コンベア及びその製造方法
【課題】フレキシブルな成形が可能なロール成形で、外側からの拘束のみで捩れや面内のしわ及び座屈の発生が無く曲げ加工を可能にし、軽量化が可能であり、かつ形状が高精度のコンベア用ステップ走行レール曲線部を供えたコンベア及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ステップ走行レール5Cの曲線部は、短辺と長辺の少なくとも一辺を中空構造としたステップ走行レール5Cで構成してコンベアの軽量化を図る。中空構造の壁部には開口部17を設けて、開口部17を適宜の間隔で通したボルト22によってフレーム21に取り付けられる。中空構造を持つステップ走行レール5Cの曲線部を製作するために用いるロールを、曲げ加工においてステップ走行レール5Cの、角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状とすることで、ロールによる外側からの拘束のみで、曲げ加工時の応力集中によって起こる、捩れや面内のしわ、座屈などの発生を抑制する。
【解決手段】ステップ走行レール5Cの曲線部は、短辺と長辺の少なくとも一辺を中空構造としたステップ走行レール5Cで構成してコンベアの軽量化を図る。中空構造の壁部には開口部17を設けて、開口部17を適宜の間隔で通したボルト22によってフレーム21に取り付けられる。中空構造を持つステップ走行レール5Cの曲線部を製作するために用いるロールを、曲げ加工においてステップ走行レール5Cの、角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状とすることで、ロールによる外側からの拘束のみで、曲げ加工時の応力集中によって起こる、捩れや面内のしわ、座屈などの発生を抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステップが循環するステップ走行レールを備えるコンベア及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレーター等のコンベアは、フレームと呼ばれる大きな骨組みがあり、当該フレームの周りをステップが循環する構造をしている。ステップは、ステップ走行レール上を循環しており、ステップ走行レールは直線部と曲線部によって形成されている。
【0003】
従来のステップ走行レールの曲線部は、L型の形鋼を用いて製作されている(例えば、特許文献1参照)。ステップ走行レールの曲線部製作方法としては、一般的に引張り曲げが用いられている。
【0004】
L型の形鋼の曲げ成形方法としては、幾つかの成形方法が考えられる。ロール成形を用いる場合に、曲げる対象がL型の形鋼であるときは、形鋼の全ての面をロールによって拘束できるのに対し、曲げる対象が中空形状の形鋼であるときは、マンドレル等の詰め物を用いない限り外側の面からの拘束のみとなり、正確な成形を得ることが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−46215号公報
【特許文献2】特開2006−951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなL型の形鋼を用いて製作されたステップ走行レール曲線部を備えたコンベアにおいては、ステップ走行レール曲線部の形状の変更ができないため、ステップ走行レール曲線部部分での軽量化が困難である。そこで、ステップ走行レール曲線部を軽量化が可能な中空構造とすることが考えられる。しかしながら、ステップ走行レール曲線部は、取付け性向上のため、非対称、開口形状であり、ステップ走行レールの曲線部を製作する際には、曲げ加工時に捩れや面内のしわ、座屈などが発生するという問題がある。
【0007】
開口のあるものの曲げは、一般にマンドレル等の詰め物を用いるが、これは極めて作業性が悪い。また、管状のものにRをつける方法としては、引張り曲げも考えられるが、対象とするステップ走行レールについては、断面形状が非対称のため、その曲げ作業には4方向の曲げが必要となり、金型製作時間がかかる。また、引張り曲げは、つかみしろが無駄になり、材料歩留まりが悪い。
【0008】
したがって、本発明の目的は、フレキシブルな成形が可能なロール成形で、外側からの拘束のみで捩れや面内のしわ及び座屈の発生が無く曲げ加工を行うことを可能にし、軽量化が可能であり、かつ形状が高精度のコンベア用ステップ走行レール曲線部を供えたコンベア及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明によるコンベアは、人や物を運搬するステップと、前記ステップが走行するステップ走行レールと、前記ステップ走行レールを支えるフレームと、を備えたコンベアであって、前記ステップ走行レールは前記ステップの走行方向に沿って直線部と曲線部とにより構成されており、前記ステップ走行レールの前記曲線部がL型レールで構成されており、前記L型レールの短辺と長辺の少なくとも一辺が中空構造に構成されており、前記L型レールの前記中空構造を構成する壁面の一箇所に開口部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によるコンベアでは、ステップ走行レールの曲線部を、従来の形鋼を用いたL型形状から、短辺と長辺の少なくとも一辺を中空構造としたステップ走行レールを用いているので、それを備えたコンベア全体の軽量化が可能となる。
【0011】
本コンベアにおいて、中空構造を持つ前記ステップ走行レールの曲線部は、断面が非対称、開口形状であり、これを製作するために、本発明によるコンベアの製造方法によれば、前記ステップ走行レールの前記曲線部は少なくとも3つの曲げ加工用ロールを用いて製造され、前記曲げ加工用ロールは、前記ステップ走行レールの長手方向に対して回転軸が垂直になるように配置された第1ロールと、前記第1ロールの回転軸と平行な回転軸を持っていて且つ前記第1ロールとの間に前記ステップ走行レールをその厚さ方向に挟んで配置された第2ロール及び第3ロールとであり、前記第1ロールを、前記第2ロールと前記第3ロールの前記回転軸を結ぶ直線に対して垂直な方向に移動させ、前記曲げ加工用ロールの回転と移動によって、前記ステップ走行レールを軸方向に送りながら曲げモーメントを付与し、前記曲げ加工用ロールは一様な径の円柱状の外形を有するか、又は円柱状の外形部において前記ステップ走行レールを保持する部位に溝を有し、前記溝は前記ステップ走行レールの各角部と接しており、前記溝は接しているレールの角部と等しい角度を持ち、前記溝形状は、前記ステップ走行レールの角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状であることを特徴とする。
【0012】
ステップ走行レール製造用の曲げ加工用ロールに、曲げ加工において発生する応力集中のうち、前記ステップ走行レールの、特に角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状とすることで、前記曲げ加工用ロールによる外側からの拘束のみで、曲げ加工時の応力集中によって起こる、捩れや面内のしわ、座屈などの発生を抑制する。
さらに、前記曲げ加工用ロールに設けたフランジ状の突起、または前記曲げ加工用ロールとは別の開口部に挿入される開口部閉じ抑制用ロール、もしくは開口部閉じ抑制用治具を用いて開口部を拘束することで、前記ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面の形状変形の発生を抑制する。
【0013】
さらに、前記曲げ加工用ロールの回転軸方向にテーパーをつけた形状のロールを用いることで、曲げ加工時の応力集中によって起こる、捩れを抑制する。
また、曲げ加工用ロールの数を、本発明における曲げ加工用ロールの必要最低限の数である3つから増加させることにより、さらにねじれの発生抑制効果を向上させることが可能となる。
【0014】
さらに、開口部を拘束するための前記治具を、当該開口部に少なくともひとつ以上配置し、前記ステップ走行レールとともに曲げ加工を行うことで、前記ステップ走行レール曲げ加工時に発生する前記ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面変形を抑制する効果を向上させるほか、前記ステップ走行レール曲げ加工時に発生するねじれを抑制する効果を向上させることが可能となる。
さらに、前記ステップ走行レール曲線部のロール曲げ加工の際に、曲げ加工用ロール間の拘束を付与する補助部材を前記ステップ走行レールにそって配置し、前記ステップ走行レールとともに曲げ加工を行うことで、前記ステップ走行レール曲げ加工時に発生する前記ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面変形を抑制する効果を向上させるほか、前記ステップ走行レール曲げ加工時に発生するねじれを抑制する効果を向上させること、前記ステップ走行レール曲げ加工時に発生するしわを抑制する効果を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のコンベアによれば、中空構造としたステップ走行レールをコンベアに用いることで、コンベア全体の軽量化ができる。
また、本構造のステップ走行レールは、開口部の任意の位置でボルトにより締結することが可能であるため、取り付け性が向上する。
さらに、中空構造を持つステップ走行レールの曲線部は、断面が非対称、開口形状であり、これを製作するために用いる曲げ加工用ロールを、曲げ加工において発生する応力集中のうち、ステップ走行レールの、特に角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状とすることで、曲げ加工用ロールによる外側からの拘束のみで、曲げ加工時の応力集中によって起こる、捩れや面内のしわ、座屈などの発生を抑制することができる。
また、曲げ加工用ロールに設けたフランジ状突起、または当該曲げ加工用ロールとは別の開口部閉じ抑制用ロール、もしくは開口部閉じ抑制用治具を用いて開口部を拘束することで、ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面の形状変形の発生を抑制することができる。
さらに、曲げ加工用ロールの回転軸方向にテーパーをつけた形状のロールを用いることで、曲げ加工時の応力集中によって起こる、捩れを抑制することが可能となる。
また、曲げ加工用ロールの数を、本発明における曲げ加工用ロールの必要最低限の数である3つから増加させることにより、さらにねじれの発生抑制効果を向上させることが可能となる。
【0016】
また、前記ステップ走行レールの開口部に前記開口部閉じ抑制用治具を少なくともひとつ以上配置し、前記ステップ走行レールとともに曲げ加工を行うことにより、さらに断面変形抑制効果とねじれ抑制効果を向上させることが可能となる。
また、曲げ加工用ロール間の拘束を付与する補助部材を前記ステップ走行レールにそって配置し、前記ステップ走行レールとともに曲げ加工を行うことにより、さらに断面変形抑制効果とねじれ抑制効果、しわの発生抑制効果を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一般的なエスカレーターの全体構造及びその一部を拡大して示す図である。
【図2】本発明によるコンベアの一実施形態であるエスカレーターのステップ走行レールの断面形状を示す図である。
【図3】図2に示された断面形状の一つについてステップ走行レールの4方向の曲げの態様を示す図である。
【図4】本発明によるコンベアの一実施形態であるエスカレーターのステップ走行レールのフレームへの取付け例を示す図である。
【図5】本発明によるコンベアの製造方法を折曲げで実施するときの折曲げ加工の一例を示す図である。
【図6】本発明によるコンベアの製造方法における折曲げ部の一実施の形態を示す図である。
【図7】本発明によるコンベアの製造方法を押出しで実施するときの押出し加工で製作した場合の断面形状の一例を示す図である。
【図8】本発明によるコンベアの製造方法をロール曲げで実施するときの曲げ加工用ロールの配置と各ロールの移動方向の例を示す図である。
【図9】本発明によるコンベアの製造方法をロール曲げで実施するときの曲げ加工用ロールの配置と各ロールの移動方向の別の例を示す図である。
【図10】図9に示すロール曲げにおいて、曲げ加工用ロールによって一方向にのみ被加工材料を送る場合の例を示す図である。
【図11】本発明によるコンベアの製造方法の実施の形態において、曲げ加工用ロール形状の一例を示す図である。
【図12】本発明によるコンベアの製造方法の別の実施の形態であって、曲げ加工用ロール形状の異なる例を示す図である。
【図13】本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態であって、開口側から挿入する開口部閉じ抑制用治具又は開口部閉じ抑制用ロールの例を示す図である。
【図14】本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態であって、移動ロールに移動ロールの回転軸方向にテーパーをつけた場合の例を示す図である。
【図15】本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態であって、曲げ加工用ロールが5個以上の場合の実施例の図である。
【図16】図13に示す開口部閉じ抑制用治具の更に別の実施の形態であって、開口部に当該治具を配置する例を示す図である。
【図17】図16に示す開口部閉じ抑制用治具の更に別の実施の形態であって、当該治具の形状の例を示す図である。
【図18】図16に示す開口部閉じ抑制用治具の更に別の実施の形態であって、当該治具の断面形状の例を示す図である。
【図19】本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態であって、補助部材を挿入する例を示す図である。
【図20】図19に示す補助部材の更に別の実施の形態であって、補助部材の断面形状の例を示す図である。
【図21】図19に示す補助部材の更に別の実施の形態であって、補助部材を複数挿入する例を示す図である。
【図22】図21に示す補助部材を複数用いる場合の更に別の実施の形態であって、複数の補助部材を一体形状にして挿入する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明によるコンベア及びその製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に一般的なエスカレーター1の構造を示す。図1において、(a)は全体構造を示す図であり、(b)は(a)の一部であるステップの拡大図である。
【0019】
図1において、(a)に示すように、エスカレーター1に沿って、フレーム21と呼ばれるエスカレーター1の構造を支える大きな骨組みがあり、制御盤2から供給される電力によってモータ(図示せず)を駆動すると、モータによって回転される駆動ギヤ3はステップ4を牽引し、ステップ4をステップ走行レール5上で走行させる。ステップ走行レール5はエスカレーター1に沿って循環配置されているので、ステップ4はステップ走行レール5を走行することで循環走行する。ステップ走行レール5は、人が乗降する側のステップ41が走行する行き側レール51と、人が乗降しない側のステップ42が走行する帰り側レール52とから構成されている。また、ステップ走行レール5は、中間の直線部と、人が乗降する端部側の曲線部によって形成されている。
【0020】
図1の(b)にエスカレーター1のステップ4の一部を拡大して示す。ステップ4は、図示しないが、ローラが踏段軸を介してステップチェーンに連結され、駆動される構造となっている。このとき、前輪を駆動ローラ6A、後輪を追従ローラ6Bと称することにする。駆動ローラ6Aを案内する駆動レール5A、追従ローラ6Bを案内する追従レール5Bが設けられている。更に、各々のレールに、行き側レール51と帰り側レール52があり、合わせてステップ走行レール5と呼ぶ。
【0021】
図2は、本発明によるコンベアの一実施形態として、ステップ走行レールの曲線部が有する断面形状を示す図である。本発明によるコンベア1は、コンベア用ステップ走行レール5Cに具体化されている。図2に示すコンベア用ステップ走行レール5Cは、L字形の短辺側が中空となっている構造を有している。図2において、(a)は、コンベア用ステップ走行レール5Cにおいて、中空部分の内、短辺の端部の一部が開口している場合の断面形状の例を示す図である。図2において、(b)は、中空部分の内、(a)で開口している辺に平行な辺の一部が開口している場合の断面形状の例を示す図である。そして、(c)は、中空部分の内、(a)、(b)で開口している辺に垂直な辺のうち、L字形の短辺側の一部が開口している場合の断面形状の例を示す図である。図2に示す各例において、開口は、開口部17として示されている。
【0022】
本発明によるコンベアのコンベア用ステップ走行レール5Cが曲げられた状態の例が、図3に斜視図として示されている。図3は、コンベア用ステップ走行レール5Cの断面形状が図2の(c)に示される断面形状を持つ場合に、施される4つの曲げの状態を示している。断面形状が図2の(c)に示される形状のような場合、ステップ4用のローラ6は、断面で見て直線15となる面、又は断面で見て直線16となる面のどちらか一辺の上を走る構造となっている。このため、4方向のいずれかの方向に曲げ方向を変えて成形することで、同じ断面形状で行き側レール51と帰り側レール52の2つの方向に対応できる。図3において、(a)に示すコンベア用ステップ走行レール5Cは開口部17を曲げ内側にする方向に曲げた例であり、(b)に示すコンベア用ステップ走行レール5Cは開口部17を曲げ外側にする方向に曲げた例であり、(c)に示すコンベア用ステップ走行レール5Cは長辺側を曲げ外側にした方向に曲げた例であり、(d)に示すコンベア用ステップ走行レール5Cは長辺側を曲げ内側にした方向に曲げた例である。
【0023】
図4は、本発明によるコンベアについて、そのステップ走行レールのフレームへの取り付け例を示す図である。図4において、(a)は、ステップ走行レール5Cをフレーム21に取り付けた例を、ステップ走行レールの長手方向に対して垂直な方向から見た斜視図である。ステップ走行レール5Cは、行き側レール51の駆動レール5Aと追従レール5B、及び帰り側レール52の駆動レール5Aと追従レール5Bの計4本がフレーム21の両側にそれぞれ設置されている。その取り付け例を図4の(a)に示す。取り付けの向きとしては、図4の(a)にその一例を示したように、4本のステップ走行レール5Cのうち、いくつかが長辺側を走行するように取り付けられ、残りのいくつかが短辺側を走行するように取り付けられる場合のほかに、4本のステップ走行レール5C全てが長辺側を走行するように取り付けられる場合や、4本のステップ走行レール5C全てが短辺側を走行するように取り付けられる場合が考えられる。さらに、4本のステップ走行レール5C全てを本発明によるステップ走行レール5Cを用いるのではなく、そのうちのいくつかを異なる形状のステップ走行レール5を用い、組み合わせて使用する場合も考えられる。
【0024】
図4に示すように、ステップ走行レールをフレームに取り付ける構造としては、フレーム21にあけられたボルト穴に挿通したボルト22をステップ走行レールの開口部17に通して、ボルト頭部とナットによってステップ走行レールとフレームとを締めつけて締結する構造が考えられる。また、図4において、(b)は、(a)に示す取り付け例をフレーム側、即ち、開口部17側から見た図である。図4の(b)に示すように、このステップ走行レール5Cの構造では、開口部17のどの位置でもボルト22が取り付けられるため、ボルト22の取付け位置の変更、即ち、ステップ走行レール5Cのフレーム21への取付け位置の調節が容易である。この取付け構造では、開口部17においてフレーム21と接続するため、開口部17がボルト22等により拘束される。ステップ走行レール5Cに開口部17を設けることは、それ自体がステップ走行レール5Cの剛性を下げることになるが、開口部17をボルト22等によって拘束することで、ステップ走行レール5Cの曲げ剛性が向上する。このため、従来よりも薄い板厚の材料を素材とすることが可能であり、軽量化を図ることができる。なお、従来、エスカレーターは、例えば建物の階高が変わるごとに仕様や設計図面を変更する必要があったが、図4に示す構造とすることで、ステップ走行レール5Cの長さのみを変更すれば、一つの設計図面で全てのステップ走行レール5Cに対応できる。
【0025】
次に、本発明によるコンベアの製造方法の実施例について説明する。
まず、図5に、図2の(c)に示したような断面形状を持ち、かつ長手方向に長さを持つステップ走行レール5Cを製作する方法の例として、折曲げ加工の場合を示す。図5においては、(a)が工程1、(b)が工程2、(c)が工程3、(d)が工程4、(e)が工程5、(f)が工程6をそれぞれ図示している。ステップ走行レール5Cは、1枚の板金8を(a)から(f)に図示する工程1〜6の順番に折り曲げていくことで製作される。折曲げによって、断面で見て直線14,15,16となる面部分が形成される。図5に示した曲げ工程は、あくまで一例であり、曲げる順番は必ずしもこの順番とは限らない。
【0026】
図6に、図5に示す折曲げ加工において、折曲げ部の形状の例を示す。1枚の板金8を折り曲げてステップ走行レール5Cを製作するときに、折曲げ部12は、ほぼ180°の折り曲げのため、図6の(a)に示すように、Rをつけて曲げ加工を行うことで、折り曲げ部の強度低下を防ぐことができる。また、図6の(b)に示すように、180度に折り返して折り曲げることもでき、この場合には折曲げ部12は、Rをつけなくても良い。
【0027】
また、本発明におけるコンベアの製造方法の別の実施例として、押出し加工による製造により長尺部材であるステップ走行レールを製作する方法がある。その場合のステップ走行レール5Cの断面形状の一例を図7に示す。図7に示すように、曲げ加工で製作した場合とは異なり、必ずしも直線14と直線15は独立(個別に成形)である必要は無い。図7においては、直線18が、直線14と直線15に相当する。折曲げ加工と押出し加工は、このような断面を持つ長尺部材を加工する方法の一例であって、その他、ロール圧延、ロール成形、ロールフォーミングなどの方法も考えられる。
【0028】
次に、本発明におけるコンベアの製造方法として、一般的なロール曲げ方式の例について説明する。このとき、いずれの図も装置全体を書いているわけではなく、ロール31の位置関係のみを記載している。このようなロール曲げ加工には、曲げ加工力を加える役割をするロール31A(移動ロール)と、押さえの役割をするロール31B(ピンチロール)の最低2種類があわせて3つ以上必要となる。
【0029】
図8に、その最小の形態の例として3つの曲げ加工用ロール(以下、「ロール」と略す)31の配置方法を示す。このとき、曲げ方法によって移動ロール31Aやピンチロール31Bの数の割合は異なり、以下で示すのはあくまでも一例である。ロール押し込み量の調整のためにロール31の回転軸線を移動させる移動方向を直線状の矢印510で示し、駆動されるロール31の回転方向を円弧状の矢印520で示す(図9、図10においても同様)。図8に示すロール配置において、まず、(a)に図示する配置形態の場合には、ロール配置が移動ロール31Aを中心に2つのピンチロール31Bをサイドに置いた二等辺三角形とされている。即ち、その真ん中に回転自在な移動ロール31Aを配置し、そのサイドに都合2つのピンチロール311B,312Bを配置してある。移動ロール31Aを移動方向510に移動させることでロール押し込み量の調整を行い、更に、ピンチロール311B,312Bを回転方向520に回転させて被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動又は往復させることにより曲げ加工する。図8の(b)に図示する配置形態の場合、ピンチロール31Bを、両サイドに配置した回転自在な移動ロール311A,312Aのうちどちらか一方に接近させて配置している。ピンチロール31Bと接近させた側の移動ロール312Aの間に被加工材料32を挟みながら曲げ加工を行う。ロール押し込み量の調整は、移動ロール311A,312Aを移動方向510に動かすことによって行い、ピンチロール31Bを回転方向520に回転させて被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動又は往復させることにより曲げ加工する。図8の(c)に図示する配置形態の場合、3つのロール31の配置は、(a)に図示する形態と同様の二等辺三角形の配置であるが、中央に回転自在な固定ロール31Dを配置し、その両サイドにピンチロール31Bを兼ねる移動ロール311A,312Aを配置している。移動ロール311A,312Aを回転方向520に回転させ、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させながら、移動方向510に独立に動かすことによって、被加工材料32に対するロール押し込み量の調整を行う。被加工材料32の長手方向への移動は、1方向に続けて行っても良いし、往復させても良い。また、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動又は往復させる方法は、あくまでも一例であって、ロール31の回転力をロール31と被加工材料32間の摩擦力により伝える方法以外にも、被加工材料32の長手方向に力を付与する方法もある。さらに、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させるのに用いるロール31は、全ての曲げ加工用ロール31であっても良いし、曲げ加工用ロール31の内のいくつかであっても良い。
図8の(a)、(c)においてロール31の配置が二等辺三角形の場合を示したが、必ずしも二等辺三角形である必要はなく、(a)に図示する形態の場合、移動ロール31Aがピンチロール311B側、もしくはピンチロール312B側に寄っている場合も考えられる。また、同様に(c)に図示する形態の場合も、固定ロール31Dが移動ロール311Aもしくは312A側に寄っている場合も考えられる。
【0030】
図9に、本発明におけるコンベアの製造方法をロール曲げで実施するときのロール31の配置の別例を示す。図9に示す例は、ロール31の数が4つ以上の場合の例である。被加工材料32を厚さ方向に挟んでピンチロール311B,312Bを配置し、一方のピンチロール312Bの両サイドに移動ロール311A,312Aを配置している。被加工材料32に対する押し込み量の調整は、移動ロール311A,312A及びピンチロール311B,312Bを移動方向510に動かすことによって行い、ピンチロール311B,312Bを回転方向520に回転させて被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させて曲げ加工する。被加工材料32の長手方向への移動は、1方向に続けて行っても良いし、往復させても良い。また、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動又は往復させる方法は、あくまでも一例であって、ロール31の回転力をロール31と被加工材料32間の摩擦力により伝える方法以外にも、被加工材料32の長手方向に力を付与する方法もある。さらに、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させるのに用いるロール31は、全ての曲げ加工用ロール31であっても良いし、曲げ加工用ロール31の内のいくつかであっても良い。
【0031】
図10に、本発明におけるコンベアの製造方法をロール曲げで実施するときのロール31の配置の更に別の例を示す。図10は、図9に示すロール31の数が4の場合のロール曲げにおいて、ロール31によって一方向にのみ被加工材料32を送る場合の例に相当する。図10に示す例では、図9に示していた移動ロール311A,312Aのどちらか一方の位置を固定とし、ガイドロール31Cの役割としている。被加工材料32を挟んで配置されているピンチロール311B,312Bによって、被加工材料32を上下から一定の圧力で押さえ、正しい方向に送られるように規制し、ガイドロール31Cでその材料の送りを支え、移動ロール31Aを移動方向510に動かすことによってロール曲げ加工をする。いずれのロール31も、回転方向520に回転させながら被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させて被加工材料32の加工を行う。このとき、ピンチロール311B,312Bのロール間隔や移動ロール31Aの移動方向510への移動量を変えることによりロール曲げの曲率を変えることができる。被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させる方法は、あくまでも一例であって、ロール31の回転力をロール31と被加工材料32間の摩擦力により伝える方法以外にも、被加工材料32の長手方向に力を付与する方法もある。さらに、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させるのに用いるロール31は、全ての曲げ加工用ロール31であっても良いし、曲げ加工用ロール31の内のいくつかであっても良い。
【0032】
次に、被加工材料32の角部の回転を外側から拘束する形状を持つロール31の例を図11を参照して説明する。図11には、本発明によるコンベアの製造方法において、ステップ走行レール5Cの周囲に配置されるピンチロール31Bのロール形状の一例が示されている。図11は、ステップ走行レール5Cの長手方向に対して垂直に交差する面で見た図であり、図にはピンチロール311Bと312Bのみを記載しているが、実際の加工には、図9に示すようにステップ走行レール5Cの長手方向前後に離れて配置された移動ロール311A,312Aも用いられている。被加工材料32の開口部17は、ピンチロール312B側を向いている。
【0033】
図11の(a)に図示したように、ピンチロール311Bと312Bは、その円柱状の外形部において、ステップ走行レール5Cのそれぞれの側を保持することになる部位に、曲げ加工用の溝を有する。この溝形状は、曲げ加工においてステップ走行レール5Cに発生する応力集中のうち、特に角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状となっている。即ち、ピンチロール312Bは、直線102の部分と直線103の部分とでステップ走行レール5Cの角部201を挟み込んでその変形を抑制し、直線103の部分と直線104の部分とでステップ走行レール5Cの角部202を挟み込んでその変形を抑制する。また、ピンチロール311Bは、直線105の部分と直線106の部分とでステップ走行レール5Cの角部203を挟み込んでその変形を抑制し、直線106の部分と直線107の部分でステップ走行レール5Cの角部204を挟み込んでその変形を抑制し、更に、直線107の部分と直線108の部分と直線101の部分とで、ステップ走行レール5CのL形の長辺の変形を抑制している。
【0034】
ピンチロール311Bと312Bの溝形状は、ステップ走行レール5Cの長辺と短辺の寸法と同じか若干大きい。このような形状とすることで、被加工材料32の内側から詰め物で拘束することなく、ロール31による外側からの拘束のみで、曲げ加工時の応力集中によって起こり易い捩れや面内のしわ、座屈などの発生を抑制する。
【0035】
図11の(b)には、開口部17がピンチロール312B側を向いている場合のロール形状(ピンチロール312B)の異なる例を図示する。図11の(a)で図示したロール31において、さらにステップ走行レール5Cの開口部17側に配置されたピンチロール312Bに、開口部閉じ抑制部材の一形態として、フランジ状の突起が設けられている。この突起は、ステップ走行レール5Cの開口部17に入り込み、ロール成形時に開口部17が閉じることを抑制する。このとき、ステップ走行レール5Cの開口部17が閉じることを抑制できる突起とは、図11において、直線111,115の部分とにより形成される溝の底部から突出する突起であって、直線112の部分と直線113の部分と直線114の部分とにより形成されている突起を指す。
【0036】
次に、図12を参照して、本発明によるコンベアの製造方法の別の実施の形態を説明する。図12には、被加工材料32の周囲に配置されるロール形状の異なる例を示す。図12は、ステップ走行レール5Cの長手方向に対して垂直に交差する面で見た図であり、図にはピンチロール311Bと312Bのみを記載しているが、実際の加工には移動ロール311A,312Aも用いている。図12において、開口部17は、移動ロール31Aの移動方向に対して垂直な方向を向いている。ピンチロール311Bと312Bは、その円柱状の外形部において、ステップ走行レール5Cのそれぞれの側を保持することになる部位に、曲げ加工用の溝を有している。この溝形状は、曲げ加工においてステップ走行レール5Cに発生する応力集中のうち、ステップ走行レール5Cの、特に角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状となっている。ピンチロール312Bの直線121の部分と直線122の部分とピンチロール311Bの直線123の部分とで、ステップ走行レール5Cの角部201を挟み込んでその変形を抑制し、ピンチロール311Bの直線123の部分と直線124の部分とでステップ走行レール5Cの角部202を挟み込んでその変形を抑制し、また、ピンチロール311Bの直線124の部分と直線125の部分とでステップ走行レール5Cの角部203を挟み込んでその変形を抑制し、ピンチロール311Bの直線125の部分と直線126の部分とでステップ走行レール5Cの角部204を支えてその変形を抑制し、更にピンチロール311Bの直線126の部分とピンチロール312Bの直線127の部分と直線121の部分とでL形状の長辺の変形を抑制している。
【0037】
次に、図13を参照して、本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態について説明をする。図13に示す例は、ステップ走行レール5Cの開口部17側から、別の開口部閉じ抑制部材としての治具33又はロール31を挿入する例であって、(a)は開口部閉じ抑制用治具33(以下、単に「治具33」と略す)を開口側から挿入する例を示す図であり、(b)は開口部閉じ抑制用ロール31E(以下、「第5ロール31E」と略す)を開口側から挿入する例を示す図である。これらの例に示すように、開口部17は、移動ロール31Aの移動方向に対して垂直な方向を向いている。ステップ走行レール5Cの開口部17側から第5ロール31E又は治具33を挿入することによって、ロール成形時に開口部17が閉じることを抑制している。この際、第5ロール31Eのロール径130又は治具33の直線131部分の長さはいずれも長手方向に垂直な方向の断面の開口部17の長さと同じか若干小さいことを特徴とする形状を持っている。第5ロール31Eがピンチロール311Bと312Bの回転軸に平行な回転軸で回転しながら開口部17が閉じることを抑制しているのに対し、治具33は一定位置に固定、又はステップ走行レール5Cの移動と同じ軌跡で移動しながら開口部17が閉じることを抑制している。
【0038】
次に、図14を参照して、本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態について説明をする。図14は、移動ロール31Aに当該移動ロール31Aの回転軸方向にテーパーを付けた例を示す斜視図である。図14には、移動ロール31Aにテーパーを付けた例を示すが、ピンチロール31Bに、若しくはピンチロール31Bと移動ロール31Aとの両方にテーパーを付けてもよい。ステップ走行レール5Cの断面形状が、L形であるように非対称であるため、曲げ加工時に発生する応力集中により、ステップ走行レール5Cがねじれる現象がある。図14は、ねじれ方向530の方向にねじれる場合に、移動ロール31Aに付けるテーパーの例を示しており、移動ロール31Aには、ステップ走行レール5Cがねじれる方向と逆の方向にステップ走行レール5Cに対して力が加わる形状となるように、回転軸方向にテーパーを付けているので、レール5Cの曲げ加工時に発生するねじれによる3次元的な変形を抑制することができる。このねじれる方向やそれに対するロール31に付与するテーパーの量や方向は、あくまでも一例であって、曲げ方向やロール形状、ロール31の数、治具33の使用有無等の条件により異なる。
また、図14は、図10のロール配置の場合においてテーパーを付与する例を示しているが、これはあくまでも一例であって、ロール31を3つ配置した場合や、4つ以上を別の配置方法で配置した場合においてもロール31にテーパーを付与してよい。更に、ステップ走行レール5Cに配置したロール31の内、いずれのロール31にテーパーを付与しても良く、1つ以上のロール31に付与しても良い。
【0039】
次に、図15を参照して、本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態について説明をする。図15はロール31が5個以上の場合の実施例を示す図であって、(a)はロール31が5個の場合の例を示しており、(b)はロール31が6個の場合の例を示している。このとき、(a)は片側がガイドロール31Cとなっており、(b)は両方とも移動ロール31A(311A,312A)となっている。いずれの場合も、移動ロール311Aの被加工材料32を挟んだ対面に、押さえロール31F(311F,312F)を配置することで、被加工材料32を両側から挟みこむようにし、回転方向520に回転させ、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させながら移動ロール31A及び押さえロール31Fを移動方向510に移動させることで加工している。このとき、押さえロール31Fの溝形状は、ピンチロール311Bと同じ場合と、異なる場合の両方が考えられる。このようにロール31を増やすことで、さらにねじれの発生抑制効果を向上させることが可能となる。被加工材料32の長手方向への移動は、1方向に続けて行っても良いし、往復させても良い。また、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動又は往復させる方法は、あくまでも一例であって、ロール31の回転力をロール31と被加工材料32間の摩擦力により伝える方法以外にも、被加工材料32の長手方向に力を付与する方法もある。さらに、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させるのに用いるロール31は、全ての曲げ加工用ロール31であっても良いし、曲げ加工用ロール31の内のいくつかであっても良い。
【0040】
以上のようなロール31につけた溝形状と、ロール31の3次元形状、ロール配置方法による外部からの拘束によって、従来、マンドレルや詰め物を用いて内側から拘束をしつつ成形をしたのに対して、内側からの拘束なしに座屈の抑制が可能となり、本発明によれば、取り付け性がよく、軽量で、かつ形状が高精度のコンベア用ステップ走行レール5Cを供えたコンベア1及びその製造方法を提供することができる。
【0041】
図16に、コンベア用ステップ走行レール5Cの開口部17側から治具33を挿入する場合の、更に別の実施例を示す。図16に示す例は、治具33を、コンベア用ステップ走行レール5Cの開口部に配置し、コンベア用ステップ走行レール5Cとともに曲げ加工を行う場合の治具33の例である。図16の(a)は、開口部17の長手方向全体にわたってコンベア用ステップ走行レール5Cと同程度の長手方向の長さを持つ一つの治具33を挿入する場合の例を示す図であって、(b)は、開口部17の長手方向全体にわたって、コンベア用ステップ走行レール5Cの長手方向の長さよりも短い長さを持つ複数の治具33を挿入する場合の例を示す図である。このような形態で治具33を用いることで、断面形状の変形を抑制するとともに、ねじれの抑制にも効果がある。(b)に示すように、複数の治具33を挿入する場合、治具33の間隔は、等間隔であってもよいし、特に変形量の大きい部分にたくさん配置してもよい。配置する治具33の数が多いほど断面変形抑制効果やねじれ抑制効果は向上するが、その分作業性は低下する。また、このような形態の治具33の材質は、弾性体あるいは弾塑性体を用いており、例えば合成樹脂、シリコン樹脂、合成ゴムなどの高分子材料や、バネ鋼、アルミニウム合金、銅合金などの金属材料である。合成樹脂の例としては、プラスチックがあげられ、例えば、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール、ABS樹脂、フッ素樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂などである。
【0042】
図17に、図16の(b)に示す治具33の一形態の例を示す。図17は、治具33の形状が、球又は円柱に溝を付けた場合の例を示しており、(a)は球に溝をつけた場合の例を図示しており、(b)は、円柱に溝をつけた場合を示す例である。治具33をこのような形状とすることで、曲げ加工を実施した際の治具33の形状変形が少ないため、繰り返し利用性が更に向上するため作業性が高くなる。このとき、(a)に示す形状とする場合、例えば高分子材料や金属材料で製作した球状の部材の表面を、当該(a)に示す形状となるように、球状部材に用いた材料よりも柔軟性のある、例えばゴムなどの材料で上から覆うことにより、更に取り外し性が向上する。また、(b)に示す形状とする場合、例えば高分子材料や金属材料で製作した円柱状の部材の表面を、当該(b)に示す形状となるように、円柱状部材に用いた材料よりも柔軟性のある、たとえばゴムなどの材料で上から覆うことにより、更に取り外し性が向上する。
【0043】
図18に、図16、図17に示す治具33の断面形状の例を示す。図18において、(a)は、開口部を両側から挟みこむことで、曲げ加工を行う際に治具33が外れることを防止した機能を持つ形状の例であり、(b)は、断面形状の寸法を開口部と同程度とすることで、取り外し性を向上させた形状の例であり、(c)は、断面形状にテーパーをつけることで、曲げ加工を行う際に治具33が外れることを防止する機能を向上させた形状の例である。治具33の断面形状の例としては、この他にも、これらの機能を組み合わせた形状が考えられ、例えば図18の(d)は、(a)と(b)の機能を組み合わせた形状の例である。また、図に示した配置は一例であって、例えば図18の(c)や(d)のような非対称形状の場合、上下逆に挿入する方法もある。更に、図18の(a)に示す断面形状とする場合、例えば高分子材料や金属材料で製作した図18の(b)に示す形状の部材の表面を、当該(a)に示す断面形状となるように、当該(b)に示す形状の部材に用いた材料よりも柔軟性のある、たとえばゴムなどの材料で上から覆うことにより、更に取り外し性が向上する。
【0044】
次に、図19を参照して、本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態について説明をする。図19に示す例は、補助部材34を用いる例であって、図19の(a)は開口部17が移動ロール31Aの移動方向に対して垂直な方向を向いている場合の補助部材34の配置の例を示す図であって、同(b)は、開口部17がピンチロール312B側を向いている場合の補助部材34の配置の例を示す図である。図19に示すロール配置方法は一例であって、曲げ方向が逆の場合もある。このような補助部材34を用いることで、しわ発生抑制効果を向上させることができる。補助部材34は、コンベア用ステップ走行レール5Cの面のうち、いずれの面に沿わせて配置してもよいが、この例に示すように、補助部材34を、断面を見て直線15となる面に添わせると、特にしわ発生抑制効果が高い。また、補助部材34の材質は、弾性体あるいは弾塑性体を用いており、例えば合成樹脂、シリコン樹脂、合成ゴムなどの高分子材料や、バネ鋼、アルミニウム合金、銅合金などの金属材料である。合成樹脂の例としては、プラスチックがあげられ、例えば、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール、ABS樹脂、フッ素樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂などである。更に、このような補助部材34を用いることで、しわ発生抑制効果のほか、断面形状変形抑制効果、ねじれ抑制効果も向上できる。
【0045】
図20に、図19に示す補助部材34の断面形状の例を示す。図20において、(a)は、補助部材34の断面形状が四角形の場合を示す例であり、同(b)は、補助部材34の断面形状が三角形の場合を示す例であり、同(c)は、断面が円形または楕円形、正方形又は長方形の数本の棒を束ねた形状である場合を示す例である。図20に記載した断面形状の寸法は一例であって、その縦横比等は曲げ方向や補助部材34の材質により異なる。このとき、補助部材34の断面形状の寸法は、補助部材34を添わせている、コンベア用ステップ走行レール5Cの面の、長手方向に対して垂直となる断面の長さよりも長くても短くてもよいが、補助部材34の断面形状の寸法のうち、少なくとも1辺が、補助部材34を添わせているコンベア用ステップ走行レール5Cの面の、長手方向に対して垂直となる断面の長さと同程度の長さを有することにより、しわ発生抑制効果が高い。更に、補助部材34の角部にフィレットを付ける、または角を落とすことで、ステップ走行レール5Cに傷がつくことを防止できる。
【0046】
図21に、補助部材34を複数用いる場合の例を示す。図21に示した補助部材34すべてを同時に用いてもよいし、図21に示した補助部材34のうち、少なくとも1つ以上を図21に示した配置場所のいずれかの場所に配置して用いてもよく、その配置数や場所の組み合わせは曲げ方向や補助部材34の材質等により異なる。いずれの補助部材34も、図20に示した断面形状の内のいずれかの断面形状を有している。このように、補助部材34を複数用いることで、更に、しわ抑制効果を向上させることが可能となる。
【0047】
図22に、補助部材34を複数用いる場合の更に別の実施の形態を示す。図22の(a)は、開口部17がピンチロール312B側を向いている場合に補助部材34を2数用いる場合の配置例を示す図であり、同(b)は、(a)に示すように、隣り合って2枚の補助部材34を配置する場合に、2枚の補助部材34を一体形状とする場合の例を示す図である。このように、補助部材34を一体形状とすることで、更にしわ抑制効果を向上させること可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・・・・コンベア(エスカレーター)
2・・・・・・制御盤
3・・・・・・駆動ギヤ
4,41,42・・・・・・ステップ
5,5C,51,52,5A,5B・・・・・・ステップ走行レール
6,6A,6B・・・・・・ローラ
7・・・・・・L形の形鋼
8・・・・・・板金
12・・・・・・折曲げ部
14,15,16,18・・・・・・直線
17・・・・・・開口部
21・・・・・・フレーム
22・・・・・・ボルト
31,31A,31B,31C,31D,31F,311A,312A,311B,312B・・・・・・曲げ加工用ロール
31E・・・・・開口部閉じ抑制用ロール
31F,311F,312F・・・・・・押さえロール
32・・・・・・被加工材料
33・・・・・・開口部閉じ抑制用治具
34・・・・・・補助部材
101,102,103,104,105,106,107,108・・・・・・直線
111,112,113,114,115・・・・・・直線
121,122,123,124,125,126,127・・・・・・直線
130・・・・・・ロール径
131・・・・・・直線
201,202,203,204・・・・・・角部
510・・・・・・移動方向
520・・・・・・回転方向
530・・・・・・ねじれ方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステップが循環するステップ走行レールを備えるコンベア及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレーター等のコンベアは、フレームと呼ばれる大きな骨組みがあり、当該フレームの周りをステップが循環する構造をしている。ステップは、ステップ走行レール上を循環しており、ステップ走行レールは直線部と曲線部によって形成されている。
【0003】
従来のステップ走行レールの曲線部は、L型の形鋼を用いて製作されている(例えば、特許文献1参照)。ステップ走行レールの曲線部製作方法としては、一般的に引張り曲げが用いられている。
【0004】
L型の形鋼の曲げ成形方法としては、幾つかの成形方法が考えられる。ロール成形を用いる場合に、曲げる対象がL型の形鋼であるときは、形鋼の全ての面をロールによって拘束できるのに対し、曲げる対象が中空形状の形鋼であるときは、マンドレル等の詰め物を用いない限り外側の面からの拘束のみとなり、正確な成形を得ることが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−46215号公報
【特許文献2】特開2006−951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなL型の形鋼を用いて製作されたステップ走行レール曲線部を備えたコンベアにおいては、ステップ走行レール曲線部の形状の変更ができないため、ステップ走行レール曲線部部分での軽量化が困難である。そこで、ステップ走行レール曲線部を軽量化が可能な中空構造とすることが考えられる。しかしながら、ステップ走行レール曲線部は、取付け性向上のため、非対称、開口形状であり、ステップ走行レールの曲線部を製作する際には、曲げ加工時に捩れや面内のしわ、座屈などが発生するという問題がある。
【0007】
開口のあるものの曲げは、一般にマンドレル等の詰め物を用いるが、これは極めて作業性が悪い。また、管状のものにRをつける方法としては、引張り曲げも考えられるが、対象とするステップ走行レールについては、断面形状が非対称のため、その曲げ作業には4方向の曲げが必要となり、金型製作時間がかかる。また、引張り曲げは、つかみしろが無駄になり、材料歩留まりが悪い。
【0008】
したがって、本発明の目的は、フレキシブルな成形が可能なロール成形で、外側からの拘束のみで捩れや面内のしわ及び座屈の発生が無く曲げ加工を行うことを可能にし、軽量化が可能であり、かつ形状が高精度のコンベア用ステップ走行レール曲線部を供えたコンベア及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明によるコンベアは、人や物を運搬するステップと、前記ステップが走行するステップ走行レールと、前記ステップ走行レールを支えるフレームと、を備えたコンベアであって、前記ステップ走行レールは前記ステップの走行方向に沿って直線部と曲線部とにより構成されており、前記ステップ走行レールの前記曲線部がL型レールで構成されており、前記L型レールの短辺と長辺の少なくとも一辺が中空構造に構成されており、前記L型レールの前記中空構造を構成する壁面の一箇所に開口部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によるコンベアでは、ステップ走行レールの曲線部を、従来の形鋼を用いたL型形状から、短辺と長辺の少なくとも一辺を中空構造としたステップ走行レールを用いているので、それを備えたコンベア全体の軽量化が可能となる。
【0011】
本コンベアにおいて、中空構造を持つ前記ステップ走行レールの曲線部は、断面が非対称、開口形状であり、これを製作するために、本発明によるコンベアの製造方法によれば、前記ステップ走行レールの前記曲線部は少なくとも3つの曲げ加工用ロールを用いて製造され、前記曲げ加工用ロールは、前記ステップ走行レールの長手方向に対して回転軸が垂直になるように配置された第1ロールと、前記第1ロールの回転軸と平行な回転軸を持っていて且つ前記第1ロールとの間に前記ステップ走行レールをその厚さ方向に挟んで配置された第2ロール及び第3ロールとであり、前記第1ロールを、前記第2ロールと前記第3ロールの前記回転軸を結ぶ直線に対して垂直な方向に移動させ、前記曲げ加工用ロールの回転と移動によって、前記ステップ走行レールを軸方向に送りながら曲げモーメントを付与し、前記曲げ加工用ロールは一様な径の円柱状の外形を有するか、又は円柱状の外形部において前記ステップ走行レールを保持する部位に溝を有し、前記溝は前記ステップ走行レールの各角部と接しており、前記溝は接しているレールの角部と等しい角度を持ち、前記溝形状は、前記ステップ走行レールの角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状であることを特徴とする。
【0012】
ステップ走行レール製造用の曲げ加工用ロールに、曲げ加工において発生する応力集中のうち、前記ステップ走行レールの、特に角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状とすることで、前記曲げ加工用ロールによる外側からの拘束のみで、曲げ加工時の応力集中によって起こる、捩れや面内のしわ、座屈などの発生を抑制する。
さらに、前記曲げ加工用ロールに設けたフランジ状の突起、または前記曲げ加工用ロールとは別の開口部に挿入される開口部閉じ抑制用ロール、もしくは開口部閉じ抑制用治具を用いて開口部を拘束することで、前記ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面の形状変形の発生を抑制する。
【0013】
さらに、前記曲げ加工用ロールの回転軸方向にテーパーをつけた形状のロールを用いることで、曲げ加工時の応力集中によって起こる、捩れを抑制する。
また、曲げ加工用ロールの数を、本発明における曲げ加工用ロールの必要最低限の数である3つから増加させることにより、さらにねじれの発生抑制効果を向上させることが可能となる。
【0014】
さらに、開口部を拘束するための前記治具を、当該開口部に少なくともひとつ以上配置し、前記ステップ走行レールとともに曲げ加工を行うことで、前記ステップ走行レール曲げ加工時に発生する前記ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面変形を抑制する効果を向上させるほか、前記ステップ走行レール曲げ加工時に発生するねじれを抑制する効果を向上させることが可能となる。
さらに、前記ステップ走行レール曲線部のロール曲げ加工の際に、曲げ加工用ロール間の拘束を付与する補助部材を前記ステップ走行レールにそって配置し、前記ステップ走行レールとともに曲げ加工を行うことで、前記ステップ走行レール曲げ加工時に発生する前記ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面変形を抑制する効果を向上させるほか、前記ステップ走行レール曲げ加工時に発生するねじれを抑制する効果を向上させること、前記ステップ走行レール曲げ加工時に発生するしわを抑制する効果を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のコンベアによれば、中空構造としたステップ走行レールをコンベアに用いることで、コンベア全体の軽量化ができる。
また、本構造のステップ走行レールは、開口部の任意の位置でボルトにより締結することが可能であるため、取り付け性が向上する。
さらに、中空構造を持つステップ走行レールの曲線部は、断面が非対称、開口形状であり、これを製作するために用いる曲げ加工用ロールを、曲げ加工において発生する応力集中のうち、ステップ走行レールの、特に角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状とすることで、曲げ加工用ロールによる外側からの拘束のみで、曲げ加工時の応力集中によって起こる、捩れや面内のしわ、座屈などの発生を抑制することができる。
また、曲げ加工用ロールに設けたフランジ状突起、または当該曲げ加工用ロールとは別の開口部閉じ抑制用ロール、もしくは開口部閉じ抑制用治具を用いて開口部を拘束することで、ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面の形状変形の発生を抑制することができる。
さらに、曲げ加工用ロールの回転軸方向にテーパーをつけた形状のロールを用いることで、曲げ加工時の応力集中によって起こる、捩れを抑制することが可能となる。
また、曲げ加工用ロールの数を、本発明における曲げ加工用ロールの必要最低限の数である3つから増加させることにより、さらにねじれの発生抑制効果を向上させることが可能となる。
【0016】
また、前記ステップ走行レールの開口部に前記開口部閉じ抑制用治具を少なくともひとつ以上配置し、前記ステップ走行レールとともに曲げ加工を行うことにより、さらに断面変形抑制効果とねじれ抑制効果を向上させることが可能となる。
また、曲げ加工用ロール間の拘束を付与する補助部材を前記ステップ走行レールにそって配置し、前記ステップ走行レールとともに曲げ加工を行うことにより、さらに断面変形抑制効果とねじれ抑制効果、しわの発生抑制効果を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一般的なエスカレーターの全体構造及びその一部を拡大して示す図である。
【図2】本発明によるコンベアの一実施形態であるエスカレーターのステップ走行レールの断面形状を示す図である。
【図3】図2に示された断面形状の一つについてステップ走行レールの4方向の曲げの態様を示す図である。
【図4】本発明によるコンベアの一実施形態であるエスカレーターのステップ走行レールのフレームへの取付け例を示す図である。
【図5】本発明によるコンベアの製造方法を折曲げで実施するときの折曲げ加工の一例を示す図である。
【図6】本発明によるコンベアの製造方法における折曲げ部の一実施の形態を示す図である。
【図7】本発明によるコンベアの製造方法を押出しで実施するときの押出し加工で製作した場合の断面形状の一例を示す図である。
【図8】本発明によるコンベアの製造方法をロール曲げで実施するときの曲げ加工用ロールの配置と各ロールの移動方向の例を示す図である。
【図9】本発明によるコンベアの製造方法をロール曲げで実施するときの曲げ加工用ロールの配置と各ロールの移動方向の別の例を示す図である。
【図10】図9に示すロール曲げにおいて、曲げ加工用ロールによって一方向にのみ被加工材料を送る場合の例を示す図である。
【図11】本発明によるコンベアの製造方法の実施の形態において、曲げ加工用ロール形状の一例を示す図である。
【図12】本発明によるコンベアの製造方法の別の実施の形態であって、曲げ加工用ロール形状の異なる例を示す図である。
【図13】本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態であって、開口側から挿入する開口部閉じ抑制用治具又は開口部閉じ抑制用ロールの例を示す図である。
【図14】本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態であって、移動ロールに移動ロールの回転軸方向にテーパーをつけた場合の例を示す図である。
【図15】本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態であって、曲げ加工用ロールが5個以上の場合の実施例の図である。
【図16】図13に示す開口部閉じ抑制用治具の更に別の実施の形態であって、開口部に当該治具を配置する例を示す図である。
【図17】図16に示す開口部閉じ抑制用治具の更に別の実施の形態であって、当該治具の形状の例を示す図である。
【図18】図16に示す開口部閉じ抑制用治具の更に別の実施の形態であって、当該治具の断面形状の例を示す図である。
【図19】本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態であって、補助部材を挿入する例を示す図である。
【図20】図19に示す補助部材の更に別の実施の形態であって、補助部材の断面形状の例を示す図である。
【図21】図19に示す補助部材の更に別の実施の形態であって、補助部材を複数挿入する例を示す図である。
【図22】図21に示す補助部材を複数用いる場合の更に別の実施の形態であって、複数の補助部材を一体形状にして挿入する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明によるコンベア及びその製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に一般的なエスカレーター1の構造を示す。図1において、(a)は全体構造を示す図であり、(b)は(a)の一部であるステップの拡大図である。
【0019】
図1において、(a)に示すように、エスカレーター1に沿って、フレーム21と呼ばれるエスカレーター1の構造を支える大きな骨組みがあり、制御盤2から供給される電力によってモータ(図示せず)を駆動すると、モータによって回転される駆動ギヤ3はステップ4を牽引し、ステップ4をステップ走行レール5上で走行させる。ステップ走行レール5はエスカレーター1に沿って循環配置されているので、ステップ4はステップ走行レール5を走行することで循環走行する。ステップ走行レール5は、人が乗降する側のステップ41が走行する行き側レール51と、人が乗降しない側のステップ42が走行する帰り側レール52とから構成されている。また、ステップ走行レール5は、中間の直線部と、人が乗降する端部側の曲線部によって形成されている。
【0020】
図1の(b)にエスカレーター1のステップ4の一部を拡大して示す。ステップ4は、図示しないが、ローラが踏段軸を介してステップチェーンに連結され、駆動される構造となっている。このとき、前輪を駆動ローラ6A、後輪を追従ローラ6Bと称することにする。駆動ローラ6Aを案内する駆動レール5A、追従ローラ6Bを案内する追従レール5Bが設けられている。更に、各々のレールに、行き側レール51と帰り側レール52があり、合わせてステップ走行レール5と呼ぶ。
【0021】
図2は、本発明によるコンベアの一実施形態として、ステップ走行レールの曲線部が有する断面形状を示す図である。本発明によるコンベア1は、コンベア用ステップ走行レール5Cに具体化されている。図2に示すコンベア用ステップ走行レール5Cは、L字形の短辺側が中空となっている構造を有している。図2において、(a)は、コンベア用ステップ走行レール5Cにおいて、中空部分の内、短辺の端部の一部が開口している場合の断面形状の例を示す図である。図2において、(b)は、中空部分の内、(a)で開口している辺に平行な辺の一部が開口している場合の断面形状の例を示す図である。そして、(c)は、中空部分の内、(a)、(b)で開口している辺に垂直な辺のうち、L字形の短辺側の一部が開口している場合の断面形状の例を示す図である。図2に示す各例において、開口は、開口部17として示されている。
【0022】
本発明によるコンベアのコンベア用ステップ走行レール5Cが曲げられた状態の例が、図3に斜視図として示されている。図3は、コンベア用ステップ走行レール5Cの断面形状が図2の(c)に示される断面形状を持つ場合に、施される4つの曲げの状態を示している。断面形状が図2の(c)に示される形状のような場合、ステップ4用のローラ6は、断面で見て直線15となる面、又は断面で見て直線16となる面のどちらか一辺の上を走る構造となっている。このため、4方向のいずれかの方向に曲げ方向を変えて成形することで、同じ断面形状で行き側レール51と帰り側レール52の2つの方向に対応できる。図3において、(a)に示すコンベア用ステップ走行レール5Cは開口部17を曲げ内側にする方向に曲げた例であり、(b)に示すコンベア用ステップ走行レール5Cは開口部17を曲げ外側にする方向に曲げた例であり、(c)に示すコンベア用ステップ走行レール5Cは長辺側を曲げ外側にした方向に曲げた例であり、(d)に示すコンベア用ステップ走行レール5Cは長辺側を曲げ内側にした方向に曲げた例である。
【0023】
図4は、本発明によるコンベアについて、そのステップ走行レールのフレームへの取り付け例を示す図である。図4において、(a)は、ステップ走行レール5Cをフレーム21に取り付けた例を、ステップ走行レールの長手方向に対して垂直な方向から見た斜視図である。ステップ走行レール5Cは、行き側レール51の駆動レール5Aと追従レール5B、及び帰り側レール52の駆動レール5Aと追従レール5Bの計4本がフレーム21の両側にそれぞれ設置されている。その取り付け例を図4の(a)に示す。取り付けの向きとしては、図4の(a)にその一例を示したように、4本のステップ走行レール5Cのうち、いくつかが長辺側を走行するように取り付けられ、残りのいくつかが短辺側を走行するように取り付けられる場合のほかに、4本のステップ走行レール5C全てが長辺側を走行するように取り付けられる場合や、4本のステップ走行レール5C全てが短辺側を走行するように取り付けられる場合が考えられる。さらに、4本のステップ走行レール5C全てを本発明によるステップ走行レール5Cを用いるのではなく、そのうちのいくつかを異なる形状のステップ走行レール5を用い、組み合わせて使用する場合も考えられる。
【0024】
図4に示すように、ステップ走行レールをフレームに取り付ける構造としては、フレーム21にあけられたボルト穴に挿通したボルト22をステップ走行レールの開口部17に通して、ボルト頭部とナットによってステップ走行レールとフレームとを締めつけて締結する構造が考えられる。また、図4において、(b)は、(a)に示す取り付け例をフレーム側、即ち、開口部17側から見た図である。図4の(b)に示すように、このステップ走行レール5Cの構造では、開口部17のどの位置でもボルト22が取り付けられるため、ボルト22の取付け位置の変更、即ち、ステップ走行レール5Cのフレーム21への取付け位置の調節が容易である。この取付け構造では、開口部17においてフレーム21と接続するため、開口部17がボルト22等により拘束される。ステップ走行レール5Cに開口部17を設けることは、それ自体がステップ走行レール5Cの剛性を下げることになるが、開口部17をボルト22等によって拘束することで、ステップ走行レール5Cの曲げ剛性が向上する。このため、従来よりも薄い板厚の材料を素材とすることが可能であり、軽量化を図ることができる。なお、従来、エスカレーターは、例えば建物の階高が変わるごとに仕様や設計図面を変更する必要があったが、図4に示す構造とすることで、ステップ走行レール5Cの長さのみを変更すれば、一つの設計図面で全てのステップ走行レール5Cに対応できる。
【0025】
次に、本発明によるコンベアの製造方法の実施例について説明する。
まず、図5に、図2の(c)に示したような断面形状を持ち、かつ長手方向に長さを持つステップ走行レール5Cを製作する方法の例として、折曲げ加工の場合を示す。図5においては、(a)が工程1、(b)が工程2、(c)が工程3、(d)が工程4、(e)が工程5、(f)が工程6をそれぞれ図示している。ステップ走行レール5Cは、1枚の板金8を(a)から(f)に図示する工程1〜6の順番に折り曲げていくことで製作される。折曲げによって、断面で見て直線14,15,16となる面部分が形成される。図5に示した曲げ工程は、あくまで一例であり、曲げる順番は必ずしもこの順番とは限らない。
【0026】
図6に、図5に示す折曲げ加工において、折曲げ部の形状の例を示す。1枚の板金8を折り曲げてステップ走行レール5Cを製作するときに、折曲げ部12は、ほぼ180°の折り曲げのため、図6の(a)に示すように、Rをつけて曲げ加工を行うことで、折り曲げ部の強度低下を防ぐことができる。また、図6の(b)に示すように、180度に折り返して折り曲げることもでき、この場合には折曲げ部12は、Rをつけなくても良い。
【0027】
また、本発明におけるコンベアの製造方法の別の実施例として、押出し加工による製造により長尺部材であるステップ走行レールを製作する方法がある。その場合のステップ走行レール5Cの断面形状の一例を図7に示す。図7に示すように、曲げ加工で製作した場合とは異なり、必ずしも直線14と直線15は独立(個別に成形)である必要は無い。図7においては、直線18が、直線14と直線15に相当する。折曲げ加工と押出し加工は、このような断面を持つ長尺部材を加工する方法の一例であって、その他、ロール圧延、ロール成形、ロールフォーミングなどの方法も考えられる。
【0028】
次に、本発明におけるコンベアの製造方法として、一般的なロール曲げ方式の例について説明する。このとき、いずれの図も装置全体を書いているわけではなく、ロール31の位置関係のみを記載している。このようなロール曲げ加工には、曲げ加工力を加える役割をするロール31A(移動ロール)と、押さえの役割をするロール31B(ピンチロール)の最低2種類があわせて3つ以上必要となる。
【0029】
図8に、その最小の形態の例として3つの曲げ加工用ロール(以下、「ロール」と略す)31の配置方法を示す。このとき、曲げ方法によって移動ロール31Aやピンチロール31Bの数の割合は異なり、以下で示すのはあくまでも一例である。ロール押し込み量の調整のためにロール31の回転軸線を移動させる移動方向を直線状の矢印510で示し、駆動されるロール31の回転方向を円弧状の矢印520で示す(図9、図10においても同様)。図8に示すロール配置において、まず、(a)に図示する配置形態の場合には、ロール配置が移動ロール31Aを中心に2つのピンチロール31Bをサイドに置いた二等辺三角形とされている。即ち、その真ん中に回転自在な移動ロール31Aを配置し、そのサイドに都合2つのピンチロール311B,312Bを配置してある。移動ロール31Aを移動方向510に移動させることでロール押し込み量の調整を行い、更に、ピンチロール311B,312Bを回転方向520に回転させて被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動又は往復させることにより曲げ加工する。図8の(b)に図示する配置形態の場合、ピンチロール31Bを、両サイドに配置した回転自在な移動ロール311A,312Aのうちどちらか一方に接近させて配置している。ピンチロール31Bと接近させた側の移動ロール312Aの間に被加工材料32を挟みながら曲げ加工を行う。ロール押し込み量の調整は、移動ロール311A,312Aを移動方向510に動かすことによって行い、ピンチロール31Bを回転方向520に回転させて被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動又は往復させることにより曲げ加工する。図8の(c)に図示する配置形態の場合、3つのロール31の配置は、(a)に図示する形態と同様の二等辺三角形の配置であるが、中央に回転自在な固定ロール31Dを配置し、その両サイドにピンチロール31Bを兼ねる移動ロール311A,312Aを配置している。移動ロール311A,312Aを回転方向520に回転させ、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させながら、移動方向510に独立に動かすことによって、被加工材料32に対するロール押し込み量の調整を行う。被加工材料32の長手方向への移動は、1方向に続けて行っても良いし、往復させても良い。また、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動又は往復させる方法は、あくまでも一例であって、ロール31の回転力をロール31と被加工材料32間の摩擦力により伝える方法以外にも、被加工材料32の長手方向に力を付与する方法もある。さらに、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させるのに用いるロール31は、全ての曲げ加工用ロール31であっても良いし、曲げ加工用ロール31の内のいくつかであっても良い。
図8の(a)、(c)においてロール31の配置が二等辺三角形の場合を示したが、必ずしも二等辺三角形である必要はなく、(a)に図示する形態の場合、移動ロール31Aがピンチロール311B側、もしくはピンチロール312B側に寄っている場合も考えられる。また、同様に(c)に図示する形態の場合も、固定ロール31Dが移動ロール311Aもしくは312A側に寄っている場合も考えられる。
【0030】
図9に、本発明におけるコンベアの製造方法をロール曲げで実施するときのロール31の配置の別例を示す。図9に示す例は、ロール31の数が4つ以上の場合の例である。被加工材料32を厚さ方向に挟んでピンチロール311B,312Bを配置し、一方のピンチロール312Bの両サイドに移動ロール311A,312Aを配置している。被加工材料32に対する押し込み量の調整は、移動ロール311A,312A及びピンチロール311B,312Bを移動方向510に動かすことによって行い、ピンチロール311B,312Bを回転方向520に回転させて被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させて曲げ加工する。被加工材料32の長手方向への移動は、1方向に続けて行っても良いし、往復させても良い。また、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動又は往復させる方法は、あくまでも一例であって、ロール31の回転力をロール31と被加工材料32間の摩擦力により伝える方法以外にも、被加工材料32の長手方向に力を付与する方法もある。さらに、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させるのに用いるロール31は、全ての曲げ加工用ロール31であっても良いし、曲げ加工用ロール31の内のいくつかであっても良い。
【0031】
図10に、本発明におけるコンベアの製造方法をロール曲げで実施するときのロール31の配置の更に別の例を示す。図10は、図9に示すロール31の数が4の場合のロール曲げにおいて、ロール31によって一方向にのみ被加工材料32を送る場合の例に相当する。図10に示す例では、図9に示していた移動ロール311A,312Aのどちらか一方の位置を固定とし、ガイドロール31Cの役割としている。被加工材料32を挟んで配置されているピンチロール311B,312Bによって、被加工材料32を上下から一定の圧力で押さえ、正しい方向に送られるように規制し、ガイドロール31Cでその材料の送りを支え、移動ロール31Aを移動方向510に動かすことによってロール曲げ加工をする。いずれのロール31も、回転方向520に回転させながら被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させて被加工材料32の加工を行う。このとき、ピンチロール311B,312Bのロール間隔や移動ロール31Aの移動方向510への移動量を変えることによりロール曲げの曲率を変えることができる。被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させる方法は、あくまでも一例であって、ロール31の回転力をロール31と被加工材料32間の摩擦力により伝える方法以外にも、被加工材料32の長手方向に力を付与する方法もある。さらに、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させるのに用いるロール31は、全ての曲げ加工用ロール31であっても良いし、曲げ加工用ロール31の内のいくつかであっても良い。
【0032】
次に、被加工材料32の角部の回転を外側から拘束する形状を持つロール31の例を図11を参照して説明する。図11には、本発明によるコンベアの製造方法において、ステップ走行レール5Cの周囲に配置されるピンチロール31Bのロール形状の一例が示されている。図11は、ステップ走行レール5Cの長手方向に対して垂直に交差する面で見た図であり、図にはピンチロール311Bと312Bのみを記載しているが、実際の加工には、図9に示すようにステップ走行レール5Cの長手方向前後に離れて配置された移動ロール311A,312Aも用いられている。被加工材料32の開口部17は、ピンチロール312B側を向いている。
【0033】
図11の(a)に図示したように、ピンチロール311Bと312Bは、その円柱状の外形部において、ステップ走行レール5Cのそれぞれの側を保持することになる部位に、曲げ加工用の溝を有する。この溝形状は、曲げ加工においてステップ走行レール5Cに発生する応力集中のうち、特に角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状となっている。即ち、ピンチロール312Bは、直線102の部分と直線103の部分とでステップ走行レール5Cの角部201を挟み込んでその変形を抑制し、直線103の部分と直線104の部分とでステップ走行レール5Cの角部202を挟み込んでその変形を抑制する。また、ピンチロール311Bは、直線105の部分と直線106の部分とでステップ走行レール5Cの角部203を挟み込んでその変形を抑制し、直線106の部分と直線107の部分でステップ走行レール5Cの角部204を挟み込んでその変形を抑制し、更に、直線107の部分と直線108の部分と直線101の部分とで、ステップ走行レール5CのL形の長辺の変形を抑制している。
【0034】
ピンチロール311Bと312Bの溝形状は、ステップ走行レール5Cの長辺と短辺の寸法と同じか若干大きい。このような形状とすることで、被加工材料32の内側から詰め物で拘束することなく、ロール31による外側からの拘束のみで、曲げ加工時の応力集中によって起こり易い捩れや面内のしわ、座屈などの発生を抑制する。
【0035】
図11の(b)には、開口部17がピンチロール312B側を向いている場合のロール形状(ピンチロール312B)の異なる例を図示する。図11の(a)で図示したロール31において、さらにステップ走行レール5Cの開口部17側に配置されたピンチロール312Bに、開口部閉じ抑制部材の一形態として、フランジ状の突起が設けられている。この突起は、ステップ走行レール5Cの開口部17に入り込み、ロール成形時に開口部17が閉じることを抑制する。このとき、ステップ走行レール5Cの開口部17が閉じることを抑制できる突起とは、図11において、直線111,115の部分とにより形成される溝の底部から突出する突起であって、直線112の部分と直線113の部分と直線114の部分とにより形成されている突起を指す。
【0036】
次に、図12を参照して、本発明によるコンベアの製造方法の別の実施の形態を説明する。図12には、被加工材料32の周囲に配置されるロール形状の異なる例を示す。図12は、ステップ走行レール5Cの長手方向に対して垂直に交差する面で見た図であり、図にはピンチロール311Bと312Bのみを記載しているが、実際の加工には移動ロール311A,312Aも用いている。図12において、開口部17は、移動ロール31Aの移動方向に対して垂直な方向を向いている。ピンチロール311Bと312Bは、その円柱状の外形部において、ステップ走行レール5Cのそれぞれの側を保持することになる部位に、曲げ加工用の溝を有している。この溝形状は、曲げ加工においてステップ走行レール5Cに発生する応力集中のうち、ステップ走行レール5Cの、特に角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状となっている。ピンチロール312Bの直線121の部分と直線122の部分とピンチロール311Bの直線123の部分とで、ステップ走行レール5Cの角部201を挟み込んでその変形を抑制し、ピンチロール311Bの直線123の部分と直線124の部分とでステップ走行レール5Cの角部202を挟み込んでその変形を抑制し、また、ピンチロール311Bの直線124の部分と直線125の部分とでステップ走行レール5Cの角部203を挟み込んでその変形を抑制し、ピンチロール311Bの直線125の部分と直線126の部分とでステップ走行レール5Cの角部204を支えてその変形を抑制し、更にピンチロール311Bの直線126の部分とピンチロール312Bの直線127の部分と直線121の部分とでL形状の長辺の変形を抑制している。
【0037】
次に、図13を参照して、本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態について説明をする。図13に示す例は、ステップ走行レール5Cの開口部17側から、別の開口部閉じ抑制部材としての治具33又はロール31を挿入する例であって、(a)は開口部閉じ抑制用治具33(以下、単に「治具33」と略す)を開口側から挿入する例を示す図であり、(b)は開口部閉じ抑制用ロール31E(以下、「第5ロール31E」と略す)を開口側から挿入する例を示す図である。これらの例に示すように、開口部17は、移動ロール31Aの移動方向に対して垂直な方向を向いている。ステップ走行レール5Cの開口部17側から第5ロール31E又は治具33を挿入することによって、ロール成形時に開口部17が閉じることを抑制している。この際、第5ロール31Eのロール径130又は治具33の直線131部分の長さはいずれも長手方向に垂直な方向の断面の開口部17の長さと同じか若干小さいことを特徴とする形状を持っている。第5ロール31Eがピンチロール311Bと312Bの回転軸に平行な回転軸で回転しながら開口部17が閉じることを抑制しているのに対し、治具33は一定位置に固定、又はステップ走行レール5Cの移動と同じ軌跡で移動しながら開口部17が閉じることを抑制している。
【0038】
次に、図14を参照して、本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態について説明をする。図14は、移動ロール31Aに当該移動ロール31Aの回転軸方向にテーパーを付けた例を示す斜視図である。図14には、移動ロール31Aにテーパーを付けた例を示すが、ピンチロール31Bに、若しくはピンチロール31Bと移動ロール31Aとの両方にテーパーを付けてもよい。ステップ走行レール5Cの断面形状が、L形であるように非対称であるため、曲げ加工時に発生する応力集中により、ステップ走行レール5Cがねじれる現象がある。図14は、ねじれ方向530の方向にねじれる場合に、移動ロール31Aに付けるテーパーの例を示しており、移動ロール31Aには、ステップ走行レール5Cがねじれる方向と逆の方向にステップ走行レール5Cに対して力が加わる形状となるように、回転軸方向にテーパーを付けているので、レール5Cの曲げ加工時に発生するねじれによる3次元的な変形を抑制することができる。このねじれる方向やそれに対するロール31に付与するテーパーの量や方向は、あくまでも一例であって、曲げ方向やロール形状、ロール31の数、治具33の使用有無等の条件により異なる。
また、図14は、図10のロール配置の場合においてテーパーを付与する例を示しているが、これはあくまでも一例であって、ロール31を3つ配置した場合や、4つ以上を別の配置方法で配置した場合においてもロール31にテーパーを付与してよい。更に、ステップ走行レール5Cに配置したロール31の内、いずれのロール31にテーパーを付与しても良く、1つ以上のロール31に付与しても良い。
【0039】
次に、図15を参照して、本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態について説明をする。図15はロール31が5個以上の場合の実施例を示す図であって、(a)はロール31が5個の場合の例を示しており、(b)はロール31が6個の場合の例を示している。このとき、(a)は片側がガイドロール31Cとなっており、(b)は両方とも移動ロール31A(311A,312A)となっている。いずれの場合も、移動ロール311Aの被加工材料32を挟んだ対面に、押さえロール31F(311F,312F)を配置することで、被加工材料32を両側から挟みこむようにし、回転方向520に回転させ、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させながら移動ロール31A及び押さえロール31Fを移動方向510に移動させることで加工している。このとき、押さえロール31Fの溝形状は、ピンチロール311Bと同じ場合と、異なる場合の両方が考えられる。このようにロール31を増やすことで、さらにねじれの発生抑制効果を向上させることが可能となる。被加工材料32の長手方向への移動は、1方向に続けて行っても良いし、往復させても良い。また、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動又は往復させる方法は、あくまでも一例であって、ロール31の回転力をロール31と被加工材料32間の摩擦力により伝える方法以外にも、被加工材料32の長手方向に力を付与する方法もある。さらに、被加工材料32を被加工材料32の長手方向に移動させるのに用いるロール31は、全ての曲げ加工用ロール31であっても良いし、曲げ加工用ロール31の内のいくつかであっても良い。
【0040】
以上のようなロール31につけた溝形状と、ロール31の3次元形状、ロール配置方法による外部からの拘束によって、従来、マンドレルや詰め物を用いて内側から拘束をしつつ成形をしたのに対して、内側からの拘束なしに座屈の抑制が可能となり、本発明によれば、取り付け性がよく、軽量で、かつ形状が高精度のコンベア用ステップ走行レール5Cを供えたコンベア1及びその製造方法を提供することができる。
【0041】
図16に、コンベア用ステップ走行レール5Cの開口部17側から治具33を挿入する場合の、更に別の実施例を示す。図16に示す例は、治具33を、コンベア用ステップ走行レール5Cの開口部に配置し、コンベア用ステップ走行レール5Cとともに曲げ加工を行う場合の治具33の例である。図16の(a)は、開口部17の長手方向全体にわたってコンベア用ステップ走行レール5Cと同程度の長手方向の長さを持つ一つの治具33を挿入する場合の例を示す図であって、(b)は、開口部17の長手方向全体にわたって、コンベア用ステップ走行レール5Cの長手方向の長さよりも短い長さを持つ複数の治具33を挿入する場合の例を示す図である。このような形態で治具33を用いることで、断面形状の変形を抑制するとともに、ねじれの抑制にも効果がある。(b)に示すように、複数の治具33を挿入する場合、治具33の間隔は、等間隔であってもよいし、特に変形量の大きい部分にたくさん配置してもよい。配置する治具33の数が多いほど断面変形抑制効果やねじれ抑制効果は向上するが、その分作業性は低下する。また、このような形態の治具33の材質は、弾性体あるいは弾塑性体を用いており、例えば合成樹脂、シリコン樹脂、合成ゴムなどの高分子材料や、バネ鋼、アルミニウム合金、銅合金などの金属材料である。合成樹脂の例としては、プラスチックがあげられ、例えば、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール、ABS樹脂、フッ素樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂などである。
【0042】
図17に、図16の(b)に示す治具33の一形態の例を示す。図17は、治具33の形状が、球又は円柱に溝を付けた場合の例を示しており、(a)は球に溝をつけた場合の例を図示しており、(b)は、円柱に溝をつけた場合を示す例である。治具33をこのような形状とすることで、曲げ加工を実施した際の治具33の形状変形が少ないため、繰り返し利用性が更に向上するため作業性が高くなる。このとき、(a)に示す形状とする場合、例えば高分子材料や金属材料で製作した球状の部材の表面を、当該(a)に示す形状となるように、球状部材に用いた材料よりも柔軟性のある、例えばゴムなどの材料で上から覆うことにより、更に取り外し性が向上する。また、(b)に示す形状とする場合、例えば高分子材料や金属材料で製作した円柱状の部材の表面を、当該(b)に示す形状となるように、円柱状部材に用いた材料よりも柔軟性のある、たとえばゴムなどの材料で上から覆うことにより、更に取り外し性が向上する。
【0043】
図18に、図16、図17に示す治具33の断面形状の例を示す。図18において、(a)は、開口部を両側から挟みこむことで、曲げ加工を行う際に治具33が外れることを防止した機能を持つ形状の例であり、(b)は、断面形状の寸法を開口部と同程度とすることで、取り外し性を向上させた形状の例であり、(c)は、断面形状にテーパーをつけることで、曲げ加工を行う際に治具33が外れることを防止する機能を向上させた形状の例である。治具33の断面形状の例としては、この他にも、これらの機能を組み合わせた形状が考えられ、例えば図18の(d)は、(a)と(b)の機能を組み合わせた形状の例である。また、図に示した配置は一例であって、例えば図18の(c)や(d)のような非対称形状の場合、上下逆に挿入する方法もある。更に、図18の(a)に示す断面形状とする場合、例えば高分子材料や金属材料で製作した図18の(b)に示す形状の部材の表面を、当該(a)に示す断面形状となるように、当該(b)に示す形状の部材に用いた材料よりも柔軟性のある、たとえばゴムなどの材料で上から覆うことにより、更に取り外し性が向上する。
【0044】
次に、図19を参照して、本発明によるコンベアの製造方法の更に別の実施の形態について説明をする。図19に示す例は、補助部材34を用いる例であって、図19の(a)は開口部17が移動ロール31Aの移動方向に対して垂直な方向を向いている場合の補助部材34の配置の例を示す図であって、同(b)は、開口部17がピンチロール312B側を向いている場合の補助部材34の配置の例を示す図である。図19に示すロール配置方法は一例であって、曲げ方向が逆の場合もある。このような補助部材34を用いることで、しわ発生抑制効果を向上させることができる。補助部材34は、コンベア用ステップ走行レール5Cの面のうち、いずれの面に沿わせて配置してもよいが、この例に示すように、補助部材34を、断面を見て直線15となる面に添わせると、特にしわ発生抑制効果が高い。また、補助部材34の材質は、弾性体あるいは弾塑性体を用いており、例えば合成樹脂、シリコン樹脂、合成ゴムなどの高分子材料や、バネ鋼、アルミニウム合金、銅合金などの金属材料である。合成樹脂の例としては、プラスチックがあげられ、例えば、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール、ABS樹脂、フッ素樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂などである。更に、このような補助部材34を用いることで、しわ発生抑制効果のほか、断面形状変形抑制効果、ねじれ抑制効果も向上できる。
【0045】
図20に、図19に示す補助部材34の断面形状の例を示す。図20において、(a)は、補助部材34の断面形状が四角形の場合を示す例であり、同(b)は、補助部材34の断面形状が三角形の場合を示す例であり、同(c)は、断面が円形または楕円形、正方形又は長方形の数本の棒を束ねた形状である場合を示す例である。図20に記載した断面形状の寸法は一例であって、その縦横比等は曲げ方向や補助部材34の材質により異なる。このとき、補助部材34の断面形状の寸法は、補助部材34を添わせている、コンベア用ステップ走行レール5Cの面の、長手方向に対して垂直となる断面の長さよりも長くても短くてもよいが、補助部材34の断面形状の寸法のうち、少なくとも1辺が、補助部材34を添わせているコンベア用ステップ走行レール5Cの面の、長手方向に対して垂直となる断面の長さと同程度の長さを有することにより、しわ発生抑制効果が高い。更に、補助部材34の角部にフィレットを付ける、または角を落とすことで、ステップ走行レール5Cに傷がつくことを防止できる。
【0046】
図21に、補助部材34を複数用いる場合の例を示す。図21に示した補助部材34すべてを同時に用いてもよいし、図21に示した補助部材34のうち、少なくとも1つ以上を図21に示した配置場所のいずれかの場所に配置して用いてもよく、その配置数や場所の組み合わせは曲げ方向や補助部材34の材質等により異なる。いずれの補助部材34も、図20に示した断面形状の内のいずれかの断面形状を有している。このように、補助部材34を複数用いることで、更に、しわ抑制効果を向上させることが可能となる。
【0047】
図22に、補助部材34を複数用いる場合の更に別の実施の形態を示す。図22の(a)は、開口部17がピンチロール312B側を向いている場合に補助部材34を2数用いる場合の配置例を示す図であり、同(b)は、(a)に示すように、隣り合って2枚の補助部材34を配置する場合に、2枚の補助部材34を一体形状とする場合の例を示す図である。このように、補助部材34を一体形状とすることで、更にしわ抑制効果を向上させること可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・・・・コンベア(エスカレーター)
2・・・・・・制御盤
3・・・・・・駆動ギヤ
4,41,42・・・・・・ステップ
5,5C,51,52,5A,5B・・・・・・ステップ走行レール
6,6A,6B・・・・・・ローラ
7・・・・・・L形の形鋼
8・・・・・・板金
12・・・・・・折曲げ部
14,15,16,18・・・・・・直線
17・・・・・・開口部
21・・・・・・フレーム
22・・・・・・ボルト
31,31A,31B,31C,31D,31F,311A,312A,311B,312B・・・・・・曲げ加工用ロール
31E・・・・・開口部閉じ抑制用ロール
31F,311F,312F・・・・・・押さえロール
32・・・・・・被加工材料
33・・・・・・開口部閉じ抑制用治具
34・・・・・・補助部材
101,102,103,104,105,106,107,108・・・・・・直線
111,112,113,114,115・・・・・・直線
121,122,123,124,125,126,127・・・・・・直線
130・・・・・・ロール径
131・・・・・・直線
201,202,203,204・・・・・・角部
510・・・・・・移動方向
520・・・・・・回転方向
530・・・・・・ねじれ方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人や物を運搬するステップと、前記ステップが走行するステップ走行レールと、前記ステップ走行レールを支えるフレームと、を備えたコンベアであって、
前記ステップ走行レールは前記ステップの走行方向に沿って直線部と曲線部とにより構成されており、
前記ステップ走行レールの前記曲線部がL型レールで構成されており、
前記L型レールの短辺と長辺の少なくとも一辺が中空構造に構成されており、
前記L型レールの前記中空構造を構成する壁面の一箇所に開口部が設けられていることを特徴とする、
コンベア。
【請求項2】
前記ステップは前記ステップ走行レールを走行するステップ用ローラを備えており、
前記ステップ走行レールは前記開口部において前記フレームと接続されており、
前記L型レールの前記短辺又は前記長辺の少なくとも一辺の上を前記ステップ用ローラが走ることを特徴とする、
請求項1に記載のコンベア。
【請求項3】
前記コンベアはエスカレーターもしくはオートラインであることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のコンベア。
【請求項4】
人や物を運搬するステップと、前記ステップが走行するステップ走行レールと、前記ステップ走行レールを支えるフレームと、を備えており、
前記ステップ走行レールは前記ステップの走行方向に沿って直線部と曲線部とにより構成されており、
前記ステップ走行レールの前記曲線部がL型レールで構成されており、
前記L型レールの短辺と長辺の少なくとも一辺が中空構造に構成されており、
前記L型レールの前記中空構造を構成する壁面の一箇所に開口部が設けられている、
コンベアの製造方法において、
前記ステップ走行レールの前記曲線部は少なくとも3つの曲げ加工用ロールを用いて製造され、
前記曲げ加工用ロールは、前記ステップ走行レールの長手方向に対して回転軸が垂直になるように配置された第1ロールと、前記第1ロールの回転軸と平行な回転軸を持っていて且つ前記第1ロールとの間に前記ステップ走行レールをその厚さ方向に挟んで配置された第2ロール及び第3ロールとであり、
前記第1ロールを、前記第2ロールと前記第3ロールの前記回転軸を結ぶ直線に対して垂直な方向に移動させ、
前記曲げ加工用ロールの回転と移動によって、前記ステップ走行レールを軸方向に送りながら曲げモーメントを付与し、
前記曲げ加工用ロールは一様な径の円柱状の外形を有するか、又は円柱状の外形部において前記ステップ走行レールを保持する部位に溝を有し、
前記溝は前記ステップ走行レールの各角部と接しており、
前記溝は接しているレールの角部と等しい角度を持ち、
前記溝形状は、前記ステップ走行レールの角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状であることを特徴とする、
コンベアの製造方法。
【請求項5】
前記ステップ走行レールの前記中空構造は内側の面と外側の面を持ち、
前記中空構造のうち外側の面のみを前記曲げ加工用ロールによって拘束することを特徴とする、
請求項4に記載のコンベアの製造方法。
【請求項6】
前記曲げ加工用ロールは、一様な径の円柱状の外形を有するか、前記曲げ加工用ロールの回転軸に平行にテーパーを有していることを特徴とする、
請求項4又は5に記載のコンベアの製造方法。
【請求項7】
前記ステップ走行レールは、板材を折り曲げて、又は押出し加工で形成することを特徴とする
請求項4〜6のいずれか一項に記載のコンベアの製造方法。
【請求項8】
前記曲げモーメントを付与して前記ステップ走行レールについて曲げ加工をする際に、前記ステップ走行レールの前記開口部の外側から前記開口部が閉じる変形をするのを抑制する開口部閉じ抑制部材を挿入し、
前記開口部閉じ抑制部材の挿入幅方向の外形寸法が、前記ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面における前記開口部の長さと同じか若干小さいことを特徴とする、 請求項4〜7のいずれか一項に記載のコンベアの製造方法。
【請求項9】
前記開口部閉じ抑制部材は、前記曲げ加工用ロールに設けられており且つ前記ステップ走行レールの前記開口部に入り込むフランジ状の突起であり、
前記開口部閉じ抑制部材の挿入幅方向の外形寸法は、前記曲げ加工用ロールの回転軸に平行な方向における前記フランジ状突起の幅であることを特徴とする、
請求項8に記載のコンベアの製造方法。
【請求項10】
前記開口部閉じ抑制部材は、開口部閉じ抑制用ロールであり、
前記開口部閉じ抑制用ロールのロール径が、前記ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面の開口部の長さと同じか若干小さいことを特徴とする、
請求項8に記載のコンベアの製造方法。
【請求項11】
前記開口部閉じ抑制部材は、開口部閉じ抑制用治具であり、
前記開口部閉じ抑制用の治具の外形寸法の内の、少なくとも一辺の長さが、前記ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面の開口部の長さと同じか若干小さいことを特徴とする、
請求項8に記載のコンベアの製造方法。
【請求項12】
前記開口部閉じ抑制用治具は、前記ステップ走行レールの前記開口部に少なくとも1つ以上配置し、
前記ステップ走行レールの移動の際に
前記ステップ走行レールとともに移動することを特徴とする、
請求項11に記載のコンベアの製造方法。
【請求項13】
前記開口部閉じ抑制用治具の材質が高分子材料であることを特徴とする、
請求項11又は12に記載のコンベアの製造方法。
【請求項14】
前記ステップ走行レールの、少なくとも1つの面の長手方向に沿って曲げ方向に補助部材を配置し、
前記補助部材の、長手方向の寸法が前記第1ロールと前記第2ロール間の距離及び前記第1ロールと前記第3ロール間の距離より長いことを特徴とする、
請求項4に記載のコンベアの製造方法
【請求項15】
前記補助部材の材質が高分子材料であることを特徴とする、
請求項4に記載のコンベアの製造方法
【請求項16】
前記補助部材の断面形状が四角形か、四角形の角を面取りまたはフィレットを付けた形状であることを特徴とする、
請求項14に記載のコンベアの製造方法。
【請求項17】
前記補助部材の断面形状内角がすべて90度であることを特徴とする、
請求項16に記載のコンベアの製造方法。
【請求項1】
人や物を運搬するステップと、前記ステップが走行するステップ走行レールと、前記ステップ走行レールを支えるフレームと、を備えたコンベアであって、
前記ステップ走行レールは前記ステップの走行方向に沿って直線部と曲線部とにより構成されており、
前記ステップ走行レールの前記曲線部がL型レールで構成されており、
前記L型レールの短辺と長辺の少なくとも一辺が中空構造に構成されており、
前記L型レールの前記中空構造を構成する壁面の一箇所に開口部が設けられていることを特徴とする、
コンベア。
【請求項2】
前記ステップは前記ステップ走行レールを走行するステップ用ローラを備えており、
前記ステップ走行レールは前記開口部において前記フレームと接続されており、
前記L型レールの前記短辺又は前記長辺の少なくとも一辺の上を前記ステップ用ローラが走ることを特徴とする、
請求項1に記載のコンベア。
【請求項3】
前記コンベアはエスカレーターもしくはオートラインであることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のコンベア。
【請求項4】
人や物を運搬するステップと、前記ステップが走行するステップ走行レールと、前記ステップ走行レールを支えるフレームと、を備えており、
前記ステップ走行レールは前記ステップの走行方向に沿って直線部と曲線部とにより構成されており、
前記ステップ走行レールの前記曲線部がL型レールで構成されており、
前記L型レールの短辺と長辺の少なくとも一辺が中空構造に構成されており、
前記L型レールの前記中空構造を構成する壁面の一箇所に開口部が設けられている、
コンベアの製造方法において、
前記ステップ走行レールの前記曲線部は少なくとも3つの曲げ加工用ロールを用いて製造され、
前記曲げ加工用ロールは、前記ステップ走行レールの長手方向に対して回転軸が垂直になるように配置された第1ロールと、前記第1ロールの回転軸と平行な回転軸を持っていて且つ前記第1ロールとの間に前記ステップ走行レールをその厚さ方向に挟んで配置された第2ロール及び第3ロールとであり、
前記第1ロールを、前記第2ロールと前記第3ロールの前記回転軸を結ぶ直線に対して垂直な方向に移動させ、
前記曲げ加工用ロールの回転と移動によって、前記ステップ走行レールを軸方向に送りながら曲げモーメントを付与し、
前記曲げ加工用ロールは一様な径の円柱状の外形を有するか、又は円柱状の外形部において前記ステップ走行レールを保持する部位に溝を有し、
前記溝は前記ステップ走行レールの各角部と接しており、
前記溝は接しているレールの角部と等しい角度を持ち、
前記溝形状は、前記ステップ走行レールの角部に発生する応力集中起因の変形を抑制する形状であることを特徴とする、
コンベアの製造方法。
【請求項5】
前記ステップ走行レールの前記中空構造は内側の面と外側の面を持ち、
前記中空構造のうち外側の面のみを前記曲げ加工用ロールによって拘束することを特徴とする、
請求項4に記載のコンベアの製造方法。
【請求項6】
前記曲げ加工用ロールは、一様な径の円柱状の外形を有するか、前記曲げ加工用ロールの回転軸に平行にテーパーを有していることを特徴とする、
請求項4又は5に記載のコンベアの製造方法。
【請求項7】
前記ステップ走行レールは、板材を折り曲げて、又は押出し加工で形成することを特徴とする
請求項4〜6のいずれか一項に記載のコンベアの製造方法。
【請求項8】
前記曲げモーメントを付与して前記ステップ走行レールについて曲げ加工をする際に、前記ステップ走行レールの前記開口部の外側から前記開口部が閉じる変形をするのを抑制する開口部閉じ抑制部材を挿入し、
前記開口部閉じ抑制部材の挿入幅方向の外形寸法が、前記ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面における前記開口部の長さと同じか若干小さいことを特徴とする、 請求項4〜7のいずれか一項に記載のコンベアの製造方法。
【請求項9】
前記開口部閉じ抑制部材は、前記曲げ加工用ロールに設けられており且つ前記ステップ走行レールの前記開口部に入り込むフランジ状の突起であり、
前記開口部閉じ抑制部材の挿入幅方向の外形寸法は、前記曲げ加工用ロールの回転軸に平行な方向における前記フランジ状突起の幅であることを特徴とする、
請求項8に記載のコンベアの製造方法。
【請求項10】
前記開口部閉じ抑制部材は、開口部閉じ抑制用ロールであり、
前記開口部閉じ抑制用ロールのロール径が、前記ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面の開口部の長さと同じか若干小さいことを特徴とする、
請求項8に記載のコンベアの製造方法。
【請求項11】
前記開口部閉じ抑制部材は、開口部閉じ抑制用治具であり、
前記開口部閉じ抑制用の治具の外形寸法の内の、少なくとも一辺の長さが、前記ステップ走行レールの長手方向に垂直な方向の断面の開口部の長さと同じか若干小さいことを特徴とする、
請求項8に記載のコンベアの製造方法。
【請求項12】
前記開口部閉じ抑制用治具は、前記ステップ走行レールの前記開口部に少なくとも1つ以上配置し、
前記ステップ走行レールの移動の際に
前記ステップ走行レールとともに移動することを特徴とする、
請求項11に記載のコンベアの製造方法。
【請求項13】
前記開口部閉じ抑制用治具の材質が高分子材料であることを特徴とする、
請求項11又は12に記載のコンベアの製造方法。
【請求項14】
前記ステップ走行レールの、少なくとも1つの面の長手方向に沿って曲げ方向に補助部材を配置し、
前記補助部材の、長手方向の寸法が前記第1ロールと前記第2ロール間の距離及び前記第1ロールと前記第3ロール間の距離より長いことを特徴とする、
請求項4に記載のコンベアの製造方法
【請求項15】
前記補助部材の材質が高分子材料であることを特徴とする、
請求項4に記載のコンベアの製造方法
【請求項16】
前記補助部材の断面形状が四角形か、四角形の角を面取りまたはフィレットを付けた形状であることを特徴とする、
請求項14に記載のコンベアの製造方法。
【請求項17】
前記補助部材の断面形状内角がすべて90度であることを特徴とする、
請求項16に記載のコンベアの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−20877(P2012−20877A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71436(P2011−71436)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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