説明

コンバイン

【課題】運転座席から離れた所定位置に刈取装置の粉塵を簡単に排出できるものでありながら、吸排塵用の防塵ファンを簡単に組付けることができるようにしたコンバインを提供するものである。
【解決手段】オペレータが座乗する運転座席14を配置した走行機体1と、刈刃22を有する刈取装置3と、脱穀装置5と、脱穀装置5の扱胴26に穀稈を供給するフィードチェン6と、フィードチェン6から排藁を受継いで機外に搬出する排藁チェン34と、刈取装置3の上方を閉塞するダストカバー36とを備えてなるコンバインにおいて、ダストカバー36に関連させて吸排塵用の防塵ファン39が配置され、刈取装置3で発生した粉塵が、防塵ファン39によって、運転座席14から離れた位置に排出されるように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置によって圃場の未刈り穀稈を刈取り、刈取った穀稈を脱穀装置によって脱穀して、穀粒を収集するコンバインに係り、より詳しくは、刈取装置からフィードチェンに穀稈を受継いで脱穀装置に供給するコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、刈取装置によって穀稈を刈取り、刈取装置の刈取り穀稈を脱穀装置に搬送し、脱穀装置によって脱穀して穀粒を収集するように構成している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、従来のコンバインにおいては、刈取装置から脱穀装置に刈取り穀稈を搬送するための四角筒状のフィーダハウスに防塵ファンを備え、防塵ファンの吸排塵用のダクトとしてフィーダハウスを利用し、フィーダハウス内の粉塵を吸引して排出するように構成していた。そのため、フィーダハウスに代えてフィードチェンを設けた構造では、刈取装置(フィードチェンの送り始端側)で発生した粉塵が、運転座席のオペレータ方向に飛散するのを防止できない等の問題がある。そこで、フィードチェンを設けた構造においては、運転座席側から反対方向に送風ファンから送風し、その送風によって刈取装置の上方にエアカーテンを形成し、刈取装置で発生した粉塵が運転座席の方向に飛散するのを防止するように構成していた(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3309135号公報
【特許文献2】実用新案登録番号第2544791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、粉塵が刈取装置から運転座席の方向に飛散するのを防止するだけのエアカーテンでは、風等の影響を受けて、不特定の方向に粉塵が排出される等の問題がある。また、運転座席と刈取装置の間に、送風ファン及び送風ガイド等を設置する必要があり、送風ファン及び送風ガイド等を簡単に組付けることができない等の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、運転座席から離れた所定位置に刈取装置の粉塵を簡単に排出できるものでありながら、吸排塵用の防塵ファンを簡単に組付けることができるようにしたコンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明のコンバインは、オペレータが座乗する運転座席を配置した走行機体と、刈刃を有する刈取装置と、脱穀装置と、前記脱穀装置の扱胴に穀稈を供給するフィードチェンと、前記フィードチェンから排藁を受継いで機外に搬出する排藁チェンと、前記刈取装置の上方を閉塞するダストカバーとを備えてなるコンバインにおいて、前記ダストカバーに関連させて吸排塵用の防塵ファンが配置され、前記刈取装置で発生した粉塵が、前記防塵ファンによって、前記運転座席から離れた位置に排出されるように構成したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記ダストカバーは、前記刈取装置に支持させた前側カバーと、前記脱穀装置に支持させた後側カバーとを有し、前記後側カバー側に前記防塵ファンを組付けたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のコンバインにおいて、前記刈取装置に刈取り穀稈がない状態、または前記刈取装置が停止した状態、または前記フィードチェンが停止した状態の少なくともいずれか1つを検出するセンサを備え、前記センサの検出結果に基づき、前記防塵ファンを自動的に停止可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、オペレータが座乗する運転座席を配置した走行機体と、刈刃を有する刈取装置と、脱穀装置と、前記脱穀装置の扱胴に穀稈を供給するフィードチェンと、前記フィードチェンから排藁を受継いで機外に搬出する排藁チェンと、前記刈取装置の上方を閉塞するダストカバーとを備えてなるコンバインにおいて、前記ダストカバーに関連させて吸排塵用の防塵ファンが配置され、前記刈取装置で発生した粉塵が、前記防塵ファンによって、前記運転座席から離れた位置に排出されるように構成したものであるから、前記防塵ファンの支持部材及び吸排塵用のダクトの一部として前記ダストカバーを利用できる。したがって、前記防塵ファンによって、前記刈取装置の搬送中の刈取り穀稈から発生する粉塵を確実に吸引でき、前記運転座席から離れた所定位置に前記刈取装置の粉塵を簡単に排出できるものである。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、前記ダストカバーは、前記刈取装置に支持させた前側カバーと、前記脱穀装置に支持させた後側カバーとを有し、前記後側カバー側に前記防塵ファンを組付けたものであるから、前記刈取装置の上方で吸排塵に適した位置に吸排塵用の前記防塵ファンを簡単に組付けることができるものである。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、前記防塵ファンを駆動する電動吸排塵モータと、前記刈取装置に刈取り穀稈がない状態、または前記刈取装置が停止した状態、または前記フィードチェンが停止した状態の少なくともいずれか1つを検出するセンサを備え、前記センサの検出結果に基づき、前記吸排塵モータを自動的に停止可能に構成したものであるから、前記走行機体に搭載したバッテリ(エンジンの始動用)の電力が無駄に消費されるのを防止でき、且つ圃場間を移動する路上走行等(収穫作業をしていない状態)において、前記防塵ファンの吸排塵音が騒音源になるのを防止できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1はコンバインの左側面図、図2はコンバインの平面図、図3はコンバインの正面図、図4はコンバインの左側面拡大図である。図1及び図2を参照しながら、コンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の進行方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく進行方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0013】
本実施形態のコンバインは、左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈り取りながら取り込む刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯留する穀粒タンク7とが横並び状に搭載されている。本実施形態では、脱穀装置5が走行機体1の進行方向左側に、穀粒タンク7が走行機体1の進行方向右側に配置されている。走行機体1の後部に旋回可能な排出オーガ8が設けられ、穀粒タンク7の内部の穀粒が、排出オーガ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成されている。刈取装置3の右側方で、穀粒タンク7の前側方には、運転部10が設けられている。
【0014】
運転部10には、オペレータが搭乗するステップ11と、ステップ11上のハンドルコラム12に設けた丸ハンドル形の操縦ハンドル13と、操縦ハンドル13の後方に設けた運転座席14と、運転座席14の左側方のレバーコラム15に設けた主変速レバー16、及び副変速レバー17、及び脱穀クラッチと刈取クラッチとをそれぞれ入り切り操作する作業クラッチレバー18とが、配置されている。運転座席14の下方には、動力源としてのエンジン20が配置されている。
【0015】
刈取装置3の刈取回動支点軸4aに連結した刈取フレーム21の下方には、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置22が設けられている。刈取フレーム21の前方には、圃場の未刈り穀稈を引起す4条分の穀稈引起装置23が配置されている。穀稈引起装置23とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間には、刈刃装置22によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置24が配置されている。なお、穀稈引起装置23の下部前方には、圃場の未刈り穀稈を分草する分草体25が突設されている。エンジン20にて走行クローラ2を駆動して圃場内を移動しながら、刈取装置3を駆動して圃場の未刈り穀稈を連続的に刈取ることになる。
【0016】
脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴26と、扱胴26の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別盤27及び唐箕ファン28と、扱胴26の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴29と、揺動選別盤27の後部の排塵を排出する排塵ファン30とを備えている。なお、扱胴26の回転軸はフィードチェン6による穀稈の搬送方向(換言すると走行機体1の進行方向)に沿って延びている。刈取装置3から穀稈搬送装置24によって搬送された穀稈の株元側はフィードチェン6に受け継がれて挟持搬送される。そして、この穀稈の穂先側が脱穀装置5の扱室内に搬入されて扱胴26にて脱穀されることになる。
【0017】
揺動選別盤27の下方側には、揺動選別盤27にて選別された穀粒(一番物)を取出す一番コンベヤ31と、枝梗付き穀粒等の二番物を取出す二番コンベヤ32とが設けられている。本実施形態の両コンベヤ31,32は、走行機体1の進行方向前側から一番コンベヤ31、二番コンベヤ32の順で、側面視において走行クローラ2,2の後部上方の走行機体1の上面側に横設されている。
【0018】
揺動選別盤27は、扱胴26の下方に張設された受網(図示省略)から漏下した脱穀物が、図示しないフィードパン及びチャフシーブ等によって搖動選別(比重選別)されるように構成している。なお、揺動選別盤27のグレンシーブ(図示省略)から落下した穀粒は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン27からの選別風によって除去され、一番コンベヤ31に落下することになる。
【0019】
一番コンベヤ31のうち脱穀装置5における穀粒タンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部には、上下方向に延びる揚穀筒33が連通接続されている。一番コンベヤ31から取出された穀粒は、揚穀筒33を介して穀粒タンク7に搬入され、穀粒タンク7に収集されることになる。なお、二番コンベヤ32のうち脱穀装置5における穀粒タンク7寄りの一側壁から外向きに突出した終端部は、揚穀筒33と交差して前後方向に延びる還元筒(図示省略)を介して、揺動選別盤27のフィードパンの上面側に連通接続され、二番物を揺動選別盤27のフィードパンの上面側に戻して再選別するように構成している。
【0020】
一方、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン34が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン34に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ35にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出されることになる。
【0021】
次に、図1乃至図4を参照しながら、本発明の第1実施形態の防塵構造について説明する。図1乃至図4に示されるように、刈取装置3の上方を覆うためのダストカバー36は、前側カバー36aと、後側カバー36bとを備えている。前側カバー36aは、穀稈引起装置23の上端部に配置される。引起装置23と脱穀装置5の間で穀稈搬送装置24の前半部の上方が、前側カバー36aによって閉塞されることになる。
【0022】
図2及び図4に示されるように、後側カバー36bの後端側は、脱穀装置5の前面にカバー回動支点軸37回りに回動可能に連結されている。後側カバー36bの前端側は、前側カバー36aの後部の上方に延長されている。即ち、前側カバー36aの後部に後側カバー36bの前端側が重ね合わされている。引起装置23と脱穀装置5の間で穀稈搬送装置24の後半部の上方が、後側カバー36bによって閉塞されることになる。また、後側カバー36bの前端側が刈取装置3に連結されている。刈取装置3が昇降作動した場合、前側カバー36aの昇降作動に追従して、後側カバー36bの前部がカバー回動支点軸37回りに昇降作動し、前側カバー36aの上面と後側カバー36bの下面との間に隙間が形成されるのを防止することになる。
【0023】
図2乃至図4に示されるように、後側カバー36bの下方には、排塵ダクト38が配置されている。後側カバー36bの下面側の排塵ダクト38の吸塵口38aを下向きに開口させている。吸塵口38aに防塵ファン39を配置している。刈取装置3の機外側方に排塵ダクト38を延設し、刈取装置3の左側外側方に下向きに排塵ダクト38の排塵口38bを開口させている。防塵ファン39には、電動ファンモータ40が配置されている。ファンモータ40によって防塵ファン39を駆動し、防塵ファン39によって吸塵口38aから排塵ダクト38内に穀稈搬送装置24の上方の粉塵等を吸込むことになる。
【0024】
図2乃至図4に示されるように、脱穀装置5の左外側に四角筒型の排塵ガイド41を着脱または横移動可能に配置している。上向きに開口した排塵ガイド41の一端側の上部開口41aに排塵ダクト38の排塵口38bを挿入している。脱穀装置5の左外側で脱穀装置5の下部より低い位置に排塵ガイド41の他端側の下部開口41bを下向きに開口している。走行機体1の左外側で圃場に植立した未刈り穀稈と、走行クローラ2の左外側との間に、排塵ダクト38内の粉塵等を下部開口41bから下向きに排出することになる。
【0025】
上記の構成により、排塵ダクト38の一部としてダストカバー36を利用し、収穫作業によって発生する穀稈搬送装置24の上方の粉塵が、防塵ファン39によって排塵ダクト38内に吸入される。排塵ダクト38内の粉塵は、排塵ガイド41を介して、運転座席14から離れた走行機体1の左外側で、圃場の未刈り穀稈と走行クローラ2の左外側との間に排出される。したがって、ダストカバー36の左外側の開放部から放散された穀稈搬送装置24の上方の粉塵が、風等によって、運転座席14に座乗したオペレータの方向に飛散するのを防止できる。また、排塵ダクト38及び排塵ガイド41の設置によって、ダストカバー36の左外側の開放部の開口面積を縮小でき、防塵ファン39の粉塵吸入効率を向上できる。
【0026】
なお、図4に示されるように、排塵ダクト38の排塵口38bの四角形状の外形より、排塵ガイド41の四角形状の上部開口41aを大きく形成し、刈取装置3の昇降作動により、排塵ガイド41に対して排塵ダクト38が移動しても、排塵口38bが上部開口41a内を移動可能に構成し、排塵ダクト38が排塵ガイド41に干渉するのを防止している。
【0027】
次に、図5を参照しながら、本発明の第2実施形態の防塵構造について説明する。図5に示されるように、排塵ダクト38の排塵口38bと、排塵ガイド41の上部開口41aとが、伸縮可能な蛇腹状の合成ゴム製のダクト接続体42を介して連結されている。したがって、排塵口38bと上部開口41aとの隙間から、粉塵が外部に漏れたり、水が上部開口41aから排塵ガイド41内に入るのを、ダクト接続体42によって阻止できる。また、ダストカバー36の左外側の開放部がダクト接続体42によって閉塞され、防塵ファン39の粉塵吸入効率を向上できる一方、排塵ダクト38及び排塵ガイド41を小形で軽量に形成できる。
【0028】
次に、図6を参照しながら、本発明の第3実施形態の防塵構造について説明する。図6に示されるように、脱穀装置5の上面に向けて排塵ダクト38の排塵口38bを開口する。脱穀装置5の上面に排塵ガイド41を配置する。排塵ガイド41の前端側の開口41aに排塵口38bを挿入する。脱穀装置5の後端側で下向きに排塵ガイド41の開口41bを開口する。運転座席14に座乗したオペレータから離れた脱穀装置5の後方に排塵ダクト38内の粉塵を排出できる。また、脱穀装置5の上面板を利用して排塵ガイド41を簡単に設置できる一方、ダストカバー36の左外側の開放部における手扱ぎ作業スペースを確保できる。
【0029】
次に、図7を参照しながら、本発明の第4実施形態の防塵構造について説明する。図7に示されるように、穀稈引起装置23の右側端部の後面側に排塵ガイド41を組付け、運転部10の前面と穀稈引起装置23の後面との間に排塵ガイド41を配置している。運転座席14に座乗したオペレータから離れた運転部10の下方に排塵ダクト38内の粉塵を排出できる。また、排塵ダクト38と同様に、排塵ガイド41も、刈取装置3と一体的に昇降移動できる一方、排塵ダクト38と排塵ガイド41の連結構造または排塵ガイド41の取付け構造等を間単に構成できる。
【0030】
次に、図8を参照しながら、本発明の実施形態の吸排塵制御について説明する。図8は、吸排塵制御手段の機能ブロック図であり、制御プログラムを記憶したROMと各種データを記憶したRAMとを備えたマイクロコンピュータ等の吸排塵コントローラ50は、電源印加用キースイッチ(図示省略)を介してバッテリ(図示省略)に接続される。なお、キースイッチは、エンジン20を始動するためのスタータ等に接続される。
【0031】
上述した穀稈搬送装値24が搬送している途中の穀稈を検出する穀稈センサ51と、刈取装置3の駆動を検出する刈取センサ52と、フィードチェン6の駆動を検出するフィードチェンセンサ53とを、吸排塵コントローラ50に接続している。また、吸排塵コントローラ50には、吸排塵用のファンモータ40を接続している。したがって、穀稈センサ51、または刈取センサ52、またはフィードチェンセンサ53の少なくともいずれか一方の検出結果に基づき、ファンモータ40を作動または停止する自動制御を実行することになる。
【0032】
次に、吸排塵制御のフローチャート(図9)を参照しながら吸排塵制御態様を説明する。上述のように、ファンモータ40を自動制御する。その場合、収穫作業条件に適応して遂行する自動制御である。従って、吸排塵制御では、キースイッチの操作によりエンジンを始動させて吸排塵コントローラ50に電源を印加した場合、穀稈センサ51の出力(穀稈の有無)、及び刈取センサ52の出力(刈取装置3の駆動及び停止)、及びフィードチェンセンサ53の出力(フィードチェン6の駆動及び停止)を吸排塵コントローラ50に読み込む(S1)。この読み込み数値に基づいて、吸排塵コントローラ50の演算部では、ファンモータ40の作動または停止を決定する。
【0033】
穀稈センサ51からの入力により刈取り穀稈が穀稈搬送装置24にあると判断された場合(S2;yes)、ファンモータ40を作動して防塵ファン39を駆動する(S3)。また、刈取センサ52からの入力により刈取装置3が作動中と判断された場合(S4;yes)、ファンモータ40を作動して防塵ファン39を駆動する(S5)。また、フィードチェンセンサ53からの入力によりフィードチェン6が作動中と判断された場合(S6;yes)、ファンモータ40を作動して防塵ファン39を駆動する(S7)。
【0034】
一方、穀稈センサ51からの入力により刈取り穀稈が穀稈搬送装置24にないと判断され(S2;no)、刈取センサ52からの入力により刈取装置3が停止中と判断され(S4;no)、フィードチェンセンサ53からの入力によりフィードチェン6が停止中と判断された場合(S6;no)、ファンモータ40を停止して、防塵ファン39を自動的に停止する(S8)。
【0035】
なお、穀稈センサ51からの入力により刈取り穀稈が穀稈搬送装置24にないと判断された場合(S2;no)、または刈取センサ52からの入力により刈取装置3が停止中と判断された場合(S4;no)、またはフィードチェンセンサ53からの入力によりフィードチェン6が停止中と判断された場合(S6;no)の少なくともいずれか一方の作業条件の判断により、ファンモータ40を停止して、防塵ファン39を自動的に停止してもよい。
【0036】
上記の記載及び図2、図4から明らかなように、オペレータが座乗する運転座席14を配置した走行機体1と、刈刃22を有する刈取装置3と、脱穀装置5と、脱穀装置5の扱胴26に穀稈を供給するフィードチェン6と、フィードチェン6から排藁を受継いで機外に搬出する排藁チェン34と、刈取装置3の上方を閉塞するダストカバー36とを備えてなるコンバインにおいて、ダストカバー36に関連させて吸排塵用の防塵ファン39が配置され、刈取装置3で発生した粉塵が、防塵ファン39によって、運転座席14から離れた位置に排出されるように構成したものであるから、防塵ファン39の支持部材及び吸排塵用のダクト38の一部としてダストカバー36を利用できる。したがって、防塵ファン39によって、刈取装置3の搬送中の刈取り穀稈から発生する粉塵を確実に吸引でき、運転座席14から離れた所定位置に刈取装置3の粉塵を簡単に排出できる。
【0037】
上記の記載及び図2、図4から明らかなように、ダストカバー36は、刈取装置3に支持させた前側カバー36aと、脱穀装置5に支持させた後側カバー36bとを有し、後側カバー36b側に防塵ファン39を組付けたものであるから、刈取装置3の上方で吸排塵に適した位置に吸排塵用の防塵ファン39を簡単に組付けることができる。
【0038】
上記の記載及び図4、図8から明らかなように、防塵ファン39を駆動する電動吸排塵モータとしてのファンモータ40と、刈取装置3に刈取り穀稈がない状態、または刈取装置3が停止した状態、またはフィードチェン6が停止した状態の少なくともいずれか1つを検出するセンサとしての穀稈センサ51または刈取センサ52またはフィードチェンセンサ53を備え、そのセンサ51,52,53の検出結果に基づき、ファンモータ40を自動的に停止可能に構成したものであるから、走行機体1に搭載したバッテリ(エンジン20の始動用)の電力が無駄に消費されるのを防止でき、且つ圃場間を移動する路上走行等(収穫作業をしていない非収穫作業状態)において、防塵ファン39の吸排塵音が騒音源になるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態のコンバインの側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同正面図である。
【図4】同拡大側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態のコンバインの側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態のコンバインの側面図である。
【図7】本発明の第4実施形態のコンバインの平面図である。
【図8】本発明の実施形態の吸排塵制御手段の機能ブロック図である。
【図9】吸排塵制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 走行機体
3 刈取装置
5 脱穀装置
6 フィードチェン
14 運転座席
26 扱胴
34 排藁チェン
36 ダストカバー
36a 前側カバー
36b 後側カバー
39 防塵ファン
40 ファンモータ(吸排塵モータ)
51 穀稈センサ
52 刈取センサ
53 フィードチェンセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが座乗する運転座席を配置した走行機体と、刈刃を有する刈取装置と、脱穀装置と、前記脱穀装置の扱胴に穀稈を供給するフィードチェンと、前記フィードチェンから排藁を受継いで機外に搬出する排藁チェンと、前記刈取装置の上方を閉塞するダストカバーとを備えてなるコンバインにおいて、
前記ダストカバーに関連させて吸排塵用の防塵ファンが配置され、前記刈取装置で発生した粉塵が、前記防塵ファンによって、前記運転座席から離れた位置に排出されるように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記ダストカバーは、前記刈取装置に支持させた前側カバーと、前記脱穀装置に支持させた後側カバーとを有し、
前記後側カバー側に前記防塵ファンを組付けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記刈取装置に刈取り穀稈がない状態、または前記刈取装置が停止した状態、または前記フィードチェンが停止した状態の少なくともいずれか1つを検出するセンサを備え、
前記センサの検出結果に基づき、前記防塵ファンを自動的に停止可能に構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−330222(P2007−330222A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169159(P2006−169159)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】