説明

コンバイン

【課題】一つの操作具を操作するだけで、排藁の排出前処理を行う装置を切断装置から排藁処理装置に切換可能とする。
【解決手段】排藁を藁片に切断する切断装置30と、排藁を切断装置に供給する第一姿勢または供給しない第二姿勢の一方の姿勢に保持可能な供給切換装置20と、切断装置に供給されなかった排藁を処理する排藁処理装置である結束装置70と、切断装置、供給切換装置、及び結束装置を制御する制御ユニット60と、供給切換装置を第一姿勢または第二姿勢に切り換える指令信号を制御ユニットに送信する第一スイッチ51と、結束装置を作動/停止させる指令信号を制御ユニットに送信する第二スイッチ52と、を具備し、制御ユニットは、第二スイッチから受信した指令信号が結束装置を作動させる旨のものである場合には、第一スイッチから受信した指令信号の如何に関わらず、結束装置が作動し、供給切換装置を第二姿勢に保持するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンバインに関し、より特定的には、脱穀後の排藁を処理するための切断装置、及び、切断装置に供給されなかった排藁を該切断装置とは異なる態様で処理して圃場に排出するための排藁処理装置、を装着することができるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀後の排藁を切断して圃場に排出する切断装置、及び、切断装置に供給されなかった排藁を該切断装置とは異なる態様で処理して圃場に排出する排藁処理装置(具体的には結束装置或いは集束装置)、を装着可能なコンバインが公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のコンバインでは、その機体の後部に切断装置が装着されるとともに、該切断装置の後上方に結束装置(排藁処理装置)が装着されている。切断装置の上部の開口部は、開閉可能な切換カバー(供給切換装置)により被覆されている。切換カバーを「開」(第一姿勢)にすると、排藁が切断装置に供給される状態となり、排藁を切断して圃場に排出することができる。一方、切換カバーを「閉」(第二姿勢)にすると、排藁が切換カバーの上方を通過して結束装置に供給される状態となり、排藁を一定量ごとに紐で一つに束ねて(結束して)圃場に排出することができる。ここで、切換カバーの開閉は、リンク機構及び電動モータ等を介して、操作部に設らけれる切換レバーの操作と連係されている。
【0004】
このような構成のコンバインにおいて、排藁を切断して圃場に排出する使用態様から、排藁を結束して圃場に排出する使用態様に変更する場合、オペレータは、切換レバーを操作するとともに、これとは別の操作具により結束装置を作動させる必要があった。すなわち、切換カバーを開閉するための操作具と、結束装置を作動/停止させるための操作具と、が別個に設けられていた。
このため、切換カバーを「開」にしたままの状態で結束装置を作動させてしまう等の操作ミスが発生する虞があった。また、排藁の排出前処理を行う装置を切断装置から結束装置に切り換える度に、複数(二つ以上)の操作具を用いて複数の操作手順を踏む必要があり、操作が面倒であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−125638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、一つの操作具を操作するだけで、排藁の排出前処理を行う装置を切断装置から排藁処理装置に切り換えることが可能なコンバインを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの観点に従ったコンバインは、排藁を藁片に切断して圃場に排出する切断装置と、脱穀後の排藁を該切断装置に供給する第一姿勢、または、脱穀後の排藁を前記切断装置に供給しない第二姿勢、のいずれか一方の姿勢に保持可能な供給切換装置と、前記切断装置に供給されなかった排藁を該切断装置とは異なる態様で処理して圃場に排出することが可能な排藁処理装置と、前記切断装置、供給切換装置、及び排藁処理装置を制御する制御装置と、前記供給切換装置を第一姿勢または第二姿勢のいずれか一方の姿勢に切り換えるための指令信号を前記制御装置に送信する第一操作具と、前記排藁処理装置を作動または停止させるための指令信号を前記制御装置に送信する第二操作具と、を具備し、前記制御装置は、前記第二操作具から受信した指令信号が前記排藁処理装置を作動させる旨のものである場合には、前記第一操作具から受信した指令信号の如何に関わらず、前記排藁処理装置が作動し、前記供給切換装置が第二姿勢に保持されるように制御するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、一つの操作具を操作するだけで、排藁の排出前処理を行う装置を切断装置から排藁処理装置に切り換えることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の一形態に係るコンバインの全体的な構成を示す左側面図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るコンバインに具備される排藁処理部の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係るコンバインに具備される排藁処理部の構成を示す模式図であり、(a)は切断作業をするときの状態、(b)は結束作業をするときの状態を示している。
【図4】本発明の実施の一形態に係るコンバインに具備される操作部の構成を示す図であり、図中の二点鎖線の楕円で囲んだ部分には、第一スイッチ及び第二スイッチの拡大図を示している。
【図5】結束装置を装着した場合における、コンバインの制御機構を示すブロック図である。
【図6】結束装置を装着した場合における、制御ユニットによる排藁処理部の制御態様を示すフロー図である。
【図7】集束装置を装着した場合における、コンバインの制御機構を示すブロック図である。
【図8】集束装置を装着した場合における、制御ユニットによる排藁処理部の制御態様を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明の実施の一形態に係るコンバイン1の全体的な構成について、図1及び図2を参照して説明する。
コンバイン1は、機体フレーム11に対して、走行部13、刈取部15、脱穀部40、選別部19、穀粒貯溜部21、排藁処理部100、エンジン、ミッション部、操作部50、及び制御ユニット60(図5参照)等が装着されて構成される。
コンバイン1は、操作部50におけるオペレータの操作に応じて、前記エンジンから得た動力を前記ミッション部を介して各部の装置に供給する等して、走行部13にてコンバイン1の機体を走行させながら、刈取部15で圃場の穀稈を刈り取り、脱穀部40で刈取部15から送られてきた穀稈を脱穀し、選別部19で脱穀部40から送られてきた脱穀物を選別して、穀粒貯溜部21で選別部19から送られてきた穀粒を貯溜するとともに、排藁処理部100で脱穀部40から送られてきた排藁をコンバイン1の機体の外の圃場面上へ排出することができるように構成されている。また、コンバイン1の各部の作動状況は、制御ユニット60(図5参照)により制御されている。
【0011】
以下では、脱穀部40及び排藁処理部100の構成について、より詳細に説明する。
脱穀部40は、刈取部15の後方に配置される。脱穀部40には、穀稈搬送装置41、扱胴42、及び排藁搬送装置43等が具備される。排藁搬送装置43の下方には、案内装置45が設けられる。
刈取部15にて圃場から刈取られた穀稈は、穀稈搬送装置41に受け継がれ、該穀稈搬送装置41により搬送経路の下流側(排藁処理部100側)に搬送されながら、扱胴42等により脱穀される。脱穀後の排藁は、排藁搬送装置43により搬送経路の下流側に搬送される。排藁搬送装置43により搬送される排藁は、案内装置45によって搬送経路のさらに下流側に案内(ガイド)される。
案内装置45は、筒状の外側体45a、及び、該外側体45aに嵌装される内側体45b等により構成されるものであり、内側体45bが外側体45aに対してスライドすることにより前後に伸縮可能である(図3参照)。案内装置45は、排藁を切断装置30に供給する第一姿勢(短い姿勢、図3(a)参照)、または、排藁を結束装置70に供給する第二姿勢(長い姿勢、図3(b)参照)、のいずれか一方の姿勢に保持可能である。案内装置45は、電動モータ450(図5参照)により作動して伸縮する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るコンバイン1の排藁処理部100には、切断装置30及び結束装置70が具備される。切断装置30及び結束装置70はそれぞれ、本発明に係る「排藁処理装置」の実施の一形態である。なお、結束装置70は、コンバイン1の機体(本体)の後部に装着したり、取り外したりすることが可能な装置である。
切断装置30及び結束装置70により、脱穀後の排藁を切断したり束ねたりして適宜の状態に整える(以下、このような処理を「排出前処理」と記載する。)とともに、排藁を機体の後方の圃場面上に排出することができる。なお、後述するように、コンバイン1の排藁処理部100には、結束装置70に代えて集束装置80を装着することも可能である。すなわち、結束装置70及び集束装置80に関しては、いずれか一方を選択的に排藁処理部100に適用できるように構成されている。
【0013】
図1〜図3に示す切断装置30は、脱穀後の排藁を切断して藁片にした後、圃場に排出するための装置である。切断装置30は、コンバイン1の機体の後部であって、脱穀部40の後方となる位置に具備される。図2及び図3に示すように、切断装置30は、ケース31、掻込み刃軸32、切断刃軸33、及びスクリュー軸34等を具備する。
さらに、切断装置30の上部には、切換カバー35、操作アーム38、及び電動モータ350等が具備される(図5参照)。ここで、前述した案内装置45及び電動モータ450、並びに、切換カバー35、操作アーム38、及び電動モータ350、を合わせたものは、供給切換装置20を構成している(図5参照)。供給切換装置20は、本発明に係る「供給切換装置」の実施の一形態である。
【0014】
図2及び図3に示すケース31は、直方体形状の箱状の部材であり、その上部及び下部は開放(開口)されている。ケース31の左右両側板の間には、掻込み刃軸32と切断刃軸33とが相互に平行に架け渡される。掻込み刃軸32及び切断刃軸33には、それぞれ円板形状の回転刃が一定間隔毎に固定され、掻込み刃軸32の回転刃の先端部と切断刃軸33の回転刃の先端部とが側面視において重複するように配置される。掻込み刃軸32及び切断刃軸33の下方には、スクリュー軸34が配置される。このような構成により、ケース31の上部の開口から取り込まれた排藁は、回転駆動された掻込み刃軸32と切断刃軸33との間に投入され、回転刃により切断されて藁片にされ、スクリュー軸34の回転により左右に拡散されて圃場面上に排出される。
【0015】
ここで、切断刃軸33には複数種類の回転刃(大径の回転刃と小径の回転刃)が固定されており、掻込み刃軸32の位置を切断刃軸33に近づけたり、遠ざけたりすることにより、排藁を切断するときの藁片の寸法を変更できるように構成される。掻込み刃軸32の一端部には長短アーム36(図5参照)の一端部が固定されており、該長短アーム36は図示せぬリンク機構等を介して電動モータ360と連係される。電動モータ360を駆動させて長短アーム36を適宜に回動することにより、切断装置30の作動態様を、藁片の寸法が長くなるように切断する「長寸モード」、または、藁片の寸法が短くなるように切断する「短寸モード」、のいずれか一方の状態に切り換えることができる。
なお、「長寸モード」は、切断装置30の使用態様のうち、第一スイッチ51の「長寸」の位置(ポジション)に対応するものである。一方、「短寸モード」は、切断装置30の使用態様のうち、第一スイッチ51の「短寸」の位置に対応するものである。
【0016】
図3に示す切換カバー35は板状の部材であり、ケース31の上部の開口(排藁が供給される入口)を被覆するものである。切換カバー35は、ケース31の左右両側板の間に架け渡された枢支軸35aを支点として回動可能である。枢支軸35aの一端部には操作アーム38(図5参照)が固定され、該操作アーム38は図示せぬリンク機構等を介して電動モータ350と連係される。該電動モータ350を駆動させて操作アーム38を適宜に回動することにより、切換カバー35の姿勢を、第一姿勢(ケース31の上部の開口が開放された状態、図3(a)参照)、または、第二姿勢(ケース31の上部の開口が切換カバー35により閉塞された状態、図3(b)参照)、のいずれか一方の姿勢に保持することができる。
切換カバー35を第一姿勢にしたとき、排藁を切断装置30内に供給可能な状態となる。切換カバー35を第二姿勢にしたとき、排藁を切断装置30内に供給不能な状態となる。つまり、切換カバー35を第二姿勢とした場合には、排藁が切断装置30に供給されずに、切換カバー35の上方を通過して結束装置70に取り込まれる。
【0017】
図1〜図3に示す結束装置70は、脱穀後の排藁を一定量ごとに紐で一つに束ねた後、圃場に排出するための装置である。換言すると、結束装置70は、切断装置30に供給されなかった排藁を、該切断装置30とは異なる態様で処理して圃場に排出するものである。結束装置70は、切断装置30の後上方に装着される。図2及び図3に示すように、結束装置70は、ケース71、搬送機構72、株元揃え板73、パッカー74、ドア75、及びニードル76等を具備する。
【0018】
ケース71は直方体形状の箱状の部材であり、その前部及び後部は開放(開口)されている。案内装置45の姿勢が第一姿勢に保持されているとき、内側体45bの後端部はケース71の手前(前方)に配置される(図3(a)参照)。一方、案内装置45の姿勢が第二姿勢に保持されているとき、内側体45bの後端部はケース71内に到達する(図3(b)参照)。
【0019】
案内装置45によってガイドされながら排藁搬送装置43により搬送されてきた排藁は、搬送機構72に受け継がれる。排藁は、搬送機構72に備えられるタイン72a・72a・・・付きのチェーン等が駆動されることにより、ケース71内の左右中央側に集約されて、株元揃え板73により株元側が叩かれて株元が揃えられる。株元が揃えられた排藁は、パッカー74とドア75の間の空間に一時的に集約される。集約された排藁が所定の量に到達すると、電動モータ(不図示)によりニードル76が作動し、ケース71の右側部に装着された紐ケース77から紐が取り出されて排藁が一つに束ねられる。こうして束ねられた排藁(藁束)は、放出アームによって掻き出されることによりドア75の後方に押し出されて、結束装置70の後方に装着される立体放出装置90に受け渡されて、圃場面上に放出される。
【0020】
なお、図2に示す株元揃え板73は、図示せぬリンク機構等を介して、電動モータ730(図5参照)と連係されていて、ケース71の左右両側板の間に架け渡された軸に沿って左右方向に移動可能である。電動モータ730を駆動させて株元揃え板73の位置を適宜に変更することにより、排藁の株元の位置を調整することができ、ひいては排藁が結束される位置(紐で縛られる位置)を調製することができる。また、株元を揃える必要がない状況下(例えば、排藁を結束も切断もせずに圃場に排出したい場合)においては、株元揃え板73をケース71内の隅に退避させることができる。株元揃え板73が排藁と接触して排出の妨げになることを防止するためである。
【0021】
図1及び図4に示す操作部50には、オペレータがコンバイン1を操作するための種々の操作具や、オペレータが着座するための座席54等が具備される。本実施形態においては、操作部50は機体フレーム11の右側前部の上に設けられ、前記エンジン及びミッション部の上方に配置される。
操作部50には、第一スイッチ51、第二スイッチ52、及びステアリングハンドル53等を含む種々の操作具が具備される。第一スイッチ51は本発明に係る「第一操作具」の実施の一形態であり、第二スイッチ52は本発明に係る「第二操作具」の実施の一形態である。第一スイッチ51及び第二スイッチ52は、座席54の左側方に配置された操作台58の上部に設けられる。
【0022】
図4に示す第一スイッチ51は、切断装置30を作動させるときに用いる操作具であり、ダイアル式のスイッチである。第一スイッチ51は、オペレータがツマミ部51aを抓んで、その先端を「短寸」、「長寸」、または「排藁」のいずれかの位置に合わせることにより操作を行う操作具である。第一スイッチ51が「短寸」、「長寸」、または「排藁」のいずれかの状態に設定されると、それに応じた指令信号が制御ユニット60に送信されるか、或いはその指令信号の送信が停止される。
図4に示す第二スイッチ52は、結束装置70を作動させるときに用いる操作具であり、ダイアル式のスイッチである。第二スイッチ52は、第一スイッチ51と隣接する位置に設けられる。第二スイッチ52は、オペレータがツマミ部52aを抓んで、その先端を「入」、「切」、または「収納」のいずれかの位置に合わせることにより操作を行う操作具である。第二スイッチ52が「入」、「切」、または「収納」のいずれかの状態に設定されると、それに応じた指令信号が制御ユニット60に送信されるか、或いはその指令信号の送信が停止される。
【0023】
図5に示す制御ユニット60は、切断装置30、供給切換装置20、及び結束装置70(排藁処理部100)の作動状況を制御するものである。制御ユニット60は本発明に係る「制御装置」の実施の一形態である。本実施形態の制御ユニット60はデジタルコンピュータから成り、双方向性バス61により相互に接続されたROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63、CPU(Central Processing Unit)64、入力ポート65、及び出力ポート66等を具備する。
【0024】
第一スイッチ51及び第二スイッチ52はそれぞれ、制御ユニット60の入力ポート65に接続される。一方、前述した電動モータ450・360・350・730はそれぞれ、制御ユニット60の出力ポート66に接続される。
また本実施形態においては、切断装置30を作動/停止させるための切断クラッチ39が、制御ユニット60の出力ポート66に接続される。切断クラッチ39が「入」のとき、切断装置30が作動可能な状態となる(回転刃を回転駆動できる状態となる)。切断クラッチ39が「切」のとき、切断装置30が作動不能な状態となる。
さらに、結束装置70を作動/停止させるための結束クラッチ700が、制御ユニット60の出力ポート66に接続される。結束クラッチ700が「入」のとき、結束装置70が作動可能な状態となる(搬送機構72、パッカー74、及びニードル76等を駆動できる状態となる)。結束クラッチ700が「切」のとき、結束装置70が作動不能な状態となる。なお、結束クラッチ700を「切」にした場合、パッカー74及び放出アームが開いた姿勢に保持されることにより、排藁がケース71内を通過できる状態となる。
【0025】
以下では、制御ユニット60による排藁処理部100の制御態様について、図5〜図8を参照して説明する。
制御ユニット60は、制御プログラム200に従って切断装置30、供給切換装置20、及び結束装置70(排藁処理装置)の作動状況を制御している。以下では、制御プログラム200において実行される制御フローについて、図6を参照して説明する。
【0026】
なお、結束装置70をコンバイン1に装着するときに、結束装置70の各部と、制御ユニット60と、が配線等によって接続される。このとき、制御ユニット60の入力ポート65に接続された検知手段56により、結束装置70が機体に装着されていることが検知されて、制御プログラム200を実行可能な状態となる。
これに対し、結束装置70に代えて集束装置80をコンバイン1に装着した場合、集束装置80の各部と、制御ユニット60と、が配線等によって接続される。このとき、制御ユニット60の入力ポート65に接続された検知手段56により、集束装置80が機体に装着されていることが検知されて、制御プログラム200に代えて制御プログラム300(図8参照)を実行可能な状態となる。係る場合の制御フローについては、後述する。
【0027】
まず初めにステップS201において、制御ユニット60は、第二スイッチ52が「入」であるか否かを判定する。「第二スイッチ52が『入』であるか」は、第二スイッチ52が「入」に設定されているときに出力される指令信号が、制御ユニット60に入力されたか否かで判定される。
第二スイッチ52が「入」である場合、結束装置70により排藁の排出前処理(結束作業)を行う状況であると判断し、続いてステップS202に移行する。
一方、第二スイッチ52が「入」ではない場合、排藁の結束作業を行う状況ではないと判断し、続いてステップS203に移行する。
【0028】
ステップS202において、制御ユニット60は、結束装置70により排藁の排出前処理を行うために、結束クラッチ700に指令信号を送信する。係る指令信号が入力されることにより、結束クラッチ700が「入」となり、搬送機構72、パッカー74、及びニードル76等が作動する。また、制御ユニット60は、切換カバー35(操作アーム38)の電動モータ350、案内装置45の電動モータ450、及び株元揃え板73の電動モータ730のそれぞれに、対応する指令信号を送信する。係る指令信号が入力されることにより、供給切換装置20(切換カバー35及び案内装置45)の姿勢が第二姿勢となり、株元揃え板73が排藁に作用する状態(ケース71の隅に退避していない状態)となる。なお、このとき切断クラッチ39は「切」の状態に保持される。
【0029】
他方、ステップS203において、制御ユニット60は、第二スイッチ52が「収納」であるか否かを判定する。「第二スイッチ52が『収納』であるか」は、第二スイッチ52が「収納」に設定されているときに出力される指令信号が、制御ユニット60に入力されたか否かで判定される。
第二スイッチ52が「収納」である場合、制御ユニット60は、電動モータ730に指令信号を送信して株元揃え板73を「収納」の状態にした後(ステップS209)、続いてステップS204に移行する。
一方、第二スイッチ52が「収納」ではない場合、続いてステップS204に移行する。
【0030】
ステップS204において、制御ユニット60は、第一スイッチ51が「排藁」であるか否かを判定する。「第一スイッチ51が『排藁』であるか」は、第一スイッチ51が「排藁」以外に設定されているときに出力される信号が、制御ユニット60に入力されたか否かで判定される。
第一スイッチ51が「排藁」である場合、排藁の結束作業及び切断作業のいずれも行うべき状況ではないと判断し、続いてステップS205に移行する。
一方、第一スイッチ51が「排藁」ではない場合、続いてステップS206に移行する。
【0031】
ステップS205において、制御ユニット60は、排藁を結束も切断もせずに(排出前処理を行わずに)結束装置70の出口(ケース71の後部の開口)から圃場面上に排出するために、切換カバー35(操作アーム38)の電動モータ350、案内装置45の電動モータ450、及び株元揃え板73の電動モータ730のそれぞれに、対応する指令信号を送信する。係る指令信号が入力されることにより、供給切換装置20(切換カバー35及び案内装置45)の姿勢が第二姿勢となり、株元揃え板73がケース71の隅に退避した状態となる。なお、このとき切断クラッチ39は「切」の状態に保持され、結束クラッチ700も「切」の状態に保持される。
【0032】
ステップS206において、制御ユニット60は、第一スイッチ51が「長寸」であるか否かを判定する。「第一スイッチ51が『長寸』であるか」は、第一スイッチ51が「長寸」に設定されているときに出力される指令信号が、制御ユニット60に入力されたか否かで判定される。
第一スイッチ51が「長寸」である場合、排藁を藁片の寸法が長くなるように切断するべき状況であると判断し、続いてステップS207に移行する。
一方、第一スイッチ51が「長寸」ではない場合、排藁を藁片の寸法が短くなるように切断するべき状況であると判断し、続いてステップS208に移行する。
【0033】
ステップS207において、制御ユニット60は、排藁を藁片の寸法が長くなるように切断するために、長短アーム36の電動モータ360に指令信号を送信する。係る指令信号が入力されることにより、長短アーム36が回動されて「長寸モード」に切り換えられる。また、制御ユニット60は、切換カバー35(操作アーム38)の電動モータ350、及び、案内装置45の電動モータ450のそれぞれに、対応する指令信号を送信する。係る指令信号が入力されることにより、供給切換装置20(切換カバー35及び案内装置45)の姿勢が第一姿勢となる。なお、このとき切断クラッチ39は「入」の状態に保持され、結束クラッチ700は「切」の状態に保持される。
【0034】
ステップS208において、制御ユニット60は、排藁を藁片の寸法が短くなるように切断するために、長短アーム36の電動モータ360に指令信号を送信する。係る指令信号が入力されることにより、長短アーム36が回動されて「短寸モード」に切り換えられる。また、制御ユニット60は、切換カバー35(操作アーム38)の電動モータ350、及び、案内装置45の電動モータ450のそれぞれに、対応する指令信号を送信する。係る指令信号が入力されることにより、供給切換装置20(切換カバー35及び案内装置45)の姿勢が第一姿勢となる。なお、このとき切断クラッチ39は「入」の状態に保持され、結束クラッチ700は「切」の状態に保持される。
【0035】
このように、本実施形態に係るコンバイン1の排藁処理部100(切断装置30及び結束装置70)の動作状況は、制御プログラム200に従って制御されている。
その結果、コンバイン1の排藁処理部100は、オペレータが行う第一スイッチ51及び第二スイッチ52の操作に応じて、結束装置70を作動させて排藁の結束作業を行う態様、切断装置30を作動させて排藁の切断作業を行う態様、または、結束装置70及び切断装置30のいずれも作動させずに(排出前処理を行わずに)排藁をそのまま圃場に排出する態様、のいずれか一つの使用態様に設定される。
【0036】
より具体的には、第二スイッチ52が「入」である場合には、第一スイッチ51から送信される指令信号の如何に関わらず、結束装置70が作動される。換言すれば、第二スイッチ52が「入」のときは、制御ユニット60による制御において、第二スイッチ52の操作が反映される(第一スイッチ51の操作よりも優先される)。
【0037】
本実施形態に係るコンバイン1は、以上の如き構成であるから、オペレータが第二スイッチ52のツマミ部52aを抓んでその先端を「入」の位置に合わせると、結束装置70が作動するとともに、切換カバー35が開かれて案内装置45が伸長されて供給切換装置20が第二姿勢となる。これにより、排藁の排出前処理を行う装置を切断装置30から結束装置70に切り換えることができる。このように、第二スイッチ52の操作のみによって、排藁の排出前処理を切断作業から結束作業に切り換えることができ、操作手順が簡潔となる。また、本実施形態に係るコンバイン1では、切換カバー35の開閉の動作、案内装置45の伸縮の動作、及び結束装置70の作動/停止の動作が連動しているので、例えば切換カバー35を第一姿勢にしたままの状態で結束装置70を作動させてしまう等の操作ミスが発生しない。
なお、結束装置70を用いて排藁の排出前処理を行う使用態様から、排出前処理を行わない使用態様に変更する場合には、紐ケース77内の紐を取り外しておくことが望ましい。紐が排藁と接触して排出の妨げになることを防止するためである。
【0038】
以下では、結束装置70に代えてコンバイン1に装着することができる集束装置80について、簡単に説明する。
集束装置80は、脱穀後の排藁を紐で束ねずに一定量ごとに一つにまとめて圃場に排出するための装置である。集束装置80には、上に載せられた排藁の量が所定量に到達すると回動する集束杆81(図7参照)等が具備される。集束杆81の回動動作は、制御ユニット60に電気的に接続された電動モータ810が作動することにより適宜に調整される。
【0039】
ここで、本実施形態の集束装置80においては、前記集束杆81の開閉を電動モータ810の作動によって制御することにより、排藁を大量(大束)にまとめて圃場面上に排出する「大束モード」、及び、排藁を少量ずつ小分け(小束)にして圃場面上に排出する「小束モード」、のいずれか一方の状態に設定することができる。
なお、「大束モード」は、集束装置80の使用態様のうち、第二スイッチ52の「大」の位置(ポジション)に対応するものである。一方、「小束モード」は、集束装置80の使用態様のうち、第二スイッチ52の「小」の位置に対応するものである。
【0040】
なお、結束装置70に代えて集束装置80をコンバイン1に装着した場合、第二スイッチ52から制御ユニット60に送信される指令信号が、集束装置80に対応するものに変更される。
第二スイッチ52は、結束装置70を作動または停止させるための指令信号を制御ユニット60に送信する操作具としての役割と、集束装置80を作動または停止させるための指令信号を制御ユニット60に送信する操作具としての役割と、を兼ねている。つまり、排藁処理部100に結束装置70を装着した場合と、集束装置80を装着した場合と、で第二スイッチ52の役割が変更される。
【0041】
結束装置70を装着した場合における第二スイッチ52の「入」の位置(ポジション)は、集束装置80を装着した場合における第二スイッチ52の「大」の位置を兼ねている。結束装置70を装着した場合における第二スイッチ52の「切」の位置は、集束装置80を装着した場合における第二スイッチ52の「小」の位置を兼ねている。結束装置70を装着した場合における第二スイッチ52の「収納」の位置は、集束装置80を装着した場合における第二スイッチ52の「切」の位置を兼ねている。第二スイッチ52が「大」、「小」、または「切」のいずれかの状態に設定されると、それに応じた指令信号が制御ユニット60に送信されるか、或いはその指令信号の送信が停止される。
【0042】
以下では、集束装置80をコンバイン1に装着した場合における、制御ユニット60による排藁処理部100の制御態様について、図7及び図8を参照して説明する。
制御ユニット60は、制御プログラム300に従って切断装置30、供給切換装置20、及び集束装置80(排藁処理装置)の作動状況を制御している。以下では、制御プログラム300において実行される制御フローについて、図8を参照して説明する。
【0043】
まず初めにステップS301において、制御ユニット60は、第二スイッチ52が「切」であるか否かを判定する。「第二スイッチ52が『切』であるか」は、第二スイッチ52が「入」に設定されているときに出力される指令信号が、制御ユニット60に入力された否かで判定される。
第二スイッチ52が「切」である場合、排藁の集束作業を行う状況ではないと判断し、続いてステップS302に移行する。
一方、第二スイッチ52が「切」ではない場合、集束装置80により排藁の排出前処理(集束作業)を行う状況であると判断し、続いてステップS307に移行する。
【0044】
ステップS302において、制御ユニット60は、第一スイッチ51が「排藁」であるか否かを判定する。「第一スイッチ51が『排藁』であるか」は、第一スイッチ51が「排藁」以外に設定されているときに出力される指令信号が、制御ユニット60に入力されたか否かで判定される。
第一スイッチ51が「排藁」である場合、排藁の結束作業及び切断作業のいずれも行うべき状況ではないと判断し、続いてステップS306に移行する。
一方、第一スイッチ51が「排藁」ではない場合、続いてステップS303に移行する。
【0045】
ステップS303において、制御ユニット60は、第一スイッチ51が「長寸」であるか否かを判定する。
第一スイッチ51が「長寸」である場合、排藁を藁片の寸法が長くなるように切断するべき状況であると判断し、続いてステップS304に移行する。
一方、第一スイッチ51が「長寸」ではない場合、排藁を藁片の寸法が短くなるように切断するべき状況であると判断し、続いてステップS305に移行する。
【0046】
ステップS304において、制御ユニット60は、長短アーム36の電動モータ360に指令信号を送信する。これにより、長短アーム36が回動されて「長寸モード」に切り換えられる。また、制御ユニット60は、切換カバー35(操作アーム38)の電動モータ350、及び、案内装置45の電動モータ450のそれぞれに、対応する指令信号を送信する。これにより、供給切換装置20(切換カバー35及び案内装置45)の姿勢が第一姿勢となる。なお、このとき切断クラッチ39は「入」の状態に保持される。
【0047】
ステップS305において、制御ユニット60は、長短アーム36の電動モータ360に指令信号を送信する。これにより、長短アーム36が回動されて「短寸モード」に切り換えられる。また、制御ユニット60は、切換カバー35(操作アーム38)の電動モータ350、及び、案内装置45の電動モータ450のそれぞれに、対応する指令信号を送信する。これにより、供給切換装置20(切換カバー35及び案内装置45)の姿勢が第一姿勢となる。なお、このとき切断クラッチ39は「入」の状態に保持される。
【0048】
ステップS306において、制御ユニット60は、排藁を集束も切断もせずに集束装置80の出口から圃場面上に排出するために、切換カバー35(操作アーム38)の電動モータ350、及び、案内装置45の電動モータ450、のそれぞれに対応する指令信号を送信する。係る指令信号が入力されることにより、供給切換装置20(切換カバー35及び案内装置45)の姿勢が第二姿勢となる。一方、集束杆81の電動モータ810への指令信号の送信は停止される。なお、このとき切断クラッチ39は「切」の状態に保持され、集束杆81は排藁を圃場面上に落下させることができる姿勢に保持される。
【0049】
他方、ステップS307において、制御ユニット60は、第二スイッチ52が「大」であるか否かを判定する。「第二スイッチ52が『大』であるか」は、第二スイッチ52が「大」に設定されているときに出力される指令信号が、制御ユニット60に入力されたか否かで判定される。
第二スイッチ52が「大」である場合、排藁を大束にして圃場面上に排出するべき状況であると判断し、続いてステップS308に移行する。
一方、第二スイッチ52が「大」ではない場合、排藁を小束にして圃場面上に排出するべき状況であると判断し、続いてステップS309に移行する。
【0050】
ステップS308において、制御ユニット60は、排藁を大束にして排出するために、集束杆81の電動モータ810に指令信号を送信する。係る指令信号が入力されることにより、集束装置80の状態が「大束モード」に切り換えられる。また、制御ユニット60は、切換カバー35(操作アーム38)の電動モータ350、及び、案内装置45の電動モータ450のそれぞれに、対応する指令信号を送信する。係る指令信号が入力されることにより、供給切換装置20(切換カバー35及び案内装置45)の姿勢が第二姿勢となる。なお、このとき切断クラッチ39は「切」の状態に保持される。
【0051】
一方、ステップS309において、制御ユニット60は、排藁を小束にして排出するために、集束杆81の電動モータ810に指令信号を送信する。係る指令信号が入力されることにより、集束装置80の状態が「小束モード」に切り換えられる。また、制御ユニット60は、切換カバー35の電動モータ350、及び、案内装置45の電動モータ450のそれぞれに、対応する指令信号を送信する。係る指令信号が入力されることにより、供給切換装置20(切換カバー35及び案内装置45)の姿勢が第二姿勢となる。なお、このとき切断クラッチ39は「切」の状態に保持される。
【0052】
以上の如く、本実施形態のコンバイン1は、一つの観点からみると、切断装置30と、供給切換装置20と、排藁処理装置と、制御ユニット60と、第一スイッチ51と、第二スイッチ52と、を具備するものである。そして、前記切断装置30は、排藁を藁片に切断して圃場に排出するものである。前記供給切換装置20は、脱穀後の排藁を切断装置30に供給する第一姿勢、または、脱穀後の排藁を切断装置30に供給しない第二姿勢、のいずれか一方の姿勢に保持可能なものである。前記排藁処理装置は、切断装置30に供給されなかった排藁を切断装置30とは異なる態様で処理して圃場に排出することが可能なものである。前記制御ユニット60は、切断装置30、供給切換装置20、及び前記排藁処理装置を制御するものである。前記第一スイッチ51は、供給切換装置20を第一姿勢または第二姿勢のいずれか一方の姿勢に切り換えるための指令信号を制御ユニット60に送信するものである。前記第二スイッチ52は、前記排藁処理装置を作動または停止させるための指令信号を制御ユニット60に送信するものである。そして、前記制御ユニット60は、第二スイッチ52から受信した指令信号が前記排藁処理装置を作動させる旨のものである場合には、第一スイッチ51から受信した指令信号の如何に関わらず、前記排藁処理装置が作動し、供給切換装置20が第二姿勢に保持されるように制御する。
したがって、一つの操作具である第二スイッチ52(第二操作具)を操作するだけで、排藁の排出前処理を行う装置を切断装置30から排藁処理装置(結束装置70)に切り換えることが可能である。また、従前のコンバインにおいては結束作業(または集束作業)を開始するに際して複数の操作具を用いて複数の操作手順を踏む必要があったが、この点、本実施形態のコンバイン1においては操作手順が簡略化されている。
【0053】
また、本実施形態のコンバイン1は、一つの観点からみると、前記排藁処理装置は、排藁を一定量ごとに束ねて圃場に排出する結束装置70、または、排藁を一定量ごとに集約して圃場に排出する集束装置80、のいずれか一方が選択的に適用されるものである。そして、コンバイン1には、結束装置70または集束装置80のいずれが機体に装着されているかを検知する検知手段56がさらに具備される。そして、前記制御ユニット60は、検知手段56により検知された方の排藁処理装置(切断装置30または結束装置70のいずれか)に対応する指令信号を、当該排藁処理装置に送信する。
したがって、機体に結束装置70を装着した場合には、一つの操作具である第二スイッチ52(第二操作具)を操作するだけで、排藁の排出前処理を行う装置を切断装置30から結束装置70に切り換えることが可能である。また、機体に集束装置80を装着した場合には、一つの操作具である第二スイッチ52を操作するだけで、排藁の排出前処理を行う装置を切断装置30から集束装置80に切り換えることが可能である。
【0054】
さらに、本実施形態のコンバイン1は、一つの観点からみると、前記第二スイッチ52は、検知手段56により検知された排藁処理装置が結束装置70である場合には、結束装置70を作動させる操作位置、及び、結束装置70の作動を停止させる操作位置、を含む複数のポジションのいずれか一つに設定することができる。また前記第二スイッチ52は、検知手段56により検知された排藁処理装置が集束装置80である場合には、集束装置80を作動させる操作位置、及び、集束装置80の作動を停止させる操作位置、を含む複数のポジションのいずれか一つに設定することができる。そして、結束装置70用のポジションと、集束装置80用のポジションと、の少なくとも一つは共用のものである。
したがって、第二スイッチ52(第二操作具)を、結束装置70を作動または停止させるための操作具としても、集束装置80を作動または停止させるための操作具としても、使用することができる。よって、操作具の数を少なく抑えることができ、ひいては製造コストの低減を図ることができる。
【0055】
さらに、本実施形態に係るコンバイン1は、別の一つの観点からみると、前記第一スイッチ51を、藁片が長い寸法となるように切断装置30を作動させる「長寸」、藁片が短い寸法となるように切断装置30を作動させる「短寸」、または、排藁を切断装置30で処理することなく機体の外に排出する「排藁」、のいずれか一つの状態に設定することができる。そして、前記排藁処理装置が結束装置70である場合には、第二スイッチ52を、結束装置70を作動させる「入」、結束装置70の作動を停止させる「切」、または、結束装置70に備えられる排藁の株元を揃えるための株元揃え板73を排藁と接触しない位置に退避させる「収納」、のいずれか一つの状態に設定することができる。一方、前記排藁処理装置が集束装置80である場合には、第二スイッチ52を、藁束が大きくなるように集束装置80を作動させる「大」、藁束が小さくなるように集束装置80を作動させる「小」、または、集束装置80の作動を停止させる「切」の、いずれか一つの状態に設定することができる。
したがって、第一スイッチ51及び第二スイッチ52の操作により、排藁の藁片の寸法(切断長)、及び、藁束の大きさ(大小)を変更することができる。よって、二つの操作具を用いた簡単な操作により排藁処理部100の種々の設定ができ、操作性に優れる。
【0056】
さらに、本実施形態に係るコンバイン1は、別の一つの観点からみると、前記第二スイッチ52はダイアル式のスイッチである。そして、結束装置70用の「入」の位置は集束装置80用の「大」の位置を兼ね、結束装置70用の「切」の位置は集束装置80用の「小」の位置を兼ね、結束装置70用の「収納」の位置は集束装置80用の「切」の位置を兼ねている。
したがって、少ない部品点数で本発明を実現することができ、かつ、第一スイッチ51及び第二スイッチ52の操作位置(ポジション)もそれぞれ3つずつで簡明であり、操作性に優れる。
【0057】
上記の実施形態のコンバイン1においては、結束装置70の後方に立体放出装置90が具備されるものとした。しかしながら、本発明はこれに限定するものではなく、立体放出装置を具備しない構成とすることも可能である。
【0058】
上記の実施形態のコンバイン1においては、結束装置70または集束装置80を用いて排藁の排出前処理を行う場合には、切断装置30の作動を停止させておくものとした。しかしながら、本発明はこれに限定するものではなく、切断装置の掻込み刃軸及び切断刃軸を常に回転駆動させている構成とすることもできる。
【0059】
上記の実施形態のコンバイン1においては、切換カバー35(操作アーム38)を開閉するための電動モータ350と、案内装置45を伸縮するための電動モータ450と、を別個に設けるものとした。しかしながら、本発明はこれに限定するものではなく、切換カバーと、案内装置と、を一つの共用のアクチュエータにより操作する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0060】
1 コンバイン
20 供給切換装置
30 切断装置
35 切換カバー
38 操作アーム
45 案内装置
51 第一スイッチ(第一操作具)
52 第二スイッチ(第二操作具)
60 制御ユニット(制御装置)
70 結束装置(排藁処理装置)
80 集束装置(排藁処理装置)
100 排藁処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排藁を藁片に切断して圃場に排出する切断装置と、
脱穀後の排藁を該切断装置に供給する第一姿勢、または、脱穀後の排藁を前記切断装置に供給しない第二姿勢、のいずれか一方の姿勢に保持可能な供給切換装置と、
前記切断装置に供給されなかった排藁を該切断装置とは異なる態様で処理して圃場に排出することが可能な排藁処理装置と、
前記切断装置、供給切換装置、及び排藁処理装置を制御する制御装置と、
前記供給切換装置を第一姿勢または第二姿勢のいずれか一方の姿勢に切り換えるための指令信号を前記制御装置に送信する第一操作具と、
前記排藁処理装置を作動または停止させるための指令信号を前記制御装置に送信する第二操作具と、を具備し、
前記制御装置は、前記第二操作具から受信した指令信号が前記排藁処理装置を作動させる旨のものである場合には、前記第一操作具から受信した指令信号の如何に関わらず、前記排藁処理装置が作動し、前記供給切換装置が第二姿勢に保持されるように制御する、コンバイン。
【請求項2】
請求項1に記載のコンバインであって、
前記排藁処置装置は、排藁を一定量ごとに束ねて圃場に排出する結束装置、または、排藁を一定量ごとに集約して圃場に排出する集束装置、のいずれか一方が選択的に適用されるものであり、
前記結束装置または集束装置のいずれが機体に装着されているかを検知する検知手段をさらに具備し、
前記制御装置は、前記検知手段により検知された方の排藁処理装置に対応する指令信号を当該排藁処理装置に送信する、コンバイン。
【請求項3】
請求項2に記載のコンバインであって、
前記第二操作具は、
前記検知手段により検知された排藁処理装置が前記結束装置である場合には、結束装置を作動させる操作位置、及び、結束装置の作動を停止させる操作位置、を含む複数のポジションのいずれか一つに設定することができ、
前記検知手段により検知された排藁処理装置が前記集束装置である場合には、集束装置を作動させる操作位置、及び、集束装置の作動を停止させる操作位置、を含む複数のポジションのいずれか一つに設定することができ、
前記結束装置用のポジションと、前記集束装置用のポジションと、の少なくとも一つは共用のものである、コンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−44948(P2012−44948A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191561(P2010−191561)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】