説明

コードシンボル読取装置

【課題】「二度読み」が生じた場合に報知音によってオペレータに報知しても、喧騒な使用環境ではオペレータが聴き取ることは困難である。そこで、喧騒な使用環境であってもオペレータに「二度読み」の発生を確実に知らしめるようにする。
【解決手段】バーコードスキャナ101(コードシンボル読取装置)のハウジング102の読取窓103側の面には、複数の報知用LED121(報知用発光部)が設けられている。読取部が異なる商品コードを連続して出力した場合には正常報知動作として報知用LED121を一つずつ商品の移動方向に沿わせて所定時間毎に発光させ、読取部が同一の商品コードを連続して出力した場合には異常報知動作として正常報知動作とは異ならせて報知用LED121を発光させる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードシンボルの形態で商品に付されている商品コードを光学的に読み取るコードシンボル読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コードシンボル読取装置の一例として、バーコードの形態で商品に付されている商品コードの読み取りが可能なバーコードスキャナがある。
【0003】
バーコードスキャナは、POS端末のオペレータが手に持って使用するハンドヘルドタイプのもの(特許文献1参照)と、POS端末に隣接配置されるカウンタ台に固定的に設置されて使用される据置タイプのもの(特許文献2参照)とが広く普及している。
【0004】
いずれのタイプのバーコードスキャナもPOS端末に接続されて使用されて、読み取った商品コードのデータをPOS端末に出力する。POS端末では、バーコードスキャナから出力された商品コードによって特定される商品の単価が取得され、その単価に基づいて決済金額を算出する商品販売データ処理が実行される。
【0005】
ところで、POS端末を使用するオペレータが誤って同じ商品のバーコードを連続してバーコードスキャナに読み取らせてしまうことがある(以下、「二度読み」と呼ぶ)。「二度読み」が発生すると、本来購入されないはずの商品の商品コードがPOS端末に送信され、余分な単価が決済金額に加算されてしまうので問題となる。
【0006】
そこで、「二度読み」の発生をオペレータに知らせるために、「二度読み」が生じた場合に特定の報知音を発生させるようにした技術が知られている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−232375号公報
【特許文献2】特開2002−8143公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、バーコードスキャナはスーパーマーケット等の人々が多い喧騒な環境で使用されることがほとんどであるため、「二度読み」が生じた場合の報知音をオペレータが聞き取ることが非常に困難であるという問題が生じている。この場合、オペレータは「二度読み」が生じたことに気付くことがないため、POS端末では誤った決済金額が算出されてしまう。
【0009】
本発明の目的は、喧騒な使用環境であってもオペレータに「二度読み」の発生を知らしめるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコードシンボル読取装置は、カウンタ台に設置されるハウジングと、商品を移動させる読取領域に対面させて前記ハウジングに設けられた読取窓と、前記ハウジングの前記読取窓側の面に設けられた複数の報知用発光部と、前記ハウジング内に設けられて前記読取窓から前記読取領域に向けて照射する光によってこの読取領域を移動する商品にコードシンボルの形態で付された商品コードを光学的に読み取り出力する読取部と、を備え、前記読取部が異なる商品コードを連続して出力した場合には正常報知動作として前記報知用発光部を一つずつ商品の移動方向に沿わせて所定時間毎に発光させ、前記読取部が同一の商品コードを連続して出力した場合には異常報知動作として前記正常報知動作とは異ならせて前記報知用発光部を発光させるようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、喧騒で報知音を聴き取り難い環境であっても、オペレータに対して「二度読み」がなされた事実を確実に知らしめることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態のコードシンボル読取装置は、スーパーマーケット等においてチェックアウトシステム1で用いられるPOS端末11の周辺機器として、POS端末11に接続して使用されるバーコードスキャナ101である。
【0013】
図1は、POS端末11及びバーコードスキャナ101を含むチェックアウトシステム1の斜視図である。チェックアウトシステム1は、ドロワ21を介してチェックアウト台51の上に載置されたPOS端末11と、このPOS端末11にデータ送受信自在に接続されたコードシンボル読取装置としてのバーコードスキャナ101とによって構成されている。
【0014】
まず、POS端末11について説明する。POS端末11は、ドロワ21と接続されており、ドロワ21の開放動作を制御することができる。また、POS端末11の上面には、オペレータが情報を入力するための入力デバイス22及び情報を表示する表示デバイス23が設けられている。さらに、POS端末11には、ストアコンピュータSC(図3参照)とデータ通信を実行するための通信インターフェース24(図3参照)も内蔵されている。ストアコンピュータSCは、店舗のバックヤード等に設置されており、そのHDD(図示せず)には、商品データファイル(図示せず)が格納されている。商品データファイルは、商品コードに対応付けて、その商品コードによって特定される商品の商品情報(単価、商品名等)を記憶するファイルである。
【0015】
次に、バーコードスキャナ101について説明する。バーコードスキャナ101は、横長テーブル状のカウンタ台151の上面に設けられている荷受面152に固定された定置式のものである。荷受面152は、商品Aを収納するための籠153を載置するのに用いられる。籠153は、概念上、顧客が購入しようとする商品Aを収納するためにカウンタ台151の荷受面152に持ち込まれる第1の籠153aと、第1の籠153aからバーコードスキャナ101を挟んだ位置に位置付けられる第2の籠153bとに分けて考えることができる。第1の籠153aは、顧客の流れ方向の上流側、第2の籠153bは、顧客の流れの方向の下流側にそれぞれ位置付けられている。顧客の流れの方向については、図1中、矢印で示している。
【0016】
バーコードスキャナ101は、カウンタ台151の荷受面152において、オペレータから見て奥側に設置される縦型スキャナ形式のものである。つまり、バーコードスキャナ101は、幅広で奥行きが狭い薄型矩形形状のハウジング102を備え、このハウジング102の正面に読取窓103が配置され、ハウジング102の上部に操作部104が取り付けられて構成されている。
【0017】
読取窓103は、商品Aに付されているコードシンボルとしてのバーコードBCを光学的に読み取るための読取領域RAに対面させてハウジング102の正面に形成されている。このような配置上、バーコードBCの読取領域RAは、読取窓103に正対する荷受面152の上空に位置付けられている。
【0018】
操作部104は、ハウジング102の正面よりも手前側に延出させて設けられ、その前部が下方下がりに傾斜した形状をしている。このような操作部104には、タッチパネル105が表面に積層されたディスプレイ106が設けられ、このディスプレイ106の右隣には複数個のキートップがマトリクス上に配列されたキーボード107が配設されている。図1中、キーボード107の右隣に示されている縦長の溝は、クレジットカード等の磁気カードを読み取るための図示しないカードリーダのカード読取溝108である。更に、オペレータから見て操作部104の裏面左奥側には、顧客に情報を提供するための顧客用ディスプレイ109が設置されている。
【0019】
図2は、バーコードスキャナ101を示す正面図である。図2では、バーコードスキャナ101が備える操作部104及びハウジング102の上下部分を省略して示している(図5及び図6においても同様)。図2に示すように、ハウジング102における読取窓103の周囲部分には、角丸の四角形状を有するフレーム111が設けられている。そして、フレーム111の下側部分には、読取窓103に沿って6個の報知用発光部としての報知用LED121が等間隔で配置されている。各々の報知用LED121は、青色と赤色とに発光可能なLEDであり、報知用LED制御部173(図3参照)によって発光動作の制御を受ける。
【0020】
本実施の形態では、報知用LED121が読取窓103の下側に配置されているので、読取窓103を斜めに見下ろす姿勢のオペレータは、操作部104の前部に視界を遮られることなく、報知用LED121を視認することができる。
【0021】
また、フレーム111の左下には、スピーカ用開孔112が形成されている。スピーカ用開孔112の奥側には、スピーカ174(図3参照)が内蔵されている。
【0022】
さらに、読取窓103の奥側には、光源用LED制御部165(図3参照)による制御を受けて読取領域RAに光を照射する光源用LED164(図3参照)がハウジング102に内蔵させて設けられている。そして、読取領域RAに位置付けられた商品Aに付されているバーコードBCからの反射光を受光するCCDセンサ166(図3参照)も読取窓103の奥側に設けられている。
【0023】
図3は、POS端末11及びバーコードスキャナ101のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0024】
まず、POS端末11について説明する。POS端末11は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU61を備えている。CPU61には、プログラム等の固定データを固定的に記憶保存するROM62と、可変データを書き換え自在に記憶してワークエリアとして使用されるRAM63と、HDD64とがバス接続されている。
【0025】
POS端末11のCPU61には、前述したドロワ21、入力デバイス22、表示デバイス23、通信インターフェース24が、いずれも各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続され、CPU61によって動作制御される。
【0026】
HDD64には、プログラムや各種ファイル(いずれも図示せず)が記憶されている。HDD64に記憶されているプログラムの一例は、商品販売データ処理用のプログラム(図示せず)である。HDD64に記憶されているファイルの一例は、ストアコンピュータSCから配信されて格納されている商品データファイル(図示せず)である。このようなHDD64に記憶されているプログラムや各種ファイルは、POS端末11の起動時に、その全部又は一部がRAM63にコピーされて使用される。
【0027】
本実施の形態のPOS端末11のCPU61は、プログラムに従い、取引において商品販売データ処理を実行する。商品販売データ処理は、バーコードスキャナ101から出力される商品コードに基づいて単価を含む商品情報を取得して、決済金額を算出する処理である。
【0028】
そして、POS端末11のCPU61には、バーコードスキャナ101に接続して、バーコードスキャナ101との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース65が接続されている。
【0029】
次に、バーコードスキャナ101について説明する。バーコードスキャナ101は、各種演算処理を実行し各部を制御する情報処理部としてのCPU161を備えている。CPU161には、固定データを固定的に記憶保存するROM162と、可変データを書き換え自在に記憶してワークエリアとして使用されるRAM163とがバス接続されている。
【0030】
ROM162に記憶されている固定データの一例は、CPU161によって実行されるプログラムである。さらに、ROM162には、スピーカ174から報知音として出力される報知音データも固定データとして記憶されている。本実施の形態では、スピーカ174から出力される報知音が互いに相違する2種類の報知音データがROM162に記憶されている。一方を「正常報知音(データ)」と呼び、他方を「異常報知音(データ)」と呼ぶ。正常報知音と異常報知音との相違点は、一例として、音色である。
【0031】
RAM163には、商品コードのデータが一時記憶される記憶エリア163aが形成されている。本実施の形態の記憶エリア163aは、一つの商品コードのみのデータ記憶を可能としている。したがって、記憶エリア163aには、商品コードのデータが上書き記憶されていく。つまり、記憶エリア163aには、最新の商品コードが記憶されている。
【0032】
バーコードスキャナ101のCPU161には、前述した、操作部104、光源用LED164が接続した光源用LED制御部165、報知用LED121が接続した報知用LED制御部173、スピーカ174がいずれも各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続され、CPU161によって動作制御される。
【0033】
また、バーコードスキャナ101のCPU161には、CCDセンサ166が接続したA/D変換部167とデコード部168とが接続されている。A/D変換部167は、CCDセンサ166から受信した電気信号を増幅回路及びデジタル変換回路(いずれも図示せず)により、デジタル信号に変換する。デコード部168は、変換されたデジタル信号を商品コードにデコードして、CPU161に出力する。
【0034】
さらに、バーコードスキャナ101のCPU161には、POS端末の接続インターフェース65に接続して、POS端末11との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース175が接続されている。これにより、バーコードスキャナ101は、デコードされた商品コードのデータをPOS端末11に出力できるようにされている。
【0035】
このような構成において、オペレータは、第1の籠153aに収納されている商品Aを手に取り、付されているバーコードBCを読取窓103に向けてその商品Aを読取領域RAに位置付ける。この際、光源用LED164から光が照射されてバーコードBCの反射光がCCDセンサ166に受光され、デコード部168によって商品コードにデコードされる。このようにして、オペレータは、バーコードBCとして商品に付された商品コードをバーコードスキャナ101に読み取らせる。その後、オペレータは、商品コードを読み取らせた商品Aを第2の籠153bに入れていく。バーコードスキャナ101で読み取られた商品コードのデータは、POS端末11に送信される。POS端末11のCPU61は、この商品コードに基づいて商品データファイルから対応する単価を取得して、単価に基づく決済金額を算出する処理(商品販売データ処理)を実行する。
【0036】
この際、バーコードスキャナ101のCPU161がROM162に記憶されているプログラムに従って実行する処理の詳細について、図4に基づいて説明する。
【0037】
図4は、バーコードスキャナ101で実行される処理の流れを示すフローチャートである。デコード部168でデコードされた商品コードは、CPU161に出力される。CPU161は、デコード部168から出力された商品コードのデータを取得すると(ステップS101)、この商品コードのデータをRAM163の記憶エリア163aに記憶させようとする。このとき、記憶エリア163aに商品コードのデータが記憶されていなければ(ステップS102のN)、CPU161は、ステップS101で取得した商品コードについて、記憶エリア163aにデータ記憶させた後(ステップS103)、接続インターフェース175を介してPOS端末11に送信出力する(ステップS104)。
【0038】
POS端末11では、バーコードスキャナ101から送信された商品コードのデータが接続インターフェース65を介して受信されたならば、CPU61がこの受信した商品コードをRAM63にデータ記憶させる。POS端末11のRAM63には、一取引中にバーコードスキャナ101から送信される商品コードのデータが、上書きされることなく、順次記憶されていく。
【0039】
次に、バーコードスキャナ101のCPU161は、ROM162に記憶されている正常報知音データに基づく正常報知音をスピーカ174から出力させる(ステップS105)。そして、バーコードスキャナ101のCPU161は、報知用LED制御部173を駆動制御して、この報知用LED制御部173に報知用LED121を正常報知動作させる(ステップS106)。
【0040】
図5は、報知用LED121が正常報知動作する状態のバーコードスキャナ101を示す正面図である。正常報知動作として、6個の報知用LED121は、報知用LED制御部173の制御を受けて、最も右側のものから一つずつ順に所定時間毎に青色に発光する。つまり、報知用LED121は、バーコードBCの読み取りのために読取領域RAを商品Aが移動する方向と同じ方向に、一つずつ所定時間毎に発光していくのである。図5中、この方向を矢印で示している。
【0041】
図5では、右から二つ目の報知用LED121が青色に点灯している瞬間を示している。この報知用LED121の点灯が消滅すると、次に、隣接する右から三つ目の報知用LED121が青色に点灯して消滅する。
【0042】
このような正常報知動作がなされることで、報知用LED121を見る者(オペレータ)にとっては、青色発光が右から左へと移動しているように見える。
【0043】
また、本実施の形態では、6個の報知用LED121については、報知用LED制御部173の制御によって、最も左側のものから一つずつ順に所定時間毎に青色に発光させることもできる。このような方向の切り替えについてはバーコードスキャナ101に設けられた図示しない切替スイッチの操作によって可能となっている。これにより、バーコードスキャナ101のレイアウトに応じて商品Aを左から右に移動させる場合にも、報知用LED121が移動する方向を対応させることができる。
【0044】
図4の説明に戻る。ステップS101で取得した商品コードを記憶エリア163aに記憶させようとした際に、既に記憶エリア163aに商品コードのデータが記憶されている場合には(ステップS102のY)、バーコードスキャナ101のCPU161は、二度読み判定処理を実行する(ステップS111)。二度読み判定処理は、ステップS101で取得した商品コードと記憶エリア163aに記憶されている商品コードとが同一であるか否かを判定する処理である。
【0045】
ステップS111での二度読み判定処理の結果、取得した商品コードと記憶エリア163aの商品コードとが同一でないと判定された場合には(ステップS112のN)、既に述べた処理と同様の処理が実行される。つまり、バーコードスキャナ101のCPU161は、取得した商品コードのデータを記憶エリア163aに記憶させ(ステップS103)、接続インターフェース175を介してPOS端末11に送信出力し(ステップS104)、スピーカ174に正常報知音を出力させ(ステップS105)、報知用LED121に正常報知動作を実行させる(ステップS106)。なお、このとき、ステップS103では、記憶エリア163aには既に商品コードのデータが記憶されているため、この記憶エリア163aには商品コードのデータが上書きして記憶されることになる。
【0046】
一方、ステップS111での二度読み判定処理の結果、取得した商品コードと記憶エリア163aの商品コードとが同一であると判定された場合(ステップS112のY)、CPU161は、取得した商品コードのデータを記憶エリア163aに上書き記憶させ(ステップS113)、この商品コードを、接続インターフェース175を介してPOS端末11に送信出力する(ステップS114)。
【0047】
そして、次に、バーコードスキャナ101のCPU161は、ROM162に記憶されている異常報知音データに基づく異常報知音をスピーカ174から出力させる(ステップS115)。さらに、CPU161は、報知用LED制御部173を駆動制御して、この報知用LED制御部173に報知用LED121を異常報知動作させる(ステップS116)。
【0048】
図6は、報知用LED121が異常報知動作する状態のバーコードスキャナ101を示す正面図である。異常報知動作として、6個の報知用LED121は、報知用LED制御部173の制御を受けて、6個全てのものが一定時間だけ赤色に点滅発光する。図6では、報知用LED121が赤色に点灯した瞬間を示している。このような異常報知動作がなされることで、報知用LED121を見る者(オペレータ)にとっては、赤色発光するラインが点滅しているように見る。
【0049】
また、報知用LED121だけでなく、操作部104のディスプレイ106にも正常報知動作と異常報知動作とをさせるようにしてもよい。
【0050】
図7は、操作部104のディスプレイ106の画面表示例を示す模式図である。なお、図7では、取引中にディスプレイ106に表示されるその他の情報について省略して示している。
【0051】
図7(a)は、正常報知動作する状態を示している。正常報知動作として、ディスプレイ106の下方領域には、左向きの矢印形状を有する矢印画像191が表示され、この矢印画像191が、オペレータの手によって商品Aが読取領域RAを移動する方向(右から左)と同一の方向に移動する。図7(a)中に破線で示す矢印画像191は、矢印画像191の移動軌跡を示している。また、移動方向を矢印で示している。バーコードスキャナ101のCPU161は、図4のフローチャートのステップS106では、操作部104を駆動制御して、ディスプレイ106にこのような正常報知動作をさせる。
【0052】
図7(b)は、異常報知動作をする状態を示している。異常報知動作として、ディスプレイ106の下方領域には、左右方向に配列された複数の長方形画像192が一定時間点滅して表示される。バーコードスキャナ101のCPU161は、図4のフローチャートのステップS116では、操作部104を駆動制御して、ディスプレイ106にこのような異常報知動作をさせる。なお、異常報知動作についての報知態様はこれに限られることはない。例えば、図7(a)に示した矢印画像191を反対向き(右向き)にした矢印画像を表示させて、商品Aの移動方向とは反対方向(左から右)に移動させるような報知態様であってもよい。このような報知態様によって、オペレータに再度の読取り操作を意識させるのである。
【0053】
このように、操作部104に設けられたディスプレイ106でも正常報知動作と異常報知動作とがなされるため、オペレータは「二度読み」が発生した事実をより確実に認識することができる。
【0054】
また、顧客用ディスプレイ109でも正常報知動作と異常報知動作とをするようにしてもよい。これによれば、顧客に対しても「二度読み」がなされた事実を知らせることが可能となり、顧客の店舗への信頼性が増すことが期待できる。
【0055】
以上説明したように本実施の形態によれば、喧騒で報知音を聴き取り難い環境であっても、オペレータは、「二度読み」の発生を視覚的に認識できる。つまり「二度読み」の事実をオペレータに確実に知らしめることができる。
【0056】
ここで、本実施の形態における報知動作の態様を別の態様と比較する。例えば、ハウジング102に青色と赤色とに発光可能なLEDを一つのみ設けて、正常報知動作としてこの単独のLEDを青色点灯させ、異常報知動作として赤色点灯させる態様を比較例とする。この比較例の場合、正常報知動作と異常報知動作との差異は、発光色の違いのみである。そのため、オペレータは「どちらの発光色が正常報知動作であったか」と戸惑うことがある。しかしながら、本実施の形態では、正常報知動作は、商品A(又は商品Aを持つオペレータの手)が移動する方向と連動する方向に報知用LED121の発光が移動するものであるため、オペレータは正常報知動作を認識し易い。さらには、この正常報知動作のように動きを伴わない異常報知動作についても、その動作態様のコントラストによって、瞬時に認識することができる。
【0057】
ところで、顧客が同一の商品Aを2以上購入する場合(第1の籠153aの同一の商品Aが2以上収納されている場合)等に、同じ商品AのバーコードBCを連続してバーコードスキャナ101に読み取らせることがある。つまり、オペレータが敢えて積極的に「二度読み」を発生させる場合が多くある。しかしながら本実施の形態の異常報知動作は、オペレータの危機感を煽る警告的な表示がなされるようなものではないため、オペレータが敢えて「二度読み」を発生させたような場合にも、その場合になされる異常報知動作によって不快感を抱くことはない。
【0058】
なお、図4のフローチャートでは、一取引が終了したならば、バーコードスキャナ101のCPU161は、記憶エリア163aをクリアして、記憶エリア163aに商品コードのデータが記憶されていない状態にする。ここで、一取引の終了をバーコードスキャナ101のCPU161が認識するためには、POS端末11において商品販売データ処理の実行が終了した場合に、その旨の信号がPOS端末11からバーコードスキャナ101に送信されるようにすればよい。これにより、一取引を開始するに際しては、バーコードスキャナ101のRAM163の記憶エリア163aには、商品コードのデータが記憶されていない状態となる。
【0059】
次に、本実施の形態のバーコードスキャナ101のCPU161がROM162に記憶されているプログラムに従って実行する二度読み取消処理について説明する。
【0060】
オペレータが誤って同じバーコードBCを「二度読み」させてしまうと、そのバーコードBCからデコードされた商品コードのデータはバーコードスキャナ101からPOS端末11に送信されて(図4のフローチャートのステップS114参照)、POS端末11のCPU61によってそのRAM63に記憶されてしまう。
【0061】
そこで、本実施の形態の二度読み取消処理は、このような「二度読み」によってPOS端末11のRAM63に記憶されてしまった余分な商品コードのデータをこのRAM63からデータ消去するために、POS端末11ではなくバーコードスキャナ101での操作によって実行される処理である。
【0062】
図8は、二度読み取消処理のフローチャートである。取得した商品コードが記憶エリア163aに記憶されている商品コードと同一であった場合に(図4のフローチャートのステップS112のY参照)、バーコードスキャナ101のCPU161は、ディスプレイ106に二度読み取消を宣言するための宣言表示を表示させる(ステップS201)。
【0063】
宣言表示は、一例として、長方形の枠内に「二度読み発生しました 取消の場合はタッチして下さい」という文字列を含む画像である。この宣言表示がディスプレイ106の画面における所定の位置に出現する。オペレータは、誤って「二度読み」をしてしまったと認識した場合に、この宣言表示の表示領域に対応するタッチパネル105をタッチ操作することになる。
【0064】
このとき、バーコードスキャナ101のRAM163の記憶エリア163aには、「二度読み」に基づく商品コードのデータが上書き記憶されている(図4のフローチャートのステップS113参照)。この商品コードは、デコード部168から出力された最新の商品コードである。
【0065】
そして、宣言表示に対応するタッチパネル105がタッチ操作なされることにより二度読み取消宣言がなされたならば(ステップS202のY)、CPU161は、記憶エリア163aに記憶されている「二度読み」に基づく商品コード(つまり最新の商品コード)のデータを取得して、この商品コードが不要である旨のデータをPOS端末11に送信出力する。より詳細には、この商品コードが不要である旨として、当該商品コードのデータをPOS端末11のRAM63から消去させる指令を生成して、生成した指令のデータを接続インターフェース175を介してPOS端末11に送信出力する(ステップS203)。POS端末11のCPU61は、指令を受信したならば、受信した指令が指定する商品コードのデータをRAM63から消去する処理を実行する。
【0066】
なお、CPU161が、宣言表示が一定時間タッチ操作されなかったと判定したり、タッチ操作前に次の商品コードのデータを取得したと判定したりした場合には、二度読み取消宣言がなされなかったものとして(ステップS202のN)、処理を終了する。
【0067】
従来、「二度読み」がなされた場合には、オペレータは「二度読み」させてしまったバーコードBCを再びバーコードスキャナ101に読み取らせて商品コードにデコードさせて、その商品コードのデータについてPOS端末11のRAM63から消去させる操作を行っている。
【0068】
しかしながら、本実施の形態によれば、再度のバーコードBCの読み取り作業が不要となるため、誤って「二度読み」をさせてしまった場合に行うべき作業負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】POS端末及びバーコードスキャナを含むチェックアウトシステムの斜視図である。
【図2】バーコードスキャナを示す正面図である。
【図3】POS端末及びバーコードスキャナのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】バーコードスキャナで実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】報知用LEDが正常報知動作する状態のバーコードスキャナを示す正面図である。
【図6】報知用LEDが異常報知動作する状態のバーコードスキャナを示す正面図である。
【図7】操作部のディスプレイの画面表示例を示す模式図である。
【図8】二度読み取消処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
11…POS端末(商品販売データ処理装置)、101…バーコードスキャナ(コードシンボル読取装置)、102…ハウジング、103…読取窓、104…操作部、105…タッチパネル、106…ディスプレイ(表示部)、121…報知用LED(報知用発光部)、151…カウンタ台、164…光源用LED(読取部)、166…CCDセンサ(読取部)、167…A/D変換部(読取部)、168…デコード部(読取部)、175…接続インターフェース(送受信部)、A…商品、BC…バーコード(コードシンボル)、RA…読取領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンタ台に設置されるハウジングと、
商品を移動させる読取領域に対面させて前記ハウジングに設けられた読取窓と、
前記ハウジングの前記読取窓側の面に設けられた複数の報知用発光部と、
前記ハウジング内に設けられて前記読取窓から前記読取領域に向けて照射する光によってこの読取領域を移動する商品にコードシンボルの形態で付された商品コードを光学的に読み取り出力する読取部と、
前記読取部が異なる商品コードを連続して出力した場合には正常報知動作として前記報知用発光部を一つずつ商品の移動方向に沿わせて所定時間毎に発光させ、前記読取部が同一の商品コードを連続して出力した場合には異常報知動作として前記正常報知動作とは異ならせて前記報知用発光部を発光させる手段と、
を備えるコードシンボル読取装置。
【請求項2】
前記ハウジングの上端に設けられて、前記ハウジングの前記読取窓側の面よりもオペレータ側に延出してその前部が下方下がりに傾斜した形状を有し、傾斜する上面に情報を表示する表示部を有する操作部を備える、
請求項1記載のコードシンボル読取装置。
【請求項3】
前記報知用発光部は、前記読取窓よりも下方位置に配置されている、
請求項2記載のコードシンボル読取装置。
【請求項4】
前記読取部が異なる商品コードを連続して出力した場合には正常報知動作として前記表示部に商品の移動方向に沿わせて移動する画像を表示させ、前記読取部が同一の商品コードを連続して出力した場合には異常報知動作として前記正常報知動作とは異ならせて前記表示部に画像を表示させる、
請求項3記載のコードシンボル読取装置。
【請求項5】
前記表示部の表示画面に積層されたタッチパネルと、
商品販売データ処理装置に接続されて当該商品販売データ処理装置との間でデータ通信可能にする送受信部と、
前記読取部が出力した商品コードのデータを、前記送受信部を介して前記商品販売データ処理装置に送信する手段と、
前記読取部が同一の商品コードを連続して出力した場合に、前記表示部に二度読み取消を宣言するための宣言表示を表示させる手段と、
前記宣言表示に対応する前記タッチパネルの領域がタッチされることにより二度読み取消宣言がなされた場合に、前記読取部が出力した最新の商品コードが不要な商品コードである旨のデータを、前記送受信部を介して前記商品販売データ処理装置に送信する手段と、
を備える請求項4記載のコードシンボル読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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