説明

コード

【課題】軽微な操作力でコードを連結可能としながら、製作が容易で、十分な保持力を確保し得る操作コードの連結部を容易に提供する。
【解決手段】コードの両端部を連結部で連結して無端状とした操作コードにおいて、連結部は、コードの両端にそれぞれ設けた充実体の嵌合突部45と、嵌合突部45が対向するように嵌合可能とした筒状の連結部材42とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コードの接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
横型ブラインドの一種類として、ヘッドボックスの一端に回動可能に支持されたプーリーに無端状のボールチェーンを操作コードとして掛装し、そのボールチェーンを操作してプーリーを回転させることにより、スラットを昇降操作及び角度調節可能としたものがある。
【0003】
ボールチェーンは、例えば合成樹脂で紐状に形成されたコードに対し、同じく合成樹脂のボールを等間隔に成形して固定したものである。そして、プーリーの周面に形成された凹部に各ボールを順次係合させてプーリーを回転駆動可能となっている。
【0004】
このようなボールチェーンは、多数のボールを成形して取着したコードの両端をコネクタで連結して無端状とする構成が一般的である。また、プーリーに対しボールチェーンを1回転以上周回させてスラットの昇降操作を行う横型ブラインドの場合には、ボールチェーンの結合部のボール形状及びボール間隔は他の部分のボール形状及びボール間隔と同一とする必要がある。
【0005】
このような場合には、結合部のボールを2分割し、その分割部を互いに嵌合してボールを構成するものが提案されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−184456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように無端状のボールチェーンがプーリーから垂下されていると、そのボールチェーンの無端縁が室内を移動する居住者やその他の移動物体に引っ掛かることがある。
そこで、無端状のボールチェーンを構成する連結部には、通常の操作時に作用する引張り力を超えるような過大な引張り力が作用するときには、その引張り力により切断されて居住者の安全を確保し、かつボールチェーンが掛装されるプーリー等の損傷を未然に防止するフェイルセーフ機能を備えることが必要である。
【0008】
そして、このようなフェイルセーフ機能を備えた連結部は、過大な引張り力で切断された後にも容易に再結合可能とすることが望ましい。
この発明の目的は、軽微な操作力でコードを連結可能としながら、製作が容易で、十分な保持力を確保し得る操作コードの連結部を容易に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1では、コードの両端部を連結部で連結して無端状としたコードにおいて、前記連結部は、前記コードの両端にそれぞれ設けた軸状の嵌合突部と、前記嵌合突部が対向するように嵌合可能とした筒状の連結部材とを備えた。
【0010】
請求項2では、前記嵌合突部及び連結部材を合成樹脂で成形し、前記嵌合突部の先端部に、該嵌合突部の基端部より径の大きい膨径部を設け、前記連結部材には前記膨径部を挿入して回動させることにより該膨径部に係合する係止部を設けた。
【0011】
請求項3では、前記膨径部と前記連結部材の内周面には、前記嵌合突部の回動位置を位置決めする位置決め手段を設けた。
請求項4では、前記連結部材に嵌合する一対の嵌合突部の嵌合角度を、相対的にずらした。
【0012】
請求項5では、前記連結部材に嵌合する一対の嵌合突部の嵌合角度を、各嵌合突部の中心線が互いに直交する角度とした。
請求項6では、前記嵌合突部を、前記コードにアウトサート成型した。
【0013】
請求項7では、前記嵌合突部を、充実体とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、軽微な操作力でコードを連結可能としながら、製作が容易で、十分な保持力を確保し得る操作コードの連結部を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態の横型ブラインドを示す正面図である。
【図2】ボールチェーン示す正面図である。
【図3】連結部を示す断面図である。
【図4】連結部を示す分解斜視図である。
【図5】第一の連結部材を示す正面図である。
【図6】第一の連結部材を示す平面図である。
【図7】第一の連結部材を示す側面図である。
【図8】図5におけるC−C線断面図である。
【図9】第二の連結部材を示す正面図である。
【図10】第二の連結部材を示す背面図である。
【図11】図9におけるD−D線断面図である。
【図12】図9におけるE−E線断面図である。
【図13】図11におけるF−F線断面図である。
【図14】連結部材の嵌合状態を示す断面図である。
【図15】別例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を具体化した第一の実施形態を図面に従って説明する。図1に示す横型ブラインドは、ヘッドボックス1から吊下支持されるラダーテープ2に多数段のスラット3が支持され、そのラダーテープ2の下端にボトムレール4が取着されている。
【0017】
前記スラット3には前記ラダーテープ2の支持位置近傍で昇降コード5が挿通され、その昇降コード5の下端に前記ボトムレール4が吊下支持されている。前記昇降コード5の上端は前記ヘッドボックス1内に配設される支持部材6に回転可能に支持された巻取軸7に巻着されている。
【0018】
前記ヘッドボックス1の一端にはプーリー8が回転可能に支持され、そのプーリー8に無端状のボールチェーン9が掛装されている。そして、ボールチェーン9を操作してプーリー8を正逆方向に回転させると、ギヤボックス10及び昇降軸12a等を介して前記巻取軸7が回転され、昇降コード5が巻取軸7に巻き取られあるいは巻戻されて、スラット3及びボトムレール4が昇降される。
【0019】
また、プーリー8を回転させると、ギヤボックス10、チルトユニット11、チルト軸12b等を介してチルトドラム13が回動され、前記ラダーテープ2を介して各スラット3が回動されるようになっている。
【0020】
次に、前記ボールチェーン9の具体的構成を図2〜図14に従って説明する。図2に示すように、前記ボールチェーン9はポリエステルのコード14上に等間隔に合成樹脂のボール15が成形されている。各ボール15はコード14の表面上に成形機で長球状の充実体を成形したものであり、各ボール15がコード14に対し移動不能に固着されている。
【0021】
前記コード14の両端部は、連結部16で連結されて無端状のボールチェーン9が構成される。図3及び図4に示すように、連結部16は同一構成の2つの第一の連結部材41を筒状の第二の連結部材(第二の嵌合部)42で連結した構成である。
【0022】
前記第一の連結部材41は、図5に示すように、前記コード14と同一材質の連結コード19の一端に前記ボール15の半分の形状の半球部20がアウトサート成型され、他端には第一の嵌合部43が形成されている。前記半球部20と第一の嵌合部43との間に前記ボール15と同形状のボール44が固着され、前記第一の嵌合部43とボール44との間隔及びボール44と半球部20との間隔は、前記ボール15の間隔と同一である。
【0023】
前記半球部20及び第一の嵌合部43は、前記ボール15と同一の合成樹脂で前記連結コード19の両端部に成形される。
前記第一の嵌合部43の基端部は、前記ボール15の端部と同様な半球状に形成され、第一の嵌合部43の先端部には、丸軸状の嵌合突部45がアウトサート成型されている。
【0024】
前記嵌合突部45の先端部の外周面上には、図4〜図7に示すように、丸軸の中心に対し線対称状に膨径部46が形成され、その膨径部46の中間には断面半円状の凹条47がそれぞれ形成されている。
【0025】
前記嵌合突部45の基端部には、図4及び図8に示すように、丸軸の径方向に突出する回動規制部48が中心に対し線対称状に形成されている。また、各回動規制部48は、前記丸軸の中心に対し前記凹条47から周方向に45度隔てた位置に形成される。
【0026】
前記第二の連結部材42は、前記第一の嵌合部43及びボール15,44と同一の合成樹脂で円筒状に成形されて嵌合孔を備えた第二の嵌合部として形成され、図9及び図10に示すように、両側の開口部49a,49bは前記嵌合突部45の膨径部46を含む先端部を挿入可能とした俵形に形成されている。また、開口部49a,49bは、その俵形の方向が円筒の中心に対し互いに90度回転した形状となっている。
【0027】
前記第二の連結部材42の内部には、前記嵌合突部45の先端部を回動可能とする径を備えた円形孔50が形成されている。そして、開口部49aの俵形の短軸方向の開口縁には、前記膨径部46の円形孔50からの抜けを妨げる係止部51a,51bがそれぞれ形成され、開口部49bの俵形の短軸方向の開口縁には、前記膨径部46の円形孔50からの抜けを妨げる係止部51c,51dがそれぞれ形成されている。
【0028】
また、前記係止部51a,51cの内側において、前記円形孔50の内周面には前記凹条47に係合する突条52がそれぞれ形成されている。
前記第一の連結部材41と第二の連結部材42とを連結するには、第一の嵌合部43の嵌合突部45を第二の連結部材42の一方の開口部49aに挿入し、第一の嵌合部43を第二の連結部材42に対し時計方向に90度回動する。すると、嵌合突部45の凹条47が円形孔50内の突条52に係合し、回動規制部48が開口部49aの俵形の角部から隣の角部まで移動して、図14に示すように位置決めされる。
【0029】
また、第二の連結部材42の他方の開口部49bにも同様に第一の連結部材41の嵌合突部45を挿入して90度回動させて位置決めする。すると、図3に示すように、第二の連結部材42を介して第一の連結部材41が連結される。
【0030】
この状態では、各第一の連結部材の嵌合突部45の膨径部46が第二の連結部材42の係止部51a〜51dに係合して、第二の連結部材42の円形孔50内に保持される。
この保持力は、通常のスラット昇降操作及びスラット角度調節操作時にボールチェーン9に作用する通常の引張り力では、嵌合突部45が第二の連結部材42から外れることがないように設定されている。そして、ボールチェーン9に通常の引張り力を超える大きな引張り力が作用したときに限り、第二の連結部材42の合成樹脂の弾性により、嵌合突部45の膨径部46により第二の連結部材42の開口部49a,49bが押し広げられて、嵌合突部45が第二の連結部材42から外れるようになっている。
【0031】
また、第二の連結部材42の両側に第一の嵌合部43を嵌合した状態での外形形状は、前記ボール15と同一形状となるように形成されている。
前記第一の連結部材41の半球部20は、前記コード14の両端にアウトサート成型された半球部15aに溶着固定されて、前記ボール15と同一形状のボールが形成される。そして、前記第一の連結部材41を第二の連結部材42で連結すると、無端状のボールチェーン9が形成される。
【0032】
このように構成されたボールチェーン9では、前記ボールチェーン9のコード14及び前記連結部16の連結コード19の全長に亘って同一形状のボールが同一間隔で形成される。従って、ボールチェーン9はプーリー8に対し制限なく周回可能である。
【0033】
上記のように構成されたボールチェーンでは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)ボールチェーン9のコード14及び前記連結部16の連結コード19の全長に亘って同一形状のボールが同一間隔で形成される。従って、ボールチェーン9をプーリー8に対し制限なく周回させて、スラットの昇降操作を行うことができる。
(2)ボールチェーン9に通常の引張り力を超える大きな引張り力が作用したとき、連結部16の第一の連結部材41のいずれかと第二の連結部材42の嵌合が外れる。従って、ボールチェーンの無端縁が室内を移動する居住者やその他の移動物体に引っ掛かったとき、ボールチェーン9を連結部16で切断させて居住者の安全を確保し、かつボールチェーン9が掛装されるプーリー8等の損傷を未然に防止することができる。
(3)連結部16の嵌合が外れた後は、第一の連結部材41と第二の連結部材42を再度嵌合すれば、無端状のボールチェーン9として容易に再生することができる。
(4)嵌合突部45を第二の連結部材42の開口部49a,49bに挿入して90度回動させることにより、嵌合突部45を第二の連結部材42に嵌合する構成としたので、嵌合突部45を第二の連結部材42に嵌合するための操作力を軽微としながら、嵌合突部45を第二の連結部材42に保持する保持力を十分に確保することができる。
(5)第二の連結部材42で連結される一対の第一の連結部材41は、その嵌合突部45の中心線が互いに直交する角度で保持されている。従って、各嵌合突部45に引張り力が作用するとき、各嵌合突部45の膨径部46が第二の連結部材42の開口部49a,49bを互いに90度ずれた方向、すなわち第二の連結部材42の中心から四方に向かって押し広げるように動作するため、保持力を確保することが容易である。
(6)一対の第一の連結部材41を円筒状の第二の連結部材42で連結する構成であり、第一及び第二の連結部材41,42を合成樹脂で容易に成形することができるので、連結部16を容易に形成することができる。
(7)嵌合突部45を円筒状の第二の連結部材42に嵌合するための操作力が軽微であるので、工具を使用することなく、嵌合突部45を第二の連結部材42に再嵌合することができる。従って、連結部16が外れても、居住者が容易に復帰させることができる。
(8)第一の嵌合部43をアウトサート成型により連結コード19の端部に容易に形成することができる。
【0034】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・前記連結部16を、縦型ブラインドやロールブラインド等の日射遮蔽装置の無端状の操作コードの連結部に使用してもよい。
・第一及び第二の連結部材41,42を嵌合する際に、第一の連結部材41を第二の連結部材42に対し回動させる角度は、90度以外の角度としてもよい。
・図15に示すように、第一の嵌合部43の嵌合突部45には、その外周面の全周に亘って膨径部46を設け、その嵌合突部45を前記第二の連結部材42の開口部49a,49bに嵌合するようにしてもよい。
・上記実施形態において、半球部15aと半球部20の接合面を、半球部15aと半球部20の軸心に対し斜めとして、接合面の面積を増大させるようにしてもよい。
・前記連結部16を、横型ブラインドのヘッドボックスから垂下されてボトムレールに接続される昇降コード又は操作コードの中間部に設けて、フェイルセーフ機能を持たせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
9…操作コード(ボールチェーン)、14…コード、15,44…ボール、15a,20,16…連結部、41…第一の連結部材、42…連結部材(第二の連結部材)、19…連結コード、43…第一の嵌合部、45…嵌合突部、47…位置決め手段(凹条)、52…位置決め手段(突条)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードの両端部を連結部で連結して無端状としたコードにおいて、
前記連結部は、
前記コードの両端にそれぞれ設けた軸状の嵌合突部と、
前記嵌合突部が対向するように嵌合可能とした筒状の連結部材とを備えたことを特徴とするコード。
【請求項2】
前記嵌合突部及び連結部材を合成樹脂で成形し、前記嵌合突部の先端部に、該嵌合突部の基端部より径の大きい膨径部を設け、前記連結部材には前記膨径部を挿入して回動させることにより該膨径部に係合する係止部を設けたことを特徴とする請求項1記載のコード。
【請求項3】
前記膨径部と前記連結部材の内周面には、前記嵌合突部の回動位置を位置決めする位置決め手段を設けたことを特徴とする請求項2記載のコード。
【請求項4】
前記連結部材に嵌合する一対の嵌合突部の嵌合角度を、相対的にずらしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコード。
【請求項5】
前記連結部材に嵌合する一対の嵌合突部の嵌合角度を、各嵌合突部の中心線が互いに直交する角度としたことを特徴とする請求項4項に記載のコード。
【請求項6】
前記嵌合突部を、前記コードにアウトサート成型したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコード。
【請求項7】
前記嵌合突部を、充実体としたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−6925(P2011−6925A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151569(P2009−151569)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000250672)立川ブラインド工業株式会社 (224)
【Fターム(参考)】