説明

コーヒー飲料製造装置

【課題】抽出状況に応じて滓受け部材内の抽出滓の廃棄時期を報知することが可能となるコーヒー飲料製造装置を提供する。
【解決手段】本発明のコーヒー飲料製造装置1は、所定の粒度に粉砕されたコーヒー豆の挽き豆と湯を用いてコーヒー飲料を抽出し、抽出滓Dを滓受け部材8に廃棄するものであって、コーヒー飲料の抽出回数をカウントし、所定回数にて抽出を禁止する制御装置Cを備え、この制御装置Cは、抽出回数に関する情報を表示可能な表示手段として点滅間隔を変更可能とする点検ランプ11Bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の粒度に粉砕されたコーヒー豆の挽き豆と湯を用いてコーヒー飲料を抽出し、抽出滓を滓受け部材に廃棄するコーヒー飲料製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコーヒー飲料製造装置は、所定の粒度に粉砕されたコーヒー豆の挽き豆を耐圧構造とされた抽出室に供給し、この挽き豆にポンプで加圧した所定の高温の湯を通過させることによってコーヒー液を抽出する。通常、挽き豆の抽出時に高温の湯を使用することでコーヒー成分の溶出が促進され、更に係る湯を加圧して供給することで、挽き豆の組織内に湯が浸透し、濃いコーヒー液、即ちエスプレッソコーヒーが得られる。
【0003】
この場合、コーヒー液の抽出に使用される挽き豆は、コーヒー液の抽出後は抽出滓として、コーヒー液の抽出に使用されたシリンダー内において圧縮され、残液が取り除かれた状態で、シリンダーを回動させることで滓受け部材に落下されて、廃棄される。これにより、抽出滓の廃棄後、再度シリンダーを回動させることにより、次回のコーヒー抽出のための挽き豆がシリンダー内に投入されることとなる。
【0004】
そのため、滓受け部材内には、コーヒーの抽出動作が行われる度に、抽出滓が廃棄され貯留されることとなる。
【特許文献1】特開2005−245498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、滓受け部材内に受容可能となる抽出滓の量には限りがある。一般に、当該滓受け部材内には、35杯分の抽出滓を受容することが可能となるように設計されている。そのため、抽出動作が当該所定の抽出滓受容限界回数、実行されると、適切な抽出滓の廃棄動作を実行することができなくなるため、制御装置は、当該回数に達すると、若しくは、適切な抽出滓の廃棄動作が実行できない状態となると、これを検出することで、以後、全てのコーヒー液の抽出を禁止していた。
【0006】
これにより、滓受け部材内の抽出滓を外部に廃棄しない限り、コーヒー液の抽出ができないこととなる。例えば、このような状況は、コーヒー液の抽出要望が多い時間帯(繁忙時間帯)に生じやすいが、当該状況が発生すると、以後のコーヒー液の抽出ができないこととなるため、場合によっては、店員等は繁忙時間帯であるにもかかわらず、滓受け部材内の抽出滓の廃棄作業を強いられることとなる。
【0007】
そこで、店員等は、繁忙時間帯より前の時点で、滓受け部材内の抽出滓を外部に廃棄する作業を行うことが考えられるが、一般に滓受け部材は、顧客に抽出滓が見えるのを防止するため本体内部に隠蔽された状態で設けられているため、滓受け部材内に殆ど抽出滓が入っていない場合にも当該作業を強いられることとなる。
【0008】
本発明は、従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、抽出状況に応じて滓受け部材内の抽出滓の廃棄時期を報知することが可能となるコーヒー飲料製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコーヒー飲料製造装置は、所定の粒度に粉砕されたコーヒー豆の挽き豆と湯を用いてコーヒー飲料を抽出し、抽出滓を滓受け部材に廃棄するものであって、コーヒー飲料の抽出回数をカウントし、所定回数にて抽出を禁止する制御装置を備え、この制御装置は、抽出回数に関する情報を表示可能な表示手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明のコーヒー飲料製造装置は、所定の粒度に粉砕されたコーヒー豆の挽き豆と湯を用いてコーヒー飲料を抽出し、抽出滓を滓受け部材に廃棄するものであって、コーヒー飲料の抽出回数をカウントし、所定回数にて抽出を禁止する制御装置を備え、この制御装置は、予め設定された時刻又は時間帯より前の時点で、抽出回数が所定回数に近づいている場合、所定の滓廃棄警告出力を発生することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明のコーヒー飲料製造装置は、上記発明において、制御装置は、コーヒー飲料の抽出履歴に基づいて抽出頻度の高い時刻又は時間帯を判定し、当該時刻又は時間帯より前の時点で、抽出回数が所定回数に近づいている場合、滓廃棄警告出力を発生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定の粒度に粉砕されたコーヒー豆の挽き豆と湯を用いてコーヒー飲料を抽出し、抽出滓を滓受け部材に廃棄するコーヒー飲料製造装置において、コーヒー飲料の抽出回数をカウントし、所定回数にて抽出を禁止する制御装置を備え、この制御装置は、抽出回数に関する情報を表示可能な表示手段を備えることにより、表示手段にて注出回数に関する情報を表示することで、抽出回数が所定回数に達することで抽出禁止となる以前に、滓受け部材に廃棄される抽出滓の量を報知することが可能となる。
【0013】
これにより、使用者は、滓受け部材内を直接確認することなく、表示手段により表示される抽出回数に関する情報に基づき滓受け部材内の抽出滓の廃棄時期を把握することが可能となる。これにより、抽出回数が所定回数に達することで抽出禁止となる以前に、使用状況に応じて滓受け部材内に廃棄された抽出滓を外部に廃棄処理することができ、利便性の向上を図ることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、所定の粒度に粉砕されたコーヒー豆の挽き豆と湯を用いてコーヒー飲料を抽出し、抽出滓を滓受け部材に廃棄するコーヒー飲料製造装置において、コーヒー飲料の抽出回数をカウントし、所定回数にて抽出を禁止する制御装置を備え、この制御装置は、予め設定された時刻又は時間帯より前の時点で、抽出回数が所定回数に近づいている場合、所定の滓廃棄警告出力を発生するので、使用者は、滓受け部材内を直接確認することなく、予め設定された時刻又は時間帯より前の時点で、滓廃棄警告出力の発生によって滓受け部材内の抽出滓の廃棄処理の必要性の有無を把握することができる。
【0015】
これにより、予め設定された時刻又は時間帯より前の時点で、滓廃棄警告出力が発生された場合、円滑に滓受け部材内の抽出滓を廃棄することで、当該設定された時刻又は時間帯において、抽出回数が所定回数に達してしまい、抽出禁止となる不都合を回避することが可能となる。
【0016】
また、請求項3の発明によれば、上記発明において、制御装置は、コーヒー飲料の抽出履歴に基づいて滓廃棄警告出力が必要とされる時刻又は時間帯、例えば抽出頻度の高い時刻又は時間帯を判定し、当該時刻又は時間帯より前の時点で、抽出回数が所定回数に近づいている場合、滓廃棄警告出力を発生することにより、使用者は、抽出頻度の高い時刻又は時間帯より前の時点において滓受け部材内に廃棄された抽出滓を外部に廃棄処理することが可能となる。
【0017】
特に、制御装置は、コーヒー飲料の抽出履歴に基づいて抽出頻度の高い時刻又は時間帯を判定し、当該時刻又は時間帯より前の時点で、滓廃棄警告出力を発生するか否かを判断するため、予め当該時刻や時間帯を設定することなく、繁忙時間帯において、抽出回数が所定回数に達してしまい、抽出禁止となる不都合を回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明のコーヒー飲料製造装置1の正面図、図2のコーヒー飲料製造装置1の前面扉4を開放した状態の正面図、図3はコーヒー飲料製造装置1の内部概略構成図をそれぞれ示している。
【0019】
本実施例のコーヒー飲料製造装置1は、前面にコーヒー液等の飲料を排出する飲料注出ノズル2と、湯のみを排出する湯注出ノズル3を備えた本体6により構成されている。そして、これらノズル2、3の下方には、注出されたコーヒー液等を受容するカップを載置するカップ支持台7が設けられている。本体6の前面は、前面扉4により開閉自在に閉塞されており、当該前面扉4の前面には、排出する飲料の種類を選択する複数の飲料選択ボタン5・・・及び湯のみを排出する湯選択ボタン10が設けられている。
【0020】
また、当該前面扉4の前面上部には、販売可ランプ11Aや点検ランプ11B等を備えた表示部11が設けられている。尚、当該点検ランプ11Bは、詳細は後述する如く抽出回数に関する情報を表示可能とする表示手段を構成するものであって、例えば、点滅間隔を変更可能とすることによって抽出回数に関する情報を表示可能とする滓廃棄警告出力手段を構成するものである。
【0021】
また、図1中、8はコーヒー液の抽出に使用された残滓を受容すると共に、前方に引出自在に設けられた滓受け部材であり、9はコーヒー豆を収容する豆貯蔵容器である。各注出ノズル2、3の下方であって、カップ支持台7の上方に位置する本体6両側部には、カップの有無を検出するカップセンサ12が設けられている。尚、図2では、滓受け部材8は引き出され取り除かれた状態を示しており、当該滓受け部材8は、本体6下部に形成される滓受け部材収容部8A内に収納可能とされている。
【0022】
ここで、図2及び図3を参照してコーヒー飲料製造装置1の内部構成について説明する。本実施例のコーヒー飲料製造装置1は、本体6内に、湯タンク40と、湯タンク40の底部に取り付けられたポンプ(ギヤポンプ)41と、コーヒー抽出機13を備えている。また、本実施例では、詳細は後述する如き挽き豆からコーヒー液を抽出することにより得られるコーヒー飲料のみならず、飲料原料となる粉末原料と湯を混合撹拌することにより得られる飲料をも提供可能とする。そのため、図2に示すように本体6内には、粉末原料を貯蔵する粉原料貯蔵容器43及び当該粉原料貯蔵容器43から排出された所定量の粉末原料と所定量の湯とを混合撹拌して飲料を生成する粉飲料生成部44が設けられている。尚、本実施例では、当該粉末原料から生成される粉飲料の生成構造についての詳細は省略する。
【0023】
上記湯タンク40は、数リットルの飲料水を貯水可能とするタンクであり、内部には、貯水された飲料水を例えば+97℃に加熱保温する図示しないヒータが設けられている。また、湯タンク40の底部に設けられたポンプ41は、湯タンク40内の湯を加圧して排出するポンプであり、このポンプ41の排出口には、流量計14と、給湯側電磁弁15とが順次介設された給湯側配管16が接続されており、この給湯側配管16の他端には、コーヒー抽出機13が接続されている。
【0024】
そして、この給湯側配管16には、流量計14と給湯側電磁弁15との間に位置して循環経路を構成する循環用電磁弁17を備えた循環用配管18が接続されており、この循環用配管18の他端は、湯タンク40に接続されている。更に、循環用配管18には、循環用電磁弁17と湯タンク40との間に位置してポンプ41とを接続するバイパス配管19が接続されている。このバイパス配管19には、ポンプ41内の湯を湯タンク40に還流するためのリリーフ弁21が設けられている。
【0025】
また、この給湯側配管16には、給湯側電磁弁15とコーヒー抽出機13との間に位置して一端が外部に開放された湯排出用配管26が接続されている。この湯排出用配管26には、コーヒー抽出機13や後述する抽出側配管24内の残液等を外部に排出を制御するための残液リリーフ弁27が設けられている。
【0026】
他方、コーヒー抽出機13の上方には、前記豆貯蔵容器9が設置される。この豆貯蔵容器9の下方には、豆貯蔵容器9に貯蔵されたコーヒー豆を高速回転する図示しない粉砕刃によって所定の粒度にまで粉砕するコーヒーミル22が設けられており、更に、このコーヒーミル22の下方には、当該コーヒーミル22において粉砕されたコーヒー粉をコーヒー抽出機13内に収容するためのシュート23が設けられている。そして、このコーヒー抽出機13の下部には、コーヒー液の抽出経路を構成する抽出側配管24が接続され、この抽出側配管24には、抽出されたコーヒー液の排出を制御するコック部24Aが介設されている。このコック部24Aの下流側の抽出側配管24には、前記コーヒー液ノズル2が接続されている。これにより、カップ支持台7に配置された図示しないカップにコーヒー液を注入可能としている。
【0027】
尚、カップには、コーヒー液の注入と共に購買者の要望により砂糖やクリームが注入されるが、これらの供給系統については図示及び説明を省略する。また、コーヒーミル22からシュート23に挽き豆を供給する際、計量器により計量が行われるが、これらについても図示を省略する。
【0028】
次に、図4のコーヒー抽出機13の内部構成図を参照してコーヒー抽出機13の構成について説明する。コーヒー抽出機13は、コーヒーミル22からシュート23を介して供給される挽き豆を湯に曝すことにより抽出されるコーヒー液を負圧に基づいてフィルタでろ過するものである。このコーヒー抽出機13は、後述する昇降機構に基づいて移動可能に設けられるシリンダ31と、シリンダ31に密着してコーヒー抽出部を形成するチャンバー部32と、シリンダ31とチャンバー部32によって挟持されてコーヒー抽出部に受容された湯と挽き豆の混合体をろ過するペーパーフィルタ33と、未使用のペーパーフィルタ33からなるペーパーロール33Aと、使用後のペーパーフィルタ33を巻き取って形成されるペーパーロール33Bと、ペーパーフィルタ33を搬送させる搬送ローラー33Cと、コーヒー抽出部からコーヒー液を送出させるフッ素樹脂チューブ等の弾性材料によって形成される抽出側配管24と、モータによって駆動されるカムおよびカムの偏心量に基づいて抽出側配管24を変形させる閉止部材を有し、抽出側配管24を押圧して弾性変形させることにより閉止するコック部24Aと、コーヒー抽出後の抽出滓を受容する滓受け部材8を有する。
【0029】
図4に示すように、ペーパーフィルタ33は、2つのロールRによってチャンバー部32に設けられるチャンバー32Aとシリンダ31との間に配置される。チャンバー32Aは、上部が変形V字型に形成されている。シリンダ31は、図示されるガイド溝31Aおよび31Bに沿って昇降可能に形成されており、チャンバー32Aの上部と密着可能な逆三角形状に形成されている。また、背面に昇降機構が設けられている。同図においてはコック部24Aが抽出側配管24を塞いだ状態を示しており、この状態ではコック部24Aの下流にコーヒー液が送出されない状態となる。
【0030】
図5は、シリンダ31の昇降機構をシリンダ31の背面側より示し、コーヒー抽出機13の背面には、シリンダ31を支持するベース34と、ベース34を昇降させる駆動力を発生させる昇降モータ35と、昇降モータ35の回転軸に取り付けられる駆動ギヤ36と、昇降モータ35の回転軸の回転量を検出する切欠状の検出部37Aを有する回転量検出板37と、駆動ギヤ36と噛合して回転するギヤ38を有し、ギヤ38にはベース34と係合する係合突起38Aが形成されており、係合突起38Aはベース34に形成されたガイド溝34Aに収容されている。
【0031】
検出部37Aは、一対の発光素子および受光素子からなる図示しない光学センサによって検出される。検出部37Aでは発光素子から受光素子に光が入射し、それ以外の部分では遮光されることによって出力パルスを生じることから、パルスカウント値に基づいてギヤ38の回転量を検出することができる。
【0032】
図5において、ギヤ38は、昇降モータ35の反時計方向の回転に基づいて時計方向に回転し、そのことによって係合突起38Aがガイド溝34A内で右方向に移動することによってベース34を上昇させる。また、昇降モータ35の時計方向の回転に基づいて反時計方向に回転し、そのことによって係合突起38Aがガイド溝34A内で左方向に移動することによってベース34を下降させる。
【0033】
また、本実施例のコーヒー飲料製造装置1は、図6に示す制御装置Cを備えており、この制御装置Cは、プログラムやデータを記憶するメモリ48、クロック信号を生成するタイマ49、前記クロック信号及び前記プログラムに基づいて動作するCPU50を備えている。更に、この制御装置Cの入力側には、湯タンク40内の温度を検出する温度センサ46や流量計14や、前面扉4に設けられる各種選択ボタン5、10や、カップセンサ12、コーヒー抽出機13の回転量検出板37の検出部37A、本体6内部に設けられるコントロールパネル45などが接続されている。また、出力側には、前記ポンプ41、給湯側電磁弁15、循環用電磁弁17、リリーフ弁21、残液リリーフ弁27、コック部24A昇降モータ35、上述した如き販売可ランプ11A及び点検ランプ11Bを備えた表示部11などが接続され、当該制御装置Cの出力に基づき制御されるものとする。
【0034】
次に、本実施例のコーヒー飲料製造装置1の動作について説明する。尚、飲料選択ボタン5の操作が行われる前は、何れの電磁弁も非通電とされ、閉鎖若しくは、一定圧力以上にて湯の流通を許容する状態とされているものとする。先ず初めに、作業者が、本体6に設けられた飲料選択ボタン5の内、何れかのボタン5を操作することにより、制御装置Cに抽出開始入力が行われる。
【0035】
これにより、制御装置Cは、循環用電磁弁17を開放し、所定時間、本実施例では4秒間、ポンプ41の低速運転を行う配管昇温工程を実行する。これにより、湯タンク40内の湯がポンプ41により給湯側配管16を介して循環経路を構成する循環用電磁弁17及び循環用配管18に送出される。そして、ポンプ41と給湯側電磁弁15との間に位置する給湯側配管16内に滞溜する湯は循環用電磁弁17を介して循環用配管18に圧送され、湯タンク40に戻される。これにより、湯タンク40から供給される約+90℃乃至+95℃の高温の湯でポンプ41と給湯側電磁弁15との間に位置する給湯側配管16の昇温を行うことができる。
【0036】
上記配管昇温工程が開始してから上記所定時間経過後に、制御装置Cは、ポンプ41の運転を停止し、次いで循環用電磁弁17を閉鎖し、配管昇温工程を終了する。尚、この場合において、本実施例では、循環用電磁弁17に隣接して給湯側配管16に介設される給湯側電磁弁15は、非通電とされ一定圧力以上にて湯の流通を許容する状態とされている。
【0037】
一方、コーヒー抽出機13は、前回のコーヒー液の供給工程の終了後に次回販売のための販売待機状態とされる。即ち、当該販売待機状態では、図7に示すようにシリンダ31は上限位置に配置されており、ペーパーフィルタ33は未使用部分がチャンバー部32Aに位置するように設けられる。コック部24Aは抽出側配管24を開放している。
【0038】
この状態で、上述したように、本体6に設けられた飲料選択ボタン5の内、何れかのボタン5を操作することにより、制御装置Cに抽出開始入力が行われると、図8に示すように、シリンダ31が矢印方向に下降してペーパーフィルタ33を間に挟んだ状態でチャンバー32A上に密着する。このことによりコーヒー抽出部が形成される。
【0039】
コーヒー抽出部が形成されると、図9に示すように、制御装置Cは、コック部24Aを回転させて抽出側配管24を閉止する。次に、予め豆貯蔵容器9内のコーヒー豆をコーヒーミル22において粉砕し、挽き豆とした状態で、シュート23を介してシリンダ31内に供給する。その後、挽き豆の供給が終了した時点で、供給側電磁弁15を開放すると共にポンプ41を駆動する。これにより、約+90℃乃至+95℃に加熱された高温の湯がシリンダ31に供給される。ここで供給される湯量は、挽き豆に水分が浸透する程度の量であり、予め定めた湯量が供給されると湯の供給が停止される。
【0040】
その後、制御装置Cは、コック部24Aを回転させて抽出側配管24を開き、コーヒー抽出部内に受容された挽き豆と湯の混合体を抽出側配管24に作用する負圧に基づいて吸引する。このことによりコーヒー抽出部内でペーパーフィルタ33によりろ過されたコーヒー液が抽出側配管24を介して飲料注出ノズル2より排出される。抽出側配管24が開かれると、供給側電磁弁15及びポンプ41によってコーヒー抽出部に湯を断続的に供給することにより、適量の湯によってコーヒー抽出が進行するように抽出動作を実行させる。
【0041】
また、給湯側配管16を介してシリンダ31に湯を供給する直前に、制御装置Cは、ポンプ41を所定時間作動させ、ポンプ41内の温度が低下した湯をバイパス管19及びリリーフ弁21を介して湯タンク40に戻し、新たに高温の湯を給湯側配管16に圧送する動作を行う。そして、制御装置Cは、ポンプ41内の湯の交換を終了した時点で、ポンプ41を一旦停止し、リリーフ弁21を閉鎖する。リリーフ弁21を閉鎖した状態で、給湯側配管16からシリンダ13に給湯を行うことにより、より高温且つ高圧の湯を供給することができる。
【0042】
そして、制御装置Cは、抽出側配管24に負圧が作用している状態でシリンダ31を矢印方向に上昇させる。チャンバー32Aは、負圧に基づいてペーパーフィルタ33に挽き豆の抽出滓Dを吸着させており、係るシリンダ31の上昇動作に基づいて抽出滓Dをパッキングすることにより滓中のコーヒー液を絞る。これにより、シリンダ31内のコーヒー液は抽出側配管24に送られると共に、挽き豆は圧縮される。
【0043】
その後、制御装置Cは、抽出滓の廃棄動作に移行し、抽出側配管24の負圧を開放して搬送ローラー33Cを駆動してチャンバー部32から使用済みのペーパーフィルタ33を抽出滓Dとともに除去する。抽出滓Dはペーパーフィルタ33の移動に基づいて隣接する滓受け部材8に排出される。使用後のペーパーフィルタ33はペーパーロール33Bに巻き取られる。これにより、抽出滓Dの廃棄後、シリンダ31下方には、新たなペーパーフィルタ33が設置されることとなり、制御装置Cは、1回の販売動作を終了して、内蔵されるメモリ48に抽出回数を1回カウントする。制御装置Cは、上述した如き抽出動作が行われる度に抽出回数をカウントし、メモリ48に記憶する。
【0044】
ここで、制御装置Cには、予め滓受け部材8内に受容可能とする抽出滓の量、具体的には、滓受け部材8内の抽出滓を外部に廃棄することなく連続して抽出滓を受容することができる抽出限界回数が設定されている。本実施例では、滓受け部材8内には、50回分の抽出動作によって排出される抽出滓を受容可能とするものとし、抽出限界回数を50回に設定する。
【0045】
上述したように制御装置Cは、抽出動作が行われる度に抽出回数を1回カウントされ、メモリ48に記憶されている積算抽出回数に基づき、前面扉4に設けられる表示部11の点検ランプ11B(抽出回数に関する上表を表示可能とする表示手段。滓廃棄警告出力手段)を点灯/消灯制御する。
【0046】
即ち、本実施例では、制御装置Cは、メモリ48に記憶されている積算抽出回数が0回〜9回(所定の低積算抽出回数)である場合には、滓受け部材8内には殆ど抽出滓が受容されていないため、点検ランプ11Bを消灯する。
【0047】
そして、抽出動作が繰り返されることにより、メモリ48に記憶されている積算抽出回数が10回〜19回(所定の積算抽出回数)である場合には、滓受け部材8内に所定量の抽出滓が受容されているとして、制御装置Cは、点検ランプ11Bを比較的長い点滅間隔(4秒消灯後1秒点灯)にて点滅させる。
【0048】
更に、抽出動作が繰り返されることにより、メモリ48に記憶されている積算抽出回数が20回〜29回(所定の積算抽出回数)である場合には、滓受け部材8内に先ほどよりも多い量の抽出滓が受容されているとして、制御装置Cは、点検ランプ11Bを先ほどよりも短い点滅間隔(3秒消灯後1秒点灯)にて点滅させる。
【0049】
同様に、抽出動作が繰り返されることにより、メモリ48に記憶されている積算抽出回数が30回〜39回(所定の積算抽出回数)である場合には、滓受け部材8内にある程度の量の抽出滓が受容されているとして、制御装置Cは、点検ランプ11Bを先ほどよりも短い点滅間隔(2秒消灯後1秒点灯)にて点滅させる。
【0050】
更に、抽出動作が繰り返されることにより、メモリ48に記憶されている積算抽出回数が40回〜49回(所定の高積算抽出回数)である場合には、滓受け部材8内に受容限界量に近い量の抽出滓が受容されているとして、制御装置Cは、点検ランプ11Bを短い点滅間隔(1秒消灯後1秒点灯)にて点滅させる。そして、次回抽出動作が行われることにより、メモリ48に記憶される積算抽出回数は抽出限界回数に達するため、制御装置Cは、点検ランプ11Bを連続点灯し、以後、全ての抽出動作を禁止し、滓受け部材8内の抽出滓の廃棄を促す。なお、滓受け部材8内の抽出滓が外部に廃棄された場合には、コントロールパネル45によって積算抽出回数をリセットする操作を行う。
【0051】
このように、本実施例では、制御装置Cは、点検ランプ11Bを点灯/消灯制御して、積算抽出回数が抽出限界回数に近づくに従って、点滅間隔を短くすることにより、当該コーヒー飲料製造装置1を管理する店員等の使用者に積算抽出回数が所定の抽出限界回数に達することで抽出禁止となる以前に、滓受け部材8に廃棄される抽出滓の量を報知することが可能となる。
【0052】
これにより、使用者は、滓受け部材8内を直接確認することなく、点検ランプ11Bの点滅させる間隔の変化によって滓受け部材8内に廃棄された抽出滓の量を判断することができ、廃棄時期を把握することが可能となる。これにより、抽出回数が抽出限界回数に達することで抽出禁止となる以前に、効率的に使用者に滓受け部材8内に廃棄された抽出滓の外部への廃棄を促すことが可能となる。従って、使用者は、使用状況に応じて滓受け部材8内に廃棄された抽出滓を外部に廃棄処理することができ、利便性の向上を図ることができる。また、繁忙時間帯などの連続販売を行う時間帯において、抽出回数が抽出限界回数に達することによる抽出禁止となる不都合を効果的に回避することができ、安定したコーヒー飲料の提供を実現することが可能となる。
【0053】
また、これ以外にも、コントロールパネル45によって、短時間に多くのコーヒー飲料の抽出が見込まれる時刻又は時間帯を予め設定可能としてもよい。例えば、当該コーヒー飲料製造装置1の設置場所によっては、昼食時間帯や、職場等の休憩時間帯などはコーヒー飲料の販売数が多くなる繁忙時間帯となる。そのため、当該繁忙時間帯をコントロールパネル45によって短時間に多くのコーヒー飲料の抽出が見込まれる時刻又は時間帯として予め設定する。
【0054】
これにより、制御装置Cは、当該設定された時刻又は時間帯より前の時点(例えば、所定時間前(10分前など))となると、現在メモリ48に記憶されている抽出回数が所定回数に近づいているか否か(例えば、抽出限界回数まで残抽出回数が10回などの所定回数以内であるか否か)を判断し、近づいている場合には、点検ランプ11Bを点灯することにより滓受け部材8内の抽出滓廃棄警告出力を発生する。
【0055】
このとき、所定回数とは、上記抽出限界回数に限られるものではなく、任意に設定可能とする抽出回数であってもよい。例えば、短時間に多くのコーヒー飲料の抽出が見込まれる時刻又は時間帯における抽出回数より多いことが望ましい。
【0056】
これにより、使用者は、滓受け部材8内を開放して直接確認することなく、予め設定された時刻又は時間帯より前の時点で、滓廃棄警告出力の発生によって滓受け部材8内の抽出滓の廃棄処理の必要性の有無を把握することができる。
【0057】
これにより、予め設定された時刻又は時間帯より前の時点で、滓廃棄警告出力が発生された場合、円滑に滓受け部材8内の抽出滓を廃棄することで、当該設定された時刻又は時間帯において、抽出回数が抽出限界回数に達してしまい、抽出禁止となる不都合を回避することが可能となる。従って、多くのコーヒー飲料の抽出(販売)が見込まれる時刻や時間帯において抽出禁止となり、以後、コーヒー飲料の提供ができなくなる不都合を効果的に回避することができ、繁忙時間帯における円滑なコーヒー飲料の提供を実現することが可能となる。
【0058】
尚、上記実施例では、滓廃棄警告出力を行うために設定される時刻又は時間帯を予めコントロールパネル45によって設定可能とされているが、これに限定されるものではない。例えば、制御装置Cは、メモリ48に記憶された一日のコーヒー飲料の抽出回数分布(販売回数分布)に基づき、コーヒー飲料の抽出が見込まれる時刻又は時間帯における抽出回数から滓廃棄警告出力が必要とされる時刻又は時間帯を判定する。制御装置Cは、当該判定された時刻又は時間帯よりも前の時点(例えば、所定時間前(10分前など))で、現在メモリ48に記憶されている抽出回数が所定回数に近づいているか否かを判断し、近づいている場合には、点検ランプ11Bを点灯することにより滓受け部材8内の抽出滓廃棄警告出力を発生してもよい。
【0059】
例えば、前日のAM7:00台に抽出回数が6回(積算抽出回数が6回)、AM8:00台に抽出回数が12回(積算抽出回数が18回)、AM9:00台に抽出回数が27回(積算抽出回数が45回)、AM10:00台に抽出回数が10回であった場合、AM10:00台の時点で抽出限界回数の50回に達してしまうため、この時点で以後この時間帯で見込まれたコーヒー飲料の抽出が5回分減少してしまうこととなる。
【0060】
この場合、制御装置Cは、AM9:00台の終了時点において抽出滓廃棄警告出力を実行することにより、適切なタイミングで滓受け部材8内に受容された抽出滓を廃棄処理することが可能となる。
【0061】
このように、制御装置Cは、コーヒー飲料の抽出履歴に基づいて滓廃棄警告出力が必要とされる時刻又は時間帯、例えば、抽出頻度の高い時刻や時間帯を判定し、当該時刻又は時間帯より前の時点で、抽出回数が上述したような所定回数に近づいている場合、滓廃棄警告出力を発生することにより、使用者は、抽出頻度の高い時刻又は時間帯より前の時点において滓受け部材8内に廃棄された抽出滓を外部に廃棄処理することが可能となる。
【0062】
特に、制御装置Cは、コーヒー飲料の抽出履歴に基づいて滓廃棄警告出力が必要とされる時刻や時間帯を判定し、当該時刻又は時間帯より前の時点で、滓廃棄警告出力を発生するか否かを判断するため、予め当該時刻や時間帯を設定することなく、繁忙時間帯において、抽出回数が抽出限界回数に達してしまい、抽出禁止となる不都合を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施例のコーヒー飲料製造装置の正面図である。
【図2】コーヒー飲料製造装置の前面扉を開放した状態の正面図である。
【図3】コーヒー飲料製造装置の内部概略構成図である。
【図4】コーヒー抽出機の内部構成図である。
【図5】コーヒー抽出機の内部構成図である。
【図6】制御装置の電気ブロック図である。
【図7】コーヒー抽出機の動作を示す説明図である。
【図8】コーヒー抽出機の動作を示す説明図である。
【図9】コーヒー抽出機の動作を示す説明図である。
【図10】コーヒー抽出機の動作を示す説明図である。
【図11】コーヒー抽出機の動作を示す説明図である。
【図12】コーヒー抽出機の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0064】
C 制御装置
D 抽出滓
1 コーヒー飲料製造装置
2 飲料注出ノズル
3 湯注出ノズル
4 前面扉
5 飲料選択ボタン
6 本体
7 カップ支持台
8 滓受け部材
9 豆貯蔵容器
10 湯選択ボタン
11 表示部
11A 販売可ランプ
11B 点検ランプ(表示手段、滓廃棄警告出力手段)
13 コーヒー抽出機
15 給湯側電磁弁
16 給湯側配管
22 コーヒーミル
23 シュート
24 抽出側配管
24A コック部
31 シリンダ
32 チャンバー部
32A チャンバー
33、33A、33B ペーパーフィルタ
33C 搬送ローラー
40 湯タンク
41 ポンプ
43 粉原料貯蔵容器
44 粉飲料生成部
45 コントロールパネル
46 温度センサ
48 メモリ
49 タイマ
50 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の粒度に粉砕されたコーヒー豆の挽き豆と湯を用いてコーヒー飲料を抽出し、抽出滓を滓受け部材に廃棄するコーヒー飲料製造装置において、
前記コーヒー飲料の抽出回数をカウントし、所定回数にて抽出を禁止する制御装置を備え、
該制御装置は、前記抽出回数に関する情報を表示可能な表示手段を備えることを特徴とするコーヒー飲料製造装置。
【請求項2】
所定の粒度に粉砕されたコーヒー豆の挽き豆と湯を用いてコーヒー飲料を抽出し、抽出滓を滓受け部材に廃棄するコーヒー飲料製造装置において、
前記コーヒー飲料の抽出回数をカウントし、所定回数にて抽出を禁止する制御装置を備え、
該制御装置は、予め設定された時刻又は時間帯より前の時点で、前記抽出回数が前記所定回数に近づいている場合、所定の滓廃棄警告出力を発生することを特徴とするコーヒー飲料製造装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記コーヒー飲料の抽出履歴に基づいて抽出頻度の高い時刻又は時間帯を判定し、当該時刻又は時間帯より前の時点で、前記抽出回数が前記所定回数に近づいている場合、前記滓廃棄警告出力を発生することを特徴とする請求項2に記載のコーヒー飲料製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−75595(P2010−75595A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249940(P2008−249940)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】