説明

コンバイン等の穀稈引起装置

【課題】コンバイン等の穀稈引起装置において、引起しラグを起立させるラグ引起しガイドレールの耐久性を高める。
【解決手段】穀稈引起装置(7)の引起しケース(7c)の上下輪体(12,13)に植立穀稈引起し用の引起しラグ(14,…)を軸支した引起しチェン(11)を巻回する。引起しチェン(11)に沿って配設する上下方向に沿ったラグ引起しガイドレール(15)を構成するにあたり、所定幅の上下方向に長いレール板部(15a)と、断面凹状の略同じ上下方向に長い取付板部(15b)とを接合して、内部に上下方向に長い空間部を形成するように構成する。ラグ引起しガイドレール(15)を上下方向中心部を基準にして上下両端側を対称状に構成し、ラグ引起しガイドレール(15)を引起しケース(7c)に上下反転して着脱自在に取り付けるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀稈引起装置に関するもので、自脱型コンバイン、バインダ等に利用できる。
【背景技術】
【0002】
穀稈引起装置において、植立穀稈を引き起こす引起しラグを軸支した無端チェンを引起しケースの内部に回転自在に設け、引起しケースを刈取フレーム側に固定する後側ケースとこれに着脱自在の前側カバーとに分割構成し、後側ケース内に前方に突出して設けた係合突起に、引起しラグの案内用ラグガイドを抜き差し自在に取り付けたものは公知である(特許文献1)。
【0003】
また、穀稈引起装置の注油装置において、植立穀稈を引き起こす引越しラグを軸支した無端チエンを引越しケースの内部に回転自在に設け、無端チェンを巻回している下部輪体の略最上端部上方にノズルを設けて、無端チェンに注油するように構成したものは公知である(特許文献2)
【特許文献1】特許第2979676号公報
【特許文献2】実公昭60−24107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、穀稈引起装置において、引越しチェンに沿って配設されている引起しラグの起立用ラグ引越しガイドレールの耐久性を向上させ、また、引起しラグや穀稈に油を付着させずに引起しチェンに的確に注油しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、穀稈引起装置(7)の引起しケース(7c)の上下輪体(12,13)に植立穀稈引起し用の引起しラグ(14)を軸支した引起しチェン(11)を巻回し、前記引起しチェン(11)に沿って配設する上下方向に沿ったラグ引起しガイドレール(15)を構成するにあたり、所定幅を有し上下方向に長いレール板部(15a)と、断面形状が凹状を呈し前記レール板部(15a)と略同じ長さの取付板部(15b)とを接合して、内部に上下方向に長い空間部を形成するように構成し、前記ラグ引起しガイドレール(15)を上下方向中心部を基準にして上下両端側を対称状に構成し、該ラグ引起しガイドレール(15)を前記引起しケース(7c)に対して上下反転して取り付けられるように構成したことを特徴とするコンバイン等の穀稈引起装置とする。
【0006】
前記構成によると、穀稈引起装置(7)の引起しケース(7c)の引起しチェン(11)に沿って取り付けられている上下方向に長いラグ引起しガイドレール(15)により、引起しチェン(11)に取り付けられている引起しラグ(14,…)は起立され上方に移動しながら穀稈を引き起こす。また、ラグ引起しガイドレール(15)の上下一端部が摩耗すると、引起しケース(7c)にラグ引起しガイドレール(15)を上下反転させて取り付けることにより、ラグ引起しガイドレール(15)の摩耗の少ない部分を起立負荷のかかる部分に配置して、引起しラグ(14)を起立させることができる。
【0007】
請求項2の発明は、前記取付板部(15b)の上下方向中心部に注油ノズル(23)取付用の取付部材(21)を設け、該取付部材(21)の上下両側に同じ距離だけ偏位した部位に注油ノズル(23)の取付孔(15e,15e)を設け、下側に位置している取付孔(15e)に取り付けた注油ノズル(23)によって、前記レール板部(15a)と取付板部(15b)との間に形成される空間部を通して引起しチェン(11)の巻回されている下輪体(12)の上昇回転側に注油するように構成したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン等の穀稈引起装置とする。
【0008】
前記構成によると、請求項1の発明の前記作用に加えて、ラグ引起しガイドレール(15)の取付板部(15b)における取付具(21)により、下側の取付孔(15e)に注油ノズル(23)の注油部を挿入して取り付けることにより、注油ノズル(23)から注油された油は、レール板部(15a)と取付板部(15b)との間に形成される空間部を通ってチェン(11)の巻回されている下輪体(12)の上昇回転側部位に注油され、上昇回転している下輪体(12)を経て引起しチェン(11)に注油される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明は、ラグ引起しガイドレール(15)の下側部が摩耗すると、引起しケース(7c)に対してラグ引起しガイドレール(15)を上下反転して取り付けることにより、上側部の摩耗の少ない部分を下側に振り替えすることができ、耐久性を向上させることができる。また、ラグ引起しガイドレール(15)の中間部から上下両端側を対称状に構成しているので、何れの状態で組み付けても、引起しラグ(14,…)を適正に案内する状態となり、誤組立てを防止できる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明の前記効果に加えて、ラグ引起しガイドレール(15)におけるレール板部15aと取付板部15bの間の空間部を通って注油され、引起しチェン(11)の巻回されている下輪体(12)の上昇回転側部位に注油されるので、上昇回転している下輪体(12)により油の落下を抑制しながら引起しチェン11に確実に注油し、引起しラグ(14,…)や穀稈への油の付着を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、図1により本発明を具備するコンバインの全体構成について説明する。
図1にはコンバインの全体側面図が図示されている。コンバイン1の走行車台2の下方には左右走行クローラ3,3を配設し、走行車台2上に脱穀部4を搭載し、走行車台2の前側部には刈取搬送部5を昇降自在に設けている。この刈取搬送部5は、左右分草杆6,6、穀稈引越装置7、刈刃装置8、穀稈搬送装置9等により構成している。
【0012】
前記構成によると、コンバイン1の回転各部を駆動して刈取作業を開始すると、走行クローラ3,3が回転して走行車台2は走行を開始し、圃場の穀稈は刈取搬送部5の前部の分草杆6,6により穀稈条列毎に分草されながら穀稈引起装置7に案内され、引越しラグ14,…により引き起される。そして、引起された穀稈は刈刃装置8に到達すると刈り取られて穀稈搬送装置9に引き継がれ、後方の脱穀部4に搬送供給される。
【0013】
次に、図2乃至図4に基づき穀稈引起装置7について説明する。穀稈引起装置7は、引起しケースアッパ7aと引起しケースロワー7bを接合して引起しケース7cを構成しいる。そして、この引起しケースロワー7bの上下部には、上部スプロケット13及び下部回転輪体12を軸架し、上部スプロケット13と下部回転輪体12とに、引起しラグ14,…を所定間隔毎に枢支連結している引起しチェン11を巻回している。
【0014】
引起しケース7cの左右一側の引起し側(図3の左側)には、引起しチェン11の内側に沿うように上下方向に長いラグ引起しガイドレール15を設け、引起しケース7cの左右他側の退避側下部には、下部回転輪12の上方に位置するように下部引起し体16を設けている。
【0015】
しかして、引起しラグ14,…が下部引起し体16に当接して引起しラグ14,…は起立され、ケース下部で突出状態で退避側から引起し側に向けて回動し、次いで、引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aがラグ引起しガイドレール15に当接し、突出状態を維持しながら上方に移動する。そして、ケースの上部に移動した引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aが、ラグ引起しガイドレール15の上側端部から解放されると、ケース内に退避回動して収納状態となり、ケースの退避側では退避状態のまま下方に移動する。
【0016】
次に、図4によりラグ引起しガイドレール15の具体構成について説明する。
ラグ引起しガイドレール15は、所定幅で上下方向に長いレール板部15aと、レール板部15aの裏面に接合される断面凹状の略同じ上下方向の長さの取付板部15bとを接合し、レール板部15aと取付板部15bとの間に上下方向に長い空間部を形成した強固な構成としている。そして、取付板部15aの上下方向両端部には補強板22,22を一体的に接合し、この補強板22,22をレール板部15aの上下方向両端部裏面に接合固着し、引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aの接触し始める負荷のかかるレール板部15aを補強板22,22により補強している。また、レール板部15aの左右両端部を引起しケースアッパ7a及び引起しケースロワー7bに直角に当接するようにし、レール板部15aを幅広に構成して、引越しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aの接触摺動面としている。
【0017】
その取付板部15bの上下方向中間部に後述する注油ノズル23取付用のボルト21を取り付け、ボルト21からラグ引越しガイドレール15の上下方向両端部までの長さを等しく構成している。
【0018】
また、ラグ引起しガイドレール15の上下両端部には上下支持孔15c,15cを設け、引起しケースアッパ7a、引起しケースロワー7bの支持孔、上下支持孔15c,15c、及び、ボルト・ナット15d,15dにより、着脱自在に取り付けている。
【0019】
取付板部15bの両端部には補強板22,22を一体的に固着し、この補強板22,22をレール板部15aの両端部裏面に接合固着し、引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aが接触開始をするレール板部15aの部位を補強板22,22により補強している。
【0020】
前記構成によると、レール板部15aにおける引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aに摺動する面を幅広に構成したので、接触面圧を下げ、レール板部15aの摩耗を少なくすることができる。
【0021】
また、ラグ引起しガイドレール15の取付板部15bにおけるボルト(取付部材)21の上下方向両側部には、注油ノズル23取付用の取付孔15e,15eを同じ長さ隔てて設けている。そして、取付板部15bの外側面に前記ボルト21により注油ノズル23を取り付けると、注油ノズル23の油噴出部が取付孔15eからラグ引起しガイドレール15の空間部に突出した状態となる。
【0022】
しかして、送油ホース24を経由して注油ノズル23に送油すると、レール板部15aと取付板部15bの間の空間部内に注油され、レール板部15aの裏面に沿って油が流下し、下部回転輪体12の上方に回転している部位に注油され、次いで、上方に回転している下部回転輪体12を介して引越しチェン11に注油されるように構成している。
【0023】
前記構成によると、ラグ引起しガイドレール15の下側部が摩耗すると、引起しケース7cに対してラグ引起しガイドレール15を上下反転して取り付けることにより、上側部の摩耗の少ない部分を摺動負荷の大きな下側にすることができ、耐久寿命を約2倍にすることができる。また、ボルト21からラグ引起しガイドレール15の上下端部までの長さを等しくしているので、何れの状態で組み付けても引起しラグ14,…を適正に案内することができ、誤組立てを防止することができる。また、取付板部15bを断面凹状に構成したので、構成を簡素化しながら、溶接によるレール板部15aへの取り付け作業が容易になる。
【0024】
また、レール板部15aと取付板部15bの間の空間部を通して注油し、下部回転輪体12を経由して引越しチェン11に注油できるので、引起しラグ14,…に油が付着せず、引起しチェン11に確実に注油できる。また、油が飛散することがないため、コンバインの余分なところへの油の付着を防止し、藁屑だまりを防止できる。
【0025】
また、図5に示すように構成してもよい。レール板部15aの下端左右中央部に下側向きの凸部15fを構成し、下部回転輪体12の引越し側部位、即ち、上方への回転部位の左右方向中央部に凸部15fを対向配置し、レール板部15aの裏面に沿って流下した油を凸部15fにより下部回転輪体12の左右方向中心部に注油するように構成する。
【0026】
前記構成によると、凸部15fにより下部回転輪体12の左右中心部に注油した油を上方に回転する下部回転輪体12に滞留させながら引起しチェン11に的確に注油することができ、また、下部回転輪体12に巻き込まれた藁屑類を凸部15fで払い出し付着を防止することができる。
【0027】
また、図6に示すように構成してもよい。取付板部15bの下端左右中央部裏面に、注油ノズル23を下向きに注油するように取り付けて、下部回転輪体12の引起し側部位、即ち、上方への回転部位の左右方向中央部に注油するように構成し、注油ノズル23から下部回転輪体12の左右方向中心部に注油するように構成する。前記構成によると、注油した油を上方に回転する下部回転輪体12に滞留させながら、引起しチェン11に的確に注油することができる。
【0028】
次に、図7について説明する。前記穀稈引起装置7の引起しケース7cを、引起しケースアッパ7aと引起しケースロワー7bを上下に合わせて構成し、その引起しケースアッパ7a及び引起しケースロワー7bの下部に下部回転輪体12を軸支し、引起しケースアッパ7a及び引起しケースロワー7bの下部中央に上下方向の長い凹部7d,7dを構成し、この凹部7d,7dを上下のボルト・ナット26,26により接合固着し、ボルト・ナット26,26の両端部を凹部7d,7dに落し込ませるようにして引起しケース7cを構成し、引起しケース7cの上側面を薄い化粧板27により被覆している。
【0029】
また、引起しケースアッパ7a及び引起しケースロワー7bを、図7(B),(C)に示すように左右対称に構成し、このように構成した引起しケースアッパ7a及び引起しケースロワー7bを接合し固着して引起しケース7cを組み立て、その後に反転させることにより左右何れの穀稈引起装置7,7にも使用できるように構成している。
【0030】
前記構成によると、引起しケース7cを薄く軽量化でき、引起しラグ14の左右両側に引起しケースアッパ7a及び引起しケースロワー7bのケース板体を接近させて左右横振れを抑制することができ、また、前方視界を良くすることができる。また、型費を削減し、左右対称なので誤組立ての怖れもなく、また、引起しケースアッパ7a及び引起しケースロワー7bを相互に反転して使うことにより、摩耗の激しい側と摩耗の少ない側を入れ替えることにより、耐久性を高めることができる。
【0031】
次に、図8及び図9について説明する。引起しケースアッパ7a及び引起しケースロワー7bの上部には、左右方向の上下長孔31,31を構成し、上部ラグガイドレール32,32を上下長孔31,31に左右方向調節自在にボルト・ナット33,33により取り付けている。即ち、引起しケースアッパ7a及び引起しケースロワー7bの間に、上部ラグガイドレール32,32を配置し、上下長孔31,31及び上部ラグガイドレール32,32の支持孔にボルト・ナット33,33を挿通して取り付け、上部ラグガイドレール33,33を上下長孔31,31に沿って左右方向に移動調節することにより、引起しチェン11に対し遠近に調節できるように構成している。また、図9に示すように、引起しケースロワー7b側には、L字型の操作具34a付きのプレート34をボルト33,33に挿通支持して共締めしている。
【0032】
前記構成によると、ボルト・ナット33,33を弛め、L字型の操作具34aによりプレート34を介して上部ラグガイドレール32,32を左右に移動調節し、引起しチェン11に対して上部ラグガイドレール32,32を遠近に調節し、引起しラグ14,…の退避位置を上下調節することができる。
【0033】
また、化粧板27を取り付けたままで、スッパナ等で操作具34aを操作することにより、上部ラグガイドレール32,32を左右に調整することができ、引起しラグ14,…の退避位置を楽に調節することができる。
【0034】
次に、図10について説明する。引起しケースアッパ7a及び引起しケースロワー7bにおける引起しラグ14,…の起立状態で移動する部位には、引起しラグ14,…の基端部と引起しケースアッパ7a、引起しケースロワー7bの間に上下方向に沿った左右規制棒36,36を取り付けている。そして、この左右規制棒36,36の断面を、図10(B)に示すように長方形に構成し、この左右規制棒36,36を左右横長状態にしてケースに取り付けている。
【0035】
前記構成によると、引起しラグ14,…と上下の引起しケースアッパ7a、引起しケースロワー7bの間隔が広くなり、引起し穀稈のケース板体との接触を抑制しながら円滑に引越すことができる。
【0036】
また、特開2000−92953号公報に示すように、引起しラグ14,…と引起しケースアッパ7a、引起しケースロワー7bとの間隔部に幅狭の規制棒36を配設したものがある。しかし、このような構成では、引起しラグ14,…と引起しケースアッパ7a、引起しケースロワー7bとの間隔部が狭くなり、引起し中の穀稈が引起しケースアッパ7a、引起しケースロワー7bの端部に接触し、穀稈が損傷したり、脱粒するという不具合がある。しかし、前記構成によると、このような不具合を解消することができる。
【0037】
次に、図11及び図12に基づき引起しラグ14,…の左右下部円弧状規制棒37,37について説明する。左右下部円弧状規制棒37,37は、下部回転輪体12,12の左右両側方に位置する円弧状部37a,37aと、円弧状部37aの上手側に接続している左右両側に広がる屈曲案内部37b,37bとにより、左右対称に構成されている。そして、引起しケースアッパ7a、引起しケースロワー7bの内側と引起しラグ14,14との間に接触状態で位置するように取り付け、円弧状部37a,37aの下手側端部を前記左右規制棒36,36の上手側端部に接続している。
【0038】
前記構成によると、下方に移動している引起しラグ14,…が引起し体16により起立されると、上手側の左右屈曲案内部37b,37bにより、下部回転輪体12の左右中央に案内され、次いで、円弧状部37aに沿って下手側に突出状態で回動し、左右規制棒36,36に引き継がれる。また、円弧状の左右下部引起し体37,37を左右対称に構成したので、左右反転することにより、左右の穀稈引起装置7,7に振り替えて使用することができ、耐久性を高めることができる。
【0039】
次ぎに、図13及び図14に基づき刈取搬送部5の穂先搬送装置41及び根元搬送装置42の具体構成について説明する。
刈取搬送部5の前側部に穀稈引起装置7を設け、穀稈引起装置7の前側下部には左右分草杆6,6及び掻込搬送装置40を設け、穀稈引起装置7の後側下部に刈刃装置8、穂先搬送装置41及び根元搬送装置42を設け、掻込搬送装置40で掻き込まれた穀稈を穀稈引越装置7で引越して刈刃装置8で刈り取り、穂先搬送装置41及び根元搬送装置42に引き継いで、脱穀部4に搬送するように構成している。
【0040】
また、刈取搬送部5の後側部には伝動装置の内装されている前後方向に沿った刈取伝動ケース7aを設け、この刈取伝動ケース7aの中途部から立設した搬送伝動ケース7b内の搬送伝動装置(図示省略)を介して、穂先搬送装置41及び根元搬送装置42に動力を伝達し、刈取伝動ケース7aの前側端部に連設した刈刃伝動ケース7c内の刈刃伝動装置(図示省略)を経由して、刈刃装置8に動力を伝達している。また、刈取伝動ケース7aの前側端部から立設した引起し伝動ケース7d内の引起し伝動装置(図示省略)を経由して、穀稈引起装置7の引起しチェン11,…に動力を伝達している。
【0041】
また、搬送伝動ケース7bにおける穂先搬送装置41及び根元搬送装置42の下方部位には、放射方向に突出するように回転板43を取り付けた輪体43aを回転自在に支持している。
【0042】
前記構成によると、穂先搬送装置41及び根元搬送装置42により搬送される穀稈の根元部が回転板43,…に当たることにより回転板43が回転し、刈取伝動ケース7aに溜まった雑草類や藁屑類を掻き落すことができる。
【0043】
また、図15のように構成してもよい。刈刃伝動ケース7cにおける刈取伝動ケース7aの左右両側部に左右回転板43,43を設け、左右モータ44,44により回転するゴム製のローラ45,45により、輪体43a,43aを駆動し、左右回転板43,43を強制的に回転させるように構成している。なお、左右モータ44,44はカバー44a,44aにより被覆されている。
【0044】
また、図16に示すように構成してもよい。刈刃伝動ケース7cにおける刈取伝動ケース7aの左右両側方に左右回転板43,43を設け、単一のモータ44により、チェン伝動装置46、伝動軸47を介して左右ローラ45,45を駆動し、左右回転板43,43を強制的に回転させるように構成している。
【0045】
また、刈取搬送部5の下降した刈取作業状態を刈取高さセンサ(図示省略)により検出すると、制御部(図示省略)の駆動手段指令により、モータ44を駆動して左右回転板43,43を強制的に所定方向に回転させる。また、刈取搬送部5が一定高さ以上に上昇した刈取作業停止状態を刈取高さセンサにより検出すると、モータ44を逆回転駆動して左右回転板43,43を強制的に反対方向に回転させる。しかして、溜まっている雑草や藁屑類を確実に落下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】コンバインの全体装置
【図2】刈取搬送部の側面図
【図3】穀稈引起装置の一部省略した正面図
【図4】(A)ラグ引起しガイドレールの正面図 (B)ラグ引起しガイドレールの側面図 (C)図(B)のS1−S1線断面図 (D)図(B)のS2−S2線断面図
【図5】(A)穀稈引起装置の一部省略した下部正面図 (B)ラグ引起しガイドレールの正面図
【図6】穀稈引起装置の一部省略した下部正面図
【図7】(A)穀稈引起装置の側面図 (B)引起しケースロワーの正面図 (C)引起しケースアッパの正面図 (D)左穀稈引起装置の断面図 (E)右穀稈引起装置の断面図
【図8】(A)穀稈引起装置の側面図 (B)引起しケースロワーの正面図 (C)引起しケースアッパの正面図 (D)左穀稈引起装置の断面図 (E)右穀稈引起装置の断面図
【図9】穀稈引起装置の断面図
【図10】(A)穀稈引起装置の一部省略した正面図 (B)穀稈引起装置の断面図
【図11】(A)穀稈引起装置の一部省略した正面図 (B)穀稈引起装置の断面図 (C)穀稈引起装置の一部省略した側面図
【図12】(A)穀稈引起装置の分解した斜視図 (B)穀稈引起装置の分解した斜視図
【図13】(A)刈取搬送部の側面図 (B)刈取搬送部の平面図
【図14】(A)刈取搬送部の一部省略した側面図 (B)刈取搬送部の一部省略した平面図
【図15】(A)刈取搬送部の一部省略した側面図 (B)刈取搬送部の一部省略した平面図
【図16】(A)刈取搬送部の一部省略した側面図 (B)刈取搬送部の一部省略した平面図 (C)刈取搬送部の一部省略した平面図
【符号の説明】
【0047】
7 穀稈引起装置
7c 引起しケース
11 引起しチェン
12 下輪体(下部回転輪体)
13 上輪体(上部スプロケット)
14 引起しラグ
15 ラグ引起しガイドレール
15a レール板部
15b 取付板部
15e 取付孔
21 取付部材(ボルト)
23 注油ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈引起装置(7)の引起しケース(7c)の上下輪体(12,13)に植立穀稈引起し用の引起しラグ(14)を軸支した引起しチェン(11)を巻回し、前記引起しチェン(11)に沿って配設する上下方向に沿ったラグ引起しガイドレール(15)を構成するにあたり、所定幅を有し上下方向に長いレール板部(15a)と、断面形状が凹状を呈し前記レール板部(15a)と略同じ長さの取付板部(15b)とを接合して、内部に上下方向に長い空間部を形成するように構成し、前記ラグ引起しガイドレール(15)を上下方向中心部を基準にして上下両端側を対称状に構成し、該ラグ引起しガイドレール(15)を前記引起しケース(7c)に対して上下反転して取り付けられるように構成したことを特徴とするコンバイン等の穀稈引起装置。
【請求項2】
前記取付板部(15b)の上下方向中心部に注油ノズル(23)取付用の取付部材(21)を設け、該取付部材(21)の上下両側に同じ距離だけ偏位した部位に注油ノズル(23)の取付孔(15e,15e)を設け、下側に位置している取付孔(15e)に取り付けた注油ノズル(23)によって、前記レール板部(15a)と取付板部(15b)との間に形成される空間部を通して引起しチェン(11)の巻回されている下輪体(12)の上昇回転側に注油するように構成したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン等の穀稈引起装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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