説明

コンパクトな色可変光源としてのシングルチップLED

本発明は、1つの高抵抗性基板上に形成された複数個のLEDのアレイを有する色可変発光デバイスであって、前記アレイは、それぞれ第1、第2及び第3の色を供給するように構成される少なくとも1個のLEDの第1、第2及び第3の組を有する、デバイスに関する。これらの組のうちの少なくとも1つの組は、独立してアドレス可能である。さらに、アレイ内の各LEDは、回路への別個の接続を持ち、これらの組のうちの少なくとも1つの組は、該回路を介して直列に相互接続される少なくとも2個のLEDを有する。斯くして、例えば同一の組内の別個のLED間の全ての接続は、前記回路を介してなされ得る。これはまた、アレイ内の非常に高密度のLEDのパッキングを可能にする。なぜなら、アレイの異なるLED間の相互接続が、該アレイに配設される必要が無いからである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの高抵抗性基板上に形成された発光ダイオードの色可変アレイであって、少なくとも1個の発光ダイオードの組を少なくとも2組有し、各組は異なる色の光を発する、発光ダイオードの色可変アレイに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(light-emitting diode (LED))は、光源として従来のライトバルブの魅力的な代替となってきている。LEDは、ストップテールランプ等の自動車用途、屋外標識及び交通標識においてライトバルブに取って代わってきている。LEDは、屋内照明及びステージ照明用の普通のライトバルブにも取って代わり始めている。
【0003】
LEDを用いるライティングシステムは、寿命がはるかに長い、より堅牢である、より低い動作温度、低電圧の電源条件等の標準的な光源を越える多くの利点を持つ。
【0004】
例えば白色光を供給するLEDライティングシステムは、典型的には、異なる色の複数のLEDを用い、これら異なる色が、白色光又はその他の色の光を得るために混合される。
【0005】
良好な色混合を得るためには、異なる色のLEDを互いに近接させることが有利である。
【0006】
さらに、白色光の色温度等ライティングデバイスにより発生される色を容易に制御できることが有利である。
【0007】
米国特許第6 547 249号が、1つの高抵抗性基板上に形成された複数個の個別LEDのアレイを開示している。
【0008】
アレイ内の全てのLEDは相互接続されている。そのようにして、複数のLEDが互いに近接している。米国特許第6 547 249号はまた、アレイ内のいくつかのLEDが、これらLEDにより生成される光の色を変えるために蛍光体により覆われているアレイを開示している。これは、所定の色を持つLEDアレイを製造する可能性を提供する。
【0009】
しかしながら、斯かるアレイの色は不変であり、アレイの蛍光体の厚さの僅かな違いでさえ色の違いにつながり、斯くして、斯かるアレイの大きなビニング範囲(large binning range)につながる。
【0010】
斯くして、良好な色混合特性を持ち且つ個々のLEDアレイ間で一定した色を備えるコンパクトなLEDベースのライティングシステムを依然必要としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の1つの目的は、上述の課題を解消するLEDベースのライティングシステムに対する手段を提供することにある。斯くして、本発明は、1つの高抵抗性基板上に形成された複数個のLEDのアレイを有する色可変発光デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記アレイは、第1の色の光を供給するように構成される少なくとも1個のLEDの第1の組、第2の色の光を供給するように構成される少なくとも1個のLEDの第2の組、及び第3の色の光を供給するように構成される少なくとも1個のLEDの第3の組を有する。前記アレイはまた、第4及び第5の色等のさらなる色の光をそれぞれ供給する少なくとも1個のLEDの第4の組及び第5の組等のさらなる組を有してもよい。
【0013】
前記アレイは、回路を備えるサブマウント上に配設され、該LEDのアレイは、該回路に接続される。
【0014】
本発明のデバイスにおいては、前記アレイ内の各LEDが、前記回路への別個の接続を持ち、前記第1、第2又は第3の組のうちの少なくとも1つの組が、前記回路を介して直列に相互接続される少なくとも2個のLEDを有する。
【0015】
さらに、本願発明のデバイスにおける前記回路は、前記第1、第2及び第3の組のうちの少なくとも1つの組を独立してアドレスするための外部コネクタを有する。
【0016】
本発明によるアレイのLEDは全て同一の基板上に形成され、該基板上に位置する。これは、サブマウント上に載置される個別LEDダイのアレイと区別されるべきである。
【0017】
数個の個別にサブマウントされたLEDのアレイを形成するのではなく、数個のLEDのアレイを1つの高抵抗性基板上に形成することにより、ダイオードのより密度の高いパッキングが可能であり、高い光束が、斯かる小領域のアレイにより発生され得る。斯くして、本発明の発光デバイスに基づく照明システムは小さくすることができる。なぜなら、発光領域の平均輝度が高いからである。
【0018】
さらに、小領域を持つ異なる色のLEDを有するアレイの場合に有利である。なぜなら、異なる色の光を混合することにより所望の色の光を達成するための色混合が、アレイが小領域であることにより改善されるからである。これは、異なる色を放つ放射源が互いに近接して位置する距離にあるからである。
【0019】
前記アレイは、少なくとも1つの色の光束が他の2つの色と独立して制御され得る、少なくとも3つの色の光を供給する。これは、アレイ内のLEDの高密度のパッキングの可能性と相まって、良好な色混合による可変の色を提供することを可能にする。
【0020】
本発明のアレイにおいては、前記少なくとも1個のLEDの組のうちの少なくとも1つの組が、少なくとも2個のLEDを有し、斯かる2個以上のLEDの組におけるLEDは、直列に相互接続される。
【0021】
組におけるLEDを直列に接続することにより、駆動電流、ゆえに、光出力が、並列配置に反して、当該組における全てのLEDに対して一定となる。並列配置の場合、1個のLEDの抵抗の小さなずれが、組における全てのLEDを通る電流の変化につながり、これは、当該組における個々のLED間に非常に大きな光出力のずれをもたらす可能性がある。さらに、前記アレイの各LEDは、前記回路への別個の接続を持ち、斯くして、例えば同一の組内の別個のLED間の全ての接続が、前記回路を介してなされ得る。これはまた、アレイ内の非常に高密度のLEDのパッキングを可能にする。なぜなら、アレイの異なるLED間の相互接続が、該アレイに配設される必要が無いからである。
【0022】
アレイ内のLEDの異なる組を独立してアドレス可能にするため、前記回路は、外部コネクタを有し、LED駆動ユニットが、斯かる独立したアドレシングのため該外部コネクタに接続されることができる。本発明によるデバイスにおいては、前記回路が、互いに電気的に絶縁されたいくつかの別個の部分を有してもよい。前記回路の斯かる異なる部分は、アレイ内のLEDの異なる組に独立して接続し、これら異なる組を独立してアドレスするために用いられ得る。本発明の実施例においては、前記サブマウントが、マルチレイヤサブマウントであり、前記回路の異なる部分が、前記マルチレイヤサブマウントの異なる層に配設される。
【0023】
例えば、LEDの異なる組に接続される前記回路の異なる部分は、前記サブマウントの異なる層に配設されてもよい。これは、回路のパターニングを容易にする。なぜなら、アレイのLEDの異なる組を駆動する回路の異なる部分が、異なる層に配設され得るからである。斯くして、回路の異なる部分の交点の数が最小に押さえられる。本発明の実施例においては、前記アレイの全てのLEDが同じ色の光を放つ。マルチカラーアレイを得るために、前記第1の組のLEDは、該ダイオードにより放たれる光を供給される前記第1の色の光に変換するように構成される第1の波長変換化合物を備える。さらに、前記第2の組のLEDは、該ダイオードにより放たれる光を供給される前記第2の色の光に変換するように構成される第2の波長変換化合物を備える。一例は、全てのダイオードが青色光を放ち、供給される前記第1の色は(青色から波長変換された)緑色であり、供給される前記第2の色は(青色から波長変換された)赤色である場合である。本発明の他の実施例においては、前記第3の組のLEDも、該ダイオードにより放たれる光を供給される前記第3の色の光に変換するように構成される第3の波長変換化合物を備える。一例は、全てのダイオードが紫外光又は近紫外光を放ち、供給される前記第1の色は(紫外線から波長変換された)緑色であり、供給される前記第2の色は(紫外線から波長変換された)赤色であり、供給される前記第3の色は(紫外線から波長変換された)青色である。
【0024】
特定の固有の色(intrinsic color)の特定のLEDからの放射(波長分布及び/又は輝度)は、LEDの温度及び/又はLEDを駆動する電流密度に大きく依存する。これは、例えば白色光を生成することが可能なLEDアレイにおいて問題を提起する。なぜなら、デバイスの温度又はデバイスを介す電流の小さな変化が、放射光の色の変化につながるからである。
【0025】
適切な波長変換化合物を用いることにより、最も温度に安定したLEDが使用されることができ、この場合、固有の色は、所望の色に変換されることができる。
【0026】
また、紫外光から緑色光までのスペクトル域で放射する最も効率のよいタイプのLEDが、波長変換化合物を励起し(pump)、できればデバイスの最も短い波長を持つ原色を出すために用いられることができる。
【0027】
本発明での使用に適した波長変換化合物は、好ましくは、本質的に温度に依存しない。所望の波長変換化合物は、所望のLEDの上部に直接堆積されてもよい。代替的に、波長変換化合物は、アレイ上に配設された層の領域に具備されてもよい。この領域は、所望のLEDを少なくとも部分的に覆う。
【0028】
斯くして、本発明は、1つの高抵抗性基板上に形成された複数個のLEDのアレイを有する色可変発光デバイスであって、前記アレイは、それぞれ第1、第2及び第3の色を供給するように構成される少なくとも1個のLEDの第1、第2及び第3の組を有する、デバイスに関する。これらの組のうちの少なくとも1つの組は、独立してアドレス可能である。さらに、アレイ内の各LEDは、回路への別個の接続を持ち、これらの組のうちの少なくとも1つの組は、該回路を介して直列に相互接続される少なくとも2個のLEDを有する。例えば同一の組内の別個のLED間の全ての接続は、前記回路を介してなされ得る。これはまた、アレイ内の非常に高密度のLEDのパッキングを可能にする。なぜなら、アレイの異なるLED間の相互接続が、該アレイに配設される必要が無いからである。
【0029】
本発明を、添付の図面を参照する好ましい実施例の詳細な説明においてさらに述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1に示される本発明の例示的な実施例は、1つの基板上に3×3の正方形で形成された9つの部分から成るLEDアレイ1を有する。
【0031】
前記アレイは、LEDの3つの個別の組に分けられる。1個のLEDの1組2は青色光を供給し、4個のLEDの1組3は赤色光を供給し、4個のLEDの1組4は緑色光を供給する。
【0032】
これら3つの組は、LEDドライバユニット6に別個に接続される。LEDドライバユニット6は、青色用の個別接続7(カソードへの)及び17(アノードへの)、緑色用の個別接続8(カソードへの)及び18(アノードへの)、並びに赤色用の個別接続9(カソードへの)及び19(アノードへの)を通じてこれら3つの別個の組を介す電圧及び/又は電流を独立して制御することができる。代替的には、LEDのこれら組のアノード又はカソードの何れかは、LEDドライバユニット及びLEDアレイ間で電気的に絶縁された接続が4つしかないように接続される。
【0033】
斯くして、図1のアレイは、青色の組、緑色の組及び赤色の組それぞれのカラーポイントにより規定される色空間内の任意の色の光を供給することができるRGBユニットを構築する。これら色が異なる組を介す電流を独立して制御することにより、アレイの全体的な色(total color)は可変である。
【0034】
前記アレイは、前記3つの組に個別に接続する回路を備えるサブマウント5上に配置される。
【0035】
前記回路は、図2に概略的に示され、前記3つの組が、当該回路の互いに絶縁された異なる部分に別個に接続されていることを示している。青色LED2は、そのために指定された前記回路の部分21に接続され、緑色LED3は、そのために指定された前記回路の部分22に接続され、赤色LED4は、そのために指定された前記回路の部分23に接続される。
【0036】
図3に示されるように、3組の回路は、マルチレイヤサブマウントの3つの異なる層に配設されてもよい。すなわち、"赤色"回路21は第1の層31に配設され、"緑色"回路22は第2の層32に配設され、"青色"回路23は第3の層33に配設される。
【0037】
しかしながら、1組のLED用の回路が、1つの相互接続層に位置を制限される必要は無い。複数の相互接続層が、これら相互接続層間でマルチレイヤサブマウントの1つ以上の層を介す電気バイアを用いることにより、特定の色のLEDの組のために用いられてもよい。ある構造において、このことは、相互接続層の数を減らすため、斯くして、マルチレイヤサブマウントの厚さを減らすために有利であり、これにより、サブマウントの熱抵抗を減らすことができる。典型的には、本発明のマルチフォールドLEDアレイ(multifold LED-array)は、全て同一の基板上に形成され、当該共通基板によって1つの一体部分をなす、多数の能動素子(LED)を有する。斯くして、アレイ内の全てのLEDは同じ色の光を放つ。
【0038】
適切な基板は、例えばサファイア(sapphire)、シリコンカーバイド(silicon carbide)又は窒化ガリウム(gallium nitride)等の高抵抗性の基板を含む。LEDは、基板上にLEDを形成するために必要とされる半導体層を化学気相成長法(CVD)、分子線エピタキシ(molecular beam epitaxy: MBE)又はその他適切な方法により成長させることにより該基板上に形成されてもよい。さらに、基板は、好ましくは、低光吸収性の基板である。
【0039】
適切なLEDの例は、GaN、AlGaN、InGaN及びAlInGaNダイオードを含むが、これらに限定されない。
【0040】
アレイの各LED素子は、好ましくは、当該素子のアノード及びカソードから(実質的に同じ色又は波長変換された色を放つ)LEDの組の素子の直列接続を設ける相互接続回路への接続の組を持つ。好ましくは、これら素子(LED)は、アノード及びカソードへのコネクタが、光伝搬側と反対側の、LEDアレイの同じ側に配設されるように形成される。斯くして、LEDアレイを駆動するための回路は全て、放出光を何ら遮らない、該アレイの一方の側に配置されることができる。
【0041】
図1に示されるアレイは、9個の能動素子(LED)を有する。しかしながら、1つの基板上に形成され且つ任意の幾何学的構造の、より多い又はより少ない数のLEDのアレイも、添付請求の範囲により包含される。さらに、能動素子の幾何学形状及び数が図1に示されるものと異なってもよいというだけでなく、個々の素子の大きさも、例えば種々の色の色混合及び必要とされる光束の寄与(contribution)を同時に最適化するためにマルチフォールドLEDアレイ内で異なってもよい。本発明のマルチフォールドLEDアレイでは、全てのLEDが本質的に同じ色の光を放つ。マルチカラーアレイを提供するため、アレイのLEDにより放たれる光、すなわち、固有の色が、該マルチカラーアレイの異なる色に変換されなければならない。
【0042】
波長変換化合物、すなわち、蛍光体(phosphor)は、ある波長又はある波長幅の光を吸収し、異なる波長又は波長幅の光を放つ発光化合物(luminescent compound)である。多くのそのような発光化合物は当業者に知られている。用語「発光化合物」は、燐光性化合物(phosphorescent compound)及び蛍光性化合物(fluorescent compound)の両方を意味する。
【0043】
斯かる波長変換化合物が、固有の色をマルチカラーアレイの異なる色に変換するために用いられてもよい。
【0044】
本願明細書で用いられる用語「固有の色」は、LEDにより直接放たれる色を意味し、当業者に知られているように、基板上にLEDを形成するために用いられる材料に依存する。
【0045】
図1に示されるアレイ内のLEDの3つの異なる色は、いくつかの方法で実現され得る。
【0046】
例えば、紫外光又は近紫外光を放つ能動素子(LED)の場合、青色チャネルは、青色の組の素子に紫外線を青色に変換する化合物を設けることにより形成される。結果として、緑色チャネル及び赤色チャネルは、それぞれ、緑色の組の素子に紫外線を緑色に変換する化合物を設けることにより、及び赤色の組の素子に紫外線を赤色に変換する化合物を設けることにより形成される。
【0047】
能動素子(LED)が青色光を放つような他の場合、青色チャネルに波長変換化合物は設けられず、結果として、緑色チャネル及び赤色チャネルは、それぞれ、緑色の組の素子に青色を緑色に変換する化合物を設けることにより、及び赤色の組の素子に青色を赤色に変換する化合物を設けることにより形成される。3000Kの色温度の白色光を発生する、固有の青色チャネル並びに波長変換された緑色及び赤色チャネルを備えるこの実施例によるRGBアレイからの波長スペクトルが、図4に示されている。
【0048】
上述した青色を緑色に変換する化合物、青色を赤色に変換する化合物、紫外線を青色に変換する化合物、紫外線を緑色に変換する化合物及び紫外線を赤色に変換する化合物のような波長変換化合物、並びにその他の波長変換化合物は、当業者に知られている。
【0049】
図1のアレイは、RGBアレイである。しかしながら、本発明は、マルチカラーアレイを形成するために青色、緑色及び赤色の組み合わせを用いることに限定されない。他の色及び色の組み合わせ、例えば、シアン、緑色及び赤色、シアン、黄色及び赤色、並びに青色、黄色及び赤色等の3色の組み合わせ、白色、緑色及び赤色、並びに白色、黄色及び赤色等の、例えば黄色の蛍光体層を介した青色の漏えいを許容することによる白色を含む色の組み合わせ、又は白色、青色、緑色及び赤色、並びに青色、シアン、緑色及び赤色等の4色の組み合わせもまた、本発明のデバイスで用いられてもよい。
【0050】
好ましくは、本発明のアレイのLEDの固有の色は、紫外色、近紫外色又は青色である。なぜなら、低波長の光は容易により高い波長の光に変換され得るからである。設けられる色のうちの一つは、黒体軌跡の全てのカラーポイントを生成できるように、琥珀色−赤色のスペクトル域内にあることが好ましい。
【0051】
青色光を赤色光に変換する蛍光性材料の例は、SrS:Eu、Sr2Si5N8:Eu、CaS:Eu、Ca2Si5N8:Eu、(Sr1-xCax)S:Eu及び(Sr1-xCax)2Si5N8:Eu(x=0〜1)により形成される群から選択される材料を含む。適切な発光材料(luminescent material)は、相対的に高い安定性を示すSr2Si5N8:Euである。さらに、Sr2Si5N8:Euは、硫化物の使用を避けた発光材料である。SrS:Euは、略々610nmのピーク波長を持ち、Sr2Si5N8:Euは、略々620nmのピーク波長を持ち、CaS:Euは、略々655nmのピーク波長を持ち、Ca2Si5N8:Euは、略々610nmのピーク波長を持つ。
【0052】
青色光を緑色光に変換する蛍光性材料の例は、(Ba1-xSrx)2SiO4:Eu (x=0〜1、好ましくは、x=0.5)、SrGa2S4:Eu、Lu3Al5O12:Ce及びSrSi2N2O2:Euにより形成される群から選択される材料を含む。安定性の面で、Lu3Al5O12:Ce及びSrSi2N2O2:Euが非常に適した発光材料である。さらに、Lu3Al5O12:Ce及びSrSi2N2O2:Euの発光材料は、硫化物の使用を避けている。(Ba0.5Sr0.5)2SiO4:Euは、略々523nmのピーク波長を持ち、SrGa2S4:Euは、略々535nmのピーク波長を持ち、Lu3Al5O12:Ceは、略々515nm及び545nmにおいてピーク波長を持ち、SrSi2N2O2:Euは、略々541nmのピーク波長を持つ。
【0053】
適切な黄色/琥珀色を放つ発光材料の例は、化学式におけるx及びyの値に依存して560〜590nmの範囲でピーク波長を持つ(Y1-xGdx)3(Al1-yGay)5O12:Ce (x及びyは好ましくは0〜0.5の範囲である。)である。
【0054】
さまざまな色の光を供給する上述したような波長変換化合物の使用は、異なる固有の色を持つLEDを用いた場合と比べてさまざまな利点がある。
【0055】
例えば、琥珀色−赤色光を放つ広く用いられているAlInGaPダイオードの波長範囲は、温度に敏感である。斯くして、斯かるダイオードを有するアレイの演色評価指数は、温度とともに大きく変化する。さらに、AlInGaP材料は温度に敏感であり、高温に耐えることができない。例えば、AlInGaPダイオードの25℃から100℃への温度の上昇は、当該ダイオードからの発光出力(luminous output)を略々1/2に減少する。
【0056】
斯くして、波長幅及びデグラデーション(degradation)の両方に関して温度に安定的である波長変換化合物を用いることにより、混合放出光の選択されたカラーポイントは、温度にほとんど依存しないか、又は依存しない。なぜなら、動作範囲の温度において熱的消失(thermal quenching)のほとんどない蛍光体が利用でき、全ての色が、同一タイプのLEDにより直接又は波長変換化合物を介して生成されるからである。
【0057】
波長変換化合物は、当該波長変換化合物がその光を変換することになるLED素子と光学的接触するように配設されることが好ましい。
【0058】
波長変換化合物は、LEDアレイの所望の能動素子上に直接堆積されてもよい。堆積(deposition)のための種々の方法が当業者に既知であり、化合物のディスペンシング(dispensing)、吹き付け(spraying)、スクリーン印刷及び電気泳動析出(electrophoretic deposition)を含む。
【0059】
さらに、波長変換化合物を含む予め成形されたプレートレットのモザイク(mosaic of pre-shaped platelets)が、LEDアレイ上に載置され、該LEDアレイに光学的に接続されてもよい。この場合、波長変換化合物は、光学ポリマ、ゾルゲルガラス又は低温溶融ガラス等の光学マトリクス内に埋設される。代替的には、蛍光体は、セラミックプレートレットとして、LEDと該セラミックプレートレットとが適切な光学的相互接続を持つように適用される。
【0060】
波長変換化合物は、例えば、より高い動作温度に耐えるようにゾルゲルマトリクス内に沈着されてもよい。
【0061】
壁が、波長変換化合物が堆積され得るような凹部(well)を設けるために、アレイの各能動素子の周りにリソグラフで製造されてもよい。斯かる凹部は、隣接するLED間のクロストークを防止するようにしてもよい。
【0062】
他の場合においては、波長変換化合物が、アレイの上部に配設されるフィルム上に配設されてもよい。斯かるフィルムは、シリコン等のポリマフィルムであってもよい。代替的に、波長変換化合物は、LEDアレイの上部に配設されるガラスプレート又は半透明若しくは透明セラミックプレート上に配設されてもよい。波長変換化合物がフィルム又はプレートとLEDアレイとの間に位置するように該フィルム又はプレートが載置されることが好ましい。
【0063】
図1及び2に示される実施例では、3つの色の組は全て独立してアドレス可能である。これは、3つの供給される色により規定される色空間内の色を自由に選択することを可能にする。しかしながら、本発明によれば、1つの色の組のみが独立してアドレス可能であり、他の2つ又はそれ以上の色の組は一緒にアドレスされるようにしてもよい。斯かる場合、アレイにより供給される色は、独立してアドレス可能な色の組のカラーポイント及び一定の比率で駆動される2つ以上の色の組のカラーポイントにより決定される色空間内のラインに沿って選択され得る。独立した色に対する2つのリンクされた色の相対的寄与率(relative contribution)を変えることにより、このライン上の任意のカラーポイントが得られる。本発明のアレイは、回路を備えるサブマウント上に配設される。適切なサブマウント材料は、シリコン及びAlN等の電気絶縁材料を含むが、これらに限定されない。
【0064】
酸化シリコン(silicon oxide)等の電気絶縁層が、LED及び導線又は相互接続をさらに絶縁するために設けられてもよい。
【0065】
サブマウント材料は、LEDから遠くに熱を拡散且つ伝導させるように高い熱伝導性であることが好ましい。サブマウントは、相対的に低い熱膨張係数(CTE)を持つことが好ましい。これは、サブマウント上への信頼でき且つ堅牢なLEDの載置を可能にするようにLEDの熱膨張係数に取り組むものである。サブマウントは、さらなるヒートスプレッダ、ヒートコンダクタ、熱輸送ユニット又はヒートシンクへの良好な熱的接続を持つように載置されることが好ましい。アルミニウム若しくは銅等の金属、又はアルミニウムシリコンカーバイド(aluminum silicon carbide)等の合成物(composite)が好ましい。
【0066】
サブマウントは、マルチフォールドLEDアレイの各LEDが回路への別個の接続を持つことができるように該回路を備える。回路は、限定されるものではないが、アルミニウム、鉛、タングステン、モリブデン若しくは銅等の金属等の導電材料のパターン、又は非金属の導電材料のパターンを有する。回路はさらに、アレイの能動素子への接続に適したコネクタを有する。斯かるコネクタは、サブマウントの表面に配設されてもよい。
【0067】
各LEDへの又は各LEDからの全ての接続は、前記回路を介してなされる。同一の色の組におけるLED間等の、アレイ内のLED間の相互接続も前記回路を介してなされる。斯くして、アレイ自体の設計に斯かる相互接続を含める必要は無い。なぜなら、これは、アレイのレイアウトを問わずサブマウント内の回路により容易に対処されるからである。
【0068】
これはまた、アレイ内のLEDの非常に密度の高いパッキングを可能にする。なぜなら、アレイの異なるLED間の相互接続が、該アレイ内に配設される必要が無いからである。
【0069】
回路の設計は、該回路に接続されるべきマルチフォールドLEDアレイの設計に依存するであろう。
【0070】
図3に示されるように、回路の別個の部分が、マルチレイヤサブマウントの別個の層に配設されてもよい。これは、回路のパターニングを容易にする。なぜなら、回路の異なる部分間の横断は全て別個の層でなされ、斯くして、サブマウント材料により互いに絶縁されるからである。
【0071】
マルチレイヤサブマウントは、酸化アルミニウム(aluminum oxide)、窒化アルミニウム(aluminum nitride)又は酸化ベリリウム(beryllium oxide)等の電気的絶縁セラミック層からなってもよい。
【0072】
1組の各LEDを直列に接続することにより、駆動電流は、例えば1A未満の合理的に低いレベルに保たれる。これは、熱放散に起因する導線の大きな電気損失をもたらすことなく相対的に小さな断面の該導線を用いることを可能にする。
【0073】
例えば10個のLED素子が並列接続され、個々のLED素子が1Aの最大電流により駆動されるような場合、電源が10Aの電流を送り出さなければならず、このために大きな断面の導線が必要とされるであろう。パルス幅変調(PWM)がLEDを駆動する好ましい方法であるところ、十分に高い変調周波数のパルス幅変調で斯かる大電流を送り出すことは、非常に厳しい処理(task)である。
【0074】
上述の好ましい実施例の説明は、例示目的にすぎず、本発明の範囲を限定することは意図されていない。上述の実施例に対するさまざまな修正及び変形が、当業者にとって明らかであろう。例えば、本発明は、本発明の多数の発光デバイスを有するライティングデバイスに関する。さらに、他の波長変換化合物、基板材料等のアレイの構成要素のさまざまな変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、3×3方陣で配設された9個の能動素子(4個は赤色の光を供給し、4個は緑色の光を供給し、1個は青色の光を供給する)のマルチフォールドLEDを有する本発明の9つの部分から成るアレイを示す。
【図2】図2は、図1のアレイ用の回路の例を示す。
【図3】図3は、図1のデバイスのIII−III線に沿った断面を示し、赤色チャネル用の回路が相互接続層31に配設され、緑色チャネル用の回路が相互接続層32に配設され、青色チャネル用の回路が相互接続層33に配設されるように回路がマルチレイヤサブマウント内に配設されていて、能動LED素子及び相互接続層間の相互接続はマルチレイヤサブマウントの層を介す電気バイアにより設けられている。
【図4】図4は、本発明の3000Kの白色を放つRGBアレイのスペクトルの例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの高抵抗性基板上に形成された複数個の発光ダイオードのアレイであって、第1の色の光を供給するように構成される少なくとも1個の発光ダイオードの第1の組、第2の色の光を供給するように構成される少なくとも1個の発光ダイオードの第2の組、及び第3の色の光を供給するように構成される少なくとも1個の発光ダイオードの第3の組を少なくとも有するアレイ、及び
前記アレイが配設されるサブマウントであって、前記発光ダイオードのアレイが接続される回路を備えるサブマウントを有する色可変発光デバイスにおいて、
前記アレイ内の各発光ダイオードが、前記回路への別個の接続を持ち、
前記組のうちの少なくとも1つの組は、前記回路を介して直列に相互接続される少なくとも2個の発光ダイオードを有し、
前記回路は、前記少なくとも第1、第2及び第3の組のうちの少なくとも1つの組を独立してアドレスするための外部コネクタを有することを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記回路は、第1の部分及び第2の部分を有し、前記第1の部分は、独立してアドレス可能な前記発光ダイオードの組に接続され、前記第2の部分と電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記サブマウントは、マルチレイヤサブマウントであり、前記回路は、前記サブマウントの第1の層に一部配設され、前記サブマウントの第2の層に一部配設されることを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記回路の前記第1の部分は、前記サブマウントの第1の層に配設され、前記回路の前記第2の部分は、前記サブマウントの第2の層に配設されることを特徴とする請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の組の前記発光ダイオードは、該ダイオードにより放たれる光を供給される前記第1の色の光に変換するように構成される第1の波長変換化合物を備え、前記第2の組の前記発光ダイオードは、該ダイオードにより放たれる光を供給される前記第2の色の光に変換するように構成される第2の波長変換化合物を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記発光ダイオードにより放たれる光は青色光であり、供給される前記第1の色は緑色であり、供給される前記第2の色は赤色であることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第3の組の前記発光ダイオードは、該ダイオードにより放たれる光を供給される前記第3の色の光に変換するように構成される第3の波長変換化合物を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記発光ダイオードにより放たれる光は紫外光であり、供給される前記第1の色は緑色であり、供給される前記第2の色は赤色であり、供給される前記第3の色は青色であることを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記波長変換化合物は、前記発光ダイオード上に堆積されることを特徴とする請求項5乃至8の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記波長変換化合物は、前記アレイ上に配設される層の領域に配設され、前記領域は、前記発光ダイオードの少なくとも一部を覆うことを特徴とする請求項5乃至8の何れか一項に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−523583(P2008−523583A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543952(P2007−543952)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【国際出願番号】PCT/IB2005/053928
【国際公開番号】WO2006/061728
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】