説明

コンテンツ配信システム、コンテンツ配信サーバ、コンテンツ配信方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】 クライアント端末に適合したフォーマットに変換してコンテンツを提供するためのコンテンツ配信システムを提供すること。
【解決手段】 本発明のコンテンツ配信におけるコンテンツ配信サーバは、コンテンツ利用が要求される端末装置150の機能を記述する機能情報を取得する機能情報取得手段114と、利用が要求されたコンテンツに含まれるコンテンツ要素を抽出する要素抽出手段120と、機能情報から端末装置が利用可能な要素を判定し、抽出されたコンテンツ要素と比較して、コンテンツ要素各々が端末装置で利用可能であるかを判定する比較手段118と、端末装置150が要求する利用可能なコンテンツ要素を配信するためにコンテンツを分解する必要があるかを判定する出力判定手段122と、分解が必要な場合にコンテンツをコンテンツ要素毎に分解する分解手段124とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ配信技術に関し、より詳細には、クライアント端末に適合したフォーマットに変換してコンテンツを提供するためのコンテンツ配信システム、コンテンツ配信サーバ、コンテンツ配信方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及、マルチメディア技術の進歩にともなって、電子メールのような単純なテキストデータの交換はもとより、ネットワークを介して音声、映像や画像を含むマルチメディア・コンテンツをアップロードして提供したり、これらのコンテンツをダウンロードして視聴したりすることが一般化している。しかしながら、コンテンツをダウンロードして視聴しようとする各利用者のクライアント端末環境は一般にそれぞれ異なる。そのような背景から、ネットワークを介してコンテンツを利用する際に、利用者側のクライアント端末における表示可能な解像度、色および色数、並びにスピーカで再生可能な再生周波数域といったフォーマットを考慮して、ネットワーク上のフォーマット変換サーバにより、利用側クライアント端末に適合したフォーマットにそのコンテンツを予め変換してから、そのクライアント端末に提供する技術が知られている。
【0003】
例えば、特開2002−342218号公報(特許文献1)は、ネットワークを介して各種コンテンツを提供する際に、利用者側のクライアント端末で再生可能なファイル形式や、そのクライアント端末におけるディスプレイの表示可能な解像度、色および色数、スピーカで再生可能な再生周波数域といったフォーマットを考慮して、ネットワーク上の変換サーバにより、そのクライアント端末に適合したファイル形式、フォーマットにそのコンテンツを予め変換してからそのクライアント端末に提供するという目的で、クライアント端末と、コンテンツを蓄積するサーバと、コンテンツをクライアント端末のフォーマット情報に変換するサーバとがネットワークで接続されたシステムであって、クライアント端末側で作成したその端末におけるコンテンツの再生および表示機能に関する仕様を記述したプロファイルを参照して、クライアント端末に適合したフォーマットを決定し、コンテンツ蓄積サーバから受取ったコンテンツのフォーマットを変換した後、コンテンツをクライアント端末に送るコンテンツ提供部を備える、フォーマット変換サーバを開示する。
【0004】
その他、データ配信技術として、特開2010−061212号公報(特許文献2)は、入力機器および複数のデータ配信装置からなるデータ配信システムにおいて、入力機器が第1のデータ配信装置に対してデータ配信開始を指示する配信開始指示ステップと、第1のデータ配信装置が自装置および他のデータ配信装置の処理負荷に基づいて、実際にデータ配信を行うデータ配信装置を選択する配信装置選択ステップと、選択結果が示すデータ配信装置である第2のデータ配信装置が入力機器により取得された文書データを受け取り、文書データを必要に応じて変換した上で配信するデータ配信ステップとを実行する、データ配信方法を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2に開示される従来技術では、クライアント端末に対して最適な形式のフォーマットにそのコンテンツを予め変換してからそのクライアント端末に提供することしかできなかった。
【0006】
ここで例として、大会議室で、サーバ上のコンテンツをスクリーンと備え付けのスピーカで投影し、また音声出力しており、その会議に参加しようとした利用者がコンテンツの音声を自分の位置からは充分に聞こえないという状況で、当該利用者が、自分が保持している音声出力のみに対応した端末を後から接続し、音声だけを自分の端末で出力できるようにするという利用シーンを考える。このとき、従来技術では、再生されている動画コンテンツの音声のみを自分の保持するクライアント端末に出力できるようにするような、利用者が必要とする対象コンテンツの任意のコンテンツ要素のみを出力することができなかった。また、利用者の位置から音声が聞こえない場合以外にも、専用の視聴覚補助機能のある端末や、骨伝導式のイヤホンなどを後から接続したいシーンも考えられる。
【0007】
さらに、サーバ上の動画コンテンツなど複数のコンテンツ要素を含むマルチメディア・コンテンツを、映像を出力するクライアント端末と、音声を出力するクライアント端末とに分割して再生するように、単一コンテンツ内の各コンテンツ要素の出力を複数のクライアント端末で分担し合い、全体として最適な出力を実現するという補完出力を行うことができなかった。また、利用者がクライアント端末を後から接続してコンテンツの音声だけを自分の端末で出力できるよう、クライアント端末を出力先に動的に追加することはできなかった。さらに、上記単一コンテンツ内の各コンテンツ要素に分解し、補完出力を行う場合、またはクライアント端末を動的に出力先に追加する場合は、同一コンテンツを再生する複数のクライアント端末間で、違和感を発生させないために、コンテンツの再生の同期をとることが望ましい。
【0008】
すなわち、従来技術では、クライアント端末に対してコンテンツ全体に関してのフォーマット変換しかできず、各クライアント端末で、コンテンツ内の音声、画像、動画、テキストなどの個別要素のみを選択して利用したいという、利用者の潜在的な要望に応えることができなかった。さらに従来技術では、単一コンテンツ内の各要素の出力を複数のクライアント端末で分担し合い、全体として最適な出力を実現するという補完出力や、再生中のコンテンツの出力先としてクライアント端末を動的に追加することもできなかった。
【0009】
本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、本発明は、クライアント端末に対して、要求されたマルチメディア・コンテンツを、該クライアント端末の環境に対応して、映像、音声、画像およびテキストなどのコンテンツ要素に分解し、ユーザが要求するコンテンツ要素を選択的にクライアント端末に配信することを可能とするコンテンツ配信システム、コンテンツ配信サーバ、コンテンツ配信方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、端末装置と、端末装置にネットワークを介して接続されるコンテンツ配信サーバとを含み、以下の特徴を有するコンテンツ配信サーバおよびコンテンツ配信システムを提供する。本発明のコンテンツ配信サーバは、コンテンツの利用を要求する端末装置の機能を記述する機能情報を取得する機能情報取得手段と、利用が要求されたコンテンツに含まれるコンテンツ要素を抽出する要素抽出手段とを備える。本コンテンツ配信サーバは、上記機能情報から端末装置が利用可能な要素を判定し、上記抽出されたコンテンツ要素と比較して、コンテンツが含むコンテンツ要素各々が端末装置で利用可能であるかを判定する比較手段と、端末装置が要求する利用可能なコンテンツ要素を配信するためにコンテンツを分解する必要があるかを判定する出力判定手段と、分解が必要な場合にコンテンツをコンテンツ要素毎に分解する分解手段とを備える。
【0011】
本発明では、コンテンツ配信サーバは、さらに、同一コンテンツを再生するグループに属する端末装置の再生状況に応じて、同期再生を実現する同期再生手段をさらに含むことができる。また本発明では、出力判定手段は、端末装置からのコンテンツ利用要求に応答して、要求されたコンテンツ要素を端末装置に紐つけて記憶し、上記端末装置からの再度のコンテンツ利用要求に応答して、該端末装置に紐つけられたコンテンツ要素を読み出し、分解する必要があるかの判定に用いることができる。
【0012】
さらに本発明によれば、上述したコンテンツ配信サーバが実行する映像出力方法、上述したコンテンツ配信サーバを実現するためのプログラム、および該プログラムをコンピュータ可読に格納する記録媒体を提供することができる。
【0013】
上記構成によれば、クライアント端末に対して、要求されたマルチメディア・コンテンツのうちの、ユーザが要求する、クライアント端末で利用可能なコンテンツ要素を、選択的にクライアント端末に配信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態のコンテンツ配信システムが実現されるネットワーク環境の概略図。
【図2】本実施形態のコンテンツ配信システムの概略構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態におけるコンテンツ配信処理を、コンテンツの分解が不要であると判断される場合について示すシーケンス図。
【図4】本実施形態におけるコンテンツ配信処理を、コンテンツの分解が必要であると判断される場合について示すシーケンス図。
【図5】(A)再生要求データ(B)〜(D)端末機能情報のデータ構造を例示する図。
【図6】対応付けテーブルのデータ構造を例示する図。
【図7】端末機能・要素比較部による再生可能なコンテンツ要素を記述する比較用情報と、コンテンツ内の抽出されたコンテンツ要素とを比較する処理を説明する図。
【図8】本実施形態のコンテンツ配信サーバが実行する、コンテンツ出力判定処理を示すフローチャート。
【図9】本実施形態のコンテンツ出力判定部による判定例を示す図。
【図10】本実施形態のコンテンツ出力判定部による判定例を示す図。
【図11】本実施形態の通知部がクライアント端末に対して通知する再生不能である旨のエラー通知を示す図。
【図12】本実施形態の同期再生部による同期再生を説明する図。
【図13】本実施形態のコンテンツ配信システムの利用態様を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明の実施形態は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0016】
以下、本実施形態によるコンテンツ配信サーバおよびコンテンツ配信システムの概略について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態のコンテンツ配信システム100が実現されるネットワーク環境の概略を示す図である。図1に示すコンテンツ配信システム100は、ネットワーク102を介して相互に接続されるコンテンツ配信サーバ110と、各種クライアント端末150とを含む。ネットワーク102は、特に限定されるものではないが、例えばイーサネット(登録商標)やTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)などのトランザクション・プロトコルによるLAN(Local Area Network)、VPN(Virtual Private Network)または専用線を使用して接続されるWAN(Wide Area Network)、インターネット、USB(Universal Serial Bus)やBluetooth(登録商標)などデバイス・ネットワークやパーソナル・エリア・ネットワークなどの有線または無線の如何なるネットワークを含むことができる。
【0017】
上述したクライアント端末150としては、図1にはパーソナル・コンピュータ150a、映像出力装置150bおよび音声出力端末150cが例示されているが、これらに限定されるものではない。例えば、ワークステーション、ネットブックなどの種々のコンピュータ装置、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話端末、スマートフォン、ポータブル・ゲーム・プレイヤー、ポータブル・オーディオ・プレイヤーなど、上記ネットワーク102を介してコンテンツ配信サーバ110から配信されるファイル形式のコンテンツ・データまたはストリーム形式のコンテンツ・データなどを受信し、再生することが可能なあらゆる情報端末を挙げることができる。
【0018】
コンテンツ配信サーバ110は、コンテンツ・データベース130を備えており、クライアント端末150a〜150cに配信するコンテンツを管理する。コンテンツは、特に限定されるものではないが、テキスト、静止画、音声、映像、音声を文字化した情報およびメタデータまたはこれらのいずれか1以上の要素(以下、コンテンツが有するこれらの要素をコンテンツ要素と参照する。)を含むマルチメディア・コンテンツとすることができる。また上述したクライアント端末150は、すべてのコンテンツ要素を再生可能というものではなく、その中には、音声のみ、テキストのみ、音声と映像のみに対応するというものが存在する。本実施形態によるコンテンツ配信サーバ110は、このようなクライアント端末150a〜150cの再生環境に対応させてコンテンツを配信する。より具体的には、コンテンツ配信サーバ110は、クライアント端末150からコンテンツの再生を要求された場合、該端末で要求されたコンテンツが再生可能であるかを判定し、必要に応じて上記複数の要素からなるコンテンツを要素単位で分解し、クライアント端末150で再生可能なコンテンツ要素のみからなるコンテンツとしてクライアント端末150に配信する。
【0019】
上記コンテンツとしては、特に限定されるものではないが、ウェブページ、種々のオフィススイートにより作成される文書、プレゼンテーション、スプレッドシートや、グラフィックソフトによる図面や、PDF(Portable Document Format)といった文書ファイルフォーマットの文書ファイル、MPEG(Moving Picture Experts Group)−1、MPEG−2、H.264/MPEG−4AVC(Advanced Video Coding)などの種々の動画コーデックおよび音声コーデックを用いたAVI(Audio Video Interleave)、MOV、フラッシュビデオ(Flash Video)など種々の動画ファイルフォーマットの動画ファイル、WAV(RIFF Waveform Audio Format)、MP3(MPEG-1 Audio Layer-3)、WMA(Windows(登録商標) Media Audio)など種々の音声ファイルフォーマットの音声ファイル、BMP(ビットマップ)、GIF(Graphics Interchange Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、JPEG2000など種々の画像ファイルフォーマットの画像ファイルを挙げることができる。
【0020】
上記コンテンツ配信サーバ110は、図示しないハードディスク・ドライブ、NV−RAM(Non-Volatile Random Access Memory)、SDカードなどの記憶媒体に格納されたプログラム(図示せず)を読み出し、RAMのメモリ領域に展開することにより、適切なオペレーティング・システム(OS)のもとで、後述する各機能部および各処理を実現する。本実施形態では、コンテンツ配信サーバ110は、Windows(登録商標)、UNIX(登録商標)またはAIXまたはLINUX(登録商標)などの種々のアーキテクチャを有するオペレーティング・システムを稼働させる。また、コンテンツ配信サーバ110と通信を行なうクライアント端末150についても、コンテンツ配信サーバ110と同様の構成、または適宜用途や種類に応じて変更が加えられた構成とすることができる。
【0021】
本実施形態のコンテンツ配信サーバ110は、クライアント端末150からの要求に応答し、再生が要求されるコンテンツ要素と、クライアント端末150が備える機能とを比較し、その結果から、ユーザの要求を満たすためにコンテンツをどのように分解し、クライアント端末に配信すればよいかを判断することで、ユーザが要求するコンテンツの要求された任意のコンテンツ要素単位でクライアント端末に配信を行う。また、コンテンツ配信サーバ110は、同一のコンテンツを出力する複数のクライアント端末150間で、当該コンテンツの同期再生をとる仲介を行う。以下、本実施形態のコンテンツ配信システム100の動作について詳細に説明する。
【0022】
図2は、本実施形態のコンテンツ配信システム100の概略構成を示すブロック図である。図2に示すコンテンツ配信サーバ110は、通信部112と、機能情報取得部114と、コンテンツ配信部116と、端末機能・要素比較部118と、要素抽出部120と、コンテンツ出力判定部122と、コンテンツ分解部124と、コンテンツ・データベース130と、通知部126と、同期再生部128とを含む。通信部112は、ネットワーク・アダプタなどのインタフェースを介してしてネットワーク102に接続し、外部のクライアント端末150との通信を制御する。なお、説明する実施形態では、コンテンツ・データベース130は、コンテンツ配信サーバ110が備える構成とされているが、他の実施形態では、コンテンツ配信サーバ110とは別個のサーバ上に実装されてもよいことは言うまでもない。
【0023】
機能情報取得部114は、コンテンツ再生が要求されるクライアント端末150から該端末が備える機能を記述する情報(以下、端末機能情報と参照する。)を取得する。要素抽出部120は、クライアント端末150による再生が要求されたコンテンツをコンテンツ・データベース130から取得し、該コンテンツに含まれるコンテンツ要素を識別し、抽出する。端末機能・要素比較部118は、機能情報取得部114が取得した上記端末機能情報から端末が再生可能なコンテンツ要素を判断し、該端末で再生可能なコンテンツ要素と、要素抽出部120が抽出したコンテンツ要素とを比較して、要求されている各コンテンツ要素が端末で再生できるか否かを判定する。クライアント端末150が再生可能な要素の判定は、機能情報内に記述される機能とコンテンツ要素とを対応付ける対応付け情報を参照することによって行うことができる。上記対応付け情報としては、クライアント端末150が利用可能なファイルの拡張子、クライアント端末が実装するコーデック、またはクライアント端末が内蔵若しくは接続されるデバイスのデバイス情報で記述することができる。
【0024】
コンテンツ出力判定部122は、クライアント端末150から再生を要求するコンテンツ要素の指定を受け取り、要求されたコンテンツ要素が、要求元端末で再生可能であるかを判定するとともに、コンテンツ全体をそのままクライアント端末150に配信してもよいかのかコンテンツ要素単位に分解する必要があるのか、必要があるとすればどのように分解すればよいのかを判断する。また、コンテンツ出力判定部122は、さらに、クライアント端末150からのコンテンツ再生要求に応答して、要求されたコンテンツ要素をクライアント端末に紐つけて登録し、再利用することができる。この実施形態では、コンテンツ出力判定部122は、同一のクライアント端末から再度コンテンツ再生要求があった場合に、そのクライアント端末150に紐つけられたコンテンツ要素の登録を取得し、クライアント端末150からの明示的な指定が無い場合等に、上記判定に用いることができる。
【0025】
コンテンツ分解部124は、上記コンテンツ出力判定部122の判定により、コンテンツ要素単位で分解する必要があると判定された場合に、コンテンツを分解し、必要なコンテンツ単位のコンテンツに変換する。他の実施形態では、上記コンテンツ分解部124によって分解されたコンテンツ要素単位の分解コンテンツは、クライアント端末150に紐つけて保管しておくことができる。この実施形態では、コンテンツ出力判定部122は、クライアント端末150から再度コンテンツ利用要求があったと場合に、同一の要素単位が必要であるとき、上記コンテンツ分解部124による分解に代えて、保管された分解コンテンツを読み出し、これを配信に用いることができる。あるいは、コンテンツ分解部124は、コンテンツ出力判定部122からの要求に応答して、保管された分解コンテンツを読み出し、これを渡すことができる。これにより、コンテンツ配信サーバ110の負荷を低減することが可能となる。
【0026】
コンテンツ配信部116は、上記コンテンツそのまま、または分解されたコンテンツ要素単位のコンテンツを、再生要求してきたクライアント端末150に配信する。通知部126は、コンテンツ出力判定部122により要求されたコンテンツ要素が要求元端末で再生できないと判定された場合に、再生できない旨をクライアント端末に通知する。同期再生部128は、各クライアント端末150に配信した同一コンンテンツのコンテンツ要素が端末間で同期して再生されるように、クライアント端末150内のコンテンツ再生状態を監視しながら、コンテンツの再生処理が先行している端末の進行を、再生処理が遅延している端末に合わせるよう同期処理を実行する。また、クライアント端末150が出力先として動的に追加される場合に、同一コンテンツを再生するグループ内の他のクライアント端末で既に再生が開始されており、タイムラグを生じる場合がある。同期再生部128は、このような場合にも、先行して再生している他の端末の進行状況に合わせてコンテンツの再生開始点を制御することができる。
【0027】
なお、本実施形態では、コンテンツの再生要求をクライアント端末150上から行うものとして説明するが、他の実施形態では、別のクライアント端末から1以上のクライアント端末で再生するコンテンツのコンテンツ要素を一括要求することもできる。また、他の実施形態では、コンテンツ配信サーバ110は、クライアント端末の環境の詳細な機能、例えば表示可能な解像度、色および色数、並びにスピーカで再生可能な再生周波数域といったフォーマットの変換を行うフォーマット変換部を別途、あるいはコンテンツ分解部124に統合して、備えることができる。
【0028】
一方、図2に示すクライアント端末150a,150bは、それぞれ、通信部152と、コンテンツ要求部154と、機能情報提供部156と、コンテンツ受信部158と、コンテンツ再生部160とを含む。通信部152は、ネットワーク・アダプタなどのインタフェースを介してしてネットワーク102に接続し、外部のコンテンツ配信サーバ110との通信を制御する。
【0029】
コンテンツ要求部154は、コンテンツ配信サーバ110に対し、コンテンツを識別する識別情報、要求するコンテンツ要素を指定する情報を引数として渡して、コンテンツの再生要求を行う。コンテンツの識別情報としては、コンテンツの名称、コンテンツ管理システム等で一意にコンテンツを識別するコンテンツ識別子、コンテンツの保存位置を示すアドレスを挙げることができる。コンテンツの保存位置を示すアドレスとしては、URL(Uniform Resource Locator)やURN(Uniform Resource Name)などのURI(Uniform Resource Identifier)を用いることができる。
【0030】
機能情報提供部156は、コンテンツ配信サーバ110からの求めに応じて、当該クライアント端末150が備える機能を記述するディスクリプタを読み出し、該機能を記述する端末機能情報をコンテンツ配信サーバ110に対し送信する。作成される端末機能情報としては、詳細は後述するが、自己が再生可能な拡張子、インストールされたコーデック、あるいは内蔵または接続されているデバイスのデバイス情報を用いることができる。コンテンツ受信部158は、コンテンツ配信サーバ110から配信されるコンテンツを受信する。
【0031】
コンテンツ再生部160は、受信したコンテンツを再生する。コンテンツは、要求したコンテンツそのもの、またはクライアント端末150が備える機能に応じて分解されたコンテンツ要素単位のコンテンツとして受信する。また、コンテンツ再生部160は、同期再生を行うパラメータとして現在の再生状況を保持し、コンテンツ配信サーバ110からの求めに応じて、再生状況を記述する再生状態情報を提供する。再生状態情報は、例えば、コンテンツにおける開始点からの経過時間などを用いることができる。なお、このようなデータは、非常に小容量のデータであるため、端末間の転送にかかる時間はコンテンツ処理の時間に比べ無視できる。
【0032】
以下、図3および図4に示すシーケンス図を参照して、本実施形態におけるコンテンツ配信処理の詳細について説明する。図3は、コンテンツの分解が不要であると判断される場合を例示し、図4は、コンテンツの分解が必要であると判断される場合を例示する。図3に示す処理は、クライアント端末150の利用者が、ユーザ・インタフェースを介して、コンテンツ再生用アプリケーション上でデータベース上のコンテンツの再生を指示したことに応答して、ステップS100から開始する。なお、クライアント端末150の利用者は、再生したいコンテンツと、再生したいコンテンツ要素とを指定する。図3に示す例では、コンテンツ要素として映像および音声のコンテンツ要素の再生が指定されている。
【0033】
ステップS101では、コンテンツ要求部154は、上記利用者からの指示に応答して、コンテンツ配信サーバ110に対しコンテンツ要求を発行する。コンテンツ要求は、要求元のクライアント端末を識別する識別情報と、再生したいコンテンツを識別する識別情報と、再生したいコンテンツ要素とを引数として含む。図3に示す例では、クライアント端末名およびコンテンツ名で指定がなされ(以下、クライアント端末名およびコンテンツ名で説明する。)ている。
【0034】
ステップS102では、コンテンツ出力判定部122は、コンテンツ要求を受け付け、要求元のクライアント端末と、要求されたコンテンツ名と、要求されたコンテンツ要素とをメモリやHDDなどの記憶領域に登録する。図5(A)は、コンテンツ出力判定部122が登録する再生要求データのデータ構造を示す図である。図5(A)に示すように、再生要求データは、クライアント端末を識別する情報(端末名およびIPアドレスなど)と、要求されたコンテンツ名と、要求されたコンテンツ要素とからなるレコードを登録する。
【0035】
ステップS103では、コンテンツ出力判定部122は、端末機能・要素比較部118に対し、要求元クライアント端末150の機能と、要求されたコンテンツが含むコンテンツ要素との比較を指令する。ステップS104では、端末機能・要素比較部118は、要求元クライアント端末150のクライアント端末名を引数として与えて、端末機能情報を取得するよう機能情報取得部114に対し指示する。ステップS105では、機能情報取得部114は、通信部112を介して、要求元のクライアント端末150に対し、端末機能情報の提供を依頼し、これに応答して要求元クライアント端末150の機能情報提供部156は、通信部152を介してコンテンツ配信サーバ110に端末機能情報を提供する。図5(B)〜(D)は、端末機能情報のデータ構造を例示する。図5(B)は、端末で再生可能なコンテンツの拡張子を登録するデータであり、図5(C)は、端末にインストール済みのコーデックを登録するデータであり、図5(D)は、端末に内蔵または接続されるデバイスのデバイスタイプ等のデバイス情報を登録するデータある。
【0036】
ステップS106では、端末機能・要素比較部118は、要求されたコンテンツのコンテンツ名を引数として与えて、コンテンツ要素を抽出するよう要素抽出部120に対し指示する。ステップS107では、要素抽出部120は、コンテンツ・データベース130からコンテンツを取得し、ステップS108で、取得したコンテンツに含まれるコンテンツ要素を抽出する。コンテンツに含まれるコンテンツ要素は、後述する図6に示したものと同様のテーブルを用いて、拡張子から判定することができる。その他、ウェブページなどでは、コンテンツのファイルを解析し、リンク構造から抽出することもできる。
【0037】
ステップS109では、機能情報取得部114から端末機能情報を受け取った端末機能・要素比較部118は、機能情報内に記述される機能をコンテンツ要素に対応付ける対応付けテーブルを参照して、コンテンツが含むコンテンツ要素との比較のための比較用情報を作成する。図6は、対応付けテーブルのデータ構造を例示する。図6に示す対応付けテーブルは、種々の拡張子(extension)、コーデック(codec)、デバイスタイプ(device)に対応して、各拡張子のファイルに含まれるコンテンツ要素、コーデックでエンコードされたデータに含まれるコンテンツ要素、デバイスタイプのデバイスが再生可能なコンテンツ要素が記述されている。図6に示す例を挙げると、例えば「mpg」の拡張子は、映像および音声に対応付けられ、「mpg」の拡張子が再生可能なクライアント端末150は、映像および音声が再生可能であることを意味する。「MPEG-1 Audio Layer 3」のコーデックは、音声に対応付けられ、「Video Projector Device」のデバイスは、映像に対応付けられる。端末機能・要素比較部118は、図5(B)〜(D)に示すような端末機能情報を、図6に示すような対応付けテーブルに適用して、当該要求元クライアント端末150で再生可能なコンテンツ要素を記述する比較用情報を作成する。
【0038】
ステップS110では、要素抽出部120からコンテンツ要素を受け取った端末機能・要素比較部118は、上記ステップS109で得られた比較用情報と、抽出されたコンテンツ要素とを比較して、比較結果を作成する。図7は、端末機能・要素比較部118による、再生可能なコンテンツ要素を記述する比較用情報と、コンテンツ内の抽出されたコンテンツ要素とを比較する処理を説明する図である。図7に示すように、端末機能・要素比較部118は、コンテンツの各コンテンツ要素が要求元クライアント端末150で再生可能であるか否かを判定し、比較結果200に書き込む。ステップS111では、端末機能・要素比較部118は、要求されたコンテンツ名と、上記ステップS110で得られた比較結果とをコンテンツ出力判定部122に渡す。
【0039】
ステップS112では、コンテンツ出力判定部122は、渡された比較結果と、ステップS102で登録した再生要求データとを使用して出力の判断を行う。コンテンツ出力判定部122は、要求されたコンテンツ要素が、要求元端末で再生可能であるかを判定するとともに、配信する際にコンテンツ要素単位に分解する必要があるか否かを判断する。なお、コンテンツ出力判定部122の詳細については後述する。図3では、コンテンツの分解が必要ではないと判定された場合について説明する。コンテンツの分解が必要ではない場合、コンテンツ出力判定部122は、ステップS113で、要求されたコンテンツをコンテンツ・データベース130から取得し、ステップS114で、コンテンツ配信部116に対し、コンテンツおよびクライアント名を引数としてコンテンツの配信を指令する。ステップS115では、コンテンツ配信部116は、受け取ったコンテンツを要求元クライアント端末150に配信する。クライアント端末150のコンテンツ受信部158は、コンテンツを受信すると、ステップS116で、コンテンツ再生部160にコンテンツを渡し、再生指令を行う。ステップS117では、コンテンツ再生部160は、コンテンツ再生を開始する。
【0040】
図4は、コンテンツの分解が必要であると判断される場合を例示する。図4に示す処理は、図3の例示と同様に、利用者がユーザ・インタフェースを介してコンテンツデータベース130上のコンテンツの再生を指示したことに応答して、ステップS200から開始する。図4に示す例では、コンテンツ要素として音声のみの再生が指定されている。ステップS201では、クライアント端末150のコンテンツ要求部154は、利用者からの指示に応答して、コンテンツ配信サーバ110に対しコンテンツ要求を発行する。ステップS202では、コンテンツ配信サーバ110のコンテンツ出力判定部122は、コンテンツ要求を受け付け、要求元のクライアント端末150と、要求されたコンテンツ名と、要求されたコンテンツ要素とを登録する図5(A)。
【0041】
ステップS203では、コンテンツ出力判定部122は、端末機能・要素比較部118に対し、要求元端末の機能と、要求されたコンテンツが含むコンテンツ要素との比較を指令する。ステップS204では、端末機能・要素比較部118は、機能情報取得部114に対し端末機能情報(図5(B)〜(D))の取得を指令し、ステップS205では、機能情報取得部114は、要求元端末に対し、端末機能情報の提供を依頼する。ステップS206では、端末機能・要素比較部118は、要素抽出部120に対しコンテンツ要素の抽出を指令する。ステップS207では、要素抽出部120は、コンテンツ・データベース130からコンテンツを取得し、ステップS208で、コンテンツ要素を抽出する。
【0042】
ステップS209では、端末機能・要素比較部118は、図6に示すような対応付けテーブルを参照して、提供された端末機能情報から比較用情報を作成する。ステップS210では、端末機能・要素比較部118は、上記ステップS209で得られた比較用情報と、抽出されたコンテンツ要素とを比較して、比較結果を作成する。ステップS211では、端末機能・要素比較部118は、比較結果をコンテンツ出力判定部122に渡す。ステップS212では、コンテンツ出力判定部122は、渡された比較結果と、ステップS202で登録した再生要求データとを使用して出力の判断を行う。図4では、コンテンツの分解が必要であると判定された場合について説明する。
【0043】
コンテンツの分解が必要な場合、コンテンツ出力判定部122は、ステップS213で、要求されたコンテンツをコンテンツ・データベース130から取得し、ステップS214で、コンテンツ分解部124に対し、再生要求データ中の対応レコードのコンテンツ要素を渡し、コンテンツの分解を指令する。ステップS215では、コンテンツ分解部124は、コンテンツから、要求されたコンテンツ要素のみとする単位のコンテンツを作成し、コンテンツ出力判定部122へ返す。図4に示す例では、音声のみのコンテンツが得られる。
【0044】
ステップS216では、コンテンツ出力判定部122は、コンテンツ配信部116に対し、コンテンツおよびクライアント名を引数としてコンテンツの配信を指令する。ステップS217では、コンテンツ配信部116は、受け取ったコンテンツを要求元クライアント端末150に配信する。ステップS218では、クライアント端末150のコンテンツ受信部158は、コンテンツを受信して、コンテンツ再生部160にコンテンツを渡して再生指令を行う。ステップS219では、コンテンツ再生部160は、コンテンツ再生を開始する。ここでは、音声のみのコンテンツの再生となる。
【0045】
なお、同一コンテンツを再生する複数のクライアント端末150のグループ内でコンテンツの再生状況を同期するために、コンテンツ再生部160は、再生状況を保持し、コンテンツ配信サーバ110からの求めに応じて、再生状況を記述した再生状態情報を提供することができる。同期再生部128は、上記グループ内のクライアント端末150から再生状態情報を取得し、クライアント端末間で再生状況を比較して、その差分に応じて、先行するクライアント端末へのデータの送信を遅らせたり、再生位置をシフトさせるよう指令を行ったり、再生速度を遅らせるよう指令を行ったりすることで、同期再生をとることができる。
【0046】
以下、コンテンツ出力判定部122によるコンテンツ出力判定処理の詳細について説明する。図8は、本実施形態のコンテンツ配信サーバが実行する、コンテンツ出力判定処理を示すフローチャートである。図8に示す処理は、ステップS300で、クライアント端末150からコンテンツ要求が発行されたことに応答して、ステップS301から開始する。ステップS301では、コンテンツ出力判定部122は、クライアント端末150からコンテンツ要求を受信し、要求元のクライアント端末、再生が要求されるコンテンツおよびコンテンツ要素の指定を取得する。ステップS302では、コンテンツ出力判定部122は、取得した要求元のクライアント端末と、要求されたコンテンツと、要求されたコンテンツ要素とを再生要求データに登録する。ステップS303では、端末機能/要素比較部118に対し、端末機能とコンテンツ要素との比較を依頼し、ステップS304で、図7に示すような比較結果200を取得する。
【0047】
ステップS305では、コンテンツ出力判定部122は、要求されたコンテンツのコンテンツ要素が、要求元クライアント端末150で再生可能であるか否かを判定する。図9および図10は、コンテンツ出力判定部122による判定例を示す。図9(A)に示す例では、コンテンツが含むコンテンツ要素である映像および音声の両方ともが、クライアント端末で再生可能であり、当該クライアント端末から要求されたコンテンツ要素が再生可能なコンテンツ要素の範囲に含まれている。したがって、図9(A)では、要求されたコンテンツ要素は再生可能であると判定される。図9(B)に示す例では、コンテンツが含むコンテンツ要素である映像および音声のうち映像がクライアント端末で再生不可能であるが、当該クライアント端末から要求されたコンテンツ要素が音声のみであり、少なくとも再生可能なコンテンツ要素の範囲に含まれている。したがって、図9(B)でも、要求されたコンテンツ要素が再生可能であると判定される。一方、図10に示す例では、コンテンツが含むコンテンツ要素である映像および音声のうち音声がクライアント端末で再生不可能であり、当該クライアント端末から要求されたコンテンツ要素が音声を含むため、再生可能なコンテンツ要素の範囲から外れている。したがって、図10では、要求されたコンテンツ要素すべてが再生可能ではないと判定される。
【0048】
ステップS305で、図10に示す例のように、すべてが再生可能ではないと判定された場合(NO)には、ステップS306へ処理を進める。ステップS306では、図11に示すような、再生不能である旨のエラー通知を行い、ステップS314で本処理を終了させる。なお、説明する実施形態では、エラー通知を行うものとして説明したが、他の実施形態では、クライアント端末で再生可能なコンテンツ要素に修正することもできる。図10に示す例では、音声がクライアント端末で再生不可能であるため、要求するコンテンツ要素から「音声」を削除して、ステップS307の処理へ進めてもよい。一方、ステップS305で、再生可能であると判定された場合(YES)には、ステップS307へ処理を進める。
【0049】
ステップS307では、引き続き、要求されたコンテンツ要素が、コンテンツのすべてのコンテンツ要素に対応し分解する必要がないか、コンテンツのコンテンツ要素の一部にしか対応しないため、コンテンツのファイルを分解する必要があるか否かを判定する。図9(A)では、コンテンツ「Sample1.mpg」が含む音声および映像のコンテンツ要素は、クライアント端末ですべて再生可能であり、この場合、分割が不要であると判定される。図9(B)では、コンテンツ「Sample1.mpg」が含む音声が、クライアント端末で再生不能であり、この場合、分割が必要であると判定される。図10では、仮にエラー通知が行われずに修正される実施形態では、コンテンツ「Sample1.mpg」が含む音声が、クライアント端末で再生不能であり、この場合も分割が必要であると判定される。
【0050】
ステップS307で、分解が必要ではないと判定される場合(NO)には、ステップS313へ直接処理を分岐させて、ステップS313では、コンテンツ配信部116に対し、そのままでのコンテンツの配信を依頼する。一方、ステップS307で、分解が必要であると判定される場合(YES)には、ステップS308へ処理を進める。ステップS308では、従前のコンテンツ要求に対する処理の際に、クライアント端末に紐つけて分解されたコンテンツが保管されているか否かを判定する。これは、以前と同一クライアント端末から、同一コンテンツに対して、同一の要素の再生要求が行われたときに、分解処理を省略し、負荷を低減させる。ステップS308で、保管された同一の分解コンテンツがあれば、ステップS309で、コンテンツ分解部124に対する依頼に代えて、保管されている分解コンテンツを取得し、ステップS313で、コンテンツ配信部116に対し、コンテンツ要素単位のコンテンツの配信を依頼し、ステップS314で本処理を終了させる。
【0051】
一方、ステップS308で、分解されたコンテンツが保管されていないと判定された場合(NO)は、ステップS310へ処理を進める。ステップS310では、コンテンツ出力判定部122は、コンテンツ分解部124に対してコンテンツの分解を依頼し、ステップS311で、分解処理がなされたコンテンツを取得し、ステップS312で分解されたコンテンツを、クライアント端末150、要求されたコンテンツおよび要求されたコンテンツ要素に紐つけて保管する。ステップS313では、分解されたコンテンツ要素のコンテンツを配信しステップS314で本処理を終了させる。
【0052】
以下、本実施形態によるコンテンツ配信処理におけるクライアント端末間の同期再生について説明する。上述したように、本実施形態の同期再生部128は、同一コンンテンツのコンテンツ要素が端末間で同期して再生されるように、クライアント端末150内のコンテンツ再生状態を監視しながら同期処理を実行する。図12は、このような同期再生を説明する図である、図12(A)は、コンテンツ配信サーバ110がクライアント端末150から取得する再生状況を記述する再生状態情報として、コンテンツ再生開始からの経過時間を例示している。
【0053】
図12(B)は、コンテンツ配信サーバ110が、同一コンテンツを再生するグループ内の複数のクライアント端末150から再生状態情報を取得し、コンテンツの再生処理が先行している端末の進行を、再生処理が遅延している端末に合わせている様子を示す。コンテンツ配信サーバ110は、取得した複数の再生状態情報を比較して、いずれのクライアント端末が先行しているか、また差があればどの程度かを判定する。図12(B)の例示では、端末Aの方が早く、その差は500msecである。この場合、コンテンツ配信サーバ110において、同期再生部128は、コンテンツ配信部116に対して指令し、端末Aに対するデータの転送に対し遅延を発生させる処理を行うことができる。この差分に応じて、先行するクライアント端末へのデータの送信を遅らせたりすることで、同期再生を実現することができる。なお、上記グループは、同時に同一コンテンツを再生するすべてのクライアント端末から形成してもよいし、利用者が参加する会議内で閉じられていてもよい。
【0054】
また、先行してコンテンツを再生するグループに対し、遅れてクライアント端末150が参加する場合、先行するクライアント端末150では、既に再生を開始してから時間が経過している場合がある。その場合、同期再生部128は、初期状態として、グループの再生状況を記述する再生状態指定情報を、上記配信されるコンテンツに付属し、クライアント端末150に対して所定の位置から再生を開始させたり、あるいは、再生状況に対応したデータ位置からデータ送信を開始することで、動的なクライアント端末の追加にも対応することが可能となる。
【0055】
これにより、サーバ上の動画コンテンツなど複数のコンテンツ要素を含むマルチメディア・コンテンツを、映像を出力するクライアント端末と、音声を出力するクライアント端末とに分割して再生するように、単一コンテンツ内の各コンテンツ要素の出力を複数のクライアント端末で分担し合い全体として最適な出力を行う、補完出力を実現することができる。さらに、クライアント端末を後から接続し、一部のコンテンツ要素だけを自分の端末で出力できるようクライアント端末を出力先として動的に追加するが可能となる。
【0056】
図13は、本実施形態のコンテンツ配信システム100の利用態様を説明する図である。図13に示すように、動画コンテンツでは、映像と音声のコンテンツ要素に分解し、プロジェクタで映像のコンテンツを再生し、一方、イヤホンで音声のコンテンツを再生するという利用態様を実現することができる。また、動画コンテンツでは、それから静止画を切り出して、静止画と音声とのコンテンツ要素をデジタルフォトフレームで再生することができる。また、動画コンテンツは、映像、音声および撮影情報のコンテンツ要素に分割し、映像と音声とをプロジェクタで再生しつつ、メタデータをコンピュータ装置に表示させるというような利用態様も考えられる。さらに動画コンテンツでは、プロジェクタで映像および音声の出力を行い、一方スピーカで音声のみを出力させるというようなこともできる。
【0057】
さらに、音声コンテンツでは、音声を音楽プレーヤで再生しつつ、音声を文字化した情報をスマートフォンで表示させるようなことも可能である。さらに、ウェブページでは、静止画像部分とテキスト部分とで分解し、静止画およびテキストをブラウザ非対応の端末で表示させるというようなことも可能である。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、クライアント端末に対して、要求されたマルチメディア・コンテンツを、該クライアント端末の環境に対応して、映像、音声、画像およびテキストなどのコンテンツ要素に分解し、ユーザが要求するコンテンツ要素を選択的にクライアント端末に配信することが可能なコンテンツ配信システム、コンテンツ配信サーバ、コンテンツ配信方法、プログラムおよび記録媒体を提供することができる。
【0059】
なお、上記機能は、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)、などのレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述されたコンピュータ実行可能なプログラムにより実現でき、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD、SDカード、MOなど装置可読な記録媒体に格納して頒布することができる。
【0060】
これまで本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
100…コンテンツ配信システム、102…ネットワーク、110…コンテンツ配信サーバ、112…通信部、114…機能情報取得部、116…コンテンツ配信部、118…端末機能・要素比較部、120…要素抽出部、122…コンテンツ出力判定部、124…コンテンツ分解部、126…通知部、128…同期再生部、130…コンテンツ・データベース、150…クライアント端末、150a…パーソナル・コンピュータ、150b…映像出力装置、150c…音声出力端末、152…通信部、154…コンテンツ要求部、156…機能情報提供部、158…コンテンツ受信部、160…コンテンツ再生部、200…比較結果
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2002−342218号公報
【特許文献2】特開2010−061212号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と、前記端末装置にネットワークを介して接続されるコンテンツ配信サーバとを含むコンテンツ配信システムであって、前記コンテンツ配信サーバは、
コンテンツ利用が要求される端末装置の機能を記述する機能情報を取得する機能情報取得手段と、
利用が要求されたコンテンツに含まれるコンテンツ要素を抽出する要素抽出手段と、
前記機能情報から前記端末装置が利用可能な要素を判定し、抽出された前記コンテンツ要素と比較して、前記コンテンツ要素各々が前記端末装置で利用可能であるかを判定する比較手段と、
前記端末装置が要求する利用可能なコンテンツ要素を配信するために前記コンテンツを分解する必要があるかを判定する出力判定手段と、
分解が必要な場合に前記コンテンツを前記コンテンツ要素毎に分解する分解手段と
を含む、コンテンツ配信システム。
【請求項2】
前記コンテンツ配信サーバは、さらに、同一コンテンツを再生する複数の端末装置の再生状況に応じて、端末装置間の同期再生を実現する同期再生手段をさらに含む、請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
前記出力判定手段は、前記端末装置からのコンテンツ利用要求に応答して、要求されたコンテンツ要素を前記端末装置に紐つけて記憶し、前記端末装置からの再度のコンテンツ利用要求に応答して、前記端末装置に紐つけられたコンテンツ要素を読み出して、前記分解する必要があるかの判定に用いることを特徴とする、請求項1または2に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項4】
前記出力判定手段は、前記分解手段によって分解された要素単位の分解コンテンツを前記端末装置に紐つけて保管し、前記端末装置からの再度のコンテンツ利用要求に応答し、前記再度のコンテンツ利用要求の際に同一の要素単位が必要であると判定したとき、前記分解手段による分解に代えて、保管された前記分解コンテンツを読み出すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項5】
前記比較手段は、前記機能情報内に記述される機能とコンテンツ要素とを対応付ける対応付け情報を参照することによって、前記端末装置が利用可能な要素の判定を行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項6】
前記機能情報の機能は、前記端末装置が利用可能なファイルの拡張子、前記端末装置が実装するコーデック、または前記端末装置が内蔵若しくは接続されるデバイスのデバイス情報で記述される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項7】
前記コンテンツ配信システムは、前記比較手段により、前記端末装置が利用を要求するコンテンツ要素は利用可能ではないと判定された場合に、前記端末装置が利用できないコンテンツ要素が要求された旨を通知する通知手段をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項8】
前記コンテンツ配信システムは、さらに、前記分解手段によって分解された各コンテンツ要素を、コンテンツ利用要求元の端末装置に配信するコンテンツ配信手段をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項9】
前記端末装置は、前記コンテンツ配信サーバが管理するコンテンツの利用要求であって、利用を要求するコンテンツ要素が指定される当該利用要求を前記コンテンツ配信サーバに送信するコンテンツ要求手段と、当該端末装置の機能を記述する機能情報を読み出し、前記コンテンツ配信サーバに送信する機能情報提供手段とを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項10】
前記コンテンツは、映像、音声、静止画、テキスト、音声を文字化した情報およびメタ情報を含む群から選択された1以上のコンテンツ要素を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項11】
端末装置にネットワークを介して接続されるコンテンツ配信サーバであって、
コンテンツ利用が要求される端末装置の機能を記述する機能情報を取得する機能情報取得手段と、
利用が要求されたコンテンツをコンテンツ保管手段から取得して、該コンテンツに含まれるコンテンツ要素を抽出する要素抽出手段と、
前記機能情報から前記端末装置が利用可能な要素を判定し、抽出された前記コンテンツ要素と比較して、前記コンテンツ要素各々が前記端末装置で利用可能であるかを判定する比較手段と、
前記端末装置が要求する利用可能なコンテンツ要素を配信するために前記コンテンツを分解する必要があるかを判定する出力判定手段と、
分解が必要な場合に前記コンテンツを前記コンテンツ要素毎に分解する分解手段と
を含む、コンテンツ配信サーバ。
【請求項12】
端末装置にネットワークを介して接続されるコンテンツ配信サーバが実行するコンテンツ配信方法であって、
コンテンツ配信サーバが、コンテンツ利用が要求される端末装置の機能を記述する機能情報を取得するステップと、
コンテンツ配信サーバが、利用が要求されたコンテンツをコンテンツ保管手段から取得し、該コンテンツに含まれるコンテンツ要素を抽出するステップと、
コンテンツ配信サーバが、前記機能情報から前記端末装置が利用可能な要素を判定し、抽出された前記コンテンツ要素と比較して、前記コンテンツ要素各々が前記端末装置で利用可能であるかを判定するステップと、
コンテンツ配信サーバが、前記端末装置が要求する利用可能なコンテンツ要素を配信するために前記コンテンツを分解する必要があるかを判定するステップと、
コンテンツ配信サーバが、分解が必要な場合に前記コンテンツを前記コンテンツ要素毎に分解するステップと
を含む、コンテンツ配信方法。
【請求項13】
コンピュータ実行可能なプログラムであって、コンピュータを
ネットワークを介して、コンテンツ利用が要求される端末装置の機能を記述する機能情報を取得する機能情報取得手段、
利用が要求されたコンテンツをコンテンツ保管手段から取得して、該コンテンツに含まれるコンテンツ要素を抽出する要素抽出手段、
前記機能情報から前記端末装置が利用可能な要素を判定し、抽出された前記コンテンツ要素と比較して、前記コンテンツ要素各々が前記端末装置で利用可能であるかを判定する比較手段、
前記端末装置が要求する利用可能なコンテンツ要素を配信するために前記コンテンツを分解する必要があるかを判定する出力判定手段、および
分解が必要な場合に前記コンテンツを前記コンテンツ要素毎に分解する分解手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータ実行可能なプログラムをコンピュータ可読に記録する記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−190149(P2012−190149A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51747(P2011−51747)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】