説明

コンバイン

【課題】選別部での混合物(穀粒)量に応じて、方向板の設置具合を調整して、横断流ファンの吸引風速を調節可能とし、選別部の風選別による選別効率を向上させたコンバインを提供する。
【解決手段】方向板205を、検出手段215により検出した混合物量に応じて可動自在に備えるとともに、この検出手段215により検出した混合物量に応じて開閉する唐箕シャッタ216に連動して昇降または回動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唐箕と、この唐箕の後方であって、選別部の後部の排出口に配置した、唐箕からの選別風を吸引するための横断流ファンとを備えるとともに、排出口に、選別風の風向を変えて、混合物を風選別により風選して得た排出物を、機外の一方向に排出させる方向板とを備えるコンバインに関し、より詳細には、方向板を、検出手段により検出した混合物量に応じて可動自在に備えるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインには、選別部内において唐箕により起風させた選別風により混合物を風選別し、稈屑や粉塵などを横断流ファンで機外に吸引除去させる際、横断流ファンの排出口の下方に位置する藁屑落下誘導板上に、選別風の風向(機体の前後方向)に対して左右方向に傾設させた複数のガイド板(方向板)を、それぞれ略平行に等間隔で設け、横断流ファンからの排風を一定方向に確実に案内し、稈屑や粉塵を既刈地側などに排出させる(例えば、特許文献1)ものがある。
【0003】
【特許文献1】特開平5−308840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなコンバインでは、上記ガイド板が横断流ファンの排出口に固定して取付けられているため、横断流ファンの吸引により機体前方(選別部前部)の唐箕から機体後方(選別部後部)に向けて略直線的に流れる選別風が、横断流ファンの排出口において、左右方向に傾設したガイド板に接触するため、このガイド板が妨げとなり吸引風速が大幅に低下する。そのため、選別部内での選別風の前方から後方への気流方向が変化し、混合物の風選別による選別不良や、三番ロス、粉塵の滞留や堆積などを生じるため、選別効率が低下するという問題があった。
そこで、この発明の目的は、選別部での混合物(穀粒)量に応じて、方向板の設置具合を調整して、横断流ファンの吸引風速を調節可能とし、選別部の風選別による選別効率を向上させたコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明は、穀稈を刈り取る刈取部と、該刈取部で刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、該脱穀部で脱穀した穀粒を選別する選別部とを備え、前記選別部は、該選別部の前部に配置した、流穀板上からチャフシーブおよびグレンシーブを通過して落下する穀粒を含んだ混合物を、一番物および二番物に風選別するための選別風を、前記混合物量の検出手段による検出情報に基づき前記混合物量に応じて風量を調節して供給する唐箕と、該唐箕の後方であって、前記選別部の後部の排出口に配置した、前記唐箕からの選別風を吸引するための横断流ファンとを備えるとともに、前記排出口には、前記選別風の風向を変えて、前記混合物を前記風選別により風選して得た排出物を、機外の一方向に排出させる方向板とを備えるコンバインにおいて、前記方向板を、前記検出手段により検出した前記混合物量に応じて、可動自在に備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記方向板は、前記検出手段により検出した前記混合物量に基づく前記唐箕のシャッタ開閉に連動して昇降することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記方向板は、前記検出手段により検出した前記混合物量に基づく前記唐箕シャッタの開閉に連動して回動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、穀稈を刈り取る刈取部と、この刈取部で刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、この脱穀部で脱穀した穀粒を選別する選別部とを備え、選別部は、この選別部の前部に配置した、流穀板上からチャフシーブおよびグレンシーブを通過して落下する穀粒を含んだ混合物を、一番物および二番物に風選別するための選別風を、混合物量の検出手段による検出情報に基づき混合物量に応じて風量を調節して供給する唐箕と、この唐箕の後方であって、選別部の後部の排出口に配置した、唐箕からの選別風を吸引するための横断流ファンとを備えるとともに、排出口には、選別風の風向を変えて、混合物を風選別により風選して得た排出物を、機外の一方向に排出させる方向板とを備えるコンバインにおいて、方向板を、検出手段により検出した混合物量に応じて、可動自在に備えるので、混合物量の検出手段による検出情報に応じて方向板を摺動させ、排出口の吸引風向を変えることにより、横断流ファンによる選別風の吸引風速を調節して、選別部内の混合物量に応じて効率的に混合物を風選別するとともに、稈屑や発生する粉塵などを確実に吸引除去することができる。従って、選別部での混合物量に応じて、横断流ファンの吸引風速を調節し、選別部の風選別による選別効率を向上させたコンバインを提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、方向板は、検出手段により検出した混合物量に基づく唐箕のシャッタ開閉に連動して昇降するので、選別部内の穀粒量が多く、唐箕シャッタを開いて、選別風量を増加させた場合には、方向板を下降(収納)させることで、排出口における選別風路の妨げを少なくし、横断流ファンによる選別風の吸引風速を上昇させることができ、効率的に混合物を風選別するとともに、稈屑や発生する粉塵などを確実に吸引除去することができる。また、上記とは反対に、選別部内の穀粒量が少なく、唐箕シャッタの開度を小さくし、選別風量を減少させた場合には、方向板を上昇させることで、排出口における選別風路の妨げを多くし、横断流ファンによる選別風の吸引風速を下げ、選別回収し得る穀粒の機外排出を防ぐことができる。従って、横断流ファンの吸引風速を、唐箕の風量を調節する唐箕シャッタに連係して調節可能とし、選別部の風選別による選別効率を向上させたコンバインを提供することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、方向板は、検出手段により検出した混合物量に基づく唐箕シャッタの開閉に連動して回動するので、選別部内の穀粒量が多く、唐箕シャッタを開いて、選別風量を増加させた場合には、方向板を選別風の風向に対して略平行の位置に回動させることで、排出口における選別風路の妨げを少なくし、横断流ファンによる選別風の吸引風速を上昇させることができ、効率的に混合物を風選別するとともに、稈屑や発生する粉塵などを確実に吸引除去することができる。また、上記とは反対に、選別部内の穀粒量が少なく、唐箕シャッタの開度を小さくし、選別風量を減少させた場合には、方向板を選別風の風向に対して左右方向に傾斜させることで、排出口における選別風路の妨げを多くし、横断流ファンによる選別風の吸引風速を下げ、選別回収し得る穀粒の機外排出を防ぐことができる。従って、横断流ファンの吸引風速を、唐箕の風量を調節する唐箕シャッタに連係して調節可能とし、選別部の風選別による選別効率を向上させたコンバインを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1はこの発明の一例としての自脱型コンバインの右側面図、図2は図1のコンバインの左側面構成図、図3は穀稈搬送装置の側面図、図4は脱穀部および選別部の左側面模式図、図5はエンジンから排出オーガまでの動力伝達経路を示す模式図である。
【0012】
まず、符号1は左右一対の走行クローラ2を装設する左右一対のトラックフレーム、符号3は前記左右トラックフレーム1に架設する機台、符号4はフィードチェーン49を左側に張架し扱胴6及び処理胴を内蔵している脱穀機である脱穀部、符号7は引起機構8及び刈刃9及び収穫物搬送手段10などを備える刈取部、符号13は排藁チェーン終端を臨ませる排藁処理部、符号15は脱穀部4からの籾を揚穀筒を介して搬入するグレンタンク、符号17はグレンタンク15の籾を機外に搬出する排出オーガ、符号19は運転操作ハンドル、符号20は運転席、符号21は運転席20下方に設けるエンジンであり、これらにより自脱型のコンバイン30が連続的に稲などの農作物を刈取って脱穀するように構成されている。
【0013】
機台3の後部にはグレンタンク15内の籾を外部へ排出するための排出オーガ17の縦オーガ23が立設されており、縦オーガ23を中心としてグレンタンク15が左右回動可能に設けられて、グレンタンク15の前側を外方に回転させて開放可能に構成されている。さらに、機台3後部には、脱穀部4に連続して穀稈搬送装置40が内設されている。
【0014】
刈り取られた穀稈は、収穫物搬送手段10にて後部へ搬送され、収穫物搬送手段10の上端から株元側が穀稈搬送装置のフィードチェーン49に受け継がれ、扱胴供給始端部を介して脱穀部4および選別部からなる脱穀装置内に穀稈が搬送される。そして、フィードチェーン49後端には排藁搬送チェーンを備える排藁搬送装置50が配設され、排藁搬送チェーン後部下方にはカッター,結束機等からなる排藁処理部が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出し、或いは切断せずに放出するようにしている。
【0015】
脱穀部4は、コンバイン30の進行方向左側に配置され、脱穀部4の右側には選別後の精粒を貯留するグレンタンク15が配設されている。そして、グレンタンク15の前方には運転席20が配設されている。つまり、運転席20は機体の進行方向右前方に配置されている。一方、グレンタンク15の後方には排出オーガ17の縦オーガ23が立設され、縦オーガ23を中心にして排出オーガ17及びグレンタンク15が側方へ回動可能とし、グレンタンク15を側方へ回動することにより機体内側に配置した駆動系や油圧系のメンテナンスを容易にしている。
【0016】
そして、グレンタンク15の底部には排出コンベアが前後方向に配設され、排出コンベア16の後部が縦オーガ23の下部に連通されるとともに、排出コンベア16後部から排出オーガ17に動力が伝達されて、排出オーガ17先端よりトラック等へグレンタンク15内の穀粒を排出できるようにしている。更に、脱穀部4の下方には、選別部130が配設され、脱穀部4から流下する穀粒や藁屑等から穀粒を選別し、精粒をグレンタンク15に搬送したり、藁屑等を機外に排出したりグレンタンク15に搬送するようにしている。
【0017】
図3には、穀稈搬送装置40付近の左側面図を示す。穀稈搬送装置40は、上述の脱穀部4において、刈り取った穀稈の一端(株元側)を挟扼しながら搬送するためのものであり、刈取部7で刈り取った穀稈を排藁搬送装置の排藁搬送チェーン51まで搬送するフィードチェーン49と、フィードチェーン49上方に配設され、搬送されている穀稈を挟扼する挟扼杆41と、挟扼杆41を本機側に対して弾性支持する複数の弾性支持体42等とから構成されている。
【0018】
この穀稈搬送装置40においては、対向配置される挟扼杆41とフィードチェーン49とによって、刈取部7で刈り取った穀稈の株元側を挟扼し、扱室内の扱胴6によって脱穀する構成となっており、この挟扼杆41とフィードチェーン49とが対向した部分を搬送経路としている。そして、脱穀部4にて脱粒された排藁は、フィードチェーン49の後端部(下流側端部)において、排藁搬送装置の排藁搬送チェーン51へと受け継がれ、この排藁搬送チェーン51によって排藁処理部13へと搬送される。
【0019】
挟扼杆41は、扱室カバー4aの機体進行方向左側端部においてステー43等によって固設される支持杆44と、支持杆44に複数の弾性支持体42を介して弾性支持されて設けられている。この挟扼杆41は、フィードチェーン49に沿うように左右平行状に一対の板状部材が配置された形状となっており、フィードチェーン49による搬送方向断面視逆U字状に形成されている。
【0020】
支持杆44は、中空の柱状部材であり、扱室カバー4a内左側において前後方向に長く、挟扼杆41と並列的に配置されるように形成されている。そして、この支持杆44の側面には一定間隔ごとに弾性支持体42がその上部が支持されるとともに配設され、これら弾性支持体42の下部に挟扼杆41が弾性支持されている。この弾性支持体42の下部は、挟扼杆41に連結ピンで枢支されており、弾性支持体42の上部は支持杆44よりも上方に延出されている。
【0021】
次に、脱穀部4について図4を用いて説明する。脱穀部4に形成された扱室121には、機体の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴6が設けられ、扱胴6の外周面には複数の扱歯122aが植設されている。そして、扱胴6の下部周辺を覆うように半円形状の受網123が着脱可能に周設されている。一方、フィードチェーン49により、穀桿の株元側が拘束されつつ、穀桿の先端側が扱胴6の下方に挿入されて穀稈が機体後方に搬送される。このとき、扱胴6の回転により脱粒が行われ、受網123から穀粒や藁屑等が漏下するようにしている。
【0022】
扱室121を被覆する扱室カバー121aの内周面には送塵弁124が左右幅方向に適宜間隔を開けて設けられ、上下方向の回動支点を中心に回動自在に枢支されている。そして、送塵弁124を回動操作することにより、穀稈が扱室121内を移動する時間を穀稈の品種や穀稈の状態に合わせて調整することを可能としている。
【0023】
そして、扱胴6の後部の側方(グレンタンク15側、本実施例では機体進行方向右側)から後方には、処理室125が形成され、処理室125内には略円柱形状に構成した送塵口処理胴126が扱胴6と平行となるように、扱胴6の後部の側方で前後方向に横架・軸支されている。また、扱胴6を覆って扱室121を形成する扱胴ケースの後部(右)側面、及び、送塵口処理胴126を覆って処理室125を形成する処理胴ケースの前部(左)側面には送塵口127が開口され、扱室121と処理室125が連通されている。そして、送塵口処理胴126の下部周辺を覆うように半円形状の処理胴網128が周設されている。こうして、扱胴6で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物は、送塵口127より処理室125内に搬送されて処理され、処理胴網128に設けられた孔(網目)を通過して処理物のみが漏下するようにしている。
【0024】
また、送塵口処理胴126の後端部の外周面には前後に長い板体より成る羽体126aが固設されている。羽体126aは、送塵口処理胴126と一体的に回転し、送塵口処理胴126により処理室125後方まで搬送されてきた藁屑は羽体126aの回転によって跳ね飛ばされ、送塵口処理胴126の下方に排出され、不図示のガイド板によって機体外部に案内される。
【0025】
処理胴網128の下方には、送塵搬送コンベア129が前後方向に軸架されている。送塵搬送コンベア129はスクリュー式のコンベアであり、送塵搬送コンベア129によって、処理胴網128に設けられた孔(網目)を通過して下方に落下してきた処理物は、機体前方(すなわち、送塵口処理胴126の搬送方向とは逆の方向)に向かって搬送されて、送塵搬送コンベア129前端に設けられた排塵口129aより選別部130に再投入される。
【0026】
そして、扱胴6の後方には出口仕切板152が配設され、出口仕切板152の下部であって扱胴受網123の延長線上後方には篩分装置120が配設されて、稈切れの防止が図られている。
【0027】
続いて、選別部130について説明する。選別部130においては、揺動選別装置131による揺動選別と唐箕132による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別される。
【0028】
揺動選別装置131は機枠133内に収納される。揺動選別装置131の前端部は扱胴6の前端部の下方まで延出され、揺動選別装置131の後端部は送塵口処理胴126後端部の下方まで延出されるように揺動選別装置131の前後長さが定められている。そして、揺動選別装置131前下部には図示せぬ揺動軸が設けられるとともに、後部には揺動駆動機構134が設けられ、揺動駆動機構134によって揺動選別装置131が機枠133に対して揺動するように構成されている。なお、揺動駆動機構134の後下方には燃料タンク(不図示)が配置されている。
【0029】
揺動選別装置131の前部には流穀板135が設けられるとともに、流穀板135の後下方に搬送板136が設けられる。これら流穀板135および搬送板136は、板状の部材を波形に成形したものであり、受網123を通過した処理物(穀粒および藁屑等との混合物)は流穀板135および搬送板136上に落下し、揺動選別装置131の揺動により機体後方に搬送される。そして、搬送板136後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ137が連設されるとともに、グレンシーブ137と搬送板136の上方、かつ流穀板135の後方には、第一選別部であるチャフシーブ138が被装されている。チャフシーブ138の後方には、ストローラック139が配設される。
【0030】
チャフシーブ138は複数のチャフフィンから構成され、投入される処理物の量に応じてチャフフィンの開度を調節することが可能としている。すなわち、チャフフィンの上下一側端部が揺動選別装置131に枢支されて、チャフシーブ138左右両側に設けられた揺動板に枢結され、また、他側端部がチャフシーブ138左右両側に設けられた摺動板に枢結されている。揺動板は揺動選別装置131と一体的に揺動され、また、摺動板には調節レバーが枢結されており、調節レバーに連結されたワイヤの弛緩又は牽引により摺動板が前後に摺動される。調節レバーは、ワイヤと反対側に設けられたバネによって各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とする方向に付勢されている。
【0031】
そして、摺動板の摺動によりチャフフィンの角度が変更され、チャフフィンの傾斜角を大(立てる)とさせるとき、チャフシーブ138の開度を大として穀粒の漏下量を増大させ、各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とさせるときチャフシーブ138の開度を小として穀粒の漏下量を減少させるように構成している。
【0032】
こうして、穀粒および細かい藁屑はチャフシーブ138を通過して下方に落下し、チャフシーブ138の開口よりも大きい藁屑等は後方に搬送される。このとき、チャフシーブ138とグレンシーブ137との間には唐箕132により選別部130の前方から後方への気流が発生しており、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
【0033】
出口仕切板152には排稈口152aが形成されており、出口仕切板152は排稈口152aを囲む形状に形成されて、排稈口152aの下方にも出口仕切板152が存在している。そして、出口仕切板152の排稈口152aの下方に位置する部分に篩分装置120が取り付けられている。
【0034】
篩分装置120は側面視において扱胴6と横断流ファン140の間であって、送塵口処理胴126の側方、且つチャフシーブ138を備えた揺動選別装置131の上方に配設されている。そして、篩分装置120は扱胴6の下後端の直ぐ後方に配置されて、扱胴6下方の風路を抜けた選別風が、それよりも広い風路に出るところに位置している。
【0035】
また、揺動選別装置131の前流穀板135後部下方かつ後流穀板136前部下方に唐箕132が配置され、チャフシーブ138やグレンシーブ137に選別風を送風するようにしている。さらに、一番コンベア141と二番コンベア142との間にも副圧送ファンであるセカンドファン143が設けられて選別風を送風している。
【0036】
そして、揺動選別装置131の後端部近傍には横断流ファン140が全幅に横設され、唐箕132、セカンドファン143から供給される選別風の流れに乗ってきた塵埃や脱穀時に発生する塵埃等を、上下ファンケーシング201,202および舌部203によって覆われている横断流ファン140により吸引し、排出口200を介して機外へと排出するようにしている。なお、後述するが、上ファンケーシング201には、排出口200において選別風の風向を調節するための、本願発明の要部である方向板205が、1枚もしくは2枚以上複数枚であればそれぞれ略平行にして、選別風の風向に対して左右方向に傾設させて取付けられる。これにより通常は、選別風(排風)の流れに乗ってきた塵埃等は、この方向板205で一定方向に風向が変えられ、稈屑や粉塵を機体進行方向の右側である既刈地側などに排出させることができる。
【0037】
また、揺動選別装置131下方の前後途中位置には、左右方向に一番コンベア141と二番コンベア142とが横設される。一番コンベア141と二番コンベア142との位置関係は、一番コンベア141が唐箕132に近い側(機枠133の前部)、二番コンベア142が唐箕132から遠い側(機枠133の後部)となる。
【0038】
一番コンベア141の右端部にはその長手方向(搬送方向)が略上下方向となるように設けられた揚穀コンベア144が連結され、揚穀コンベア144の上端はグレンタンク15内と連通している。
【0039】
選別部130内に投入され、前流穀板135上に漏下された穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑等の混合物は、チャフシーブ138上に漏下される過程で唐箕132により発生する選別部130の前方から後方への気流により、細かい藁屑の一部が後方へ吹き飛ばされる。チャフシーブ138上に漏下した穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑等の混合物は、揺動選別装置131の揺動により、後方に搬送される、このとき、穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等はチャフシーブ138の開口部より下方に落下し、大きい藁屑はチャフシーブ138後方まで搬送され、ストローラック139を経て機外に排出される。
【0040】
チャフシーブ138の開口部より下方に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等は後流穀板136およびグレンシーブ137上に漏下される。このときにも唐箕132からの選別風により、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて分離される。
【0041】
グレンシーブ137上に漏下された穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等のうち、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑等はグレンシーブ137を通過して下方に落下する。このとき、重量が大きい穀粒(一番)は一番回収部146(流穀板145の後方に設けられた選別部130底面の窪みであり、一番コンベア141が収容されている)に回収され、一番コンベア141から揚穀コンベア144を経て、グレンタンク15に搬送される。
【0042】
一方、重量が小さい未熟穀粒や細かい藁屑の一部や穂切り粒や穀粒等が混じった未処理粒は、唐箕132からの選別風により後方に吹き飛ばされ、二番回収部147(一番回収部146の後方に設けられた選別部130底面の窪みであり、二番コンベア142が収容されている)に回収され、二番コンベア142から二番還元コンベア148を経て、枝梗処理胴149に搬送され、枝梗処理胴149により枝梗が除去された後、前流穀板135上(またはチャフシーブ138上)に再投入される。
【0043】
次に、脱穀部4の扱胴供給始端部161について説明する。扱胴供給始端部161は扱室121の入口側で、揺動選別装置131の前上方に形成されている。扱胴供給始端部161には、側面視において扱胴6下部に周設される受網123の前端から前方へ延設される供給案内板162や下面及び前面で穀稈を案内する上部案内板163が備えられるとともに、扱胴6の回転軸に動力を伝達するプーリ等が収納されている。
【0044】
供給案内板162は、機枠133に固定保持されている。供給案内板162は鉄板や弾性体等で構成されており、扱胴6の外周形状に合わせて左右方向に緩やかに湾曲されて、正面視樋状に形成されている。そして、側面断面視において、供給案内板162は前部が後下がりの傾斜部として穀粒等が後方の扱室121(脱穀部4)に流れやすくし、後部は受網123前部と連結するために扱胴6の外周面と略平行(同心円)に構成して、下端においては水平となるようにしている。
【0045】
上部案内板163は、フィードチェーン49により搬送される穀稈を扱胴6の下部へ導くようにして、穀稈が扱胴6の回転軸等に絡まることを防止している。また、上部案内板163は扱室121のフレームに固定されて、不安定にならないようにしている。
【0046】
このように供給案内板162と上部案内板163とで形成される扱胴供給始端部161の穀稈案内構造は、正面視において略「コ」字形状にフィードチェーン49側の側方を開口して形成され、フィードチェーン49等からなる穀稈搬送装置40によって機体後部へ搬送される穀稈を供給案内板162と上部案内板163の間に案内して滞りなく脱穀部4へ搬送できるようにしている。
【0047】
扱胴供給始端部161であって、フィードチェーン49と左右逆側(進行方向右側)の扱室121内側面には、飛散防止用ガイドとして送りガイドとリード板164とが設けられている。より詳しくは、扱胴供給始端部161の正面視「コ」字状開口の奥側(閉側)の扱室121内の前部には、板状部材で構成した送り込み用リード板164と、リード板164の側方位置で凸上に構成した送りガイドが設けられ、該送りガイドとリード板164は供給案内板162の後部上方であって、上部案内板163の外枠と受網123の外枠との間に形成される樋状の連結部上に設けられている。
【0048】
送りガイドは略三角錐状で上部案内板282と連結部の隅部に跨がり扱胴6側に膨出して設けられ、穀稈の穂先を扱胴6側に案内し、扱胴供給始端部280側へ逆流しないように案内している。そして更に、該送りガイドの扱室121内面上方に連続してリード板284が設けられ、受網123の上前方に配設されている。
【0049】
リード板164は、扱室121上部の内周面に配置された送塵弁124の傾斜に略合わせるように設けられており、リード板164の板面の延長方向が送塵弁124の板面に向けられている。こうして、扱胴6によって脱穀されるように穂先を扱室121内でフィードチェーン49と略直角方向になるようにリード板164により揃えるとともに、脱穀時に発生する藁屑等や脱粒された籾等を送塵弁124と平行に流れるよう案内している。そして、従来、扱胴供給始端部161側へ飛散していた稈屑等を扱室121内へ戻すことで、ロスの減少を図るようにしている。
【0050】
リード板164は、鉄板等の板状部材で構成されており、扱室121内の圧力によって変形しないように強度及び、耐磨耗性等を考慮して構成されている。そして、リード板164は、L字状に屈曲されて、扱室121の内周面に対して垂直に立設されている。リード板164の底面の固定部はボルト等で扱室121の内側面に締結されて、着脱可能に構成されている。このため、万一、リード板164が破損した場合等、容易に取り替え作業を行うことができ、メンテナンス性を向上できる。
【0051】
このように、脱穀部4の扱胴供給始端部161であって、フィードチェーン49と反対側の扱室121内側面にリード板164を配置することで、扱室121内の藁屑等が扱胴供給始端部161へ飛散することを防止して、送塵弁124側へ案内して扱室121の終端部側へ案内することができるのである。そして、従来、扱胴供給始端部161へ飛散していた穀粒等を回収することができ、ロスを減少することができるのである。
【0052】
ここで、エンジン21からグレンタンク15および排出オーガ17への駆動力伝達経路について、図5を用いて説明する。エンジン21の前方出力軸21aは、走行クローラ2を駆動するための走行用ミッションケースの入力軸と連結され、走行クローラ2へ駆動力を伝達する。一方、後方出力軸21bには、脱穀部4や選別部130へ駆動力を伝達するためのプーリ62と、グレンタンク15および排出オーガ17へ駆動力を伝達するためのプーリ63とが嵌設されている。
【0053】
プーリ62は、カウンターケース108から突出する入力軸108aに固設された入力プーリ109にVベルト110を介して連結され、カウンターケース108の入力軸108aにエンジン21の駆動力の一部が伝達されるようにしている。こうして、エンジン21からの動力をカウンターケース108を介して各処理系に伝達し、扱胴6や唐箕132、一番コンベア141、フィードチェーン49、刈取部7の搬送装置や刈刃9等を駆動可能としている。カウンターケース108は各処理系へ適正速度を分配可能とするものであり、エンジン21の左側方、且つ脱穀部4の前方に配設されている。
【0054】
また、グレンタンク15の底部前面はエンジン21の略後方に位置し、グレンタンク15の底部前壁面には駆動部となる駆動ケース64が配設されている。そして、駆動ケース入力軸65が駆動ケース64から機体前方へ突出し、駆動ケース入力軸65の前端にはプーリ66が嵌設される。
【0055】
後方出力軸21b後端に嵌設されたプーリ63と、駆動ケース入力軸65前端に嵌設されたプーリ66とにVベルト67が巻回され、エンジン21の駆動力の一部が駆動ケース64の入力軸65に伝達される。
【0056】
また、プーリ63とプーリ66の間には、Vベルト67のテンションプーリを兼ねるオーガクラッチ68が設けられ、駆動力を駆動ケース64より下流側へ伝達・遮断可能に構成される。
【0057】
駆動ケース64内には互いに噛合する平歯車69a・69bが収納されており、平歯車69aは駆動ケース64に軸支された前記入力軸65の後端に外嵌固定され、平歯車69bは排出コンベア16の前端に嵌設された回転軸であるコンベア駆動軸70に外嵌固定される。
【0058】
排出コンベア16の後端にはベベルギア71が嵌設され、縦オーガ23内のスクリュー式の縦送りコンベア72下端に嵌設されたベベルギア73と噛合している。一方、縦送りコンベア72上端にはベベルギア74が嵌設され、ベベルギア74と噛合するベベルギア75、チェーンやスプロケットを内設する中間ケース76、続いてベベルギア77・78を経て排出オーガ17内のスクリュー式の横送りコンベア79を回転駆動する。
【0059】
このように構成することにより、グレンタンク13に貯溜された穀物は排出コンベア16により後方に搬送され、グレンタンク13後方に位置する縦オーガ15aを経て、穀粒排出オーガ15先端から強制的に排出される。
【0060】
次に、選別部の穀粒量による唐箕シャッタの開閉に連動して可動可能に備える方向板の具体的構成を説明する。図6は唐箕の左側面模式図、図7は唐箕と混合物量検出手段との連係図、図8は横断流ファンおよび横断流ファン周辺の左側面模式図、図9は横断流ファンおよび横断流ファン周辺の左側面模式図、図10は図9における方向板のA矢視背面模式図、図11はモータによる昇降を示した方向板の背面模式図、図12はワイヤによる昇降を示した方向板の背面模式図、図13は唐箕シャッタと方向板との連係図、図14は回動可能とする方向板を示す排出口近傍の背面模式図である。
【0061】
まず、上述した唐箕132は、図6に示すように、ファンケーシング211内に左右方向に支軸212を架設し、このファン支軸212の周面に多数のファン213を放射状に取り付けて、ファン支軸212を図示しないモータなどにより回動させることで、ファン213を回転させて、ファンケーシング211の左側方に開口した吸気口214から吸引した空気を、選別風として後方に送風することにより、選別部130内に漏下した混合物が風選別される。
【0062】
また、例えば、一番コンベア141の前部上方から二番コンベア142の上方近傍などにかけて、図7に示すように、混合物量検出手段215としての、サーモスタッド形の風速センサなどを1個または複数個配設するとともに、この混合物量検出手段215は、コントローラCに接続される。なお、混合物量検出手段215は、上述したサーモスタッド形の風速センサに限定されず、適宜方法による混合物量検出手段215を適宜位置に設置することができる。
【0063】
次いで、唐箕132のファンケーシング211には、吸気口214の開口量を調節する唐箕シャッタ216の前端部を、支持片217を介して左右方向に軸線を向けた支軸218により枢支して、唐箕シャッタ216が上下方向に回動可能とされる。そして、支軸218にはアーム219が取付けられ、アーム219は、ワイヤ220などを介してモータ221に接続される。なお、モータ221は、コントローラCに接続されている。
【0064】
このような構成で、選別部130に漏下した穀粒量(混合物量)が多い場合には、これら穀粒が、唐箕132からの選別風の後方への流れを妨げるため、混合物全体の選別に必要な風力が不足する。そこで、混合物量の検出手段215が、設置位置において選別風量が少ないことを検出した検出情報に基づいて、コントローラCはモータ221を作動させて、アーム219の前端部を、ワイヤ220を介して図7において上方に回動させることで、唐箕シャッタ216の後部を、支軸218を中心として左側面視時計周りに回動させ、唐箕132における選別風の送風量が上昇する。なお、唐箕シャッタ216は、混合物量の検出手段215の検出情報により、閉じられた位置cから全開の位置dまでの間で穀粒量に応じた角度に開く構成とすることができる。従って、唐箕132は、唐箕シャッタ216を位置dに回動させることで、送風量を最大にすることができる。
【0065】
また、上述とは反対に、選別部130に漏下した混合物量が少なく、後方へ送風される唐箕132からの選別風が、穀粒による遮蔽が少ないために強い場合は、混合物中の選別回収すべき穀粒までも強い選別風により飛散排出させてしまい、三番ロスが生じてしまう。このため、混合物量の検出手段215が、設置位置において選別風量が多いことを検出した検出情報に基づいて、コントローラCはモータ221を作動させて、アーム219の前端部を、ワイヤ220を介して下方に回動させることで、唐箕シャッタ216の後部が支軸218を中心として左側面視反時計周りに回動し、唐箕シャッタ216を閉じる方向に回動させ、唐箕132における選別風の送風量を減少させて、三番ロスなどを防止する。なお、唐箕シャッタ216は、検出手段215の検出情報により、位置cから位置dまでの間で、混合物量に応じた角度に閉じる構成とすることができる。
【0066】
以上のような、唐箕132から発生される選別風の送風量を調節可能とする選別部130の構成は、例えば、特開2004−65247などに記載される周知技術であるが、従来では、上述のようにして選別部130の混合物量に伴い、唐箕シャッタ216を全開にして選別風の送風量を増加させても、横断流ファン140により吸引された選別風が、排出口200において選別風の風向に対して左右方向に傾設した方向板205に接触するため、横断流ファン140による選別風の吸引風速が、この排出口200で減速してしまう。その結果、排出口200において、唐箕132から送風される選別風の一部を排風することができず、選別部130内において前方から後方へ向う選別風の流れが変化し、対流などを生じさせ、稈屑や粉塵などを吸引除去できず滞留させてしまうなど、選別部130の選別効率が悪くなっていた。そこで、本願発明は、以上のような選別部130に漏下した混合物量に伴い送風量を調節可能とする唐箕132の構成に加えて、選別風の吸引側である横断流ファン140による排風の吸引風速(吸引風量)を方向板205によって調節可能としたものである。
【0067】
まず、横断流ファン140は、図4および図8〜9に示すように、選別部130の後端部であって、機体後部の排出口200内側に配設される。この横断流ファン140は、左右方向に横長の形状を有しており、回転軸204を左右側壁205に軸装させて設置される。そして、横断流ファン140の外周面には、左右方向に複数の起風板206が略平行に備えられる。
【0068】
また、横断流ファン140の上方には、横断流ファン140を上方から覆うようにして上ファンケーシング201と、横断流ファン140の後部下方にも、横断流ファン140を下方から覆うようにして、前方に舌部203を連設した下ファンケーシング202とが、それぞれ左右端部を左右側壁205に取付けて固設されている。なお、下ファンケーシング202は遮蔽板を兼ねており、選別部130で選別風により後方の横断流ファン140下方まで飛散した穀粒を含む混合物を、下ファンケーシング202に衝突させて、下方の揺動選別装置131内に導くものである。
【0069】
次に、排出口200内の上部であって、上ファンケーシング201には、図9〜10に示すように、上部を溶接またはボルトなどの締結具で取付けた、1枚もしくは2枚以上複数(図中では3枚)の方向板205が、下方に向けて突設される。そして、この方向板205は、選別部130内を前方から後方へ流れる選別風の風向に対して、左右方向、つまり方向板205の前部を機体左側および後部を機体右側に傾けて斜設する。
【0070】
なお、方向板205の設置枚数は、上述したように限定されないが、選別風の風向を確実に変更させることから複数枚設置されることが好ましい。その場合、それぞれの方向板205を等間隔で略平行に設置される。
【0071】
次いで、各方向板205は、図11〜12に示すように、外部方向板205aと、この外部方向板205a内を上下方向に昇降自在とする内部方向板205bとの二重構造からなる構成とされる。これは、例えば、図11に示すように、上ファンケーシング201に上述のようにして取付けた、内部に凹部207を有する背面視略U字形状の外部方向板205aの凹部207内に、内部方向板205bが嵌設されている。そして、外部方向板205aの高さは、排出口200の高さの1/4程度としてもよい。また、内部方向板205bは、この内部方向板205bを下方に最も突出させた(内部方向板205bの下端が位置aにある)場合、内部方向板205bの下端が排出口200の高さの中央近傍に位置する程度の高さを有する内部方向板205bとされる。さらに、外部方向板205aの高さは、内部方向板205bを最も深く収容させた場合(内部方向板205bの下端が位置bにある)に、内部方向板205bの下端が外部方向板205aの下端に位置する程度の高さにしてもよい。
【0072】
また、上ファンケーシング201上部には、図13に示すコントローラCに接続したモータM1が設置され、凹部207内であって、このモータM1と、内部方向板205bの上端部との間は、モータM1により伸縮自在とするアーム208が接続される。なお、モータM1の設置は、前述の位置に限定さない。
【0073】
ここで、刈取部7で刈取った穀稈が、脱穀部4に搬送され、脱穀部4で脱穀された穀粒を含む混合物が、選別部130に漏下した際、上述したように混合物量が多い場合には、混合物量検出手段215が、設置位置において選別風量が少ないことを検出した検出情報に基づいて、コントローラCはモータ221を作動させて、アーム219の前端部をワイヤ220を介して上方に回動させることで、唐箕シャッタ216が支軸218を中心として左側面視時計周りに回動し、唐箕シャッタ216が適宜角度で開かれ、唐箕132における選別風の送風量を上昇させる。
【0074】
このとき、コントローラCは、モータ221とともにモータM1も作動させて、アーム208を上方に摺動させる。このため、内部方向板205bが、外部方向板205aの凹部207内に収容され、内部方向板205bの下端が位置bに向けて適宜位置に上昇する。
【0075】
この結果、排出口200内において、外部方向板205aから下方に突設した内部方向板205bが上方の外部方向板205aの凹部207内に収容されることで、方向板205の選別風との接触面積が小さくなり、外部方向板205aが選別風の風向に対して左右に斜設されていても外部方向板205aの高さが低いため、選別風の風向を変えるための風路の妨げが少なくなることにより、横断流ファン140の吸引風速が上昇する。なお、内部方向板205bは、混合物量検出手段215の検出情報により、唐箕シャッタ216の開度に応じた、その下端を位置aから位置bまでの間の適宜位置に比例して上昇させ、方向板205を穀粒量に応じた高さにすることができる。従って、横断流ファン140は、内部方向板205bの下端を位置bに摺動させることで、吸引風速が最大となる。
【0076】
このような構成により、選別部130の穀粒量の増加に伴い唐箕シャッタ216を開いて唐箕132の送風量を上昇させたとき、唐箕シャッタ216の回動に連動して内部方向板205bを上方に摺動させて外部方向板205a内に収容させ、横断流ファン140の吸引風速を上昇させることができるため、唐箕132が送風する選別風を横断流ファン140によって、より多く吸引することができ、選別部130内において前方から後方へ向う選別風の流れを維持して、対流の発生を防止し、稈屑や粉塵などを確実に吸引除去して、選別部130の選別効率を向上させることができる。
【0077】
なお、上記とは反対に、上述したような選別部130に漏下した混合物量が少ない場合は、混合物量検出手段215が、設置位置において選別風量が多いことを検出した検出情報に基づいて、コントローラCはモータ221を作動させて、アーム219の前端部をワイヤ220を介して下方に回動させることで、唐箕シャッタ216の後部が支軸218を中心として左側面視反時計周りに回動し、唐箕シャッタ216を閉じる方向に回動させ、唐箕132における選別風の送風量を減少させる。
【0078】
このとき、コントローラCは、モータ221とともにモータM1も作動させて、アーム208を下方に摺動させる。このため、内部方向板205bが、外部方向板205aの凹部207内から下方に突出し、内部方向板205bの下端が位置aに向けて適宜位置に下降する。
【0079】
この結果、排出口200内において、外部方向板205aの凹部207内に収容される内部方向板205bを、下方に突出させることで、方向板205全体の高さを高くすると、方向板205の、選別風との接触面積が大きくなり、選別風の風向を変えるための風路の妨げが大きくなることにより、横断流ファン140の吸引風速が低下する。このため、選別部130での混合物量が少ない中、後方へ送風される唐箕132からの選別風量を低下させるとともに、横断流ファン140による選別風の吸引風量を減少させることで、三番ロスなどを確実に防止することができる。
【0080】
なお、内部方向板205bは、混合物量検出手段215の検出情報により、唐箕シャッタ216の開度に応じた、その下端を位置bから位置aまでの間の適宜位置に比例して下降させ、方向板205を穀粒量に応じた高さにすることができる。従って、横断流ファン140は、内部方向板205bの下端を、位置aに摺動させることで、吸引風速が最小となる。
【0081】
また、内部方向板205bの昇降は、上述のほかに、例えば、ワイヤなどによっても行なうことができる。この場合、例えば図12に示すように、外部方向板205aにおける凹部207内の左右内側部には、凹凸状の係合部235が設けるとともに、内部方向板205bにおける上部の左右外側部にはノッチ209が設けられる。なお、このノッチ 209は、外圧によりバネなどの弾性部材209aの付勢に抗して内側(内部方向板205b側)に縮むが、外圧から解除されると弾性部材209aの付勢により元の側方位置に突出して戻る構成とされる。さらに、内部方向板205bの上端部など適宜位置には、ワイヤ210の一端が取付けられるとともに、このワイヤ210の他端は、モータ221に接続される。
【0082】
このような構成により、上述同様にして、混合物量検出手段215の検出情報に基づく選別部130に漏下する混合物量により、コントローラCは、モータ221を作動させて唐箕シャッタ216を開閉させるとともに、ワイヤ210も摺動させて、内部方向板205bを昇降させることで、上述同様の効果を得ることができる。そして、この内部方向板205bが昇降する際、適宜昇降位置において係合部235がノッチ209に係合するため、内部方向板205bの昇降位置での保持を可能とすることができる。なお、ワイヤ210の摺動量を、混合物量検出手段215による穀粒量に応じた唐箕シャッタ216の開閉角度(ワイヤ220の摺動量)に対応させることで、唐箕シャッタ216の開閉角度と、内部方向板205bの昇降位置とを比例させて両者を作動することができる。
【0083】
さらに、方向板205の設置位置を回動させて、排風量を調節することもできる。この場合、例えば図14に示すように、各方向板205は、それぞれの中途部に設けられた回動支点軸231により機体左右方向に回動自在とされる。なお、回動支点軸231は、その上端を上ファンケーシング201に突出させて枢設する。
【0084】
また、各方向板205は、それぞれ前端部が連稈232に等間隔で取付けられるとともに、任意の1枚の方向板205(図13では、左端の方向板)の回動支点軸231には、連動アーム233が設けられる。さらに、この連動アーム233の後部には、ワイヤ234の一端が取付けられるとともに、ワイヤ234の他端は、アーム219の下部に接続される。
【0085】
このような構成により、上述同様に、混合物量検出手段215の検出情報に基づく選別部130に漏下する混合物量により、コントローラCがモータ221を作動させて、ワイヤ220を摺動し、アーム219を回動させて唐箕シャッタ216を開閉するが、このとき、ワイヤ234は、アーム219の回動に応じて摺動する。即ち、唐箕シャッタ216を開く方向であるアーム219の回動により、ワイヤ234がアーム219側(唐箕シャッタ216側)に引っ張られることで、連動アーム233を背面視時計周りに回動させる。
【0086】
これにより、左端の方向板205が、回動支点軸231を中心として、位置eから機体前後方向の位置fに向けて回動されるため、他の方向板205も連稈233を介して左端の方向板205に対して平行に、全ての方向板205が回動する。その結果、選別風の風向と方向板205の配置とが略平行になることで、方向板205への選別風の接触面積を小さくし、選別風の流れの妨げを弱くすることで、唐箕132からの選別風量増加に伴い、横断流ファン140の吸引風速を上昇させ、上述同様の効果を得ることができる。なお、方向板205は、位置fにおいて横断流ファン140の吸引風速を最大にすることができる。
【0087】
また、上記とは反対に、唐箕シャッタ216を閉じる方向であるアーム219の回動により、ワイヤ234が方向板205側に押されることで、連動アーム232を背面視反時計周りに回動させる。これにより、左端の方向板205が、回動支点軸231を中心として機体左右方向(方向板205後部が機体右方向)の位置eに向けて回動されるため、他の方向板205も連稈233を介して左端の方向板205に対して平行に、全ての方向板205が回動する。その結果、選別風の風向に対して、左右方向に傾斜した方向板205により、方向板205への選別風の接触面積を大きくし、選別風の流れの妨げを強くすることで、唐箕132からの選別風量減少に伴い、横断流ファン140の吸引風速を低下させ、上述同様の効果を得ることができる。なお、方向板205は、位置eにおいて横断流ファン140の吸引風速を最小にすることができる。
【0088】
そして、ワイヤ234の摺動量と、アーム219の回動量とを比例させることで、方向板205を、唐箕シャッタ216の開閉角度に応じた傾斜角度に回動させてもよい。このとき、唐箕シャッタ216の全開の位置dが、方向板205の位置fとされる。
【0089】
また、上述では、ワイヤ234の接続先をアーム219としたが、その接続先をモータ221にしても上述同様の効果を得ることができる。
【0090】
さらには、上述してきたように、方向板205は、唐箕シャッタ216の開閉に連動して開閉させるものであるが、この発明はこれに限定されるものではなく、混合物量検出手段215の検出情報に基づく選別部130に漏下する混合物量により、コントローラCがモータ221を介してワイヤ234を作動させ、方向板205の設置角度を調整してもよい。これは、唐箕132の風量調節ができないものや、唐箕132の風量を一定にして混合物を風選別したい場合などにおいて有効であり、上述同様の効果を得ることができる。
【0091】
以上詳述したように、この例のコンバイン1は、穀稈を刈り取る刈取部7と、この刈取部7で刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部4と、この脱穀部4で脱穀した穀粒を選別する選別部130とを備え、選別部130は、この選別部130の前部に配置した、流穀板135上からチャフシーブ138およびグレンシーブ137を通過して落下する穀粒を含んだ混合物を、一番物および二番物に風選別するための選別風を、混合物量の検出手段215による検出情報に基づき混合物量に応じて風量を調節して供給する唐箕132と、この唐箕132の後方であって、選別部130の後部の排出口200に配置した、唐箕132からの選別風を吸引するための横断流ファン140とを備えるとともに、排出口200には、選別風の風向を変えて、混合物を風選別により風選して得た排出物を、機外の一方向に排出させる方向板205とを備え、この方向板205を、検出手段215により検出した混合物量に応じて、可動自在に備えるものである。
【0092】
加えて、方向板205は、検出手段215により検出した混合物量に基づく唐箕132のシャッタ216開閉に連動して昇降または回動する。
【0093】
以上述べたように、方向板205は、選別屑排出口200内側に配設した横断流ファン140の全幅に対して等間隔に備えられるが、この横断流ファン140は、機体後部の脱穀部4(揺動選別装置131)の全幅に亘って設けることもできる。図15は機体全幅に亘って設けた横断流ファンを示す機体後部を左後方から見た斜視図、図16は機体全幅に亘って設けた横断流ファンを示す機体後部を右後方から見た斜視図である。このような構成にすることで、選別風の吸引幅(機体左右方向)が長く、排塵の吸引効率が高くなるとともに、横断流ファン140のメンテナンスを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一例としての自脱型コンバインの右側面図である。
【図2】自脱型コンバインの左側面構成図である。
【図3】穀稈搬送装置の側面図である。
【図4】脱穀部および選別部の左側面模式図である。
【図5】エンジンから排出オーガまでの動力伝達経路を示す模式図である。
【図6】唐箕の左側面模式図である。
【図7】唐箕と混合物量検出手段との連係図である。
【図8】横断流ファンおよび横断流ファン周辺の左側面模式図である。
【図9】横断流ファンおよび横断流ファン周辺の左側面模式図である。
【図10】図9における方向板のA矢視背面模式図である。
【図11】モータによる昇降を示した方向板の背面模式図である。
【図12】ワイヤによる昇降を示した方向板の背面模式図である。
【図13】唐箕シャッタと方向板との連係図である。
【図14】回動可能とする方向板を示す排出口近傍の背面模式図である。
【図15】機体全幅に亘って設けた横断流ファンを示す機体後部を左後方から見た斜視図である。
【図16】機体全幅に亘って設けた横断流ファンを示す機体後部を右後方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0095】
130 選別部
132 唐箕
140 横断流ファン
200 排出口
201 上ファンケーシング
205 方向板
205a 外部方向板
205b 内部方向板
207 凹部
208 アーム
209 ノッチ
209a 弾性部材
210,234 ワイヤ
215 検出手段
216 唐箕シャッタ
221,M モータ
231 回動支点軸
232 連動アーム
233 連稈
235 係合部
C コントローラ
a,b,c,d,e,f 位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を刈り取る刈取部と、該刈取部で刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、該脱穀部で脱穀した穀粒を選別する選別部とを備え、
前記選別部は、該選別部の前部に配置した、流穀板上からチャフシーブおよびグレンシーブを通過して落下する穀粒を含んだ混合物を、一番物および二番物に風選別するための選別風を、前記混合物量の検出手段による検出情報に基づき前記混合物量に応じて風量を調節して供給する唐箕と、
該唐箕の後方であって、前記選別部の後部の排出口に配置した、前記唐箕からの選別風を吸引するための横断流ファンとを備えるとともに、
前記排出口には、前記選別風の風向を変えて、前記混合物を前記風選別により風選して得た排出物を、機外の一方向に排出させる方向板とを備えるコンバインにおいて、
前記方向板を、前記検出手段により検出した前記混合物量に応じて、可動自在に備えることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記方向板は、前記検出手段により検出した前記混合物量に基づく前記唐箕のシャッタ開閉に連動して昇降することを特徴とする、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記方向板は、前記検出手段により検出した前記混合物量に基づく前記唐箕シャッタの開閉に連動して回動することを特徴とする、請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−22290(P2010−22290A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188257(P2008−188257)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】