説明

コンテンツ編集システム、コンテンツ編集方法、編集サーバ装置、プログラム、並びに編集クライアント装置およびプログラム

【課題】 クライアントサーバ方式のコンテンツ編集システムにおいて、サーバ装置とクライアント装置との間の通信量を削減する。
【解決手段】 編集サーバ100は、クライアント200から、コンテンツ編集の要求を受け取ると、要求されたコンテンツを要求元のクライアント200へ送信する。クライアント200側では、編集者がコンテンツに対する編集指示をクライアント200に入力し、クライアント200は編集指示に従って、コンテンツを編集する。さらに、クライアント200は、編集指示を記憶部に蓄積しておき、編集終了時にまとめて編集サーバ100に編集指示を送信する。編集指示を受信した編集サーバ100は、クライアント200で行われた編集をなぞり、コンテンツを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ編集システム、コンテンツ編集方法、編集サーバ装置、プログラム、並びに編集クライアント装置およびプログラムに関し、特に、サーバに格納されたコンテンツをクライアント装置で編集するコンテンツ編集システム、コンテンツ編集方法、編集サーバ装置、プログラム、並びに編集クライアント装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
公衆回線やネットワークを使用してアクセス可能なコンテンツサーバのハードディスク上に格納されたデジタル動画像コンテンツ(以下、単に動画像コンテンツと称する)を、遠隔地に置かれたパソコンやワークステーションからデジタル編集(以下、単に編集と称する)することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている動画像編集システムは、端末装置からの遠隔操作によりコンテンツの編集を行う。より詳細には、動画像編集システムは、端末装置から一連の編集指示を受信し、その編集指示に基づいて、動画像に編集を施し、編集結果を端末装置に返信する。ユーザは、編集結果に基づく新たな編集指示の送信と、編集結果の受信とを繰り返しながら編集を完了する。
【0004】
また別に、通信ネットワークを介してクライアントにコンテンツをダウンロードし、クライアントでコンテンツを編集し、編集済みのコンテンツをアップロードする編集形態もある。
【特許文献1】特開2002−369130号公報(第4−6頁、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている動画像編集システムでは、ユーザが次回の編集指示が出せるように、サーバ装置で編集された動画像コンテンツを端末装置へ送信する必要がある。このため、同一のコンテンツに対し編集を繰り返すと、サーバ装置からクライアント装置へ大量のデータが送信される。また、多数の利用者から同時に編集の要求を受け付けると、サーバ装置で処理待ちが発生し、各利用者が編集結果を得るまでに時間がかかった。
また、クライアント装置で編集を行う形態では、クライアント装置からサーバ装置へ大量のデータが送信される。特に、通信ネットワークにADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線のような、上り回線の通信速度が下り回線の通信速度に比べて遅い通信ネットワークを採用した場合、クライアント装置からサーバ装置へ編集後のコンテンツを転送するために多大な時間を要していた。
【0006】
このように、従来のコンテンツ編集システムでは、利用者に余計な待ち時間を強いていた。利用者に余計な待ち時間を強いるという問題は、編集するコンテンツの種類に限らず起こる問題である。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、クライアント装置で処理待ちの少ない、コンテンツ編集方法、編集サーバ装置、プログラム、並びに編集クライアント装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点にかかるコンテンツ編集システムは、
サーバ装置と、該サーバ装置と通信ネットワークを介して接続され、サーバ装置に格納されているコンテンツを編集するクライアント装置とから構成されるコンテンツ編集システムであって、
コンテンツを格納するサーバ側格納手段と、
クライアント装置からコンテンツの編集要求を受け付ける編集受付手段と、
編集受付手段で編集要求を受けたコンテンツを読み出してクライアント装置に送信するコンテンツ送信手段と、
クライアントから送信される、コンテンツに対する編集操作を示す編集指示要求に対応する指示情報を受信する編集操作受信手段と、
前記サーバ側格納手段に格納されているコンテンツに、前記編集操作受信手段で受信した指示情報で指示された編集を行ってコンテンツを更新するサーバ側編集手段と、
を具備するサーバ装置と、
前記コンテンツ送信手段により送信されたコンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、
前記コンテンツ受信手段で受信したコンテンツを格納するクライアント側格納手段と、
前記編集指示要求を受け付ける編集操作受付手段と、
前記クライアント側格納手段に格納しているコンテンツに、前記編集操作受付手段で受け付けた編集指示要求で指示された編集を行ってコンテンツを更新するクライアント側編集手段と、
前記編集操作受付手段で受け付けた編集指示要求に対応した指示情報を送信する編集操作送信手段と、
を具備するクライアント装置と、
を備える。
【0009】
この発明によれば、サーバ装置からクライアント装置へは、編集開始時にコンテンツ全体が送られる。そして、クライアントではコンテンツに対して行った、シーンのカット、入れ替え、各種エフェクトなどの編集操作に対応する指示情報を、サーバ装置に送信する。サーバ装置は、記憶手段に格納されたコンテンツに対し、クライアントから送信された指示情報で指示される編集操作を適用して、更新する。このため、クライアント装置はサーバ装置の処理待ちや通信遅延の影響を受けにくい。
【0010】
前記コンテンツ編集システムにおいて、
クライアント装置は、編集操作受付手段で受け付けた編集指示要求に対応した指示情報を蓄積する編集履歴記憶手段を具備することが望ましい。この場合、
前記編集操作送信手段は、前記編集履歴記憶手段に蓄積している複数の指示情報をサーバ装置に送信し、
前記サーバ側編集手段は、前記編集履歴記憶手段への蓄積順に各指示情報で指示された編集を行ってコンテンツを更新する。
【0011】
このコンテンツ編集システムにおいて、
前記編集操作送信手段は、前記編集履歴記憶手段に格納されている編集操作の中に直前の編集操作を取り消す旨の編集指示があるか否かを判別し、直前の編集操作を取り消す旨の編集指示があると判別した場合には、直前の編集操作を取り消す旨の編集指示と該編集指示の直前の編集操作とに対応する指示情報をサーバ装置に送信しないことが望ましい。
【0012】
この発明によれば、サーバ装置は不要な編集操作を行わない。
【0013】
前記コンテンツ編集システムにおいて、
サーバ装置は、
前記編集受付手段で編集要求を受け付けたコンテンツにロックをかけるロック手段と、
前記サーバ側編集手段においてコンテンツの編集が終了したことを契機として前記ロック手段がかけたロックを解除するロック解除手段と、
を具備してもよい。
【0014】
前記コンテンツ編集システムにおいて、
前記通信ネットワークは、上り回線の通信速度が下り回線の通信速度より遅いことが望ましい。
【0015】
前記コンテンツ編集システムにおいて、
クライアント装置は、前記クライアント側編集手段で更新したコンテンツに応じたデータを出力する出力手段を具備してもよい。
【0016】
前記コンテンツ編集システムにおいて、
クライアント装置は、クライアント側格納手段に格納しているコンテンツを削除する削除手段を具備してもよい。
【0017】
前記コンテンツ編集システムにおいて、
前記編集操作送信手段は、前記編集操作受付手段で受け付けた編集指示要求に対応するサーバ装置用の編集命令、または、前記クライアント側編集手段で前記編集指示要求に応答してコンテンツに施した処理を特定する情報を、指示情報としてサーバ装置に送信する。
【0018】
本発明の第2の観点にかかるコンテンツ編集方法は、
コンテンツを格納するサーバ装置と、通信ネットワークを介してサーバ装置と接続されたクライアント装置とから構成されるコンテンツ編集システムにおいて、
前記サーバ装置が、格納しているコンテンツを読み出して前記クライアント装置に送信するコンテンツ送信ステップと、
前記クライアント装置が、前記コンテンツ送信ステップで送信されたコンテンツを受信する受信ステップと、
前記クライアント装置が、前記受信ステップで受信したコンテンツを記憶手段に格納する格納ステップと、
前記クライアント装置が、編集者から、該コンテンツに対する編集指示の要求を受け付ける編集指示受付ステップと、
前記クライアント装置が、前記編集指示受付ステップで受け付けた編集指示の要求に従って、前記記憶手段に格納されているコンテンツを編集するクライアント側編集ステップと、
前記クライアント装置が、通信ネットワークを介して、前記編集指示受付ステップで受け付けた編集指示の要求の内容を表す編集指示データを前記サーバ装置に送信する編集指示送信ステップと、
前記サーバ装置が、前記編集指示送信ステップで送信された編集指示データを受信する編集指示受信ステップと、
前記サーバ装置が、前記編集指示受信ステップで受信した編集指示データに従って、コンテンツを編集して更新するサーバ側編集ステップと、
を備える。
【0019】
本発明の第3の観点にかかる編集サーバ装置は、
通信ネットワークを介してクライアント装置と接続された編集サーバ装置であって、
コンテンツを格納するコンテンツ格納手段と、
前記クライアント装置からコンテンツの編集要求を受け付ける編集受付手段と、
前記編集受付手段で編集要求を受けたコンテンツを読み出し、前記通信ネットワークを介して要求元のクライアント装置に送信するコンテンツ送信手段と、
前記クライアントがコンテンツに対して行った編集操作を示したデータを受信する編集操作受信手段と、
前記コンテンツ格納手段に格納されているコンテンツに、前記編集操作受信手段で受信した編集操作を示したデータで指示される編集を行って、コンテンツを更新するコンテンツ編集手段と、
を具備する。
【0020】
本発明の第4の観点にかかるプログラムは、
コンテンツを格納する格納手段を具備するコンピュータ装置を、
通信ネットワークを介して接続されたクライアント装置からコンテンツの編集要求を受け付け、
編集要求を受けたコンテンツを読み出し、前記通信ネットワークを介して要求元のクライアント装置に送信し、
前記クライアント装置がコンテンツに対して行った編集操作を示したデータを受信し、
格納手段に格納しているコンテンツに、受信した編集操作を示したデータで指示される編集を行って、コンテンツを更新する、
編集サーバ装置として機能させる。
【0021】
本発明の第5の観点にかかる編集クライアント装置は、
通信ネットワークを介して接続されたサーバ装置からコンテンツをダウンロードして編集し、編集の内容を送信する編集クライアント装置であって、
前記サーバ装置から編集を要求したコンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、
操作者から前記コンテンツに対する編集操作を示す編集指示要求を受け付ける編集操作受付手段と、
前記コンテンツ受信手段で受信したコンテンツに、前記編集操作受付手段で受け付けた編集指示要求で指示された編集を行うコンテンツ編集手段と、
前記通信ネットワークを介して、前記編集操作受付手段で受け付けた編集指示要求を示すデータをサーバ装置に送信する編集操作送信手段と、
を具備する。
【0022】
本発明の第6の観点にかかるプログラムは、
コンピュータ装置を、
通信ネットワークを介して接続されたサーバ装置からコンテンツをダウンロードし、
操作者から前記コンテンツに対する編集操作を示す編集指示要求を受け付け、
ダウンロードしたコンテンツに、受け付けた編集指示要求で指示された編集を行い、
前記通信ネットワークを介して、受け付けた編集指示要求を示すデータを前記サーバ装置に送信する、
編集クライアント装置として機能させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、クライアント装置において少ない処理待ち時間でコンテンツを編集できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明にかかる実施形態を、以下図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態にかかるコンテンツ編集システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の実施形態にかかるコンテンツ編集システム1は、編集サーバ100と、通信ネットワークCを介して編集サーバ100に接続されたクライアント200A、200B、・・・200Nとを備える。以下特に、クライアントを区別しない場合は、クライアント200と称する。なお、図1ではクライアントが3台示されてされているが、台数は何台でもよい。
【0026】
なお、本発明の実施形態にかかるコンテンツ編集システムで編集されるコンテンツは、MPEG(Motion Picture Experts Group)−4フォーマット(ISO/IEC 14496-2)の動画像データとする。
【0027】
ここで、MPEG−4フォーマットの動画像データは、図2に例示するように、符号化方法により、1画面分のデータ(ピクチャ)を、Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャに分類できる。Iピクチャは、単独で符号化される。Pピクチャでは、時間軸上で直前のIピクチャまたはPピクチャから予測された画像とそれ自身の画像との残差が符号化される。Bピクチャでは、時間軸上で直前のピクチャと直後のピクチャとから予測された画像とそれ自身との残差が符号化される。時間軸上で、Iピクチャから次のIピクチャの直前のピクチャまでは、GOP(Group Of Pictures)と呼ばれ、符号化の単位である。
【0028】
図1に戻り、通信ネットワークCは、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルに基づく公衆ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線の通信ネットワークである。このため、クライアント200から編集サーバ100へ(上り)への通信速度が、編集サーバ100からクライアント200へ(下り)の通信速度よりも遅い。
【0029】
編集サーバ100は、クライアント200から、コンテンツ編集の要求を受け付け、要求されたコンテンツを要求元のクライアント200に送信する。そして、このクライアント200からコンテンツになされた編集操作の指示を受信し、編集サーバ100に格納しているコンテンツに対し同じ編集操作を行う。このような編集サーバ100の構成を図3に示す。図示するように、編集サーバ100は、制御部110と、記憶部120と、入力制御部130と、出力制御部140と、通信制御部150とを備える。
【0030】
制御部110は、例えば、中央演算処理装置(CPU、Central Processing Unit)やワークエリアとなる記憶装置(RAM(Random Access Memory)等)を備える。制御部110は、記憶部120に格納されている動作プログラムに基づいて、各部を制御しつつ、サーバ側の編集処理などを実行する。
【0031】
記憶部120は、ハードディスク装置などの記憶装置から構成され、制御部110が実行する種々の動作プログラムやコンテンツ編集システム1の編集対象となっているコンテンツなどを格納する。記憶部120に格納される動作プログラムには、編集サーバ100の基本動作を司る任意のOS(Operating System:基本ソフトウェア)の他に、OSと協働して後述するサーバ側の編集処理を実現するための、編集サーバプログラム、などが含まれている。
【0032】
入力制御部130には、例えば、キーボードやポインティング・デバイスなどの入力装置13が接続される。入力制御部130は、入力装置13から入力された制御部110への指示などを受け付けて制御部110に伝達する。
【0033】
出力制御部140には、例えば、ディスプレイ装置やプリンタなどの出力装置14が接続される。出力制御部140は、制御部110の処理結果などを必要に応じて出力装置14に出力する。
【0034】
通信制御部150は、例えば、NIC(Network Interface Card)やルータなどの通信装置から構成され、通信ネットワークCを介した、編集サーバ100とクライアント200との通信を制御する。
【0035】
図1に戻り、クライアント200A、200B、・・・、200Nは、編集サーバ100からコンテンツを受信し、受信したコンテンツに対してノンリニアな映像編集を行い、映像編集時に行った編集操作の履歴を編集サーバ100に送信する。このようなクライアント200の構成を図4に示す。クライアント200A、200B、・・・、200Nの構成は同一であるので、代表してクライアント200Aの構成を示す。
【0036】
図示するように、クライアント200(200A)は、制御部210と、記憶部220と、入力制御部230と、出力制御部240と、通信制御部250とを備える。
【0037】
制御部210は、例えば、CPUや、ワークエリアとなる記憶装置を備える。制御部210は、記憶部220に格納されている動作プログラムに基づいて、各部を制御しつつ後述するクライアント側の編集処理などを実行する。
【0038】
記憶部220は、例えば、記憶装置(RAM、ハードディスク等)から構成される。記憶部220は、制御部210の動作プログラム(本実施形態特有の編集クライアントプログラムを含む)、および編集中のコンテンツ、コンテンツに対する編集操作手順を記録した編集履歴情報などを例えば、テーブルの形式で記憶している。
【0039】
ここで、編集クライアントプログラムは、コンテンツに対し、シーンの削除、入れ換え、特殊効果(例えば、スーパーインポーズ、フェードアウトなど)などの映像編集として行われる各種編集操作が行えるように構成されている。なお、特に制限されるものではないが、これらの各種編集操作はGOP単位で行う。これは、編集時にMPEG−4フォーマットで作成されているコンテンツの展開、再圧縮の手間を省くためである。
【0040】
また、図5に示すように、編集履歴情報は、「識別子」、「開始時間」、「終了時間」、「編集内容特定情報」などを含む。
ここで、「識別子」は、編集者がクライアント200でコンテンツに対して行った編集操作の指示を特定する識別情報であり、編集操作の順序を特定する情報である。「開始時間」および「終了時間」とは、コンテンツに対して行った編集操作がコンテンツ中のどの部分であるかを特定する情報である。図5に示した例では、コンテンツの編集開始前のタイムコードを格納しているが、例えば、編集開始前のピクチャの先頭からの位置で指定することもできる。「編集内容特定情報」は、コンテンツの「開始時間」から「終了時間」までの部分、またはコンテンツの「開始時間」で指定された位置に対してなされた編集操作の内容を示す情報である。なお、識別子4が割り当てられた編集操作のように、「開始時間」や「終了時間」と関連づけられない編集操作も存在する。また、図5では、理解を容易にするために、「編集内容特定情報」を自然言語で記載しているが、実際には、制御部210において「編集内容特定情報」の情報として記載されている内容の解釈を容易にするため、専用の記述言語、マークアップ言語等を用いて記述したものや、編集操作に対応した編集サーバ100やクライアント200の編集命令などを格納する。
【0041】
図4に戻って、入力制御部230には、例えば、キーボードやポインティング・デバイス(マウス)などの入力装置23が接続される。入力制御部230は、入力装置23から入力された制御部210への指示などを受け付けて制御部210に伝達する。
【0042】
出力制御部240には、例えば、ディスプレイ装置やプリンタなどの出力装置24が接続される。出力制御部240は、制御部210の処理結果などを必要に応じて出力装置24に出力する。
【0043】
通信制御部250は、例えば、ネットワークカードを備え、編集サーバ100からクライアント200で編集するコンテンツを受信する。また、受信したコンテンツに対して行った編集操作の内容を示す編集履歴情報を編集サーバ100に送信する。
【0044】
以下、図6及び図7を参照して編集処理を説明する。図6は、編集処理を説明するためのフローチャートである。そして、図7は、編集処理において、出力装置24に表示される画面の例を示したものである。
【0045】
編集者は、クライアント200を操作して、編集サーバ100にコンテンツ編集の要求の指示を出す。クライアント200は、編集要求の指示を受け取ると、編集を要求されたコンテンツを指定する情報と編集要求とを編集サーバ100へ送信する(ステップS201)。
【0046】
コンテンツ編集の要求を受けた編集サーバ100は、指定されたコンテンツにロックをかける(図6、ステップS101)。そして、そのコンテンツを記憶部120から読み出し、通信ネットワークCを介して、コンテンツ編集を要求したクライアント200へ送信する(ステップS102)。
【0047】
コンテンツを受信すると(ステップS202)、クライアント200の制御部210は、編集クライアントプログラムを動作させ、例えば、図7に示すような編集画面を表示する。
【0048】
図7に示した編集画面400には、編集中のコンテンツ内のピクチャを表示するエリア401、コンテンツの時間軸や目印を付けられているコンテンツの部分などを示すエリア402、エリア401に表示されているピクチャを変更する指示(巻き戻し、早送りなど)を入力するためのボタンが配置されたエリア403(なお、エリア402内に配置されている目印やスライダもこの機能を果たす)、コンテンツに対する編集指示を入力するためのボタンが配置されたエリア404、現在の編集位置を示すエリア405や、編集者が編集の終了を編集クライアントプログラムに伝達する終了ボタン406などが配置されている。
【0049】
編集者は、クライアント200の入力装置23(例えば、マウス)を操作し、編集画面400上に配置されたボタン等をクリックすることで、コンテンツに対する編集指示を入力する。すると、制御部210は入力された編集指示を受け付ける(ステップS203)。制御部210は、編集画面400上のクリックされた位置を特定し、特定した画面上の位置に応じて、どの編集操作が指示されたか、およびコンテンツのどの部分が編集操作の対象であるかを特定する。そして、受け付けた編集操作の指示が編集終了の指示であるか否かを判別する(ステップS204)。受け付けた編集操作の指示が編集終了の指示でない場合(ステップS204:NO)、制御部210は、指示された編集操作およびコンテンツの部分に基づいて、1回分の編集履歴情報を生成し、記憶部220に追加する(ステップS205)。さらに、制御部210は、記憶部220に格納されているコンテンツに、入力された編集操作を施す(ステップS206)。編集されたコンテンツは、記憶部220に格納される。そして、制御部210は、コンテンツの時間軸や目印を付けられているコンテンツの部分などを示すエリア402などの表示内容を、更新されたコンテンツに応じて更新する。例えば、編集操作により、コンテンツの一部が削除された場合、制御部210は、変更後のコンテンツの長さに合わせて、エリア402に表示されているスライダや目印の表示位置、ならびに、現在の編集位置を示すエリア405の編集位置を示している数値を変更する。そして、制御部210は新たな編集指示の要求を受け付けるため待機する。処理はステップS203に戻る。
【0050】
編集者が、コンテンツの範囲指定や編集操作の指示の入力を繰り返した後、終了ボタン406をクリックして、コンテンツの編集終了を指示すると(図6、ステップS204:YES)、制御部210は、記憶部220に蓄積された編集履歴情報を通信制御部250から、通信ネットワークCを介して、編集サーバ100に送信する(ステップS207)。ここで、制御部210は、編集履歴情報を先頭から走査し、直前の編集操作を取り消す旨の指示(アンドゥ)を見つけた場合、直前の編集操作を取り消す旨の指示とその直前の編集指示とを編集履歴情報から削除する。例えば、図5に即して説明すると、制御部210は、手順識別子4が付与された編集操作がアンドゥであることを判別し、手順識別子3、4が付与された編集操作を編集履歴情報から削除する。
【0051】
クライアント200から編集履歴情報を受信すると(ステップS107)、編集サーバ100の制御部110は、受信した編集履歴情報に含まれる編集操作を指示順に記憶部120に格納されているコンテンツに対して先頭の編集操作から適用し(ステップS108)、クライアント200側で行われた編集操作をなぞる。
【0052】
制御部110は、編集されたコンテンツを記憶部120に格納し、更新する(ステップS109)。最後に、制御部110はコンテンツに対してかけていたロックを解除して編集処理を終了する(ステップS110)。
【0053】
以上説明したように、本実施形態にかかるコンテンツ編集システム1によれば、編集サーバ100はクライアント200にコンテンツを送信し、クライアント200は受信したコンテンツに対し各種編集操作を行う。クライアント200は、コンテンツに対して行った編集操作を表すデータを編集サーバ100に送信する。編集サーバ100は記憶部120に格納しているコンテンツに、受信した編集操作を表すデータに示される編集操作に従って編集を行う。このため、クライアント200から編集サーバ100に送信される情報量は、編集結果そのものを編集サーバ100に返す場合よりも削減される。また、編集サーバ100からクライアント200へコンテンツが送信されるのは、編集開始時の1回のみであり、編集サーバ100からクライアント200へのデータ転送量も、編集サーバ100へ編集操作の要求を出すたびに、クライアント200にコンテンツが送信される場合より削減される。
【0054】
また、クライアント200は、編集者が行った編集操作をまとめて編集サーバ100に送信する。このため、編集サーバ100は、コンテンツに対する編集操作をまとめて実行する。また、例えば、編集クライアントプログラムが、直前の編集操作の取り消し(アンドゥ)をサポートしている場合、編集サーバ100がクライアント200側で行った編集操作をなぞる際に、無駄な編集操作を行わずにすむ。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では、単一のコンテンツに対して編集する場面を想定して説明したが、2つ以上のコンテンツを組み合わせた編集に適用することができる。この場合、クライアント200は編集に必要なだけ、コンテンツを編集サーバ100に要求する。また、編集サーバ100は、複数のコンテンツを記憶部120に格納してもよい。この場合、編集サーバ100およびクライアント200は、例えば、コンテンツごとにファイル名などによりコンテンツを区別して取り扱う。
【0057】
また、上記の実施形態では、コンテンツがMPEG−4フォーマットで圧縮された動画像である場合で説明したが、コンテンツはこれに限らず、他のフォーマットで圧縮された動画像や、音声、テキスト、あるいはこれらが融合したものでもよい。
【0058】
また、編集操作の指示を受け付けるごとにクライアント200から編集サーバ100に編集操作の指示を表すデータを送信するようにしてもよい。あるいは、編集途中で、編集操作の指示を表すデータを送信するようにしてもよい。この場合、制御部210は、編集者から明示的に編集操作の指示を表すデータの送信を指示されたり、一定の時間ごとに自動的に送信したりする。また、制御部210は編集操作の指示を表すデータを送信する際に、編集履歴情報をクリアする。
【0059】
さらに、上記の実施形態では、コンテンツ編集システム1は、コンテンツをノンリニア編集していたが、リニア編集でもよいし、他の既知の編集方法でもよい。
【0060】
また、クライアント200は、編集終了後(ステップS207の後)に、記憶部220に格納しているコンテンツを削除してもよい。
【0061】
また、編集サーバ100は、ステップS109において、コンテンツを更新するのではなく、別のコンテンツとして記憶部120に格納するようにしてもよい。
【0062】
また、図6に示したステップS108、S109の処理はステップS107の処理の直後に行う必要はない。例えば、編集サーバ100は夜間バッチ処理によりコンテンツの編集を行ってもよい。このように構成すれば、編集サーバ100は、処理が空いているときにコンテンツの編集ができ、負荷分散に役立つ。
【0063】
また、制御部210は、コンテンツの編集操作のために生成したデータを、そのデータのコンテンツへの適用方法を示したデータと共に送信してもよい。この場合、編集サーバ100は、受信した編集操作のために生成したデータとそのデータのコンテンツへの適用方法を示したデータとに基づいて、記憶部120に格納しているコンテンツを編集する。
【0064】
また、上記実施の形態では、下りの通信速度が、上りの通信速度よりも早い通信ネットワークCにより、編集サーバ100とクライアント200とを接続していたが、通信ネットワークCの構成はこれに限られない。
【0065】
なお、上記各実施形態におけるコンテンツ編集システム1は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、上述の動作を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体(FD、CD−ROM、DVD等)に格納して配布し、該プログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行する、編集サーバ100やクライアント200を構成してもよい。また、インターネット等のネットワーク上のサーバ装置が有するディスク装置に格納しておき、例えばコンピュータにダウンロード等するようにしてもよい。
【0066】
また、上述の機能を、OSとアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協動により実現する場合などには、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0067】
また、搬送波にプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に該プログラムを掲示し、ネットワークを介して該プログラムを配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態にかかるコンテンツ編集システムのブロック図である。
【図2】MPEG−4フォーマットにおける、ピクチャの並び方を説明するための図である。
【図3】図1の編集サーバのブロック図である。
【図4】図1のクライアントのブロック図である。
【図5】図4の記憶部に格納される編集履歴情報の例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる編集処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態にかかる編集処理において、クライアント側の出力装置に表示される画面の例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
100 編集サーバ
110、210 制御部
120、220 記憶部
130、230 入力制御部
13、23 入力装置
140、240 出力制御部
14、24 出力装置
150、250 通信制御部
200 クライアント


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と、該サーバ装置と通信ネットワークを介して接続され、サーバ装置に格納されているコンテンツを編集するクライアント装置とから構成されるコンテンツ編集システムであって、
コンテンツを格納するサーバ側格納手段と、
クライアント装置からコンテンツの編集要求を受け付ける編集受付手段と、
編集受付手段で編集要求を受けたコンテンツを読み出してクライアント装置に送信するコンテンツ送信手段と、
クライアントから送信される、コンテンツに対する編集操作を示す編集指示要求に対応する指示情報を受信する編集操作受信手段と、
前記サーバ側格納手段に格納されているコンテンツに、前記編集操作受信手段で受信した指示情報で指示された編集を行ってコンテンツを更新するサーバ側編集手段と、
を具備するサーバ装置と、
前記コンテンツ送信手段により送信されたコンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、
前記コンテンツ受信手段で受信したコンテンツを格納するクライアント側格納手段と、
前記編集指示要求を受け付ける編集操作受付手段と、
前記クライアント側格納手段に格納しているコンテンツに、前記編集操作受付手段で受け付けた編集指示要求で指示された編集を行ってコンテンツを更新するクライアント側編集手段と、
前記編集操作受付手段で受け付けた編集指示要求に対応した指示情報を送信する編集操作送信手段と、
を具備するクライアント装置と、
を備えることを特徴とするコンテンツ編集システム。
【請求項2】
前記クライアント装置は、編集操作受付手段で受け付けた編集指示要求に対応した指示情報を蓄積する編集履歴記憶手段を具備し、
前記編集操作送信手段は、前記編集履歴記憶手段に蓄積している複数の指示情報をサーバ装置に送信し、
前記サーバ側編集手段は、前記編集履歴記憶手段への蓄積順に各指示情報で指示された編集を行ってコンテンツを更新する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ編集システム。
【請求項3】
前記編集操作送信手段は、前記編集履歴記憶手段に格納されている編集操作の中に直前の編集操作を取り消す旨の編集指示があるか否かを判別し、直前の編集操作を取り消す旨の編集指示があると判別した場合には、直前の編集操作を取り消す旨の編集指示と該編集指示の直前の編集操作とに対応する指示情報をサーバ装置に送信しない、
ことを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ編集システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、
前記編集受付手段で編集要求を受け付けたコンテンツにロックをかけるロック手段と、
前記サーバ側編集手段においてコンテンツの編集が終了したことを契機として前記ロック手段がかけたロックを解除するロック解除手段と、
を具備することを特徴とする請求項1、2または3に記載のコンテンツ編集システム。
【請求項5】
前記通信ネットワークは、上り回線の通信速度が下り回線の通信速度より遅いことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のコンテンツ編集システム。
【請求項6】
前記クライアント装置は、前記クライアント側編集手段で更新したコンテンツに応じたデータを出力する出力手段を具備することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のコンテンツ編集システム。
【請求項7】
前記クライアント装置は、クライアント側格納手段に格納しているコンテンツを削除する削除手段を具備することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のコンテンツ編集システム。
【請求項8】
前記編集操作送信手段は、前記編集操作受付手段で受け付けた編集指示要求に対応するサーバ装置用の編集命令、または、前記クライアント側編集手段で前記編集指示要求に応答してコンテンツに施した処理を特定する情報を、指示情報としてサーバ装置に送信することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のコンテンツ編集システム。
【請求項9】
コンテンツを格納するサーバ装置と、通信ネットワークを介してサーバ装置と接続されたクライアント装置とから構成されるコンテンツ編集システムにおいて、
前記サーバ装置が、格納しているコンテンツを読み出して前記クライアント装置に送信するコンテンツ送信ステップと、
前記クライアント装置が、前記コンテンツ送信ステップで送信されたコンテンツを受信する受信ステップと、
前記クライアント装置が、前記受信ステップで受信したコンテンツを記憶手段に格納する格納ステップと、
前記クライアント装置が、編集者から、該コンテンツに対する編集指示の要求を受け付ける編集指示受付ステップと、
前記クライアント装置が、前記編集指示受付ステップで受け付けた編集指示の要求に従って、前記記憶手段に格納されているコンテンツを編集するクライアント側編集ステップと、
前記クライアント装置が、通信ネットワークを介して、前記編集指示受付ステップで受け付けた編集指示の要求の内容を表す編集指示データを前記サーバ装置に送信する編集指示送信ステップと、
前記サーバ装置が、前記編集指示送信ステップで送信された編集指示データを受信する編集指示受信ステップと、
前記サーバ装置が、前記編集指示受信ステップで受信した編集指示データに従って、コンテンツを編集して更新するサーバ側編集ステップと、
を備えることを特徴とするコンテンツ編集方法。
【請求項10】
通信ネットワークを介してクライアント装置と接続された編集サーバ装置であって、
コンテンツを格納するコンテンツ格納手段と、
前記クライアント装置からコンテンツの編集要求を受け付ける編集受付手段と、
前記編集受付手段で編集要求を受けたコンテンツを読み出し、前記通信ネットワークを介して要求元のクライアント装置に送信するコンテンツ送信手段と、
前記クライアントがコンテンツに対して行った編集操作を示したデータを受信する編集操作受信手段と、
前記コンテンツ格納手段に格納されているコンテンツに、前記編集操作受信手段で受信した編集操作を示したデータで指示される編集を行って、コンテンツを更新するコンテンツ編集手段と、
を具備することを特徴とする編集サーバ装置。
【請求項11】
コンテンツを格納する格納手段を具備するコンピュータ装置を、
通信ネットワークを介して接続されたクライアント装置からコンテンツの編集要求を受け付け、
編集要求を受けたコンテンツを読み出し、前記通信ネットワークを介して要求元のクライアント装置に送信し、
前記クライアント装置がコンテンツに対して行った編集操作を示したデータを受信し、
格納手段に格納しているコンテンツに、受信した編集操作を示したデータで指示される編集を行って、コンテンツを更新する、
編集サーバ装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
通信ネットワークを介して接続されたサーバ装置からコンテンツをダウンロードして編集し、編集の内容を送信する編集クライアント装置であって、
前記サーバ装置から編集を要求したコンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、
操作者から前記コンテンツに対する編集操作を示す編集指示要求を受け付ける編集操作受付手段と、
前記コンテンツ受信手段で受信したコンテンツに、前記編集操作受付手段で受け付けた編集指示要求で指示された編集を行うコンテンツ編集手段と、
前記通信ネットワークを介して、前記編集操作受付手段で受け付けた編集指示要求を示すデータをサーバ装置に送信する編集操作送信手段と、
を具備することを特徴とする編集クライアント装置。
【請求項13】
コンピュータ装置を、
通信ネットワークを介して接続されたサーバ装置からコンテンツをダウンロードし、
操作者から前記コンテンツに対する編集操作を示す編集指示要求を受け付け、
ダウンロードしたコンテンツに、受け付けた編集指示要求で指示された編集を行い、
前記通信ネットワークを介して、受け付けた編集指示要求を示すデータを前記サーバ装置に送信する、
編集クライアント装置として機能させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−157363(P2006−157363A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343791(P2004−343791)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】