説明

コンテンツ転送用の無線アダプタ

本明細書では、コンテンツソースからコンテンツ再生機にコンテンツを無線で提供する実施形態を記載する。一実施形態では、コンテンツソースからコンテンツを受信するように動作可能な無線インタフェースと、コンテンツ再生機による再生のために、無線インタフェースによって受信されるコンテンツをルーティングするためのコンテンツ再生機との有線接続用の有線インタフェースとを備える無線アダプタが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテンツ転送用の無線アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
音楽又は映像のようなメディアなどのコンテンツを再生することの可能な携帯コンテンツ再生機その他のデバイスは、ますます一般的になっており、通常、ユーザの個人的なコンテンツを再生するように設計されている。ユーザは、MP3デジタル音楽プレーヤ、セルラー電話機、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ及びカーオーディオシステムなど、複数のメディアデバイスを用いる傾向にあり、それらのデバイスの多くは、ユーザの個人的なコンテンツを再生するためのコンテンツ再生機としての性能を有する。しかしながら、現在、ユーザの複数のデバイス間でコンテンツを転送する高速かつ便利な手法は存在しない。さらに、それらのデバイスは異なるユーザインタフェースを有する傾向にあるため、ユーザは音楽又は他のコンテンツを再生するために各デバイスについて学び、それらのデバイスを動作させるが、これは不便である。例えば、一部の自動車製造業者は、MP3プレーヤなどの携帯音楽プレーヤを車両のカーオーディオシステムに接続するためのコネクタキットを提供している。しかしながら、それらの既存のコネクタキットでは、ユーザには携帯音楽プレーヤをドックへ有線接続することが要求され、このドックがさらに車両のカーオーディオシステムへ有線で特別に接続される。携帯音楽プレーヤがドックに接続されるとき、通常、その携帯音楽プレーヤ自身のユーザインタフェース(ディスプレイ及び制御ボタン)は使用不能とされ、ユーザは車両のカーオーディオシステムに属す制御ボタンを用いる必要があり、ドックに接続された携帯音楽プレーヤの制御は限定されている。さらに、通常、ユーザには、車両のダッシュボードディスプレイ上に、再生中のトラックを示すための限定的な数値の表示が提供されている。他の既存の車両コネクタキットは、車両のダッシュボード上の表示用に携帯音楽プレーヤのタイトルナビゲーションを採用し、より詳細なコンテンツ情報をユーザに提供することが可能である。
しかしながら、そうしたコネクタキットでも、携帯音楽プレーヤをドックに接続することや、車両へのドックに特別に接続すること、また携帯音楽プレーヤがドックに接続されているときにはプレーヤのユーザインタフェース(ディスプレイ及び制御ボタン)が使用不能とされることが要求される。
【0003】
したがって、本明細書では、コンテンツソースからコンテンツ再生機にコンテンツを無線で提供する実施形態を記載する。一実施形態では、コンテンツソースからコンテンツを受信するように動作可能な無線インタフェースと、コンテンツ再生機による再生のために、無線インタフェースによって受信されるコンテンツをルーティングするためのコンテンツ再生機との有線接続用の有線インタフェースとを備える無線アダプタが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
1.システム概要
図1には、一実施形態によるコンテンツ配信用のシステム100を示す。システム100は、コンテンツプロバイダ110、コンテンツサービス120、ネットワーク130及びターゲットデバイス140を含む。コンテンツプロバイダ110は、再生その他の手段によってユーザに消費され得るコンテンツを提供するように構成されたエンティティを含む。コンテンツは、音声、映像、文字などのメディア、音声、映像及び文字のうちの2つ以上を含むマルチメディア、又は他の種類のデータを含む。コンテンツの例は、以下に限定されないが、MP3ファイルなどのメディアファイル、他の種類の音声ファイル、映像ファイル、文字による音楽再生リスト、及び他の種類のファイルを含む。コンテンツプロバイダ110の例は、以下に限定されないが、ニュースプロバイダ(ローカル及びケーブルニューステレビ局など)、テレビスタジオ、映画スタジオ、音楽レーベル、オンライン音楽(又は他のメディア)プロバイダなどを含む。
【0005】
一般的には、コンテンツプロバイダ110は、コンテンツサービス120が幾つかの機能を提供することができるように、コンテンツサービス120にコンテンツを提供する。機能のうちの1つは、コンテンツプロバイダ110から新たなコンテンツをほぼ定期的に受信することを含む。機能のうちの別の1つは、コンテンツプロバイダ110から受信されるコンテンツをユーザに利用可能とすることを含む。加えて、コンテンツサービス120は、複数のコンテンツプロバイダ110からコンテンツを受信して、比較的大きなコンテンツ選択をユーザに提供してもよい。ユーザは、例えば、購読サービス及びオンデマンドサービスのうちの一方又は両方を通じて、コンテンツサービス120によって利用可能とされるコンテンツを取得することができる。
【0006】
また、コンテンツサービス120はユーザ用のコンテンツを自動的に編成し、ユーザに新たなコンテンツを連続的に提供してもよい。加えて、コンテンツサービス120は、請求、ユーザ情報トラッキング、履歴データトラッキングなど、他の機能を実行してもよい。コンテンツサービス120は、ユーザ情報及びコンテンツを記憶するためのサーバ121及びデータベース122を備えてもよい。サーバ121は、ユーザによって用いられるターゲットデバイス140へのコンテンツのダウンロードを行うことができる。コンテンツサービス120の大きさ及び複雑さに応じて、サーバ121が複数のサーバを含んでよいことや、データベース122が複数のデータベースを含んでよいことは、当業者には明らかである。例えば、比較的多数のユーザをサポートするには、コンテンツプロバイダ110からコンテンツを取得し、最小の遅延でユーザにコンテンツを提供するために、幾つかのサーバ121及びデータベース122が必要な場合がある。
【0007】
ネットワーク130は、1つ以上のネットワークを表してもよい。ネットワーク130は、1つ以上のプライベートネットワーク、インターネットなどのパブリックネットワーク、衛星ネットワーク及びセルラーネットワークなど無線ネットワーク、Wi−Fi又はブルートゥース(登録商標)ネットワークなど無線ローカルエリアネットワーク、有線ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、並びに他の種類の通信ネットワークを含んでもよい。
【0008】
コンテンツサービス120は、ネットワーク130を介してターゲットデバイス140にコンテンツを提供できる。ターゲットデバイス140はコンテンツサービス120からコンテンツをダウンロードしてもよく、1つ以上の他のターゲットデバイスからコンテンツを受信してもよく、又はコンテンツサービス120からコンテンツをダウンロードするとともに別のターゲットデバイスからコンテンツを受信するように動作可能であってもよい。例えば、図1に示すように、ターゲットデバイス141,142はコンテンツサービス120からコンテンツをダウンロードするように動作可能であるが、別のターゲットデバイスからコンテンツを受信するように動作可能であってもよい。やはり図1に示すように、ターゲットデバイス143は、ターゲットデバイス142など別のターゲットデバイスから、コンテンツを受信するように動作可能である。この例では、ターゲットデバイス142はコンテンツサービス120からコンテンツをダウンロードするか、又はターゲットデバイス141からコンテンツを受信することができ、ターゲットデバイス142はターゲットデバイス143にコンテンツを送信する。コンテンツサービス120及びターゲットデバイス140については、図2に関連してさらに詳細に記載する。適切なターゲットデバイス140の例は、以下に限定されないが、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、セルラー電話機、カーラジオ、ホームステレオ、セットトップボックス、MP3プレーヤ、携帯ビデオプレーヤー及び他のエンドユーザデバイスを含む。
【0009】
2.コンテンツサービスの機能及び利点の概要
システム100は、メディア体験を提供するコンテンツサービス120を利用するために従来の挙動を変化させることをユーザに要求することなく、ユーザにメディア体験を提供する。例えば、システム100は、自動車のカーラジオ、ユーザが移動中のセルラー電話機、家庭のパーソナルコンピュータ又はホームステレオなど、ユーザが任意の特定の時に用い得る幾つかのターゲットデバイス140のうちの1つのターゲットデバイス上で、ユーザが音楽ステーション、トークラジオ、個人的なコンテンツなど自身の選択した音声コンテンツを再生することを可能とする。ターゲットデバイスは、多くのターゲットデバイスのうちの任意の1つのターゲットデバイス上で、一日中シームレスに利用可能なチャネルのセットにおいて、ユーザによって選択されたコンテンツを所持することができる。システム100はコンテンツを管理し、消費されるときにそのコンテンツが自動的に補充されることを保証する。さらに、ターゲットデバイス140上には従来のデバイスインタフェースと同じか又は同様のインタフェースが備えられるため、ユーザは比較的迅速かつ容易に任意のターゲットデバイス上で所望のコンテンツを再生することができる。
【0010】
一実施形態では、コンテンツサービス120は、ユーザが1つ以上のターゲットデバイス140においてチャネルの1つ以上のセットを構成することを可能とする。各チャネルは、コンテンツプロバイダからのコンテンツに、又はユーザの個人的なコンテンツとして参照されるユーザの提供するコンテンツに占有される。チャネルはコンテンツのデータセットであり、このコンテンツは特定の種類のコンテンツであってよい。例えば、コンテンツサービス120は、コンテンツの数百のステーション又は個別のコンテンツを利用可能とすることができる。ウェブキャストラジオ及びウェブキャストテレビは、コンテンツのステーションの幾つかの例である。コンテンツサービス120は、コンテンツのステーションのうちの1つ以上を購読サービスとしてユーザに提供してもよい。ここで、1つ以上のステーションはユーザによって購読され、そのステーションのコンテンツはユーザの1つ以上のターゲットデバイスへ送信される。一例では、1つ以上のステーションは、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)準拠のストリーミングコンテンツからなる大きなブロック又は連続的なブロックを提供する。個別のコンテンツの幾つかの例は、シングル曲又はアルバム、映画、ビデオクリップなどを含む。コンテンツサービス120はオンデマンドサービスを提供してもよく、ユーザは個別のコンテンツを購入及びダウンロードすることが可能である。
【0011】
さらに、チャネルは、スポーツトークチャネル、ポピュラー音楽チャネルなど、特定の種類のコンテンツを含んでもよい。ユーザは、例えば、コンテンツサービス120によって提供され、ユーザが関心を有するコンテンツを選択することによって、チャネルのセットを構成することができる。以下では、このチャネルのセットをチャネルセットと呼ぶ。チャネルは高品質のデジタルコンテンツを含んでもよい。このデジタルコンテンツは幾つかの例では非商用である。また、チャネルセットのチャネルは、ユーザのパーソナルコンピュータ上に記憶されている音声ファイルなど、ユーザの個人的な収集からのコンテンツを含んでもよい。このチャネルは、再生リスト、ジャンル若しくはアーティスト、任意の他の所望のカテゴリ、又はコンテンツのセットによってプログラムされてもよい。
【0012】
ユーザは、ユーザが異なる時に異なるチャネルセットを用いることができるように、幾つかのチャネルセットを構成してもよい。例えば、ユーザは、通勤用など日常の使用のための第1のチャネルセットを作成することができる。このチャネルセットは、交通及びニュースのチャネル、スポーツトークラジオチャネルや、他のチャネルを含み得る。ユーザは、例えば、クラシックロックチャネル及びコメディチャネルを含む、長い移動用の第2のチャネルを作成することもできる。
【0013】
チャネル用のコンテンツは、コンテンツサービス120から1つ以上のターゲットデバイス140へダウンロードされてもよい。また、コンテンツサービス120は、新たなコンテンツを用いてターゲットデバイスをほぼ連続的に又は定期的にリフレッシュしてもよい。例えば、コンテンツの再生後など、ターゲットデバイスにおけるチャネルのコンテンツがユーザによって消費された後、又は所定時間の経過後など、コンテンツが古くなった後に、コンテンツサービス120から受信される新たなコンテンツ又はターゲットデバイス140のうちの別の1つにキャッシュ化された新たなコンテンツによって、チャネルのコンテンツが補充又は置換されてもよい。ターゲットデバイス上のこのコンテンツの更新は自動的に実行されてよく、比較的少量の記憶空間しか有しないPDA、電話機又は他のデバイスなど、コンテンツを記憶するために限定された記憶装置しか有しないターゲットデバイス140に有益である場合がある。
【0014】
加えて、ターゲットデバイス140は、各々、今日のエンドユーザデバイスのうちの1つ以上の種類において広範に用いられる従来のユーザインタフェースと同じか又は類似のインタフェースを備えてもよい。したがって、ユーザがターゲットデバイスのインタフェースを用いる方法を学ぶ必要はない。さらに、コンテンツを再生するために単一のユーザによって用いられ得る幾つかのターゲットデバイス140上に、共通のインタフェースが備えられてもよい。例えば、この共通のインタフェースは、ユーザの電話機、パーソナルコンピュータ、カーラジオなどの上に備えられる。したがって、ユーザが異なるターゲットデバイス140の異なるインタフェースを用いる方法を学ぶ必要はない。
【0015】
ターゲットデバイス140のユーザインタフェースは、チャネルプリセットを備える従来のラジオ又は音楽プレーヤのユーザインタフェースをエミュレートしてもよく、それらのユーザインタフェースを含んでもよい。ターゲットデバイス140上のインタフェースは、ラジオ上のチャネルプリセットボタンをクリックすることと同様に、「1クリック」チャネル選択を提供してもよい。一例では、各チャネルは、ユーザの予め選択した音楽の種類又はジャンルによって占有されたコンテンツを含むことができ、これによって、ラジオ上の異なるラジオ局間を切り替えることと同様に、ユーザが1クリックによりチャネル間を切り替えることを可能とする。また、このインタフェースはユーザがコンテンツを早送りすること、巻き戻す(rewind)こと、又は一時停止することを可能としてもよい。
【0016】
ユーザのパーソナルコンピュータにインストールされたソフトウェアアプリケーションは、ユーザがチャネルセットを管理及び構成し、複数のターゲットデバイス上のコンテンツを更新することを可能とする。また、1つのターゲットデバイス上に記憶されているコンテンツは、1つ以上の他のターゲットデバイス上で利用可能であってもよい。さらに、同じソフトウェアアプリケーション又は別のソフトウェアアプリケーションは、曲又は他のコンテンツにユーザがフラグを設定し、個人的な購入予定リストにそれらのコンテンツを追加することを可能とするターゲットデバイス上に提供されてもよい。
【0017】
3.コンテンツサービス
図2には、コンテンツ配信用のシステム100の一実施形態を示す。コンテンツサービス120を、図1に関連して記載したサーバ121及びデータベース122に加えて、管理モジュール123、コンテンツ配信モジュール124及び集合モジュール125を備えるように示す。本明細書では、モジュールは、1つ以上のプロセッサによる実行のためにコンピュータ可読媒体(CRM)上に記憶されている1つ以上のソフトウエアプログラム、アプリケーション、又はルーチンを含む。CRMの実施形態は、以下に限定されないが、受信機のプロセッサにコンピュータ可読命令を提供することの可能な、電子的、光学的、磁気的若しくは他の記憶装置又は伝送装置を含む。適切なCRMの他の例は、以下に限定されないが、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、DVD、磁気ディスク、メモリチップ、ROM、RAM、ASIC、構成されたプロセッサ、任意の光学媒体、任意の磁気テープ若しくは任意の他の磁気媒体、又はプロセッサが命令を読み取ることの可能な他の媒質を含む。これに加えて、又はこれに代えて、モジュールは、本明細書に記載の1つ以上の機能を実行するように構成されたハードウェアを表してもよい。
【0018】
管理モジュール123は、複数のユーザ間の情報を調整することができる。例えば、管理モジュール123は複数のユーザからチャネル構成情報を受信する。チャネル構成情報は、複数のユーザのチャネルの1つ以上のセットにおいてチャネルのコンテンツのユーザ選択を含んでもよい。ユーザ選択及びユーザによって構成されたチャネルセットは、コンテンツ消費用のパーミッション、特別な属性又は規則など、ユーザ選択及び構成に関連する、コンテンツサービス120によって追加された追加のチャネル構成情報と共にデータベース122に記憶されてもよい。続いて、ユーザに提供するコンテンツを決定するために、データベース122が問い合わせられる。一実施形態では、管理モジュール123は、ユーザがコンテンツサービス120にログインすることを可能とするウェブベースのユーザインタフェースを生成し、コンテンツサービス120を登録し、プレファレンスを設定して、チャネルセットを構成する。
【0019】
例えば、ユーザはパーソナルコンピュータ141を用いて、図1に示すネットワーク130を介してコンテンツサービス120に接続する。ネットワーク130は、図2に示すインターネット131、他のネットワーク、又はその両方を含み得る。ユーザはコンテンツサービス120にユーザ情報を提供し、このユーザ情報がデータベース122に記憶される。管理モジュール123は、各チャネルのコンテンツの種類の選択など、チャネル構成情報をユーザに提示してもよい。例えば、ユーザは、チャネル1にはニュース、交通及び天気を、チャネル2にはスポーツトークラジオを、チャネル3にはポップス音楽を、チャネル4にはオルタナティブ音楽を、チャネル5にはクラシックロック音楽を、またチャネル6にはクラシック音楽を選択することができる。管理モジュール123はデータベース122にユーザ選択を記憶し、チャネル1〜6は、関連するユーザ選択に対応するコンテンツと、コンテンツ配信モジュール124を用いてコンテンツサービス120によって追加される関連チャネル構成情報とによって占有される。上述において、6つのチャネルが限定の目的ではなく例示の目的で示されていることは、容易に理解される。したがって、システム100の範囲から逸脱することなく、任意の合理的に適切な数のチャネルが構成のために利用可能であってよい。
【0020】
これに代えて、管理モジュール123がユーザにユーザ情報を提示し、ユーザ情報に基づきユーザにチャネルが選択されてもよい。例えば、ユーザはユーザ構成情報(demographic information)又はお気に入りのアーティストの選択を提供することができる。この情報に基づき、ユーザのチャネルセット用に幾つかのチャネルが選択され得る。ユーザがチャネルセット用のチャネルのうちの一部を選択してもよい。また、デフォルトのチャネルが提供されてもよい。また、幾つかのチャネルセットは各々のユーザ用に構成されてもよい。
【0021】
コンテンツ配信モジュール124は、1つ以上のターゲットデバイス140にチャネルセット用のコンテンツを送信する。コンテンツ配信モジュール124は、関連チャネル構成情報に基づき、ターゲットデバイスに送信するコンテンツを決定することができる。例えば、コンテンツ配信モジュール124は、データベース122から選択されたチャネルのセット用のチャネル構成情報を読み出す。加えて、コンテンツ配信モジュール124は、1つ以上のターゲットデバイス140にそれぞれのチャネル用のコンテンツを送信してもよい。
【0022】
集合モジュール125は、例えば、コンテンツプロバイダ110からコンテンツ及び再生リストを受信し、必要に応じてユーザにコンテンツが配信され得るように、データベース122に情報を記憶する。
【0023】
4.コンテンツサービス用のパーソナルコンピュータユーザゲートウェイ
図2には、幾つかのターゲットデバイス140を示す。ターゲットデバイス140を、パーソナルコンピュータ141、セルラー電話機142、カーオーディオシステム143及びホームデバイス144を含むように示す。これらはユーザによって用いられ得る幾つかのターゲットデバイス140の例である。他の携帯コンテンツデバイス(例えば、MP3プレーヤ)、車両オーディオシステム、ホームメディアサーバなど、他のターゲットデバイス140を用いることもできることは明らかである。
【0024】
図2に示す幾つかのターゲットデバイス140は、ネットワークを介してコンテンツサービス120へ接続される。例えば、パーソナルコンピュータ141は、インターネット131を介してコンテンツサービス120へ接続されるように示される。セルラー電話機142は、セルラーネットワーク132及びインターネット131を介してコンテンツサービス120へ接続されるように示される。加えて、ターゲットデバイス145は、「ホットスポット」133及びインターネット131を介してコンテンツサービス120へ接続されるように示される。図示しないが、インターネット131などのパブリックネットワークとは対照的に、1つ以上のプライベートネットワークを用いて追加のターゲットデバイス140がコンテンツサービス120へ接続されてもよく、コンテンツサービス120はウェブベースでないコンテンツサービスを提供してもよい。一実施形態では、コンテンツサービス120は、パーソナルコンピュータ141又は別のターゲットデバイスを用いてユーザがログインできるウェブサービスを含む。この実施形態では、チャネル用のコンテンツはインターネット131を介して1つ以上のターゲットデバイス140へダウンロードされ得る。
【0025】
パーソナルコンピュータ141は、管理モジュール171、更新エージェント161及びユーザインタフェース151を有する、アプリケーション170を含み得る。管理モジュール171は、一般に、選択されるチャネルセットを構成するためのチャネル構成情報をユーザが決定し、コンテンツサービス120に送信することを可能とする。チャネル構成情報は、選択されるチャネルセットに配置するコンテンツの選択を含み得る。
【0026】
チャネルセット用に選択され得るコンテンツの例は、ジャンル指向の音楽ステーション、トークコンテンツ、ユーザの個人的なコンテンツなどを含み得る。ジャンル指向の音楽コンテンツは、比較的多数のステーションを一覧するカタログ、又はコンテンツプロバイダ110によって提供される個々のコンテンツから選択され得る。加えて、1つの音楽チャネルは、ターゲットデバイス上に音楽トラックの連続的なセットを配信してもよい。また、トークコンテンツは、毎時間、毎日又は毎週など、定期的に更新され得る、トークコンテンツチャネルのカタログから選択され得る。加えて、1より多くのコンテンツプロバイダからのコンテンツが、1つのチャネルセットに配置されてもよい。ユーザの個人的なコンテンツはパーソナルコンピュータ141上に記憶されてもよく、管理モジュール171が発見し得る。このように、ユーザは様々な手法により様々なコンテンツを分類し、コンテンツの個々のトラック又はコンテンツの大きなブロックをチャネルセットのチャネルに移動させることができる。
【0027】
更新エージェント161は、一般に、コンテンツサービス120からコンテンツを受信し、パーソナルコンピュータ141上に記憶されているコンテンツ180を定期的にリフレッシュすることができる。例えば、更新エージェント161は、パーソナルコンピュータ141においてコンテンツ180をキャッシュ化する。コンテンツ180は、コンテンツサービス120のコンテンツ配信モジュール124から受信されるコンテンツを含み得る。
【0028】
また、更新エージェント161は、他のターゲットデバイス140へのコンテンツ180の転送を制御する。例えば、セルラー電話機142が接続その他の手段によってパーソナルコンピュータ141とインタフェースされるとき、1つ以上の選択されたチャネルセット用のコンテンツはセルラー電話機142へ転送され得る。一例では、セルラー電話機142がパーソナルコンピュータ141へ接続されるとき、コンテンツ180の転送がほぼ自動的な機能として実行されることによって、ユーザが転送命令を発する必要はない。更新エージェント161は、1つ以上の再生リストによって新たなコンテンツが経験され得るように、セルラー電話機142へのコンテンツ180の転送を制御することができる。
【0029】
加えて、更新エージェント161は、一般に、セルラー電話機142の記憶装置の性能の制限内に留まりつつ、セルラー電話機142上に新たなコンテンツが記憶されることを可能とするように、コンテンツ180の転送を制御することができる。したがって、コンテンツ180のうちの少なくとも一部はセルラー電話機142上に記憶される場合があり、これはコンテンツ181として示される。同様に、ホームステレオ又はセットトップボックスなどホームデバイス144も、パーソナルコンピュータ141からコンテンツ180を受信することができる。システム200の範囲から逸脱することなくコンテンツサービス120からコンテンツ180を受信し、キャッシュ化するために、パーソナルコンピュータ141の代わりに、ホームメディアサーバなどのサーバ又は別のデバイスが用いられ得る。
【0030】
また、パーソナルコンピュータ141は、チャネルの「1クリック」選択を提供し従来のインタフェースをエミュレートする、ユーザインタフェース151を備えてもよい。一実施形態では、ユーザインタフェース151は、ユーザがクリックして再生を制御しチャネルを選択することができる、GUIインタフェースを含む。これに加えて、又はこれに代えて、ユーザインタフェース151は、ボタン、ホイール、キーなどのハードウェアを備えてよい。
【0031】
5.携帯コンテンツデバイス
セルラー電話機142、PDA、MP3プレーヤなど、携帯コンテンツデバイスは、管理モジュール172、更新エージェント162及びユーザインタフェース152を有するアプリケーション174を含み得る。管理モジュール172は、パーソナルコンピュータ141の管理モジュール171に関する上述の手法と同様、一般に、選択されるチャネルセットを構成するためのチャネル構成情報をユーザが決定し、コンテンツサービス120に送信することを可能とする。一定の例では、アプリケーション174の管理はパーソナルコンピュータ141によって実行され得るので、アプリケーション174については管理モジュール172は随意であると考えられ得る。
【0032】
セルラー電話機142の更新エージェント162は、一般に、コンテンツ181の更新を制御する。コンテンツ181は、コンテンツサービス120から又はパーソナルコンピュータ141を通じてルーティングされるような、セルラーネットワーク132、インターネット131、ブルートゥース若しくはWi−Fi(802.11)など無線近隣ネットワーク、又はこれらの任意の組み合わせを介してコンテンツサービス120から受信される新たなコンテンツを含み得る。例えば、コンテンツ181は、図2に示すように、インターネット131及びセルラーネットワーク132を通じてルーティングされるような、コンテンツサービス120から受信される新たなキャッシュ化されたコンテンツを含み得る。別の例では、コンテンツ181は、有線接続又は無線近隣ネットワークを介してパーソナルコンピュータ141から受信される新たなキャッシュ化されたコンテンツを含み得る。
【0033】
また、セルラー電話機142の更新エージェント162は、コンテンツサービス120及びパーソナルコンピュータ141のうちの一方又は両方からのコンテンツの受信を管理することができる。より詳細には、例えば、更新エージェント162は、コンテンツサービス120からの1つの種類のコンテンツと、パーソナルコンピュータ141から別の種類のコンテンツとの受信を制御することができる。例えば、更新エージェント162は、交通情報など比較的頻繁に更新されることの必要なコンテンツ(ホットコンテンツ)がセルラーネットワーク132から受信されるように、コンテンツの受信を制御することができる。別の例では、更新エージェント162は、ホットコンテンツが期限切れになる(セルラーネットワーク132又は任意の他の無線通信ネットワークを通過することなく)前に、ホットコンテンツがパーソナルコンピュータ141から受信されるように、コンテンツの受信を制御することができる。加えて、更新エージェント162は、パーソナルコンピュータ141から受信される、それほど頻繁に更新されなくてよいコンテンツである、コールドコンテンツの受信を制御することができる。この例では、パーソナルコンピュータ141はコンテンツサービス120からコールドコンテンツをダウンロードする。さらに、セルラー電話機142が接続その他の手段によってパーソナルコンピュータ141とインタフェースされるとき、コールドコンテンツはセルラー電話機142上で更新され得る。音楽などのコールドコンテンツもセルラーネットワーク132を介してセルラー電話機142へダウンロードされ得ることは、当業者には明らかである。
【0034】
図2に示すように、セルラー電話機142も無線インタフェース148を備えるように示す。無線インタフェース148は、ホットスポット133、パーソナルコンピュータ141、他のターゲットデバイス140などを介してコンテンツサービス120に接続するために用いられ得る。セルラー電話機142は、無線インタフェース150をさらに備える。無線インタフェース150は、カーオーディオシステム143にコンテンツ181を転送するために用いられ得る。これに代えて、無線インタフェース148,150は、無線インタフェース148,150の全ての機能を実行する1つの無線インタフェースとして結合してもよい。
【0035】
コンテンツ181の再生は、セルラー電話機142のユーザインタフェース152を介して制御されてもよい。例えば、ユーザインタフェース152は、プリセットチャネルの選択、巻き戻し、早送り、一時停止、再生などを可能とする制御を備えることができる。
【0036】
図示しないが、セルラー電話機142は、複数のデバイスに機能を提供するように構成されたデバイスを含んでもよい。例えば、セルラー電話機142は、MP3プレーヤ、PDA、カメラ、ビデオプレーヤーなどを備えることができる。
【0037】
6.コンテンツ再生機及び無線アダプタ
セルラー電話機142などの携帯コンテンツデバイスは、セルラー電話機142の無線インタフェース150を介して、カーオーディオシステム143などのコンテンツ再生機にコンテンツを送信することができる。加えて、無線アダプタ173は、セルラー電話機142とカーオーディオシステム143との間の通信を可能とし、コンテンツを受信するため及びコンテンツの再生を制御するために用いられ得る。無線アダプタ173はカーオーディオシステム143の一部であってもよく、カーオーディオシステム143から分離していてもよい。これに加えて、又はこれに代えて、セルラー電話機142とカーオーディオシステム143との間の通信を可能とするために、有線インタフェースが用いられてもよい。
【0038】
図3には、一実施形態による、無線アダプタ173の動作環境を示す。無線アダプタ173は、適切な性能を有する携帯コンテンツデバイスがコンテンツ再生機の利用可能なラジオコンポーネントと無線によって統合されることを可能とする。図3及び以下の記載では、携帯コンテンツデバイスをセルラー電話機142として表すが、セルラー電話機142は単に例として用いられており、その代わりに他の携帯コンテンツデバイスが用いられてもよいことが理解される。別の携帯コンテンツデバイスの例は、以下に限定されないが、デジタル音楽プレーヤ及びPDAを含む。同様に、図3及び以下の記載では、カーオーディオシステム143の利用可能なラジオコンポーネントを参照するが、そうしたカーオーディオシステムは単に例として用いられており、その代わりに利用可能なラジオコンポーネントを有する他のコンテンツ再生機が用いられてもよいことが理解される。別のコンテンツ再生機の例は、以下に限定されないが、船上の海上音声システム、ホームオーディオシステム、及びラジオコンポーネントを有する他のオーディオデバイス又はシステムを含む。
【0039】
一実施形態では、無線アダプタ173は無線近隣ネットワークを用いて、セルラー電話機142との無線通信リンク310を確立させる。本明細書では、無線近隣ネットワークは、ネットワーク化されたデバイス間に短距離の無線通信リンクを提供することの可能な任意の無線ネットワークを表す。無線近隣ネットワークの例は、以下に限定されないが、ブルートゥース及びWi−Fi(802.11)を含む。したがって、無線近隣ネットワークは、セルラー電話機又は携帯電話機用のセルラーネットワークなどの長距離無線ネットワークや衛星通信ネットワークから区別される。これに加えて、無線アダプタ173は、320にて、カーオーディオシステム143の利用可能なラジオコンポーネントとの、単方向無線の無線通信リンクを確立させる。
【0040】
一実施形態では、セルラー電話機142は、上述の無線近隣ネットワークを介して無線アダプタ173へ、符号化された又は符号化されていないコンテンツ及び命令/制御信号を無線で送信する適切な性能を有する。今度は、無線アダプタ173は、セルラー電話機142から受信する命令/制御信号によって、セルラー電話機142との無線通信リンク310を維持する。また、無線アダプタ173はカーオーディオシステム143に転送するために、受信したコンテンツの任意の必要な信号変換又は復号を提供する。したがって、無線アダプタ173は、カーラジオコンポーネントによるコンテンツ再生のために、その記憶されているコンテンツをセルラー電話機142がカーオーディオシステム143に送信することを可能とするインタフェースを提供する。
【0041】
図4には、一実施形態による無線アダプタをさらに詳細に示す。無線アダプタ173は、デバイスのハードウェア及びソフトウェアの動作を管理するオペレーティングシステム(OS)カーネル410と、無線アダプタ173を介してカーオーディオシステム143とセルラー電話機142との間に無線通信リンクを提供する無線近隣ネットワーク用のアプリケーションプロファイルスタック420と、デコーダ440とを備える。デコーダ440は、セルラー電話機142から受信されるコンテンツを復号するコンテンツデコーダ446と、カーオーディオシステム143上に表示するためにコンテンツの任意のメタデータ(例えば、曲のタイトル、アーティスト名、再生リスト)を復号する随意のメタデータデコーダ442とを有する。一実施形態では、コンテンツデコーダ446及びメタデータデコーダ442はCRM上に符号化され、プログラムコードとして実装される。したがって、特定の表示フォーマットをメタデータデコーダ442用のプログラムコードに含めて、コンテンツメタデータをカーオーディオシステム143上に表示させることが可能である。また、無線アダプタ173は、セルラー電話機142から無線周波数(RF)信号を受信するために用いられ、その信号をアプリケーションプロファイルスタック420によって処理するためにデジタル信号へと変換するベースバンドコントローラ及び無線用のハードウェア(図示せず)を備える。したがって、RFハードウェア及びアプリケーションプロファイルスタック420は、セルラー電話機142との無線通信用の無線インタフェースを無線アダプタ173に提供する。
【0042】
コンテンツ及び任意の関連するメタデータは、復号されると、周波数変調(FM)送信機450を介してカーオーディオシステム143へ転送される。周波数変調(FM)送信機450は、図4に示すように無線アダプタ173の一部であってもよく、有線接続によって無線アダプタ173から分離された送信機として実装されてもよい。FM送信機450は、カーオーディオシステム143のカーラジオコンポーネントへ信号送信を提供し、無線アダプタ173からカーオーディオシステム143への単方向無線通信リンク320を可能とする。一実施形態では、FM送信機450は、複数の所定の周波数のうちの1つを通じてカーオーディオシステム143へコンテンツを送信するように動作可能であり、送信周波数は命令翻訳モジュール490を介してユーザによって選択される。以下では、これについて記載する。FM送信機450は、FM送信機450がメタデータデコーダ442によって復号されたコンテンツメタデータを受信することを可能とする、ラジオデータシステム(RDS)をさらに備える。そうしたコンテンツメタデータは、セルラー電話機142からのコンテンツを搬送するために用いられる主送信周波数上で送信されるサブキャリア周波数上で周波数変調される。したがって、FM送信機450は、RDS性能を有するラジオ局によるラジオ放送からの、従来のラジオ局識別子、曲名、及びアーティスト名に関する表示と同様に、カーラジオコンポーネントを通じる表示のために送信されているコンテンツに関する情報を、カーオーディオシステム143に提供する。また、カーオーディオシステムへのコンテンツ送信は周波数変調によって行われ、任意のカーオーディオシステムにおいて利用可能なラジオコンポーネントによって受信され得るので、FM送信機450は、異なる製造業者による種々のカーオーディオシステムによって無線アダプタ173が用いられることも可能とする。したがって、無線アダプタ173とカーオーディオシステム143との間の通信リンクには、専用のインタフェースは不要である。
【0043】
一実施形態では、無線アダプタ173は、遠隔制御405を介して無線アダプタ173、セルラー電話機142、又はその両方の遠隔制御を可能とする赤外線(IR)、無線周波数(RF)又はIR及びRFの命令モジュール460を随意で備える。また、無線アダプタ173は、接続されたマイクロホン407を通じる音声命令を介して無線アダプタ173、セルラー電話機142、又はその両方の制御を可能とする発話命令モジュール470を備えてもよい。IR/RF命令モジュール460及び発話命令モジュール470は、互いの代わりに又は共に動作可能である。さらに、各々はアプリケーションプロファイルスタック173及びネットワークマネージャ430の代わりに又はそれらと共に動作可能である。ユーザが遠隔制御405を用いてカーオーディオシステム143を通じてセルラー電話機142からコンテンツ再生を制御するとき、遠隔制御405からのIR/RF制御信号は、無線アダプタ173のIR/RF受信機(図示せず)を介してIR/RF命令モジュール460によって受信される。IR/RF命令モジュール460は、命令翻訳モジュール490への転送のために、IR/RF制御信号を対応する電気信号へと変換する。次いで、命令翻訳モジュール490はそうした電気信号を翻訳し、無線アダプタ173、セルラー電話機142、又はその両方を制御する。同様に、発話命令モジュール470は、接続されたマイクロホン407を通じてユーザが音声命令を与え、カーオーディオシステム143を通じてセルラー電話機142からのコンテンツ再生を制御することを可能とする。音声命令は、命令翻訳モジュール490への転送のために、発話命令モジュール470によって電気信号に変換される。次いで、命令翻訳モジュール490はそうした電気信号を翻訳し、無線アダプタ173、セルラー電話機142、又はその両方を制御する。遠隔制御405又は音声命令の使用はユーザを煩わせることが少ないので、セルラー電話機142の代わりに遠隔制御405又はマイクロホン407を通じる音声命令を用いてコンテンツ再生を制御することによって、セルラー電話機142、無線アダプタ173、及びカーオーディオシステム143の位置する車両の運転者であるユーザに、さらなる安全性が提供され得る。
【0044】
命令翻訳モジュール490は、CRM上に符号化された、IR/RF命令モジュール460及び発話命令モジュール470からの上述の制御信号を翻訳するのに適切なプログラムコードを含む。また、命令翻訳モジュール490は、CRM上に符号化された、セルラー電話機から310にて受信される命令/制御信号を翻訳するのに適切なプログラムコードも含んでよい。例えば、カーオーディオシステム143のカーラジオコンポーネントを通じたコンテンツ再生のために、ユーザはセルラー電話機143のユーザインタフェースから共有網の送信周波数を選択してもよい。次いで、セルラー電話機143はユーザの選択を命令/制御信号として無線アダプタ143へ送信し、無線アダプタ143は、アプリケーションプロファイルスタック420によって実行されるように、この命令/制御信号を受信して、そうした命令/制御信号をFM送信機450によって理解されるフォーマットへ翻訳する。
【0045】
セルラー電話機142からカーラジオシステム143へのコンテンツの無線転送用の通信リンク310,320を管理するため、無線アダプタ173は近隣無線ネットワークマネージャ430をさらに備える。近隣無線ネットワークマネージャ430は無線通信リンク310を設定及び制御するためにアプリケーションプロファイルスタック420を起動させ、コンテンツ及び任意のコンテンツメタデータを復号するためにデコーダ440と対話し、FM送信機450を介してカーラジオシステム143へ復号されたコンテンツ及びコンテンツメタデータを320にて送信するために命令翻訳モジュール490と対話する。一実施形態では、ネットワークマネージャ430は、CRM上に符号化された、上述の機能を実行するためのプログラムコードを含む。
【0046】
図4には、無線アダプタ13を介してセルラー電話機142からカーオーディオシステム143へのコンテンツの送信と、セルラー電話機142と無線アダプタ173との間の命令/制御信号の送信とを調整するための複数のブルートゥースプロファイルを有する、アプリケーションプロファイルスタック420の一例を示す。一実施形態では、アプリケーションプロファイルスタック420はCRM上に符号化されたプログラムコードとして実装される。アプリケーションプロファイルスタック420において用いられ得るブルートゥースプロファイルの例は、以下に限定されないが、高度音声配信プロファイル(A2DP;Advanced Audio Distribution Profile)、音声映像遠隔制御プロファイル(AVRCP;Audio Video Remote Control Profile)、シリアルポートプロファイル(SPP)、ハンズフリープロファイル(HFP)、拡張サービス発見プロファイル(ESDP;Extended Service Discover Profile)及びパーソナルエリアネットワーク(PAN)プロファイルを含む。無線アダプタ173及びセルラー電話機142がブルートゥーストランスポートを通じて共に機能するために、セルラー電話機142は、無線アダプタ173に見出されるのと同じブルートゥースプロファイルを含む。図4及び本明細書の記載ではブルートゥースプロファイルの使用を参照するが、用いられるプロファイルは単にセルラー電話機142とカーオーディオシステム143との間の通信リンクを提供するために用いられる無線近隣ネットワークの種類に依存することが理解される。
【0047】
無線アダプタ173が動作中であるとき、そのA2DPは、セルラー電話機142に記憶されている音声コンテンツなどのコンテンツを、後のステレオ音声再生用のストリーミング音声として、無線アダプタ173がカーオーディオシステム143へ転送することを可能とする。上述のように、記憶されているコンテンツはセルラー電話機142のそれぞれのチャネルに配置されている。ネットワークマネージャ430はさらにコンテンツデコーダ446を制御し、周波数変調及び無線送信のために、FM送信機によって理解されるフォーマットへ復号する。次いでこれはカーオーディオコンポーネントを介してカーオーディオシステム143による再生のために受信される。SPPは、無線近隣ネットワークを形成するために、RS−232制御信号通信のエミュレーションによって、セルラー電話機142及びカーオーディオシステム143の各々にデバイス間の無線接続用の仮想シリアルポート(実際のシリアルケーブルではなく)を提供する。したがって、SPPは、A2DPの代わりに、a)セルラー電話機142からカーオーディオシステム143にコンテンツを転送するため、b)遠隔制御405又はマイクロホン407を通じた音声命令によってセルラー電話機142又は無線アダプタ173の遠隔制御使用を提供するため、c)セルラー電話機142による無線アダプタ173の遠隔制御使用を提供するために用いられ得る。これに加えて、HFPは、カーオーディオシステム143がセルラー電話機142への着信通話を取り扱うことを可能とするために含まれ得る。また、FM送信機を介するカーオーディオシステム143へのコンテンツアクセス及び再生において、無線接続がセルラー電話機142と無線アダプタ173との間の命令/制御信号の運用性を保証するために、SPPの代わりAVRCPが用いられてもよい。本明細書では、デバイスの機能制御とは、そうしたデバイスの機能を制御することを可能とする制御である。したがって、SPP及びAVRCPの両方は、a)セルラー電話機142が遠隔制御405又はマイクロホン407を通じた音声命令によって遠隔的に制御されること、又はb)無線アダプタ173が無線近隣ネットワークを介してセルラー電話機142によって遠隔的に制御されることを可能とする。例えば、SPP又はAVRCPは、遠隔制御405が音声ストリームの再生のためにセルラー電話機142に音声命令/制御信号を送信するコントローラとして機能することを可能とする。命令/制御信号の例は、伴われるデバイス(この例ではセルラー電話機142及び無線アダプタ173)の性質と、カーオーディオシステム143を通じて音声ストリームにアクセスするための所望のシナリオとに依存して、再生、停止、チャネル選択、又は表示モードを含む。一実施形態では、無線アダプタ173は、セルラー電話機142と無線アダプタ173との間の無線通信リンクのための無線近隣ネットワークの確立に対する制御のために、セルラー電話機142上のユーザインタフェースを維持する又は使用不能とする選択肢をユーザに提供するスイッチを備える。その結果として、セルラー電話機142は、それ自身のユーザインタフェース上の機能制御、遠隔制御405上の機能制御、又はその両方によって制御可能である。
【0048】
PANプロファイルは、伴われるブルートゥースデバイスが、互いに近隣に存在するデバイス間の通信に用いられるパーソナルエリアネットワークに参加することを可能とする。この場合、伴われるブルートゥースデバイスは、無線アダプタ173を介してブルートゥースに対応するカーオーディオシステム143と、ブルートゥースに対応し、無線アダプタ173の近隣に存在する(例えば、カーオーディオシステム143が装備されているのと同じ自動車に存在する)セルラー電話機142とである。
したがって、PANプロファイルは、セルラー電話機142との通信リンクを確立させるために、無線アダプタ173がセルラー電話機142にその状態及び識別情報を送信することを可能とする。また、PANプロファイルは、無線アダプタ173を介してセルラー電話機142からカーオーディオシステム143にコンテンツを転送するために用いられ得る。
【0049】
ESDPは、ブルートゥースデバイスが、無線アダプタ173の近隣に、したがってカーオーディオシステム143の近隣に存在する他のブルートゥースデバイスを発見し、ネットワークプロファイル(PANプロファイルなど)を有するネットワーク(パーソナルエリアネットワークなど)を通じた近傍のブルートゥースデバイスとの通信リンクを確立させることを可能とする検出プロトコルを用いる。したがって、無線アダプタ173は、カーオーディオシステム143などのターゲットデバイスがセルラー電話機142などの携帯コンテンツデバイスを動的に検出し、ユーザ対話を必要とせずに音声ストリーミングのためにそこからセルラー電話機142と自動的にインタフェースすることを可能とする検出プロトコルをサポートする。例えば、ポケット、ブリーフケース、財布、又はカーオーディオシステム143を装備した自動車のグローブボックス中の電源の入ったセルラー電話機142と、FM無線アダプタ173とを有するユーザは、セルラー電話機142を取り出して、音声ストリーミング機能を作動させる必要はない。代わりに、カーオーディオシステム143が電源を入れられており、選択された送信周波数にてラジオモードで機能するように設定されている場合、自動車無線アダプタ173はセルラー電話機142の存在を自動的に検出し、セルラー電話機142からカーオーディオシステム143への音声ストリーミングを開始する。これによって、ユーザはカーオーディオシステム143を通じて音声ストリーミングを聴取することが可能である。したがって、セルラー電話機142及びユーザの観点からは、無線アダプタ173によって提供される機能のシームレスな統合及び標準化のため、いずれのターゲットデバイスが無線アダプタ173からのFM送信の対象であるかは問題とならない。
【0050】
したがって、無線アダプタ173は、無線アダプタ173から選択された周波数にてFM送信を受信することの可能な任意のターゲットデバイスを通じて、最少のユーザ対話によってセルラー電話機142からのコンテンツが再生されることを可能とする。また、無線アダプタ173は、セルラー電話機142からのコンテンツが遠隔制御405によって再生及び制御されることを可能とする。例えば、遠隔制御405は、セルラー電話機142において利用可能な様々な異なるコンテンツチャネルにアクセスし、コンテンツがそのようにして制御可能なユーザのコンテンツ又は個別のコンテンツを含む場合、特定のコンテンツチャネルのコンテンツを先へ又は後へスキップするためのボタン又は制御を備える。別の例では、コンテンツがそのようにして制御可能なユーザのコンテンツ又は個別のコンテンツを含む場合、マイクロホン407を通じて受信されるユーザの音声命令は、セルラー電話機142のコンテンツにアクセスするための再生、送る及び戻す機能を制御するように動作可能である。
【0051】
図5には、代替の一実施形態による無線アダプタ573を示す。無線アダプタ173のように、無線アダプタ573は、OSカーネル410、ネットワークマネージャ430、メタデータデコーダ442及びコンテンツデコーダ446を有するデコーダ440、命令翻訳モジュール490、並びにFM送信機450を備える。しかしながら、無線アダプタ573は、アプリケーションプロファイルスタック420の代わりに、ユニバーサルシリアルバス(USB)ハブ及びホスト510を備える。
【0052】
USBハブ及びホスト510は、近隣無線ネットワーク用のトランシーバの接続を可能とする。トランシーバは、先に図4において無線アダプタ173について記載したアプリケーションプロファイルスタック420の機能を備える。例えば、ブルートゥース又はWi−FiのUSBキーは、上述のように無線アダプタ573を介してセルラー電話機142とカーオーディオシステム143との間の無線通信を確立させるためのUSBハブ及びホスト510への接続用に動作可能である。なお、図5にはUSB接続を示すが、他の種類の接続も適用可能である。例えば、1つの代替の接続は、Firewire(登録商標)(IEEE 1394)である。
【0053】
USB記憶装置マネージャ520は、USBハブ及びホスト510を介して無線アダプタ573に接続される任意のUSB記憶装置キー上に記憶された任意のコンテンツ及びコンテンツメタデータの読出と、後のステレオ音声再生及びメタデータ表示用のストリーミング音声としてのカーオーディオシステム143への転送とを管理する。したがって、USBハブ及びホスト510は、コンテンツ記憶装置がコンテンツ転送用の無線アダプタ573に接続されることを可能とする有線インタフェースとして機能する。セルラー電話機142からのコンテンツの転送のように、USB記憶装置キーからのコンテンツ及びコンテンツメタデータは、それぞれ再生用のデコーダ440によって復号され、カーオーディオシステム143によって表示される。
【0054】
図6には、セルラー電話機142などのコンテンツソースに記憶されているコンテンツを、カーオーディオシステム143などのコンテンツ再生機へ無線で提供する方法600を示す。限定ではなく例示として、図1〜5に関連して方法600を記載する。したがって、図1〜5に示す以外のシステム及びデバイスによって方法600が実行されてもよいことは、当業者には明らかである。
【0055】
ここで図6を参照する。610にて、無線アダプタ173(又は573)は、コンテンツ再生機の利用可能なラジオコンポーネントへの選択された周波数のFM送信を通じて、カーオーディオシステム143などのコンテンツ再生機との無線通信リンクを確立させる。620にて、無線アダプタ173(又はトランシーバの接続された573)は、無線アダプタ173(又は573)の近傍又は近隣のコンテンツソースの存在を検出する。630にて、無線アダプタ173(又は573)は、セルラー電話機142に記憶されているコンテンツにアクセスするために、ブルートゥース又はWi−Fiネットワークなどの無線近隣ネットワークを通じて、セルラー電話機142など近傍のコンテンツソースとの無線通信リンクを確立させる。上述のように、セルラー電話機142に記憶されているコンテンツは、インターネット131、セルラーネットワーク132を介して、また随意ではパーソナルコンピュータ141を通じて、コンテンツサービス120から以前にダウンロードされていてもよい。無線近隣ネットワークは、無線アダプタ173の場合にはアプリケーションプロファイルスタック420によって実施され、無線アダプタ573の場合には、無線アダプタに接続可能なブルートゥース又はWi−FiのUSBキーなどトランシーバによって実施される。
【0056】
640にて、無線アダプタ173(又は573)は、無線近隣ネットワークによって確立された無線通信リンクを介し、コンテンツソースから、音声コンテンツなどのコンテンツを受信する。650にて、無線アダプタ173(又は573)は、コンテンツ再生のためにコンテンツソースからコンテンツ再生機へコンテンツをルーティングする。また、無線アダプタ173は、FM送信機450によって実装されるRDSブロードキャストを用いて、コンテンツ再生機における表示のために、コンテンツに関する情報をコンテンツ再生機へルーティングしてもよい。
【0057】
一実施形態では、図4,5の無線アダプタ173,573は、ハードウェア及びソフトウェアの両方を含む。一実施形態では、無線アダプタ173,573の各々は、マイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサなど1つ以上のプロセッサと、アプリケーションプロファイルスタック420、ネットワークマネージャ430、命令翻訳モジュール490、I/Oマネージャ495、デコーダ440、IR/RF命令モジュール470、及び発話命令モジュール470の実装用のプログラムコードを含む1つ以上のCRMとを各々含む、1つ以上のプロセッサを用いる、システム・オン・チップ(SoC)方式により実装される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】一実施形態によるコンテンツ配信用のシステムを示す図。
【図2】一実施形態による、図1に示すコンテンツ配信用のシステムの一例を示す図。
【図3】一実施形態による無線アダプタの動作環境を示す図。
【図4】一実施形態による無線アダプタのさらなる詳細を示す図。
【図5】代替の一実施形態による無線アダプタのさらなる詳細を示す図。
【図6】一実施形態による無線コンテンツ転送用の方法を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを無線で提供するための方法であって、
無線近隣ネットワークによって実施される第1の無線接続を通じてコンテンツソースからコンテンツを無線で受信する工程と、
受信したコンテンツの再生のために、無線で受信したコンテンツを第1の無線接続とは異なる第2の無線接続を通じてコンテンツ再生機にルーティングする工程と、からなる方法。
【請求項2】
コンテンツ再生機にコンテンツを無線で提供するための無線アダプタであって、
コンテンツソースとの無線近隣ネットワークを形成し、コンテンツソースからコンテンツを無線で受信するように動作可能な第1の無線インタフェースと、
コンテンツ再生機との無線接続を提供し、コンテンツ再生機による再生のために、第1の無線インタフェースによって受信されるコンテンツをルーティングする第2の無線インタフェースと、からなる無線アダプタ。
【請求項3】
第1の無線インタフェースはコンテンツのメタデータを受信するように動作可能であることと、第2の無線インタフェースはコンテンツ再生機におけるメタデータの表示のために無線接続を通じてコンテンツ再生機へメタデータをルーティングするように動作可能であることと、を含む請求項2に記載の無線アダプタ。
【請求項4】
第1の無線インタフェースは無線アダプタから分離しており、無線アダプタへ有線接続されるように動作可能である請求項2に記載の無線アダプタ。
【請求項5】
第2の無線インタフェースを通じるコンテンツ再生機への送信のために、第1の無線インタフェースにて受信されるコンテンツ及びメタデータを復号するコンテンツデコーダモジュールを含む請求項3に記載の無線アダプタ。
【請求項6】
コンテンツソースの機能制御用の命令を受信し、コンテンツ再生機による実行のために同命令を翻訳するように動作可能な命令翻訳モジュールを含む請求項2に記載の無線アダプタ。
【請求項7】
コンテンツソースとは異なる遠隔ソースから無線命令を受信し、無線命令を命令翻訳モジュールによって受信される機能制御用の命令に変換するように動作可能な遠隔命令モジュールを含む請求項6に記載の無線アダプタ。
【請求項8】
コンテンツソースとは異なるソースから音声命令を受信し、音声命令を命令翻訳モジュールによって受信される機能制御用の命令に変換するように動作可能な音声命令モジュールを含む請求項6に記載の無線アダプタ。
【請求項9】
無線インタフェースは、無線アダプタの近隣のコンテンツソースの存在を自動的に検出し、コンテンツソースから第2の無線インタフェースへコンテンツをルーティングし、コンテンツソースによる第2の無線インタフェースに関する無線アダプタの制御を可能とするように動作可能なアプリケーションスタックモジュールを含む請求項2に記載の無線アダプタ。
【請求項10】
コンテンツはマルチメディアコンテンツを含む請求項2に記載の無線アダプタ。
【請求項11】
無線アダプタに別のコンテンツソースの接続を提供し、コンテンツ再生機による再生のために別のコンテンツソースに記憶されているコンテンツを受信するように動作可能なコンテンツインタフェースを含む請求項2に記載の無線アダプタ。
【請求項12】
無線アダプタに別のコンテンツソースの接続を提供し、コンテンツ再生機による再生のために別のコンテンツソースに記憶されているコンテンツを受信するように動作可能なコンテンツインタフェースと、分離した無線インタフェースはコンテンツインタフェースにて無線アダプタに有線接続されることと、を含む請求項4に記載の無線アダプタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−530907(P2008−530907A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555153(P2007−555153)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/004062
【国際公開番号】WO2006/086286
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(500234493)ジェネラル・インスツルメント・コーポレーション (35)
【氏名又は名称原語表記】General Instrument Corporation
【住所又は居所原語表記】101 Tournament Drive,Horsham,Pennsylvania,USA
【Fターム(参考)】