取得されると(S106のY)、ログ解析部138は、各種ログのデータを解析して推薦履歴保持部118、利用関連情報保持部126、マトリクス保持部128の格納データを更新する(S108)。クラスタ分析部140は、マトリクス保持部128に格納されたマトリクスにもとづいてユーザをクラスタリングし、各クラスタにおけるゲームタイトルの人気度合いを決定して、処理結果を利用関連情報保持部126へ格納する(S110)。推薦コンテンツ決定部142は、複数のデータベースに格納された複数の指標を参照し、複数の指標に対応した複数種類の推薦タイトルを決定して推薦情報保持部130へ格納する(S122)。ログが未取得であれば(S106のN)、S108〜S112はスキップされる。
【0143】
要求受付部146がコンテンツ再生装置14から推薦情報要求を受け付けると(S114のY)、選択部148は選択規則にしたがってユーザの居住地域に応じた種類の推薦タイトルを選択する(S116)。表示態様決定部150は、ユーザの居住地域に応じた地域レイアウト情報にしたがって推薦タイトル(常時推薦タイトルを含む)を配置した推薦画面のデータを設定する(S118)。推薦情報提供部152は、推薦画面のデータをコンテンツ再生装置14へ提供して表示させる(S120)。推薦情報要求を受け付けなければ(S114のN)、S116〜S120はスキップされる。
【0144】
なお、図21のS100〜S112の処理は、3日等の所定の頻度で、夜間等の所定の時間帯に、バッチ処理として実行されてもよい。その一方で、S114〜S120の処理は、推薦情報要求がコンテンツ再生装置14から受け付けられたことを契機として、オンデマンドに実行される。
【0145】
第2実施形態のコンテンツ推薦装置102によれば、複数種類の指標にもとづく複数種類の推薦タイトルが、例えば1日経過毎に切り替えられて、順次ユーザへ提示される。これにより、ユーザの行動や嗜好が変化しない場合でも、日々の推薦タイトルの内容を変化に富んだものにしてユーザの購買意欲を向上させることができる。例えば、推薦先ユーザと同一の地域に居住するユーザのグループにおいて人気のタイトルと、推薦先ユーザと行動や嗜好が類似するユーザのグループにおいて人気のタイトルは、どちらも推薦先ユーザにとって有用な情報でありつつ、その内容は異なることが多い。コンテンツ推薦装置102によれば、このような異なる指標にもとづく異なる内容の推薦情報を、日々切り替えて順次ユーザへ提示することにより、コンテンツの購買に関するユーザの意思決定を支援し、コンテンツの購買を促進できる。また、ある時点でユーザに提示する推薦コンテンツは特定種類の指標に基づくものであるため、複数の推薦コンテンツの一部が重複することも回避される。
【0146】
なお、複数種類の指標にもとづく複数種類の推薦タイトルを日々切り替えてユーザに提示する場合、ある指標Aにもとづく推薦タイトルが提示されてから、その指標Aにもとづく推薦タイトルが再度提示されるまでには、ある程度の期間が生じる。そして、その期間内に、ユーザの行動や嗜好に変化が生じて指標Aにもとづく推薦タイトルが変化する可能性もある。このように、同一の指標にもとづく推薦タイトルであっても時間の経過とともに変化するため、ユーザに対して日々新しい推薦コンテンツを提示しやすくなる。
【0147】
またコンテンツ推薦装置102によれば、地域担当者が定めたビジネスルール(切替規則、推薦画面のレイアウト、販促対象タイトル)にしたがって、コンテンツ推薦を実施できる。すなわち、国や地域によりコンテンツ推薦の戦略が異なる場合も、各国や各地域の戦略に柔軟に対応できる。例えば、いずれの種類の推薦タイトルをユーザへ提示する場合でも、地域担当者により常時推薦タイトルの指定がある場合は、その常時推薦タイトルを他の推薦タイトルとともにユーザへ提示する。これにより、各国や各地域におけるコンテンツの販売戦略を支援できる。
【0148】
またコンテンツ推薦装置102によれば、ユーザの再生済タイトルは推薦タイトルから適宜除外される。これにより、ユーザによる新たな購入可能性が高いタイトルをユーザへ推薦しやすくなる。また、ユーザへの推薦済タイトルは推薦タイトルから適宜除外される。これにより、ユーザへ未提示の情報、すなわちユーザにとって未知の情報を提供しやすくなる。
【0149】
以上、本発明を第2の実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を示す。
【0150】
第1の変形例を説明する。上記第2実施形態では言及していないが、地域切替規則における切替間隔は、ある種類の推薦タイトルが選択部148により選択されてから、他の種類の推薦タイトルを経て、当該種類の推薦タイトルが再度選択されるまでの期間が、当該種類の推薦タイトルの内容に変化が生じると想定される期間以上となるように設定されることが望ましい。例えば、第1〜第8指標推薦タイトルを順次切り替えてユーザに提供する場合、第1指標推薦タイトルが変化するまでの期間が8日以内であれば、切替間隔として「1日」が設定されてもよい。また、9日以上であれば切替間隔として「2日」が設定されてもよい。これにより、同じ種類の推薦タイトルが選択される場合でも、ある時点の推薦内容と、次の時点の推薦内容とを異なるものにでき、変化に富んだコンテンツ推薦を実現しやすくなる。
【0151】
第2の変形例を説明する。上記第2実施形態では言及していないが、常時推薦タイトルと、推薦コンテンツ決定部142により動的に決定された推薦タイトルとは、外観による区別が困難な態様(例えば外観上、同じ表示態様)で推薦画面に設定されることが望ましい。言い換えれば、推薦画面に提示された複数の推薦コンテンツから、販売促進対象の常時推薦タイトルの識別が困難であるように推薦画面が設定されることが望ましい。これにより、ユーザに先入観を抱かせることなく推薦情報を確認させることができる。
【0152】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0153】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0154】
10 推薦情報提供システム、 12 コンテンツ推薦装置、 14 コンテンツ再生装置、 16 オンラインストアサーバ、 20 利用状況保持部、 22 推薦情報保持部、 24 コンテンツ情報保持部、 26 利用状況取得部、 28 クラスタリング部、 30 人気コンテンツ決定部、 32 有効性判定部、 34 推薦コンテンツ決定部、 36 要求受付部、 38 推薦情報提供部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによるコンテンツの利用に関する情報として複数種類の利用関連情報を保持する利用関連情報保持部と、
前記複数種類の利用関連情報のそれぞれにしたがってユーザに推薦すべきコンテンツを推薦コンテンツとして決定し、前記複数種類の利用関連情報に対応する複数種類の推薦コンテンツを決定する推薦コンテンツ決定部と、
特定の地域におけるコンテンツの販売を担当する地域担当者が定めた規則であって、推薦コンテンツの種類を切り替えるための期間を定めた切替規則を保持する切替規則保持部と、
前記特定の地域に居住するユーザの端末から推薦コンテンツの提示が要求された際、前記複数種類の推薦コンテンツのうち一つの種類の推薦コンテンツを選択し、前記切替規則が定める期間の経過後は別の種類の推薦コンテンツを順次選択する選択部と、
前記選択部により選択された推薦コンテンツを示す情報を前記ユーザの端末へ提供する推薦情報提供部と、
を備えることを特徴とするコンテンツ推薦装置。
【請求項2】
前記複数種類の利用関連情報は、嗜好が類似するユーザのグループにおいて人気のコンテンツを示す情報と、同一の地域に居住するユーザのグループにおいて人気のコンテンツを示す情報とを含むものであることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ推薦装置。
【請求項3】
前記地域担当者が定めた販売促進対象のコンテンツに関する情報を保持する販促情報保持部をさらに備え、
前記推薦情報提供部は、複数のコンテンツを示す情報を前記ユーザの端末へ提供し、前記複数のコンテンツの少なくとも一つには前記販売促進対象のコンテンツを含めることを特徴とする請求項1または2に記載のコンテンツ推薦装置。
【請求項4】
前記ユーザの端末において既に再生されたコンテンツを示す情報を保持する再生済コンテンツ情報保持部をさらに備え、
前記推薦コンテンツ決定部は、前記再生されたコンテンツを除外した推薦コンテンツを決定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコンテンツ推薦装置。
【請求項5】
前記ユーザの端末に対して既に推薦済のコンテンツを示す情報を保持する推薦履歴保持部をさらに備え、
前記推薦コンテンツ決定部は、前記推薦済のコンテンツを除外した推薦コンテンツを決定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のコンテンツ推薦装置。
【請求項6】
前記切替規則は、前記複数種類の推薦コンテンツのうち一つの種類の推薦コンテンツが選択されてから、他の種類の推薦コンテンツを経て、前記一つの種類の推薦コンテンツが再度選択されるまでの期間が、前記一つの種類の推薦コンテンツの内容に変化が生じると想定される期間以上となるように前記切り替えるための期間を定めたものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のコンテンツ推薦装置。
【請求項7】
コンピュータにより実行される方法であって、
ユーザによるコンテンツの利用に関する情報として複数種類の利用関連情報のそれぞれにしたがってユーザに推薦すべきコンテンツを推薦コンテンツとして決定し、前記複数種類の利用関連情報に対応する複数種類の推薦コンテンツを決定するステップと、
特定の地域に居住するユーザの端末から推薦コンテンツの提示が要求された際、前記複数種類の推薦コンテンツのうち一つの種類の推薦コンテンツを選択し、前記特定の地域におけるコンテンツの販売を担当する地域担当者により定められた推薦コンテンツの種類を切り替えるための期間の経過後は別の種類の推薦コンテンツを順次選択するステップと、
前記選択するステップにおいて選択された推薦コンテンツを示す情報を前記ユーザの端末へ提供するステップと、
を備えることを特徴とするコンテンツ推薦方法。
【請求項8】
ユーザによるコンテンツの利用に関する情報として複数種類の利用関連情報のそれぞれにしたがってユーザに推薦すべきコンテンツを推薦コンテンツとして決定し、前記複数種類の利用関連情報に対応する複数種類の推薦コンテンツを決定する機能と、
特定の地域に居住するユーザの端末から推薦コンテンツの提示が要求された際、前記複数種類の推薦コンテンツのうち一つの種類の推薦コンテンツを選択し、前記特定の地域におけるコンテンツの販売を担当する地域担当者により定められた推薦コンテンツの種類を切り替えるための期間の経過後は別の種類の推薦コンテンツを順次選択する機能と、
前記選択する機能により選択された推薦コンテンツを示す情報を前記ユーザの端末へ提供する機能と、
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−257918(P2011−257918A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131014(P2010−131014)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】