説明

コンバイン

【課題】扱胴での穀稈処理の有無に応じて、二番還元コンベアの駆動および唐箕の選別風を制御して、脱穀部および選別部での二番穀粒の安定処理および処理効率を向上させたコンバインを提供する。
【解決手段】二番還元コンベア16は、この二番還元コンベア16の駆動を制御する駆動制御手段sを備えるとともに、二番物の流量を検出する二番物検出器41を備え、駆動制御手段sと、風量調節手段wとを、制御部29を介して二番物検出器41と、排稈検出器31とに連係する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱胴での排稈検出器による排稈有無の検出情報に基づいて、唐箕の風量を調節し、選別部での穀粒の飛散ロスを防止するコンバインに関し、より詳細には、二番還元コンベアは、この二番還元コンベアの駆動を制御する駆動制御手段を備えるとともに、二番物の流量を検出する二番物検出器を備え、駆動制御手段と、風量調節手段とを、制御部を介して二番物検出器と、排稈検出器とに連係するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の普通コンバインには、機体前端部の刈取部で刈り取った穀稈が脱穀部で脱穀され、該脱穀部の下方に配置される選別部のチャフシーブを介してグレンシーブに落下した穀粒や未熟穀粒、藁屑などの混合物を唐箕の風力により風選し、重量が大きく下方に落下した穀粒を一番物として揚穀コンベアなどでグレンタンクへ搬送するとともに、比較的重量が軽く後方に吹き飛ばされた、穀粒に未熟穀粒や藁屑などが混ざった未処理物は、二番物として二番還元コンベアでグレンシーブ(扱胴のものもある)に還元し、再処理する際、グレンパン上およびグレンシーブ上に処理物の処理量を検出するセンサを設け、グレンパン上の処理物の量がグレンシーブ上の処理物の量よりも多くなったとき、二番還元コンベアで搬送される二番物の還元先をグレンシーブからグレンパンに切り換えて、選別部での選別性能を向上させる(例えば、特許文献1)ものや、刈取部の昇降センサーに連係した排稈検出体を扱胴内に設けて、チャフシーブの角度と唐箕シャッターの開閉を調整し、扱胴での穀稈処理の有無に応じて、チャフシーブから漏下する穀粒の唐箕による選別風に伴う飛散を防止するものもある。(例えば、特許文献1および2)
【0003】
【特許文献1】特開平05−252822号公報
【特許文献2】特開2004−65246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなコンバインでは、例えば、回行時などに穀稈の刈取りが一時停止されることで、刈り取った新たな穀稈が扱胴内に供給されず、このような、穀稈が処理されていない扱胴において、既に処理中の二番物が扱胴内に還元されてきた場合、クッションの役目となる穀稈が扱胴内に無いために、二番物が扱胴の扱歯などに直接接触する機会が多くなり、二番物が損傷してしまうという問題があった。また、このように扱胴内において、還元された少量の二番物のみを処理した際、チャフシーブやグレンシーブ上に漏下した穀粒が少量であるため、常時一定の風力を有する唐箕の選別風により飛散されてしまうという問題もあった。
そこで、この発明の目的は、扱胴での穀稈処理の有無に応じて、二番還元コンベアの駆動および唐箕の選別風を制御して、脱穀部および選別部での二番穀粒の安定処理および処理効率を向上させたコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明は、穀稈を刈り取る刈取部と、該刈取部で刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、該脱穀部で脱穀した穀粒を選別する選別部とを備え、前記選別部は、扱胴を内臓する前記脱穀部の下方に配設されるとともに、グレンシーブを通過して落下する穀粒を含む混合物を、唐箕の風力により一番物および二番物に風選し、前記一番物をグレンタンクに搬送する一番コンベアと、前記二番物を前記扱胴に還元する二番還元コンベアとを備え、さらに前記扱胴は、排稈口近傍に排稈検出器を備えるとともに、前記唐箕は、風量調節手段を備え、前記排稈検出器による排稈有無の検出情報に基づいて、前記唐箕の風量を調節し、前記選別部での穀粒の飛散ロスを防止するコンバインにおいて、前記二番還元コンベアは、該二番還元コンベアの駆動を制御する駆動制御手段を備えるとともに、前記二番物の流量を検出する二番物検出器を備え、前記駆動制御手段と、前記風量調節手段とを、制御部を介して前記二番物検出器と、前記排稈検出器とに連係することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記二番物検出器は、リミットスイッチであることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記駆動制御手段は、テンションクラッチまたは爪クラッチであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、穀稈を刈り取る刈取部と、この刈取部で刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、この脱穀部で脱穀した穀粒を選別する選別部とを備え、選別部は、扱胴を内臓する脱穀部の下方に配設されるとともに、グレンシーブを通過して落下する穀粒を含む混合物を、唐箕の風力により一番物および二番物に風選し、一番物をグレンタンクに搬送する一番コンベアと、二番物を扱胴に還元する二番還元コンベアとを備え、さらに扱胴は、排稈口近傍に排稈検出器を備えるとともに、唐箕は、風量調節手段を備え、排稈検出器による排稈有無の検出情報に基づいて、唐箕の風量を調節し、選別部での穀粒の飛散ロスを防止するコンバインにおいて、二番還元コンベアは、この二番還元コンベアの駆動を制御する駆動制御手段を備えるとともに、二番物の流量を検出する二番物検出器を備え、駆動制御手段と、風量調節手段とを、制御部を介して二番物検出器と、排稈検出器とに連係するので、扱胴への刈取り穀稈の供給が停止した際、二番還元コンベアの駆動を停止させて二番物の扱胴への還元を中断させて、刈取り穀稈を有さない(少ない)扱胴での二番物の損傷を防止するとともに、唐箕シャッターを閉じて選別部への選別風を遮断することにより、既に扱胴に還元された二番物や残稈などの処理に伴い、チャフシーブやグレンシーブ上に漏下した少量の穀粒を、唐箕から一定の強い選別風による飛散から防止することができる。従って、脱穀部および選別部での二番穀粒の安定処理および処理効率を向上させたコンバインを提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、二番物検出器は、リミットスイッチであるので、簡単な構成で、二番樋から二番還元コンベアへ流下する二番物の流量を検出することができる。従って、脱穀部および選別部での二番穀粒の安定処理および処理効率を安価に向上可能としたコンバインを提供することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、駆動制御手段は、テンションクラッチまたは爪クラッチであるので、複雑な機構を必要とせず、簡単な構成で二番還元コンベアの駆動を制御することができる。従って、脱穀部および選別部での二番穀粒の安定処理および処理効率を安価に向上可能としたコンバインを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1はこの発明の一例としての普通型コンバインの左側面模式図、図2は普通型コンバインの平面模式図、図3は脱穀部および選別部の左断面側面図、図4は排稈検出器拡大して示した扱胴後部の左側面図である。
【0012】
この例のコンバイン1は、図1〜2に示すように、クローラ式走行装置2上に載置された車体フレーム3の前部に、ミッションケース4およびエンジンルーム5、キャビン6が配設される。また、車体フレーム3の中央から後部上に揺動選別装置7や唐箕8、チャフシーブ9、グレンシーブ10などからなる選別部11が載置され、この選別部11上に受網12およびスクリュー式の扱胴13などからなる脱穀部14が配設される。
【0013】
また、揺動選別装置7下方の前後途中位置には、左右方向に唐箕8に近い側の二番還元コンベア16と、唐箕8から遠い側の一番コンベア15とが横設される。そして、一番コンベア15は、不図示の揚穀コンベアを介してキャビン5の後部に配設されるグレンタンク17内に連通される。
【0014】
次いで、グレンタンク17上には、排出オーガ18が突出される。また、扱胴13の前端には、フィーダコンベア19を内設したフィーダハウス20が、扱胴13に連通されるとともに、車体フレーム2の前端との間に設けられた油圧シリンダー21によって昇降自在に設けられる。
【0015】
次いで、フィーダハウス20の前部に突設されるプラットフォーム22内に横設されるプラットフォームオーガ23や、プラットフォーム22の前部に横設される刈刃24などを有する刈取部27と、機体前端に突出される分草板25上に回転速度を可変可能とするリール26とが機体前部に配設される。
【0016】
このような構成により、リール26の回転によってリール26内に掻き込まれ、株元を刈刃24で刈り取られた穀稈は、フィーダコンベア19などで脱穀部14を介して、この脱穀部14後端に配設された、それぞれ図示しないカッター,結束機などで排藁を切断して藁片にするなど処理した後、拡散しながら機外に均一放出し、或いは切断せずに放出される。
【0017】
一方、図3に示すように、扱胴13において穀稈から脱穀され、下方に漏下された穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、チャフシーブ9上に漏下される過程で唐箕8により発生する選別部11の前方から後方への気流により、細かい藁屑の一部が後方へ吹き飛ばされる。
【0018】
そして、チャフシーブ9上に漏下した穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑等の混合物は、揺動選別装置7の揺動により、後方に搬送される、このとき、穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等はチャフシーブ9の開口部より下方に落下し、大きい藁屑はチャフシーブ9の後方まで搬送され、不図示のストローラックを経て機外に排出される。
【0019】
また、チャフシーブ9の開口部より下方に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、グレンシーブ10上に漏下される。このときも唐箕8からの選別風により、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて分離される。
【0020】
そして、グレンシーブ10上に漏下された穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等のうち、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑等は、グレンシーブ10を通過して下方に落下する。このとき、重量が大きい穀粒(一番物)は、一番物回収部15aを介して一番コンベア15から前記揚穀コンベアを経て、グレンタンク17内に搬送され、排出オーガ18を介して機外に放出される。
【0021】
一方、重量が小さい未熟穀粒や細かい藁屑の一部や穂切り粒や穀粒等が混じった未処理粒(二番物)は、唐箕8からの選別風により後方に吹き飛ばされ、二番物樋16aから不図示の二番コンベアを介して二番還元コンベア16を経て、扱胴13に還元され、新たに搬送されてきた刈取り穀稈とともに処理された後、チャフシーブ9上に再投入される。
【0022】
また、排稈口30の近傍には、排稈検出器31が設置される。この排稈検出器31は、検出方法や設置方法を限定するものではないが、例えば、図4に示すように、扱室の後壁13aと、扱胴13後部に配設したステー13bとの間に、支軸31aを軸線廻りに回動自在に設け、この支軸31aに排稈検出体31bが軸線廻りに左右回動自在に取付けられる。
【0023】
そして、支軸31aの後端部に、スイッチ作用片31cを設け、このスイッチ作用片31cの下端部と、後壁13aに取り付けた不図示の取付体との間に、排稈検出体31bを排稈検出位置に保持するための弾性体31dを設け、後壁13aの後面に、不図示の支持体を介して検出スイッチ31eを取付け、この検出スイッチ31e近傍の排稈検出位置に、スイッチ作用片31cを、弾性体31dにより設置する。なお、この排稈検出器31の検出スイッチ31eは、後述する制御部29としてのコントローラcを介して唐箕28の風量調節手段wとしての、唐箕シャッタ28aに接続される。
【0024】
これにより、排稈口30を通過する排稈の有無により、排稈が通過(刈り取った穀稈が扱胴13で脱穀処理されているとき)する際は、排稈が、排稈検出体31bを外方に押すことで、コントローラcは、スイッチ作用片31cの離隔を検出した検出スイッチ31eの情報に基づいて、唐箕シャッタ28aを開き、選別部11に唐箕28の選別風を流入させ、選別処理を行う。
【0025】
また、排稈口30を排稈が通過しない(刈り取った穀稈が扱胴13で脱穀処理されていないとき)場合は、排稈検出体31bが弾性体31dの付勢により内方に戻ることで、コントローラcは、スイッチ作用片31cの接触を検出した検出スイッチ31eの情報に基づいて、唐箕シャッタ28aを閉じるなどして、選別部11に流入する唐箕28の風量を調節し、上記のような選別部11での穀粒処理量が少ないことによる穀粒の飛散ロスが防止される。なお、上述した排稈検出器31や、唐箕シャッタ28aの構成は周知技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
以上の構成により、刈取部で刈取った稲、麦、豆類など穀物を脱穀部に全量投入して脱穀処理および選別部で選別処理される。なお、上述したコンバイン1の脱穀部14や選別部11の駆動系など詳細な構成は、例えば、特開2006−180887他に記載される周知技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0027】
次に、排稈検出器に連係させた二番物検出器を、唐箕シャッターおよび二番還元コンベアに接続して、唐箕からの選別風量および二番還元コンベアの駆動を制御する、その具体的構成を説明する。図5は二番物検出器を示す二番樋の左側面模式図、図6は二番物の流量増加による二番検出器の作動を示す二番樋の左側面模式図、図7は二番還元コンベアの駆動制御手段の一例として二番還元コンベアに取付けたテンションクラッチの平面図、図8は二番還元コンベアの駆動軸に取付けたテンションクラッチを後方から見た斜視図、図9は排稈検出器と二番物検出器とから唐箕シャッタおよび二番還元コンベアの作動を制御するブロック図、図10は制御手段の別の例として爪クラッチを備える二番還元コンベアを後方から見た斜視図である。
【0028】
まず、図5に示すように、二番樋16aには、二番物検出器41が設置される。この二番物検出器41は、例えば、二番樋16a上の下部近傍に、左右方向に取付けた回動支軸42と、この回動支軸42に一端部を取付けるとともに、他端部を上下方向に回動自在とした二番物検出体43と、これら二番物検出体43および二番樋16aの間に設けられたスプリングなどの弾性体44と、二番物検出体43の他端部の下部に取付けたスイッチ作用片45と、二番樋16a上であって、二番物検出体43の他端部の下降によるスイッチ作用片45との接触位置に取付けた検出スイッチ46とから構成される。
【0029】
このように、二番物検出器41は、スイッチ作用片45と、検出スイッチ46とのリミットスイッチからなり、検出スイッチ46は、コントローラcに接続される。従って、コントローラcは、排稈検出器31のほか、二番物検出器41にも接続されている。
【0030】
次に、二番還元コンベア16の下端部近傍には、二番還元コンベア16の駆動制御手段sとしての、テンションクラッチs1が取付けられる。このテンションクラッチs1は、図7に示すように、駆動プーリ51と従動プーリ52との間を巻回するベルト53と、このベルト53に接触または離間するテンションプーリ54を備えるテンションアーム55と、一端部にテンションアーム55が接続されるとともに他端部はバネなどの弾性体56を介してロッド57が接続された連結アーム58とから構成される。
【0031】
そして、ロッド57は、図8に示すように、制御手段sを作動させるためのモータmなどを介してコントローラcに接続される。なお、駆動プーリ51は、二番還元コンベア16の下端部近傍に有する、図10に示すような二番還元コンベア16を駆動するための駆動モータMのモータ軸M´などに連結される。
【0032】
さらに、従動プーリ52の中心部には、図10に示すような二番還元コンベア16の螺旋16bを回転駆動させる螺旋16bの駆動軸16cの一端部が嵌設される。
【0033】
ここで、コンバイン1の作業に伴う回行時などに、穀稈の刈取りが中断され、扱胴13に新たな刈取り穀稈が搬送されない状態で、それまでに刈り取った穀稈の脱穀処理により選別された二番物の還元量が増加している場合、まず、排稈検出器31は、検出スイッチ31eが検出した、上述したような扱胴13の排稈口30を排稈が通過していない情報を、コントローラcに伝達する。
【0034】
次いで、二番樋16a上を二番還元コンベア16へ向けて流下する二番物の流量増加に伴い、二番物検出器41における二番物検出体43の他端部が、多量に流下する二番物の重量により、弾性体44の付勢に抗して下方に回動する。
【0035】
このとき、スイッチ作用片45が、検出スイッチ46に接触して、検出スイッチ46がオンになることで、二番物検出器41は、この検出スイッチ46が検出した、二番物の流量増加の情報を、コントローラcに伝達する。
【0036】
次いで、コントローラcは、上述した、排稈検出器31の検出による扱胴13に新たな刈取り穀稈が搬送されない状態、および二番物検出器41の検出による二番物の還元量が増加した状態の両検出情報を両検出器31,41から揃って得たところで、上述したように唐箕28の唐箕シャッタ28aを閉じるとともに、二番還元コンベア16のテンションクラッチs1を作動させて二番還元コンベア16を駆動制御する。
【0037】
このとき、コントローラcは、モータmを作動させて、テンションクラッチs1のロッド57を、テンションクラッチs1とは反対側に引っ張るように摺動させる。この動作により連結アーム58が、回動支点pを中心に、図7の平面視で反時計回りに回動し、テンションアーム55のテンションプーリ54が、接触していたベルト53から離間するため、ベルト53の緊張が開放され、駆動プーリ51から従動プーリ52への動力伝達が遮断される。その結果、従動プーリ52に嵌設された二番還元コンベア16における駆動軸16cの回転駆動が停止するため、二番還元コンベア16の駆動が停止される。
【0038】
このような構成により、扱胴13への刈取り穀稈の供給が停止した際、二番還元コンベア16の駆動を停止させて、二番物の扱胴13への還元を中断させることで、刈取り穀稈を有さない(少ない)扱胴13での二番物の損傷を防止するとともに、唐箕シャッタ28aを閉じて、選別部11への唐箕28からの選別風を遮断することにより、既に扱胴13に還元された二番物や、残稈などの処理に伴い、チャフシーブ9やグレンシーブ10上に漏下した少ない量の穀粒を、唐箕28から発生する一定の強い選別風による飛散から防止することができる。
【0039】
また、二番物検出器41は、リミットスイッチであるため、簡単な構成で、二番樋16aから二番還元コンベア16へ流下する二番物の流量を検出することができる。さらには、駆動制御手段sは、テンションクラッチs1であるため、複雑な機構を必要とせず、簡単な構成で二番還元コンベア16の駆動を制御することができる。
【0040】
なお、上記において、コントローラcは、排稈検出器31の検出情報により、扱胴13への刈取り穀稈の供給は停止しているが、二番物検出器41の検出情報により、二番樋16aでの二番物の流量が少ないために二番物検出体43の他端部が下方へ回動されず、スイッチ作用片45が、検出スイッチ46から離隔した、図5に示す検出スイッチ46がオフの状態である、二番物の流量(還元量)が少ないことを検出した場合には、扱胴13へ還元される二番物の量が僅かであるかまたは無いため、次の穀稈の刈取りに備えて、唐箕シャッタ28aを開いた状態で維持するとともに、二番還元コンベア16を駆動させてもよい。
【0041】
この場合、コントローラcは、モータmを作動させて、テンションクラッチs1のロッド57を、テンションクラッチs1側に摺動させる。この動作によりテンションアーム55が回動支点pを中心に、図7に示す平面視で時計回りに回動し、テンションアーム55のテンションプーリ54が、ベルト53に接触してベルト53を押圧するため、ベルト53が緊張し、駆動プーリ51から従動プーリ52へ動力が伝達される。その結果、従動プーリ52に嵌設された二番還元コンベア16における駆動軸16cが回転するため、二番還元コンベア16が駆動される。
【0042】
また、刈取部27での穀稈の刈取を開始した場合などで、排稈検出器31の検出スイッチ31eが、上述したように扱胴13の排稈口30を排稈が通過していることを検出した情報を、コントローラcに伝達した際、コントローラcは、二番物検出器41の検出情報による二番物の還元量の多少を問わず、唐箕シャッタ28aを開放するとともに、二番還元コンベア16を駆動させる。
【0043】
これは、刈取部27から扱胴13に供給される新たな刈取り穀稈の脱穀処理により、二番物が扱胴13に還元されても扱胴13に穀稈を有するため、穀稈がクッションの役割となり、還元された二番物が扱胴13に多く接触して損傷することなく、さらには、供給される新たな刈取り穀稈により一番物、二番物の生成量がある程度確保されているため、唐箕28の選別風の風量を調節する必要がないことから、上記の構成とすることができる。
【0044】
なお、制御手段sは、テンションクラッチs1に代えて爪クラッチs2を用いてもよい。この場合、例えば図10に示すように、二番還元コンベア16の駆動軸16cの下端部と、駆動モータMの、上下方向摺動可能に設けられたモータ軸M´上端とのそれぞれにリング状に形成した従動側盤59と、駆動側盤60とを対向させて、それらを同軸上に配置する。
【0045】
また、従動側盤59および駆動側盤60の対向するそれぞれの周縁に、凹凸形状部61が形成されるとともに、一方の凸部(爪部)62が他方の凹部63に嵌合可能とされる位置に、この凹凸形状部61が配置される。そして、コントローラcに、駆動側盤60に備えられる駆動モータMを接続する。
【0046】
このため、上述したように、コントローラcは、排稈検出器31の検出による扱胴13に新たな刈取り穀稈が搬送されない状態、および二番物検出器41の検出による二番物の還元量が増加した状態の両検出情報を、両検出器31,41から揃って得たところで、駆動モータMを二番還元コンベア16側から離れる方向に摺動させて、凹凸形状部61を介して嵌合されている従動側盤59と駆動側盤60とを離間させ、二番還元コンベア16の駆動を停止させる。
【0047】
また、コントローラcは、排稈検出器31の検出による扱胴13に新たな刈取り穀稈が搬送されない状態であるとともに、二番物検出器41の検出により二番物の還元量が少ない状態、もしくは排稈検出器31の検出による扱胴13に新たな刈取り穀稈が搬送されている状態になれば、駆動モータMを二番コンベア16側に摺動させて、従動側盤59と駆動側盤60とを凹凸形状部61を介して嵌合させ、二番還元コンベア16を駆動させる。このような構成により爪クラッチs2は、上述した駆動制御手段sとしてのテンションクラッチs1の場合と同様の効果が得られる。
【0048】
以上詳述したように、この例のコンバイン1は、穀稈を刈り取る刈取部27と、この刈取部27で刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部14と、この脱穀部14で脱穀した穀粒を選別する選別部11とを備え、選別部11は、扱胴13を内臓する脱穀部14の下方に配設されるとともに、グレンシーブ10を通過して落下する穀粒を含む混合物を、唐箕28の風力により一番物および二番物に風選し、一番物をグレンタンク17に搬送する一番コンベア15と、二番物を扱胴13に還元する二番還元コンベア16とを備え、さらに扱胴13は、排稈口30近傍に排稈検出器31を備えるとともに、唐箕28は、風量調節手段wを備え、排稈検出器31による排稈有無の検出情報に基づいて、唐箕28の風量を調節し、選別部11での穀粒の飛散ロスを防止し、二番還元コンベア16は、この二番還元コンベア16の駆動を制御する駆動制御手段sを備えるとともに、二番物の流量を検出する二番物検出器41を備え、駆動制御手段sと、風量調節手段wとを、制御部29を介して二番物検出器41と、排稈検出器31とに連係するものである。
【0049】
加えて、二番物検出器41は、リミットスイッチであるとともに、駆動制御手段sは、テンションクラッチs1または爪クラッチs2である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一例としての普通型コンバインの左側面模式図である。
【図2】普通型コンバインの平面模式図である。
【図3】脱穀部および選別部の左断面側面図である。
【図4】排稈検出器拡大して示した扱胴後部の左側面図である。
【図5】二番物検出器を示す二番樋の左側面模式図である。
【図6】二番物の流量増加による二番検出器の作動を示す二番樋の左側面模式図である。
【図7】二番還元コンベアの駆動制御手段の一例として二番還元コンベアに取付けたテンションクラッチの平面図である。
【図8】二番還元コンベアの駆動軸に取付けたテンションクラッチを後方から見た斜視図である。
【図9】排稈検出器と二番物検出器とから唐箕シャッタおよび二番還元コンベアの作動を制御するブロック図である。
【図10】制御手段の別の例として爪クラッチを備える二番還元コンベアを後方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
11 選別部
13 扱胴
14 脱穀部
16 二番還元コンベア
16a 二番樋
16c 駆動軸
28 唐箕
28a 唐箕シャッタ
29 制御部
31 排稈検出器
31e,46 検出スイッチ
41 二番物検出器
42 回動支軸
43 二番物検出体
44,56 弾性体
45 スイッチ作用片
51 駆動プーリ
52 従動プーリ
53 ベルト
54 テンションプーリ
55 テンションアーム
57 ロッド
58 連結アーム
59 従動側盤
60 駆動側盤
61 凹凸形状部
62 凸部(爪部)
63 凹部
c コントローラ
M,m モータ
M´ モータ軸
p 回動支点
s 駆動制御手段
s1 テンションクラッチ
s2 爪クラッチ
w 風量調節手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を刈り取る刈取部と、該刈取部で刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、該脱穀部で脱穀した穀粒を選別する選別部とを備え、
前記選別部は、扱胴を内臓する前記脱穀部の下方に配設されるとともに、グレンシーブを通過して落下する穀粒を含む混合物を、唐箕の風力により一番物および二番物に風選し、
前記一番物をグレンタンクに搬送する一番コンベアと、前記二番物を前記扱胴に還元する二番還元コンベアとを備え、
さらに前記扱胴は、排稈口近傍に排稈検出器を備えるとともに、前記唐箕は、風量調節手段を備え、
前記排稈検出器による排稈有無の検出情報に基づいて、前記唐箕の風量を調節し、前記選別部での穀粒の飛散ロスを防止するコンバインにおいて、
前記二番還元コンベアは、該二番還元コンベアの駆動を制御する駆動制御手段を備えるとともに、前記二番物の流量を検出する二番物検出器を備え、前記駆動制御手段と、前記風量調節手段とを、制御部を介して前記二番物検出器と、前記排稈検出器とに連係することを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記二番物検出器は、リミットスイッチであることを特徴とする、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記駆動制御手段は、テンションクラッチまたは爪クラッチであることを特徴とする、請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−291086(P2009−291086A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145759(P2008−145759)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】