説明

コンバインの操作構造

【課題】刈取クラッチレバーを係合位置に位置させることにより刈取クラッチ装置を動力伝達状態とし且つ副変速装置を低速域に係合させることができるとともに、刈取作業状態において刈取クラッチ装置が意に反して動力遮断状態になることを防止することができる構造簡単な操作構造を提供する。
【解決手段】副変速レバー22が高速位置Hに位置する状態において、刈取クラッチレバー24を遮断位置Cから係合位置Eに操作することにより、刈取クラッチレバー24と副変速レバー22とを作動連結するリンク機構73により、副変速レバー22が副変速操作軸71回りに回動して高速位置Hから低速位置Lに切り替えられる。一方、副変速レバー22が低速位置Lに位置し且つ刈取クラッチレバー24が係合位置Eに位置している状態においては、リンク機構73により副変速レバー22が低速位置Lから高速位置Hへ移動しないように規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行系伝動経路に主変速装置及び副変速装置が介挿され且つ刈取系伝動経路に刈取クラッチ装置が介挿されたコンバインに適用される操作構造に関する。
【背景技術】
【0002】
副変速装置が高速域(移動速度域)に係合している状態で刈取クラッチ装置が動力伝達状態になると、刈取装置がコンバインの走行速度に比例する穀稈刈取量に対応できなくなり、前記刈取装置内において刈取穀稈の詰まり現象が生じることになる。
このような不都合を防止する為に前記副変速装置を操作する為の副変速レバーと前記刈取クラッチ装置を操作する為の刈取クラッチレバーとをリンク機構を介して作動連結させた操作構造が種々提案されている(下記特許文献1及び2参照)。
【0003】
下記特許文献1に記載の操作構造は、前記副変速レバーが低速位置(副変速装置を低速域に係合させる操作位置)に位置されている際には前記刈取クラッチレバーを係合位置(刈取クラッチ装置を動力伝達状態とさせる操作位置)及び遮断位置(刈取クラッチ装置を動力遮断状態とさせる操作位置)の何れにも操作可能としつつ、前記副変速レバーが高速位置(副変速装置を高速域に係合させる操作位置)に位置されている状態で前記刈取クラッチレバーが遮断位置から係合位置へ操作されると前記副変速レバーを高速位置から低速位置へ移動させるとともに、前記副変速レバーが低速位置に位置し且つ前記刈取クラッチレバーが係合位置に位置されている状態で前記副変速レバーが低速位置から高速位置へ操作されると前記刈取クラッチレバーを係合位置から遮断位置へ移動させるように、前記副変速レバー及び前記刈取クラッチレバーを作動連結させたリンク機構を備えている。
【0004】
前記特許文献1に記載の操作構造は、前記副変速装置が高速域に係合されている状態で前記刈取クラッチ装置が動力伝達状態になることを防止できるとともに、刈取作業の開始操作に際しては前記刈取クラッチレバーを遮断位置から係合位置へ操作するだけで前記副変速レバーを操作することなく、前記副変速装置を低速域に係合させることができる点で有用であるが、その一方、下記不都合を有している。
【0005】
即ち、前記特許文献1に記載の操作構造においては、前記副変速レバーが低速位置に位置し且つ前記刈取クラッチレバーが係合位置に位置する刈取作業状態において、何らかの原因で前記副変速レバーが意に反して低速位置から高速位置へ入ってしまうと、前記刈取クラッチレバーが自動的に遮断位置へ移動して、前記刈取クラッチ装置が動力遮断状態になってしまう。
このような事態が生じると、前記刈取装置が停止した状態でコンバインが未刈り穀稈上を走行することになり、コンバインによって未刈り穀稈が踏み倒されてしまう。
又、前記刈取装置内において刈取穀稈の詰まり現象も生じてしまう。
【0006】
一方、下記特許文献2に記載の操作構造は、前記副変速レバーが高速位置に位置されている際には第1牽制部材の接当部及び第2牽制部材の第1規制突起によって前記刈取クラッチレバーの遮断位置から係合位置への移動を不能とし、且つ、前記刈取クラッチレバーが係合位置に位置されている際には前記接当部及び前記第2牽制部材の第2規制突起によって前記副変速レバーの低速位置から高速位置への移動を不能とするように、前記副変速レバー及び前記刈取クラッチレバーを作動連結させたリンク機構を備えている。
【0007】
前記特許文献2に記載の操作構造においては、前記副変速レバーが低速位置に位置し且つ前記刈取クラッチレバーが係合位置に位置する刈取作業状態において、前記副変速レバーの低速位置から高速位置への移動が不能とされている為、前記特許文献1に記載の操作構造におけるような不都合は生じない。
しかしながら、刈取作業の開始操作に際しては、前記副変速レバーを低速位置に位置させる操作と前記刈取クラッチレバーを係合位置へ位置させる操作との2つの操作が必要となる。
【特許文献1】実開昭51−88540号公報
【特許文献2】実公昭61−3310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、副変速装置が高速域(作動走行域)に係合されている状態で刈取クラッチ装置が動力伝達状態になることを防止し得る操作構造において、刈取作業の開始時においては刈取クラッチレバーを係合位置に位置させるワンアクションで刈取クラッチ装置を動力伝達状態とし且つ副変速装置を低速域に係合させることができるとともに、刈取作業状態において刈取クラッチ装置が意に反して動力遮断状態になることを防止することができる構造簡単な操作構造の提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る操作構造は、上記課題を解決するためになされたものであり、駆動源から走行装置へ至る走行系伝動経路に主変速装置と前記主変速装置による走行変速域を高速域又は低速域に切り替える副変速装置とが介挿され、且つ、前記駆動源から刈取装置へ至る刈取系伝動経路に動力伝達を選択的に係合又は遮断させる刈取クラッチ装置が介挿されたコンバインに適用される操作構造であって、人為操作に応じて副変速操作軸回りに前記副変速装置を高速域とする高速位置及び前記副変速装置を低速域とする低速位置をとり得る副変速レバーと、人為操作に応じて前記副変速操作軸と平行な刈取クラッチ操作軸回りに前記刈取クラッチ装置を動力伝達状態とする係合位置及び前記刈取クラッチ装置を動力遮断状態とする遮断位置をとり得る刈取クラッチレバーと、前記副変速レバー及び前記刈取クラッチレバーを作動連結するリンク機構とを備え、前記リンク機構は、前記副変速レバーが高速位置に位置されている状態で前記刈取クラッチレバーが遮断位置から係合位置へ操作されると、前記副変速レバーを高速位置から低速位置へ移動させるとともに、前記副変速レバーが低速位置に位置され且つ前記刈取クラッチレバーが係合位置に位置されている状態においては前記副変速レバーの低速位置から高速位置への移動を不能とするように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
上記構成の操作構造によれば、副変速レバーが高速位置に位置することにより副変速装置が高速域となっている刈取非作業状態(路上走行時等)から刈取作業を行う際、刈取クラッチレバーを遮断位置から係合位置に操作することにより、刈取クラッチレバーが刈取クラッチ操作軸回りに回動して刈取クラッチ装置が動力伝達状態となるとともに、刈取クラッチレバーと副変速レバーとを作動連結するリンク機構により、副変速レバーが副変速操作軸回りに回動して高速位置から低速位置に切り替えられて副変速装置が低速域となる。
一方、副変速レバーが低速位置に位置し且つ刈取クラッチレバーが係合位置に位置している刈取作業時においては、リンク機構により副変速レバーが低速位置から高速位置へ移動しないように規制される。
【0011】
このように、副変速レバーと刈取クラッチレバーとを作動連結するリンク機構により、刈取作業の開始時においては刈取クラッチレバーを係合位置に位置させるワンアクションで刈取クラッチ装置を動力伝達状態とし且つ副変速装置を低速域に係合させることができる一方、刈取作業状態においては、リンク機構により副変速レバーが低速位置から高速位置へ移動しないように規制されるため、刈取クラッチ装置が意に反して動力遮断状態になることを防止することができる。
【0012】
好ましくは、前記副変速レバーは、前記副変速操作軸回り第1方向及び第2方向へ操作されるとそれぞれ低速位置及び高速位置をとり、前記刈取クラッチレバーは、前記刈取クラッチ操作軸回りに前記第1方向と同一方向へ操作されると係合位置に位置し且つ前記第2方向と同一方向へ操作されると遮断位置に位置するとともに、刈取クラッチレバー付勢部材によって係合位置及び遮断位置に位置する際にそれぞれ前記刈取クラッチ操作軸回り第1方向及び第2方向に付勢されている。前記リンク機構は、基端部が前記刈取クラッチレバーに前記刈取クラッチ操作軸と平行な枢支軸回り回転可能に連結され且つ先端部に長孔が形成された第1リンク部材と、基端部が前記副変速レバーに連結され且つ先端部に前記長孔に係入される係合部が設けられた第2リンク部材とを備えている。前記長孔は、前記枢支軸に対して近接する側及び離間する側の近接端部及び離間端部と、前記近接端部及び前記離間端部の間を連通する中間部とを有している。前記刈取クラッチレバーが遮断位置に位置する状態においては、前記係合部は、前記副変速レバーの高速位置及び低速位置への人為操作に応じて前記長孔内において前記副変速操作軸回り第1及び第2方向の双方に移動可能とされる。前記副変速レバーが高速位置に位置する状態で前記刈取クラッチレバーが遮断位置から係合位置へ人為操作される際には、前記離間端部が前記係合部に係合して前記係合部を前記副変速操作軸回り第1方向へ回動させることで前記副変速レバーを低速位置に位置させるように、前記第1リンク部材が前記刈取クラッチレバーに連動して前記刈取クラッチ操作軸回り第1方向へ回動する。前記副変速レバーが低速位置に位置し且つ前記刈取クラッチレバーが係合位置に位置する状態において前記副変速レバーを前記副変速操作軸回り第2方向へ人為操作する際に前記第2リンク部材及び前記第1リンク部材を介して前記刈取クラッチレバーに作用する人為操作力の向きが、前記枢支軸の軸線から前記刈取クラッチ操作軸の軸線へ向かう方向、若しくは、前記係合位置に位置する前記刈取クラッチレバーを前記刈取クラッチ操作軸回り第1方向へ押動する方向となる。
【0013】
この場合、リンク機構は、第1リンク部材及び第2リンク部材を有している。第1リンク部材は、基端部が前記刈取クラッチレバーに前記刈取クラッチ操作軸と平行な枢支軸回り回転可能に連結され、先端部に長孔が形成されており、第2リンク部材は、基端部が前記副変速レバーに連結され、先端部に前記長孔に係入される係合部が形成されている。
ここで、刈取クラッチレバーが遮断位置に位置する場合においては、副変速レバーの副変速操作軸回り第1方向及び第2方向への操作に基づいて第2リンク部材の係合部が第1リンク部材の長孔内において副変速操作軸回り第1方向及び第2方向の何れにも移動可能とされる。これにより、副変速レバーを副変速操作軸回り第1方向及び第2方向に操作して低速位置及び高速位置に位置させることができる。
また、副変速レバーが高速位置に位置する状態で刈取クラッチレバーが遮断位置から係合位置へ人為操作される際、刈取クラッチレバーに連動して第1リンク部材が刈取クラッチ操作軸回り第1方向へ回動することにより、第1リンク部材の長孔の枢支軸に対して離間する側の離間端部と第2リンク部材の係合部とが係合された状態となり、第2リンク部材が副変速操作軸回り第1方向へ回動して副変速レバーを低速位置に位置させる。
さらに、副変速レバーが低速位置に位置し且つ刈取クラッチレバーが係合位置に位置する状態においては、副変速レバーを副変速操作軸回り第2方向へ人為操作する際に前記第2リンク部材及び第1リンク部材を介して刈取クラッチレバーに作用する人為操作力の向きが、枢支軸の軸線から刈取クラッチ操作軸の軸線へ向かう方向、若しくは、係合位置に位置する刈取クラッチレバーを刈取クラッチ操作軸回り第1方向へ押動する方向となっている。これにより、刈取クラッチレバーが係合位置に位置した状態で副変速レバーを副変速操作軸回り第2方向へ人為操作しようとしても高速位置へ位置させることはできない。
上記のようにリンク機構を構成することにより、簡単な構成で、刈取作業の開始時においては、刈取クラッチレバーと副変速レバーとを連動させる一方、刈取作業状態においては、刈取クラッチレバーが係合位置に位置したまま、副変速レバーを低速位置から高速位置へ移動しないように規制させることができる。
【0014】
好ましくは、前記副変速操作軸及び前記刈取クラッチ操作軸は、車輌幅方向に沿うように車輌前後方向に並設されている。前記副変速レバーは、前記副変速操作軸に支持される基端部と、前記基端部から上方へ延びる副変速側把持部と、前記基端部から車輌前後方向に関し前記刈取クラッチ操作軸とは反対側へ延びる副変速側アーム部であって、前記第2リンク部材の前記係合部が前記副変速操作軸よりも下方に位置するように前記第2リンク部材の前記基端部が連結される副変速アーム部とを有している。前記刈取クラッチレバーは、前記刈取クラッチ操作軸に支持される基端部と、前記基端部から上方へ延びる刈取クラッチ側把持部と、車輌前後方向に関し前記刈取クラッチ操作軸を基準にして前記副変速操作軸とは反対側に位置するように前記刈取クラッチ側把持部に連結された刈取クラッチ側アーム部とを有している。前記第1リンク部材は、車輌前後方向に延びる第1部分であって、前記副変速操作軸に近接する側に車輌前後方向に沿うように前記長孔が形成された第1部分と、前記第1部分の前記刈取クラッチ操作軸に近接する側の端部から上方で且つ前記副変速操作軸から離間する方向へ延びる第2部分であって、前記副変速操作軸から離間される側の端部が前記刈取クラッチ側アーム部に前記枢支軸回り回転可能に連結された第2部分とを有している。前記第2部分の前記副変速操作軸から離間される側の端部は、前記刈取クラッチレバーが遮断位置に位置する際には前記刈取クラッチ操作軸より下方に位置し、且つ、前記刈取クラッチレバーが係合位置に位置する際には前記刈取クラッチ操作軸より上方に位置する。
【0015】
好ましくは、前記副変速レバー及び前記刈取クラッチレバーは、前記コンバインの運転席より該コンバインの前進方向を基準にして左側に設けられたサイドコラムに前後方向に並列配置され、前記主変速装置を操作する主変速レバーは、前記運転席の前方に設けられたフロントコラムに配置されている。
【0016】
この場合、副変速レバー及び刈取クラッチレバーが運転席の左側に設けられたサイドコラムにおいて前後に並列配置されるため、運転席に着席した作業者の前方視界を良好に確保することができる一方、主変速レバーが副変速レバーや刈取クラッチレバーとは別に、運転席の前方に設けられたフロントコラムに配置されるため、作業時に頻繁に使用する主変速レバーの操作に集中することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る操作構造によれば、副変速レバーと刈取クラッチレバーとを作動連結するリンク機構により、刈取作業の開始時においては刈取クラッチレバーを係合位置に位置させるワンアクションで刈取クラッチ装置を動力伝達状態とし且つ副変速装置を低速域に係合させることができる一方、刈取作業状態においては、リンク機構により副変速レバーが低速位置から高速位置へ移動しないように規制されるため、刈取クラッチ装置が意に反して動力遮断状態になることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。
図1〜図3は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る操作構造が適用されたコンバイン1の左側面図、上面図及び伝動模式図である。
【0019】
図1〜図3に示すように、本実施形態におけるコンバイン1は、走行機体2と、前記走行機体2に支持された駆動源であるエンジン9と、前記走行機体2に連結された左右一対の走行装置(本実施の形態においては、クローラ式走行装置)10と、前記エンジン9からの回転動力を変速して前記一対の走行装置10へ出力する走行系トランスミッション100と、前記走行機体2の前方において該走行機体2に昇降可能に支持された刈取装置30と、前記刈取装置30によって刈り取られた穀稈を前記走行機体2の左側方において後方へ搬送するフィードチェーン装置20と、前記フィードチェーン装置20によって搬送される穀稈に対して脱穀処理を行うように、前記走行機体2の左部分に配設された脱穀装置40と、前記脱穀装置40の下方に配設された揺動選別装置50と、前記走行機体2の右前方部分に配設された運転席5と、前記揺動選別装置50によって選別された穀粒を収容するグレンタンク6であって、前記運転席5の後方に配設されたグレンタンク6と、前記フィードチェーン装置20から脱穀済の排藁を受け継ぎ、該排藁を後方へ搬送する排藁搬送装置60とを備えている。
【0020】
まず、前記コンバイン1における伝動構造について説明する。
前記コンバイン1の伝動構造は、図3に示すように、前記エンジン9から前記走行装置10へ至る走行系伝動経路に介挿された走行系トランスミッション100と、前記エンジン9から定速回転動力を入力し、前記刈取装置30、前記脱穀装置40、前記フィードチェーン装置20、前記揺動選別装置50及び前記搬送装置60に対して定速回転動力を出力する作業系伝達機構200とを備えている。
【0021】
前記走行系トランスミッション100は、前記エンジン9に作動連結されたHST入力軸121からエンジン9の定速回転動力が入力される主変速装置であるHST120と、前記HST120による走行変速域を高速域又は低速域に切り替える副変速装置130とを備えており、副変速装置130の出力は、走行装置10の駆動軸である走行系出力軸55に伝達される。
【0022】
なお、前記副変速装置130は、機械式多段変速装置の他に、HSTにおける油圧モータ本体の吸引/吐出量を変化させるモータ側出力調整部材を含む。
この場合には、HSTにおける油圧ポンプ本体の吸引/吐出量を変化させるポンプ側出力調整部材が主変速装置として作用する。
【0023】
前記作業系伝達機構200は、脱穀クラッチ機構45を介して前記エンジン9の定速出力軸220に作動連結され、前記脱穀装置40における扱胴42の扱胴軸41を回転駆動させる定速入力軸221と、前記定速入力軸221に作動連結され、前記揺動選別装置50において風選別を行う選別ファン51及び前記搬送装置60へ向けて回転動力を出力する定速伝動軸222と、前記揺動選別装置50へ向けて回転動力を出力する揺動駆動軸223と、前記揺動駆動軸223に作動連結され、前記フィードチェーン装置20へ向けて回転動力を出力するフィードチェーン出力軸224とを備えている。
前記脱穀クラッチ機構45は、前記定速出力軸220に装着された定速駆動プーリ231と、前記定速入力軸221に装着された定速従動プーリ232と、前記定速駆動プーリ231及び前記定速従動プーリ232に巻き回された定速伝動ベルト233と、前記定速伝動ベルト233に対してテンションを付加/解除する定速テンションローラ234とを備えている。
【0024】
また、前記作業系伝達機構200は、前記エンジン9から前記刈取装置30へ至る刈取系伝動経路に介挿された刈取クラッチ装置35を備えており、当該刈取クラッチ装置35は、前記刈取装置30に対して定速回転動力を選択的に係合又は遮断させる。
より詳しくは、前記刈取装置30の刈取入力軸225が前記刈取クラッチ35を介して前記揺動駆動軸223に作動連結されることにより前記エンジン9からの回転動力により作動可能となっている。
前記刈取クラッチ装置35は、前記揺動駆動軸223に装着された駆動側プーリ235と、前記刈取入力軸225に装着された従動側プーリ236と、前記駆動側プーリ235及び前記従動側プーリ236に巻き回された刈取伝動ベルト237と、前記刈取伝動ベルト237に対してテンションを付加/解除する刈取テンションローラ238とを備えている。
【0025】
前記HST120は、図2に示すように、人為操作可能な主変速レバー21に作動連結され、前記副変速装置130は、人為操作可能な副変速レバー22に作動連結されている。
また、前記脱穀クラッチ機構45の定速テンションローラ234は、人為操作可能な脱穀クラッチレバー23に作動連結され、前記刈取クラッチ装置35の刈取テンションローラ238は、人為操作可能な刈取クラッチレバー24に作動連結されている。
【0026】
ここで、前記副変速レバー22と前記脱穀クラッチレバー23及び前記刈取クラッチレバー24とは、前記コンバイン1の運転席5より該コンバイン1の前進方向を基準にして左側に設けられたサイドコラム25に前後方向に並列配置され、前記主変速レバー21は、前記運転席5の前方に設けられたフロントコラム26に配置されている。なお、本実施形態においては、前記脱穀クラッチレバー23及び前記刈取クラッチレバー24は、左右方向に並列配置(前記脱穀クラッチレバー23の回動軸と前記刈取クラッチレバー24の回動軸(後述する刈取クラッチ操作軸72)とが略同軸となるように配置)されている。
【0027】
この場合、副変速レバー22と脱穀クラッチレバー23及び刈取クラッチレバー24とが運転席5の左側に設けられたサイドコラム25において前後に並列配置されるため、運転席5に着席した作業者の前方視界を良好に確保することができる一方、主変速レバー21が副変速レバー22、脱穀クラッチレバー23及び刈取クラッチレバー24とは別に、運転席5の前方に設けられたフロントコラム26に配置されるため、作業時に頻繁に使用する主変速レバー21の操作に集中することができる。
【0028】
なお、本実施形態において、前記副変速レバー22は、前記脱穀クラッチレバー23及び前記刈取クラッチレバー24より前方側に配置されている。また、前記主変速レバー21は、前記副変速レバー22より前方で且つコンバインの前進方向を基準にして前記副変速レバー22より右側に配置されている。
また、前記フロントコラム26には、逆U字状の把持レバー27が固定されており、主変速レバー21は、コンバイン1の前進方向を基準にして把持レバー27より左側に配置されている。
なお、前記フロントコラム26の前記把持レバー27より右側には、刈取装置30の昇降操作及び走行装置10の操向操作を行うための十字操作レバー28が配置されている。
【0029】
次に、本実施形態における前記副変速装置130及び前記刈取クラッチ装置35に関する操作構造について説明する。図4〜図6に、本発明の一実施形態における操作構造の側面図を示す。図4は、前記刈取クラッチレバー24が係合位置且つ前記副変速レバー22が高速位置の状態を示し、図5は、前記副変速レバー22が低速位置且つ前記刈取クラッチレバー24が遮断位置の状態を示し、図6は、前記副変速レバー22が低速位置且つ前記刈取クラッチレバー24が係合位置の状態を示している。なお、図4〜図6においては、副変速装置130及び刈取クラッチ装置35に関係する操作構造以外の構造(例えば、脱穀クラッチレバー23及びその操作構造等)は、省略している。
【0030】
本実施形態における操作構造は、図4〜図6に示すように、人為操作に応じて副変速操作軸71回りに前記副変速装置130を高速域とする高速位置H及び前記副変速装置130を低速域とする低速位置Lをとり得る前記副変速レバー22と、人為操作に応じて前記副変速操作軸71と平行な刈取クラッチ操作軸72回りに前記刈取クラッチ装置35を動力伝達状態とする係合位置E及び前記刈取クラッチ装置35を動力遮断状態とする遮断位置Cをとり得る前記刈取クラッチレバー24と、前記副変速レバー22及び前記刈取クラッチレバー24を作動連結するリンク機構73とを備えている。前記リンク機構73は、前記副変速レバー22が高速位置Hに位置されている状態で前記刈取クラッチレバー24が遮断位置Cから係合位置Eへ操作されると、前記副変速レバー22を高速位置Hから低速位置Lへ移動させるとともに、前記副変速レバー22が低速位置Lに位置され且つ前記刈取クラッチレバー24が係合位置Eに位置されている状態においては前記副変速レバー22の低速位置Lから高速位置Hへの移動を不能とするように構成されている。
本実施形態においては、前記副変速操作軸71及び前記刈取クラッチ操作軸72は、車輌幅方向に沿うように車輌前後方向に並設された状態でサイドコラム用フレーム25fに軸支されており、前記副変速レバー22及び前記刈取クラッチレバー24は、車輌前後方向に揺動操作可能とされている。
【0031】
各構成をより具体的に説明する。
前記副変速レバー22は、前記副変速操作軸71回り第1方向(ここでは車輌前方)F及び第2方向(ここでは車輌後方)Rへ操作されるとそれぞれ低速位置L及び高速位置Hをとるように構成されている。
また、前記刈取クラッチレバー24は、前記刈取クラッチ操作軸72回りに前記第1方向Fと同一方向へ操作されると係合位置Eに位置し且つ前記第2方向Rと同一方向へ操作されると遮断位置Cに位置するとともに、刈取クラッチレバー付勢部材(例えば、引ばね)74によって係合位置E及び遮断位置Cに位置する際にそれぞれ前記刈取クラッチ操作軸72回り第1方向F及び第2方向Rに付勢されている。サイドコラム用フレーム25fには、前記刈取クラッチレバー24の係合位置E及び遮断位置Cの位置をそれぞれ規制する規制部材83,84が設けられ、前記刈取クラッチレバー付勢部材74の付勢力に抗して前記刈取クラッチレバー24を係合位置E又は遮断位置Cに保持させる。
【0032】
前記副変速レバー22は、前記副変速操作軸71に支持される基端部22aと、前記基端部22aから上方へ延びる副変速側把持部22bと、前記基端部22aから車輌前後方向に関し前記刈取クラッチ操作軸72とは反対側(車輌前方)へ延びる副変速側アーム部75とを有している。
前記副変速側アーム部75には、先端部が前記副変速装置130のシフタ(図示せず)に作動連結され、基端部が前記副変速側アーム部75に対して前記変速操作軸71と平行な軸線回りに回動可能な副変速リンクロッド76が固定されており、前記副変速レバー22の揺動に応じて前記副変速装置130を低速域又は高速域に切り替える。
【0033】
前記刈取クラッチレバー24は、前記刈取クラッチ操作軸72に支持される基端部24aと、前記基端部24aから上方へ延びる刈取クラッチ側把持部24bと、車輌前後方向に関し前記刈取クラッチ操作軸72を基準にして前記副変速操作軸71とは反対側(車輌後方)に位置するように前記刈取クラッチ側把持部24bに連結された刈取クラッチ側アーム部24cとを有している。本実施形態においては、前記刈取クラッチ側アーム部24cは、前記基端部24aから延出されている。
前記刈取クラッチレバー24の基端部24aには、刈取クラッチリンクロッド77の基端部が前記刈取クラッチレバー24に対して前記刈取クラッチ操作軸72と平行な軸線回りに回動可能に固定されている。前記刈取クラッチリンクロッド77の先端部には、前記刈取クラッチレバー付勢部材74の一端部が固定されている。前記刈取クラッチ装置35は、前記刈取クラッチ操作軸72と平行な揺動軸239回りに揺動可能な揺動片240を有しており、揺動軸239の径方向に延出された前記揺動片240の一端部240aに前記刈取テンションローラが回転可能に固定される一方、前記一端部240aとは前記揺動軸239を挟んで反対側に延出された前記揺動片240の他端部240bに前記刈取クラッチレバー付勢部材74の他端部が固定されている。
これにより、前記刈取クラッチレバー24の揺動に応じて前記刈取テンションローラ238が揺動軸239回りに揺動し、前記刈取クラッチ装置35を動力係合状態又は動力遮断状態に切り替える。
【0034】
前記刈取クラッチリンクロッド77は、前記刈取クラッチレバー24が係合位置Eに位置する際、前記刈取クラッチレバー付勢部材73の軸線(付勢力作用方向)が前記刈取クラッチ操作軸72と前記刈取クラッチレバー付勢部材74の他端部とを通る線分より前記第1方向F側(前方側)に位置するように、一部が湾曲した形状を有している。これにより、刈取クラッチレバー24が係合位置Eに位置する際、前記刈取クラッチレバー付勢部材74の軸線上を通る前記刈取クラッチリンクロッド77の両端部は、前記線分に対して前記第1方向F側に位置する一方、前記刈取クラッチリンクロッド77の湾曲部は、前記線分に対して前記第2方向R側に位置する。
【0035】
この場合、前記刈取クラッチレバー24が遮断位置Cに位置する際、前記刈取クラッチレバー付勢部材74の軸線は、前記刈取クラッチ操作軸72と前記刈取クラッチレバー付勢部材74の他端部とを通る線分より前記第2方向R側(後方側)に位置する(軸線位置74c)ため、前記刈取クラッチレバー付勢部材74の軸線上に生じる付勢力により、前記刈取クラッチレバー24は、前記刈取クラッチ操作軸72回り第2方向R側(即ち、遮断位置C側)に付勢される。
また、前記刈取クラッチレバー24が係合位置に位置する際、前記刈取クラッチレバー付勢部材74の軸線は、前記刈取クラッチ操作軸72と前記刈取クラッチレバー付勢部材74の他端部とを通る線分より前記第1方向F側(前方側)に位置する(軸線位置74e)ため、前記刈取クラッチレバー付勢部材74の軸線上に生じる付勢力により、前記刈取クラッチレバー24は、前記刈取クラッチ操作軸72回り第1方向F側(即ち、係合位置E側)に付勢される。
【0036】
このように、刈取クラッチレバー24に刈取クラッチリンクロッド77とは別に刈取クラッチレバー24を係合位置E又は遮断位置Cに付勢する付勢部材を設ける必要がなく、しかも、前記刈取クラッチレバー24の位置に応じて前記刈取クラッチレバー付勢部材74を前記係合位置E及び遮断位置Cの何れにも付勢させることができるため、操作構造をより簡単に構成することができる。
【0037】
前記リンク機構73は、基端部が前記刈取クラッチレバー24に前記刈取クラッチ操作軸72と平行な枢支軸78回り回転可能に連結され且つ先端部に長孔79が形成された第1リンク部材81と、基端部が前記副変速レバー22の副変速側アーム部75に連結され且つ先端部に前記長孔79に係入される係合部80が設けられた第2リンク部材82とを備えている。本実施形態においては、前記第2リンク部材82の係合部80が前記副変速操作軸71よりも下方に位置するように、前記第2リンク部材82の基端部が前記副変速側アーム部75に連結されている。
前記長孔79は、前記枢支軸78に対して近接する側及び離間する側の近接端部79a及び離間端部79bと、前記近接端部79a及び前記離間端部79bの間を連通する中間部79cとを有している。
【0038】
より詳しくは、前記第1リンク部材81は、車輌前後方向に延びる第1部分81aであって、前記副変速操作軸71に近接する側に車輌前後方向に沿うように前記長孔79が形成された第1部分81aと、前記第1部分81aの前記刈取クラッチ操作軸72に近接する側の端部から上方で且つ前記副変速操作軸71から離間する方向へ延びる第2部分81bであって、前記副変速操作軸71から離間される側の端部が前記刈取クラッチ側アーム部24cに前記枢支軸78回り回転可能に連結された第2部分81bとを有している。
そして、前記第2部分81bの前記副変速操作軸71から離間される側の端部は、前記刈取クラッチレバー24が遮断位置Cに位置する際には前記刈取クラッチ操作軸72より下方に位置し、且つ、前記刈取クラッチレバー24が係合位置Eに位置する際には前記刈取クラッチ操作軸72より上方に位置する。
上記のようにリンク機構73を構成することにより、操作構造を簡単に構成することができ、しかも下記の作用を奏させることができる。
【0039】
続いて、前記操作構造のより具体的な動作について説明する。
まず、図4及び図5に示すように、刈取クラッチレバー24が遮断位置Cに位置する場合においては、副変速レバー22の副変速操作軸71回り第1方向F及び第2方向Rへの操作に基づいて第2リンク部材82の係合部80が第1リンク部材81の長孔79内において副変速操作軸71回り第1方向F(近接端部79a側)及び第2方向R(離間端部79b側)の何れにも移動可能とされる。これにより、副変速レバー22を副変速操作軸71回り第1方向F及び第2方向Rに操作して低速位置L(図5)及び高速位置H(図4)に位置させることができる。
【0040】
ここで、路上走行から刈取作業に移行する場合等、図4に示すような前記副変速レバー22が高速位置Hに位置する状態において前記刈取クラッチレバー24が遮断位置Cから係合位置Eへ人為操作される際には、前記リンク機構73を介して前記副変速レバー22が連動して高速位置Hから低速位置Lへ回動する。
即ち、前記刈取クラッチレバー24が遮断位置Cから係合位置Eへ人為操作されることにより、前記第1リンク部材81が前記刈取クラッチ操作軸72回り第1方向Fへ移動し、これに応じて前記長孔79の離間端部79bが前記係合部80に係合して前記係合部80を前記副変速操作軸71回り第1方向Fへ回動させる。さらに、前記第2リンク部材82は、前記係合部80の回動に応じて、副変速操作軸71回り第1方向Fへ回動し、これに連動して前記副変速レバー22を前記副変速操作軸71回り第1方向Fへ回動させる。これにより、前記副変速レバー22は、高速位置Hから低速位置Lに回動され、図6に示すように、前記副変速レバー22が低速位置Lに位置し且つ前記刈取クラッチレバー24が係合位置Eに位置する刈取作業状態となる。
【0041】
ここで、図6に示すような刈取作業状態においては、前記第2リンク部材82及び前記第1リンク部材81を介して前記刈取クラッチレバー24に作用する人為操作力G1の向きが、前記枢支軸78の軸線から前記刈取クラッチ操作軸72の軸線へ向かう方向となるように構成される。
この場合、前記第2リンク部材82の係合部80に作用する人為操作力G0の向きが前記枢支軸78の軸線と刈取クラッチ操作軸72の軸線とを通る線分G上に存在するため、前記人為操作力G0によって前記刈取クラッチレバー24の刈取クラッチ側アーム部24cにおける枢支軸78に作用する人為操作力G1の向きも同じく前記枢支軸78の軸線と刈取クラッチ操作軸72の軸線とを通る線分G上に存在することとなる。
即ち、前記刈取クラッチレバー24に作用する人為操作力G1は、前記刈取クラッチレバー24を前記刈取クラッチ操作軸72回りに回動させる成分を持たないため、前記人為操作力G1が生じても前記刈取クラッチレバー24は、前記刈取クラッチ操作軸72回りには回動しない。これにより、前記刈取クラッチレバー24に連結された前記第1リンク部材81も移動しない。
従って、図6に示すような前記刈取作業状態において、前記刈取クラッチレバー24を係合位置Eに位置させた状態で副変速レバー22を副変速操作軸71回り第2方向Rへ人為操作しようとしても、前記係合部80の前記副変速操作軸71回りの回動が前記第1リンク部材81に設けられた長孔79の離間端部79bにより規制されるため、副変速レバー22を高速位置Hに位置させることはできない。
【0042】
以上より、図6に示すように、前記刈取クラッチレバー24が係合位置Eに位置する際には、当該刈取クラッチレバー24が遮断位置Cに位置されない限り、副変速レバー22は必ず低速位置Lに位置されることとなるため、刈取クラッチ装置35が動力伝達状態である場合において、前記副変速装置130は必ず低速域となり、コンバイン1を刈取作業に影響が出ない速度域に保持することができる。
【0043】
なお、前記副変速レバー22が低速位置Lに位置し且つ前記刈取クラッチレバー24が係合位置Eに位置する状態において、前記副変速レバー22を前記副変速操作軸71回り第2方向Rへ人為操作する際に前記第2リンク部材82及び前記第1リンク部材81を介して前記刈取クラッチレバー24に作用する人為操作力の向きが、前記係合位置Eに位置する前記刈取クラッチレバー24を前記刈取クラッチ操作軸72回り第1方向Fへ押動する方向となるように構成してもよい。
この場合、前記刈取クラッチレバー24に作用する人為操作力において、前記刈取クラッチレバー24を前記刈取クラッチ操作軸72回りに回動させる成分は、前記第1方向F側にしか生じないため、前記人為操作力が生じても、前記刈取クラッチ操作軸72回り第2方向Rへは回動しない。従って、前記人為操作力が生じても前記刈取クラッチレバー24は、前記刈取クラッチ操作軸72回りには回動しないようにすることができる。
【0044】
以上で説明したように、上記構成の操作構造によれば、副変速レバー22が高速位置Hに位置することにより副変速装置130が高速域となっている刈取非作業状態から刈取作業を行う際、刈取クラッチレバー24を遮断位置Cから係合位置Eに操作することにより、刈取クラッチレバー24が刈取クラッチ操作軸72回りに回動して刈取クラッチ装置35が動力伝達状態となるとともに、刈取クラッチレバー24と副変速レバー22とを作動連結するリンク機構73により、副変速レバー22が副変速操作軸71回りに回動して高速位置Hから低速位置Lに切り替えられて副変速装置130が低速域となる。
一方、副変速レバー22が低速位置Lに位置し且つ刈取クラッチレバー24が係合位置Eに位置している刈取作業時においては、リンク機構73により副変速レバー22が低速位置Lから高速位置Hへ移動しないように規制される。
【0045】
このように、副変速レバー22と刈取クラッチレバー24とを作動連結するリンク機構73により、刈取作業の開始時においては刈取クラッチレバー24を係合位置Eに位置させるワンアクションで刈取クラッチ装置35を動力伝達状態とし且つ副変速装置130を低速域に係合させることができる一方、刈取作業状態においては、リンク機構73により副変速レバー22が低速位置Lから高速位置Hへ移動しないように規制されるため、刈取クラッチ装置35が意に反して動力遮断状態になることを防止することができる。
【0046】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る操作構造が適用されたコンバインの左側面図である。
【図2】図2は本発明の一実施形態に係る操作構造が適用されたコンバインの上面図である。
【図3】図3は本発明の一実施形態に係る操作構造が適用されたコンバインの伝動模式図である。
【図4】図4は本発明に係る一実施形態の操作構造において刈取クラッチレバーが係合位置且つ副変速レバーが高速位置の状態における側面図を示す。
【図5】図5は本発明に係る一実施形態の操作構造において副変速レバーが低速位置且つ刈取クラッチレバーが遮断位置の状態における側面図を示す。
【図6】図6は本発明に係る一実施形態の操作構造において副変速レバーが低速位置且つ刈取クラッチレバーが係合位置の状態における側面図を示す。
【符号の説明】
【0048】
1 コンバイン
5 運転席
9 エンジン(駆動源)
10 走行装置
22 副変速レバー
22a 副変速レバーの基端部
22b 副変速側把持部
24 刈取クラッチレバー
24a 刈取クラッチレバーの基端部
24b 刈取クラッチ側把持部
24c 刈取クラッチ側アーム部
25 サイドコラム
26 フロントコラム
30 刈取装置
35 刈取クラッチ装置
71 副変速操作軸
72 刈取クラッチ操作軸
73 リンク機構
74 刈取クラッチレバー付勢部材
75 副変速側アーム部
78 枢支軸
79 長孔
79a 近接端部
79b 離間端部
79c 中間部
80 係合部
81 第1リンク部材
81a 第1部分
81b 第2部分
82 第2リンク部材
120 主変速装置
130 副変速装置
C 遮断位置
E 係合位置
H 高速位置
L 定速位置
F 第1方向
R 第2方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源から走行装置へ至る走行系伝動経路に主変速装置と前記主変速装置による走行変速域を高速域又は低速域に切り替える副変速装置とが介挿され、且つ、前記駆動源から刈取装置へ至る刈取系伝動経路に動力伝達を選択的に係合又は遮断させる刈取クラッチ装置が介挿されたコンバインに適用される操作構造であって、
人為操作に応じて副変速操作軸回りに前記副変速装置を高速域とする高速位置及び前記副変速装置を低速域とする低速位置をとり得る副変速レバーと、人為操作に応じて前記副変速操作軸と平行な刈取クラッチ操作軸回りに前記刈取クラッチ装置を動力伝達状態とする係合位置及び前記刈取クラッチ装置を動力遮断状態とする遮断位置をとり得る刈取クラッチレバーと、前記副変速レバー及び前記刈取クラッチレバーを作動連結するリンク機構とを備え、
前記リンク機構は、前記副変速レバーが高速位置に位置されている状態で前記刈取クラッチレバーが遮断位置から係合位置へ操作されると、前記副変速レバーを高速位置から低速位置へ移動させるとともに、前記副変速レバーが低速位置に位置され且つ前記刈取クラッチレバーが係合位置に位置されている状態においては前記副変速レバーの低速位置から高速位置への移動を不能とするように構成されていることを特徴とする操作構造。
【請求項2】
前記副変速レバーは、前記副変速操作軸回り第1方向及び第2方向へ操作されるとそれぞれ低速位置及び高速位置をとり、
前記刈取クラッチレバーは、前記刈取クラッチ操作軸回りに前記第1方向と同一方向へ操作されると係合位置に位置し且つ前記第2方向と同一方向へ操作されると遮断位置に位置するとともに、刈取クラッチレバー付勢部材によって係合位置及び遮断位置に位置する際にそれぞれ前記刈取クラッチ操作軸回り第1方向及び第2方向に付勢されており、
前記リンク機構は、基端部が前記刈取クラッチレバーに前記刈取クラッチ操作軸と平行な枢支軸回り回転可能に連結され且つ先端部に長孔が形成された第1リンク部材と、基端部が前記副変速レバーに連結され且つ先端部に前記長孔に係入される係合部が設けられた第2リンク部材とを備え、
前記長孔は、前記枢支軸に対して近接する側及び離間する側の近接端部及び離間端部と、前記近接端部及び前記離間端部の間を連通する中間部とを有し、
前記刈取クラッチレバーが遮断位置に位置する状態においては、前記係合部は、前記副変速レバーの高速位置及び低速位置への人為操作に応じて前記長孔内において前記副変速操作軸回り第1及び第2方向の双方に移動可能とされ、
前記副変速レバーが高速位置に位置する状態で前記刈取クラッチレバーが遮断位置から係合位置へ人為操作される際には、前記離間端部が前記係合部に係合して前記係合部を前記副変速操作軸回り第1方向へ回動させることで前記副変速レバーを低速位置に位置させるように、前記第1リンク部材が前記刈取クラッチレバーに連動して前記刈取クラッチ操作軸回り第1方向へ回動し、
前記副変速レバーが低速位置に位置し且つ前記刈取クラッチレバーが係合位置に位置する状態において前記副変速レバーを前記副変速操作軸回り第2方向へ人為操作する際に前記第2リンク部材及び前記第1リンク部材を介して前記刈取クラッチレバーに作用する人為操作力の向きが、前記枢支軸の軸線から前記刈取クラッチ操作軸の軸線へ向かう方向、若しくは、前記係合位置に位置する前記刈取クラッチレバーを前記刈取クラッチ操作軸回り第1方向へ押動する方向となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の操作構造。
【請求項3】
前記副変速操作軸及び前記刈取クラッチ操作軸は車輌幅方向に沿うように車輌前後方向に並設されており、
前記副変速レバーは、前記副変速操作軸に支持される基端部と、前記基端部から上方へ延びる副変速側把持部と、前記基端部から車輌前後方向に関し前記刈取クラッチ操作軸とは反対側へ延びる副変速側アーム部であって、前記第2リンク部材の前記係合部が前記副変速操作軸よりも下方に位置するように前記第2リンク部材の前記基端部が連結される副変速アーム部とを有し、
前記刈取クラッチレバーは、前記刈取クラッチ操作軸に支持される基端部と、前記基端部から上方へ延びる刈取クラッチ側把持部と、車輌前後方向に関し前記刈取クラッチ操作軸を基準にして前記副変速操作軸とは反対側に位置するように前記刈取クラッチ側把持部に連結された刈取クラッチ側アーム部とを有し、
前記第1リンク部材は、車輌前後方向に延びる第1部分であって、前記副変速操作軸に近接する側に車輌前後方向に沿うように前記長孔が形成された第1部分と、前記第1部分の前記刈取クラッチ操作軸に近接する側の端部から上方で且つ前記副変速操作軸から離間する方向へ延びる第2部分であって、前記副変速操作軸から離間される側の端部が前記刈取クラッチ側アーム部に前記枢支軸回り回転可能に連結された第2部分とを有し、
前記第2部分の前記副変速操作軸から離間される側の端部は、前記刈取クラッチレバーが遮断位置に位置する際には前記刈取クラッチ操作軸より下方に位置し、且つ、前記刈取クラッチレバーが係合位置に位置する際には前記刈取クラッチ操作軸より上方に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の操作構造。
【請求項4】
前記副変速レバー及び前記刈取クラッチレバーは、前記コンバインの運転席より該コンバインの前進方向を基準にして左側に設けられたサイドコラムに前後方向に並列配置され、
前記主変速装置を操作する主変速レバーは、前記運転席の前方に設けられたフロントコラムに配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の操作構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−60879(P2009−60879A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233623(P2007−233623)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】