コードリール
【課題】長いコードの出力側端部において生じる電圧降下等による出力電圧の変動を自動的に目標電圧となるように調整することが可能なコードリールを提供する。
【解決手段】コードリール10は、両端が左及び右側板13,14で封止された中空の筒状リール11の軸心を軸部材19が貫通しており、軸部材19の両端が台23によって回転自在に支持され、筒状リール11内に安定化電源装置40が収容されている。安定化電源装置40は、筒状リール11内のステンレス製の左及び右取付板16,17に取り付けられて、外部と磁気的に遮断された状態で配設されており、その特性が外部の磁界に妨害されることなく適正に発揮される。そのため、長いコードの端部で生じた交流電源の電圧降下分等が、安定化電源装置40によって是正され、常に予め定めた目標電圧値に合わせた適正な出力電圧が給電される。
【解決手段】コードリール10は、両端が左及び右側板13,14で封止された中空の筒状リール11の軸心を軸部材19が貫通しており、軸部材19の両端が台23によって回転自在に支持され、筒状リール11内に安定化電源装置40が収容されている。安定化電源装置40は、筒状リール11内のステンレス製の左及び右取付板16,17に取り付けられて、外部と磁気的に遮断された状態で配設されており、その特性が外部の磁界に妨害されることなく適正に発揮される。そのため、長いコードの端部で生じた交流電源の電圧降下分等が、安定化電源装置40によって是正され、常に予め定めた目標電圧値に合わせた適正な出力電圧が給電される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転自在な筒状リールにコードを巻き取ったり、引き延ばして延長コードとして使用したりするコードリールに係り、特に安定した電圧を供給可能なコードリールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコードリールは、例えば特許文献1に示すように、端がそれぞれ側板で封止された中空の筒状リールと、筒状リールの軸心を貫通して側板に固定された筒軸と、筒軸を回転自在に支持する台とを設け、筒状リール外周にコードが巻き付けられて一端にて電源に接続されると共に筒状リール内の延びた他端が側板に設けたコンセントにつなげられたものが知られている。しかし、従来のコードリールにおいては、コードの長さが長くなるに従ってコードによる電圧降下が生じるため、コードの長さ数10mから100mに及ぶような長いものでは取り出し側の電圧が電源電圧に比べて著しく低くなるという問題がある。そのため、屋外で使用するコードリールについては、コードの長さが20m程度までに制限されており、使用範囲が限られていた。一方、コードを20m以上の長さにする場合は、使用現場におけるコードの末端においてトランスや安定化電源装置により電圧を電源電圧まで高めて使用するような方法が採られているが、使用現場で別途トランス等を用意する必要があり、コードリールの取り扱いが非常に煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−211821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決しようとするものであり、長いコードの出力側端部において生じる電圧降下等による出力電圧の変動を自動的に目標電圧となるように調整することが可能なコードリールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明の特徴は、両端がそれぞれ側板で封止された中空の筒状リールと、筒状リールを軸心を中心として回転自在に支持する台とを設け、筒状リールの外周面にコードが一端にて固定されて他端に設けたコンセントにより交流電源に接続可能にされると共に、コードが筒状リール内に延びて先端が側板に設けた出力側コンセントに接続されてなるコードリールにおいて、筒状リール内にて筒状リールの外部と磁気的に遮断された状態で配設されると共に、コードに介装されて、コードを通して一対の入力端から入力される電圧を目標電圧値になるように安定化して一対の出力端から出力側コンセントに出力する安定化電源装置を設けたことにある。
【0006】
本発明においては、筒状リール内にて安定化電源装置が外部と磁気的に遮断された状態で配設されているため、その特性が外部の磁界に妨害されることなく適正に発揮される。そのため、長いコードの端部で生じた電源電圧の電圧降下分が、安定化電源装置によって是正され、さらには電源電圧の変動が生じた場合にも安定化電源装置によって是正されるため、出力側コンセントを通して常に予め定めた目標電圧値に合わせた適正な出力電圧が給電される。その結果、本発明においては、電源から数10m以上離れた作業現場においても目標電圧値に近似した良好な電圧を利用できるため、作業現場で別途安定化電源装置を用意する必要なく簡易にかつ安定した作業が可能になる。
【0007】
本発明において、筒状リールの温度を検知する温度センサと、温度センサが予め定められた上限温度以上の温度を検知したとき、これに応じてコードの通電状態を非通電状態に切り替える保護スイッチとを設けることができる。コードの一部が筒状リールに巻き付けられた状態でコードリールが使用されるような場合に、通電によってコードが過熱状態になることがあるが、その際には、筒状リールに取り付けられた温度センサが予め定めた上限温度以上を検知すると、これに応じて保護スイッチによりコードが非通電状態にされる。そのため、コードの過熱状態が未然に防止され、コードリールの安全が確保される。さらに、その後、温度センサが予め定めた下限温度以下を検知したときは、保護スイッチによりコードが通電状態に戻されるようにしてもよく、これにより、コードリールの使用状態が簡易に確保される。
【0008】
本発明においては、安定化電源装置が、入力端の一方に一端が接続されると共に入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設けた単巻トランスと、一次巻線と、一次巻線に磁気結合されて入力端の一方と出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する複巻トランスと、複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、一端と複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能なタップ切替スイッチと、複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、一次巻線の他端と入力端の一方側及び他方側のいずれか一方との接続を電気的に切り替え可能な切替スイッチと、交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、タップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えの組合せと、組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせるタップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、演算制御手段による演算結果に基づいて、タップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段とを設けることができる。なお、本発明において、複巻トランスについては、降圧トランスであり、以下の全ての複巻トランスについても同様である。
【0009】
上記安定化電源装置の動作は、以下の(1)、(2)の2つの場合に分けられる。
(1)切替スイッチSW2により複巻トランスFTの一次巻線の他端と入力端の一方側とが接続された場合(図7参照)
単巻トランスSTのタップ切替スイッチSW1により選択されたタップ位置での電圧を入力電圧から引いた電圧が、複巻トランスFTの一次巻線側に極性を合わせて加えられる。さらに、この電圧に複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせて減圧した電圧が二次巻線に出力され、その電圧が入力電圧に加えられて出力端から出力される。
【0010】
(2)切替スイッチSW2により複巻トランスFTの一次巻線の他端と入力端の他方側とが接続された場合(図7と接続が反対)
複巻トランスFTの一次巻線側に単巻トランスSTのタップ切替スイッチSW1により選択されたタップ位置での電圧が、複巻トランスFTの一次巻線側に極性が反転した状態で加えられる。さらに、この電圧に複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせて減圧した電圧が二次巻線に出力され、入力電圧からこの電圧が引かれて出力端から出力される。このように、本発明においては、切替スイッチSW2とタップ切替スイッチSW1の切り替え位置の組み合わせにより、入力電圧に対してタップ切替スイッチSW1の切り替え位置によって細かく調節されかつ複巻トランスで減圧された電圧を、所定の入力電圧に加えたり引いたりしながら出力電圧を広い範囲で簡単に調節することができる。
【0011】
本発明においては、交流電源の入力電圧が変動することにより出力電圧が目標電圧値から変動したような場合に、演算制御手段により、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とが比較される。演算制御手段は、出力電圧の目標電圧値からの差を出来る限り小さくするために、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせるタップ切替スイッチと切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算により求める。その演算結果に基づいて、スイッチ切替手段により電気的に迅速にタップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えが行われ、出力電圧の目標電圧値からの差が最小になるように制御される。そのため、本発明によれば、安定化電源装置により、電源電圧のコードにより生じた電圧降下分と電源電圧の変動を合わせて是正でき、出力側コンセントを通して所望の出力電圧が供給される。その結果、本発明においては、電源から数10m以上離れた作業現場においても非常に変動の少ない良好な電圧を利用できるため、作業現場で別途安定化電源装置を用意する必要なく簡易かつ安定した作業が可能になる。
【0012】
また、本発明においては、安定化電源装置が、トランスと制御装置により構成されており、動作により発生する発熱が非常に少ないため、ファン等の冷却手段によって冷却しなくても筒状リールが過熱状態になることがない。その結果、本発明においては、筒状リール内に収容されるのが安定化電源装置のみであるため、コードリールの無用な重量増加を抑えつつ、安定化電源装置を設けたことによる効果を享受できる。
【0013】
本発明においては、単巻トランスと複巻トランスが、筒状リール内の軸心を中心とした回転対称位置に配設されることが好ましい。このように、安定化電源装置の単巻トランスと複巻トランスが筒状リールの回転中心に対称に配置されているため、コードを巻き取ったり引き延ばして使用する際に、重い単巻及び複巻トランスを内蔵した筒状リールでも、その回転がスムーズに行われ、コードの取り扱い作業が簡易に行われる。
【0014】
本発明においては、安定化電源装置が、入力端の一方に一端が接続されると共に入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設け、複数のタップの内の一端側と中間の間のものを第1のタップ群とし、中間から他端側のものを第2のタップ群とした単巻トランスと、一次巻線と、一次巻線に磁気結合されて入力端の一方と出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する複巻トランスと、複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、一端と第1のタップ群及び第2のタップ群のいずれか一方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第1タップ切替スイッチと、複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、他端と第1のタップ群及び第2のタップ群の他方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第2タップ切替スイッチと、交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、第1タップ切替スイッチ及び第2切替スイッチの切り替えの組合せと、組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる第1タップ切替スイッチ及び第2タップ切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、演算制御手段による演算結果に基づいて、第1タップ切替スイッチ及び第2タップ切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段とを設けたものであってもよい。
【0015】
この安定化電源装置の動作は、以下の(1)、(2)の2つの場合に分けられる。
(1)第1タップ切替スイッチSW1が、第1のタップ群に含まれる複数のタップのいずれかに接続され、第2タップ切替スイッチSW2が、第2のタップ群に含まれる複数のタップのいずれかに接続されるようになっている場合(図11参照)
第1タップ切替スイッチSW1により選択された第1のタップ群におけるタップ位置での電圧から第2タップ切替スイッチSW2により選択された第2のタップ群におけるタップ位置での電圧を引いた電圧が、複巻トランスFTの一次巻線側に極性が反転した状態で加えられる。さらに、この電圧に複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせた値の電圧が二次巻線に出力され、この電圧が入力電圧から引かれて出力端から出力される。
【0016】
(2)第1タップ切替スイッチSW1が、第2のタップ群に含まれる複数のタップのいずれかに切り替えられ、第2タップ切替スイッチSW2が、第1のタップ群に含まれる複数のタップのいずれかに切り替えられるようになっている場合(図11でCSWの接続が反対)
第2タップ切替スイッチSW2の第1のタップ群におけるタップ位置での電圧から第1タップ切替スイッチSW1の第2のタップ群におけるタップ位置での電圧を引いた電圧が、複巻トランスFTの一次巻線側に極性を合わせて加えられる。さらに、この電圧に複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせた値の電圧が二次巻線に出力され、その電圧が入力電圧に加えられて出力端から出力される。
【0017】
その結果、本発明においては、第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えの組み合わせにより、入力電圧に対して第1及び第2タップ切替スイッチの切り替え位置によって細かく調節されかつ複巻トランスで減圧された電圧を、入力電圧に加えたり引いたりしながら出力電圧を広い範囲で細かく簡単に調節することができる。
【0018】
第1及び第2タップ切替スイッチが、上記(1)、(2)のいずれかの場合において、出力電圧として目標電圧値が決められることにより、以下の制御が行われる(図10参照)。入力電圧が変動することにより出力電圧が目標電圧値から変動したような場合に、演算制御手段により、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とが比較される。演算制御手段は、出力電圧の目標電圧値からの差を出来る限り小さくするために、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算して求める。その演算結果に基づいて、スイッチ切替手段により電気的に迅速に第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えが行われ、出力電圧の目標電圧値からの差が最小になるように制御される。その結果、本発明においては、電源から数10m以上離れた作業現場においても非常に変動の少ない良好な電圧を利用できるため、作業現場で別途安定化電源装置を用意する必要なく簡易かつ安定した作業が可能になる。
【0019】
また、本発明においては、安定化電源装置が、トランスと制御装置により構成されており、動作により発生する発熱が非常に少ないため、ファン等の冷却手段によって冷却しなくても筒状リールが過熱状態になることがない。その結果、本発明においては、筒状リール内に収容されるのが安定化電源装置のみであるため、コードリールの無用な重量増加を抑えつつ、安定化電源装置を設けたことによる効果を享受できる。本発明においても、単巻トランスと複巻トランスが、筒状リール内の軸心を中心とした回転対称位置に配設されることが好ましく、これにより、重い単巻及び複巻トランスを内蔵した筒状リールでも、その回転がスムーズに行われ、コードの巻き取り引き延ばし作業が簡易に行われる。
【0020】
さらに、本発明においては、安定化電源装置が、入力端の一方に一端が接続されると共に入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設け、複数のタップの内の一端側と中間の間のものを第1のタップ群とし、中間から他端側のものを第2のタップ群とした単巻トランスと、一次巻線と、一次巻線に磁気結合されて入力端の一方と出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する複巻トランスと、複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、一端と第1のタップ群及び第2のタップ群のいずれか一方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第1タップ切替スイッチと、複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、他端と第1のタップ群及び第2のタップ群の他方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第2タップ切替スイッチと、複巻トランスの一次巻線の両端と、第1タップ切替スイッチ及び第2タップ切替スイッチとの接続を電気的に切り替える一次巻線切替スイッチと、交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、第1タップ切替スイッチ、第2切替スイッチ及び一次巻線切替スイッチの切り替えの組合せと、組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる第1タップ切替スイッチ、第2タップ切替スイッチ及び一次巻線切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、演算制御手段による演算結果に基づいて、第1タップ切替スイッチ、第2タップ切替スイッチ及び一次巻線切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段とを設けたものであってもよい。これにより、図10に示すように、第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2の第1のタップ群及び第2のタップ群相互への切り替えを一次巻線切替スイッチCSWにより簡単に切り替えることができる。その結果、本発明によれば、所定の入力電圧に対して第1及び第2タップ切替スイッチの第1のタップ群と第2タップ群への切替と、両切替スイッチSW1,SW2の両タップ群での切り替え位置とによって、細かく調節されかつ複巻トランスで減圧された電圧を入力電圧に加えたり引いたりしながら出力電圧をさらに広い範囲で細かく簡単に調節することができる。
【0021】
本発明においては、図10に示すように、入力電圧が変動することにより出力電圧が目標電圧値から変動したような場合に、演算制御手段により、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とが比較される。演算制御手段は、出力電圧の目標電圧値からの差を出来る限り小さくするために、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる一次巻線切替スイッチと第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算して求める。その演算結果に基づいて、スイッチ切替手段により電気的に迅速に一次巻線切替スイッチと第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えが行われ、出力電圧の目標電圧値からの差が最小になるように制御される。その結果、本発明においては、電源から数10m以上離れた作業現場においても非常に変動の少ない良好な電圧を利用できるため、作業現場で別途安定化電源装置を用意する必要なく簡易かつ安定した作業が可能になる。
【0022】
また、本発明においては、安定化電源装置が、トランスと制御装置により構成されており、動作により発生する発熱が非常に少ないため、ファン等の冷却手段によって冷却しなくても筒状リールが過熱状態になることがない。その結果、本発明においては、筒状リール内に収容されるのが安定化電源装置のみであるため、コードリールの無用な重量増加を抑えつつ、安定化電源装置を設けたことによる効果を享受できる。本発明においても、単巻トランスと複巻トランスが、筒状リール内の軸心を中心とした回転対称位置に配設されることが好ましく、これにより、重い単巻及び複巻トランスを内蔵した筒状リールでも、その回転がスムーズに行われ、コードの巻き取り引き延ばし作業が簡易に行われる。
【発明の効果】
【0023】
本発明においては、安定化電源装置の特性が筒状リールの空間内において外部の磁界に妨害されることなく適正に発揮され、長いコードによる電圧降下と電源電圧の変動も含めて是正されることにより、出力側コンセントを通して電源電圧に合わせた適正な出力電圧が得られるため、電源から数10m以上離れた作業現場においても電源電圧に近似した良好な電圧を簡易に利用できる。また、本発明においては、安定化電源装置の単巻及び複巻トランスが筒状リールの回転中心に対称に配置されているため、コードを巻き取ったり、引き延ばして使用する際の筒状リールの回転がスムーズに行われるため、重いトランスを内蔵したコードリールの操作も簡易に行われる。
【0024】
本発明においては、安定化電源装置としてタップ切替スイッチによる単巻トランスのタップ位置の切り替えと、切替スイッチによる副巻トランスの接続の切り替えの組み合わせとすることにより、入力電圧に対してタップ切り替え位置によって細かく調節されかつ複巻トランスで減圧された電圧を加えたり引いたりしながら入力電圧の広い範囲の変動を簡単に是正することができる。
【0025】
また、本発明おいては、安定化電源装置として、第1及び第2タップ切替スイッチによる単巻トランスの第1及び第2のタップ群におけるタップ位置の切り替えと、第1及び第2タップ切替スイッチと副巻トランスの接続の切り替えの組み合わせにより、所定の入力電圧に対して第1及び第2タップ切替スイッチの切り替え位置によって細かく調節されかつ複巻トランスで減圧された電圧を加えたり引いたりしながら入力電圧を広い範囲の変動を細かく簡単に是正することができる。また、本発明においては、単巻トランスと複巻トランスが、筒状リール内の軸心を中心とした回転対称位置に配設されることが好ましく、これにより、コードを巻き取ったり引き延ばして使用する際に、重い単巻及び複巻トランスを内蔵した筒状リールでもその回転がスムーズに行われ、コードの取り扱い作業が簡易に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1であるコードリールの概略構成を示す正面図である。
【図2】コードリールを示す側面図である。
【図3】コードリールを示す図2のIII−III線方向の断面図である。
【図4】コードリールを示す図2のIV−IV線方向の断面図である。
【図5】図3のV−V線方向の断面図である。
【図6】安定化電源装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】同安定化電源装置の単巻トランスと複巻トランスの動作を説明する説明図である。
【図8】実施例2であるコードリールの概略構成を示す正面図である。
【図9】コードリールを示す図8のM−M線方向の断面図である。
【図10】実施例3であるコードリールに用いられる安定化電源装置の概略構成を示すブロック図である。
【図11】同安定化電源装置の単巻トランスと複巻トランスの動作を説明する説明図である。
【図12】実施例4であるコードリールに用いられる安定化電源装置の概略構成を示すブロック図である。
【図13】同安定化電源装置の態様(1)の動作を説明する説明図である。
【図14】同安定化電源装置の態様(2)の動作を説明する説明図である。
【図15】同安定化電源装置の態様(3)の動作を説明する説明図である。
【図16】同安定化電源装置の態様(4)の動作を説明する説明図である。
【図17】実施例5であるコードリールに用いられる安定化電源装置の概略構成を示すブロック図である。
【図18】同安定化電源装置の態様(1)の動作を説明する説明図である。
【図19】同安定化電源装置の態様(2)の動作を説明する説明図である。
【図20】同安定化電源装置の態様(3)の動作を説明する説明図である。
【図21】同安定化電源装置の態様(4)の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1から図5は、一実施例である安定化電源装置内蔵型のコードリールの概略構成を正面図、側面図、III−III線方向断面図、IV−IV線方向断面図及びV−V線方向断面図により示したものである。コードリール10は、両端が左及び右側板13,14で封止された中空の筒状リール11と、筒状リール11の軸心を貫通して左及び右側板13,14に固定された軸部材19と、軸部材19の両端を回転自在に支持する台23と、筒状リール11内に収容された安定化電源装置40とを設けており、台23によって地面G上に載置される。以下、コードリール10の左右については、図1の左右に合わせるものとする。
【0028】
筒状リール11は、鉄製の薄板で形成された円筒形状の本体12を有している。本体12両端には本体12より大径の鉄製円板である左及び右側板13,14が同軸状に配置されてビス15で固定されて本体12内部を封止している。本体12内の左右両端側には、ステンレス製の円板である左及び右取付板16,17が本体12内に同軸状にかつ内壁面に密着して取り付けられている。左及び右側板13,14の中心孔13a,14aと、左及び右取付板16,17の中心孔16a,17aには、ステンレス製の丸棒である軸部材19が挿通されている。左及び右取付板16,17の対向する内側面には、中心孔16a,17aを挟んだ径方向両側に各一対で合わせて8個のブラケット21がボルト21cにより固定されている。ブラケット21は、ステンレス製の矩形の薄板を直角に折り曲げた第1板部21aと第2板部21bからなる。一対のブラケット21の第1板部21aが、左及び右取付板16,17の外周側と中心孔16a,17a側にそれぞれ固定されて、第2板部21bが軸方向内方に向けて互いに平行に対向して配置されている。
【0029】
台23は、鉄製パイプの曲げ加工により形成された台本体24と、台本体24に取り付けられる一対の連結板28とを設けている。台本体24は、互いに対向して配置された略U字状の一対の側面部25と、両側面部25を下端側で連結する2本の支持俸部26とを有している。側面部25は、互いに平行な一対の垂直部25aと、両垂直部25aの一端間を連結する水平部25bと、両垂直部25aの他端で略50°の角度で拡がるように折り曲げられた傾斜部25cを含んでいる。さらに、互いに対向する両側面部25の傾斜部25cの端部間がそれぞれ支持俸部26で連結されて、台本体24が構成されている。各側面部25の互いに対向する垂直部25aの傾斜部25c近傍位置には、連結板28が溶接により固定されている。
【0030】
連結板28は、金属製の長方形の厚板であり、中央に貫通孔28aを有しており、貫通孔28aにベアリング29が嵌合固定されている。一対の連結板28に固定されたベアリング29の中心孔29aには、上記軸部材19が挿通されて、回転自在にかつ軸方向へ移動不能に取り付けられている。これにより、筒状リール11が台23に回転自在に支持される。軸部材19の端部にはハンドル(図示しない)が取り付け可能になっており、ハンドルを操作することにより、筒状リール11を回転させてコードの引き出しや巻取りがスムーズに行われるようになっている。なお、台については、実施例の構造に限るものではなく、筒状リール11の軸部材19を片持ち支持する構造であってもよい。
【0031】
左側板13には、2つの出力端を有する出力側コンセント31が取り付けられている。左側板13には、安定化電源装置40を通さず直接コードにつなげられるコンセント32が取り付けられており、出力側コンセント31の使用と選択可能になっている。また、左側板13には、過電流の際に電源を遮断する漏電ブレーカ33が取り付けられている。さらに、左側板13には、後述する保護リレー37の通電状態を表示するランプ34が取り付けられている。なお、出力側コンセント31等については、実施例に限らず、左及び右側板13,14のいずれに取り付けられてもよい。
【0032】
本体12外周面には、長さ100m程度のコード35が固定具35aにより固定されて外周面に巻き付け可能にされると共に、一端側のソケット35bにより電源コンセント(図示しない)に接続可能なようになっている。固定具35aを経て筒状リール11内の延びたコード35は、後述する単巻トランスSTと複巻トランスFTに接続され、さらに複巻トランスFTの二次巻き線端子に固定されたコード35は、保護スイッチである保護リレー37を介して出力側コンセント31に接続される。また、本体12内壁には温度センサ38が固定されており、温度センサ38は保護リレー37の制御端子に接続されている。保護リレー37は常閉接点を有するスイッチであり、温度センサ38からの上限温度以上の信号を受けて開放状態にされるようになっており、また温度センサ38からの下限温度以上の信号を受けて開放状態から閉鎖状態に戻されるようになっている。
【0033】
筒状リール11の左及び右取付板16,17に挟まれた空間内には、入力電圧の変動に対して出力電圧を予め定めた目標出力電圧に制御する安定化電源装置40が配設されている。安定化電源装置40は、図6に示すように、商用の100v交流電源が入力される一対の入力端a1,a2と、交流電源の電圧を変圧した出力電圧を出力する一対の出力端b1,b2とを備えており、他方の入力端a2と出力端b2がリード線で直結されている。両入力端a1,a2間には、単巻トランスSTが両端にて接続されており、両端を含めた間には入力端a2側から順に等間隔で5つのタップt1〜t5を設けている。入力電圧を100vとすると、タップt1〜t5に加わる電圧は、0v,25v,50v,75v,100vとなる。
【0034】
入力端a1と出力端b1の間には、複巻トランスFTが一次巻線に磁気結合された二次巻線の両端にて接続されている。複巻トランスFTは、一次巻線と二次巻線の比が5:1であり、両巻線の定格電圧が100v/20vである降圧トランスである。複巻トランスFTの一次巻線の一端(図6の左端)にはタップ切替スイッチSW1が接続されており、一端とタップt1〜t5のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。タップ切替スイッチSW1は、各タップt1〜t5に接続された電気的なスイッチである電界効果トランジスタやIGBT等からなる5個のスイッチFET1〜FET5である。また、複巻トランスFTの一次巻線の他端(図6の右端)には切替スイッチSW2が接続されており、一次巻線の他端と入力端a1側及び入力端a2側のいずれか一方との接続を切り替え可能になっている。切替スイッチSW2も、タップ切替スイッチSW1と同様一対の電界効果トランジスタやIGBT等からなるものである。
【0035】
単巻トランスSTと複巻トランスFTは、図3〜図5に示すように、筒状リール11の左及び右取付板16,17に挟まれた空間内において、鉄心を軸方向に平行に向けて、軸部材19を挟んだ径方向両側に配置されている。単巻トランスSTと複巻トランスFTは、各鉄心が軸方向の両側でかつ径方向の内外側において、それぞれ一対のブラケット21の第2板部21bに挟まれて、ボルト止めにより固定されている。
【0036】
安定化電源装置40は、出力電圧の変動を抑えるようなタップ切替スイッチSW1と切替スイッチSW2の切り替えの組み合わせを演算する演算制御装置41を備えている。演算制御装置41は、I/O,ROM,RAM,CPU等からなるマイクロコンピュータ等を設けており、データ記憶手段であるROMにはタップ切替スイッチSW1及び切替スイッチSW2の切り替えの組合せと、組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す後述する表1に相当する組合せデータD1が記憶されている。
【0037】
演算制御装置41の入力側には、交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段である目標電圧入力部42が接続されている。目標電圧入力部42から入力された目標出力電圧は、演算制御装置41のRAMに記憶されるようになっており、本実施例では目標出力電圧は100vとなっている。出力端子b1,b2間には交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段である出力電圧検出器43が接続されており、出力電圧検出器43は演算制御装置41の入力側に接続されている。演算制御装置41の出力側には、スイッチ切替手段であるスイッチ切替部44が接続されている。スイッチ切替部44は、演算制御装置41からの出力を受けて、スイッチFET1〜5のいずれかを選択してオン信号を出力し、切替スイッチSW2に端子a1あるいはa2のいずれかの選択信号を出力するものである。演算制御装置41、目標電圧入力部42、出力電圧検出器43、スイッチ切替部44等は、図4,図5に示すように、2枚の制御基板41a,41bに分けて配置されて、筒状リール11内の左及び右取付板16,17の間の軸部材19を挟んだ径方向両側で、かつ単巻トランスSTと複巻トランスFTと直交する位置にブラケット22に固定されて配置されている。
【0038】
上記安定化電源装置40の動作は、切替スイッチSW2が端子a1、a2の何れに接続されているかに応じて以下の(1)、(2)の2つの場合に分けられる。これについて、図7の動作説明図を用い、入力電圧を100vとして説明する。
(1)切替スイッチSW2により複巻トランスFTの一次巻線の他端と入力端a1とが接続された場合(図7参照)
単巻トランスSTのタップ切替スイッチSW1により選択された例えばタップ位置t2での電圧25vを入力電圧100vから引いた電圧75vが、複巻トランスFTの一次巻線側に極性を合わせて加えられる。さらに、この電圧75vに複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比20/100=1/5を掛け合わせた値の電圧15vが入力電圧100vに加えられ、出力端b1,b2から115vの出力電圧として出力される。
【0039】
(2)切替スイッチSW2により複巻トランスFTの一次巻線の他端と入力端a2とが接続された場合(図7と反対)
複巻トランスFTの一次巻線側に単巻トランスSTのタップ切替スイッチSW1により選択された例えばタップt2位置での電圧25vが、複巻トランスFTの一次巻線側に極性が反転した状態で加えられる。さらに、この電圧25vに複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比1/5を掛け合わせた値の電圧5vが入力電圧100vから引かれて、出力端b1,b2から出力電圧95vとして出力される。
(1),(2)に係る切替スイッチSW2とタップ切替スイッチSW1の全ての組み合わせとそれによる出力電圧値との関係を下記表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例1においては、切替スイッチSW2とタップ切替スイッチSW1の切り替え位置の組み合わせにより、入力電圧100vに対してタップ切替スイッチSW1の切り替え位置によって細かく調節されかつ複巻トランスFTで減圧された電圧を、入力電圧100vに加えたり引いたりしながら出力電圧を80v〜120vの広い範囲で細かい単位で簡単に調節することができる。これにより、入力電圧が変動した場合に、これを調整して出力電圧を一定にすることができる。また、実施例1においては、電圧調整に単巻トランスSTと複巻トランスFTを用いていることにより、入力電圧に対する出力電圧の変換効率を、従来のインバータを用いた安定化電源装置に比べて大幅に高めることができる。
【0042】
上記構成の実施例1においては、交流電源の入力電圧がコード35によって大幅に低下することにより出力電圧が目標電圧値100vから大幅に低下するが、演算制御装置41は、出力電圧検出器43により検出された出力電圧値を読み込んで、目標電圧入力部42から入力された目標電圧値100vと比較する。演算制御装置41は、読み込んだ出力電圧値の目標電圧値からの差を出来る限り小さくするために、ROMに記憶された組合せデータD1に基づいて出力電圧値と目標電圧値100vの差を最小にさせるタップ切替スイッチSW1及び切替スイッチSW2の切り替えの組み合わせを演算により求める。演算制御装置41による演算結果が、スイッチ切替部44に出力され、スイッチ切替部44が切替スイッチSW2に端子a1あるいはa2のいずれかの選択信号を出力し、スイッチFET1〜5のいずれかを選択してオン信号を出力する。その結果、この安定化電源装置40は、入力電圧80〜120vの広い範囲の変動に対して、出力電圧100vの変動を±2.5%程度の狭い範囲に抑えることができる。
【0043】
ここで、実施例1においては、筒状リール11内にて安定化電源装置40の単巻トランスSTと複巻トランスFTがステンレス製の左及び右取付板16,17に支持されて外部と磁気的に遮断された状態で配設されているため、上述した安定化電源装置40の動作が外部の磁界に妨害されることなく適正に行われる。そのため、電源電圧のコード35において生じた電圧降下分は、安定化電源装置40によって適正に是正され、さらには電源電圧の変動も安定化電源装置40によって是正され、出力側コンセント31を通して電源電圧に合わせた適正な出力電圧が得られる。その結果、本実施例1においては、電源から数10m以上離れた作業現場においても電源電圧に近似した良好な電圧を利用でき、作業現場で別途安定化電源装置を用意する必要なく簡易かつ安定した作業が可能になる。
【0044】
また、実施例1においては、単巻トランスST及び複巻トランスFTが筒状リール11の軸部材19を挟んだ径方向両側に対称に配置されているため、コード35を巻き取ったり引き延ばして使用する際に、重いトランスFT,STを内蔵した筒状リール11でも、その回転がスムーズに行われ、コード35の引き延ばしや巻き取り作業が簡易に行われる。また、実施例1においては、タップ切替スイッチSW1及び切替スイッチSW2を流れる電流を出力電流に比べて大幅に少なくできるため、これらスイッチとして大電流の半導体素子を用いる必要がないため、スイッチ素子を安価にすることができ、安定化電源装置40のコストを安価にできる。なお、実施例1においては、安定化電源装置40全体が左及び右取付板16,17間に配設されているが、単巻トランスST及び複巻トランスFTが大容量で大型のものの場合には、両トランスのみを左及び右取付板16,17間に配設させ、制御部分を取付板16,17の外側に配設させてもよい。
【0045】
また、実施例1においては、筒状リール11にコード35の一部が巻き付けられた状態でコードリール10が使用されるような場合に、通電によってコード35が過熱状態になることがあるが、その際には、筒状リール11に取り付けられた温度センサ38が予め定めた上限温度以上を検知すると、保護リレー37が遮断される。そのため、コード35の過熱による焼損等の事故が未然に防止され、コードリール10の安全が確保される。その後、温度センサ38が予め定めた下限温度以下を検知すると、保護リレー37が通電状態に戻されるため、コード35の使用状態が簡易に確保される。ただし、保護リレー37の通電状態への復帰については、スイッチ等の手動操作により行われることも可能である。
【0046】
つぎに、実施例2について図8及び図9により説明する。実施例2は、筒状リール11の支持形態として、実施例1のように台23によって軸部材19を支持する代わりに、台50によって筒状リール11の左及び右側板13,14を支持するようにしたものである。台50は、互いに対向する長方形の金属製薄板である2枚の垂直板部51,52と、両垂直板部51,52の四隅を連結する4本の連結棒53とを有しており、下側の2本の連結棒53には両端側に各一対のキャスタ54が取り付けられている。両垂直板部51,52は、中心孔51a,52aを有すると共に、その対向面の四隅の所定位置にはそれぞれ支持軸55が垂直に固定されており、支持軸55には円盤状の溝付きローラ56が回転自在にかつ抜け止めされて取り付けられている。溝付きローラ56は、軸方向両側が大径部56aになっており、軸方向中間が同軸状に凹んだ小径の溝部56bになっている。4つの溝付きローラ56の溝部56bには、筒状リール11の両側板部13,14が嵌め合わされている。これにより、両側板部13,14は溝付きローラ56によって支持されると共に、溝付きローラ56の回転によりスムーズな回転が可能にされている。
【0047】
上記構成の実施例2においては、筒状リール11は、左及び右側板部13,14を介して4つの溝付きローラ56によって回転自在に支持されると共に、その重量が溝付きローラ56によって分散して支持されるようになっている。そのため、コードリール10Aは、筒状リール11に内部に安定化電源装置40を含んで重量が重くなっているが、4つの溝付きローラ56の回転により筒状リール11のスムーズな回転が確保される。
【0048】
つぎに、実施例3について図10,図11により説明する。
実施例3は、上記コードリール10における安定化電源装置60を図10のように構成したものであり、コードリール10の筒状リール11等の他の構成については実施例1と同様である。安定化電源装置60は、100vの交流電源が入力される一対の入力端a1,a2と、交流電源の電圧を変圧した出力電圧を出力する一対の出力端b1,b2とを備えており、他方の入力端a2と出力端b2がリード線で直結されている。両入力端a1,a2には、複数のタップを設けた単巻トランスSTが両端にて接続されている。単巻トランスSTは、入力端a1と中間mの間の第1のタップ群t21〜t24と、中間mから他端側a2間の第2のタップ群t11〜t15にそれぞれ等間隔に分けられている。第1のタップ群t21〜t24に加わる電圧は、25v,50v,75v,100vであり、第2のタップ群t11〜t15に加わる電圧は、5v,10v,15v,20v,25vである。
【0049】
入力端a1と出力端b1の間には、複巻トランスFTが一次巻線に磁気結合された二次巻線の両端にて接続されている。複巻トランスFTは、一次巻線と二次巻線の比が5:1であり、両巻線の定格電圧が100v/20vである降圧トランスである。単巻トランスSTと複巻トランスFTは、実施例1と同様に筒状リール11内にてステンレス製の左及び右取付板16,17に支持されて外部と磁気的に遮断された状態で配設されている。複巻トランスFTの一次巻線の一端(図10の左端)と他端(図10の右端)には、共通して動作する一対の一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の一端が接続されている。一次巻線切替スイッチCSW1の他端側は切替接点x1,x2になっており、一次巻線切替スイッチCSW2の他端側は切替接点y1,y2になっており、切替接点x1とy1、切替接点x2とy2がペアでオンされるようになっている。切替接点x1,y2には第1タップ切替スイッチSW1が接続されており、切替接点x2,y1には第2タップ切替スイッチSW2が接続されている。
【0050】
一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2は、切替接点x1,y1への接続と切替接点x2,y2への接続とが切り替えられるようになっている。一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の切替接点x1,y1が閉じられているときは、複巻トランスFTの一次巻線の一端(図10の左端)には第1タップ切替スイッチSW1が接続されて、一端と第1のタップ群t21〜t24のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。また、複巻トランスFTの一次巻線の他端(図10の右端)には第2タップ切替スイッチSW2が接続されて、他端と第2のタップ群t11〜t15のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。一方、一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の切替接点x2,y2が閉じられているときは、複巻トランスFTの一次巻線の一端には第2タップ切替スイッチSW2が接続されて、一端と第2のタップ群t11〜t15のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。また、複巻トランスFTの一次巻線の他端には第1タップ切替スイッチSW1が接続されて、他端と第1のタップ群t21〜t24のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。
【0051】
その結果、一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の一方の切替接点毎に、第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2によるタップの切り替えの組合せはそれぞれ20通りとなり、両方合わせて40通りの組み合わせになっている。第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2は、第1のタップ群t21〜t24と第2のタップ群t11〜t15に接続された電気的なスイッチである電界効果トランジスタやIGBT等からなる9個のスイッチFET1〜4、FET5〜9である。一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2も第1タップ切替スイッチSW1、第2タップ切替スイッチSW2と同様、電気的なスイッチであるFETやIGBT等である。
【0052】
安定化電源装置60の演算制御装置41、目標電圧入力部42、出力電圧検出器43、スイッチ切替部44については、上記実施例1のものと同様である。演算制御装置41のROMには、第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2の切り替えの組合せと、一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の切り替えの組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す後述する表2、表3に相当する組合せデータD2が記憶されており、RAMに目標電圧入力部42から入力された目標電圧値100vが記憶されている。
【0053】
安定化電源装置60の動作は、一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の切替接点x1,y1が閉じられているか、切替接点x2,y2が閉じられているかに応じて以下の(1)、(2)の2つの場合に分けられる。これについて、図11の動作説明図を用い、入力電圧を100vとして説明する。
(1)切替接点x1,y1が閉じられているとき
第1タップ切替スイッチSW1の第1のタップ群におけるタップ位置例えばt22での電圧50vから第2タップ切替スイッチSW2の第2のタップ群におけるタップ位置例えばt13での電圧15vを引いた電圧35vが、複巻トランスFTの一次巻線側に極性を反転した状態で加えられる。さらに、この電圧に複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比1/5を掛け合わせた値の電圧7vが二次巻線に出力され、その電圧7vが入力電圧100vから引かれて、出力電圧93vとして出力端b1,b2から出力される。このような第1タップ切替スイッチSW1と第2タップ切替スイッチSW2の20種類全てのタップの組み合わせとそれによる出力電圧値との関係を下記表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
その結果、入力電圧100vに対して、第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2の切り替え位置によって20種類に細かく調節して複巻トランスFTで減圧した電圧を、入力電圧100vから引くことにより、出力電圧として出力端b1,b2から出力される。
【0056】
(2)切替接点x2,y2が閉じられているとき
第2タップ切替スイッチSW2の第1のタップ群におけるタップ位置例えばt22での電圧50vから第1タップ切替スイッチSW1の第2のタップ群におけるタップ位置例えばt13での電圧15vを引いた電圧35vが、複巻トランスFTの一次巻線側に極性を合わせて加えられる。さらに、この電圧に複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比1/5を掛け合わせた値の電圧7vが二次巻線に出力され、その電圧7vが入力電圧100vに加えられて、出力電圧107vとして出力端b1,b2から出力される。このような第1タップ切替スイッチSW1と第2タップ切替スイッチSW2の20種類全てのタップの組み合わせとそれによる出力電圧値との関係を下記表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
その結果、入力電圧100vに対して、第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2の切り替え位置によって20種類に細かく調節して複巻トランスFTで減圧した電圧を、入力電圧100vに加えることにより、出力電圧として出力端b1,b2から出力される。
【0059】
実施例3においては、一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の切替及び第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2の切り替え位置の組み合わせにより、入力電圧100vに対してタップ切替スイッチSW1の切り替え位置によって細かく調節されかつ複巻トランスFTで減圧された電圧を、入力電圧100vに加えたり引いたりしながら出力電圧を81v〜119vの広い範囲で細かい単位で簡単に調節することができる。これにより、入力電圧が変動した場合に、これを調整して出力電圧を一定にすることができる。
【0060】
上記構成の実施例3においては、交流電源の入力電圧がコード35によって大幅に低下することにより出力電圧が目標電圧値100vから大幅に低下するが、演算制御装置41は、出力電圧検出器43により検出された出力電圧値を読み込んで、目標電圧入力部42から入力された目標電圧値100vとを比較する。演算制御装置41は、読み込んだ出力電圧値の目標電圧値100vからの差を出来る限り小さくするために、ROMに記憶された組合せデータD2に基づいて出力電圧値と目標電圧値100vの差を最小にさせる第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2の切り替えの組み合わせを演算により求める。演算制御装置41による演算結果が、スイッチ切替部44に出力され、スイッチ切替部44がスイッチFET1〜4とスイッチFET5〜9からそれぞれ1つずつを選択してオン信号を出力する。
【0061】
その結果、この安定化電源装置60は、コード35端部の電圧降下や、交流電源の電圧変動等による入力電圧の84v〜123vの広い範囲の変動に対して、出力電圧100vの変動を±0.5%程度の範囲に抑えることができる。また、実施例3においては、第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2を流れる電流を出力電流に比べて大幅に少なくできるため、これらスイッチSW1,SW2として大電流の半導体素子を用いる必要がないため、スイッチ素子を安価にすることができ、装置コストを安価にできる。
【0062】
なお、実施例3において、一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2を省き、第1タップ切替スイッチSW1を第1のタップ群t21〜t24に接続すると共に、第2タップ切替スイッチSW2を第2のタップ群t11〜t15に接続する形態としたり、逆に第1タップ切替スイッチSW1を第2のタップ群t11〜t15に接続すると共に、第2タップ切替スイッチSW2を第1のタップ群t21〜t24に接続する形態とすることができる。本発明においては、特にコード35による交流電源の電圧降下が問題になっているため、交流電源電圧の変動が少ない場合は、第1タップ切替スイッチSW1を第2のタップ群t11〜t15に接続すると共に、第2タップ切替スイッチSW2を第1のタップ群t21〜t24に接続する形態に固定してもよい。
【0063】
つぎに、実施例4について図12〜図16により説明する。
実施例4は、上記コードリール10における安定化電源装置70を図12のように構成したものであり、コードリール10の筒状リール11等の他の構成については実施例1と同様である。安定化電源装置70は、100vの交流電源が入力される一対の入力端a1,a2と、交流電源の電圧を変圧した出力電圧を出力する一対の出力端b1,b2とを備えており、他方の入力端a2と出力端b2がリード線で直結されている。両入力端a1,a2には、単巻トランスSTが両端にて接続されており、両端を含めた間には他端側から順に等間隔で5つのタップt1〜t5を設けている。これらタップt1〜t5に加わる電圧は、0v,25v,50v,75v,100vとなる。単巻トランスSTの5つのタップt1〜t5には、タップ切替第1スイッチTSW1とタップ切替第2スイッチTSW2が別個に切り替え可能に接続されている。タップ切替第1スイッチTSW1及びタップ切替第2スイッチTSW2を、タップt1〜t5に接続された電気的なスイッチである電界効果トランジスタやIGBT等からなる各5個のスイッチFET1〜5とFET6〜10とした。
【0064】
入力端a1と出力端b1の間には、第1複巻トランスFT1が一次巻線に磁気結合された二次巻線の両端にて接続されている。第1複巻トランスFT1は、一次巻線と二次巻線の比が5:1であり、両巻線の定格電圧が100v/20vである降圧トランスである。第1複巻トランスFT1に対して、第2複巻トランスFT2が併設されている。第2複巻トランスFT2は、一次巻線と二次巻線の比が8:1であり、両巻線の定格電圧が100v/12.5vである降圧トランスである。第1複巻トランスFT1の一次巻線の一端(図12の左端)にはタップ切替第1スイッチTSW1が接続されており、一端とタップt1〜t5のいずれか1つとの接続が切り替え可能になっている。第1複巻トランスFT1の一次巻線の他端(図12の右端)は、第2複巻トランスFT2の二次巻線の他端に接続されている。
【0065】
上記単巻トランスSTと第1複巻トランスFT1の間において入力端a1のリード線と入出力端a2,b2間のリード線間には、複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21とが並列に接続されている。複巻トランス第1切替スイッチSW22は、第2複巻トランスFT2の二次巻線の一端に接続されて、二次巻線の一端と入力端a1側と入出力端a2,b2側との接続の切り替えが可能になっている。複巻トランス第2切替スイッチSW21は、第2複巻トランスFT2の一次巻線の一端に接続されて、一次巻線の一端と入力端a1と入出力端a2,b2との接続の切り替えが可能になっている。第2複巻トランスFT2の一次巻線の他端には、タップ切替第2スイッチTSW2が接続されており、他端とタップt1〜t5のいずれか1つとの接続が切り替え可能になっている。複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21も電気的なスイッチである電界効果トランジスタやIGBT等からなるスイッチとした。
【0066】
上記実施例4の動作については、複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21が、入力端a1と入出力端a2,b2の何れに切り替えられているかによって、以下の4つの態様(1)〜(4)に分けられる。
(1)複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21が、いずれも入力端a1側に接続された場合(図13参照)
(2)複巻トランス第1切替スイッチSW22が入力端a1側に接続され、複巻トランス第2切替スイッチSW21が入出力端a2,b2側に接続された場合(図14参照)
(3)複巻トランス第1切替スイッチSW22が入出力端a2,b2側に接続され、複巻トランス第2切替スイッチSW21が入力端a1側に接続された場合(図15参照)
(4)複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21がいずれも入出力端a2,b2側に接続された場合(図16参照)
【0067】
以下、態様(1)の場合について説明する。タップ切替第1スイッチTSW1とタップ切替第2スイッチTSW2が、単巻トランスSTにおける例えばタップ位置t4とタップt2に接続されていると、タップ位置t4での電圧75vを入力電圧100vから引いた電圧25vが、第1複巻トランスFT1の一次巻線に極性に合わせて加えられる。この電圧25vに第1複巻トランスFT1の一次巻線と二次巻線の比1/5を掛け合わせた値の電圧5vが二次巻線に出力される。この複巻トランス第1切替スイッチSW22とタップ切替第1スイッチTSW1の全ての組み合わせと、それによる第1複巻トランスFT1の二次巻線側の電圧値との関係を下記表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
一方、タップ切替第2スイッチTSW2の単巻トランスSTにおけるタップ位置t2での電圧25vを入力電圧100vから引いた電圧75vが、第2複巻トランスFT2の一次巻線に極性を反転した状態で加えられる。この電圧に第2複巻トランスFT2の一次巻線と二次巻線の比1/8を掛け合わせた値の電圧9.375vが二次巻線に出力される。さらに、この電圧9.375vが第1複巻トランスFT1の一次巻線に加えられ、この電圧に第1複巻トランスFT1の一次巻線と二次巻線の比1/5を掛け合わせた値の電圧1.875vが、二次巻線側に出力される。この複巻トランス第2切替スイッチSW21とタップ切替第2スイッチTSW2の全ての組み合わせと、それによる第2複巻トランスFT2と第1複巻トランスFT1の各二次巻線側の電圧値との関係を下記表5−1、表5−2に示す。
【0070】
【表5−1】
【0071】
【表5−2】
【0072】
以上のように、上記態様(1)においては、入力電圧100vに対して、タップ切替第1スイッチTSW1と第1複巻トランスFT1を経た0〜20vの範囲の電圧が加えられ、タップ切替第2スイッチTSW2と第2複巻トランスFT2及び第1複巻トランスFT1を経た0〜−2.5vの範囲の電圧が引かれて、出力端から97.5〜120vの範囲の電圧が出力される。その結果、態様(1)の場合は、入力電圧に対して、第1複巻トランスFT1で減圧された電圧が加えられると共に、第2副巻トランスFT2と第1複巻トランスFT1で二重に減圧された電圧が引かれることにより、入力電圧に対して2段階で非常に細かく調整された出力電圧を出力することができる。上記態様(2)についても同様の動作が行われて出力端から100〜122.5vの範囲の電圧が出力される。上記態様(3)については、出力端から77.5〜100vの範囲の電圧が出力される。上記態様(4)については、出力端から80〜102.5vの範囲の電圧が出力される。
【0073】
実施例4における安定化電源装置70の演算制御装置41、目標電圧入力部42、出力電圧検出器43、スイッチ切替部44については、上記実施例1,3のものと同様である。演算制御装置41のROMには、タップ切替第1及び第2スイッチTSW1,TSW2の切り替えの組合せと、複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21の切替の組み合わせを合わせた組合せに応じた第2複巻トランスFT2と第1複巻トランスFT1の各二次巻線側の電圧値との関係を表す上記表4と表5−1、表5−2に相当する組合せデータD3が記憶されている。
【0074】
上記構成の実施例4においても、実施例1,3と同様の動作により、安定化電源装置70は、入力電圧77.5v〜122.5vの広い範囲の変動に対して、出力電圧100vの変動を±0.5%程度の範囲に抑えることができる。また、実施例4においては、タップ切替第1及び第2スイッチTSW1,TSW2と複巻トランス第1切替スイッチSW22及び複巻トランス第2切替スイッチSW21を流れる電流を出力電流に比べて大幅に少なくできるため、これらスイッチとして大電流の半導体素子を用いる必要がないため、スイッチ素子を安価にすることができ、装置コストを安価にできる。
【0075】
なお、実施例4においては、第2副巻トランスFT2の一次巻線、二次巻線の各一端の入力端a1,a2のいずれかへの接続を、電気的スイッチである複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21の自動的な切り替えによって行っているが、これに代えて、複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21を用いずに、直接リード線で接続した4つの場合に分けて、それぞれの場合を実施例とすることも可能である。
【0076】
つぎに、実施例5について図17〜図21により説明する。
実施例5は、上記コードリール10における安定化電源装置80を図17のように構成したものであり、コードリール10の筒状リール11等の他の構成については実施例1と同様である。安定化電源装置80は、100vの交流電源が入力される一対の入力端a1,a2と、交流電源の電圧を変圧した出力電圧を出力する一対の出力端b1,b2とを備えており、他方の入力端a2と出力端b2がリード線で直結されている。両入力端a1,a2には、単巻トランスSTが両端にて接続されており、両端を含めた間には他端側から順に等間隔で5つのタップt1〜t5を設けている。これらタップt1〜t5に加わる電圧は、0v,25v,50v,75v,100vとなる。単巻トランスSTの5つのタップt1〜t5には、タップ第1切替スイッチTSW1とタップ第2切替スイッチTSW2が別個に切り替え可能に接続されている。タップ切替第1スイッチTSW1及びタップ切替第2スイッチTSW2を、タップt1〜t5に接続された電気的なスイッチである電界効果トランジスタやIGBT等からなる各5個のスイッチFET1〜5とFET6〜10とした。
【0077】
入力端a1と出力端b1の間には、複巻第1トランスFT1が配置され、その一次巻線に磁気結合された二次巻線の一端にて入力端a1に接続されている。複巻第1トランスFT1は、一次巻線と二次巻線の比が5:1であり、両巻線の定格電圧が100v/20vである降圧トランスである。複巻第1トランスFT1に対して、複巻第2トランスFT2が併設されて、二次巻線の一端が複巻第1トランスFT1の二次巻線の他端に接続され、二次巻線の他端が出力端b1に接続されている。複巻第2トランスFT2は、一次巻線と二次巻線の比が40:1と複巻第1トランスFT1に比べて8倍の巻線比であり、両巻線の定格電圧が100v/2.5vである降圧トランスである。複巻第1トランスFT1の一次巻線の一端にはタップ第1切替スイッチTSW1が接続されており、一端とタップt1〜t5のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。複巻第2トランスFT2の一次巻線の一端にはタップ第2切替スイッチTSW2が接続されており、一端とタップt1〜t5のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21も電気的なスイッチである電界効果トランジスタやIGBT等からなるスイッチとした。
【0078】
上記単巻トランスSTと複巻第1トランスFT1の間において入力端a1のリード線と入出力端a2,b2間のリード線との間には、第1複巻トランス切替スイッチSW11と第2複巻トランス切替スイッチSW21とが並列に接続されている。第1複巻トランス切替スイッチSW11は、複巻第1トランスFT1の二次巻線の他端に接続されて、二次巻線の他端と入力端a1及び入出力端a2,b2との接続の切り替えが可能になっている。第2複巻トランス切替スイッチSW21は、複巻第2トランスFT2の一次巻線の他端に接続されて、一次巻線の他端と入力端a1及び入出力端a2,b2との接続の切り替えが可能になっている。
【0079】
つぎに、実施例5の動作については、第1複巻トランス切替スイッチSW11と第2複巻トランス切替スイッチSW21が、入力端a1と入出力端a2,b2の何れに切り替えられているかによって、以下の4つの態様(1)〜(4)に分けられる。
(1)第1複巻トランス切替スイッチSW11と第2複巻トランス切替スイッチSW21が、いずれも入力端a1側に接続された場合(図18参照)
(2)第1複巻トランス切替スイッチSW11が入力端a1側に接続され、第2複巻トランス切替スイッチSW21が入出力端a2,b2側に接続された場合(図19参照)
(3)第1複巻トランス切替スイッチSW11が入出力端a2,b2側に接続され、第2複巻トランス切替スイッチSW21が入力端a1側に接続された場合(図20参照)
(4)第1複巻トランス切替スイッチSW11と第2複巻トランス切替スイッチSW21がいずれも入出力端a2,b2側に接続された場合(図21参照)
【0080】
以下、態様(1)について説明する。タップ第1切替スイッチTSW1とタップ第2切替スイッチTSW2が、単巻トランスSTにおける例えばタップ位置t4とタップt2に接続されていると、タップ位置t4での電圧75vを入力電圧100vから引いた電圧25vが、複巻第1トランスFT1の一次巻線に極性に合わせて加えられる。この電圧25vに複巻第1トランスFT1の一次巻線と二次巻線の比1/5を掛け合わせた値の電圧5vが二次巻線に出力される。この第1複巻トランス切替スイッチSW11とタップ第1切替スイッチTSW1の全ての組み合わせと、それによる複巻第1トランスFT1の二次巻線側の電圧値との関係を下記表6に示す。
【0081】
【表6】
【0082】
一方、タップ第2切替スイッチTSW2の単巻トランスSTにおけるタップ位置t2での電圧25vを入力電圧100vから引いた電圧75vが、複巻第2トランスFT2の一次巻線に極性を合わせて加えられる。この電圧に複巻第2トランスFT2の一次巻線と二次巻線の比1/40を掛け合わせた値の電圧1.875vが二次巻線に出力される。この第2複巻トランス切替スイッチSW21とタップ第2切替スイッチTSW2の全ての組み合わせと、それによる複巻第2トランスFT2の二次巻線側の電圧値との関係を下記表7に示す。
【0083】
【表7】
【0084】
以上のように、上記態様(1)においては、入力電圧100vに対して、タップ第1切替スイッチTSW1と複巻第1トランスFT1を経た0〜20vの範囲の電圧が加えられ、タップ第2切替スイッチTSW2と複巻第2トランスFT2を経た0〜2.5vの範囲の電圧が加えられて、出力端から100〜122.5vの範囲の電圧が出力される。その結果、態様(1)の場合は、入力電圧に対して、複巻第1トランスFT1で減圧された電圧が加えられると共に、副巻第2トランスFT2により複巻第1トランスFT1に比べてさらに大きく減圧された電圧が加えられることにより、入力電圧に対して2段階で非常に細かく調整された出力電圧を出力することができる。上記態様(2)についても同様の動作が行われて出力端から97.5〜120vの範囲の電圧が出力される。上記態様(3)については、出力端から80〜102.5vの範囲の電圧が出力される。上記態様(4)については、出力端から77.5〜100vの範囲の電圧が出力される。
【0085】
安定化電源装置80の演算制御装置41、目標電圧入力部42、出力電圧検出器43、スイッチ切替部44については、上記実施例5のものと同様である。演算制御装置41のROMには、タップ切替第1及び第2スイッチTSW1,TSW2の切り替えの組合せと、複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21の切替の組み合わせを合わせた組合せに応じた第2複巻トランスFT2と第1複巻トランスFT1の各二次巻線側の電圧値との関係を表す上記表6と表7に相当する組合せデータD4が記憶されている。
【0086】
上記構成の実施例5においても、安定化電源装置80は、入力電圧77.5v〜122.5vの広い範囲の変動に対して、出力電圧100vの変動を±0.5%程度の範囲に抑えることができる。また、実施例5においては、タップ切替第1及び第2スイッチTSW1,TSW2と複巻トランス第1切替スイッチSW22及び複巻トランス第2切替スイッチSW21を流れる電流を出力電流に比べて大幅に少なくできるため、これらスイッチとして大電流の半導体素子を用いる必要がないため、スイッチ素子を安価にすることができ、装置コストを安価にできる。
【0087】
なお、実施例5においては、第2副巻トランスFT2の一次巻線、二次巻線の各一端の入力端a1,a2のいずれかへの接続を、電気的スイッチである複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21の自動的な切り替えによって行っているが、これに代えて、複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21を用いずに、直接リード線で接続した4つの場合に分けて実施することも可能である。
【0088】
なお、上記実施例1〜5においては、安定化電源装置として、商用の100v交流電源を用いているが、これに限らず所定の電圧の交流電源とすることが可能である。また、単巻トランスとしては、通常は複巻トランスの一次巻線と二次巻線を連結したものが用いられるが、これに限らず、複巻トランスの一次巻線や二次巻線を単独で用いることも可能である。また、上記各種の複巻トランスの巻線比や定格についても、上記実施例に示したものに限らず、変更することが可能である。その他、上記各実施例に示したものは一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0089】
10…コードリール、11…筒状リール、12…本体、13,14…左,右側板、16,17…左、右取付板、19…軸部材、23…台、31…出力側コンセント、35…コード、37…保護リレー、38…温度センサ、40,60,70,80…安定化電源装置、41…演算制御装置、42…目標電圧入力部、43…出力電圧検出器、44…スイッチ切替部、50…台。
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転自在な筒状リールにコードを巻き取ったり、引き延ばして延長コードとして使用したりするコードリールに係り、特に安定した電圧を供給可能なコードリールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコードリールは、例えば特許文献1に示すように、端がそれぞれ側板で封止された中空の筒状リールと、筒状リールの軸心を貫通して側板に固定された筒軸と、筒軸を回転自在に支持する台とを設け、筒状リール外周にコードが巻き付けられて一端にて電源に接続されると共に筒状リール内の延びた他端が側板に設けたコンセントにつなげられたものが知られている。しかし、従来のコードリールにおいては、コードの長さが長くなるに従ってコードによる電圧降下が生じるため、コードの長さ数10mから100mに及ぶような長いものでは取り出し側の電圧が電源電圧に比べて著しく低くなるという問題がある。そのため、屋外で使用するコードリールについては、コードの長さが20m程度までに制限されており、使用範囲が限られていた。一方、コードを20m以上の長さにする場合は、使用現場におけるコードの末端においてトランスや安定化電源装置により電圧を電源電圧まで高めて使用するような方法が採られているが、使用現場で別途トランス等を用意する必要があり、コードリールの取り扱いが非常に煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−211821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決しようとするものであり、長いコードの出力側端部において生じる電圧降下等による出力電圧の変動を自動的に目標電圧となるように調整することが可能なコードリールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明の特徴は、両端がそれぞれ側板で封止された中空の筒状リールと、筒状リールを軸心を中心として回転自在に支持する台とを設け、筒状リールの外周面にコードが一端にて固定されて他端に設けたコンセントにより交流電源に接続可能にされると共に、コードが筒状リール内に延びて先端が側板に設けた出力側コンセントに接続されてなるコードリールにおいて、筒状リール内にて筒状リールの外部と磁気的に遮断された状態で配設されると共に、コードに介装されて、コードを通して一対の入力端から入力される電圧を目標電圧値になるように安定化して一対の出力端から出力側コンセントに出力する安定化電源装置を設けたことにある。
【0006】
本発明においては、筒状リール内にて安定化電源装置が外部と磁気的に遮断された状態で配設されているため、その特性が外部の磁界に妨害されることなく適正に発揮される。そのため、長いコードの端部で生じた電源電圧の電圧降下分が、安定化電源装置によって是正され、さらには電源電圧の変動が生じた場合にも安定化電源装置によって是正されるため、出力側コンセントを通して常に予め定めた目標電圧値に合わせた適正な出力電圧が給電される。その結果、本発明においては、電源から数10m以上離れた作業現場においても目標電圧値に近似した良好な電圧を利用できるため、作業現場で別途安定化電源装置を用意する必要なく簡易にかつ安定した作業が可能になる。
【0007】
本発明において、筒状リールの温度を検知する温度センサと、温度センサが予め定められた上限温度以上の温度を検知したとき、これに応じてコードの通電状態を非通電状態に切り替える保護スイッチとを設けることができる。コードの一部が筒状リールに巻き付けられた状態でコードリールが使用されるような場合に、通電によってコードが過熱状態になることがあるが、その際には、筒状リールに取り付けられた温度センサが予め定めた上限温度以上を検知すると、これに応じて保護スイッチによりコードが非通電状態にされる。そのため、コードの過熱状態が未然に防止され、コードリールの安全が確保される。さらに、その後、温度センサが予め定めた下限温度以下を検知したときは、保護スイッチによりコードが通電状態に戻されるようにしてもよく、これにより、コードリールの使用状態が簡易に確保される。
【0008】
本発明においては、安定化電源装置が、入力端の一方に一端が接続されると共に入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設けた単巻トランスと、一次巻線と、一次巻線に磁気結合されて入力端の一方と出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する複巻トランスと、複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、一端と複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能なタップ切替スイッチと、複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、一次巻線の他端と入力端の一方側及び他方側のいずれか一方との接続を電気的に切り替え可能な切替スイッチと、交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、タップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えの組合せと、組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせるタップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、演算制御手段による演算結果に基づいて、タップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段とを設けることができる。なお、本発明において、複巻トランスについては、降圧トランスであり、以下の全ての複巻トランスについても同様である。
【0009】
上記安定化電源装置の動作は、以下の(1)、(2)の2つの場合に分けられる。
(1)切替スイッチSW2により複巻トランスFTの一次巻線の他端と入力端の一方側とが接続された場合(図7参照)
単巻トランスSTのタップ切替スイッチSW1により選択されたタップ位置での電圧を入力電圧から引いた電圧が、複巻トランスFTの一次巻線側に極性を合わせて加えられる。さらに、この電圧に複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせて減圧した電圧が二次巻線に出力され、その電圧が入力電圧に加えられて出力端から出力される。
【0010】
(2)切替スイッチSW2により複巻トランスFTの一次巻線の他端と入力端の他方側とが接続された場合(図7と接続が反対)
複巻トランスFTの一次巻線側に単巻トランスSTのタップ切替スイッチSW1により選択されたタップ位置での電圧が、複巻トランスFTの一次巻線側に極性が反転した状態で加えられる。さらに、この電圧に複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせて減圧した電圧が二次巻線に出力され、入力電圧からこの電圧が引かれて出力端から出力される。このように、本発明においては、切替スイッチSW2とタップ切替スイッチSW1の切り替え位置の組み合わせにより、入力電圧に対してタップ切替スイッチSW1の切り替え位置によって細かく調節されかつ複巻トランスで減圧された電圧を、所定の入力電圧に加えたり引いたりしながら出力電圧を広い範囲で簡単に調節することができる。
【0011】
本発明においては、交流電源の入力電圧が変動することにより出力電圧が目標電圧値から変動したような場合に、演算制御手段により、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とが比較される。演算制御手段は、出力電圧の目標電圧値からの差を出来る限り小さくするために、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせるタップ切替スイッチと切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算により求める。その演算結果に基づいて、スイッチ切替手段により電気的に迅速にタップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えが行われ、出力電圧の目標電圧値からの差が最小になるように制御される。そのため、本発明によれば、安定化電源装置により、電源電圧のコードにより生じた電圧降下分と電源電圧の変動を合わせて是正でき、出力側コンセントを通して所望の出力電圧が供給される。その結果、本発明においては、電源から数10m以上離れた作業現場においても非常に変動の少ない良好な電圧を利用できるため、作業現場で別途安定化電源装置を用意する必要なく簡易かつ安定した作業が可能になる。
【0012】
また、本発明においては、安定化電源装置が、トランスと制御装置により構成されており、動作により発生する発熱が非常に少ないため、ファン等の冷却手段によって冷却しなくても筒状リールが過熱状態になることがない。その結果、本発明においては、筒状リール内に収容されるのが安定化電源装置のみであるため、コードリールの無用な重量増加を抑えつつ、安定化電源装置を設けたことによる効果を享受できる。
【0013】
本発明においては、単巻トランスと複巻トランスが、筒状リール内の軸心を中心とした回転対称位置に配設されることが好ましい。このように、安定化電源装置の単巻トランスと複巻トランスが筒状リールの回転中心に対称に配置されているため、コードを巻き取ったり引き延ばして使用する際に、重い単巻及び複巻トランスを内蔵した筒状リールでも、その回転がスムーズに行われ、コードの取り扱い作業が簡易に行われる。
【0014】
本発明においては、安定化電源装置が、入力端の一方に一端が接続されると共に入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設け、複数のタップの内の一端側と中間の間のものを第1のタップ群とし、中間から他端側のものを第2のタップ群とした単巻トランスと、一次巻線と、一次巻線に磁気結合されて入力端の一方と出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する複巻トランスと、複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、一端と第1のタップ群及び第2のタップ群のいずれか一方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第1タップ切替スイッチと、複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、他端と第1のタップ群及び第2のタップ群の他方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第2タップ切替スイッチと、交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、第1タップ切替スイッチ及び第2切替スイッチの切り替えの組合せと、組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる第1タップ切替スイッチ及び第2タップ切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、演算制御手段による演算結果に基づいて、第1タップ切替スイッチ及び第2タップ切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段とを設けたものであってもよい。
【0015】
この安定化電源装置の動作は、以下の(1)、(2)の2つの場合に分けられる。
(1)第1タップ切替スイッチSW1が、第1のタップ群に含まれる複数のタップのいずれかに接続され、第2タップ切替スイッチSW2が、第2のタップ群に含まれる複数のタップのいずれかに接続されるようになっている場合(図11参照)
第1タップ切替スイッチSW1により選択された第1のタップ群におけるタップ位置での電圧から第2タップ切替スイッチSW2により選択された第2のタップ群におけるタップ位置での電圧を引いた電圧が、複巻トランスFTの一次巻線側に極性が反転した状態で加えられる。さらに、この電圧に複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせた値の電圧が二次巻線に出力され、この電圧が入力電圧から引かれて出力端から出力される。
【0016】
(2)第1タップ切替スイッチSW1が、第2のタップ群に含まれる複数のタップのいずれかに切り替えられ、第2タップ切替スイッチSW2が、第1のタップ群に含まれる複数のタップのいずれかに切り替えられるようになっている場合(図11でCSWの接続が反対)
第2タップ切替スイッチSW2の第1のタップ群におけるタップ位置での電圧から第1タップ切替スイッチSW1の第2のタップ群におけるタップ位置での電圧を引いた電圧が、複巻トランスFTの一次巻線側に極性を合わせて加えられる。さらに、この電圧に複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比を掛け合わせた値の電圧が二次巻線に出力され、その電圧が入力電圧に加えられて出力端から出力される。
【0017】
その結果、本発明においては、第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えの組み合わせにより、入力電圧に対して第1及び第2タップ切替スイッチの切り替え位置によって細かく調節されかつ複巻トランスで減圧された電圧を、入力電圧に加えたり引いたりしながら出力電圧を広い範囲で細かく簡単に調節することができる。
【0018】
第1及び第2タップ切替スイッチが、上記(1)、(2)のいずれかの場合において、出力電圧として目標電圧値が決められることにより、以下の制御が行われる(図10参照)。入力電圧が変動することにより出力電圧が目標電圧値から変動したような場合に、演算制御手段により、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とが比較される。演算制御手段は、出力電圧の目標電圧値からの差を出来る限り小さくするために、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算して求める。その演算結果に基づいて、スイッチ切替手段により電気的に迅速に第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えが行われ、出力電圧の目標電圧値からの差が最小になるように制御される。その結果、本発明においては、電源から数10m以上離れた作業現場においても非常に変動の少ない良好な電圧を利用できるため、作業現場で別途安定化電源装置を用意する必要なく簡易かつ安定した作業が可能になる。
【0019】
また、本発明においては、安定化電源装置が、トランスと制御装置により構成されており、動作により発生する発熱が非常に少ないため、ファン等の冷却手段によって冷却しなくても筒状リールが過熱状態になることがない。その結果、本発明においては、筒状リール内に収容されるのが安定化電源装置のみであるため、コードリールの無用な重量増加を抑えつつ、安定化電源装置を設けたことによる効果を享受できる。本発明においても、単巻トランスと複巻トランスが、筒状リール内の軸心を中心とした回転対称位置に配設されることが好ましく、これにより、重い単巻及び複巻トランスを内蔵した筒状リールでも、その回転がスムーズに行われ、コードの巻き取り引き延ばし作業が簡易に行われる。
【0020】
さらに、本発明においては、安定化電源装置が、入力端の一方に一端が接続されると共に入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設け、複数のタップの内の一端側と中間の間のものを第1のタップ群とし、中間から他端側のものを第2のタップ群とした単巻トランスと、一次巻線と、一次巻線に磁気結合されて入力端の一方と出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する複巻トランスと、複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、一端と第1のタップ群及び第2のタップ群のいずれか一方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第1タップ切替スイッチと、複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、他端と第1のタップ群及び第2のタップ群の他方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第2タップ切替スイッチと、複巻トランスの一次巻線の両端と、第1タップ切替スイッチ及び第2タップ切替スイッチとの接続を電気的に切り替える一次巻線切替スイッチと、交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、第1タップ切替スイッチ、第2切替スイッチ及び一次巻線切替スイッチの切り替えの組合せと、組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる第1タップ切替スイッチ、第2タップ切替スイッチ及び一次巻線切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、演算制御手段による演算結果に基づいて、第1タップ切替スイッチ、第2タップ切替スイッチ及び一次巻線切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段とを設けたものであってもよい。これにより、図10に示すように、第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2の第1のタップ群及び第2のタップ群相互への切り替えを一次巻線切替スイッチCSWにより簡単に切り替えることができる。その結果、本発明によれば、所定の入力電圧に対して第1及び第2タップ切替スイッチの第1のタップ群と第2タップ群への切替と、両切替スイッチSW1,SW2の両タップ群での切り替え位置とによって、細かく調節されかつ複巻トランスで減圧された電圧を入力電圧に加えたり引いたりしながら出力電圧をさらに広い範囲で細かく簡単に調節することができる。
【0021】
本発明においては、図10に示すように、入力電圧が変動することにより出力電圧が目標電圧値から変動したような場合に、演算制御手段により、出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とが比較される。演算制御手段は、出力電圧の目標電圧値からの差を出来る限り小さくするために、データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる一次巻線切替スイッチと第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算して求める。その演算結果に基づいて、スイッチ切替手段により電気的に迅速に一次巻線切替スイッチと第1及び第2タップ切替スイッチの切り替えが行われ、出力電圧の目標電圧値からの差が最小になるように制御される。その結果、本発明においては、電源から数10m以上離れた作業現場においても非常に変動の少ない良好な電圧を利用できるため、作業現場で別途安定化電源装置を用意する必要なく簡易かつ安定した作業が可能になる。
【0022】
また、本発明においては、安定化電源装置が、トランスと制御装置により構成されており、動作により発生する発熱が非常に少ないため、ファン等の冷却手段によって冷却しなくても筒状リールが過熱状態になることがない。その結果、本発明においては、筒状リール内に収容されるのが安定化電源装置のみであるため、コードリールの無用な重量増加を抑えつつ、安定化電源装置を設けたことによる効果を享受できる。本発明においても、単巻トランスと複巻トランスが、筒状リール内の軸心を中心とした回転対称位置に配設されることが好ましく、これにより、重い単巻及び複巻トランスを内蔵した筒状リールでも、その回転がスムーズに行われ、コードの巻き取り引き延ばし作業が簡易に行われる。
【発明の効果】
【0023】
本発明においては、安定化電源装置の特性が筒状リールの空間内において外部の磁界に妨害されることなく適正に発揮され、長いコードによる電圧降下と電源電圧の変動も含めて是正されることにより、出力側コンセントを通して電源電圧に合わせた適正な出力電圧が得られるため、電源から数10m以上離れた作業現場においても電源電圧に近似した良好な電圧を簡易に利用できる。また、本発明においては、安定化電源装置の単巻及び複巻トランスが筒状リールの回転中心に対称に配置されているため、コードを巻き取ったり、引き延ばして使用する際の筒状リールの回転がスムーズに行われるため、重いトランスを内蔵したコードリールの操作も簡易に行われる。
【0024】
本発明においては、安定化電源装置としてタップ切替スイッチによる単巻トランスのタップ位置の切り替えと、切替スイッチによる副巻トランスの接続の切り替えの組み合わせとすることにより、入力電圧に対してタップ切り替え位置によって細かく調節されかつ複巻トランスで減圧された電圧を加えたり引いたりしながら入力電圧の広い範囲の変動を簡単に是正することができる。
【0025】
また、本発明おいては、安定化電源装置として、第1及び第2タップ切替スイッチによる単巻トランスの第1及び第2のタップ群におけるタップ位置の切り替えと、第1及び第2タップ切替スイッチと副巻トランスの接続の切り替えの組み合わせにより、所定の入力電圧に対して第1及び第2タップ切替スイッチの切り替え位置によって細かく調節されかつ複巻トランスで減圧された電圧を加えたり引いたりしながら入力電圧を広い範囲の変動を細かく簡単に是正することができる。また、本発明においては、単巻トランスと複巻トランスが、筒状リール内の軸心を中心とした回転対称位置に配設されることが好ましく、これにより、コードを巻き取ったり引き延ばして使用する際に、重い単巻及び複巻トランスを内蔵した筒状リールでもその回転がスムーズに行われ、コードの取り扱い作業が簡易に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1であるコードリールの概略構成を示す正面図である。
【図2】コードリールを示す側面図である。
【図3】コードリールを示す図2のIII−III線方向の断面図である。
【図4】コードリールを示す図2のIV−IV線方向の断面図である。
【図5】図3のV−V線方向の断面図である。
【図6】安定化電源装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】同安定化電源装置の単巻トランスと複巻トランスの動作を説明する説明図である。
【図8】実施例2であるコードリールの概略構成を示す正面図である。
【図9】コードリールを示す図8のM−M線方向の断面図である。
【図10】実施例3であるコードリールに用いられる安定化電源装置の概略構成を示すブロック図である。
【図11】同安定化電源装置の単巻トランスと複巻トランスの動作を説明する説明図である。
【図12】実施例4であるコードリールに用いられる安定化電源装置の概略構成を示すブロック図である。
【図13】同安定化電源装置の態様(1)の動作を説明する説明図である。
【図14】同安定化電源装置の態様(2)の動作を説明する説明図である。
【図15】同安定化電源装置の態様(3)の動作を説明する説明図である。
【図16】同安定化電源装置の態様(4)の動作を説明する説明図である。
【図17】実施例5であるコードリールに用いられる安定化電源装置の概略構成を示すブロック図である。
【図18】同安定化電源装置の態様(1)の動作を説明する説明図である。
【図19】同安定化電源装置の態様(2)の動作を説明する説明図である。
【図20】同安定化電源装置の態様(3)の動作を説明する説明図である。
【図21】同安定化電源装置の態様(4)の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1から図5は、一実施例である安定化電源装置内蔵型のコードリールの概略構成を正面図、側面図、III−III線方向断面図、IV−IV線方向断面図及びV−V線方向断面図により示したものである。コードリール10は、両端が左及び右側板13,14で封止された中空の筒状リール11と、筒状リール11の軸心を貫通して左及び右側板13,14に固定された軸部材19と、軸部材19の両端を回転自在に支持する台23と、筒状リール11内に収容された安定化電源装置40とを設けており、台23によって地面G上に載置される。以下、コードリール10の左右については、図1の左右に合わせるものとする。
【0028】
筒状リール11は、鉄製の薄板で形成された円筒形状の本体12を有している。本体12両端には本体12より大径の鉄製円板である左及び右側板13,14が同軸状に配置されてビス15で固定されて本体12内部を封止している。本体12内の左右両端側には、ステンレス製の円板である左及び右取付板16,17が本体12内に同軸状にかつ内壁面に密着して取り付けられている。左及び右側板13,14の中心孔13a,14aと、左及び右取付板16,17の中心孔16a,17aには、ステンレス製の丸棒である軸部材19が挿通されている。左及び右取付板16,17の対向する内側面には、中心孔16a,17aを挟んだ径方向両側に各一対で合わせて8個のブラケット21がボルト21cにより固定されている。ブラケット21は、ステンレス製の矩形の薄板を直角に折り曲げた第1板部21aと第2板部21bからなる。一対のブラケット21の第1板部21aが、左及び右取付板16,17の外周側と中心孔16a,17a側にそれぞれ固定されて、第2板部21bが軸方向内方に向けて互いに平行に対向して配置されている。
【0029】
台23は、鉄製パイプの曲げ加工により形成された台本体24と、台本体24に取り付けられる一対の連結板28とを設けている。台本体24は、互いに対向して配置された略U字状の一対の側面部25と、両側面部25を下端側で連結する2本の支持俸部26とを有している。側面部25は、互いに平行な一対の垂直部25aと、両垂直部25aの一端間を連結する水平部25bと、両垂直部25aの他端で略50°の角度で拡がるように折り曲げられた傾斜部25cを含んでいる。さらに、互いに対向する両側面部25の傾斜部25cの端部間がそれぞれ支持俸部26で連結されて、台本体24が構成されている。各側面部25の互いに対向する垂直部25aの傾斜部25c近傍位置には、連結板28が溶接により固定されている。
【0030】
連結板28は、金属製の長方形の厚板であり、中央に貫通孔28aを有しており、貫通孔28aにベアリング29が嵌合固定されている。一対の連結板28に固定されたベアリング29の中心孔29aには、上記軸部材19が挿通されて、回転自在にかつ軸方向へ移動不能に取り付けられている。これにより、筒状リール11が台23に回転自在に支持される。軸部材19の端部にはハンドル(図示しない)が取り付け可能になっており、ハンドルを操作することにより、筒状リール11を回転させてコードの引き出しや巻取りがスムーズに行われるようになっている。なお、台については、実施例の構造に限るものではなく、筒状リール11の軸部材19を片持ち支持する構造であってもよい。
【0031】
左側板13には、2つの出力端を有する出力側コンセント31が取り付けられている。左側板13には、安定化電源装置40を通さず直接コードにつなげられるコンセント32が取り付けられており、出力側コンセント31の使用と選択可能になっている。また、左側板13には、過電流の際に電源を遮断する漏電ブレーカ33が取り付けられている。さらに、左側板13には、後述する保護リレー37の通電状態を表示するランプ34が取り付けられている。なお、出力側コンセント31等については、実施例に限らず、左及び右側板13,14のいずれに取り付けられてもよい。
【0032】
本体12外周面には、長さ100m程度のコード35が固定具35aにより固定されて外周面に巻き付け可能にされると共に、一端側のソケット35bにより電源コンセント(図示しない)に接続可能なようになっている。固定具35aを経て筒状リール11内の延びたコード35は、後述する単巻トランスSTと複巻トランスFTに接続され、さらに複巻トランスFTの二次巻き線端子に固定されたコード35は、保護スイッチである保護リレー37を介して出力側コンセント31に接続される。また、本体12内壁には温度センサ38が固定されており、温度センサ38は保護リレー37の制御端子に接続されている。保護リレー37は常閉接点を有するスイッチであり、温度センサ38からの上限温度以上の信号を受けて開放状態にされるようになっており、また温度センサ38からの下限温度以上の信号を受けて開放状態から閉鎖状態に戻されるようになっている。
【0033】
筒状リール11の左及び右取付板16,17に挟まれた空間内には、入力電圧の変動に対して出力電圧を予め定めた目標出力電圧に制御する安定化電源装置40が配設されている。安定化電源装置40は、図6に示すように、商用の100v交流電源が入力される一対の入力端a1,a2と、交流電源の電圧を変圧した出力電圧を出力する一対の出力端b1,b2とを備えており、他方の入力端a2と出力端b2がリード線で直結されている。両入力端a1,a2間には、単巻トランスSTが両端にて接続されており、両端を含めた間には入力端a2側から順に等間隔で5つのタップt1〜t5を設けている。入力電圧を100vとすると、タップt1〜t5に加わる電圧は、0v,25v,50v,75v,100vとなる。
【0034】
入力端a1と出力端b1の間には、複巻トランスFTが一次巻線に磁気結合された二次巻線の両端にて接続されている。複巻トランスFTは、一次巻線と二次巻線の比が5:1であり、両巻線の定格電圧が100v/20vである降圧トランスである。複巻トランスFTの一次巻線の一端(図6の左端)にはタップ切替スイッチSW1が接続されており、一端とタップt1〜t5のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。タップ切替スイッチSW1は、各タップt1〜t5に接続された電気的なスイッチである電界効果トランジスタやIGBT等からなる5個のスイッチFET1〜FET5である。また、複巻トランスFTの一次巻線の他端(図6の右端)には切替スイッチSW2が接続されており、一次巻線の他端と入力端a1側及び入力端a2側のいずれか一方との接続を切り替え可能になっている。切替スイッチSW2も、タップ切替スイッチSW1と同様一対の電界効果トランジスタやIGBT等からなるものである。
【0035】
単巻トランスSTと複巻トランスFTは、図3〜図5に示すように、筒状リール11の左及び右取付板16,17に挟まれた空間内において、鉄心を軸方向に平行に向けて、軸部材19を挟んだ径方向両側に配置されている。単巻トランスSTと複巻トランスFTは、各鉄心が軸方向の両側でかつ径方向の内外側において、それぞれ一対のブラケット21の第2板部21bに挟まれて、ボルト止めにより固定されている。
【0036】
安定化電源装置40は、出力電圧の変動を抑えるようなタップ切替スイッチSW1と切替スイッチSW2の切り替えの組み合わせを演算する演算制御装置41を備えている。演算制御装置41は、I/O,ROM,RAM,CPU等からなるマイクロコンピュータ等を設けており、データ記憶手段であるROMにはタップ切替スイッチSW1及び切替スイッチSW2の切り替えの組合せと、組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す後述する表1に相当する組合せデータD1が記憶されている。
【0037】
演算制御装置41の入力側には、交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段である目標電圧入力部42が接続されている。目標電圧入力部42から入力された目標出力電圧は、演算制御装置41のRAMに記憶されるようになっており、本実施例では目標出力電圧は100vとなっている。出力端子b1,b2間には交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段である出力電圧検出器43が接続されており、出力電圧検出器43は演算制御装置41の入力側に接続されている。演算制御装置41の出力側には、スイッチ切替手段であるスイッチ切替部44が接続されている。スイッチ切替部44は、演算制御装置41からの出力を受けて、スイッチFET1〜5のいずれかを選択してオン信号を出力し、切替スイッチSW2に端子a1あるいはa2のいずれかの選択信号を出力するものである。演算制御装置41、目標電圧入力部42、出力電圧検出器43、スイッチ切替部44等は、図4,図5に示すように、2枚の制御基板41a,41bに分けて配置されて、筒状リール11内の左及び右取付板16,17の間の軸部材19を挟んだ径方向両側で、かつ単巻トランスSTと複巻トランスFTと直交する位置にブラケット22に固定されて配置されている。
【0038】
上記安定化電源装置40の動作は、切替スイッチSW2が端子a1、a2の何れに接続されているかに応じて以下の(1)、(2)の2つの場合に分けられる。これについて、図7の動作説明図を用い、入力電圧を100vとして説明する。
(1)切替スイッチSW2により複巻トランスFTの一次巻線の他端と入力端a1とが接続された場合(図7参照)
単巻トランスSTのタップ切替スイッチSW1により選択された例えばタップ位置t2での電圧25vを入力電圧100vから引いた電圧75vが、複巻トランスFTの一次巻線側に極性を合わせて加えられる。さらに、この電圧75vに複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比20/100=1/5を掛け合わせた値の電圧15vが入力電圧100vに加えられ、出力端b1,b2から115vの出力電圧として出力される。
【0039】
(2)切替スイッチSW2により複巻トランスFTの一次巻線の他端と入力端a2とが接続された場合(図7と反対)
複巻トランスFTの一次巻線側に単巻トランスSTのタップ切替スイッチSW1により選択された例えばタップt2位置での電圧25vが、複巻トランスFTの一次巻線側に極性が反転した状態で加えられる。さらに、この電圧25vに複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比1/5を掛け合わせた値の電圧5vが入力電圧100vから引かれて、出力端b1,b2から出力電圧95vとして出力される。
(1),(2)に係る切替スイッチSW2とタップ切替スイッチSW1の全ての組み合わせとそれによる出力電圧値との関係を下記表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例1においては、切替スイッチSW2とタップ切替スイッチSW1の切り替え位置の組み合わせにより、入力電圧100vに対してタップ切替スイッチSW1の切り替え位置によって細かく調節されかつ複巻トランスFTで減圧された電圧を、入力電圧100vに加えたり引いたりしながら出力電圧を80v〜120vの広い範囲で細かい単位で簡単に調節することができる。これにより、入力電圧が変動した場合に、これを調整して出力電圧を一定にすることができる。また、実施例1においては、電圧調整に単巻トランスSTと複巻トランスFTを用いていることにより、入力電圧に対する出力電圧の変換効率を、従来のインバータを用いた安定化電源装置に比べて大幅に高めることができる。
【0042】
上記構成の実施例1においては、交流電源の入力電圧がコード35によって大幅に低下することにより出力電圧が目標電圧値100vから大幅に低下するが、演算制御装置41は、出力電圧検出器43により検出された出力電圧値を読み込んで、目標電圧入力部42から入力された目標電圧値100vと比較する。演算制御装置41は、読み込んだ出力電圧値の目標電圧値からの差を出来る限り小さくするために、ROMに記憶された組合せデータD1に基づいて出力電圧値と目標電圧値100vの差を最小にさせるタップ切替スイッチSW1及び切替スイッチSW2の切り替えの組み合わせを演算により求める。演算制御装置41による演算結果が、スイッチ切替部44に出力され、スイッチ切替部44が切替スイッチSW2に端子a1あるいはa2のいずれかの選択信号を出力し、スイッチFET1〜5のいずれかを選択してオン信号を出力する。その結果、この安定化電源装置40は、入力電圧80〜120vの広い範囲の変動に対して、出力電圧100vの変動を±2.5%程度の狭い範囲に抑えることができる。
【0043】
ここで、実施例1においては、筒状リール11内にて安定化電源装置40の単巻トランスSTと複巻トランスFTがステンレス製の左及び右取付板16,17に支持されて外部と磁気的に遮断された状態で配設されているため、上述した安定化電源装置40の動作が外部の磁界に妨害されることなく適正に行われる。そのため、電源電圧のコード35において生じた電圧降下分は、安定化電源装置40によって適正に是正され、さらには電源電圧の変動も安定化電源装置40によって是正され、出力側コンセント31を通して電源電圧に合わせた適正な出力電圧が得られる。その結果、本実施例1においては、電源から数10m以上離れた作業現場においても電源電圧に近似した良好な電圧を利用でき、作業現場で別途安定化電源装置を用意する必要なく簡易かつ安定した作業が可能になる。
【0044】
また、実施例1においては、単巻トランスST及び複巻トランスFTが筒状リール11の軸部材19を挟んだ径方向両側に対称に配置されているため、コード35を巻き取ったり引き延ばして使用する際に、重いトランスFT,STを内蔵した筒状リール11でも、その回転がスムーズに行われ、コード35の引き延ばしや巻き取り作業が簡易に行われる。また、実施例1においては、タップ切替スイッチSW1及び切替スイッチSW2を流れる電流を出力電流に比べて大幅に少なくできるため、これらスイッチとして大電流の半導体素子を用いる必要がないため、スイッチ素子を安価にすることができ、安定化電源装置40のコストを安価にできる。なお、実施例1においては、安定化電源装置40全体が左及び右取付板16,17間に配設されているが、単巻トランスST及び複巻トランスFTが大容量で大型のものの場合には、両トランスのみを左及び右取付板16,17間に配設させ、制御部分を取付板16,17の外側に配設させてもよい。
【0045】
また、実施例1においては、筒状リール11にコード35の一部が巻き付けられた状態でコードリール10が使用されるような場合に、通電によってコード35が過熱状態になることがあるが、その際には、筒状リール11に取り付けられた温度センサ38が予め定めた上限温度以上を検知すると、保護リレー37が遮断される。そのため、コード35の過熱による焼損等の事故が未然に防止され、コードリール10の安全が確保される。その後、温度センサ38が予め定めた下限温度以下を検知すると、保護リレー37が通電状態に戻されるため、コード35の使用状態が簡易に確保される。ただし、保護リレー37の通電状態への復帰については、スイッチ等の手動操作により行われることも可能である。
【0046】
つぎに、実施例2について図8及び図9により説明する。実施例2は、筒状リール11の支持形態として、実施例1のように台23によって軸部材19を支持する代わりに、台50によって筒状リール11の左及び右側板13,14を支持するようにしたものである。台50は、互いに対向する長方形の金属製薄板である2枚の垂直板部51,52と、両垂直板部51,52の四隅を連結する4本の連結棒53とを有しており、下側の2本の連結棒53には両端側に各一対のキャスタ54が取り付けられている。両垂直板部51,52は、中心孔51a,52aを有すると共に、その対向面の四隅の所定位置にはそれぞれ支持軸55が垂直に固定されており、支持軸55には円盤状の溝付きローラ56が回転自在にかつ抜け止めされて取り付けられている。溝付きローラ56は、軸方向両側が大径部56aになっており、軸方向中間が同軸状に凹んだ小径の溝部56bになっている。4つの溝付きローラ56の溝部56bには、筒状リール11の両側板部13,14が嵌め合わされている。これにより、両側板部13,14は溝付きローラ56によって支持されると共に、溝付きローラ56の回転によりスムーズな回転が可能にされている。
【0047】
上記構成の実施例2においては、筒状リール11は、左及び右側板部13,14を介して4つの溝付きローラ56によって回転自在に支持されると共に、その重量が溝付きローラ56によって分散して支持されるようになっている。そのため、コードリール10Aは、筒状リール11に内部に安定化電源装置40を含んで重量が重くなっているが、4つの溝付きローラ56の回転により筒状リール11のスムーズな回転が確保される。
【0048】
つぎに、実施例3について図10,図11により説明する。
実施例3は、上記コードリール10における安定化電源装置60を図10のように構成したものであり、コードリール10の筒状リール11等の他の構成については実施例1と同様である。安定化電源装置60は、100vの交流電源が入力される一対の入力端a1,a2と、交流電源の電圧を変圧した出力電圧を出力する一対の出力端b1,b2とを備えており、他方の入力端a2と出力端b2がリード線で直結されている。両入力端a1,a2には、複数のタップを設けた単巻トランスSTが両端にて接続されている。単巻トランスSTは、入力端a1と中間mの間の第1のタップ群t21〜t24と、中間mから他端側a2間の第2のタップ群t11〜t15にそれぞれ等間隔に分けられている。第1のタップ群t21〜t24に加わる電圧は、25v,50v,75v,100vであり、第2のタップ群t11〜t15に加わる電圧は、5v,10v,15v,20v,25vである。
【0049】
入力端a1と出力端b1の間には、複巻トランスFTが一次巻線に磁気結合された二次巻線の両端にて接続されている。複巻トランスFTは、一次巻線と二次巻線の比が5:1であり、両巻線の定格電圧が100v/20vである降圧トランスである。単巻トランスSTと複巻トランスFTは、実施例1と同様に筒状リール11内にてステンレス製の左及び右取付板16,17に支持されて外部と磁気的に遮断された状態で配設されている。複巻トランスFTの一次巻線の一端(図10の左端)と他端(図10の右端)には、共通して動作する一対の一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の一端が接続されている。一次巻線切替スイッチCSW1の他端側は切替接点x1,x2になっており、一次巻線切替スイッチCSW2の他端側は切替接点y1,y2になっており、切替接点x1とy1、切替接点x2とy2がペアでオンされるようになっている。切替接点x1,y2には第1タップ切替スイッチSW1が接続されており、切替接点x2,y1には第2タップ切替スイッチSW2が接続されている。
【0050】
一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2は、切替接点x1,y1への接続と切替接点x2,y2への接続とが切り替えられるようになっている。一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の切替接点x1,y1が閉じられているときは、複巻トランスFTの一次巻線の一端(図10の左端)には第1タップ切替スイッチSW1が接続されて、一端と第1のタップ群t21〜t24のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。また、複巻トランスFTの一次巻線の他端(図10の右端)には第2タップ切替スイッチSW2が接続されて、他端と第2のタップ群t11〜t15のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。一方、一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の切替接点x2,y2が閉じられているときは、複巻トランスFTの一次巻線の一端には第2タップ切替スイッチSW2が接続されて、一端と第2のタップ群t11〜t15のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。また、複巻トランスFTの一次巻線の他端には第1タップ切替スイッチSW1が接続されて、他端と第1のタップ群t21〜t24のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。
【0051】
その結果、一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の一方の切替接点毎に、第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2によるタップの切り替えの組合せはそれぞれ20通りとなり、両方合わせて40通りの組み合わせになっている。第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2は、第1のタップ群t21〜t24と第2のタップ群t11〜t15に接続された電気的なスイッチである電界効果トランジスタやIGBT等からなる9個のスイッチFET1〜4、FET5〜9である。一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2も第1タップ切替スイッチSW1、第2タップ切替スイッチSW2と同様、電気的なスイッチであるFETやIGBT等である。
【0052】
安定化電源装置60の演算制御装置41、目標電圧入力部42、出力電圧検出器43、スイッチ切替部44については、上記実施例1のものと同様である。演算制御装置41のROMには、第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2の切り替えの組合せと、一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の切り替えの組合せに応じた交流電源の出力電圧との関係を表す後述する表2、表3に相当する組合せデータD2が記憶されており、RAMに目標電圧入力部42から入力された目標電圧値100vが記憶されている。
【0053】
安定化電源装置60の動作は、一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の切替接点x1,y1が閉じられているか、切替接点x2,y2が閉じられているかに応じて以下の(1)、(2)の2つの場合に分けられる。これについて、図11の動作説明図を用い、入力電圧を100vとして説明する。
(1)切替接点x1,y1が閉じられているとき
第1タップ切替スイッチSW1の第1のタップ群におけるタップ位置例えばt22での電圧50vから第2タップ切替スイッチSW2の第2のタップ群におけるタップ位置例えばt13での電圧15vを引いた電圧35vが、複巻トランスFTの一次巻線側に極性を反転した状態で加えられる。さらに、この電圧に複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比1/5を掛け合わせた値の電圧7vが二次巻線に出力され、その電圧7vが入力電圧100vから引かれて、出力電圧93vとして出力端b1,b2から出力される。このような第1タップ切替スイッチSW1と第2タップ切替スイッチSW2の20種類全てのタップの組み合わせとそれによる出力電圧値との関係を下記表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
その結果、入力電圧100vに対して、第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2の切り替え位置によって20種類に細かく調節して複巻トランスFTで減圧した電圧を、入力電圧100vから引くことにより、出力電圧として出力端b1,b2から出力される。
【0056】
(2)切替接点x2,y2が閉じられているとき
第2タップ切替スイッチSW2の第1のタップ群におけるタップ位置例えばt22での電圧50vから第1タップ切替スイッチSW1の第2のタップ群におけるタップ位置例えばt13での電圧15vを引いた電圧35vが、複巻トランスFTの一次巻線側に極性を合わせて加えられる。さらに、この電圧に複巻トランスFTの一次巻線と二次巻線の比1/5を掛け合わせた値の電圧7vが二次巻線に出力され、その電圧7vが入力電圧100vに加えられて、出力電圧107vとして出力端b1,b2から出力される。このような第1タップ切替スイッチSW1と第2タップ切替スイッチSW2の20種類全てのタップの組み合わせとそれによる出力電圧値との関係を下記表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
その結果、入力電圧100vに対して、第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2の切り替え位置によって20種類に細かく調節して複巻トランスFTで減圧した電圧を、入力電圧100vに加えることにより、出力電圧として出力端b1,b2から出力される。
【0059】
実施例3においては、一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2の切替及び第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2の切り替え位置の組み合わせにより、入力電圧100vに対してタップ切替スイッチSW1の切り替え位置によって細かく調節されかつ複巻トランスFTで減圧された電圧を、入力電圧100vに加えたり引いたりしながら出力電圧を81v〜119vの広い範囲で細かい単位で簡単に調節することができる。これにより、入力電圧が変動した場合に、これを調整して出力電圧を一定にすることができる。
【0060】
上記構成の実施例3においては、交流電源の入力電圧がコード35によって大幅に低下することにより出力電圧が目標電圧値100vから大幅に低下するが、演算制御装置41は、出力電圧検出器43により検出された出力電圧値を読み込んで、目標電圧入力部42から入力された目標電圧値100vとを比較する。演算制御装置41は、読み込んだ出力電圧値の目標電圧値100vからの差を出来る限り小さくするために、ROMに記憶された組合せデータD2に基づいて出力電圧値と目標電圧値100vの差を最小にさせる第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2の切り替えの組み合わせを演算により求める。演算制御装置41による演算結果が、スイッチ切替部44に出力され、スイッチ切替部44がスイッチFET1〜4とスイッチFET5〜9からそれぞれ1つずつを選択してオン信号を出力する。
【0061】
その結果、この安定化電源装置60は、コード35端部の電圧降下や、交流電源の電圧変動等による入力電圧の84v〜123vの広い範囲の変動に対して、出力電圧100vの変動を±0.5%程度の範囲に抑えることができる。また、実施例3においては、第1及び第2タップ切替スイッチSW1,SW2を流れる電流を出力電流に比べて大幅に少なくできるため、これらスイッチSW1,SW2として大電流の半導体素子を用いる必要がないため、スイッチ素子を安価にすることができ、装置コストを安価にできる。
【0062】
なお、実施例3において、一次巻線切替スイッチCSW1,CSW2を省き、第1タップ切替スイッチSW1を第1のタップ群t21〜t24に接続すると共に、第2タップ切替スイッチSW2を第2のタップ群t11〜t15に接続する形態としたり、逆に第1タップ切替スイッチSW1を第2のタップ群t11〜t15に接続すると共に、第2タップ切替スイッチSW2を第1のタップ群t21〜t24に接続する形態とすることができる。本発明においては、特にコード35による交流電源の電圧降下が問題になっているため、交流電源電圧の変動が少ない場合は、第1タップ切替スイッチSW1を第2のタップ群t11〜t15に接続すると共に、第2タップ切替スイッチSW2を第1のタップ群t21〜t24に接続する形態に固定してもよい。
【0063】
つぎに、実施例4について図12〜図16により説明する。
実施例4は、上記コードリール10における安定化電源装置70を図12のように構成したものであり、コードリール10の筒状リール11等の他の構成については実施例1と同様である。安定化電源装置70は、100vの交流電源が入力される一対の入力端a1,a2と、交流電源の電圧を変圧した出力電圧を出力する一対の出力端b1,b2とを備えており、他方の入力端a2と出力端b2がリード線で直結されている。両入力端a1,a2には、単巻トランスSTが両端にて接続されており、両端を含めた間には他端側から順に等間隔で5つのタップt1〜t5を設けている。これらタップt1〜t5に加わる電圧は、0v,25v,50v,75v,100vとなる。単巻トランスSTの5つのタップt1〜t5には、タップ切替第1スイッチTSW1とタップ切替第2スイッチTSW2が別個に切り替え可能に接続されている。タップ切替第1スイッチTSW1及びタップ切替第2スイッチTSW2を、タップt1〜t5に接続された電気的なスイッチである電界効果トランジスタやIGBT等からなる各5個のスイッチFET1〜5とFET6〜10とした。
【0064】
入力端a1と出力端b1の間には、第1複巻トランスFT1が一次巻線に磁気結合された二次巻線の両端にて接続されている。第1複巻トランスFT1は、一次巻線と二次巻線の比が5:1であり、両巻線の定格電圧が100v/20vである降圧トランスである。第1複巻トランスFT1に対して、第2複巻トランスFT2が併設されている。第2複巻トランスFT2は、一次巻線と二次巻線の比が8:1であり、両巻線の定格電圧が100v/12.5vである降圧トランスである。第1複巻トランスFT1の一次巻線の一端(図12の左端)にはタップ切替第1スイッチTSW1が接続されており、一端とタップt1〜t5のいずれか1つとの接続が切り替え可能になっている。第1複巻トランスFT1の一次巻線の他端(図12の右端)は、第2複巻トランスFT2の二次巻線の他端に接続されている。
【0065】
上記単巻トランスSTと第1複巻トランスFT1の間において入力端a1のリード線と入出力端a2,b2間のリード線間には、複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21とが並列に接続されている。複巻トランス第1切替スイッチSW22は、第2複巻トランスFT2の二次巻線の一端に接続されて、二次巻線の一端と入力端a1側と入出力端a2,b2側との接続の切り替えが可能になっている。複巻トランス第2切替スイッチSW21は、第2複巻トランスFT2の一次巻線の一端に接続されて、一次巻線の一端と入力端a1と入出力端a2,b2との接続の切り替えが可能になっている。第2複巻トランスFT2の一次巻線の他端には、タップ切替第2スイッチTSW2が接続されており、他端とタップt1〜t5のいずれか1つとの接続が切り替え可能になっている。複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21も電気的なスイッチである電界効果トランジスタやIGBT等からなるスイッチとした。
【0066】
上記実施例4の動作については、複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21が、入力端a1と入出力端a2,b2の何れに切り替えられているかによって、以下の4つの態様(1)〜(4)に分けられる。
(1)複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21が、いずれも入力端a1側に接続された場合(図13参照)
(2)複巻トランス第1切替スイッチSW22が入力端a1側に接続され、複巻トランス第2切替スイッチSW21が入出力端a2,b2側に接続された場合(図14参照)
(3)複巻トランス第1切替スイッチSW22が入出力端a2,b2側に接続され、複巻トランス第2切替スイッチSW21が入力端a1側に接続された場合(図15参照)
(4)複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21がいずれも入出力端a2,b2側に接続された場合(図16参照)
【0067】
以下、態様(1)の場合について説明する。タップ切替第1スイッチTSW1とタップ切替第2スイッチTSW2が、単巻トランスSTにおける例えばタップ位置t4とタップt2に接続されていると、タップ位置t4での電圧75vを入力電圧100vから引いた電圧25vが、第1複巻トランスFT1の一次巻線に極性に合わせて加えられる。この電圧25vに第1複巻トランスFT1の一次巻線と二次巻線の比1/5を掛け合わせた値の電圧5vが二次巻線に出力される。この複巻トランス第1切替スイッチSW22とタップ切替第1スイッチTSW1の全ての組み合わせと、それによる第1複巻トランスFT1の二次巻線側の電圧値との関係を下記表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
一方、タップ切替第2スイッチTSW2の単巻トランスSTにおけるタップ位置t2での電圧25vを入力電圧100vから引いた電圧75vが、第2複巻トランスFT2の一次巻線に極性を反転した状態で加えられる。この電圧に第2複巻トランスFT2の一次巻線と二次巻線の比1/8を掛け合わせた値の電圧9.375vが二次巻線に出力される。さらに、この電圧9.375vが第1複巻トランスFT1の一次巻線に加えられ、この電圧に第1複巻トランスFT1の一次巻線と二次巻線の比1/5を掛け合わせた値の電圧1.875vが、二次巻線側に出力される。この複巻トランス第2切替スイッチSW21とタップ切替第2スイッチTSW2の全ての組み合わせと、それによる第2複巻トランスFT2と第1複巻トランスFT1の各二次巻線側の電圧値との関係を下記表5−1、表5−2に示す。
【0070】
【表5−1】
【0071】
【表5−2】
【0072】
以上のように、上記態様(1)においては、入力電圧100vに対して、タップ切替第1スイッチTSW1と第1複巻トランスFT1を経た0〜20vの範囲の電圧が加えられ、タップ切替第2スイッチTSW2と第2複巻トランスFT2及び第1複巻トランスFT1を経た0〜−2.5vの範囲の電圧が引かれて、出力端から97.5〜120vの範囲の電圧が出力される。その結果、態様(1)の場合は、入力電圧に対して、第1複巻トランスFT1で減圧された電圧が加えられると共に、第2副巻トランスFT2と第1複巻トランスFT1で二重に減圧された電圧が引かれることにより、入力電圧に対して2段階で非常に細かく調整された出力電圧を出力することができる。上記態様(2)についても同様の動作が行われて出力端から100〜122.5vの範囲の電圧が出力される。上記態様(3)については、出力端から77.5〜100vの範囲の電圧が出力される。上記態様(4)については、出力端から80〜102.5vの範囲の電圧が出力される。
【0073】
実施例4における安定化電源装置70の演算制御装置41、目標電圧入力部42、出力電圧検出器43、スイッチ切替部44については、上記実施例1,3のものと同様である。演算制御装置41のROMには、タップ切替第1及び第2スイッチTSW1,TSW2の切り替えの組合せと、複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21の切替の組み合わせを合わせた組合せに応じた第2複巻トランスFT2と第1複巻トランスFT1の各二次巻線側の電圧値との関係を表す上記表4と表5−1、表5−2に相当する組合せデータD3が記憶されている。
【0074】
上記構成の実施例4においても、実施例1,3と同様の動作により、安定化電源装置70は、入力電圧77.5v〜122.5vの広い範囲の変動に対して、出力電圧100vの変動を±0.5%程度の範囲に抑えることができる。また、実施例4においては、タップ切替第1及び第2スイッチTSW1,TSW2と複巻トランス第1切替スイッチSW22及び複巻トランス第2切替スイッチSW21を流れる電流を出力電流に比べて大幅に少なくできるため、これらスイッチとして大電流の半導体素子を用いる必要がないため、スイッチ素子を安価にすることができ、装置コストを安価にできる。
【0075】
なお、実施例4においては、第2副巻トランスFT2の一次巻線、二次巻線の各一端の入力端a1,a2のいずれかへの接続を、電気的スイッチである複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21の自動的な切り替えによって行っているが、これに代えて、複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21を用いずに、直接リード線で接続した4つの場合に分けて、それぞれの場合を実施例とすることも可能である。
【0076】
つぎに、実施例5について図17〜図21により説明する。
実施例5は、上記コードリール10における安定化電源装置80を図17のように構成したものであり、コードリール10の筒状リール11等の他の構成については実施例1と同様である。安定化電源装置80は、100vの交流電源が入力される一対の入力端a1,a2と、交流電源の電圧を変圧した出力電圧を出力する一対の出力端b1,b2とを備えており、他方の入力端a2と出力端b2がリード線で直結されている。両入力端a1,a2には、単巻トランスSTが両端にて接続されており、両端を含めた間には他端側から順に等間隔で5つのタップt1〜t5を設けている。これらタップt1〜t5に加わる電圧は、0v,25v,50v,75v,100vとなる。単巻トランスSTの5つのタップt1〜t5には、タップ第1切替スイッチTSW1とタップ第2切替スイッチTSW2が別個に切り替え可能に接続されている。タップ切替第1スイッチTSW1及びタップ切替第2スイッチTSW2を、タップt1〜t5に接続された電気的なスイッチである電界効果トランジスタやIGBT等からなる各5個のスイッチFET1〜5とFET6〜10とした。
【0077】
入力端a1と出力端b1の間には、複巻第1トランスFT1が配置され、その一次巻線に磁気結合された二次巻線の一端にて入力端a1に接続されている。複巻第1トランスFT1は、一次巻線と二次巻線の比が5:1であり、両巻線の定格電圧が100v/20vである降圧トランスである。複巻第1トランスFT1に対して、複巻第2トランスFT2が併設されて、二次巻線の一端が複巻第1トランスFT1の二次巻線の他端に接続され、二次巻線の他端が出力端b1に接続されている。複巻第2トランスFT2は、一次巻線と二次巻線の比が40:1と複巻第1トランスFT1に比べて8倍の巻線比であり、両巻線の定格電圧が100v/2.5vである降圧トランスである。複巻第1トランスFT1の一次巻線の一端にはタップ第1切替スイッチTSW1が接続されており、一端とタップt1〜t5のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。複巻第2トランスFT2の一次巻線の一端にはタップ第2切替スイッチTSW2が接続されており、一端とタップt1〜t5のいずれか1つとの接続を切り替え可能になっている。複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21も電気的なスイッチである電界効果トランジスタやIGBT等からなるスイッチとした。
【0078】
上記単巻トランスSTと複巻第1トランスFT1の間において入力端a1のリード線と入出力端a2,b2間のリード線との間には、第1複巻トランス切替スイッチSW11と第2複巻トランス切替スイッチSW21とが並列に接続されている。第1複巻トランス切替スイッチSW11は、複巻第1トランスFT1の二次巻線の他端に接続されて、二次巻線の他端と入力端a1及び入出力端a2,b2との接続の切り替えが可能になっている。第2複巻トランス切替スイッチSW21は、複巻第2トランスFT2の一次巻線の他端に接続されて、一次巻線の他端と入力端a1及び入出力端a2,b2との接続の切り替えが可能になっている。
【0079】
つぎに、実施例5の動作については、第1複巻トランス切替スイッチSW11と第2複巻トランス切替スイッチSW21が、入力端a1と入出力端a2,b2の何れに切り替えられているかによって、以下の4つの態様(1)〜(4)に分けられる。
(1)第1複巻トランス切替スイッチSW11と第2複巻トランス切替スイッチSW21が、いずれも入力端a1側に接続された場合(図18参照)
(2)第1複巻トランス切替スイッチSW11が入力端a1側に接続され、第2複巻トランス切替スイッチSW21が入出力端a2,b2側に接続された場合(図19参照)
(3)第1複巻トランス切替スイッチSW11が入出力端a2,b2側に接続され、第2複巻トランス切替スイッチSW21が入力端a1側に接続された場合(図20参照)
(4)第1複巻トランス切替スイッチSW11と第2複巻トランス切替スイッチSW21がいずれも入出力端a2,b2側に接続された場合(図21参照)
【0080】
以下、態様(1)について説明する。タップ第1切替スイッチTSW1とタップ第2切替スイッチTSW2が、単巻トランスSTにおける例えばタップ位置t4とタップt2に接続されていると、タップ位置t4での電圧75vを入力電圧100vから引いた電圧25vが、複巻第1トランスFT1の一次巻線に極性に合わせて加えられる。この電圧25vに複巻第1トランスFT1の一次巻線と二次巻線の比1/5を掛け合わせた値の電圧5vが二次巻線に出力される。この第1複巻トランス切替スイッチSW11とタップ第1切替スイッチTSW1の全ての組み合わせと、それによる複巻第1トランスFT1の二次巻線側の電圧値との関係を下記表6に示す。
【0081】
【表6】
【0082】
一方、タップ第2切替スイッチTSW2の単巻トランスSTにおけるタップ位置t2での電圧25vを入力電圧100vから引いた電圧75vが、複巻第2トランスFT2の一次巻線に極性を合わせて加えられる。この電圧に複巻第2トランスFT2の一次巻線と二次巻線の比1/40を掛け合わせた値の電圧1.875vが二次巻線に出力される。この第2複巻トランス切替スイッチSW21とタップ第2切替スイッチTSW2の全ての組み合わせと、それによる複巻第2トランスFT2の二次巻線側の電圧値との関係を下記表7に示す。
【0083】
【表7】
【0084】
以上のように、上記態様(1)においては、入力電圧100vに対して、タップ第1切替スイッチTSW1と複巻第1トランスFT1を経た0〜20vの範囲の電圧が加えられ、タップ第2切替スイッチTSW2と複巻第2トランスFT2を経た0〜2.5vの範囲の電圧が加えられて、出力端から100〜122.5vの範囲の電圧が出力される。その結果、態様(1)の場合は、入力電圧に対して、複巻第1トランスFT1で減圧された電圧が加えられると共に、副巻第2トランスFT2により複巻第1トランスFT1に比べてさらに大きく減圧された電圧が加えられることにより、入力電圧に対して2段階で非常に細かく調整された出力電圧を出力することができる。上記態様(2)についても同様の動作が行われて出力端から97.5〜120vの範囲の電圧が出力される。上記態様(3)については、出力端から80〜102.5vの範囲の電圧が出力される。上記態様(4)については、出力端から77.5〜100vの範囲の電圧が出力される。
【0085】
安定化電源装置80の演算制御装置41、目標電圧入力部42、出力電圧検出器43、スイッチ切替部44については、上記実施例5のものと同様である。演算制御装置41のROMには、タップ切替第1及び第2スイッチTSW1,TSW2の切り替えの組合せと、複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21の切替の組み合わせを合わせた組合せに応じた第2複巻トランスFT2と第1複巻トランスFT1の各二次巻線側の電圧値との関係を表す上記表6と表7に相当する組合せデータD4が記憶されている。
【0086】
上記構成の実施例5においても、安定化電源装置80は、入力電圧77.5v〜122.5vの広い範囲の変動に対して、出力電圧100vの変動を±0.5%程度の範囲に抑えることができる。また、実施例5においては、タップ切替第1及び第2スイッチTSW1,TSW2と複巻トランス第1切替スイッチSW22及び複巻トランス第2切替スイッチSW21を流れる電流を出力電流に比べて大幅に少なくできるため、これらスイッチとして大電流の半導体素子を用いる必要がないため、スイッチ素子を安価にすることができ、装置コストを安価にできる。
【0087】
なお、実施例5においては、第2副巻トランスFT2の一次巻線、二次巻線の各一端の入力端a1,a2のいずれかへの接続を、電気的スイッチである複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21の自動的な切り替えによって行っているが、これに代えて、複巻トランス第1切替スイッチSW22と複巻トランス第2切替スイッチSW21を用いずに、直接リード線で接続した4つの場合に分けて実施することも可能である。
【0088】
なお、上記実施例1〜5においては、安定化電源装置として、商用の100v交流電源を用いているが、これに限らず所定の電圧の交流電源とすることが可能である。また、単巻トランスとしては、通常は複巻トランスの一次巻線と二次巻線を連結したものが用いられるが、これに限らず、複巻トランスの一次巻線や二次巻線を単独で用いることも可能である。また、上記各種の複巻トランスの巻線比や定格についても、上記実施例に示したものに限らず、変更することが可能である。その他、上記各実施例に示したものは一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0089】
10…コードリール、11…筒状リール、12…本体、13,14…左,右側板、16,17…左、右取付板、19…軸部材、23…台、31…出力側コンセント、35…コード、37…保護リレー、38…温度センサ、40,60,70,80…安定化電源装置、41…演算制御装置、42…目標電圧入力部、43…出力電圧検出器、44…スイッチ切替部、50…台。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端がそれぞれ側板で封止された中空の筒状リールと、該筒状リールを軸心を中心として回転自在に支持する台とを設け、該筒状リールの外周面にコードが一端にて固定されて他端に設けたコンセントにより交流電源に接続可能にされると共に、該コードが前記筒状リール内に延びて先端が前記側板に設けた出力側コンセントに接続されてなるコードリールにおいて、
前記筒状リール内にて該筒状リールの外部と磁気的に遮断された状態で配設されると共に、前記コードに介装されて、該コードを通して一対の入力端から入力される電圧を目標電圧値になるように安定化して一対の出力端から前記出力側コンセントに出力する安定化電源装置を設けたことを特徴とするコードリール。
【請求項2】
前記筒状リールの温度を検知する温度センサと、該温度センサが予め定められた上限温度以上の温度を検知したとき、これに応じて前記コードの通電状態を非通電状態に切り替える保護スイッチとを設けたことを特徴とする請求項1に記載のコードリール。
【請求項3】
前記温度センサが前記上限温度以上の温度を検知した後に、予め定められた下限温度以下の温度を検知したとき、前記保護スイッチにより前記コードが通電状態に戻されることを特徴とする請求項2に記載のコードリール。
【請求項4】
前記安定化電源装置が、
前記入力端の一方に一端が接続されると共に該入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設けた単巻トランスと、
一次巻線と、該一次巻線に磁気結合されて前記入力端の一方と前記出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する複巻トランスと、
前記複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、該一端と前記複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能なタップ切替スイッチと、
前記複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、該一次巻線の他端と前記入力端の一方側及び他方側のいずれか一方との接続を電気的に切り替え可能な切替スイッチと、
前記交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
前記交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、
前記タップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えの組合せと、該組合せに応じた前記交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、
前記出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と前記目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、前記データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて該出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる前記タップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、
該演算制御手段による演算結果に基づいて、前記タップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段と、を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコードリール。
【請求項5】
前記単巻トランスと前記複巻トランスが、前記筒状リール内の軸心を中心とした回転対称位置に配設されたことを特徴とする請求項4に記載のコードリール。
【請求項6】
前記安定化電源装置が、
前記入力端の一方に一端が接続されると共に該入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設け、該複数のタップの内の一端側と中間の間のものを第1のタップ群とし、中間から他端側のものを第2のタップ群とした単巻トランスと、
一次巻線と、該一次巻線に磁気結合されて前記入力端の一方と前記出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する複巻トランスと、
前記複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、該一端と前記第1のタップ群及び第2のタップ群のいずれか一方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第1タップ切替スイッチと、
前記複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、該他端と前記第1のタップ群及び第2のタップ群の他方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第2タップ切替スイッチと、
前記交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
前記交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、
前記第1タップ切替スイッチ及び第2切替スイッチの切り替えの組合せと、該組合せに応じた前記交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、
前記出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と前記目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、前記データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて該出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる前記第1タップ切替スイッチ及び第2タップ切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、
該演算制御手段による演算結果に基づいて、前記第1タップ切替スイッチ及び第2タップ切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段と、を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコードリール。
【請求項7】
前記安定化電源装置が、
前記入力端の一方に一端が接続されると共に該入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設け、該複数のタップの内の一端側と中間の間のものを第1のタップ群とし、中間から他端側のものを第2のタップ群とした単巻トランスと、
一次巻線と、該一次巻線に磁気結合されて前記入力端の一方と前記出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する複巻トランスと、
前記複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、該一端と前記第1のタップ群及び第2のタップ群のいずれか一方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第1タップ切替スイッチと、
前記複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、該他端と前記第1のタップ群及び第2のタップ群の他方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第2タップ切替スイッチと、
前記複巻トランスの一次巻線の両端と、前記第1タップ切替スイッチ及び第2タップ切替スイッチとの接続を電気的に切り替える一次巻線切替スイッチと、
前記交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
前記交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、
前記第1タップ切替スイッチ、第2切替スイッチ及び一次巻線切替スイッチの切り替えの組合せと、該組合せに応じた前記交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、
前記出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と前記目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、前記データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて該出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる前記第1タップ切替スイッチ、第2タップ切替スイッチ及び一次巻線切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、
該演算制御手段による演算結果に基づいて、前記第1タップ切替スイッチ、第2タップ切替スイッチ及び一次巻線切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段と、を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコードリール。
【請求項8】
前記単巻トランスと前記複巻トランスが、前記筒状リール内の軸心を中心とした回転対称位置に配設されたことを特徴とする請求項6又は7に記載のコードリール。
【請求項1】
両端がそれぞれ側板で封止された中空の筒状リールと、該筒状リールを軸心を中心として回転自在に支持する台とを設け、該筒状リールの外周面にコードが一端にて固定されて他端に設けたコンセントにより交流電源に接続可能にされると共に、該コードが前記筒状リール内に延びて先端が前記側板に設けた出力側コンセントに接続されてなるコードリールにおいて、
前記筒状リール内にて該筒状リールの外部と磁気的に遮断された状態で配設されると共に、前記コードに介装されて、該コードを通して一対の入力端から入力される電圧を目標電圧値になるように安定化して一対の出力端から前記出力側コンセントに出力する安定化電源装置を設けたことを特徴とするコードリール。
【請求項2】
前記筒状リールの温度を検知する温度センサと、該温度センサが予め定められた上限温度以上の温度を検知したとき、これに応じて前記コードの通電状態を非通電状態に切り替える保護スイッチとを設けたことを特徴とする請求項1に記載のコードリール。
【請求項3】
前記温度センサが前記上限温度以上の温度を検知した後に、予め定められた下限温度以下の温度を検知したとき、前記保護スイッチにより前記コードが通電状態に戻されることを特徴とする請求項2に記載のコードリール。
【請求項4】
前記安定化電源装置が、
前記入力端の一方に一端が接続されると共に該入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設けた単巻トランスと、
一次巻線と、該一次巻線に磁気結合されて前記入力端の一方と前記出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する複巻トランスと、
前記複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、該一端と前記複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能なタップ切替スイッチと、
前記複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、該一次巻線の他端と前記入力端の一方側及び他方側のいずれか一方との接続を電気的に切り替え可能な切替スイッチと、
前記交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
前記交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、
前記タップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えの組合せと、該組合せに応じた前記交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、
前記出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と前記目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、前記データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて該出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる前記タップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、
該演算制御手段による演算結果に基づいて、前記タップ切替スイッチ及び切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段と、を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコードリール。
【請求項5】
前記単巻トランスと前記複巻トランスが、前記筒状リール内の軸心を中心とした回転対称位置に配設されたことを特徴とする請求項4に記載のコードリール。
【請求項6】
前記安定化電源装置が、
前記入力端の一方に一端が接続されると共に該入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設け、該複数のタップの内の一端側と中間の間のものを第1のタップ群とし、中間から他端側のものを第2のタップ群とした単巻トランスと、
一次巻線と、該一次巻線に磁気結合されて前記入力端の一方と前記出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する複巻トランスと、
前記複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、該一端と前記第1のタップ群及び第2のタップ群のいずれか一方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第1タップ切替スイッチと、
前記複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、該他端と前記第1のタップ群及び第2のタップ群の他方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第2タップ切替スイッチと、
前記交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
前記交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、
前記第1タップ切替スイッチ及び第2切替スイッチの切り替えの組合せと、該組合せに応じた前記交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、
前記出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と前記目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、前記データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて該出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる前記第1タップ切替スイッチ及び第2タップ切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、
該演算制御手段による演算結果に基づいて、前記第1タップ切替スイッチ及び第2タップ切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段と、を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコードリール。
【請求項7】
前記安定化電源装置が、
前記入力端の一方に一端が接続されると共に該入力端の他方に他端が接続されて両端間に複数のタップを設け、該複数のタップの内の一端側と中間の間のものを第1のタップ群とし、中間から他端側のものを第2のタップ群とした単巻トランスと、
一次巻線と、該一次巻線に磁気結合されて前記入力端の一方と前記出力端の一方の間に両端が接続された二次巻線とを有する複巻トランスと、
前記複巻トランスの一次巻線の一端に接続されて、該一端と前記第1のタップ群及び第2のタップ群のいずれか一方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第1タップ切替スイッチと、
前記複巻トランスの一次巻線の他端に接続されて、該他端と前記第1のタップ群及び第2のタップ群の他方に含まれる複数のタップのいずれか1つとの接続を電気的に切り替え可能な第2タップ切替スイッチと、
前記複巻トランスの一次巻線の両端と、前記第1タップ切替スイッチ及び第2タップ切替スイッチとの接続を電気的に切り替える一次巻線切替スイッチと、
前記交流電源の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
前記交流電源の目標出力電圧を入力する目標電圧入力手段と、
前記第1タップ切替スイッチ、第2切替スイッチ及び一次巻線切替スイッチの切り替えの組合せと、該組合せに応じた前記交流電源の出力電圧との関係を表す組合せデータを記憶するデータ記憶手段と、
前記出力電圧検出手段により検出された出力電圧値と前記目標電圧入力手段から入力された目標電圧値とを比較し、前記データ記憶手段に記憶された組合せデータに基づいて該出力電圧値と目標電圧値の差を最小にさせる前記第1タップ切替スイッチ、第2タップ切替スイッチ及び一次巻線切替スイッチの切り替えの組み合わせを演算する演算制御手段と、
該演算制御手段による演算結果に基づいて、前記第1タップ切替スイッチ、第2タップ切替スイッチ及び一次巻線切替スイッチの切り替えを行うスイッチ切替手段と、を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコードリール。
【請求項8】
前記単巻トランスと前記複巻トランスが、前記筒状リール内の軸心を中心とした回転対称位置に配設されたことを特徴とする請求項6又は7に記載のコードリール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−1555(P2013−1555A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137371(P2011−137371)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(508362310)八和エレック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(508362310)八和エレック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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