説明

コーティングされた基体の製造

本発明は、次の工程:a)基体を準備する工程、b)前記基体の少なくとも1つの表面上に組成物を施与する工程、前記組成物は、一般式(Z1)Si(OR3)のシラン[ここでZ1はOR又はGly(Gly=3−グリシジルオキシプロピル)であり、かつRは炭素原子1〜6個を有するアルキル基であり、かつ全てのRは同じか又は異なっていてよい]、不活性溶剤及び開始剤を含有し、その際に不活性溶剤は、工程c)の乾燥条件下で工程c)の乾燥温度を50℃上回る又は下回る範囲内である沸点を有し、かつ不活性溶剤の沸点は工程c)の乾燥条件下に少なくとも80℃である、及びc)工程b)において施与された組成物を100℃〜250℃の乾燥温度で乾燥させる工程を含む、基体をコーティングする方法並びに並びに前記の方法を用いて得ることができるコーティングされた基体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体をコーティングする方法並びに前記の方法を用いて得ることができるコーティングされた基体に関する。
【0002】
技術水準において、基体の表面特性をコーティングによって変化させるかもしくは改善するという需要が存在する。特に、コーティングによって、硬さ又は攻撃的な物質に対する耐性が改善されることができる。そのような表面処理の考慮の対象になる基体は、極めて多面的でありうる。一方では、建築材料、例えば石又はタイルの場合に、汚染傾向を防止するという需要が存在する。他方では、攻撃的な物質、例えば化学薬品に対する高められた耐性が達成されるべきであることも考えられる。そのような原料の汚染傾向をコーティングによって回避するという努力も存在する。
【0003】
他方では、織物及びメリヤスの分野では、表面特性をコーティングによって改善する可能性も存在する。このことは特に、例えば結合の安定性が母体となる基体によって保証される場合であるが、しかしながら攻撃的な物質に対する耐性又はしかし母体となる基体の汚染傾向は低い。
【0004】
コーティングを塗布する一可能性は、いわゆるゾル−ゲル法である。この場合に、基体上へ組成物が施与され、この組成物はその後に硬化し、ひいては安定な結合を形成する。特に、公知のゾル−ゲル法の場合に、硬化の際に、使用された溶剤がコーティングから、コーティングの硬化もしくは架橋を達成するために除去されなければならないという問題がある。硬化の際に行われる化学的及び物理的なプロセスに基づいて、生じた層は、割れをまねきうる構造欠陥を有する。
【0005】
このことは問題がある、それというのも、通常、使用されるゾル−ゲルコーティングはほんの100nmの厚さに過ぎないからである。硬化反応及び架橋反応に基づいて生じる、生じた層内部の多孔性は、その後にしばしば割れをまねく。これらの生じた割れ及び細孔は、目的を持った焼結、すなわち熱処理によって、減少されることができる。しかしながら、より大きい層厚の場合に、一度生じた割れが、さらなる熱処理によって、もはや取り除かれることができないという問題が生じる。より厚い層を製造する場合に、多重コーティングを施与することが故に必要である。割れの発生に積極的な影響を及ぼす一可能性は、米国特許(US)第5,076,980号明細書に、適した乾燥条件が、コーティングされた基体が乾燥する温度に関してだけでなく、相対空気湿度に関しても見出されたことが開示されている。
【0006】
本発明の基礎となる技術的課題は、割れが生じることなく大きい層厚が達成されることができる、基体をゾル−ゲルコーティングを用いてコーティングする方法を提供することであり、その際に多重コーティングの施与は回避されるべきである。本発明のさらなる課題は、コーティングされた基体を提供することであって、ゾル−ゲル法を用いて施与されたこのコーティングは割れがない。
【0007】
本発明の技術的課題は、次の工程を含む、基体をコーティングする方法によって解決される:
a)基体を準備する工程、
b)前記基体の少なくとも1つの表面上に組成物を施与する工程、前記組成物は、一般式(Z1)Si(OR3)のシラン[ここでZ1はOR又はGly(Gly=3−グリシジルオキシプロピル)であり、かつRは炭素原子1〜6個を有するアルキル基であり、かつ全てのRは同じか又は異なっていてよい]、不活性溶剤及び開始剤を含有し、その際に不活性溶剤は、工程c)の乾燥条件下で工程c)の乾燥温度を50℃上回る又は下回る範囲内である沸点を有し、かつ不活性溶剤の沸点は工程c)の乾燥条件下に少なくとも80℃である、及び
c)工程b)において施与された組成物を100℃〜250℃の乾燥温度で乾燥させる工程。
【0008】
本発明の方法は、特殊な基体に限定されていない。基体は、開気孔並びに閉気孔であってよい。基体は、工程c)の選択された乾燥温度で、変化を示さないべきである、すなわち、これらの乾燥温度で熱安定であるべきである。
【0009】
基体は、開気孔又は閉気孔の基体であってよい。特に、基体が、織物、メリヤス、フィルム、タイル、石又は金属基体でありうることが考えられる。
【0010】
好ましい一実施態様において、工程b)の組成物は、一般式(Z2zSi(OR)4-zで示される第二のシランを含有し、ここでRは炭素原子1〜6個を有するアルキル基であり、かつZ2はHabnであり、ここでa及びbは整数であり、全てのRは同じか又は異なっていてよく、a+b=1+2nであり、z=1又は2であり、かつnは1〜16であり、又はZ1がGlyである場合には、Z2はz=1でAm(Am=3−アミノプロピル)である。
【0011】
好ましくは、工程b)の組成物中に、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン及び/又は3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランがシランとして及び/又は3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び/又は3−アミノプロピルトリエトキシシランが第二のシランとして含まれている。
【0012】
さらに好ましくは、工程b)の組成物中に、シランとしてテトラエトキシシランが、及び第二のシランとして式(HabnzSi(OR)4-zのシランが含まれており、ここでa及びbは整数であり、a+b=1+2nであり、zは1又は2であり、nは1〜16であり、かつ全てのRは同じか又は異なっていてよく、その際に好ましくは全てのRは同じであり、かつ炭素原子1〜6個を有する。
【0013】
好ましくは、工程b)の組成物中に、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及び/又はヘキサデシルトリメトキシシランがシランとして及び/又は3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランが第二のシランとして含まれている。
【0014】
不活性溶剤として、相応する沸点を有する各々の溶剤が使用されることができる。不活性溶剤は、好ましい一実施態様において、工程b)の組成物の別の成分と本質的に反応しない。むしろ、意外なことに、不活性溶剤によって、均質で細孔及び割れのない表面が基体上に製造される。工程c)の選択された乾燥温度で、不活性溶剤は、コーティングから蒸発する。不活性溶剤の蒸発によって、工程b)の硬化性及び架橋性の組成物のたわみ性がより長く保証されるので、まず最初に堅固な構造が形成され、かつ堅固な構造の形成後にはじめて不活性溶剤が完全に蒸発することが推測される。
【0015】
好ましい一実施態様において、不活性溶剤は、工程c)の乾燥条件下で、工程c)の乾燥温度を40℃上回る又は下回る範囲内、さらに好ましくは工程c)の乾燥温度を30℃上回る又は下回る範囲内、さらに好ましくは工程c)の乾燥温度を20℃上回る又は下回る範囲内の沸点を有し、かつ最も好ましくは不活性溶剤の沸点は、工程c)の乾燥温度を10℃上回る又は下回る範囲内である。好ましくは、不活性溶剤の沸点は、工程c)の乾燥条件下で、工程c)の乾燥温度とほぼ同一である。
【0016】
不活性溶剤として、多種多様な不活性溶剤が使用されることができる。不活性溶剤は、工程c)の乾燥温度に依存して選択されることができる。好ましい一実施態様において、不活性溶剤は、アルコール、ホルムアミド、ケトン、エーテル及びそれらの混合物の群から選択される。さらに好ましい一実施態様において、不活性溶剤は水ではない。
【0017】
工程b)の組成物中の不活性溶剤の量はさらに限定されていない。好ましい一実施態様において、工程b)の組成物のシランの全物質量を基準として、不活性溶剤0.1〜200mol%が含まれている。さらに好ましい一実施態様において、不活性溶剤0.2〜160mol%、さらに好ましくは0.5〜150mol%及び最も好ましくは1.0〜100mol%が、工程b)の組成物中に含まれている。
【0018】
好ましくは、不活性溶剤は、工程c)の乾燥条件下に、少なくとも90℃、さらに好ましくは少なくとも100℃、特に少なくとも110℃及び最も好ましくは少なくとも120℃の沸点を有する。
【0019】
工程b)の組成物中に、さらに、開始剤が含まれている。開始剤は、好ましい一実施態様において、酸又は塩基であり、好ましくは水性の酸又は塩基である。
【0020】
酸が開始剤として使用される場合には、得られるゾルが2〜6の計算上のpH値を有するような量の酸が好ましくは使用される。塩基が開始剤として使用される場合には、得られるゾルが8〜11の計算上のpH値を有するような量の塩基が好ましくは使用される。水性の塩基もしくは酸の添加は、混合物の製造の際の水対式(Z11Si(OR)3の化合物、特にGlySi(OR)3のモル比が、100,000:1〜10:1、好ましくは1,000:1〜100:1であるように、好ましくは行われる。
【0021】
工程b)の組成物中に、好ましい一実施態様において、好ましくは不活性溶剤よりも低い沸点を有する少なくとも1つの別の溶剤が含まれていてよい。好ましい別の溶剤は、低沸点アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノールである。
【0022】
工程b)の組成物中に、少なくとも1つの別の添加剤が含まれていてよい。添加剤として、当業者に、ゾル−ゲルコーティングと関連してよく知られている全ての化合物が使用されることができる。
【0023】
さらに好ましくは、工程b)の組成物中に、Ti、Si、Zr、Al、Y、Sn、Ceの酸化物又はそれらの混合物から選択される酸化物粒子が含まれていてよい。酸化物粒子は好ましくは、疎水性表面を有していてよい。好ましくは、酸化物粒子の表面上にケイ素原子に結合されている有機基X1+2nnが存在しており、ここでnは1〜20に等しく、かつXは水素及び/又はフッ素である。
【0024】
酸化物粒子が疎水性表面を有する場合には、好ましくは、本発明のゾル−ゲル形成の反応条件下に、酸化物粒子の表面は部分的に加水分解される。この場合に、工程b)からの組成物の有機ケイ素化合物と反応する反応中心が好ましくは形成される。これらの有機ケイ素化合物は、硬化の間に、酸化物粒子に、例えば−O−結合を介して共有結合される。これによって、酸化物粒子は、硬化性ゾル−ゲルと共有架橋される(kovalent vernetzt)。意外なことに、硬化された層の層厚はこれによってさらに増加されることができる。
【0025】
酸化物粒子は、10〜1,000nm、好ましくは20〜500nm、さらに好ましくは30〜250nmの平均粒度を有していてよい。
【0026】
コーティングが透明及び/又は無色であるべき場合には、10〜250nmの平均粒度を有する酸化物粒子のみが好ましくは使用される。平均粒度は、一次粒子の大きさに関するものであるか又は、酸化物がアグロメレートとして存在する場合には、アグロメレートの大きさに関するものである。粒度は、光散乱法によって、例えば型式HORIBA LB 550(登録商標)(Retsch Technology社製)の装置によって決定される。
工程b)の組成物は、一般的に知られた多様な方法によって基体上へ施与されることができる。特に、この組成物は例えばナイフ塗布、はけ塗布、ロール塗布、スプレー塗布されることができるか、又は組成物中への基体の浸漬によって施与されることができる。
【0027】
工程c)における組成物の乾燥は、当業者に知られている各々の方法によって実施されることができる。特に、乾燥は、乾燥器中で実施されることができる。特に好ましくは、循環空気乾燥器、赤外場(Infrarotfeld)及び/又はマイクロ波放射器である。好ましい一実施態様において、工程c)における乾燥の間の乾燥温度は、実質的に一定であり、かつ好ましくは一定である。このことは、好ましいようにして、例えば、乾燥器が所望の乾燥温度に加熱され、かつ工程b)の組成物が施与されている基体が、予熱された乾燥器中へ導入されることを意味する。施与された組成物を乾燥させ、かつ場合により硬化させるために必要である所望の乾燥時間の後に、コーティングされた基体は乾燥装置から取り除かれる。
【0028】
乾燥時間はさらに限定されていない。これらは、しかしながら、施与されたコーティングからの溶剤の完全な除去が可能であるように選択されるべきである。好ましくは、工程c)の乾燥期間は、1min〜3hである。
【0029】
好ましい一実施態様において、工程b)において基体上へ、工程c)における乾燥後に基体上に0.05〜10μmの層厚を有する乾燥された組成物の層が存在しているような量の組成物が施与される。好ましくは、乾燥された基体上に、0.1μm〜9μm、さらに好ましくは0.2μm〜8μm及び最も好ましくは0.3μm〜7μmの層厚を有する層が存在している。
【0030】
本発明のコーティングされた基体は、意外なことに、極めて高い割れのないことを示し、その際に好ましい一実施態様においてコーティング中に割れは実質的に存在していない。
【0031】
DIN EN ISO 10 545-14による酸化クロム−油試験は、割れのないことを検出するための試験である。この場合に、緑色を有する酸化クロムは、試験すべきコーティング上へ施与される。DIN EN ISO 10 545-14に記載された手順に相応して酸化クロムを除去した後に、コーティングの変色の程度は、表面の細孔もしくは割れのないことについての指標である。本発明によるコーティングは、極めて高い細孔及び割れのない表面を示すので、酸化クロム−油はほぼ残留物なしで除去されることができる。
【0032】
それゆえ、本発明の方法を用いてコーティングされた基体は、技術水準のコーティングと比較して、改善されたコーティングを示す。特に、より厚いコーティングを施与することが意外なことに可能であり、その際に多重コーティング方法における複数の施与が回避される。本発明のコーティングは、ポリマー繊維形成体(polymeren Flaechengebilden)上の耐引っかき性層として並びに天然石の封止のために使用されることができる。
【0033】
好ましい一実施態様において、工程b)において組成物を施与する前に、少なくとも1つの別のコーティングが施与されることができる。このコーティングは、例えば、印刷、例えばデザイン印刷であってよい。
【0034】
さらに好ましい一実施態様において、工程b)において組成物を施与した後に、少なくとも1つの別のコーティングが施与されることができる。この別のコーティングは、工程c)における乾燥後に施与されることもできる。この別のコーティングは、例えば、印刷、例えばデザイン印刷であってよい。
【0035】
それゆえ、ここに記載された方法によって得ることができるコーティングされた基体は、多岐にわたる使用可能性を見出す。特に、多重コーティングの回避によって、コーティングされた基体をより効率的に製造することが可能になる。
【実施例】
【0036】
例1:
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン25.5g、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン4.45g及びオルトケイ酸テトラエチル83.2gから、混合物を製造する。
【0037】
前記の混合物に、撹拌しながら、2−ペンタノン(沸点:102℃)中の火炎加水分解法により製造された疎水性シリカ4g(Degussa AG製AEROSIL(登録商標) R8200)の分散液17.44gを添加する。シリカ及び2−ペンタノンからなる分散液を、まず最初に、超音波下にシリカ及び2−ペンタノンの1分間の混合によって製造し、かつ10質量%の濃度を有する。分散液の粒度分布を、Horiba社製粒度測定装置で光散乱によって決定した。この場合に次の値が見出された:D50=109nm、10%=61nm、90%=189nm。分散液は、211674mVの大きさで−6.03mVのゼータ電位を有する。
【0038】
分散液を混合物に添加した後に、撹拌しながら、63%硝酸5.45μlを添加する。次に、強力に撹拌しながら、3−アミノプロピルトリエトキシシラン3.2gを添加し、その際に反応混合物の温度が40℃を超えないように注意する。こうして得られたゾルを48h後撹拌する。
【0039】
寸法7.5×7.5cmの大理石板"Carrara Antik"を、洗剤を用いはけ及び水の助けをかりて清浄化する。次に、この石板を60℃で24h乾燥させ、引き続いてデシケーター中で冷却する。
【0040】
前記ゾルから、手で引いた範囲(Handziehrahmen)内に約50μm厚さの層を石板上に施与する。コーティングされた石板を、室温で1h放置し、次に150℃に15分加熱した。24h後、コーティングを特性決定した。コーティングは、乾燥及び硬化後に約20μmの平均層厚を有する。
【0041】
表面特性の評価:
前記コーティング上に水滴が施与される。この水滴は、コーティング中へしみ込むのではなく、むしろコーティング上に残留する。
【0042】
DIN EN ISO 10 545-14による酸化クロム−油試験は、24hの作用期間後に、Cr23が完全に除去されることができるという結果である。変色は発生しない。
【0043】
比較例2:
2−ペンタノンの代わりにエタノール(沸点:78℃)がシリカ分散液の製造に使用されることを除いて、そのほかは例1に相応して石板をコーティングする。
【0044】
表面特性の評価:
前記コーティング上に水滴が施与される。この水滴はコーティング中へしみ込む。
【0045】
DIN EN ISO 10 545-14による酸化クロム−油試験は、24hの作用期間後に、Cr23が完全に除去されることができないという結果である。Cr23は、コーティングの生じた細孔及び孔中に緑色の斑点を残す。
【0046】
まとめると、本発明の方法を用いて、基体に割れのないコーティングが設けられることができることが確認されることができる。本発明のコーティングは、環境の影響に対して抵抗力があり、かつその下にある基体のより確実な保護を可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体をコーティングする方法であって、次の工程:
a)基体を準備する工程、
b)前記基体の少なくとも1つの表面上に組成物を施与する工程、前記組成物は、一般式(Z1)Si(OR3)のシラン[ここでZ1はOR又はGly(Gly=3−グリシジルオキシプロピル)であり、かつRは炭素原子1〜6個を有するアルキル基であり、かつ全てのRは同じか又は異なっていてよい]、不活性溶剤及び開始剤を含有し、その際に不活性溶剤は、工程c)の乾燥条件下で工程c)の乾燥温度を50℃上回る又は下回る範囲内である沸点を有し、かつ不活性溶剤の沸点は工程c)の乾燥条件下に少なくとも80℃である、及び
c)工程b)において施与された組成物を100℃〜250℃の乾燥温度で乾燥させる工程
を含む、基体をコーティングする方法。
【請求項2】
基体が開気孔又は閉気孔の基体である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程b)の組成物が、一般式(Z2zSi(OR)4-zで示される第二のシランを含有し、ここでRは炭素原子1〜6個を有するアルキル基であり、かつZ2はHabnであり、ここでa及びbは整数であり、全てのRは同じか又は異なっていてよく、a+b=1+2nであり、z=1又は2であり、かつnは1〜16であり、又はZ1がGlyである場合には、Z2はz=1でAm(Am=3−アミノプロピル)である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
工程b)の組成物中に、シランの全物質量を基準として不活性溶剤0.1〜200mol%が含まれている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
不活性溶剤が、アルコール、ホルムアミド、ケトン、エーテル及びそれらの混合物の群から選択されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
不活性溶剤が水ではない、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
工程b)の組成物中に、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン及び/又は3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランがシランとして及び/又は3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び/又は3−アミノプロピルトリエトキシシランが第二のシランとして含まれている、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
工程b)の組成物中に、シランとしてテトラエトキシシランが、及び第二のシランとして式(HabnzSi(OR)4-zのシランが含まれており、ここでa及びbは整数であり、a+b=1+2nであり、zは1又は2であり、nは1〜16であり、かつ全てのRは同じか又は異なっていてよく、その際に好ましくは全てのRは同じであり、かつ炭素原子1〜6個を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
工程b)の組成物中に、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及び/又はヘキサデシルトリメトキシシランがシランとして及び/又は3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランが第二のシランとして含まれている、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
工程b)の組成物中で、開始剤は酸又は塩基であり、好ましくは水性の酸又は塩基である、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
工程b)の組成物中に、好ましくは不活性溶剤よりも低い沸点を有する、少なくとも1つの別の溶剤が含まれている、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
工程b)の組成物中に、少なくとも1つの別の添加剤が含まれている、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
工程b)の組成物中に、Ti、Si、Zr、Al、Y、Sn、Ceの酸化物又はそれらの混合物から選択される酸化物粒子が含まれている、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
酸化物粒子の表面が疎水性である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
酸化物粒子の表面上にケイ素原子に結合された有機基X1+2nnが存在しており、ここでnは1〜20であり、かつXは水素及び/又はフッ素である、請求項13又は14記載の方法。
【請求項16】
工程b)において基体上へ、工程c)における乾燥後に基体上に0.05〜10μmの層厚を有する乾燥された組成物の層が存在しているような量の組成物を施与する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
工程c)における乾燥の間に、乾燥温度は実質的に一定であり、かつ好ましくは一定である、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
工程b)において組成物を施与する前に、少なくとも1つの別のコーティングを施与する、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
工程b)において組成物を施与した後に、少なくとも1つの別のコーティングを施与する、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか1項によって得られる、コーティングされた基体。

【公表番号】特表2009−514661(P2009−514661A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538311(P2008−538311)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065201
【国際公開番号】WO2007/051662
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】