説明

コンテンツ配信システムおよびコンテンツ配信方法

【課題】 効率的にコンテンツの配信を行うことが可能な,特に,ネットワークに接続していない状態でコンテンツを購入することが可能なコンテンツ配信システムおよびコンテンツ配信方法を提供する。
【解決手段】 コンテンツの配信を行うコンテンツ配信サーバ110と,コンテンツ配信サーバ110の保有するコンテンツの配信を代行する送信端末120と,送信端末120から無線通信によりコンテンツの配信を受ける受信端末130とを含むコンテンツ配信システム10において,送信端末120は受信端末130とデータの送受信が可能な通信可能領域200にある場合にコンテンツの配信を行い,受信端末130は通信可能領域200にある場合に復号化されたコンテンツの再生を行うことが可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,コンテンツ配信システムおよびコンテンツ配信方法に関し,特に,コンテンツを効率的に配信することができるコンテンツ配信システムおよびコンテンツ配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,インターネットの普及やPC(Personal Computer)等の高速化や大容量化に伴い,ネットワークを介した音楽データや映像データなどのデジタルコンテンツの配信が広く行われるようになってきている。デジタルコンテンツを保有するサーバ(コンテンツ配信サーバ)からネットワークを介して配信されたコンテンツは,PC等の通信端末に記録・再生されるか,あるいは他の携帯通信端末等に転送されて記録・再生される(例えば,特許文献1を参照)。
【0003】
また,最近では,無線通信機能やハードディスク等の記録手段を有する携帯型再生装置が普及してきていることから,すべてのコンピュータが対等にサーバの役割とクライアントの役割の双方を担うピアツーピア(Peer To Peer:P2P)型のネットワークを利用したデジタルコンテンツの配信も行われるようになってきている。P2P型の配信の場合には,コンテンツの配信を受けた受信端末が,コンテンツの配信を行う送信端末の役割をも有するため,特定のコンテンツ配信サーバから一括でコンテンツを配信する方式よりも,音楽データや映像データ等を効率的に配信することができる。また,特定のサーバを置かないことから,サーバへのアクセスの集中が抑制され,サーバの負担を軽減させることもできる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−25922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,従来は,コンテンツを購入できるのは,そのコンテンツを保有するコンテンツ配信サーバとユーザ端末とがネットワークを介して接続されている状態に限られていた。すなわち,ユーザは,音楽データや映像データ等のデジタルコンテンツを購入したい場合には,インターネット等のネットワークに接続してコンテンツ配信サーバにアクセスしなければならず,ユーザが外出等しており,ネットワークに接続できないような場合には,コンテンツを購入することはできなかった。このため,効率的なコンテンツの配信という観点からは未だ不十分である,という問題があった。
【0006】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的は,効率的にコンテンツの配信を行うことが可能な,特に,ネットワークに接続していない状態でコンテンツを購入することが可能な,新規かつ改良されたコンテンツ配信システムおよびコンテンツ配信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,コンテンツの配信を行うコンテンツ配信サーバと,コンテンツ配信サーバの保有するコンテンツの配信を代行する送信端末と,送信端末から無線通信によりコンテンツの配信を受ける受信端末とを含むコンテンツ配信システムが提供される。
【0008】
上記コンテンツ配信システムにおいて,コンテンツ配信サーバは,送信端末とデータの送受信を行う通信部と;1または2以上のコンテンツが記録される記録部と;記録部に記録されたコンテンツの利用を管理するコンテンツ管理部と;記録部に記録されたコンテンツに少なくともコンテンツの再生についての制限を付加して暗号化コンテンツを生成するコンテンツ暗号化部と;暗号化コンテンツを復号化するための復号鍵を管理する鍵管理部と;を備える。
【0009】
また,上記コンテンツ配信システムにおいて,送信端末は,コンテンツ配信サーバとデータの送受信を行う通信部と;互いにデータの送受信が可能な通信可能領域内に,少なくとも1の受信端末があるか否かを検知する端末検知部と;コンテンツ配信サーバから受信した暗号化コンテンツおよび復号鍵を対応付けて記録する記録部と;記録部に記録された暗号化コンテンツおよび該暗号化コンテンツに対応付けられた復号鍵の全部または一部を抽出する抽出部と;を備える。
【0010】
また,上記コンテンツ配信システムにおいて,受信端末は,通信可能領域内に,少なくとも1の送信端末があるか否かを検知する端末検知部と;送信端末から受信した暗号化コンテンツおよび復号鍵を対応付けて記録する記録部と;記録部に記録された暗号化コンテンツを,対応付けて記録された復号鍵を用いて復号化する復号化部と;復号化されたコンテンツを再生するコンテンツ再生部と;を備える。
【0011】
かかる構成を有するコンテンツ配信システムにおいて,送信端末は受信端末とデータの送受信が可能な通信可能領域にある場合にコンテンツの配信を行い,受信端末は通信可能領域にある場合に復号化されたコンテンツの再生を行うことが可能であることを特徴とする。
【0012】
ここで,上記コンテンツ配信システムにおいては,受信端末が送信端末から受信した復号鍵は,暗号化コンテンツの復号化後に削除される一時鍵であり,受信端末は,一時鍵を用いて復号化されたコンテンツの再生後,該復号化されたコンテンツを削除するように構成しても良い。
【0013】
また,送信端末は,暗号化コンテンツの配信の際に,送信端末を識別するための送信端末識別情報およびコンテンツ配信サーバに関する情報を受信端末へ送信するように構成しても良い。
【0014】
また,受信端末は,一時鍵を用いて復号化されたコンテンツの再生後,コンテンツ配信サーバに関する情報に基づいて,コンテンツ配信サーバに対し,暗号化コンテンツの購入要求を送信し,購入要求の際に,該購入要求に係る暗号化コンテンツを識別するための暗号化コンテンツ識別情報および送信端末識別情報を送信するように構成しても良い。
【0015】
また,コンテンツ配信サーバは,上記購入要求を受信した場合には,暗号化コンテンツ識別情報および送信端末識別情報に基づいて,購入要求に係る暗号化コンテンツを復号化するための復号鍵を受信端末へ送信するように構成しても良い。
【0016】
また,コンテンツ配信サーバは,復号鍵を受信端末へ送信した後に,暗号化コンテンツ識別情報および送信端末識別情報に基づいて,コンテンツの配信の代行に対する対価支払処理を行うように構成しても良い。
【0017】
また,受信端末は,暗号化コンテンツの配信を受ける前に,コンテンツ配信サーバから所定の数だけコンテンツを購入する権利情報であるプリペイド情報を取得し,受信端末の記録部に記録するように構成してもよい。
【0018】
また,受信端末は,送信端末から暗号化コンテンツおよび対応する復号鍵の配信を受けた際に,記録部にプリペイド情報が記録されているか否かを判定し,記録部にプリペイド情報が記録されている場合には,プリペイド情報と暗号化コンテンツとを関連付け,関連付けられた暗号化コンテンツの復号化に使用した復号鍵を削除しないように構成しても良い。
【0019】
また,受信端末は,プリペイド情報と関連付けられた暗号化コンテンツに係る暗号化コンテンツ識別情報と,該暗号化コンテンツを配信した送信端末に係る送信端末識別情報と,を含む購入履歴情報をコンテンツ配信サーバに送信し,コンテンツ配信サーバは,購入履歴情報を受信した場合には,購入履歴情報に含まれる暗号化コンテンツ識別情報および送信端末識別情報に基づいて,コンテンツの配信の代行に対する対価支払処理を行うように構成しても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば,P2P型のデータ配信により効率的にコンテンツの配信を行うことが可能な,特に,受信端末が予めコンテンツを購入する権利を取得しておくことで,ネットワークに接続していない状態でコンテンツを購入することが可能な,コンテンツ配信システムおよびコンテンツ配信方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
まず,本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムの概要について説明する。本実施形態に係るコンテンツ配信システムにおいては,まず,コンテンツの権利(著作権等)を所有する権利保持者から音楽/映像コンテンツの販売を委託された販売者(「コンテンツ配信サーバ」)が,その音楽/映像コンテンツを安全かつ大規模に流通(配布/宣伝)するために,コンテンツごとに一部の制限を施した制限付コンテンツ(「暗号化コンテンツ」)とその制限を解除する解除権利情報(「復号鍵」)の組を生成する。そして,この制限付コンテンツを販売者に代わって二次配布(配信)してくれる1または複数の広告者(「送信端末」)の登録を募集する。登録された広告者は,制限付コンテンツをユーザ(「受信端末」)に二次配布し,配布された制限付コンテンツを購入したいユーザは,販売者に対して購入要求をする(このとき,販売者はユーザからコンテンツに対する対価を得る)。次に,ユーザから購入要求を受けた販売者は,購入要求に係る制限付コンテンツの制限を解除するための解除権利情報をユーザに提供する。さらに,販売者は,この制限付コンテンツを配布した広告者に対して,二次配布に対する対価を支払う。また,販売者は,この制限付コンテンツの権利を所有する権利保持者に対しても対価(補償金等)を支払う。なお,上記システムにおいて,権利保持者と販売者とが同一であっても差し支えない。
【0023】
このようなコンテンツ配信システムにおいては,ユーザと販売者との間の取引成立後に広告者に対する対価の支払が生じるため,広告費用が削減され,販売者(あるいは権利保持者)にとって非常に安全性の高いシステムといえる。
【0024】
(コンテンツ配信システム10の全体構成)
次に,図1に基づいて,本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システム10の全体構成について説明する。なお,図1は,本実施形態に係るコンテンツ配信システム10の全体構成を概略的に示す説明図である。
【0025】
図1に示すように,本実施形態に係るコンテンツ配信システム10は,自己が保有する1または2以上のコンテンツの配信を行うコンテンツ配信サーバ110と,コンテンツ配信サーバ110の保有するコンテンツの配信を代行する送信端末120と,送信端末120から無線通信によりコンテンツの配信を受ける受信端末130と,を含む。
【0026】
本実施形態に係るコンテンツ配信システム10においては,コンテンツ配信サーバ110と,送信端末120または受信端末130とは,インターネット100等のネットワークを介して接続されるように構成されている。一方,送信端末120と受信端末130とは,互いに無線によるデータの送受信が可能な通信可能領域200内にある場合に,無線通信によりコンテンツの送受信が可能なように構成されている(例えば,送信端末120は,通信可能領域200の外にある受信端末130´とは,無線通信によるコンテンツの送受信が不可能となっている)。
【0027】
したがって,コンテンツ配信システム10は,送信端末120が一旦コンテンツ配信サーバ110からコンテンツを取得した後は,送信端末120および受信端末130がコンテンツ配信サーバ110とインターネット100等のネットワークに接続されていない状態でも,通信可能領域200内にある送信端末120と受信端末130との間で,無線通信により(いわゆるアドホックネットワークを構築することにより)コンテンツの送受信を行うことができる。このように,ストリーミング配信の場合と異なり,データ伝送が行われるのは1度だけで,2度目からはキャッシュが使用されるため,2度目からは再生開始を高速化することができる。また,ストリーミングではないので,再生途中で音声や映像が途切れたりする現象も発生しない。
【0028】
さらに,コンテンツ配信システム10は,P2P(Peer To Peer)型の配信を行うように構成されている。すなわち,上記のようにして送信端末120からコンテンツの配信を受けた受信端末130は,送信端末としての役割も有することができ,さらに他の受信端末へコンテンツを配信することができる。このようにして,効率的にコンテンツの配信を行うことが可能となる。また,特定のサーバを設けた一極集中型のネットワークとは異なり,多くのサーバが存在し,1つのサーバにアクセスが集中することも無いので,ネットワーク帯域の軽減にもつながる。なお,コンテンツ配信システム10におけるコンテンツ配信方法の詳細については,後述する。
【0029】
ここで,送信端末120は,1つのコンテンツ配信サーバ110に対して複数存在してもよく,また,受信端末130は,1つの送信端末120に対して複数存在してもよい。このように,送信端末120や受信端末130が複数存在することにより,より広い範囲でコンテンツを配信(配布)することが可能となる。
【0030】
(コンテンツ配信サーバ110の構成)
次に,図2に基づいて,本実施形態に係るコンテンツ配信サーバ110の構成について説明する。なお,図2は,本実施形態に係るコンテンツ配信サーバ110の構成を概略的に示すブロック図である。
【0031】
図2に示すように,コンテンツ配信サーバ110は,通信部111と,記録部112と,コンテンツ暗号化部113と,コンテンツ管理部114と,鍵管理部115と,端末管理部116と,対価処理部117とを主に備える。
【0032】
通信部111は,ネットワーク100を介して接続された送信端末120または受信端末130とデータの送受信を行う。コンテンツ配信サーバ110は,この通信部111により,記録部112に格納された暗号化コンテンツを送信端末110に送信したり,記録部112に格納された復号鍵を受信端末130の購入要求に応じて送信したりする。
【0033】
記録部112には,予め1または2以上のコンテンツ(例えば,音楽データや映像データなど)が格納されている。この記録部112に格納されたコンテンツは,コンテンツ配信サーバ110自身が該コンテンツの権利(著作権等)を所有するものであるか,あるいは,該コンテンツの権利を所有する者から販売を委託されるなどして正当に譲り受けたものである。
【0034】
コンテンツ暗号化部113は,記録部112に記録されたコンテンツに少なくともコンテンツの再生についての制限を付加した暗号化コンテンツと,この暗号化コンテンツを復号するための復号鍵の組を生成する。コンテンツ暗号化部113により生成された暗号化コンテンツと復号鍵とは,対応付けられて記録部112に記録される。
【0035】
ここで,本実施形態における暗号化コンテンツとは,上述したように,少なくともコンテンツの再生についての制限が付加されたコンテンツのことであり,例えば,再生開始後一定時間(例えば最初の30秒)しか再生できないコンテンツ,さびの部分しか再生できない音楽コンテンツ,一定回数(例えば3回)しか再生できないコンテンツ,品質(例えば解像度)を劣化させたコンテンツ,再生自体ができないコンテンツなどがある。また,本実施形態における復号鍵とは,上記のような制限を解除する機能を有するデータ(例えば,キーやシリアル番号など)のことをいう。
【0036】
コンテンツ管理部114は,コンテンツ暗号化部113により生成された暗号化コンテンツの利用(記録,再生,削除等)を管理する。例えば,記録部112に記録された暗号化コンテンツには,これを識別するためのIDが振られており,コンテンツ管理部114は,暗号化コンテンツIDを,その暗号化コンテンツを復号するための復号鍵や,その暗号化コンテンツをコンテンツ配信サーバ110に代わって配信する送信端末120を識別するための送信端末ID等と関連付けて管理している。
【0037】
鍵管理部115は,コンテンツ暗号化部113により生成された復号鍵の利用(記録,削除等)を管理する。例えば,復号鍵には,これを識別するためのIDが振られており,鍵管理部115は,復号鍵IDを,対応する暗号化コンテンツIDや,その暗号化コンテンツをコンテンツ配信サーバ110に代わって配信する送信端末120のID等と関連付けて管理している。なお,本実施形態における復号鍵は,送信端末120ごとに生成されるため,復号鍵には送信端末120ごとに異なるIDが振られている。
【0038】
端末管理部116は,コンテンツ暗号化部113により生成された暗号化コンテンツをコンテンツ配信サーバ110に代わって配信する送信端末120に関する情報を管理する。例えば,上記暗号化コンテンツの配信を代行する送信端末120には,これを識別するためのIDが振られており,端末管理部116は,送信端末IDを,その送信端末が配信する暗号化コンテンツのIDおよび対応する復号鍵のIDと関連付けて管理している。
【0039】
なお,図示していないが,コンテンツ配信サーバ110がコンテンツの権利者から販売を委託された販売者であるような場合には,コンテンツ配信サーバ110は,この権利者の情報(ID等)を管理する権利者管理部(図示せず)を備えていてもよい。
【0040】
対価処理部117は,コンテンツ配信サーバ110が保有するコンテンツが受信端末130により購入された場合に,購入されたコンテンツに係る暗号化コンテンツID,およびこの暗号化コンテンツを配信した送信端末120の送信端末IDに基づいて,送信端末120に対し,コンテンツ配信の代行に対する対価支払処理を行う。また,対価処理部117は,送信端末120により配信されたコンテンツが,そのコンテンツの権利者から正当に譲り受けたものである場合には,該権利者に対しても対価支払処理を行う。
【0041】
なお,コンテンツ配信サーバ110が支払う対価としては,金銭に限られず,任意のコンテンツを購入するための権利情報など(例えば,所定のポイントをためると任意のコンテンツを1つ購入可能となる場合のポイント等)であってもよい。
【0042】
(送信端末120の構成)
次に,図3に基づいて,本実施形態に係る送信端末120の構成について説明する。なお,図3は,本実施形態に係る送信端末120の構成を概略的に示すブロック図である。
【0043】
図3に示すように,送信端末120は,通信部121と,端末検知部122と,記録部123と,抽出部124と,コンテンツ管理部125と,コンテンツ暗号化部126と,鍵管理部127とを主に備える。
【0044】
通信部121は,通信可能領域200内に存在する受信端末130と無線によりデータの送受信を行うとともに,コンテンツ配信サーバ110とネットワーク100を介してデータの送受信を行う。送信端末120は,この通信部121により,記録部123に記録された暗号化コンテンツを受信端末130に送信したり,コンテンツ配信サーバ110に対し,暗号化コンテンツおよび対応する復号鍵の送信を要求したりする。なお,通信部121は,無線と電気的信号を相互に変換する変復調機能を備えている。
【0045】
端末検知部122は,無線によりデータの送受信が可能な通信可能領域200内に,少なくとも1の受信端末130が存在するか否かを検知する。端末検知部122は,少なくとも1の受信端末130の存在を検知した場合には,この情報を抽出部124に送信する。また,端末検知部122が通信可能領域200内に受信端末130が存在することを検知した場合にのみ,通信部121は,記録部123に記録されたコンテンツを送信することができる。
【0046】
記録部123は,コンテンツ配信サーバ110から受信した暗号化コンテンツおよびこれを復号するための復号鍵を対応付けて記録する。また,記録部123には,暗号化されていないコンテンツ(例えば,送信端末120が購入したコンテンツや,送信端末120が作成したコンテンツ等)が記録されていてもよい。ただし,暗号化コンテンツと暗号化されていないコンテンツとは,区別して保存される。
【0047】
抽出部124は,受信端末130からの要求に応じて,または,端末検知部122からの検知情報に基づいて自動的に,記録部123に記録された暗号化コンテンツおよび該暗号化コンテンツに対応付けられた復号鍵の全部または一部を抽出する。抽出されるコンテンツは,例えば,受信端末130の要求に係るコンテンツ,送信端末120のお薦めコンテンツ,送信端末120が今までに送信した回数のランキングが上位のコンテンツ等,任意の基準によりコンテンツを抽出することができる。そして,抽出部124により抽出された暗号化コンテンツおよび復号鍵は,通信部121により受信端末130に送信される。
【0048】
コンテンツ管理部125は,記録部123に記録されたコンテンツの利用(記録,再生,削除等)を管理する。例えば,記録部123に記録された暗号化コンテンツには,これを識別するためのIDが振られており,コンテンツ管理部125は,暗号化コンテンツIDを,その暗号化コンテンツを復号するための復号鍵や,その暗号化コンテンツを保有しているコンテンツ配信サーバ110に関する情報(例えば,サーバ情報,IPアドレス,URL等)と関連付けて管理している。
【0049】
コンテンツ暗号化部126は,記録部123に記録された暗号化されていないコンテンツを受信端末130に送信しようとする場合に,これらのコンテンツを暗号化した暗号化コンテンツおよびこれを復号するための復号鍵を生成する。ただし,コンテンツ暗号化部126は,送信端末120に必ずしも備えられている必要はなく,記録部123に予め暗号化されたコンテンツしか記録されていない場合や,暗号化されていないコンテンツは受信端末130に送信しないような場合には,コンテンツ暗号化部126は不要である。
【0050】
鍵管理部127は,記録部123に記録された復号鍵の利用(記録,再生,削除等)を管理する。例えば,記録部123に記録された復号鍵には,これを識別するためのIDが振られており,鍵管理部127は,復号鍵IDを,対応する暗号化コンテンツIDや,その暗号化コンテンツを保有しているコンテンツ配信サーバ110に関する情報(例えば,サーバ情報,IPアドレス,URL等)と関連付けて管理している。
【0051】
なお,図示していないが,送信端末120は,入力部,表示部などを備えていてもよい。例えば,表示部に受信端末130に送ることが可能な暗号化コンテンツのリストが表示され,このうち受信端末130に実際に送信する暗号化コンテンツを入力部により選択することができる。
【0052】
(受信端末130の構成)
次に,図4に基づいて,本実施形態に係る受信端末130の構成について説明する。なお,図4は,本実施形態に係る受信端末130の構成を概略的に示すブロック図である。
【0053】
図4に示すように,受信端末130は,通信部131と,端末検知部132と,記録部133と,コンテンツ再生部134と,復号化部135と,コンテンツ管理部136と,鍵管理部137とを主に備える。
【0054】
通信部131は,通信可能領域200内に存在する送信端末120と無線によりデータの送受信を行うとともに,コンテンツ配信サーバ110とネットワーク100を介してデータの送受信を行う。受信端末130は,この通信部131により,送信端末120から暗号化コンテンツおよびその復号鍵を受信したり,コンテンツ配信サーバ110に対し,復号鍵の購入要求をしたりする。なお,通信部131は,無線と電気的信号を相互に変換する変復調機能を備えている。
【0055】
端末検知部132は,無線によりデータの送受信が可能な通信可能領域200内に,少なくとも1の送信端末120が存在するか否かを検知する。端末検知部132は,少なくとも1の送信端末120の存在を検知した場合には,この情報をコンテンツ再生部134に送信する。
【0056】
記録部133は,送信端末120から受信した暗号化コンテンツおよびこれを復号するための復号鍵を対応付けて記録する。また,記録部123には,暗号化されていないコンテンツ(例えば,受信端末130がコンテンツ配信サーバ110から購入したコンテンツや,受信端末130が作成したコンテンツ等)が記録されていても良い。ただし,暗号化コンテンツと暗号化されていないコンテンツとは,区別して保存される。
【0057】
コンテンツ再生部134は,端末検知部132から,通信可能領域200内に送信端末120が存在することを検知した旨の情報を受信した場合には,その送信端末120から配信を受けて記録部133に記録されているコンテンツを再生する。このとき,記録部133に記録されているコンテンツが暗号化コンテンツである場合には,下記復号化部135により復号化した後に,コンテンツ再生部134は,復号化されたコンテンツを再生する。
【0058】
復号化部135は,記録部133に記録されたコンテンツが暗号化コンテンツである場合には,対応する復号鍵を用いて暗号化コンテンツを復号する。ここで,復号に用いた復号鍵が送信端末110から取得したものである場合には,この復号鍵は暗号化コンテンツの復号後削除される。
【0059】
コンテンツ管理部136は,記録部133に記録されたコンテンツの利用(記録,再生,削除等)を管理する。例えば,記録部133に記録された暗号化コンテンツには,これを識別するためのIDが振られており,コンテンツ管理部136は,暗号化コンテンツIDを,その暗号化コンテンツを復号するための復号鍵や,その暗号化コンテンツを保有しているコンテンツ配信サーバ110に関する情報(例えば,サーバ情報,IPアドレス,URL等)と関連付けて管理している。
【0060】
鍵管理部137は,記録部133に記録された復号鍵の利用(記録,再生,削除等)を管理する。例えば,記録部133に記録された復号鍵には,これを識別するためのIDが振られており,鍵管理部137は,復号鍵IDを,対応する暗号化コンテンツIDや,その暗号化コンテンツを保有しているコンテンツ配信サーバ110に関する情報(例えば,サーバ情報,IPアドレス,URL等)と関連付けて管理している。また,鍵管理部137は,暗号化コンテンツの復号に用いた復号鍵が送信端末110から取得したものである場合には,この復号鍵を暗号化コンテンツの復号後削除する。
【0061】
なお,図示していないが,受信端末130は,入力部,表示部などを備えていてもよい。例えば,表示部に記録部133に記録された暗号化コンテンツのリストが表示され,このうち再生したいコンテンツを入力部により選択することができる。さらに,選択した暗号化コンテンツに対応する復号鍵が記録部133に記録されていない場合には,表示部に復号化しないと再生できない旨のメッセージ等が表示される。
【0062】
(コンテンツ配信システム10におけるコンテンツ配信方法)
次に,図5に基づいて,本実施形態に係るコンテンツ配信システム10におけるコンテンツ配信方法について詳細に説明する。なお,図5は,本実施形態に係るコンテンツ配信システム10におけるコンテンツ配信方法を説明するタイミングチャートである。
【0063】
図5に示すように,本実施形態に係るコンテンツ配信方法においては,まず,送信端末120が,コンテンツ配信サーバ110の所有する音楽や映像等のコンテンツを,コンテンツ配信サーバ110に代わって受信端末130に配信するためのアカウントを取得するための登録手続を行う(ステップS102)。この登録手続の際,送信端末120は,コンテンツ配信サーバ110に対し,例えば,自己の氏名,住所,電話番号,銀行口座等の情報を送信する。
【0064】
送信端末120は,インターネット等を介してこのような登録手続を行い,コンテンツ配信サーバ110でのアカウントを取得することにより,コンテンツ配信サーバ110から音楽データ等のコンテンツを取得できるようになる。
【0065】
上記のような登録手続の際には審査が行われ,送信端末120は,審査に通過すると,コンテンツ配信サーバ110が提供するサービスを利用できるようになる。このようなサービスとして,コンテンツ配信サーバ110は,インターネットを介して,例えば,広告を行える音楽データの閲覧および選択,広告活動に対する実績情報の閲覧,広告活動に対する対価の支払方法設定,広告活動に対する対価の支払,対価の支払時期の閲覧,個人/組織情報の変更および更新等の機能を送信端末120に提供することができる。
【0066】
ここで,図6を参照しながら,上記登録手続の処理についてさらに詳細に説明する。なお,図6は,本実施形態に係るコンテンツ配信方法における送信端末120の登録処理を説明するフローチャートである。
【0067】
図6に示すように,まず,コンテンツ配信サーバ110は,送信端末120から,例えば氏名,住所,電話番号,銀行口座等の送信端末120に関する情報を受信する(ステップS202)。次に,コンテンツ配信サーバ110は,上記情報に不備があるか否かを判断する(ステップS204)。その結果,情報に不備があると判断した場合には,送信端末120に対し情報に不備がある旨を通知するなどして,もう一度送信端末120からの情報を受信する(ステップS202)。一方,情報に不備がないと判断した場合には,送信端末120にアカウントを与えるべきか否かの審査を行う(ステップS206)。この審査において,コンテンツ配信サーバ110が,送信端末120は審査に通過すると判断した場合には,登録処理が行われ,アカウント(ID等)の発行等がなされる。一方,コンテンツ配信サーバ110が,送信端末120は審査に通過しないと判断した場合には,登録処理が行われずに登録手続が終了する。
【0068】
なお,コンテンツ配信サーバ110が,コンテンツの権利者から販売を委託された販売者であるような場合には,コンテンツ配信サーバ110において,当該権利者の登録も行われる。この登録手続の詳細に関しては,送信端末120の場合とほぼ同様であるので,詳細な説明は省略する。
【0069】
権利者は,コンテンツ配信サーバ110に対するアカウントを取得することにより,コンテンツの販売を委託できるようになる。また,権利者は登録の審査に通過すると,コンテンツ配信サーバ110が提供するサービスを利用できるようになる。このようなサービスとして,コンテンツ配信サーバ110は,売り上げ集計閲覧機能,権利者に支払われる対価の集計閲覧機能,送信端末ごとの成果閲覧機能,特定の送信端末に対する販売権の譲渡および停止,対価の支払方法設定,対価の支払,対価の支払時期の閲覧,個人/組織情報の変更および更新等の機能を権利者に提供することができる。
【0070】
再び図5に基づいて,本実施形態に係るコンテンツ配信方法の説明を続ける。なお,以下の説明においては,コンテンツの例として音楽データを挙げて説明するが,本実施形態に係るコンテンツは音楽データに限られるものではない。
【0071】
上記登録手続(ステップS102)の結果,コンテンツ配信サーバ110が送信端末120の登録を行うと(ステップS104),上述したように,送信端末120は,コンテンツ配信サーバ110に対し,音楽データおよび復号鍵の入手を要求できるようになる。そこで,送信端末120の通信部121は,インターネットに接続し,コンテンツ配信サーバ110に対して暗号化されている音楽データおよびその復号鍵の入手を要求する(ステップS106)。コンテンツ配信サーバ110のコンテンツ暗号化部113は,送信端末120からの要求に応じて,音楽データを暗号化する。また,暗号化された音楽データの復号に使用される復号鍵は,送信端末120ごとに生成される。本実施形態においては,送信端末120ごとに一意のIDが振られており,このIDに基づいて,鍵管理部127は,復号鍵の送信端末120との関連を管理する。
【0072】
次に,コンテンツ配信サーバ110の通信部111は,ステップS108で生成した暗号化音楽データおよび復号鍵(一時鍵)を送信端末120に送信する(ステップS110)。このようにして,送信端末110は,広告用の暗号化された音楽データと復号鍵(一時鍵)を入手することができる。そして,このステップS106〜S110の手順を繰返し実行することで,送信端末120は,複数の(暗号化された)音楽データを予め記録部123に蓄積しておくことができる。
【0073】
次に,受信端末130の端末検知部132が通信可能領域200内に送信端末120が存在することを検知した場合には,受信端末130の通信部131は,無線通信により送信端末120に対し,暗号化音楽データとその復号鍵の送信を要求する(ステップS112)。送信端末120の通信部121は,受信端末130からの要求に応じて,受信端末130に暗号化音楽データおよびその復号鍵を送信する(ステップS114)。
【0074】
次に,受信端末130の復号化部135は,送信端末120から受信した暗号化音楽データをその復号鍵を用いて復号する(ステップS116)。なお,暗号化音楽データの復号に使用された復号鍵は,鍵管理部137により削除される。
【0075】
さらに,受信端末130のコンテンツ再生部134は,ステップS116で復号された音楽データを再生する(ステップS118)。この復号化された音楽データの再生は,受信端末130と送信端末120とが通信可能領域200内に存在する間だけ行うことができ,受信端末130と送信端末120とが通信可能領域200から外れた場合には,即座に再生が終了されるか,または1回再生が終了した後に,コンテンツ管理部136により,復号された音楽データが削除される。
【0076】
ここで,図7〜図9を参照しながら,受信端末130によるコンテンツの配信要求からコンテンツの再生まで(ステップS112〜S118)の処理の流れについてさらに詳細に説明する。なお,図7は,本実施形態に係る暗号化コンテンツの配信処理を説明するためのブロック図であり,図8は,本実施形態に係る復号鍵の配信処理および暗号化コンテンツの復号化処理を説明するためのブロック図であり,図9は,本実施形態に係るコンテンツの再生処理を説明するためのブロック図である。
【0077】
まず,図7に示すように,送信端末120と受信端末130とが通信可能領域200内に存在する場合には,受信端末130は,通信部131の無線機能を通して,送信端末120へ音楽データ送信要求を送信する(ステップS112−1)。なお,上記無線機能を通した通信路は暗号化されている。
【0078】
なお,受信端末130は,残電力に応じて,上記送信端末120へ音楽データ送信要求を送信するか否かを判断する機能を有することもできる。
【0079】
次に,送信端末120は,受信端末130からの上記送信要求に応じて,暗号化された音楽データを通信部121から受信端末130へ送信する(ステップS114−1)。この暗号化音楽データの送信の際,送信端末120は,送信端末120を識別するための送信端末識別情報(ID)およびコンテンツ配信サーバ110に関する情報(例えば,サーバ情報,IPアドレス,URL等)を受信端末130へ送信することもできる。これらの情報は,後に,受信端末130がコンテンツ配信サーバ110へ復号鍵の購入要求をする際(図5のステップS120参照)等に必要となる。
【0080】
なお,送信端末120は,受信端末130からの要求に対する応答を,自動応答と手動応答のいずれにするかを選択することができる。また,送信端末120は,自動応答を選択していた場合でも,残電力に応じて,自動的に自動応答から手動応答に切り替える機能を有することもできる。
【0081】
また,送信端末120は,特定の受信端末130による接続を拒否できるように構成することもできる。このような接続を拒否する方法としては,例えば,Denyリスト等が考えられる。
【0082】
さらに,送信端末120が受信端末130からの音楽データ送信要求に応じることにより,受信端末130が,その音楽データを提供した送信端末120を物理的に特定できるように構成することもできる。かかる送信端末120の特定方法としては,例えば,受信端末130からの要求に応じて,送信端末120の一部または全部に設けられたLED等の発光手段を発光させる方法,送信端末120に設けられた音声出力手段から音声を発する方法,送信端末120を振動させる方法等が考えられる。
【0083】
一方,上記のように送信端末120を特定できる機能を悪用されることを防ぐために,送信端末120は,上記受信端末130からの要求に応じることにより物理的に特定できる機能を無効化することができる。例えば,上記送信端末120の特定方法が,イヤホンの側面に備えられたLEDを発光させる機能である場合,満員電車内では近くにいる人を容易に特定することができてしまう。したがって,この機能を悪用されないために,この機能を望まない送信端末120は,LEDを発光させる機能をOFFにすることができる。
【0084】
また,物理的に特定できないまでも,例えば,受信端末130は,送信端末120が発する電波の強度を計測し,その強度の値から送信端末120が存在する方向を推測できるように構成することもできる。
【0085】
一方,送信端末120においては,受信端末130からの要求があったことを音声または映像によりユーザに通知されるように構成してもよい。この通知の方法としては,例えば,受信端末130の音声出力手段から音を出力させるか,あるいは,受信端末130の表示手段(ディスプレイ等)に「○○の端末から音楽データの送信要求がありました。」などの文字を表示させる等が考えられる。
【0086】
受信端末130は,上記のようにして送信端末120から送信された暗号化音楽データを通信部131で受信した後,記録部133に保存する。
【0087】
受信端末130は,受信した暗号化音楽データを再生するときは,その音楽データの送信元である送信端末120に対し,その暗号化音楽データを復号するための復号鍵の送信要求を送信する(ステップS112−1)。
【0088】
送信端末120は,受信端末130からの上記送信要求に応じて,復号鍵を通信部121から受信端末130へ送信する(ステップS114−2)。受信端末130は,送信端末120から送信された復号鍵を通信部131で受信して,復号化部135により,受信した復号鍵を使用して記録部133に記録された暗号化音楽データを復号する。また,暗号化音楽データの復号に使用された復号鍵は,音楽データの復号後自動的に削除される。さらに,復号された音楽データに関しても,1回の再生後自動的に無効化または削除される。
【0089】
したがって,受信端末130は,暗号化された音楽データを再び再生するためには,再度送信端末120から復号鍵を入手しなければならないが,受信端末130は,暗号化音楽データの取得のときと同様に,送信端末120が通信可能領域200内に存在する場合にしか,復号鍵を取得することができない。すなわち,受信端末130は,記録部133に保存した暗号化音楽データを送信した送信端末120が通信可能領域200内に存在する間だけ,その音楽データを復号することができる。
【0090】
また,受信端末130は,復号された音楽データの再生についても,記録部133に保存した暗号化音楽データを送信した送信端末120が通信可能領域200内に存在する間だけ行うことができる。したがって,図9に示すように,送信端末120が通信可能領域200から外れてしまった場合には,受信端末130と送信端末120との間で無線通信を行うことはできず,コンテンツ再生部134は,コンテンツの再生ができなくなってしまう。ただし,受信端末130の通信可能領域200内に送信端末120が存在する間に受信端末130において再生を開始した曲(音楽データ)に関しては,再生中に送信端末120が通信可能領域200から外れた場合であっても,1回再生が終わるまでは再生し続けてもよい。もちろん,送信端末120が通信可能領域200から外れたときに,直ぐに再生を中止してもよい。
【0091】
上述したような処理の具体的な方法としては,例えば,以下の3つの方法が挙げられる。
【0092】
第1の方法は,まず,受信端末130と送信端末120との間でTCPコネクションを確立し,受信端末130が送信端末120から暗号化音楽データおよび復号鍵をダウンロードする。その後,TCPコネクションが持続している間だけ,ダウンロードした音楽データを再生でき,TCPコネクションが断絶したら,復号鍵を受信端末130側で削除または無効化するという方法である。この場合に,暗号化音楽データは削除等せずにそのまま保持され,暗号化音楽データを復号した再生データは消去される。ただし,受信端末130側で暗号化音楽データを削除または無効化してもよい。
【0093】
第2の方法は,受信端末130が送信端末120から暗号化音楽データをダウンロード後,送信端末120に関するARPエントリーが存在する間だけ,ダウンロードした音楽を再生でき,送信端末120に関するARPエントリーが消滅した場合には,復号鍵を受信端末130側で削除または無効化するという方法である。この場合にも,暗号化音楽データは削除等せずにそのまま保持され,暗号化音楽データを復号した再生データは消去される。ただし,受信端末130側で暗号化音楽データを削除または無効化してもよい。
【0094】
第3の方法は,まず,送信端末120は,ビーコンのような無線パケットを定期的に周囲にブロードキャストしておく。受信端末130は,送信端末120から暗号化音楽データおよび復号鍵をダウンロード後,その送信端末120からの無線パケットを受信できる間だけ,ダウンロードした音楽コンテンツを再生でき,その送信端末120からの無線パケットを受信できなくなった場合には,復号鍵を受信端末130側で削除または無効化するという方法である。この場合にも,暗号化音楽データは削除等せずにそのまま保持され,暗号化音楽データを復号した再生データは消去される。ただし,受信端末130側で暗号化音楽データを削除または無効化してもよい。
【0095】
なお,上記3つの方法において,復号鍵を削除または無効化した後も,再び通信可能領域200内に受信端末130と送信端末120がともに存在するようになった場合(例えば,TCPコネクションが再び確立された場合,ARPエントリーが再び存在するようになった場合,送信端末120からの無線パケットを再び受信できるようになった場合等)には,復号鍵だけを送信端末120から再ダウンロードするか,既にダウンロードしている復号鍵を再有効化することで,再生を継続することができる。
【0096】
このように,受信端末130が送信端末120の通信可能領域200内にある場合にのみ,暗号化音楽データの復号および再生を行うことができるというような制限を付加することにより,本実施形態に係るコンテンツ配信システム10におけるようなP2P型でコンテンツの配信が行われる場合であっても,違法コピーやその流通を防止することができるため,著作権の保護の観点からも非常に効果的である。
【0097】
なお,削除等された状態の音楽データや復号鍵を悪意のあるユーザによって,勝手に再生されたり,別の機器に違法にコピーされたりしないように,そのような機能をハードウェアもしくはソフトウェア的に有さないようにすること,あるいは,その機能自体を公開しないことが,著作権保護の観点からより好ましい。このような対策の例としては,例えば,PCから音楽プレイヤーへUSBにより音楽データの転送や音楽データの消去を行う場合に,音楽プレイヤーにデータ入力端子のみを設け,データ出力端子は設けないようにすることや,HDDを含む端末においてHDDが内部で密着しており,無理に取り出そうとすると壊れるように構成することなどが考えられる。
【0098】
また,複数の受信端末130が送信端末120の通信可能領域200内に存在する限りにおいては,不特定多数の人と音楽データや映像データなどのコンテンツを共有できる,という音楽や映像の本質的な楽しみが阻害されることもない。例えば,通学電車で見知らぬ人と,昼休みの教室で友達と,みんなで旅行に行く時同行者と,音楽や映像の本質的な楽しみを共有することができ,ひいては共通の趣味を持つ見知らぬ人との出会いやつながりをもプロデュースし得る。
【0099】
次に,図10および図11を参照しながら,本実施形態に係る受信端末130におけるコンテンツの再生処理(ステップS118)についてさらに詳細に説明する。なお,図10は,本実施形態に係る受信端末130におけるコンテンツの再生処理を説明するフローチャートであり,図11は,本実施形態の変形例に係る受信端末130におけるコンテンツの再生処理を説明するフローチャートである。
【0100】
図10に示すように,受信端末130において音楽データを再生する際には,まず,コンテンツ管理部136により,再生しようとする音楽データが暗号化されているか否かの判断がなされる(ステップS302)。
【0101】
その結果,音楽データが暗号化されていないと判断された場合(例えば,その音楽データが受信端末130が購入したものである場合や,受信端末130により作成されたものである場合など)には,直ぐに再生が開始される(ステップS314)。一方,音楽データが暗号化されていると判断された場合(例えば,その音楽データが送信端末120からダウンロードしたものである場合)には,端末検知部132により,その暗号化された音楽データを送信した送信端末120が通信可能領域200内に存在するか否かの判断がなされる(ステップS304)。
【0102】
その結果,送信端末120が存在しないと判断された場合には,コンテンツ再生部134は,再生を行うことはできない(ステップS308)。一方,送信端末120が通信可能領域200内に存在すると判断された場合には,次に,その送信端末120が再生をしようとしている音楽データの復号鍵を有しているか,すなわち,記録部123に再生しようとしている暗号化音楽データを復号するための復号鍵が記録されているか否かの判断がなされる(S306)。具体的には,受信端末130が送信端末120に対して問い合わせる。
【0103】
その結果,送信端末120が復号鍵を有しないと判断された場合には,受信端末130は,復号鍵を入手できないため,コンテンツ再生部134は,音楽データの再生を行うことはできない(ステップS308)。一方,送信端末120が復号鍵を有している判断された場合には,受信端末130は,送信端末120から復号鍵を入手して(ステップS310),入手した復号鍵を使用して,復号化部135により暗号化音楽データを復号する(ステップS312)。さらに,受信端末130は,コンテンツ再生部134により復号された音楽データの再生を開始する(ステップS314)。コンテンツの再生終了(ステップS316)後,再生された音楽データは,送信端末120から復号鍵を入手して復号されたものであるか否かの判断がなされる(ステップS318)。
【0104】
その結果,送信端末120から復号鍵を入手して復号したものと判断された場合には,その復号鍵および復号した音楽データを削除した後(ステップS320),再生処理を終了する。このとき,暗号化された音楽データについては,削除せずに保存しておいてもよい。暗号化された音楽データを再生するには,再び送信端末120から復号鍵を入手しなければならず,また,暗号化された音楽データのみを他の受信端末に転送したとしても,違法コピー等はできないため,著作権保護上問題とならないからである。もちろん,暗号化音楽データを保存せずに削除してもよい。一方,送信端末120から復号鍵を入手して復号したものでないと判断された場合には,復号鍵は削除せずに終了する。
【0105】
また,本実施形態の変形例は,受信端末130がコンテンツ配信サーバ110から所定の数だけコンテンツを購入する権利情報であるプリペイド情報を予め取得していた場合の例である。図11に示すように,ステップS352〜S368までは,上述した図10の場合(ステップS302〜S318を参照)と同様であるので,詳しい説明は省略する。以下,ステップS368以下の処理について詳細に説明する。
【0106】
ステップS368において,再生した音楽データが送信端末120から復号鍵を入手して復号されたものであると判断された場合には,次に,受信端末130が所定の数だけコンテンツを購入する権利情報であるプリペイド情報を有しているか否か,すなわち,受信端末130の記録部133にプリペイド情報が記録されているか否かの判断がなされる(ステップS370)。
【0107】
その結果,プリペイド情報を有していないと判断された場合には,その復号鍵および復号した音楽データを削除した後(ステップS374),再生処理を終了する。一方,プリペイド情報を有していると判断された場合には,受信端末130は,そのプリペイド情報を使用するか否かを選択することができる(ステップS372)。このプリペイド情報を使用するか否かの選択は,具体的には,例えば,受信端末130における復号された音楽データの再生処理の終了時に,プリペイド情報を使用することにより再生した音楽データを購入するか否かの判断を音声または映像によりユーザに通知する。この通知の方法としては,例えば,受信端末130の音声出力手段から警告音を出力させるか,あるいは,受信端末130の表示手段(ディスプレイ等)に「再生が終了してしまいますが,この音楽を購入しますか?」などの文字を表示させる等が考えられる。その結果,受信端末130がプリペイド情報を使用しないことを選択した場合には,復号鍵および復号した音楽データを削除した後(ステップS374),再生処理を終了する。一方,受信端末130がプリペイド情報を使用することを選択した場合には,復号鍵を記録部133に保存して(ステップS376),再生処理を終了する。
【0108】
再び,図5に基づいて,本実施形態に係るコンテンツ配信方法についての説明を続ける。上述したような処理により復号された音楽データを再生した後(ステップS118),復号鍵を削除した受信端末130は,送信端末120からだけではなく,その暗号化音楽データおよび復号鍵を所有するコンテンツ配信サーバ110から復号鍵を購入することにより,暗号化音楽データをいつでも再生可能となる。ここでいう「いつでも再生可能」とは,送信端末120が通信可能領域200内に存在しない場合であっても暗号化音楽データを再生可能であるということである。
【0109】
すなわち,復号鍵を削除した受信端末130は,再び暗号化音楽データの再生を希望する場合には,まず,コンテンツ配信サーバ110に対し,インターネットを介して,暗号化音楽データの復号鍵の購入要求を送信する(ステップS120)。このとき,受信端末130は,購入要求とともに,購入要求に係る音楽データを送信した送信端末120のIDおよび暗号化音楽データを識別するためのIDを送信する。これらの情報は,コンテンツ配信サーバ110が送信端末120に対して対価支払処理を行う際に必要となる。
【0110】
次に,コンテンツ配信サーバ110は,受信端末130の購入要求の応じて,受信端末130に対し,インターネットを介して復号鍵を送信する(ステップS122)。復号鍵を受信した受信端末130は,コンテンツ配信サーバ110に対して,受信した復号鍵に対する対価を支払う。このように,受信端末130は,送信端末120から受信した暗号化されている音楽データに対して,そのデータの「購入」という手続を踏むことで,送信端末120が通信可能領域200内に存在しない場合であっても,暗号化音楽データの再生が可能となる。
【0111】
次に,コンテンツ配信サーバ110は,受信端末130から送信された購入要求に係る音楽データを送信した送信端末120のIDおよび暗号化音楽データを識別するためのIDに基づいて,購入に係る音楽データを送信した送信端末120等に支払う対価を計算し,対価支払処理を行う(ステップS124)。
【0112】
このように,コンテンツ配信サーバ110に代わってコンテンツの配信を行う送信端末120に対価が支払われることから,送信端末120によるコンテンツの配布が積極的に行われるようになる。また,受信端末130も送信端末120の役割を担うことができ,それにより対価を得ることができるので,ますますコンテンツが広く効率的に流通することとなる。
【0113】
ここで,図12を参照しながら,本実施形態に係る購入手続(ステップS120〜S122)についてさらに詳細に説明する。なお,図12は,本実施形態に係るコンテンツの購入処理を説明するためのブロック図である。
【0114】
図12に示すように,復号鍵を削除後した受信端末130が,暗号化された音楽データを再び再生したい場合であって,通信可能領域200内にその音楽データを送信した送信端末120が存在しない場合には,インターネットを介してコンテンツ配信サーバ110にアクセスし,再生したい音楽データを復号するための復号鍵の購入要求を送信する(ステップS120)。このとき,上述したように,受信端末130は,購入要求とともに,購入要求に係る音楽データを送信した送信端末120のIDおよび暗号化音楽データを識別するためのIDを送信する。
【0115】
次に,コンテンツ配信サーバ110は,受信端末130の購入要求の応じて,受信端末130に対し,インターネットを介して復号鍵を送信する(ステップS122)。このように,購入手続により入手した復号鍵は,暗号化音楽データの復号後も削除せずに保存しておく。また,暗号化された音楽データも削除せずに保存しておく(購入により対価を支払っているので,著作権保護上の問題も生じない)。このように復号鍵および暗号化音楽データを保存しておくことで,受信端末130は,上記暗号化音楽データをいつでも再生することができるようになるとともに,購入に係る音楽データに関しては,送信端末120と同様の役割を担うことも可能となる。これにより,本実施形態に係るコンテンツ配信方法においては,P2P型の配信が可能となり,効率の良いコンテンツの配信が可能となる。
【0116】
上記変形例(図11を参照)で示したように,受信端末130は,プリペイド情報を予め取得しておくことで,コンテンツ配信サーバ110から復号鍵を購入する必要なく,音楽データを購入することができる。したがって,本実施形態に係るコンテンツ配信方法によれば,予めプリペイド情報を取得しておけば,ネットワークコネクティビティがなく,コンテンツ配信サーバ110に接続できない場合であっても,通信可能領域200内に送信端末120が存在すれば,無線を介したデータの送受信により,コンテンツの購入をすることができる。
【0117】
なお,コンテンツ配信サーバ110に対して上記プリペイド情報の更新を行うときに,併せて購入したコンテンツ等について通知(購入履歴情報を送信)することにより,コンテンツ配信サーバ110が,受信端末130が購入したコンテンツについて把握することが可能となる。
【0118】
また,暗号化されているデータ,購入したデータ,ユーザ(送受信端末)が作成したデータは,区別して保存される。保存領域の容量が不足した場合には,無線を介してやり取りされる一時的なデータの優先度は低く,自動若しくは手動で削除される(自動にするか手動にするかは選択できる)。削除方法としては,LRU(Least Recently Used)の利用が考えられる。
【0119】
ところで,受信端末130は,暗号化された音楽データに対しての復号鍵を入手しなかった場合,暗号化された音楽データのみを保持することとなる。この場合でも,購入に係る音楽データの場合と同様に,受信端末130は,送信端末の役割を担い,その暗号化音楽データを他の受信端末へ送信することができる。しかし,この場合には,送信端末としての役割を担う受信端末130は,復号鍵は有していないため,他の受信端末へ復号鍵を送信することはできない。このように,暗号化されたデータに対しての復号鍵を有していない端末が,そのデータを別の端末に送信することをここでは,「多段送信」と呼ぶこととする。
【0120】
ここで,図13を参照しながら,本実施形態に係る多段送信について説明する。なお,図13は,本実施形態に係るコンテンツの多段送信を概念的に示した説明図である。
【0121】
図13に示すように,第1の受信端末130−1は,暗号化データのみを有し,復号鍵は有していない。この第1の受信端末130−1は,第2の受信端末130−2に対し,自己が有する暗号化データを転送することができる。ただし,このような多段送信において,無制限に転送できることとすると,著作権保護上の問題が生ずることとなるため,この暗号コンテンツには,他の受信端末へ転送可能な回数を制限するための制限カウンタが含まれている。
【0122】
このような制限カウンタとしては,例えば,Hop Limit機能がある。Hop Limit機能とは,何回まで多段送信を行うことができるかを制限する機能である。受信端末130−1は,音楽データにHop Limitとして特定の初期値を設定する。多段送信するたびにHop Limitの値は減少し,0になるとそれ以上多段送信は行われなくなる。図13は,Hop Limitの値を2に設定した例を示している。受信端末130−1から別の受信端末130−2へ多段送信を行ったときに,Hop Limitが1減少し,さらに別の受信端末130−3へ多段送信を行うとHop Limitがさらに1減少して0になる。すると,さらに別の受信端末130−4へは多段送信を行うことができない。
【0123】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0124】
例えば,上述した実施形態においては,受信端末130と送信端末120とが通信可能領域200内にある場合であっても,復号化されたコンテンツや復号鍵は自動的に削除される場合について説明したが,本発明はかかる場合に限られず,例えば,受信端末130と送信端末120とが通信可能領域200内にある間は,復号化されたコンテンツや復号鍵を削除せずに,何回でも使用できるようにしてもよい。
【0125】
また,上述した実施形態においては,送信端末120と受信端末130との間で行われる音楽データの送受信に関して,1回の要求で1つの音楽データが送受信される場合について説明したが,本発明は係る場合に限定されない。例えば,以下のようなプレイリストの送受信が行われても良い。より詳細には,送信端末は曲順を定めたプレイリストと,そのプレイリストに登録した音楽データを保持しておく。受信端末は,送信端末に対してプレイリストの送信要求を送り,プレイリストとプレイリストに登録されている音楽データを受信する。受信したプレイリストを再生すると,登録された順序で曲が再生される。このようにプレイリストを送受信することにより,例えば,送信端末が自分のコメントが入った音声ファイルと音楽データとを交互に並べることで,効果的に音楽データの購入を促進させるように広告活動を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は,コンテンツ配信システムおよびコンテンツ配信方法に適用可能であり,特に,コンテンツを効率的に配信することができるコンテンツ配信システムおよびコンテンツ配信方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムの全体構成を概略的に示す説明図である。
【図2】同実施形態に係るコンテンツ配信サーバの構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】同実施形態に係る送信端末の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】同実施形態に係る受信端末の構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】同実施形態に係るコンテンツ配信システムにおけるコンテンツ配信方法を説明するタイミングチャートである。
【図6】同実施形態に係るコンテンツ配信方法における送信端末の登録処理を説明するフローチャートである。
【図7】同実施形態に係る暗号化コンテンツの配信処理を説明するためのブロック図である。
【図8】同実施形態に係る復号鍵の配信処理および暗号化コンテンツの復号化処理を説明するためのブロック図である。
【図9】同実施形態に係るコンテンツの再生処理を説明するためのブロック図である。
【図10】同実施形態に係る受信端末におけるコンテンツの再生処理を説明するフローチャートである。
【図11】同実施形態の変形例に係る受信端末におけるコンテンツの再生処理を説明するフローチャートである。
【図12】同実施形態に係るコンテンツの購入処理を説明するためのブロック図である。
【図13】同実施形態に係るコンテンツの多段送信を概念的に示した説明図である。
【符号の説明】
【0128】
10 コンテンツ配信システム
100 インターネット
110 コンテンツ配信サーバ
111 通信部
112 記録部
113 コンテンツ暗号化部
117 対価処理部
120 送信端末
121 通信部
122 端末検知部
123 記録部
124 抽出部
130 受信端末
131 通信部
132 端末検知部
133 記録部
134 コンテンツ再生部
135 復号化部
200 通信可能領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツの配信を行うコンテンツ配信サーバと,前記コンテンツ配信サーバの保有するコンテンツの配信を代行する送信端末と,前記送信端末から無線通信により前記コンテンツの配信を受ける受信端末とを含むコンテンツ配信システムであって:
前記コンテンツ配信サーバは,
前記送信端末とデータの送受信を行う通信部と;
1または2以上のコンテンツが記録される記録部と;
前記記録部に記録されたコンテンツの利用を管理するコンテンツ管理部と;
前記記録部に記録されたコンテンツに少なくともコンテンツの再生についての制限を付加して暗号化コンテンツを生成するコンテンツ暗号化部と;
前記暗号化コンテンツを復号化するための復号鍵を管理する鍵管理部と;
を備え,
前記送信端末は,
前記コンテンツ配信サーバとデータの送受信を行う通信部と;
互いにデータの送受信が可能な通信可能領域内に,少なくとも1の前記受信端末があるか否かを検知する端末検知部と;
前記コンテンツ配信サーバから受信した前記暗号化コンテンツおよび前記復号鍵を対応付けて記録する記録部と;
前記記録部に記録された前記暗号化コンテンツおよび該暗号化コンテンツに対応付けられた前記復号鍵の全部または一部を抽出する抽出部と;
を備え,
前記受信端末は,
前記通信可能領域内に,少なくとも1の前記送信端末があるか否かを検知する端末検知部と;
前記送信端末から受信した前記暗号化コンテンツおよび前記復号鍵を対応付けて記録する記録部と;
前記記録部に記録された前記暗号化コンテンツを,前記対応付けて記録された前記復号鍵を用いて復号化する復号化部と;
前記復号化されたコンテンツを再生するコンテンツ再生部と;
を備え,
前記送信端末は,前記受信端末とデータの送受信が可能な通信可能領域にある場合に,前記コンテンツの配信を行い,
前記受信端末は,前記通信可能領域にある場合に,前記復号化されたコンテンツの再生を行うことが可能であることを特徴とする,コンテンツ配信システム。
【請求項2】
前記受信端末が前記送信端末から受信した前記復号鍵は,前記暗号化コンテンツの復号化後に削除される一時鍵であり,
前記受信端末は,前記一時鍵を用いて復号化されたコンテンツの再生後,該復号化されたコンテンツを削除することを特徴とする,請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
前記送信端末は,前記暗号化コンテンツの配信の際に,前記送信端末を識別するための送信端末識別情報および前記コンテンツ配信サーバに関する情報を前記受信端末へ送信することを特徴とする,請求項2に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項4】
前記受信端末は,
前記一時鍵を用いて復号化されたコンテンツの再生後,前記コンテンツ配信サーバに関する情報に基づいて,前記コンテンツ配信サーバに対し,前記暗号化コンテンツの購入要求を送信し,
前記購入要求の際に,該購入要求に係る前記暗号化コンテンツを識別するための暗号化コンテンツ識別情報および前記送信端末識別情報を送信することを特徴とする,請求項3に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項5】
前記コンテンツ配信サーバは,前記購入要求を受信した場合には,前記暗号化コンテンツ識別情報および前記送信端末識別情報に基づいて,前記購入要求に係る前記暗号化コンテンツを復号化するための復号鍵を前記受信端末へ送信することを特徴とする,請求項4に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項6】
前記コンテンツ配信サーバは,前記復号鍵を前記受信端末へ送信した後に,前記暗号化コンテンツ識別情報および前記送信端末識別情報に基づいて,前記コンテンツの配信の代行に対する対価支払処理を行うことを特徴とする,請求項5に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項7】
前記受信端末は,前記暗号化コンテンツの配信を受ける前に,前記コンテンツ配信サーバから所定の数だけコンテンツを購入する権利情報であるプリペイド情報を取得し,前記受信端末の前記記録部に記録することを特徴とする,請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項8】
前記受信端末は,
前記送信端末から前記暗号化コンテンツおよび対応する復号鍵の配信を受けた際に,前記記録部に前記プリペイド情報が記録されているか否かを判定し,
前記記録部に前記プリペイド情報が記録されている場合には,前記プリペイド情報と前記暗号化コンテンツとを関連付け,関連付けられた前記暗号化コンテンツの復号化に使用した前記復号鍵を削除しないことを特徴とする,請求項7に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項9】
前記受信端末は,前記プリペイド情報と関連付けられた前記暗号化コンテンツに係る暗号化コンテンツ識別情報と,該暗号化コンテンツを配信した送信端末に係る送信端末識別情報と,を含む購入履歴情報を前記コンテンツ配信サーバに送信し,
前記コンテンツ配信サーバは,前記購入履歴情報を受信した場合には,前記購入履歴情報に含まれる前記暗号化コンテンツ識別情報および前記送信端末識別情報に基づいて,前記コンテンツの配信の代行に対する対価支払処理を行うことを特徴とする,請求項8に記載のコンテンツ配信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−37028(P2007−37028A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221297(P2005−221297)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】