説明

コンピュータ用周辺機器

【課題】ハードディスクドライブ30は、所定の規格に準拠したホスト側制御部を有する正規規格品および規格の一部を変更した改良品にも対応できること。
【解決手段】ハードディスクドライブ30は、ATA/ATAPI−7の規格に準拠したインターフェース40を有している。インターフェース40は、2列配列した50個の端子位置を有する周辺機器側コネクタ43を有する。周辺機器側コネクタ43は、端子位置Pos.41をオープン端子に、端子位置Pos.42を電源端子とし、端子位置Pos.44にピンを設けない構成とし、端子位置Pos.42を介してホスト側制御部からドライブ本体33に電源電圧を供給している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の規格に準拠して、ホスト側制御部からデータの送受信の他に電力供給を受けるコンピュータ用周辺機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータに周辺機器を接続するためのインターフェースとして、ノート型のパソコンに汎用されているATA(Advanced Technology Attachment)/ATAPI−7の規格が知られている。このパラレルATA/ATAPI−7の規格に基づくインターフェースは、信号線と電力線を備え、信号線によりデータの送受信を行なうとともに、電力線によりホストであるパーソナルコンピュータから周辺機器へ電力供給が可能である。
【0003】
しかし、このインターフェースは、端子位置におけるピンの配置、その信号の割当が決められているが、一部のホスト側制御部において、フォームファクタの一部が変更されていたり、電源電圧の変更が行われていたりする改良品があり、ハードディスクドライブなどのコンピュータ用周辺機器を共用(共通化)できないという課題があった。
なお、こうした規格を有する先行技術として、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−29963号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決することを踏まえ、所定の規格に準拠したホスト側制御部に対応するとともに、該規格の一部を変更した改良品にも対応することができるコンピュータ用周辺機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
適用例1は、 2列配列した50個の端子位置を備え、各々の端子位置のうち、端子位置Pos.41,42を電源端子とし、端子位置Pos.44をリザーブ端子としたATA/ATAPI−7の規格に準拠したインターフェースを介してホスト側制御部に接続されるコンピュータ用周辺機器であって、
上記インターフェースは、上記ホスト側制御部の本体側コネクタに接続される周辺機器側コネクタを有し、
上記周辺機器側コネクタは、上記端子位置Pos.41をオープン端子に、上記端子位置Pos.42を電源端子とし、上記端子位置Pos.44にピンを設けない構成とし、
上記端子位置Pos.42を介してホスト側制御部から供給される電源電圧で駆動される記憶部を備えたことを特徴とする。
【0008】
適用例1に記載のコンピュータ用周辺機器において、周辺機器側コネクタは、端子位置Pos.41をオープンとし、端子位置Pos.42を電源端子としているから、ホスト側制御部の端子位置Pos.41に定格電圧より低電圧が供給されている場合であっても、この電圧で駆動されず、端子位置Pos.42の端子を通じて電源供給を受けるから、所望の電圧で記憶部を駆動することができる。また、端子位置Pos.44にピンを設けない構成としているから、改良品のコネクタの端子位置Pos.44がキーピンになっていても、接続作業の支障にならない。したがって、本実施例にかかるコンピュータ用周辺機器は、ATA/ATAPI−7に準拠する2.5インチのパラレル−インターフェースをもつホスト側制御部を有する正規規格品に対応すると同時に、省電力化を図った一部のホスト側制御部の改良品に対しても対応可能となり、汎用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例にかかるハードディスクドライブを搭載したコンピュータを説明する説明図である。
【図2】正規規格品にかかるインターフェースのコネクタを説明する説明図である。
【図3】図2のハードディスクドライブの電源系統を説明する説明図である。
【図4】改良品にかかるインターフェースが一部変更された構成を説明する説明図である。
【図5】図4のハードディスクドライブの電源系統を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下説明した本発明の構成及び作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用した周辺機器の一つとして、ATA/ATAPI−7の規格で信号の送受信と電力供給を受けるハードディスクドライブについて説明する。
【0011】
(1) コンピュータの概略構成
図1は本発明の一実施例にかかるハードディスクドライブ(周辺機器)を搭載したコンピュータを説明する説明図である。コンピュータ10は、マザーボード上に搭載されたCPU20a、ROM20b、RAM20c、バッテリ20d、電源部20eなどで構成した制御部20(ホスト側制御部)と、文字や図形などを表示するディスプレイなどの表示装置やユーザからの入力を受け付けるキーボードなどの入力装置(図示省略)と、ハードディスクドライブ30(周辺機器)と、インターフェース40とを備えているノート型パーソナルコンピュータである。制御部20とハードディスクドライブ30とは、ATA/ATAPI−7の規格に準拠したインターフェース40(50 pin 2.5 inch form factor)で接続されており、つまり制御部20側の入出力部41および、コネクタ42とハードディスクドライブ30側のコネクタ43とを介して接続されている。電源部20eは、バッテリ20dの電源を5V(または3.3V)に調整して、CPU20aなどに供給するとともに、インターフェース40を介してハードディスクドライブ30に供給している。
【0012】
(2) ハードディスクドライブ30
ハードディスクドライブ30は、2.5インチのハードディスクを駆動するモータ31と、データの授受およびモータ31を制御するディスク制御部32を有するドライブ本体33と、インターフェース40を構成するコネクタ43とを備えている。このようなハードディスクドライブ30の構成により、制御部20からの制御信号および電源の供給により、インターフェース40の入出力部41、コネクタ42,43を介して、モータ31を駆動するとともにディスク制御部32を介して、2.5インチのハードディスクに、データを不揮発的に記録し、また、その記録したデータを読み出している。
【0013】
(3) 電源部20eおよびインターフェース40の構成
次に、コンピュータ10の制御部20の電源部20eおよびインターフェース40について、上述したATA/ATAPI−7の規格を完全に満たした正規規格品と、さらに上記規格を一部変更した改良品について説明する。
【0014】
(3)−1 正規規格品
図2はインターフェース40のコネクタ42を説明する説明図、図3はハードディスクドライブの電源系統を説明する説明図である。上述したように、インターフェース40は、ホスト側の制御部20側のコネクタ42と、ハードディスクドライブ30側のコネクタ43とを備えている。コネクタ42,43には、端子位置が50箇所あり、そのうち、主要な端子として、端子位置Pos.1がリセット端子、Pos.2がグランド端子、端子位置Pos.3〜18がデータ端子、端子位置Pos.19がグランド端子、端子位置Pos.20がキーピンになっており、また、端子位置Pos.41,42が5V電源を供給する電源端子に、さらに、端子位置Pos.44がリザーブ端子になっている。ここで、端子位置Pos.20のキーピンは、誤った周辺機器を接続しないような端子配置、つまり一方のピンが他方の端子に挿入されないようにコネクタ42側の端子位置が平坦形状になっている。こうしたインターフェース40に対応するために、制御部20が入出力部41およびデータ端子を介してハードディスクドライブ30とデータを送受するように構成され、また、電源部20eが5Vの電源を端子位置Pos.41,42にそれぞれ供給するように構成されている。
【0015】
(3)−2 改良品
図4は改良品にかかるインターフェース40Bが一部変更された構成を説明する説明図、図5はハードディスクドライブの電源系統を説明する説明図である。インターフェース40Bは、正規規格品に対して、電源端子を変更して省電力化を図るとともに、キーピンを加えて、周辺機器の接続間違いを回避する構成を備えている。すなわち、コネクタ42Bは、端子位置Pos.41が3.3Vの電源端子に、端子位置Pos.42が5Vの電源端子になっており、また、端子位置Pos.44が誤った周辺機器を接続しないようにキーピンになっている。こうしたインターフェース40Bに対応するために、電源部20eは、3.3Vを端子位置Pos.41の端子に、5Vを端子位置Pos.42の端子にそれぞれ供給するように構成されている。
【0016】
(4) ハードディスクドライブ30およびコネクタ43
ハードディスクドライブ30は、図3の正規規格品および図5の改良品の両方に対応するために、以下の構成を備えている。ハードディスクドライブ30側のコネクタ43は、端子位置Pos.41の端子が、ドライブ本体33の内部回路に非接続であるオープンになっており、また、端子位置Pos.42がドライブ本体33に直接接続され、さらに、端子位置Pos.44がピンを削除した構成を備えている。すなわち、制御部20の電源部20eからの電源は、5Vを1つの端子位置Pos.42だけで供給され、また、コネクタ43の端子位置Pos.44にてキーピンに対応するためにピンを削除している。また、端子位置Pos.42のピンは、モータ31およびディスク制御部32に5V電源を供給している。
【0017】
(5) 実施例の作用・効果
上記実施例の構成により、以下の作用・効果を奏する。
図3において、ハードディスクドライブ30を、正規規格品のインターフェース40を介して制御部20に接続すると、電源部20e(図1)の5V電源がコネクタ43の端子位置Pos.42の端子およびピンを介してモータ31およびディスク制御部32に供給される。すなわち、ハードディスクドライブ30には、端子位置Pos.42のピンだけから電源が供給され、電源部20eの端子位置Pos.41で5V電源が供給される状態になっていても、ハードディスクドライブ30側のコネクタ43がオープンになっているから、端子位置Pos.41から電源が供給されない。
【0018】
一方、図5において、ハードディスクドライブ30を、改良品のインターフェース40Bを介して制御部20に接続すると、上述した正規品と同様に、電源部20eの5V電源がコネクタ43の端子位置Pos.42の端子およびピンを介してモータ31およびディスク制御部32に供給される。すなわち、ハードディスクドライブ30には、端子位置Pos.42のピンだけから電源が供給され、電源部20eの端子位置Pos.41で3.3V電源が供給される状態になっていても、ハードディスクドライブ30側のコネクタ43がオープンになっているから、端子位置Pos.41から電源が供給されない。よって、ハードディスクドライブ30は、所定定格の5V電源の供給を受け、3.3V電源の供給で動作が不安定になることもない。このとき、改良品のコネクタ42の端子位置Pos.44は、キーピンになっていても、コネクタ43にピンを設けていないから、接続作業の支障にならない。
【0019】
したがって、本実施例にかかるハードディスクドライブ30は、ATA/ATAPI−7に準拠する2.5インチPATA−インターフェースをもつホスト側制御部(正規規格品)に対応すると同時に、省電力化を図った一部のホスト側制御部(改良品)に対しても対応可能となる。
【0020】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記実施例では、周辺機器として、ハードディスクドライブについて説明したが、SSD(Solid State Drive)のような、データの保存に大容量フラッシュメモリを採用したストレージ製品にも適用することができる。この場合に、SSDの定格電圧が3.3Vの場合に、ハードディスクドライブ側で電圧調節することにより対応することができる。
また、上記実施例におけるインターフェース40は、コネクタ42,43を介して直接接続したが、フラットケーブルを用いて接続した構成にも適用することができる。
【符号の説明】
【0021】
10…コンピュータ
20…制御部
20a…CPU
20b…ROM
20c…RAM
20d…バッテリ
20e…電源部
30…ハードディスクドライブ
31…モータ
32…ディスク制御部
33…ドライブ本体
40…インターフェース
40B…インターフェース
41…入出力部
42,42B,43…コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2列配列した50個の端子位置を備え、各々の端子位置のうち、端子位置Pos.41,42を電源端子とし、端子位置Pos.44をリザーブ端子としたATA/ATAPI−7の規格に準拠したインターフェースを介してホスト側制御部に接続されるコンピュータ用周辺機器であって、
上記インターフェースは、上記ホスト側制御部の本体側コネクタに接続される周辺機器側コネクタを有し、
上記周辺機器側コネクタは、上記端子位置Pos.41をオープン端子に、上記端子位置Pos.42を電源端子とし、上記端子位置Pos.44にピンを設けない構成とし、
上記端子位置Pos.42を介してホスト側制御部から供給される電源電圧で駆動される記憶部を備えたこと、
を特徴とするコンピュータ用周辺機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−187012(P2011−187012A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54491(P2010−54491)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】