コンバイン
【課題】少ない排藁量であっても引継ぎ不良による不具合を防止し、多量の排藁が搬送された場合でも詰まりの発生を未然に防止する。
【解決手段】クローラ(1)を備えた車体(2)の前部に刈取部(3)を設け、該車体(2)の後部に脱穀部(4)を設け、該脱穀部(4)の扱室(8)の後方に脱穀後の排藁を挟持搬送する排藁搬送装置(14)を設け、該排藁搬送装置(14)を、チェンレール(15)に沿って券回する排藁搬送チェン(16)と該排藁搬送チェン(16)の下側に対設する挟持杆(17)とから構成し、前記チェンレール(15)の中間部位に設けたチェン駆動用スプロケット(27)の軸芯(P)を支点としてチェンレール(15)の始端側が上下揺動する構成とし、該チェンレール(15)の始端側を挟持杆(17)側に付勢するスプリング(31)を設ける。
【解決手段】クローラ(1)を備えた車体(2)の前部に刈取部(3)を設け、該車体(2)の後部に脱穀部(4)を設け、該脱穀部(4)の扱室(8)の後方に脱穀後の排藁を挟持搬送する排藁搬送装置(14)を設け、該排藁搬送装置(14)を、チェンレール(15)に沿って券回する排藁搬送チェン(16)と該排藁搬送チェン(16)の下側に対設する挟持杆(17)とから構成し、前記チェンレール(15)の中間部位に設けたチェン駆動用スプロケット(27)の軸芯(P)を支点としてチェンレール(15)の始端側が上下揺動する構成とし、該チェンレール(15)の始端側を挟持杆(17)側に付勢するスプリング(31)を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に示されているように、脱穀後の排藁を搬送する排藁搬送装置として、この排藁搬送チェンの搬送始端側が終端側を回動支点として下側に対設する挟持杆に対し上下回動するように設けた構成のものが開示されている。
【特許文献1】特開2004−159543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来構成のものでは、搬送中の排藁が詰まったりすると、排藁搬送チェンを適宜に手動で上下回動操作して、排藁搬送チェンに巻き付いた排藁、藁屑、雑草などを除去したりするものであり、そして、その除去作業が終ると、チェンの位置決め装置や、ロック装置等によって排藁搬送チェンを所定位置に復元させてロックする操作を必要とし、構成の複雑化並びに上下動操作を煩わしくする問題があった。
【0004】
本発明は、排藁搬送チェンの始端側を排藁の搬送量に応じて自動的に上下動させることによって排藁の詰まり発生を防止し、上記問題点を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、クローラ(1)を備えた車体(2)の前部に刈取部(3)を設け、該車体(2)の後部に脱穀部(4)を設け、該脱穀部(4)の扱室(8)の後方に脱穀後の排藁を挟持搬送する排藁搬送装置(14)を設け、該排藁搬送装置(14)を、チェンレール(15)に沿って券回する排藁搬送チェン(16)と該排藁搬送チェン(16)の下側に対設する挟持杆(17)とから構成し、前記チェンレール(15)の中間部位に設けたチェン駆動用スプロケット(27)の軸芯(P)を支点としてチェンレール(15)の始端側が上下揺動する構成とし、該チェンレール(15)の始端側を挟持杆(17)側に付勢するスプリング(31)を設けたことを特徴とするコンバインとする。
【0006】
脱穀後の排藁は、フィードチェン10の終端から排藁搬送装置14の始端に引き継がれる。引継ぎ後の排藁は下側の挟持杆17と上側の排藁搬送チェン16とによって挟持搬送され、終端から排藁カッターCに送り込まれて切断処理される。
【0007】
排藁搬送装置14の始端に引き継がれる排藁は、その搬送量が多くなると、下側の挟持杆17は下動し、上側の排藁搬送チェン16は中間の駆動スプロケット27の軸芯Pを支点としスプリング31の押圧力に抗して上動変位し、搬送量が少なくなると、挟持杆17は上動復帰し、排藁搬送チェン16は下動復帰する。このように排藁搬送装置14の挟持杆17と排藁搬送チェン16とが引き継がれる排藁の搬送量に応じて上下動するので、フィードチェン終端との引継ぎ間隔を最大限に近づけることができ、少ない排藁量であっても引継ぎ不良による不具合を防止できる。また、多量の排藁が搬送された場合は、排藁搬送チェンがその量に応じて上下動するので詰まりの発生を防止することができる。
【0008】
請求項2記載の本発明は、前記排藁搬送装置(14)に設定量以上の排藁搬送負荷を検出する検出装置(33)を設け、この検出装置(33)の検出結果に基づいてエンジン停止装置若しくは警報装置を作動させるべく連繋したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとする。
【0009】
排藁搬送チェン16の始端側が一定以上に上動変位すると、詰まりの発生が予測されるので、検出装置33が前もってそれを検出し、その検出結果に基づきエンジン停止若しくは警報を発してオペレータに告知するので、装置の破損を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、排藁搬送チェン16の始端側が、引き継がれる排藁の搬送量に応じて上下動するので、フィードチェン終端との引継ぎ間隔を最大限に近づけることができ、少ない排藁量であっても引継ぎ不良による不具合を防止できる。また、多量の排藁が搬送された場合でも、排藁搬送チェンがその量に応じて上下動するので詰まりの発生を未然に防止することができる。
【0011】
また、請求項2の本発明によれば、請求項1の発明の効果を奏する上に、排藁搬送チェン16の始端側が搬送量によって一定以上に上動変位すると、検出装置33がそれを検出し、エンジン停止若しくは警報を発するので、装置の破損を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に示すコンバインの構成について述べる。
走行クロ−ラ(クローラ)1を具備する車体2上には、前部に昇降可能な刈取部3を、後部に脱穀装置(脱穀部)4を搭載している。刈取部3の横側部には操作ボックス5や運転席6を備えた運転部が設置され、その後方にはグレンタンクGが装備されている。
【0013】
つぎに、脱穀装置4の構成につき説明する。扱胴7を内装軸架した扱室8の下半周部に沿って受網を張設してあり、脱穀粒を漏下させて下方の揺動選別装置で揺動選別する構成としている。扱室8の上方部を覆う扱胴カバ−9は、扱胴軸方向に平行な軸芯回りに揺動開閉可能に構成している。
【0014】
扱室8の扱口側には穀稈を挟持搬送するフイ−ドチェン10とこの上側に対設する挟持レ−ル11を配設している。この挟持レ−ル11は扱胴カバ−9側に装着して該カバ−と共に揺動開閉する構成である。
【0015】
また、扱室8の後方には、脱穀後の排藁の株元側と穂先側の2箇所を挟持して後方に搬送する排藁搬送装置14が配設され、前記フィードチェン10から送られてくる排藁を受け取って排藁カッターCまで搬出処理するようになっている。
【0016】
株元側搬送装置14aは、チェンレール15に沿って券回する排藁搬送チェン16とこの下側に対設する挟持杆17とからなり、両者で排藁の株元を挟持搬送する構成であり、穂先側搬送装置14bは、搬送ラグ18付搬送チェン19とガイド杆20とからなり、両者で排藁の穂先側をガイドしながら係止搬送する構成である。
【0017】
扱室8の後側板12より後方に突設する扱胴軸13から排藁搬送装置14を駆動する駆動系としては、扱胴軸13に固着の出力プーリ21、ベルト22、入力プーリ23、ベベルギヤケース24内のベベルギヤ機構25、ベベルギヤケース24より斜め後方に延出する排藁伝動軸26、前記チェンレール15の中間部に軸架させたチェン駆動用スプロケット27を介して株元側の排藁搬送チェン16を回転駆動すべく連動連結している。チェン駆動用スプロケット27より後方途中に設けた従動スプロケット28、穂先側伝動軸29、穂先側駆動スプロケット30を介してラグ付搬送チェン19を排藁搬送終端側から回転駆動すべく連動構成している。
【0018】
排藁搬送装置14の株元側搬送装置14aはこの中間部位から駆動し、穂先側搬送装置14bはこの終端部位から駆動するので、始端側から駆動するものに比べ、フィードチェンとの引継ぎ部に所定の開放空間を構成することができ、排藁の詰りが防止できフィートチェンから排藁搬送装置始端への引継ぎが良好に行える。
【0019】
チェンレール15の始端側は、排藁搬送チェン16と共にチェン駆動用スプロケット27軸芯P回りに上下揺動変位可能に構成してあり、押圧スプリング31によって下方向きに張圧付勢している。この押圧スプリング31の荷重は、チェンレールの回動初期は軽くし、途中から次第に重くなるように構成している。 排藁搬送チェン16の下側に対設する挟持杆17においても張圧スプリング32を介してチェン16側に張圧保持させている。
【0020】
チェンレール15が搬送量増加によって一定以上に上動すると、それを検出する検出装置(検出スイッチ)33をスプリングホルダ部34近くに設け、摺動ロッド35の上動によって検出スイッチ33をスイッチオンすることで、エンジン停止機構36若しくは警報装置を作動させるべく連動構成している。
【0021】
図5に示す実施例では、排藁搬送チェン16の下側に対設する挟持杆17は、始端側を回動支点Qとして、終端側が張圧スプリング32を介して上下動する構成であり、これに対し、排藁搬送チェン16は始端側が上下動する構成であるため、排藁の搬送量が終始バランスよく行われることになり、詰まりの発生をなくし、安定した引継ぎ搬送性能を確保することができる。
【0022】
また、図6に示すように、チェンレール15の上下動に連動して揺動選別棚37のシーブ38の開度調節ができるように連動ワイヤー39を介してシーブ角調節アーム40に連動連結しておくと、排藁の搬送量に応じてシーブ開度をタイミング良く調節することができ、選別精度を高めることができる。また、これに関連して唐箕選別風力の調節もできるように構成しておくと、選別性能が一層向上することになる。
【0023】
排藁が長稈の場合、特に小型のコンバインでは、排藁搬送装置14と扱室後方の排塵選別室の右側板41との距離が短いため、排藁搬送装置で斜め後方に排藁を搬送する時、穂先部が右側板と干渉し後方に送り出されないため、排藁搬送部で詰まりが発生する問題があった。そこで、図2に示すように、右側板41に近い位置で、且つ、穂先側搬送装置14bよりも穂先側位置において、穂先部を強制的に掻き出すための掻出スターホイル42を前記排藁伝動軸26と一体的に回転するよう軸架させて設ける。これにより、掻出スターホイルが排藁の穂先を強制的に掻き出すので、穂先部が右側板に干渉して詰まることがなくなる。
【0024】
図7に示す実施例は、コンバイン本機2に対し、揺動開閉可能な排藁カッターCをオープンすると、カッタ切換板45が閉じてドロッパーへの排藁ガイド位置となるよう構成している。つまり、カッターをオープンするとカッターの切換えレバー46が本機と接当し、切換えレバー46がカッタ位置(イ)から自然にドロッパーへの排藁ガイド位置(ロ)となり、カッタ切換板45が閉じる。カッターをオープンする時、カッタ切換板が開いていると作業上危険である。上記構成により、安全にカッターをオープンすることができ、作業が安全に行えるようになる。
【0025】
図8に示す注油配管構造において、先端に注油ノズル47を備えた注油ホース48には、該ホースの外側を被覆すべくジャバラ式のメタルフレキシブル49を設けた構成としている。このホースの外側を覆うメタルフレキシブルによってホースの折り曲げが自由自在となり滑らかな湾曲度が得られる。また、熱膨張しやすいエンジン部近くでの使用にも最適となる。なお、メタルフレキシブルは、構造上切断面が鋭利になるため、そこから亀裂が内側に入ったり、そのままでは注油ホースを傷める可能性があるので、フレキシブルの両端に樹脂性のインナープッシングを挿入することによって回避することができ、しかも、ノズル47やクリップ50に直接フレキシブルの切断面が当たらず、確実に保護することができる。
【0026】
図9〜図11に示すように、操作ボックス5又はサイド操作ボックス上の操作パネル53には、刈取前処理部の高低2段の変速が可能な刈取変速レバー51が設けられ、走行速度を変速制御するHSTレバー52近くに2段変速位置切換可能に配置されている。これら各レバーは共に同一操作パネル53上に設置することによって操作性の向上並びに作業の効率化を図るようにしている。
【0027】
刈取変速レバー51は、高低ガイド溝H,Lに沿って切り換えが可能で、穀稈の倒伏度合によって引起し刈取搬送速度が高低2段に切り換えできる構成としている。刈取変速レバー51の操作域は、HSTレバー52の前後中立域より後方位置とし側面視でラップしないように配置構成し、また、両レバーとも略同一傾斜角度にして操作性の向上を図るようにしている。HSTレバーガイド54は、HSTレバーの前進操作経路Fと横方向の中立操作経路Nと後進操作経路Bとからなるように構成され、運転席から手の届く範囲内で容易に変速操作することができ、更に、その近くに配置する刈取変速レバーもオペレータの手の届く範囲内で容易に操作することができる。
【0028】
また、図12に示すように、コンバインのフィードチエン10側の直下に手扱ぎ用クラッチペダル55を設け、このクラッチペダル55を踏み込むと、一定時間、車体が手前のフィードチエン側が低くなる方向に傾斜し、フィードチエン10及び脱穀部4の作業クラッチ「入り」、これらの停止、車体水平戻り、低速前進及び停止など一連の動作を行えるように連動構成し、手扱ぎ作業の安全性向上並びに手扱ぎ作業の作業性向上を図るようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】コンバインの側面図
【図2】脱穀装置の要部の平面図
【図3】排藁搬送装置の側面図
【図4】同上要部の側面図
【図5】排藁搬送装置の要部の側面図
【図6】排藁搬送装置の要部の側面図
【図7】排藁カッター要部の斜視図
【図8】注油ノズルホースの一部の斜視図
【図9】刈取変速レバーとHSTレバーとの配置関係を示す平面図
【図10】同上側面図
【図11】同上背面図
【図12】手扱ぎ作業状態を示すコンバインの正面図
【符号の説明】
【0030】
1 走行クローラ(クローラ)
2 車体
3 刈取部
4 脱穀部
8 扱室
14 排藁搬送装置
15 チェンレール
16 排藁搬送チェン
17 挟持杆
27 チェン駆動用スプロケット
31 スプリング
33 検出装置
P 軸芯
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に示されているように、脱穀後の排藁を搬送する排藁搬送装置として、この排藁搬送チェンの搬送始端側が終端側を回動支点として下側に対設する挟持杆に対し上下回動するように設けた構成のものが開示されている。
【特許文献1】特開2004−159543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来構成のものでは、搬送中の排藁が詰まったりすると、排藁搬送チェンを適宜に手動で上下回動操作して、排藁搬送チェンに巻き付いた排藁、藁屑、雑草などを除去したりするものであり、そして、その除去作業が終ると、チェンの位置決め装置や、ロック装置等によって排藁搬送チェンを所定位置に復元させてロックする操作を必要とし、構成の複雑化並びに上下動操作を煩わしくする問題があった。
【0004】
本発明は、排藁搬送チェンの始端側を排藁の搬送量に応じて自動的に上下動させることによって排藁の詰まり発生を防止し、上記問題点を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、クローラ(1)を備えた車体(2)の前部に刈取部(3)を設け、該車体(2)の後部に脱穀部(4)を設け、該脱穀部(4)の扱室(8)の後方に脱穀後の排藁を挟持搬送する排藁搬送装置(14)を設け、該排藁搬送装置(14)を、チェンレール(15)に沿って券回する排藁搬送チェン(16)と該排藁搬送チェン(16)の下側に対設する挟持杆(17)とから構成し、前記チェンレール(15)の中間部位に設けたチェン駆動用スプロケット(27)の軸芯(P)を支点としてチェンレール(15)の始端側が上下揺動する構成とし、該チェンレール(15)の始端側を挟持杆(17)側に付勢するスプリング(31)を設けたことを特徴とするコンバインとする。
【0006】
脱穀後の排藁は、フィードチェン10の終端から排藁搬送装置14の始端に引き継がれる。引継ぎ後の排藁は下側の挟持杆17と上側の排藁搬送チェン16とによって挟持搬送され、終端から排藁カッターCに送り込まれて切断処理される。
【0007】
排藁搬送装置14の始端に引き継がれる排藁は、その搬送量が多くなると、下側の挟持杆17は下動し、上側の排藁搬送チェン16は中間の駆動スプロケット27の軸芯Pを支点としスプリング31の押圧力に抗して上動変位し、搬送量が少なくなると、挟持杆17は上動復帰し、排藁搬送チェン16は下動復帰する。このように排藁搬送装置14の挟持杆17と排藁搬送チェン16とが引き継がれる排藁の搬送量に応じて上下動するので、フィードチェン終端との引継ぎ間隔を最大限に近づけることができ、少ない排藁量であっても引継ぎ不良による不具合を防止できる。また、多量の排藁が搬送された場合は、排藁搬送チェンがその量に応じて上下動するので詰まりの発生を防止することができる。
【0008】
請求項2記載の本発明は、前記排藁搬送装置(14)に設定量以上の排藁搬送負荷を検出する検出装置(33)を設け、この検出装置(33)の検出結果に基づいてエンジン停止装置若しくは警報装置を作動させるべく連繋したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとする。
【0009】
排藁搬送チェン16の始端側が一定以上に上動変位すると、詰まりの発生が予測されるので、検出装置33が前もってそれを検出し、その検出結果に基づきエンジン停止若しくは警報を発してオペレータに告知するので、装置の破損を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、排藁搬送チェン16の始端側が、引き継がれる排藁の搬送量に応じて上下動するので、フィードチェン終端との引継ぎ間隔を最大限に近づけることができ、少ない排藁量であっても引継ぎ不良による不具合を防止できる。また、多量の排藁が搬送された場合でも、排藁搬送チェンがその量に応じて上下動するので詰まりの発生を未然に防止することができる。
【0011】
また、請求項2の本発明によれば、請求項1の発明の効果を奏する上に、排藁搬送チェン16の始端側が搬送量によって一定以上に上動変位すると、検出装置33がそれを検出し、エンジン停止若しくは警報を発するので、装置の破損を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に示すコンバインの構成について述べる。
走行クロ−ラ(クローラ)1を具備する車体2上には、前部に昇降可能な刈取部3を、後部に脱穀装置(脱穀部)4を搭載している。刈取部3の横側部には操作ボックス5や運転席6を備えた運転部が設置され、その後方にはグレンタンクGが装備されている。
【0013】
つぎに、脱穀装置4の構成につき説明する。扱胴7を内装軸架した扱室8の下半周部に沿って受網を張設してあり、脱穀粒を漏下させて下方の揺動選別装置で揺動選別する構成としている。扱室8の上方部を覆う扱胴カバ−9は、扱胴軸方向に平行な軸芯回りに揺動開閉可能に構成している。
【0014】
扱室8の扱口側には穀稈を挟持搬送するフイ−ドチェン10とこの上側に対設する挟持レ−ル11を配設している。この挟持レ−ル11は扱胴カバ−9側に装着して該カバ−と共に揺動開閉する構成である。
【0015】
また、扱室8の後方には、脱穀後の排藁の株元側と穂先側の2箇所を挟持して後方に搬送する排藁搬送装置14が配設され、前記フィードチェン10から送られてくる排藁を受け取って排藁カッターCまで搬出処理するようになっている。
【0016】
株元側搬送装置14aは、チェンレール15に沿って券回する排藁搬送チェン16とこの下側に対設する挟持杆17とからなり、両者で排藁の株元を挟持搬送する構成であり、穂先側搬送装置14bは、搬送ラグ18付搬送チェン19とガイド杆20とからなり、両者で排藁の穂先側をガイドしながら係止搬送する構成である。
【0017】
扱室8の後側板12より後方に突設する扱胴軸13から排藁搬送装置14を駆動する駆動系としては、扱胴軸13に固着の出力プーリ21、ベルト22、入力プーリ23、ベベルギヤケース24内のベベルギヤ機構25、ベベルギヤケース24より斜め後方に延出する排藁伝動軸26、前記チェンレール15の中間部に軸架させたチェン駆動用スプロケット27を介して株元側の排藁搬送チェン16を回転駆動すべく連動連結している。チェン駆動用スプロケット27より後方途中に設けた従動スプロケット28、穂先側伝動軸29、穂先側駆動スプロケット30を介してラグ付搬送チェン19を排藁搬送終端側から回転駆動すべく連動構成している。
【0018】
排藁搬送装置14の株元側搬送装置14aはこの中間部位から駆動し、穂先側搬送装置14bはこの終端部位から駆動するので、始端側から駆動するものに比べ、フィードチェンとの引継ぎ部に所定の開放空間を構成することができ、排藁の詰りが防止できフィートチェンから排藁搬送装置始端への引継ぎが良好に行える。
【0019】
チェンレール15の始端側は、排藁搬送チェン16と共にチェン駆動用スプロケット27軸芯P回りに上下揺動変位可能に構成してあり、押圧スプリング31によって下方向きに張圧付勢している。この押圧スプリング31の荷重は、チェンレールの回動初期は軽くし、途中から次第に重くなるように構成している。 排藁搬送チェン16の下側に対設する挟持杆17においても張圧スプリング32を介してチェン16側に張圧保持させている。
【0020】
チェンレール15が搬送量増加によって一定以上に上動すると、それを検出する検出装置(検出スイッチ)33をスプリングホルダ部34近くに設け、摺動ロッド35の上動によって検出スイッチ33をスイッチオンすることで、エンジン停止機構36若しくは警報装置を作動させるべく連動構成している。
【0021】
図5に示す実施例では、排藁搬送チェン16の下側に対設する挟持杆17は、始端側を回動支点Qとして、終端側が張圧スプリング32を介して上下動する構成であり、これに対し、排藁搬送チェン16は始端側が上下動する構成であるため、排藁の搬送量が終始バランスよく行われることになり、詰まりの発生をなくし、安定した引継ぎ搬送性能を確保することができる。
【0022】
また、図6に示すように、チェンレール15の上下動に連動して揺動選別棚37のシーブ38の開度調節ができるように連動ワイヤー39を介してシーブ角調節アーム40に連動連結しておくと、排藁の搬送量に応じてシーブ開度をタイミング良く調節することができ、選別精度を高めることができる。また、これに関連して唐箕選別風力の調節もできるように構成しておくと、選別性能が一層向上することになる。
【0023】
排藁が長稈の場合、特に小型のコンバインでは、排藁搬送装置14と扱室後方の排塵選別室の右側板41との距離が短いため、排藁搬送装置で斜め後方に排藁を搬送する時、穂先部が右側板と干渉し後方に送り出されないため、排藁搬送部で詰まりが発生する問題があった。そこで、図2に示すように、右側板41に近い位置で、且つ、穂先側搬送装置14bよりも穂先側位置において、穂先部を強制的に掻き出すための掻出スターホイル42を前記排藁伝動軸26と一体的に回転するよう軸架させて設ける。これにより、掻出スターホイルが排藁の穂先を強制的に掻き出すので、穂先部が右側板に干渉して詰まることがなくなる。
【0024】
図7に示す実施例は、コンバイン本機2に対し、揺動開閉可能な排藁カッターCをオープンすると、カッタ切換板45が閉じてドロッパーへの排藁ガイド位置となるよう構成している。つまり、カッターをオープンするとカッターの切換えレバー46が本機と接当し、切換えレバー46がカッタ位置(イ)から自然にドロッパーへの排藁ガイド位置(ロ)となり、カッタ切換板45が閉じる。カッターをオープンする時、カッタ切換板が開いていると作業上危険である。上記構成により、安全にカッターをオープンすることができ、作業が安全に行えるようになる。
【0025】
図8に示す注油配管構造において、先端に注油ノズル47を備えた注油ホース48には、該ホースの外側を被覆すべくジャバラ式のメタルフレキシブル49を設けた構成としている。このホースの外側を覆うメタルフレキシブルによってホースの折り曲げが自由自在となり滑らかな湾曲度が得られる。また、熱膨張しやすいエンジン部近くでの使用にも最適となる。なお、メタルフレキシブルは、構造上切断面が鋭利になるため、そこから亀裂が内側に入ったり、そのままでは注油ホースを傷める可能性があるので、フレキシブルの両端に樹脂性のインナープッシングを挿入することによって回避することができ、しかも、ノズル47やクリップ50に直接フレキシブルの切断面が当たらず、確実に保護することができる。
【0026】
図9〜図11に示すように、操作ボックス5又はサイド操作ボックス上の操作パネル53には、刈取前処理部の高低2段の変速が可能な刈取変速レバー51が設けられ、走行速度を変速制御するHSTレバー52近くに2段変速位置切換可能に配置されている。これら各レバーは共に同一操作パネル53上に設置することによって操作性の向上並びに作業の効率化を図るようにしている。
【0027】
刈取変速レバー51は、高低ガイド溝H,Lに沿って切り換えが可能で、穀稈の倒伏度合によって引起し刈取搬送速度が高低2段に切り換えできる構成としている。刈取変速レバー51の操作域は、HSTレバー52の前後中立域より後方位置とし側面視でラップしないように配置構成し、また、両レバーとも略同一傾斜角度にして操作性の向上を図るようにしている。HSTレバーガイド54は、HSTレバーの前進操作経路Fと横方向の中立操作経路Nと後進操作経路Bとからなるように構成され、運転席から手の届く範囲内で容易に変速操作することができ、更に、その近くに配置する刈取変速レバーもオペレータの手の届く範囲内で容易に操作することができる。
【0028】
また、図12に示すように、コンバインのフィードチエン10側の直下に手扱ぎ用クラッチペダル55を設け、このクラッチペダル55を踏み込むと、一定時間、車体が手前のフィードチエン側が低くなる方向に傾斜し、フィードチエン10及び脱穀部4の作業クラッチ「入り」、これらの停止、車体水平戻り、低速前進及び停止など一連の動作を行えるように連動構成し、手扱ぎ作業の安全性向上並びに手扱ぎ作業の作業性向上を図るようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】コンバインの側面図
【図2】脱穀装置の要部の平面図
【図3】排藁搬送装置の側面図
【図4】同上要部の側面図
【図5】排藁搬送装置の要部の側面図
【図6】排藁搬送装置の要部の側面図
【図7】排藁カッター要部の斜視図
【図8】注油ノズルホースの一部の斜視図
【図9】刈取変速レバーとHSTレバーとの配置関係を示す平面図
【図10】同上側面図
【図11】同上背面図
【図12】手扱ぎ作業状態を示すコンバインの正面図
【符号の説明】
【0030】
1 走行クローラ(クローラ)
2 車体
3 刈取部
4 脱穀部
8 扱室
14 排藁搬送装置
15 チェンレール
16 排藁搬送チェン
17 挟持杆
27 チェン駆動用スプロケット
31 スプリング
33 検出装置
P 軸芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラ(1)を備えた車体(2)の前部に刈取部(3)を設け、該車体(2)の後部に脱穀部(4)を設け、該脱穀部(4)の扱室(8)の後方に脱穀後の排藁を挟持搬送する排藁搬送装置(14)を設け、該排藁搬送装置(14)を、チェンレール(15)に沿って券回する排藁搬送チェン(16)と該排藁搬送チェン(16)の下側に対設する挟持杆(17)とから構成し、前記チェンレール(15)の中間部位に設けたチェン駆動用スプロケット(27)の軸芯(P)を支点としてチェンレール(15)の始端側が上下揺動する構成とし、該チェンレール(15)の始端側を挟持杆(17)側に付勢するスプリング(31)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記排藁搬送装置(14)に設定量以上の排藁搬送負荷を検出する検出装置(33)を設け、この検出装置(33)の検出結果に基づいてエンジン停止装置若しくは警報装置を作動させるべく連繋したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
クローラ(1)を備えた車体(2)の前部に刈取部(3)を設け、該車体(2)の後部に脱穀部(4)を設け、該脱穀部(4)の扱室(8)の後方に脱穀後の排藁を挟持搬送する排藁搬送装置(14)を設け、該排藁搬送装置(14)を、チェンレール(15)に沿って券回する排藁搬送チェン(16)と該排藁搬送チェン(16)の下側に対設する挟持杆(17)とから構成し、前記チェンレール(15)の中間部位に設けたチェン駆動用スプロケット(27)の軸芯(P)を支点としてチェンレール(15)の始端側が上下揺動する構成とし、該チェンレール(15)の始端側を挟持杆(17)側に付勢するスプリング(31)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記排藁搬送装置(14)に設定量以上の排藁搬送負荷を検出する検出装置(33)を設け、この検出装置(33)の検出結果に基づいてエンジン停止装置若しくは警報装置を作動させるべく連繋したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−33979(P2009−33979A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198351(P2007−198351)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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