説明

コンテンツ表示倍率変更方法、コンテンツ表示倍率変更プログラム、及びコンテンツ表示倍率変更装置

【課題】コンテンツの拡大表示又は縮小表示を直感的な操作で行うのに好適なコンテンツ表示倍率変更方法を提供すること。
【解決手段】第一と第二のアイコンを表示画面に表示するアイコン表示ステップと、第一又は第二のアイコンを所定の方向にドラッグする操作入力を所定の時間間隔で監視するステップと、操作入力が検知されたときに実行される第一から第三の処理ステップであって、検知されたドラッグの速度を測定する第一の処理ステップと、測定されたドラッグの速度に基づいて表示画面に表示されているコンテンツの前回の表示に対する変倍率を決定する第二の処理ステップと、決定された変倍率に従ってコンテンツの表示を変倍する第三の処理ステップと有し、ドラッグされた第一又は第二のアイコンをドラッグしない状態で一定時間選択し続ける操作入力が検知された場合は、最後に決定された変倍率に従ってコンテンツの表示を変倍する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツの拡大表示又は縮小表示を直感的な操作で行うのに好適なコンテンツ表示倍率変更方法、コンテンツ表示倍率変更プログラム、及びコンテンツ表示倍率変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な情報機器端末には、画像や文書等の電子ファイルを閲覧するためのビューアや、Webコンテンツを閲覧するためのWebブラウザ等のコンテンツ閲覧機能を有するアプリケーションが実装されている。この種のアプリケーションには、直感的な操作性が恒常的に求められている。直感的な操作性の実現を試みたアプリケーションの具体的構成例は、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のアプリケーションは、地図画像の拡大表示又は縮小表示を直感的操作で行うため、表示ウィンドウ枠を指でタッチしてドラッグすると、ドラッグ量やドラッグ速度に応じて地図画像の縮尺を変更するようにデザインされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−140060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のアプリケーションにおいて、ドラッグ操作して指が画面の端に達すると、表示ウィンドウ枠がそれ以上拡がらない。そのため、一回のドラッグ操作で変更可能な縮尺には限りがある。縮尺を大幅に変更したい場合は、ドラッグ操作を複数回繰り返さなければならない。このような煩雑な操作は、直感的な操作性を損なう虞があり望ましくない。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンテンツの拡大表示又は縮小表示を直感的な操作で行うのに好適なコンテンツ表示倍率変更方法、コンテンツ表示倍率変更プログラム、及びコンテンツ表示倍率変更装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する本発明の一形態に係るコンテンツ表示倍率変更方法は、所定の方向に並ぶ第一と第二のアイコンを表示画面に表示するアイコン表示ステップと、第一又は第二のアイコンを所定の方向にドラッグする操作入力を所定の時間間隔で監視する監視ステップと、操作入力が検知されたときに実行される第一から第三の処理ステップであって、該検知されたドラッグの速度を測定する第一の処理ステップと、該測定されたドラッグの速度に基づいて表示画面に表示されているコンテンツの前回の表示に対する変倍率を決定する第二の処理ステップと、該決定された変倍率に従ってコンテンツの表示を変倍する第三の処理ステップと有する。ドラッグされた第一又は第二のアイコンをドラッグしない状態で一定時間選択し続ける操作入力が検知された場合は、最後に決定された変倍率に従ってコンテンツの表示を変倍する。
【0007】
本発明に係るコンテンツ表示倍率変更方法によれば、コンテンツを一回のドラッグ操作で又は少ないドラッグ操作量で大幅に拡大させ又は縮小させることができる。ドラッグ操作を複数回繰り返す必要が無く操作が簡単なため、直感的な操作性が損なわれない。
【0008】
最後に決定された変倍率に従ったコンテンツの表示の変倍は、例えば、第一又は第二のアイコンの選択が解除されるまで、又は該第一及び該第二のアイコンを表示画面から消去する操作が行われるまで、所定の時間間隔で繰り返し行われる。
【0009】
所定の方向は、例えば所定の正方向と、該所定の正方向と逆の所定の逆方向を含む。ここで、第一又は第二のアイコンを所定の正方向にドラッグする操作入力が検知された場合は、第二の処理ステップで該ドラッグの速度に基づき又は該ドラッグの速度に第一の関数を適用してコンテンツの前回の表示に対する拡大率が決定されてもよい。第一又は第二のアイコンを所定の逆方向にドラッグする操作入力が検知された場合は、第二の処理ステップで該ドラッグの速度に基づき又は該ドラッグの速度に第一の関数と異なる第二の関数を適用してコンテンツの前回の表示に対する縮小率が決定されてもよい。
【0010】
第一又は第二のアイコンの選択が解除されたとき、コンテンツは、例えば該選択の解除時点の倍率の表示を維持する。
【0011】
第一の処理ステップで測定されたドラッグの速度が所定の速度に満たない場合は、第二及び第三の処理ステップの実行を中止してもよい。
【0012】
上記の課題を解決する本発明の一形態に係るコンテンツ表示倍率変更プログラムは、上記コンテンツ表示倍率変更方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0013】
上記の課題を解決する本発明の一形態に係るコンテンツ表示倍率変更装置は、所定の方向に並ぶ第一と第二のアイコンを表示画面に表示するアイコン表示手段と、第一又は第二のアイコンを所定の方向にドラッグする操作入力を所定の時間間隔で監視する監視手段と、監視手段により操作入力が検知されたときに、該検知されたドラッグの速度を測定する速度測定手段と、該測定されたドラッグの速度に基づいて表示画面に表示されているコンテンツの前回の表示に対する変倍率を決定する倍率決定手段と、該決定された変倍率に従ってコンテンツの表示を変倍する表示変倍手段とを有する。当該コンテンツ表示倍率変更装置は、ドラッグされた第一又は第二のアイコンをドラッグしない状態で一定時間選択し続ける操作入力が検知された場合、倍率決定手段が最後に決定した変倍率に従ってコンテンツの表示を変倍することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コンテンツの拡大表示又は縮小表示を直感的な操作で行うのに好適なコンテンツ表示倍率変更方法、コンテンツ表示倍率変更プログラム、及びコンテンツ表示倍率変更装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の端末装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の端末装置のディスプレイの表示画面例である。
【図3】本発明の実施形態のスライダを構成するアイコンがドラッグされたときに変倍率を決定するために用いられる関数のグラフを示す。
【図4】本発明の実施形態の端末装置のディスプレイの表示画面例である。
【図5】本発明の実施形態で実行されるコンテンツ表示倍率変更処理のフローチャートを示す図である。
【図6】本発明の実施形態の端末装置のディスプレイの表示画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態の端末装置10の構成を示すブロック図である。端末装置10は、コンテンツ閲覧機能を有するアプリケーションを実装した情報機器端末である。端末装置10には、例えば携帯電話端末、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、PND(Portable Navigation Device)、携帯ゲーム機、表示パネル付き家電、デスクトップPC、ラップトップPC等の各種形態の機器が想定される。
【0018】
図1に示されるように、端末装置10は、装置全体の制御を統括的に実行するCPU(Central Processing Unit)103を有している。端末装置10を構成する各要素は、システムバス119を介してCPU103と相互に接続されている。端末装置10を構成する各要素には、フラッシュメモリ105、RAM(Random Access Memory)107、ネットワークインタフェース109、ディスプレイ111、ユーザインタフェース113、VRAM(Video Random Access Memory)115がある。システムバス119は、データラインの他に電源ラインも備えている。CPU103を始めとする端末装置10の各要素には、図示省略されたバッテリから電源ラインを介して電源供給が行われる。
【0019】
CPU103は、端末装置10の電源投入後、システムバス119を介して必要なハードウェアにアクセスする。端末装置10の電源投入直後、CPU103は、フラッシュメモリ105にアクセスしてOS(Operating System)1050を読み出して、RAM107にロードして起動させる。フラッシュメモリ105には、Webブラウザ1051、画像編集アプリケーション1052、文書編集アプリケーション1053、イメージビューア1054等の複数種類のアプリケーションがインストールされている。各種アプリケーションは、ムービーやイメージ、ドキュメント等の電子ファイル又はその組み合わせからなるコンテンツをディスプレイ111の表示画面に表示するための機能を有し、OS1050によるリソース及びプロセスの管理下で動作する。
【0020】
ユーザインタフェース113は、ディスプレイ111の表示面に実装されたタッチパネルデバイスである。ユーザは、ディスプレイ111の表示画面に表示されたコンテンツに対してペンタッチやフィンガータッチによる入力やフリック操作(画面上を指ではらう操作)による画面スクロール、ピンチ操作(二本の指の間を画面上で拡げる又は縮める操作)によるズームイン/ズームアウト等を行うことができる。
【0021】
コンテンツを表示するときに実行される一連の処理をWebブラウザ1051を例に取り説明する。OS1050は、Webブラウザ1051の起動を指示する入力を受け付けると、Webブラウザ1051をRAM107にロードして起動する。Webブラウザ1051は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)に準拠したリクエスト・メッセージを生成して指定URL(Uniform Resource Locator)にアクセスして、Webページ等のコンテンツをダウンロードする。Webブラウザ1051は、ダウンロードしたコンテンツのマークアップ文書の解釈、DOM(Document Object Model)ツリー、レイアウトツリー等の生成を行う。Webブラウザ1051は、レイアウトを決定したコンテンツの各要素をRAM107の所定領域に作成されたイメージバッファ1071に逐次レンダリングする。
【0022】
イメージバッファ1071は、ディスプレイ111の画面サイズ(ピクセル)よりも広範なイメージ領域を有している。イメージバッファ1071には、ディスプレイ111への表示が予定される領域(以下、説明の便宜上「指定領域」と記す。)及びその周辺を含む領域の要素がレンダリングされる。例えば、端末装置10が携帯電話端末である場合、ディスプレイ111の画面サイズとしてWVGA(Wide Video Graphics Array)やQVGA(Quarter Video Graphics Array)等が想定される。この場合、イメージバッファ1071には、例えばSXGA(Super eXtended Graphics Array)等のPCの画面サイズに相当する領域の要素がレンダリングされる。画面サイズよりも広範な領域を予めレンダリングしておくことにより、コンテンツの拡大・縮小や画面スクロール等の操作に対する表示の応答が高速になる。
【0023】
VRAM115は、ディスプレイ111の表示画面に直接表示される内容を保持するメモリであり、ディスプレイ111の画面サイズに対応するイメージ領域を有している。VRAM115には、イメージバッファ1071の指定領域にレンダリングされた内容が転送される。レンダリング結果がVRAM115に転送されると、コンテンツが表示画面に表示される。
【0024】
指定領域は、画面スクロール操作やズームイン/ズームアウト操作等に応じて変更される。例えば画面スクロール操作が行われると、スクロール操作量及びスクロール操作方向に応じて指定領域がイメージバッファ1071上で移動する。ズームイン操作が行われた場合、指定領域は、イメージバッファ1071上のより狭い領域を指定する。ズームアウト操作が行われた場合は、イメージバッファ1071上のより広い領域が指定領域として指定される。イメージバッファ1071上の指定領域の移動又はサイズ変更に伴ってVRAM115に書き込まれる内容が更新されることにより、画面スクロール操作又はズームイン/ズームアウト操作の結果を反映したコンテンツ中の領域がディスプレイ111の表示画面に表示される。
【0025】
図2(a)〜(e)は、ディスプレイ111の表示画面例である。コンテンツ表示中に所定の条件が満たされると、図2(a)に示されるように、スライダ20が表示画面左端中央付近に表示される。所定の条件とは、例えば、画面スクロール操作やズームイン/ズームアウト操作をした直後であること、特定のソフトウェアキー又はハードウェアキーを操作したこと、などである。スライダ20は、スライダ20に対する入力が一定時間無い場合や画面スクロール操作が行われた場合に表示画面から消去される。スライダ20の出現位置は、ユーザによる設定操作によって変更することができる。
【0026】
スライダ20は、「+」アイコン22と「−」アイコン24を有している。例えば「+」アイコン22をタッチして画面下方向にドラッグすると、図2(b)に示されるように、「+」アイコン22と「−」アイコン24とを接続する帯状のUI(User Interface)がドラッグ操作量に応じて伸びると共にコンテンツが拡大表示される。帯状UIは、「+」アイコン22又は「−」アイコン24がドラッグされた距離を明示的に表す。コンテンツの拡大率は、「+」アイコン22を画面下方向に速く移動させるほど高くなる。「+」アイコン22は、ユーザが指を離すと、図2(c)に示されるように、「−」アイコン24に引き寄せられて元の位置に復帰する。コンテンツは、「+」アイコン22から指を離した時点(拡大後)の倍率の表示を維持する。
【0027】
「−」アイコン24をタッチして画面上方向にドラッグすると、図2(d)に示されるように、帯状UIがドラッグ操作量に応じて伸びると共にコンテンツが縮小表示される。コンテンツの縮小率は、「−」アイコン24を画面上方向に速く移動させるほど高くなる。「−」アイコン24は、ユーザが指を離すと、図2(e)に示されるように、「+」アイコン22に引き寄せられて元の位置に復帰する。コンテンツは、「−」アイコン24から指を離した時点(縮小後)の倍率の表示を維持する。変倍されたコンテンツは、例えば特定の簡単な操作(画面を2回叩くダブルタップ操作など)が行われるとデフォルト設定の倍率の表示に戻る。
【0028】
「+」アイコン22又は「−」アイコン24のドラッグ速度には正負がある。「+」アイコン22又は「−」アイコン24を画面下方向にドラッグすると正のドラッグ速度が測定され、「+」アイコン22又は「−」アイコン24を画面上方向にドラッグすると負のドラッグ速度が測定される。コンテンツの表示は、原則、「+」アイコン22又は「−」アイコン24のドラッグ速度が正であるときに拡大され、負であるときに縮小される。
【0029】
「+」アイコン22又は「−」アイコン24のドラッグ速度は、「+」アイコン22又は「−」アイコン24の単位時間当たりのドラッグ距離(単位:pixel)から測定される。ドラッグ速度の測定は、例えば0.5秒ごとに行われる。図3(a)は、「+」アイコン22又は「−」アイコン24が画面下方向にドラッグされたとき(すなわち、正のドラッグ速度が測定されたとき)に拡大率を決定するために用いられる関数f1のグラフである。図3(b)は、「+」アイコン22又は「−」アイコン24が画面上方向にドラッグされたとき(すなわち、負のドラッグ速度が測定されたとき)に縮小率を決定するために用いられる関数f2のグラフである。図3に示されるように、コンテンツの変倍率は、「+」アイコン22又は「−」アイコン24のドラッグ速度が速いほど高い。例えば「+」アイコン22を0.5秒間で画面下方向に200ピクセルドラッグした場合、コンテンツの表示倍率は、1.5倍に設定される。これに対して「+」アイコン22を0.5秒間で画面下方向に400ピクセルドラッグした場合は、コンテンツの表示倍率が2.0倍に設定される。また、図3に示されるように、コンテンツの変倍率は、コンテンツを拡大する際と縮小する際とで別個独立した関数を用いて決定されている。そのため、コンテンツを拡大する際と縮小する際のドラッグ操作に対する倍率変更の感度は、ユーザの好みに応じて異なる感度に設定してもよい。
【0030】
コンテンツの表示は、「+」アイコン22又は「−」アイコン24のドラッグ速度が測定されるごとに(つまり、0.5秒ごとに)直前の表示に対して拡大され又は縮小される。例えば「+」アイコン22を画面下方向に等速でドラッグすると、コンテンツは一定の拡大率で拡大表示され続ける。例として、「+」アイコン22を画面下方向に等速(200(pixel/s))で1.5秒間ドラッグする場合を考える。この場合、ドラッグ操作開始から0.5秒経過してドラッグ速度が測定されると、コンテンツの表示は、ドラッグ操作開始時点の表示倍率に対して1.25倍に拡大する。更に0.5秒経過(ドラッグ操作開始から1.0秒経過)してドラッグ速度が測定されると、コンテンツの表示は、更に1.25倍拡大する(ドラッグ操作開始時点の表示倍率に対しては1.25×1.25=1.5625倍に拡大)。更に0.5秒経過(ドラッグ操作開始から1.5秒経過)してドラッグ速度が測定されると、コンテンツの表示は、更に1.25倍拡大する(ドラッグ操作開始時点の表示倍率に対しては1.25×1.25×1.25=1.9531倍に拡大)。
【0031】
ドラッグ操作の途中でコンテンツをより早く拡大させ又は縮小させたい場合は、「+」アイコン22又は「−」アイコン24のドラッグ速度を変えればよい。例えば「+」アイコン22を画面下方向により速くドラッグすると、コンテンツの拡大率が高くなる。逆にドラッグ速度をより遅くすると、コンテンツの拡大率が低くなる。前者の場合は、コンテンツを瞬時に大きく拡大させることができる。後者の場合は、「+」アイコン22の画面上方向へのドラッグ操作と組み合わせることにより、コンテンツの表示倍率を微調節することができる。すなわち、本実施形態によれば、コンテンツの表示倍率の大幅な変更と微調節をスライダ20に対する一連の操作で簡易に行うことができる。上記例において、例えば最後の0.5秒だけ400(pixel/s)でドラッグした場合、コンテンツの表示は、直前(0.5秒前)の表示に対して1.5倍拡大する(ドラッグ操作開始時点の表示倍率に対しては1.25×1.25×1.5=2.3438倍に拡大)。つまり、「+」アイコン22を操作途中で画面下方向により速くドラッグすると、コンテンツの表示をより迅速に大きく拡大させることができる。更に0.5秒経過する間に「+」アイコン22を画面上方向に400(pixel/s)でドラッグした場合は、コンテンツの表示が直前(0.5秒前)の表示に対して0.75倍に縮小する(ドラッグ操作開始時点の表示倍率に対しては1.25×1.25×1.5×0.75=1.7578倍に拡大)。更に0.5秒経過する間に画面上方向への「+」アイコン22のドラッグ速度を落として(例えば200(pixel/s))ドラッグした場合、コンテンツの表示は、直前(0.5秒前)の表示に対して0.88倍に縮小する(ドラッグ操作開始時点の表示倍率に対しては1.25×1.25×1.5×0.75×0.88=1.5649倍に拡大)。当該例に示されるように、コンテンツの表示倍率は、「+」アイコン22に対する画面上下方向のドラッグ操作を適宜行うことで微調節される。
【0032】
図4(a)〜(e)は、ディスプレイ111の別の表示画面例である。表示画面左端中央付近に表示されているスライダ20の「+」アイコン22をタッチして画面下方向にドラッグすると、帯状UIがドラッグ操作量に応じて伸びると共にコンテンツが拡大表示される(図4(a)、(b)参照)。ドラッグ操作を止めた後も「+」アイコン22をタッチした状態で(つまり「+」アイコン22を選択した状態で)いると、コンテンツの表示倍率と共にスライダ20の表示状態(帯状UIがドラッグ操作量に応じて伸びている状態)も維持される。ドラッグ操作を止めて「+」アイコン22をタッチした状態が一定時間持続すると、コンテンツは、図4(c)に示されるように、ドラッグ操作を止める直前に測定された拡大率で再度拡大表示され続ける。コンテンツの表示の拡大は、ドラッグ操作を再開する又は「+」アイコン22から指を離さない限り、継続する。例えばドラッグ操作を止める直前に測定された拡大率が2.0倍の場合、コンテンツは、ドラッグ操作を再開する又は「+」アイコン22から指を離さない限り、ドラッグ速度が測定されるごとに(つまり、0.5秒ごとに)直前の表示に対して2.0倍拡大する。本実施形態によれば、コンテンツの表示の拡大がドラッグ操作を止めた状態で持続的に行われるため、コンテンツを少ないドラッグ操作量で大きく拡大させることができる。コンテンツを大幅に変倍させる際にドラッグ操作を複数回繰り返す必要が無く操作が簡単なため、直感的な操作性が損なわれない。
【0033】
「+」アイコン22を画面上方向にドラッグすると、図4(d)に示されるように、帯状UIがドラッグ操作量に応じて縮むと共にコンテンツが縮小表示される。コンテンツの縮小率は、「+」アイコン22を画面上方向に速く移動させるほど高くなる。「+」アイコン22は、ユーザが指を離すと、図4(e)に示されるように、「−」アイコン24に引き寄せられて元の位置に復帰する。コンテンツは、「+」アイコン22から指を離した時点(縮小後)の倍率の表示を維持する。
【0034】
図5は、CPU103がOS1050及びOS1050上で動作する各種プログラムと連係動作して実行するコンテンツ表示倍率変更処理のフローチャートを示す。図2〜図4を用いて説明したコンテンツの変倍表示は、図5に示すコンテンツ表示倍率変更処理を実行することにより実現される。以降の本明細書中の説明並びに図面において、処理ステップは「S」と省略して記す。
【0035】
コンテンツ表示倍率変更処理は、スライダ20がディスプレイ111の表示画面に表示されると開始され、表示画面から消去されると終了する。S1の処理では、カウント値Cが0にリセットされる。S2の処理では、「+」アイコン22又は「−」アイコン24のドラッグ速度が測定される。「+」アイコン22又は「−」アイコン24が画面下方向にドラッグされたとき(S2:画面下方向にドラッグ)、測定された正のドラッグ速度に関数f1を適用して拡大率を決定する(S3)。「+」アイコン22又は「−」アイコン24が画面上方向にドラッグされたときには(S2:画面上方向にドラッグ)、測定された負のドラッグ速度に関数f2を適用して縮小率を決定する(S4)。S5の処理では、S3又はS4の処理で決定された拡大率又は縮小率でコンテンツが変倍表示される。
【0036】
S6の処理では、「+」アイコン22又は「−」アイコン24のドラッグ速度が80(pixel/s)未満か否かが判定される。ドラッグ速度が80(pixel/s)以上である場合(S6:NO)、処理はS1に戻る。S1〜S6の処理は、「+」アイコン22又は「−」アイコン24をドラッグ中、0.5秒サイクルで繰り返される。ドラッグ速度が80(pixel/s)未満である場合は(S6:YES)、S7の処理でカウント値Cが1インクリメントされる。
【0037】
S8の処理では、インクリメントされたカウント値Cが所定値Nに達したか否かが判定される。カウント値Cが所定値N未満である場合(S8:NO)、処理はS6に戻る。カウント値Cが所定値Nに達した場合(S8:YES)、「+」アイコン22又は「−」アイコン24のドラッグ速度は、一定時間継続して80(pixel/s)未満である。本実施形態において、ドラッグ速度が80(pixel/s)未満の期間は、指の微小な動きで検知された入力に応じた意図しない変倍表示を避けるため、ドラッグ操作されていないとみなされる。すなわち、カウント値Cが所定値Nに達した時(S8:YES)、「+」アイコン22又は「−」アイコン24がタッチされた状態でドラッグ操作が一定時間止められているとみなされる。
【0038】
ユーザは、コンテンツを所望の倍率まで拡大表示又は縮小表示できている場合、ドラッグ操作を止めてからS8の一定時間経過前に「+」アイコン22又は「−」アイコン24から指を離すとよい。コンテンツが所望の倍率まで拡大表示又は縮小表示されていない場合は、ドラッグ操作を止めてからS8の一定時間経過後のS9の処理の実行を待つとよい。S9の処理では、前回のS3又はS4の処理で決定された拡大率又は縮小率でコンテンツが拡大表示又は縮小表示され続ける。S9の変倍処理は、80(pixel/s)以上のドラッグ速度が検知されるまで(S10:YES)又はコンテンツ表示倍率変更処理が終了するまで継続する。すなわち、コンテンツの表示の拡大又は縮小がドラッグ操作を止めた状態で継続するため(S9、S10:NO)、コンテンツを一回のドラッグ操作で又は少ないドラッグ操作量で大幅に拡大させ又は縮小させることができる。ドラッグ操作を複数回繰り返す必要が無く操作が簡単なため、直感的な操作性が損なわれない。なお、80(pixel/s)以上のドラッグ速度が検知されたとき(S10:YES)、S11の処理でカウント値Cが1に設定された後、処理はS2に戻る。
【0039】
ユーザは、スライダ20が伸びていないとき(例えば図2(a)等参照)に「+」アイコン22と「−」アイコン24との境界をタッチすると、スライダ20自体をドラッグして表示画面内の所望の位置に移動させることができる。
【0040】
図6は、ディスプレイ111の別の表示画面例である。例えば図6に示されるように、「+」アイコン22は、表示画面の水平方向(水平方向を基準とした±45°以内の方向も含む)にドラッグすることができる。「+」アイコン22を表示画面の水平方向にドラッグしてスライダ20から分離させたとき、イメージバッファ1071上の指定領域は、「+」アイコン22がドラッグされた位置を中心とした領域に移動する。指定領域の移動に伴ってVRAM115に書き込まれる内容が更新されることにより、表示画面上のコンテンツの表示は、「+」アイコン22がドラッグされた位置を中心とした領域にスクロールする。「+」アイコン22から指を離すと、「+」アイコン22がスライダ20内の元の位置に復帰すると共に表示画面上のコンテンツの表示がスクロール前の表示に戻る。コンテンツの表示は、「+」アイコン22に代えて「−」アイコン24を表示画面の水平方向にドラッグした場合も同様にスクロールする。
【0041】
本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えばスライダ20に対する操作は、タッチパネルに限らず、メカニカルキーやメンブレンキー等の別形態の操作キーで行えるようにしてもよい。また、ジャイロセンサ、加速度センサ、ジャークセンサ等による入力に従ってスライダ20を操作する構成を採用してもよい。かかる構成によれば、端末装置10本体の傾斜角度、角速度、加速度、躍度(加速度の時間変化率)等が各種センサの出力を基に検出され、「+」アイコン22又は「−」アイコン24の一方が検出結果に応じた入力に従って他方のアイコンに対して離れる方向に移動する。
【0042】
スライダ20に対する操作は、シングルタッチ操作に限らずマルチタッチ操作も可能である。マルチタッチ操作では、「+」アイコン22と「−」アイコン24が別々の指でタッチ操作される。コンテンツは、例えば各アイコンをタッチした二本の指の間をディスプレイ111の表示画面上で拡げて「+」アイコン22と「−」アイコン24とを離すほど拡大表示され、二本の指の間を表示画面上で縮めて「+」アイコン22と「−」アイコン24とを近付けるほど縮小表示される。マルチタッチ操作においても、ドラッグ操作を止めて両アイコンをタッチした状態が一定時間持続すると、所定速度以上のドラッグ操作が検知されるまで又はコンテンツ表示倍率変更処理が終了するまでの間、コンテンツの表示の変倍が継続する(すなわち、図5のS9、S10のループ)。
【0043】
コンテンツの拡大率又は縮小率は、本実施形態ではドラッグ速度に対して線形に変化する関数を用いて設定されているが、別の実施形態ではドラッグ速度が速いほど変倍率がより一層高くなるように、ドラッグ速度に対して指数関数的に変化する関数を用いて設定されてもよい。
【0044】
スライダ20の伸縮方向は、本実施形態では上下であるが、別の実施形態では左右又は斜め方向としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 端末装置
103 CPU
105 フラッシュメモリ
107 RAM
109 ネットワークインタフェース
111 ディスプレイ
113 ユーザインタフェース
115 VRAM
1050 OS
1051 Webブラウザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に並ぶ第一と第二のアイコンを表示画面に表示するアイコン表示ステップと、
前記第一又は前記第二のアイコンを前記所定の方向にドラッグする操作入力を所定の時間間隔で監視する監視ステップと、
前記操作入力が検知されたときに実行される第一から第三の処理ステップであって、
前記検知されたドラッグの速度を測定する第一の処理ステップと、
前記測定されたドラッグの速度に基づいて前記表示画面に表示されているコンテンツの前回の表示に対する変倍率を決定する第二の処理ステップと、
前記決定された変倍率に従って前記コンテンツの表示を変倍する第三の処理ステップと、
を有し、
前記ドラッグされた第一又は第二のアイコンをドラッグしない状態で一定時間選択し続ける操作入力が検知された場合、最後に決定された前記変倍率に従って前記コンテンツの表示を変倍することを特徴とするコンテンツ表示倍率変更方法。
【請求項2】
前記最後に決定した前記変倍率に従った前記コンテンツの表示の変倍は、前記第一又は前記第二のアイコンの選択が解除されるまで、又は該第一及び該第二のアイコンを前記表示画面から消去する操作が行われるまで、所定の時間間隔で繰り返し行われることを特徴とする、請求項1に記載のコンテンツ表示倍率変更方法。
【請求項3】
前記所定の方向は、所定の正方向と、該所定の正方向と逆の所定の逆方向を含み、
前記第一又は前記第二のアイコンを前記所定の正方向にドラッグする操作入力が検知された場合は、前記第二の処理ステップで該ドラッグの速度に基づき前記コンテンツの前回の表示に対する拡大率を決定し、
前記第一又は前記第二のアイコンを前記所定の逆方向にドラッグする操作入力が検知された場合は、前記第二の処理ステップで該ドラッグの速度に基づき前記コンテンツの前回の表示に対する縮小率を決定することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のコンテンツ表示倍率変更方法。
【請求項4】
前記所定の方向は、所定の正方向と、該所定の正方向と逆の所定の逆方向を含み、
前記第一又は前記第二のアイコンを前記所定の正方向にドラッグする操作入力が検知された場合は、前記第二の処理ステップで該ドラッグの速度に第一の関数を適用して前記コンテンツの前回の表示に対する拡大率を決定し、
前記第一又は前記第二のアイコンを前記所定の逆方向にドラッグする操作入力が検知された場合は、前記第二の処理ステップで該ドラッグの速度に前記第一の関数と異なる第二の関数を適用して前記コンテンツの前回の表示に対する縮小率を決定することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のコンテンツ表示倍率変更方法。
【請求項5】
前記第一又は前記第二のアイコンの選択が解除されたとき、前記コンテンツは、該選択の解除時点の倍率の表示を維持することを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のコンテンツ表示倍率変更方法。
【請求項6】
前記第一の処理ステップで測定されたドラッグの速度が所定の速度に満たない場合は、前記第二及び前記第三の処理ステップの実行を中止することを特徴とする、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のコンテンツ表示倍率変更方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか一項に記載のコンテンツ表示倍率変更方法をコンピュータに実行させるためのコンテンツ表示倍率変更プログラム。
【請求項8】
所定の方向に並ぶ第一と第二のアイコンを表示画面に表示するアイコン表示手段と、
前記第一又は前記第二のアイコンを前記所定の方向にドラッグする操作入力を所定の時間間隔で監視する監視手段と、
前記監視手段により前記操作入力が検知されたときに、該検知されたドラッグの速度を測定する速度測定手段と、
前記測定されたドラッグの速度に基づいて前記表示画面に表示されているコンテンツの前回の表示に対する変倍率を決定する倍率決定手段と、
前記決定された変倍率に従って前記コンテンツの表示を変倍する表示変倍手段と、
を有し、
前記ドラッグされた第一又は第二のアイコンをドラッグしない状態で一定時間選択し続ける操作入力が検知された場合、前記倍率決定手段が最後に決定した前記変倍率に従って前記コンテンツの表示を変倍することを特徴とするコンテンツ表示倍率変更装置。
【請求項9】
前記最後に決定した前記変倍率に従った前記コンテンツの表示の変倍は、前記第一又は前記第二のアイコンの選択が解除されるまで、又は該第一及び該第二のアイコンを前記表示画面から消去する操作が行われるまで、所定の時間間隔で繰り返し行われることを特徴とする、請求項8に記載のコンテンツ表示倍率変更装置。
【請求項10】
前記所定の方向は、所定の正方向と、該所定の正方向と逆の所定の逆方向を含み、
前記倍率決定手段は、
前記第一又は前記第二のアイコンを前記所定の正方向にドラッグする操作入力が検知された場合に、該ドラッグの速度に基づき前記コンテンツの前回の表示に対する拡大率を決定し、
前記第一又は前記第二のアイコンを前記所定の逆方向にドラッグする操作入力が検知された場合に、該ドラッグの速度に基づき前記コンテンツの前回の表示に対する縮小率を決定することを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載のコンテンツ表示倍率変更装置。
【請求項11】
前記所定の方向は、所定の正方向と、該所定の正方向と逆の所定の逆方向を含み、
前記倍率決定手段は、
前記第一又は前記第二のアイコンを前記所定の正方向にドラッグする操作入力が検知された場合に、該ドラッグの速度に第一の関数を適用して前記コンテンツの前回の表示に対する拡大率を決定し、
前記第一又は前記第二のアイコンを前記所定の逆方向にドラッグする操作入力が検知された場合に、該ドラッグの速度に前記第一の関数と異なる第二の関数を適用して前記コンテンツの前回の表示に対する縮小率を決定することを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載のコンテンツ表示倍率変更装置。
【請求項12】
前記第一又は前記第二のアイコンの選択が解除されたとき、前記コンテンツは、該選択の解除時点の倍率の表示を維持することを特徴とする、請求項8から請求項11の何れか一項に記載のコンテンツ表示倍率変更装置。
【請求項13】
前記速度測定手段が測定したドラッグの速度が所定の速度に満たない場合は、前記倍率決定手段及び前記表示変倍手段による処理の実行を中止することを特徴とする、請求項8から請求項12の何れか一項に記載のコンテンツ表示倍率変更装置。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−84058(P2012−84058A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231579(P2010−231579)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(591112522)株式会社ACCESS (91)
【Fターム(参考)】