説明

コンデンサ型発音体ユニットとそれを用いたイヤホン

【課題】低コストで実現可能な小型のコンデンサ型発音体ユニットを提供することにある。
【解決手段】コンデンサ型発音体ユニット100は、導電体からなる平板電極1と、当該平板電極1と絶縁するスペーサ2を介して、平板電極1と対向配置された振動板3と、平板電極1及び振動板3対向方向両側から絶縁材料からなるホルダ4A及び導電材料からなる振動板リング4Bを有する挟持部4で挟持されると共に、振動板3が振動板リング4Bに固定された状態で収容し、振動板3と対向する位置に音孔10Aが形成されている筺体10と、平板電極1及び振動板3の夫々に電気的に接続された一対の信号入力端子6と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動板と平板電極とを備えたコンデンサ型発音体ユニットと、当該コンデンサ型発音体ユニットを用いたイヤホンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発音体の一つとしてコンデンサ型発音体が利用されてきた。このようなコンデンサ型発音体ユニットに関する技術として、下記に出典を示す特許文献1及び2に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載の静電型スピーカは、第1電極と第2電極と振動板とを備えて構成される。振動板は、第1電極と第2電極との間で、夫々の電極から離間して設けられる。第1電極及び第2電極は、振動板に対向する側の面にエレクトレット層が形成される。
【0004】
また、特許文献2に記載のコンデンサスピーカは、振動極と固定極とを互いに対向して配置し、成極電圧を印加して駆動させている。振動極には複数の電極が設けられ、電極毎に成極電圧が印加可能に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−117888号公報
【特許文献2】特開平4−276999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術にあっては、第1電極及び第2電極の夫々に振動板に供給される信号とは逆位相の信号を供給して、音声を出力している。したがって、振動板からの音声を静電型スピーカに伝搬させるために、第1電極及び第2電極の少なくとも一方に孔部を設ける必要がある。このような孔部の形成は別途加工を要するので、製造コストが高くなる。また、振動板、第1電極、及び第2電極の夫々に信号を入力する必要があるので、構造が複雑となり小型化することが容易ではなかった。
【0007】
一方、特許文献2に記載の技術のように、振動極と固定極との2層構造とすることもできるが、複数の成極電圧に対応する複数の電極に夫々印加するスイッチ回路が必要となる。このため、構造が複雑となるので、製造コストが高くなり、小型化することが容易ではなかった。
【0008】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、低コストで実現可能な小型のコンデンサ型発音体ユニットを提供することにある。また、このようなコンデンサ型発音体ユニットを用いたイヤホンも提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るコンデンサ型発音体ユニットの特徴構成は、導電体からなる平板電極と、前記平板電極と絶縁するスペーサを介して、前記平板電極と対向配置された振動板と、前記平板電極及び前記振動板を対向方向両側から絶縁材料からなる第1挟持部及び導電材料からなる第2挟持部を有する挟持部で挟持されると共に、前記振動板が前記第2挟持部に固定された状態で収容し、前記振動板と対向する位置に音孔が形成されている筺体と、前記平板電極及び前記振動板の夫々に電気的に接続された一対の信号入力端子と、を備えている点にある。
【0010】
このような特徴構成とすれば、1つの平板電極と1つの振動板とでコンデンサを構成することができる。このため、2つの平板電極と1つの振動板とでコンデンサを構成する従来の構造に比べて、コンパクトに構成することが可能となる。また、通電制御も、1つの平板電極と1つの振動板との2つで良いので容易に行うことが可能となる。また、振動板と対向する位置に音孔が形成されているので、振動板が振動して発生した音声を、音孔から容易に取り出すことが可能となる。また、信号入力端子を平板電極と振動板との夫々に接続する2つから構成することができる。したがって、製造コストを低減することが可能となる。更には、平板電極と振動板との間にスペーサを設けることにより、平板電極と振動板との間隔を一定に維持して、安定した感度を得ることも可能となる。また、上述した各部品を筐体に収容する構造とすることで、全体として小型化することが可能となる。
【0011】
また、前記平板電極と当該平板電極との接続用の信号入力端子とが、前記平板電極における前記挟持部により囲まれた領域の中央部分に設けられた配線を介して接続されていると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、挟持部で平板電極と振動板との間隔を一定に維持しつつ、平板電極の中央部分も配線により支持する構造となるので、当該中央部分においても平板電極と振動板との間隔を一定に維持することが可能となる。したがって、平板電極の位置ずれ防止効果を更に高めることができるので、感度の安定性を高めることが可能となる。
【0013】
また、前記平板電極と当該平板電極との接続用の信号入力端子とが、前記挟持部の一方の内周面に沿って設けられた筒状部材を介して接続されていると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、平板電極と当該平板電極との接続用の信号入力端子との接続を容易に行うことが可能となる。したがって、製造コストを低減することが可能となる。また、筒状部材で平板電極を支持することができるので、平板電極の位置ずれを防止し、感度の安定性を高めることが可能となる。
【0015】
また、前記振動板と当該振動板との接続用の信号入力端子とが、少なくとも前記筺体を介して接続されていると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、振動板と当該振動板との接続用の信号入力端子との接続を容易に行うことが可能となる。したがって、材料コストが低減でき、製造コストをおさえることが可能となる。
【0017】
また、本発明に係るイヤホンの特徴構成は、前記コンデンサ型発音体ユニットと、前記コンデンサ型発音体ユニットを収容し、前記音孔に対向して配置された音声出力部を有するケース部材と、を備えている点にある。
【0018】
このような構成とすれば、特性の良い、且つ、コンパクトなイヤホンを構成することが可能となる。
【0019】
また、前記イヤホンは、前記コンデンサ型発音体ユニットに入力する音声信号を昇圧する電圧変換部が前記ケース部材に収容されてあると好適である。
【0020】
このような構成とすれば、イヤホンをコンパクトに構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係るコンデンサ型発音体ユニットの側方断面図である。
【図2】第1実施形態に係るコンデンサ型発音体ユニットの展開図である。
【図3】第2実施形態に係るコンデンサ型発音体ユニットの側方断面図である。
【図4】第2実施形態に係るコンデンサ型発音体ユニットの展開図である。
【図5】イヤホンの側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明に係るコンデンサ型発音体ユニット(以下、「発音体」とする)100は、電気信号を音声として出力する機能を備えている。図1には発音体100の側方断面図が示され、図2には発音体100の展開図が示される。以下、図1及び図2を用いて、発音体100の構成について説明する。図1及び図2に示されるように、発音体100は、平板電極1、スペーサ2、振動板3、挟持部4、基板5、筐体10を備えて構成される。
【0023】
平板電極1は平板の導電体から構成される。また、本実施形態に係る平板電極1は厚さt1の円板状で形成される。
【0024】
スペーサ2は、円筒状の絶縁材料から構成される。スペーサ2の内径は平板電極1の外径よりも小さく、また、スペーサ2の外径は平板電極1の外径よりも大きく形成される。したがって、平板電極1がスペーサ2の径方向中央部の孔部を貫通しないように構成されている。このようなスペーサ2は、例えば0.2mm程度の厚さから構成すると好適である。
【0025】
振動板3は、平板電極1と絶縁するスペーサ2を介して、平板電極1と対向配置される。スペーサ2は上述のように円筒状の絶縁材料から構成される。平板電極1と振動板3とはスペーサ2を間に挟み、対向配置される。また、振動板3は、スペーサ2と同様の外径で、平板電極1の厚さt1よりも十分に薄い導電性の膜(厚さt2:数μm)を用いて構成される。図1に示されるように、平板電極1と振動板3との間には空間Aが形成される。
【0026】
挟持部4は、絶縁材料からなる第1挟持部及び導電材料からなる第2挟持部を有して構成される。本実施形態では、第1挟持部はホルダ4Aから構成され、第2挟持部は振動板リング4Bから構成される。したがって、ホルダ4Aは絶縁材料から構成され、振動板リング4Bは導電材料から構成される。また、振動板3は、振動板リング4Bに接着固定される。挟持部4は、このような状態で平板電極1及び振動板3を対向方向両側から挟持する。対向方向とは平板電極1と振動板3とが対向する方向、すなわち平板電極1及び振動板3の軸心方向である。
【0027】
本実施形態では、ホルダ4Aは、スペーサ2の内径と同一の内径を有する小径部4Cと、当該小径部4Cの内径よりも大きい内径を有する大径部4Dとを有して構成される。平板電極1は、大径部4Dの内周面4Eと、小径部4Cの軸方向端面4Fとで形成される凹部4Gに嵌合して載置される。したがって、大径部4Dの軸方向長さは、平板電極1が凹部4Gに嵌合された状態で、大径部4Dの軸方向端部から平板電極1が突出しないようなものとされる。また、平板電極1の径方向外側には、大径部4Dの内周面4Eが位置するので、平板電極1の径方向への位置ずれも防止できる。
【0028】
振動板リング4Bは、円筒状の導電材料から構成される。振動板リング4Bの外径は振動板3の外径と同様であり、振動板リング4Bの内径はスペーサ2の内径よりも大きな内径で構成される。また、厚さはスペーサ2よりも厚く構成される。これにより、振動板3が空間Aの軸方向長さに対応する振幅で振動した場合でも、振動中に振動板3が後述する筐体10に接触しないようにすることができる。したがって、空間Aの軸方向長さに対する振動を許容できる。
【0029】
平板電極1の対向方向外側にはホルダ4Aが設けられ、振動板3の径方向外側には振動板リング4Bが設けられる。これにより、平板電極1及び振動板3は、間にスペーサ2を介した状態でホルダ4A及び振動板リング4Bにより挟持されることになる。
【0030】
基板5は、円板状のプリント基板で構成される。基板5はホルダ4Aの外径と同様の外径で構成され、ホルダ4Aを介して平板電極1に対向して配置される。基板5の一方の面5Aには、平板電極1に電気的に接続された金属線7が接続されるランド8が形成される。基板5には、ランド8と電気的に接続され、他方の面5Bの側に貫通する貫通ビア9も形成される。貫通ビア9の少なくとも内周面には導電性の膜が形成される。
【0031】
ここで、平板電極1と当該平板電極1との接続用の信号入力端子6Aとが、平板電極1におけるホルダ4Aにより囲まれた領域の中央部分に設けられた配線を介して接続される。本実施形態では、ホルダ4Aは円筒状からなる。このため、平板電極1とホルダ4Aとは円形面で当接される。したがって、ホルダ4Aにより囲まれた領域の中央部とは、当該円形状の中央領域(すなわち、径方向内側の領域)が相当する。このような中央領域のいずれかの位置に配線が設けられる。この配線は、上述の金属線7が相当する。なお、本実施形態のように平板電極1の外周部分をホルダ4Aで挟持する場合には、平板電極1の重心位置に金属線7を設けると好適である。
【0032】
信号入力端子6は、基板5の他方の面5Bに設けられる。信号入力端子6は、平板電極1との接続用の信号入力端子6A及び振動板3との接続用の信号入力端子6Bとから構成される。したがって、信号入力端子6は一対からなる。また、信号入力端子6Aは、貫通ビア9に電気的に接続される。したがって、基板5の一方の面5Aと他方の面5Bとを電気的に接続し、信号入力端子6Aと平板電極1とを電気的に接続することが可能となる。
【0033】
ここで、上記のような構成からなるホルダ4A及び振動板リング4Bにより挟持された平板電極1及び振動板3は、基板5に載置された状態で筐体10に収容される。本実施形態では、振動板3は振動板リング4Bと接着固定され、電気的に接続されている。筐体10は、円筒状から構成される。軸方向一方の面には、振動板3と対向する位置に音孔10Aが形成される。一方、軸方向他方の面には、上述の基板5上に設けられた信号入力端子6を露出する開口部10Bが形成される。このような筐体10は、本実施形態では導電材料から構成される。また、振動板リング4Bも導電材料から構成される。このため、振動板3と当該振動板3との接続用の信号入力端子6Bとが、少なくとも筐体10を介して、すなわち、振動板リング4Bと筐体10とを介して接続されることになる。したがって、基板5の他方の面5Bに設けられた信号入力端子6A、6Bから信号を入力することにより、平板電極1及び振動板3に信号を伝達することが可能となる。
【0034】
このように本発明に係る発音体100によれば、1つの平板電極と1つの振動板3とでコンデンサを構成することができる。このため、2つの平板電極と1つの振動板とでコンデンサを構成する従来の構造に比べて、コンパクトに構成することが可能となる。また、通電制御も、1つの平板電極1と1つの振動板3との2つで良いので容易に行うことが可能となる。また、振動板3と対向する位置に音孔10Aが形成されているので、振動板3が振動して発生した音声を、音孔10Aから容易に取り出すことが可能となる。また、信号入力端子6を平板電極1と振動板3との夫々に接続する2つから構成することができる。したがって、製造コストを低減できるので、低コストで実現することが可能となる。更には、平板電極1と振動板3との間にスペーサ2を設けることにより、平板電極1と振動板3との間隔を一定に維持して、安定した感度を得ることも可能となる。また、上述した各部品を筐体10に収容する構造とすることで、コンパクトに実現することができる。したがって、全体として小型化することが可能となる。
【0035】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態に係る発音体100について説明する。上記第1実施形態では、平板電極1とランド8とが金属線7により接続されているとして説明した。本実施形態に係る発音体100は、金属線7と異なり筒状部材20を介して接続する点で上記第1実施形態と異なる。それ以外の構成については第1実施形態と同様であるので、以下では第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0036】
図3には本実施形態に係る発音体100の断面図が示され、図4には本実施形態に係る発音体100の展開図が示される。筒状部材20は、円筒状の導電材料で構成される。筒状部材20の外径は、当該筒状部材20がホルダ4Aの径方向中央部に挿通可能に定められる。具体的には、ホルダ4Aの内径よりも小さく形成される。したがって、筒状部材20は、挟持部4の一方であるホルダ4Aの内周面に沿って設けられる。また、筒状部材20の内径は、特に限定されるものではないが少なくとも径方向に厚みがあれば良い。筒状部材20の軸方向長さは、ホルダ4Aの小径部4Cの軸方向長さと同一の長さで構成される。このように筒状部材20を構成することにより、平板電極1及び当該平板電極1との接続用の信号入力端子6Aとが、筒状部材20、ランド8、及び貫通ビア9を介して接続することが可能となる。
【0037】
〔第3実施形態〕
次に、本発明に係るイヤホン200について説明する。イヤホン200は、発音体100とケース部材50とを備えて構成される。発音体100は、上記第1及び第2実施形態で説明した発音体100を用いることが可能であるので、説明は省略する。
【0038】
ケース部材50は、発音体100を収容可能に構成される。また、ケース部材50には、音孔10Aに対向して配置された音声出力部51が形成される。この音声出力部51をユーザの耳孔の側に向けて、イヤホン200を挿入することにより、音孔10Aから発せられる音声を適切にユーザに聴かせることが可能となる。イヤホン200と音響機器(図示せず)とを接続するケーブル52は、信号入力端子6A、6Bに夫々接続される。
【0039】
このように本発明に係るイヤホン200によれば、特性の良い、且つ、コンパクトなイヤホン200を構成することが可能となる。
【0040】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、発音体100について説明した。この発音体100では、当該発音体100に入力する信号の電圧を10V以上とすると好適である。つまり、音響機器から出力される音声信号がデジタル信号の場合にはDAC(digital to analog converter)でアナログ信号に変換し、当該アナログ信号を増幅すると良く、音響機器から出力される音声信号がアナログ信号の場合には、当該アナログ信号を増幅すると良い。本発明に係る発音体100においては、このような増幅されたアナログ信号を上記10V以上にクランプすると好適である。
【0041】
このようなクランプを行う場合には、電圧変換部を用いることが可能である。電圧変換部は、発音体100に入力する音声信号を昇圧し、ケース部材50に収容される。このような電圧変換部として、例えばトランスやレギュレータを利用することができる。トランスを用いる場合には、トランスを構成する巻線の巻線比により昇圧された電圧を用いてクランプすることが可能である。この場合、インピーダンス不整合を防止すべく、トランスの入力段にバッファを設けると好適である。このバッファは、オペアンプで構成しても良いし、バッファICを用いても良い。また、レギュレータを用いる場合には、例えばスイッチングレギュレータにより昇圧された電圧を用いてクランプすることが可能である。また、発音体100は消費電流が小さいので、コッククロフトウォルトン回路により昇圧された電圧を用いてクランプしても良い。
【0042】
上記実施形態では、平板電極1と当該平板電極1との接続用の信号入力端子6Aとが、ホルダ4Aの内周面に沿って設けられた筒状部材20を介して接続されているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。筒状部材20を用いずに、平板電極1と信号入力端子6Aとを接続する構成とすることも当然に可能である。すなわち、平板電極1と信号入力端子6Aとを金属線で接続することも可能である。また、筒状部材20を用いる場合であっても、ホルダ4Aの内周面に沿わずに設けることも当然に可能である。
【0043】
上記実施形態では、振動板3と当該振動板3との接続用の信号入力端子6Bとが、振動板リング4B及び筐体10を介して接続されているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。振動板リング4B及び筐体10を介さずに、例えば金属線等を用いて接続することも当然に可能である。
【0044】
上記実施形態では、イヤホン200の音声出力部51が、発音体100の音孔10Aに対向して配置されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。イヤホン200の音声出力部51を、発音体100の音孔10Aに対向させずに配置する構成とすることも当然に可能である。
【0045】
上記実施形態では、スペーサ2は例えば0.2mm程度の厚さから構成すると好適であるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。0.2mmより厚くすることも可能であるし、薄くすることも当然に可能である。
【0046】
上記実施形態では、発音体100を構成する部材、及びイヤホン200は、円筒状に構成されているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。多角形で構成することも当然に可能である。
【0047】
上記実施形態では、平板電極1及び振動板3は導電材料からなるとして説明した。平板電極1及び振動板3の一方を成極電圧を供給するエレクトレット材で構成することも当然に可能である。係る場合、エレクトレットで成極電圧を供給することにより、バイアス電圧を不要にすることが可能となる。
【0048】
上記実施形態では、ホルダ4Aの小径部4Cの内径は、スペーサ2の内径と同一の内径であるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。ホルダ4Aの小径部4Cの内径とスペーサ2の内径とを異なる内径で構成することも当然に可能である。
【0049】
上記実施形態では、大径部4Dの軸方向長さは、平板電極1が凹部4Gに嵌合された状態で、大径部4Dの軸方向端部から平板電極1が突出しないようなものとされるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。すなわち、平板電極1はホルダ4Aから突出するように構成することも可能である。係る場合でも、振動板3と平板電極1との間の距離は、スペーサ2の厚さと等しくなるので、振動板3と平板電極1との間の距離を適切に設定することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、振動板と平板電極とを備えたコンデンサ型発音体ユニットと、当該コンデンサ型発音体ユニットを用いたイヤホンに利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1:平板電極
2:スペーサ
3:振動板
4:挟持部
4A:ホルダ(第1挟持部)
4B:振動板リング(第2挟持部)
6:信号入力端子
7:金属線(配線)
10:筺体
10A:音孔
20:筒状部材
50:ケース部材
51:音声出力部
100:コンデンサ型発音体ユニット
200:イヤホン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体からなる平板電極と、
前記平板電極と絶縁するスペーサを介して、前記平板電極と対向配置された振動板と、
前記平板電極及び前記振動板を対向方向両側から絶縁材料からなる第1挟持部及び導電材料からなる第2挟持部を有する挟持部で挟持されると共に、前記振動板が前記第2挟持部に固定された状態で収容し、前記振動板と対向する位置に音孔が形成されている筺体と、
前記平板電極及び前記振動板の夫々に電気的に接続された一対の信号入力端子と、
を備えているコンデンサ型発音体ユニット。
【請求項2】
前記平板電極と当該平板電極との接続用の信号入力端子とが、前記平板電極における前記挟持部により囲まれた領域の中央部分に設けられた配線を介して接続されている請求項1に記載のコンデンサ型発音体ユニット。
【請求項3】
前記平板電極と当該平板電極との接続用の信号入力端子とが、前記挟持部の一方の内周面に沿って設けられた筒状部材を介して接続されている請求項1に記載のコンデンサ型発音体ユニット。
【請求項4】
前記振動板と当該振動板との接続用の信号入力端子とが、少なくとも前記筺体を介して接続されている請求項1から3の何れか一項に記載のコンデンサ型発音体ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のコンデンサ型発音体ユニットと、
前記コンデンサ型発音体ユニットを収容し、前記音孔に対向して配置された音声出力部を有するケース部材と、
を備えるイヤホン。
【請求項6】
前記コンデンサ型発音体ユニットに入力する音声信号を昇圧する電圧変換部が前記ケース部材に収容されてある請求項5に記載のイヤホン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−34120(P2013−34120A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169461(P2011−169461)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】