説明

コンテンツ編集装置、コンテンツ編集方法及びコンテンツ編集プログラム

【課題】不正コピーの流出を抑制しつつ、コンテンツの編集を可能とするコンテンツ編集装置、方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】コンテンツ編集装置1は、コンテンツデータを読み込む読込部11と、第1のコンテンツデータに対するコピー指示に基づいてコピーデータを抽出するコピー部12と、暗号鍵を生成して編集ソフトウェア内に一時記憶する鍵生成部13と、コピーデータを暗号鍵により暗号化し、暗号化コピーデータを生成する暗号化部14と、暗号化コピーデータを記憶するコピー記憶部15と、コピーデータを貼り付けるペースト指示に基づいて暗号化コピーデータを抽出する抽出部16と、暗号化コピーデータを暗号鍵により復号する復号部17と、復号されたコピーデータをペースト指示に基づいて第2のコンテンツデータに貼り付けるペースト部18と、編集後のコンテンツデータをファイルに書き込む書込部19と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツのコピーと貼り付けとを伴う編集が可能なコンテンツ編集装置、コンテンツ編集方法及びコンテンツ編集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、データファイルにおけるコンテンツの編集を行う上で、元の情報を再利用して編集するためのコピー及び貼り付けの機能(コピーアンドペースト機能)が様々な編集ソフトウェアにより実現されている。また、このコピーアンドペースト機能を実現するための様々な手法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−123395号公報
【特許文献2】特開平5−35837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このコピーアンドペースト機能によって、作成元の編集ソフトウェアとは異なる編集ソフトウェアにコンテンツがコピーされ、オリジナルとは異なるフォーマット(拡張子)により不正コピーが流出する可能性がある。このようにフォーマットが変更されたことにより、流出した不正コピーの追跡は困難となる。
【0005】
そこで、不正コピーの流出を防止するために、編集ソフトウェア自身又はプラグインによって、コピーアンドペースト機能を無効化する場合もある。しかしながら、このようにコピーアンドペースト機能を無効化した場合、コンテンツ編集の自由度が制限されるため、正規の(作成元の)編集ソフトウェアであっても、コンテンツに所望の改修を行うことが難しかった。
【0006】
本発明は、不正コピーの流出を抑制しつつ、コンテンツの編集を可能とするコンテンツ編集装置、コンテンツ編集方法及びコンテンツ編集プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
(1)所定の編集ソフトウェアに対応したコンテンツデータを読み込む読込部と、前記編集ソフトウェア内において、第1のコンテンツデータの少なくとも一部分に対するコピー指示に基づいて、当該コピー指示をされたコピーデータを抽出するコピー部と、暗号鍵を生成して前記編集ソフトウェア内に一時記憶する鍵生成部と、前記コピーデータを、一時記憶されている前記暗号鍵により暗号化し、暗号化コピーデータを生成する暗号化部と、前記暗号化コピーデータを記憶するコピー記憶部と、前記編集ソフトウェア内において、第2のコンテンツデータに前記コピーデータを貼り付けるペースト指示に基づいて、前記コピー記憶部により記憶された前記暗号化コピーデータを抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された前記暗号化コピーデータを、一時記憶されている前記暗号鍵により復号し、前記コピーデータを復元する復号部と、前記復号部により復元された前記コピーデータを、前記ペースト指示に基づいて、前記第2のコンテンツデータに貼り付けるペースト部と、編集後のコンテンツデータをファイルに書き込む書込部と、を備えるコンテンツ編集装置。
【0009】
このような構成によれば、コンテンツ編集装置は、第1のコンテンツデータから選択したコピーデータを暗号化する暗号鍵を生成し、所定の編集ソフトウェア内に一時記憶する。そして、コンテンツ編集装置は、この暗号鍵により暗号化した上で記憶した暗号化コピーデータを、ペースト指示に基づいて抽出し、復号した後に、第2のコンテンツデータに貼り付ける。
【0010】
したがって、コンテンツ編集装置は、暗号鍵を編集ソフトウェア内に一時記憶するので、この編集ソフトウェアの終了時には、暗号鍵は消去される。このように、暗号鍵は、所定の編集ソフトウェア内でのみ参照可能である。そして、コンテンツ編集装置は、コピーデータを暗号化して記憶するので、暗号鍵を取得できない他の編集ソフトウェアにより、このコピーデータが使用されることはない。
【0011】
このことにより、コンテンツ編集装置は、所定の編集ソフトウェアのみで有効となるコピーアンドペースト機能を実現できるので、編集作業の利便性を失わずに、不正コピーの流出を抑制しつつ、コンテンツの編集を可能にできる。
【0012】
(2)前記鍵生成部は、前記コピー指示に応じて、その都度、一時的な暗号鍵を生成する(1)に記載のコンテンツ編集装置。
【0013】
このような構成によれば、コンテンツ編集装置は、コピー指示に応じて、一時的な暗号鍵を、その都度生成する。したがって、コンテンツ編集装置は、コピーデータを暗号化するための暗号鍵自体を一時的なものとし、コピーデータの流出をさらに抑制することができる。
【0014】
(3)前記鍵生成部は、前記コピー指示に応じて、前記一時的な暗号鍵と対応付けて、前記コピーデータの識別子を生成して前記編集ソフトウェア内に一時記憶し、前記コピー記憶部は、前記暗号化コピーデータと前記識別子とを対にして記憶し、前記抽出部は、前記ペースト指示により指定される前記識別子に基づいて、当該識別子と対になって記憶されている前記暗号化コピーデータを抽出する(2)に記載のコンテンツ編集装置。
【0015】
このような構成によれば、コンテンツ編集装置は、暗号鍵と対応付けて、コピーデータの識別子を生成して記憶する。暗号化コピーデータと暗号鍵とは、この識別子により対応付けられるので、コンテンツ編集装置は、ペースト指示により指定される識別子に基づいて、暗号化コピーデータ及び暗号鍵を抽出して、コピーデータを復元することができる。したがって、コンテンツ編集装置は、複数の暗号化コピーデータを同時に記憶し、任意の選択を受け付けてペースト処理を行うことができる。
【0016】
(4)所定の編集ソフトウェアに対応したコンテンツデータを読み込む読込ステップと、前記編集ソフトウェア内において、第1のコンテンツデータの少なくとも一部分に対するコピー指示に基づいて、当該コピー指示をされたコピーデータを抽出するコピーステップと、暗号鍵を生成して前記編集ソフトウェア内に一時記憶する鍵生成ステップと、前記コピーデータを、一時記憶されている前記暗号鍵により暗号化し、暗号化コピーデータを生成する暗号化ステップと、前記暗号化コピーデータを記憶するコピー記憶ステップと、前記編集ソフトウェア内において、第2のコンテンツデータに前記コピーデータを貼り付けるペースト指示に基づいて、前記コピー記憶ステップにより記憶された前記暗号化コピーデータを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出された前記暗号化コピーデータを、一時記憶されている前記暗号鍵により復号し、前記コピーデータを復元する復号ステップと、前記復号ステップにより復元された前記コピーデータを、前記ペースト指示に基づいて、前記第2のコンテンツデータに貼り付けるペーストステップと、編集後のコンテンツデータをファイルに書き込む書込ステップと、をコンピュータが実行するコンテンツ編集方法。
【0017】
このような構成によれば、コンテンツ編集方法をコンピュータが実行することにより、(1)と同様の効果が期待できる。
【0018】
(5)所定の編集ソフトウェアに対応したコンテンツデータを読み込む読込ステップと、前記編集ソフトウェア内において、第1のコンテンツデータの少なくとも一部分に対するコピー指示に基づいて、当該コピー指示をされたコピーデータを抽出するコピーステップと、暗号鍵を生成して前記編集ソフトウェア内に一時記憶する鍵生成ステップと、前記コピーデータを、一時記憶されている前記暗号鍵により暗号化し、暗号化コピーデータを生成する暗号化ステップと、前記暗号化コピーデータを記憶するコピー記憶ステップと、前記編集ソフトウェア内において、第2のコンテンツデータに前記コピーデータを貼り付けるペースト指示に基づいて、前記コピー記憶ステップにより記憶された前記暗号化コピーデータを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出された前記暗号化コピーデータを、一時記憶されている前記暗号鍵により復号し、前記コピーデータを復元する復号ステップと、前記復号ステップにより復元された前記コピーデータを、前記ペースト指示に基づいて、前記第2のコンテンツデータに貼り付けるペーストステップと、編集後のコンテンツデータをファイルに書き込む書込ステップと、をコンピュータに実行させるコンテンツ編集プログラム。
【0019】
このような構成によれば、コンテンツ編集プログラムをコンピュータに実行させることにより、(1)と同様の効果が期待できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、不正コピーの流出を抑制しつつ、コンテンツの編集を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係るコンテンツ編集装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るコンテンツ編集方法の手順を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るメモリ及びハードディスク内の記憶状態を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るコンテンツ編集装置における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。本実施形態に係るコンテンツ編集装置1は、所定の編集ソフトウェアを実行し、コピーアンドペーストを伴うコンテンツデータの編集を行う装置である。なお、コンテンツ編集装置1は、PC(Personal Computer)、サーバ及びPDA(Personal Digital Assistant)等、様々な情報処理装置(コンピュータ)であってよい。
【0023】
図1は、本実施形態に係るコンテンツ編集装置1の機能構成を示すブロック図である。
コンテンツ編集装置1は、制御部10と、一時記憶部20と、記憶部30と、入力部40と、表示部50とを備える。
【0024】
制御部10は、コンテンツ編集装置1の全体を制御する部分であり、記憶部30に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述のハードウェアと協働し、本実施形態における各種機能を実現している。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)であってよい。なお、制御部10が備える各部の機能は後述する。
【0025】
一時記憶部20は、制御部10により、各種プログラムが実行される際に利用される、プログラム及びデータの一時記憶領域であり、揮発性のメモリであってよい。一時記憶部20には、後述の暗号鍵情報21が記憶される。また、一時記憶部20に記憶されているプログラム及びデータは、プログラムの終了に伴って消去又は読み取り不可とされる。
【0026】
記憶部30は、ハードウェア群をコンテンツ編集装置1として機能させるための各種プログラム、及び各種データ等の記憶領域であり、ハードディスク(HDD)であってよい。具体的には、記憶部30には、本実施形態の各種機能を制御部10に実行させるプログラム(所定の編集ソフトウェア)と、この編集ソフトウェアにて作成及び編集されるコンテンツファイル31と、コンテンツファイルの一部分としてのコピーデータを含む暗号化データファイル32とが記憶される。
【0027】
入力部40は、コンテンツ編集装置1に対するユーザからの指示入力を受け付けるインタフェース装置である。入力部40は、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネル等により構成される。
【0028】
表示部50は、ユーザにデータの入力を受け付ける画面を表示したり、コンテンツ編集装置1による処理結果の画面を表示したりするものである。ユーザは、表示部50に表示された編集ソフトウェアの画面により、コンテンツの内容を確認し、コピーアンドペーストを含む編集作業を行う。表示部50は、ブラウン管表示装置(CRT)や液晶表示装置(LCD)等のディスプレイ装置であってよい。
【0029】
前述の制御部10は、読込部11と、コピー部12と、鍵生成部13と、暗号化部14と、コピー記憶部15と、抽出部16と、復号部17と、ペースト部18と、書込部19とを備える。各部は、編集ソフトウェアにより実現される機能ブロックである。
【0030】
読込部11は、入力部40により受け付けた編集ソフトウェアの起動、及び編集ソフトウェアに対応したコンテンツの読み込み要求に応じて、コンテンツファイル31からコンテンツデータ(第1のコンテンツデータ又は第2のコンテンツデータ)を読み込んで、一時記憶部20に展開する。
【0031】
コピー部12は、第1のコンテンツデータの少なくとも一部分に対するコピー指示を、入力部40により受け付けたことに基づいて、このコピー指示をされたコピーデータを抽出する。このとき、コピー部12は、コピーデータの一時的な識別子(テンポラリID)を生成し、コピーデータと紐付ける。
【0032】
鍵生成部13は、コピー部12によりコピーデータが抽出されると、その都度、このコピーデータを暗号化するための一時的な暗号鍵を生成し、暗号鍵情報21として、編集ソフトウェア内のみから参照可能に一時記憶する。このとき、鍵生成部13は、暗号鍵情報21として、暗号鍵と、コピー部12により生成されたテンポラリIDとを対応付けて記憶する。これにより、暗号鍵情報21には、複数の暗号鍵及びテンポラリIDが記憶され得る。
【0033】
暗号化部14は、コピー部12により選択されたコピーデータを、暗号鍵情報21の暗号鍵により暗号化し、暗号化コピーデータを生成する。
【0034】
コピー記憶部15は、暗号化部14により暗号化された暗号化コピーデータと、テンポラリIDとを対にして、暗号化データファイル32として記憶する。
【0035】
抽出部16は、第2のコンテンツデータにコピーデータを貼り付けるペースト指示を、入力部40により受け付けたことに基づいて、コピー記憶部15により記憶された暗号化データファイル32から、暗号化コピーデータを抽出する。このとき、抽出部16は、ペースト指示により指定されるコピーデータのテンポラリIDに基づいて、暗号化データファイル32において、このテンポラリIDと対になって記憶されている暗号化コピーデータを抽出する。
【0036】
復号部17は、抽出部16により抽出された暗号化コピーデータを、暗号鍵情報21においてテンポラリIDと対応付けて記憶されている暗号鍵により復号し、暗号化前のコピーデータを復元する。
【0037】
ペースト部18は、復号部17により復元されたコピーデータを、ペースト指示に基づいて、第2のコンテンツデータに貼り付けて編集する。
【0038】
書込部19は、入力部40によりコンテンツの保存指示を受け付けたことに応じて、編集後の第2のコンテンツデータを、コンテンツファイル31に書き込む。
【0039】
図2は、本実施形態に係るコンテンツ編集装置1におけるコンテンツ編集方法の手順を示す図である。
なお、編集ソフトウェアは、コンテンツ編集装置1上で実行されている。
【0040】
(0)編集ソフトウェアは、コンテンツファイル(C)を展開し、ユーザからの指示を待機している。
【0041】
(1)編集ソフトウェアは、ユーザからの指示により、コンテンツからコピーする範囲を選択する。
【0042】
(2)編集ソフトウェアは、ユーザからコピー指示を受け付け、選択された範囲のコピー処理を開始する。編集ソフトウェアは、テンポラリID(ID)を発行し、選択された範囲のコピーデータ(CPID(C))と紐付けた後、コピーデータの暗号化指示を行う。
【0043】
(3)編集ソフトウェアは、乱数生成器等を用いて、テンポラリID(ID)から一時暗号鍵(KID)を生成し、テンポラリID(ID)と対にして、ソフトウェア内に暗号鍵情報21として一時保管する。なお、コピー指示が複数行われた場合、IDとKIDの組が複数記憶される。
【0044】
(4)編集ソフトウェアは、コピー指示されたコピーデータ(CPID(C))を、対応するテンポラリID(ID)から生成された一時暗号鍵(KID)により暗号化(E(KID,CPID(C)))する。
【0045】
(5)コンテンツ編集装置1は、テンポラリID(ID)と暗号化コピーデータ(E(KID,CPID(C)))とを受け取ると、両者を対にして暗号化データファイル32として記憶する。なお、コピー処理が複数実行されると、IDとE(KID,CPID(C))の組が複数記憶される。
【0046】
(6)編集ソフトウェアは、ユーザからペースト指示を受け付け、選択されたテンポラリID(ID)に対応するコピーデータのペースト処理を開始すると、IDに対応する暗号化コピーデータの復号化指示を行う。
【0047】
(7)コンテンツ編集装置1は、指示されたテンポラリID(ID)に対応する暗号化コピーデータを選択する。
【0048】
(8)コンテンツ編集装置1は、選択された暗号化コピーデータ(E(KID,CPID(C)))を暗号化データファイル32から呼び出し、編集ソフトウェアへ提供する。
【0049】
(9)編集ソフトウェアは、暗号鍵情報21からテンポラリID(ID)に対応する一時暗号鍵を呼び出し、取得した暗号化コピーデータ(E(KID,CPID(C)))を復号する(D(KID,E(KID,CPID(C)))=CPID(C))。
【0050】
(10)編集ソフトウェアは、コンテンツデータに対して、復号したコピーデータ(CPID(C))をペーストし、ペースト処理を終了する。
【0051】
図3は、本実施形態に係る一時記憶部20及び記憶部30内の記憶状態を示す図である。
編集ソフトウェアの起動中は、一時記憶部20に編集ソフトウェアが展開され、制御部10により実行されている。このとき、コピー処理が実行されると、編集ソフトウェア内に暗号鍵情報21が記憶される。また、記憶部30には、編集ソフトウェア及びコンテンツファイル31と、コピー処理が実行された場合に生成される暗号化データファイル32が記憶される。
【0052】
一方、編集ソフトウェアの実行が終了されると、一時記憶部20から編集ソフトウェアが消去又は非参照状態となり、これに伴って、暗号鍵情報21も消去又は非参照状態となる。記憶部30には、編集ソフトウェアの終了後も暗号化データファイル32が残存するが、暗号化されているため、他のソフトウェアによりコピーデータが復元されることは抑制される。なお、さらに不正流出の可能性を低減させるために、編集ソフトウェアの終了処理により、記憶部30から暗号化データファイル32を消去してもよい。
【0053】
図4は、本実施形態に係るコンテンツ編集装置1における処理を示すフローチャートである。なお、図4では、コピーアンドペースト以外の編集操作による処理を省略する。
【0054】
ステップS1(読込ステップ)では、制御部10(読込部11)は、コンテンツファイル31から、編集ソフトウェアに対応したコンテンツデータを一時記憶部20に読み込む。
【0055】
ステップS2では、制御部10は、編集ソフトウェア内において、入力部40を介してユーザからのコピー指示があったか否かを判定する。制御部10は、この判定がYESの場合、処理をステップS3に移し、判定がNOの場合、処理をステップS8に移す。
【0056】
ステップS3(コピーステップ)では、制御部10(コピー部12)は、ステップS1で読み込んだ第1のコンテンツデータから、ユーザによりコピー指示をされたコピーデータを抽出する。
【0057】
ステップS4(コピーステップ)では、制御部10(コピー部12)は、ステップS3で抽出されたコピーデータと対応付けて、コピーデータの識別子であるテンポラリIDを生成する。
【0058】
ステップS5(鍵生成ステップ)では、制御部10(鍵生成部13)は、ステップS3で抽出されたコピーデータを暗号化するための暗号鍵を、ステップS4で生成されたテンポラリIDと対応付けて生成する。
【0059】
ステップS6(暗号化ステップ)では、制御部10(暗号化部14)は、ステップS3で選択されたコピーデータを、ステップS4で生成された暗号鍵により暗号化し、暗号化コピーデータを生成する。
【0060】
ステップS7(コピー記憶ステップ)では、制御部10(コピー記憶部15)は、ステップS6で生成された暗号化コピーデータと、ステップS5で生成されたテンポラリIDとを対にして、暗号化データファイル32に記憶する。
【0061】
ステップS8では、制御部10は、編集ソフトウェア内において、入力部40を介してユーザから、いずれかのコピーデータのペースト指示があったか否かを判定する。制御部10は、この判定がYESの場合、処理をステップS9に移し、判定がNOの場合、処理をステップS12に移す。
【0062】
ステップS9(抽出ステップ)では、制御部10(抽出部16)は、ユーザによりペースト指示をされた暗号化コピーデータを、ステップS7で記憶された暗号化データファイル32から、テンポラリIDに基づいて抽出する。
【0063】
ステップS10(復号ステップ)では、制御部10(復号部17)は、ステップS9で抽出された暗号化コピーデータを、ステップS4で生成された暗号鍵により復号し、ペースト処理の対象である暗号化される前のコピーデータを復元する。
【0064】
ステップS11(ペーストステップ)では、制御部10(ペースト部18)は、ステップS10で復元されたコピーデータを、ペースト指示に基づいて、第2のコンテンツデータ(コピー元と同一のコンテンツデータ又は別のコンテンツデータ)に貼り付ける。
【0065】
ステップS12では、制御部10は、編集ソフトウェア内において、入力部40を介してユーザから、コンテンツデータの保存指示があったか否かを判定する。制御部10は、この判定がYESの場合、処理をステップS13に移し、判定がNOの場合、処理をステップS14に移す。
【0066】
ステップS13(書込ステップ)では、制御部10(書込部19)は、編集後のコンテンツデータを、コンテンツファイル31に書き込む。
【0067】
ステップS14では、制御部10は、入力部40を介してユーザから、又は他のソフトウェア等からの要求により、編集ソフトウェアの実行を終了するか否かを判定する。制御部10は、この判定がYESの場合、処理を終了し、判定がNOの場合、処理をステップS2に戻してコンテンツデータの編集処理を継続する。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、コンテンツ編集装置1は、暗号鍵を編集ソフトウェア内に一時記憶し、この編集ソフトウェア内でのみ参照可能とする。そして、コンテンツ編集装置1は、コピーデータを暗号化して記憶するので、暗号鍵を取得できない他の編集ソフトウェアにより、このコピーデータが使用されることはない。このことにより、コンテンツ編集装置1は、所定の編集ソフトウェアのみで有効となるコピーアンドペースト機能を実現できるので、編集作業の利便性を失わずに、不正コピーの流出を抑制しつつ、コンテンツの編集を可能にできる。
【0069】
具体的には、例えば、複数の異なる提供元のコンテンツを復号させて新しいマッシュアップコンテンツを作成する場合等に、特定の編集ソフトウェアによる編集のみを許可し、不正な流出を抑制することができる。
【0070】
また、コンテンツ編集装置1は、コピー指示に応じて、一時的な暗号鍵を、その都度生成するので、コピーデータを暗号化するための暗号鍵自体を一時的なものとし、コピーデータの流出をさらに抑制することができる。
【0071】
また、コンテンツ編集装置1は、暗号鍵と対応付けて、コピーデータのテンポラリIDを生成して記憶する。暗号化コピーデータと暗号鍵とは、このテンポラリIDにより対応付けられるので、コンテンツ編集装置1は、ペースト指示により指定されるテンポラリIDに基づいて、暗号化コピーデータ及び暗号鍵を抽出して、コピーデータを復元することができる。したがって、コンテンツ編集装置1は、複数の暗号化コピーデータを同時に記憶し、任意の選択を受け付けてペースト処理を行うことができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0073】
前述の実施形態では、暗号化コピーデータは、記憶部30に記憶されることとしたが、これには限られず、他の記憶装置に記憶されてもよい。コピー記憶部15は、暗号化コピーデータ及びテンポラリIDを、一時記憶部20に記憶し、他のソフトウェアからの参照をさらに抑制してもよい。
【0074】
また、前述の実施形態における所定の編集ソフトウェアは、特定の種類又は唯一のソフトウェア自身であってもよいし、ソフトウェアに組み込まれるプラグインであってもよい。さらに、例えばプラグインによりウィンドウ単位(編集対象のファイル単位)で制御することにより、同一ソフトウェア内であっても、ファイル間のコピーアンドペーストが制限される。その結果、ファイルフォーマットの変換のみならず、同一フォーマットでの別ファイルへの流用をも制限できる。
【符号の説明】
【0075】
1 コンテンツ編集装置
10 制御部
11 読込部
12 コピー部
13 鍵生成部
14 暗号化部
15 コピー記憶部
16 抽出部
17 復号部
18 ペースト部
19 書込部
20 一時記憶部
21 暗号鍵情報
30 記憶部
31 コンテンツファイル
32 暗号化データファイル
40 入力部
50 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の編集ソフトウェアに対応したコンテンツデータを読み込む読込部と、
前記編集ソフトウェア内において、第1のコンテンツデータの少なくとも一部分に対するコピー指示に基づいて、当該コピー指示をされたコピーデータを抽出するコピー部と、
暗号鍵を生成して前記編集ソフトウェア内に一時記憶する鍵生成部と、
前記コピーデータを、一時記憶されている前記暗号鍵により暗号化し、暗号化コピーデータを生成する暗号化部と、
前記暗号化コピーデータを記憶するコピー記憶部と、
前記編集ソフトウェア内において、第2のコンテンツデータに前記コピーデータを貼り付けるペースト指示に基づいて、前記コピー記憶部により記憶された前記暗号化コピーデータを抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記暗号化コピーデータを、一時記憶されている前記暗号鍵により復号し、前記コピーデータを復元する復号部と、
前記復号部により復元された前記コピーデータを、前記ペースト指示に基づいて、前記第2のコンテンツデータに貼り付けるペースト部と、
編集後のコンテンツデータをファイルに書き込む書込部と、を備えるコンテンツ編集装置。
【請求項2】
前記鍵生成部は、前記コピー指示に応じて、その都度、一時的な暗号鍵を生成する請求項1に記載のコンテンツ編集装置。
【請求項3】
前記鍵生成部は、前記コピー指示に応じて、前記一時的な暗号鍵と対応付けて、前記コピーデータの識別子を生成して前記編集ソフトウェア内に一時記憶し、
前記コピー記憶部は、前記暗号化コピーデータと前記識別子とを対にして記憶し、
前記抽出部は、前記ペースト指示により指定される前記識別子に基づいて、当該識別子と対になって記憶されている前記暗号化コピーデータを抽出する請求項2に記載のコンテンツ編集装置。
【請求項4】
所定の編集ソフトウェアに対応したコンテンツデータを読み込む読込ステップと、
前記編集ソフトウェア内において、第1のコンテンツデータの少なくとも一部分に対するコピー指示に基づいて、当該コピー指示をされたコピーデータを抽出するコピーステップと、
暗号鍵を生成して前記編集ソフトウェア内に一時記憶する鍵生成ステップと、
前記コピーデータを、一時記憶されている前記暗号鍵により暗号化し、暗号化コピーデータを生成する暗号化ステップと、
前記暗号化コピーデータを記憶するコピー記憶ステップと、
前記編集ソフトウェア内において、第2のコンテンツデータに前記コピーデータを貼り付けるペースト指示に基づいて、前記コピー記憶ステップにより記憶された前記暗号化コピーデータを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された前記暗号化コピーデータを、一時記憶されている前記暗号鍵により復号し、前記コピーデータを復元する復号ステップと、
前記復号ステップにより復元された前記コピーデータを、前記ペースト指示に基づいて、前記第2のコンテンツデータに貼り付けるペーストステップと、
編集後のコンテンツデータをファイルに書き込む書込ステップと、をコンピュータが実行するコンテンツ編集方法。
【請求項5】
所定の編集ソフトウェアに対応したコンテンツデータを読み込む読込ステップと、
前記編集ソフトウェア内において、第1のコンテンツデータの少なくとも一部分に対するコピー指示に基づいて、当該コピー指示をされたコピーデータを抽出するコピーステップと、
暗号鍵を生成して前記編集ソフトウェア内に一時記憶する鍵生成ステップと、
前記コピーデータを、一時記憶されている前記暗号鍵により暗号化し、暗号化コピーデータを生成する暗号化ステップと、
前記暗号化コピーデータを記憶するコピー記憶ステップと、
前記編集ソフトウェア内において、第2のコンテンツデータに前記コピーデータを貼り付けるペースト指示に基づいて、前記コピー記憶ステップにより記憶された前記暗号化コピーデータを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された前記暗号化コピーデータを、一時記憶されている前記暗号鍵により復号し、前記コピーデータを復元する復号ステップと、
前記復号ステップにより復元された前記コピーデータを、前記ペースト指示に基づいて、前記第2のコンテンツデータに貼り付けるペーストステップと、
編集後のコンテンツデータをファイルに書き込む書込ステップと、をコンピュータに実行させるコンテンツ編集プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−203802(P2012−203802A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69953(P2011−69953)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】