コンバイン
【課題】走行停止状態でも、主変速レバーに設けた操作手段の操作によって刈取機とフィードチェンを所定の回転速度で駆動して刈取作業を行えるものとする。
【解決手段】刈取機(3)と脱穀機(4)のフィードチェン(5)とを駆動する第1油圧式無段変速装置(9)を設け、エンジン(20)の駆動力を脱穀機(4)の駆動後に第1油圧式無段変速装置(9)に伝達する構成とし、走行装置(7)を駆動する第2油圧式無段変速装置(22)を設け、主変速レバー(10a)の操作に基づく第2油圧式無段変速装置(22)の変速に連動して第1油圧式無段変速装置(9)を変速駆動する構成とし、主変速レバー(10a)に設けた操作手段(11)の操作に基づき、走行を停止した状態で、第1油圧式無段変速装置(9)を変速制御して刈取機(3)及びフィードチェン(5)を所定速度で駆動させる制御装置(10b)を設ける。
【解決手段】刈取機(3)と脱穀機(4)のフィードチェン(5)とを駆動する第1油圧式無段変速装置(9)を設け、エンジン(20)の駆動力を脱穀機(4)の駆動後に第1油圧式無段変速装置(9)に伝達する構成とし、走行装置(7)を駆動する第2油圧式無段変速装置(22)を設け、主変速レバー(10a)の操作に基づく第2油圧式無段変速装置(22)の変速に連動して第1油圧式無段変速装置(9)を変速駆動する構成とし、主変速レバー(10a)に設けた操作手段(11)の操作に基づき、走行を停止した状態で、第1油圧式無段変速装置(9)を変速制御して刈取機(3)及びフィードチェン(5)を所定速度で駆動させる制御装置(10b)を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、穀稈を刈取りする刈取機と、刈取り穀稈を引継ぎ移送して脱穀する脱穀機を有するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインで立毛穀稈の収穫作業は、このコンバインを穀稈の植付圃場を走行させるが、圃場の乾・湿田状態、穀稈の作柄、及び倒伏状態等により、主変速レバーを所定位置へ操作し、走行装置の走行車速を設定して、植付圃場を走行させ、走行車台の前方部に設けて、走行車速に関係なく、一定の回転数で刈取機は回転駆動され、この刈取機で立毛穀稈は刈取りされ、この刈取り穀稈は、この刈取機で後方上部へ移送される。走行車台の上側へ載置した脱穀機のフィードチェンは、走行車速に関係なく、一定の回転数で回転駆動され、刈取機で後方上部へ移送された穀稈は、このフィードチェンと、挟持杆とへ供給されて引継ぎされ、これらフィードチェンと、挟持杆とで挟持されて、脱穀機内を挟持移送中に脱穀され、脱穀済み穀粒は、穀粒貯留タンク内へ供給され、一時貯留される。
【0003】
前述の収穫作業中に、倒伏状態が変り、走行車速を主変速レバーを操作して変更したときでも、刈取機、及び脱穀機のフィードチェンの回転数は、一定の回転数で回転駆動され、穀稈の刈取り、及び脱穀が行われる。
【0004】
そして、運転室内の切換スイッチを操作する事により、刈取前処理装置とフィードチェンの駆動をコンバインの車速に対して非同調制御するもので、この非同調制御は予め決められた一定速へ切り換える構成である(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−275749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
走行装置の走行車速に関係なく、穀稈を刈取る刈取機、及び脱穀機のフィードチェンは、一定の回転数で回転駆動されることにより、特に走行車速が最高速、又は最低速で走行したときは、刈取機から脱穀機のフィードチェンへの穀稈の引継ぎが不良になることがあったり、負荷変動が大きくなること等があったが、この発明により、これらの問題点を解決しようとするものである。
【0006】
非同調制御が一定速なので、車速が低速の時に非同調制御に切り換えると、刈取前処理装置が速すぎて脱粒や搬送乱れを起こしていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、この発明は、次のような技術的手段を講じる。
即ち、穀稈を刈取り移送する刈取機(3)と刈取り穀稈を引継ぎ移送する脱穀機(4)のフィードチェン(5)とを駆動する第1油圧式無段変速装置(9)を設け、エンジン(20)の駆動力を脱穀機(4)の駆動後に第1油圧式無段変速装置(9)に伝達する構成とし、走行装置(7)を駆動する第2油圧式無段変速装置(22)を設け、主変速レバー(10a)の操作に基づく第2油圧式無段変速装置(22)の変速に連動して第1油圧式無段変速装置(9)を変速駆動する構成とし、主変速レバー(10a)に設けた操作手段(11)の操作に基づき、走行を停止した状態で、前記第1油圧式無段変速装置(9)を変速制御して刈取機(3)及びフィードチェン(5)を所定速度で駆動させる制御装置(10b)を設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によると、走行車速が0でも、主変速レバー(10a)に設けた操作手段(11)の操作によって刈取機(3)とフィードチェン(5)を所定の回転速度で駆動して刈取作業を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行車台2の前方部には、穀稈を刈取り後方上部へ移送する刈取機3を設け、又、走行車台2の上側には、刈取り穀稈の供給を受けて引継ぎするフィードチェン5と、挟持杆6とを設けた脱穀機4を載置した構成である。これらフィードチェン5と、挟持杆6とで脱穀機4内を挟持移送中に脱穀する構成である。更に走行車台2の下側に設けた走行装置7の走行クローラ7aを回転駆動する伝動機構8aを内装した走行用のミッションケース8の上側には、油圧式無段変速装置9を設け、走行装置7の走行車速に連動して、油圧式無段変速装置9で、刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5等とを変速回転駆動する構成であると共に、操作装置10に設けた操作手段11の操作で、同じ走行速度に対する刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5との回転数を増速、又は減速制御する構成である。これら刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5と、油圧式無段変速装置9等を主としたコンバイン1の伝動装置12を主に図示して説明する。
【0010】
前記コンバイン1の走行車台2の下側には、図6で示す如く土壌面を走行する左右一対の走行クローラ7aを張設した走行装置7を配設し、走行車台2の上側には、脱穀機4を載置した構成である。走行車台2の前方部の刈取機3で立毛穀稈を刈取りし、この刈取り穀稈は、この刈取機3で後方上部へ移送され、脱穀機4のフィードチェン5と、挟持杆6とで引継ぎされて、脱穀機4内を挟持移送されながら脱穀される。脱穀済みで選別済み穀粒は、脱穀機4の右横側に配設した穀粒貯留タンク13内へ一時貯留される。
【0011】
前記走行車台2の前方部には、図6で示す如く前端位置から立毛穀稈を分離するナローガイド14a、及び各分草体14bと、立毛穀稈を引起す各引起装置14cと、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置15の各掻込装置15aと、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置14dと、刈取りされた穀稈を挟持移送して、脱穀機4のフィードチェン5と、挟持杆6とへ受渡しする穀稈掻込移送装置15の根元・穂先移送装置16a,16b等からなる刈取機3を設けている。該刈取機3は、油圧駆動による伸縮シリンダ17により、土壌面に対して、昇降自在に移動する構成である。
【0012】
前記刈取機3の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆18aの上端部には、左右方向の支持パイプ杆18bを設け、この支持パイプ杆18bを走行車台2の上側面に設けた支持装置18cで回動自在に支持させて、伸縮シリンダ17の作動により、刈取機3は支持パイプ杆18bを回動中心として、上下に回動する構成である。
【0013】
前記刈取機3の穀稈掻込移送装置15によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送される穀稈に接触作用することにより、脱穀機4へ穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ3bを設けた構成である。
【0014】
前記穀粒貯留タンク13の前側には、図6で示す如くコンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置10と、これら操作を行う作業者が搭乗する操縦席19とを設け、この操縦席19の下側で、走行車台2の上側面には、エンジン20を載置すると共に、後方部には、穀粒貯留タンク13を配設する。これら走行装置7と、刈取機3と、脱穀機4と、エンジン20等により、コンバイン1の機体1aを形成した構成である。
【0015】
前記走行車台2の前端部に装架した走行用のミッションケース8内の伝動機構8aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ8bを設けた構成である。
【0016】
図1で示す如く前記コンバイン1の伝動装置12のミッションケース8の伝動機構8aの最終段部には、左右両外側へ突出する走行車軸8cを、ミッションケース8へ軸支して設け、この各走行車軸8cの先端部には、走行スプロケット21aを軸支して設け、この走行スプロケット21aと、後スプロケット21bとには、走行クローラ7aを掛け渡した構成である。この走行クローラ7aの回転駆動により、コンバイン1は走行する構成である。
【0017】
前記ミッションケース8の上側には、図1で示す如く走行用の油圧式無段変速装置(第2油圧式無段変速装置)22を設けた構成であり、この油圧式無段変速装置22には、油圧用軸22aを軸支して設け、この油圧用軸22aには、プーリ22bを軸支して設けた構成である。このプーリ22bと、エンジン20に設けたエンジン用軸20aへ軸支したプーリ20bとには、ベルト24aを掛け渡した構成であり、エンジン20の回転動力は、油圧式無段変速装置22へ入力される構成である。この油圧式無段変速装置22へ入力された回転動力は、この油圧式無段変速装置22で変速されて、ミッションケース8へ内装した伝動機構8aを回転駆動して、走行車速を変速する構成である。
【0018】
前記エンジン20のエンジン用軸20aには、図1で示す如くプーリ20cを設けた構成である。又、脱穀機4の選別風を起風する送風ファン23のファン軸23a右側軸端部には、プーリ23bを軸支して設けた構成である。このプーリ23bと、エンジン20のプーリ20cとには、ベルト24bを掛け渡した構成である。このベルト24bには、エンジン20の回転動力を「入」・「切」する脱穀テンション装置25aを設けて、脱穀機4の送風ファン23の回転駆動を「入」・「切」する構成である。
【0019】
前記刈取機3の支持パイプ杆18aの左外側部には、図1で示す如く刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5とを変速回転駆動する油圧式無段変速装置(第1油圧式無段変速装置)9を設けた構成である。この油圧式無段変速装置9の油圧用軸9aには、プーリ9bを軸支して設けた構成である。
【0020】
前記送風ファン23のファン軸23aの左側軸端部には、プーリ23cを軸支した設け、このプーリ23cと、油圧式無段変速装置9のプーリ9bとには、ベルト26aを掛け渡した構成である。このベルト26aには、送風ファン23の回転動力を「入」・「切」するテンション装置25bを設けて、油圧式無段変速装置9の回転動力を「入」・「切」する構成である。
【0021】
前記刈取機3の支持パイプ杆18bと、油圧式無段変速装置9とには、図1で示す如く刈取上伝動軸27を内装軸支して設け、この刈取上伝動軸27の右側軸端部へ軸支して設けた伝動ギヤー27aと、支持杆18aへ内装軸支して設けた刈取上下伝動軸28の上端部へ軸支して設けた伝動ギヤー28aとは、噛合させた構成である。又、刈取上下伝動軸28の下端部には、伝動ギヤー28bを軸支して設け、この伝動ギヤー28bと、支持杆18aの下端部へ設けた刈取フレーム29へ内装軸支して設けた刈取下伝動軸29aへ軸支して設けた伝動ギヤー29bとは、噛合させた構成である。
【0022】
前記油圧式無段変速装置9へ脱穀機4の送風ファン23から入力された回転動力は、この油圧式無段変速装置9で変速され、変速回転動力は、刈取上伝動軸27の伝動ギヤー27aから刈取上下伝動軸28の各伝動ギヤー28a,28bを経て、刈取フレーム29の刈取下伝動軸29aの伝動ギヤー29bが、変速回転駆動されて、刈取機3の各部が変速回転駆動される構成である。
【0023】
前記支持パイプ杆18bと、油圧式無段変速装置9との刈取上伝動軸27の左外側端部には、プーリ27bを軸支して設けた構成である。又、脱穀機4の左外側部には、フィードギヤーケース30を設け、このフィードギヤーケース30のケース伝動軸30aには、プーリ30bを軸支して設け、このプーリ30bと、刈取上伝動軸27のプーリ27bとには、ベルト26bを掛け渡した構成である。
【0024】
前記フィードギヤーケース30のケース伝動軸30aには、伝動ギヤー30cを軸支内装した構成であると共に、フィードギヤーケース30には、チェン伝動軸31aを軸支して設け、このチェン伝動軸31aの右側軸端部には、伝動ギヤー31bを軸支して設けると共に、左外側端部には、チェンスプロケット5aを軸支して設けた構成である。チェン伝動軸31aの伝動ギヤー31bと、ケース伝動軸30aの伝動ギヤー30cとは、噛合した構成である。また、チェンスプロケット5aと、移送終端部のスプロケット5bとは、フィードチェン5を掛け渡した構成である。
【0025】
前記油圧式無段変速装置9へ脱穀機4の送風ファン23から入力された回転動力は、この油圧式無段変速装置9で変速され、変速回転動力は、刈取上伝動軸27からベルト26b、ケース伝動軸30aの伝動ギヤー30c、チェン伝動軸31aの伝動ギヤー31bを経て、チェンスプロケット5aが変速回転駆動されて、フィードチェン5が変速回転駆動される構成である。
【0026】
前記油圧式無段変速装置9により、刈取機3の各部と、フィードチェン5とは、同時に変速回転駆動される構成である。
前記操作装置10には、図1で示す如く走行装置7の走行車速を設定操作する主変速レバー10aを回動自在に設け、この主変速レバー10aの下端部には、支持杆32を固着して設け、この支持杆32の基部側と、油圧式無段変速装置22で変速回転制御するトラニオン軸(第2トラニオン軸)33へ固着して設けた走行用調節杆33aの先端部とは、ワイヤー(第2ワイヤー)33b等で接続させた構成である。
【0027】
前記支持杆32の先端部側と、油圧式無段変速装置9で変速回転制御するトラニオン軸(第1トラニオン軸)34へ固着して設けた刈取用調節杆34aとは、ワイヤー(第1ワイヤー)34b等で接続した構成である。又、刈取用調節杆34aの外形部には、ギヤー34cを設け、このギヤー34cと、ステッピングモータ35に設けたギヤー35aとは、噛合させた構成である。
【0028】
前記主変速レバー10aを所定位置へ操作すると、支持杆32、ワイヤー33b、走行用調節杆33aを介して、油圧式無段変速装置22のトラニオン軸33が回動制御され、走行装置7の走行車速は、この油圧式無段変速装置22により、増速制御、又は減速制御される構成である。又、この走行装置7の走行車速の変速制御に連動して、支持杆32、ワイヤー34b、刈取用調節杆34aを介して、油圧式無段変速装置9のトラニオン軸34が回動制御され、刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5との回転数は、この油圧式無段変速装置9により、増速回転、又は減速回転に変速回転駆動制御する構成である。
【0029】
又、前記操作装置10に設けたON−OFFスイッチ方式で増速側と、減速側とへ操作する操作手段11の操作により、この操作が操作装置10へ内装して設けた制御装置10bのCPU10cへ入力され、刈取機3と脱穀機4のフィードチェン5との回転速度が、走行装置7の同じ走行車速に対して3段階に設定した所定の増速回転速度又は減速回転速度のうちのいずれかへ、制御装置10bのCPU10cで変更制御される構成である。
【0030】
前記走行装置7の主変速レバー10aの操作による走行車速の変更制御に連動して、穀稈を刈取る刈取機3と、穀稈を脱穀する脱穀機4のフィードチェン5との回転数は、変更回転制御される。又、操作手段11の操作で、同じ走行車速に対する刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5との回転数を増速回転数、又は減速回転数に制御する構成としたことにより、走行車速に連動して、刈取機3と、フィードチェン5とが変速回転するので、この刈取機3からフィードチェン5への穀稈の引継ぎが良好になり、搬送の乱れを防止することができる。又、走行車速に対して、例えば、穀稈の倒伏がひどいとき等には、操作手段11の操作により、刈取機3と、フィードチェン5との回転速度を増速させて、穀稈を速やかに引起し、及び刈取り移送し、脱穀機4へ速く引継ぎ、この脱穀機4内を速く移送して、脱穀できる。又、負荷の変動を減少させることができる。
【0031】
前記主変速レバー10aには、図2で示す如く刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5との回転数を増速回転、又は減速回転に変更する増速側と、減速側へと切換するON−OFFスイッチ方式の操作手段11を設けた構成である。
【0032】
前記操作手段11の操作により、図3で示す如く、走行車速に対して3段階に、刈取機3とフィードチェン5との回転数を増速、又は減速する構成である。操作手段11を操作していない状態のA点からB点へ増速、又はB点からA点へ減速し、更にA点からC点へ増速、又はC点からA点へ減速する構成である。車速が0車速でも、刈取機3と、フィードチェン5とは、所定の回転数で回転駆動する構成である。
【0033】
前記操作手段11を、図4で示す如く、増速側へ一回ON操作してからOFFすることにより、油圧式無段変速装置9のステッピングモータ35が、増速側へ一回ON操作制御されてからOFFする構成である。又、操作手段11を減速側へ一回ON操作してからOFFすることにより、油圧式無段変速装置9のステッピングモータ35が、減速側へ一回ON操作制御されてからOFFする構成である。
【0034】
前記走行装置7の走行車速を設定する主変速レバー10aには、刈取機3と、フィードチェン5との回転数を増速、又は減速する操作手段11を設けたことにより、走行車速を変更しながら、容易に該操作手段11の操作ができる。又、操作が便利である。更に操作性の向上を図ることができる。
【0035】
前記穀粒貯留タンク13内に貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク13の後側には、縦移送螺旋36aを内装した排出支持筒36を略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒36の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋37aを伸縮自在に内装した排出オーガ37を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設した構成である。
【0036】
前記コンバイン1の刈取機3と、脱穀機4とは、図7、及び図8で示す如くこの脱穀機4の土台4aの右外側部には、支持板4bを設けると共に、土台4aの左側外側部と、走行車台2の左外側部とには、回動自在な回動具38を固着して設けた構成である。
前記走行車台2へ下方へ突出させて設けた走行装置7の走行フレーム7bと、脱穀機4の支持板4bとの間には、油圧駆動の傾斜用シリンダ39を設けた構成である。刈取機3と、脱穀機4とは、傾斜用シリンダ39の伸長作動により、回動具38を回動中心として、左外側へ傾斜状態に回動移
前記刈取機3と、脱穀機4とは、傾斜用シリンダ39の作動により、左外側へ傾斜状態に回動移動制御されることにより、エンジン20、ミッションケース8、刈取機3の下部、走行装置7の車体水平リンク、及びシリンダ等(共に図示せず)のメンテナンスが容易に行える。
【0037】
前記走行車台2の上側で、脱穀機4の左右両側端に位置する箇所には、図9〜図11で示す如く支持フレーム2a,2aを設けると共に、これら各支持フレーム2aの左右両側には、支持板2bを固着して設けた構成である。
【0038】
前記脱穀機4の土台4aの下側で、左右両側と、前後両側には、図11で示す如く各車輪4cを回転自在に軸支して設け、この各車輪4cは、各支持板2b間の各支持フレーム2a上側面へ位置させて設けた構成である。又、走行車台2の上側面に設けた取付板2cと、脱穀機4の土台4aの前部との間には、油圧駆動の前後シリンダ40を設けた構成である。この前後シリンダ40の伸縮作動により、脱穀機4の各車輪4cは、走行車台2の各支持フレーム2aの上側面を、前後に回転移動し、脱穀機4は、前後に移動自在な構成である。
【0039】
前記脱穀機4は、走行車台2の上側面を、前後シリンダ40の伸縮作動により、前後方向へ移動させるとこにより、エンジン20、ミッションケース8、走行装置7の車体水平リング、及びシリンダ等のメンテナンスが容易である。
【0040】
前記刈取機3の支持パイプ杆18bには、図12、及び図13で示す如く内伝動軸41を内装支軸して設け、この内伝動軸41の外側端部には、内カップリング41aを軸支して設けると共に、支持パイプ杆18bの右側端部には、回動軸42を支持パイプ杆18bと一体に形成して設けた構成である。この回動軸42部は、右回動支持メタル43aへ挿入し、回動自在に軸支した構成である。
【0041】
前記支持パイプ杆18bの左外側端部と、外支持メタル44とは、左支持メタル43bで支持した構成である。この左支持メタル43bの先端部の一方側で、支持パイプ杆18bを回動自在に支持すると共に、先端部の他方側部には、左メタル44を設けた構成である。
【0042】
前記左メタル44には、外伝動軸44aを内装軸支して設け、この外伝動軸44aの外側端部には、エンジン20の回転動力を入力して、刈取機3の各部が回転駆動される入力プーリ44bを軸支して設けると共に、内側端部には、外カップリング44cを軸支して設けた構成である。この外カップリング44cと、内カップリング41aとは、ワンタッチで噛合する構成である。
【0043】
前記刈取機3を、図12で示す如く右外側へ回動操作すると、内・外カップリング41a,44cの噛合が外れると共に、右回動支持メタル43aへ挿入した支持パイプ杆18bの回動軸42の回動中心として、刈取機3は、右外側へ回動移動される構成である。
【0044】
これにより、前記刈取機3を外側へ回動操作のときは、入力プーリ44bへ掛け渡したベルト44dを取り外す必要がなくなり、刈取機3の回動操作が容易である。
前記刈取機3を前後方向へ移動させる前後シリンダ45は、図14で示す如く設けると共に、刈取機3の右回動支持メタル43aと、左支持メタル43bとの下側には、図15で示す如く各車輪3aを回転自在に軸支した構成である。
【0045】
前記各車輪3aは、図14で示す如く走行車台2へ設けた各支持フレーム2aの上側面を、前後シリンダ45の伸縮作動により、前後へ回転移動する構成であり、これにより、刈取機3は前後へ移動する構成である。この各支持フレーム2aの左右両側には、各支持板2bを設けた構成である。又、図12、及び図13で示す如く刈取機3は右外側へ回動移動自在な構成である。
【0046】
これにより、前記刈取機3は、前方へ移動することにより、脱穀機4のフィードチェン5との干渉がなくなり、刈取機3の右外側への回動が容易である。又、前方へ移動させることにより、開閉角度が小さくても、スペースが大きくなり、このために、開閉角度を小さくすることができて、支持部材の軽量化、及びコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】コンバインの伝動機構図
【図2】操作装置部の拡大平面図
【図3】刈取機、及びフィードチェンと、走行車速との関係図
【図4】タイムチャート図
【図5】ブロック図
【図6】コンバインの左側の全体側面図
【図7】他の実施例を示す図で、刈取機、及び脱穀機の外側へ回動移動時の拡大背面図
【図8】他の実施例を示す図で、刈取機、及び脱穀機の外側へ回動移動時の拡大正面図
【図9】他の実施例を示す図で、脱穀機の後方移動時の拡大平面図
【図10】他の実施例を示す図で、脱穀機の後方移動時の拡大側面図
【図11】他の実施例を示す図で、脱穀機下部の移動部の拡大背面図
【図12】他の実施例を示す図で、刈取機の側方外側へ回動移動時の拡大平面図
【図13】他の実施例を示す図で、刈取機の側方外側へ回動移動部の拡大背面図
【図14】他の実施例を示す図で、刈取機の外方外側へ回動移動、及び前方移動時の拡大平面図
【図15】他の実施例を示す図で、刈取機下部の移動部の拡大背面図
【符号の説明】
【0048】
3 刈取機
4 脱穀機
5 フィードチェン
7 走行装置
9 油圧式無段変速装置(第1油圧式無段変速装置)
10a 主変速レバー
10b 制御装置
11 操作手段
22 油圧式無段変速装置(第2油圧式無段変速装置)
【技術分野】
【0001】
この発明は、穀稈を刈取りする刈取機と、刈取り穀稈を引継ぎ移送して脱穀する脱穀機を有するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインで立毛穀稈の収穫作業は、このコンバインを穀稈の植付圃場を走行させるが、圃場の乾・湿田状態、穀稈の作柄、及び倒伏状態等により、主変速レバーを所定位置へ操作し、走行装置の走行車速を設定して、植付圃場を走行させ、走行車台の前方部に設けて、走行車速に関係なく、一定の回転数で刈取機は回転駆動され、この刈取機で立毛穀稈は刈取りされ、この刈取り穀稈は、この刈取機で後方上部へ移送される。走行車台の上側へ載置した脱穀機のフィードチェンは、走行車速に関係なく、一定の回転数で回転駆動され、刈取機で後方上部へ移送された穀稈は、このフィードチェンと、挟持杆とへ供給されて引継ぎされ、これらフィードチェンと、挟持杆とで挟持されて、脱穀機内を挟持移送中に脱穀され、脱穀済み穀粒は、穀粒貯留タンク内へ供給され、一時貯留される。
【0003】
前述の収穫作業中に、倒伏状態が変り、走行車速を主変速レバーを操作して変更したときでも、刈取機、及び脱穀機のフィードチェンの回転数は、一定の回転数で回転駆動され、穀稈の刈取り、及び脱穀が行われる。
【0004】
そして、運転室内の切換スイッチを操作する事により、刈取前処理装置とフィードチェンの駆動をコンバインの車速に対して非同調制御するもので、この非同調制御は予め決められた一定速へ切り換える構成である(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−275749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
走行装置の走行車速に関係なく、穀稈を刈取る刈取機、及び脱穀機のフィードチェンは、一定の回転数で回転駆動されることにより、特に走行車速が最高速、又は最低速で走行したときは、刈取機から脱穀機のフィードチェンへの穀稈の引継ぎが不良になることがあったり、負荷変動が大きくなること等があったが、この発明により、これらの問題点を解決しようとするものである。
【0006】
非同調制御が一定速なので、車速が低速の時に非同調制御に切り換えると、刈取前処理装置が速すぎて脱粒や搬送乱れを起こしていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、この発明は、次のような技術的手段を講じる。
即ち、穀稈を刈取り移送する刈取機(3)と刈取り穀稈を引継ぎ移送する脱穀機(4)のフィードチェン(5)とを駆動する第1油圧式無段変速装置(9)を設け、エンジン(20)の駆動力を脱穀機(4)の駆動後に第1油圧式無段変速装置(9)に伝達する構成とし、走行装置(7)を駆動する第2油圧式無段変速装置(22)を設け、主変速レバー(10a)の操作に基づく第2油圧式無段変速装置(22)の変速に連動して第1油圧式無段変速装置(9)を変速駆動する構成とし、主変速レバー(10a)に設けた操作手段(11)の操作に基づき、走行を停止した状態で、前記第1油圧式無段変速装置(9)を変速制御して刈取機(3)及びフィードチェン(5)を所定速度で駆動させる制御装置(10b)を設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によると、走行車速が0でも、主変速レバー(10a)に設けた操作手段(11)の操作によって刈取機(3)とフィードチェン(5)を所定の回転速度で駆動して刈取作業を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行車台2の前方部には、穀稈を刈取り後方上部へ移送する刈取機3を設け、又、走行車台2の上側には、刈取り穀稈の供給を受けて引継ぎするフィードチェン5と、挟持杆6とを設けた脱穀機4を載置した構成である。これらフィードチェン5と、挟持杆6とで脱穀機4内を挟持移送中に脱穀する構成である。更に走行車台2の下側に設けた走行装置7の走行クローラ7aを回転駆動する伝動機構8aを内装した走行用のミッションケース8の上側には、油圧式無段変速装置9を設け、走行装置7の走行車速に連動して、油圧式無段変速装置9で、刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5等とを変速回転駆動する構成であると共に、操作装置10に設けた操作手段11の操作で、同じ走行速度に対する刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5との回転数を増速、又は減速制御する構成である。これら刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5と、油圧式無段変速装置9等を主としたコンバイン1の伝動装置12を主に図示して説明する。
【0010】
前記コンバイン1の走行車台2の下側には、図6で示す如く土壌面を走行する左右一対の走行クローラ7aを張設した走行装置7を配設し、走行車台2の上側には、脱穀機4を載置した構成である。走行車台2の前方部の刈取機3で立毛穀稈を刈取りし、この刈取り穀稈は、この刈取機3で後方上部へ移送され、脱穀機4のフィードチェン5と、挟持杆6とで引継ぎされて、脱穀機4内を挟持移送されながら脱穀される。脱穀済みで選別済み穀粒は、脱穀機4の右横側に配設した穀粒貯留タンク13内へ一時貯留される。
【0011】
前記走行車台2の前方部には、図6で示す如く前端位置から立毛穀稈を分離するナローガイド14a、及び各分草体14bと、立毛穀稈を引起す各引起装置14cと、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置15の各掻込装置15aと、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置14dと、刈取りされた穀稈を挟持移送して、脱穀機4のフィードチェン5と、挟持杆6とへ受渡しする穀稈掻込移送装置15の根元・穂先移送装置16a,16b等からなる刈取機3を設けている。該刈取機3は、油圧駆動による伸縮シリンダ17により、土壌面に対して、昇降自在に移動する構成である。
【0012】
前記刈取機3の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆18aの上端部には、左右方向の支持パイプ杆18bを設け、この支持パイプ杆18bを走行車台2の上側面に設けた支持装置18cで回動自在に支持させて、伸縮シリンダ17の作動により、刈取機3は支持パイプ杆18bを回動中心として、上下に回動する構成である。
【0013】
前記刈取機3の穀稈掻込移送装置15によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送される穀稈に接触作用することにより、脱穀機4へ穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ3bを設けた構成である。
【0014】
前記穀粒貯留タンク13の前側には、図6で示す如くコンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置10と、これら操作を行う作業者が搭乗する操縦席19とを設け、この操縦席19の下側で、走行車台2の上側面には、エンジン20を載置すると共に、後方部には、穀粒貯留タンク13を配設する。これら走行装置7と、刈取機3と、脱穀機4と、エンジン20等により、コンバイン1の機体1aを形成した構成である。
【0015】
前記走行車台2の前端部に装架した走行用のミッションケース8内の伝動機構8aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ8bを設けた構成である。
【0016】
図1で示す如く前記コンバイン1の伝動装置12のミッションケース8の伝動機構8aの最終段部には、左右両外側へ突出する走行車軸8cを、ミッションケース8へ軸支して設け、この各走行車軸8cの先端部には、走行スプロケット21aを軸支して設け、この走行スプロケット21aと、後スプロケット21bとには、走行クローラ7aを掛け渡した構成である。この走行クローラ7aの回転駆動により、コンバイン1は走行する構成である。
【0017】
前記ミッションケース8の上側には、図1で示す如く走行用の油圧式無段変速装置(第2油圧式無段変速装置)22を設けた構成であり、この油圧式無段変速装置22には、油圧用軸22aを軸支して設け、この油圧用軸22aには、プーリ22bを軸支して設けた構成である。このプーリ22bと、エンジン20に設けたエンジン用軸20aへ軸支したプーリ20bとには、ベルト24aを掛け渡した構成であり、エンジン20の回転動力は、油圧式無段変速装置22へ入力される構成である。この油圧式無段変速装置22へ入力された回転動力は、この油圧式無段変速装置22で変速されて、ミッションケース8へ内装した伝動機構8aを回転駆動して、走行車速を変速する構成である。
【0018】
前記エンジン20のエンジン用軸20aには、図1で示す如くプーリ20cを設けた構成である。又、脱穀機4の選別風を起風する送風ファン23のファン軸23a右側軸端部には、プーリ23bを軸支して設けた構成である。このプーリ23bと、エンジン20のプーリ20cとには、ベルト24bを掛け渡した構成である。このベルト24bには、エンジン20の回転動力を「入」・「切」する脱穀テンション装置25aを設けて、脱穀機4の送風ファン23の回転駆動を「入」・「切」する構成である。
【0019】
前記刈取機3の支持パイプ杆18aの左外側部には、図1で示す如く刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5とを変速回転駆動する油圧式無段変速装置(第1油圧式無段変速装置)9を設けた構成である。この油圧式無段変速装置9の油圧用軸9aには、プーリ9bを軸支して設けた構成である。
【0020】
前記送風ファン23のファン軸23aの左側軸端部には、プーリ23cを軸支した設け、このプーリ23cと、油圧式無段変速装置9のプーリ9bとには、ベルト26aを掛け渡した構成である。このベルト26aには、送風ファン23の回転動力を「入」・「切」するテンション装置25bを設けて、油圧式無段変速装置9の回転動力を「入」・「切」する構成である。
【0021】
前記刈取機3の支持パイプ杆18bと、油圧式無段変速装置9とには、図1で示す如く刈取上伝動軸27を内装軸支して設け、この刈取上伝動軸27の右側軸端部へ軸支して設けた伝動ギヤー27aと、支持杆18aへ内装軸支して設けた刈取上下伝動軸28の上端部へ軸支して設けた伝動ギヤー28aとは、噛合させた構成である。又、刈取上下伝動軸28の下端部には、伝動ギヤー28bを軸支して設け、この伝動ギヤー28bと、支持杆18aの下端部へ設けた刈取フレーム29へ内装軸支して設けた刈取下伝動軸29aへ軸支して設けた伝動ギヤー29bとは、噛合させた構成である。
【0022】
前記油圧式無段変速装置9へ脱穀機4の送風ファン23から入力された回転動力は、この油圧式無段変速装置9で変速され、変速回転動力は、刈取上伝動軸27の伝動ギヤー27aから刈取上下伝動軸28の各伝動ギヤー28a,28bを経て、刈取フレーム29の刈取下伝動軸29aの伝動ギヤー29bが、変速回転駆動されて、刈取機3の各部が変速回転駆動される構成である。
【0023】
前記支持パイプ杆18bと、油圧式無段変速装置9との刈取上伝動軸27の左外側端部には、プーリ27bを軸支して設けた構成である。又、脱穀機4の左外側部には、フィードギヤーケース30を設け、このフィードギヤーケース30のケース伝動軸30aには、プーリ30bを軸支して設け、このプーリ30bと、刈取上伝動軸27のプーリ27bとには、ベルト26bを掛け渡した構成である。
【0024】
前記フィードギヤーケース30のケース伝動軸30aには、伝動ギヤー30cを軸支内装した構成であると共に、フィードギヤーケース30には、チェン伝動軸31aを軸支して設け、このチェン伝動軸31aの右側軸端部には、伝動ギヤー31bを軸支して設けると共に、左外側端部には、チェンスプロケット5aを軸支して設けた構成である。チェン伝動軸31aの伝動ギヤー31bと、ケース伝動軸30aの伝動ギヤー30cとは、噛合した構成である。また、チェンスプロケット5aと、移送終端部のスプロケット5bとは、フィードチェン5を掛け渡した構成である。
【0025】
前記油圧式無段変速装置9へ脱穀機4の送風ファン23から入力された回転動力は、この油圧式無段変速装置9で変速され、変速回転動力は、刈取上伝動軸27からベルト26b、ケース伝動軸30aの伝動ギヤー30c、チェン伝動軸31aの伝動ギヤー31bを経て、チェンスプロケット5aが変速回転駆動されて、フィードチェン5が変速回転駆動される構成である。
【0026】
前記油圧式無段変速装置9により、刈取機3の各部と、フィードチェン5とは、同時に変速回転駆動される構成である。
前記操作装置10には、図1で示す如く走行装置7の走行車速を設定操作する主変速レバー10aを回動自在に設け、この主変速レバー10aの下端部には、支持杆32を固着して設け、この支持杆32の基部側と、油圧式無段変速装置22で変速回転制御するトラニオン軸(第2トラニオン軸)33へ固着して設けた走行用調節杆33aの先端部とは、ワイヤー(第2ワイヤー)33b等で接続させた構成である。
【0027】
前記支持杆32の先端部側と、油圧式無段変速装置9で変速回転制御するトラニオン軸(第1トラニオン軸)34へ固着して設けた刈取用調節杆34aとは、ワイヤー(第1ワイヤー)34b等で接続した構成である。又、刈取用調節杆34aの外形部には、ギヤー34cを設け、このギヤー34cと、ステッピングモータ35に設けたギヤー35aとは、噛合させた構成である。
【0028】
前記主変速レバー10aを所定位置へ操作すると、支持杆32、ワイヤー33b、走行用調節杆33aを介して、油圧式無段変速装置22のトラニオン軸33が回動制御され、走行装置7の走行車速は、この油圧式無段変速装置22により、増速制御、又は減速制御される構成である。又、この走行装置7の走行車速の変速制御に連動して、支持杆32、ワイヤー34b、刈取用調節杆34aを介して、油圧式無段変速装置9のトラニオン軸34が回動制御され、刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5との回転数は、この油圧式無段変速装置9により、増速回転、又は減速回転に変速回転駆動制御する構成である。
【0029】
又、前記操作装置10に設けたON−OFFスイッチ方式で増速側と、減速側とへ操作する操作手段11の操作により、この操作が操作装置10へ内装して設けた制御装置10bのCPU10cへ入力され、刈取機3と脱穀機4のフィードチェン5との回転速度が、走行装置7の同じ走行車速に対して3段階に設定した所定の増速回転速度又は減速回転速度のうちのいずれかへ、制御装置10bのCPU10cで変更制御される構成である。
【0030】
前記走行装置7の主変速レバー10aの操作による走行車速の変更制御に連動して、穀稈を刈取る刈取機3と、穀稈を脱穀する脱穀機4のフィードチェン5との回転数は、変更回転制御される。又、操作手段11の操作で、同じ走行車速に対する刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5との回転数を増速回転数、又は減速回転数に制御する構成としたことにより、走行車速に連動して、刈取機3と、フィードチェン5とが変速回転するので、この刈取機3からフィードチェン5への穀稈の引継ぎが良好になり、搬送の乱れを防止することができる。又、走行車速に対して、例えば、穀稈の倒伏がひどいとき等には、操作手段11の操作により、刈取機3と、フィードチェン5との回転速度を増速させて、穀稈を速やかに引起し、及び刈取り移送し、脱穀機4へ速く引継ぎ、この脱穀機4内を速く移送して、脱穀できる。又、負荷の変動を減少させることができる。
【0031】
前記主変速レバー10aには、図2で示す如く刈取機3と、脱穀機4のフィードチェン5との回転数を増速回転、又は減速回転に変更する増速側と、減速側へと切換するON−OFFスイッチ方式の操作手段11を設けた構成である。
【0032】
前記操作手段11の操作により、図3で示す如く、走行車速に対して3段階に、刈取機3とフィードチェン5との回転数を増速、又は減速する構成である。操作手段11を操作していない状態のA点からB点へ増速、又はB点からA点へ減速し、更にA点からC点へ増速、又はC点からA点へ減速する構成である。車速が0車速でも、刈取機3と、フィードチェン5とは、所定の回転数で回転駆動する構成である。
【0033】
前記操作手段11を、図4で示す如く、増速側へ一回ON操作してからOFFすることにより、油圧式無段変速装置9のステッピングモータ35が、増速側へ一回ON操作制御されてからOFFする構成である。又、操作手段11を減速側へ一回ON操作してからOFFすることにより、油圧式無段変速装置9のステッピングモータ35が、減速側へ一回ON操作制御されてからOFFする構成である。
【0034】
前記走行装置7の走行車速を設定する主変速レバー10aには、刈取機3と、フィードチェン5との回転数を増速、又は減速する操作手段11を設けたことにより、走行車速を変更しながら、容易に該操作手段11の操作ができる。又、操作が便利である。更に操作性の向上を図ることができる。
【0035】
前記穀粒貯留タンク13内に貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク13の後側には、縦移送螺旋36aを内装した排出支持筒36を略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒36の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋37aを伸縮自在に内装した排出オーガ37を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設した構成である。
【0036】
前記コンバイン1の刈取機3と、脱穀機4とは、図7、及び図8で示す如くこの脱穀機4の土台4aの右外側部には、支持板4bを設けると共に、土台4aの左側外側部と、走行車台2の左外側部とには、回動自在な回動具38を固着して設けた構成である。
前記走行車台2へ下方へ突出させて設けた走行装置7の走行フレーム7bと、脱穀機4の支持板4bとの間には、油圧駆動の傾斜用シリンダ39を設けた構成である。刈取機3と、脱穀機4とは、傾斜用シリンダ39の伸長作動により、回動具38を回動中心として、左外側へ傾斜状態に回動移
前記刈取機3と、脱穀機4とは、傾斜用シリンダ39の作動により、左外側へ傾斜状態に回動移動制御されることにより、エンジン20、ミッションケース8、刈取機3の下部、走行装置7の車体水平リンク、及びシリンダ等(共に図示せず)のメンテナンスが容易に行える。
【0037】
前記走行車台2の上側で、脱穀機4の左右両側端に位置する箇所には、図9〜図11で示す如く支持フレーム2a,2aを設けると共に、これら各支持フレーム2aの左右両側には、支持板2bを固着して設けた構成である。
【0038】
前記脱穀機4の土台4aの下側で、左右両側と、前後両側には、図11で示す如く各車輪4cを回転自在に軸支して設け、この各車輪4cは、各支持板2b間の各支持フレーム2a上側面へ位置させて設けた構成である。又、走行車台2の上側面に設けた取付板2cと、脱穀機4の土台4aの前部との間には、油圧駆動の前後シリンダ40を設けた構成である。この前後シリンダ40の伸縮作動により、脱穀機4の各車輪4cは、走行車台2の各支持フレーム2aの上側面を、前後に回転移動し、脱穀機4は、前後に移動自在な構成である。
【0039】
前記脱穀機4は、走行車台2の上側面を、前後シリンダ40の伸縮作動により、前後方向へ移動させるとこにより、エンジン20、ミッションケース8、走行装置7の車体水平リング、及びシリンダ等のメンテナンスが容易である。
【0040】
前記刈取機3の支持パイプ杆18bには、図12、及び図13で示す如く内伝動軸41を内装支軸して設け、この内伝動軸41の外側端部には、内カップリング41aを軸支して設けると共に、支持パイプ杆18bの右側端部には、回動軸42を支持パイプ杆18bと一体に形成して設けた構成である。この回動軸42部は、右回動支持メタル43aへ挿入し、回動自在に軸支した構成である。
【0041】
前記支持パイプ杆18bの左外側端部と、外支持メタル44とは、左支持メタル43bで支持した構成である。この左支持メタル43bの先端部の一方側で、支持パイプ杆18bを回動自在に支持すると共に、先端部の他方側部には、左メタル44を設けた構成である。
【0042】
前記左メタル44には、外伝動軸44aを内装軸支して設け、この外伝動軸44aの外側端部には、エンジン20の回転動力を入力して、刈取機3の各部が回転駆動される入力プーリ44bを軸支して設けると共に、内側端部には、外カップリング44cを軸支して設けた構成である。この外カップリング44cと、内カップリング41aとは、ワンタッチで噛合する構成である。
【0043】
前記刈取機3を、図12で示す如く右外側へ回動操作すると、内・外カップリング41a,44cの噛合が外れると共に、右回動支持メタル43aへ挿入した支持パイプ杆18bの回動軸42の回動中心として、刈取機3は、右外側へ回動移動される構成である。
【0044】
これにより、前記刈取機3を外側へ回動操作のときは、入力プーリ44bへ掛け渡したベルト44dを取り外す必要がなくなり、刈取機3の回動操作が容易である。
前記刈取機3を前後方向へ移動させる前後シリンダ45は、図14で示す如く設けると共に、刈取機3の右回動支持メタル43aと、左支持メタル43bとの下側には、図15で示す如く各車輪3aを回転自在に軸支した構成である。
【0045】
前記各車輪3aは、図14で示す如く走行車台2へ設けた各支持フレーム2aの上側面を、前後シリンダ45の伸縮作動により、前後へ回転移動する構成であり、これにより、刈取機3は前後へ移動する構成である。この各支持フレーム2aの左右両側には、各支持板2bを設けた構成である。又、図12、及び図13で示す如く刈取機3は右外側へ回動移動自在な構成である。
【0046】
これにより、前記刈取機3は、前方へ移動することにより、脱穀機4のフィードチェン5との干渉がなくなり、刈取機3の右外側への回動が容易である。又、前方へ移動させることにより、開閉角度が小さくても、スペースが大きくなり、このために、開閉角度を小さくすることができて、支持部材の軽量化、及びコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】コンバインの伝動機構図
【図2】操作装置部の拡大平面図
【図3】刈取機、及びフィードチェンと、走行車速との関係図
【図4】タイムチャート図
【図5】ブロック図
【図6】コンバインの左側の全体側面図
【図7】他の実施例を示す図で、刈取機、及び脱穀機の外側へ回動移動時の拡大背面図
【図8】他の実施例を示す図で、刈取機、及び脱穀機の外側へ回動移動時の拡大正面図
【図9】他の実施例を示す図で、脱穀機の後方移動時の拡大平面図
【図10】他の実施例を示す図で、脱穀機の後方移動時の拡大側面図
【図11】他の実施例を示す図で、脱穀機下部の移動部の拡大背面図
【図12】他の実施例を示す図で、刈取機の側方外側へ回動移動時の拡大平面図
【図13】他の実施例を示す図で、刈取機の側方外側へ回動移動部の拡大背面図
【図14】他の実施例を示す図で、刈取機の外方外側へ回動移動、及び前方移動時の拡大平面図
【図15】他の実施例を示す図で、刈取機下部の移動部の拡大背面図
【符号の説明】
【0048】
3 刈取機
4 脱穀機
5 フィードチェン
7 走行装置
9 油圧式無段変速装置(第1油圧式無段変速装置)
10a 主変速レバー
10b 制御装置
11 操作手段
22 油圧式無段変速装置(第2油圧式無段変速装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を刈取り移送する刈取機(3)と刈取り穀稈を引継ぎ移送する脱穀機(4)のフィードチェン(5)とを駆動する第1油圧式無段変速装置(9)を設け、エンジン(20)の駆動力を脱穀機(4)の駆動後に第1油圧式無段変速装置(9)に伝達する構成とし、走行装置(7)を駆動する第2油圧式無段変速装置(22)を設け、主変速レバー(10a)の操作に基づく第2油圧式無段変速装置(22)の変速に連動して第1油圧式無段変速装置(9)を変速駆動する構成とし、主変速レバー(10a)に設けた操作手段(11)の操作に基づき、走行を停止した状態で、前記第1油圧式無段変速装置(9)を変速制御して刈取機(3)及びフィードチェン(5)を所定速度で駆動させる制御装置(10b)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
穀稈を刈取り移送する刈取機(3)と刈取り穀稈を引継ぎ移送する脱穀機(4)のフィードチェン(5)とを駆動する第1油圧式無段変速装置(9)を設け、エンジン(20)の駆動力を脱穀機(4)の駆動後に第1油圧式無段変速装置(9)に伝達する構成とし、走行装置(7)を駆動する第2油圧式無段変速装置(22)を設け、主変速レバー(10a)の操作に基づく第2油圧式無段変速装置(22)の変速に連動して第1油圧式無段変速装置(9)を変速駆動する構成とし、主変速レバー(10a)に設けた操作手段(11)の操作に基づき、走行を停止した状態で、前記第1油圧式無段変速装置(9)を変速制御して刈取機(3)及びフィードチェン(5)を所定速度で駆動させる制御装置(10b)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−77733(P2009−77733A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312469(P2008−312469)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【分割の表示】特願2008−130972(P2008−130972)の分割
【原出願日】平成14年10月2日(2002.10.2)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【分割の表示】特願2008−130972(P2008−130972)の分割
【原出願日】平成14年10月2日(2002.10.2)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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