説明

コンバイン

【課題】扱室より処理胴へ処理物を効率よく搬送することができるコンバインを提供する。
【解決手段】扱室21内に配設した機体3走行方向と平行な回転軸22aを有する扱胴22と、該扱胴22の後部に配置して、扱胴22の回転軸22aと直交する方向に前処理胴軸24a及び後処理胴軸25aを具備し、脱穀後の処理物を再処理する前処理胴24及び後処理胴25と、前記扱胴22、前処理胴24、及び後処理胴25の下方に配置した処理物を揺動選別するための揺動選別装置6と、選別後の二番物に含まれた枝梗を取り除く二番処理装置40とを具備するコンバインにおいて、前記扱室21の穀稈搬送方向終端側と前処理胴24の搬送始端側との間を連通する処理物取出口38を扱室21の後上部に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの技術に関し、特に扱胴の終端側に、該扱胴の回転軸と直交する回転軸を有する処理物を処理するための処理胴を具備するコンバインの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扱室の処理物取出口から排出される処理物を再処理する処理胴を、扱胴の回転軸と直交する回転軸周りに回転する状態に配設するとともに、前記扱胴の下方に、処理物を揺動選別するための揺動選別部と、該揺動選別部によって粗選別された穀粒等に選別風を送風して一番物と二番物とに精選別を行う唐箕ファンと、前記処理胴の後方に、塵埃を吸引して機外に排出する吸引ファンと、を設けたコンバインの技術は公知となっている。
従来技術では、前記扱胴から前記処理胴へ搬送する手段として、扱室の後部下方に設けられた処理物取出口より枝梗付着粒である処理物を処理胴へ搬送するものが公知となっている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、前記揺動選別部及び唐箕ファンによって選別された二番物を処理するための二番処理装置である枝梗処理装置を設けたコンバインは公知となっている。例えば、前記二番処理装置を、扱胴の回転軸と平行する回転軸周りに回転する状態に機体後部に配設するとともに、二番縦搬送コンベアの前部に枝梗処理装置を配置して前方へと送られてきた二番物を処理するものが公知となっている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平6−113658号公報
【特許文献2】特開2004−33154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のように、扱室の後部に設けた処理物取出口より処理物を処理胴へと搬送する場合には、処理物取出口付近にのみ処理物が搬送されることとなり、処理胴での枝梗付着粒が偏ってしまうこととなる。例えば、扱室の後部左下方に処理物取出口が設けられていた場合には、処理胴の搬送方向が右から左方向だった場合、搬送方向終端部のみに処理物が搬送されることとなり、処理胴での処理効率が悪くなっていた。
【0005】
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、扱室より処理胴へ処理物を効率よく搬送することができるコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、扱室内に配設した機体走行方向と平行な回転軸を有する扱胴と、該扱胴の後部に配置して、扱胴の回転軸と直交する方向に処理胴軸を具備し、脱穀後の処理物を再処理する処理胴と、前記扱胴と処理胴の下方に配置した処理物を揺動選別するための揺動選別部と、選別後の二番物に含まれた枝梗を取り除く二番処理装置と、を具備するコンバインにおいて、前記扱室の穀稈搬送方向終端側と処理胴の搬送始端側との間を連通する処理物取出口を扱室の後上部に設けたものである。
【0008】
請求項2においては、前記処理物取出口の上方及び側方に処理胴へ処理物を導くためのガイド部材を設けたものである。
【0009】
請求項3においては、前記ガイド部材を板状部材で構成し、該ガイド部材を角度調節自在に構成したものである。
【0010】
請求項4においては、前記ガイド部材に、前記扱室から排出される処理物を処理胴へ導く案内部材を設けたものである。
【0011】
請求項5においては、前記処理胴を二本の処理胴で構成し、前後平行に設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、処理物を、扱室の穀稈搬送方向終端側から処理物取出口を介して処理胴の搬送始端側へ円滑に搬送することができる。また、処理胴の上方より処理物を落下させて搬送することができるため、落下の際に処理物がばらつき処理胴始端側に搬送されることで、処理胴での処理効率が向上する。また、処理物取出口が扱室の穀稈搬送方向終端側に設けられたことにより、別途処理物を搬送するためのスペースを設ける必要が無くなり機体をコンパクトに構成することが可能となる。
【0014】
請求項2においては、ガイド部材に沿って処理物を扱室から処理物取出口を介して処理胴へ搬送することができるため、効率よく処理胴へ処理物を搬送することができる。
【0015】
請求項3においては、板状のガイド部材に処理物が衝突することにより、処理物の軌道が変化し、処理胴の搬送始端側へ処理物を搬送することができる。また、処理物の量や種類に応じて、ガイド部材の角度を変更することで効率よく処理胴へ処理物を搬送することができる。
【0016】
請求項4においては、処理物を扱胴から処理胴へ受継ぐ際に穀粒の飛散を防止するとともに円滑に送り込むことが可能となる。
【0017】
請求項5においては、扱室から二本の処理胴の中間部へ処理物を搬送することで、一本の処理胴に比べて更に処理効率を向上できる。また、一方の処理胴を排藁搬送経路に臨むように配置することで、ササリ粒の処理も可能となり、収穫効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図、図2はコンバインの平面図、図3は脱穀部及び選別部の側断面図、図4は処理胴及び二番処理装置の後方斜視図、図5は扱室及び扱胴の側面断面図、図6は扱室及び扱胴の背面図、図7は処理胴及び二番処理装置の平面図、図8はガイド板の背面図、図9はガイド板の側面図、図10は扱室の内壁を膨出させた場合の扱室及び扱胴の側面断面図、図11は扱室の内壁を膨出させた場合の扱室及び扱胴の背面図である。なお、本発明では図1の左右方向を自走式脱穀装置の走行方向(以下、走行方向)とし、矢印A方向を走行方向前方(以下、前方)とする。すなわち、図1の左方向を前方、右方向を後方とし、図1の紙面手前側が左方、奥側が右方とする。
【0019】
図1及び図2に示すように、コンバイン100は、クローラ式走行装置2、前記クローラ式走行装置2上に配設される機体3、及び前記機体3の前部に設けられた刈取部4などから構成されている。前記機体3上の左側には、扱胴22、処理胴を構成する前処理胴24(図3参照)及び後処理胴25(図3参照)等が備えられた脱穀部5が配設され、この脱穀部5の下方には、揺動選別部である揺動選別装置6、唐箕ファン19等を備える選別部20が配設されている。機体3上の前部右側には、運転席10及びステアリングハンドル11等を備える運転部9が配設されている。
【0020】
運転部9の下方で機体3上の前部右側には、エンジン12が配設され、運転部9の後方で機体3上の後部右側には、グレンタンク13が配設されている。グレンタンク13の底部には、排出コンベア14(図2参照)が機体3前後方向に配設され、グレンタンク13の後部には、排出オーガ15の縦送りオーガ15aが立設され、グレンタンク13に貯溜された穀粒は、排出コンベア14で機体3後方に搬送され、排出オーガ15先端部の排出口からトラック等へ排出される。
【0021】
フィードチェーン8の後端(搬送方向終端)には、排藁チェーン16が配設されている。
排藁チェーン16後下方には、排藁カッター18、拡散コンベア等を備える排藁処理部17が配設されているとともに、排藁チェーン16の下側には、伸縮可能に構成された排藁ガイド棒(図示省略)が配設され、これにより、排藁を「切断」と「非切断」とに切換可能とする。フィードチェーン8の後端側から排藁チェーン16に受け継がれた排藁は、前記排藁ガイド棒が伸長されて、長い状態のまま機体3の後方に排出されるか、または前記排藁ガイド棒が縮長されて、排藁カッター18にて適宜長さに短く切断された後、機体3の後方に排出される。
【0022】
次に、脱穀部5について、図3及び図4を用いて説明する。
図3に示すように、脱穀部5は、扱室21内に穀稈を機体3後方向に搬送しながら脱穀する扱胴22が機体3前後方向に架設されている。前記扱胴22は回転軸22a(図4参照)周りを回転するように配設されている。また、前記扱胴22の周囲には、扱歯22b・22b・・・が植設されている。前記扱胴22の下方周囲には、受網23が配設され、脱穀された穀粒等を通過させて粗選別する。
【0023】
次に、選別部20について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、選別部20は、前記受網23の下方に配設され、脱穀された穀粒を揺動選別する揺動選別装置6と、この揺動選別装置6の前下方に配設され、揺動選別された穀粒に選別風を送風する唐箕ファン19とから構成される。このように構成することにより、前記選別部20において、揺動選別装置6による揺動選別と、唐箕ファン19による風選別とが行われ、脱穀部5において脱穀された処理物が一番物と二番物と藁屑等に分別される。また、揺動選別装置6の後上方には、唐箕ファン19の選別風に乗ってきた塵埃等を吸引して機外に排出する吸引ファン(横断流ファン)31が配設されている。
【0024】
前記揺動選別装置6は、前部に扱胴22から落下して受網23を通過した穀粒を均平、比重選別するフィードパン32、33が配設されている。前記フィードパン32の後部には、該フィードパン32より送られた穀粒と藁屑、及び受網23を通過した穀粒と藁屑を粗選別するチャフシーブ34が配設されている。チャフシーブ34の下方でフィードパン33の後部には、チャフシーブ34で粗選別された穀粒を唐箕ファン19の選別風とあいまって精選別を行うグレンシーブ35が配設されている。揺動選別装置6の後部には、藁屑をほぐして穀粒を二番コンベア28に落下させて再選別を行い、藁屑を脱穀部5終端の三番口(図示省略)から排出するストローラック36が配設されている。
【0025】
前記唐箕ファン19は、チャフシーブ34で粗選別された穀粒等に選別風を送風して精選別を行うとともに、脱穀部5内の塵埃等を機体3後方に吹き飛ばす。すなわち、唐箕ファン19は、チャフシーブ34及びグレンシーブ35を通過した穀粒等に選別風を送風し、この選別風に逆らって落下する一番物(穀粒)を一番コンベア27へ、比重の小さい軽い二番物を二番コンベア28上に飛ばす。
【0026】
前記一番コンベア27は、揺動選別装置6の下方で唐箕ファン19の後方に機体3左右方向に横設され、一番物を搬送する。一番コンベア27の右端には、一番コンベア27で搬送された一番物をグレンタンク13に搬送する揚穀筒(揚穀コンベア)29が連設されている。
【0027】
前記二番コンベア28は、一番コンベア27の後方に機体3左右方向に横設され、二番穀粒を搬送する。二番コンベア28の右端には、二番コンベア28で搬送された二番穀粒を搬送して後述する二番処理装置40に受け継ぐ二番縦コンベア30が連設されている。
【0028】
前記揚穀コンベア29は、一番コンベア27の右端に連設されて機体3上方に向かって延設されている。すなわち、揚穀コンベア29は、側面視(図3参照)において扱室21後端と前処理胴24との前後間の隙間に立設されている。そして、揚穀コンベア29は前記一番コンベア27の進行方向右側に配置されており、脱穀部5の側壁(右側壁)に近接して配設されている。前記一番コンベア27によって進行方向右側へ搬送された一番物が前記揚穀コンベア29によって上方へ搬送され、前記グレンタンク13に貯溜される。
【0029】
前記二番縦コンベア30は、二番コンベア28の右端に連設されて機体3上方に向かって前方向に傾斜して延設されている。そして、二番縦コンベア30の上端(搬送終端部)には、枝梗のついた二番物を処理するための二番処理装置40と連通するための排出口30aが設けられている。すなわち、前記二番縦コンベア30の上端部に設けられた排出口30aから二番処理装置40へと二番物が搬送される。
また、図4に示すように、前記二番縦コンベア30は、前記揚穀コンベア29と正面視において重複するように、換言すると、二番縦コンベア30は、揚穀コンベア29の真後ろに配設されているため側面視で交差することがなく、脱穀部5の横幅(機体3左右方向)を短縮することができる。
【0030】
次に、処理物取出口38について図4から図6を用いて説明する。
処理物取出口38は前記扱室21の後部を形成する後板37の右側上部に設けられ、前記扱室21と前記前処理胴24及び後処理胴25との間を連通する構成としている。前記処理物取出口38は前記後板37の右側上部を略四角形状に切り欠いて形成されている。
また、前記後板37の中央部には、扱胴22の回転軸22aの後部が回転自在に支持されており、前記後板37の左下部は、脱穀後の排藁が通過できるように切欠37aが設けられている。
また、該処理物取出口38と前処理胴24との間には図5に示すダクト43が設けられている。つまり、該ダクト43の前端は処理物取出口38に連通され、ダクト43の後端は、側面視において前処理胴24と後処理胴25との間に臨むように配設され、平面視においては、前処理胴24の搬送始端側上方に配設されている。このように、処理物取出口38より扱室21内の枝梗付着粒を含む処理物が前処理胴24へと搬送される。
前記前処理胴24の上方で処理物取出口38の周囲には、処理物の飛散を防止して、前記処理物を前処理胴24へ導くためのガイド部材41が設けられている。該ガイド部材41は処理物取出口38内部の処理物を前記前処理胴24の搬送始端側方向へ移動するように導いており、処理物の扱室21後端から前処理胴24への円滑な移動を可能とする。
【0031】
また、図5に示すように、前記扱室21から排出される処理物を処理物取出口38(前処理胴24)へ導く案内部材52を設けている。前記案内部材52は板状に構成された部材であり、前記扱室21の側面及び上面の穀稈搬送方向終端側であって、前記処理物取出口38の前部に所定間隔を開けて複数固設されており、穀稈搬送方向終端側へ向かって、言い換えれば、前記処理物取出口38へ向かって傾斜するように設けられている。このように構成することにより、前記扱室21から排出される処理物が前記案内部材52と衝突しながら前記処理物取出口38へと導かれることとなり、扱室21から前処理胴24へ処理物を受け継ぐ際に飛散を防止するとともに、処理物を円滑に前処理胴24へ搬送することが可能となる。なお、前記案内部材の個数は限定するものではない。
【0032】
また、図8及び図9に示すように、前記ガイド部材41は、前記処理物取出口38の上方を覆う上板部材41aと、右側方を覆う側板部材41bと、処理物を前処理胴24へと導くための案内部材41cとから構成されており、前記上板部材41aと側板部材41bとの間の角度及び前記案内部材41cの傾斜角度を調節することができるように構成している。このように構成することにより、処理物の量や種類に応じて、ガイド部材41の角度を変更することで効率よく前処理胴24へ処理物を搬送することができる。
【0033】
次に、処理胴を構成する前処理胴24及び後処理胴25について図4及び図7を用いて説明する。
前記扱胴22の穀稈搬送方向後方左側には、扱室21より搬送された枝梗付着粒(扱胴22の処理物)の枝梗を分離処理するための処理胴を構成する前処理胴24が、扱胴22の回転軸22aと直交する前処理胴軸24a周りに回転するように配設され、機体3左右方向に架設されている。
また、前記前処理胴24の後上方には、後処理胴25が、前記前処理胴軸24aと平行な後処理胴軸25a周りを回転するように配設され、機体3左右方向に架設されている。前記前処理胴24及び後処理胴25は扱室21から搬送された処理物を前記前処理胴軸24a及び後処理胴軸25aの軸心方向に搬送する状態で再脱穀を行うものであり、その搬送方向は機体3進行方向右側から左側へ向かう方向である。
また、図7に示すように、前記前処理胴24の周囲には処理歯24b・24b・・・が植設されており、後処理胴25の周囲には処理歯25b・25b・・・が植設されており、前記処理歯24bと処理歯25bは交互に対向するように配置されている。すなわち、前記処理物取出口38から前処理胴24と後処理胴25との間に搬送された枝梗付着粒を含む処理物を前記前処理胴24と後処理胴25との間でほぐすことにより枝梗を分離するものである。
また、前記前処理胴24の下方周囲には、脱粒された穀粒等を通過させて選別する処理胴網(濾過網)26aが配設され、濾過網26aからは穀粒のみが落下するように構成されている。また、前記後処理胴25の下方周囲には、脱粒された穀粒等を通過させて選別する処理胴網(濾過網)26bが配設され、濾過網26bからは穀粒のみが落下するように構成されている。
このように構成することにより、扱室21から搬送された枝梗付着粒を含む処理物は、前処理胴24の処理歯24b及び後処理胴25の処理歯25bと接触することにより枝梗が除去されることとなる。
【0034】
また、前記後処理胴25は前記フィードチェーン8の後方に設けられており、前記フィードチェーン8によって排藁が搬送される経路(排藁搬送経路)に臨むように設けられている。前記フィードチェーン8によって搬送された穀稈は扱胴22で脱穀され排藁となり、前記後処理胴25の処理歯25bによって穂先及び株元部分が叩かれることとなる。これにより、前記扱胴22において脱穀しきれなかった排藁に付着したササリ粒等を前記後処理胴25の処理歯25bで叩き落して除去し、前記濾過網26bによって穀粒のみを落下させることが可能となる。なお、後処理胴25は排藁に付着したササリ粒を落とすように作用させるため、前処理胴24の回転数よりも低くなるようにギヤまたはプーリ等の動力伝達装置を構成している。また、後処理胴25の上方はカバーがなく開放されて、後処理胴25の処理歯25bの回転軌跡が排藁搬送経路と交わるように構成している。こうして、排藁の株元近くまで後処理胴25により叩かれるので、ササリ粒を効率よく除去することが可能となる。
【0035】
次に、二番処理装置40について、図4、図6及び図7を用いて説明する。
前記二番処理装置40は、扱胴22の穀稈搬送方向後方で、前記前処理胴24の右側に配設されている。また、前記二番処理装置40は、扱胴22の回転軸22aと直交する回転軸40aを有して機体3左右方向に架設されている。前記二番処理装置40の進行方向右側端部は二番縦コンベア30の上端に設けた排出口30aが接続されている。
また、図3に示すように、前記二番処理装置40は前記揺動選別装置6の上方に配設されている。
また、前記二番処理装置40の回転軸40aは、前記前処理胴24の前処理胴軸24aと側面視において同軸延長上に連結されている。つまり、二番処理装置40は、前記前処理胴24と同軸延長上に設けられている。このように構成することにより、前記前処理胴24の前処理胴軸24aの動力が回転軸40aに伝達されることにより、二番処理装置40が駆動される。
また、前記回転軸40a上には、軸心方向に適宜間隔で処理歯60・60・・・が配設されており、前記回転軸40a及び処理歯60はケーシング42で覆われ、下方は図示せぬ受網で覆われている。前記処理歯60・60・・・は、同じく軸心方向に配設された羽根部61に固設されており、該羽根部61の回動と共に回転軸40a周りに回転するように配設されている。
【0036】
このような構成により、前記二番処理装置40は二番縦コンベア30より搬送された二番物の枝梗を除去する。すなわち、前記二番縦コンベア30より搬送された二番物は、前記二番縦コンベア30の上端に設けられた排出口30aより前記二番処理装置40のケーシング42の後側から投入され、前記回転軸40aが回動することにより前記処理歯60・60・・・が回転軸40aを中心に回動され、前記処理歯60と前記ケーシング42に固設された図示せぬ固定歯とが協動されることで二番物に付着した穀粒の枝梗が除去されるものである。
そして、枝梗が除去された穀粒は、前記二番処理装置40の扱き出し作用によって、前記二番処理装置40下方から機体3前下方へ放出されて、前記揺動選別装置6の前部に再投入される。
【0037】
また、図4及び図7に示すように前記二番処理装置40と前処理胴24との間には仕切り板50が設けられている。すなわち、前記二番処理装置40の左側端部と前処理胴24の右側端部との間に板状部材である仕切り板50が設けられている。該仕切り板50は図7に示すように、前記後板37の後面より扱胴22の略右端位置の後方に突設され、二番処理装置40のケーシング42の空間と前処理胴24の空間とを仕切る構成としている。これによって、二番物が処理物と混ざることを防止し、前記二番処理装置40によって二番物を効率よく枝梗処理することができる。
【0038】
以上より、コンバイン100は、扱室21内に配設した機体3走行方向と平行な回転軸22aを有する扱胴22と、該扱胴22の後部に配置して、扱胴22の回転軸22aと直交する方向に前処理胴軸24a及び後処理胴軸25aを具備し、脱穀後の処理物を再処理する前処理胴24及び後処理胴25と、前記扱胴22、前処理胴24、及び後処理胴25の下方に配置した処理物を揺動選別するための揺動選別装置6と、選別後の二番物に含まれた枝梗を取り除く二番処理装置40とを具備するコンバインにおいて、前記扱室21の穀稈搬送方向終端側と前処理胴24の搬送始端側との間を連通する処理物取出口38を扱室21の後上部に設けたものである。このように構成することにより、処理物を、扱室21から処理物取出口38を介して前処理胴24へ搬送することができる。また、前処理胴24の上方より処理物を落下させて搬送することができるため、落下の際に処理物がばらつき前処理胴24始端側に搬送されることで、前処理胴24及び後処理胴25での処理効率が向上する。また、処理物取出口38が扱室21の穀稈搬送方向終端側に設けられたことにより、別途搬送するためのスペースを設ける必要が無くなり機体3をコンパクトに構成することが可能となる。
【0039】
また、前記処理物取出口38の上方及び側方に前処理胴24へ処理物を導くためのガイド部材41を設けたものである。このように構成することにより、ガイド部材41に沿って処理物を扱室21から処理物取出口38を介して前処理胴24へ搬送することができるため、効率よく前処理胴24へ処理物を搬送することができる。
【0040】
また、前記ガイド部材41を板状部材で構成し、角度調節自在に構成したものである。このように構成することにより、板状のガイド部材41に処理物が衝突することにより、処理物の軌道が変化し、前処理胴24の搬送始端側へ処理物を搬送することができる。また、処理物の量や種類に応じて、ガイド部材41の角度を変更することで効率よく前処理胴24へ処理物を搬送することができる。
【0041】
また、別の実施形態として、前記処理物取出口38と連通する扱室21の内壁を外側へ膨出させることも可能である。
図10に示すように、扱室21の後上方を形成する内壁を外側(側面視上方)へと膨出させる。これにより、図11に示すように、前記処理物取出口38へと連通する扱室21の容積が大きくなるため、前記処理物取出口38を大きく構成することができ、処理物をより多く処理物取出口38へと導くことが可能となる。
【0042】
また、前記前処理胴24及び後処理胴25を前後平行に設けたものである。このように構成することにより、扱室21から前処理胴24と後処理胴25との中間部へ処理物を搬送することで、一本の処理胴に比べて更に処理効率を向上できる。また、後処理胴25を排藁搬送経路に臨むように配置することで、ササリ粒の処理も可能となり、収穫効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】脱穀部及び選別部の側断面図。
【図4】処理胴及び二番処理装置の後方斜視図。
【図5】扱室及び扱胴の側面断面図。
【図6】扱室及び扱胴の背面図。
【図7】処理胴及び二番処理装置の平面図。
【図8】ガイド板の背面図。
【図9】ガイド板の側面図。
【図10】扱室の内壁を膨出させた場合の扱室及び扱胴の側面断面図。
【図11】扱室の内壁を膨出させた場合の扱室及び扱胴の背面図。
【符号の説明】
【0044】
2 クローラ式走行装置
3 機体
6 揺動選別装置
21 扱室
22 扱胴
22a 回転軸
24 前処理胴
24a 前処理胴軸
25 後処理胴
25a 処理胴軸
30 二番縦コンベア
40 二番処理装置
40a 回転軸
50 仕切り板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室内に配設した機体走行方向と平行な回転軸を有する扱胴と、該扱胴の後部に配置して、扱胴の回転軸と直交する方向に処理胴軸を具備し、脱穀後の処理物を再処理する処理胴と、前記扱胴と処理胴の下方に配置した処理物を揺動選別するための揺動選別部と、選別後の二番物に含まれた枝梗を取り除く二番処理装置とを具備するコンバインにおいて、前記扱室の穀稈搬送方向終端側と処理胴の搬送始端側との間を連通する処理物取出口を扱室の後上部に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記処理物取出口の上方及び側方に処理胴へ処理物を導くためのガイド部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記ガイド部材を板状部材で構成し、該ガイド部材を角度調節自在に構成したことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記ガイド部材に、前記扱室から排出される処理物を処理胴へ導く案内部材を設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記処理胴を二本の処理胴で構成し、前後平行に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−219399(P2009−219399A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66268(P2008−66268)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】