コーヒーおよびティー・ポッド
【課題】迅速なサイクル時間で飲料を抽出する装置。
【解決手段】ある量の混合可能な材料を保持するためのポッド。ポッドは、円形の側壁およびベースを含むことができる。ベースは、いくつかのアパーチャを含むことができる。実質的に剛性の濾紙をベースの周囲に配置することができる。
【解決手段】ある量の混合可能な材料を保持するためのポッド。ポッドは、円形の側壁およびベースを含むことができる。ベースは、いくつかのアパーチャを含むことができる。実質的に剛性の濾紙をベースの周囲に配置することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、材料を抽出するための容器に関し、特に、コーヒー、ティーおよび他の飲料を自動的に抽出する際に使用するポッドに関する。
【背景技術】
【0002】
種々のタイプのコーヒーおよびティーの自動ディスペンサが周知である。一般的に、これらのディスペンサは、一定量の挽いたコーヒー、茶葉、または他のタイプの抽出可能な材料を何らかの種類の容器内で保持する。通常は、飲料を抽出するように、湯が材料に添加される。材料は、通常、ある種の使い捨て容器内で保持され、この容器は湯が通過できるように開放または貫通していなければならない。
【0003】
これらの周知の抽出装置の1つの欠点は、抽出材料と接触する装置の要素を通常洗浄しなければならないことである。さらに、材料の容器は、飲料毎にディスペンサに挿入し、位置合わせしなければならない。その結果、飲料ディスペンサは全体として、飲料サイクル間に多少時間がかかることがある。というのは、容器を挿入し、位置合わせし、取り出し、および/またはディスペンサ要素を洗浄しなければならないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、迅速なサイクル時間で飲料を抽出する装置が望まれる。装置は、比較的低価格で、簡単に使用され、高品質の飲料を生成することが好ましい。同様に、装置は、好適には、異なるタイプの抽出飲料および量の抽出材料に合わせて適応可能であることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
それ故、本出願は、ある量の混合可能な材料を保持するためのポッドについて説明する。ポッドは、円形の側壁およびベースを含むことができる。ベースは、いくつかのアパーチャを含むことができる。実質的に剛性の濾紙をベースの周囲に配置することができる。
【0006】
ベースおよび円形の側壁は、約0.435以下の高さと直径との比率であってもよい。アパーチャの数は約54個であってもよい。円形の側壁内には凹状の蓋を配置することができる。
【0007】
実質的に剛性の濾紙は、1平方メートル当たり約40グラムの坪量および約62キロパスカルの湿潤破裂強度を有することができる。濾紙は、最大約11バールの水圧で約8から約15秒の間変形しにくい。濾紙は、数枚の濾紙を含むことができる。抽出材料は、円形の側壁と直接接触することができる。
【0008】
本明細書で説明する方法は、原料から粉砕物を調製し、包装する。方法は、粉砕物の最小10%(d(0.1))が約40ミクロンであるように、原料をローラ粉砕するステップと、粉砕物を実質的に剛性のポッド内に配置するステップと、粉砕物を蓋でおさえるステップとを含む。
【0009】
ローラ粉砕ステップは、粉砕物の80%超が約220から約250ミクロンの間の粒子サイズ分布を有するように、粉砕物を粉砕することを含んでもよい。ローラ粉砕ステップは、また、少なくとも約100ミクロンの表面平均直径を提供することもできる。配置するステップおよびおさえるステップの結果、粉砕物の密度が1ミリリットル当たり約0.371グラムから1ミリリットル当たり約0.426グラムになる。この方法は、さらに、約6から約14秒の間、粉砕物を抽出するステップを含むことができる。
【0010】
本出願は、さらに、ある量の混合可能な材料を保持するためのポッドについても説明する。ポッドは、実質的に剛性の側壁、実質的に剛性のベース、および蓋を含むことができる。側壁は、内径およびベースから蓋まで延びる有効高さを含むことができる。有効高さおよび内径は、約0.44未満の比率を含むことができる。この比率は約0.3以下でもよい。
【0011】
本出願はさらにコーヒー・ポッドについて説明する。コーヒー・ポッドは、実質的に剛性の側壁、実質的に剛性のベース、蓋、およびその内部に配置されたコーヒー粉砕物を含むことができる。コーヒー粉砕物の75%超が、約200から約300ミクロンの間の粒子サイズ分布であってもよい。代替的に、コーヒー粉砕物の80%超が、約220から約250ミクロンの間の粒子サイズ分布であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に図面を参照すると、類似の番号はいくつかの図を通して類似の要素を指し、図1および図2は、飲料ディスペンサ・システム100の1つの用途を示す。これらの図では、ポッド抽出装置300が図示されている。ポッド抽出装置300は、図示のように、湯リザーバ160内に配置され、注水ノズル200と連通する熱交換器150を含むことができる。この実施形態では、飲料ディスペンサ・システム100の要素は、全体としてディスペンサ・フレーム305に装着される。ディスペンサ・フレーム305は、ステンレス鋼、アルミ、他のタイプの金属、または他のタイプの実質的に耐食性の材料で作成することができる。
【0013】
注水ノズル200は、カップ230または任意の他のタイプの受け器内で所望の飲料を生成するように、1つまたは複数のポッド・カートリッジ210と相互作用することができる。ポッド・カートリッジ210は、飲料ディスペンサ・システム100内で、タレット・アセンブリ310内に配置することができる。タレット・アセンブリ310は、ディスペンサ・フレーム305に固定状態で取り付けることができる。図3に示すように、タレット・アセンブリ310は、タレット・フレーム325内に配置されたタレット板320を含むことができる。タレット・フレーム325はステンレス鋼、アルミ、他のタイプの従来の金属、または類似のタイプの実質的に耐食性の材料で作成することができる。タレット板320は、実質的に円形、または任意の都合のよい形状を有することができる。タレット板320は、いくつかのポッド・アパーチャ330を含むことができる。ポッド・アパーチャ330は、ポッド・カートリッジ210を収容するようなサイズにすることができる。タレット板320はタレット・ピン340の周囲で旋回することができる。タレット・モータ350は、タレット・アセンブリ310を駆動することができる。タレット・モータ350は、従来の交流モータまたは類似のタイプの装置であってもよい。タレット・モータ350は、約6から約30rpmでタレット・アセンブリ310を駆動することができ、約25rpmが好ましい。
【0014】
タレット板320は、また、その周囲に配置されたいくつかの回り止め360を有することができる。回り止め360は、各タレット・アパーチャ330の周囲に配置することができる。回り止め360は、タレット板320の回転を制御するように、1つまたは複数のリミット・スイッチ365と協働することができる。リミット・スイッチ360が回り止め360の1つと遭遇すると、板320の回転を停止することができる。板320の回転は、類似のタイプの装置で制御することができる。
【0015】
タレット・アセンブリ310の隣には、注水器アセンブリ400を配置することができる。注水器アセンブリ310は、ディスペンサ・フレーム305に固定状態で取り付けることができる。注水器アセンブリ400は、また、タレット・アセンブリ310の上方に延びる注水器フレーム410を含むことができる。注水器フレーム410はステンレス鋼、他のタイプの金属、または類似のタイプの実質的に耐食性の材料で作成することができる。
【0016】
次に図4および図5を参照すると、注水器アセンブリ400は、図2に関して上述したような注水ノズル200を含むことができる。注水ノズル200は、必要に応じてポッド・カートリッジ210を貫通するように狭い先端、またはポット・カートリッジ210を収容する広いアパーチャを有することができる。注水器アセンブリ400は、注水ノズル200と協働する注水器ヘッド420を含むことができる。注水器ヘッド420は、直径がポッド・カートリッジ210よりわずかに大きくてよい。注水器ヘッド420もステンレス鋼、プラスチック、または類似のタイプの実質的に耐食性の材料で作成することができる。注水器ヘッド420は、その下部周囲に配置された密封リングを含むことができる。密封リングは、注水器ヘッド420とポッド・カートリッジ210の間に実質的に水密シールを形成できるように、ゴム、シリコン、または他のタイプの弾性材料で作成することができる。熱交換器150は、加圧した湯をポッド・カートリッジ210に提供するように、注水器ヘッド420と連通することができる。
【0017】
注水器ヘッド420は、カム・システム440を介して実質的に垂直面で移動可能であってもよい。(「垂直」および「水平」という用語は、絶対位置に対する基準の前後関係として使用される。注水器ヘッド420および本明細書で説明する他の要素は、任意の方向で動作することができる。)カム・システム駆動モータ450は、カム・システム440を駆動することができる。駆動モータ450は、上述したタレット・モータ350と類似の従来のACモータを使用することもできる。駆動モータ450は、また、くま取りコイル型モータまたはDCモータを使用することもできる。駆動モータ450は、駆動ベルト・システム470を介して偏心カム460を回転することができる。駆動モータ450および歯車装置470は、約6から約30rpmで偏心カム460を回転することができ、約25rpmが好ましい。偏心カム460は、その下方位置が約4.1から約4.8センチメートル(約1.6から1.9インチ)の半径を有し、上方位置が約3.5から4.1センチメートル(約1.3から約1.7インチ)を有するように成形することができる。
【0018】
偏心カム460は従動ホイール480と協働することができる。従動ホイール480は支持板490と連絡し、その中に装着することができる。支持板490は注水器410の周囲で巧みに動くことができる。支持板490はステンレス鋼、他のタイプの鋼、プラスチック、または他の材料で作成することができる。支持板490は、注水器ヘッド420に固定状態で取り付けることができる。支持板490は、その上に配置されたいくつかの案内ホイール500を有することができ、したがって支持板490は注水器フレーム410内で垂直方向に移動することができる。戻りばね520も支持板および注水器フレーム410に取り付けることができる。カム460の回転が特定の量を超えないように、リミット・スイッチ530がその周囲に配置される。
【0019】
それ故、注水器ヘッド420は、カム・システム440を介して垂直方向に巧みに動くことができる。具体的には、駆動モータ450は歯車装置470を介して偏心カム460を回転することができる。偏心カム460が増加する一方の半径で回転するにつれ、従動ホイール480が支持板490を押下し、したがって注水器ヘッド420がポッド・カートリッジ210に接触する。偏心カム460は、注水器ヘッド420を約6.4から約12.7ミリメートル(約1/4から約1/2インチ)下げることができる。注水器ヘッド420がポッド・カートリッジ210に接触すると、カム460がリミット・スイッチ530に到達するまで、偏心カム460が回転し続け、ポッド・カートリッジ210にかかる圧力を増加させることができる。注水器ヘッド420は、約136から160キログラム(約300から350ポンド)の下方向の力でポッド・カートリッジ210と係合することができる。それ故、密封リングはポッド・カートリッジ210の周囲に実質的に気密および水密のシールを形成することができる。駆動モータ450は、所定の時間だけカム460を所定の位置に保持することができる。次に、注水器ヘッド420が元の位置に戻るように、カム・システム440が逆転することができる。
【0020】
注水器ヘッド420の注水ノズル200がポッド・カートリッジ210に接触すると、高圧の湯が熱交換器150から注水器ヘッド420に流入することができる。ポッド・カートリッジ210を通って流れる湯の圧力は、中にある抽出材料550の性質によって変化することができる。
【0021】
図6から図12は、飲料ディスペンサ・システム100または他のタイプの飲料システムで使用できるポッド・カートリッジ210の実施形態を示す。実際、ポッド・カートリッジ210は、任意のタイプの混合可能な材料、香料、添加物、および他の物質と一緒に使用することができる。ポッド・カートリッジ210は、実質的にカップ600の形状であってもよい。カップ600は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび類似のタイプの材料など、従来の熱可塑性樹脂で作成することができる。代替的に、ステンレス鋼または他のタイプの実質的に耐食性の材料も使用することができる。カップ600は、異味を与えずに抽出サイクルの熱および圧力に耐えるように、実質的に剛性であってもよい。しかし、以下で説明するように、「剛性」という用語は、カップ600が圧力下でわずかに屈曲または変形してもよいことを意味する。
【0022】
カップ600は、実質的に円形の側壁610および実質的に平坦なベース620を含むことができる。他の形状も使用することができる。カップ600の側壁610およびベース620は、成形して一体要素を形成してもよいし、または別個の側壁610および別個のベース620を固定状態で相互に取り付けてもよい。側壁610およびベース620、さらにカップ600全体は、タレット・アセンブリ310のタレット板320のポッド・アパーチャ330および注水器400の注水器ヘッド420を収容するように、任意の都合のよい直径を有することができる。代替的に、カップ600の側壁610およびベース620は、他のタイプの飲料ディスペンサ・システム100または類似のタイプの装置を収容するように、任意の都合のよい直径を有することができる。
【0023】
一例をあげると、側壁610は、約39.3ミリメートル(約1.549インチ)の内径、および約1.1ミリメートル(約0.043インチ)の肉厚を有することができる。側壁610は、頂部から底部へとわずかに先細であってもよい。所望に応じて他のサイズまたは寸法を使用することができる。
【0024】
カップ600は、全体として、その内部で使用するよう意図されている抽出材料の量に応じて、様々な深さを有することができる。約355ミリリットル(約12オンス)の飲料で使用するよう意図されたカップ600の場合、カップ600は、約28.7ミリメートル(約1.13インチ)の全高、および約17.1ミリメートル(約0.674インチ)の有効内部高さを有することができる。したがって、355ミリリットルのカップ600の高さと直径との比率は、全高については約0.73、有効内部高さについては約0.435であってもよい。カップ600は、約6.4グラムのポリプロピレン材料を有することができる。
【0025】
例えば約237ミリリットル(約8オンス)の飲料で使用するカップ600は、約22.5ミリメートル(約0.887インチ)の高さ、および約11.8ミリメートル(約0.463インチ)の有効内部高さを有することができる。それ故、比率は、全高については約0.57、有効内部高さについては約0.3でよい。カップ600は、約5.8グラムのポリプロピレン材料を有することができる。
【0026】
これらの直径と深さとの比率は、最小量の材料を使用しながら、カップ600およびカートリッジ210に全体として十分な強度および剛性を与える。カートリッジ210は、例えばポリプロピレン同種重合体を使用した場合、全体として約5から約8グラムのプラスチック材料を有することができる。その結果、カップ600およびカートリッジ210は全体として、最大60秒以上、約10バール(約150ポンド/平方インチ)の予想水圧で約93℃(華氏約200°)超の温度に耐えることができる。このような比率を有するカップ600は、多少屈曲または変形することがあるが、カップ600およびカートリッジ210は全体として、自身を通る湯の予想される圧力に耐えなければならない。これらの寸法および特徴は、例示のためにすぎない。カップ600の側壁610およびベース620は、所望の、または都合のよいサイズまたは形状でもよい。例えば、側壁610は、必要に応じて、直線、先細状、階段状、または曲線であってもよい。
【0027】
ベース620は、これに形成されたいくつかのアパーチャ640を含むことができる。アパーチャ640は、ベース620の幅を通して延びることができる。アパーチャ640は、実質的に円形の形状で、直径がそれぞれ約1.6ミリメートル(約0.063インチ)でもよい。しかし、任意の望ましい形状またはサイズを使用することができる。この実施形態では、約54のアパーチャ640を使用するが、任意の数を使用することができる。所与の寸法のカップ600を使用すると、選択された数およびサイズのアパーチャ640が、適切な圧力低下を提供する。
【0028】
ベース620は、また、その上に配置されたいくつかの支持リブ650を有することができる。円形の内部リブ660、円形の外部リブ670、およびいくつかの放射状リブ680を使用することができる。この実施形態では、リブ650は約1ミリメートル(約0.04インチ)の深さを有することができるが、任意の望ましい厚さを使用することもできる。同様に、任意の望ましい数および/または形状のリブ650を使用することができる。リブ650の設計も、最小量の材料でカートリッジ210全体の支持および安定性を向上させる。
【0029】
カップ600の側壁610は、また、上部リップ700を含むことができる。上部リップは、実質的に平坦な頂部部分710を含むことができる。平坦な頂部部分710は、約3.45ミリメートル(約0.136インチ)の幅、および約3.4ミリメートル(約0.135インチ)の垂直方向の高さを有することができる。リップ700は、可能な限り少ない材料を使用しながら、ポッド・アパーチャ330および注水器ヘッド420のサイズ、さらに注水器ヘッド420によって提供される湯の予想される力に対応するように構成することができる。これは、カートリッジ210全体が、一般的に注水プロセス中にそのリップ700周辺でしか支持されないので、特に真実である。
【0030】
図13および図14は、リップ700の代替実施形態を示す。この実施形態では、リップ720は実質的に平坦な頂部部分710および下方向に傾斜し、頂部部分730から延びるフランジ730を含んでもよい。フランジ730は、側壁610とともにポケット740を形成するように、下方向に延びることができる。ポケット740の頂部は湾曲した内径を有することができる。リップ720のフランジ730およびポケット740は、ポッド・アパーチャ330のサイズに対応するようなサイズにされる。
【0031】
再び図6から図12を参照すると、カップ600の側壁610は、また、これに形成されたいくつかの切り欠き760を含んでもよい。この実施形態では、第1切り欠き770、第2切り欠き780、および第3切り欠き785を使用することができる。しかし、任意の数の切り欠き760を使用することもできる。例えば、237ミリリットル(約8オンス)のカップ600では、2つの切り欠き760しか使用しない。切り欠き760は、側壁610の内周に連続的であってもよいし、または断続的でもよい。
【0032】
切り欠き760は、蓋790と協働することができる。蓋790は、切り欠き760に挿入するために、周囲が実質的に楔形をした縁部800を有することができる。切り欠き760を使用すると、蓋790が確実に所定の位置に留まる。縁部800は、切り欠き760と係合するように連続的であってもよいし、または断続的でもよい。蓋790は、内側に弓なりであることが好ましく、またはほぼ凹状の形状であってもよい。蓋790は、約0.8グラムのポリプロピレン材料を有することができる。
【0033】
蓋790は、カップに入れるべき抽出材料の量に応じて、切り欠き760の1つに入れることができる。蓋790は、抽出材料550を圧力下で打ち込み、抽出材料をその内部で移動させないようにするように、凹形で下方向に弓なりでもよい。蓋790は、抽出材料550に適切な打ち込み力を提供することができ、基本的に皿ワッシャの原理で負荷をかけて材料を保持する。抽出材料550を打ち込むために蓋790を使用すると、抽出材料550をカップ600に装填する場合に、充填速度を上げることもできる。蓋790は、また、注水器ヘッド420からの湯が通過できるように、内部にいくつかのアパーチャ810を有することもできる。注水器ヘッド420の性質に応じて、蓋790の使用が不要なこともある。
【0034】
カップ600は、1つまたは複数の層の濾紙850で裏打ちすることができる。濾紙850は、飲料の通過を可能にしながら調整材料550の収集に使用される標準的な濾紙でよい。しかし、濾紙850は、ベース620のアパーチャ640へと撓まない、および/または抽出材料550の細かい粒子がアパーチャ640を閉じる、または閉塞できないように、十分な強度、剛性および/または有孔性を有していなければならない。アパーチャ640が閉塞すると、カートリッジ210における圧力低下が不均衡になることがある。実質的に変形しない剛性紙850のせいで、カップ600のベース620のアパーチャ640は、そこを通る流れを増加させるために、多少大きい直径を有してもよい。
【0035】
例えば、濾紙850は、セルロースと熱可塑性繊維の組合せで作成することができる。適切な濾紙850の例は、ジョージア州GainesvilleのJ. R. Crompton, Ltd.からPV−377およびPV347Cの名称で販売されている。例えば、PV−347Cの材料は、1平方メートル当たり約40グラムの坪量、および約62キロパスカルの湿潤破裂強度を有することができる。類似のタイプの材料を使用することもできる。複数の枚数の紙を使用してもよい。複数の紙はそれぞれ、同じ特徴または異なる特徴を有することができる。
【0036】
ポッド・カートリッジ210は、フィルタ上層860およびフィルタ下層870を有することができる。フィルタ下層860は、通常、接着剤を使用せずにその中に配置される。フィルタ上層860は、下層870ほど高い強度を必要としないことがある。フィルタ上層860は、通常、湯を分散させ、粉砕物が注水器ヘッド420を閉塞するのを防止する。抽出材料550自体は、フィルタ上層と下層860、870の間に配置することができる。抽出材料550は、側壁610と直接接触することが好ましい。すなわち、カップ600の内径には濾紙850の位置がない。この配置によって、湯が、濾紙850を介してカップ600を通過するのではなく、強制的に抽出材料550を通過する。
【0037】
抽出材料550は、箔の囲み、または他のタイプの実質的に非通気性のバリア内に配置することができる。箔の囲み590は、その内部の抽出材料550を新鮮に維持し、周囲空気と接触させない働きをすることができる。代替的に、カートリッジ210の使用の準備が整うまで、ポッド・カートリッジ210全体を箔の囲い内に個々に、またはグループで配置することができる。
【0038】
抽出材料550自体は、通常、粉砕機900で調製する。粉砕機900は、原料、この実施例ではコーヒー豆を取り入れ、これを粉砕してコーヒー粉砕物にする。図15に示すように、粉砕機900はローラ粉砕機であることが好ましい。このような粉砕機900の例が、イリノイ州シカゴのModern Process Equipment, Inc.によってモデル660FXの名称で製造されている。ローラ粉砕機900は、バー粉砕機のような他のタイプの粉砕機より好ましい。ローラ粉砕機の方が粒子サイズの分布が良好のようである。すなわち、粒子サイズの分布が、より一定している。ローラ粉砕機900は、抽出不足になって異味を与える大きい粒子が少なく、また、抽出過剰によって最終飲料の味を変化させ、苦みの一因となる傾向がある「微粉」または非常に小さいコーヒー粒子を少なくする。微粉を制限すると、ポッド・カートリッジ210内の背圧にも影響を及ぼす。というのは、背圧は粒子サイズの2乗に逆比例するからである。それ故、粒子サイズが小さくなるほど、背圧が上昇する。
【0039】
ローラ粉砕機とバー粉砕機との比較を以下に示す。ローラ粉砕機の粒子分布(左側にスパイクがある「レイン・フォレスト」粉砕物)は約8.0μmの粒子サイズで終了し、バー粉砕機(右側にスパイクがある「ミラノ」粉砕物)は約0.1μmの粒子サイズまで続く。同様に、ローラ粉砕機の方が大きめの粒子が少ない。
【表1】
【0040】
図示のように、ローラ粉砕機900で粉砕した粉砕物の80%超が、約220ミクロンと約250ミクロン(マイクロメートル)の間に粒子サイズの分布を有し、99%超が約8ミクロンと650ミクロンの間の粒子サイズの分布を有する。広義には、コーヒー粉砕物の75%超が、約200ミクロンと約300ミクロンの間の粒子サイズの分布を有する。約250ミクロンの一定した粒子サイズの分布は、飲料を改善するが、抽出中に抵抗および望ましい圧力を提供するように、特定量の細かい粒子があることが望ましいこともある。十分な微粉がないと、湯の通過が速すぎることがある。したがって、分布の10から20%は、約40ミクロンの範囲にあってもよい。
【0041】
微粉の数を制御し、背圧および抵抗を制御するために、最小10%(d(0.1))の粒子サイズの評価を使用することができる。この数が小さいほど、所与の直径より小さい粒子のパーセンテージが大きくなる。d(0.1)の位置を以下に示す。
【表2】
一般的に言って、約43ミクロンのd(0.1)は許容可能であるが、25ミクロンは許容できない。
【0042】
類似の方法は、表面積平均直径を調べることである。表面積平均直径が有用なのは、粒子サイズが減少するほど、体積に対する表面積の比率が急速に増加するからである。表面積平均直径は、各粒子の直径にそのサイズの全粒子の材料の総表面積を掛け、合計し、全粒子の総表面積によって割ることによって計算される。それ故、以上で示す3,2の座標における直径では、計算は以下のようになる。
【数1】
【0043】
一般的に言って、116ミクロンというD[3,2]における表面積平均直径は許容可能であり、一方、78ミクロンの直径は許容できない。
【0044】
大きめの粒子の存在に的を絞って、類似の計算をすることができる。例えば、体積平均直径D[4,3]も計算することができる。
【数2】
【0045】
それ故、ローラ粉砕機900の方が粒子サイズの分布が狭く、一定している。同様に、一定の圧力を維持しながら、苦みを制限するように、微粉の数を監視することができる。このような粒子サイズの分布は、味が改善され、一定したコーヒー飲料を提供する。
【0046】
粉砕機900は、また、高密度化装置910を含むことができる。高密度化装置910は、個々の粉砕物をさらに均一なサイズおよび形状にするように、いくつかのブレードを含むことができる。具体的には、粉砕物は、より均一な球形形状を有し、多少硬化したように見える。粉砕物の高密度化の結果、密度の増加により、粉砕物を通って流れる湯の性質が変化するという点で、抽出性が変化する。
【0047】
実質的に均一な球を生成することに加えて、高密度化装置920は、小さめの粒子を大きめの粒子に「付着」させることによって、微粉または小さい粒子の数も減少させるようである。付着は、粉砕物中の油分、粉砕物に加えられる仕事、または他の原因による。例えば、高密度化すると、コーヒー中の固体が約6パーセントになることがある。しかし、高密度化しないと、固体は約7.5パーセントに達することがあり、こうなると完成した製品が濃すぎてしまう。その正味結果は、より小さく、より均一な粒子サイズの分布である。高密度化は、コーヒーの包装を改善するために使用されてきたが、粉砕物の抽出性を変更するようには使用されてこなかった。
【0048】
使用時には、濾紙の下層870をポッド・カートリッジ210のカップ600とともにベース620に沿って配置することができる。次に、ある量の調整材料550をその中に配置する。次に、濾紙の上層860を、所望に応じて抽出材料550に載せる。次に、約13.6キログラムの力(約30ポンドの力)で抽出材料550をおさえるように、蓋790をカップ600内に配置することができる。力の量は変更することができる。蓋790が抽出材料550を圧迫すると、蓋790の縁部800が、カップ600の側壁610内の適切な切り欠き760内に配置される。次に、ポッド210を密封するか、飲料ディスペンサ・システム100などで使用するために他の方法で輸送することができる。
【0049】
ポッド210は、タレット・アセンブリ310内のポッド・アパーチャ330の1つに入れることができる。具体的には、ポッド・アパーチャ330の外縁がカップ600のリップ700と整列し、したがってカップ600がリップ700によって支持される。これで、注水器ヘッド420をポッド210の周囲に配置することができる。注水器ヘッド420の密封リングが、カップ600のリップ700の頂部部分710の周囲を密封することができる。丸くされたリップまたは平坦ではない形状のリップを使用すると、ある量の圧力が加えられると密封リングを破損することがある。すなわち上述したように、注水器ヘッド420は、約136から約160キログラムの力(約300から約350ポンド)の下方向の力でポッド・カートリッジ210と係合し、入ってくる湯の流れを約10から約14バール(約145から200ポンド/平方インチ(psi))で加圧することができる。ポッド・カートリッジ210を通って流れる湯の圧力は、抽出材料550の性質とともに変えることができる。加圧した湯を、任意の供給源からカートリッジ210に提供することができる。
【0050】
注水器ヘッド420を通過する湯は、蓋790およびそのアパーチャ810に広がり、抽出材料550に入ることができる。全体としてカートリッジ210を通る湯の流れの性質は、一部はカートリッジ210の幾何学的形状およびサイズ、抽出材料550の性質、サイズおよび密度、水圧、湯温、および抽出時間に依存する。これらのパラメータのいずれかを変更すると、抽出された飲料の性質も変化することがある。抽出された飲料は、次にカップ600のベース620にあるアパーチャ640を通過する。
【0051】
図12に示すように、ポッド・カートリッジ210を異なるタイプの粉砕物、葉、または他のタイプの抽出材料550で充填することができる。約35ミリリットルの1人分のエスプレッソ飲料の場合、約6から8グラムの特別に挽いたコーヒーをポッド・カートリッジ210に入れる。同様に、約180ミリリットル(約6オンス)の湯を加えるアメリカン・コーヒーの抽出には、同じ量の挽いたコーヒーを使用することができる。約180ミリリットル(約6オンス)の1杯のティーを入れるために、約2グラムから約5グラムの茶葉をポッド・カートリッジ210に加えることができる。
【0052】
異なるタイプのコーヒーまたは他のタイプの抽出材料550それぞれが、異なるサイズの粉砕物を有する。例えば、典型的なドリップ・フィルタ式のコーヒーでは、1粒のコーヒー豆を約500から800の粒子に挽くことができる。エスプレッソを挽くには、同じコーヒー豆を3500個以上の粒子に挽くことができる。粒子自体も異なるサイズおよび重量を有する。
【0053】
上述したように、粒子サイズの均一性を維持することが好ましい。適正なサイズではないコーヒー粉砕物の粒子は、通常、コーヒーからの可溶性固形分を過剰抽出するか、抽出不足になってしまう。粉砕機900の使用は、より一定した粒子サイズの確保に役立つ。高密度化装置910の使用も、粒子サイズの均一性の提供を補助する。コーヒー粉砕物をおさえると、カップ600を通る流体の均一な流れの提供を補助する。上述したように、粒子サイズは、飲料の抽出の「仕事」をする背圧に関連する。
【0054】
抽出の時間および温度に関しては、抽出温度は通常、約85から約100℃(華氏約185から約212°)、または約10から約14バールでこれより高温になることもある。湯リザーバ160内の湯は、熱交換器150によって約102℃(華氏約215.6°)まで加熱することができる。湯は、注水器ヘッド420を通過し、カートリッジ210に入るにつれ、その熱の一部を失う。
【0055】
例えば、上述したような「ローマ」エスプレッソ飲料は、237ミリリットル(8オンス)のカートリッジ210に約6グラムのコーヒー粉砕物を入れて使用する。カートリッジ210は、約35ミリリットルの飲料を生成する。湯は約102℃(華氏約215.6°)で湯リザーバ160を出て、約11バールで約8秒(±2秒)の抽出時間を有する。(粉砕物の高密度化は、抽出時間を加速させ、抽出される材料の量を減少させることができる。)蓋790を下部切り欠き760内に配置する場合は、355ミリリットル(12オンス)のカートリッジ210も使用することができる。「濃い」飲料は、類似の特性を有するが、約7.3グラムの粉砕物を使用する。その結果、抽出時間は約14秒になる。
【0056】
「レイン・フォレスト」飲料も、237ミリリットル(8オンス)のカートリッジ210に約6グラムの粉砕物を入れて使用することができる。しかし、これらの粉砕物は、ローマ式粉砕物より粗く、したがってカートリッジ210を通る流速が速くなる。したがって、抽出時間は約7秒(±2秒)になる。抽出後に、特定の量の補給湯(約180ミリリットル)を飲料に追加することもできる。「アメリカーノ」飲料は、上述したエスプレッソ粉砕物と、異なる特徴および味を有する種々の粉砕物および混合物を使用することができる。
【0057】
図示のように、カートリッジ210はティーを入れるために使用することもできる。この実施例では、約2.8グラムの茶葉を使用することができる。数分かけてティーを滲出させる伝統的な方法とは異なり、この実施例では、約210ミリリットル(約7オンス)の飲料を約6.2秒で抽出する。アイス・ティーも、ある量の補給水を追加して抽出することができる。
【0058】
抽出パラメータの種々の実施例を下表に示す。
【表3】
【0059】
本明細書で説明した変数の組合せは、一定の味の飲料を生成するポッド・カートリッジ210を提供する。具体的には、飲料の味は、任意の数のカートリッジ210を使用しても一定である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明で使用する飲料ディスペンサ・システムの一実施形態の斜視図である。
【図2】図1の飲料ディスペンサ・システムの上面図である。
【図3】図1の飲料ディスペンサ・システムのタレット・システムの斜視図である。
【図4】支持板の案内ホイールおよび戻りばねが想像線で図示された、図1の飲料ディスペンサ・システムの注水器アセンブリの斜視図である。
【図5】従動ホイールおよびリミット・スイッチが切り取り図で図示された、図1の飲料ディスペンサ・システムの注水器アセンブリの背面斜視図である。
【図6】本明細書で説明するポッドの斜視図である。
【図7】本明細書で説明するポッドの斜視図である。
【図8】図6のポッドの側断面図である。
【図9】図6のポッドの上面斜視図である。
【図10】図6のポッドの底面斜視図である。
【図11】蓋を示すポッドの側断面図である。
【図12】内部にある量の抽出材料が配置されたポッド・カートリッジの側断面図である。
【図13】図6のポッドのリップの代替実施形態の側面図である。
【図14】図13のポッドの側断面図である。
【図15】本明細書で説明する本発明で使用する粉砕機の側面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、材料を抽出するための容器に関し、特に、コーヒー、ティーおよび他の飲料を自動的に抽出する際に使用するポッドに関する。
【背景技術】
【0002】
種々のタイプのコーヒーおよびティーの自動ディスペンサが周知である。一般的に、これらのディスペンサは、一定量の挽いたコーヒー、茶葉、または他のタイプの抽出可能な材料を何らかの種類の容器内で保持する。通常は、飲料を抽出するように、湯が材料に添加される。材料は、通常、ある種の使い捨て容器内で保持され、この容器は湯が通過できるように開放または貫通していなければならない。
【0003】
これらの周知の抽出装置の1つの欠点は、抽出材料と接触する装置の要素を通常洗浄しなければならないことである。さらに、材料の容器は、飲料毎にディスペンサに挿入し、位置合わせしなければならない。その結果、飲料ディスペンサは全体として、飲料サイクル間に多少時間がかかることがある。というのは、容器を挿入し、位置合わせし、取り出し、および/またはディスペンサ要素を洗浄しなければならないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、迅速なサイクル時間で飲料を抽出する装置が望まれる。装置は、比較的低価格で、簡単に使用され、高品質の飲料を生成することが好ましい。同様に、装置は、好適には、異なるタイプの抽出飲料および量の抽出材料に合わせて適応可能であることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
それ故、本出願は、ある量の混合可能な材料を保持するためのポッドについて説明する。ポッドは、円形の側壁およびベースを含むことができる。ベースは、いくつかのアパーチャを含むことができる。実質的に剛性の濾紙をベースの周囲に配置することができる。
【0006】
ベースおよび円形の側壁は、約0.435以下の高さと直径との比率であってもよい。アパーチャの数は約54個であってもよい。円形の側壁内には凹状の蓋を配置することができる。
【0007】
実質的に剛性の濾紙は、1平方メートル当たり約40グラムの坪量および約62キロパスカルの湿潤破裂強度を有することができる。濾紙は、最大約11バールの水圧で約8から約15秒の間変形しにくい。濾紙は、数枚の濾紙を含むことができる。抽出材料は、円形の側壁と直接接触することができる。
【0008】
本明細書で説明する方法は、原料から粉砕物を調製し、包装する。方法は、粉砕物の最小10%(d(0.1))が約40ミクロンであるように、原料をローラ粉砕するステップと、粉砕物を実質的に剛性のポッド内に配置するステップと、粉砕物を蓋でおさえるステップとを含む。
【0009】
ローラ粉砕ステップは、粉砕物の80%超が約220から約250ミクロンの間の粒子サイズ分布を有するように、粉砕物を粉砕することを含んでもよい。ローラ粉砕ステップは、また、少なくとも約100ミクロンの表面平均直径を提供することもできる。配置するステップおよびおさえるステップの結果、粉砕物の密度が1ミリリットル当たり約0.371グラムから1ミリリットル当たり約0.426グラムになる。この方法は、さらに、約6から約14秒の間、粉砕物を抽出するステップを含むことができる。
【0010】
本出願は、さらに、ある量の混合可能な材料を保持するためのポッドについても説明する。ポッドは、実質的に剛性の側壁、実質的に剛性のベース、および蓋を含むことができる。側壁は、内径およびベースから蓋まで延びる有効高さを含むことができる。有効高さおよび内径は、約0.44未満の比率を含むことができる。この比率は約0.3以下でもよい。
【0011】
本出願はさらにコーヒー・ポッドについて説明する。コーヒー・ポッドは、実質的に剛性の側壁、実質的に剛性のベース、蓋、およびその内部に配置されたコーヒー粉砕物を含むことができる。コーヒー粉砕物の75%超が、約200から約300ミクロンの間の粒子サイズ分布であってもよい。代替的に、コーヒー粉砕物の80%超が、約220から約250ミクロンの間の粒子サイズ分布であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に図面を参照すると、類似の番号はいくつかの図を通して類似の要素を指し、図1および図2は、飲料ディスペンサ・システム100の1つの用途を示す。これらの図では、ポッド抽出装置300が図示されている。ポッド抽出装置300は、図示のように、湯リザーバ160内に配置され、注水ノズル200と連通する熱交換器150を含むことができる。この実施形態では、飲料ディスペンサ・システム100の要素は、全体としてディスペンサ・フレーム305に装着される。ディスペンサ・フレーム305は、ステンレス鋼、アルミ、他のタイプの金属、または他のタイプの実質的に耐食性の材料で作成することができる。
【0013】
注水ノズル200は、カップ230または任意の他のタイプの受け器内で所望の飲料を生成するように、1つまたは複数のポッド・カートリッジ210と相互作用することができる。ポッド・カートリッジ210は、飲料ディスペンサ・システム100内で、タレット・アセンブリ310内に配置することができる。タレット・アセンブリ310は、ディスペンサ・フレーム305に固定状態で取り付けることができる。図3に示すように、タレット・アセンブリ310は、タレット・フレーム325内に配置されたタレット板320を含むことができる。タレット・フレーム325はステンレス鋼、アルミ、他のタイプの従来の金属、または類似のタイプの実質的に耐食性の材料で作成することができる。タレット板320は、実質的に円形、または任意の都合のよい形状を有することができる。タレット板320は、いくつかのポッド・アパーチャ330を含むことができる。ポッド・アパーチャ330は、ポッド・カートリッジ210を収容するようなサイズにすることができる。タレット板320はタレット・ピン340の周囲で旋回することができる。タレット・モータ350は、タレット・アセンブリ310を駆動することができる。タレット・モータ350は、従来の交流モータまたは類似のタイプの装置であってもよい。タレット・モータ350は、約6から約30rpmでタレット・アセンブリ310を駆動することができ、約25rpmが好ましい。
【0014】
タレット板320は、また、その周囲に配置されたいくつかの回り止め360を有することができる。回り止め360は、各タレット・アパーチャ330の周囲に配置することができる。回り止め360は、タレット板320の回転を制御するように、1つまたは複数のリミット・スイッチ365と協働することができる。リミット・スイッチ360が回り止め360の1つと遭遇すると、板320の回転を停止することができる。板320の回転は、類似のタイプの装置で制御することができる。
【0015】
タレット・アセンブリ310の隣には、注水器アセンブリ400を配置することができる。注水器アセンブリ310は、ディスペンサ・フレーム305に固定状態で取り付けることができる。注水器アセンブリ400は、また、タレット・アセンブリ310の上方に延びる注水器フレーム410を含むことができる。注水器フレーム410はステンレス鋼、他のタイプの金属、または類似のタイプの実質的に耐食性の材料で作成することができる。
【0016】
次に図4および図5を参照すると、注水器アセンブリ400は、図2に関して上述したような注水ノズル200を含むことができる。注水ノズル200は、必要に応じてポッド・カートリッジ210を貫通するように狭い先端、またはポット・カートリッジ210を収容する広いアパーチャを有することができる。注水器アセンブリ400は、注水ノズル200と協働する注水器ヘッド420を含むことができる。注水器ヘッド420は、直径がポッド・カートリッジ210よりわずかに大きくてよい。注水器ヘッド420もステンレス鋼、プラスチック、または類似のタイプの実質的に耐食性の材料で作成することができる。注水器ヘッド420は、その下部周囲に配置された密封リングを含むことができる。密封リングは、注水器ヘッド420とポッド・カートリッジ210の間に実質的に水密シールを形成できるように、ゴム、シリコン、または他のタイプの弾性材料で作成することができる。熱交換器150は、加圧した湯をポッド・カートリッジ210に提供するように、注水器ヘッド420と連通することができる。
【0017】
注水器ヘッド420は、カム・システム440を介して実質的に垂直面で移動可能であってもよい。(「垂直」および「水平」という用語は、絶対位置に対する基準の前後関係として使用される。注水器ヘッド420および本明細書で説明する他の要素は、任意の方向で動作することができる。)カム・システム駆動モータ450は、カム・システム440を駆動することができる。駆動モータ450は、上述したタレット・モータ350と類似の従来のACモータを使用することもできる。駆動モータ450は、また、くま取りコイル型モータまたはDCモータを使用することもできる。駆動モータ450は、駆動ベルト・システム470を介して偏心カム460を回転することができる。駆動モータ450および歯車装置470は、約6から約30rpmで偏心カム460を回転することができ、約25rpmが好ましい。偏心カム460は、その下方位置が約4.1から約4.8センチメートル(約1.6から1.9インチ)の半径を有し、上方位置が約3.5から4.1センチメートル(約1.3から約1.7インチ)を有するように成形することができる。
【0018】
偏心カム460は従動ホイール480と協働することができる。従動ホイール480は支持板490と連絡し、その中に装着することができる。支持板490は注水器410の周囲で巧みに動くことができる。支持板490はステンレス鋼、他のタイプの鋼、プラスチック、または他の材料で作成することができる。支持板490は、注水器ヘッド420に固定状態で取り付けることができる。支持板490は、その上に配置されたいくつかの案内ホイール500を有することができ、したがって支持板490は注水器フレーム410内で垂直方向に移動することができる。戻りばね520も支持板および注水器フレーム410に取り付けることができる。カム460の回転が特定の量を超えないように、リミット・スイッチ530がその周囲に配置される。
【0019】
それ故、注水器ヘッド420は、カム・システム440を介して垂直方向に巧みに動くことができる。具体的には、駆動モータ450は歯車装置470を介して偏心カム460を回転することができる。偏心カム460が増加する一方の半径で回転するにつれ、従動ホイール480が支持板490を押下し、したがって注水器ヘッド420がポッド・カートリッジ210に接触する。偏心カム460は、注水器ヘッド420を約6.4から約12.7ミリメートル(約1/4から約1/2インチ)下げることができる。注水器ヘッド420がポッド・カートリッジ210に接触すると、カム460がリミット・スイッチ530に到達するまで、偏心カム460が回転し続け、ポッド・カートリッジ210にかかる圧力を増加させることができる。注水器ヘッド420は、約136から160キログラム(約300から350ポンド)の下方向の力でポッド・カートリッジ210と係合することができる。それ故、密封リングはポッド・カートリッジ210の周囲に実質的に気密および水密のシールを形成することができる。駆動モータ450は、所定の時間だけカム460を所定の位置に保持することができる。次に、注水器ヘッド420が元の位置に戻るように、カム・システム440が逆転することができる。
【0020】
注水器ヘッド420の注水ノズル200がポッド・カートリッジ210に接触すると、高圧の湯が熱交換器150から注水器ヘッド420に流入することができる。ポッド・カートリッジ210を通って流れる湯の圧力は、中にある抽出材料550の性質によって変化することができる。
【0021】
図6から図12は、飲料ディスペンサ・システム100または他のタイプの飲料システムで使用できるポッド・カートリッジ210の実施形態を示す。実際、ポッド・カートリッジ210は、任意のタイプの混合可能な材料、香料、添加物、および他の物質と一緒に使用することができる。ポッド・カートリッジ210は、実質的にカップ600の形状であってもよい。カップ600は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび類似のタイプの材料など、従来の熱可塑性樹脂で作成することができる。代替的に、ステンレス鋼または他のタイプの実質的に耐食性の材料も使用することができる。カップ600は、異味を与えずに抽出サイクルの熱および圧力に耐えるように、実質的に剛性であってもよい。しかし、以下で説明するように、「剛性」という用語は、カップ600が圧力下でわずかに屈曲または変形してもよいことを意味する。
【0022】
カップ600は、実質的に円形の側壁610および実質的に平坦なベース620を含むことができる。他の形状も使用することができる。カップ600の側壁610およびベース620は、成形して一体要素を形成してもよいし、または別個の側壁610および別個のベース620を固定状態で相互に取り付けてもよい。側壁610およびベース620、さらにカップ600全体は、タレット・アセンブリ310のタレット板320のポッド・アパーチャ330および注水器400の注水器ヘッド420を収容するように、任意の都合のよい直径を有することができる。代替的に、カップ600の側壁610およびベース620は、他のタイプの飲料ディスペンサ・システム100または類似のタイプの装置を収容するように、任意の都合のよい直径を有することができる。
【0023】
一例をあげると、側壁610は、約39.3ミリメートル(約1.549インチ)の内径、および約1.1ミリメートル(約0.043インチ)の肉厚を有することができる。側壁610は、頂部から底部へとわずかに先細であってもよい。所望に応じて他のサイズまたは寸法を使用することができる。
【0024】
カップ600は、全体として、その内部で使用するよう意図されている抽出材料の量に応じて、様々な深さを有することができる。約355ミリリットル(約12オンス)の飲料で使用するよう意図されたカップ600の場合、カップ600は、約28.7ミリメートル(約1.13インチ)の全高、および約17.1ミリメートル(約0.674インチ)の有効内部高さを有することができる。したがって、355ミリリットルのカップ600の高さと直径との比率は、全高については約0.73、有効内部高さについては約0.435であってもよい。カップ600は、約6.4グラムのポリプロピレン材料を有することができる。
【0025】
例えば約237ミリリットル(約8オンス)の飲料で使用するカップ600は、約22.5ミリメートル(約0.887インチ)の高さ、および約11.8ミリメートル(約0.463インチ)の有効内部高さを有することができる。それ故、比率は、全高については約0.57、有効内部高さについては約0.3でよい。カップ600は、約5.8グラムのポリプロピレン材料を有することができる。
【0026】
これらの直径と深さとの比率は、最小量の材料を使用しながら、カップ600およびカートリッジ210に全体として十分な強度および剛性を与える。カートリッジ210は、例えばポリプロピレン同種重合体を使用した場合、全体として約5から約8グラムのプラスチック材料を有することができる。その結果、カップ600およびカートリッジ210は全体として、最大60秒以上、約10バール(約150ポンド/平方インチ)の予想水圧で約93℃(華氏約200°)超の温度に耐えることができる。このような比率を有するカップ600は、多少屈曲または変形することがあるが、カップ600およびカートリッジ210は全体として、自身を通る湯の予想される圧力に耐えなければならない。これらの寸法および特徴は、例示のためにすぎない。カップ600の側壁610およびベース620は、所望の、または都合のよいサイズまたは形状でもよい。例えば、側壁610は、必要に応じて、直線、先細状、階段状、または曲線であってもよい。
【0027】
ベース620は、これに形成されたいくつかのアパーチャ640を含むことができる。アパーチャ640は、ベース620の幅を通して延びることができる。アパーチャ640は、実質的に円形の形状で、直径がそれぞれ約1.6ミリメートル(約0.063インチ)でもよい。しかし、任意の望ましい形状またはサイズを使用することができる。この実施形態では、約54のアパーチャ640を使用するが、任意の数を使用することができる。所与の寸法のカップ600を使用すると、選択された数およびサイズのアパーチャ640が、適切な圧力低下を提供する。
【0028】
ベース620は、また、その上に配置されたいくつかの支持リブ650を有することができる。円形の内部リブ660、円形の外部リブ670、およびいくつかの放射状リブ680を使用することができる。この実施形態では、リブ650は約1ミリメートル(約0.04インチ)の深さを有することができるが、任意の望ましい厚さを使用することもできる。同様に、任意の望ましい数および/または形状のリブ650を使用することができる。リブ650の設計も、最小量の材料でカートリッジ210全体の支持および安定性を向上させる。
【0029】
カップ600の側壁610は、また、上部リップ700を含むことができる。上部リップは、実質的に平坦な頂部部分710を含むことができる。平坦な頂部部分710は、約3.45ミリメートル(約0.136インチ)の幅、および約3.4ミリメートル(約0.135インチ)の垂直方向の高さを有することができる。リップ700は、可能な限り少ない材料を使用しながら、ポッド・アパーチャ330および注水器ヘッド420のサイズ、さらに注水器ヘッド420によって提供される湯の予想される力に対応するように構成することができる。これは、カートリッジ210全体が、一般的に注水プロセス中にそのリップ700周辺でしか支持されないので、特に真実である。
【0030】
図13および図14は、リップ700の代替実施形態を示す。この実施形態では、リップ720は実質的に平坦な頂部部分710および下方向に傾斜し、頂部部分730から延びるフランジ730を含んでもよい。フランジ730は、側壁610とともにポケット740を形成するように、下方向に延びることができる。ポケット740の頂部は湾曲した内径を有することができる。リップ720のフランジ730およびポケット740は、ポッド・アパーチャ330のサイズに対応するようなサイズにされる。
【0031】
再び図6から図12を参照すると、カップ600の側壁610は、また、これに形成されたいくつかの切り欠き760を含んでもよい。この実施形態では、第1切り欠き770、第2切り欠き780、および第3切り欠き785を使用することができる。しかし、任意の数の切り欠き760を使用することもできる。例えば、237ミリリットル(約8オンス)のカップ600では、2つの切り欠き760しか使用しない。切り欠き760は、側壁610の内周に連続的であってもよいし、または断続的でもよい。
【0032】
切り欠き760は、蓋790と協働することができる。蓋790は、切り欠き760に挿入するために、周囲が実質的に楔形をした縁部800を有することができる。切り欠き760を使用すると、蓋790が確実に所定の位置に留まる。縁部800は、切り欠き760と係合するように連続的であってもよいし、または断続的でもよい。蓋790は、内側に弓なりであることが好ましく、またはほぼ凹状の形状であってもよい。蓋790は、約0.8グラムのポリプロピレン材料を有することができる。
【0033】
蓋790は、カップに入れるべき抽出材料の量に応じて、切り欠き760の1つに入れることができる。蓋790は、抽出材料550を圧力下で打ち込み、抽出材料をその内部で移動させないようにするように、凹形で下方向に弓なりでもよい。蓋790は、抽出材料550に適切な打ち込み力を提供することができ、基本的に皿ワッシャの原理で負荷をかけて材料を保持する。抽出材料550を打ち込むために蓋790を使用すると、抽出材料550をカップ600に装填する場合に、充填速度を上げることもできる。蓋790は、また、注水器ヘッド420からの湯が通過できるように、内部にいくつかのアパーチャ810を有することもできる。注水器ヘッド420の性質に応じて、蓋790の使用が不要なこともある。
【0034】
カップ600は、1つまたは複数の層の濾紙850で裏打ちすることができる。濾紙850は、飲料の通過を可能にしながら調整材料550の収集に使用される標準的な濾紙でよい。しかし、濾紙850は、ベース620のアパーチャ640へと撓まない、および/または抽出材料550の細かい粒子がアパーチャ640を閉じる、または閉塞できないように、十分な強度、剛性および/または有孔性を有していなければならない。アパーチャ640が閉塞すると、カートリッジ210における圧力低下が不均衡になることがある。実質的に変形しない剛性紙850のせいで、カップ600のベース620のアパーチャ640は、そこを通る流れを増加させるために、多少大きい直径を有してもよい。
【0035】
例えば、濾紙850は、セルロースと熱可塑性繊維の組合せで作成することができる。適切な濾紙850の例は、ジョージア州GainesvilleのJ. R. Crompton, Ltd.からPV−377およびPV347Cの名称で販売されている。例えば、PV−347Cの材料は、1平方メートル当たり約40グラムの坪量、および約62キロパスカルの湿潤破裂強度を有することができる。類似のタイプの材料を使用することもできる。複数の枚数の紙を使用してもよい。複数の紙はそれぞれ、同じ特徴または異なる特徴を有することができる。
【0036】
ポッド・カートリッジ210は、フィルタ上層860およびフィルタ下層870を有することができる。フィルタ下層860は、通常、接着剤を使用せずにその中に配置される。フィルタ上層860は、下層870ほど高い強度を必要としないことがある。フィルタ上層860は、通常、湯を分散させ、粉砕物が注水器ヘッド420を閉塞するのを防止する。抽出材料550自体は、フィルタ上層と下層860、870の間に配置することができる。抽出材料550は、側壁610と直接接触することが好ましい。すなわち、カップ600の内径には濾紙850の位置がない。この配置によって、湯が、濾紙850を介してカップ600を通過するのではなく、強制的に抽出材料550を通過する。
【0037】
抽出材料550は、箔の囲み、または他のタイプの実質的に非通気性のバリア内に配置することができる。箔の囲み590は、その内部の抽出材料550を新鮮に維持し、周囲空気と接触させない働きをすることができる。代替的に、カートリッジ210の使用の準備が整うまで、ポッド・カートリッジ210全体を箔の囲い内に個々に、またはグループで配置することができる。
【0038】
抽出材料550自体は、通常、粉砕機900で調製する。粉砕機900は、原料、この実施例ではコーヒー豆を取り入れ、これを粉砕してコーヒー粉砕物にする。図15に示すように、粉砕機900はローラ粉砕機であることが好ましい。このような粉砕機900の例が、イリノイ州シカゴのModern Process Equipment, Inc.によってモデル660FXの名称で製造されている。ローラ粉砕機900は、バー粉砕機のような他のタイプの粉砕機より好ましい。ローラ粉砕機の方が粒子サイズの分布が良好のようである。すなわち、粒子サイズの分布が、より一定している。ローラ粉砕機900は、抽出不足になって異味を与える大きい粒子が少なく、また、抽出過剰によって最終飲料の味を変化させ、苦みの一因となる傾向がある「微粉」または非常に小さいコーヒー粒子を少なくする。微粉を制限すると、ポッド・カートリッジ210内の背圧にも影響を及ぼす。というのは、背圧は粒子サイズの2乗に逆比例するからである。それ故、粒子サイズが小さくなるほど、背圧が上昇する。
【0039】
ローラ粉砕機とバー粉砕機との比較を以下に示す。ローラ粉砕機の粒子分布(左側にスパイクがある「レイン・フォレスト」粉砕物)は約8.0μmの粒子サイズで終了し、バー粉砕機(右側にスパイクがある「ミラノ」粉砕物)は約0.1μmの粒子サイズまで続く。同様に、ローラ粉砕機の方が大きめの粒子が少ない。
【表1】
【0040】
図示のように、ローラ粉砕機900で粉砕した粉砕物の80%超が、約220ミクロンと約250ミクロン(マイクロメートル)の間に粒子サイズの分布を有し、99%超が約8ミクロンと650ミクロンの間の粒子サイズの分布を有する。広義には、コーヒー粉砕物の75%超が、約200ミクロンと約300ミクロンの間の粒子サイズの分布を有する。約250ミクロンの一定した粒子サイズの分布は、飲料を改善するが、抽出中に抵抗および望ましい圧力を提供するように、特定量の細かい粒子があることが望ましいこともある。十分な微粉がないと、湯の通過が速すぎることがある。したがって、分布の10から20%は、約40ミクロンの範囲にあってもよい。
【0041】
微粉の数を制御し、背圧および抵抗を制御するために、最小10%(d(0.1))の粒子サイズの評価を使用することができる。この数が小さいほど、所与の直径より小さい粒子のパーセンテージが大きくなる。d(0.1)の位置を以下に示す。
【表2】
一般的に言って、約43ミクロンのd(0.1)は許容可能であるが、25ミクロンは許容できない。
【0042】
類似の方法は、表面積平均直径を調べることである。表面積平均直径が有用なのは、粒子サイズが減少するほど、体積に対する表面積の比率が急速に増加するからである。表面積平均直径は、各粒子の直径にそのサイズの全粒子の材料の総表面積を掛け、合計し、全粒子の総表面積によって割ることによって計算される。それ故、以上で示す3,2の座標における直径では、計算は以下のようになる。
【数1】
【0043】
一般的に言って、116ミクロンというD[3,2]における表面積平均直径は許容可能であり、一方、78ミクロンの直径は許容できない。
【0044】
大きめの粒子の存在に的を絞って、類似の計算をすることができる。例えば、体積平均直径D[4,3]も計算することができる。
【数2】
【0045】
それ故、ローラ粉砕機900の方が粒子サイズの分布が狭く、一定している。同様に、一定の圧力を維持しながら、苦みを制限するように、微粉の数を監視することができる。このような粒子サイズの分布は、味が改善され、一定したコーヒー飲料を提供する。
【0046】
粉砕機900は、また、高密度化装置910を含むことができる。高密度化装置910は、個々の粉砕物をさらに均一なサイズおよび形状にするように、いくつかのブレードを含むことができる。具体的には、粉砕物は、より均一な球形形状を有し、多少硬化したように見える。粉砕物の高密度化の結果、密度の増加により、粉砕物を通って流れる湯の性質が変化するという点で、抽出性が変化する。
【0047】
実質的に均一な球を生成することに加えて、高密度化装置920は、小さめの粒子を大きめの粒子に「付着」させることによって、微粉または小さい粒子の数も減少させるようである。付着は、粉砕物中の油分、粉砕物に加えられる仕事、または他の原因による。例えば、高密度化すると、コーヒー中の固体が約6パーセントになることがある。しかし、高密度化しないと、固体は約7.5パーセントに達することがあり、こうなると完成した製品が濃すぎてしまう。その正味結果は、より小さく、より均一な粒子サイズの分布である。高密度化は、コーヒーの包装を改善するために使用されてきたが、粉砕物の抽出性を変更するようには使用されてこなかった。
【0048】
使用時には、濾紙の下層870をポッド・カートリッジ210のカップ600とともにベース620に沿って配置することができる。次に、ある量の調整材料550をその中に配置する。次に、濾紙の上層860を、所望に応じて抽出材料550に載せる。次に、約13.6キログラムの力(約30ポンドの力)で抽出材料550をおさえるように、蓋790をカップ600内に配置することができる。力の量は変更することができる。蓋790が抽出材料550を圧迫すると、蓋790の縁部800が、カップ600の側壁610内の適切な切り欠き760内に配置される。次に、ポッド210を密封するか、飲料ディスペンサ・システム100などで使用するために他の方法で輸送することができる。
【0049】
ポッド210は、タレット・アセンブリ310内のポッド・アパーチャ330の1つに入れることができる。具体的には、ポッド・アパーチャ330の外縁がカップ600のリップ700と整列し、したがってカップ600がリップ700によって支持される。これで、注水器ヘッド420をポッド210の周囲に配置することができる。注水器ヘッド420の密封リングが、カップ600のリップ700の頂部部分710の周囲を密封することができる。丸くされたリップまたは平坦ではない形状のリップを使用すると、ある量の圧力が加えられると密封リングを破損することがある。すなわち上述したように、注水器ヘッド420は、約136から約160キログラムの力(約300から約350ポンド)の下方向の力でポッド・カートリッジ210と係合し、入ってくる湯の流れを約10から約14バール(約145から200ポンド/平方インチ(psi))で加圧することができる。ポッド・カートリッジ210を通って流れる湯の圧力は、抽出材料550の性質とともに変えることができる。加圧した湯を、任意の供給源からカートリッジ210に提供することができる。
【0050】
注水器ヘッド420を通過する湯は、蓋790およびそのアパーチャ810に広がり、抽出材料550に入ることができる。全体としてカートリッジ210を通る湯の流れの性質は、一部はカートリッジ210の幾何学的形状およびサイズ、抽出材料550の性質、サイズおよび密度、水圧、湯温、および抽出時間に依存する。これらのパラメータのいずれかを変更すると、抽出された飲料の性質も変化することがある。抽出された飲料は、次にカップ600のベース620にあるアパーチャ640を通過する。
【0051】
図12に示すように、ポッド・カートリッジ210を異なるタイプの粉砕物、葉、または他のタイプの抽出材料550で充填することができる。約35ミリリットルの1人分のエスプレッソ飲料の場合、約6から8グラムの特別に挽いたコーヒーをポッド・カートリッジ210に入れる。同様に、約180ミリリットル(約6オンス)の湯を加えるアメリカン・コーヒーの抽出には、同じ量の挽いたコーヒーを使用することができる。約180ミリリットル(約6オンス)の1杯のティーを入れるために、約2グラムから約5グラムの茶葉をポッド・カートリッジ210に加えることができる。
【0052】
異なるタイプのコーヒーまたは他のタイプの抽出材料550それぞれが、異なるサイズの粉砕物を有する。例えば、典型的なドリップ・フィルタ式のコーヒーでは、1粒のコーヒー豆を約500から800の粒子に挽くことができる。エスプレッソを挽くには、同じコーヒー豆を3500個以上の粒子に挽くことができる。粒子自体も異なるサイズおよび重量を有する。
【0053】
上述したように、粒子サイズの均一性を維持することが好ましい。適正なサイズではないコーヒー粉砕物の粒子は、通常、コーヒーからの可溶性固形分を過剰抽出するか、抽出不足になってしまう。粉砕機900の使用は、より一定した粒子サイズの確保に役立つ。高密度化装置910の使用も、粒子サイズの均一性の提供を補助する。コーヒー粉砕物をおさえると、カップ600を通る流体の均一な流れの提供を補助する。上述したように、粒子サイズは、飲料の抽出の「仕事」をする背圧に関連する。
【0054】
抽出の時間および温度に関しては、抽出温度は通常、約85から約100℃(華氏約185から約212°)、または約10から約14バールでこれより高温になることもある。湯リザーバ160内の湯は、熱交換器150によって約102℃(華氏約215.6°)まで加熱することができる。湯は、注水器ヘッド420を通過し、カートリッジ210に入るにつれ、その熱の一部を失う。
【0055】
例えば、上述したような「ローマ」エスプレッソ飲料は、237ミリリットル(8オンス)のカートリッジ210に約6グラムのコーヒー粉砕物を入れて使用する。カートリッジ210は、約35ミリリットルの飲料を生成する。湯は約102℃(華氏約215.6°)で湯リザーバ160を出て、約11バールで約8秒(±2秒)の抽出時間を有する。(粉砕物の高密度化は、抽出時間を加速させ、抽出される材料の量を減少させることができる。)蓋790を下部切り欠き760内に配置する場合は、355ミリリットル(12オンス)のカートリッジ210も使用することができる。「濃い」飲料は、類似の特性を有するが、約7.3グラムの粉砕物を使用する。その結果、抽出時間は約14秒になる。
【0056】
「レイン・フォレスト」飲料も、237ミリリットル(8オンス)のカートリッジ210に約6グラムの粉砕物を入れて使用することができる。しかし、これらの粉砕物は、ローマ式粉砕物より粗く、したがってカートリッジ210を通る流速が速くなる。したがって、抽出時間は約7秒(±2秒)になる。抽出後に、特定の量の補給湯(約180ミリリットル)を飲料に追加することもできる。「アメリカーノ」飲料は、上述したエスプレッソ粉砕物と、異なる特徴および味を有する種々の粉砕物および混合物を使用することができる。
【0057】
図示のように、カートリッジ210はティーを入れるために使用することもできる。この実施例では、約2.8グラムの茶葉を使用することができる。数分かけてティーを滲出させる伝統的な方法とは異なり、この実施例では、約210ミリリットル(約7オンス)の飲料を約6.2秒で抽出する。アイス・ティーも、ある量の補給水を追加して抽出することができる。
【0058】
抽出パラメータの種々の実施例を下表に示す。
【表3】
【0059】
本明細書で説明した変数の組合せは、一定の味の飲料を生成するポッド・カートリッジ210を提供する。具体的には、飲料の味は、任意の数のカートリッジ210を使用しても一定である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明で使用する飲料ディスペンサ・システムの一実施形態の斜視図である。
【図2】図1の飲料ディスペンサ・システムの上面図である。
【図3】図1の飲料ディスペンサ・システムのタレット・システムの斜視図である。
【図4】支持板の案内ホイールおよび戻りばねが想像線で図示された、図1の飲料ディスペンサ・システムの注水器アセンブリの斜視図である。
【図5】従動ホイールおよびリミット・スイッチが切り取り図で図示された、図1の飲料ディスペンサ・システムの注水器アセンブリの背面斜視図である。
【図6】本明細書で説明するポッドの斜視図である。
【図7】本明細書で説明するポッドの斜視図である。
【図8】図6のポッドの側断面図である。
【図9】図6のポッドの上面斜視図である。
【図10】図6のポッドの底面斜視図である。
【図11】蓋を示すポッドの側断面図である。
【図12】内部にある量の抽出材料が配置されたポッド・カートリッジの側断面図である。
【図13】図6のポッドのリップの代替実施形態の側面図である。
【図14】図13のポッドの側断面図である。
【図15】本明細書で説明する本発明で使用する粉砕機の側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある量の混合可能な材料を保持するためのポッドであって、
円形の側壁と、
複数のアパーチャを備えたベースと、
前記ベース上に配置された実質的に剛性の濾紙と、を備えるポッド。
【請求項2】
前記ベースおよび前記円形の側壁は、高さと直径との比率が約0.435以下である、請求項1に記載のポッド。
【請求項3】
前記複数のアパーチャがそれぞれ、約1.6ミリメートル(約0.063インチ)の直径を備える、請求項1に記載のポッド。
【請求項4】
前記複数のアパーチャが約54個のアパーチャを備える、請求項3に記載のポッド。
【請求項5】
前記円形の側壁内に配置された凹状の蓋をさらに備える、請求項1に記載のポッド。
【請求項6】
前記実質的に剛性の濾紙が、約40g/m2という坪量を有する、請求項1に記載のポッド。
【請求項7】
前記実質的に剛性の濾紙が、約62キロパスカルの湿潤破裂強度を備える、請求項1に記載のポッド。
【請求項8】
前記実質的に剛性の濾紙が複数枚の濾紙を備える、請求項1に記載のポッド。
【請求項9】
前記抽出可能な材料が、前記円形の側壁と直接接触する、請求項1に記載のポッド。
【請求項10】
前記実質的に剛性の濾紙が、最大約11バール(約160ポンド/平方インチ)の水圧で変形しない、請求項1に記載のポッド。
【請求項11】
原料から粉砕物を調製し、包装する方法であって、
前記粉砕物の最小10%(d(0.1))が約40ミクロンを含むように、前記原料を前記粉砕物にローラ粉砕するステップと、
前記粉砕物を実質的に剛性のポッド内に配置するステップと、
蓋で前記粉砕物をおさえるステップと、を含む方法。
【請求項12】
前記ローラ粉砕ステップが、
粉砕物の80%超が約220から約250ミクロンの間の粒子サイズ分布を含むように、前記粉砕物を粉砕することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ローラ粉砕ステップが、表面積平均直径が少なくとも約100ミクロンになるように、前記粉砕物を粉砕することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記配置するステップおよび前記おさえるステップの結果、粉砕物密度が約0.371グラム/ミリリットルから約0.426グラム/ミリリットルになる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
約6から約14秒の間、前記粉砕物を抽出するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
ある量の混合可能な材料を保持するためのポッドであって、
実質的に剛性の側壁と、
実質的に剛性のベースと、
蓋とを備え、
前記側壁が、内径と、前記ベースから前記蓋まで延びる有効高さとを有し、
前記有効高さと前記内径が、約0.44未満の比率を有するポッド。
【請求項17】
前記比率が約0.3以下を含む、請求項16に記載のポッド。
【請求項18】
実質的に剛性の側壁と、
実質的に剛性のベースと、
蓋と、
その内部に配置されたコーヒー粉砕物と、を備え、
前記コーヒー粉砕物の75%超が、約200から約300ミクロンの間の粒子サイズ分布を含むコーヒー・ポッド。
【請求項19】
前記コーヒー粉砕物の80%超が、約220から約250ミクロンの間の粒子サイズ分布を含む、請求項18に記載のコーヒー・ポッド。
【請求項1】
ある量の混合可能な材料を保持するためのポッドであって、
円形の側壁と、
複数のアパーチャを備えたベースと、
前記ベース上に配置された実質的に剛性の濾紙と、を備えるポッド。
【請求項2】
前記ベースおよび前記円形の側壁は、高さと直径との比率が約0.435以下である、請求項1に記載のポッド。
【請求項3】
前記複数のアパーチャがそれぞれ、約1.6ミリメートル(約0.063インチ)の直径を備える、請求項1に記載のポッド。
【請求項4】
前記複数のアパーチャが約54個のアパーチャを備える、請求項3に記載のポッド。
【請求項5】
前記円形の側壁内に配置された凹状の蓋をさらに備える、請求項1に記載のポッド。
【請求項6】
前記実質的に剛性の濾紙が、約40g/m2という坪量を有する、請求項1に記載のポッド。
【請求項7】
前記実質的に剛性の濾紙が、約62キロパスカルの湿潤破裂強度を備える、請求項1に記載のポッド。
【請求項8】
前記実質的に剛性の濾紙が複数枚の濾紙を備える、請求項1に記載のポッド。
【請求項9】
前記抽出可能な材料が、前記円形の側壁と直接接触する、請求項1に記載のポッド。
【請求項10】
前記実質的に剛性の濾紙が、最大約11バール(約160ポンド/平方インチ)の水圧で変形しない、請求項1に記載のポッド。
【請求項11】
原料から粉砕物を調製し、包装する方法であって、
前記粉砕物の最小10%(d(0.1))が約40ミクロンを含むように、前記原料を前記粉砕物にローラ粉砕するステップと、
前記粉砕物を実質的に剛性のポッド内に配置するステップと、
蓋で前記粉砕物をおさえるステップと、を含む方法。
【請求項12】
前記ローラ粉砕ステップが、
粉砕物の80%超が約220から約250ミクロンの間の粒子サイズ分布を含むように、前記粉砕物を粉砕することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ローラ粉砕ステップが、表面積平均直径が少なくとも約100ミクロンになるように、前記粉砕物を粉砕することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記配置するステップおよび前記おさえるステップの結果、粉砕物密度が約0.371グラム/ミリリットルから約0.426グラム/ミリリットルになる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
約6から約14秒の間、前記粉砕物を抽出するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
ある量の混合可能な材料を保持するためのポッドであって、
実質的に剛性の側壁と、
実質的に剛性のベースと、
蓋とを備え、
前記側壁が、内径と、前記ベースから前記蓋まで延びる有効高さとを有し、
前記有効高さと前記内径が、約0.44未満の比率を有するポッド。
【請求項17】
前記比率が約0.3以下を含む、請求項16に記載のポッド。
【請求項18】
実質的に剛性の側壁と、
実質的に剛性のベースと、
蓋と、
その内部に配置されたコーヒー粉砕物と、を備え、
前記コーヒー粉砕物の75%超が、約200から約300ミクロンの間の粒子サイズ分布を含むコーヒー・ポッド。
【請求項19】
前記コーヒー粉砕物の80%超が、約220から約250ミクロンの間の粒子サイズ分布を含む、請求項18に記載のコーヒー・ポッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2008−539947(P2008−539947A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511115(P2008−511115)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/011667
【国際公開番号】WO2006/121520
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(391026058)ザ・コカ−コーラ・カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】THE COCA−COLA COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/011667
【国際公開番号】WO2006/121520
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(391026058)ザ・コカ−コーラ・カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】THE COCA−COLA COMPANY
【Fターム(参考)】
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