説明

コンピュータ、それを用いた表示システム、およびそのプログラム

【課題】各利用者の記入内容の分類を簡易に指定し表示することができるようにする。
【解決手段】各利用者は、各自の電子ペンを用いて解答用紙に解答を記入する。各電子ペンからの情報は集約装置に集約され、ディスプレイの画面はプロジェクタによってスクリーンへ投影される。集約装置は、ディスプレイに、ユーザ選択リスト69と色分類ボタン71〜76を表示する。各利用者の記入内容に応じて、色分類ボタンを選択することで、分類を付与することができる。また、ユーザ選択リスト69のキーワード入力欄にキーワードを入力することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペン先部の用紙上の位置座標を演算する電子ペンを用いた電子ペン・システムであって、記入者設定用紙への記入によって、記入用紙に記入する記入者を端末装置に認識させることができるシステムおよびそのプログラムに関する。
【0002】
従来、記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのアノト社が開発した「アノトペン」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙(以下、「専用ペーパー」とも呼ぶ。)とともに使用される。アノトペンは、ペン先部に、文字等を書くための通常のインクカートリッジに加えて、専用紙に印刷されたドットパターンを撮像するための小型カメラと、撮像したドットパターンから専用紙における位置座標を演算するプロセッサと、演算された位置座標等を外部機器へ送信するデータ通信ユニットとを搭載している。利用者が専用紙上にアノトペンで文字等を書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを撮像し、プロセッサによって演算された連続する位置座標から、利用者が書き込んだ文字、画像などの記入情報が認識される。そして、この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置へ送信される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
本出願人は、このような電子ペンを用いて、模擬試験などの採点した結果を効率よく集計する学習採点システムなどを提案している(特許文献2)。また、複数の受講者に対して共有する学習データを記憶装置に記憶し、受講者の端末からのアクセスをカウントしつつ学習データを提供するシステムも提案されている(特許文献3)。また、受講者が電子ペンによって問題用紙に解答を記入し、各電子ペンで記入された記載内容を同一の問題用紙ごとにまとめてファイルを作成し、記憶するシステム等も提案されている(特許文献4)。
【0004】
また、結婚式や送別会などのイベント用に、寄せ書きをタブレットコンピュータで行うことが提案されている(特許文献5)。この特許文献5には、取り込まれた入力メッセージデータに対し、記入完了ボタンの選択か、一定時間以上のペンがタブレットから離れていたことを、記入の区切りと判断して、記入内容の区切りごとに個別のIDを付与し、複数のメッセージを別の人が書いたメッセージとして識別する装置が記載されている。また、複数の電子ペンからの記入情報を、その記入情報に含まれる電子ペン固有のペンIDによって識別する情報処理装置も提案されている(特許文献6)。この特許文献6には、電子ペンで記入された記入内容を表示画面に表示する際、ペンIDによって記入情報を識別して異なる色で表示することも記載されている。
【0005】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】特開2004−206295号公報
【特許文献3】特開2002−323847号公報
【特許文献4】特開2006−244055号公報
【特許文献5】特開2006−127013号公報
【特許文献6】特開2003−308169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の装置では、各利用者の記入内容の分類を簡易に指定し表示するようなものは存在しなかった。そこで、本発明は、各利用者の記入内容の分類を簡易に指定し表示することができるコンピュータ、表示システムないしプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンピュータは、複数の利用者の筆跡を示す位置座標に関する情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信した情報を処理する処理手段を備えるコンピュータであって、
前記処理手段は、
各利用者を識別する情報をリスト状に示すユーザ選択リストを表示手段に表示させるとともに、各利用者を識別する情報に対して、各利用者の記入内容に応じた分類の入力を受けて、その分類を示す情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ユーザ選択リストの各利用者を識別する情報に対して、各利用者の記入内容に応じた分類を入力することができ、その分類を示す情報を表示手段に表示させることができる。
【0009】
上記コンピュータにおいて、処理手段は、記入内容に応じた分類を色で表現し、ユーザ選択リストの各利用者を識別する情報に対応させて、色を表示するよう構成するとよい。
【0010】
また、上記コンピュータにおいて、処理手段は、ユーザ選択リストにおいて、付与された分類でソートして、各利用者を識別する情報を並び替えるよう構成するとよい。
【0011】
また、上記コンピュータにおいて、処理手段は、入力された分類を記憶手段に記憶させるとともに、分類を対象とする検索を行い、検索された利用者のデータを読み出し表示手段に表示させるように構成してもよい。
【0012】
また、本発明におけるコンピュータは、複数の利用者の筆跡を示す位置座標に関する情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信した情報を処理する処理手段を備えるコンピュータであって、
前記処理手段は、
各利用者を識別する情報をリスト状に示すユーザ選択リストを表示手段に表示させるとともに、各利用者を識別する情報に対して、各利用者の記入内容に応じたキーワード情報の入力を受けて、そのキーワード情報を前記表示手段に表示させる。
【0013】
この構成によれば、ユーザ選択リストの各利用者を識別する情報に対して、各利用者の記入内容に応じたキーワード情報を入力することができ、そのキーワード情報を表示手段に表示させることができる。
【0014】
上記コンピュータにおいて、処理手段は、入力されたキーワード情報を記憶手段に記憶させるとともに、キーワード情報を対象とする検索を行い、検索された利用者のデータを読み出し表示手段に表示させるよう構成してもよい。
【0015】
また、上記コンピュータにおいて、処理手段は、ユーザ選択リストから選択指示された利用者を識別する情報に関連する位置座標に関する情報に基づき、記入内容を表示手段に表示させるよう構成するとよい。
この構成により、ユーザ選択リストから利用者を識別する情報を選択指示することで、その利用者の記入内容を表示手段に表示させることができる。
【0016】
また、上記コンピュータにおいて、処理手段は、各電子ペンにより送信されるペンIDにより、記入している利用者を識別するとよい。
【0017】
また、上記コンピュータにおいて、処理手段の処理により、操作に応じてユーザ選択リストを非表示とすることで、記入内容を表示する領域を拡大するよう構成してもよい。
【0018】
また、上記コンピュータにおいては、受信手段によって受信した情報に基づき処理した画像を各利用者に観察可能に表示手段に表示するよう構成するとよい。これにより、各利用者は、それぞれの記入内容に応じて付された分類ないしキーワード情報を確認することができる。
【0019】
また、上記コンピュータをプロジェクタに接続し、そのプロジェクタにより、表示手段に表示された内容がスクリーンに表示されるようすることで、画像を各利用者に観察可能に表示するようにするとよい。
【0020】
また、複数の利用者がそれぞれ用いる記入用紙と、
複数の利用者が各自の記入用紙に記入するのに用いられ、少なくとも記入した位置座標に関する情報を送信する複数の電子ペンと、
上記コンピュータとを備え、
受信手段は、各電子ペンから送信された情報を受信するように構成するとよい。これにより、各利用者が電子ペンで記入用紙に記入した内容を互いに認識することができる。
【0021】
また、本発明に係るプログラムは、上記コンピュータとして機能させることを特徴とする。このプログラムをコンピュータにインストールして機能させることで、上記コンピュータないし表示システムを実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、各利用者の記入内容の分類を簡易に指定し表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る電子ペン・システムの一実施形態のシステム構成図である。
【図2】本実施形態のシステムで利用される解答用紙を示す図である。
【図3】本実施形態のシステムで利用される名簿用紙を示す図である。
【図4】本実施形態のシステムで利用されるカラーパレット用紙を示す図である。
【図5】各用紙に印刷されるドットパターンによる情報の表現方法の説明図である。
【図6】(a)はドットパターンを模式的に示し、(b)はそれに対応する情報の例を示す説明図である。
【図7】本実施形態のシステムで利用される電子ペンの構成を示すブロック図である。
【図8】集約装置の機能ブロック図を含む本システムのシステム構成図である。
【図9】集約装置に記憶された、用紙におけるユーザエリアと用紙種別、位置座標の範囲を関係付けた、ユーザエリア定義情報の一例を示す図である。
【図10】(a)は、集約装置に記憶された名簿用紙におけるユーザエリアと名簿No.をユーザID、ユーザ名を関係付けた、名簿定義情報の一例を示す図、(b)は、集約装置に記憶された、カラーパレット用紙におけるユーザエリアと線種ID、線種を関係付けた、カラーパレット定義情報の一例を示す図である。
【図11】(a)は、集約装置に記憶させる、ペン設定情報の一例を示す図、(b)は、同じ電子ペンを複数の解答者が利用する場合のペン設定情報の一例を示す図、(c)は、異なる電子ペンを同じ解答者が利用する場合のペン設定情報の一例を示す図である。
【図12】集約装置に記憶させる学習データのファイルの構造図である。
【図13】記入情報への記入者IDの設定を示すフローである。
【図14】予め名簿用紙によってユーザIDを指定して解答用紙に記入する場合の説明図である。
【図15】図14の使用態様に続いて、別の解答者が同じ電子ペンで名簿用紙によってユーザIDを指定して解答用紙に記入する場合の説明図である。
【図16】先行して解答用紙に解答が記入してしまい、後で名簿用紙によってユーザIDを指定して続けて解答用紙に記入する場合の説明図である。
【図17】本集約装置におけるグループ化機能の説明図である。
【図18】集約装置における描画アプリケーションによる表示画面例である。
【図19】図18に示す表示画面例のユーザコントロールリストである。
【図20】集約装置における描画アプリケーションによる機能メニューの説明図であり、(A)はファイルメニューのプルダウンメニュー、(B)は表示メニューのプルダウンメニュー、(C)はツールメニューのプルダウンメニューを示す。
【図21】集約装置における描画アプリケーションによる表示画面例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電子ペン・システムの好適な実施形態について説明する。
【0025】
[電子ペン・システムのシステム構成]
図1は、本実施形態における電子ペン・システム10のシステム構成図である。図1に示すように、電子ペン・システム10は、各受講者それぞれに配布される解答用紙(記入用紙)5A,5B,…(5)と、解答用紙5に解答(筆跡)を記入し、記入した情報を外部へ Bluetooth(登録商標)等の無線通信方式で送信するための電子ペン1A,1B,…(1)と、各電子ペン1から送信される記入情報を受信してディスプレイ(表示手段)に記入内容等を表示する集約装置(端末装置)2とを備える。
【0026】
なお、図1では、集約装置2は、電子ペン1A〜1Cから直接、記入情報を受信しているが、記入される解答用紙5が多いために記入情報が送信される電子ペン1の本数が多い場合や、受講者が解答する会場が離れている等により無線通信の範囲外となるような場合は、他の電子ペン1D、1E、…から送信される記入情報を中継して集約装置2へ転送するための転送装置3を設ける。このとき、転送装置3から集約装置2へのデータの送信は、例えばLAN経由でTCP/IPの通信方式で行うとよい。各電子ペン1には、アノトペンを利用することができ、集約装置2や転送装置3には、ラップトップパソコンなどを利用することができる。プロジェクタ4は、集約装置2から表示情報を受信して、集約装置2の画面をスクリーンへ投影表示する装置である。
【0027】
また、本システム10では、電子ペン1で解答用紙5に記入するにあたって、集約装置2に、電子ペン1で記入している記入者を認識させるための名簿用紙(記入者設定用紙)6と、集約装置2での記入した筆跡を表示する色及び線幅を特定するためのカラーパレット用紙7とが備えられている。
【0028】
[解答用紙]
図2を参照して解答用紙(記入用紙)5について説明する。各解答用紙5には、その略全面に、それぞれ同じパターンのドットパターン(コード化パターン)が印刷され、その上に、ユーザエリア501が規定されている。さらに、各解答用紙5には、所属(クラス)や名前を記入する記入欄や問題、解答欄等が印刷されている。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷され、記入欄や問題内容等の線や文字は、赤外域に吸収性を持たないインキにより印刷される。
【0029】
[名簿用紙]
図3を参照して名簿用紙(記入者設定用紙)6について説明する。名簿用紙6には、その略全面に、電子ペン1によって読取可能なドットパターン(コード化パターン)が印刷され、その上に、ユーザエリア601〜606が規定されている。ユーザエリア601〜606は、集約装置2において、電子ペン1により記入されて生成される記入情報に、ペンIDを介してユーザIDを関連付けるために用いられる。ここでは、解答者が、太郎、次郎、三郎、四郎、五郎の5名であるため、ユーザエリア601には「1 太郎」、ユーザエリア602には「2 次郎」、ユーザエリア603には「3 三郎」、ユーザエリア604には「4 四郎」、ユーザエリア605「5 五郎」と印刷されている。なお、ユーザエリア606には、予備として「6」と印刷されているが、名前は印刷されていない。名簿用紙6に印刷されたドットパターンは、解答用紙5とは異なるドットパターンを有し、そのドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷されている。また、各ユーザエリア601〜606の枠や名前は、赤外域に吸収性を持たないインキにより印刷される。解答者は、解答用紙5に解答を記入する際に、自分のユーザIDによって記入情報の記入者を集約装置2に認識させるために、自己の名前に対応するユーザエリアに、電子ペン1のペン先部103でタップ(軽叩)する。
【0030】
[カラーパレット用紙]
図4を参照してカラーパレット用紙7について説明する。カラーパレット用紙7の略全面に、電子ペン1によって読取可能なドットパターン(コード化パターン)が印刷され、その上に、ユーザエリア701〜706が規定されている。ユーザエリア701〜706は、電子ペン1によるストローク情報(筆跡)を集約装置2の表示手段26で表示する色及び線幅を選択するために用いられる。ユーザエリア701は、ストローク情報を集約装置2の表示手段26に黒色で表示するためのユーザエリアであり、「くろ」と印刷されている。ユーザエリア702は、ストローク情報を集約装置2の表示手段26に赤色で表示するためのユーザエリアであり、「あか」と印刷されている。ユーザエリア703は、ストローク情報を集約装置2の表示手段26に青色で表示するためのユーザエリアであり、「あお」と印刷されている。
【0031】
また、ユーザエリア704は、ストローク情報を集約装置2の表示手段26に0.3mmの線幅で表示するためのユーザエリアであり、「0.3mm」と印刷されている。ユーザエリア705は、ストローク情報を集約装置2の表示手段26に0.5mmの線幅で表示するためのユーザエリアであり、「0.5mm」と印刷されている。ユーザエリア706は、ストローク情報を集約装置2の表示手段26に1.0mmの線幅で表示するためのユーザエリアであり、「1.0mm」と印刷されている。カラーパレット用紙7に印刷されたドットパターンは、解答用紙5や名簿用紙6とは異なるドットパターンを有し、そのドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷されている。また、各ユーザエリア701〜706の枠や文字は、赤外域に吸収性を持たないインキにより印刷される。解答者等は、集約装置2の表示手段26に表示させるストローク情報(筆跡)の色や線幅を設定する際に、電子ペン1のペン先部103で所望のユーザエリアにタップする。
【0032】
次に、図5と図6を参照しながら、解答用紙5や名簿用紙6、カラーパレット用紙7に印刷されたアノト方式のドットパターン(コード化パターン)について説明する。図5は、用紙5〜7に印刷されたドットパターンのドットと、そのドットが変換される値との関係を説明する図である。図5に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、用紙上の位置座標が決定されるように構成されている。
【0033】
図6は、あるドットパターンの配列を示している。図6(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、用紙上のどの部分から6×6ドットを取っても、ユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは、位置座標と、ドットパターンアドレス(コード化パターンアドレス)を保持している。図6(b)は、図6(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図5に示す規則性に基づいて、対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0034】
[電子ペン]
次に、図7を参照しながら、電子ペン1について説明する。図7に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、CPU等により構成されるプロセッサ108と、ROMやRAMなどのメモリ109と、アンテナや送信回路等により構成される通信ユニット111と、バッテリー112と、LED105と、CMOSカメラ106と、リアルタイムクロック110と、圧力センサ107と、インクカートリッジ104とを備えている。インクカートリッジ104の先端は、ペン先部103となっており、各受講者は、電子ペン1のペン先部103を、名簿用紙6やカラーパレット用紙7にタップしたり、解答用紙5に当接させながら、所属(クラス)や氏名、設問に対する解答を記入したりすることができる。
【0035】
バッテリー112は、電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものである。例えば、磁石入りのキャップの脱着を磁気センサにより検知して(図示せず)、電子ペン1自体の電源のオン/オフを行う。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、受講者が電子ペン1により解答用紙5上に文字などを書く際に、ペン先部103からインクカートリッジ104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ送る。
【0036】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105とCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切り替える。即ち、受講者が電子ペン1で名簿用紙6やカラーパレット用紙7にタップしたり、解答用紙5上に文字などを書いたりすると、そのとき、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、受講者が記入を開始したと判定して、LED105とCMOSカメラ106を作動させる。
【0037】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられている。筐体101におけるLED105とCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、用紙上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照射する。その領域は、ペン先部103が解答用紙5に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。CMOSカメラ106による撮影領域は、図6に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲である。CMOSカメラ106の撮影は、毎秒50〜100回程度行われる。
【0038】
カーボンは赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。CMOSカメラ106の撮影結果を閾値で判別することによって、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を、赤外線の反射量の違いで区別することができる。用紙5〜7の枠線や文字等を印刷したインキは赤外域に吸収性を持たないため、ドットパターンを容易に認識できる。
【0039】
プロセッサ108は、受講者が記入している間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、受講者が記入するストローク(筆跡)の用紙5〜7上におけるXY座標(位置座標)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給されるドットパターンの画像データを図6(b)に示すようなデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値とY座標ビット値に変換したうえで、そのデータ配列から所定の演算方法によりXY座標データとドットパターンアドレスを演算する。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)と、筆圧データと、ドットパターンアドレスと、XY座標データと、ペンID(電子ペン識別情報)を関連付ける。なお、用紙5〜7における6×6のドットパターンは、その用紙内で重複することはないため、受講者が電子ペン1で解答内容を記入すると、記入された位置が用紙のどの位置にあたるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
【0040】
メモリ109には、電子ペン1を識別するためのペンIDが記憶されている。電子ペン1A〜1Eには、それぞれのペンID「pen01 」〜「pen05 」が、それぞれのメモリ109に記憶されている(参照図1)。
【0041】
通信ユニット111は、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、ドットパターンアドレスと、XY座標データと、ペンIDとが関連付けられた記入情報を、集約装置2へ直接、又は転送装置3を経由して送信する。通信ユニット111による送信は、Bluetooth(登録商標)の無線送信方式によって、集約装置2へ即時的かつ逐次的に行われる。
【0042】
各電子ペン1は、受講者が用紙5〜7に記入する都度、記入情報を生成して、集約装置2へ送信する。例えば、受講者が電子ペン1のペン先部103を解答用紙5に接触(ペン・ダウン)させて記入すると、電子ペン1は、圧力センサ107で所定値以上の筆圧が検出されたことにより、解答用紙5への接触を検出する。そして、LED105によって赤外線を照射しつつ、CMOSカメラ106によってペン先部103近傍のドットパターンを撮影する。撮影されたドットパターンの画像データから、解答用紙5への接触位置におけるXY座標データとドットパターンアドレスを、プロセッサ108によって演算する。プロセッサ108は、リアルタイムクロック110によって発信された現在時刻を示す時間情報と、ドットパターンアドレスと、XY座標データと、筆圧データと、ペンIDとを関連付けた記入情報を生成し、その記入情報を集約装置2へ送信させる。
【0043】
このように、電子ペン1は、受講者が解答用紙5に記入し続けている間、記入情報を生成し、集約装置2へ送信し続ける。そして、受講者が電子ペン1を解答用紙5から離す(ペン・アップ)と、電子ペン1は、圧力センサ107で所定値以上の筆圧が検出されなくなったことにより、受講者が記入を停止したと判定する。そして、LED105とCMOSカメラ106を停止して、集約装置2への記入情報の送信を中止する。
【0044】
[転送装置]
図8を参照して転送装置3について説明する。図8に、転送装置3の機能ブロック図と集約装置2の機能ブロック図とを含む電子ペン・システム10のシステム構成図を示す。
【0045】
図8に示すように、転送装置3は、転送受信手段31と転送送信手段32とを備える。転送受信手段31は、電子ペン1から Bluetooth(登録商標)の無線通信方式で送信される記入情報等のデータを受信する手段である。転送送信手段32は、転送受信手段31によって受信した記入情報等のデータを集約装置2に送信する手段である。転送送信手段32による集約装置2へのデータの送信は、例えばLAN経由でTCP/IPの通信方式により行うと良い。
【0046】
[集約装置]
続いて、集約装置2について説明する。図8に示すように、集約装置2は、入力手段21、集約個別受信手段(受信手段)22、集約転送受信手段(受信手段)23、集約処理手段(処理手段)24、記憶手段25、表示手段26、及び送信手段27を備える。集約装置2は、ハードウェアとして、電子ペン1やプロジェクタ4とのデータ通信が可能な通信装置と、CPU等のプロセッサと、ROMやRAM、ハードディスクなどのメモリと、ディスプレイと、マウスやキーボード等で構成されているパーソナルコンピュータ等である。また、集約装置2は、集約処理手段24による描画アプリケーション(プログラム)の実行により、電子ペン1から受信した記入情報を処理して、表示手段26に記入内容を再現する。
【0047】
集約個別受信手段22は、電子ペン1から送信された記入情報等のデータを受信する手段である。集約転送受信手段23は、転送装置3から転送された記入情報等のデータを受信する手段である。集約個別受信手段22及び集約転送受信手段23は、アンテナや受信回路等により構成される。
【0048】
入力手段21は、処理や表示の種別を含む処理態様を指示する手段であり、キーボードやマウスなどにより構成される。送信手段27は、表示手段26に表示される内容と同じ内容をプロジェクタ4に表示させるため、表示手段26への表示信号を同期してプロジェクタ4へ送信する手段である。
【0049】
記憶手段25は、ROMやRAM、ハードディスクなどのメモリによって構成され、用紙5〜7における各ユーザエリアと位置座標とを関連付けて記憶する。すなわち、図9に示すように、記憶手段25は、ユーザエリア501、601〜606、701〜706ごとに、エリア種別と位置座標の範囲とを関連付けたユーザエリア定義情報を記憶している。ユーザエリアの範囲は、「(xn, yn), Hn, Wn」というように、各用紙5〜7における座標(xn, yn)から高さ(Y) 方向Hn、横(X) 方向Wnの範囲で規定される。そして、例えば、ユーザエリア601は、その範囲が「(x1, y1), H1, W1」であって、その用紙種別は「名簿用紙」として記憶されている。
【0050】
また、記憶手段25は、名簿用紙6における各ユーザエリア601〜606とユーザID等とを関連付けて、名簿定義情報として記憶する。すなわち、図10(a)に示すように、記憶手段25は、ユーザエリア601〜606ごとに、ユーザIDとユーザ名と名簿No. とを関連付けて記憶している。例えば、ユーザエリア601は、名簿No. が「1」であって、そのユーザIDは「U01 」、ユーザ名は「太郎」として記憶されている。ここで、各ユーザエリア601〜606に関連付けられているユーザ名や名簿No. は、名簿用紙6の各ユーザエリア601〜606に印刷されている名前や番号と対応する。
【0051】
さらに、記憶手段25は、カラーパレット用紙7における各ユーザエリア701〜706と色又は線幅(線種)と線種IDとを関連付けて、カラーパレット定義情報として記憶する。すなわち、図10(b)に示すように、記憶手段25は、ユーザエリア701〜706ごとに、ストローク情報(筆跡)を集約装置2の表示手段26で表示する色又は線幅(線種)と線種IDとを記憶している。ここで、ユーザエリア701〜703には、ストローク情報を集約装置2の表示手段26に表示する色として、それぞれ、「くろ」、「あか」、「あお」(線種)とその線種ID「L71 」、「L72 」、「L73 」が関連付けられ、ユーザエリア704〜706には、ストローク情報を集約装置2の表示手段26に表示する線幅として、「0.3mm」、「0.7mm」、「1.0mm」(線種)とその線種ID「L74 」、「L75 」、「L76 」が関連付けられている。各ユーザエリア701〜706に関連付けられている線種は、カラーパレット7の各ユーザエリア701〜706に印刷されている文字や線の線種と対応するので、利用者が使いたい線種を選び易くなりカラーパレット7の使い勝手がよい。
【0052】
また、記憶手段25は、各電子ペン1によって送信されてきた記入情報に基づいて後述する集約処理手段24が当該電子ペン1のペンIDに記入者IDや線種IDを関連付けると、そのペンIDと記入者IDや線種IDとの対応付け情報を、図11に示すようなペン設定情報として記憶する。さらに、記憶手段25は、各電子ペン1から受信された記入情報ごとに、集約処理手段24が記入者IDを対応付けると、その記入情報を、記入者IDごとに識別して記憶する。なお、ペン設定情報は、初期状態としては記入者ID及び線種IDは設定されておらず、電子ペン1の利用者が、名簿用紙6やカラーパレット用紙7の特定のユーザエリアを指定することによって、集約装置2に、電子ペン1のペンIDに関連付けて記入者IDや線種IDを記憶させる。そこで、線種IDが対応付けられていない電子ペン1によるストローク情報は、例えば「くろ」色、「0.3mm」の線幅で表示手段26に表示するようにデフォルト設定する。
【0053】
記憶手段25には、集約処理手段24による描画アプリケーション(プログラム)の実行により、ファイル形式で学習データが保存される。図12は、データのファイル形式の概略的な構造を示している。図12に示すように、学習データは、ファイル属性情報と、記入者ID別の個人学習データとを有する。ファイル属性情報には、作成日時情報が含まれている。また、個人学習データには、記入者IDと、電子ペン1から送信された記入情報の位置座標情報等を含むユーザストローク情報と、解答内容等に応じてカテゴライズのために利用者によって設定されるユーザ色(分類)情報やキーワード情報等が含まれている。ユーザストローク情報は、電子ペン1が演算した位置座標(XY座標)情報、記入された時の時刻情報、及び筆圧情報が含まれる。ファイルデータを読み込む際には、入力手段21によって、記入者ID、ユーザ色情報、キーワード情報などを入力して、集約処理手段24によって特定のデータを検索させ、ユーザストローク情報を表示手段26に再現させることができる。
【0054】
集約処理手段24は、電子ペン1からのデータを集約して処理する手段であり、アプリケーションプログラムの実行により機能を発揮するCPU等のプロセッサによって構成されている。この集約処理手段24は、電子ペン1から位置座標及びペンID等を含む記入情報を受信すると、記憶手段25の図9に示すユーザエリア定義情報でユーザエリアと位置座標の範囲の関係を参照して、名簿用紙6上のユーザエリアに電子ペン1でタップされた記入情報であることを特定すると、図10に示す名簿定義情報を参照して、そのユーザエリアに関連付けられたユーザIDを特定し、電子ペン1のペンIDに、特定したユーザIDを記入者IDとして関連付けて、図11に示すペン設定情報として記憶手段25に記憶させる。
【0055】
そして、それ以降に解答用紙5の記入情報を受信すると、記憶手段25に記憶されたペン設定情報を参照して、その記入情報に含まれるペンIDに関連付けられた記入者IDを特定して、解答用紙5についてのストローク情報に関連付けて、記憶手段25における記入者ID別のユーザストローク情報格納領域に記憶させる。したがって、解答用紙5についての位置座標には、ペンIDを介して記入者IDが集約装置2に設定されるため、同じ電子ペン1を複数の解答者が利用する場合(参照図11(b))であっても、異なる電子ペン1を同じ解答者が利用する場合(参照図11(c))であっても、電子ペン1を利用して記入した利用者と記入内容とを関連付けて記憶手段25に記憶し、認識することができる。
【0056】
なお、集約処理手段24は、名簿用紙6についての記入情報の受信に先行して、解答用紙5についての位置座標等及びペンIDを含む記入情報を受信した場合、ペンIDに記入者IDとしてそのペンIDを関連付けて記憶手段25に記憶させるとともに、解答用紙5についてのストローク情報に、記入者IDとしてそのペンIDを関連付けて記憶手段25におけるユーザストローク情報格納領域に記憶させる。そして、後で、名簿用紙6の位置座標からユーザIDを特定してペンIDと関連付けした際、記憶手段25の学習データファイルを参照して、先行して受信され、記入者IDとして同じペンIDに関連付けられた解答用紙5についてのストローク情報を、特定したユーザIDを記入者IDとして新しく関連付けて、記憶手段25におけるユーザストローク情報格納領域に記憶させる。したがって、仮に、電子ペン1で名簿用紙6のユーザエリア601〜606にタップし忘れて、先に解答用紙5に記入を始めたとしても、後で、電子ペン1で名簿用紙6の特定のユーザエリアに記入すれば、集約装置2では、処理手段24によって、名簿用紙6についての位置座標からユーザIDを特定し、解答用紙5についての位置座標に、特定したユーザIDを関連付けて遡及的に記憶手段25に記憶させることができ、それ以降に解答用紙5に記入されたことにより集約装置2で取得する位置座標についても、同じ記入者IDを関連付けて記憶手段25に記憶させることができる。
【0057】
また、集約処理手段24は、解答用紙5についてのストローク情報を含む学習データに基づいて、表示手段26に記入内容を表示させるとともに、記入者IDとして関連付けられているユーザIDに対応するユーザ名を表示させる。表示手段26に電子ペン1による記入内容と、ユーザIDに対応するユーザ名とが表示されるため、利用者は、記入者とその者による記入内容とを合わせて認識することができる。また、集約処理手段24は、表示手段26と同じ内容を同期させて、プロジェクタ4に表示させるため、表示手段26に対する表示信号と同じ信号を送信手段27に対してプロジェクタ4へ向けて送信させる。以下、集約処理手段24の特定の機能について、詳細に説明する。
【0058】
[記入者ID設定機能]
図13を参照して、各電子ペン1によって送信される記入情報への記入者IDの設定機能について説明する。
【0059】
図13に示すように、ある解答者が、用紙5〜7のいずれかに電子ペン1で記入すると、電子ペン1は、ペン先部103付近のドットパターンを読み取って演算した位置情報等によって構成されるストローク情報とペンIDを含む記入情報を、集約装置2へ送信する(ステップS101)。集約装置2では、受信手段22,23によって電子ペン1からの記入情報を受信して、集約処理手段24に処理させる。まず、集約処理手段24は、ストローク情報やペンIDを含む記入情報を記憶手段25に記憶させる(ステップS201)。次に、集約処理手段24は、記入情報に含まれる位置座標から用紙の種類を判定する(ステップS202)。
【0060】
ここで、集約処理手段24は、記憶手段25のユーザエリア定義情報(参照図9)を参照して、ストローク情報に含まれる位置座標に基づいてユーザエリアと用紙種別を特定して、名簿用紙6にタップされたものと判断した場合(ステップS202:名簿用紙)、さらに、名簿定義情報(参照図10(a))を参照して、ステップS202で特定したユーザエリアに対応するユーザIDを特定する(ステップS203)。続いて、集約処理手段24は、記憶手段25のペン設定情報(参照図11(a))を参照して、記入情報に含まれる電子ペン1のペンIDに対応して、記入者IDが設定されているか否か判定する(ステップS204)。
【0061】
集約処理手段24は、電子ペン1のペンIDに対応して、記入者IDが設定されていないと判断した場合(ステップS204:No)、その記入者IDとして、ステップS203において特定したユーザIDを設定して記憶手段25に記憶させる(ステップS207)。さらに、集約処理手段24は、ストローク情報に記入者IDを対応付けて、図12に示すような学習データの個人学習データファイルのユーザストローク情報として、記憶手段25における記入者ID別の格納領域に記憶させる(ステップS208)。
【0062】
一方、ステップS204において、集約処理手段24は、電子ペン1のペンIDに対応して、記入者IDが設定されていると判断した場合(ステップS204:Yes)、その記入者IDとして、ペンIDが設定されているか否か判定する(ステップS205)。このとき、集約処理手段24は、記入者IDとしてペンIDは設定されていないと判断した場合(ステップS205:No)、記入者IDとして設定されているIDが、ステップS203で特定したユーザIDであるか否か判定し(ステップS206)、ステップS203で特定したユーザIDと異なる場合(ステップS206:Yes)、電子ペン1のペンIDの記入者IDを、ステップS203で特定したユーザIDに更新したうえ(ステップS207)(参照図11(b),ペンID=pen01 )、ストローク情報にステップS207で更新した記入者IDを対応付けて、記憶手段25における記入者ID別の個人学習データファイルのユーザストローク情報格納領域に記憶させる(ステップS208)。一方、ステップS203で特定したユーザIDと同じ場合(ステップS206:No)、集約処理手段24は、ストローク情報にその記入者IDを対応付けて、記憶手段25における記入者ID別の個人学習データファイルのユーザストローク情報格納領域に記憶させる(ステップS208)。
【0063】
一方、ステップS205において、集約処理手段24は、記入者IDとして、ペンIDが設定されていると判断した場合(ステップS205:Yes)、記憶手段25に記憶された学習データファイルを参照して、そのペンIDを記入者IDとして記憶されている個人学習データの記入者IDを、ステップS203で特定したユーザIDに遡及的に変更して、記憶手段25に記憶させるとともに(ステップS209)、記憶手段25における電子ペン1に関するペン設定情報の記入者IDを、ペンIDからステップS203で特定したユーザIDに変更して記憶させ(ステップS210)(参照図11(b),ペンID=pen02 )、さらに、ストローク情報に記入者IDとして設定したユーザIDを対応付けて、記憶手段25における記入者ID別の個人学習データファイルのユーザストローク情報格納領域に記憶させる(ステップS208)。
【0064】
また、ステップS202において、集約処理手段24は、ストローク情報に含まれる位置情報に基づいて特定したユーザエリアと用紙種別から解答用紙5に記入されているものと判断した場合(ステップS202:解答用紙)、記憶手段25のペン設定情報を参照して、記入情報に含まれる電子ペン1のペンIDに関連して記入者IDが設定されているか否か判定する(ステップS211)。そして、集約処理手段24は、電子ペン1のペンIDについて記入者IDが設定されていると判断した場合(ステップS211:Yes)、ストローク情報に、その記入者IDを関連付けて、記憶手段25における記入者ID別の個人学習データファイルのユーザストローク情報格納領域に記憶させる(ステップS208)。一方、電子ペン1のペンIDに関連して記入者IDが設定されていないと判断した場合(ステップS211:No)、集約処理手段24は、電子ペン1のペンIDを記入者IDとして設定して記憶手段25に記憶させて(ステップS212)、さらに、ストローク情報に記入者IDであるペンIDを関連付けて、記憶手段25における記入者ID別の個人学習データファイルのユーザストローク情報格納領域に記憶させる(ステップS208)。
【0065】
また、ステップS202において、集約処理手段24は、記憶手段25のユーザエリア定義情報を参照して、ストローク情報に含まれる位置情報に基づいて特定したユーザエリアと用紙種別から用紙の種類はカラーパレット用紙7であると判断した場合(ステップS202:カラーパレット用紙)、さらに、カラーパレット定義情報(参照図10(b))を参照して、ステップS202で特定したユーザエリアに対応する線種IDと線種(色又は線幅)を特定する(ステップS213)。続いて、集約処理手段24は、電子ペン1のペンIDに対応付けて、ペン設定情報(参照図11(a))として記憶手段25に記憶させる(ステップS213)。
【0066】
なお、ペンIDに線種IDが対応付けられている場合、集約処理手段24は、上記のストローク情報に記入者IDを関連付ける際に、当該線種IDも対応付けて、図12に示すような学習データの個人学習データファイルのユーザストローク情報として、記憶手段25における記入者ID別の格納領域に記憶させる。これにより、電子ペン1の利用者が、筆記(ストローク)の途中で異なる線種を設定した場合でも、ストローク情報ごとに線種IDが対応付けられて記憶手段25に記憶されるため、各ストローク情報を、利用者が筆記する時点で意図していた線種によって、集約装置2の表示手段26に表示させることができる。
【0067】
以下、次の(1)(2)(3)の場合について、図13の処理フローにおける流れを説明する。また、(4)においてグループ化機能について説明する。
【0068】
(1) 予め名簿用紙6によってユーザIDを指定して解答用紙5に記入する場合
図13及び図14を参照して、解答者「太郎」が、予め名簿用紙6のユーザエリアのうち、自分の名前が印刷されたユーザエリア601を、電子ペン1Aでタップしたうえで、解答用紙5Aに解答を記入する場合について説明する。
【0069】
解答者「太郎」が、名簿用紙6のユーザエリア601を電子ペン1Aでタップすると、電子ペン1Aは、タップ時に演算したストローク情報(位置情報等)とペンID「pen01 」とを含む記入情報を集約装置2へ送信する(ステップS101)。集約装置2は、集約個別受信手段22によって電子ペン1Aからの記入情報を受信して、集約処理手段24に処理させる。集約処理手段24は、ストローク情報とペンIDとを含む記入情報を記憶手段25に記憶させる(ステップS201)。続いて、集約処理手段24は、記憶手段25のユーザエリア定義情報(参照図9)を参照して、ストローク情報の位置座標に基づいてユーザエリア「601」と用紙種別「名簿用紙」を特定して、名簿用紙6内のストロークであると判断し(ステップS202:名簿用紙)、さらに、名簿定義情報(参照図10(a))を参照して、ユーザエリア601に対応するユーザIDは「U01 」であることを特定する(ステップS203)。
【0070】
このとき、記憶手段25における電子ペン1Aのペン設定情報に、記入者IDはまだ設定されていないため(ステップS204:No)、集約処理手段24は、電子ペン1Aの記入者IDを、特定したユーザID「U01」に設定して記憶手段25に記憶させる(ステップS207)。さらに、集約処理手段24は、ストローク情報に、記入者IDとして設定した「U01 」を対応付けて、学習データの個人学習データファイルのユーザストローク情報として、記憶手段25における記入者ID別の格納領域に記憶させる(参照図12)(ステップS208)。
【0071】
続いて、解答者「太郎」は、解答用紙5Aに電子ペン1Aで解答を記入する。すると、電子ペン1Aは、解答用紙5Aについてのストローク情報とペンID「pen01 」とを含む記入情報を集約装置2へ送信する(ステップS101)。集約装置2は、集約個別受信手段22によって電子ペン1Aからの記入情報を受信して、集約処理手段24に処理させる。集約処理手段24は、ストローク情報とペンIDとを含む記入情報を記憶手段25に記憶させる(ステップS201)。そして、集約処理手段24は、ストローク情報の位置座標から解答用紙5に記入されているものと判断し(ステップS202:解答用紙)、電子ペン1Aのペン設定情報に記入者IDが設定されているか否か確認する(ステップS211)。ここ7、集約処理手段24は、電子ペン1AにはユーザID「U01 」が記入者IDとして設定されていると認識するため(ステップS211:Yes)、解答用紙5Aについてのストローク情報に、記入者ID「U01 」を関連付けて、記憶手段25における、記入者ID別の個人学習データファイルのユーザストローク情報格納領域に記憶させる(ステップS208)。
【0072】
(2) (1)に続いて、別の解答者が同じ電子ペンで名簿用紙6によってユーザIDを指定して解答用紙5に記入する場合
図13及び図15を参照して、(1)の例に続いて、解答者「三郎」が、名簿用紙6のユーザエリアのうち、自分の名前が印刷されたユーザエリア603を電子ペン1Aでタップしたうえで、解答用紙5Cに解答を記入する場合について説明する。
【0073】
解答者「三郎」が、名簿用紙6のユーザエリア603を電子ペン1Aでタップすると、電子ペン1Aは、タップ時に演算したストローク情報(位置情報等)とペンID「pen01 」とを含む記入情報を集約装置2へ送信する(ステップS101)。集約装置2は、集約個別受信手段22によって電子ペン1Aからの記入情報を受信して、集約処理手段24に処理させる。集約処理手段24は、ストローク情報とペンIDとを含む記入情報を記憶手段25に記憶させる(ステップS201)。続いて、集約処理手段24は、ストローク情報の位置座標に基づいて特定したユーザエリア「603」と用紙種別「名簿用紙」から、名簿用紙6へのタップと判断し(ステップS202:名簿用紙)、さらに、名簿定義情報を参照して、ユーザエリア603に対応するユーザIDは「U03 」であることを特定する(ステップS203)。
【0074】
このとき、電子ペン1Aの記入者IDには、先行して電子ペン1Aを使用していた「太郎」のユーザID「U01 」が設定されているため、集約処理手段24は、記入者IDが既に設定されていると認識し(ステップS204:Yes)、その記入者IDは、ペンIDではないと判断する(ステップS205:No)。さらに、集約処理手段24は、ステップS202で特定したユーザID「U03 」が、設定されている記入者ID「U01 」とは異なるため(ステップS206:Yes)、電子ペン1Aのペン設定情報の記入者IDを、特定したユーザID「U03 」に更新して記憶手段25に記憶させる(ステップS207)。さらに、集約処理手段24は、ストローク情報に、記入者IDとして設定した「U03 」を対応付けて、記憶手段25における記入者ID別の個人学習データファイルのユーザストローク情報格納領域に記憶させる(ステップS208)。
【0075】
続いて、解答者「三郎」は、解答用紙5Cに電子ペン1Aで解答を記入する。すると、電子ペン1Aは、解答用紙5Cについてのストローク情報とペンID「pen01 」とを含む記入情報を集約装置2へ送信する(ステップS101)。集約装置2は、集約個別受信手段22によって電子ペン1Aからの記入情報を受信して、集約処理手段24に処理させる。集約処理手段24は、ストローク情報とペンIDとを含む記入情報を記憶手段25に記憶させる(ステップS201)。そして、集約処理手段24は、ストローク情報の位置情報から解答用紙5に記入されているものと判断し(ステップS202:解答用紙)、電子ペン1Aに記入者IDが設定されているか否か確認する(ステップS211)。ここで、集約処理手段24は、電子ペン1AにはユーザID「U03 」が記入者IDとして設定されていると認識するため(ステップS211:Yes)、解答用紙5Cについてのストローク情報に、記入者ID「U03」を関連付けて、記憶手段25における記入者ID別の個人学習データファイルのユーザストローク情報格納領域に記憶させる(ステップS208)。
【0076】
(3) 記入者IDが設定されていない状態から、先行して解答用紙5に解答を記入してしまい、後で、名簿用紙6によってユーザIDを指定して、続けて解答用紙5に記入する場合
図13及び図16を参照して、解答者「次郎」が、集約装置2において記入者IDが設定されていない状態から、先行して解答用紙5Bに解答を記入してしまい、後で、名簿用紙6のユーザエリアのうち、自分の名前が印刷されたユーザエリア602を電子ペン1Bでタップしたうえで、解答用紙5Bに解答を記入する場合について説明する。
【0077】
解答者「次郎」が、解答用紙5Bに電子ペン1Bで解答を書き始めると、電子ペン1Bは、解答用紙5Bについてのストローク情報(位置情報)と電子ペン1BのペンID「pen02 」とを含む記入情報を集約装置2へ送信する(ステップS101)。集約装置2は、集約個別受信手段22によって電子ペン1Bからの記入情報を受信して、集約処理手段24に処理させる。集約処理手段24は、ストローク情報とペンIDとを含む記入情報を記憶手段25に記憶させる(ステップS201)。続いて、集約処理手段24は、ストローク情報の位置情報から解答用紙5に記入されているものと判断する(ステップS202:解答用紙)。ここで、記憶手段25には、電子ペン1Bのペン設定情報に記入者IDが設定されていない状態であるため、集約処理手段24は、記憶手段25に電子ペン1Bの記入者IDは設定されていないと認識し(ステップS211:No)、記入者IDとして、暫時的に電子ペン1BのペンID「pen02 」を設定して記憶手段25に記憶させる(ステップS212)。そして、集約処理手段24は、解答用紙5Bについてのストローク情報に記入者ID「pen02 」を関連付けて記憶手段25における記入者ID別の個人学習データファイルのユーザストローク情報格納領域に記憶させる(ステップS208)。
【0078】
その後、解答者「次郎」は、名簿用紙6のユーザエリアのうち、自分の名前が印刷されたユーザエリア602を電子ペン1Bでタップする。すると、電子ペン1Bは、タップ時に演算したストローク情報(位置情報)とペンID「pen02 」とを含む記入情報を集約装置2へ送信する(ステップS101)。集約装置2は、集約個別受信手段22によって電子ペン1Bからの記入情報を受信して、集約処理手段24に処理させる。集約処理手段24は、ストローク情報とペンIDとを含む記入情報を記憶手段25に記憶させる(ステップS201)。続いて、集約処理手段24は、ストローク情報の位置情報に基づいて特定したユーザエリア「602」と用紙種別から、名簿用紙6にタップされているものと判断し(ステップS202:名簿用紙)、さらに、そのユーザエリア602に対応するユーザIDは「U02 」であることを特定する(ステップS203)。
【0079】
このとき、記憶手段25では、電子ペン1Bの記入者IDは、暫時的に「pen02 」に設定されている。そのため、集約処理手段24は、記入者IDは設定されていると認識するが(ステップS204:Yes)、設定されている記入者IDはペンID(「pen02 」)であると認識する(ステップS205:Yes)。そのため、集約処理手段24は、先行して取得され、記憶手段25に記入者ID別に記憶されている個人学習データのうち、記入者ID「pen02 」として記憶されている個人学習データの記入者ID「pen02 」を遡及的に、特定したユーザID「U02 」に変更して記憶手段25に格納させるとともに(ステップS209)、記憶手段25における電子ペン1Bの記入者IDを「pen02 」からユーザID「U02 」に変更して記憶させ(ステップS210)、さらに、ストローク情報に、記入者IDとして設定した「U02 」を対応付けて、記憶手段25における記入者ID別の個人学習データファイルの格納領域に記憶させる(ステップS208)。
【0080】
続いて、解答者「次郎」は、解答用紙5Bに戻り、電子ペン1Bで再び解答を記入し始める。そうすると、電子ペン1Bは、解答用紙5Bについてのストローク情報とペンID「pen02 」とを含む記入情報を集約装置2へ送信する(ステップS101)。集約装置2は、集約個別受信手段22によって電子ペン1Bからの記入情報を受信して、集約処理手段24に処理させる。集約処理手段24は、ストローク情報とペンIDとを含む記入情報を記憶手段25に記憶させる(ステップS201)。そして、集約処理手段24は、ストローク情報の位置情報から解答用紙5に記入されているものと特定し(ステップS202:解答用紙)、さらに、電子ペン1Bに記入者ID「U02 」が設定されていることを認識する(ステップS211:Yes)。そのため、集約処理手段24は、解答用紙5Bについてのストローク情報に、記入者ID「U02 」を関連付けて、記憶手段25における、記入者ID別の個人学習データファイルのユーザストローク情報格納領域に記憶させる(ステップS208)。
【0081】
このように、集約処理手段24の記入者ID設定機能によれば、予め名簿用紙6によってユーザIDを指定して解答用紙5に記入すれば、そのストローク情報についてユーザIDが関連付けられて記憶手段25に記憶されるが、仮に、名簿用紙6によってユーザIDを指定する前の、電子ペン1に記入者IDが設定されていない状態で、解答用紙5に解答を記入してしまった場合でも、その後で、名簿用紙6によってユーザIDを指定すれば、先行して解答用紙5に記入した内容のユーザストローク情報も遡及してそのユーザIDに関連付けされ、続けて解答用紙5に記入した内容のユーザストローク情報についても、そのユーザIDが関連付けされることとなる。
【0082】
(4) グループ化機能について
図17を参照して、記入者ID設定機能のグループ化機能について説明する。図17に示すように、解答者三名がそれぞれ固有のペンIDを有する異なる電子ペン1A〜1Cで、予め名簿用紙6のユーザエリア602をタップしたうえで、解答用紙5に記入する場合、集約装置2では、集約処理手段24によって、電子ペン1A〜1Cについての記入者IDとして、ユーザエリア602のユーザID「U02 」が設定されることとなる。この場合、電子ペン1A〜1Cを用いている各解答者は、ユーザID「U02 」に対応するユーザ名「次郎」を班長とするグループに属しているといった具合に、集約装置2において、ユーザIDによってグループ化することができる。勿論、このグループ化機能を利用する場合には、名簿用紙6の各ユーザエリア601〜606に、名前の代わりにグループ名を印刷し、集約装置2の記憶手段25で記憶されるユーザ名としても同様のグループ名を設定してもよい。また、電子ペン1A〜1Cのいずれか或いは全てに、異なる線種を設定することもできる。例えば、「あお」の線種に設定した電子ペン1によって、グループで最終決定した解答をマークしたり記入したりすると、集約装置2の表示手段26に同じグループの解答として描画されるユーザストロークのうち、グループで最終決定した解答を示すユーザストロークを、講師や解答者が容易に認識できる。
【0083】
[描画アプリケーションによる画面表示]
次に、描画アプリケーションの実行による集約処理手段24の表示手段26への表示処理について図18を参照しつつ説明する。
【0084】
図18に示すように、電子ペン1で解答用紙5に記入された際に生成された記入情報に基づいて、集約装置2で記憶手段25に個別学習データとして記憶したユーザストローク情報は、集約処理手段24によって、表示手段26のユーザストローク情報表示領域50に描画される。描画するユーザストローク情報が、拡大表示などでユーザストローク情報表示領域50よりも大きい場合、集約処理手段24は、横スクロールバー51及び縦スクロールバー52を有効とし、ユーザストローク情報全体を表示できるようにする。
【0085】
また、集約処理手段24は、画面上部に、機能ボタンとして、選択ユーザ表示ボタン53、比較一覧表示ボタン54、再生表示ボタン56、選択画像出力ボタン57、表示サイズ変更リスト58、縮小表示ボタン59、拡大表示ボタン61、ページ送り機能62,63、回転表示ボタン64,66、ユーザコントロール表示ボタン67などを表示し、入力手段21のマウスによる機能ボタンの選択により、それぞれの処理を実行する。
【0086】
選択ユーザ表示ボタン53は、後述するユーザ選択リスト69から選択した1つのユーザ名に対応するユーザストローク情報を表示するためのボタンである。比較一覧表示ボタン54は、複数のユーザ名に対応するユーザストローク情報を同時に並べて一覧表示するためのボタンである。再生表示ボタン56は、ユーザストローク情報を1ストロークずつ再生表示するためのボタンである。選択画像出力ボタン57は、任意選択範囲がある場合にその範囲内のユーザストローク情報を、画像データとして出力するためのボタンである。この機能を設けることで、各受講生の記入情報から、参考となる模範解答集などを容易に作成できるようになる。
【0087】
表示サイズ変更リスト58は、現在、ユーザストローク情報表示領域50に描画するユーザストローク情報の表示サイズを示すリストである。また、ユーザがマウスを用いてプルダウンメニューの中から表示サイズを任意に選択し、変更できる。縮小表示ボタン59は、ユーザストローク情報表示領域50に描画するユーザストローク情報の表示サイズを縮小する機能である。拡大表示ボタン61は、ユーザストローク情報表示領域50に描画するユーザストローク情報の表示サイズを拡大する機能である。ページ送り機能62,63は、異なるページアドレス(用紙ドットパターン)の解答用紙5を表示するためのボタンである。回転表示ボタン64,66は、ユーザストローク情報表示領域50に描画するユーザストローク情報を90度ずつ回転させるためのボタンである。このような機能を設けることで、表示上の用紙向きを簡単に変更できる。ユーザコントロール表示ボタン67は、ユーザコントロールリスト68の表示・非表示を切り替える機能である。非表示にすることで、ユーザストローク情報表示領域50を拡大できる。
【0088】
図19に示すように、ユーザコントロールリスト68には、ユーザ選択リスト69、色分類ボタン71〜76、名簿順ソートボタン78、色順ソートボタン79、分類グラフ表示ボタン81、リロードボタン82などが表示される。
【0089】
ユーザ選択リスト69は、ユーザストローク情報表示領域50に表示するユーザストローク情報を、ユーザ名で選択するためのリストである。集約処理手段24は、電子ペン1から取得して個別学習データとして記憶手段25に記憶したユーザストローク情報ごとに関連付けられている記入者ID(ユーザID)に対応するユーザ名や、色分類ボタン71〜76によって選択されたユーザ色(分類)情報、キーワード等の各ユーザの情報を、ユーザ選択リスト69に表示する。ユーザ選択リスト69のユーザ名の欄には、集約処理手段24により、記憶手段25に記憶した個別学習データの記入者IDに対応するユーザ名が表示される。すなわち、電子ペン1によって名簿用紙6のユーザエリアにタップされて記入者IDとして設定されたユーザIDに対応するユーザ名、或いは、記入者IDとしてペンIDが設定されている場合にはペンIDが表示されることとなる。
【0090】
そして、操作者が入力手段21のマウスによって、ユーザ選択リスト69から所望のユーザを選択したうえで選択ユーザ表示ボタン53をクリックすると、集約処理手段24は、選択されたユーザのストローク情報を解答用紙5の画像とともに、ユーザストローク情報表示領域50に表示させる。図18では、ユーザ選択リスト69のうちユーザ名「三郎」が選択され、ユーザストローク情報表示領域50には、名簿用紙6のユーザエリア603にタップされた電子ペン1で記入された記入内容が、解答用紙5の画像とともに表示されている。また、ユーザ選択リスト69のキーワードの欄に、入力手段21のキーボードを用いて直接文字を入力することができ、集約処理手段24は、入力された文字を個人学習データファイルのキーワード情報として記憶手段25における記入者ID別の格納領域に記憶させる(参照図12)。
【0091】
色分類ボタン71〜76は、ユーザ選択リスト69に表示されているユーザごとにユーザ色(分類)情報を設定するためのボタンである。ボタン71は赤色に、ボタン72は青色に、ボタン73は黄色に、ボタン74は緑色に、ボタン75は茶色に、ボタン76は白色に設定するためのボタンである。集約装置2の操作者は、入力手段21のマウスによって、ユーザ選択リスト69内の特定のユーザ名を選択し、色分類ボタン71〜76のうち所望のボタンを選択すると、集約処理手段24は、ユーザ選択リスト69内の選択されたユーザ名の色分類を表示する欄を指定された色で表示する。この機能により、操作者である講師が、ユーザストローク情報表示領域50に表示される受講者の解答内容を見て、その考え方などをカテゴリー分けして色をつけ、見易くすることができる。なお、ユーザ色(分類)情報は、未設定時は、白色に設定しておくとよい。
【0092】
名簿順ソートボタン78は、ユーザ選択リスト69に表示されているユーザ一覧を、図10(a)に示す名簿定義情報の名簿No.の順に並べ替えるためのボタンである。色順ソートボタン79は、ユーザ選択リスト69に表示されているユーザ一覧を、色分類ボタン71〜76の操作によって付された色情報が同じユーザ同士を連続して配列されるように、ユーザ色情報順に並べ替えるためのボタンである。分類グラフ表示ボタン81は、色分類ボタン71〜76の操作によって付されたユーザ色情報別のユーザ数を、ユーザストローク情報表示領域50に棒グラフ等で表示するためのボタンである。
【0093】
リロードボタン82は、ユーザ選択リスト69において選択されているユーザのユーザストローク情報を、学習データファイル保存時の状態まで戻すためのボタンである。この機能により、操作者である講師が、リロードボタン82をマウスで選択すると、集約処理手段24は、選択されているユーザに関連付けられている記入者IDに基づいて、前回のファイル保存以降に電子ペン1より受信して記憶手段25の記入者ID別の格納領域に記憶したユーザストローク情報をクリアして、前回ファイル保存した時点までのユーザストローク情報を読み出し、ユーザストローク情報表示領域50に表示する。この機能により、個々のユーザが解答をやり直したい場合などに対応できる。
【0094】
また、図20に示すように、ファイルデータの保存やアプリケーションの設定などは、一般的なアプリケーションと同様に、機能メニューとして用意しておくと良い。図20(A)に示すように、ファイルメニュー84のプルダウンメニューとして、ファイルデータの読み込み・保存を実行するメニュー85,86、画像形式で保存するメニュー87,88、アプリケーションの終了を実行するメニュー89など、アプリケーションの全般的な管理に関する実行機能を一覧で用意しておくと便利である。
【0095】
また、ファイルデータの保存に関するファイル形式を、ユーザ別のユーザストローク情報と設定情報を関連付けた構造としているので、ファイルデータを読み込む際、ユーザID(記入者ID)、ユーザ色情報、キーワード情報などから特定のデータを検索し、検索されたユーザストローク情報をユーザストローク情報表示領域50に表示することができる。ここで、図12のキーワード情報は、図19に示すユーザ選択リスト69のキーワードに対応している。
【0096】
図20(B)に示すように、表示メニュー91のプルダウンメニューとして、ウィンドウ枠を隠しアプリケーションの表示領域を最大限拡大する全画面表示メニュー92など、アプリケーションの表示に関する実行機能を一覧で用意しておくと便利である。また、図20(C)に示すように、ツールメニュー93のプルダウンメニューとして、電子ペン1の接続経由状況(例えば転送装置3のIPアドレスなど)を表示するペン管理メニュー94、ユーザストローク情報を表示する背景となる解答用紙5の画像を設定する用紙管理メニュー95、アプリケーションの情報を表示するメニュー96など、アプリケーションの設定に関する実行機能を一覧で用意しておくと便利である。これらのボタンやメニューが選択されると、集約処理手段24により各機能が実行される。
【0097】
次に、図21を参照して、解答用紙5が採点されている状態における集約装置2の表示手段26における画面について説明する。図21に示す例は、図18と同様に、解答者「三郎」によって記入された解答内容が表示され、そのうえに、採点者により解答用紙5Cに電子ペン1によって記入され、その記入情報が反映された正答の○マーク95が表示されている。なおこのとき、採点者は、電子ペン1で採点する際、カラーパレット用紙7によって採点表示用の色や線幅を選択し、名簿用紙6によって三郎のユーザエリア603を選択することで、集約装置2の集約処理手段24により、採点者が使用する電子ペン1のペンIDに採点表示用に選択された色や線幅の線種ID及び三郎のユーザID「U03 」を関連付けてペン設定情報として記憶手段25に記憶させたうえで、電子ペン1で解答用紙5Cに採点を行う。すると、採点者により解答用紙5Cに記入された内容のユーザストローク情報は、[記入者ID設定機能](4)で説明したグループ化機能によって、三郎の個人学習データとして集約装置2の記憶手段25における記入者ID別の格納領域に記憶され、描画アプリケーションの実行によって、解答者「三郎」によって記入された内容のユーザストローク情報とともに、表示手段26のユーザストローク情報表示領域50に描画される。
【0098】
本電子ペン・システム10によれば、電子ペン1を名簿用紙6のユーザエリアにタップすることにより、集約装置2に解答用紙5に解答しようとする者のユーザIDを電子ペン1のペン設定情報としてペンIDに関連付けて記憶することができる。また、名簿用紙6によるユーザIDの設定に先行して解答用紙5に記入し始めてしまったとしても、電子ペン1を名簿用紙6のユーザエリアにタップすることにより、遡及的にユーザIDを設定することができる。また、集約装置2でのユーザIDの設定により、集約装置2の表示手段26に、電子ペン1によって記入された解答内容とともに、ユーザ名を表示させることができ、解答者と解答内容を一致させて解答内容を把握することができる。
【0099】
また、本電子ペン・システム10によれば、1本の電子ペン1を複数の解答者等で使う際にも、電子ペン1を名簿用紙6の対応するユーザエリアにタップして、集約装置2に解答用紙5に解答しようとする者のユーザIDを設定することにより、解答者を識別することができる。また、複数人から構成されるグループで、複数本の電子ペン1を持たせて本システム10を利用する場合でも、同じグループの者が、それぞれが利用する電子ペン1を、名簿用紙6の同じユーザエリアにタップしてグループ化することにより、同じグループに属する電子ペン1からの記入情報を、集約装置2においてグループ化し、集約することができる。
【0100】
また、電子ペン1が故障して別の電子ペン1を必要とする場合や、線種情報の異なる電子ペン1を同時に使用したい場合など、1人の利用者が複数本の電子ペン1を使用する場合でも、電子ペン1を名簿用紙6の対応するユーザエリアにタップして、集約装置2に同じユーザIDを設定することにより、記入情報を同じ利用者の情報として集約することができる。また、講師が、自分の使用する電子ペン1で、名簿用紙6のうち、採点しようとする受講生のユーザエリアにタップすることで、講師の電子ペン1の記入情報をその受講生のユーザIDに対応付けられるため、受講生の解答用紙5への追記として、受講者の解答に関する記入情報に集約することができる。
【0101】
また、本電子ペン・システム10によれば、講師が講義会場内を移動しなくとも、集約装置2の表示手段26を観察することで、各受講生の解答の進捗状況を随時に確認でき、受講生の解答の間違いやつまずきを早期に発見することができる。また、集約装置2の表示手段26に表示させている解答内容をプロジェクタ4により大画面スクリーンに映し出せば、その内容について講義会議内にいる講師や受講生に説明しやすく、受講生にとっても、他の受講生の解き方や考え方を多く知ることができ、問題解決に向けて多方面から思考する場面が増える。また、転送装置3を介してネットワーク回線を経由して電子ペン1と集約装置2とが通信を行うことにより、受講者が別の講義会場にいても情報伝達することができる。また、集約装置2の記憶手段25に、受講生達の記入情報を蓄積して解析することで、各受講生による考え方の変容を把握することもでき、過去のデータを用いることで振り返り学習ができる。
【0102】
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。
【0103】
上記実施形態において、名簿用紙6の各ユーザエリア601〜606には、予め受講生の名前が印刷され、集約装置2の記憶手段25には、各ユーザエリア601〜606に関連付けられたユーザIDに対応するユーザ名が記憶されていたが(参照図10)、その代わりに、名簿用紙6の各ユーザエリアには名前等は印刷せず、集約装置2の記憶手段25にも、各ユーザIDに対応するユーザ名は未設定とし、電子ペン1で名簿用紙6の各ユーザエリアに名前等の文字を記入することで、電子ペン1から集約装置2に記入情報を送信し、集約装置2の集約処理手段24によって記入情報の文字認識を行い、記入されたユーザエリアに関連付けられたユーザIDに対応するように、ユーザ名として、文字認識された文字を記憶する構成としてもよい。
【0104】
また、上記実施形態において、解答用紙5、名簿用紙6、カラーパレット用紙7を、それぞれ異なるドットパターンが印刷された、独立した3種類の用紙としたが、その代わりに、例えば、解答用紙5にカラーパレット用紙7と同様の機能を有するカラーパレット領域を設けるといったように、特定の2種類或いは3種類全ての用紙の機能を、1つの用紙にまとめるように構成してもよい。
【0105】
また、上記実施形態において、集約装置2は、ユーザエリアと用紙種別と位置座標の範囲とを関連付けたユーザエリア定義情報を参照して、電子ペン1から受信した記入情報に含まれる位置座標に基づいて、用紙種別を特定することとしたが、これに代えて、ドットパターンアドレスと用紙種別を関連付けた情報を記憶手段25に記憶しておき、記入情報に含まれるドットパターンアドレスに基づいて、用紙種別を特定する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、上記実施形態のごとく、協調学習システムとして利用できるほか、企業研修システム、会議システム、リサーチシステム、クイズ番組システム等の各記入者の記入内容を集約するシステムに適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
1…電子ペン、2…集約装置(端末装置)、3…転送装置、4…プロジェクタ、5,5A〜5E…解答用紙(記入用紙)、6…名簿用紙(記入者設定用紙)、7…カラーパレット用紙、10…電子ペン・システム、22…集約個別受信手段、23…集約転送受信手段、24…集約処理手段(処理手段)、25…記憶手段、26…表示手段、27…送信手段、103…ペン先部、108…プロセッサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の利用者の筆跡を示す位置座標に関する情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した情報を処理する処理手段を備えるコンピュータであって、
前記処理手段は、
各利用者を識別する情報をリスト状に示すユーザ選択リストを表示手段に表示させるとともに、各利用者を識別する情報に対して、各利用者の記入内容に応じた分類の入力を受けて、その分類を示す情報を前記表示手段に表示させることを特徴とするコンピュータ。
【請求項2】
前記処理手段は、記入内容に応じた分類を色で表現し、ユーザ選択リストの各利用者を識別する情報に対応させて、色を表示すること特徴とする請求項1に記載のコンピュータ。
【請求項3】
前記処理手段は、前記ユーザ選択リストにおいて、付与された分類でソートして、各利用者を識別する情報を並び替えることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンピュータ。
【請求項4】
前記処理手段は、入力された分類を記憶手段に記憶させるとともに、分類を対象とする検索を行い、検索された利用者のデータを読み出し前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のコンピュータ。
【請求項5】
複数の利用者の筆跡を示す位置座標に関する情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した情報を処理する処理手段を備えるコンピュータであって、
前記処理手段は、
各利用者を識別する情報をリスト状に示すユーザ選択リストを表示手段に表示させるとともに、各利用者を識別する情報に対して、各利用者の記入内容に応じたキーワード情報の入力を受けて、そのキーワード情報を前記表示手段に表示させることを特徴とするコンピュータ。
【請求項6】
前記処理手段は、入力されたキーワード情報を記憶手段に記憶させるとともに、キーワード情報を対象とする検索を行い、検索された利用者のデータを読み出し前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項5に記載のコンピュータ。
【請求項7】
前記処理手段は、前記ユーザ選択リストから選択指示された利用者を識別する情報に関連する位置座標に関する情報に基づき、記入内容を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のコンピュータ。
【請求項8】
前記処理手段は、各電子ペンにより送信されるペンIDにより、記入している利用者を識別していることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のコンピュータ。
【請求項9】
前記処理手段は、
操作に応じて前記ユーザ選択リストを非表示とすることで、記入内容を表示する領域を拡大することを特徴とする請求項1〜8に記載のコンピュータ。
【請求項10】
前記受信手段によって受信した情報に基づき処理した画像を各利用者に観察可能に表示手段に表示することを特徴とする請求項1〜9に記載のコンピュータ。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一項に記載のコンピュータが接続されたプロジェクタにより、前記表示手段に表示された内容をスクリーンに表示することを特徴とする表示システム。
【請求項12】
複数の利用者がそれぞれ用いる記入用紙と、
複数の利用者が各自の記入用紙に記入するのに用いられ、少なくとも記入した位置座標に関する情報を送信する複数の電子ペンと、
請求項1〜11のうちいずれか一項に記載のコンピュータとを備え、
前記受信手段は、各電子ペンから送信された前記情報を受信することを特徴とする表示システム。
【請求項13】
請求項1〜12のうちいずれか一項に記載のコンピュータとして機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−198919(P2012−198919A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−125560(P2012−125560)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【分割の表示】特願2008−98829(P2008−98829)の分割
【原出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】