説明

コーミング機械

【課題】コーミングヘッドを有し、コーミングヘッドがそれぞれ1つのトング装置を有し、トング装置が軸の上に往復運動を行なうために旋回可能に支承されており、さらに軸に対して平行に延び、回転可能に支承されたトング軸を有し、トング軸の上に相対回動不能に旋回アームが固定されており、旋回アームが適当な手段を介してトング装置と駆動結合されておりかつ旋回アームとトング軸との領域に、トング装置のスイング質量を補償するための補償重錘が設けられているコーミング機械を改良して、補償重錘の質量慣性モーメントを減少させ、より大きなコーミング動作数を、臨界的なトルク限界を超えることなくして可能にすること。
【解決手段】トング軸の回転軸線に対する各補償重錘の質量重心点の間隔が35mmと60mmとの間の領域に位置するように補償重錘を構成しもしくは固定すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのコーミングヘッドを有し、該コーミングヘッドがそれぞれ1つのトング装置を有し、該トング装置が少なくとも1つの軸の上に、往復運動を行なうために旋回可能に支承されており、さらに前記軸に対して平行に延びる、回転可能に支承されたトング軸を有し、該トング軸の上に相対回動不能に少なくとも1つの旋回アームが固定され、該旋回アームが適当な手段を介して前記トング装置と駆動結合されておりかつ前記旋回アームと前記トング軸との領域に、前記トング装置のスイング質量を補償するための補償重錘が設けられている形式のコーミング機械に関する。
【背景技術】
【0002】
コーミング機械のトング装置の機能と概略的な構造は例えば文献「短繊維紡績(Kurzstapelspinnerei):3巻:コーミング、ドラフト、フライヤ(The Textile Institute−ISBN3−908.059−01−1)」22ページから26ページまでに示されている。
【0003】
トング装置は裂断胴の方向に往復運動を行ないトング軸を介して駆動される。この場合、トング装置はトング軸の上に回動不能に固定された旋回アームと結合されている。今日のコーミング機械では、通常は8つのこのようなトング装置が並べて配置され、これらのトング装置はそれぞれ、トング軸に固定された1つ又は2つの旋回アームを介して駆動される。トング装置は互いに同期的に働く。
【0004】
CH−PS471910号明細書にはスイングするトング質量を補償するため並びにトングの閉鎖運動をコントロールするために質量補償手段が設けられている構成を認めることができる。この質量補償手段もしくは使用された対抗重錘によっては、底力の上昇で出現する振動もしくはスイングの回避を目的としている。質量補償の対抗重錘は、開示されている例では、駆動されたトング軸に対し平行に間隔をおいて配置された回転点1に対し比較的に大きな間隔をおいて位置している。これにより質量補償手段は駆動モーメントによって克服されなければならない高い質量慣性モーメントを有している。質量補償手段の駆動はクランクでトンク軸7と駆動結合させられているアーム18を介して行なわれる。CH−PS471910号の出願の時点ではコーミング動作数はまだ比較的に低くかつmax,240KS/minの範囲(例えばFa.Rieterのコーミング機械E714の場合)で動いていた。したがってこの構成では付与しようとするトルクによってもまだ臨界的な振動の領域では動かさず、したがってこの場合には補償質量の配置もしくは取付けはまだ重要な意味をもたなかった。
【0005】
公開されたCN−590614(Prio CH−1473/03,28,08,2003)ではこのスイングを低下させるために、振動減衰手段をトング装置と駆動源との間の領域に設けることが提案されている。さらに該公開文献においてはトング装置の旋回アームの領域に補償重錘が示されている。この補償重錘は部分的に振動減衰手段と組合わされている。ここに開示されている構成でも補償重錘の質量重心点は高いコーミング動作数を考慮してトング軸の回転軸線に対し比較的に大きな間隔をおいて位置している。これによって駆動システムにより克服する必要のある高い質量慣性モーメントが存在する。振動を減衰するために提案された前記手段によって振動を低減させるかもしくは減衰できるが、この解決策では前記効果を達成するために付加的な手段が必要である。この手段は摩耗にも晒され、付加的に保守されるかもしくは所定のタイムインターバルで交換されなければならない。
【特許文献1】CH−PS471910号明細書
【特許文献2】CN−590614号明細書(優先権2003,08,28のCH−1473/03)
【非特許文献1】短繊維紡績:3巻:ページ22から26までのコーミング、ドラフト、フライヤ(The Textile Institute−ISBN3−908.059−01−1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題はトング装置を駆動するための装置であって、一方ではトング装置によってその駆動軸に作用するスイング質量が補償されかつ他方では公知の構成の欠点が回避される装置を提供することである。さらに高いコーミング動作数を有する作業が、臨界的なトルク領域を越えることなく可能になるようにしたい。この場合には高い振動が発生することがある個有振動領域にシステムがある作業領域が考えられている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、補償重錘がトング軸の領域に、トング軸の回転軸線に対する各補償重錘の質量重心点の間隔が35mmと60mmとの間の領域に位置するように構成もしくは固定されることが提案されたことで解決された。補償重錘がトング軸の軸線に対しきわめて小さい間隔で取付けられることによって、補償重錘によって発生する、駆動モーメントにより克服される必要のある質量慣性モーメントは小さくなる。補償重錘の総質量はトング軸の回転軸線の方向のシフトによって拡大される(説明は以下の実施例において行なう)必要があるが、それにも拘らず質量慣性モーメントは減少する。何故ならば補償重錘の質量重心点に対する間隔のファクタは質量慣性モーメントの計算に2乗で関ってくるからである。したがって必要な駆動モーメントも減少し、これによって臨界的なトルクに対する間隔も拡大される。つまり、最終的には本発明に従って前述のように構成された構造は臨界的なトルク曲線に達するまでより高いコーミング動作数で運転されることができる。この際、臨界的なトルク曲線とはシステムもしくはトング軸の個有振動領域にある振動が発生するトルク曲線を意味する。
【0008】
さらに各トング装置に1つの補償重錘を対応配置し、トング軸の回転軸線の方向で見た補償重錘の長さを補償重錘の幅の1.5と5倍との間で選択することを提案する。これによって、補償重錘をトング軸の回転軸線のできるだけ近くに取付けることが可能になる。
【0009】
さらに有利な形式で、補償重錘をその長手方向で見て少なくとも部分領域に亘ってトング軸の表面に支持し、トング軸とクランプ手段を介して結合することを提案する。この構成によってトング軸のねじれ剛性を少なくとも補償重錘の領域で著しく上昇させることができた。トング軸との十分なクランプ結合を達成するためには補償重錘がトング軸に支持される領域でその周面に関して45°と180°との間でトング軸を取囲むことを提案する。
【0010】
この場合、ねじれ剛性を高めるためには、補償重錘の少なくとも両端の領域に支持面が設られているだけで十分である。又、必要である限り補償重錘の端部領域における支持面の間にも支持面の別の支持面区分が設けられることもできる。
【0011】
補償重錘をトング軸と結合するためには、補償重錘の支持面の領域にてクランプ手段を設けることを提案する。このクランプ手段は有利にはトング軸の、補償重錘に向き合った周面領域に支持されることができる。
【0012】
この場合、クランプ手段はハーフシェル形のエレメントから成り、該ハーフシェル形のエレメントは固定手段を介して補償重錘に結合されていることができる。
【0013】
同様にクランプ手段がねじピストンから成り、該ねじピンがトング軸を半円形に取囲み、補償重錘と両端で結合されていることもできる。これによって十分なクランプ作用を有する費用的に好適な構成が得られる。トング軸に補償重錘を固定する別の可能性としては、補償重錘をねじで直接的にトング軸と結合することもできる。この場合にはねじ結合のためには補償重錘における孔とトング軸におけるねじ孔とが設けられていることができる。しかしトング軸もねじ孔の代りに貫通孔を有し、この貫通孔を通ってねじが固定のために貫通し、ねじナットを介して補償重錘とトング軸とが互いにクランプ結合されることも考えられる。
【0014】
それぞれ各コーミング装置のためにトング軸の上に互いに間隔をおいて配置されたそれぞれ2つの旋回アームが設けられている限り、補償重錘がその長手方向で見て、ほぼ両方の旋回アームの間の領域に取付けられていると有利である。又、補償重錘が少なくとも一端にて各旋回アームと結合される別の構成も考えられる。
【0015】
この場合には各旋回アームと結合するためには解離可能な結合又は解離不能な結合が設けられていることができる。補償重錘もしくはその質量重心点をより近くトング軸の回転軸線に近づけるためには、必要な補償重錘をさらにその長手方向の寸法に亘って分配することが提案される。これは補償重錘の少なくとも一端を小さな寸法だけ旋回アームの外側に突出させることで達成される。この場合には補償重錘が旋回アームを超えて側方へ突出する寸法は対称的な理由から両側で等しく選択されることもできる。
【0016】
特に、トルクをトング軸に導入する領域でねじれ剛性を高めるためには、トング軸の長手方向で見てトング軸がその長さの少なくとも1部分に亘って付加エレメントを有し、この付加エレメントがトング軸のねじれ剛性をこの領域で高めることを提案する。さらにこの場合には付加エレメントが2つのハーフシェル形のエレメントから成り、該エレメントが固定手段によって相互に緊定されかつトング軸の上に少なくとも部分的にその長手方向に支持されかつトング軸を取囲むことが有利である。
【0017】
本発明の更なる利点は以下の実施例に基づき詳細に開示しかつ説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1にはトング装置2を有するコーミングヘッド1の概略的な構造が示されている。トング装置2は下方のトングプレート3と、該下方のトングプレート3の上に旋回中心軸4を中心として旋回可能な上方のトングプレート5とを備えている。上方のトングプレート5は旋回中心軸4に旋回可能に支承された2つの旋回アーム8と結合されている。下方のトングプレート3はトングフレーム6内に固定されている。下方のトングプレート3の上側には回転可能に支承された供給胴7が配置されている。この供給胴7は図示されていない綿巻体から供給された綿帯Wを後続配置された裂断胴9に向かって間断的に搬送もしくは供給する。
【0019】
図示の実施例ではトング装置2は該トング装置2が開放されかつ裂断及び結合過程が実施される前方位置にある。トングフレーム6には下方のトングプレート3の領域にて両側にそれぞれ1つの軸14に旋回アーム15が旋回可能に取付けられている。この旋回アーム15はその他方の端部にて円形コーム11の軸13に支承されている。コーミング過程のためには円形コーム11はコームセグメント12を備えている。コームセグメント12は円形コーム11の外周の部分領域に亘って延びている。
【0020】
トングフレーム6は後方領域に2つのアーム10を備え、各アーム10はそれぞれ1つの旋回軸17を有している。この旋回軸17の上には旋回アーム18が回転可能に支承されている。トング装置2あたりそれぞれ2つ存在する(図2参照)こともできる旋回アーム18はこの実施例では概略的に示された固定手段Sで互いにねじ結合された2つの半割体18aと18bとから成っている。
【0021】
この場合、2つの半割体18a,18bは、概略的に示すように旋回軸17とは反対側の自由端部で固定手段Sで互いにねじ結合されている。この場合、半割体18aと18bはトング軸22を取囲み、これに対し回動不能なクランプ結合を形成する。さらに別の構成も可能である。
【0022】
トング装置2のスイングする質量を補償するため(アンバランスと底力とを低減させるため)には旋回アーム18の領域にて、概略的に示された質量重心Pを有する対抗重錘24が旋回アーム18の上に固定されている。この固定は対抗重錘24の適当な構成で、図示されていない固定手段で旋回アームの半割体18a又は18bの一方にて行なうこともできる。このような固定は例えば引用したCN−590614号の図7に示されている。質量重心点Pはトング軸22の回転軸線Dに対し間隔eをおいて位置している。
【0023】
概略的に示された駆動結合26によってトング軸22は伝動装置Gによって駆動される。この伝動装置Gは駆動結合27を介してモータMと結合されている。トング軸にて記載された複矢印が示すように、伝動装置Gを介してトング軸22の往復運動は円形コーム11の上側でトング装置2に往復旋回運動を生ぜしめる。この駆動運動は例えば伝動装置G内に存在する、例えば図2に概略的に示したスライドクランク運転で行なうことができる。
【0024】
コーミング動作の経過についての説明はこれが十分に公知でありかつ先きに挙げた文献に開示されてもいるのでここでは省略する。図2には図1をX方向から見た図が示されている。この場合には図1の公知の構成とは異って本発明によって構成されかつ適当に取付けられた補償重錘20が示されている。図2にはコーミング機械の1つのコーミングヘッドの領域だけが部分的に示されている。この場合には1つのトング装置のトングフレームの2つのアーム10だけが部分的に示されている。既に記載したように通常はこのようなコーミングヘッドが8つ並べて配置されている。並んで働くコーミングヘッドのすべてのトング装置は図2に部分的に示されたトング軸22によって一緒に駆動される。
【0025】
駆動はこの場合、伝動装置Gを介してモータMと駆動結合している駆動結合26を介して行なわれる。図2にはこの際使用された駆動エレメントの可能な構成の1つが示されている。この場合にはトング軸22の端部には相対回動不能にボス35が取付けられている。このボス35には押し棒36が固定されている。この押し棒36は長手方向に移動可能に受容部37に支承されている。この受容部37は軸40を介して回転可能に歯車Z2に支承されている。軸受LGに支承されている歯車Z2の回転軸44は軸40に対し平行な間隔において延びている。歯車Z2には歯車Z1が駆動結合されている。この歯車Z1は軸39を介してベルト円板R2によって駆動される。ベルト円板R2は同様に軸39に配置されている。軸39は概略的に示されている軸受部LGに支承されている。軸39と相対回動不能に結合されたベルト円板R2の駆動はベルト円板R1で行なわれる。このベルト円板R1はベルトRを介してベルト円板R2と駆動結合されている。ベルト円板R1はモータ軸MWを介してモータMにより駆動される。この場合モータMはコーミング機械の図示されていない制御装置により制御される。モータMを介して与えられた歯車Z2の回転により、軸40は軸44を中心とした円運動を行なう。これにより押し棒36は昇降運動を行ない、押し棒36はこの運動をボス35に、ひいてはトング軸22に伝達する。これにより図1に複矢印で示された往復運動がトング装置2に与えられる。トング軸22は複数の軸受個所LAを介して支承されている。これらの軸受個所LAは図面を見やすくするために概略的にしか示されていない。
【0026】
トング装置の加速すべき質量によってきわめて高い回転モーメントに晒されるトング軸22は並べて配置されたコーミングヘッドの同期的な経過を保証するために相応に高いねじれ剛性を有していなければならない。軸22のねじれ剛性を、特に駆動モーメントがボス35を介して導入される領域において高めるためには、この領域にて2つのハーフシェルH1とH2とを設け、このハーフシェルH1とH2とを互いに軸22の上でねじ結合するかもしくは緊定することが提案される。この両方のハーフシェルH1とH2は軸22をスリーブ状に所定の長さに亘って取囲む。ハーフシェルH1,H2の長さに亘って図示の実施例ではそれぞれ3つの支持面F1が設けられ、この支持面F1は組立状態で軸22の表面に支持される。
【0027】
図2aの断面図C−Cに破線で示されているように、支持面F1の間にある面区分は凹部を有し、これによってこの区分において軸との間にクランプ作用が発生しないようになっている。これによって、ねじ結合S1を介して生ぜしめられたクランプ力は、支持面Fの領域で完全にその長さfで軸22に伝達されるようになる。このハーフシェルH1とH2とによって軸22のねじれ剛性は簡単な形式で、軸22全体の寸法を拡大することなく高められることができる。
【0028】
さらに図2には、本発明によって構成された補償重錘20の取付けが示されている。この補償重錘20は旋回アーム18の間の内法幅mの領域にてトング軸22の上に取付けられている。この実施例では補償重錘20は長さlに亘って延び、半円形の支持面F2を有し、該支持面F2で軸22に直接的に支持されている。補償重錘20の対抗する側にはこの実施例ではハーフシェル21が設けられ、該ハーフシェル21も同様に半円形の支持面F3を有している。軸22に対する補償重錘20の固定は補償重錘における貫通孔25と各ハーフシェル21における孔34内に突入するねじ23を介して行なわれる。ねじ23に対応処置されたナット29を締付けることにより、補償重錘20もしくはハーフシェル21は軸22に対し緊定されかつ相対回動不能なクランプ結合が形成される。
【0029】
大きな長さLに亘って分配された補償重錘によって補償重錘の幅bもしくは高さhは相応に小さく保つことができる。これによって補償重錘20の質量重心点P1をトング軸22の回転軸線Dに対し小さな間隔e1をおいて配置することができる。
【0030】
質量慣性モーメント(J=m*e2)は質量重心点Pに対する間隔を小さくすることによって著しく小さくできる。何故ならば質量重心点Pに対する間隔eは2乗で計算に関与するからである。補償重錘は質量重心点が回転軸線Dの方向で移動した場合に往復振動するトング装置に対する必要な質量補償(アンバランス)に関して拡大するが補償重錘の質量慣性モーメントは減少する。この質量慣性モーメントはトング装置を適当に高いコーミング動作数で動かすために必要である駆動モーメントを決定する。図8には線図で概略的に、必要な駆動モーメントMDを所定のコーミング動作数KSで、質量補償重錘の適当な構成と配置とによって低下させることができると、どのような効果があるかが示されている。この場合、曲線はKKはシステムが固有周波の領域に達するコーミング動作数での臨界的なトルクの経過を示している。すなわち、限界に達すると、高いトルクピークとこれに基づき機械的なエレメント、もしくはその支承部のための高められた負荷並びに高められた底力も発生する。曲線KPは例えば図1に相応する公知の構造のトルク経過を示している。この場合には既に450コーミング動作で曲線KPは曲線KKと交差する。つまり、この交点から既に記述した高い負荷が発生する。曲線KNは補償重錘の適当な構成によって従来公知の構成の曲線KPよりも低く延びるトルク経過を示している。この結果、曲線KNと曲線KKは550コーミング動作の領域ではじめて交差する。つまり、450と550コーミング動作の間の領域は本発明によって提案された補償重錘の構成によってトルクピークの発生なしで利用されることができる。これによって本発明による構成ではシステムが静的、もしくは動的に過負荷されることなしに、より高いコーミング動作で運転されることができるようになる。この結果、きわめてわずかな費用だけで、機械の生産性を高めることができる。
【0031】
図3には補償重錘20の固定に関する変化実施例が示されている。この場合には図2に示されたハーフシェルの代りにねじピン32が使用されている。特に図5の断面図B−Bから判るようにねじピン32は半円形に曲げられ、その端部にそれぞれ1つのねじ部分33を備えている。半円形の部分はトング軸22の表面に支持されているのに対し、ねじ部分33として構成されたまっすぐな端部は補償重錘20の貫通孔25を貫いている。ナット31を介して補償重錘20は支持面F2を介してトング軸22の表面に対しクランプされている。この実施例においても補償重錘20の質量重心点P2はトング軸22の回転軸線に対して小さな間隔e2をおいて位置し、これによって必要な駆動モーメントが減少されるという先きにすでに述べた利点が得られる。付加的にねじピン32を使用することにより、比較的に簡単でかつ費用的に好適な構成が得られる。さらにねじピンの質量も比較的にわずかで、付与しようとするトルクに対する影響も小さい。
【0032】
図6には図3をX方向から見た図が示されている。この場合には特に両方の旋回アーム18と補償重錘20とがもう一度図示されている。この場合にはトング軸22の表面に対する補償重錘20の支持面F2がそれぞれ面区分tt′だけに亘って延びている構成が示されている。前記支持面F2の間には幅aを有する面区分が存在し、この面区分はトング軸の表面に対しいくらか後退させられかつトング軸の表面に支持されていない。これにより、一杯のクランプ力が支持面F2に対応配置されたクランプ手段によってトング軸22の表面に伝達されることが保証される。
【0033】
図7の別の実施例は図3の実施例にほぼ相応する。しかしこの場合には補償重錘30は値nだけ旋回アーム18の側方制限部の間の間隔寸法0を値nだけ越えて延在している。この場合、旋回アーム18の後方の領域は構成的にいくらか異って構成され、概略的に示されたねじS2を介してトング軸22の上に固定された補償重錘30とねじ結合されている。又、長さのlの補償重錘30を両側で寸法nだけ旋回アーム18から突出させることも考えられる。さらに他の構成も考えられる。この場合には例えば補償重錘30と旋回アーム18とは一体に形成されていることができる。
【0034】
さらに補償重錘20もしくは30がその全長に亘ってトング軸に支持されていない構成も可能である。この場合には両方のハーフシェルH1とH2とで示されたようにトング軸22の表面に対する支持が固定エレメントの領域の所定の幅に亘って与えられている構成も可能である。
【0035】
図9と図10の横断面では補償重錘20が直接ねじ47を介してトング軸22と結合されている実施例が示されている。この場合には補償重錘はねじ47の各ねじヘッドのための凹部とねじ47が貫通する貫通孔46とを有している。固定するためにはねじ47はトング軸22に設けられたねじ孔48内へねじ込まれる。ねじ47は図9に示されているように補償重錘の支持面F2の領域に設けられている。しかし、補償重錘20に連続した支持面F2を設けることも可能である。
【0036】
補償重錘を前述の如く構成しかつ取付けることによって質量慣性を低下させるだけではなく、この領域においてトング軸により高いねじれ剛性が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】コーミング機械のコーミングヘッドの概略的な側面図。
【図2】コーミングヘッドのトング軸の領域における補償重錘の発明による構成と取付けと共にコーミング機械を図1の矢印Xの方向で見た概略図。
【図2a】図2のC−C線に沿った断面図。
【図3】図2による補償重錘の固定の別の実施例を示した図。
【図4】図2のA−A線に沿った断面図。
【図5】図3のB−B線に沿った断面図
【図6】図3の矢印Yの方向から見た概略図。
【図7】図3の別の実施例を示した図。
【図8】トルク経過に関する線図。
【図9】図2の補償重錘の固定装置の別の実施例を示した図。
【図10】図9のD−D線に沿った断面図。
【符号の説明】
【0038】
1 コーミングヘッド
2 トング装置
3 トングプレート
4 旋回中心軸
5 トングプレート
6 トングフレーム
7 供給胴
8 旋回アーム
9 裂断胴
10 アーム
11 円形コーム
12 コームセグメント
13 軸
14 軸
15 旋回アーム
17 旋回軸
18 旋回アーム
20 補償重錘
21 ハーフシェル形のエレメント
22 トング軸
23 ねじ
24 対抗重錘
25 貫通孔
26 駆動結合
27 駆動結合
29 ナット
30 補償重錘
31 ナット
32 ねじピン
33 ねじ部
34 孔
35 ボス
36 押し棒
37 受容部
39 軸
40 軸線
44 回転軸
45 凹部
46 孔
47 ねじ
48 ねじ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコーミングヘッドを有し、該コーミングヘッドがそれぞれ1つのトング装置を有し、該トング装置が少なくとも1つの軸の上に、往復運動を行なうために旋回可能に支承されており、さらに前記軸に対して平行に延びる、回転可能に支承されたトング軸を有し、該トング軸の上に相対回動不能に少なくとも1つの旋回アームが固定されており、該旋回アームが適当な手段を介して前記トング装置と駆動結合されておりかつ前記旋回アームと前記トング軸との領域に、前記トング装置のスイング質量を補償するための補償重錘が設けられている形式のコーミング機械において、前記トング軸(22)の回転軸(D)に対する前記各補償重錘(20,30)の質量重心点(P1,P2)の間隔(e1,e2)とが35mmと60mmとの間の領域にあるように前記補償重錘(20,30)が構成されもしくは固定されていることを特徴とするコーミング機械。
【請求項2】
各トング装置(2)に1つ補償重錘(20,30)が対応配置されており、該補償重錘(20,30)の長さ(l)が、前記トング軸(22)の回軸線(D)の方向で見て、該補償重錘(20,30)の幅(b)の1.5倍と5倍との間である、請求項1記載のコーミング機械。
【請求項3】
前記補償重錘(20)がその長手方向で見て、少なくとも1つの部分領域(t)に亘って前記トング軸(22)の表面に支持され、該表面に固定手段(21,23,32,47)を介して結合されている、請求項2記載のコーミング機械。
【請求項4】
前記補償重錘(20,30)が支持領域にて前記トング軸(22)をその周面に関し、45°と180°との間の領域で取囲んでいる、請求項3記載のコーミング機械。
【請求項5】
前記補償重錘(20,30)の少なくとも両端部の領域に支持面(F2)が設けられている、請求項4記載のコーミング機械。
【請求項6】
前記補償重錘(20,30)の端部領域における支持面(F2)の間に、該支持面(F2)とは別の支持面区分(t′)が設けられている、請求項5記載のコーミング機械。
【請求項7】
前記補償重錘(20,30)の前記支持面(F2)の領域にそれぞれ固定手段(21,23,32,47)が設けられている、請求項3から6までのいずれか1項記載のコーミング機械。
【請求項8】
前記固定手段がクランプ手段(21,32)として構成され、該クランプ手段(21,32)が前記トング軸(22)の、前記補償重錘(20,30)に向き合った周面領域に支持されている、請求項7記載のコーミング機械。
【請求項9】
前記クランプ手段がハーフシェル形のエレメント(21)から成り、該エレメント(21)が固定手段(23)を介して補償重錘(20,30)と結合されている、請求項8記載のコーミング機械。
【請求項10】
前記クランプ手段がねじピン(32)から成り、該ねじピン(32)が前記トング軸(22)を半円形に取囲んでおり、両端で前記補償重錘(20,30)に結合されている、請求項8記載のコーミング機械。
【請求項11】
前記補償重錘(20)がねじ(47)で直接的に前記トング軸(22)と結合されている、請求項7記載のコーミング機械。
【請求項12】
前記ねじ(47)のために孔(46)が補償重錘(20)に設けられかつねじ孔(48)が前記トング軸(22)に設けられている、請求項11記載のコーミング機械。
【請求項13】
1つのトング装置(2)のために互いに間隔をおいて配置された2つの旋回アーム(18)が設けられており、該旋回アームが適当な手段(47)を介して前記トング装置と結合されており、前記補償重錘(20)がその長さ方向で見て、ほぼ両方の旋回アーム(18)の間の領域に取付けられている、請求項2から12までのいずれか1項記載のコーミング機械。
【請求項14】
前記補償重錘(20)がその一端で前記各旋回アーム(18)と結合されている、請求項13記載のコーミング機械。
【請求項15】
前記補償重錘(20)がその両端で前記各旋回アーム(18)と結合されている、請求項14記載のコーミング機械。
【請求項16】
前記トング軸の長手方向で見て、前記補償重錘(30)の長さ(l)が前記旋回アーム(18)の間の内法り間隔(m)よりも大きい、請求項15記載のコーミング機械。
【請求項17】
前記トング軸の長手方向で見て、前記補償重錘(30)の少なくとも一端が所定の寸法(n)だけ前記旋回アーム(18)の外側の制限面の間隔(o)を越えて突出している、請求項15記載のコーミング機械。
【請求項18】
前記トング軸(22)の長手方向で見て、該トング軸(22)がその長さの少なくとも部分領域に亘って付加エレメント(H1,H2)を有し、該付加エレメント(H1,H2)がこの領域にて前記トング軸(22)のねじれ剛性を高めている、請求項1から17までのいずれか1項記載のコーミング機械。
【請求項19】
前記付加エレメントが2つのハーフシェル形のエレメント(H1,H2)から成り、該シェル形のエレメント(H1,H2)が固定手段(S1)を介して相互に緊定され、前記トング軸(22)の上に少なくとも部分的にその長手方向に支持されかつ該トング軸(22)を取囲んでいる、請求項18記載のコーミング機械。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−254949(P2007−254949A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72674(P2007−72674)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(590005597)マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト (93)
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH−8406 Winterthur,Switzerland
【Fターム(参考)】