説明

コンベア装置と被搬送物

【課題】 より幅広い物品に対応可能なコンベア装置と被搬送物を提供する。
【解決手段】 搬送路4の両側に沿って配設された複数の回転部材により被搬送物5を搬送するコンベア装置1であって、前記回転部材は前記被搬送物5の底面Sに形成されている溝部Mと接触するように設けられており、前記回転部材の形状は、前記被搬送物5を載置した際、前記回転部材の曲面、又は平面と曲面、又は複数の平面のいずれか一つが前記溝部Mに接触する形状であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンベア装置と被搬送物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、コンベア装置は、搬送路に沿って製品や部品等の物品を搬送するために用いられてきた。
【0003】
例えば、図5に示すように、コンベア装置101は、製品や部品等の物品が搭載されたパレット等の被搬送物102をローラ103により搬送する装置であり、被搬送物102は、テーパ形状のローラ103のテーパ面103aに支持されるように載せて搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−273539号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のコンベア装置101では、被搬送物102の角102aがローラ103と接触して摩擦を発生することにより、ローラ103が削られて塵や埃が発生してしまい、被搬送物102の製品や部品等に塵や埃が混入することや、摩擦電気により製品や部品等が帯電し、ショートする等の不具合を引き起こすことがあり、取り扱い可能な物品の制約があった。
【0006】
そこで本発明では、より幅広い物品に対応可能なコンベア装置と被搬送物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、実施形態のコンベア装置は、搬送路の両側に沿って配設された複数の回転部材により被搬送物を搬送するコンベア装置であって、回転部材は被搬送物の底面に形成されている溝部と接触するように設けられており、回転部材の形状は、被搬送物を載置した際、回転部材の曲面、又は平面と曲面、又は複数の平面のいずれか一つが溝部に接触する形状であることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るコンベア装置の上面図。
【図2】図1のA−A線に沿うコンベア装置の断面図。
【図3】図1のB−B線に沿うコンベア装置と被搬送物を載置した際の断面図。
【図4】本発明の他の実施形態に係るコンベア装置と被搬送物の断面図
【図5】従来のコンベア装置と被搬送物の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るより幅広い物品に対応可能なコンベア装置と被搬送物を、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
まず、本発明の実施形態に係るコンベア装置1について、図1乃至図3を参照して説明する。
【0011】
図1乃至図3に示すように、本実施形態におけるコンベア装置1は、回転部材である駆動ローラ2(駆動回転部材)及び従動ローラ3(従動回転部材)と、駆動機構Kとが設けられている。
【0012】
駆動ローラ2及び従動ローラ3は、搬送路4の両側に沿って複数個配設しており、後で説明する被搬送物5の底面Sと接することが可能に設けられている。
【0013】
また、駆動ローラ2は、シャフト6とベアリング7を介して機体8に支持され、駆動機構Kにより回転可能に設けられている。そして、従動ローラ3はシャフト6を介して機体8により支持され、駆動ローラ2の回転方向に回転可能にするために、シャフト6と若干の隙間を有するように設けられている。
【0014】
駆動ローラ2と従動ローラ3の形状は、外周が凸型の曲面を有する形状のものを用いている。また、材質としては、駆動ローラ2は、帯電防止樹脂、例えばウレタン樹脂等の摩擦電気の帯電を防止することが可能な樹脂が用いられ、従動ローラ3は、導電性の金属、例えばステンレス等の錆びない金属で、摩擦電気を本体8へと逃がすことが可能な金属を用いている。なお、従動ローラ3は導電性の金属だけでなく、駆動ローラ2と同様に帯電防止樹脂を用いても良いが、被搬送物5へ与える摩擦電気の影響をより低減するならば導電性の金属を用いることが望ましい。
【0015】
駆動機構Kは、駆動ローラ2が配設されている側に設けられており、駆動ローラ2を回転させる力を発生するモータ9と、モータ9の回転を伝達するための歯が設けられている第1プーリ10と、シャフト6を介して連結し、第1プーリ10から伝達された回転を受けるための歯が設けられている第2プーリ11と、第1プーリ10から伝達された回転を第2プーリ11へと伝達するために、歯が片面に設けられているベルト12と、ベルト12にテンションを与え、所定の間隔をおいて設けられた第1、第2アイドラ13,14から構成されている。
【0016】
第1プーリ10は、モータ9の回転軸であるモータシャフト6に連結して設けられており、無端ベルトであるベルト12の歯と噛合しながら回転を伝達している。そして、第1プーリ10と噛合したベルト12は、第1アイドラ13を介して、第2プーリ11へと回転を伝達する。また、ベルト12は、第2プーリ11の歯とベルト12の歯とが噛合するように、第2アイドラ14によってテンションを与えながら支持され、第2プーリ11と第2アイドラ14の間を通過して各第2プーリ11へ回転を伝達していく。その後、ベルト12は、再び第1アイドラ13を介して第1プーリ10と戻り、第1プーリ10と噛合して回転を伝達する。
【0017】
次に、被搬送物5について、図3を参照して説明する。
【0018】
図3に示すように、被搬送物5は、製品や部品等の物品が搭載されるパレットやラック等であり、コンベア装置1の駆動ローラ2及び従動ローラ3上に載置されるものである。また、被搬送物5の底面Sには、駆動ローラ2及び従動ローラ3の形状に対応した溝部Mが形成されており、溝部Mと駆動ローラ2及び従動ローラ3を位置合わせして載置される。
【0019】
溝部Mの形状は、本実施形態では、駆動ローラ2及び従動ローラ3の外周が凸型の曲面を有する形状であるため、曲面の半径(R)の2倍の半径(2R)に対応可能な溝部Mが形成されている。なお、溝部Mの形状はこれに限られず、1.5倍(1.5R)でもよく、被搬送物5の搬送する際に、駆動ローラ2及び従動ローラ3の曲面の半径(R)以上の大きさであり、蛇行を防ぐことが可能な程度の形状であれば良い。また、曲面形状だけでなく、平面と曲面を有する形状等、接触面Cに角が接触しなければどのような形状でもよい。
【0020】
これにより、駆動ローラ2及び従動ローラ3と被搬送物5の角の接触を防ぐことが出来、摩擦による塵や埃の発生を低減させることが出来る。
【0021】
以上、本実施形態によれば、コンベア装置1は、被搬送物5の底面Sに形成された溝部Mに接触するように駆動ローラ2及び従動ローラ3が設けられており、凸型の曲面を有している。そして、駆動ローラ2は帯電防止樹脂により形成され、従動ローラ3は導電性の金属又は帯電防止樹脂により形成されたものを使用している。また、被搬送物5の溝部Mは、駆動ローラ2及び従動ローラ3の凸型の曲面の半径以上の半径に対応して形成されている。
【0022】
このように、駆動ローラ2及び従動ローラ3と被搬送物5が接触する接触面Cに角を設けない構造にすることにより、摩擦による磨耗を低減させるため、塵や埃の発生を低減することが出来る。また、駆動ローラ2及び従動ローラ3を摩擦電気の発生を低減させる材質にしたことにより、被搬送物5に搭載された製品や部品がショートする等の不具合の発生を低減させる事が出来るため、より幅広い物品に対応可能となる。
【0023】
更に、被搬送物5の溝部Mは、被搬送物5の蛇行を防止しながら搬送することが可能な形状に形成しているため、蛇行を防ぎながら被搬送物5を搬送することが可能となる。
【0024】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変更して実施できることは勿論である。
【0025】
例えば、上記実施形態では、駆動ローラ2及び従動ローラ3の形状が、外周が凸型の曲面を有する形状で、被搬送物5は、溝部Mが凸型の曲面の半径(R)の2倍の半径(2R)の凸型の曲面に対応可能に形成されているものを用いているが、これに限られず駆動ローラ2及び従動ローラ3の形状が平面と曲面を有する形状や、複数の平面を有する形状であり、被搬送物5はそれぞれに対応した形状に形成されたものであってもよい。
【0026】
すなわち、図4(a)に示すように、駆動ローラ2及び従動ローラ3が、外周が凸型の平面と曲面を有する形状である場合、被搬送物5の溝部Mは、駆動ローラ2及び従動ローラ3の曲面の半径(R)の2倍の半径(2R)に対応可能な曲面と平面が形成された形状であってもよい。なお、溝部Mの曲面の半径はこれに限られず、1.5倍の半径(1.5R)でもよく、被搬送物5を搬送する際に発生する蛇行を防止することが可能な程度の形状であればどのような曲面でもよい。また、平面と曲面を有する形状だけでなく曲面形状等、接触面Cに角が接触しなければどの様な形状でもよい。
【0027】
また、図4(b)に示すように、駆動ローラ2及び従動ローラ3が、外周が凸型の複数の平面を有する形状である場合、被搬送物5の溝部Mは、駆動ローラ2及び従動ローラ3の平面に、溝部Mの平面が接触する形状でもよい。なお、駆動ローラ2及び従動ローラ3の平面に、溝部Mの曲面又は平面と曲面が接触するような形状等、接触面Cに角が接触しなければどのような形状でもよい。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1,101…コンベア装置
2…駆動ローラ
3…従動ローラ
4…搬送路
5,102…被搬送物
6…シャフト
7…ベアリング
8…機体
9…モータ
10…第1プーリ
11…第2プーリ
12…ベルト
13…第1アイドラ
14…第2アイドラ
102a…角
103…ローラ
103a…テーパ面
K…駆動機構
S…底面
M…溝
C…接触面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路の両側に沿って配設された複数の回転部材により被搬送物を搬送するコンベア装置であって、
前記回転部材は前記被搬送物の底面に形成されている溝部と接触するように設けられており、
前記回転部材の形状は、前記被搬送物を載置した際、前記回転部材の曲面、又は平面と曲面、又は複数の平面のいずれか一つが前記溝部に接触する形状であることを特徴としているコンベア装置。
【請求項2】
前記回転部材は、駆動機構により駆動する駆動回転部材と、前記駆動回転部材の回転方向に回転可能な従動回転部材であり、
前記駆動回転部材は摩擦により発生する電気の帯電を防ぐ帯電防止樹脂により形成されており、
前記従動回転部材は導電性の金属又は前記帯電防止樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1記載のコンベア装置。
【請求項3】
請求項1記載のコンベア装置により搬送される被搬送物であって、
前記被搬送物の前記底面には、前記回転部材に位置合わせされ溝部が形成され、
前記溝部の形状は、前記回転部材に載置した際、曲面、又は平面と曲面、又は複数の平面のいずれか一つに接触可能な形状であることを特徴としている被搬送物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−30904(P2012−30904A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169631(P2010−169631)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】