説明

コーナーポール

【課題】
耐衝撃性を維持し得るとともに先端部の所定のキャラクタ形状にて光を良好に拡散させ、意匠性を更に向上させ得るコーナーポールを提供する。
【解決手段】
車両のコーナー部に突設され、当該コーナー部の運転者による視認を図るためのコーナーポールにおいて、基端1a側のLED6から照射された光を先端1b側まで導くことが可能であって、所定の弾力を有する棒状のアクリル樹脂材1と、該アクリル樹脂材1の先端に取り付けられたガラス体から成り、当該アクリル樹脂材1で導かれた光を拡散し得る所定のキャラクタ形状4aを内部に有した拡散部4aとを具備したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のコーナー部に突設され、当該コーナー部の運転者からの視認を図るためのコーナーポールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転者による車両のコーナー部(隅部)の視認を確実に行わせるべく、フロントバンパー隅部にコーナーポールを配設することが広く行われている。かかるコーナーポールとして、夜間においても視認性を維持すべく、例えば棒状に形成されたアクリル樹脂材をフロントバンパーの所望位置で突設させるとともに、該アクリル樹脂材の基端側にLED等の光源を設置したものが提供されるに至っている。
【0003】
即ち、光源から照射された光は、アクリル樹脂材材の長手方向に導かれつつ発光するので、夜間においても運転者による車両のコーナー部の視認を良好に行わせることができるのである。然るに、コーナーポールの先端における外周面にスリットを形成して導かれた光を拡散させることにより、発光時のコーナーポールの意匠性を向上させたものも提供されている。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のコーナーポールにおいては、先端部のスリットにより光を拡散させて意匠性を向上させているものの、その拡散による発光形態が単調なもの(例えば円環状に発光等)に限られ、ユーザの趣向に合致させた意匠とすることが困難となっていた。また、アクリル樹脂材は、安価で且つ所定の弾力を有しているため、耐衝撃性が要求されるコーナーポールの材質として好ましいものである一方、かかるアクリル樹脂材の外周面にユーザの趣向に合致した複雑なキャラクタ形状の造り込みをし、且つ、当該キャラクタ形状にて光を拡散して発光させるのは困難であるという不具合もあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、耐衝撃性を維持し得るとともに先端部の所定のキャラクタ形状にて光を良好に拡散させ、意匠性を更に向上させ得るコーナーポールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、車両のコーナー部に突設され、当該コーナー部の運転者による視認を図るためのコーナーポールにおいて、基端側の光源から照射された光を先端側まで導くことが可能であって、所定の弾力を有する棒状の導光体と、該導光体の先端に取り付けられた硬質透光材料から成り、当該導光体で導かれた光を拡散し得る所定のキャラクタ形状を内部に有した拡散部とを具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のコーナーポールにおいて、前記拡散部のキャラクタ形状は、レーザー加工により3次元的に形成されたものであることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のコーナーポールにおいて、前記拡散部の先端側には、前記導光体で導かれた光を基端側に反射し得る反射板が取り付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、導光体が所定の弾性を有する棒状のもの(例えばアクリル樹脂材等)から成るので、耐衝撃性を維持し得るとともに、硬質透光材料(ガラス体など)から成る拡散部が導光体の先端に取り付けられ、該拡散部の内部に所定形状のキャラクタ形状を造り込んで光を良好に拡散させ得るので、コーナーポールの意匠性を更に向上させることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、拡散部のキャラクタ形状は、レーザー加工により3次元的に形成されたものであるため、ユーザの趣向に合致した複雑なキャラクタ形状を容易に形成することができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、拡散部の先端側には、導光体で導かれた光を基端側に反射し得る反射板が取り付けられたので、導光体で導かれた光と反射板により反射された光とが拡散部内を通過することとなり、拡散部内部のキャラクタ形状において光をより強く拡散させることができる。従って、意匠性を更に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るコーナーポールは、車両のフロントバンパーにおけるコーナー部に突設され、当該コーナー部の運転者からの視認を図るためのものであり、図1及び図2に示すように、導光体としてのアクリル樹脂材1と、樹脂成形品等から成る取付部2と、拡散部4と、反射板5と、光源としてのLED6とから主に構成されている。
【0013】
取付部2は、ポール取付部2aと車両固定部2bとから成り、車両固定部2bが取付ネジNにより車両のフロントバンパーBに固定されるとともに、該車両固定部2bにポール取付部2aが固定(具体的には、ポール取付部2aから突出された雄ネジ部にナットMを螺合して固定)され得るよう構成されている。また、ポール取付部2a内には光源としてのLED6が収容されており、該LED6の発光面(同図中上面)には、アクリル樹脂材1の基端が接触するようになっている。
【0014】
アクリル樹脂材1は、中実の棒状部材から成り、基端1a側のLED6から照射された光を先端1b側まで導くことが可能とされているとともに、アクリル樹脂材1は、その材質故、所定の弾力を有しており、耐衝撃性に優れたものとなっている。尚、アクリル樹脂材1の長手方向の寸法は、フロントバンパーBに固定させた状態にて、車両の運転席から運転者が視認し得る任意の寸法とすることができる。
【0015】
拡散部4は、硬質透光材料としての略立方体形状のガラス体から成るものであり、ホルダ3を介してアクリル樹脂材1の先端1bに取り付けられている。より具体的には、図3に示すように、アクリル樹脂材1の先端1bには、同図中上方に突出した凸部1baが一体成形されており、かかる凸部1baを含むアクリル樹脂材1の先端1b側、及び拡散部4の底面(下面)側を共にホルダ3により挟持させ、これらを一体化させているのである。尚、ホルダ3は、アクリル樹脂材1で導かれた光が周囲に漏れることなく拡散部4側に至らせ得るよう、略密閉状態となっている。
【0016】
更に、拡散部4の内部には、アクリル樹脂材1で導かれた光を拡散し得るキャラクタ形状4a(本実施形態においては、便宜上アルファベットの「A」なる文字をキャラクタ形状としている。)が形成されている。かかるキャラクタ形状4aは、レーザー加工により3次元的に形成されたものであり、これにより、本実施形態の如き「A」なる文字の他、ユーザの趣向に合致した複雑なキャラクタ形状(熊など動物の形状等)を容易に形成することができる。
【0017】
具体的には、図4に示すように、透明度の高い硬質のブロック状ガラス体(拡散部4)に対し、高発熱レーザーを3方向から照射し(同図中L1、L2及びL3のレーザー)、その3つの交点Pにおいて熱変化を生じさせて所定のキャラクタ形状を「点描」している。即ち、ガラス体の所定位置に熱変化による微小の傷をつけ、かかる傷の集合体を造形物としてキャラクタ表現することにより、キャラクタにて光を拡散させることができるのである。
【0018】
また、コンピュータ制御にてプログラムされた動作に従いレーザー光線を移動させ、キャラクタ形状の形成を図ることにより、より確実且つ容易にユーザの趣向に合致したキャラクタ形状を形成することができる。尚、ガラス体として、人造クリスタルガラス製造過程で鉛を抜いたオプテカルガラスを使用するのが好ましく、その場合、高級感を与えて意匠性を更に向上させることができる。
【0019】
反射板5は、拡散部4の先端側(図中上端側)に取り付けられ、アクリル樹脂材1で導かれた光を基端側(図中下方)に反射し得るものであり、例えば外観形状が上方に凸の弧状に形成された反射部材にて構成されている。尚、反射板5は、コーナーポールの突端を成している。これにより、アクリル樹脂材1で導かれた光(図中上方へ向かう光)と反射板5により反射された光(図中下方へ向かう光)とが拡散部4内を通過することとなり、拡散部4内部のキャラクタ形状4aにおいて光をより強く拡散させることができる。
【0020】
上記構成により、LED6を点灯させると、その光をアクリル樹脂材1の基端1a側で受け、長手方向に導きつつ発光させることができるとともに、当該アクリル樹脂材1の先端1bに至った光が拡散部4を通過し、その通過時に光がキャラクタ形状4aにて拡散され、より強く発光することとなる。即ち、キャラクタ形状4aが周囲の光よりも強く発光し、キャラクタが強調されるため、夜間における車両のコーナー部の視認性を向上させ得るとともに意匠性をも向上させることができるのである。尚、記述のように、拡散部4を通過した光は、反射板5にて反射され、キャラクタ形状4aを更に強く発光させる。
【0021】
本実施形態によれば、耐衝撃性が必要な導光体(アクリル樹脂材)と、高精度にキャラクタ形状を内部に形成させ得る拡散部(硬質透光材料としてのガラス体)とが別部材とされ、これらを一体的に組み付けてコーナーポールとしたため、それぞれの部材を各々適切な製造方法にて製造することができ、且つ、耐衝撃性と意匠性とを同時に図ることができる。また、拡散部4は、ホルダ3のネジ止めによりアクリル樹脂1と接続されているため、当該ネジを外すことにより拡散部4を他のキャラクタを有したものに付け替えすることが容易である。
【0022】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばアクリル樹脂材1に代えて、所定の弾力を有した棒状部材から成り、且つ、基端側の光源から照射された光を先端側まで導くことが可能な他の材料としてもよい。然るに、本実施形態の如く、比較的安価なアクリル樹脂材を用いることにより、製造コストを低減させることができる。
【0023】
また、拡散部は、内部に所定のキャラクタを形成し得て、その形状にて光を拡散させ得るものであれば、本実施形態の如く略立方体形状の他、直方体形状、球状或いは異形状のものとしてもよい。また、拡散部の内部に形成されたキャラクタ形状は、任意のものとすることができ、例えば見る角度によって形状が異なるもの等としてもよい。尚、本実施形態のLED6に代えて、光をアクリル樹脂材(導光体)側に照射させ得る他の光源(例えばランプ等)としてもよい。更に、拡散部は、キャラクタ形状を形成し得る硬質透光材料であれば、ガラス体に代えて他の材質のものを使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
基端側の光源から照射された光を先端側まで導くことが可能であって、所定の弾力を有する棒状の導光体と、該導光体の先端に取り付けられた硬質透光材料から成り、当該導光体で導かれた光を拡散し得る所定のキャラクタ形状を内部に有した拡散部とを具備したコーナーポールであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能や意匠等が付加されたものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係るコーナーポールを示す側面図
【図2】同コーナーポールを示す縦断面図
【図3】同コーナーポールにおける先端部の拡大断面図
【図4】同コーナーポールにおける拡散部の製造方法を示す模式図
【符号の説明】
【0026】
1 アクリル樹脂材(導光体)
1a 基端
1b 先端
2 取付部
3 ホルダ
4 拡散部
4a キャラクタ形状
5 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のコーナー部に突設され、当該コーナー部の運転者による視認を図るためのコーナーポールにおいて、
基端側の光源から照射された光を先端側まで導くことが可能であって、所定の弾力を有する棒状の導光体と、
該導光体の先端に取り付けられた硬質透光材料から成り、当該導光体で導かれた光を拡散し得る所定のキャラクタ形状を内部に有した拡散部と、
を具備したことを特徴とするコーナーポール。
【請求項2】
前記拡散部のキャラクタ形状は、レーザー加工により3次元的に形成されたものであることを特徴とする請求項1記載のコーナーポール。
【請求項3】
前記拡散部の先端側には、前記導光体で導かれた光を基端側に反射し得る反射板が取り付けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコーナーポール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−131020(P2006−131020A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320461(P2004−320461)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000111616)ハマニ化成株式会社 (8)
【出願人】(390019747)株式会社青木製作所 (3)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】