説明

コーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子

【課題】酸素センサーとしての耐熱衝撃性と安定した起電力特性を同時に満足する、コーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子の提供。
【解決手段】表面にコーティング層を設けたジルコニア製酸素センサー素子であって、前記コーティング層が、Al、CaF、MgFの合計量が95.0重量%以上で、かつ、CaF及び/又はMgFが前記合計量の20.0重量%以下である組成からなり、平均結晶粒径が0.3〜1.0μm、結晶粒径分布変動係数が20〜60、厚さが60〜150μm、厚さの厚い部分と薄い部分との差が20μm以下であることを特徴とするコーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子に関する。
【背景技術】
【0002】
溶鋼用又は溶銅用の酸素センサー素子にはMgOを安定化剤とした部分安定化ジルコニアが主に用いられている。これらの酸素センサー素子に求められる特性としては、起電力特性と耐熱衝撃性が挙げられる。起電力特性としては溶鋼中又は溶銅中に酸素センサー素子を浸漬した後の起電力値が大きく、かつ起電力値が安定していること(起電力値の変動がないこと)、起電力値が安定値を示すまでの時間が可能な限り短いこと、即ち、レスポンスが速いことが求められる。一方、耐熱衝撃性は、常温状態から1600〜1700℃の溶鋼中に浸漬させるので、非常に短い時間で急激な温度上昇が起こるため、この過酷な温度変化に耐えられる耐熱衝撃性が求められる。
【0003】
上記使用条件に耐え得る酸素センサー素子として、特許文献1には、安定化剤量、その他の成分量、焼結体に含有する単斜晶量、及び空孔量を制御することにより、酸素測定に好適な起電力特性、耐熱衝撃性に優れた素子が開示されている。しかしながら、素子材料面からの特性向上には限界があり、必ずしも様々な条件で使用できるものではなかった。
一方、特許文献2〜3には、酸素センサー素子表面にセラミックコーティングを施す方法が開示されているが、単に特定の平均粒径、気孔率、気孔径及び嵩密度を有したコーティング層を施すだけでは、溶鋼中への浸漬により、コーティング層にクラックや剥がれが発生しやすく、発生がない場合でも起電力値の変動が大きくて一定値を示さなかったり、レスポンス時間が長かったりして、耐熱衝撃性と安定した起電力特性を同時に満足させることはできず、安定して高い精度で酸素量を測定することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−34575号公報
【特許文献2】特開平6−247780号公報
【特許文献3】特開平6−247781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、酸素センサーとしての耐熱衝撃性と安定した起電力特性を同時に満足する、コーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、Alを主成分とするコーティング用スラリーを使用して、ジルコニア製酸素センサー素子表面に、特定の物性及び厚さのコーティング層を形成することにより、安定した起電力特性及び耐熱衝撃性を有する素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、上記課題は、次の(1)〜(2)の発明によって解決される。
(1) 表面にコーティング層を設けたジルコニア製酸素センサー素子であって、前記コーティング層が、Al、CaF、MgFの合計量が95.0重量%以上で、かつ、CaF及び/又はMgFが前記合計量の20.0重量%以下である組成からなり、平均結晶粒径が0.3〜1.0μm、結晶粒径分布変動係数が20〜60、厚さが60〜150μm、厚さの厚い部分と薄い部分との差が20μm以下であることを特徴とするコーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子。
(2) 表面にコーティング層を設ける前のジルコニア製酸素センサー素子の表面粗さ:Raが1.0〜2.5μmであることを特徴とする請求項1記載のコーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子。
【0007】
以下、上記本発明について詳細に説明する。
(a)Al
コーティング層には主成分としてAlを用いる。Alは化学的に安定で、耐食性、耐熱性に優れているため、高い耐熱衝撃性を有する特徴がある。Al、CaF、MgFの合計量は95.0重量%以上、好ましくは97.0重量%以上とする。95.0重量%未満の場合にはAl量が減少するためコーティング層の耐熱衝撃性が低下し、ジルコニア製酸素センサー素子の耐熱衝撃性が悪くなる。なお、ジルコニア製酸素センサー素子の耐熱衝撃性が悪ければ、レスポンスや起電力値の安定性といった起電力特性にも悪影響を及ぼす。
本発明のコーティング層は、Al、又はAlとCaF、MgFからなるが、不可避的不純物も含有する。ここでいう不可避的不純物とは使用する原料や製造工程から混入する不純物を意味し、SiO、ZrO、TiO、CaO、MgO、NaO、KO、Feなどのことである。不可避的不純物の合計量は5.0重量%以下とする。この合計量が5.0重量%を超えると、主成分であるAl量が少なくなり、コーティング層の耐熱衝撃性が低下するため好ましくない。なお、後述するコーティング性向上のために添加する粘土質を、上記不可避的不純物の合計量が5.0重量%以下の範囲で添加することができる。
【0008】
(b)CaF及び/又はMgF
コーティング層におけるCaF及び/又はMgFの含有量は、Al、CaF、MgFの合計量の20.0重量%以下、好ましくは1.0〜15.0重量%とする。これらの成分はジルコニア製酸素センサー素子とコーティング層との密着強度を高めると同時に、コーティング層の強度も高める効果があり、コーティング層を溶鋼中に浸漬したときの急激な温度上昇による、コーティング層と酸素センサー素子との熱膨張差に起因するコーティング層の剥がれや酸素センサー素子のクラックの発生を抑制する。含有量が20.0重量%を超えると、密着強度は高くなるが、主成分であるAlの含有量が少なくなるため、ジルコニア製酸素センサー素子の耐熱衝撃性が悪くなったり、コーティング層が高密度化したりして、レスポンスが遅くなるので好ましくない。また、含有量が1.0重量%未満の場合は、酸素センサー素子としての耐熱衝撃性、起電力特性には問題はないが、コーティング層とジルコニア製酸素センサー素子との密着強度向上の効果がない。
【0009】
(c)平均結晶粒径
コーティング層の平均結晶粒径は0.3〜1.0μm、好ましくは0.3〜0.8μmとする。平均結晶粒径が0.3μm未満の場合には、密着強度は高くなるがコーティング層の気孔径が小さくなり、起電力特性のレスポンス時間が遅くなる。一方、平均結晶粒径が1.0μmを超えると、ジルコニア製酸素センサー素子との密着性が低下する上に、コーティング層自体の強度低下と共にコーティング層の耐熱衝撃性が低下し、ジルコニア製酸素センサー素子の耐熱衝撃性の低下を招く。また、平均結晶粒径が前記範囲を外れると、コーティング層の厚さにバラツキが発生する原因となるので好ましくない。
なお、本発明では、原料粉体から作製したスラリーをジルコニア製酸素センサー素子にコーティングし、乾燥させてコーティング層を形成するので、スラリーに用いる粉体粒径がコーティング層の平均結晶粒径となる。
【0010】
(d)結晶粒径分布変動係数
コーティング層の結晶粒径分布変動係数は20〜60、好ましくは25〜50とする。結晶粒径分布変動係数は平均結晶粒径に対する粒度分布の広がりの程度を示す値であり、コーティング用スラリーをレーザー回折等で測定した粒度分布結果から、算術平均により求めた算術平均粒径及び算術標準偏差を用いて、次の式から得ることができる。

結晶粒径分布変動係数=(算術標準偏差/算術平均粒径)×100

結晶粒径分布変動係数が20未満の場合には、結晶粒径分布がシャープになり、コーティング層の圧密性(嵩密度)が低くなり、ジルコニア製酸素センサー素子との密着性が低下し、コーティング層の耐熱衝撃性が悪くなり、ジルコニア製酸素センサー素子の耐熱衝撃性が低下する。一方、結晶粒径分布変動係数が60を超えると、結晶粒径分布が広くなり、結晶粒子の充填量が高くなり、その結果、コーティング層が緻密化し、レスポンスの遅れや、起電力値の低下の原因となる。
なお、結晶粒径分布変動係数についても平均結晶粒径の場合と同様に、コーティング用スラリーの粒径分布変動係数がコーティング層の結晶粒径分布変動係数となる。
【0011】
(e)コーティング層の厚さ
コーティング層の厚さは60〜150μm、好ましくは70〜120μmとする。厚さが60μm未満の場合には、コーティング層が薄いため、コーティング層が剥がれたり、ジルコニア製酸素センサー素子にクラックが発生して耐熱衝撃性の低下につながる。一方、厚さが150μmを超えると、起電力特性であるレスポンスが遅くなる。
【0012】
(f)コーティング層の厚さの厚い部分と薄い部分との差
コーティング層の厚さの厚い部分と薄い部分との差は20μm以下、好ましくは10μm以下とする。コーティング層の厚さのバラツキが大きくなると、溶鋼中に浸漬して急激な温度上昇が生じるが、コーティング層の厚さの相違がジルコニア製酸素センサー素子への熱伝導性の相違を生じ、発生する熱応力にバラツキが生じてジルコニア製酸素センサー素子の耐熱衝撃性が低下する。なお、差の下限は0μmである。
【0013】
(g)ジルコニア製酸素センサー素子の表面粗さ:Ra
コーティング層を設けるジルコニア製酸素センサー素子の表面粗さ:Raは、1.0〜2.5μm、好ましくは1.2〜2.2μmとする。表面粗さ:Raをこの範囲にすることにより、コーティング層とジルコニア製酸素センサー素子表面との密着性が向上するので、溶鋼中に浸漬して急激な温度上昇が生じた際に、コーティング層の剥がれを抑制し、起電力特性を安定させる効果がある。Raが1.0μm未満の場合には、形成したコーティング層と酸素センサー素子表面との密着性が低下し、コーティング層の剥がれ等が発生するため、起電力値の安定性が低下し好ましくない。一方、Raが2.5μmを超えると、酸素センサー素子表面にコーティング粒子がきっちりと密着せず、コーティング層の剥がれ等が発生するため、起電力値の安定性が低下し好ましくない。なお、表面粗さは、JISB0601に準拠し、レーザー顕微鏡等の非接触式の表面粗さ計を用いて測定する。
【0014】
本発明におけるコーティング層の気孔率は、20〜35%が好ましく、平均気孔径は、0.01〜0.2μmが好ましい。
本発明の酸素センサー素子は、高い耐熱衝撃性と、ジルコニア製酸素センサー素子が有する起電力特性を低下させることのないコーティング層を有するものであるから、相対密度95%以上のマグネシア、イットリア、カルシア等を安定化剤として用いて作製した部分安定化及び安定化ジルコニア固体電荷質素子に好適である。なお、溶鋼中への浸漬により、ジルコニア製酸素センサー素子が損傷した場合には、レスポンスや起電力値の安定性といった起電力特性にも悪影響を及ぼす。
【0015】
本発明のコーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子は、例えば以下に示す方法で製造できる。
純度99%以上、平均粒径0.3〜3.0μmのAl原料を用い、CaF及び/又はMgFを添加する場合は、純度99%以上、平均粒径5〜20μmのCaF及び/又はMgF粉体を所定量添加し、バインダー、分散剤及び溶媒として水又はアルコールを用いて、ポットミル、アトリッションミル、媒体撹拌ミル等の粉砕機により、湿式で粉砕・混合・分散し、平均粒径0.3〜1.0μm、粒径分布変動係数20〜60となるようにコーティングスラリーを作製する。バインダーとしては、アクリル樹脂、ワックスエマルジョン、ポリビニルアルコール(PVA)等が使用できる。分散剤としては、ポリカルボン酸ナトリウム塩、スルホン酸アンモニウム塩等の一般的なセラミックスで使用されている分散剤が使用できる。なお、平均粒径及び粒径分布変動係数の制御は、粉砕・混合・分散する際に用いる粉砕機、粉砕ボールサイズ、量、スラリー濃度等の条件を適宜選択することにより行うことができる。また、上記コーティング用スラリーを粉砕・混合・分散する際に、カオリン、蛙目粘土、木節粘土等の粘土質を、不可避的不純物の合計量が5.0重量%以下の範囲で添加することができる。これらの粘土質はコーティング性を向上させる働きがある。
【0016】
ジルコニア製酸素センサー素子の表面粗さ:Raは、成形体表面の加工条件及び、焼結体表面の加工条件を適宜選択することにより制御できる。
得られたコーティング用スラリーを用いて、上記ジルコニア製酸素センサー素子にディップコーティングし、乾燥することにより、本発明のコーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子が得られる。コーティング層厚さ及びコーティング層厚さの厚い部分と薄い部分の差の制御は、コーティングスラリーの粘度、濃度、温度、コーティングスラリーに添加するバインダー種及び添加量等を調整することにより制御できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、酸素センサーとしての耐熱衝撃性と安定した起電力特性を同時に満足する、コーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子を提供できる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0019】
実施例1〜17、比較例1〜11
表1、表2の各実施例及び比較例の欄に示す配合割合で、純度98.0〜99.9%、平均粒径0.5μm〜5.0μmのAl粉体を用い、CaF及び/又はMgFを添加する場合は平均粒径が13〜15μmのCaF及び/又はMgF粉体を用い、粘土質を添加する場合は平均粒径が2〜5μmの蛙目粘土を用いて混合し、バインダーとしてPVAを、粉体重量に対して5.0重量%添加し、分散剤としてポリカルボン酸ナトリウム塩を、粉体重量に対して1.0重量%添加し、水を溶媒として、ポットミル又は媒体撹拌ミルで粉砕・混合・分散した。粉砕・混合・分散後のスラリーに、分散剤としてポリカルボン酸ナトリウム塩を0.1〜1.0重量%追加添加し、スラリー粘性が2〜1000cpとなるように調整してコーティング用スラリーを得た。
一方、マグネシアを含有するジルコニア粉末を用いて作製した一端封止管の成形体を、NC旋盤により加工、焼成し、表面粗さ:Raが0.5〜3.0μmのマグネシア部分安定化ジルコニア製酸素センサー素子(φ3.6×φ2.2×30mm:一端封止管)を得た。
上記コーティング用スラリーを、上記部分安定化ジルコニア製酸素センサー素子(φ3.6×φ2.2×30mm:一端封止管)の表面にディップコーティングした後、乾燥して、実施例1〜17及び比較例1〜11の、コーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子を作製した。
なお、蛙目粘土の中にはAlが含まれているので、表1、表2の「Al、CaF、MgFの合計量」の欄には、蛙目粘土中のAlも併せた数値(重量%)を示した。また、蛙目粘土中のCaF、MgFは極めて少量なので、「CaF、MgF添加量」の欄には、CaF及び/又はMgF粉体中の量のみを示した。
【0020】
実施例2は、純度99.9%、平均粒径0.5μmのAl原料を用い、媒体撹拌ミルで、φ2mmの粉砕ボールを使用した条件で粉砕・混合・分散し、スラリー粘性100cp、スラリー温度20℃のコーティング用スラリーを用いて作製した素子である。
実施例3は、純度99.9%のAl粉体を用い、蛙目粘土を7.5重量%添加したコーティング用スラリーを用いて作製した素子である。
比較例1は、ポットミルで、φ20mmの粉砕ボールを使用した条件で粉砕・混合・分散したコーティング用スラリーを用いて作製した素子である。使用した粉砕ボールサイズが大きかったため、コーティング層の結晶粒径分布変動係数が大きくなり、レスポンスが遅くなった。
比較例5は、スラリー温度50℃のコーティング用スラリーを用いて作製した素子である。スラリー温度が高かったため、コーティング層厚さの厚い部分と薄い部分の差が大きくなり、耐熱衝撃性に劣った。
【0021】
比較例6は、スラリー粘性1000cpのコーティング用スラリーを用いて作製した素子である。スラリー粘性が高かったため、コーティング層厚さが厚くなり、レスポンスが遅くなった。
比較例7は、平均粒径5.0μmのAl原料を使用した条件で粉砕・混合・分散したコーティング用スラリーを用いて作製した素子である。Al原料の平均粒径が大きかったため、コーティング層の平均結晶粒径が大きくなり、耐熱衝撃性に劣った。
比較例9は、純度98.0%のAl原料を用い、蛙目粘土を7.5重量%添加したコーティング用スラリーを用いて作製した素子である。純度の低いAl原料の使用と、蛙目粘土添加による不可避的不純物混入のため、主成分であるAl量が少なくなり耐熱衝撃性に劣った。
比較例10は、蛙目粘土を9.0重量%添加したコーティング用スラリーを用いて作製した素子である。蛙目粘土添加量が多かったため、不可避的不純物が多く混入し、主成分であるAl量が少なくなり耐熱衝撃性に劣った。
比較例11は、コーティング層を設けていないジルコニア製酸素センサー素子である。
【0022】
作製した各素子を1600℃の溶鋼中に浸漬して起電力特性を測定し、浸漬後に引き上げて熱衝撃による損傷度合いを測定し評価した。結果を表1、表2に示す。
<起電力特性>
「レスポンス時間」は、作製した各素子を溶鋼中に浸漬してから、起電力値が一定値を示すまでの時間について、次の基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:レスポンス時間が7秒未満
○:レスポンス時間が7秒以上、10秒未満
×:レスポンス時間が10秒以上

「起電力値の安定性」は、作製した各素子を溶鋼中に浸漬した場合の起電力値の変動について、次の基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:起電力値に変動がない。
○:わずかに起電力値に変動がある。
×:起電力値の変動が大きい。

【0023】
<耐熱衝撃性>
作製した各素子を溶鋼中に浸漬し、次の基準で評価した。
〔評価基準〕
A:コーティング層及びジルコニア製酸素センサー素子に損傷が無い。
B:コーティング層に剥がれがあるか又はクラックが認められる。
C:ジルコニア製酸素センサー素子表面にクラックが発生した。
D:ジルコニア製酸素センサー素子表面が破壊した。

【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
表1、表2の結果から、実施例1〜17の素子は、1600℃の高温下でも高い耐熱衝撃性と安定した起電力特性を兼ね備えていることが分かる。
これに対し、比較例1〜11の素子は耐熱衝撃性及び/又は起電力特性に問題があり、酸素センサーとして安定した使用ができないものであった。
また、実施例1〜15の素子は、表面粗さ:Raを1.0〜2.5μmに制御したジルコニア製酸素センサー素子にコーティング層を設けた例であり、実施例16、17の素子は、ジルコニア製酸素センサー素子の表面粗さRa:をそれぞれ0.5μm、3.0μmとした例であるが、実施例1〜15の素子の方が、実施例16、17の素子よりも起電力値の安定性に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にコーティング層を設けたジルコニア製酸素センサー素子であって、前記コーティング層が、Al、CaF、MgFの合計量が95.0重量%以上で、かつ、CaF及び/又はMgFが前記合計量の20.0重量%以下である組成からなり、平均結晶粒径が0.3〜1.0μm、結晶粒径分布変動係数が20〜60、厚さが60〜150μm、厚さの厚い部分と薄い部分との差が20μm以下であることを特徴とするコーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子。
【請求項2】
表面にコーティング層を設ける前のジルコニア製酸素センサー素子の表面粗さ:Raが1.0〜2.5μmであることを特徴とする請求項1記載のコーティング層を有するジルコニア製酸素センサー素子。

【公開番号】特開2013−112595(P2013−112595A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262705(P2011−262705)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【特許番号】特許第4961506号(P4961506)
【特許公報発行日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【出願人】(000230629)株式会社ニッカトー (30)
【Fターム(参考)】