説明

コンベア装置のステップまたはプレート、およびコンベア装置

複数のステップ(2)またはプレートを有するコンベア装置(1)のためのステップチーク(20.1、20.2)であり、各々のステップ(2)またはプレートが、ステップ(2)またはプレートの踏み板部材(9)およびシーティング部材(14)に対して実質的に直角に位置する2つの横ステップチーク(20.1、20.2)を有する。ステップチーク(20.1、20.2)は、一部品の深絞りによる金属薄板からなり、金属薄板が、少なくとも部分的に周状のリム(26)と、金属薄板によって囲まれ、あるいは包囲されたステップソケット(32)とを備える三次元形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア装置のステップまたはプレートであって、特別なステップチークまたはチークを備える請求項1の冒頭部分に記載のステップまたはプレート、およびそのようなステップまたはプレートを備える請求項12に記載のコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の意味でのコンベア装置は、搬送装置とも称することができるが、エンドレスなコンベアを形成するように接続された複数の踏み板ユニット、または動く歩道のプレートを備えるエスカレータまたは動く歩道である。コンベア装置の使用者は、踏み板ユニットの踏面に立ち、あるいは踏み板ユニット上をコンベア装置の移動または前進と同じ移動方向に歩行する。
【0003】
エスカレータの場合には、踏み板ユニットが、エスカレータステップ(以下では、ステップと称する)を形成し、動く歩道の場合には、踏み板ユニットが、動く歩道プレート(以下では、プレートと称する)を形成する。エスカレータは、比較的大きな傾斜の角度で、階の全体など、より大きな高さの隔たりを橋渡しする。それに対し、動く歩道は、水平に移動またはわずかな傾き、一般にエスカレータよりも小さな傾斜の角度にて移動する。
【0004】
典型的には、このようなコンベア装置は、ステップチェーンまたはプレートチェーンとして構成された駆動系を備える。分かり易さのために、以下で駆動系のみに言及する。これらの駆動系は、ステップまたはプレートを搬送方向に移動させるべく駆動され、技術水準によれば、いわゆる案内ローラとの一様な間隔に設けられている。これらの案内ローラは、専用または所与の案内レールに沿って動き、あるいは転がる。コンベア装置の終端の領域において、駆動系は、案内ローラによって、偏向ホイール(例えば、チェーンホイール)の周囲を走行し、したがって方向の変更を果たす。案内ローラまたは転動ローラに代えて、摺動要素を使用することもできる。摺動要素または転がり要素(案内ローラまたはチェーンローラ)は、さらには上述のとおり、駆動系として機能するステップチェーンまたはプレートチェーンへと直接取り付けられる。
【0005】
摺動要素または転がり要素が取り付けられてなるステップチェーンまたはプレートチェーンに加えて、転動ローラと称され、別の案内レールに沿って転がるか、または動く2つのさらなるローラが、各々のステップまたはプレートに必要である。
【0006】
ステップまたはプレートは、本質的にきわめて安定かつねじりに対する剛性が高くなければならないため、これまでのところ、製造または鋳造が比較的複雑であり、さらには高価である。さらに、ステップまたはプレートを、頑丈、静穏、かつ滑らかな走行を保証するために、高い精度で製造しなければならない。ステップまたはプレートの基本的な構成要素は、重要な支持機能を有する横チークまたはステップチークである。これまでは、ステップチークまたはチークは、典型的にはアルミニウムで製作されており、このことが、実際に軽量であることにつながっているが、鋳造の金型またはダイカストの金型がきわめて高価であるため、高いコストがつきまとう。代案として、いくつかの異なる金属薄板部品ならびに種々の鋳造または成型部品をねじで一体化させたステップチークまたはチークが使用されている。これらのステップチークまたはチークは、通常は、アルミニウム製の(ステップ)チークの約2倍の重さである。
【0007】
特開2004/292106号公報が、横チークを有するコンベア装置のステップを記載している。これらのチークは、部分的に周状のフランジを有する三次元形状を有する。したがって、請求項1の冒頭部分の特徴は、この明細書から推測できる。図1と対照的に、この明細書の図7および図12において、横チークに、チーク穴と解釈することができる円を見て取ることができる。しかしながら、この円は、明細書において明示も、明確化もされていない。いずれにせよ、円の位置から見て、そこにチェーンピンアクスルが取り付けられる可能性はない。
【0008】
特開平01308388号公報、またはこれに相当する英国特許出願公開第2216825号明細書が、図1において、二次元の形態を有しており、周状の縁を備えずに構成されている横チークを有するステップを示している。厚い材料から形成されるこれらの横チークに、通常の方法でチェーンピンアクスルおよび転動ローラアクスルが取り付けられる。薄い金属薄板から形成され、部分的に周状の縁を有する横チークを、図18に見て取ることができる。しかしながら、これらの横チークは、チェーンピンアクスルまたは転動ローラアクスルの取り付けに機能することができる穴を有していない。これらのアクスルは、当然ながら、これらのチークに接続されなければならないより安定な構成部品に取り付けられる。
【0009】
旧東独特許第DD69443号明細書は、横チークが前部に一体に接続されているエスカレータのステップに関する。次いで、前部がライザ部材によって覆われる。ステップを覆う踏み板部材が、ライザ部材の反対側でステップを閉じるアングル部分を有する。その場合、前部およびチークが平坦な構成であり、アングルを受け入れるための穴も設けられない。ここでも、おそらくは、アクスルが、チークに接続されなければならないより安定な構成部品に取り付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特にコンベア装置のより経済的な初期の設置のために、走行の滑らかさ、走行特性、安定性、頑丈さ、信頼性、および耐久性を損なうことなく、ステップおよびプレートをより有利な構成要素によって置き換える要請が存在している。さらには、製造プロセスを簡素化および迅速化しなければならない。
【0011】
したがって、本発明の目的は、
冒頭で述べた種類のステップまたはプレートのためのステップチークまたはチークであって、より経済的でありながら、それでもなお、すべての需要プロフィールを満足し、静穏かつ滑らかな走行を可能にし、故障が少なく、長い稼働時間または寿命を保証し、さらには現在のアルミニウム製の(ステップ)チークよりも大幅には重くないステップチークまたはチークを生み出すことにあり、
冒頭で述べた種類のコンベア装置であって、静穏かつ滑らかな走行を可能にし、故障が少なく、長い寿命または稼働時間を保証するより経済的なコンベア装置を生み出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この目的が、請求項1の特徴および請求項12の特徴によって満足される。
【0013】
本発明によれば、ステップチークまたはチークが、複数のステップまたはプレートを有するコンベア装置における使用に合わせて特別に設計され、そこでは各々のステップまたはプレートが、踏み板部材または踏面、さらに、ステップの場合には、ライザ部材、ライザ面、またはライザ段に対して実質的に直角に位置する2つの横ステップチークまたはチークを有する。当然ながら、中央のステップチークまたはチークを、2つの横ステップチークまたはチークの間にさらに設けることができる。ステップチークまたはチークは、一体の深絞り金属薄板で構成され、金属薄板が、少なくとも部分的に周状のフランジを備える三次元の形態を有する。さらに、ステップチークまたはチークは、深絞りによって形成されたステップ穴またはプレート穴を有する。さらに、ステップチークまたはチークのステップ穴またはプレート穴が、金属薄板、鋼板、またはステンレス鋼板によって囲まれ、あるいは包囲されている。ステップチークまたはチークは、ステップ穴またはプレート穴によって、チェーンまたはコンベアチェーンのチェーンピンアクスルを備える。
【0014】
本発明による搬送装置は、この種類の少なくとも1つのステップまたはプレートを有する。
【0015】
意外にも、本発明の技術的範囲において、深絞りによる穴が、チェーンピンアクスルのための軸受を直接収容することができるように充分に安定であることが発見された。したがって、当然ながら製造がきわめて大幅に簡単化され、それでもなお、ステップチークまたはチークを深絞りによって一部品から製造することができる。すべての駆動力がこれらのチェーンピンアクスルによって伝達されることに鑑みれば、これは決して自明なことではない。所与の場合においては、穴をエッジプレートによって補強することが可能であるが、これでも依然として、アクスルを追加の安定な、したがって重い構成部品(後にチークに固定に接続しなければならない)に取り付けるよりも大幅に単純である。
【0016】
これが、チェーンピンアクスルがチェーンピン差し込みアクスルである場合や、チェーンピンアクスルがエスカレータまたは動く歩道の全幅にわたって連続的ではない場合でも可能であることが、特に驚くべき点である。この場合、特に、推進力だけでなく、かなり大きいねじり力もチークの穴に作用するにもかかわらず、チークの穴は明らかに2つの駆動系の中に位置する。
【0017】
本発明によるステップチークまたはチークの好ましい発展およびコンベア装置が、従属請求項によって定められる。特に、さらに転動ローラアクスルを同様な方法で固定することが、当然ながら有利であることに触れておかなければならない。
【0018】
以下で、本発明を、図面を参照しつつ、例により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】エスカレータの形態のコンベア装置を、部分断面の側面図にて示している。
【図2】請求項1によるコンベア装置の部分領域Aを、拡大図にて示している。
【図3A】本発明による2つのステップチークを備えるステップの全体の下方からの斜視図を示している。
【図3B】本発明による2つのステップチークを備えるステップの支持体の上方からの斜視図を示している。
【図4A】本発明によるステップチークの内側からの斜視図を示している。
【図4B】本発明によるステップチークの外側からの斜視図を示している。
【図5A】本発明によるステップチークの深絞りされた金属薄板の内側からの側面図を示している。
【図5B】本発明によるステップチークの深絞りされた金属薄板の外側からの側面図を示している。
【図5C】本発明によるステップチークの深絞りされた金属薄板の内側からの斜視図を示しており、ステップチークの構成要素が溶接によって取り付けられた後の図である。
【図5D】本発明によるステップチークの深絞りされた金属薄板の内側からの拡大斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示されているコンベア装置1は、下方階E1を上方階E2に接続するエスカレータである。コンベア装置1は、側方の欄干4およびベース板3と、駆動系を有するエンドレスコンベアとを備える。典型的には、ステップ2を動かすために、チェーンローラを備え、互いに平行に延びている2つのコンベアチェーンまたはステップチェーンが、駆動系として使用される。
【0021】
さらに、エンドレスな手すり10が設けられている。手すり10は、駆動系またはチェーン系ならびにステップ2またはプレートに対して、固定の関係またはわずかなリードにて移動する。支持構造またはシャシが、参照番号7によって指し示されており、コンベア装置1のベース板が、参照番号3で指し示されている。
【0022】
コンベア装置1のエンドレスコンベアは、実質的には、複数の踏み板ユニット(ステップ2)および側方に配置された2つの駆動系またはステップチェーンを備えており、ステップ2が、2つの駆動系の間に配置され、2つの駆動系によって機械的に接続されている。加えて、エンドレスコンベアは、駆動部(図示せず)ならびにコンベア装置1の上端領域および下端領域にそれぞれ配置された上側偏向手段12および下側偏向手段13をさらに備える。ステップ2は、踏み板部材9(踏面)を有する。
【0023】
図1に示されているとおり、ステップ2は、下方階E1の領域に配置された下側偏向手段13から、上方階E2の領域に配置された上側偏向手段12まで、斜めに上方へと延びている。この下側偏向手段13から上側偏向手段12へとつながる領域もまた、この領域においてステップ2の踏面9が上を向き、したがって人々を受け入れて運ぶことができるため、以下ではコンベア装置1の搬送領域または前進走行領域と称される。上側偏向手段12から下側偏向手段13へのステップ2の戻りの案内は、ここで戻り走行領域11と称される戻り案内領域において行われる。この戻り走行領域11は、上述の前進走行領域の下方に配置される。戻りの案内の最中、すなわち戻り走行領域11において、ステップ2は、踏面9を下にしてぶら下がる。
【0024】
図2にさらに詳しく示されている本発明の実施形態の第1の形態によれば、今や通常のステップチークの代わりに、転動ローラまたは案内ローラ6が取り付けられた深絞りによるステップチーク20を備えるステップ2が使用される。これらのローラ6は、それぞれのステップチーク20に機械的に接続され、図2に見て取ることができるとおり、コンベア装置1のエンドレスコンベアが動いているとき、前進走行領域において、第1の案内レール5.1に沿って走行または回転するように構成されている。これに関連して、第1の案内レール5.1は、その機能を強調するために、前進走行案内レールとも称される。チェーンローラ(図2には示されていない)が配置されてなるステップチェーンの経路または位置が、図2においては、単に線8によって示されている。
【0025】
次に、本発明のさらなる詳細および仕様を、続く図に関して説明する。本発明による2つのステップチーク20.1、20.2を備えるステップ2の全体の斜視図が、図3Aに示されている。走行方向について見た場合、ステップ2が階E1から階E2へと移動するとき、ステップチーク20.1が、踏み板部材9の右側に位置し、ステップチーク20.2が、踏み板部材9の左側に位置する。各々のステップチーク20.1、20.2が、転動ローラ6.1、6.2ならびにチェーンアクスル21.1、21.2を有する。少なくとも1つの中央凹所29、または通路が、ステップチーク20.1または20.2に存在している。さらに、各々のステップチーク20.1または20.2は、深絞りの際に形成された金属薄板製のフランジ26、金属薄板製のカラー、金属薄板製の壁、または金属薄板製のエッジを有する。この金属薄板製のフランジ26は、ステップチーク20.1およびステップチーク20.2の表面に対して実質的に垂直に延びている。金属薄板製のフランジ26は、必ずしもステップチーク20.1または20.2の全体を巡って延びている必要はない。部分的にのみ存在しても、あるいは一部分にのみ存在してもよい。周状の金属薄板製のフランジ26を、図4Bおよび図5Dに明確に見て取ることができる。
【0026】
ステップ2の支持体のさらなる詳細を、図3Aに見て取ることができる。支持体が、例えば上述のステップチーク20.1および20.2の他に、後部横部材22、前部横部材24、および中央縦部材23(中間部材または中央部材)をさらに備える。これらの部材22、23、24も、深絞りされた金属薄板で製作することができる。部材およびステップチークが協働して、ステップの支持体、あるいはいわゆる支持構造または支持フレームを形成している。
【0027】
踏み板部材9およびライザ部材14が、支持体に取り付けられる。
【0028】
支持体または支持構造のさらなる詳細を、図3Bに見て取ることができる。部材22、23、24およびステップチーク20.1、20.2は、溶接され、リベットで取り付けられ、接続され、ねじで締結され、接着され、あるいはクリンチされる。好ましくは、スポット溶接が、これらの部材を互いに接続するために行われる。本発明のもう1つの利点が、ここで明らかである。ステップチーク20.1、20.2が、金属薄板、鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛シート、または銅板で製作されるため、問題なく別の金属薄板部材(例えば、部材22、24、またはエッジプレート27、34)へと溶接でき、リベットで取り付けでき、接続でき、ねじで締結でき、接着でき、あるいはクリンチできる。これに対し、アルミニウム部材の溶接は、高価につき、複雑であり、時間もかかる。
【0029】
左側のステップチーク20.2のさらなる詳細を、図4Aおよび図4Bに見て取ることができる。ステップチーク20.2に、すべての構成要素が「装着」され、ステップチーク20.2を、ステップ支持体において図示の形態に所定位置に組み込みまたは溶接可能である。チェーンピンアクスル21.2またはチェーンローラアクスル21.2が、ステップ穴32(チェーンピン穴とも称される)の領域に、所定位置に挿入または差し込みされていることを、見て取ることができる。摺動軸受ブシュ(図では見て取ることができない)を、チェーンピンアクスル21.2を受け入れるためにステップ穴32へと圧入してもよい。チェーンピンアクスルまたはチェーンローラアクスル21.2は、好ましくは差し込みアクスルである。差し込みアクスルを、目盛り付きの収容穴を備えて構成することができる。チェーンローラアクスルまたはチェーンピンアクスルは、ステップまたはプレートの引っ張り部として機能し、あるいはステップまたはプレートのチェーンまたはコンベアチェーン(図示せず)への結合部として機能する。
【0030】
ステップ穴32は、その全体が、深絞りによる金属薄板、鋼板、またはステンレス鋼板によって画定されている。ステップ穴は、金属薄板から深絞りプロセスによって完全、正確、かつ完璧に構成されている。追加の構成部品は、不要である。さらに、ステップチークのステップ穴は、金属薄板によって囲まれ、あるいは包囲されている。
【0031】
さらに、ステップチーク20.2は、転動ローラ穴30を有する。ここでもやはり、転動ローラアクスル25またはローラピンを受け入れるために、摺動軸受ブシュを、所定位置に圧入することができる(図では見て取ることができない)。転動ローラアクスル25またはローラピンを、ナットによって固定でき、所定位置に溶接でき、あるいは溶接の継ぎ目によって固定することができる。転動ローラアクスル25またはローラピンは、好ましくは差し込みアクスルまたは差し込みピンである。転動ローラアクスル25またはローラピンは、転動ローラ6.2のためのアクスルとして機能する。
【0032】
例えば図5Dに見て取ることができるとおり、転動ローラ穴30も、好ましくは、その全体が深絞りによる金属薄板によって画定されており、あるいはその全体が、金属薄板によって囲まれ、あるいは包まれている。
【0033】
転動ローラ穴30の領域において、ステップチーク20.2を、閉じプレート27によって内側から補強でき、支持でき、あるいは覆うことができる。この閉じプレート27(第1の閉じプレートとも称される)を、深絞りによって生じる空洞、中空部、中空ウェブ、またはステップ(チーク)ポストにおいて所定位置に溶接することができる。同様の第2の閉じプレート34を、ステップ穴32の領域に設けることができる(図4Aを参照)。第2の閉じプレート34を、追加の軸受収容部として構成または形成することができる。
【0034】
本発明によるステップチーク20.2のさらなる詳細または仕様が、図5Aから図5Dに示されている。見て取ることができるとおり、深絞りされた金属薄板に、凹所29または通路が設けられている。この凹所は、好ましくは、深絞りの後で、金属薄板の切断または打ち抜きによって製造される。さらに、上述の穴30および32を、深絞りによる周状の金属薄板カラー31または33を受け取る前に、あらかじめ打ち抜くことができる。いわゆる穴30および32は、好ましくは、深絞りの後で、切断、トリミング、または穴開けによって製造される。深絞り後の加工は、一様なカラーの厚さという利点を有する。このことは、穴(複数を含む)が一様な支え、軸受支え、軸受長さ、軸受深さ、または軸受幅と、一様な壁サイズまたは肉厚と、正確な中心性とを有することを意味する。周状の金属薄板カラー31および33は、それぞれのアクスル21.2および21.1、ピン25、または転動ローラアクスルのための摺動ブシュ(複数を含む)の安定な設置を容易にする。
【0035】
さらに、追加の成形部分28および追加の波形28が存在することで、充分な安定性がステップチークに付与される。金属薄板のフランジ26も、薄い深絞りされた金属薄板に、きわめて高い安定性またはきわめて実質的な安定性を付与する。
【0036】
好ましくは、H380またはH400という深絞り金属薄板または金属薄板が使用され、380および400という数字は、N/mmの単位で降伏点を示している。これらの金属薄板は、少なくとも900N/mmという引っ張り降伏点が与えられるため、特に適している。そのうえに、金属薄板が少なくとも1100N/mmという引っ張り降伏点を有する場合、特に有利である。
【0037】
好ましく使用される深絞り金属薄板は、0.9ミリメートルから1.9ミリメートルの間の厚さを有する。1.5から1.8ミリメートルの厚さが、特に好ましい。
【0038】
深絞り金属薄板が、上記の仕様に対応して選択される場合、ステップチークまたはステップ(複数を含む)は、エスカレータおよび動く歩道の建設および設置についての安全規則である規格EN 115、ならびにエレベータおよびエスカレータについての安全規定であるAN(米国国内規格)ASME A17.1−2004のすべての荷重試験を満足する。
【0039】
深絞り金属薄板は、好ましくは表面のコーティングを有する。浸漬によって生成される表面コーティングが、特に好ましい。
【0040】
電解浸漬コーティング(EDC)が、特に適している。
【0041】
EDCの結果は、深絞り金属薄板の一様な層厚さおよび良好な表面品質での極めて一様なコーティングである。EDC処理の後で、深絞り金属薄板は、一様かつ連続的なコーティング層を有する。きわめて良好な結果が、EDC処理が金属薄板の深絞りの後に使用される場合にもたらされる。
【0042】
深絞りに先立ってEDC処理を使用することも考えられる。さらには、(あらかじめ)亜鉛めっきした金属薄板、ステンレス鋼板、または銅板とともに使用または利用することも可能である。
【0043】
上述のように、本発明は、エスカレータおよび動く歩道に使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア装置(1)のステップまたはプレートであって、各々のステップ(2)またはプレートが、ステップ(2)の踏み板部材(9)およびライザ部材(14)あるいはプレートの踏み板部材に実質的に垂直な2つの横ステップチークまたはチーク(20.1、20.2)を有しており、ステップチークまたはチーク(20.1、20.2)が、一体の深絞り金属薄板で構成され、金属薄板が、少なくとも部分的に周状のフランジ(26)を備える三次元の形態を有しており、ステップチークまたはチーク(20.1、20.2)が、チェーンまたはコンベアチェーンのチェーンピンアクスル(21.1、21.2)を備えており、ステップチークまたはチーク(20.1、20.2)が、チェーンピンアクスル(21.1、21.2)のための少なくとも1つの深絞りによるステップ穴(32)またはプレート穴を有しており、ステップ穴(32)またはプレート穴が金属薄板によって囲まれ、あるいは包囲されていることを特徴とする、ステップまたはプレート。
【請求項2】
チェーンピンアクスル(21.1、21.2)が、チェーンピン差し込みアクスルであることを特徴とする、請求項1に記載のステップまたはプレート。
【請求項3】
チェーンピンアクスル(21.1、21.2)が、エスカレータまたは動く歩道の全幅にわたって連続的ではないことを特徴とする、請求項1または2に記載のステップまたはプレート。
【請求項4】
周状の金属薄板カラー(33)が、ステップ穴(32)またはプレート穴の領域において金属薄板に存在していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のステップまたはプレート。
【請求項5】
少なくとも1つの転動ローラアクスル(25)および少なくとも1つの転動ローラ(6.1、6.2)を備えており、転動ローラアクスル(25)が、少なくとも1つの転動ローラ穴(30)に挿入され、転動ローラアクスル(25)が、好ましくは成型による部品または旋削による部品であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のステップまたはプレート。
【請求項6】
周状の金属薄板カラー(31)が、転動ローラ穴(30)の領域において金属薄板に存在していることを特徴とする、請求項5に記載のステップまたはプレート。
【請求項7】
少なくとも1つのエッジプレート(27、34)が、溶接の継ぎ目、溶接点、クリンチ点、接着面、セルフタップねじ、FDS(フローホールフォーミング)ねじ、またはドリル端ねじによって金属薄板へと取り付けられ、エッジプレート(27、34)が、金属薄板の一領域と協働して、少なくとも1つのアクスル(21.1、21.2、25)の受け入れ領域を囲んでいることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のステップまたはプレート。
【請求項8】
深絞りされた金属薄板、特にH380またはH400の(薄い)鋼板が関係することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のステップまたはプレート。
【請求項9】
金属薄板が、表面のコーティングを有しており、好ましくは電解浸漬コーティング、あらかじめの亜鉛めっき、または溶融亜鉛めっきによって生成された表面のコーティングを有しており、あるいはステンレス鋼または銅で構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のステップまたはプレート。
【請求項10】
金属薄板が、1.0ミリメートルから1.9ミリメートルの間の厚さを有し、好ましくは1.5から1.8ミリメートルの間の厚さを有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のステップまたはプレート。
【請求項11】
金属薄板が、少なくとも1つの波形(28)および/または少なくとも1つの通路(29)を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のステップまたはプレート。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のステップ(2)またはプレートを少なくとも1つ備えるコンベア装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【公表番号】特表2010−540378(P2010−540378A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527419(P2010−527419)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062968
【国際公開番号】WO2009/047145
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】