説明

コンベアベルト

【課題】長寿命化が図れるコンベアベルトを提供する。
【解決手段】ベルト本体2と、ベルト本体2の幅方向の両側縁6;6からベルト本体2の幅方向Aの中央部の方向に所定間隔aを隔てたベルト本体2の幅方向Aの両側部7;7に位置するベルト面(表ベルト面5)より突出するようにベルト本体2の長手方向Bに沿って設けられた耳部(波桟4)とを備えたコンベアベルト1において、耳部とベルト本体2の側縁6との間のベルト面にゴム体15が取り付けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿命を長くできる構成を備えたコンベアベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に示す急傾斜コンベアと呼ばれるベルトコンベア装置の無端帯状のコンベアベルト1は、図3:図4に示すように、搬送面を形成するベルト本体2と、横桟3と、耳部としての波桟4とを備える。
断面を図示しないが、ベルト本体2は、搬送面側となる表ベルト面5を形成する表ゴム層と、表ベルト面5に対して裏面となる裏ベルト面を形成する裏ゴム層と、表ゴム層と裏ゴム層との間に設けられた補強層とが積層された構造である。補強層としては、例えば、織物により形成された帆布を備えた補強層やスチールコードのような金属を備えた補強層を備える。
波桟4は、ベルト本体2の幅方向Aの両方の側縁6;6からベルト本体2の幅方向Aの中央部の方向に所定間隔aを隔てたベルト本体2の幅方向Aの両方の側部7;7に位置する表ベルト面5より突出するようにベルト本体2の長手方向Bに沿って設けられる。ベルト本体2の幅方向Aの一方の側部7aに設けられた一方の波桟4aとベルト本体2の幅方向Aの他方の側部7bに設けられた他方の波桟4bとの間の表ベルト面5によって、ベルト本体2の搬送面が形成される。
横桟3は、搬送面の長手方向に沿って所定間隔毎に搬送面より突出するように複数設けられて搬送面を仕切る。横桟3と波桟4とで囲まれた搬送面に搬送物が載置されて搬送される。
コンベアベルト1は、図5に示すように、駆動ローラ10及び複数のガイドローラ11に掛け渡されて駆動する駆動ローラ10により搬送駆動される。コンベアベルト1の搬送経路の屈曲部、即ち、コンベアベルト1の状態が平坦な状態から、上又は下に傾斜する状態に切り替わる境界部分に設けられるディスクローラと呼ばれるガイドローラ11Aは、図6に示すように、ベルト本体2の長手方向Bに沿った側縁6から波桟4までの間の表ベルト面5(以下、側部ベルト面12という)に接触する大径ローラ13と、波桟4の先端4tに接触する小径ローラ14とを備える。9は回転中心軸である。これら大径ローラ13のローラ外周面13tと側部ベルト面12との接触摩擦、及び、小径ローラ14のローラ外周面14tと波桟4の先端4tとの接触摩擦によって、コンベアベルト1の搬送経路の屈曲部でのコンベアベルト1の送りを確実にしている。
【特許文献1】特開2004−307130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のコンベアベルトは、大径ローラと側部ベルト面との接触摩擦によって側部ベルト面が磨耗しやすいので、大径ローラと側部ベルト面との接触摩擦によるコンベアベルトの送りが不十分となってしまうため、ベルト本体の搬送面が使用可能であってもベルト本体を交換しなければならなくなってしまうといった問題点があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、長寿命化が図れるコンベアベルトを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のコンベアベルトは、ベルト本体と、ベルト本体の幅方向の両側縁からベルト本体の幅方向の中央部の方向に所定間隔を隔てたベルト本体の幅方向の両側部に位置するベルト面より突出するようにベルト本体の長手方向に沿って設けられた耳部とを備えたコンベアベルトにおいて、耳部とベルト本体の側縁との間のベルト面にゴム体が取り付けられたことを特徴とする。
ゴム体が、耳部を形成するゴムと一体に形成されたことや、ゴム体が、ベルト本体を形成するゴムと一体に形成されたことや、ゴム体が、耳部を形成するゴムやベルト本体を形成するゴムとは別体であることも特徴とする。ゴム体が、耐摩耗性ゴムにより形成されたことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のコンベアベルトによれば、耳部とベルト本体の側縁との間のベルト面にゴム体が取り付けられたことによって、ガイドローラと接触するコンベアベルトの幅方向の両側に位置するベルト側部の肉厚tが厚く形成されたので、コンベアベルトのベルト側部の磨耗寿命が長くなり、コンベアベルトの寿命を長くできる。
ゴム体が、耳部を形成するゴムと一体に形成された場合には、ゴム体及び耳部の下面の面積が広くなって、ゴム体及び耳部の下面とベルト本体のベルト面との接触面積が増えるため、ベルト本体に対して耳部を剥がれにくくできる。
ゴム体が、ベルト本体を形成するゴムと一体に形成された場合は、ゴム体とベルト本体のベルト面との取付作業を不要とできるので、コンベアベルトの組み立て工程を少なくできる。
ゴム体が、耳部を形成するゴムやベルト本体を形成するゴムとは別体である場合には、ゴム体を簡単なロール成形により形成でき、ゴム体を特別なロール成形型を用いずに形成できるので、低コスト化が図れる。
ゴム体が、耐摩耗性ゴムにより形成された場合は、コンベアベルトのベルト側部の磨耗寿命をより長くでき、コンベアベルトの寿命をより長くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
最良の形態1
以下、図1;2を参照し、コンベアベルトの構造を説明する。尚、図3乃至図6と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
最良の形態1によるコンベアベルト1は、ベルト本体2と、横桟3と、耳部としての波桟4と、ゴム体15とを備える。
つまり、最良の形態1のコンベアベルト1は、ベルト本体2の長手方向Bに沿った側縁6と波桟4との間のベルト面、即ち、ベルト本体2の側部ベルト面12に、波桟4を形成するゴムと一体に形成されたゴム体15が取り付けられたことによって、ガイドローラ11Aの大径ローラ13のローラ外周面13tと接触するコンベアベルト1の幅方向Aの両側に位置するベルト側部16の肉厚tが、ベルト本体2の搬送面の部分の肉厚よりも厚く形成された構成である。
ゴム体15は側部ベルト面12の幅W(=a)に対応した幅に形成された厚さ10mm程度で、ベルト本体2の長手方向に沿った方向に長い帯状である。
一体となったゴム体15と波桟4の下面17と、側部ベルト面12との取り付けは、熱加硫接着、常温セメント接着、接着剤による接着や、ボルトナットによる締結結合等によって取り付けられる。
また、ゴム体15は耐摩耗性に優れたゴムにより形成される。例えば、JISK6264「加硫ゴムの磨耗試験法」に規定されているDIN磨耗試験において、100mm以下の性能のゴムを使用する。
【0007】
最良の形態1によるコンベアベルト1によれば、側部ベルト面12に、波桟4を形成するゴムと一体に形成されたゴム体15が取り付けられたので、コンベアベルト1の幅方向Aの両側に位置するベルト側部16の肉厚tが厚くなる。よって、大径ローラ13のローラ外周面13tとゴム体15と接触摩擦するので、コンベアベルト1のベルト側部16の磨耗寿命が長くなり、コンベアベルト1の寿命長くできる。また、コンベアベルト1のベルト側部16にクラックが発生しにくくなるので、コンベアベルト1の寿命を長くできる。
最良の形態1によるコンベアベルト1によれば、ゴム体15と波桟4を形成するゴムとが一体に形成され、ゴム体15及び波桟4の下面17の面積が広くなって、ゴム体15及び波桟4の下面17とベルト本体2の側部ベルト面12との接触面積が増えたため、ベルト本体2から波桟4を剥がれにくくできる。
また、ベルト本体2を一定厚の帯状長尺ゴムベルトにより形成できるので、ベルト本体2の製造工程に変更を加える必要がなく、既存の設備を活用できる。
また、ゴム体15を耐摩耗性に優れたゴムにより形成したので、コンベアベルト1のベルト側部16の磨耗寿命をより長くできる。
【0008】
最良の形態2
ゴム体15が、ベルト本体2を形成するゴムと一体に形成された構成としてもよい。
最良の形態3によれば、最良の形態1と同様に、コンベアベルト1のベルト側部16の磨耗寿命が長くなり、コンベアベルト1の寿命を長くできる。また、ゴム体15と側部ベルト面12との取付作業を不要とできるので、コンベアベルト1の組み立て工程を少なくできる。
【0009】
最良の形態3
ベルト本体2の側部ベルト面12の幅Wに対応した幅に形成された厚さ10mm程度で、ベルト本体2の長手方向に沿った方向に長い帯状に形成されたゴム体15を、ベルト本体2や波桟4や横桟3と別々に形成して、当該ゴム体15をベルト本体2の側部ベルト面12に取り付けた構成としてもよい。即ち、ゴム体15が、波桟4や横桟3を形成するゴムやベルト本体2を形成するゴムとは別体である構成とした。
最良の形態3によれば、最良の形態1と同様にコンベアベルト1のベルト側部16の磨耗寿命が長くなり、コンベアベルト1の寿命を長くできる。また、一定厚の帯状長尺ゴムによってゴム体15を形成できるので、ゴム体15を簡単なロール成形により形成でき、ゴム体15を特別なロール成形型を用いずに形成できるので、低コスト化が図れる。
【産業上の利用可能性】
【0010】
耳部は波桟4でなくともよい。即ち、ベルト本体2が屈曲した場合であっても搬送面に収容された搬送物がコンベアベルト1の側部より落下しないように搬送物の落下を抑止する機能を備えた構成の耳部であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】コンベアベルトの斜視図(最良の形態1)。
【図2】コンベアベルトの断面図(最良の形態1)。
【図3】従来のコンベアベルトの斜視図。
【図4】従来のコンベアベルトの断面図。
【図5】従来のベルトコンベア装置を示す簡略図。
【図6】図5のA−A断面図。
【符号の説明】
【0012】
1 コンベアベルト、2 ベルト本体、4 波桟(耳部)、
5 表ベルト面(ベルト面)、6 側縁、7 側部、15 ゴム体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト本体と、ベルト本体の幅方向の両側縁からベルト本体の幅方向の中央部の方向に所定間隔を隔てたベルト本体の幅方向の両側部に位置するベルト面より突出するようにベルト本体の長手方向に沿って設けられた耳部とを備えたコンベアベルトにおいて、耳部とベルト本体の側縁との間のベルト面にゴム体が取り付けられたことを特徴とするコンベアベルト。
【請求項2】
ゴム体が、耳部を形成するゴムと一体に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のコンベアベルト。
【請求項3】
ゴム体が、ベルト本体を形成するゴムと一体に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のコンベアベルト。
【請求項4】
ゴム体が、耳部を形成するゴムやベルト本体を形成するゴムとは別体であることを特徴とする請求項1に記載のコンベアベルト。
【請求項5】
ゴム体が、耐摩耗性ゴムにより形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコンベアベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−162727(P2008−162727A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352119(P2006−352119)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】