説明

コンテンツ提供システム

【課題】十分なDRMの環境を確保しつつ、複数のユーザ間において自由度の高いコンテンツ貸借を行う。
【解決手段】サーバ装置100にアクセス可能な複数のクライアント装置200を用意する。取得要求処理部131は、装置200甲からの取得要求に応じて、暗号化コンテンツデータCと所定の利用期間が設定された第1のライセンスデータLを返信する。貸出要求処理部132は、装置200甲からの装置200乙を貸出先とする貸出要求に応じて、前記利用期間から所定の貸出期間を除外した新たな利用期間が設定された第2のライセンスデータLを返信し、第1のライセンスデータLを無効にする。借入要求処理部133は、装置200乙からの借入要求に応じて、前記貸出期間が設定された第3のライセンスデータLを返信する。各クライアント装置200は、ライセンスデータに設定されている利用期間に限りコンテンツを復号化して再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ提供システムに関し、特に、個々のユーザにネットワークを介してコンテンツを提供するシステムにおいて、ユーザ間でのコンテンツの貸借を可能にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及により、音楽、映像、書籍など、様々なデジタルコンテンツをネットワークを介してユーザの端末装置に提供するサービスが実用化されている。このようなサービスを利用すれば、ユーザは、所望のコンテンツをオンラインでダウンロードして端末装置で再生することができる。コンテンツの提供形態には、ユーザに半永久的な利用権を与える「購入」の形態と、所定の期間を設定して利用権を与える「レンタル」の形態とがあり、通常、前者の方が後者よりも高い対価が設定される。
【0003】
たとえば、下記の特許文献1には、所定の利用制限を課したコンテンツをネットワークを介してユーザ端末に送信し、予め定められた利用権の総数の範囲内で利用制限を解除できるようにすることにより、コンテンツのレンタルを可能とするコンテンツレンタルシステムが開示されている。また、特許文献2には、このようなコンテンツレンタルシステムにおけるDRM(Digital Right Management)の手法として、コンテンツを暗号化した状態でユーザに提供し、ユーザが再生を行うたびに復号キーを送信する方法が開示されている。
【0004】
一方、特許文献3には、レンタル中のコンテンツを、別なユーザに又貸しすることが可能なコンテンツ配信システムが開示されている。このシステムを利用すれば、運営業者からレンタルしたコンテンツを、更に家族や友人などに又貸しすることができるため、CDやDVDなどの物理的媒体として提供されるコンテンツや、物理的な書籍として提供されるコンテンツと同様に、貸し借りを行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−342677号公報
【特許文献2】特開2003−076805号公報
【特許文献3】特開2007−140960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CD、DVD、一般書籍など、物理的な媒体に記録されたコンテンツは、当該媒体を貸し借りすることにより、コンテンツ自体の貸し借りが可能である。ところが、前掲の特許文献1,2に開示されているシステムは、運営業者とユーザとの間のコンテンツの貸借を想定したシステムであり、ユーザ同士でのコンテンツ貸借を行うことはできない。このようなシステムでは、前述したとおり、著作権保護の観点からDRMの手法が採り入れられており、コンテンツのデータのみを他のユーザに渡しても、当該他のユーザが再生することはできない仕組みになっている。
【0007】
そこで、DRMの手法を採り入れつつ、ユーザ同士の貸借を可能にする技術が、前掲の特許文献3に開示されている。この技術を利用すれば、レンタル中のコンテンツを、別なユーザに又貸しすることが可能になるが、ユーザにコンテンツを提供する際に、「又貸しの条件を示す貸出制限情報」を含んだライセンスを発行する必要があるため、貸出期間などの条件を柔軟に変更できないという問題がある。そのため、ユーザ間におけるコンテンツ貸借の自由度が大幅に制限されることになる。
【0008】
そこで本発明は、十分なDRMの環境を確保しつつ、複数のユーザ間において、自由度の高いコンテンツ貸借を行うことが可能なコンテンツ提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明の第1の態様は、複数のユーザ間におけるコンテンツの貸借機能を備えたコンテンツ提供システムにおいて、
サーバ装置と、このサーバ装置に対して特定のユーザを示すアカウントを指定したアクセスが可能な複数のクライアント装置と、を設け、
サーバ装置には、
オリジナルコンテンツデータを所定のコンテンツ鍵を用いて暗号化した暗号化コンテンツデータを提供するコンテンツ提供部と、
暗号化に用いたコンテンツ鍵と少なくとも利用期間を示す利用条件とを含むライセンスデータを、個々の暗号化コンテンツデータに対応づけて発行し、その内容を記録するライセンス発行部と、
ネットワークを介して個々のクライアント装置と通信を行うサーバ側通信部と、
個々のクライアント装置からの要求に応じて、所定の処理を実行する要求処理部と、
を設け、
複数のクライアント装置のそれぞれには、
ネットワークを介してサーバ装置と通信を行うクライアント側通信部と、
サーバ装置から送信されてきた暗号化コンテンツデータを格納するコンテンツ格納部と、
サーバ装置から送信されてきたライセンスデータを格納し、これを管理するライセンス管理部と、
ユーザからの指示を入力する指示入力部と、
指示入力部が入力した指示に基づいて、サーバ装置へ要求を送信する要求送信部と、
指示入力部が再生指示を入力したときに、ライセンス管理部に格納されている、再生対象となるコンテンツに対応づけられたライセンスデータ内の利用条件を参照して、再生環境が当該利用条件に合致するか否かの判定を行い、合致すると判定された場合に、当該ライセンスデータに含まれているコンテンツ鍵を読み出す条件判定部と、
再生指示に基づいて条件判定部が合致判定を行った場合に、条件判定部が読み出したコンテンツ鍵を利用して、コンテンツ格納部内の再生対象となるコンテンツの暗号化コンテンツデータを復号化し、復号化により得られたオリジナルコンテンツデータを再生するコンテンツ再生部と、
を設け、
要求送信部は、
取得対象コンテンツについての取得要求を行う取得要求部と、
取得済のコンテンツの中から選択された貸出対象コンテンツについて、貸出期間および貸出先を指定した貸出要求を行う貸出要求部と、
他のユーザが自己宛に貸出要求を行ったコンテンツについての借入要求を行う借入要求部と、を有し、
要求処理部は、
取得要求があったときに、コンテンツ提供部から提供された取得対象コンテンツについての暗号化コンテンツデータと、これに対応づけてライセンス発行部に発行させたライセンスデータとを、要求元のクライアント装置へ送信するとともに、取得要求の内容を記録する取得要求処理を行う取得要求処理部と、
貸出要求があったときに、貸出対象コンテンツについての取得要求処理の際に発行したライセンスデータの利用期間から貸出期間を除外した新たな利用期間を示す利用条件を含むライセンスデータを、貸出対象コンテンツに対応づけられた新たなライセンスデータとしてライセンス発行部に発行させ、当該新たなライセンスデータを要求元のクライアント装置へ送信するとともに、貸出要求の内容を記録する貸出要求処理を行う貸出要求処理部と、
借入要求があったときに、当該借入要求を行った要求元を貸出先とする貸出要求が貸出要求処理部によって記録されているか否かを調べ、記録されていた場合には、当該記録に係るコンテンツを借入対象コンテンツとして、当該記録に係る貸出期間を利用期間とする利用条件を含むライセンスデータを、この借入対象コンテンツに対応づけられたライセンスデータとしてライセンス発行部に発行させ、当該ライセンスデータと、コンテンツ提供部から提供された借入対象コンテンツについての暗号化コンテンツデータとを、要求元のクライアント装置へ送信するとともに、借入要求の内容を記録する借入要求処理を行う借入要求処理部と、を有し、
ライセンス管理部は、1つのコンテンツに対応づけられた1つもしくは複数のライセンスデータを格納する機能と、1つのコンテンツに対応づけられて格納されている1つもしくは複数のライセンスデータのうち有効なものを示す有効性情報を格納する機能と、を有し、取得要求、貸出要求、借入要求に応じてサーバ装置からライセンスデータが送信されてきたときには、送信されてきたライセンスデータのみが有効となるように有効性情報を更新するライセンス管理処理を行い、
条件判定部は、有効性情報によって有効とされるライセンスデータを参照して判定を行うようにしたものである。
【0010】
(2) 本発明の第2の態様は、上述した第1の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
ライセンス管理部が、個々のライセンスデータについて、有効/無効の状態を示すフラグを有効性情報として設定し、1つのコンテンツに対応づけられたライセンスデータについての有効を示すフラグの数が1を越えないようにフラグを切り替えることによりライセンス管理処理を行うようにしたものである。
【0011】
(3) 本発明の第3の態様は、上述した第1または第2の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
要求処理部が、各要求に応じた処理を行う際に、クライアント装置側に有効性情報を更新するための更新指示を送信し、
ライセンス管理部が、オンライン状態で更新指示を受け取ったときにのみ有効性情報の更新を行うようにしたものである。
【0012】
(4) 本発明の第4の態様は、上述した第1または第2の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
ライセンス管理部が、利用期間が経過しているライセンスデータを無効とするように有効性情報を更新するか、もしくは、当該ライセンスデータを削除するライセンス整理処理を行うようにしたものである。
【0013】
(5) 本発明の第5の態様は、上述した第1〜第4の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
取得要求部が、取得対象コンテンツについての取得要求を行う際に、購入またはレンタルのいずれかを示す要求を行い、
取得要求処理部が、購入を示す取得要求があったときには、ライセンス発行部に利用期間が無期限であることを示す利用条件を含むライセンスデータを発行させ、レンタルを示す取得要求があったときには、ライセンス発行部に有限の利用期間を示す利用条件を含むライセンスデータを発行させるようにしたものである。
【0014】
(6) 本発明の第6の態様は、上述した第1〜第4の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
貸出要求処理部が、特定のユーザから特定の貸出対象コンテンツについて特定の貸出期間を指定した貸出要求があったときに、ユーザの貸出対象コンテンツについての有効なライセンスデータを参照し、貸出期間が、ライセンスデータに含まれている利用期間の範囲内であるか否かを判定する処理を行い、肯定的判定結果が得られた場合にのみ貸出要求処理を行うようにしたものである。
【0015】
(7) 本発明の第7の態様は、上述した第1〜第4の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
貸出要求部が、ユーザからの指示に基づいて所定の貸出期間を指定した貸出要求を行う際に、ライセンス管理部を参照して、貸出期間が、貸出対象コンテンツに対応づけられた有効なライセンスデータに含まれている利用期間の範囲内であるか否かを判定する処理を行い、肯定的判定結果が得られた場合にのみ貸出要求を行うようにしたものである。
【0016】
(8) 本発明の第8の態様は、上述した第1〜第4の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
貸出要求処理部が、個々のユーザについて、それぞれ貸出許可ユーザを特定する貸出許可リストを格納しており、特定のユーザからの貸出要求があったときに、貸出先が貸出許可リストに含まれているか否かを判定する処理を行い、肯定的判定結果が得られた場合にのみ貸出要求処理を行うようにしたものである。
【0017】
(9) 本発明の第9の態様は、上述した第1〜第4の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
貸出要求部が、貸出許可ユーザを特定する貸出許可リストを格納しており、ユーザからの指示に基づいて所定の貸出先を指定した貸出要求を行う際に、貸出先が貸出許可リストに含まれているか否かを判定する処理を行い、肯定的判定結果が得られた場合にのみ貸出要求を行うようにしたものである。
【0018】
(10) 本発明の第10の態様は、上述した第1〜第9の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
借入要求部が、借入要求処理部に対して、他のユーザが自己宛に貸出要求を行ったコンテンツを列挙した借入可能リストを要求し、この要求に応じて送信されてきた借入可能リストをディスプレイ画面上に表示する機能を有し、
借入要求処理部が、要求に応じた借入可能リストを作成し、これを送信する機能を有し、
指示入力部が、ディスプレイ画面上に表示された借入可能リストに掲載されているコンテンツの中から特定のコンテンツを指定するユーザの指示を入力する機能を有し、
借入要求部が、上記特定のコンテンツについての借入要求を行うようにしたものである。
【0019】
(11) 本発明の第11の態様は、上述した第10の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
借入要求処理部が、コンテンツを特定する情報、貸出元、貸出期間を明示した借入可能リストを作成するようにしたものである。
【0020】
(12) 本発明の第12の態様は、上述した第1〜第11の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
要求送信部が、
貸出期間が残っている借入対象コンテンツの中から選択された返却対象コンテンツを貸出元に宛てて返却する返却要求を行う返却要求部と、
他のユーザが自己宛に返却要求を行った返却対象コンテンツについての受取要求を行う受取要求部と、
を更に有し、
要求処理部が、
返却要求があったときに、当該返却要求を行った要求元のライセンス管理部に対して、返却対象コンテンツに対応づけられたライセンスを無効とするライセンス更新指示を与えるとともに、返却要求の内容を記録する返却要求処理を行う返却要求処理部と、
受取要求があったときに、当該受取要求を行った要求元を貸出元とする返却要求が返却要求処理部によって記録されているか否かを調べ、記録されていた場合には、当該受取要求を行った要求元のライセンス管理部に対して、当該記録に係る返却対象コンテンツに対応づけられた複数のライセンスデータのうち、当該返却対象コンテンツについての貸出要求の直前もしくは当該返却対象コンテンツの取得時に有効であったライセンスデータのみを有効とするライセンス更新指示を与えるとともに、受取要求の内容を記録する受取要求処理を行う受取要求処理部と、
を更に有し、
ライセンス管理部が、返却要求処理部および受取要求処理部からの指示に基づいて有効性情報を更新するライセンス管理処理を行うようにしたものである。
【0021】
(13) 本発明の第13の態様は、上述した第12の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
受取要求処理部が、受取要求を行った要求元のライセンス管理部に対してライセンス更新指示を与える代わりに、更新後のライセンスの内容と同じ新たなライセンスデータを返却対象コンテンツに対応づけられた新たなライセンスデータとしてライセンス発行部に発行させ、当該新たなライセンスデータを要求元のクライアント装置へ送信するようにし、
ライセンス管理部は、受取要求に応じてサーバ装置からライセンスデータが送信されてきたときには、送信されてきたライセンスデータのみが有効となるように有効性情報を更新するライセンス管理処理を行うようにしたものである。
【0022】
(14) 本発明の第14の態様は、上述した第12または第13の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
受取要求部が、受取要求処理部に対して、他のユーザが自己宛に返却要求を行ったコンテンツを列挙した受取可能リストを要求し、この要求に応じて送信されてきた受取可能リストをディスプレイ画面上に表示する機能を有し、
受取要求処理部が、要求に応じた受取可能リストを作成し、これを送信する機能を有し、
指示入力部が、ディスプレイ画面上に表示された受取可能リストに掲載されているコンテンツの中から特定のコンテンツを指定するユーザの指示を入力する機能を有し、
受取要求部が、上記特定のコンテンツについての受取要求を行うようにしたものである。
【0023】
(15) 本発明の第15の態様は、上述した第1〜第11の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
要求送信部が、要求に係る個々のコンテンツについて少なくとも利用可否に関する状態を示すステータスを記録し、指示入力部が入力した指示に基づいて、当該ステータスを用いた情報提供を行うクライアント側ステータス記録部を有し、
要求処理部が、処理に係る個々のユーザの個々のコンテンツについて少なくとも利用可否に関する状態を示すステータスを記録し、外部からの指示に基づいて、当該ステータスを用いた情報提供を行うサーバ側ステータス記録部を有するようにしたものである。
【0024】
(16) 本発明の第16の態様は、上述した第15の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
取得要求部は、取得要求を行った際に、取得対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録し、取得要求処理部は、取得要求処理を行った際に、要求元ユーザの取得対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録し、
貸出要求部は、貸出要求を行った際に、貸出対象コンテンツについて「貸出中」なるステータスを記録し、貸出要求処理部は、貸出要求処理を行った際に、貸出元ユーザの貸出対象コンテンツについて「利用不可」なるステータスを記録するとともに、貸出先ユーザの貸出対象コンテンツについて「借入許可済」なるステータスを記録し、
借入要求部は、借入要求を行った際に、借入対象コンテンツについて「借入中」なるステータスを記録し、借入要求処理部は、借入要求処理を行った際に、「借入許可済」なるステータスが記録されていた貸出先ユーザの借入対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録するようにしたものである。
【0025】
(17) 本発明の第17の態様は、上述した第16の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
要求送信部が、「借入中」なるステータスが記録されているコンテンツについて、対応づけられたライセンスデータの貸出期間が満了していた場合に、「利用不可」なるステータスに変更する処理を行い、「貸出中」なるステータスが記録されているコンテンツについて、対応づけられたライセンスデータの貸出期間が満了していた場合に、「利用可」なるステータスに変更する処理を行うようにしたものである。
【0026】
(18) 本発明の第18の態様は、上述した第12〜第14の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
要求送信部が、要求に係る個々のコンテンツについて少なくとも利用可否に関する状態を示すステータスを記録し、指示入力部が入力した指示に基づいて、当該ステータスを用いた情報提供を行うクライアント側ステータス記録部を有し、
要求処理部が、処理に係る個々のユーザの個々のコンテンツについて少なくとも利用可否に関する状態を示すステータスを記録し、外部からの指示に基づいて、当該ステータスを用いた情報提供を行うサーバ側ステータス記録部を有するようにしたものである。
【0027】
(19) 本発明の第19の態様は、上述した第18の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
返却要求部は、返却要求を行った際に、返却対象コンテンツについて「利用不可」なるステータスを記録し、返却要求処理部は、返却要求処理を行った際に、返却元ユーザの返却対象コンテンツについて「利用不可」なるステータスを記録するとともに、返却先ユーザの返却対象コンテンツについて「返却受取可」なるステータスを記録し、
受取要求部は、受取要求を行った際に、受取対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録し、受取要求処理部は、受取要求処理を行った際に、「返却受取可」なるステータスが記録されていた返却先ユーザの受取対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録するようにしたものである。
【0028】
(20) 本発明の第20の態様は、複数のユーザ間におけるコンテンツの貸借機能を備えたコンテンツ提供システムにおいて、
サーバ装置と、このサーバ装置に対して特定のユーザを示すアカウントを指定したアクセスが可能な複数のクライアント装置と、を設け、
サーバ装置は、
第1のクライアント装置および第2のクライアント装置からの要求に応じて、所定の利用制限が課されたコンテンツデータを要求元に送信するコンテンツ送信手段と、
第1のクライアント装置からの取得要求に応じて、第1の利用期間が設定された第1のライセンスデータを、第1のクライアント装置に送信する取得要求処理手段と、
第1のクライアント装置からの第2のクライアント装置を貸出先とする貸出要求に応じて、第1の利用期間から所定の貸出期間を除外した第2の利用期間が設定された第2のライセンスデータを第1のクライアント装置に送信する貸出要求処理手段と、
第2のライセンスデータを送信した後の第2のクライアント装置からの借入要求に応じて、貸出期間が第3の利用期間として設定された第3のライセンスデータを、第2のクライアント装置に送信する借入要求処理手段と、
を有し、
複数のクライアント装置のそれぞれは、
ライセンスデータに設定されている利用期間に限り利用制限を解除してコンテンツデータを利用するコンテンツ再生手段と、
第2のライセンスデータが送信されてきたときに、第1のライセンスデータを無効化するライセンス管理手段と、
を有するようにしたものである。
【0029】
(21) 本発明の第21の態様は、上述した第20の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
サーバ装置が、
第2のクライアント装置からの返却要求に応じて、第2のクライアント装置に対して、第3のライセンスデータを無効化する第1の指示を与える返却要求処理手段と、
第1の指示を与えた後の第1のクライアント装置からの受取要求に応じて、第1のクライアント装置に対して、第2のライセンスデータを無効化し第1のライセンスデータを有効化する第2の指示を与える受取要求処理手段と、
を更に有し、
ライセンス管理手段が、第1の指示に応じて、第3のライセンスデータを無効化し、第2の指示に応じて、第2のライセンスデータを無効化し第1のライセンスデータを有効化するようにしたものである。
【0030】
(22) 本発明の第22の態様は、上述した第20の態様に係るコンテンツ提供システムにおいて、
サーバ装置が、
第2のクライアント装置からの返却要求に応じて、第2のクライアント装置に対して、第3のライセンスデータを無効化する無効化指示を与える返却要求処理手段と、
無効化指示を与えた後の第1のクライアント装置からの受取要求に応じて、第1のクライアント装置に対して、無効化指示後の所定期間が第4の利用期間として設定された第4のライセンスデータを送信する受取要求処理手段と、
を更に有し、
ライセンス管理手段が、無効化指示に応じて、第3のライセンスデータを無効化し、第4のライセンスデータが送信されてきたときに、第2のライセンスデータを無効化するようにしたものである。
【0031】
(23) 本発明の第23の態様は、上述した第1〜第22の態様に係るコンテンツ提供システムの構成要素となるサーバ装置を具現化したものである。
【0032】
(24) 本発明の第24の態様は、上述した第1〜第22の態様に係るコンテンツ提供システムの構成要素となる1台のクライアント装置を具現化したものである。
【0033】
(25) 本発明の第25の態様は、上述した第1〜第22の態様に係るコンテンツ提供システムの構成要素となる1台のクライアント装置を、コンピュータに専用のプログラムを組み込むことにより構成したものである。
【0034】
(26) 本発明の第26の態様は、サーバ装置と、このサーバ装置に対して特定のユーザを示すアカウントを指定したアクセスが可能な複数のクライアント装置と、を用いて、複数のユーザ間におけるコンテンツの貸借を行うコンテンツの貸借方法において、
サーバ装置が、第1のクライアント装置からの要求に応じて、所定の利用制限が課されたコンテンツデータを、第1のクライアント装置に送信する段階と、
サーバ装置が、第1のクライアント装置からの取得要求に応じて、第1の利用期間が設定された第1のライセンスデータを、第1のクライアント装置に送信する段階と、
サーバ装置が、第1のクライアント装置からの第2のクライアント装置を貸出先とする貸出要求に応じて、第1の利用期間から所定の貸出期間を除外した第2の利用期間が設定された第2のライセンスデータを第1のクライアント装置に送信する段階と、
サーバ装置が、第2のクライアント装置からの要求に応じて、コンテンツデータを、第2のクライアント装置に送信する段階と、
サーバ装置が、第2のライセンスデータの送信後、第2のクライアント装置からの借入要求に応じて、貸出期間が第3の利用期間として設定された第3のライセンスデータを、第2のクライアント装置に送信する段階と、
第1のクライアント装置および第2のクライアント装置が、ライセンスデータに設定されている利用期間に限り利用制限を解除してコンテンツデータを再生する段階と、
第1のクライアント装置が、第2のライセンスデータが送信されてきたときに、第1のライセンスデータを無効化する段階と、
を行うようにしたものである。
【0035】
(27) 本発明の第27の態様は、上述した第26の態様に係るコンテンツの貸借方法において、
サーバ装置が、第2のクライアント装置からの返却要求に応じて、第2のクライアント装置に対して、第3のライセンスデータを無効化する第1の指示を与える段階と、
第2のクライアント装置が、第1の指示に応じて、第3のライセンスデータを無効化する段階と、
サーバ装置が、第1の指示を与えた後、第1のクライアント装置からの受取要求に応じて、第1のクライアント装置に対して、第2のライセンスデータを無効化し第1のライセンスデータを有効化する第2の指示を与える段階と、
第1のクライアント装置が、第2の指示に応じて、第2のライセンスデータを無効化し第1のライセンスデータを有効化する段階と、
を更に行うようにしたものである。
【0036】
(28) 本発明の第28の態様は、上述した第26の態様に係るコンテンツの貸借方法において、
サーバ装置が、第2のクライアント装置からの返却要求に応じて、第2のクライアント装置に対して、第3のライセンスデータを無効化する無効化指示を与える段階と、
第2のクライアント装置が、無効化指示に応じて、第3のライセンスデータを無効化する段階と、
サーバ装置が、無効化指示を与えた後、第1のクライアント装置からの受取要求に応じて、第1のクライアント装置に対して、無効化指示後の所定期間が第4の利用期間として設定された第4のライセンスデータを送信する段階と、
第1のクライアント装置が、第4のライセンスデータが送信されてきたときに、第2のライセンスデータを無効化する段階と、
を更に行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、貸出要求を行った貸出元ユーザのクライアント装置に対して、貸出期間を除外した新たな利用期間が設定されたライセンスデータを送信し、借入要求を行った貸出先ユーザのクライアント装置に対して、貸出期間を利用期間とするライセンスデータを送信するようにし、かつ、個々のクライアント装置において、個々のコンテンツごとにライセンスデータの有効性を切り替えるようにしたため、十分なDRMの環境を確保しつつ、複数のユーザ間において、自由度の高いコンテンツ貸借を行うことが可能になる。
【0038】
また、期限前の返却を可能とする実施形態によれば、貸出先ユーザが、貸出期間の満了前に返却要求を行い、貸出元ユーザが、この返却要求に応じた受取要求を行うことにより、ライセンスデータの切り替えが行われるため、貸出元ユーザは、貸出期間の満了前であっても返却されたコンテンツを利用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るコンテンツ提供システムの基本構成を示すブロック図である。
【図2】図1のクライアント装置200甲,乙,丙の構成を示すブロック図である。
【図3】図1および図2のライセンスデータLの内部構成を示すブロック図である。
【図4】図1のシステムにおいて、3人のユーザ甲,乙,丙にそれぞれコンテンツを提供した初期状態を示す系統図である。
【図5】図4に示す初期状態において、各クライアント装置のライセンス管理部に格納されているライセンスデータを示すブロック図である。
【図6】ユーザ甲から乙に対して貸し出しを行った場合のライセンスデータの変遷例を示すブロック図である。
【図7】ユーザ甲から乙に対して貸し出しを行った時点において、各クライアント装置のライセンス管理部に格納されているライセンスデータを示すブロック図である。
【図8】ユーザ乙が貸出期間満了後にコンテンツを購入した時点において、ユーザ乙のクライアント装置のライセンス管理部に格納されているライセンスデータを示すブロック図である。
【図9】ユーザ甲から丙に対して貸し出しを行った時点において、各クライアント装置のライセンス管理部に格納されているライセンスデータを示すブロック図である。
【図10】図1のシステムで利用する貸出許可リストの一例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るコンテンツ提供システムの基本構成を示すブロック図である。
【図12】図11のクライアント装置200甲′,200乙′,200丙′の構成を示すブロック図である。
【図13】ユーザ丙から甲に対して期限前返却を行った時点において、各クライアント装置のライセンス管理部に格納されているライセンスデータを示すブロック図である。
【図14】図11のシステムにおける貸出要求プロセスの手順を示す流れ図である。
【図15】図11のシステムにおける借入要求プロセスの手順を示す流れ図である。
【図16】図11のシステムで利用する借入可能リストの一例を示す図である。
【図17】図16に示す借入可能リストを用いた借入対象コンテンツの指定指示画面の一例を示す平面図である。
【図18】図11のシステムにおける返却要求プロセスの手順を示す流れ図である。
【図19】図11のシステムにおける受取要求プロセスの手順を示す流れ図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係るコンテンツ提供システムの基本構成を示すブロック図である。
【図21】図20のクライアント装置200甲'',200乙'',200丙''の構成を示すブロック図である。
【図22】図20のシステムで用いられるステータスの一覧を示す表である。
【図23】図24〜図41に示す実施例におけるイベントの一覧表である。
【図24】イベントE1の時点におけるサーバ側ステータスを示す表である。
【図25】イベントE1の時点におけるクライアント側ステータスを示す表である。
【図26】イベントE2の時点におけるサーバ側ステータスを示す表である。
【図27】イベントE2の時点におけるクライアント側ステータスを示す表である。
【図28】イベントE3の時点におけるサーバ側ステータスを示す表である。
【図29】イベントE3の時点におけるクライアント側ステータスを示す表である。
【図30】イベントE4の時点におけるサーバ側ステータスを示す表である。
【図31】イベントE4の時点におけるクライアント側ステータスを示す表である。
【図32】イベントE5の時点におけるサーバ側ステータスを示す表である。
【図33】イベントE5の時点におけるクライアント側ステータスを示す表である。
【図34】イベントE6の時点におけるサーバ側ステータスを示す表である。
【図35】イベントE6の時点におけるクライアント側ステータスを示す表である。
【図36】イベントE7の時点におけるサーバ側ステータスを示す表である。
【図37】イベントE7の時点におけるクライアント側ステータスを示す表である。
【図38】イベントE8の時点におけるサーバ側ステータスを示す表である。
【図39】イベントE8の時点におけるクライアント側ステータスを示す表である。
【図40】イベントE9の時点におけるサーバ側ステータスを示す表である。
【図41】イベントE9の時点におけるクライアント側ステータスを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0041】
<<< §1. 第1の実施形態の基本構成 >>>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るコンテンツ提供システムの基本構成を示すブロック図である。図示のとおり、このシステムは、サーバ装置100と複数のクライアント装置200によって構成され、複数のユーザ間におけるコンテンツの貸借機能を備えている。ここでは説明の便宜上、3台のクライアント装置200甲,200乙,200丙を用いた例を示すが、実用上は、より多数のクライアント装置200が利用されることになる。
【0042】
各クライアント装置200は、それぞれサーバ装置100に対して特定のユーザを示すアカウントを指定して、ネットワークN(この例の場合はインターネット)を介したアクセスが可能である。ここでは、クライアント装置200甲は、ユーザ甲のアカウントを指定したアクセスが可能な装置であり、クライアント装置200乙は、ユーザ乙のアカウントを指定したアクセスが可能な装置であり、クライアント装置200丙は、ユーザ丙のアカウントを指定したアクセスが可能な装置であるものとする。
【0043】
このシステムを利用すれば、各ユーザ甲,乙,丙は、それぞれサーバ装置100から所望のコンテンツを取得して利用することができるだけでなく、取得済みのコンテンツを他のユーザに貸し出すことが可能になる。ここで、コンテンツの取得や、貸出および借入の処理は、基本的に、個々のクライアント装置200とサーバ装置100との間のデータのやりとりによって行われ、複数のクライアント装置間での直接的なデータのやりとりは必要ない。
【0044】
サーバ装置100は、このコンテンツ提供システムを用いてデジタルコンテンツを提供するサービス業者によって管理されるサーバ用コンピュータによって構成され、図示のとおり、コンテンツ提供部110、ライセンス発行部120、要求処理部130、サーバ側通信部140を有している。
【0045】
コンテンツ提供部110は、オリジナルコンテンツデータを所定のコンテンツ鍵を用いて暗号化した暗号化コンテンツデータCを提供する役割を果たす構成要素である。ここで、オリジナルコンテンツデータは、音楽、映像、書籍など、任意のデジタルコンテンツのデータでかまわない。コンテンツを暗号化コンテンツデータCの形で提供するのは、クライアント装置200側において、DRMを実現するためである。ライセンス発行部120は、このDRMに利用するライセンスデータを発行するための構成要素であり、暗号化に用いたコンテンツ鍵と少なくとも利用期間を示す利用条件とを含むライセンスデータLを、個々の暗号化コンテンツデータCに対応づけて発行するとともに、発行したライセンスデータLの内容を記録する機能を果たす。
【0046】
コンテンツ提供部110に、個々のコンテンツについてのオリジナルコンテンツデータを格納する機能と、所定のコンテンツ鍵を用いて、このオリジナルコンテンツデータを暗号化して暗号化コンテンツデータCを生成する機能とを設けておけば、必要に応じて、所望のコンテンツについての暗号化コンテンツデータCを提供することができる。このとき、暗号化に用いたコンテンツ鍵をライセンス発行部120に伝達するようにすれば、ライセンス発行部120は、伝達されたコンテンツ鍵を組み込んだライセンスデータLを発行することができる。あるいは、このシステムとは別の場所で、個々のコンテンツについての暗号化コンテンツデータCを予め生成しておき、コンテンツ提供部110には、暗号化コンテンツデータCのみを格納しておき、ライセンス発行部120には、個々の暗号化コンテンツデータCに対応したコンテンツ鍵を格納しておくようにしてもよい。
【0047】
要求処理部130は、個々のクライアント装置200からの要求に応じて、所定の処理を実行する構成要素であり、暗号化コンテンツデータCという形式でのコンテンツの提供処理や、ライセンスデータLの発行処理は、この要求処理部130の管理下で行われる。また、サーバ側通信部140は、ネットワークNを介して個々のクライアント装置200と通信を行う機能をもった構成要素であり、要求処理部130と個々のクライアント装置200との間でやりとりされる情報を中継する役割を果たす。
【0048】
一方、個々のクライアント装置200(クライアント装置200甲,200乙,200丙は、いずれも同じ構成を有している)は、図2に示すように、クライアント側通信部210、コンテンツ格納部220、ライセンス管理部230、要求送信部240、コンテンツ再生部250、条件判定部260、指示入力部270を有している。
【0049】
クライアント側通信部210は、ネットワークNを介してサーバ装置100と通信を行う機能をもった構成要素である。より具体的には、サーバ側通信部140とクライアント側通信部210との間で、ネットワークNを介してデータのやりとりが行われることになる。コンテンツ格納部220は、サーバ装置100から送信されてきた暗号化コンテンツデータCを格納する構成要素であり、ライセンス管理部230は、サーバ装置100から送信されてきたライセンスデータLを格納し、これを管理する構成要素である。また、要求送信部240は、ユーザからの指示に基づいて、サーバ装置100に対して様々な要求を送信する機能を果たす。
【0050】
コンテンツ再生部250は、コンテンツ格納部220に格納されている暗号化コンテンツデータCを再生する(コンテンツの内容をディスプレイ画面上に提示したり、スピーカから提示したりする)構成要素であるが、再生を行うためには、暗号化コンテンツデータCを復号化する必要がある。そして、この復号化には、ライセンス管理部230に格納されているライセンスデータL内のコンテンツ鍵Kが必要になる。条件判定部260は、ライセンス管理部230に格納されている、再生対象となるコンテンツに対応づけられたライセンスデータL内の利用条件を参照して、再生環境が当該利用条件に合致するか否かの判定を行い、合致すると判定された場合に、当該ライセンスデータLに含まれているコンテンツ鍵Kを読み出す機能を果たす。コンテンツ再生部250は、この条件判定部260が読み出したコンテンツ鍵Kを利用して、再生対象となるコンテンツの暗号化コンテンツデータCを復号化し、復号化により得られたオリジナルコンテンツデータを再生する。
【0051】
指示入力部270は、このクライアント装置200のユーザからの指示を入力し、入力した指示を要求送信部240、コンテンツ再生部250、条件判定部260に伝達する構成要素である。要求送信部240は、指示入力部270が入力した指示に基づいて様々な要求送信を行い、条件判定部260およびコンテンツ再生部250は、指示入力部270が入力した再生指示に基づいて、コンテンツ鍵Kの読み出しおよびコンテンツの再生を行う。
【0052】
図3は、図1および図2のライセンスデータLの内部構成を示すブロック図である。前述したとおり、オリジナルコンテンツデータCoは、所定のコンテンツ鍵Kを用いて暗号化され、暗号化コンテンツデータCの形でクライアント装置200に提供される。しかも、暗号化コンテンツデータCを復号化するには、暗号化に用いたコンテンツ鍵Kが必要になる。したがって、コンテンツ再生部250は、この暗号化に用いたコンテンツ鍵Kを用いて暗号化コンテンツデータCを復号化し、オリジナルコンテンツデータCoに戻した上で、これを再生する必要がある。図3に示すとおり、ライセンスデータLには、復号化に必要なコンテンツ鍵K(暗号化に用いたコンテンツ鍵K)が含まれており、コンテンツ再生部250は、このライセンスデータLに含まれているコンテンツ鍵Kを利用して復号化を行うことになる。
【0053】
ただ、DRMを実現する必要上、予め設定された所定の利用条件を満たす場合にのみ、コンテンツ鍵Kを取り出すことができるようにする必要がある。そこで、図示のとおり、ライセンスデータLには、コンテンツ鍵Kとともに、コンテンツの利用条件Uを組み込むようにし、条件判定部260によって、コンテンツ再生部250によって行われる再生環境が当該利用条件に合致するか否かの判定を行い、合致すると判定された場合にのみ、当該ライセンスデータLに含まれているコンテンツ鍵Kが読み出されるようにする。
【0054】
通常、個々のコンテンツごとに、それぞれ異なるコンテンツ鍵が利用される。したがって、個々の暗号化コンテンツデータCとライセンスデータLとは互いに対応づけられており、特定の暗号化コンテンツデータCの復号化に用いるコンテンツ鍵Kは、当該暗号化コンテンツデータCに対応づけられたライセンスデータLに組み込まれている。そこで、条件判定部260は、常に、再生対象コンテンツに対応づけられたライセンスデータLの利用条件を参照して、再生環境が当該利用条件に合致するか否かの判定を行い、合致すると判定された場合に、当該ライセンスデータLに含まれているコンテンツ鍵Kを読み出す処理を行うことになる。
【0055】
ここに示す実施形態の場合、利用条件Uとして、「利用期間」、「利用端末」、「再生回数」という3つの条件が設定されている。「利用期間」なる条件は、たとえば、「2011年4月1日から1ヶ月間」あるいは「2011年4月1日〜4月30日」のように、コンテンツの再生が可能な期間を示す条件であれば、どのような条件を設定してもかまわない。もちろん、「無期限」や「2011年4月1日以降ずっと」というような期間を設定することも可能である。条件判定部260は、指示入力部270から特定のコンテンツについての再生指示が与えられた場合、当該コンテンツに対応づけられたライセンスデータL内の「利用期間」なる条件で示される期間内に現時点が含まれているか否かを判定し、含まれている場合には、「利用期間」なる条件が合致した旨の判定を行う。
【0056】
また、「利用端末」なる条件は、再生を行うクライアント装置200を限定するための条件であり、当該条件によって示されたクライアント装置200においてのみ、再生が許可されることになる。具体的には、「利用端末」なる条件は、特定のクライアント装置200を示す識別情報によって構成され、たとえば、クライアント装置200に組み込まれているCPUのシリアル番号や、クライアント側通信部210に組み込まれている通信装置のMACアドレスなどを「利用端末」を示す情報として利用することができる。条件判定部260は、指示入力部270から特定のコンテンツについての再生指示が与えられた場合、当該コンテンツに対応づけられたライセンスデータL内の「利用端末」として指定された識別情報を参照して、クライアント装置200自身の識別情報がこれに合致するか否かの判定を行う。
【0057】
一方、「再生回数」なる条件は、当該コンテンツを再生する回数を制限するための条件であり、当該条件によって示された回数を越えた再生は許可されないことになる。条件判定部260は、コンテンツ再生部250によって特定のコンテンツについての再生が行われるたびに、当該コンテンツについての再生回数をカウントアップし、これを記録する処理を行う。そして、指示入力部270から当該コンテンツについての再生指示が与えられた場合、当該コンテンツに対応づけられたライセンスデータL内の「再生回数」を越えない限り、条件に合致している旨の判定を行う。
【0058】
ここに示す実施形態の場合、条件判定部260は、上述した「利用期間」、「利用端末」、「再生回数」という3つの条件のすべてが合致している場合に、再生環境が利用条件に合致する旨の判定を行い、ライセンスデータLに含まれているコンテンツ鍵Kを読み出す処理を実行する。いずれか1つの条件でも合致しない場合には、再生環境が利用条件に合致しない旨の判定を行い、コンテンツ鍵Kは読み出されず、当然、コンテンツ再生部250によるコンテンツの再生は行われない。
【0059】
もっとも、本発明を実施する上では、少なくとも「利用期間」を示す利用条件Uが設定されていれば足りるので、「利用端末」や「再生回数」といった条件は設定しなくてもかまわない。もちろん、逆に、この他の付加条件を利用条件Uとして設定することも可能である。本発明を実施する上で最も重要な条件は「利用期間」なる条件であるため、§2以降では、説明の便宜上、条件判定部260による合致判定が「利用期間」についてのみ行われる例を示すことにする。
【0060】
以上、図1および図2のブロック図を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係るコンテンツ提供システムの基本構成を説明したが、サーバ装置100および各クライアント装置200は、実際には、汎用のコンピュータに専用のプログラムを組み込むことによって構成される。すなわち、サーバ装置100は、インターネットに接続されたサーバ用コンピュータに、専用のプログラムを組み込むことによって構成され、各クライアント装置200は、パソコン、タブレット型電子機器、携帯電話などの汎用コンピュータに専用のプログラムを組み込むことによって構成される。
【0061】
<<< §2. 第1の実施形態の動作 >>>
続いて、図1に示す要求処理部130の機能の詳細および図2に示す要求送信部240の機能の詳細を説明することにより、このシステムの動作を述べる。
【0062】
図1に示すとおり、要求処理部130は、取得要求処理部131,貸出要求処理部132,借入要求処理部133によって構成されており、図2に示すとおり、要求送信部240は、取得要求部241,貸出要求部242,借入要求部243によって構成されている。ここで、取得要求処理部131は、取得要求部241から取得要求があった場合に取得要求処理を行う構成要素であり、貸出要求処理部132は、貸出要求部242から貸出要求があった場合に貸出要求処理を行う構成要素であり、借入要求処理部133は、借入要求部243から借入要求があった場合に借入要求処理を行う構成要素である。以下、取得要求、貸出要求、借入要求があった場合の処理を、具体例を挙げながら順に説明する。
【0063】
<2−1. 取得要求処理>
本発明に係るコンテンツ提供システムにおいて、「取得要求」とは、ユーザが、自分が利用しているクライアント装置200を用いて、サーバ装置100に対して、所望の取得対象コンテンツのダウンロードを求めることであり、「取得要求処理」とは、この取得要求に応じて、サーバ装置100が取得対象コンテンツを要求元のクライアント装置200に提供する処理である。この取得要求処理は、あくまでも、サーバ装置100を用いてコンテンツの提供サービスを実施する運営業者から、特定のユーザに対してコンテンツを提供する処理であり、後述するようなユーザ間の貸借を目的としたコンテンツ提供ではない。
【0064】
クライアント装置200内の取得要求部241は、指示入力部270が入力したユーザの指示に基づいて、所望の取得対象コンテンツについての取得要求を、サーバ装置100内の取得要求処理部131に対して行う。取得要求処理部131は、特定のクライアント装置200から取得要求があったときに、コンテンツ提供部110から提供された取得対象コンテンツについての暗号化コンテンツデータCと、これに対応づけてライセンス発行部120に発行させたライセンスデータLとを、要求元のクライアント装置200へ送信するとともに、この取得要求の内容を記録する取得要求処理を行う。
【0065】
実際には、取得要求部241は、まず、提供可能なコンテンツを一覧表示させた提供可能リストの要求を行う。この要求に応じて、取得要求処理部131は、コンテンツ提供部110が提供可能なコンテンツを一覧表示した提供可能リストを送信する。取得要求部241は、この提供可能リストをクライアント装置200が備えるディスプレイ画面上に表示する。ユーザは、このリストから所望のコンテンツを選択して、取得要求のための指示入力を行えばよい。取得要求部241は、ユーザがリストから選択したコンテンツを取得対象コンテンツとして、取得要求処理部131に対して取得要求を行うことになる。
【0066】
もっとも、実用上は、コンテンツ提供部110が提供可能なコンテンツは膨大な数になるため、これらをすべて掲載した提供可能リストをユーザに提示しても、ユーザが所望のコンテンツを探すことは困難である。そこで、取得要求部241には、何らかの検索条件(たとえば、キーワード)に基づく検索機能を設けておくようにするのが好ましい。取得要求処理部131は、コンテンツ提供部110が提供可能なコンテンツの中から、検索条件に合致するものを抽出した抜粋リストを作成し、これを取得要求部241へ送信すればよい。ユーザは、この抜粋リストの中から所望のコンテンツを選択し、取得要求を行うことができる。
【0067】
このような取得要求を受けた取得要求処理部131は、コンテンツ提供部110から取得対象コンテンツについての暗号化コンテンツデータCを取り出すとともに、ライセンス発行部120に対して、当該暗号化コンテンツデータCに対応づけられたライセンスデータLを発行する指示を与える。ライセンス発行部120は、暗号化コンテンツデータCの暗号化に用いられたコンテンツ鍵Kと所定の利用条件Uを含むライセンスデータLを発行して、取得要求処理部131に引き渡す。かくして、取得要求処理部131は、取得対象コンテンツについての暗号化コンテンツデータCと、これに対応づけられたライセンスデータLとを、要求元のクライアント装置200へ送信することができる。
【0068】
クライアント装置200側では、この取得要求に応じてサーバ装置100側から送信されてきた暗号化コンテンツデータCをコンテンツ格納部220に格納し、ライセンスデータLをライセンス管理部230に格納する処理が行われる。図2には、3組の暗号化コンテンツデータCと3組のライセンスデータLとが、それぞれコンテンツ格納部220およびライセンス管理部230に格納されている状態が示されている。このとき、第i番目の暗号化コンテンツデータCiに第i番目のライセンスデータLiが対応づけられた形式で格納が行われる。
【0069】
指示入力部270に対して、第i番目のコンテンツについての再生指示が与えられた場合、条件判定部260は、再生環境が、第i番目のライセンスデータLi内の利用条件Uiを満たしているか否かを判定し、肯定的な判定結果が得られた場合に、第i番目のライセンスデータLiからコンテンツ鍵Kiを読み出し、これをコンテンツ再生部250に与える。コンテンツ再生部250は、コンテンツ格納部220に格納されている第i番目の暗号化コンテンツデータCiを、コンテンツ鍵Kiで復号化して再生する。
【0070】
なお、ライセンスデータL内の利用条件Uは、予め定められた所定の規則に応じて、ライセンス発行部120が決定する。たとえば、利用期間は取得要求時から1ヶ月の期間とし、利用端末は取得要求を行ったクライアント装置のみに限定し、再生回数は10回までとする、というような規則を決めておけば、ライセンス発行部120は、当該規則に応じた利用条件Uを設定して、ライセンスデータLを発行することができる(利用端末の情報は、取得要求部241が取得要求を行う際に、クライアント装置200に組み込まれているCPUのシリアル番号や、通信装置のMACアドレスなどを送信するようにすればよい)。
【0071】
もっとも、実用上は、利用条件Uに関してユーザに選択肢を与えるようにするのが好ましい。通常、このシステムを利用してコンテンツ提供サービスを行う運営業者は、ユーザによる所定の対価の支払いを前提として、取得要求に応じたコンテンツの提供を行うことになる(なお、サーバ装置100側において行われる課金処理や決済処理は、公知の処理であるため、ここでは具体的な処理方法についての説明は省略する)。そこで、予め対価額が異なる利用条件を定めておき、ユーザが取得要求を行う際に、所望の利用条件を選択する指示入力を行うようにすればよい。
【0072】
たとえば、ユーザによるコンテンツの取得形態として、「購入」と「レンタル」との2通りの形態を用意しておき、「購入」の場合には、利用条件Uとして「無期限」の利用期間を設定したライセンスデータLを発行し、「レンタル」の場合には、利用条件Uとして有限の利用期間(たとえば、1ヶ月)を設定したライセンスデータLを発行すればよい。もちろん、「購入」の対価額は「レンタル」の対価額より高額になるような設定がなされる。
【0073】
この場合、取得要求部241は、取得対象コンテンツについての取得要求を行う際に、ユーザからの指示入力に基づいて購入またはレンタルのいずれかを示す要求を行うことになる。取得要求処理部131は、購入を示す取得要求があったときには、ライセンス発行部120に利用期間が無期限であることを示す利用条件Uを含むライセンスデータLを発行させ、レンタルを示す取得要求があったときには、ライセンス発行部120に有限の利用期間を示す利用条件Uを含むライセンスデータLを発行させればよい。もちろん、レンタルの形態による取得要求を行う際には、ユーザがレンタル期間を選択できるようにしてもよい。この場合、通常は、レンタル期間が長いほど、対価額が高額になる設定を行うことになる。
【0074】
一方、利用端末に関しては、複数台のクライアント装置を登録できるようにし、登録した複数台のクライアント装置の識別情報を利用条件Uとして設定することも可能である。また、再生回数に関しても、たとえば、10回、100回、無制限といった選択枝を設けておき、ユーザが取得要求を行う際にいずれかを選択する指示を行うようにすれば、ユーザが選択した再生回数を利用条件Uとして設定することができる。
【0075】
以上、第1の実施形態に係るシステムにおける取得要求処理を述べたが、このような取得要求処理自体は、従来の一般的なコンテンツ提供システムにおいて行われている処理である。本発明の特徴は、このような取得要求処理によってユーザが取得したコンテンツ(すなわち、購入もしくはレンタルしたコンテンツ)を別なユーザに貸出しできるようにした点にある。このような貸出しは、以下に述べる貸出要求処理および借入要求処理によって実現される。
【0076】
<2−2. 貸出要求処理>
本発明に係るコンテンツ提供システムにおいて、「貸出要求」とは、前述した取得要求によって特定のコンテンツを取得したユーザが、当該特定のコンテンツ(貸出対象コンテンツ)を、別なユーザに貸し出すことをサーバ装置100に対して求めることであり、「貸出要求処理」とは、この貸出要求に応じて、サーバ装置100が貸出対象コンテンツを当該別なユーザに貸し出すための準備を行う処理である。この貸出要求処理は、あくまでも、貸出元のクライアント装置200(貸出要求を行ったクライアント装置)とサーバ装置100との間の情報のやりとりによって構成される処理であり、貸出先のクライアント装置200(貸出要求において貸出先として特定されたクライアント装置)は直接的には関与しない。
【0077】
クライアント装置200内の貸出要求部242は、指示入力部270が入力したユーザの指示に基づいて、取得済のコンテンツの中から選択された貸出対象コンテンツについて、貸出期間および貸出先を指定した貸出要求を、サーバ装置100内の貸出要求処理部132に対して行う。貸出要求処理部132は、特定のクライアント装置200から貸出要求があったときに、「貸出対象コンテンツについての取得要求処理の際に発行したライセンスデータの利用期間」から「指定された貸出期間」を除外した新たな利用期間を示す利用条件を含むライセンスデータを、当該貸出対象コンテンツに対応づけられた新たなライセンスデータとしてライセンス発行部120に発行させる。そして、この新たなライセンスデータを要求元のクライアント装置200へ送信するとともに、貸出要求の内容を記録する貸出要求処理を行う。
【0078】
たとえば、ユーザ甲がクライアント装置200甲を用いて「購入」という形態の取得要求を行い、利用期間を「無期限」とする利用条件Uが設定されたライセンスデータLと、取得対象コンテンツの暗号化コンテンツデータCの送信を受けた場合を考えてみる。この場合、暗号化コンテンツデータCは、クライアント装置200甲内のコンテンツ格納部220に格納され、ライセンスデータLは、クライアント装置200甲内のライセンス管理部230に格納された状態になり、ユーザ甲は、いつでも当該コンテンツの再生を行うことができる。
【0079】
ここで、このユーザ甲が、当該コンテンツを一時的に別なユーザに貸し出したいと考えたとしよう。貸出要求は、このような場合に貸出準備を行うための手続ということになる。この場合、ユーザ甲は、貸出対象コンテンツ、貸出期間、貸出先を指定して、指示入力部270から当該コンテンツについての貸出要求を行う旨の指示を行えばよい。ここでは、具体的に、貸出期間として「5月1日〜5月31日」を指定し(必要に応じて、年や時分などを指定してもよい)、貸出先として「ユーザ乙」を指定した貸出要求が行われたものとしよう。
【0080】
なお、貸出期間は、必ずしも始期と終期を指定する必要はなく、「5月1日から1ヶ月間」のように、始期と期間を指定する方法でもよいし、「今日から1ヶ月間」のような現時点を参照する指定方法を採ってもかまわない。また、貸出先の指定は、貸出先となる別なユーザのアカウントを指定する方法を採ればよい。もちろん、同姓同名のユーザが存在しない環境であれば、氏名で貸出先を指定することも可能であるし、貸出要求処理部132に、氏名などに基づいて特定のユーザのアカウントを検索して提示する機能を設けておけば、この検索機能を利用して貸出先を指定することも可能である。
【0081】
貸出要求処理部132は、このような貸出要求を受けた場合、当該貸出対象コンテンツについての取得要求処理の際に発行したライセンスデータの利用期間(上例の場合は、当該貸出対象コンテンツを購入したときに取得したライセンスデータの「無期限」なる利用期間)から貸出期間(上例の場合は「5月1日〜5月31日」)を除外した新たな利用期間を示す利用条件を含むライセンスデータを、当該貸出対象コンテンツに対応づけられた新たなライセンスデータとしてライセンス発行部120に発行させ、これを要求元のクライアント装置200へ送信する貸出要求処理を実行する。
【0082】
結局、貸出要求を行ったユーザ甲が利用するクライアント装置200甲には、貸出期間である「5月1日〜5月31日」を除外した利用期間が設定された新たなライセンスデータが格納されることになる。また、サーバ装置100側の貸出要求処理部132により、当該貸出対象コンテンツについて、貸出先を「ユーザ乙」、貸出期間を「5月1日〜5月31日」とする貸出要求の内容が記録される。要するに、ユーザ甲による貸出要求があると、当該コンテンツについてのユーザ甲(貸出元)による貸出期間中の利用は制限されることになる。ただ、この時点では、まだ、当該コンテンツについてのユーザ乙(貸出先)による利用はできない。ユーザ乙による貸出期間中の利用が可能になるのは、次に述べる借入要求処理が完了した後ということになる。
【0083】
<2−3. 借入要求処理>
本発明に係るコンテンツ提供システムにおいて、「借入要求」とは、前述した貸出要求がなされた後、当該貸出要求において貸出先として指定されたユーザが、貸出対象コンテンツ(当該ユーザから見た場合には、借入対象コンテンツ)を借り入れることをサーバ装置100に対して求めることであり、「借入要求処理」とは、この借入要求に応じて、当該貸出先のユーザが当該貸出対象コンテンツを利用できるようにする処理である。この借入要求処理も、あくまでも、貸出先のクライアント装置200(借入要求を行ったクライアント装置)とサーバ装置100との間の情報のやりとりによって構成される処理であり、貸出元のクライアント装置200(貸出要求を行ったクライアント装置)は直接的には関与しない。
【0084】
クライアント装置200内の借入要求部243は、指示入力部270が入力したユーザの指示に基づいて、他のユーザが自己宛に貸出要求を行ったコンテンツについての借入要求を、サーバ装置100内の借入要求処理部133に対して行う。借入要求処理部133は、特定のクライアント装置200から借入要求があったときに、当該借入要求を行った要求元を貸出先とする貸出要求が貸出要求処理部132によって記録されているか否かを調べ、記録されていた場合には、当該記録に係るコンテンツを借入対象コンテンツとして、当該記録に係る貸出期間を利用期間とする利用条件を含むライセンスデータを、この借入対象コンテンツに対応づけられたライセンスデータとしてライセンス発行部120に発行させ、当該ライセンスデータLと、コンテンツ提供部110から提供された借入対象コンテンツについての暗号化コンテンツデータCとを、要求元のクライアント装置200へ送信するとともに、当該借入要求の内容を記録する借入要求処理を行う。
【0085】
上例の場合、特定の貸出対象コンテンツについて、貸出先を「ユーザ乙」、貸出期間を「5月1日〜5月31日」とするユーザ甲による貸出要求が記録されているので、ユーザ乙による借入要求があると、借入要求処理部133はライセンス発行部120に対して、当該記録に係るコンテンツに対応づけられたライセンスデータの発行を指示する。すなわち、ライセンス発行部120は、当該記録に係る貸出期間「5月1日〜5月31日」を利用期間とする利用条件Uを含むライセンスデータLを、当該記録に係るコンテンツ(借入対象コンテンツ)に対応づけられたライセンスデータとして発行する。そして、借入要求処理部133は、発行されたライセンスデータLと、コンテンツ提供部110から提供された借入対象コンテンツについての暗号化コンテンツデータCとを、要求元のクライアント装置200乙へ送信するとともに、当該借入要求の内容を記録する。
【0086】
一方、借入要求を行ったクライアント装置200乙では、この借入要求に応じてサーバ装置100側から送信されてきた暗号化コンテンツデータCをコンテンツ格納部220に格納し、ライセンスデータLをライセンス管理部230に格納する処理が行われる。かくして、クライアント装置200乙では、貸出期間「5月1日〜5月31日」の間、借入対象コンテンツの再生が可能になる。
【0087】
<2−4. ライセンス管理>
ところで、上述した貸出要求処理では、貸出要求を行ったユーザ甲が利用するクライアント装置200甲のライセンス管理部230には、貸出期間である「5月1日〜5月31日」を除外した利用期間が設定された新たなライセンスデータが格納される。このように、本発明では、必要に応じて、同一のコンテンツについて、複数のライセンスデータが対応づけられることになる。
【0088】
すなわち、ユーザ甲が取得要求によって当該コンテンツを購入した時点では、「無期限」なる利用期間が設定されたライセンスデータLが発行され、ライセンス管理部230に格納されるが、上述した貸出要求を行うと、貸出期間である「5月1日〜5月31日」を除外した利用期間が設定された新たなライセンスデータが格納されることになる。ただ、新しいライセンスデータが格納された時点で、古いライセンスデータは無効化される。上例の場合、コンテンツ購入時には、「無制限」なる利用期間が設定されたライセンスデータが有効であるが、当該ライセンスデータは、貸出要求を行うことにより無効化され、「5月1日〜5月31日」を除外した利用期間が設定された新たなライセンスデータが有効化される。
【0089】
要するに、ライセンス管理部230は、1つのコンテンツに対応づけられた1つもしくは複数のライセンスデータを格納する機能と、1つのコンテンツに対応づけられて格納されている1つもしくは複数のライセンスデータのうち有効なものを示す有効性情報を格納する機能と、を有しており、取得要求、貸出要求、借入要求に応じてサーバ装置100からライセンスデータが送信されてきたときには、送信されてきたライセンスデータのみが有効となるように有効性情報を更新するライセンス管理処理を行う。一方、条件判定部260は、この有効性情報によって有効とされるライセンスデータを参照して判定を行うことになる。
【0090】
このように、同一のコンテンツに対応づけられた1つもしくは複数のライセンスデータについての有効性を管理するには、ライセンス管理部230が、個々のライセンスデータについて、有効/無効の状態を示すフラグを有効性情報として設定し、1つのコンテンツに対応づけられたライセンスデータについての有効を示すフラグの数が1を越えないようにフラグを切り替えることによりライセンス管理処理を行うようにすればよい。
【0091】
<2−5. 貸出期間の満了>
上例の場合、クライアント装置200乙では、貸出期間「5月1日〜5月31日」の間、借入対象コンテンツの再生が可能になるが、この貸出期間が満了した時点で、借入対象コンテンツの再生はできなくなる。これは、借入対象コンテンツに対応づけられたコンテンツデータLには、利用条件Uとして「5月1日〜5月31日」なる貸出期間が設定されているため、6月1日以降は、再生環境が利用条件Uを満たさなくなり、条件判定部260による合致判定が行われなくなるためである。
【0092】
一方、クライアント装置200甲では、貸出期間「5月1日〜5月31日」を除外した利用期間が設定されたライセンスデータが有効化されているため、貸出期間「5月1日〜5月31日」の間、貸出対象コンテンツの再生ができなくなるが、6月1日以降は、再生環境が利用条件Uを満たし、再生は可能になる。
【0093】
このように、貸出期間が満了した場合、サーバ装置100側が何ら積極的な処理を行わなくても、貸出先のユーザ乙による再生はできなくなり、貸出元のユーザ甲による再生が可能になる。
【0094】
<<< §3. 具体的な貸借事例 >>>
続いて、これまで述べた第1の実施形態に係るコンテンツ提供システムを用いた具体的な貸借事例を、ライセンスデータの変遷とともに説明する。ここでは、初期状態として、3人のユーザ甲,乙,丙に、図4に示すようなコンテンツが提供されているものとしよう。すなわち、ユーザ甲は、クライアント装置200甲を用いた取得要求により、3つのコンテンツC101,C158,C193を取得済みであり、ユーザ乙は、クライアント装置200乙を用いた取得要求により、2つのコンテンツC106,C193を取得済みであり、ユーザ丙は、クライアント装置200丙を用いた取得要求により、1つのコンテンツC109を取得済みであるものとする。ここで、C101,C158等の記号は、個々のコンテンツを特定するコンテンツIDである。
【0095】
既に述べたとおり、取得済みの個々のコンテンツには、それぞれライセンスデータが対応づけられている。図4に示す記号L(甲1)〜L(丙1)は、各コンテンツに対応づけられたライセンスデータを特定するライセンスIDである。ライセンスデータは、個々のユーザ(個々のクライアント装置)に対して発行されるものであるので、ここでは説明の便宜上、発行対象となるユーザ名を括弧内に記載したライセンスIDを用いることにする。たとえば、ライセンスL(甲1),L(甲2),L(甲3)は、ユーザ甲に対して発行された第1番目,第2番目,第3番目のライセンスデータを示している。
【0096】
同一のコンテンツであっても、ユーザが異なれば、異なるライセンスデータが発行される。たとえば、図示の例において、ユーザ甲,乙は、ともにコンテンツC193という同一のコンテンツを取得しているが、ユーザ甲が取得したコンテンツC193に対応づけられたライセンスデータはライセンスL(甲3)であるのに対して、ユーザ乙が取得したコンテンツC193に対応づけられたライセンスデータはライセンスL(乙2)である。
【0097】
§1で述べたとおり、コンテンツは、暗号化コンテンツデータCとして提供され、各クライアント装置200のコンテンツ格納部220に格納される。また、各コンテンツに対応づけられたライセンスデータLは、各クライアント装置200のライセンス管理部230に格納される。したがって、たとえば、ユーザ甲に関しては、クライアント装置200甲のコンテンツ格納部220甲に、コンテンツC101,C158,C193についての暗号化コンテンツデータが格納され、クライアント装置200甲のライセンス管理部230甲に、ライセンスL(甲1),L(甲2),L(甲3)で特定されるライセンスデータが格納されていることになる。
【0098】
図5は、図4に示す初期状態において、各クライアント装置200甲,200乙,200丙のライセンス管理部230甲,230乙,230丙に格納されているライセンスデータを示すブロック図である。ここで、太線で囲った各矩形枠は、それぞれ特定のコンテンツに対応づけられた格納場所(たとえば、データファイルを収容するフォルダ)を示すものである。また、各矩形枠の左上に付された見出しは、各格納場所の名称であり、対応するコンテンツを示す名称になっている。
【0099】
たとえば、ライセンス管理部230甲の中には、「甲C101」,「甲C158」,「甲C193」という3つの格納場所が確保されているが、これらの各格納場所は、それぞれユーザ甲が取得したコンテンツC101,C158,C193に対応づけられたライセンスデータを格納するための格納場所である。実際、格納場所「甲C101」内には、コンテンツC101に対応づけられたライセンスL(甲1)が格納されており、格納場所「甲C158」内には、コンテンツC158に対応づけられたライセンスL(甲2)が格納されており、格納場所「甲C193」内には、コンテンツC193に対応づけられたライセンスL(甲3)が格納されている。
【0100】
同様に、ライセンス管理部230乙の中には、「乙C106」,「乙C193」という2つの格納場所が確保されているが、これらの各格納場所は、それぞれユーザ乙が取得したコンテンツC106,C193に対応づけられたライセンスデータを格納するための格納場所であり、格納場所「乙C106」内には、コンテンツC106に対応づけられたライセンスL(乙1)が格納されており、格納場所「乙C193」内には、コンテンツC193に対応づけられたライセンスL(乙2)が格納されている。また、ライセンス管理部230丙の中には、「丙C109」という格納場所が確保されているが、当該格納場所は、ユーザ丙が取得したコンテンツC109に対応づけられたライセンスデータを格納するための格納場所であり、コンテンツC109に対応づけられたライセンスL(丙1)が格納されている。
【0101】
各ライセンスデータには、前述したとおり、コンテンツ鍵Kと利用条件Uとが組み込まれている。図5では、利用条件Uとして、利用期間のみが設定された単純な例が示されている。すなわち、ライセンスL(甲1)には、コンテンツ鍵K101と「無期限」なる利用条件が組み込まれ、ライセンスL(甲2)には、コンテンツ鍵K158と「4月1日〜4月30日」なる利用条件が組み込まれ、ライセンスL(甲3)には、コンテンツ鍵K193と「無期限」なる利用条件が組み込まれている。同様に、ライセンスL(乙1)には、コンテンツ鍵K106と「4月1日〜4月30日」なる利用条件が組み込まれ、ライセンスL(乙2)には、コンテンツ鍵K193と「4月15日〜5月14日」なる利用条件が組み込まれ、ライセンスL(丙1)には、コンテンツ鍵K109と「無期限」なる利用条件が組み込まれている。
【0102】
この図5に示す6組のライセンスL(甲1)〜L(丙1)は、図4に示す事例に対応するものであり、いずれも各ユーザが取得要求を行うことにより各クライアント装置にダウンロードされたものである。前述したとおり、「無期限」なる利用条件は、取得要求において「購入」したコンテンツについてのライセンスに含まれ、有限の期限を示す利用条件は、取得要求において「レンタル」したコンテンツについてのライセンスに含まれる。この初期状態では、各ユーザは、購入したコンテンツについてはいつでも利用が可能であり、レンタルしたコンテンツについては利用期間内であれば利用が可能である。
【0103】
本発明に係るシステムでは、各ユーザは、取得済みのコンテンツであれば、購入したコンテンツであれ、レンタル中のコンテンツであれ、他のユーザへの貸出を行うことができる。したがって、上例の場合、ユーザ甲は、コンテンツC101,C158,C193をユーザ乙もしくは丙に貸し出すことが可能であり、ユーザ乙は、コンテンツC106,C193をユーザ甲もしくは丙に貸し出すことが可能であり、ユーザ丙は、コンテンツC109をユーザ甲もしくは乙に貸し出すことが可能である。但し、貸出期間は、各ライセンスに示されている利用期間の範囲内に設定する必要があるので、レンタル中のコンテンツを又貸しする場合の貸出期間は、レンタル期間の範囲内に設定する必要がある。
【0104】
さて、このような初期状態において、ユーザ甲がユーザ乙に、コンテンツC101を貸し出したいと考えたものとしよう。図5に示すとおり、ライセンスL(甲1)が示す利用期間は無期限であるため、ユーザ甲は任意の貸出期間を設定した貸出要求を行うことができる。ここでは、ユーザ甲が、コンテンツC101について、「5月1日〜5月31日」なる貸出期間を設定して、ユーザ乙を貸出先とする貸出要求を行い、これに応じて、ユーザ乙が当該コンテンツC101について、借入要求を行ったものとしよう。
【0105】
図6は、このように、ユーザ甲から乙に対して、「5月1日〜5月31日」なる貸出期間を設定して貸し出しを行った場合のライセンスデータの変遷例を示すブロック図である。この例では、ユーザ甲のコンテンツC101についてのライセンスL(甲1)の利用期間は、「〜4月30日/6月1日〜」に変更されている。当該利用期間は、「4月30日以前の期間」および「6月1日以降の期間」を示すものであり、元の利用期間「無期限」から、「5月1日〜5月31日」なる貸出期間を除外した期間に相当する。一方、ユーザ乙については、コンテンツC101についてのライセンスL(乙3)が新たに追加されている。当該ライセンスL(乙3)の利用期間は、ユーザ甲が設定した貸出期間「5月1日〜5月31日」となっている。
【0106】
貸出対象コンテンツC101についてのライセンスをこのように変更すれば、貸出期間中はユーザ乙の利用を可能としつつ、ユーザ甲の利用を制限することができる。しかしながら、このような方法を採ると、一度発行したライセンスデータの中味を書き換える必要が生じるため、DRMなどのセキュリティ対策の点で問題が生じる。ライセンスデータは、クライアント装置側でコンテンツを再生するために不可欠の情報であり、DRMの中枢を担うデータとしての役割を有している。したがって、通常、このライセンスデータには、偽造、変造、改竄などを防止するためのセキュリティ対策が施されており、クライアント装置側でその中味を書き換えることは想定されていない。具体的には、ライセンスデータには、電子署名などのセキュリティに関するデータが含まれており、中味を書き換えた場合、電子署名などによる認証でエラーが生じることになる。このような事情から、一度発行したライセンスデータの中味を書き換える処理は、セキュリティ対策上、問題が生じることになる。
【0107】
そこで、本発明では、図6に例示したようなライセンスデータの中味を書き換える方法を採る代わりに、§2−4で述べたように、同一のコンテンツに対応づけて複数のライセンスを発行できるようにし、1つのコンテンツに対応づけられた1つもしくは複数のライセンスデータのうち有効なものを示す有効性情報を更新する方法を採っている。すなわち、上記事例の場合、ユーザ甲,乙に関するコンテンツC101についてのライセンスは、図7の例のように変遷することになる。
【0108】
図7左欄に示されているとおり、貸出要求を行ったユーザ甲の格納場所「甲C101」内には、新たなライセンスL(甲4)が格納されており、コンテンツC101に対応づけられたライセンスとして、L(甲1),L(甲4)という2組のライセンスが存在する。ここで、ライセンスL(甲1)は、図5に示す初期状態におけるライセンスL(甲1)と全く同一のものであり、ライセンスデータの中味の書き換えは一切行われていない。その代わりに、個々のライセンスデータについて、有効/無効の状態を示すフラグが有効性情報として設定されている。図では、このフラグの状態を、<無効>あるいは<有効>なる文字で示してある。
【0109】
図5に示す初期状態のライセンスのフラグは、いずれも<有効>の状態であるが、ユーザ甲による貸出要求に応じた貸出要求処理が完了すると、図7左欄に示すように、ユーザ甲に対して新たなライセンスL(甲4)が発行され、これまで有効状態であったライセンスL(甲1)が無効化され、新たなライセンスL(甲4)が有効化される。ライセンス管理部230甲は、同一のコンテンツに対応づけられたライセンスデータについての有効を示すフラグの数が、常に1を越えないようにフラグの切り替えを行うことになる。
【0110】
上例の場合、ユーザ甲は、貸出期間として「5月1日〜5月31日」なる期間を指定し、貸出先として「ユーザ乙」を指定した貸出要求を行っているので、貸出要求処理部132からは、図7左欄に示されているとおり、当該貸出期間を除外した「〜4月30日/6月1日〜」なる利用期間を示すライセンスL(甲4)の送信を受けることになる。ライセンス管理部230甲は、送信されてきた新たなライセンスL(甲4)を有効状態とし、古いライセンスL(甲1)を無効状態とするように、フラグの切り替えを行う。なお、ライセンスL(甲4)に含まれているコンテンツ鍵K101は、ライセンスL(甲1)に含まれているものと全く同一であり、コンテンツC101の暗号化コンテンツデータを復号化することができる。
【0111】
一方、ユーザ乙による借入要求に応じた借入要求処理が完了すると、図7右欄に示すように、ユーザ乙に対して新たなライセンスL(乙3)が発行され、ユーザ乙の格納場所「乙C101」に格納される。ライセンス管理部230乙は、送信されてきたライセンスL(乙3)を有効状態とする。ライセンスL(乙3)は、貸出期間「5月1日〜5月31日」を利用期間とするライセンスであり、当該期間の間、ユーザ乙は借入中のコンテンツC101を利用することができる。
【0112】
§2−5でも述べたとおり、貸出期間「5月1日〜5月31日」が満了すると(6月1日になると)、サーバ装置100側が何ら積極的な処理を行わなくても、貸出先のユーザ乙による再生はできなくなり、貸出元のユーザ甲による再生が可能になる。貸出期間が満了しても、図7に示すライセンスの内容や有効性に変化は生じることはないが、クライアント装置側の再生環境(再生日時)が変わるため、実質的に、ユーザ乙からユーザ甲に対してコンテンツC101の返却が行われたことと同じ効果が生じることになる。このように、本発明に係るシステムでは、貸出期間満了時において、特別な処理を行うことなしに実質的な返却が行われることになる。
【0113】
図7右欄に示すように、ライセンス管理部230乙内には、6月1日以降もコンテンツC101についての有効なライセンスL(乙3)が残った状態になるが、当該ライセンスの利用期間は「5月1日〜5月31日」であるため、ユーザ乙は、6月1日以降はコンテンツC101を利用することはできない。このように、ライセンスが有効であることと、当該ライセンスが対応づけられたコンテンツが利用可能であることとは、全く別の事柄であり、有効なライセンスが格納されているからと言って、当該ライセンスが対応づけられたコンテンツが必ずしも利用可能になるわけではない。
【0114】
もちろん、本システムでは、同一のコンテンツについて複数のライセンス発行が可能であるから、上例の場合、ユーザ乙がコンテンツC101についての取得要求を行えば、再びコンテンツC101を利用することができるようになる。たとえば、ユーザ乙が、ユーザ甲から借り受けたコンテンツC101を鑑賞した結果、非常に気に入ったため、当該コンテンツを購入したいと考えたとしよう。
【0115】
この場合、ユーザ乙は、サーバ装置100に対して、コンテンツC101の取得要求を行えばよい。このような取得要求に応じて取得要求処理部131からは、コンテンツC101についての暗号化コンテンツデータCとライセンスデータLとが送信されてくる(暗号化コンテンツデータCについては、借入要求処理時にダウンロードしたものをそのまま利用することもできるので、送付を省略してもかまわない)。
【0116】
図8は、ユーザ乙が貸出期間満了後にコンテンツC101を購入した時点において、ユーザ乙の格納場所「乙C101」に格納されているライセンスデータを示すブロック図である。格納場所「乙C101」内には、新たなライセンスL(乙4)が格納されており、コンテンツC101に対応づけられたライセンスとして、L(乙3),L(乙4)という2組のライセンスが存在する。ここで、ライセンスL(乙3)は、図7右欄に示す借入要求時に得たライセンスL(乙3)と全く同一のものであり、ライセンスデータの中味の書き換えは一切行われていない。ただ、ライセンス管理部230乙は、新たなライセンスL(乙4)が送信されてきたときに、古いライセンスL(乙3)を無効化し、新たなライセンスL(乙4)を有効化する。
【0117】
かくして、ユーザ乙は、これ以後、購入したコンテンツC101を無期限に利用することが可能になる。もちろん、このコンテンツC101を別なユーザに貸し出すことも可能である。また、ユーザ乙が、貸出期間満了前(たとえば、5月20日)にコンテンツC101の取得要求を行った場合も同様である。貸出期間満了前であっても、コンテンツC101の購入(取得要求)により、有効なライセンスはL(乙3)からL(乙4)に切り替えられるため、以後、無期限の利用が可能になる。
【0118】
上述したとおり、ユーザ甲は、ユーザ乙への貸出期間が満了した後は、再び、コンテンツC101を利用することができるようになるが、更に、別なユーザへの貸出を行うことも可能になる。たとえば、ユーザ甲が、今度はユーザ丙に、コンテンツC101を貸し出したいと考えたものとしよう。図7左欄に示すとおり、この時点において、ユーザ甲のコンテンツC101についての有効なライセンスはL(甲4)であり、その利用期間は「〜4月30日/6月1日〜」となっている。したがって、ユーザ甲は、6月1日以降の任意の貸出期間を設定した貸出要求を行うことができる。ここでは、ユーザ甲が、コンテンツC101について、「6月15日〜7月14日」なる貸出期間を設定して、ユーザ丙を貸出先とする貸出要求を行い、これに応じて、ユーザ丙が当該コンテンツC101について、借入要求を行ったものとしよう。
【0119】
図9は、この場合の各クライアント装置のライセンス管理部に格納されているライセンスデータを示すブロック図である。まず、ユーザ甲については、貸出期間として「6月15日〜7月14日」なる期間を指定し、貸出先として「ユーザ丙」を指定した貸出要求を行っているので、貸出要求処理部132からは、図9左欄に示されているとおり、当該貸出期間を除外した「〜6月14日/7月15日〜」なる利用期間を示すライセンスL(甲5)の送信を受けることになる。
【0120】
なお、ライセンスL(甲5)の利用期間は、厳密に言えば、L(甲4)に示された利用期間「〜4月30日/6月1日〜」から「6月15日〜7月14日」なる貸出期間を除外した「〜4月30日/6月1日〜6月14日/7月15日〜」とすべきであるが、ここでは、ライセンスL(甲5)の発行時が6月1日以降である場合を考え、意味のない過去の利用期間を省略して、「〜6月14日/7月15日〜」なる利用期間の設定が行われているものとする。
【0121】
このような新たなライセンスL(甲5)の送信を受けたライセンス管理部230甲は、当該ライセンスL(甲5)を有効状態とし、古いライセンスL(甲4)を無効状態とするように、フラグの切り替えを行う(更に古いライセンスL(甲1)も無効状態のままである)。
【0122】
一方、ユーザ丙による借入要求に応じた借入要求処理が完了すると、図9右欄に示すように、ユーザ丙に対して新たなライセンスL(丙2)が発行され、ユーザ丙の格納場所「丙C101」に格納される。ライセンス管理部230丙は、送信されてきたライセンスL(丙2)を有効状態とする。ライセンスL(丙2)は、貸出期間「6月15日〜7月14日」を利用期間とするライセンスであり、当該期間の間、ユーザ丙は借入中のコンテンツC101を利用することができる。
【0123】
なお、ここでは説明の便宜上、3人のユーザ甲,乙,丙がそれぞれクライアント装置200甲,200乙,200丙を用いてシステムを利用する例を述べているが、本発明に係るコンテンツ提供システムを実社会で利用した場合、相当多数のユーザの利用が見込まれる。このため、個々のユーザが任意のユーザを貸出先とする貸出要求を行うことを無条件で認めると、不特定多数のユーザ間でのコンテンツ貸借が行われることになり、コンテンツの著作権保護の観点から問題が生じることになる。
【0124】
このような問題に対処するには、予め個々のユーザについて、それぞれ貸出許可ユーザ(たとえば、家族や友人など)を特定する貸出許可リストを作成しておき、貸出先として指定されたユーザが貸出許可リストに含まれている場合に限り、貸出要求に応じた処理が行われるように制限すればよい。図10は、このような貸出許可リストの一例を示す図である。この例によると、ユーザ甲については、ユーザ乙,丙,丁の3名が貸出許可ユーザとして登録されており、ユーザ乙については、ユーザ甲,丙,丁の3名が貸出許可ユーザとして登録されており、ユーザ丙については、ユーザ丁,戊,己,庚の4名が貸出許可ユーザとして登録されている。
【0125】
サーバ装置100内の貸出要求処理部132に、このような貸出許可リストを格納しておき、特定のユーザからの貸出要求があったときに、貸出先が当該貸出許可リストに含まれているか否かを判定する処理を行い、肯定的判定結果が得られた場合にのみ貸出要求処理を行うようにすれば、貸出先の制限を行うことができるようになり、著作権保護上の問題を解消することができる。
【0126】
もちろん、各クライアント装置200内の貸出要求部242に貸出許可リストを格納しておき、ユーザからの指示に基づいて所定の貸出先を指定した貸出要求を行う際に、貸出先が当該貸出許可リストに含まれているか否かを判定する処理を行い、肯定的判定結果が得られた場合にのみ貸出要求を行うようにしてもよい。
【0127】
なお、貸出許可リストの形態は、図10に示す例に限定されるものではなく、個々のユーザについて、それぞれ貸出許可ユーザを特定することができれば、どのような形態のリストを用いてもかまわない。たとえば、このシステムを利用する一群のユーザを予め特定のグループのメンバーとして登録したリストを用意し、同一グループに所属する他のユーザを貸出許可ユーザとして取り扱うようにしてもよい。あるいは、個々のユーザについて、それぞれ貸出要求を行うたびに貸出先として指定されたユーザをリストに登録してゆくようにし、当該リストに登録されたユーザ数が所定値に達した時点でリストへの登録を打ち切るようにし、以後は、当該リストに登録されているユーザのみを貸出許可ユーザとして取り扱うこともできる。
【0128】
<<< §4. 第2の実施形態 >>>
ここでは、これまで述べてきた第1の実施形態の改良型となる第2の実施形態を説明する。この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態に係るシステムに、期限前返却の機能を付加したものである。
【0129】
§2−5で述べたとおり、第1の実施形態に係るシステムによれば、貸出期間満了時において、特別な処理を行うことなしに実質的な返却が行われる。たとえば、図7に示す事例の場合、ユーザ甲からユーザ乙に対して、「5月1日〜5月31日」なる貸出期間を設定した貸出しが行われているので、貸出期間が満了した6月1日になると、サーバ装置100側が何ら積極的な処理を行わなくても、貸出先のユーザ乙による再生はできなくなり、貸出元のユーザ甲による再生が可能になる。
【0130】
しかしながら、第1の実施形態に係るシステムでは、ユーザ乙が貸出期間の満了を待たずして当該コンテンツの利用を終えてしまった場合でも、自主的に返却を行うことはできないので、借入状態は貸出期間の満了まで維持されることになる。また、ユーザ乙が貸出期間中に借入中のコンテンツを購入する手続(取得要求)を行うと、図8に示す例のように、利用期間を「無期限」とする新たなライセンスL(乙4)が発行され、古いライセンスL(乙3)は無効化されるものの、貸出元であるユーザ甲については、図7左欄に示すとおりライセンスL(甲4)が有効のままになっているため、ユーザ甲は、貸出期間が満了した6月1日以降でなければ、当該コンテンツの利用や新たな貸出を行うことはできない。
【0131】
ここで述べる第2の実施形態に係るシステムは、このような事情を考慮して、コンテンツを借入中のユーザが、自主的に期限前返却を行うことができるように、新たな機能を追加したものである。
【0132】
図11は、この第2の実施形態に係るコンテンツ提供システムの基本構成を示すブロック図であり、図12は、この図11に示すクライアント装置200甲′,200乙′,200丙′の構成を示すブロック図である。図11に示す第2の実施形態に係るサーバ装置100′は、図1に示す第1の実施形態に係るサーバ装置100の要求処理部130を要求処理部130′に置き換えたものである。ここで、要求処理部130′は、要求処理部130の各構成要素に、返却要求処理部134および受取要求処理部135を付加したものである。また、図12に示す第2の実施形態に係るクライアント装置200′は、図2に示す第1の実施形態に係るクライアント装置200のライセンス管理部230および要求送信部240を、それぞれライセンス管理部230′および要求送信部240′に置き換えたものである。ここで、ライセンス管理部230′は、ライセンス管理部230の機能に、更に、返却要求および受取要求時のライセンス管理機能を付加したものであり、要求送信部240′は、要求送信部240の各構成要素に、返却要求部244および受取要求部245を付加したものである。
【0133】
要するに、この第2の実施形態に係るシステムは、前述した第1の実施形態に係るシステムの機能に、返却要求に係る処理機能と、受取要求に係る処理機能とを付加したものである。そこで、以下、この2つの付加機能についての説明を行い、その余の機能についての説明は省略する。
【0134】
<4−1. 返却要求処理>
第2の実施形態に係るコンテンツ提供システムにおいて、「返却要求」とは、既に「借入要求」を行い特定のコンテンツを借入しているユーザが、貸出期間の満了前に、サーバ装置100′に対して、自主的に当該コンテンツの返却を求めることであり、「返却要求処理」とは、この返却要求に応じて、サーバ装置100′が返却対象コンテンツを返却するための準備を行う処理である。この返却要求処理は、あくまでも、返却要求を行ったクライアント装置200′とサーバ装置100′との間の情報のやりとりによって構成される処理であり、貸出元(返却先)のクライアント装置200′は直接的には関与しない。
【0135】
クライアント装置200′内の返却要求部244は、指示入力部270が入力したユーザの指示に基づいて、貸出期間が残っている借入対象コンテンツの中から選択された返却対象コンテンツを貸出元に宛てて返却する返却要求を、サーバ装置100′内の返却要求処理部134に対して行う。返却要求処理部134は、特定のクライアント装置200′から返却要求があったときに、当該返却要求を行った要求元のライセンス管理部230′に対して、返却対象コンテンツに対応づけられたライセンスを無効とするライセンス更新指示を与えるとともに、当該返却要求の内容を記録する返却要求処理を行う。
【0136】
ここでは、具体的に、図9に示す事例において、ユーザ丙が返却要求を行った場合を考えてみよう。図9に示す事例の場合、「6月15日〜7月14日」なる貸出期間を設定して、コンテンツC101について、ユーザ甲からユーザ丙への貸出が行われている。ここで、ユーザ丙が、貸出期間の満了を待たずしてコンテンツC101を自主的に返却したい場合は、クライアント装置200丙′の指示入力部270から、コンテンツC101を返却対象コンテンツとする返却要求を行う旨の指示を行えばよい。
【0137】
返却要求処理部134は、このような返却要求を受けた場合、要求元のライセンス管理部230丙′に対して、返却対象コンテンツに対応づけられたライセンスを無効とするライセンス更新指示を与えるとともに、当該返却要求の内容を記録する返却要求処理を行う。この返却要求処理部134からのライセンス更新指示を受けたライセンス管理部230丙′は、当該指示に基づいて有効性情報を更新するライセンス管理処理を行う。具体的には、図9右欄に示されているライセンスL(丙2)は、図13右欄に示すように無効化されることになる(なお、ユーザ丙がコンテンツC101を購入する取得要求を行っていた場合は、ライセンスL(丙2)は既に無効化されているため、改めての無効化処理は不要である)。
【0138】
こうして、ユーザ丙による返却要求があると、当該返却対象コンテンツについてのユーザ丙による利用は制限されることになる。ただ、この時点では、まだ、当該コンテンツについてのユーザ甲(貸出元)による利用はできない。ユーザ甲による利用が可能になるのは、次に述べる受取要求処理が完了した後ということになる。
【0139】
<4−2. 受取要求処理>
第2の実施形態に係るコンテンツ提供システムにおいて、「受取要求」とは、前述した返却要求がなされた後、返却対象コンテンツの貸出元(すなわち、返却先)であるユーザが、返却対象コンテンツを受け取ることをサーバ装置100′に対して求めることであり、「受取要求処理」とは、この受取要求に応じて、当該貸出元のユーザが当該返却対象コンテンツを利用できるようにする処理である。もっとも、この受取要求処理では、実際に暗号化コンテンツデータCの受け渡しが行われるわけではなく、単に、ライセンスの更新が行われるだけである。したがって、この受取要求処理も、あくまでも、貸出元のクライアント装置200′(上例の場合、クライアント装置200甲′)とサーバ装置100′との間の情報のやりとりによって構成される処理であり、返却元のクライアント装置200′(上例の場合、クライアント装置200丙′)は直接的には関与しない。
【0140】
クライアント装置200甲′内の受取要求部245は、指示入力部270が入力したユーザ甲の指示に基づいて、他のユーザが自己宛に返却要求を行った返却対象コンテンツについての受取要求を、サーバ装置100′内の受取要求処理部135に対して行う。受取要求処理部135は、特定のクライアント装置200′から受取要求があったときに、当該受取要求を行った要求元(上例の場合、クライアント装置200甲′)を貸出元とする返却要求が返却要求処理部134によって記録されているか否かを調べる。そして、記録されていた場合には、当該受取要求を行った要求元のライセンス管理部230′に対して、当該記録に係る返却対象コンテンツに対応づけられた複数のライセンスデータのうち、当該返却対象コンテンツの取得時に有効であったライセンスデータのみを有効とするライセンス更新指示を与えるとともに、当該受取要求の内容を記録する受取要求処理を行う。
【0141】
上例の場合、既にユーザ丙によって、ユーザ甲を貸出元とする返却要求が返却要求処理部134によって記録されているので、受取要求処理部135は、クライアント装置200甲′のライセンス管理部230′に対して、ライセンス更新指示を与えることになる。ユーザ甲の場合、コンテンツC101については、図9左欄に示すように、3組のライセンスL(甲1),L(甲4),L(甲5)が格納されている。ここで、ライセンスL(甲1)は、コンテンツC101の取得要求時に発行されたライセンスであり、ライセンスL(甲4)は、コンテンツC101のユーザ乙を貸出先とする貸出要求時に発行されたライセンスであり、ライセンスL(甲5)は、コンテンツC101のユーザ丙を貸出先とする貸出要求時に発行されたライセンスである。
【0142】
図9左欄に示すとおり、現時点では、3組のライセンスのうち、最後に発行されたライセンスL(甲5)のみが有効となっており、他の2組のライセンスは無効になっている。ライセンス管理部230′は、受取要求処理部135からのライセンス更新指示に基づいて、これらのライセンスについての有効性情報を更新するライセンス管理処理を行う。具体的には、図9左欄に示す3組のライセンスのうち、コンテンツの取得時に有効であったライセンスデータ、すなわち、ライセンスL(甲1)のみを有効とするライセンス管理処理を行う。その結果、格納場所「甲C101」に格納された3組のライセンスの有効/無効の状態は、図9左欄に示す状態から、図13左欄に示す状態に変更される。
【0143】
結局、ユーザ丙についての返却要求処理が完了すると、ユーザ丙に関しては、図13右欄に示すようにライセンスL(丙2)が無効化されるので、貸出期間満了前であっても、ユーザ丙によるコンテンツC101の利用はできなくなる。一方、ユーザ甲についての受取要求処理が完了すると、ユーザ甲に関しては、図13左欄に示すようにライセンスL(甲1)が再び有効となるので、貸出期間満了前であっても、ユーザ甲は、コンテンツC101を利用したり、貸出したりすることが可能になる。
【0144】
<4−3. 受取要求処理の別形態>
上述した受取要求処理では、受取要求処理部135からライセンス管理部230′に与えられるライセンス更新指示は、返却対象コンテンツに対応づけられた複数のライセンスデータのうち、当該返却対象コンテンツの取得時に有効であったライセンスデータのみを有効とするような更新を指示するものであり、この更新指示に基づいて、図13左欄に示すように、ライセンスL(甲1)のみを有効とする更新が行われている。
【0145】
これに対して、ここで述べる第1の別形態に係る受取要求処理では、返却対象コンテンツに対応づけられた複数のライセンスデータのうち、返却対象コンテンツについての貸出要求の直前に有効であったライセンスデータのみを有効とするライセンス更新指示を与えるようにする。具体的には、図13右欄に示す例の場合、ライセンスL(甲5)は、コンテンツC101のユーザ丙を貸出先とする貸出要求時に発行されたライセンスであるから、当該貸出要求の直前に有効であったライセンスは、ライセンスL(甲4)ということになる。したがって、第1の別形態に係る受取要求処理では、ライセンスL(甲4)を有効とし、ライセンスL(甲1),L(甲5)を無効とする有効性情報の更新が行われることになる。
【0146】
ライセンスL(甲1)の利用期間は「無期限」であるのに対して、ライセンスL(甲4)の利用期間は「〜4月30日/6月1日〜」であるので、両者の利用期間は一致していないが、6月1日以降に限って考えれば、両者の利用期間は実質的に同じである。したがって、受取要求処理が6月1日以降に行われる処理であるという前提では、第1の別形態を採用しても同じ結果が得られることになる。
【0147】
第2の別形態に係る受取要求処理は、受取要求処理部135が、受取要求を行った要求元のライセンス管理部230′に対してライセンス更新指示を与える代わりに、更新後のライセンスの内容と同じ新たなライセンスデータを返却対象コンテンツに対応づけられた新たなライセンスデータとしてライセンス発行部120に発行させ、当該新たなライセンスデータを要求元のクライアント装置へ送信するようにし、ライセンス管理部230′が、受取要求に応じてサーバ装置からライセンスデータが送信されてきたときには、送信されてきたライセンスデータのみが有効となるように有効性情報を更新するライセンス管理処理を行うようにするものである。
【0148】
図9左欄に示す事例について、この第2の別形態を採用した場合、これまで述べたライセンス更新指示による更新後のライセンス(具体的には、ライセンスL(甲1)もしくはライセンスL(甲4))と同じ内容をもった新たなライセンスL(甲6)を発行し、これを格納場所「甲C101」に格納するとともに、当該ライセンスL(甲6)のみを有効とする処理が行われることになる。すなわち、格納場所「甲C101」に格納された4組のライセンスのうち、既存のライセンスL(甲1),L(甲4),L(甲5)はいずれも無効になり、新たなライセンスL(甲6)のみが有効になる。
【0149】
<<< §5. 各要求に基づいて実行される具体的プロセス >>>
上述した第2の実施形態に係るコンテンツ提供システムでは、クライアント装置200′からサーバ装置100′に対して、取得要求,貸出要求,借入要求,返却要求,受取要求が行われ、サーバ装置100′は、これら各要求に応じた処理を行うことになる。ここでは、本発明の特徴となる貸出要求,借入要求,返却要求,受取要求およびこれらの各要求に応じて実行される処理について、その具体的なプロセスの手順を順に説明する。
【0150】
<5−1. 貸出要求のプロセス>
図14は、図11のシステムにおける貸出要求プロセスの手順を示す流れ図である。この流れ図において、左側に「クライアント」と記載された各ステップは、クライアント装置200′側で実行される処理であり、左側に「サーバ」と記載された各ステップは、サーバ装置100′側で実行される処理である。また、各ステップを示す枠の右下に括弧書きされている構成要素は、当該ステップを実行する構成要素を示している。これは、図15,図18,図19に示す流れ図についても同様である。
【0151】
まず、ステップS11において、ユーザが指示入力部270に対して、貸出要求指示の入力を行う。具体的には、ユーザは、貸出対象コンテンツ、貸出期間、貸出先を指定する入力を行う必要がある。続いて、ステップS12では、貸出要求部242によって、ユーザが入力した貸出要求に問題がないかどうかのチェックが行われる。具体的には、ユーザが指定した貸出対象コンテンツ、貸出期間、貸出先のそれぞれについて、問題がないかの確認が行われる。
【0152】
ユーザが指定した貸出対象コンテンツについては、それが既に取得済のコンテンツであるか否かがチェックされる。貸出要求は、取得済みのコンテンツを他のユーザに貸し出すための準備手続であるので、貸出対象コンテンツは、ユーザが取得要求を行って取得(購入もしくはレンタル)したコンテンツである必要がある。実際には、取得要求部241に、これまでに取得要求を行ったコンテンツの履歴を記録する機能をもたせておけば、当該履歴をチェックすることにより、ユーザが特定した貸出対象コンテンツが、取得済のコンテンツであるか否かを確認することができる。
【0153】
一方、貸出期間については、貸出要求部242が、ライセンス管理部230′を参照して、ユーザが指定した貸出期間が、貸出対象コンテンツに対応づけられた有効なライセンスデータに含まれている利用期間の範囲内であるか否かを判定する処理を行えばよい。また、著作権保護の観点から貸出先を制限する運用を行う場合は、貸出要求部242が、予め用意されている図10に示すような貸出許可リストを参照して、ユーザが指定した貸出先がこの貸出許可リストに含まれているか否かを判定する処理を行えばよい。
【0154】
いずれかのチェック項目で否定的判定結果が得られた場合は、ステップS13へと進み、ユーザが入力した貸出要求指示を拒否する処理が行われる。具体的には、ユーザに対して、否定的判定結果が得られた理由を提示して、貸出要求指示は実行できない旨の報知を行えばよい。これに対して、すべてのチェック項目で肯定的判定結果が得られた場合は、ステップS14へと進み、貸出要求部242により、サーバ装置100′への貸出要求の送信が行われる。この貸出要求には、チェック済みの貸出対象コンテンツ、貸出期間、貸出先を特定する情報とともに、貸出元を特定する情報も含まれることになる。もっとも、貸出元を特定する情報は、サーバ装置100′に対してアクセスを行う際に、自分自身のユーザアカウントを指定することによって伝達することができる。
【0155】
さて、ステップS14によって、貸出元、貸出対象コンテンツ、貸出期間、貸出先を特定した貸出要求がサーバ装置100′に伝達されてくると、ステップS15において、貸出要求処理部132によるチェックが行われる。ここで行われるチェックの項目は、ステップS12で行われたチェックの項目と同じである。
【0156】
まず、貸出対象コンテンツについては、要求元のユーザが既に取得済のコンテンツであるか否かがチェックされる。取得要求処理部131に、個々のユーザに対してこれまで行った取得要求処理の履歴を記録する機能をもたせておけば、当該履歴をチェックすることにより、貸出要求に係る貸出対象コンテンツが、要求元のユーザが取得済のコンテンツであるか否かを確認することができる。
【0157】
一方、貸出期間については、ライセンス発行部120に、これまで個々のユーザに対して発行したライセンスの履歴を記録する機能をもたせておけば、貸出要求処理部132は、当該履歴をチェックすることにより、貸出要求に係る貸出期間が、貸出対象コンテンツに対応づけられた有効なライセンスデータに含まれている利用期間の範囲内であるか否かを確認することができる。また、著作権保護の観点から貸出先を制限する運用を行う場合は、貸出要求処理部132が、予め用意されている図10に示すような貸出許可リストを参照して、貸出要求に係る貸出先がこの貸出許可リストに含まれているか否かを判定する処理を行えばよい。
【0158】
いずれかのチェック項目で否定的判定結果が得られた場合は、ステップS16へと進み、貸出要求を拒否する処理が行われる。具体的には、要求元のクライアント装置200′に対して、否定的判定結果が得られた理由を提示して、貸出要求は実行できない旨の報知を行えばよい。これに対して、すべてのチェック項目で肯定的判定結果が得られた場合は、ステップS17へと進み、新ライセンスデータの発行および記録が行われる。すなわち、貸出要求処理部132は、ライセンス発行部120に対して、貸出要求の要求元であるクライアント装置200′に送信するための、貸出対象コンテンツについての新たなライセンスデータの発行を指示する。具体的には、既に述べたとおり、貸出対象コンテンツについての取得要求処理の際に発行したライセンスデータの利用期間から貸出期間を除外した新たな利用期間を示す利用条件を含むライセンスデータが、当該貸出対象コンテンツに対応づけられた新たなライセンスデータとして発行される。
【0159】
次に、ステップS18において、貸出要求処理部132が、貸出要求の要求元であるクライアント装置200′に対して、新ライセンスデータを送信する処理が行われる。また、当該貸出要求の内容は、貸出要求処理部132によって記録される。
【0160】
最後のステップS19では、クライアント装置200′側において、新ライセンスデータの格納処理およびライセンスデータの有効性情報の更新処理が実行される。すなわち、ライセンス管理部230′が、サーバ装置100′側から送信されてきた新ライセンスデータを受け取り、これを格納して有効化するとともに、古いライセンスデータを無効化する処理を行う。
【0161】
もちろん、図14に示すプロセスは、貸出要求のプロセスの一例であり、本発明を実施するにあたっては、必ずしもこのような貸出要求プロセスを行う必要はない。たとえば、ステップS12のチェック項目と、ステップS15のチェック項目とは同じであるので、いずれか一方を省略してもかまわない。ただ、クライアント装置側のチェックであるステップS12と、サーバ装置側のチェックであるステップS15とを併用すれば、それだけ厳密な運用を行うことができるようになる。
【0162】
<5−2. 借入要求のプロセス>
続いて、上述した貸出要求プロセスに引き続いて行われる借入要求のプロセスを説明する。図15は、図11のシステムにおける借入要求プロセスの手順を示す流れ図である。
【0163】
まず、ステップS21において、ユーザが指示入力部270に対して、借入要求指示の入力を行う。借入要求は、他のユーザが自己宛に貸出要求を行ったコンテンツを借り入れるための要求であるから、事前に、他のユーザが自己宛に特定のコンテンツについての貸出要求を行っていることが前提となる。他のユーザが自己宛に貸出要求を行った事実は、当該貸出要求を行ったユーザからの電子メールや電話などによる伝言によっても報知することができるが、ここで述べる実施形態では、借入可能リストという形式で報知を行うようにしている。
【0164】
すなわち、ステップS21において、ユーザが借入要求指示の入力を行うと、ステップS22において、借入要求部243が、借入要求処理部133に対して、要求元である自分を特定する情報(ユーザアカウント)を伝えるとともに、他のユーザが自己宛に貸出要求を行ったコンテンツを列挙した借入可能リストを要求する。すると、次のステップS23では、当該要求を受けた借入要求処理部133が、要求元宛に行われた貸出要求に係るコンテンツを列挙した借入可能リストを作成し、これを要求元のクライアント装置に送信する処理を実行する。各ユーザが行った貸出要求の内容は、貸出要求処理部132によって記録されているので、借入要求処理部133は、当該記録を参照することにより、特定のユーザについての借入可能リストを作成することができる。
【0165】
借入可能リストとしては、コンテンツを特定する情報、貸出元、貸出期間を明示したリストを作成すればよい。図16は、ユーザ乙宛に他のユーザが貸出要求を行ったコンテンツを列挙した借入可能リストの一例である。図示のとおり、他のユーザによるユーザ乙宛の貸出要求が合計3件あることが示されている。この例は、電子書籍のコンテンツに関する例であり、コンテンツを特定する情報として、コンテンツIDとともに書名が用いられている。
【0166】
この図16に例示された借入可能リストの1行目は、コンテンツID「C101」をもつ「京都散策」なる書籍について、ユーザ甲が「5月1日〜5月31日」なる貸出期間を設定して貸出要求を行っていることを示しており、2行目は、コンテンツID「C234」をもつ「吾輩は猫である」なる書籍について、ユーザ戊が「5月15日〜6月14日」なる貸出期間を設定して貸出要求を行っていることを示しており、3行目は、コンテンツID「C567」をもつ「パソコン入門」なる書籍について、ユーザ庚が「5月10日〜5月20日」なる貸出期間を設定して貸出要求を行っていることを示している。
【0167】
借入要求処理部133から、このような借入可能リストが送信されてきたら、続くステップS24において、借入可能リストを受信した借入要求部243が、当該リストをディスプレイ画面上に表示する処理を実行する。図17は、クライアント装置200′のディスプレイ画面上に図16に示す借入可能リストの内容が表示された状態を示す平面図である。コンテンツIDは、ユーザに提示してもあまり意味がないので、図17に示す例の場合、コンテンツを特定する情報として書名のみを表示している。
【0168】
この図17に示す表示画面は、借入対象コンテンツの指定指示画面を兼ねている。指示入力部270は、ディスプレイ画面上に表示された借入可能リストに掲載されているコンテンツの中から特定のコンテンツを指定するユーザの指示を入力する機能を有している。図17に示す例の場合、ユーザが、リスト左端のチェック欄にチェックマークを入れた上で「借入」ボタンを押す操作を行うと、チェックマークを入れたコンテンツが借入対象コンテンツとして指定され、借入要求がなされる。ステップS25に示されているユーザのコンテンツ指定指示入力の処理は、具体的には、図17に示す画面上で、借入対象コンテンツのチェック欄にチェックを入れる処理ということになる。
【0169】
次に、図17に示す画面上で「借入」ボタンを押すと、ステップS26の処理が実行される。すなわち、借入要求部243によって、借入対象コンテンツおよび要求元を特定した借入要求がサーバ装置100′へ送信される。ここで、借入対象コンテンツは、図17に示す借入可能リストのチェック欄にチェックを入れたコンテンツとして特定され、要求元(この例の場合は、ユーザ乙)は、サーバ装置100′へのアクセスに用いたユーザアカウントによって特定される。
【0170】
このような借入要求を受けた借入要求処理部133は、ライセンス発行部120に対して、借入要求処理に必要なライセンスデータの発行を指示する。そして、ステップS27において、ライセンス発行部120によりライセンスデータの発行が行われ、その内容が記録される。ここで発行されるライセンスデータは、既に述べたとおり、貸出元が設定した貸出期間を利用期間とするライセンスデータである。続くステップS28では、借入要求処理部133によって、借入対象コンテンツの暗号化コンテンツデータと、ステップS27で発行したライセンスデータとを、要求元のクライアント装置に送信するとともに、当該借入要求の内容を記録する処理が行われる。
【0171】
そして、最後のステップS29では、クライアント装置200′側において、送信されてきた暗号化コンテンツデータおよびライセンスデータを格納し、ライセンスデータの有効性情報を更新する処理が行われる。すなわち、送信されてきた暗号化コンテンツデータはコンテンツ格納部220に格納され、送信されてきたライセンスデータはライセンス管理部230′に格納される。そして、送信されてきたライセンスデータは有効化される。
【0172】
なお、ステップS23において、借入要求処理部133が借入可能リストを作成する際には、既に借入が行われたコンテンツについては、リストから除外するようにする。たとえば、図17に示す例において、「京都散策」なる書名の電子書籍コンテンツについての借入要求を行うと、当該コンテンツについての借入要求処理が行われ、借入が完了する。したがって、その時点で、再び借入要求を行った場合に作成される借入可能リストには、「京都散策」なる書名のコンテンツは掲載されなくなる。
【0173】
また、貸出期間が既に経過してしまったコンテンツについても、借入可能リストから除外するのが好ましい。貸出期間が経過してしまうと、実質的に借入を行うことができないので、リストには掲載すべきではない。
【0174】
<5−3. 返却要求のプロセス>
続いて、上述した借入要求プロセスの後に必要に応じて行われる返却要求のプロセスを説明する。図18は、図11のシステムにおける返却要求プロセスの手順を示す流れ図である。
【0175】
まず、ステップS31において、ユーザが指示入力部270に対して、返却対象コンテンツを指定した返却要求指示の入力を行う。続いて、ステップS32では、返却要求部244によって、ユーザが入力した返却要求に問題がないかどうかのチェックが行われる。具体的には、ユーザが指定した返却対象コンテンツが、まだ貸出期間が残っている借入中のコンテンツであるか否かの確認が行われる。実際には、借入要求部243に、これまでに借入要求を行ったコンテンツの履歴を記録する機能をもたせておけば、当該履歴をチェックすることにより、ユーザが指定した返却対象コンテンツが、借入中のコンテンツであるか否かを確認することができる。また、ライセンスデータの利用期間を参照すれば、まだ貸出期間が残っているか否かを確認することもできる。
【0176】
このステップS32のチェックにおいて、否定的判定結果が得られた場合は、ステップS33へと進み、返却要求部244によって、ユーザが入力した返却要求指示を拒否する処理が行われる。具体的には、ユーザに対して、否定的判定結果が得られた理由を提示して、返却要求指示は実行できない旨の報知を行えばよい。これに対して、肯定的判定結果が得られた場合は、ステップS34へと進み、返却要求部244により、サーバ装置100′への返却要求の送信が行われる。この返却要求には、返却対象コンテンツおよび貸出元を特定する情報とともに、要求元を特定する情報も含まれることになる。もっとも、要求元を特定する情報は、サーバ装置100′に対してアクセスを行う際に、自分自身のユーザアカウントを指定することによって伝達することができる。なお、返却要求を行う際に、貸出元を特定する情報を伝達するのは、同一のコンテンツを複数の異なるユーザから借り入れているケースがあるためである。
【0177】
さて、ステップS34によって、返却対象コンテンツ、貸出元、要求元を特定した返却要求がサーバ装置100′に伝達されてくると、ステップS35において、返却要求処理部134によるチェックが行われる。ここで行われるチェックは、ステップS32で行われたチェックと同じである。貸出要求処理部132や借入要求処理部133に、過去の処理履歴を記録する機能をもたせておけば、返却要求処理部134は、当該履歴やライセンスデータの発行履歴をチェックすることにより、返却要求に問題がないか否かを確認することができる。
【0178】
チェックの結果、否定的判定結果が得られた場合は、ステップS36へと進み、返却要求を拒否する処理が行われる。具体的には、要求元のクライアント装置200′に対して、否定的判定結果が得られた理由を提示して、返却要求は実行できない旨の報知を行えばよい。これに対して、肯定的判定結果が得られた場合は、ステップS37へと進み、返却要求処理部134による返却要求処理が実行される。すなわち、返却要求処理部134は、返却要求の要求元であるクライアント装置200′に対して、返却対象コンテンツに対応づけられたライセンスを無効とするライセンス更新指示を送信する。また、当該返却要求の内容は、返却要求処理部134によって記録される。
【0179】
最後のステップS38では、クライアント装置200′側において、ライセンス更新指示に基づく有効性情報の更新が行われる。すなわち、ライセンス管理部230′が、返却対象コンテンツに対応づけられたライセンスを無効とする処理を行う。
【0180】
もちろん、図18に示すプロセスは、返却要求のプロセスの一例であり、本発明を実施するにあたっては、必ずしもこのような返却要求プロセスを行う必要はない。たとえば、ステップS32のチェック項目と、ステップS35のチェック項目とは同じであるので、いずれか一方を省略してもかまわない。ただ、クライアント装置側のチェックであるステップS32と、サーバ装置側のチェックであるステップS35とを併用すれば、それだけ厳密な運用を行うことができるようになる。
【0181】
<5−4. 受取要求のプロセス>
続いて、上述した返却要求プロセスに引き続いて行われる受取要求のプロセスを説明する。図19は、図11のシステムにおける受取要求プロセスの手順を示す流れ図である。
【0182】
まず、ステップS41において、ユーザが指示入力部270に対して、受取要求指示の入力を行う。受取要求は、他のユーザが自己宛に返却要求を行ったコンテンツを受け取るための要求であるから、事前に、他のユーザが自己宛に特定のコンテンツについての返却要求を行っていることが前提となる。他のユーザが自己宛に返却要求を行った事実は、当該返却要求を行ったユーザからの電子メールや電話などによる伝言によっても報知することができるが、ここで述べる実施形態では、受取可能リストという形式で報知を行うようにしている。
【0183】
すなわち、ステップS41において、ユーザが受取要求指示の入力を行うと、ステップS42において、受取要求部245が、受取要求処理部135に対して、要求元である自分を特定する情報(ユーザアカウント)を伝えるとともに、他のユーザが自己宛に返却要求を行ったコンテンツを列挙した受取可能リストを要求する。すると、次のステップS43では、当該要求を受けた受取要求処理部135が、要求元宛に行われた返却要求に係るコンテンツを列挙した受取可能リストを作成し、これを要求元のクライアント装置に送信する処理を実行する。各ユーザが行った返却要求の内容は、返却要求処理部134によって記録されているので、受取要求処理部135は、当該記録を参照することにより、特定のユーザについての受取可能リストを作成することができる。
【0184】
受取可能リストとしては、コンテンツを特定する情報と貸出先(返却元)を明示したリストを作成すればよい。具体的には、図16に示す借入可能リストに準じたリストを作成するようにすればよい。
【0185】
受取要求処理部135から、このような受取可能リストが送信されてきたら、続くステップS44において、受取可能リストを受信した受取要求部245が、当該リストをディスプレイ画面上に表示する処理を実行する。この受取可能リストの表示形態も、図17に示す借入可能リストの表示形態に準じたものにすればよい。
【0186】
ステップS45では、指示入力部270によって、ユーザのコンテンツ指定指示の入力が行われる。具体的には、図17に示す借入可能リストに準じた表示形態で、受取可能リストを表示するようにし、ユーザは、受取対象コンテンツのチェック欄にチェックを入れる操作を行えばよい。ユーザがこの画面上で「受取」ボタンを押すと、ステップS46の処理が実行される。すなわち、受取要求部245によって、受取対象コンテンツおよび要求元を特定した受取要求がサーバ装置100′へ送信される。ここで、受取対象コンテンツは、画面上に表示された受取可能リストのチェック欄にチェックを入れたコンテンツとして特定され、要求元は、サーバ装置100′へのアクセスに用いたユーザアカウントによって特定される。
【0187】
このような受取要求を受けた受取要求処理部135は、要求元のクライアント装置200′に対して、受取対象コンテンツについてのライセンス更新指示を送信する(もしくは、§4−3で第2の別形態として述べたように、ライセンス発行部120に新ライセンスデータを発行して記録させ、当該新ライセンスデータを要求元のクライアント装置200′に送信してもよい)。また、受取要求処理部135は、当該受取要求の内容を記録する。
【0188】
そして、最後のステップS48では、クライアント装置200′側において、送信されてきたライセンス更新指示に基づいて、受取対象コンテンツについてのライセンスの有効性情報を更新する処理が行われる。すなわち、ライセンス管理部230′は、当該受取対象コンテンツに対応づけられた複数のライセンスデータのうち、当該受取対象コンテンツについての貸出要求の直前もしくは当該受取対象コンテンツの取得時に有効であったライセンスデータのみが有効となるように有効性情報の更新を行う(もしくは、新ライセンスデータの発行が行われた場合には、当該新ライセンスデータを格納して有効化し、古いライセンスデータを無効化する処理を行う)。
【0189】
<<< §6. 第3の実施形態 >>>
ここでは、これまで述べてきた第2の実施形態の改良型となる第3の実施形態を説明する。この第3の実施形態は、前述した第2の実施形態に係るシステムに、ステータス記録部を付加したものである。
【0190】
図20は、この第3の実施形態に係るコンテンツ提供システムの基本構成を示すブロック図であり、図21は、この図20に示すクライアント装置200甲'',200乙'',200丙''の構成を示すブロック図である。図20に示す第3の実施形態に係るサーバ装置100''は、図11に示す第2の実施形態に係るサーバ装置100′の要求処理部130′を要求処理部130''に置き換えたものである。ここで、要求処理部130''は、要求処理部130′の各構成要素に、サーバ側ステータス記録部136を付加したものである。また、図21に示す第3の実施形態に係るクライアント装置200''は、図12に示す第2の実施形態に係るクライアント装置200′の要求送信部240′を、要求送信部240''に置き換えたものである。ここで、要求送信部240''は、要求送信部240′の各構成要素に、クライアント側ステータス記録部246を付加したものである。
【0191】
要するに、この第3の実施形態に係るシステムは、前述した第2の実施形態に係るシステムに、サーバ側ステータス記録部136およびクライアント側ステータス記録部246を付加したものである。そこで、以下、この2つの新たな構成要素についての説明を行い、その余の機能についての説明は省略する。
【0192】
ステータス記録部136,246の役割は、個々のコンテンツの現時点の状態を明確に示すためのステータスを記録することにある。サーバ側ステータス記録部136には、多数のユーザについての情報が記録されるので、ユーザごとに、それぞれ各コンテンツのステータスが記録される。これに対して、クライアント側ステータス記録部246は、個々のクライアント装置200''にそれぞれ設けられており、特定のユーザについての情報のみを記録すればよい。
【0193】
サーバ側ステータス記録部136は、処理に係る個々のユーザの個々のコンテンツについて少なくとも利用可否に関する状態を示すステータスを記録し、外部からの指示に基づいて、当該ステータスを用いた情報提供を行う機能を有している。したがって、たとえば、サーバ装置100''を管理するシステムの運営者は、何らかの端末装置からサーバ側ステータス記録部136をアクセスすることにより、個々のユーザの個々のコンテンツについての現時点のステータスを照会することができる。
【0194】
このサーバ側ステータス記録部136内の情報は、要求処理部130''内の各処理部によって書き込まれたり、書き換えられたりされる。すなわち、取得要求処理部131,貸出要求処理部132,借入要求処理部133,返却要求処理部134,受取要求処理部135は、それぞれ所定の処理を行った際に、必要に応じて、サーバ側ステータス記録部136内の記録を変更する処理を行う。
【0195】
もちろん、これら各処理部131〜135は、サーバ側ステータス記録部136内の情報を参照して、処理に利用することもできる。たとえば、貸出要求処理部132が貸出要求のチェックを行う際や、返却要求処理部134が返却要求のチェックを行う際には、サーバ側ステータス記録部136内の情報を参照して利用することができる。同様に、仮入要求処理部133が借入可能リストを作成する際や、受取要求処理部135が受取可能リストを作成する際にも、サーバ側ステータス記録部136内の情報を参照して利用することができる。
【0196】
一方、クライアント側ステータス記録部246は、要求に係る個々のコンテンツについて少なくとも利用可否に関する状態を示すステータスを記録し、指示入力部270が入力した指示に基づいて、当該ステータスを用いた情報提供を行う機能を有している。したがって、ユーザは、必要があれば、指示入力部270から閲覧指示を入力することにより、各コンテンツの現時点のステータスを閲覧することができる。
【0197】
このクライアント側ステータス記録部246内の情報は、要求送信部240''内の各要求部によって書き込まれたり、書き換えられたりされる。すなわち、取得要求部241,貸出要求部242,借入要求部243,返却要求部244,受取要求部245は、それぞれ所定の処理を行った際に、必要に応じて、クライアント側ステータス記録部246内の記録を変更する処理を行う。
【0198】
もちろん、各要求部241〜245は、クライアント側ステータス記録部246内の情報を参照して、処理に利用することもできる。たとえば、貸出要求部242が貸出要求のチェックを行う際や、返却要求部244が返却要求のチェックを行う際には、クライアント側ステータス記録部246内の情報を参照して利用することができる。
【0199】
図22は、図20のシステムで用いられるステータスの一覧を示す表である。ここで述べる実施形態の場合、図示のとおり、サーバ側ステータス記録部136に記録されるサーバ側のステータスとして、「利用可」,「利用不可」,「借入許可済」,「返却受取可」という4種類のステータスが定義され、クライアント側ステータス記録部246に記録されるクライアント側のステータスとして、「利用可」,「利用不可」,「借入中」,「貸出中」という4種類のステータスが定義されている。各ステータスは、取得要求,貸出要求,借入要求,返却要求,受取要求,利用期間の満了というイベントが発生するたびに変遷する。以下、個々のイベントごとにステータスの変遷を説明する。
【0200】
(1) 取得要求
取得要求部241は、取得要求を行った際に、取得対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録し、取得要求処理部131は、取得要求処理を行った際に、要求元ユーザの取得対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録する。本発明に係るシステムでは、個々のコンテンツについて最初に行う要求が取得要求である。したがって、各コンテンツのステータスの初期状態は「利用可」ということになる。サーバ側のステータス「利用可」およびクライアント側のステータス「利用可」は、いずれも現時点で当該ユーザが当該コンテンツを利用すること(再生すること)が可能であることを示すものである。
【0201】
(2) 貸出要求
貸出要求部242は、貸出要求を行った際に、貸出対象コンテンツについて「貸出中」なるステータスを記録し、貸出要求処理部132は、貸出要求処理を行った際に、貸出元ユーザの貸出対象コンテンツについて「利用不可」なるステータスを記録するとともに、貸出先ユーザの貸出対象コンテンツについて「借入許可済」なるステータスを記録する。ここで、クライアント側のステータス「貸出中」は、現在、当該コンテンツが他のユーザのために貸出中であり、利用できない状態であることを示す。一方、サーバ側のステータス「利用不可」は現時点で当該ユーザが当該コンテンツを利用できない状態であることを示し、サーバ側のステータス「借入許可済」は現時点で当該ユーザが当該コンテンツについての借入要求を行えば、借入が可能な状態になっていることを示す。サーバ側のステータス「借入許可済」は、借入可能リストを作成する際に利用することができる。
【0202】
(3) 借入要求
借入要求部243は、借入要求を行った際に、借入対象コンテンツについて「借入中」なるステータスを記録し、借入要求処理部133は、借入要求処理を行った際に、「借入許可済」なるステータスが記録されていた貸出先ユーザの借入対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録する。ここで、クライアント側のステータス「借入中」は、現在、当該コンテンツを他のユーザから借入中であり、利用可能な状態であることを示す。一方、サーバ側のステータス「利用可」は現時点で当該ユーザが当該コンテンツを利用可能な状態であることを示す。
【0203】
(4) 返却要求
返却要求部244は、返却要求を行った際に、返却対象コンテンツについて「利用不可」なるステータスを記録し、返却要求処理部134は、返却要求処理を行った際に、返却元ユーザの返却対象コンテンツについて「利用不可」なるステータスを記録するとともに、返却先ユーザの返却対象コンテンツについて「返却受取可」なるステータスを記録する。ここで、クライアント側のステータス「利用不可」は、現在、当該コンテンツが利用できない状態であることを示す。また、サーバ側のステータス「利用不可」も現時点で当該ユーザが当該コンテンツを利用できない状態であることを示す。一方、サーバ側のステータス「返却受取可」は現時点で当該ユーザが当該コンテンツについての受取要求を行えば、受取が可能な状態になっていることを示す。サーバ側のステータス「返却受取可」は、受取可能リストを作成する際に利用することができる。
【0204】
(5) 受取要求
受取要求部245は、受取要求を行った際に、受取対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録し、受取要求処理部135は、受取要求処理を行った際に、「返却受取可」なるステータスが記録されていた返却先ユーザの受取対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録する。ここで、サーバ側のステータス「利用可」およびクライアント側のステータス「利用可」は、いずれも現時点で当該ユーザが当該コンテンツを利用可能であることを示す。
【0205】
(6) 利用期間の満了
利用期間の満了というイベントは、ユーザが積極的に何らかの要求を行うことにより発生するものではない。すなわち、これまで述べてきた各イベントは、ユーザが指示入力部270に対して何らかの要求指示を入力することにより発生するイベントであるのに対して、利用期間の満了は、時間の経過により自然に発生するイベントである。したがって、利用期間の満了によって、ステータスを変更するには、所定のタイミングで、ライセンスデータ内の利用期間のチェックを行い、利用期間が満了しているライセンスデータを見つける処理を行う必要がある。
【0206】
そこで、要求処理部130''および要求送信部240''に、所定のタイミングで、ライセンスデータ内の利用期間のチェックを行い、利用期間が満了している有効なライセンスデータがあれば、当該ライセンスデータに対応するコンテンツについてのステータスを変更する機能を設けておけば、利用期間の満了というイベントに基づいて、ステータスの変更を行うことができる。
【0207】
利用期間の満了というイベントに起因して変更が必要になる典型的なステータスは、ステータス「利用可」である。そこで、チェックの結果、利用期間が満了しているコンテンツについてのステータスが「利用可」となっていた場合には、これを「利用不可」に変更する処理を行えばよい。
【0208】
本発明の場合、「借入中」なるステータスについても配慮する必要がある。ステータスが「借入中」のコンテンツであっても、貸与期間が満了すれば、ステータスを「利用不可」に変更する必要がある。同様に、「貸出中」なるステータスについても配慮する必要がある。ステータスが「貸出中」のコンテンツであっても、貸与期間が満了すれば、ステータスを「利用可」に変更する必要がある。
【0209】
このような点を配慮してステータスの変更を行うには、要求送信部240''に、「借入中」なるステータスが記録されているコンテンツについて、対応づけられたライセンスデータの貸出期間が満了していた場合に、「利用不可」なるステータスに変更する処理を行い、「貸出中」なるステータスが記録されているコンテンツについて、対応づけられたライセンスデータの貸出期間が満了していた場合に、「利用可」なるステータスに変更する処理を行う機能をもたせておけばよい。
【0210】
<<< §7. ステータスの具体的な変遷例 >>>
ここでは、§6で述べた第3の実施形態に係るコンテンツ提供システムにおけるステータスの変遷例を、図23の一覧表に示すようなイベントが発生した具体的な事例に基づいて説明する。この一覧表は、イベント番号E1〜E9として示す9つのイベントがこの順に時系列的に発生したことを示している。「月日」欄には、各イベントの発生日付が記載され、「イベントの内容」欄には、発生したイベントの具体的な内容が簡潔に記載されている。また、「対応図」欄には、各イベントの説明に対応する図の番号を示した(左欄は、§3,§4の説明に用いた図を示し、右欄は、これから説明する図を示している)。
【0211】
なお、この一覧表では、利用期間の満了に起因するイベントは、イベントE4(貸出期間の満了)を除いて省略されている。実際には、上述したとおり、何らかの利用期間が設定されている個々のコンテンツについては、期間の満了というイベントが発生し、必要に応じて、ステータスの書き換えが必要になる。しかしながら、利用期間の満了に起因するイベントをすべて網羅すると極めて繁雑になるため、ここでは、便宜上、イベントE4を除いて、利用期間の満了に起因するイベントを省略した説明を行うことにする。
【0212】
(1) イベントE1:甲・乙・丙が各コンテンツを取得
まず、4月1日に、3人のユーザ甲・乙・丙が、図4に示すような各コンテンツの取得(購入もしくはレンタル)を行ったものとする。各ユーザに対して発行されたライセンスは、図5に示すとおりである。図24は、この時点におけるサーバ側ステータス記録部136の記録内容を示し、図25は、この時点における各クライアント側ステータス記録部246甲,246乙,246丙の記録内容を示している。
【0213】
図24に示すとおり、サーバ側ステータス記録部136には、ユーザID,コンテンツID,ステータス,ライセンスID,有効性(ライセンスの有効性),借入元,貸出先という欄が設けられており、それぞれ必要な情報が記録される。一方、図25に示すとおり、クライアント側ステータス記録部246甲,246乙,246丙には、コンテンツID,ステータス,ライセンスID,有効性(ライセンスの有効性),ライセンスファイル名という欄が設けられており、それぞれ必要な情報が記録される。もちろん、ここに示す例はステータス記録部の一形態を示すものであり、運用上必要のない情報欄は省略することができるし、別な情報欄を付加することもできる。
【0214】
3人のユーザが各コンテンツを取得した時点で、サーバ側ステータス記録部136には、取得要求処理部131によって図24に示すような情報が書き込まれる。コンテンツID欄には、各ユーザが取得したコンテンツのIDが記録され、ライセンスID欄には、各コンテンツに対応づけられて発行されたライセンスのIDが記録される。この時点では、各コンテンツのステータスはいずれも「利用可」になっており、各ライセンスの有効性はいずれも「有効」になっている。
【0215】
一方、クライアント側ステータス記録部246甲,246乙,246丙には、取得要求部241によって図25に示すような情報が書き込まれる。コンテンツID欄には、各ユーザが取得したコンテンツのIDが記録され、ライセンスID欄には、各コンテンツに対応づけられて発行されたライセンスのIDが記録され、ライセンスファイル名欄には、各ライセンスの実際のファイル名が記録される。この時点では、各コンテンツのステータスはいずれも「利用可」になっており、各ライセンスの有効性はいずれも「有効」になっている。
【0216】
(2) イベントE2:甲から乙への貸出要求
次に、4月29日に、ユーザ甲が、ユーザ乙を貸出先として、貸出期間を「5月1日〜5月31日」とするコンテンツC101についての貸出要求を行ったものとしよう。この貸出要求によって、ユーザ甲のライセンスは、図7左に示す状態になる。図26は、この時点におけるサーバ側ステータス記録部136の記録内容を示し、図27は、この時点における各クライアント側ステータス記録部246甲,246乙,246丙の記録内容を示している。なお、説明の便宜上、図26〜図41では、ステータス記録部の各欄のうち、新たなイベントの発生により記録内容に変更が生じた欄を太枠で囲って示すことにする。
【0217】
ユーザ甲がコンテンツC101についての貸出要求を行うと、貸出要求処理部132によって、図26に示すサーバ側ステータス記録部136の記録内容における太枠欄の内容が変更される。すなわち、ユーザ甲のコンテンツC101について、新たなライセンスL(甲4)が付加され、古いライセンスL(甲1)の有効性は「無効」に変更され、新たなライセンスL(甲4)の有効性が「有効」に設定される。また、貸出先欄には、この貸出要求の貸出先が「ユーザ乙」である旨が記録され、ユーザ甲のコンテンツC101のステータスは「利用不可」に変更される。
【0218】
また、ユーザ乙については、新たにコンテンツC101のための記録欄が確保され、ステータスは「借入許可済」になり、借入元欄に「ユーザ甲」が記録される。なお、この時点では、まだユーザ乙についてのコンテンツC101のライセンスは発行されていないため、ここでは、ライセンスID欄および有効性欄には、ライセンスが未発行状態であることを示す「φ」なる記号を記録するようにしている(もちろん、空欄にしておいてもかまわない)。
【0219】
一方、貸出要求を行ったユーザ甲のクライアント側ステータス記録部246甲には、貸出要求部242によって図27(a) に示すような記録が行われる。すなわち、コンテンツC101について、新たなライセンスL(甲4)およびそのファイル名が付加され、古いライセンスL(甲1)の有効性は「無効」に変更され、新たなライセンスL(甲4)の有効性が「有効」に設定される。そして、このコンテンツC101のステータスは「貸出中」に変更される。なお、図27(b) ,(c) に示すクライアント側ステータス記録部246乙,246丙の記録内容に変更はない。
【0220】
(3) イベントE3:乙による借入要求
次に、4月30日に、ユーザ乙が、イベントE2のユーザ甲の貸出要求に応じて、コンテンツC101についての借入要求を行ったものとしよう。この借入要求によって、ユーザ乙のライセンスは、図7右に示す状態になる。図28は、この時点におけるサーバ側ステータス記録部136の記録内容を示し、図29は、この時点における各クライアント側ステータス記録部246甲,246乙,246丙の記録内容を示している。
【0221】
ユーザ乙がコンテンツC101についての借入要求を行うと、借入要求処理部133によって、図28に示すサーバ側ステータス記録部136の記録内容における太枠欄の内容が変更される。すなわち、ユーザ乙のコンテンツC101について、新たなライセンスL(乙3)が付加され、有効性が「有効」に設定される。また、ユーザ乙のコンテンツC101のステータスは「利用可」に変更される。
【0222】
また、借入要求を行ったユーザ乙のクライアント側ステータス記録部246乙には、借入要求部243によって図29(b) に示すような記録が行われる。すなわち、新たにコンテンツC101のための記録欄が確保され、ステータスは「借入中」になる。そして、新たなライセンスL(乙3)およびそのファイル名が付加され、有効性が「有効」に設定される。なお、図29(a) ,(c) に示すクライアント側ステータス記録部246甲,246丙の記録内容に変更はない。
【0223】
(4) イベントE4:貸出期間の満了
ユーザ乙がイベントE3で借り入れしたコンテンツC101の貸出期間は、図7に示すとおり「5月1日〜5月31日」であるので、6月1日になると、当該貸出期間は満了する。§6(6) で述べたように、要求送信部240''に、貸出期間をチェックする機能をもたせておけば、貸出期間の満了時に、クライアント側ステータスの変更を行うことができる。要求処理部130''にも同様の機能をもたせておけば、貸出期間の満了時に、サーバ側ステータスの変更を行うこともできる。
【0224】
図30は、6月1日の時点におけるサーバ側ステータス記録部136の記録内容を示し、図31は、この時点における各クライアント側ステータス記録部246甲,246乙,246丙の記録内容を示している。
【0225】
ユーザ乙が借り入れていたコンテンツC101の貸出期間が満了すると、要求処理部130''によって、図30に示すサーバ側ステータス記録部136の記録内容における太枠欄の内容が変更される。すなわち、ユーザ甲のコンテンツC101についてのステータスが「利用可」に変更され、ユーザ乙のコンテンツC101についてのステータスが「利用不可」に変更される。
【0226】
同様に、ユーザ甲のクライアント側ステータス記録部246甲については、図31(a) に示すように、要求送信部240''によって、コンテンツC101についてのステータスが「利用可」に変更され、ユーザ乙のクライアント側ステータス記録部246乙については、図31(b) に示すように、要求送信部240''によって、コンテンツC101についてのステータスが「利用不可」に変更される。
【0227】
(5) イベントE5:乙がコンテンツC101を購入
借り入れしていたコンテンツC101の貸出期間がイベントE4によって満了したため、ユーザ乙は、6月5日に、コンテンツC101を購入するための取得要求を行っている。この取得要求によって、ユーザ乙のライセンスは、図8に示す状態になる。図32は、この時点におけるサーバ側ステータス記録部136の記録内容を示し、図33は、この時点における各クライアント側ステータス記録部246甲,246乙,246丙の記録内容を示している。
【0228】
ユーザ乙がコンテンツC101についての取得要求を行うと、取得要求処理部131によって、図32に示すサーバ側ステータス記録部136の記録内容における太枠欄の内容が変更される。すなわち、ユーザ乙のコンテンツC101について、新たなライセンスL(乙4)が付加され、有効性が「有効」に設定される。一方、古いライセンスL(乙3)の有効性は「無効」に設定される。また、ユーザ乙のコンテンツC101のステータスは「利用可」に変更される。
【0229】
一方、取得要求を行ったユーザ乙のクライアント側ステータス記録部246乙には、取得要求部241によって図33(b) に示すような記録が行われる。すなわち、コンテンツC101について、新たなライセンスL(乙4)およびそのファイル名が付加され、有効性が「有効」に設定される。そして、古いライセンスL(乙3)の有効性は「無効」に設定される。また、コンテンツC101のステータスは「利用可」に変更される。
【0230】
(6) イベントE6:甲から丙への貸出要求
次に、6月10日に、ユーザ甲が、ユーザ丙を貸出先として、貸出期間を「6月15日〜7月14日」とするコンテンツC101についての貸出要求を行ったものとしよう。この貸出要求によって、ユーザ甲のライセンスは、図9左に示す状態になる。図34は、この時点におけるサーバ側ステータス記録部136の記録内容を示し、図35は、この時点における各クライアント側ステータス記録部246甲,246乙,246丙の記録内容を示している。
【0231】
ユーザ甲がコンテンツC101について、ユーザ丙を貸出先とする貸出要求を行うと、貸出要求処理部132によって、図34に示すサーバ側ステータス記録部136の記録内容における太枠欄の内容が変更される。すなわち、ユーザ甲のコンテンツC101について、新たなライセンスL(甲5)が付加され、古いライセンスL(甲4)の有効性は「無効」に変更され、新たなライセンスL(甲5)の有効性が「有効」に設定される。また、貸出先欄には、この貸出要求の貸出先が「ユーザ丙」である旨が記録され、ユーザ甲のコンテンツC101のステータスは「利用不可」に変更される。
【0232】
また、ユーザ丙については、新たにコンテンツC101のための記録欄が確保され、ステータスは「借入許可済」になり、借入元欄に「ユーザ甲」が記録される。なお、この時点では、まだユーザ丙についてのコンテンツC101のライセンスは発行されていないため、ここでは、ライセンスID欄および有効性欄には、ライセンスが未発行状態であることを示す「φ」なる記号を記録するようにしている(もちろん、空欄にしておいてもかまわない)。
【0233】
一方、貸出要求を行ったユーザ甲のクライアント側ステータス記録部246甲には、貸出要求部242によって図35(a) に示すような記録が行われる。すなわち、コンテンツC101について、新たなライセンスL(甲5)およびそのファイル名が付加され、古いライセンスL(甲4)の有効性は「無効」に変更され、新たなライセンスL(甲5)の有効性が「有効」に設定される。そして、このコンテンツC101のステータスは「貸出中」に変更される。なお、図35(b) ,(c) に示すクライアント側ステータス記録部246乙,246丙の記録内容に変更はない。
【0234】
(7) イベントE7:丙による借入要求
次に、6月13日に、ユーザ丙が、イベントE6のユーザ甲の貸出要求に応じて、コンテンツC101についての借入要求を行ったものとしよう。この借入要求によって、ユーザ丙のライセンスは、図9右に示す状態になる。図36は、この時点におけるサーバ側ステータス記録部136の記録内容を示し、図37は、この時点における各クライアント側ステータス記録部246甲,246乙,246丙の記録内容を示している。
【0235】
ユーザ丙がコンテンツC101についての借入要求を行うと、借入要求処理部133によって、図36に示すサーバ側ステータス記録部136の記録内容における太枠欄の内容が変更される。すなわち、ユーザ丙のコンテンツC101について、新たなライセンスL(丙2)が付加され、有効性が「有効」に設定される。また、ユーザ丙のコンテンツC101のステータスは「利用可」に変更される。
【0236】
また、借入要求を行ったユーザ丙のクライアント側ステータス記録部246丙には、借入要求部243によって図37(c) に示すような記録が行われる。すなわち、新たにコンテンツC101のための記録欄が確保され、ステータスは「借入中」になる。そして、新たなライセンスL(丙2)およびそのファイル名が付加され、有効性が「有効」に設定される。なお、図37(a) ,(b) に示すクライアント側ステータス記録部246甲,246乙の記録内容に変更はない。
【0237】
(8) イベントE8:丙による返却要求
ここで、イベントE7による借入要求によって、コンテンツC101を借り入れているユーザ丙が、7月3日に返却要求を行ったものとしよう。コンテンツC101の貸出期間は「6月15日〜7月14日」であるから、ユーザ丙は、期限前返却を行うことになる。この返却要求によって、ユーザ丙のライセンスは、図13右に示す状態になる。図38は、この時点におけるサーバ側ステータス記録部136の記録内容を示し、図39は、この時点における各クライアント側ステータス記録部246甲,246乙,246丙の記録内容を示している。
【0238】
ユーザ丙がコンテンツC101についての返却要求を行うと、返却要求処理部134によって、図38に示すサーバ側ステータス記録部136の記録内容における太枠欄の内容が変更される。すなわち、ユーザ甲のコンテンツC101のステータスが「返却受取可」に変更され、ユーザ丙のコンテンツC101のステータスが「利用不可」に変更される。また、ユーザ丙のコンテンツC101のライセンスL(丙2)の有効性は「無効」に設定される。
【0239】
一方、返却要求を行ったユーザ丙のクライアント側ステータス記録部246丙には、返却要求部244によって図39(c) に示すような記録が行われる。すなわち、コンテンツC101のステータスが「利用不可」に変更され、ライセンスL(丙2)の有効性が「無効」に設定される。
【0240】
(9) イベントE9:甲による受取要求
次に、7月5日に、ユーザ甲が、イベントE8のユーザ丙の返却要求に応じて、コンテンツC101についての受取要求を行ったものとしよう。この受取要求によって、ユーザ甲のライセンスは、図13左に示す状態になる。図40は、この時点におけるサーバ側ステータス記録部136の記録内容を示し、図41は、この時点における各クライアント側ステータス記録部246甲,246乙,246丙の記録内容を示している。
【0241】
ユーザ甲がコンテンツC101についての受取要求を行うと、受取要求処理部135によって、図40に示すサーバ側ステータス記録部136の記録内容における太枠欄の内容が変更される。すなわち、ユーザ甲のコンテンツC101のステータスが「利用可」に変更され、ライセンスの有効性に関しては、ライセンスL(甲5)を「無効」とし、取得時のライセンスL(甲1)を「有効」とする設定がなされる。
【0242】
また、受取要求を行ったユーザ甲のクライアント側ステータス記録部246甲には、受取要求部245によって図41(a) に示すような記録が行われる。すなわち、コンテンツC101のステータスは「利用可」に変更され、ライセンスの有効性に関しては、ライセンスL(甲5)を「無効」とし、取得時のライセンスL(甲1)を「有効」とする設定がなされる。
【0243】
<<< §8. その他の変形例 >>>
ここでは、これまで述べてきた実施形態についての変形例をいくつか述べておく。
【0244】
(1) オンライン時のみ有効性情報を変更する
既に述べたとおり、一度発行したライセンスデータの中味を書き換える処理は、セキュリティ対策上、問題が生じることになるため、本発明では、ライセンスデータの中味を書き換える方法を採る代わりに、同一のコンテンツに対応づけて複数のライセンスを発行できるようにし、1つのコンテンツに対応づけられた1つもしくは複数のライセンスデータのうち有効なものを示す有効性情報を更新する方法を採っている。
【0245】
具体的には、これまで述べた実施形態の場合、ライセンス管理部が、個々のライセンスデータについて、有効/無効の状態を示すフラグを有効性情報として設定し、1つのコンテンツに対応づけられたライセンスデータについての有効を示すフラグの数が1を越えないようにフラグを切り替えることによりライセンス管理処理を行っている。
【0246】
ただ、この有効性情報の更新処理(フラグの切替処理)も、実用上は、十分なセキュリティが確保された環境下で行う必要がある。すなわち、クライアント装置側で容易に有効性情報の更新処理が可能になるようにすると、不正な方法で有効性情報を書き換えることが可能になり、十分なDRM対策をとることができなくなる。そこで、実用上は、クライアント装置がサーバ装置に接続されたオンライン時のみ、有効性情報の変更が可能になるような対策をとるのが好ましい。
【0247】
具体的には、サーバ装置側の要求処理部が、取得要求、貸出要求、借入要求、返却要求、受取要求に応じた処理を行う際に、クライアント装置側に有効性情報を更新するための更新指示を送信するようにし、クライアント装置側のライセンス管理部が、オンライン状態で各更新指示を受け取ったときにのみ有効性情報の更新を行うようにすればよい。取得要求、貸出要求、借入要求、返却要求、受取要求に基づく各処理は、いずれもクライアント装置とサーバ装置とをオンライン接続する必要がある処理であるため、有効性情報の更新処理がオンライン状態でのみ行われるような構成をとっても問題は生じない。
【0248】
(2) 利用期間が満了したライセンスの処理
本発明の場合、個々のライセンスの利用期間が満了したか否かという事項と、個々のライセンスが有効か無効かという事項とは、別個に取り扱われるので、有効なライセンスであっても既に利用期間が満了しており、本来の役割を果たすことができないこともあるし、利用期間が残っていても、無効なライセンスもある。したがって、利用期間が満了した時点で、当該ライセンスの有効性情報を「無効」に切り替える必要はない。
【0249】
ただ、既に利用期間が満了しているライセンスの有効性情報を「有効」のままにしておいても意味がないので、無用な混乱を避ける上で、利用期間が満了しているライセンスを「無効」とするライセンス整理処理を行うようにしてもよい。また、利用期間が満了しているライセンスは利用価値がないので、これを削除するようにしてもよい。具体的には、各クライアント装置のライセンス管理部に、利用期間が経過しているライセンスデータを無効とするように有効性情報を更新するか、もしくは、当該ライセンスデータを削除するライセンス整理処理を行う機能をもたせておけばよい。
【0250】
なお、有効性情報の更新処理がオンライン状態でのみ行われるような構成をとっている場合には、利用期間の満了時にオフライン状態になっていると、その時点では有効性情報の更新を行うことができない。そのような場合は、利用期間の満了後にはじめてオンライン状態となったときに、有効性情報の更新処理を行うようにすればよい。
【0251】
(3) 借入中コンテンツの又貸し
本発明に係るコンテンツ提供システムの重要な特徴は、複数のユーザ間におけるコンテンツの貸借が可能になる点である。ただ、これまで述べた実施形態では、貸出対象コンテンツは、取得要求によって入手したコンテンツ(すなわち、サーバ装置に対する取得要求によって購入もしくはレンタルしたコンテンツ)に限定されていた。本発明を実施する上では、必ずしもそのような限定を行う必要はなく、他のユーザから借り入れたコンテンツを、更に別なユーザに貸し出すような形態を認めるようにしてもかまわない。そうすれば、各ユーザは、「借入中」のコンテンツを更に別なユーザに又貸しすることが可能になる。
【0252】
(4) 貸出期間の延長
これまで述べた実施形態では、貸出期間は貸出要求を行うユーザ(貸出元)が一方的に設定することになっていたが、貸出先のユーザの立場からは、貸出期間の延長を望む声も少なくないであろう。このような要望に対処するためには、貸出先のユーザによる期間延長要求が可能になるようにしておくのが好ましい。
【0253】
具体的には、貸出先のユーザのクライアント装置からサーバ装置に対して、現在借入中のコンテンツについての期間延長要求(必要があれば、希望する延長期間の情報を含ませてもよい)を行えるようにする。サーバ装置は、この期間延長要求があった旨を貸出元のユーザのクライアント装置へ通知する。通知を受けた貸出元ユーザは、新たな貸出期間を設定した貸出要求を行い、貸出先ユーザがこれに対して借入要求を行えば、貸出期間の延長処理が可能になる。
【0254】
(5) ライセンスデータの格納方法
これまで述べた実施形態では、各クライアント装置内のライセンス管理部には、それぞれ特定のコンテンツに対応づけられた格納場所(たとえば、データファイルを収容するフォルダ)を確保し、特定のコンテンツについてのライセンスデータは、当該特定のコンテンツに対応づけられた格納場所に格納する、という格納方法を採っていた。たとえば、図5に示す例では、太線で囲った各矩形枠が、それぞれ特定のコンテンツに対応づけられた格納場所を示しており、各ライセンスデータは、それぞれ対応する格納場所内に格納されている。
【0255】
しかしながら、本発明を実施するにあたり、ライセンスデータの格納方法は、上述の方法に限定されるものではない。一例を挙げれば、個々のライセンスデータに、それぞれ対応するコンテンツのコンテンツIDを付加して格納するようにすれば、個々のコンテンツに対応づけられた格納場所を設ける必要はない。たとえば、ライセンスデータL(甲1)を格納する際に、これに対応するコンテンツのコンテンツID「C101」を付加して格納するようにすれば、ライセンスデータL(甲1)をどこに格納したとしても、コンテンツC101との対応づけがとれることになる。要するに、ライセンス管理部には、個々のライセンスデータが、それぞれ所定のコンテンツに対応づけられるような形態で格納されるようにすればよい。
【0256】
(6) サーバ装置の具体的な構成
これまで述べてきた実施形態では、サーバ装置100(図1),サーバ装置100′(図11),サーバ装置100''(図20)を、一点鎖線で囲ったブロックで示す1台のサーバコンピュータによって実現した例を示したが、実用上は、これらサーバ装置を複数台のサーバコンピュータによって構成してもかまわない。
【0257】
たとえば、図1に示すサーバ装置100の場合、コンテンツ提供部110,ライセンス発行部120,要求処理部130を、それぞれ別個独立したサーバコンピュータによって構成し、相互にネットワーク経由で通信が可能になるようにしてもよい。この場合、図1に矢印で示された各ブロック間の情報のやりとりは、ネットワーク経由で、何らかのトークンの受け渡しという方法によって行うことができる。また、暗号化コンテンツデータCと、これに対応するライセンスデータLとは、別々のコンピュータから、別々のタイミングで送信してもかまわない。
【0258】
<<< §9. 本発明の基本概念 >>>
最後に、これまで述べてきた種々の実施形態および変形例を踏まえ、本発明の基本概念を端的にまとめておく。
【0259】
(1) コンテンツ提供システム(その1)
本発明の基本的な態様に係るコンテンツ提供システムは、複数のユーザ間におけるコンテンツの貸借機能を備えたシステムであり、これまで第1の実施形態として説明したものである。このシステムは、サーバ装置と、このサーバ装置に対して特定のユーザを示すアカウントを指定したアクセスが可能な複数のクライアント装置と、を備えている。
【0260】
ここで、サーバ装置は、
第1のクライアント装置および第2のクライアント装置からの要求に応じて、所定の利用制限が課されたコンテンツデータを要求元に送信するコンテンツ送信手段と、
第1のクライアント装置からの取得要求に応じて、第1の利用期間が設定された第1のライセンスデータを、第1のクライアント装置に送信する取得要求処理手段と、
第1のクライアント装置からの第2のクライアント装置を貸出先とする貸出要求に応じて、第1の利用期間から所定の貸出期間を除外した第2の利用期間が設定された第2のライセンスデータを第1のクライアント装置に送信する貸出要求処理手段と、
第2のライセンスデータを送信した後の第2のクライアント装置からの借入要求に応じて、貸出期間が第3の利用期間として設定された第3のライセンスデータを、第2のクライアント装置に送信する借入要求処理手段と、
を有している。
【0261】
一方、複数のクライアント装置のそれぞれは、
ライセンスデータに設定されている利用期間に限り利用制限を解除してコンテンツデータを利用するコンテンツ再生手段と、
第2のライセンスデータが送信されてきたときに、第1のライセンスデータを無効化するライセンス管理手段と、
を有している。
【0262】
(2) コンテンツ提供システム(その2)
本発明の別な態様は、これまで第2の実施形態として説明したシステムに係るものであり、第1の実施形態に係るシステムに、更に付加的な要素や機能を付け加えたものである。
【0263】
すなわち、サーバ装置には、
第2のクライアント装置からの返却要求に応じて、第2のクライアント装置に対して、第3のライセンスデータを無効化する第1の指示を与える返却要求処理手段と、
第1の指示を与えた後の第1のクライアント装置からの受取要求に応じて、第1のクライアント装置に対して、第2のライセンスデータを無効化し第1のライセンスデータを有効化する第2の指示を与える受取要求処理手段と、
が付加されている。
【0264】
また、各クライアント装置のライセンス管理手段には、第1の指示に応じて、第3のライセンスデータを無効化し、第2の指示に応じて、第2のライセンスデータを無効化し第1のライセンスデータを有効化する機能が付加されている。
【0265】
(3) コンテンツ提供システム(その3)
本発明の更に別な態様も、これまで第2の実施形態として説明したシステムに係るものであり、第1の実施形態に係るシステムに、更に付加的な要素や機能を付け加えたものである。
【0266】
すなわち、サーバ装置には、
第2のクライアント装置からの返却要求に応じて、第2のクライアント装置に対して、第3のライセンスデータを無効化する無効化指示を与える返却要求処理手段と、
無効化指示を与えた後の第1のクライアント装置からの受取要求に応じて、第1のクライアント装置に対して、無効化指示後の所定期間が第4の利用期間として設定された第4のライセンスデータを送信する受取要求処理手段と、
が付加されている。
【0267】
また、各クライアント装置のライセンス管理手段には、無効化指示に応じて、第3のライセンスデータを無効化し、第4のライセンスデータが送信されてきたときに、第2のライセンスデータを無効化する機能が付加されている。
【0268】
(4) コンテンツの貸借方法(その1)
本発明は、コンピュータを利用したコンテンツの貸借方法として捉えることもできる。このような捉え方をした場合、本発明に係るコンテンツの貸借方法は、サーバ装置と、このサーバ装置に対して特定のユーザを示すアカウントを指定したアクセスが可能な複数のクライアント装置と、を用いて、複数のユーザ間におけるコンテンツの貸借を行う方法ということになり、次のような各段階を有している。
【0269】
サーバ装置が、第1のクライアント装置からの要求に応じて、所定の利用制限が課されたコンテンツデータを、第1のクライアント装置に送信する段階と、
サーバ装置が、第1のクライアント装置からの取得要求に応じて、第1の利用期間が設定された第1のライセンスデータを、第1のクライアント装置に送信する段階と、
サーバ装置が、第1のクライアント装置からの第2のクライアント装置を貸出先とする貸出要求に応じて、第1の利用期間から所定の貸出期間を除外した第2の利用期間が設定された第2のライセンスデータを第1のクライアント装置に送信する段階と、
サーバ装置が、第2のクライアント装置からの要求に応じて、コンテンツデータを、第2のクライアント装置に送信する段階と、
サーバ装置が、第2のライセンスデータの送信後、第2のクライアント装置からの借入要求に応じて、貸出期間が第3の利用期間として設定された第3のライセンスデータを、第2のクライアント装置に送信する段階と、
第1のクライアント装置および第2のクライアント装置が、ライセンスデータに設定されている利用期間に限り利用制限を解除してコンテンツデータを再生する段階と、
第1のクライアント装置が、第2のライセンスデータが送信されてきたときに、第1のライセンスデータを無効化する段階。
【0270】
(5) コンテンツの貸借方法(その2)
本発明を方法発明として捉えた場合の別な態様は、これまで第2の実施形態として説明したシステムを用いたコンテンツの貸借方法に係るものであり、第1の実施形態に係るシステムを用いたコンテンツの貸借方法に、更に次のような付加的な段階を付け加えたものである。
【0271】
サーバ装置が、第2のクライアント装置からの返却要求に応じて、第2のクライアント装置に対して、第3のライセンスデータを無効化する第1の指示を与える段階と、
第2のクライアント装置が、第1の指示に応じて、第3のライセンスデータを無効化する段階と、
サーバ装置が、第1の指示を与えた後、第1のクライアント装置からの受取要求に応じて、第1のクライアント装置に対して、第2のライセンスデータを無効化し第1のライセンスデータを有効化する第2の指示を与える段階と、
第1のクライアント装置が、第2の指示に応じて、第2のライセンスデータを無効化し第1のライセンスデータを有効化する段階。
【0272】
(6) コンテンツの貸借方法(その3)
本発明を方法発明として捉えた場合の更に別な態様も、これまで第2の実施形態として説明したシステムを用いたコンテンツの貸借方法に係るものであり、第1の実施形態に係るシステムを用いたコンテンツの貸借方法に、更に次のような付加的な段階を付け加えたものである。
【0273】
サーバ装置が、第2のクライアント装置からの返却要求に応じて、第2のクライアント装置に対して、第3のライセンスデータを無効化する無効化指示を与える段階と、
第2のクライアント装置が、無効化指示に応じて、第3のライセンスデータを無効化する段階と、
サーバ装置が、無効化指示を与えた後、第1のクライアント装置からの受取要求に応じて、第1のクライアント装置に対して、無効化指示後の所定期間が第4の利用期間として設定された第4のライセンスデータを送信する段階と、
第1のクライアント装置が、第4のライセンスデータが送信されてきたときに、第2のライセンスデータを無効化する段階。
【符号の説明】
【0274】
100,100′,100'':サーバ装置
110:コンテンツ提供部
120:ライセンス発行部
130,130′,130’’:要求処理部
131:取得要求処理部
132:貸出要求処理部
133:借入要求処理部
134:返却要求処理部
135:受取要求処理部
136:サーバ側ステータス記録部
140:サーバ側通信部
200,200′,200'':クライアント装置
200甲,200甲′,200甲'':ユーザ甲が利用するクライアント装置
200乙,200乙′,200乙'':ユーザ乙が利用するクライアント装置
200丙,200丙′,200丙'':ユーザ丙が利用するクライアント装置
210:クライアント側通信部
220:コンテンツ格納部
230,230′:ライセンス管理部
230甲:クライアント装置200甲のライセンス管理部
230乙:クライアント装置200乙のライセンス管理部
230丙:クライアント装置200丙のライセンス管理部
240,240′,240'':要求送信部
241:取得要求部
242:貸出要求部
243:借入要求部
244:返却要求部
245:受取要求部
246:クライアント側ステータス記録部
246甲:クライアント装置200甲のステータス記録部
246乙:クライアント装置200乙のステータス記録部
246丙:クライアント装置200丙のステータス記録部
250:コンテンツ再生部
260:条件判定部
270:指示入力部
C:暗号化コンテンツデータ
C101〜C193:コンテンツID
Co:オリジナルコンテンツデータ
E1〜E9:イベント番号
FILE0011〜FILE0032:ライセンスファイル名
K:コンテンツ鍵
K101〜K193:コンテンツ鍵ID
L:ライセンスデータ
L(甲1)〜L(丙2):ライセンスID
N:ネットワーク(インターネット)
S11〜S48:流れ図の各ステップ
U:利用条件

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ間におけるコンテンツの貸借機能を備えたコンテンツ提供システムであって、
サーバ装置と、このサーバ装置に対して特定のユーザを示すアカウントを指定したアクセスが可能な複数のクライアント装置と、を備え、
前記サーバ装置は、
オリジナルコンテンツデータを所定のコンテンツ鍵を用いて暗号化した暗号化コンテンツデータを提供するコンテンツ提供部と、
暗号化に用いたコンテンツ鍵と少なくとも利用期間を示す利用条件とを含むライセンスデータを、個々の暗号化コンテンツデータに対応づけて発行し、その内容を記録するライセンス発行部と、
ネットワークを介して個々のクライアント装置と通信を行うサーバ側通信部と、
個々のクライアント装置からの要求に応じて、所定の処理を実行する要求処理部と、
を備え、
前記複数のクライアント装置のそれぞれは、
ネットワークを介して前記サーバ装置と通信を行うクライアント側通信部と、
前記サーバ装置から送信されてきた暗号化コンテンツデータを格納するコンテンツ格納部と、
前記サーバ装置から送信されてきたライセンスデータを格納し、これを管理するライセンス管理部と、
ユーザからの指示を入力する指示入力部と、
前記指示入力部が入力した指示に基づいて、前記サーバ装置へ要求を送信する要求送信部と、
前記指示入力部が再生指示を入力したときに、前記ライセンス管理部に格納されている、再生対象となるコンテンツに対応づけられたライセンスデータ内の利用条件を参照して、再生環境が当該利用条件に合致するか否かの判定を行い、合致すると判定された場合に、当該ライセンスデータに含まれているコンテンツ鍵を読み出す条件判定部と、
前記再生指示に基づいて前記条件判定部が合致判定を行った場合に、前記条件判定部が読み出したコンテンツ鍵を利用して、前記コンテンツ格納部内の再生対象となるコンテンツの暗号化コンテンツデータを復号化し、復号化により得られたオリジナルコンテンツデータを再生するコンテンツ再生部と、
を備え、
前記要求送信部は、
取得対象コンテンツについての取得要求を行う取得要求部と、
取得済のコンテンツの中から選択された貸出対象コンテンツについて、貸出期間および貸出先を指定した貸出要求を行う貸出要求部と、
他のユーザが自己宛に貸出要求を行ったコンテンツについての借入要求を行う借入要求部と、を有し、
前記要求処理部は、
前記取得要求があったときに、前記コンテンツ提供部から提供された前記取得対象コンテンツについての暗号化コンテンツデータと、これに対応づけて前記ライセンス発行部に発行させたライセンスデータとを、要求元のクライアント装置へ送信するとともに、前記取得要求の内容を記録する取得要求処理を行う取得要求処理部と、
前記貸出要求があったときに、前記貸出対象コンテンツについての取得要求処理の際に発行したライセンスデータの利用期間から前記貸出期間を除外した新たな利用期間を示す利用条件を含むライセンスデータを、前記貸出対象コンテンツに対応づけられた新たなライセンスデータとして前記ライセンス発行部に発行させ、当該新たなライセンスデータを要求元のクライアント装置へ送信するとともに、前記貸出要求の内容を記録する貸出要求処理を行う貸出要求処理部と、
前記借入要求があったときに、当該借入要求を行った要求元を貸出先とする貸出要求が前記貸出要求処理部によって記録されているか否かを調べ、記録されていた場合には、当該記録に係るコンテンツを借入対象コンテンツとして、当該記録に係る貸出期間を利用期間とする利用条件を含むライセンスデータを、この借入対象コンテンツに対応づけられたライセンスデータとして前記ライセンス発行部に発行させ、当該ライセンスデータと、前記コンテンツ提供部から提供された前記借入対象コンテンツについての暗号化コンテンツデータとを、要求元のクライアント装置へ送信するとともに、前記借入要求の内容を記録する借入要求処理を行う借入要求処理部と、を有し、
前記ライセンス管理部は、1つのコンテンツに対応づけられた1つもしくは複数のライセンスデータを格納する機能と、1つのコンテンツに対応づけられて格納されている1つもしくは複数のライセンスデータのうち有効なものを示す有効性情報を格納する機能と、を有し、前記取得要求、前記貸出要求、前記借入要求に応じて前記サーバ装置からライセンスデータが送信されてきたときには、送信されてきたライセンスデータのみが有効となるように前記有効性情報を更新するライセンス管理処理を行い、
前記条件判定部は、前記有効性情報によって有効とされるライセンスデータを参照して判定を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
ライセンス管理部が、個々のライセンスデータについて、有効/無効の状態を示すフラグを有効性情報として設定し、1つのコンテンツに対応づけられたライセンスデータについての有効を示すフラグの数が1を越えないようにフラグを切り替えることによりライセンス管理処理を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
要求処理部が、各要求に応じた処理を行う際に、クライアント装置側に有効性情報を更新するための更新指示を送信し、
ライセンス管理部が、オンライン状態で前記更新指示を受け取ったときにのみ有効性情報の更新を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
ライセンス管理部が、利用期間が経過しているライセンスデータを無効とするように有効性情報を更新するか、もしくは、当該ライセンスデータを削除するライセンス整理処理を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のコンテンツ提供システムにおいて、
取得要求部が、取得対象コンテンツについての取得要求を行う際に、購入またはレンタルのいずれかを示す要求を行い、
取得要求処理部が、購入を示す取得要求があったときには、ライセンス発行部に利用期間が無期限であることを示す利用条件を含むライセンスデータを発行させ、レンタルを示す取得要求があったときには、ライセンス発行部に有限の利用期間を示す利用条件を含むライセンスデータを発行させることを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載のコンテンツ提供システムにおいて、
貸出要求処理部が、特定のユーザから特定の貸出対象コンテンツについて特定の貸出期間を指定した貸出要求があったときに、前記ユーザの前記貸出対象コンテンツについての有効なライセンスデータを参照し、前記貸出期間が、前記ライセンスデータに含まれている利用期間の範囲内であるか否かを判定する処理を行い、肯定的判定結果が得られた場合にのみ貸出要求処理を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載のコンテンツ提供システムにおいて、
貸出要求部が、ユーザからの指示に基づいて所定の貸出期間を指定した貸出要求を行う際に、ライセンス管理部を参照して、前記貸出期間が、貸出対象コンテンツに対応づけられた有効なライセンスデータに含まれている利用期間の範囲内であるか否かを判定する処理を行い、肯定的判定結果が得られた場合にのみ貸出要求を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載のコンテンツ提供システムにおいて、
貸出要求処理部が、個々のユーザについて、それぞれ貸出許可ユーザを特定する貸出許可リストを格納しており、特定のユーザからの貸出要求があったときに、貸出先が前記貸出許可リストに含まれているか否かを判定する処理を行い、肯定的判定結果が得られた場合にのみ貸出要求処理を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載のコンテンツ提供システムにおいて、
貸出要求部が、貸出許可ユーザを特定する貸出許可リストを格納しており、ユーザからの指示に基づいて所定の貸出先を指定した貸出要求を行う際に、貸出先が前記貸出許可リストに含まれているか否かを判定する処理を行い、肯定的判定結果が得られた場合にのみ貸出要求を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のコンテンツ提供システムにおいて、
借入要求部が、借入要求処理部に対して、他のユーザが自己宛に貸出要求を行ったコンテンツを列挙した借入可能リストを要求し、この要求に応じて送信されてきた借入可能リストをディスプレイ画面上に表示する機能を有し、
借入要求処理部が、要求に応じた借入可能リストを作成し、これを送信する機能を有し、
指示入力部が、ディスプレイ画面上に表示された借入可能リストに掲載されているコンテンツの中から特定のコンテンツを指定するユーザの指示を入力する機能を有し、
借入要求部が、前記特定のコンテンツについての借入要求を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項11】
請求項10に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
借入要求処理部が、コンテンツを特定する情報、貸出元、貸出期間を明示した借入可能リストを作成することを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のコンテンツ提供システムにおいて、
要求送信部が、
貸出期間が残っている借入対象コンテンツの中から選択された返却対象コンテンツを貸出元に宛てて返却する返却要求を行う返却要求部と、
他のユーザが自己宛に返却要求を行った返却対象コンテンツについての受取要求を行う受取要求部と、
を更に有し、
要求処理部が、
前記返却要求があったときに、当該返却要求を行った要求元のライセンス管理部に対して、返却対象コンテンツに対応づけられたライセンスを無効とするライセンス更新指示を与えるとともに、前記返却要求の内容を記録する返却要求処理を行う返却要求処理部と、
前記受取要求があったときに、当該受取要求を行った要求元を貸出元とする返却要求が前記返却要求処理部によって記録されているか否かを調べ、記録されていた場合には、当該受取要求を行った要求元のライセンス管理部に対して、当該記録に係る返却対象コンテンツに対応づけられた複数のライセンスデータのうち、当該返却対象コンテンツについての貸出要求の直前もしくは当該返却対象コンテンツの取得時に有効であったライセンスデータのみを有効とするライセンス更新指示を与えるとともに、前記受取要求の内容を記録する受取要求処理を行う受取要求処理部と、
を更に有し、
ライセンス管理部は、前記返却要求処理部および前記受取要求処理部からの指示に基づいて有効性情報を更新するライセンス管理処理を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
受取要求処理部が、受取要求を行った要求元のライセンス管理部に対してライセンス更新指示を与える代わりに、更新後のライセンスの内容と同じ新たなライセンスデータを返却対象コンテンツに対応づけられた新たなライセンスデータとして前記ライセンス発行部に発行させ、当該新たなライセンスデータを前記要求元のクライアント装置へ送信するようにし、
ライセンス管理部は、受取要求に応じてサーバ装置からライセンスデータが送信されてきたときには、送信されてきたライセンスデータのみが有効となるように有効性情報を更新するライセンス管理処理を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項14】
請求項12または13に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
受取要求部が、受取要求処理部に対して、他のユーザが自己宛に返却要求を行ったコンテンツを列挙した受取可能リストを要求し、この要求に応じて送信されてきた受取可能リストをディスプレイ画面上に表示する機能を有し、
受取要求処理部が、要求に応じた受取可能リストを作成し、これを送信する機能を有し、
指示入力部が、ディスプレイ画面上に表示された受取可能リストに掲載されているコンテンツの中から特定のコンテンツを指定するユーザの指示を入力する機能を有し、
受取要求部が、前記特定のコンテンツについての受取要求を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれかに記載のコンテンツ提供システムにおいて、
要求送信部が、要求に係る個々のコンテンツについて少なくとも利用可否に関する状態を示すステータスを記録し、指示入力部が入力した指示に基づいて、当該ステータスを用いた情報提供を行うクライアント側ステータス記録部を有し、
要求処理部が、処理に係る個々のユーザの個々のコンテンツについて少なくとも利用可否に関する状態を示すステータスを記録し、外部からの指示に基づいて、当該ステータスを用いた情報提供を行うサーバ側ステータス記録部を有することを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項16】
請求項15に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
取得要求部は、取得要求を行った際に、取得対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録し、取得要求処理部は、取得要求処理を行った際に、要求元ユーザの取得対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録し、
貸出要求部は、貸出要求を行った際に、貸出対象コンテンツについて「貸出中」なるステータスを記録し、貸出要求処理部は、貸出要求処理を行った際に、貸出元ユーザの貸出対象コンテンツについて「利用不可」なるステータスを記録するとともに、貸出先ユーザの貸出対象コンテンツについて「借入許可済」なるステータスを記録し、
借入要求部は、借入要求を行った際に、借入対象コンテンツについて「借入中」なるステータスを記録し、借入要求処理部は、借入要求処理を行った際に、「借入許可済」なるステータスが記録されていた貸出先ユーザの借入対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録することを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項17】
請求項16に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
要求送信部が、「借入中」なるステータスが記録されているコンテンツについて、対応づけられたライセンスデータの貸出期間が満了していた場合に、「利用不可」なるステータスに変更する処理を行い、「貸出中」なるステータスが記録されているコンテンツについて、対応づけられたライセンスデータの貸出期間が満了していた場合に、「利用可」なるステータスに変更する処理を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項18】
請求項12〜14のいずれかに記載のコンテンツ提供システムにおいて、
要求送信部が、要求に係る個々のコンテンツについて少なくとも利用可否に関する状態を示すステータスを記録し、指示入力部が入力した指示に基づいて、当該ステータスを用いた情報提供を行うクライアント側ステータス記録部を有し、
要求処理部が、処理に係る個々のユーザの個々のコンテンツについて少なくとも利用可否に関する状態を示すステータスを記録し、外部からの指示に基づいて、当該ステータスを用いた情報提供を行うサーバ側ステータス記録部を有することを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項19】
請求項18に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
返却要求部は、返却要求を行った際に、返却対象コンテンツについて「利用不可」なるステータスを記録し、返却要求処理部は、返却要求処理を行った際に、返却元ユーザの返却対象コンテンツについて「利用不可」なるステータスを記録するとともに、返却先ユーザの返却対象コンテンツについて「返却受取可」なるステータスを記録し、
受取要求部は、受取要求を行った際に、受取対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録し、受取要求処理部は、受取要求処理を行った際に、「返却受取可」なるステータスが記録されていた返却先ユーザの受取対象コンテンツについて「利用可」なるステータスを記録することを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項20】
複数のユーザ間におけるコンテンツの貸借機能を備えたコンテンツ提供システムであって、
サーバ装置と、このサーバ装置に対して特定のユーザを示すアカウントを指定したアクセスが可能な複数のクライアント装置と、を備え、
前記サーバ装置は、
第1のクライアント装置および第2のクライアント装置からの要求に応じて、所定の利用制限が課されたコンテンツデータを要求元に送信するコンテンツ送信手段と、
前記第1のクライアント装置からの取得要求に応じて、第1の利用期間が設定された第1のライセンスデータを、前記第1のクライアント装置に送信する取得要求処理手段と、
前記第1のクライアント装置からの第2のクライアント装置を貸出先とする貸出要求に応じて、前記第1の利用期間から所定の貸出期間を除外した第2の利用期間が設定された第2のライセンスデータを前記第1のクライアント装置に送信する貸出要求処理手段と、
前記第2のライセンスデータを送信した後の前記第2のクライアント装置からの借入要求に応じて、前記貸出期間が第3の利用期間として設定された第3のライセンスデータを、前記第2のクライアント装置に送信する借入要求処理手段と、
を有し、
前記複数のクライアント装置のそれぞれは、
ライセンスデータに設定されている利用期間に限り前記利用制限を解除して前記コンテンツデータを利用するコンテンツ再生手段と、
前記第2のライセンスデータが送信されてきたときに、前記第1のライセンスデータを無効化するライセンス管理手段と、
を有することを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項21】
請求項20に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
サーバ装置が、
第2のクライアント装置からの返却要求に応じて、前記第2のクライアント装置に対して、第3のライセンスデータを無効化する第1の指示を与える返却要求処理手段と、
前記第1の指示を与えた後の第1のクライアント装置からの受取要求に応じて、前記第1のクライアント装置に対して、第2のライセンスデータを無効化し第1のライセンスデータを有効化する第2の指示を与える受取要求処理手段と、
を更に有し、
ライセンス管理手段が、前記第1の指示に応じて、前記第3のライセンスデータを無効化し、前記第2の指示に応じて、前記第2のライセンスデータを無効化し前記第1のライセンスデータを有効化することを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項22】
請求項20に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
サーバ装置が、
第2のクライアント装置からの返却要求に応じて、前記第2のクライアント装置に対して、第3のライセンスデータを無効化する無効化指示を与える返却要求処理手段と、
前記無効化指示を与えた後の第1のクライアント装置からの受取要求に応じて、前記第1のクライアント装置に対して、前記無効化指示後の所定期間が第4の利用期間として設定された第4のライセンスデータを送信する受取要求処理手段と、
を更に有し、
ライセンス管理手段が、前記無効化指示に応じて、前記第3のライセンスデータを無効化し、前記第4のライセンスデータが送信されてきたときに、第2のライセンスデータを無効化することを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれかに記載のコンテンツ提供システムの構成要素となるサーバ装置。
【請求項24】
請求項1〜22のいずれかに記載のコンテンツ提供システムの構成要素となる1台のクライアント装置。
【請求項25】
請求項1〜22のいずれかに記載のコンテンツ提供システムの構成要素となる1台のクライアント装置としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項26】
サーバ装置と、このサーバ装置に対して特定のユーザを示すアカウントを指定したアクセスが可能な複数のクライアント装置と、を用いて、複数のユーザ間におけるコンテンツの貸借を行うコンテンツの貸借方法であって、
前記サーバ装置が、第1のクライアント装置からの要求に応じて、所定の利用制限が課されたコンテンツデータを、前記第1のクライアント装置に送信する段階と、
前記サーバ装置が、前記第1のクライアント装置からの取得要求に応じて、第1の利用期間が設定された第1のライセンスデータを、前記第1のクライアント装置に送信する段階と、
前記サーバ装置が、前記第1のクライアント装置からの第2のクライアント装置を貸出先とする貸出要求に応じて、前記第1の利用期間から所定の貸出期間を除外した第2の利用期間が設定された第2のライセンスデータを前記第1のクライアント装置に送信する段階と、
前記サーバ装置が、前記第2のクライアント装置からの要求に応じて、前記コンテンツデータを、前記第2のクライアント装置に送信する段階と、
前記サーバ装置が、前記第2のライセンスデータの送信後、前記第2のクライアント装置からの借入要求に応じて、前記貸出期間が第3の利用期間として設定された第3のライセンスデータを、前記第2のクライアント装置に送信する段階と、
前記第1のクライアント装置および前記第2のクライアント装置が、ライセンスデータに設定されている利用期間に限り前記利用制限を解除して前記コンテンツデータを再生する段階と、
前記第1のクライアント装置が、前記第2のライセンスデータが送信されてきたときに、前記第1のライセンスデータを無効化する段階と、
を有することを特徴とするコンテンツの貸借方法。
【請求項27】
請求項26に記載のコンテンツの貸借方法において、
サーバ装置が、第2のクライアント装置からの返却要求に応じて、前記第2のクライアント装置に対して、第3のライセンスデータを無効化する第1の指示を与える段階と、
前記第2のクライアント装置が、前記第1の指示に応じて、前記第3のライセンスデータを無効化する段階と、
サーバ装置が、前記第1の指示を与えた後、第1のクライアント装置からの受取要求に応じて、前記第1のクライアント装置に対して、第2のライセンスデータを無効化し第1のライセンスデータを有効化する第2の指示を与える段階と、
前記第1のクライアント装置が、前記第2の指示に応じて、前記第2のライセンスデータを無効化し前記第1のライセンスデータを有効化する段階と、
を更に有することを特徴とするコンテンツの貸借方法。
【請求項28】
請求項26に記載のコンテンツの貸借方法において、
サーバ装置が、第2のクライアント装置からの返却要求に応じて、前記第2のクライアント装置に対して、第3のライセンスデータを無効化する無効化指示を与える段階と、
前記第2のクライアント装置が、前記無効化指示に応じて、前記第3のライセンスデータを無効化する段階と、
サーバ装置が、前記無効化指示を与えた後、第1のクライアント装置からの受取要求に応じて、前記第1のクライアント装置に対して、前記無効化指示後の所定期間が第4の利用期間として設定された第4のライセンスデータを送信する段階と、
前記第1のクライアント装置が、前記第4のライセンスデータが送信されてきたときに、第2のライセンスデータを無効化する段階と、
を更に有することを特徴とするコンテンツの貸借方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2013−114371(P2013−114371A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258573(P2011−258573)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】