説明

コンテンツ提供システム

【課題】ネットワーク間を跨るコンテンツの利用の利便性の向上を図る。
【解決手段】第1ネットワークと異なる第2ネットワークに属する第2端末からの利用者の要求に応じて、第1ネットワークに属する第1端末からの利用者の要求に応じて、利用者が利用の権利を有する第1コンテンツに対するライセンスを発行して第1コンテンツを第1端末に提供する第1コンテンツ提供システムから得られる、利用者が第1ネットワークを通じて利用中または利用を中断した第1コンテンツを特定するコンテンツ情報と、利用者の権利を示す保有権利情報とを少なくとも用いて、利用者の権利と合致し且つ第2ネットワークで提供可能な第1コンテンツと同一のコンテンツまたは代替コンテンツである、第2端末によって利用可能な第2のコンテンツを決定する決定部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが保有するディジタルコンテンツ(以下、単に「コンテンツ」と表記)に関する権利をネットワーク上の権利管理システムで管理し、ユーザの端末装置に対し、ネットワークを通じてコンテンツに関する権利のライセンスを発行するとともに、権利に応じたコンテンツの利用を可能とする技術がある。コンテンツに関する権利は、例えば、コンテンツを入手する権利,コンテンツを再生する権利,コンテンツを印刷する権利,などがある。
【0003】
従来、ユーザが或る端末装置を用いて、ネットワーク上の権利管理サーバからライセンスを受け、ネットワーク経由でコンテンツの提供を受けている場合において、ユーザが移動し、移動先における他の端末装置を用い、移動先における他のネットワーク経由で権利管理サーバにアクセスし、上記コンテンツの継続利用を可能とする技術がある。
【0004】
また、ユーザが或る端末装置を用いて、ネットワーク上の権利管理サーバからライセンスを受け、或る配信業者からコンテンツの配信を受けている場合において、ユーザが移動し、移動先における他の端末装置を用い、移動先の他のネットワークから権利管理サーバにアクセスし、或る配信業者と提携している他の配信業者からコンテンツの配信を受けて継続利用を行うことを可能とする技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−282393号公報
【特許文献2】特開2003−244769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、以下の問題があった。
【0007】
第1に、移動先における他のネットワークにおいて、同一配信業者、或いは提携先の他の配信業者が実質的に同一のコンテンツを配信していなければ、ユーザはコンテンツを継続利用することができなかった。
【0008】
第2に、ユーザは、移動先における他の端末装置及び他のネットワークを用いて、移動元で利用していたコンテンツと実質的に同一のコンテンツを探し出し、当該コンテンツを利用するためのライセンス供与を含む手続きを自ら行わなければならなかった。
【0009】
本発明の態様の一つの目的は、ネットワーク間を跨るコンテンツの利用に係る利便性向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様の一つは、第1のネットワークに属する第1の端末からの利用者の要求に応じて、利用者が利用の権利を有する第1のコンテンツに対するライセンスを発行して前記第1のコンテンツを前記第1のネットワークを介して前記第1の端末に提供する第1のコンテンツ提供システムと、
第1のネットワークと異なる第2のネットワークに属する第2の端末からの前記利用者の要求を受信する受信部,
前記要求に応じて、前記第1のコンテンツ提供システムから得られる、前記利用者が前記第1のネットワーク及び前記第1の端末を用いて利用中または利用を中断した第1のコンテンツを特定するコンテンツ情報と、前記利用者の権利を示す保有権利情報とを少なくとも用いて、前記利用者の権利と合致し且つ前記第2ネットワークで提供可能な前記第1のコンテンツと同一のコンテンツまたは代替コンテンツである、前記第2の端末によって利用可能な第2のコンテンツを決定する決定部,
前記第2のコンテンツに対するライセンスを発行する発行部,及び
前記第2のコンテンツを前記第2のネットワークを介して前記第2の端末に提供する提供部を含む第2のコンテンツ提供システムと、
を含むコンテンツ提供システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様の一つによれば、ネットワーク間を跨るコンテンツの利用に係る利便性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るコンテンツ提供システムのネットワーク構成例を示す。
【図2】図2は、ネットワークにおける、コンテンツ配信に係る構成要素の説明図である。
【図3】図3は、図1に示したシステムにおける、利用者の認証システムの説明図である。
【図4】図4は、図1に図示したホーム管理システム,フォーリン管理システムとして適用可能な権利管理システムの構成例を示す図である。
【図5】図5は、図1に示したクリアリングハウス30の構成例を示す。
【図6】図6は、図1に示したコンテンツ配信システムの構成例を示す。
【図7】図7は、図1に示した端末装置(STB)の構成例を示す。
【図8】図8は、図1に示した端末装置(PC)の構成例を示す。
【図9】図9は、ホーム管理システムの視聴状態管理機構によって管理されるサービス継続情報のデータ構造例(サービス継続情報テーブル)を示す。
【図10】図10は、移動先端末(端末装置T2)で視聴開始後における、ホーム管理システムの視聴状態管理機構によって管理されるサービス継続情報のデータ構造例(サービス継続情報テーブル)を示す。
【図11】図11は、ホーム管理システムの保有権利DBに格納(保持)される利用者の権利情報のデータ構造例(権利テーブル)を示す。
【図12】図12は、ホーム管理システムコンテンツ・メディア選択ポリシーDBに格納(保持)されるコンテンツ・メディア選択ポリシーのデータ例を模式的に示す。
【図13】図13は、ホーム管理システム20Hで管理される、ネットワークN1向けのコンテンツルーティング情報のデータ構造例(ルーティングテーブル)を示す。
【図14】図14は、フォーリン管理システムで管理される、ネットワークN2向けのコンテンツルーティング情報のデータ構造例(ルーティングテーブル)を示す。
【図15】図15は、端末管理システムで管理される端末プロファイル情報のデータ構造例(端末管理テーブル)を示す。
【図16】図16は、クリアリングハウスで管理されるライツ系統樹記述メタデータを模式的に表す。
【図17】図17は、利用者が端末装置T1(STB)を用いてコンテンツを視聴する場合における各装置の動作及び処理の例を示すシーケンス図である。
【図18】図17に続くシーケンス図である。
【図19】図19は、利用者が端末装置T1を用いたコンテンツの視聴を中止し、端末装置T2の場所まで移動し、端末装置T1を用いて視聴していたコンテンツの視聴継続を所望する場合の動作及び処理例を示すシーケンス図である。
【図20】図19に続くシーケンス図である。
【図21】図20に続くシーケンス図である。
【図22】図21に続くシーケンス図である。
【図23】図22に続くシーケンス図である。
【図24】図24は、図19から図23に示した動作例に先だって実行される、端末認証及び加入者認証のシーケンス例を示す図である。
【図25】図25は、コンテンツルーティング情報(図13、図14)における「輻輳・障害」項目が更新される場合のシーケンス例を示す。
【図26】図26は、権利適合エンジン(図4)による、コンテンツ一覧作成処理(図21、ステップS115)の詳細例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0014】
本実施形態では、以下のようなディジタルコンテンツ(コンテンツ)に係る権利を管理する一方で、利用者(ユーザ)に対するライセンス付与(発行)を行い、ライセンスに係るコンテンツを提供するシステムについて説明する。
【0015】
(1)利用者が帰属するネットワーク上のディジタル権利管理サーバ(ホーム)で、利用者が保有するディジタル権利(ディジタルコンテンツの利用に関する権利)を管理する。そして、ユーザのネットワーク間に跨る移動に際して、移動先ネットワーク上のディジタル権利管理サーバ(フォーリン)からの認証要求に応じてディジタル権利管理サーバ(ホーム)がライセンスの正当性を認証し、ネットワーク間でサービスやメディアが異なる場合であっても、移動先のネットワークに適合したライセンスを移動先の端末装置に対して発行する。
【0016】
(2)本実施形態のディジタル権利管理システムにおいて、管理すべき情報および具備すべき機能は以下の通りである。
<1> 利用者が保有するディジタル権利情報の蓄積及び管理。
<2> 利用者の趣味・嗜好に基づく、コンテンツ・メディア選択の個人別ポリシーの管
理。
<3> 次の「ライツ系統樹記述メタデータ(図16)」の蓄積及び管理。
(i)同一の起源を有する、異なるコンテンツ、異なるメディア、異なるサービス間のライ
ツの関係を記述するメタデータ。
(ii)上記(i)のライツの入手する権利を記述するメタデータ
<4> ネットワークで利用可能なコンテンツを示すコンテンツルーティング情報の管理

<5> 移動先での利用状況に応じたコンテンツの選択。
<6> 決定されたコンテンツを利用可能とするために、取得権を行使して利用権取得ま
たは差分の清算。
<7> 移動先での利用状況に応じたライセンス発行。
【0017】
〔ネットワーク構成例〕
以下、上記<1>〜<7>に示した情報及び機能を具備するコンテンツ提供システムの実施形態について説明する。図1は、実施形態に係るコンテンツ提供システムのネットワーク構成例を示す。図1に示す例では、利用者の端末装置に対してコンテンツをそれぞれ
配信する、第1のネットワークN1(ホームネットワークN1)と、ネットワークN1と異なる第2のネットワークN2(フォーリンネットワークN2)とがある。
【0018】
ネットワークN1には、ネットワークN1を介してコンテンツを端末装置に配信するコンテンツ配信システム10(10#1)と、コンテンツ配信システム10#1によって配信されるコンテンツに関する権利を管理する権利管理システム(ホーム)20H(ホーム管理システム20Hとも表記)とが接続されている。換言すれば、ネットワークN1は、ホーム管理システム20H及びコンテンツ配信システム10#1を含んでいる。ネットワークN1に接続される(属する)端末装置(第1の端末)として、図1の例では、セットトップボックス(STB)である端末装置T1(視聴端末#1)が図示されている。
【0019】
一方、ネットワークN2には、ネットワークN2を介してコンテンツを端末装置に配信するコンテンツ配信システム10(10#n)と、コンテンツ配信システム10#n(nは0を除く自然数)によって配信されるコンテンツに関する権利を管理する権利管理システム(フォーリン)20F(フォーリン管理システム20Fとも表記)とが接続されている。すなわち、ネットワークN2は、フォーリン管理システム20F及びコンテンツ配信システム10#nを含む。ネットワークN2に接続される(属する)端末装置(第2の端末)として、図1の例では、パーソナルコンピュータ(PC)である端末装置T2(視聴端末#2)が図示されている。
【0020】
さらに、ホーム管理システム20Hとフォーリン管理システム20Fとはクリアリングハウス30と呼ばれる上位システム(上位装置)に接続されている。ここに、端末装置T1の利用者(ユーザ)は、端末装置T1を用いてコンテンツの利用(入手、再生、印刷等)に係るライセンスをホーム管理システム20Hから供与され、コンテンツ配信システム10#1から配信されるコンテンツを受信し、コンテンツを利用(例えば視聴)することができる。
【0021】
フォーリン管理システム20F及びコンテンツ配信システム10#nは、利用者が端末装置T2が配置された位置まで移動し、端末装置T2及びネットワークN2を用いて、端末装置T1を用いて利用していたコンテンツの継続利用を所望する場合に、実質的に同一のコンテンツ、または代替コンテンツを利用者に提供するために設けられている。フォーリン管理システム20Fは、同一コンテンツまたは代替コンテンツの利用に関するライセンスを端末装置T2を介して利用者に発行する。ライセンスの発行に際して、フォーリン管理システム20Fは、ホーム管理システム20Hとの連携処理を実施するとともに、クリアリングハウス30で管理されている、コンテンツに係わる権利に関する情報を参照する。
【0022】
コンテンツ配信システム10#nは、同一コンテンツまたは代替コンテンツをネットワークN2を介して端末装置T2に配信する。コンテンツ配信システム10は、各ネットワークN1,N2に対して2以上設けることができる。また、フォーリン管理システム20F及びコンテンツ配信システム10は、ホーム管理システム20Hが接続されたネットワークN1と異なる他のネットワーク毎に配置することができる。さらに、複数のフォーリン管理システム20Fを設けることもできる。
【0023】
また、ホーム管理システム20Hが接続されたネットワークN1(ホームネットワーク)においてコンテンツを配信する業者(コンテンツプロバイダ:ディストリビュータ)と、ネットワークN2(フォーリンネットワーク)においてコンテンツを配信する業者とは、同一の業者であっても良く、異なる配信業者(提携先業者)であっても良い。
【0024】
また、端末装置は、STBやPC以外の端末装置、例えば、ワークステーション(WS
),PDA(Personal Digital Assistant),セルラーフォン,スマートフォン等の様々な端末装置を適用可能である。換言すれば、ネットワークN1(N2)と端末装置との間の伝送路は、有線であっても良く、無線区間を含んでいても良い。
【0025】
図2は、ネットワークNにおける、コンテンツ配信に係る構成要素の説明図である。図2の例において、ネットワークNは、図1に示したネットワークN1,N2に相当し、端末装置(視聴端末)Tは、図1に示した端末装置T1,T2に相当する。ネットワークNには、図1に図示したようなコンテンツ配信システム10(10#1,10#nに相当)及び権利管理システム20(20H,20Fに相当)が接続されており、権利管理システム20はクリアリングハウス30に接続されている。さらに、ネットワークNは、ネットワーク管理システム40と、ネットワークNに接続される端末装置を管理する端末管理システム50とを含む。
【0026】
図3は、図1に示したシステムにおける、利用者の認証システムの説明図である。図3に示すように、ホーム管理システム20H及びフォーリン管理システム20Fの上位には、利用者の認証に対して共通に使用される共通認証システム60が設けられており、利用者の端末装置T2に対してフォーリン管理システム20Fがライセンスを発行するに当たり、共通認証システムに対して利用者の認証が要求される。
【0027】
図4は、図1に図示したホーム管理システム20H,フォーリン管理システム20Fとして適用可能な権利管理システムの構成例を示す図である。図4には、権利管理システム20として機能する情報処理装置によって実現される機能ブロックが示されている。権利管理システム20を実現する情報処理装置は、専用または汎用のコンピュータ(PC,WS,専用または汎用のサーバマシン)を適用することができる。各権利管理システム20は、権利管理システム20自身が接続されたネットワークを介する、端末装置からのコンテンツ配信要求に応じてライセンスを発行するサーバ(権利管理サーバ)として機能する。
【0028】
情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Data Signal Processor)のようなプロセッサ(演算装置)と、プロセッサの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置(ストレージ:記憶媒体)と、プログラムやデータを記憶するROM(Read Only Memory),ハードディスクドライブ(HDD),ディスク記憶媒体(CD,DVD,ブルーレイディスク)及びドライブ装置のような補助記憶装置(ストレージ:記憶媒体)と、情報を入力するための入力装置(キーボード,ポインティングデバイスなど)と、情報を出力するための出力装置(ディスプレイ,プリンタ)と、他の機器との通信処理(通信機能)を司る通信インタフェース装置(通信I/F)と、データの入出力管理を司る入出力装置(I/O)などを備えている。
【0029】
CPUやDSPのようなプロセッサ(マイクロプロセッサ)は、ROMやHDのような記憶装置に格納されたプログラムをRAMにロードし、実行することによって、図4に示す機能ブロックを実現することができる。また、図4に図示される様々なデータベースは、HDのような記憶装置上に作成及び保持される。もっとも、図4に示す機能ブロックは、専用または汎用のハードウェア(電気・電子回路,IC(集積回路),LSI(大規模集積回路),ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やこれらの組合せ
)によって実現されることもできる。
【0030】
また、図4に示す各機能ブロックは、適宜集約または分離することができる。また、権利管理システム20は、2以上の情報処理装置(演算装置)の分散処理や並列処理によって実現することができる。これらのような権利管理システム20を実現する情報処理装置の構成や、機能ブロックに対する考え方は、後述するクリアリングハウス30,コンテン
ツ配信システム10,端末装置T(T1,T2)の機能ブロックの説明においても当てはまる。
【0031】
図4において、権利管理システム20は、ホーム管理システム20H及びフォーリン管理システム20Fが共通に備える共通機能ブロック21と、ホーム管理システム20Hが備えるべきホーム機能ブロック22と、フォーリン管理システム20Fが備えるべきフォーリン機能ブロック23とを備えている。利用者がホームネットワークN1にて端末装置T1を利用する場合には、ホーム管理システム20Hの共通機能ブロック21とフォーリン機能ブロック23とホーム機能ブロック22を使用する。これに対し、利用者がフォーリンネットワークN2にて端末装置T2を利用する場合には、フォーリン管理システム20Fの共通機能ブロック21とフォーリン機能ブロック23と、ホーム管理システム20Hのホーム機能ブロック22を使用する。
【0032】
利用者によって、ホームとするネットワークおよび権利管理システムが異なる。従って、一つの権利管理システムは、ある利用者にはホーム管理システムとして機能し、別の利用者にはフォーリン管理システムとして機能することがある。従って、どの権利管理システムも共通機能ブロック21とホーム機能ブロック22とフォーリン機能ブロック23を備える必要がある。
【0033】
共通機能ブロック21は、利用者の操作を契機とする端末装置からの各種要求を受け付けるユーザインタフェース211と、利用者の認証処理を司る加入者認証部212と、プログラムインタフェース213とを備える。
【0034】
ホーム機能ブロック22は、利用者のコンテンツに対する視聴状態を管理する視聴状態管理機構221と、保有権利データベース(保有権利DB)224を管理する権利リポジトリ222と、コンテンツ・メディア選択ポリシーDB225を管理するコンテンツ選択ポリシー管理機構223とを備える。フォーリン機能ブロック23は、権利適合エンジン231と、コンテンツルーティング情報DB233を管理するコンテンツルーティング管理機構232とを備える。
【0035】
図5は、図1に示したクリアリングハウス30の構成例を示す。クリアリングハウス30は、権利を保有していない場合も含めて、ホーム管理システム20Hで管理されている利用者の保有権利と、フォーリンネットワークで使用したいコンテンツに関する権利との差額を清算できるようにする。クリアリングハウス30は、例えば、1以上の情報管理装置(サーバ装置)によって実現される。
【0036】
図5には、クリアリングハウス30として機能する1以上の情報処理装置が実現する機能ブロックとして、ライツ系統樹記述メタデータDB304を管理するライツ系統樹管理機構301と、利用者のコンテンツ利用に係る課金の清算処理を行う清算エンジン302と、プログラムインタフェース303が図示されている。
【0037】
図6は、図1に示したコンテンツ配信システム10の構成例を示す。図6には、コンテンツ配信システム10として機能する1以上の情報処理装置が実現する機能ブロックとして、利用者の認証を司る加入者認証サーバ101と、端末装置に対してコンテンツ配信に係るメニューを提示するメニューサーバ102と、利用者に対するライセンス発行処理を行うライセンスサーバ103と、利用者(端末装置)に対するコンテンツ配信処理を行うコンテンツサーバ104と、プログラムインタフェース105とが図示されている。
【0038】
メニューサーバ102は、端末装置毎に用意することができる。ライセンスサーバ103及びコンテンツサーバ104は、端末毎に且つコンテンツのメディア毎に用意すること
ができる。図6では、端末“XX”に対してメディア“YY”のコンテンツを配信(提供)するためのメニューサーバ102,ライセンスサーバ103及びコンテンツサーバ104が例示されている。
【0039】
図7は、図1に示した端末装置T1(STB)の構成例を示す。図7の例では、端末装置T1として機能するSTBが実現する機能ブロックとして、ネットワークとの通信処理を司る通信部51と、利用者の操作入力部52と、BML(Broadcast Markup Language
)で記述されたコンテンツを再生(表示)処理を行うBMLブラウザ部53とが図示されている。さらに、図7の例では、通信部51で受信されるコンテンツのデスクランブラ及び復調処理を行うデコーダ・デスクランブラ部54と、特定の視聴者のみにプログラム(番組)をサービスするCA(限定受信)に関する処理を司るCAモジュール部55と、端末装置T1の管理を司る端末管理部56とが図示されている。
【0040】
図8は、図1に示した端末装置T2(PC)の構成例を示す。図8の例では、端末装置T2として機能するPCが実現する機能ブロックとして、通信部51と、操作入力部52と、HTML(HyperText Markup Language)で記述されたコンテンツの再生(表示)処
理を行うウェブ(Web)ブラウザ部57とが図示されている。さらに、図8の例では、通信部51で受信されたコンテンツの復調処理を行うデコード部59と、復調されたコンテンツファイル(音声ファイル,ビデオファイル,イメージファイルなど)の再生を行うプレーヤ部58と、端末管理部56とが図示されている。
【0041】
〔コンテンツ提供システムで管理される情報〕
次に、図1〜図8を用いて説明したコンテンツ提供システムにおいて管理される情報について説明する。図9は、ホーム管理システム20Hの視聴状態管理機構221(図4)によって管理されるサービス継続情報のデータ構造例(サービス継続情報テーブル(ホーム)71)を示す。
【0042】
サービス継続情報テーブル71は、視聴状態管理機構221が管理する記憶領域上に作成される。テーブル71は、利用者識別情報(利用者ID)に関連するコンテンツ情報と、視聴開始時刻とを保持する。コンテンツ情報は、例えば、コンテンツ名,サービス種別,ディストリビュータ(配信業者)名,サービス名を含むことができる。
【0043】
図10は、移動先端末(端末装置T2)で視聴開始後における、ホーム管理システム20Hの視聴状態管理機構221(図4)によって管理されるサービス継続情報のデータ構造例(サービス継続情報テーブル(フォーリン)71)を示す。
【0044】
図10に示す例では、テーブル71のデータ構造は図9と同じであり、コンテンツも同じである。これに対し、コンテンツ配信システム10nがネットワークN2を介してコンテンツを配信することによって、サービス名,ディストリビュータ名及びサービス名が更新された様子が図示されている。すなわち、サービス種別がビデオ・オン・デマンド(VOD)に更新されるとともに、ディストリビュータ名及びサービス名が更新されている。
【0045】
図9及び図10に示すように、ホーム管理システム20Hの視聴状態管理機構221は、利用者の移動に伴うネットワーク及び端末装置の変更に拘らず利用者が起源を同じくする同一または代替コンテンツの利用(視聴)の継続を所望する場合に、移動先でのコンテンツの視聴を契機として、その継続利用状況を記録することができる。
【0046】
図11は、ホーム管理システム20Hの保有権利DB224に格納(保持)される利用者の権利情報のデータ構造例(権利テーブル72)を示す。権利テーブル72は、例えば利用者毎且つライセンス毎に作成される。図11において、権利テーブル72は、利用者
1(端末装置T1,T2の利用者)の保有権利情報を格納する。利用者は利用者IDで特定される。
【0047】
図11の例では、権利テーブル72には、保有権利情報として、利用者1に対するライセンス内容と、ライセンス発行者情報とが保持される。ライセンス内容は、図11に示す例では、利用者1に対するコンテンツに係る権利を入手する権利(入手権利)のライセンスの情報と、入手権利に付随して許諾されるコンテンツの利用(再生)の権利に対するライセンスの情報とが保持されている。権利テーブル72に対する情報の管理(書き込み、読み出し、更新、削除)は、権利リポジトリ222(図4)によって行われる。
【0048】
図12は、ホーム管理システム20Hのコンテンツ・メディア選択ポリシーDB225に格納(保持)されるコンテンツ・メディア選択ポリシーのデータ例を示す。選択ポリシーは、ツリー構造を有しており、ルートノードである“選択ポリシー”の下位に“利用者”,“フィルタリング”及び“視聴方法”の下位ノードが配置され、各ノードにさらに下位ノードが配置されている。このような選択ポリシーのデータは、コンテンツ選択ポリシー管理機構223によって管理される。
【0049】
図13は、ホーム管理システム20Hで管理される、ネットワークN1向けのコンテンツルーティング情報のデータ構造例(ルーティングテーブル(ホーム)73)を示す。ルーティングテーブル73は、コンテンツ名に関連づけて、サービス種別、ディストリビュータ名,サービス名,端末種別,コンテンツのメディア,帯域,ネットワークの輻輳・障害関連情報を保持する。
【0050】
テーブル73は、ホーム管理システム20Hのコンテンツルーティング情報DB233に格納(保持)され、テーブル73の管理(情報の読み出し、書き込み、更新、削除)は、コンテンツルーティング情報管理機構232によって行われる。
【0051】
図14は、フォーリン管理システム20Fで管理される、ネットワークN2向けのコンテンツルーティング情報のデータ構造例(ルーティングテーブル(フォーリン)74)を示す。ルーティングテーブル74は、テーブル73と同じデータ構造を有し、フォーリン管理システム20Fのコンテンツルーティング情報DB233に格納(保持)され、テーブル74の管理(情報の読み出し、書き込み、更新、削除)は、コンテンツルーティング情報管理機構232によって行われる。
【0052】
図15は、端末管理システム50で管理される端末プロファイル情報のデータ構造例(端末管理テーブル75)を示す。端末管理テーブル75は、端末固有のIDに関連づけられた、端末種別,プレ−ヤ種別(再生ソフトウェア種別),レンダラ,許容配信帯域,対応メディア,視聴方法を保持する。
【0053】
図16は、クリアリングハウス30(図1、図5)で管理されるライツ系統樹記述メタデータを模式的に表す。メタデータは、オリジナルコンテンツをルートノードとするツリー構造を有し、最下位ノードにて権利内容が記述されるようになっている。
【0054】
図16に示す例では、オリジナルコンテンツ(プロ野球中継)をルートノードとし、次ノードでサービス種別(コンテンツの配信形式(例えば、テレビ放送、VOD、文字中継))が規定されている。サービス種別には、音声放送、音声配信を含むことができる。配信形式を規定した各ノードの次ノードには、コンテンツの配信形態または配信主体(例えば、CATV−A,ディストリビュータA)が規定される。さらに、配信形態が規定された各ノードの次ノードには、コンテンツの配信サイト(例えば、チャンネル−1,AAオンデマンド)またはメディアを示す情報が規定される。
【0055】
そして、配信サイトが規定された各ノードに対し、権利内容を示すノードが従属される。例えば、“テレビ放送”−“CATV−1”−“チャンネル−1”のパスに対しては、権利内容“再生”を示すノードが従属される。或いは、“文字中継”−“ディストリビュータB”−“CCスポーツ”のパスに対しては、権利内容“再生”を規定するノードと、権利内容“印刷”を規定するノードとが従属する。権利内容を示すノードの右側に示された“(Rnn)(nnは数字)”は、権利内容の識別情報(コード)を示す。
【0056】
権利内容(ライセンス対象)は、コンテンツの利用に関するものだけでなく、コンテンツを利用する権利を入手する権利(入手権利)も含まれる。このような入手権利に対するノードは、図16の例ではオリジナルコンテンツのノード(ルートノード)の直下に配置されている。権利内容“入手”(入手権利)は、コンテンツの利用に対する権利内容を含む。図16の例では、権利“R11”及び“R12”を入手する権利(入手権利1(例えばコード“RA”)という)と、“R11”及び“R21”を入手する権利(入手権利2(例えばコード“RB”)という)とが規定されている。
【0057】
入手権利1のライセンスを得た利用者は、オリジナルコンテンツに関して、CATV−Aからチャンネル−1を通じて提供されるコンテンツ(CATV放送)を再生する権利(R11)と、CATV−Bからチャンネル−2を通じて提供されるコンテンツを再生する権利(R12)とを得る。従って、利用者は、コンテンツを視聴するサイト(チャンネル)を選ぶことができる。
【0058】
一方、入手権利2のライセンスを得た利用者は、オリジナルコンテンツに関して、CATV−Aからチャンネル−1を通じて提供されるコンテンツを再生する権利(R11)と、ディストリビュータAからAAオンデマンドを通じて提供されるコンテンツ(VOD)を再生する権利(R21)とを得る。従って、利用者は、同一の起源(オリジナルコンテンツ)を有するコンテンツをCATVで視聴するかVODで視聴するかを選ぶことができる。
【0059】
このようなライツ系統樹記述メタデータによれば、オリジナルコンテンツについて、サービス種別,配信形態(配信主体),配信サイト(メディア)に応じてオリジナルコンテンツが加工されたコンテンツの利用に係る権利内容がツリー構造で管理される。
【0060】
〔コンテンツ提供システムにおける動作例〕
次に、図1に示したシステムにおいて、利用者が端末装置T1を用いてコンテンツを視聴し、その後、端末装置T2を用いてコンテンツを視聴する場合における、各装置の動作について説明する。
【0061】
図17及び図18は、利用者が端末装置T1(STB)を用いてコンテンツを視聴する場合における各装置の動作及び処理の例を示すシーケンス図である。図17において、利用者は、コンテンツの視聴サービスの提供を受ける場合には、端末装置T1に対し、操作入力部52(図7)を用いてサービス開始の操作を行う(ステップS1)。すると、BMLブラウザ部52がサービス開始要求のメッセージを作成する(ステップS2)。サービス開始要求メッセージは、通信部51からネットワークN1を介してホーム管理システム20H(図4)に送信される(ステップS3)。以降のステップにおける、端末装置T1の各種メッセージの送受信処理は、通信部51によって行われる。
【0062】
サービス開始要求メッセージを受信したホーム管理システム20Hでは、ユーザインタフェース211がサービス開始要求メッセージを受け付ける(ステップS4)。すると、視聴状態管理機構221が、視聴中を示すデータが登録されているか否かを判定する(ス
テップS5)。すなわち、視聴状態管理機構221は、サービス継続情報テーブル71(図9)における、サービス開始要求メッセージに含まれる利用者IDに対応するレコードを検索する。このとき、対応するレコードが無ければ(S5のNO)、処理がステップS7に進む。これに対し、対応するレコードがあれば(S5のYES)、視聴状態管理機構221は、レコード中のコンテンツ情報を取得し(ステップS6)、処理をステップS7に進める。
【0063】
ステップS7では、権利リポジトリ222が利用者IDに対応する権利テーブル72(図11)を保有権利DB224から読み出し、利用者の保有権利情報(利用者が保有する権利の情報)を取得する。本実施形態では、利用者は、図11の権利テーブル72に示したような、コンテンツを異なる二つのサービス(CATV,VOD)を通じてそれぞれ再生する権利を入手する権利を有している。
【0064】
次に、コンテンツルーティング管理機構232が、当該ネットワーク(ネットワークN1)で提供している関連コンテンツ一覧をコンテンツルーティング情報DB233から検索する(ステップS8)。例えば、ルーティング管理機構232は、保有権利情報に含まれるリソース中のコンテンツIDに対応するレコードをルーティング情報DB233から読み出して、関連コンテンツ一覧を示すルーティングテーブル73(図13)を作成する。
【0065】
次に、権利適合エンジン231が、利用者のコンテンツ・メディア選択ポリシーを確認するために、コンテンツ選択ポリシー管理機構223に問い合わせを行う(ステップS8)。コンテンツ選択ポリシー管理機構223は、例えば利用者IDを用いて、コンテンツ・メディア選択ポリシーDB225から利用者のコンテンツ・メディア選択ポリシーのデータ(図12)を読み出し、権利適合エンジン231に返送する(ステップS9)。
【0066】
権利適合エンジン231は、権利リポジトリ222によって得られた保有権利情報、コンテンツルーティング管理機構232によって得られたコンテンツルーティング情報(ルーティングテーブル73)、及びコンテンツ・メディア選択ポリシー管理機構223によって得られたコンテンツ・メディア選択ポリシーに基づいて優先順位付きコンテンツ一覧を作成する(ステップS11)。例えば、ルーティングテーブル73から、利用者が権利を有するコンテンツが抽出され、抽出されたコンテンツに対して選択ポリシーに従った優先順位が付与されることによって、コンテンツ一覧が作成される。
【0067】
続いて、ユーザインタフェース211は、コンテンツ一覧を端末装置T1へ返送する(ステップS12)。端末装置T1の通信部51でコンテンツ一覧が受信されると、BMLブラウザ部53は、端末装置T1と接続された表示装置(テレビ受像機、またはディスプレイ装置)に対し、コンテンツ一覧を表示する(ステップS13)。
【0068】
これにより、利用者がコンテンツ一覧(コンテンツ選択メニュー)を閲覧できる状態となる。利用者は操作入力部52を用いて、視聴を望むコンテンツを選択し、視聴操作を行うことができる。このとき、コンテンツ一覧における優先順位が最も高い(最上位)コンテンツが仮に選択された状態となっており、視聴者がコンテンツの選択操作を行うことなく視聴操作を行う(例えば、選択確定ボタンを押す)と、BMLブラウザ部53は、最上位のコンテンツに対する再生要求メッセージを生成し、通信部51がホーム管理システム20Hに送信する(ステップS14)。選択操作が行われた場合には、選択されたコンテンツに対する再生要求メッセージが送信される。
【0069】
ホーム管理システム20Hでは、権利適合エンジン231が、コンテンツ配信システム10(#1)に対し、選択されたコンテンツの再生要求メッセージを作成する(ステップ
S15)。続いてユーザインタフェース211が再生要求メッセージを端末装置T1に返送する(ステップS16)。
【0070】
BMLブラウザ部53は、コンテンツ配信システム10#1に対し、選択コンテンツに対するメタファイルの要求メッセージを送信する(ステップS17)。コンテンツ配信システム10#1のメニューサーバは、要求されたメタファイルを返送する(ステップS18)。一方、プログラムインタフェース213は、サービス継続情報のレコード(テーブル71、図9)を作成する(ステップS19)。サービス継続情報はホーム管理システム204に送信される。視聴状態管理機構221は、サービス継続情報を自身が管理する記憶領域に保存する(ステップS20)。
【0071】
端末装置T1のデコーダ・デスクランブラ部54は、メタファイルに従ってライセンス要求メッセージを送信する(ステップS21)。コンテンツ配信システム10#1のライセンスサーバ103は、コンテンツの再生を許可するライセンスを発行する(ステップS22)。ライセンスは端末装置T1に送信される。
【0072】
端末装置T1では、ライセンスが保存される(ステップS23)。また、ライセンスに従って、デコーダ・デスクランブラ部54は、コンテンツ配信システム10#1から受信するコンテンツの映像信号に対するデスクランブル処理を行いスクランブルを解除し、デコード処理によって映像信号の復調を行う(ステップS24)。これによって、表示装置からは、コンテンツの映像及び音声が表示および出力され、利用者はコンテンツを視聴可能な状態となる。
【0073】
図19〜図23は、利用者が端末装置T1を用いたコンテンツの視聴を中止し、端末装置T2の場所まで移動し、端末装置T1を用いて視聴していたコンテンツの視聴継続を所望する場合の動作及び処理例を示すシーケンス図である。
【0074】
図19において、利用者が端末装置T2の操作入力部を用いてサービス開始の操作を行うと(ステップS101)、Webブラウザ部57がサービス開始要求メッセージを作成し、通信部51がネットワークN2に接続されているフォーリン管理システム20Fへ送信する(ステップS102)。以降の端末装置T2における各種メッセージの送受信処理は通信部51によって行われる。
【0075】
フォーリン管理システム20Fのユーザインタフェース211がサービス開始要求を受け付けると(ステップS103)、プログラムインタフェース213がサービス継続判定要求をホーム管理システム20Hに送信する(ステップS104)。フォーリン管理システム20Fは、ホーム管理システム20HのIPアドレスをあらかじめ知っており、ホーム管理システム20HとIP通信でやり取りを行うことができる。
【0076】
ホーム管理システム20Hでは、サービス継続判定要求メッセージに対して、視聴状態管理機構221が自身の管理するサービス継続情報(テーブル71、図9)を参照し、利用者の視聴途中を示すデータが登録されているか否かを判定する(ステップS105)。サービス継続判定要求メッセージは利用者IDを含み、この利用者IDを含むレコードをテーブル71から検索する。このとき、ステップS20で保存した利用者のサービス継続情報のレコードが見つかるので(S105のYES)、処理がステップS106に進む。これに対し、視聴途中を示すデータ(レコード)が登録(保存)されていなければ、処理がステップS107に進む。
【0077】
ステップS106では、視聴状態管理機構221は、レコード中のコンテンツ情報を取得し、処理をステップS107に進める。
【0078】
ステップS107では、権利リポジトリ222が利用者IDに対応する権利テーブル72(図11)を保有権利DB224から読み出し、利用者の保有権利情報(利用者が保有する権利の情報)を取得する。
【0079】
次に、プログラムインタフェース213がサービス継続情報のレコード及び保有権利情報を含むメッセージを作成し、フォーリン管理システム20Fへ返信する(ステップS108)。
【0080】
フォーリン管理システム20Fでは、メッセージが受信されると、権利適合エンジン231が、メッセージを参照してサービス継続情報に視聴中のコンテンツが含まれていることを確認し、当該コンテンツに係るライツ系統樹を取得することを決定する(ステップS109)。このとき、権利適合エンジン231は、クリアリングハウス30に対し、サービス継続情報に係るコンテンツのライツ系統樹の照会要求メッセージを送信する(ステップS109A)。
【0081】
クリアリングハウス30では、照会要求メッセージを受信したライツ系統樹管理機構301(図5)が、ライツ系統樹のメタデータを格納したDB304から、照会要求メッセージに含まれるコンテンツIDと適合するライツ系統樹のメタデータを読み出す(ステップS110)。このライツ系統樹のメタデータを含むメッセージは、フォーリン管理システム20Fに返信される(ステップS110A)。
【0082】
フォーリン管理システム20Fでは、コンテンツルーティング管理機構232が、当該ネットワーク(ネットワークN2)で提供している関連コンテンツ一覧をコンテンツルーティング情報DB233から検索する(ステップS111)。例えば、ルーティング管理機構232は、ライツ系統樹(のメタデータ)に記述されたコンテンツであって、ネットワークN2で提供しているコンテンツ一覧を示すルーティングテーブル74(図14)を作成する。このとき、テーブル74には、ライツ系統樹におけるオリジナルコンテンツを起源とする全てのコンテンツがリストアップされるようにすることができる。また、オリジナルコンテンツと関連する代替コンテンツがコンテンツ一覧に含まれるようにすることもできる。
【0083】
次に、権利適合エンジン231が、利用者のコンテンツ・メディア選択ポリシーを確認することを決定し(ステップS113)、プログラムインタフェース213がポリシー照会メッセージを送信することによって、ホーム管理システム20Hのコンテンツ選択ポリシー管理機構223に問い合わせを行う(ステップS113A)。
【0084】
コンテンツ選択ポリシー管理機構223は、ポリシー照会メッセージに含まれる利用者IDを用いて、コンテンツ・メディア選択ポリシーDB225から利用者のコンテンツ・メディア選択ポリシーのデータ(図12)を読み出す(ステップS114)。ポリシーデータは、フォーリン管理システム20Fの権利適合エンジン231に返送される(ステップS114A)。
【0085】
権利適合エンジン231は、ホーム管理システム20Fから得た保有権利情報,サービス継続情報,コンテンツ・メディア選択ポリシー、コンテンツルーティング情報(ルーティングテーブル73)、及びクリアリングハウス30から得たライツ系統樹のメタデータに基づいて、優先順位つきコンテンツ一覧を作成する(ステップS115)。
【0086】
すなわち、コンテンツ情報より、利用者がコンテンツ(プロ野球中継)を、CATV網(ネットワークN1)経由で視聴していたことが分かる。また、保有権利情報から利用者
がCATVで提供されるコンテンツを再生する権利と、VODにより実質的に同一のコンテンツの提供を受けて再生する権利とを保有することが分かる。また、ライツ系統樹のメタデータから、視聴中のコンテンツの起源(オリジナルコンテンツ)と、オリジナルコンテンツをルートとした権利の束とを把握でき、保有権利情報がライツ系統樹と合致することによって、保有権利の正当性を保証することができる。そして、利用者が権利を有し、且つライツ系統樹にも記述のあるコンテンツがルーティングテーブル74から抽出され、抽出されたコンテンツに対して選択ポリシーに従った優先順位が付与されることによって、コンテンツ一覧が作成される。
【0087】
次に、権利適合エンジン231は、ポリシーデータにおける「視聴操作」のポリシーに基づき、利用者が「自動開始」と「手動開始」とのいずれをポリシーとして有するかを判定する(ステップS116)。
【0088】
このとき、自動開始のポリシーが優先する場合には、権利適合エンジン231は、最上位の優先順位のコンテンツを選択し(ステップS117)、処理をステップS121へ進める。これに対し、手動開始のポリシーが優先する場合には、ユーザインタフェース211が端末装置T2に対して、コンテンツ一覧を送信する(ステップS118)。
【0089】
端末装置T2では、Webブラウザ部57がコンテンツ一覧を表示装置(ディスプレイ装置)に表示する(ステップS119)。これによって、コンテンツ一覧を利用者が参照できる状態になる。
【0090】
利用者は操作入力部52を用いて、視聴を望むコンテンツを選択し、視聴操作を行うことができる。このとき、コンテンツ一覧における優先順位が最も高い(最上位)コンテンツが仮に選択された状態となっており、視聴者がコンテンツの選択操作を行うことなく視聴操作を行うと、Webブラウザ部57は、最上位のコンテンツに対する再生要求メッセージを生成し、フォーリン管理システム20Fに送信する(ステップS120)。選択操作が行われた場合には、選択されたコンテンツに対する再生要求メッセージが送信される。
【0091】
フォーリン管理システム20Fでは、権利適合エンジン231が、クリアリングハウス30に、保有権利との差額の清算を要求する(ステップS121)。クリアリングハウス30の清算エンジン302(図5)は、課金請求を生成してフォーリン管理システム20Fに送り(ステップS122)、課金認証のシーケンスが端末装置T2(利用者)とフォーリン管理システム20Fとの間で実施される(ステップS123)。
【0092】
その後、権利適合エンジン231は、利用者に対する差額の課金が完了したことを示す課金完了通知をクリアリングハウス30に送信する(ステップS124)。クリアリングハウス30の清算エンジン302は、課金完了通知を受け取ると清算処理を終了する(ステップS125)。このようにして、利用者がコンテンツの視聴を継続する場合における、コンテンツ配信サービスの相違によって生じる差額が清算される。
【0093】
その後、権利適合エンジン231は、利用者に対するコンテンツの一時的利用を許可するトークンを発行し、コンテンツ配信システムn10#nへ送信する(ステップS126)。続いて、権利適合エンジン231は、ネットワークN2におけるコンテンツ配信システム10#nに対する選択コンテンツの再生要求を作成する(ステップS127)。ユーザインタフェース211は、再生要求を端末装置T2へ送信する(ステップS128)。
【0094】
すると、端末装置T2のWebブラウザ部57は、コンテンツ配信システム10#nに対し、選択コンテンツに対するメタファイルの要求メッセージを送信する(ステップS1
29)。コンテンツ配信システム10#nのWebサーバ102は、要求されたメタファイルを返送する(ステップS130)。一方、プログラムインタフェース213は、サービス継続情報のレコードを作成する(ステップS131)。サービス継続情報はフォーリン管理システム20Fに送信される。プログラムインタフェース213は、サービス継続情報をホーム管理システム20Hに転送する(ステップS132)。そして、視聴状態管理機構221は、サービス継続情報を自身が管理する記憶領域に保存する(ステップS133、テーブル71、図10)。
【0095】
端末装置T2のプレーヤ部58は、メタファイルに従ってライセンス要求メッセージをコンテンツ配信システム10#nに送信する(ステップS134)。コンテンツ配信システム10#nのライセンスサーバ103は、コンテンツの再生を許可するライセンスを発行する(ステップS135)。ライセンスは端末装置T2に送信される。
【0096】
端末装置T2では、デコード部59がライセンスを保存する(ステップS136)。また、デコード部59は、ライセンスに従って、コンテンツ配信システム10#nから受信するコンテンツの動画ファイルに対する復調を行う(ステップS137)。これによって、端末装置T2の表示装置には、コンテンツ動画の再生ボタンが表示され(ステップS137)、再生ボタンの押し下げ(クリック)によってコンテンツの再生が開始される状態となる。このようにして、利用者は、再生ボタンを押し下げることによって、コンテンツを継続視聴することができる。
【0097】
図24は、図19〜図23に示した動作例に先だって実行される、端末認証及び加入者認証のシーケンス例を示す図である。図24に示す処理は、利用者がコンテンツ視聴を行うに当たって使用する加入者認証用のIDを有するIDデバイス90(例えばICカード)を所持し、端末装置T2に装着、接続、或いは非接触または近接通信によって端末装置T2の端末管理部56にIDデバイスを検出させる(ステップS201)。すると、端末管理部56は、端末の認証要求メッセージをフォーリン管理システム20Fに送信する。
【0098】
フォーリン管理システム20Fの加入者認証部212は、どのポータルへのアクセスかで端末種別を判定する(ステップS202)。その後、端末装置T2とネットワークN2上の端末管理システムとの間で、権利管理システムを介した、端末種別に応じた端末認証のシーケンスが実行される(ステップS203)。
【0099】
その後、フォーリン管理システム20Fの権利適合エンジン231は、端末装置T2が端末管理システム50に登録された登録端末であるか否かを判定し(ステップS204)、端末が登録端末でない(S204のNO)であれば、端末プロファイルとして端末種別のみを保持し、処理をステップS209に進める。
【0100】
これに対し、端末装置T2が登録端末であれば、フォーリン管理システム20Fのプログラムインタフェース213は、端末プロファイル要求のメッセージを端末管理システム50へ送信する(ステップS205)。端末管理システム50は、端末装置T2の端末プロファイルをフォーリン管理システム20Fに送信する(ステップS206)。
【0101】
フォーリン管理システム20Fのプログラムインタフェース213は、端末プロファイルを保持する(ステップS207)。このようにして、フォーリン管理システム20Fは、端末装置T2の端末プロファイル(図15、端末テーブル75)を保持する。
【0102】
続いて、加入者認証部212は、共通認証によって加入者認証を行う(ステップS209)。加入者認証部212は、共通認証開始メッセージをIDデバイス90に送信する(ステップS210)。
【0103】
IDデバイス90は、共通認証開始メッセージを受け取ると、共通認証システム60に対して加入者認証要求を送信する(ステップS211)。この通信に先立ち、IDデバイス90は共通認証システム60のアドレス(例えばIPアドレス)を予め知っている。
【0104】
共通認証システム60は、認証要求を受信すると、認証アサーションを発行し(ステップS212)、さらに認可決定アサーションを発行する(ステップS213)。続いて、共通認証システム60はリダイレクションメッセージをIDデバイス90に送信する(ステップS214)。
【0105】
IDデバイス90は、リダイレクションに対してアーティファクトをフォーリン管理システム20Fに送信する(ステップS215)。すると、加入者認証部212は、アサーション要求を共通認証システム60に送信する。共通認証システム60は、アサーション要求に応じてアサーションをフォーリン管理システム20Fに返信する(ステップS217)加入者認証部212は、加入者の認可プロセスを行い(ステップS218)、サービス開始を許可する(ステップS219)。これによって、許可メッセージが端末装置T2に与えられ、端末装置T2がサービス開始の操作に従って、サービス開始要求をフォーリン管理システム20Fへ送信するようになる(図19〜23の処理が可能となる)。
【0106】
図25は、コンテンツルーティング情報(図13、図14)における「輻輳・障害」項目が更新される場合のシーケンス例を示す。ネットワークN1,N2では、ネットワーク管理システム40(図3)がネットワークの輻輳や障害を監視しており、輻輳または障害を検出すると、輻輳または障害の発生を示す障害発生通知を、そのネットワーク(N1,N2)に接続されている権利管理システム20(20Hまたは20F)に通知する(ステップS231)。
【0107】
権利管理システム20では、プログラムインタフェース213が障害発生通知を受け付けると、コンテンツルーティング管理機構232が、障害発生通知に対応するコンテンツルーティング情報の「輻輳・障害」項目を「発生中」に設定する(ステップS233)。
【0108】
図26は、権利適合エンジン231(図4)による、コンテンツ一覧作成処理(図21、ステップS115)の詳細例を示す。図26において、権利適合エンジン231は、サービス継続情報(図13)中のコンテンツ情報(a)と、ライツ系統樹(b)とを突き合わせ、移動前に視聴していたコンテンツと起源(オリジナルコンテンツ)を同じくするコンテンツの一覧を作成する(ステップS401)。
【0109】
次に、権利適合エンジン231は、ステップS401の結果とN2向けコンテンツルーティング情報(図14)とを突き合わせ、ネットワークN2で再生可能な、移動前に視聴していたコンテンツと起源を同じくするコンテンツの一覧を作成する(ステップS402)。次に、権利適合エンジン231は、コンテンツの一覧から、「輻輳・障害」の項目が「発生中」を示すコンテンツのレコードを除外する(ステップS403)。
【0110】
次に、権利適合エンジン231は、ステップS403の結果と端末プロファイル(d)(図15)とを突き合わせ、端末プロファイル中の端末装置で視聴可能な、移動前に視聴していたコンテンツと起源を同じくするコンテンツの一覧を作成する(ステップS404)。
【0111】
次に、権利適合エンジン231は、コンテンツ・メディア選択ポリシー(e)(図12)とステップS404の結果とを突き合わせ、優先順位が付与された、ネットワークN2で再生可能な、移動前に視聴していたコンテンツと起源を同じくするコンテンツの一覧を
作成する(ステップS405)。その後、処理がステップS116へ進む。
【0112】
<実施形態の作用効果>
本実施形態では、ネットワークN1(第1のネットワーク)を通じて端末装置T1(第1の端末)にコンテンツを提供する第1のコンテンツ提供システムとして、コンテンツに対する権利、例えば、コンテンツの再生、印刷、入手などの権利が記憶媒体上の保有権利DB224にて蓄積するホーム管理システム20Hと、端末装置T1からのサービス要求に基づくホーム管理システム20Hからの指示にしたがって特定のコンテンツ(第1のコンテンツ)に対するライセンスをネットワークN1経由で発行しコンテンツを提供するコンテンツ配信システム10#nを備える。
【0113】
一方、本実施形態では、ネットワークN1と異なるネットワークN2(第2のネットワーク)を通じて第2のネットワークに属する端末装置T2からのサービス要求に応じてコンテンツの利用をライセンスし、コンテンツを端末装置T2に提供する第2のコンテンツ提供システムを備える。第2のコンテンツ提供システムは、フォーリン管理システム20Fと、コンテンツ配信システム10#nとを備える。
【0114】
ネットワークN1経由で送られて来る第1のコンテンツの利用に対するライセンスを受信し、権利を行使する機能を有する端末装置T1の利用者は、端末装置T1を用いた第1のコンテンツの利用中、または利用を中断した状態において、端末装置T2(第2の端末)を用いてサービス要求を第2のコンテンツ提供システム向けに送信することができる。
【0115】
このとき、第2のコンテンツ提供システムに含まれるフォーリン管理システム20Fは、ホーム管理システム20Hにアクセスして、第1のコンテンツに係るサービス継続情報と、利用者の保有権利情報とを受信することができる。そして、このサービス継続情報と保有権利情報とを少なくとも用いて、ネットワークN2を介して端末装置T2に供給でき、端末装置T2で利用可能な(権利の行使する機能を有する)第1のコンテンツと同一コンテンツまたは代替コンテンツである第2のコンテンツを決定する。第2のコンテンツ提供システムに含まれるコンテンツ配信システム10#nは、フォーリン管理システム20Fからの要求に応じて、第2のコンテンツの利用に対するライセンスを端末装置T2に発行し、第2のコンテンツをネットワークN2を介して端末装置T2に配信(提供)する。
【0116】
これによって、利用者の移動先ネットワークであるネットワークN2において、第1のコンテンツが同一配信事業者から配信されておらず、かつ、提携先配信事業者から同一コンテンツが配信されていない場合であっても、利用者は、第1のコンテンツの代替コンテンツである第2のコンテンツを利用することができる。このとき、第2のコンテンツは、利用者の趣味や嗜好に適合した代替コンテンツを適用することができる。
【0117】
また、本実施形態のコンテンツ提供システムによれば、第2のコンテンツシステムに含まれるフォーリン管理システム20F(の適合エンジン231)が、第2のコンテンツの候補である1以上のコンテンツを含む(コンテンツが記載された)コンテンツ一覧を作成し、端末装置T2に供給することができる。よって、利用者は、移動先端末(端末装置T2)を用いて、移動先ネットワーク(ネットワークN2)にて利用可能な同一コンテンツを探す手間を省くことができる。
【0118】
さらに、利用者がコンテンツ一覧から第2のコンテンツとして決定すべきコンテンツを選択するだけで、第2のコンテンツの利用に対するライセンスが網側で自動的に発行され、第2のコンテンツの供給開始状態となる。よって、利用者は、第2のコンテンツを利用(視聴)するためのライセンス取得手続きを簡単な選択操作で行うことができる。
【0119】
これらによって、本実施形態に係るコンテンツ提供システムによれば、ネットワークを跨るコンテンツ利用の利便性向上を図ることができる。
【0120】
また、本実施形態に係るコンテンツ提供システムでは、コンテンツ権利管理システム20間でライセンス情報(保有権利情報)の受渡しを行う際、コンテンツ消費者の識別子または保有権利の識別子を情報検索のための識別キーとする情報管理を行なうことができる。
【0121】
また、本実施形態に係るコンテンツ提供システムでは、コンテンツ権利管理システム20間で情報の受渡しが行われる際に、端末装置T1に提供されていた第1のコンテンツのメディアの種類(例えば、ビデオ、テキスト、オーディオのみなど)、権利の種類(例えば、再生、印刷、入手など)、有効期限などの少なくとも1つの受渡しを行うことができる。受渡しされる情報は、定期的にまたは適宜のタイミング(例えば有効期限の到来)に応じて実施することができる。このような受渡しされる情報は第2のコンテンツの決定に当たって利用される。
【0122】
また、本実施形態に係るコンテンツ提供システムでは、複数の権利管理システム20を設置し、情報(サービス継続情報、保有権利情報、選択ポリシー)の分散管理と、権利管理システム20同士で通信を行うことで情報の受渡しを行う。例えば、ネットワークN1とネットワークN2をそれぞれ運営する事業者の予め定められたIPアドレスに権利管理システム20が設定され、複数の権利管理システム20の全てのIPアドレスを含むIPアドレス一覧を各権利管理システム20が保持するようにすることができる。この場合、ホーム管理システム20Hが有する利用者の情報、すなわちサービス継続情報と保有権利とコンテンツ・メディア選択ポリシーを、全てのフォーリン管理システム20Fが照会可能とすることができる。これによって、ネットワーク間を跨る継続的なコンテンツの利用及び趣味や嗜好に合わせたコンテンツの選択を可能とする。
【0123】
また、本実施形態に係るコンテンツ提供システムでは、端末装置T2の能力(性能)に合致し、且つ利用者の嗜好に合う第2のコンテンツを自動的に選択する際に、端末種別、プレ−ヤ/レンダラ、コンテンツの配信帯域、コンテンツのメディアの種類、視聴方法などを考慮して選択を行うことができる。
【0124】
例えば、図24に示したシーケンス例のように、端末装置T2が登録端末である場合には、端末管理システム50から端末プロファイルが取得される。そして、端末プロファイルに含まれる端末装置T2の端末種別、プレ−ヤ、レンダラ、配信帯域、メディアの種類、視聴方法に基づいて、また、登録端末ではない場合には端末種別のみを用いて、図26のステップS404に示すように、端末装置T2で利用(視聴)可能なコンテンツのみが選択される。そして、ステップS405に示すように、コンテンツ・メディア選択ポリシー(図12)により利用者の嗜好に合うコンテンツが選択される。
【0125】
また、本実施形態に係るコンテンツ提供システムでは、端末装置T2の能力(性能)に合わせて、映像部分のみ、または音声部分のみのライセンス情報の受渡しを行うようにすることができる。例えば、図14に示したようなコンテンツルーティング情報の管理を通じて、端末装置T2の種別に応じたコンテンツ(レコード)を抽出することで、移動先ネットワークで対応可能なサービスを考慮した第2のコンテンツが選択されるようにすることができる。
【0126】
また、本実施形態に係るコンテンツ提供システムでは、複数のコンテンツ配信システム10が存在し、それぞれに同一コンテンツが蓄積されているコンテンツ配信システム群に関して権利管理システム間で情報の受渡しが行われる場合に、コンテンツ配信システムか
ら端末装置T2までのネットワーク経路の障害の有無やネットワークの混雑状況(輻輳の有無)などを考慮して第2のコンテンツを決定することができる。
【0127】
例えば、図25に示すように、ネットワークやコンテンツ配信システムに輻輳や障害が発生した際にネットワーク管理システム40から障害輻輳情報が通知されることによって、図14に示したコンテンツルーティング情報の「輻輳・障害」項目が更新される。そして、図26に示したステップS403の処理において当該コンテンツが第2のコンテンツの候補から除外される。これによって、第2のコンテンツを、適正な(障害や輻輳のない)コンテンツ配信システム10から提供することができる。
【0128】
また、本実施形態に係るコンテンツ提供システムでは、権利管理システム20間で情報の受渡しを実施できるように、権利管理システム(フォーリン)が権利管理システム(ホーム)のアクセス権の委譲を受ける。これは、権利管理システム(フォーリン)20Fが権利管理システム(ホーム)20Hへのアクセス権を獲得するために、図24に示すように、利用者が権利管理システム(フォーリン)20Fにサインオンする際に、権利管理システム間で共通に使用される共通認証システム60から権利管理システム(ホーム)20Hへのアクセス権の認可決定アサーションを取得することによって実現される。
【0129】
また、本実施形態に係るコンテンツ提供システムでは、権利管理システム20間で情報の受渡しを行なう際に、第1のコンテンツと起源を同じくする、第1のコンテンツのメディアと異なるメディアのコンテンツを代替コンテンツに含める。これによれば、移動先ネットワークあるいは移動先端末において、移動元で利用していたサービスのメディアが利用できない場合、ライツ系統樹とコンテンツ・メディア選択ポリシーにより、起源を同一とする、異なるメディアのコンテンツの中から優先順位が高いコンテンツをコンテンツ一覧の上位とすることができる。
【0130】
また、本実施形態に係るコンテンツ提供システムでは、利用者等が予め設定していた、視聴操作の好み(選択ポリシー)によって、自動的なコンテンツの選択が行われるようにすることができる。例えば、図21のステップS116において、権利適合エンジン231がコンテンツ・メディア選択ポリシーの「視聴操作」項目が「自動開始」であると判定したとき、優先順位最上位のコンテンツが自動的に第2のコンテンツとして自動的に選択され、第2のコンテンツの視聴開始処理が行われる。このように、権利管理システム(ホーム)20Hにおいて、利用者の視聴操作の好みを、コンテンツ・メディア選択ポリシーに設定して、「継続視聴」が自動的に選択されるようにすることで、利用者の操作の手間を省くことができる。
【0131】
本実施形態によるコンテンツ提供システムによれば、例えば、自宅でCATV放送にてプロ野球中継を視聴している途中で出張先へ移動し、出張先のホテル到着後、ホテルのPCで続きのコンテンツ視聴を可能とするライセンス取得が可能となる。このとき、例えばネットワーク事業者と端末装置の双方が変わっても、簡単な操作での継続再生のためのライセンス取得が可能となる。
【0132】
<その他>
本実施形態は、以下の発明を開示する。以下の発明は適宜組み合わせることができる。(付記1) 第1のネットワークに属する第1の端末からの利用者の要求に応じて、利用者が利用の権利を有する第1のコンテンツに対するライセンスを発行して前記第1のコンテンツを前記第1のネットワークを介して前記第1の端末に提供する第1のコンテンツ提供システムと、
第1のネットワークと異なる第2のネットワーク(図1、N2)に属する第2の端末(図1、T2)からの前記利用者の要求を受信する受信部,
前記要求に応じて、前記第1のコンテンツ提供システムから得られる、前記利用者が前記第1ネットワーク及び前記第1の端末を用いて利用中または利用を中断した第1のコンテンツを特定するコンテンツ情報と、前記利用者の権利を示す保有権利情報とを少なくとも用いて、前記利用者の権利と合致し且つ前記第2ネットワークで提供可能な前記第1のコンテンツと同一のコンテンツまたは代替コンテンツである、前記第2の端末によって利用可能な第2のコンテンツを決定する決定部,
前記第2のコンテンツに対するライセンスを発行する発行部,及び
前記第2のコンテンツを前記第2のネットワークを介して前記第2の端末に提供する提供部を含む第2のコンテンツ提供システムと、
を含むコンテンツ提供システム。(1)
(付記2) 前記コンテンツ情報及び前記保有権利情報が、前記利用者の識別子と前記利用者の権利を示す識別子との少なくとも一方を用いて管理される
付記1に記載のコンテンツ提供システム。
(付記3) 前記コンテンツ情報及び前記保有権利情報が前記第1のネットワークに属する端末装置に前記第1のネットワークを通じてコンテンツを提供する他のコンテンツ提供システムから受信される
付記1に記載のコンテンツ提供システム。
(付記4) 前記コンテンツ情報は、コンテンツのメディアの種類を含み、
前記保有権利情報は、権利の種別及び有効期限を含む
付記3に記載のコンテンツ提供システム。
(付記5) 前記決定部は、前記第2のコンテンツの候補となる1以上のコンテンツ候補を含むコンテンツ一覧を前記第2の端末に供給し、前記第2の端末からの選択結果に応じたコンテンツ候補を前記第2のコンテンツとして決定する
付記1に記載のコンテンツ提供システム。(2)
(付記6) 前記他のコンテンツ提供システムから前記利用者のコンテンツの選択ポリシー情報が受信され、
前記決定部は、前記選択ポリシーに従って第2のコンテンツを提供する
付記3に記載のコンテンツ提供システム。(3)
(付記7) 前記決定部は、前記第2のコンテンツの候補となる、優先順位を有する1以上のコンテンツを含むコンテンツ一覧を作成し、
前記選択ポリシーが、手動選択より自動選択を優先するポリシーを含む場合に、前記決定部は、優先順位が最も高いコンテンツを第2のコンテンツとして決定する
付記6に記載のコンテンツ提供システム。
(付記8) 前記決定部は、前記第2の端末の性能及び種別の少なくとも一方に応じた第2のコンテンツを選択する
付記1に記載のコンテンツ提供システム。
(付記9) 前記決定部は、前記第2の端末の性能及び種別の少なくとも一方に応じたメディア種別を有する第2のコンテンツを選択する
付記8に記載のコンテンツ提供システム。
(付記10) 前記第2のコンテンツの候補となるコンテンツの配信経路の輻輳または障害の少なくとも一方を示す輻輳障害情報が受信され、
前記決定部は、輻輳障害情報と対応するコンテンツを前記第2のコンテンツの候補から除外する
付記1に記載のコンテンツ提供システム。(4)
(付記11) 前記コンテンツ情報及び前記保有権利情報を前記他のコンテンツ提供システムから受信するために前記コンテンツ提供システムが前記他のコンテンツ提供システムに対するアクセス権を取得する
付記3に記載のコンテンツ提供システム。
(付記12) 前記コンテンツ提供システムは、前記第1のコンテンツの起源となるコンテンツから派生した複数のコンテンツと各コンテンツに係る権利内容を記述したライツ系
統樹の情報を上位装置から受信し、
前記決定部は、前記コンテンツ情報と前記ライツ系統樹とを対比して、前記第1のコンテンツと起源を同じくする1以上のコンテンツを含む第1のコンテンツ一覧を作成し、
前記第1のコンテンツ一覧と前記第2のネットワークを介して提供可能なコンテンツ群とを対比して、前記第2のネットワークを介して提供可能な前記第1のコンテンツと起源を同じくする1以上のコンテンツを含む第2のコンテンツ一覧を作成し、
第2のコンテンツ一覧に含まれるコンテンツから前記第2のコンテンツを決定する
付記1に記載のコンテンツ提供システム。(5)
(付記13) 第1のネットワークと異なる第2のネットワークに属する第2の端末からの前記利用者の要求を受信する受信部と、
前記第1のネットワークに属する第1の端末からの前記利用者の要求に応じて、前記利用者が利用の権利を有する第1のコンテンツに対するライセンスを発行して前記第1のコンテンツを前記第1のネットワークを介して前記第1の端末に提供する第1のコンテンツ提供システムから、前記利用者が前記第1ネットワーク及び前記第1の端末を用いて利用中または利用を中断した第1のコンテンツを特定するコンテンツ情報と、前記利用者の権利を示す保有権利情報とを、前記第2の端末からの前記利用者の要求に応じて取得する取得部と、
前記利用者の権利と合致し且つ前記第2ネットワークで提供可能な前記第1のコンテンツと同一のコンテンツまたは代替コンテンツである、前記第2の端末によって利用可能な第2のコンテンツを決定する決定部と
を含むコンテンツ決定装置。(6)
(付記14) 第1のネットワークと異なる第2のネットワークに属する第2の端末からの前記利用者の要求を受信し、
前記第1のネットワークに属する第1の端末からの前記利用者の要求に応じて、前記利用者が利用の権利を有するコンテンツに対するライセンスを発行して当該コンテンツを前記第1のネットワークを介して前記第1の端末に提供する第1のコンテンツ提供システムから、前記利用者が利用の権利を有し且つ前記第1ネットワークを通じて利用中または利用を中断した第1のコンテンツを特定するコンテンツ情報と、前記利用者の権利を示す保有権利情報とを、前記第2の端末からの前記利用者の要求に応じて取得し、
前記利用者の権利と合致し且つ前記第2ネットワークで提供可能な前記第1のコンテンツと同一のコンテンツまたは代替コンテンツである、前記第2の端末によって利用可能な第2のコンテンツを決定する
ことを含むコンテンツ決定方法。(7)
【符号の説明】
【0133】
N1・・・ネットワーク(第1のネットワーク)
N2・・・ネットワーク(第2のネットワーク)
T1・・・端末装置(第1の端末)
T2・・・端末装置(第2の端末)
10・・・コンテンツ配信システム
20H・・・権利管理システム(ホーム)(ホーム管理システム)
20F・・・権利管理システム(フォーリン)(フォーリン管理システム)
30・・・クリアリングハウス(上位装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワークに属する第1の端末からの利用者の要求に応じて、利用者が利用の権利を有する第1のコンテンツに対するライセンスを発行して前記第1のコンテンツを前記第1のネットワークを介して前記第1の端末に提供する第1のコンテンツ提供システムと、
第1のネットワークと異なる第2のネットワークに属する第2の端末からの前記利用者の要求を受信する受信部,
前記要求に応じて、前記第1のコンテンツ提供システムから得られる、前記利用者が前記第1のネットワーク及び前記第1の端末を用いて利用中または利用を中断した第1のコンテンツを特定するコンテンツ情報と、前記利用者の権利を示す保有権利情報とを少なくとも用いて、前記利用者の権利と合致し且つ前記第2ネットワークで提供可能な前記第1のコンテンツと同一のコンテンツまたは代替コンテンツである、前記第2の端末によって利用可能な第2のコンテンツを決定する決定部,
前記第2のコンテンツに対するライセンスを発行する発行部,及び
前記第2のコンテンツを前記第2のネットワークを介して前記第2の端末に提供する提供部を含む第2のコンテンツ提供システムと、
を含むコンテンツ提供システム。
【請求項2】
前記決定部は、前記第2のコンテンツの候補となる1以上のコンテンツ候補を含むコンテンツ一覧を前記第2の端末に供給し、前記第2の端末からの選択結果に応じたコンテンツ候補を前記第2のコンテンツとして決定する
請求項1に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項3】
前記他のコンテンツ提供システムから前記利用者のコンテンツの選択ポリシー情報が受信され、
前記決定部は、前記選択ポリシーに従って第2のコンテンツを提供する
請求項2に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項4】
前記第2のコンテンツの候補となるコンテンツの配信経路の輻輳または障害の少なくとも一方を示す輻輳障害情報が受信され、
前記決定部は、輻輳障害情報と対応するコンテンツを前記第2のコンテンツの候補から除外する
請求項1に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項5】
前記コンテンツ提供システムは、前記第1のコンテンツの起源となるコンテンツから派生した複数のコンテンツと各コンテンツに係る権利内容を記述したライツ系統樹の情報を上位装置から受信し、
前記決定部は、前記コンテンツ情報と前記ライツ系統樹とを対比して、前記第1のコンテンツと起源を同じくする1以上のコンテンツを含む第1のコンテンツ一覧を作成し、
前記第1のコンテンツ一覧と前記第2のネットワークを介して提供可能なコンテンツ群とを対比して、前記第2のネットワークを介して提供可能な前記第1のコンテンツと起源を同じくする1以上のコンテンツを含む第2のコンテンツ一覧を作成し、
前記第2のコンテンツ一覧に含まれるコンテンツから前記第2のコンテンツを決定する請求項1に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項6】
第1のネットワークと異なる第2のネットワークに属する第2の端末からの前記利用者の要求を受信する受信部と、
前記第1のネットワークに属する第1の端末からの前記利用者の要求に応じて、前記利用者が利用の権利を有する第1のコンテンツに対するライセンスを発行して前記第1のコ
ンテンツを前記第1のネットワークを介して前記第1の端末に提供する第1のコンテンツ提供システムから、前記利用者が前記第1ネットワーク及び前記第1の端末を用いて利用中または利用を中断した前記第1のコンテンツを特定するコンテンツ情報と、前記利用者の権利を示す保有権利情報とを、前記第2の端末からの前記利用者の要求に応じて取得する取得部と、
前記利用者の権利と合致し且つ前記第2ネットワークで提供可能な前記第1のコンテンツと同一のコンテンツまたは代替コンテンツである、前記第2の端末によって利用可能な第2のコンテンツを決定する決定部と
を含むコンテンツ決定装置。
【請求項7】
第1のネットワークと異なる第2のネットワークに属する第2の端末からの前記利用者の要求を受信し、
前記第1のネットワークに属する第1の端末からの前記利用者の要求に応じて、前記利用者が利用の権利を有する第1のコンテンツに対するライセンスを発行して前記第1のコンテンツを前記第1のネットワークを介して前記第1の端末に提供する第1のコンテンツ提供システムから、前記利用者が前記第1ネットワーク及び前記第1の端末を用いて利用中または利用を中断した前記第1のコンテンツを特定するコンテンツ情報と、前記利用者の権利を示す保有権利情報とを、前記第2の端末からの前記利用者の要求に応じて取得し、
前記利用者の権利と合致し且つ前記第2ネットワークで提供可能な前記第1のコンテンツと同一のコンテンツまたは代替コンテンツである、前記第2の端末によって利用可能な第2のコンテンツを決定する
ことを含むコンテンツ決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−174137(P2012−174137A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37525(P2011−37525)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人情報通信研究機構、「端末プラットフォーム技術に関する研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】