説明

コーナー切断具

【課題】 部品点数が少なく、構造が簡単であり、製造コストが低く、且つ長期間に亘ってメンテナンスが不要なコーナー切断具を提供する
【解決手段】
シート材の角縁部を所定形状に切断しうるコーナー切断具であって、シート材を載置しうる載置面を有する台座部と、上記台座部に設けられ、上記シート材の載置面と同一平面上に設けられた固定刃と、上記固定刃の端縁の平面形状と同一の平面形状の端縁を有し、上記固定刃の上方に配置され、上下方向に移動しうる可動刃と、上記可動刃の上方において、上下方向に移動可能に配設され、上記可動刃を下方に押圧しうる可動部材とを備え、
上記可動部材と上記可動刃との間には、上記可動部材により上記可動刃を押圧した場合に、上記可動刃を下方へ移動させると共に、上記可動刃の端縁を、上記固定刃の端縁に当接させる方向に押圧する可動刃押圧機構部が形成された構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙若しくは樹脂シート材の角縁部を所定形状に切断しうるコーナー切断具に関する。
【背景技術】
【0002】
事務作業等において、名刺、若しくは紙書類等の体裁を整えると共に、角縁部による手指の負傷を防止する目的で、角縁部を丸くカットすることが行われている。
上記作業を行うための装置として、機械式コーナー切断具が複数提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
しかしながら、上記各特許文献に記載されている機械式コーナー切断具は、装置構成が複雑のみならず大型であり、操作が煩雑であるとともに、事務机等で作業するために手軽に持ち運べる構成とはなっていないという不具合を有していた。
【0004】
上記不具合を解決するために、小型で、切断作業が容易であり、切断精度の高いコーナー切断具が提案されている(特許文献3)
図7に示すように、上記特許文献2に係るコーナー切断具70は、紙が載置される載置部71と同一平面上に設けられた固定刃72と、固定刃72の端縁の平面形状と同一の平面形状の端縁を有し、固定刃72の上方に配置された上下方向に稼動し、固定刃72の端縁に当接しうる可動刃14とを有し、可動刃73を固定刃72に当接させることにより紙を切断するように形成され、上記固定刃72の下方の台座部74と可動刃73との間にはコイルスプリング75が配設されている。
【0005】
上記特許文献2に係るコーナー切断具10にあっては、上記可動刃73を上記固定刃72方向に移動させた場合に、上記コイルスプリング75の付勢力によって、上記固定刃72の端縁と、上記可動刃73の端縁が確実に当接するため、紙を精度良く確実に切断することができる。
【0006】
しかしながら、上記コイルスプリング75を配設していることから、部品点数が増加し、切断時、非切断時を問わず常に、可動刃73を固定刃72方向に付勢していることから、長期間の使用に際しては、コイルスプリング75の付勢力が劣化する可能性があるため、その際は部品の交換の必要があった。
上記特許文献2に係るコーナー切断具にあっては、部品点数削減、及びメンテナンスコストの削減という観点においての検討がなされていなかった。
【特許文献1】実開昭48−789号公報
【特許文献2】実公昭54−5416号公報
【特許文献3】特開2005−74548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決する課題は、部品点数が少なく、構造が簡単であり、製造コストが低く、且つ長期間に亘ってメンテナンスが不要なコーナー切断具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係るコーナー切断具は、シート材を載置しうる載置面を有する台座部と、上記台座部に設けられ、上記シート材の載置面と同一平面上に設けられた固定刃と、上記固定刃の端縁の平面形状と同一の平面形状の端縁を有し、上記固定刃の上方に配置され、上下方向に移動しうる可動刃と、上記可動刃の上方において、上下方向に移動可能に配設され、上記可動刃を下方に押圧しうる可動部材とを備え、上記可動部材と上記可動刃との間には、上記可動部材により上記可動刃を押圧した場合に、上記可動刃を下方へ移動させると共に、上記可動刃の端縁を、上記固定刃の端縁に当接させる方向に押圧する可動刃押圧機構部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
従って、請求項1の発明あっては、上記可動部材を下方に移動した場合にのみ、上記可動刃押圧機構部によって、上記可動刃が上記固定刃に当接する方向に押圧される。
【0010】
また、請求項2に記載の発明に係るコーナー切断具は、上記可動刃押圧機構部は、上記可動刃の上部に固定され、上記可動刃の端縁方向に向かって次第に上方に突出する傾斜面を有する傾斜突条部が形成された可動刃装着部材と、上記可動刃装着部材の傾斜突条部の傾斜面に対向して配置され、上記可動刃の反端縁方向に向かって次第に下方に突出する傾斜面を有する可動部材傾斜突条部とから形成され、上記可動部材を下方に押圧した場合に、上記可動部材傾斜突条部の傾斜面が、上記可動刃装着部材の傾斜突条部の傾斜面に当接しつつ下方に向かって摺動することによって、上記可動刃装着部材及び上記可動刃は下方、且つ上記固定刃に当接する方向に押圧されることを特徴とする。
【0011】
従って、請求項2の発明にあっては、上記可動部材傾斜突条部の傾斜面が、上記可動刃装着部材の傾斜突条部の傾斜面上に当接しつつ下方に摺動することによって、上記可動刃装着部材の傾斜面によって、上記可動刃装着部材が下方、且つ固定刃の端縁方向に向かって押圧され、上記可動刃の端縁と上記固定刃の端縁が確実に当接する。
【0012】
また、請求項3に記載の発明に係るコーナー切断具は、上記可動刃装着部材の傾斜突条部は、上記可動刃装着部材において、可動刃側の端部に配設され、横断面が上方に向かって次第に収斂するテーパー状に形成されると共に、上記傾斜面は、上記傾斜突部において、可動刃の反端縁側に形成され、上記可動部材傾斜突条部は、横断面が下方に向かって次第に収斂するテーパー状に形成され、上記可動部材傾斜突条部の傾斜面は、上記可動部材傾斜突条部において、可動刃の端縁側に形成されると共に、上記可動刃装着部材の傾斜突条部の傾斜面に沿って配置されることを特徴とする。
【0013】
従って、請求項3の発明にあっては、上記可動部材を下方に押圧した場合に、上記可動部材傾斜突条部の傾斜面が、上記可動刃装着部材の傾斜面に沿って、下方に移動する。
この過程において、上記可動部材傾斜突条部の傾斜面の上端部が、上記可動刃装着部材の傾斜面に当接しつつ、下方、且つ固定刃の端縁方向に向かって移動させるように押圧する。
【0014】
また、請求項4に記載の発明に係るコーナー切断具は、上記台座部には、上記可動刃を非切断時の状態の位置に復元する方向に付勢する付勢部材が配設されていることを特徴とする。
【0015】
従って、請求項4の発明にあっては、上記可動刃は、切断作業が終了した後に、速やかに非切断時の状態位置に復帰する。
【0016】
また、請求項5に記載の発明に係るコーナー切断具は、上記台座部の載置面上において、上記固定刃の両端部には、上記固定刃を中心として、上記固定刃の端縁方向に向かって、互いに90度離間して配設された一対のシート案内部材が配設され、上記固定刃と上記可動刃との間には、上記固定刃の端縁に向かってシート材の角縁部を案内しうるスリット部材が配設されていることを特徴とする。
【0017】
従って、請求項5の発明にあっては、上記スリット部材と上記固定刃との間に切断対象のシート材を挿入することによって、上記シート材を、上記固定刃の端縁に確実に挿入することができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明に係るコーナー切断具は、上記可動刃の端縁の厚さ方向断面は、上方に向かって膨出する円弧状に形成されていることを特徴とする。
【0019】
従って、請求項6の発明にあっては、切断時において、上記可動刃の端縁と、上記固定刃の端縁が当接する場合は、上記固定刃の端縁と上記可動刃の端縁との当接位置が、上記固定刃の両端部から中央部に向かって次第に移動する。
【0020】
また、請求項7に記載の発明に係るコーナー切断具は、上記固定刃、及び上記可動刃は、上記台座部上において夫々複数配設されていることを特徴とする。
従って、請求項7の発明にあっては、一台のコーナー切断具で複数の形状の固定刃を配設することができる。
【0021】
また、請求項8に記載した発明に係るコーナー切断具は、上記台座部は、平面略正方形の薄型箱状に形成されると共に、上面部の中心には所定の径寸法を有する開口部が形成され、上記固定刃は、上記開口部の外周縁部から中心部に向かって、相互に90度ずつ離間して配置され、上記シート案内部材は、上記台座部の載置面上において、各固定刃の間に夫々相互に90度ずつ離間して配置されると共に、固定刃側端部には可動部材装着孔部が設けられ、上記可動部材は、上記台座部の中心部において、上記可動刃の上方に配置される円板上の可動部材本体部と、上記可動部材本体部の外周部から径方向に突出して配設され、上記可動刃の上方に配置される押し板部と、上記可動部材本体部において上記押し板部の間に径方向外方に向かって突出して形成され、上記シート案内部材の可動部材装着孔部に係合することによって、上下方向に移動可能に固定する固定用突部が形成されていることを特徴とする。
【0022】
従って、請求項8記載の発明にあっては、複数の固定刃を異なる形状とすることによって、切断形状を選択することができる。
【0023】
また、請求項9の発明に係るコーナー切断具は、上記台座部の底面部は着脱可能に形成されていることを特徴とする。
【0024】
従って、請求項9の発明にあっては、切断により発生する上記台座部の内部に蓄積したシート材の切り屑を、取り出すことができる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1記載の発明にあっては、シート材を載置しうる載置面を有する台座部と、上記台座部に設けられ、上記シート材の載置面と同一平面上に設けられた固定刃と、上記固定刃の端縁の平面形状と同一の平面形状の端縁を有し、上記固定刃の上方に配置され、上下方向に移動しうる可動刃と、上記可動刃の上方において、上下方向に移動可能に配設され、上記可動刃を下方に押圧しうる可動部材とを備え、上記可動部材と上記可動刃との間には、上記可動部材により上記可動刃を押圧した場合に、上記可動刃を下方へ移動させると共に、上記可動刃の端縁を、上記固定刃の端縁に当接させる方向に押圧する可動刃押圧機構部が形成されていることから、上記可動刃押圧機構部によって、切断時にのみ上記可動刃が上記固定刃へ当接する方向に押圧する。
従って、別途の付勢部材は不要であり、部品点数が少なく構造が簡単であり、製造コストが低く、また、付勢部材の劣化が無いことから、長期間に亘ってメンテナンスが不要なコーナー切断具を提供することができる。
【0026】
また、請求項2及び請求項3の発明にあっては上記可動刃押圧機構部は、上記可動刃の上部に固定され、上記可動刃の端縁方向に向かって次第に上方に突出する傾斜面を有する傾斜突条部が形成された可動刃装着部材と、上記可動刃装着部材の傾斜突条部の傾斜面に対向して配置され、上記可動刃の反端縁方向に向かって次第に下方に突出する傾斜面を有する可動部材傾斜突条部とから形成され、上記可動部材を下方に押圧した場合に、上記可動部材傾斜突条部の傾斜面が、上記可動刃装着部材の傾斜突条部の傾斜面に当接しつつ下方に向かって摺動することによって、上記可動刃装着部材及び上記可動刃は下方、且つ上記固定刃に当接する方向に押圧されることによって、上記可動刃装着部材及び上記可動刃は下方、且つ上記固定刃に当接する方向に押圧されることから、上記可動部材傾斜突条部の傾斜面が、上記可動刃装着部材の傾斜突条部の傾斜面上に当接しつつ下方に摺動することによって、上記可動刃装着部材が、直接下方、且つ固定刃の端縁方向に向かって押圧されるため、スプリング等の付勢部材によって可動刃を付勢する従来のコーナー切断具と異なり、上記稼動部材を押圧する力が直接上記可動刃に伝達されるため、上記可動刃の端縁と上記固定刃の端縁が確実に当接して、より精密な切断が可能となる。
また、請求項3の発明にあっては、上記可動刃装着部材の傾斜突条部は、上記可動刃装着部材において、可動刃側の端部に配設され、横断面が上方に向かって次第に収斂するテーパー状に形成されると共に、上記傾斜面は、上記傾斜突部において、可動刃の反端縁側に形成され、上記可動部材傾斜突条部は、横断面が下方に向かって次第に収斂するテーパー状に形成され、上記可動部材傾斜突条部の傾斜面は、上記可動部材傾斜突条部において、可動刃の端縁側に形成されると共に、上記可動刃装着部材の傾斜突条部の傾斜面に沿って配置されることをから、上記可動部材傾斜突条部の傾斜面と、可動刃装着部材の傾斜突条部の傾斜面が確実に当接するため、上記可動刃の端縁と上記固定刃の端縁が密接し、より精密な切断が可能となる。
【0027】
また、請求項4の発明にあっては、上記台座部には、上記可動刃を非切断時の状態の位置に復元する方向に付勢する付勢部材が配設されていることから、上記可動刃は、切断作業が終了した後に、速やかに非切断時の状態位置に復帰するため、連続して切断作業を行う場合であっても、スムーズに操作することができる。
【0028】
また、請求項5の発明にあっては、上記台座部の載置面上において、上記固定刃の両端部には、上記固定刃を中心として、上記固定刃の端縁方向に向かって、互いに90度離間して配設された一対のシート案内部材が配設され、上記固定刃と上記可動刃との間には、上記固定刃の端縁に向かってシート材の角縁部を案内しうるスリット部材が配設されていることから、シート材が上記固定刃の端縁に確実に挿入されるため、切断作業を失敗することがない。
【0029】
また、請求項6の発明にあっては、上記可動刃の端縁の厚さ方向断面は、上方に向かって膨出する円弧状に形成されていることから、切断時において、上記可動刃の端縁と、上記固定刃の端縁が当接する場合は、上記固定刃の端縁と上記可動刃の端縁との当接位置が、上記固定刃の両端部から中央部に向かって次第に移動し、上記当接位置の移動に伴ってシート材が切断されるため、より小さな力で、上記可動刃の端縁全域が、同時に上記固定刃に端縁に当接する場合と比較して、より小さな力で切断動作を行うことができる。
【0030】
また、請求項7の発明にあっては、上記固定刃、及び上記可動刃は、上記台座部上において夫々複数配設されていることから、一台のコーナー切断具で複数の形状の固定刃を配設することができるため、複数のコーナー切断具を準備する必要がない。
【0031】
また、請求項8の発明にあっては、上記台座部は、平面略正方形の薄型箱状に形成されると共に、上面部の中心には所定の径寸法を有する開口部が形成され、上記固定刃は、上記開口部の外周縁部から中心部に向かって、相互に90度ずつ離間して配置され、上記シート案内部材は、上記台座部の載置面上において、各固定刃の間に夫々相互に90度ずつ離間して配置されると共に、固定刃側端部には可動部材装着孔部が設けられ、上記可動部材は、上記台座部の中心部において、上記可動刃の上方に配置される円板上の可動部材本体部と、上記可動部材本体部の外周部から径方向に突出して配設され、上記可動刃の上方に配置される押し板部と、上記可動部材本体部において上記押し板部の間に径方向外方に向かって突出して形成され、上記シート案内部材の可動部材装着孔部に係合することによって、上下方向に移動可能に固定する固定用突部が形成されていることから、複数の固定刃を異なる形状とすることによって、切断形状を選択することができる。
また、従来のコーナー切断具と異なり、各可動刃に付勢部材を配設する必要が無いことから、固定刃と可動刃の配設数を増やしても、部品点数が増大することがない。
【0032】
また、請求項9の発明にあっては、上記台座部の底面部は着脱可能に形成されていることから、シート材の切り屑を取り出し易く、台座部の内部を清掃し易い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態を示し、実施例の形態に係るコーナー切断具の全体斜視図である。
【図2】(a)は図1に示す実施例の形態において、可動部材、可動刃、可動刃装着部材及びシート案内部材を取り外した状態を示す前方斜視図であり、(b)は可動刃及び可動刃装着図の下方斜視図である。
【図3】図2(a)の形態において、可動刃装着部材及び可動刃を装着した状態を示前方斜視図である。
【図4】図1に示す実施例に形態における、可動部材の裏面図である。
【図5】図1に示す実施例の形態のコーナー切断具の底面図である。
【図6】(a)は図1のA−A線における断面概略図、(b)は切断動作時の(a)と同様の構図を示す断面概略図である。
【図7】従来のコーナー切断具の側方断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明を実施するための形態として、台座部に固定刃、及び可動刃夫々4枚配設された4枚刃構成の場合を例に、添付図面を用いて説明する。図4に示すように、本実施の形態に係るコーナー切断具10は、紙等のシート材(図示せず)を載置しうる載置面12を有する台座部11と、上記台座部11に設けられ、上記シート材の載置面12と同一平面上に設けられた固定刃13、13、13、13と、上記固定刃13、13、13、13の端縁の平面形状と同一の平面形状の端縁を有し、上記固定刃13、13、13、13の上方に配置され、上下方向に移動しうる可動刃14、14、14、14と、図6(a)に示すように、上記可動刃14、14、14、14の上方において、上下方向に移動可能に配設され、上記可動刃14、14、14を下方に押圧しうる可動部材15とを備えている。
上記可動部材15と上記可動刃14との間には、上記可動部材14により上記可動刃14を押圧した場合に、上記可動刃14を下方へ移動させると共に、上記可動刃の端縁を、上記固定刃13の端縁13aに当接させる方向に押圧する可動刃押圧機構部16が形成されている。
【0035】
図6(a)に示すように、上記可動刃押圧機構部16は、上記可動刃14の上部に固定され、上記可動刃14の端縁方向に向かって次第に上方に突出する傾斜面17aを有する傾斜突条部17が形成された可動刃装着部材18と、上記可動刃装着部材18の傾斜突条部17の傾斜面17aに対向して配置され、上記可動刃14の反端縁方向に向かって次第に下方に突出する傾斜面19aを有する可動部材傾斜突条部19とから形成され、上記可動刃装着部材18の傾斜突条部17は、上記可動刃装着部材18において、可動刃14側の端部に配設され、横断面が上方に向かって次第に収斂するテーパー状に形成されると共に、上記傾斜面17aは、上記傾斜突部17において、可動刃14の反端縁側に形成され、上記可動部材傾斜突条部19は、横断面が下方に向かって次第に収斂するテーパー状に形成され、上記可動部材傾斜突条部19の傾斜面19aは、上記可動部材傾斜突条部19において、可動刃14の端縁側に形成されると共に、上記可動刃装着部材18の傾斜突条部17の傾斜面17aに沿って配置されている。
【0036】
また、図2に示すように、上記台座部11には、上記可動刃14、14、14、14を非切断時の状態の位置に復元する方向に付勢するコイルスプリングからなる付勢部材20が配設されている。原稿
【0037】
また、上記台座部11の載置面12上において、上記固定刃13、13、13、13(図1には図示せず)の両端部には、上記固定刃13、13、13、13を中心として、上記固定刃の端縁方向に向かって、互いに90度離間して配設されたシート案内部材21、21、21、21が形成され、図2に示すように、上記固定刃13、13、13、13と上記可動刃14、14、14、14との間には、上記固定刃13の端縁方向にシート材の角縁部を案内しうるスリット部材22が配設されている。
【0038】
また、図2に示すように上記可動刃14の端縁の厚さ方向断面は、上方に向かって膨出する円弧状に形成されている。
【実施例1】
【0039】
上記実施例の形態の詳細な構成について、以下図面を用いて説明する。
図1は、本実施例の形態に係る四刃構成のコーナー切断具10の全体斜視図である。
図1に示すように、台座部11は、合成樹脂から形成され、所定の厚さ寸法をする、平面略正方形の上面部11aと側面部11b、11b、11b、11b、及び図5に示すように、着脱自在に形成された底面部11cからなる内部中空の薄型箱状に形成されている。
また、図5に示すように、底面部11cの四隅部には滑り止め用のゴム円板38、38、38、38が配設されると共に、一端部に底面部11cを取り外すための切り欠き39が形成されている。
図1に示すように、上記上面部11aの中央部には、固定刃13、13、13、13(図1には図示せず)等を装着するための、円形開口部23が形成され、上面部11aの四隅部から、上記開口部23の端縁に向かって、互いに90度ずつ離間して、シート案内部材取り付け用凹部40,40,40,40が形成され、上記シート案内部材取り付け用凹部40,40,40,40に、上記細長直方体形状のシート案内部材21.21.21、21が配設され、ネジ(図示せず)によって固定されている。
また、上記シート案内部材21、21、21、21の間に、切断対象のシート材を載置しうる載置面12が形成されている。
【0040】
また、上記開口部23の上方には、可動部材15が配設されている。
上記可動部材15は、円板上に形成された可動部材本体部24と、上記可動部材本体部24の外周面部から、径方向外方に突出して形成された押圧板部25、25、25、25から形成され、上記押圧板部25、25、25、25は、上記シート案内部材21、21、21、21の間に、夫々90度ずつ離間して配設されている。
また、上記可動部材本体部24の外周面部において、上記押圧板部25、25、25、25の間には、位置固定用突部26、26、26、26が突出して形成され、上記位置固定用突部26、26、26、26が、上記シート案内部材21、21、21、21の開口部23側端部に長さ方向に沿って形成された嵌合孔部27、27、27、27に挿入することによって、上記可動部材15は上記開口部23の上方に上下方向に移動可能に固定されている。
【0041】
図2(a)は、図1に示す実施例の形態において、可動部材15、可動刃14及び可動刃装着部材18を取り外した状態を示す前方斜視図である。可動部材を取り外した状態を示前方斜視図である。
図2(a)に示すように、固定刃13、13、13、13は、リング状に形成された固定刃連結板28の内周縁部において、互いに90度ずつ離間して、上記固定刃連結板28の中心部に向かって突出して形成され、上記固定刃連結部は、ネジ29によって、上記台座部11の開口部23の周縁に固定されている。
【0042】
また、上記スリット部材22は全体リング状に形成され、上記固定刃13、13、13、13の上方において、ネジ30によって上記台座部11に固定されている。
また、上記スリット部材22の内周縁部において、上記固定刃13、13、13、13に対応する位置には、上記固定刃13、13、13、13の上面部に近接して配置されるスリット片部31、31、31、31が径方向内方に突出して形成されている。
【0043】
また、上記開口部23の内部には、円筒形上の付勢部材装着突部32が上方に向かって突出して配設され、上記付勢部材装着突部32には、円筒形のコイルスプリング20の下端部が嵌合している。
【0044】
また、図2(b)に示すように、可動刃14、14、14、14は、平面略正方形の可動刃形成板33の各辺部に形成されている。
また、可動刃装着部材18と可動刃形成板33とはネジ34によって固定され、上記可動刃形成板33の中心部には、上記可動刃形成板33を貫通して突出する円筒形の装着突部35が配設され、上記装着突部35を、図2(a)に示す上記コイルスプリング20の上端部から挿入することによって、可動刃14が上記台座部11の上方に装着される。
【0045】
図3は、図2(a)の状態において、可動刃14を装着した状態を示す前方斜視図である。
図3に示すように、上記可動刃装着部材18は平面正方形の四角柱状に形成され、傾斜突条部17、17、17、17は、上記可動刃装着部材18の上面部外周縁部に沿って形成されている。
【0046】
また、図4は、可動部材15の底面図である。
図4に示すように、可動部材15の可動部材本体部24には、上記可動部材15を台座部11に装着した場合に、上可動刃装着部材14の傾斜突条部17、17、17、17の傾斜面17aに対向して配置される傾斜面19aを有する可動部材傾斜突条部19、19、19、19が配設されている。
【0047】
本実施例の構成において、シート材の角縁部を切断するの動作について添付図面を用いて説明する。
図6(a)は図1のA−A線における断面概略図である。
図6(a)に示すように、シート材36の角縁部を、台座部11の載置面12に載せ、シート案内部材21に沿って、上記スリット部材22のスリット片部31に挿入し、固定刃13の端縁から突出させて配置する。
上記の状態で、図6(b)に示すように、可動部材15の押圧板部25を指等で図中矢印Bの方向に押し下げると、図中矢印Cに示すように、上記可動部材15の可動部材本体可動部材本体部24に配設された可動部材傾斜突条部19の傾斜面19aが、可動刃装着部材14の傾斜突条部17の傾斜面17aに当接しつつ、下方に向かって摺動する。
これにより、上記傾斜突条部17が上記可動部材傾斜突条部19を固定刃13の方向に押圧するため可動刃14の端縁と、固定刃13の端縁確実に当接する。
また、この際、図2に示すように可動刃14の端縁が上方に向かって円弧状に膨出して形成されているため、上記可動刃14の端縁と上記固定刃13の端縁とは、両端部から中央部にかけて順次当接していくため、シート材36が寄りスムーズに切断される。
【0048】
また、可動部材傾斜突条部19と傾斜突条部17が直接当接することによって、上記可動刃14を、固定刃13の方向に押圧することから、スプリングの付勢力を用いる従来の構成と異なり、部品点数が少なく、製造コストを低減することができる。
また、四つ固定刃13、13、13、13を異なる形状とすることによって、
必要に応じて、切断後の形状を選択することができる。
【0049】
また、図6(b)に示すように、切断後の切り屑37は、図5に示すように、台座部11の底面部11cの切り欠き39に爪をかけて、底面部11cを外すことによって簡単に取り出して廃棄することができる。
【0050】
また、繰り返し切断動作をした場合であっても、スプリングの付勢力の劣化による、切断不良が生じることが無いため、メンテナンスコストについても低減することが可能である。
【0051】
なお、本実施例においては、台座部に固定刃が4枚配設されている形態を例に説明したが、複数種類の固定刃が不要である場合は、固定刃を一枚だけ配設した構成とすることも出来る。
また、台座部のほか各部品の外形形状、材質についても、本実施例の形態に限定されることは無く、本発明の構成を満たす範囲であれば、適宜変更、選択が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、本発明は、紙若しくは樹脂シート材の角縁部を所定形状に切断しうるコーナー切断具に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 コーナー切断具
11 台座部
11a台座部上面部
11b台座部側面部
11c台座部底面部
12 載置面
13 固定刃
14 可動刃
15 可動部材
16 可動刃押圧機構部
17 傾斜突条部
17a傾斜面
18 可動刃装着部材
19 可動部材傾斜突条部
19a傾斜面
20 コイルスプリング(付勢部材)
21 シート案内部材
22 スリット部材
23 台座部の開口部
24 可動部材本体部
25押圧板部
26 位置固定用突部
27 嵌合孔部
28 固定刃連結板
29 ネジ
30 ネジ
31 スリット片部
32 付勢部材装着突部
33 可動刃形成板
34 ネジ
35 装着突部
36 シート材
37 切り屑
38 ゴム円板
39 切り欠き
40 シート案内部材取り付け用凹部
70 コーナー切断具
71 載置面
72 固定刃
73 可動刃
74 台座部
75 コイルスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材の角縁部を所定形状に切断しうるコーナー切断具であって、シート材を載置しうる載置面を有する台座部と、上記台座部に設けられ、上記シート材の載置面と同一平面上に設けられた固定刃と、上記固定刃の端縁の平面形状と同一の平面形状の端縁を有し、上記固定刃の上方に配置され、上下方向に移動しうる可動刃と、上記可動刃の上方において、上下方向に移動可能に配設され、上記可動刃を下方に押圧しうる可動部材とを備え、
上記可動部材と上記可動刃との間には、上記可動部材により上記可動刃を押圧した場合に、上記可動刃を下方へ移動させると共に、上記可動刃の端縁を、上記固定刃の端縁に当接させる方向に押圧する可動刃押圧機構部が形成されていることを特徴とするコーナー切断具。
【請求項2】
上記可動刃押圧機構部は、上記可動刃の上部に固定され、上記可動刃の端縁方向に向かって次第に上方に突出する傾斜面を有する傾斜突条部が形成された可動刃装着部材と、上記可動刃装着部材の傾斜突条部の傾斜面に対向して配置され、上記可動刃の反端縁方向に向かって次第に下方に突出する傾斜面を有する可動部材傾斜突条部とから形成され、
上記可動部材を下方に押圧した場合に、上記可動部材傾斜突条部の傾斜面が、上記可動刃装着部材の傾斜突条部の傾斜面に当接しつつ下方に向かって摺動することによって、上記可動刃装着部材及び上記可動刃は下方、且つ上記固定刃に当接する方向に押圧されることを特徴とする請求項1記載のコーナー切断具。
【請求項3】
上記可動刃装着部材の傾斜突条部は、上記可動刃装着部材において、可動刃側の端部に配設され、横断面が上方に向かって次第に収斂するテーパー状に形成されると共に、上記傾斜面は、上記傾斜突部において、可動刃の反端縁側に形成され、
上記可動部材傾斜突条部は、横断面が下方に向かって次第に収斂するテーパー状に形成され、上記可動部材傾斜突条部の傾斜面は、上記可動部材傾斜突条部において、可動刃の端縁側に形成されると共に、上記可動刃装着部材の傾斜突条部の傾斜面に沿って配置されることを特徴とする請求項2記載のコーナー切断具。
【請求項4】
上記台座部には、上記可動刃を非切断時の状態の位置に復元する方向に付勢する付勢部材が配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコーナー切断具。
【請求項5】
上記台座部の載置面上において、上記固定刃の両端部には、上記固定刃を中心として、上記固定刃の端縁方向に向かって、互いに90度離間して配設された一対のシート案内部材が配設され、
上記固定刃と上記可動刃との間には、上記固定刃の端縁方向にシート材の角縁部を案内しうるスリット部材が配設されていることを特徴とする請求項1から請求項4いずれか1項に記載のコーナー切断具。
【請求項6】
上記可動刃の端縁の厚さ方向断面は、上方に向かって膨出する円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5いずれか1項に記載のコーナー切断具。
【請求項7】
上記固定刃、及び上記可動刃は、上記台座部上において夫々複数配設されていることを特徴とする請求項1から請求項6いずれか1項に記載のコーナー切断具。
【請求項8】
上記台座部は、平面略正方形の薄型箱状に形成されると共に、上面部の中心には所定の径寸法を有する開口部が形成され、
上記固定刃は、上記開口部の外周縁部から中心部に向かって、相互に90度ずつ離間して配置され、
上記シート案内部材は、上記台座部の載置面上において、各固定刃の間に夫々相互に90度ずつ離間して配置されると共に、固定刃側端部には可動部材装着孔部が設けられ、
上記可動部材は、上記台座部の中心部において、上記可動刃の上方に配置される円板上の可動部材本体部と、上記可動部材本体部の外周部から径方向に突出して配設され、上記可動刃の上方に配置される押し板部と、上記可動部材本体部において上記押し板部の間に径方向外方に向かって突出して形成され、上記シート案内部材の可動部材装着孔部に係合することによって、上下方向に移動可能に固定する固定用突部が形成されていることを特徴とする請求項7記載のコーナー切断具。
【請求項9】
上記台座部の底面部は着脱可能に形成されていることを特徴とする請求項8記載のコーナー切断具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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