説明

コンピュータの電源立ち上げ装置

【課題】 ホストコンピュータの主電源がオフの状態においては、キーボードを操作してもホストコンピュータを立ち上げることができなかった。
【解決手段】 キーボード11上の所定のキーを入力すると、USBチップ12の第1,第2の信号ラインD+,D−上に共に所定のH,Hの信号が出力される。この信号の組み合わせはUSB規格外であるため、通常のデータ信号とは区別することができる。またこの信号を受けたウェークアップ手段3は、主電源5に所定の起動信号を出力するため、主電源5を立ち上げることができる。また主電源5が立ち上がると、切換え手段4の第1,第2のリレー接点4A,4Bが切り換わり、ホスト1とキーボード11との間の第1,第2の信号ラインD+,D−を接続するため、信号の通信が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばUSBインターフェースを備えたホストコンピュータのパワーオン機能に係わり、特にホストコンピュータの主電源がパワーオフ状態にあるときに、キーボードなどの入力装置を操作することによって前記ホストコンピュータを起動できるようにしたコンピュータの電源立ち上げ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のコンピュータには、ホストコンピュータの未使用時間が長く続く場合の電力消費の無駄を省き、節電効率を上げるためのソフトウエアが常駐プログラムとして内蔵されている。
【0003】このプログラムでは、キーボードなどの入力装置が最後に操作された後、所定時間内に次の操作が行われない場合に、ホストコンピュータの電力モードをサスペンドモードに移行させる処理が行なわれる。このサスペンドモードでは、例えばCPUのクロック速度を落としたり、ハードディスクやフロッピーディスクのドライブモータを止めたり、ディスプレイの画面表示を切ることによって、ホストコンピュータに供給される消費電流を低電力状態に設定する。
【0004】このサスペンドモード時において、キーボードなどの入力装置が操作されると、その情報が起動信号としてホストコンピュータに伝えられる。ホストコンピュータでは、前記起動信号が入力されると、CPUのクロック速度を元に戻したり、ハードディスクやフロッピーディスクのドライブモータを起動させたり、ディスプレイの画面を再表示する。これにより、ホストコンピュータは、サスペンドモード前の状態に復帰させられる。
【0005】一方、パソコンの周辺インターフェースとしては、長い間シリアル・ポート(RS232−C)とパラレル・ポート(セントロニクス)が主に使用されていたが、いずれも転送速度の限界が低いことや、1ポートに1デバイスしか接続できないため複数のデバイスを接続するにはポート数が増えてしまうという難点があった。またそれ以外にもキーボード、マウス、ディスプレイなどは個別のポートをもっており、パソコンの背面は多種多様なコネクタで埋め尽くされるという欠点を有していた。
【0006】そこで、これらのインターフェースを統合し、1個のコネクタにさまざまな周辺機器を接続できるようにしたUniversal Serial Bus(以下、USBという)が提案され、次世代の標準周辺インターフェースとして急速に注目されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のコンピュータにおけるサスペンド及びその復帰機能では、ホストコンピュータの主電源がオン状態にある場合を前提としたものであるため、主電源がオフ状態にある場合に、上記ソフトウエアではホストコンピュータを立ち上げることができないという問題がある。
【0008】また、上記USBインターフェースで接続されたコンピュータにおいては、USBが本来有しない機能として、キーボード上に配列されているキーを操作するなどの操作入力によりホストコンピュータを立ち上げる、いわゆるパワーオンキーを設けることにより、コンピュータの付加価値を高めることが要望されている。
【0009】本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、USBインターフェースを備えたホストコンピュータの主電源の電源スイッチがオフ状態にある場合に、入力装置を操作することにより、主電源を立ち上げホストコンピュータを起動できるようにしたコンピュータの電源立ち上げ装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の電源立ち上げ装置は、ホストコンピュータと、このホストコンピュータにインターフェースを介して接続された入力装置と、前記ホストコンピュータを起動させる主電源と、前記主電源がオフ状態にあるときに前記入力装置に電力を供給するサブ電源とが設けられており、前記ホストコンピュータには、前記主電源がオフ状態にあるときに、前記入力装置の所定の操作がなされることにより、前記主電源を立ち上げ且つ前記ホストコンピュータを起動させるウエークアップ手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】本発明では、ホストコンピュータの主電源(メインパワー)の電源スイッチが落ちている状態(オフ状態)において、キーボードなどが操作されると、主電源が立ち上げられ、ホストコンピュータが起動する。
【0012】このような動作を可能とするため、キーボードなどの入力装置には、ホストコンピュータに設けられたサブ電源(バッテリー)からの電力がインターフェースを介して供給されている。したがって、ホストコンピュータの主電源がオフ状態にある場合は通常のサスペンドモード同様の低電力状態に設定されている。
【0013】入力装置で所定の操作が行われると、主電源が立ち上げられるが、このときの操作はキーボード上に設けた専用のパワーオンキーで行なってもよいし、また複数のキーの組み合せを操作することによって行ってもよい。あるいはマウスなどのスイッチを所定時間、あるいは所定回数操作することにより行ってもよい。
【0014】上記において、前記インターフェース上には、主電源がオン状態にあるときに前記ホストコンピュータの信号ラインと前記入力装置の信号ラインとを接続し、主電源がオフ状態にあるときに前記ウエークアップ手段と入力装置の信号ラインとの接続に切り換える切換え手段が設けられており、前記主電源がオフ状態において、前記入力装置の所定の操作がなされたときに、前記ウエークアップ手段により生成された起動信号が主電源に供給されて前記主電源が立ち上げられるとともに、前記主電源が立ち上がることにより前記切換え手段が前記ホストコンピュータの信号ラインと前記入力装置の信号ラインとを結ぶ接続に切り換えられるものが好ましい。上記切換え手段は、例えばリレーであってもよいし、または論理回路で構成されてもよい。
【0015】本発明では、主電源がオフ状態のときには、ウエークアップ手段とキーボードなどの入力手段が接続されており、例えばキーボードの所定のキーを操作することなどにより、ウエークアップ手段により主電源が立ち上げられホストコンピュータが起動されるとともに、ホストコンピュータとキーボードなどの入力装置との間の信号ラインを接続される。よって、ホストコンピュータの起動後は、キーボードなどの操作入力信号をホストコンピュータに送信することができる。
【0016】また、前記インターフェースが、USB規格の電源ライン(Vcc)、第1の信号ライン(D+)、第2の信号ライン(D−)およびグランドライン(GND)の4本の信号線からなり、ウエークアップ手段は、前記第1の信号ライン(D+)が所定の基準値以上であるか否かを検出する第1の比較手段と、前記第2の信号ライン(D−)が所定の基準値以上であるか否かを検出する第2の比較手段と、前記第1の比較手段と第2の比較手段との論理和をとるAND回路とを有し、前記論理和が所定値となったときに主電源が立ち上げられるように構成される。
【0017】例えば、前記入力装置で所定の操作がなされたときに、第1の信号ライン(D+)および第2の信号ライン(D−)の双方に所定のパルス幅のH信号が出力され、前記AND回路から所定のパルス幅以上のH信号が出力されることにより、主電源が立ち上げられる。
【0018】このように第1の信号ラインと第2の信号ラインが共にHとなる通信モードは、USB規格の通常の動作モードには存在しない組み合わせであるため、各ラインの信号が共にHのときにウエークアップ手段が起動するように構成すると、USBインターフェースを用いた通常の通信に支障が生じない。また、USBインターフェースでは、通信モードが切り換えられるときに、第1の信号ラインと第2の信号ラインが共に瞬時にHになることが有り得るが、第1の信号ラインと第2の信号ラインが共にHとなる時間が所定時間(詳しくはUSB規格での信号の転送レートよりも長い時間)以上となったときにウエークアップ手段を起動するようにすると、USBインターフェースによる通信切換え時との混同を防止できる。
【0019】さらに、主電源がオンで、入力装置からの入力を中断しているときに、第1の信号ラインと第2の信号ラインを共にHにしておき、入力装置の所定の操作を行ったときに、第1の信号ラインと第2の信号ラインが共に所定時間Lとなることにより、主電源をダウンさせることも可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図面を参照して説明する。図1は、本発明におけるコンピュータの電源立ち上げ装置の実施の一形態を示す構成図である。図1では、I−I線を挟んで図示左端がホストコンピュータ1(以下、ホスト1という)であり、図示右端側の符号11が入力装置の一例としてキーボードを示している。
【0021】図1に示すように、ホスト1の内部には、USB(Universal Serial Bus)インターフェース用のLSIとしてUSBチップ2、ウェークアップ手段3、切換え手段4、主電源5およびサブ電源6が設けられている。前記USBチップ2には、USBインターフェース仕様に対応する電源入力端子Vcc、グランド端子GND、第1の信号ラインD+および第2の信号ラインD−が設けられている。なお、図1ではUSBインターフェース上、特に重要な端子のみを示しており、USBチップ2に設けられているその他の端子は省略されている。また、図1では主電源5の+端子とGND端子の間に発生する出力電圧をE、サブ電源6のOUT端子とGND端子との間に発生する出力電圧をVで示している。
【0022】USBチップ2の電源入力端子Vccは、前記主電源5の+端子に接続され、GND端子はグランドラインに接地されている。すなわち、USBチップ2は、主電源5から電力の供給を受けて駆動されている。またUSBチップ2は、ホスト1内のCPUとローカルバスによって接続され、このCPUによって制御されている。
【0023】前記ウェークアップ手段3には、OPアンプなどから構成された第1の比較手段3Aおよび第2の比較手段3Bが設けられている。前記第1,第2の比較手段3A,3Bの第1の入力端子3A1および3B1は、所定の抵抗を介して接地されている。また第1および第2の比較手段3Aおよび3Bの第2の入力端子3A2および3B2には、それぞれ基準電圧7(例えば、1.5ボルト)が印加されている。そして、第1の比較手段3Aおよび第2の比較手段3Bの出力端子3A3および3B3は、AND回路8の入力端子8a,8bにそれぞれ接続されている。さらにAND回路8の出力端子8cは、主電源5のパワーオン端子5aに接続されている。
【0024】一方、キーボード11にも、USBチップ12が設けられている。このUSBチップ12は、例えばキーボード11内に設けられた制御手段(または信号発生手段)である8ビット・マイクロコントローラ(図示せず)で制御されている。そして、ホスト1側のUSBチップ2とキーボード11側のUSBチップ12とは、USBケーブル9によって接続されている。
【0025】前記切換え手段4は、例えばリレーなどから構成され、ホスト1に設けられたUSBケーブル9用の接続コネクタ端子1aとUSBチップ2との間に設けられている。図1に示される切換え手段4は、第1のリレー接点4Aおよび第2のリレー接点4Bを有している。第1のリレー接点4Aには、ホスト1側に2つの接続端子4A1,4A2が設けられ、キーボード11側に1つの接続端子4A3が設けられている。同様に第2のリレー接点4Bには、ホスト1側に2つの接続端子4B1,4B2が設けられ、キーボード11側に1つの接続端子4B3が設けられている。
【0026】前記第1および第2のリレー接点4Aおよび4Bの接続端子4A1および4B1は、前記第1の比較手段3Aの入力端子3A1および第2の比較手段3Bの入力端子3B1にそれぞれ接続されている。また第1のリレー接点4Aの接続端子4A2は、前記USBチップ2の第1の信号ラインD+に接続され、第2のリレー接点4Bの接続端子4B2は、USBチップ2の第2の信号ラインD−に接続されている。さらに第1のリレー接点4Aの接続端子4A3および第2のリレー接点4Bの接続端子4B3は、前記接続コネクタ端子1aおよびUSBケーブル9を介してキーボード11内のUSBチップ12の第1の信号ラインD+および第2の信号ラインD−にそれぞれ接続されている。また、切換え手段4には、主電源5からの電力の供給を受けて駆動されるリレーアクチュエータ4Cが設けられている。そして、第1および第2のリレー接点4Aおよび4Bは、切換え手段4に設けられた前記リレーアクチュエータ4Cによって同時に切換え駆動可能となっている。
【0027】主電源5には、電源スイッチ5Aが設けられており、この電源スイッチ5Aが人為的にオン操作されることにより、あるいはパワーオン端子5aに所定の信号が入力されることにより、ホスト1内への電力の供給が行われる。
【0028】一方、サブ電源6は、バッテリーなどから構成され、ウェークアップ手段3の第1,第2の比較手段3A,3BおよびAND回路8に電力を供給している。また主電源5およびサブ電源6の出力は、ダイオードD1およびD2によりダイオードオア接続され、前記コネクタ端子1aおよびUSBケーブル9を介してキーボード11内のUSBチップ12の電源入力端子Vccに接続されている。すなわち、キーボード11には、少なくとも主電源5又はサブ電源6のいずれか一方の電力が供給されている。なお、キーボード11のGND端子は、前記コネクタ端子1aおよびUSBケーブル9を介してホスト1側のグランドラインに接地されている。
【0029】表1は、USB規格におけるサスペンド時の信号ラインの状態を示している。
【表1】


表1に示すように、USB規格上は、信号ラインの状態が第1のモードであるLow Speedモード(以下、LSモードという)、第2のモードであるFull Speedモード(以下、FSモードという)および第3のモードである未接続モードの3モードが設定されている。なお、LSモードとは、USBのデータ転送速度が1.5Mビット/Sの状態を、FSモードとは12Mビット/Sの状態をそれぞれ示している。また未接続モードは、USBケーブルが接続されていない状態を示している。
【0030】サスペンド時においては、第1の信号ラインD+,第2の信号ラインD−の状態は、それぞれLSモードではL(Hi−Z(ハイインピーダンス状態)),Hであり、FSモードではH,L(Hi−Z)であり、未接続モードでは共にL(Hi−Z),L(Hi−Z)である。なお、第1の信号ラインD+,第2の信号ラインD−が、共にH,Hの状態はUSB規格上は設定されていない。
【0031】以上のように構成されるコンピュータの電源立ち上げ装置の動作について説明する。主電源5の電源スイッチ5Aがオフ状態にある場合には、主電源5からの電力の供給が停止される。よって、ホスト1のOSは立ち上がらないため、USBチップ2は停止状態にある。
【0032】また切換え手段4のリレーアクチュエータ4Cへの駆動電流の供給も行われないため、前記第1のリレー接点4Aでは接続端子4A1と接続端子4A3とが接続され、第2のリレー接点4Bでは接続端子4B1と接続端子4B3とがそれぞれ接続された状態にある。よって、ホスト1とキーボード11の第1および第2の信号ラインD+,D−とのが接続が絶たれ、キーボード11の第1および第2の信号ラインD+,D−は、ウェークアップ手段3の第1の入力端子3A1および3B1にそれぞれ接続されている。なお、ホスト1側の前記第1および第2の信号ラインD+,D−には、USB規格によって所定の抵抗(15kΩ)によりプルダウンされており、ホスト1とキーボード11の第1および第2の信号ラインD+,D−どうしが未接続の場合には、ホスト1側の第1および第2の信号ラインD+,D−はともにLレベルに設定される。
【0033】一方、ウェークアップ手段3には、サブ電源6の出力電圧Vが印加されている。なお、この状態では、ウェークアップ手段3に供給される電流は500μA以下であり、サスペンドモード同様の低電力モード状態にある。またキーボード11には、サブ電源6の出力電圧VがダイオードD2、コネクタ端子1a、USBケーブル9およびUSBチップ12の電源入力端子Vccを介して供給されている。
【0034】キーボード11側では、キーボード11上に設けたパワーオンキーを操作することにより、あるいはキーボード11の複数のキーを同時に操作することにより、キーボード11内のUSBチップ12の第1の信号ラインD+および第2の信号ラインD−を通じてホスト1側に所定の信号が出力される。この信号は、キーボード11側の制御手段(信号発生手段)である前記8ビット・マイクロコントローラ(図示せず)により生成され、第1の信号ラインD+および第2の信号ラインD−共にH信号(H,H)からなる第4のモードであり、例えばパルス幅が50msec、パルス電圧が3ボルトである。
【0035】上記表1に示されるように、第1の信号ラインD+および第2の信号ラインD−ともにH信号(H,H)となる第4のモードは、USB規格上設定されていない。またパルス幅が50msecというのは、USBにおけるデータ転送速度がnsec単位であることを考慮した場合、極めて長いパルス幅といえる。よって、第4のモードの信号(H,Hおよび50msec)をUSB規格外の信号として設定して第1の信号ラインD+および第2の信号ラインD−に送信しても、USB規格上のデータ信号と容易に区別することが可能である。
【0036】このような第4のモード信号がキーボード11側から送信されると、この信号はUSBケーブル9、コネクタ端子1a,切換え手段4の第1のリレー接点4A,4Bを介してウェークアップ手段3の第1および第2の比較手段3A,3Bの第1の入力端子3A1,3B1にそれぞれ入力される。すなわち、第1および第2の比較手段3A,3Bの第1の入力端子3A1,3B1には、前記第4のモードの信号が入力される。第1および第2の比較手段3A,3Bでは、この第4のモードの信号と基準電圧7(1.5ボルト)との比較が行われる。そして、前記第4のモードの信号のパルス電圧が基準電圧7よりも大きな場合に限り、出力端子3A3,3B3からH信号を出力する。すなわち、第1および第2の比較手段3A,3Bは、コンパレータとして機能している。
【0037】第1および第2の比較手段3A,3Bの出力端子3A3,3B3から、同時にH信号が出力されると、この信号を受けたAND回路からもパルス幅50msecのH信号が出力される。そして、このH信号が主電源5のパワーオン端子5aに入力されることにより、主電源5の電源が立ち上った状態に設定される。
【0038】主電源5が立ち上がると、その電力は、ホスト1、USBチップ2および切換え手段4のリレーアクチュエータ4Cなどに供給される。主電源5から前記切換え手段4のリレーアクチュエータ4Cに所定の駆動電流が供給されると、第1のリレー接点4Aでは接続端子4A2と接続端子4A3との接続に切り換えられ、第2のリレー接点4Bでは接続端子4B2と接続端子4B3との接続にそれぞれ切換えられる。よって、ホスト1とキーボード11の第1および第2の信号ラインD+,D−どうしが接続されるため、ホスト1とキーボード11との間で信号の通信が可能な状態に設定することができる。
【0039】またホスト1に電源が供給されることにより、ホスト1内の常駐プログラムとして存在するOSが起動されるため、ホスト1が立ち上り、キーボードの入力を受け付ける環境が設定される。
【0040】また、本発明の装置では、長時間キーボードが操作されていないときにパワーダウンさせることも可能である。例えば、キーボードからホストへ通信がなされていないとき、キーボード11側の制御手段(信号発生手段)である前記8ビット・マイクロコントローラからUSBチップ12を介してホスト側のUSBチップ2に対し、D+,D−が共にH(ハイレベル)の信号を与え続けておく。キーボードの所定のキー操作を行ったときに、前記8ビット・マイクロコントローラからD+,D−が共にLの信号を例えば25msecなどの所定時間出力させる。これがUSBチップ2に与えられると、USBチップ2はキーボードが未接続のプルダウン状態と同じになる。この状態をホスト側で検出し、主電源をOFFさせればよい。
【0041】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、ホストコンピュータの主電源が落ちているパワーオフ状態において、キーボードなどの入力装置を操作することにより、ホストコンピュータを起動させることができる。また、USBインタフェース上において、USB規格に設定されていない信号の組み合わせを利用してホストコンピュータを起動できるという付加価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるコンピュータの電源立ち上げ装置の実施の一形態を示す構成図
【符号の説明】
1 ホストコンピュータ
2 USBチップ
3 ウェークアップ手段
3A 第1の比較手段
3B 第2の比較手段
4 切換え手段
4A 第1のリレー接点
4B 第1のリレー接点
5 主電源
6 サブ電源
7 基準電圧
8 AND回路
9 USBケーブル
11 キーボード
12 USBチップ
V 主電源の出力電圧
E サブ電源の出力電圧
Vcc 電源入力端子
GND グランド端子
D+ 第1の信号ライン
D− 第2の信号ライン
D1,D2 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ホストコンピュータと、このホストコンピュータにインターフェースを介して接続された入力装置と、前記ホストコンピュータを起動させる主電源と、前記主電源がオフ状態にあるときに前記入力装置に電力を供給するサブ電源とが設けられており、前記ホストコンピュータには、前記主電源がオフ状態にあるときに、前記入力装置の所定の操作がなされることにより、前記主電源を立ち上げ且つ前記ホストコンピュータを起動させるウエークアップ手段が設けられていることを特徴とするコンピュータの電源立ち上げ装置。
【請求項2】 前記インターフェース上には、主電源がオン状態にあるときに前記ホストコンピュータの信号ラインと前記入力装置の信号ラインとを接続し、主電源がオフ状態にあるときに前記ウエークアップ手段と入力装置の信号ラインとの接続に切り換える切換え手段が設けられており、前記主電源がオフ状態において、前記入力装置の所定の操作がなされたときに、前記ウエークアップ手段により生成された起動信号が主電源に供給されて前記主電源が立ち上げられるとともに、前記主電源が立ち上がることにより前記切換え手段が前記ホストコンピュータの信号ラインと前記入力装置の信号ラインとを結ぶ接続に切り換えられる請求項1記載のコンピュータの電源立ち上げ装置。
【請求項3】 前記インターフェースが、USB規格の電源ライン(Vcc)、第1の信号ライン(D+)、第2の信号ライン(D−)およびグランドライン(GND)の4本の信号線からなり、ウエークアップ手段は、前記第1の信号ライン(D+)が所定の基準値以上であるか否かを検出する第1の比較手段と、前記第2の信号ライン(D−)が所定の基準値以上であるか否かを検出する第2の比較手段と、前記第1の比較手段と第2の比較手段との論理和をとるAND回路とを有し、前記論理和が所定値となったときに主電源が立ち上げられる請求項1または2記載のコンピュータの電源立ち上げ装置。
【請求項4】 前記入力装置で所定の操作がなされたときに、第1の信号ライン(D+)および第2の信号ライン(D−)の双方に所定のパルス幅のH信号が出力され、前記AND回路から所定のパルス幅以上のH信号が出力されることにより、主電源が立ち上げられる請求項3記載のコンピュータの電源立ち上げ装置。

【図1】
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【公開番号】特開2000−181585(P2000−181585A)
【公開日】平成12年6月30日(2000.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−355710
【出願日】平成10年12月15日(1998.12.15)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】